エレン「進撃」 ミカサ「冬の」 アルミン「短編集」(252)

【冬の朝】

ユミル「お前らそろそろ起きろよ!」


ミカサ「……寒い」ヌクヌク

クリスタ「毛布がね、毛布が私を離したくないって」ヌクヌク

サシャ「あと五分……」ヌクヌク

アニ「zzz」ヌクヌク


ユミル「こいつら……!」

ユミル「寒くて眠いのは私も同じだっつーの!」


ミカサ「では」ヌクヌク

クリスタ「ユミルも」ヌクヌク

サシャ「寝ればいいじゃないですか」ヌクヌク

アニ「zzz」ヌクヌク


ユミル「」イラッ

ユミル「そうか……どうしても起きねぇか」

ユミル「ならばこっちも容赦はしない!」


ミカサ「?」ヌクヌク

クリスタ「?」ヌクヌク

サシャ「?」ヌクヌク

アニ「zzz」ヌクヌク


ユミル「起きなさい!!」ガバッ


キャー!!!

ミカサ「な、なんて残酷なことを……」ガクブル

クリスタ「やだ! 寒い! 寒いよユミル! 毛布返して!」ガクブル

サシャ「あ、悪魔……!?」ガクブル

アニ「……!?」ガクブル


ユミル「お前らがさっさと起きねぇからだろうが」フン

ユミル「さっさと起きて準備しろ!」

一同「はーい……」



ミーナ「ねぇ、ユミルってさ」

ハンナ「そうね、お母さんみたいね」

【冬の朝/2】

ミカサ「zzz」ヌクヌク

ユミル「またこいつは……」

サシャ「冬になるとミカサはお寝坊さんになりますね」

クリスタ「冬以外なら誰より早起きなのにね」

ユミル「ったく……おいミカサ、起きろ、朝だぞ!」

ミカサ「……」パチ

ユミル「起きたか。早く布団から出て着替えろ。他の奴らはもう着替えてるぞ」

ミカサ「……寒い」モゾモゾ

ユミル「だから! 寒いのは皆同じだっての!」

クリスタ「ミカサ、起きようよー」

サシャ「もうすぐ朝食の時間ですよー」

アニ「……ほっときなよ」

アニ「獣は冬眠の季節なんだ。ミカサもそうなんじゃないの?」

クリスタ「……」

サシャ「……」

ユミル「アニ……」

アニ「何? 本当のことだと思うけど」

ユミル「いや、お前さ……」


ユミル「布団から顔だけ出して言っても、説得力ないぞ?」


アニ「……だって寒いし」ヌクヌク

こんな感じで短い話をいくつか投下していく

【静電気】

──朝食


エレン「」モグモグ

ミカサ「!」

ミカサ「エレン、頬に……」スッ


バチッ


エレン「いてっ」

ミカサ「痛っ」

エレン「何だ今の、静電気か?」

ミカサ「ご、ごめんなさい、エレン。大丈夫?」アセアセ

エレン「ああ。つーか謝んなよ、静電気なんて防ぎようがねぇだろ」

ミカサ「けど」

エレン「気にすんなって言ってんだろ」

エレン「んなことより、お前こそ頬に」スッ


バチッ


エレン「いてっ」

ミカサ「痛っ」


アルミン(そんなに乾燥してるかなぁ)モグモグ

【保湿】リヴァハン?


ハンジ「やあ、リヴァイ! 今日も寒いね!」

リヴァイ「チッ」

ハンジ「人の顔を見るなり舌打ちって」

リヴァイ「何の用だ」

ハンジ「あ、そうそう。渡したい物があって」

リヴァイ「……」ジトー

ハンジ「その訝るような目はやめてくれないかな」

リヴァイ「どうせロクなモンじゃねぇんだろうが」

ハンジ「酷いな! 今日はちゃんとした物だよ!」

リヴァイ(今日“は”って言いやがった)

ハンジ「これこれ、保湿クリーム」ジャーン

リヴァイ「……いらねぇ」

ハンジ「まあまあ、そう言わず」

リヴァイ「俺にそんなもんが似合うと思うか?」

ハンジ「そりゃあ思わないけど」

リヴァイ「」イラッ

リヴァイ「だったら尚更いらねぇ」

ハンジ「いやいや、逆に一回使ってみよう」

リヴァイ「何の逆だ」

ハンジ「何なら私が塗ってあげるから」ズイズイ

リヴァイ「寄るな奇行種」

ハンジ「私に身を委ねていいから!」ズイズイ

リヴァイ「寄るなっつってんだろ」

ハンジ「では」ニュルル

ハンジ「塗ろうか」ニコッ

リヴァイ「」ゾクッ

リヴァイ「いらん、寄るな」

ハンジ「ちょっとだけ! (小指の)先っちょだけでいいから!」ズイズイ

リヴァイ「うるせぇ」ガタッ

ハンジ「あ、ちょっと急に動かないでよ、バランスがっ」グラ

リヴァイ「おい、裾を掴むな……!」グラ


バターン!


コンコン
ガチャ

ペトラ「兵長? どうかされましたか、すごい音……が……」

リヴァイ「」←押し倒している

ハンジ「」←押し倒されている

ペトラ「」


ペトラ「し……」

ペトラ「失礼しました!!!」バタバタバタ

リヴァイ「」

ハンジ「」

リヴァイ「待て」

ハンジ「ペトラ!」



リヴァイ・ハンジ「誤解だ!」

また明日書く

【眼鏡の人なら分かる冬の困った現象】

リコ「おはよう」ガチャ

イアン「おは……、……リコ?」

リコ「何?」

イアン「いや……眼鏡が曇ってないか?」

リコ「結露」

イアン「え」

リコ「結露」

イアン「そ、そうか……」

【入浴】

アルミン(はぁ……今日も一日疲れたなぁ。寒かったし)ビバノンノン

アルミン(けどこうしてお湯に浸かってると疲れも寒さも吹っ飛んでいきそうだ……)ビバノンノン

アルミン(温かいなぁ)ビバノンノン

アルミン(本当に温かい……)ビバノン…

アルミン(何か眠くなってきちゃった)ビバ…

アルミン(けど寝ちゃ駄目だ……ここはお風呂だぞ)ブク

アルミン(寝ちゃ……)ブクブク

アルミン(……駄……目)ブクブクブク



マルコ「大変だ! アルミンが湯船に沈んでる!」

エレン「アルミーーン!!」

【天気予報】

ナナバ「はい。紅茶でいいかな」カチャ

ミケ「ああ、悪いな」

ナナバ「しかし、今日は一段と冷えるね」

ミケ「そうだな」ズズ

ナナバ「これから益々寒くなるかと思うと……」

ミケ「……ナナバ」

ナナバ「ん?」

ミケ「窓を開けるぞ」

ナナバ「……寒いのに、か?」

ミケ「寒いからこそ、だ」ガチャ


ヒュオー


ナナバ「……寒いね」

ミケ「ああ、寒いな」

ミケ「」スンスン

ミケ「やはりか……冷え込むはずだ」

ナナバ「何?」

ミケ「雪が降るぞ。遅くとも今夜には。そんな匂いがする」

ナナバ「そうか……ミケが言うならそうなんだろうね」

ミケ「ああ」

ナナバ「……」

ミケ「……」



ヒュオー


ナナバ「」ブルルッ

ミケ「」ブルルッ

ナナバ「窓、閉めようか」

ミケ「そうだな」

雨はにおいすることもあるけど、雪もするのかね
まあミケさんだしね

一区切り毎にコメントかなにかあると嬉しいです

>>35
ご指摘ありがとうございます
今度から書く

【積雪】

クリスタ「雪が積もったよ!」ワーイ

ユミル「おい、あんまりはしゃぐな」

サシャ「転んじゃいますよ」

クリスタ「大丈夫だよ!」ポテテテ

ユミル「走るなって」

サシャ「気持ちは分かりますけどねー」

ユミル「そういやお前はあんまりはしゃいでねぇのな」

サシャ「山育ちですからね」

ユミル「よく分からんが、そんなもんなのか」

クリスタ「雪ー!」ポテテテ

ユミル「だから危ないって……聞こえてねぇか」

サシャ「はしゃいじゃってますねぇ」

ユミル「まあ、クリスタが楽しいならいいけど。癒されるし」ホッコリ

サシャ「そうですねぇ」ホッコリ


クリスタ「きゃー、冷たーい!」ポテテテ

クリスタ「あっ」ズルッ


ユミル「あっ……」

サシャ「あっ……」

クリスタ「」ベチャッ


サシャ「転んじゃいましたね」

ユミル「転んだな」


クリスタ「」ムクッ


サシャ「お」

ユミル「起きた」

クリスタ「」ソロソロ


サシャ「おお……慎重に歩いてますね」

ユミル「走ったら転ぶって分かったからな」


クリスタ「」ソロソロ


サシャ(かわいい)

ユミル(天使か)


終わり


金髪碧眼組を書いた人かな

【やるべきこと】

ミカサ「待って、エレン。どこへ行こうとしているの?」

エレン「夕飯の席を取りに行くんだよ」

ミカサ「駄目」ガシッ

エレン「うわっ、何すんだよ! 襟を引っ張るな! 伸びちゃうだろ!」

ミカサ「あなたはまだ、やるべきことを何やっていない」

エレン「やるべきことだと?」

ミカサ「そう」

ミカサ「食事の前にすべきこと……手洗い」

エレン「……」

ミカサ「さあ、して。アルミンはもう済ませている」

エレン「この時期は水が冷たいんだよな」シブシブ

ミカサ「それでも必要なこと」

エレン「……分かってるよ」ジャー

ミカサ「そう。エレンはいい子」

エレン「子供扱いすんなよ!」ゴシゴシ

ミカサ「それは悪かった。そんなつもりはなかったのだけど」


アルミン(ちょっと厳しい母親と生意気な子供を見ているようだ)


終わり

冬関係ないね
まあいいか

>>44
すみません、別人です

【冬の夜】

アニ(布団に入ったはいいけど)

アニ(寒くて眠れない)プルプル

アニ(もっと着込めばよかった)プルプル


ゴソ…


アニ(ん?)


ゴソゴソ…
ペラ

アニ(……)

アニ(布団を捲られた)


モソモソ
ピトッ


アニ(と思ったら、誰かが入ってきた……)

アニ(くっつかれてるし)

アニ(……こんなことをする奴は一人しかいない)クルッ

アニ「……」

ミカサ「……」

アニ「……やっぱりあんたか」

ミカサ「起きていたの?」

アニ「悪い?」

ミカサ「いいえ」

アニ「それより、何? あんたのベッドはここじゃないよ」

ミカサ「そんなことは分かっている」

アニ「……。私が言いたいのは、何であんたが私のベッドに入ってきのたかってことだ」

ミカサ「寒い、ので」

アニ「……」

ミカサ「誰かと添い寝を、と」

アニ「何で私を選んだ?」

ミカサ「見たところ、アニも寒そうだった。私と添い寝をすれば、あなたも暖かい。違う?」

アニ「……馬鹿なこと言ってないで、出ていってくれない?」

ミカサ「それは無理。布団の外は極寒の地。出たくない」

アニ(その気持ちは分からないでもない)

アニ「けど、ベッドが狭い。余計に眠れないんだけど」

ミカサ「それについては私に考えがある」

アニ「考え?」

ミカサ「そう」


ギュッ


ミカサ「こうして抱きついていれば、問題ない」

アニ「問題だらけじゃないか」

ミカサ「どこが? 並んで眠るよりも幅を取らない。何より暖かい」

アニ「……とりあえず、離して」

ミカサ「無理」

アニ「どうして」

ミカサ「想像以上に暖かい」ギュウ

アニ(確かに暖かいけど)ヌクヌク

ミカサ「ということで、おやすみなさい」

アニ「ちょ」

ミカサ「zzz」

アニ「寝ちゃったよ」

アニ(……けど、まあ)

アニ(本当に暖かくなったし)ギュウ

アニ「今日だけだからね、ミカサ」

アニ「おやすみ」


終わり

おやすみ

【そして翌朝】

サシャ「おお……」

クリスタ「これは……」

ミーナ「素晴らしい」

ユミル「いやいやいや、おかしいだろ」

ユミル「何でこの二人、抱き合って寝てんだよ」


ミカサ「zzz 」ギュウ

アニ「zzz」ギュウ

ユミル「……とりあえず起こすか」

クリスタ「駄目だよ! せっかく仲良く寝てるのに!」

サシャ「そうですよ! 引き離すなんてあんまりです!」

ミーナ「今日はお休みだし、このまま寝かせといてあげようよ」

ユミル「うーん」チラ


ミカサ「zzz」ギュウ

アニ「zzz」ギュウ

ユミル「そうだな。起こすと面倒くさそうだし」

クリスタ「アニが怒りそうだよね」

サシャ「こーんなに仲良さげなのに」

ミーナ「普段もこれくらい仲良くしてればいいのに」


一同「…………」

ユミル「……いや」

クリスタ「それはそれで」

サシャ「ちょっと怖いです」

ミーナ「あ、やっぱり?」


ミカサ「zzz」ギュウ

アニ「zzz」ギュウ


終わり

トロスト区戦で中衛に合流したミカサが最初に話しかけたのはアニだからそこまで険悪な仲でも無いだろ

【花】アルクリ?


アルミン「」ザクザク

クリスタ「あれ、アルミン?」

アルミン「え? ああ、クリスタ。こんにちは」

クリスタ「こんにちは。何をしてるの?」

アルミン「うん、ちょっとね」ザクザク

クリスタ「それは……花の苗?」ジー

アルミン「うん」ザクザク

アルミン「日陰にあるのを見付けたから、陽当たりの良い場所に移そうと思って」ザクザク

クリスタ「そうなんだ……」

クリスタ(……よし!)

クリスタ「私も手伝うよ!」

アルミン「え!?」

クリスタ「あ、もしかして迷惑だったかな……?」シュン

アルミン「いや、全然! いいの? 汚れちゃうよ」

クリスタ「そんなの平気だよ。それに、二人でやった方が早く終わるでしょ?」ニコッ

アルミン(天使……)ジーン

アルミン「ありがとう。じゃあ、お願いするよ」

クリスタ「それじゃあ、何をすればいい?」

アルミン「えっと、ここにある苗をこっちに植えてくれないかな」

クリスタ「うん、分かった!」


ザクザク
ザクザク





アルミン「よし、これで終わり!」ポンポン

アルミン「ありがとう、クリスタ。お陰で早く終わったよ。助かった」

クリスタ「ううん、私も手伝えて楽しかったよ」ニコニコ

アルミン(神様……)ジーン

クリスタ「それより、これは何の花なの?」

アルミン「それが、僕も分からないんだ。だから今から調べに行こうと思って」

クリスタ「調べに」

アルミン「うん。何の花か分かれば、世話もしやすいだろうし」

クリスタ「じゃあ、私も一緒に行く!」

アルミン「クリスタも?」

クリスタ「うん! だって、私達でお世話するんでしょ?」

アルミン(女神様……!)ジーン

アルミン「そうだね! じゃあ、まず手を洗いに行こうか」

クリスタ「うん!」



終わり

>>66
険悪に書いたつもりはありませんでしたが、そう見えるような表現があったのなら、不快にさせてしまって申し訳ありません

キャラ崩壊してる時点でっていう話だけどな。

>>76
そうですね。不快な思いをさせてすみません。
最初に注意書をしておくべきでした。

今更ですがキャラ崩壊と捏造cp注意

【寒空の下】ライアニ?


アニ「寒いんだけど」

ライナー「そうだな」

アニ「ベルトルトは何してるんだ」イライラ

ライナー「さっきも言っただろう、教官に捕まって資料の整理を手伝わされている」

アニ「適当にやって切り上げればいいのに」

ライナー「それが出来るのはお前だけだ」

アニ「……寒い」

ライナー「そうだな」

アニ「こういう時は体を動かしたくなる」

アニ「例えば誰かを蹴り飛ばすとか」チラ

ライナー「」ビクッ

アニ「蹴り飛ばすとか」ジー

ライナー「こっちを見るな」

ライナー「仕方ない」ハァ

ライナー「これでも着てろ」バサッ

アニ「!」

ライナー「少しはましになっただろう」

アニ「……あんたは寒くないの? 私に上着を渡して」

ライナー「鍛え方が違うからな」

ライナー(本当はかなり寒いが、蹴られるよりましだ)

アニ「……ちゃんと洗ってるんだろうね?」

ライナー「あ、当たり前だ! 文句があるなら返してもらうぞ!」

アニ「冗談だよ」

アニ「…………ありがと」ボソ

ライナー「! ……おう!」ニカッ



ベルトルト(資料の整理が終わって慌てて来てみれば)

ベルトルト(何なんだ、あの空気は)

ベルトルト(入りにくい……)


終わり

【寒空の下/2】ベルアニ?

アニ「今度はライナー?」イライラ

ベルトルト「エレン達と話し込んでて……」

アニ「そういう時は蹴ってでも連れてきなよ」

ベルトルト「そ、そうだね、ごめん」ハハハ…

ベルトルト(アニじゃないんだから無理だよ)

アニ「はぁ……寒い」

ベルトルト「だね……」

ベルトルト「」ハッ!

ベルトルト(この状況は……! この前、ライナーがやったいたようにアニに上着を掛けてあげれば!)


ホワンホワン

アニ『……ありがと、ベルトルト』

ホワンホワン


ベルトルト(こうなるはずだ!)

ベルトルト「ア、アニ!」

アニ「ん?」

ベルトルト「えっと、本当に寒いね」

アニ「そうだね」

ベルトルト「だから、えーと……」

ベルトルト(上着を……)

アニ「……」

アニ「……あんた、もしかして」

ベルトルト「」ドキッ

アニ「……はぁ。そういうことなら早く言いなよ」ヌギヌギ

ベルトルト「え?」

ベルトルト(何で脱いでるの!?)

アニ「はい。寒いんでしょ? 袖は通せないけど、肩にでも掛けときな」

ベルトルト「えっ」

アニ「あんたに風邪を引かれちゃ困るからね」

アニ(任務の要だし)

ベルトルト「アニ……」キュン

ベルトルト「あ、ありがとう!」

アニ「別に」プイ


ライナー(話が終わって急いで来てみたらこの状況)

ライナー(それでいいのか、ベルトルト)

あ、終わり

【過保護】

アルミン「」モコモコ

エレン「……」

アルミン「」モコモコ

エレン「……アルミン」

アルミン「ん? 何、エレン」モコモコ

エレン「いや、何かスゲーモコモコしてねぇか?」

アルミン「そうかな」モコモコ

エレン「そうだよ」

アルミン「外は寒いと思って着込んだからかな」モコモコ

エレン「出掛けるのか?」

アルミン「うん、本屋に。欲しい本があるんだ」モコモコ

エレン「そうなのか。確かに外は寒いからな」

アルミン「そうなんだよ。雪もちらついてるみたいだし……」モコモコ

エレン「……」

アルミン「じゃあ、積もらないうちに行ってくるね」モコモコ

エレン「待て、アルミン」

アルミン「え?」モコモコ

エレン「雪が降ってるなんて相当寒いはずだ、これも着ていけ」スッ

アルミン「それは、エレンのコート? でも、もう何枚も着てるから平気だよ」モコモコ

エレン「いや、駄目だ。ちゃんと暖かくして行かねぇと風邪を引いちゃうかもしれないだろ。……ほら、あとこの手袋も」スッ

アルミン「いや、大丈夫だよ。もう充分着込んで……」モコモコ

エレン「いいから」ズイッ

アルミン「ええー」モコモコ



─1時間後─

エレン「……あと、腹巻きもした方がいいな」スッ

アルミン「」モコモコモコモコ

エレン「それから、マフラーで耳を覆っとこう」スッ

アルミン「」モコモコモコモコ

エレン「あとは……」

アルミン「……エレン」

エレン「ん?」

アルミン「君はもう、ミカサの世話焼きに対して文句を言う資格はないよ」モコモコモコモコ

エレン「?」


終わり

【頬】

ミカサ「クリスタ」

クリスタ「え? なに、ミカサ」

ミカサ「……」ジー

クリスタ「?」

ミカサ「……」フニッ

クリスタ「!」ビクッ

ミカサ「クリスタの頬、赤かったので温かいと思ったけれど」フニフニ

ミカサ「冷たい」フニフニ

クリスタ「うん、さっきまで外にいたからかも」

ミカサ「そう」フニフニ

クリスタ「……」

ミカサ「……」フニフニ

クリスタ「……」

ミカサ「……」フニフニ

クリスタ「あの」

ミカサ「なに?」フニフニ

クリスタ「いつまでそうしてるの?」

ミカサ「……」フニ…

ミカサ「お構い無く」フニフニ

クリスタ「構うよ」


終わり

【自己暗示】

コニー「今日は暑いな!」

サシャ「本当に暑いですね!」


ジャン「……?」

ジャン「何言ってんだ、あいつら。今日は真冬日じゃねぇか……。とうとう寒さでおかしくなったか?」

マルコ「何か、寒いって言うと更に寒く感じるから、逆に暑いって言って気を紛らしてるらしいよ」

ジャン「……いかにもバカが考えそうなことだな」

マルコ「そうかなぁ。意外といい考えだと思うけど」

ジャン「そうか?」

マルコ「僕達もちょっとやってみる?」

ジャン「は? 何言ってんだ、やらねぇよ。ほれ、あいつら見てみろ」

マルコ「?」


コニー「暑い……」ガクブル

サシャ「暑いです……」ガクブル


マルコ「……」

ジャン「何を言っても、結局寒いもんは寒いんだよ」

マルコ「うん、そうだね……」


終わり

【ありがちなこと】

アルミン「溜まりに溜まった本を整理しよう」

アルミン「まずはこっちから」ゴソゴソ

アルミン「やっぱりジャンルごとに分けた方が次に読む時に探しやすいよね」ゴソゴソ

アルミン「えーと、これが歴史書、こっちは自然科学」

アルミン「これは……何だったかな」ペラ…

アルミン「ああ、これも歴史書か」パタン

アルミン「こっちのは……あ、これ探してたやつだ。こんなところに埋もれてたなんて、見付からないはずだよ」ペラペラ

アルミン「気になってることがあるんだよね……」ペラ

アルミン「……」ペラ



?1時間後?


アルミン「……ふぅ。気になってたことが分かってスッキリした」パタン

アルミン「けど、何か忘れてるような……?」

アルミン「あっ」

アルミン「そうだ、本の整理をしないと」

(冒頭へ戻る)


終わり

【着替え】

コニー「」モゾモゾ


ライナー「おい、コニーの奴は布団の中で何をしてるんだ」

マルコ「外に出て着替えるのは寒くて嫌だから、布団の中で着替えるんだって」

ライナー「……確かに寒くはないかもしれんが……無理があるだろう」

マルコ「あはは、僕もそう思ったから止めたんだけど」


コニー「」ガバッ


ライナー「お」

マルコ「出てきた」


コニー「マルコ、ライナー! 助けてくれ、ベルトが足に引っ掛かっちまった!」ジタバタ


ライナー「そりゃそうだろう」

マルコ「そうなると思ったよ」


終わり

【誰もが通りそうな道】

アニ(よし、清掃終了。あとは教官に報告するだけ)

アニ(……掃除といえば、お父さんはちゃんとしてるかな)

アニ(いつも私がしてたからなぁ……)

アニ(……と、そんなことを考えてたら教務室だ)


コンコン
ガチャ

アニ「失礼します。お父さ……」

キース「……」

アニ「」

キース「……。レオンハート、清掃は終わったのか?」

アニ「……は、はい」

キース「そうか。下がれ」

アニ「……失礼、します……」



ミーナ「アニ、どうしたの? 部屋に戻ってくるなり布団に潜り込んじゃって」

アニ(恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい)

ミーナ「ねぇ、アニってばー」


終わり

【あくび】

サシャ「ふわぁぁ」

ユミル「でかいあくびだな」

サシャ「さっきの座学のせいでしょうか……眠いです」ムニャ

ユミル「お前寝てたじゃねぇか」

サシャ「ばれてましたか……ふわぁ」

ユミル「またかよ」

サシャ「うう眠い」

ユミル「ったく……。少しはクリスタを見習え。お前みたいにでかい口開けてあくびなんて絶対に」

クリスタ「ふわぁぁ」

ユミル「しな……い?」

サシャ「わあ、クリスタも。大きなあくびですね」

クリスタ「サシャのが伝染しちゃったのかなぁ。……あ、ユミル、何か言った?」

ユミル「……いや、何も」


終わり

>>116
ベルトルトが足に引っ掛かった! に見えた

>>125

【寝相】

コニー「」モゾモゾ


ライナー「コニーの奴は布団の中で何を暴れてるんだ?」

マルコ「さあ、どうしたんだろうね?」


コニー「」ガバッ


ライナー「お」

マルコ「出てきた」


コニー「マルコ、ライナー! 助けてくれ、ベルトルトが足に引っ掛かって離れない!」ジタバタ


マルコ「……」

ライナー「ああ……あいつ寝相悪いからな……」


終わり

鍋やったらサシャが全部食べそう。

>>128

【血に染まる鍋パ─予告編─】

アルミン「鍋パーティー?」

マルコ「うん。最近、寒くなってきただろう? 親睦を深めるって意味も込めて、どうかな」

アルミン「へぇ、楽しそうだね! やろうよ!」

マルコ「うん! そこで、悪いんだけど、アルミンに準備を手伝って貰いたいんだ」

アルミン「それくらいお安いご用さ」



──だけどその時の僕達は知らなかったんだ。

──まさか、あんなことになるなんて。


サシャ「」ゴゴゴゴ

クリスタ「サシャ、サシャ!?」

ユミル「どうしたクリスタ!」

クリスタ「サシャが……さっきから、鍋パーティーが始まってからおかしいの」

ユミル「は? ……おい、サシャ。どうした?」

サシャ「……の、……もの」ゴゴゴゴ

ユミル「あ?」

サシャ「この鍋はすべて私のものです!」ゴゴゴゴ


──目覚める空腹の獣


ジャン「おい! どうなってんだ!?」

ライナー「具材が一瞬で消えたぞ!」

コニー「あ、あいつだ……! サシャだ!!」

ベルトルト「そんな馬鹿な……何十人分の具材を……サシャが一人で食べたっていうのか?」


──壊れた満腹中枢


エレン「アルミン! せめてお前だけでも……肉を!」

アルミン「そんな、そんなこと出来ない! エレンとミカサを差し置いて一人で肉を食べるなんて!」

ミカサ「……アルミン。気持ちは嬉しい、けど、甘いことは言っていられない」

アルミン「な、何を……」

ミカサ「これはもう楽しい鍋パーティーではない」



ミカサ「鍋という名の、戦い」


──試される友情


アルミン「……サシャ。正直、君の食欲がここまでとは思わなかった」

サシャ「……」ゴゴゴゴ

アルミン「けど、もう終わりだ」

サシャ「……」ゴゴゴゴ

アルミン「さぁ、シメにしよう」


──シメは、雑炊




アルミン「サシャ、君は食べ過ぎた」


血に染まる鍋パ
──乞う、ご期待!


※実際に公開予定はありません※

だめだ寝ます

【好奇心】

リヴァイ(机の上にハンジの眼鏡が置いてある)

リヴァイ「……」

リヴァイ「……」キョロキョロ

リヴァイ「……」スッ

リヴァイ(ほう……着けてみたはいいが、ぼやけて周りが見えねぇ)

リヴァイ(しかも頭がくらくらしてきやがった)

リヴァイ(あいつはよくこんなモンを着けてられるな……)


バタバタバタ
ガチャッ

ハンジ「眼鏡眼鏡ーっと。確かこの部屋に置き忘れたような……ん?」

リヴァイ「」

ハンジ「リヴァイ? ……その眼鏡ってもしかして」

リヴァイ「」スッ…コト

リヴァイ「ハンジ。机の上に眼鏡忘れてんぞ」

ハンジ「いやいやいや、何事もなかったかのように振る舞っても遅いよ」


終わり

【日溜まりにて】アルアニ

アニ「」ヌクヌク

アルミン「アニ、何してるの?」

アニ「……見て分からない?」

アルミン「え? うーん……日向ぼっことか?」

アニ「そう」ヌクヌク

アルミン「そうなんだ……」ジー

アニ「……、何?」

アルミン「あ、ごめん。気持ち良さそうだなって思って」

アニ「ふーん」

アルミン「……」ジー

アニ「……言いたいことがあるなら言いなよ」

アルミン「うん。えっと、僕もご一緒していいかな?」

アニ「……」

アルミン「ごめん、嫌だよね」アセアセ

アニ「別に、嫌とは言ってないよ」ススス

アルミン「アニ?」

アニ「あんたもするんじゃないの?」

アルミン「もしかして、スペースを空けてくれたの?」

アニ「こっちの方が日当たりがいいと思っただけだよ」ツン

アルミン(そんなこと言って、そっちの方がちょっと陰になってるじゃないか)フフ

アニ「何?」

アルミン「ううん。じゃあ、隣失礼するね」ストン

アルミン「……わぁ、本当に気持ち良い」ヌクヌク

アニ「そりゃよかった」ヌクヌク

アルミン「あのさ、もし良かったらまた来てもいいかな」

アニ「……」

アルミン「あ、もちろん迷惑なら来ないよ」アセアセ

アニ「来たいなら来れば? そもそも、ここは私だけの場所ってわけじゃないし」

アルミン「……」ジー

アニ「……何なの」

アルミン「アニって優しいね」

アニ「は」

アルミン「じゃあ、お言葉に甘えてまた来るよ」フフ

アニ「……好きにすれば……」

アルミン「うん」

アニ(何か調子狂う……嫌ではないけど)


終わり

【夏と冬】

ジャン「しかし毎日寒いな」

マルコ「本当にね」

ジャン「あー、早く夏にならねぇかな。寒いのより暑い方がましだ」

マルコ「それ、夏にも同じようなこと言ってなかった? 暑さより寒さの方がましだって」

ジャン「ああ……言ったような気がする」

マルコ「気持ちは分かるけどね」

ジャン「だろ?」


終わり

【醍醐味】

クリスタ「サシャ、何を食べてるの?」

サシャ「アイスクリームです」モグモグ

クリスタ「えっ、こんなに寒いのに?」

サシャ「ふふふ、分かってませんね、クリスタ。寒いときに食べるアイスクリームなんて乙じゃありませんか」モグモグ

クリスタ「そ、そうなの? すごく体が冷えそうな気がするけど」

サシャ「はい。この上なく冷えてますよ」モグモグガクブル

クリスタ「駄目じゃない」


終わり

【眠れない夜】

ライナー『アニ、眠れない時は羊を数えるんだ』

アニ『それは絶対に羊じゃないといけない?』

ライナー『いや、絶対にと言われると困るが』

アニ『じゃあ私は私の好きにする。羊に睡眠を左右されるなんてごめんだ』

ライナー『……そうか。お前の好きにしろ』



アニ(と、いう会話を訓練兵になる前にした)

アニ(今夜は中々寝付けないから、早速何かを数えてみるか)

アニ(何を数えよう)

アニ(……ライナーでいいか)

アニ(ライナーが一人)

ライナー1『アニ! 明日も訓練があるから早く寝ろ!』

アニ(ライナーが二人)

ライナー2『アニ! 早く寝ないと背が伸びないぞ!』

アニ(ライナーが三人)

ライナー3『アニ! ちゃんと暖かくしているか?』

アニ(ライナーが四人)

ライナー4『アニ! 寝坊するなよ!』

アニ(ライナーが……)

ライナー5『アニ! 早く寝ろと言っただろう!』

アニ(……)

ライナー6『アニ!』

ライナー7『アニ!』

ライナー8『アニ!』

アニ「うるさいよ!!」


ユミル「お前がうるせぇよ!」


終わり

これは眠れんなw
他の人を数えたらどうなるんだろうか

>>158

【眠れない夜/2】

アニ(……寝れない)

アニ(ライナーを数えるとうるさくて駄目だ、他の人にしよう)

アニ(うるさくない人……)

アニ(……ベルトルトか……)

アニ(ベルトルトが一人)

ベルトルト1『アニ、あのさ……やっぱり何でもない』

アニ(ベルトルトが二人)

ベルトルト2『アニ、その……ごめん、何でもないんだ』

アニ(ベルトルトが三人)

ベルトルト3『アニ、えっと……いや、やっぱりいいや』

アニ(ベルトルトが四人)

ベルトルト4『アニ、えーと……ごめん、気にしないで』

アニ(ベルトルトが……)

ベルトルト5『アニ、あのね……ううん、ごめん、何でもない』

アニ(……)イラッ

ベルトルト6『アニ』

ベルトルト7『あの』

ベルトルト8『ごめん、やっぱり何でもないよ』

アニ「ハッキリしなよ!!」


ユミル「お前はさっさと寝ろよ!」

終わり

【眠れない夜/ハンジ分隊長の場合】

ハンジ(あー、眠れない)ゴロゴロ

ハンジ(こういう時は羊を数えればいいってよく言うけど……)

ハンジ(羊じゃ面白味がない)

ハンジ(ここは自分の好きなものを数えてみることにしよう!)

ハンジ(よし!)

ハンジ(巨人が一匹)

巨人1『』ドスドス

ハンジ(巨人が二匹)

巨人2『』ズンズン

ハンジ(巨人が三匹)

巨人3『』ドカドカ

ハンジ(巨人が四匹……)

巨人『』ノソノソ

ハンジ(巨人が五匹、六匹、七匹! 八匹!)

巨人達『』ズドドド

ハンジ「……やっべー! 興奮してきた! 逆に寝付けない!!」ジタバタ



─隣部屋─

モブリット「うるさいです分隊長!」


終わり

【試験前夜】

─食堂─

アルミン「さて、エレン。ここまでは理解できた?」

エレン「お、おう……」

アルミン「……その返事に少し不安になるけど、時間がないから進むね。次は……」


ミカサ「エレン、アルミン。お茶が入った」


エレン「ミカサ……」

アルミン「ありがとう。じゃあ、ちょっと休憩しようか」

ミカサ「進んでいる?」

アルミン「うん。試験範囲はあと少しで終わるよ」

ミカサ「それは何より。エレン、頑張って」

エレン「おう……」

アルミン「そういえば、ミカサは勉強しなくていいの?」

ミカサ「不安なところは見直したので」

アルミン「さすがだね」

ミカサ「そんなことはない。……けれど、まだ完璧とは言えないので、エレンと一緒に話を聞いてもいい?」

アルミン「もちろんだよ、ね、エレン」

エレン「そりゃ構わねぇけど……余計な口出しすんなよ」

ミカサ「そんなことはしない。恐らく」

エレン「恐らくって何だよ」

アルミン「まあまあ、二人とも。……さて、一息ついたところで再開しようか」

エレン「おう、よろしくな、アルミン」

ミカサ「よろしく」

アルミン「うん。じゃあ、まずは……」


─数時間後─

アルミン「……とりあえず、こんなところかな」

ミカサ「とても分かりやすかった。ありがとう、アルミン」

アルミン「どういたしまして。エレンはどう……」

エレン「」グッタリ

アルミン「……だいぶ疲れたみたいだね」

ミカサ「大丈夫? エレン」

エレン「……おう……」グッタリ


終わり

【試験前夜/2】

サシャ「」ゴソゴソ

クリスタ「何してるの?」

サシャ「掃除です」ゴソゴソ

ユミル「……お前な」

サシャ「言いたいことは分かります」ゴソゴソ

サシャ「けれど不思議なもので、こういう時ほど捗るものなんですよね」ゴソゴソ

クリスタ「サシャ」

サシャ「はい、何ですか?」ゴソゴソ

クリスタ「勉強はしないの?」

サシャ「」ゴソゴソ

クリスタ「サシャ?」

ユミル「ほっとけクリスタ。あいつは今、現実逃避中だ。こっちに連れ戻すのは不可能に近い」

クリスタ「そんな」

サシャ「」ゴソゴソ


終わり

【試験前夜/3】

アニ(寝よ)モゾモゾ

ミーナ「あれ、アニもう寝ちゃうの? 勉強は?」

アニ「そんなの普段からしっかりしてれば必要ない」

ミーナ「ぐうの音も出ない正論」

アニ「焦って勉強するよりも、しっかり寝て万全の体調で臨む方が大切じゃないの?」

ミーナ「おっしゃる通りです」

アニ「おやすみ」

ミーナ「おやすみなさい」

アニ「zzz」

ミーナ「」

ミーナ「私も寝ようかな……」


終わり

【事件です】

──それは、雪が降り積もる休日の出来事でした。

私たち訓練兵は、教官から寮での待機を言い渡され、皆はそれぞれの暇潰し方法を模索していました。

ある人は読書をしたり。

ある人は眠ったり。

私はというと、友人のユミルと他愛ない雑談をしていました。

さて、彼女と話している最中、ふとあることを思い出した私は、「そうだ」と声を上げました。

クリスタ「そういえば、この前街に行ったとき、焼き菓子を買ったの。ユミル、一緒に食べない?」

ユミル「焼き菓子! といえば、随分高価なモンだろ。いいのか、一人で食わなくて」

クリスタ「うん。一人よりも二人で食べたら方が美味しいでしょう?」

ユミル「クリスタ、お前はやっぱり女神だ。お言葉に甘えて貰うよ」

クリスタ「女神だなんて大袈裟な……」

ユミルの言葉に苦笑しつつ、私は焼き菓子を保存しておいた小箱に手を伸ばしました。

そこで、ふと、違和感を覚えたのです。

私は、いつも小箱の側面の絵柄が見えるように置いています。
けれど、今は。絵柄が見えないように置かれていたのです。

違和感に首を傾げたものの、そういうこともあるか、と納得し、私は蓋を開けました。

そこには、焼き菓子が入っている……はずでした。

クリスタ「あ、あれ?」

だけど、小箱の中は空っぽです。
入れておいた焼き菓子の、一欠片さえ入っていないのです。

ユミル「どうした?」

私の様子がおかしいことに気付いたのでしょう、ユミルが声を掛けてきました。

クリスタ「それが、焼き菓子が無くなってるの……今朝には入っているのを確認したはずなんだけど」

ユミル「なんだって!」

ユミルが大きな声を上げます。

ユミル「盗まれたってことか!」

盗まれた。
そう考えるのが自然なのでしょう。

けれど、私はそう思いたくありませんでした。

小箱は、この部屋から持ち出しません。
ということは、ユミルの言う通り盗まれたとすると……犯人は、必然的にこの部屋の誰か、ということになるのですから。

私は、大切な仲間を疑うような真似はしたくないのです。

クリスタ「べ、別のところに入れ換えたのかも」

ユミル「けど、お前は今朝、箱の中に焼き菓子が入っているのを確認したんだろ? それから触ったのか?」

クリスタ「そ、それは……」

ユミル「触ってねぇんだろ?」

……はい、触っていません。

ユミル「お前が疑いたくねぇ気持ちは分からんでもないが……」

クリスタ「……」

ユミル「実際、盗まれちまったんだ。そしてこの部屋には朝から今まで私たち部屋の住人しか出入りしていない」

クリスタ「でも、でも」

ユミル「でも、じゃねぇ。本当は分かってるんだろ? 犯人は、この部屋の中の誰かだってこと」

ユミルの言う通りです。

本当は、私も分かっているのです。信じたくないだけで。

この部屋に、私の焼き菓子を盗んだ人がいるということを。

ユミル「じゃあ、手っ取り早く聞いてみるか。──おい!」

ユミルが大声を上げると、部屋にいた人たちが一斉に振り向きました。

ユミル「クリスタの焼き菓子が今日、誰かに盗まれた! 知ってる奴はいねぇか!?」

けれど、その問い掛けに皆は首を傾げるばかりです。

ミカサ「……私は、待機の指示が出てからずっとここで本を読んでいた。ので、知らない」

ミーナ「私も! ミカサの隣で本を読んでたよ!」

確かに、ミカサとミーナは並んで本を読んでいました。
珍しい組み合わせだと思って少しの間見てしまっていたので、間違いありません。

アニ「……私は寝てた」

あくびを噛み殺しながら、アニが言います。

アニが眠っていたのも間違いありません。
私は、寝息を立てる彼女を見ながら、アニももっと皆とお喋りをしたら楽しいのに、と思ったのですから。


ハンナ「私はフランツに贈るマフラーを編んでいたわ」

そう言って、ハンナは青い毛糸で編まれたマフラーを見せてくれました。

これも間違いありません。
恋人に手編みのマフラーを贈るなんて素敵ね、と、ユミルと話したのを覚えています。(ただし、ユミルはどうでもよさげでしたが)

サシャ「私はその辺をゴロゴロしてました」モグモグ

サシャが、何かを咀嚼しながら言います。

彼女の言葉も正しいでしょう。
ゴロゴロと、何度か私の元にもやって来ていました。

妙に私の方にばかり来ていたので、よく覚えています。


ユミル「……チッ。どいつもこいつも、アリバイだらけか」

ユミルが降参、と言うように、軽く両手を挙げました。

私も、降参です。
皆、完璧なアリバイがあるのですから。

──犯人は、一体誰なのでしょうか?

謎は深まるばかりです……。


終わり

!アルミンヒント!


アルミン「君は犯人が分かったかな?

分からない人は、皆の証言とクリスタの目撃情報をもう一度じっくり読んでみてね!」

全員アリバイがあるなら外部の犯行なんじゃないか?

もうライナーでいいよ

いや、待てよ・・・まさかユミルか?

>>189
>>190

【事件です/2】

ミカサ「あの」

完全にお手上げ状態で沈黙していた私たちでしたが、その空気を破ったのはミカサでした。

皆の視線が一斉に彼女へと集まります。

ミカサ「ここにいる皆にはアリバイがある。ということは、外部犯の可能性はないだろうか」

その言葉を聞いたとき、私は有り得ないと思いました。
きっと、他の皆も同じでしょう。

私たち訓練兵は寮で待機をするように言い渡されています。

外にはきっと、訓練兵が抜け出さないように教官方が見張っているはずです。
教官に見付からないようにここまで移動するのは、至難の業でしょう。

そして、何より……。

ユミル「この部屋には、待機の指示が出てから誰も入ってきてねぇぞ」

そう、ユミルの言う通りです。

この部屋には、ここにいる私たち以外、誰も入ってきていないのです。

仮に入ってきていたとしても、来訪者に私たちが気付かないはずがありません。

ミカサ「確かにその通り。けれど、本当に言い切れる? この部屋に私たちしか出入りしていないと……」

言い切れる、と言いたいところですが、ミカサの表情があまりにも真剣なので、私は不安になりました。
もしかしたら、私たちが気付いていなかっただけで、誰かが入ってきていたのでは? と。

それは他の皆も同じだったようです。
不安そうな表情をしながら、ミーナがミカサに聞きます。

ミーナ「じゃあ、仮にミカサの言葉が正しかったとして……犯人は誰だと思うの?」

ミカサ「……実は、一人だけ思い付いた人がいる」

思わず「えっ」と声を上げてしまったのは、仕方ないことでしょう。

クリスタ「それは誰なの?」

ミカサ「まだ、思い付いただけ。その人が犯人とは限らない」

ユミル「それでもいいから言えよ!」

私とユミルの言葉に、ミカサはコクンと頷き、口を開きました。


ミカサ「ライナー」


クリスタ「えっ」

ユミル「えっ」

アニ「えっ」

クリスタ「ライナーって、あの?」

ミカサ「他にどのライナーがいるの?」

ユミル「いや、いや待て。ライナーだと? 女子なら……まぁ納得できるが、ライナーってお前。気付くだろ、あんなデカイ男が入ってきたら」

ミカサ「……では、女装をしていたとしたら?」

ライナーが、女装をしていた?

私は、頭に思い浮かべました。
女装をしたライナーの姿を。

頭には、金髪に映える真っ赤なリボン。
目には、空よりも深いブルーのアイシャドウ。
唇は、リボンに負けず劣らない真っ赤な口紅。
頬は、林檎のように可愛らしく赤いチーク。
服装は、ボディーラインを強調するピチッとしたシャツに、女の子の憧れ、レースをふんだんにあしらったミニスカート。

その姿は、どこからどう見ても……。

ユミル「いやいやいやいや」

ミーナ「ないないないない」

アニ「ただの変態じゃない」

ハンナ「そんな人が入ってきたら絶対に気付くし、絶叫ものよ!」

ミカサ「ええ、自分で言っておいて、それはないと思った」

クリスタ「じゃあ、ライナーが犯人というのは」

ミカサ「ない。外部犯もない。私たちが気付かないはずがない」

先程と言っていることが違いますが、そう考えるのが自然なことです。

外部犯及びライナー犯人説は、ここで消失となりました。


サシャ「そういえば、何でライナーなんですか?」

ミカサ「特に理由はない」


続く?

では、もう一度お菓子をセットして、状況を事件前と同様にしてから考えると言うのはどうだろうか
犯人が何かアクションを起こすかもしれない!

なら女子寮に入っても怪しまれなさそうなアルミンしかいないじゃないか!!

>>206

【事件です/2.5】

ミーナ「あ、でも! まだ外部犯の可能性は捨てきれないよ!」

突然、ミーナがそんなことを言い出したので、私たちは目を丸くしました。

ミカサ「どういうこと?」

ミーナ「ライナーの女装は……その、あれだけど。もっと女装が似合う人ならどうかな?」

女装が似合う人、なんて、いるのでしょうか。

私たちは、日々過酷な訓練をしています。
従って男子の訓練兵は、ライナー……とまではいきませんが、それなりにガッシリした体型をしている人が大半なのです。

そんな彼らの中に女装が似合う人が?
私には、まったく思い付きません。

けれど、他の皆は違ったようです。

アニ「なるほど」

ハンナ「確かに」

クリスタ「え? え?」

ユミル「クリスタ、分からねぇか? いるだろ、一人。金髪で」

ミーナ「碧眼で」

ハンナ「小柄な」

ミカサ「私の幼馴染みが」

クリスタ「……ああ!」

金髪碧眼、小柄でミカサの幼馴染み。
そこまで言われて、私はやっと分かりました。

クリスタ「アルミン!?」

彼の名前を口にしたら、皆が頷いてみせました。

アルミン……。

確かに、彼が女装をしても違和感はないかもしれません。

私は思い浮かべます。
アルミンの女装姿を。

アルミンにはお化粧での誤魔化しは不要でしょう。
敢えてしたとしても、薄化粧で充分ではないでしょうか。

アイシャドウにはピンクブラウンを、口紅とチークには桜色を淡く乗せます。

そして服装です。
何でも似合うとは思いますが、ここは冬らしく白いセーターにしましょう。
ここでのポイントは、袖は長めにするということ。
指がちょっと出るくらいの長さがいいでしょう。

スカートには、王道の赤いチェックのプリーツスカートをチョイス。
長すぎても短すぎてもいけません。

お好みでニーソを履かせるのもいいかもしれませんね。

どうでしょう、女装したアルミンは。

とても、とても……。

ミーナ「かわいい」

サシャ「かわいい」

アニ「確かに」

その通り、可愛いのです。

女装したアルミンなら、女子寮にいても不自然ではありません。

これはもしかして、犯人は……。
私がそこまで考えた時でした。

ミカサ「しかし待ってほしい」

ミカサが言いました。

ミカサ「確かに女装アルミンは、可愛い。すごく可愛い。けど、アルミンは待機の指示が出たら、ここぞとばかりに本に夢中になるはず」

ユミル「そう言われりゃそうか。何より、あいつが教官に気付かれないようにここまで来れるはずがねぇし」

アニ「……そもそも女装して女子寮に忍び込むなんて考えるような奴ではないね」

そう言われると、その通りです。

女装して女子寮に……なんて、変態です。

私たちはなんて失礼なことを考えていたのでしょう。
アルミンにも、ライナーにも。

ミーナ「じゃあ、やっぱり外部犯は有り得ないかぁ」

ミーナの言葉に、皆が頷きました。

やっぱり、外部犯の可能性はありません。


クリスタ「でも、アルミンの女装はちょっと見たいかも」

ミカサ「分かる」

ミーナ「分かる」


続く?

影の薄いやつなら誰にも気付かれないで侵入できるんでは?

女装ミンにして本当に違和感がないか確かめるべき事例(タイツ押し)

偶然とか何かのひょうしにサシャの後頭部を殴ってみれば口から何かしら出るかもな
甘くてサクサク美味しいやつが…

>>214
サシャにはアリバイがあるじゃないか!いい加減にしろ!

>>212
窓の隙間から入ってきて換気扇の穴から逃げていきそうだよな

>>196-198
>>212
>>215


【事件です/3】

ユミル「いや、ちょっと待て」

次に声を上げたのは、ユミルでした。

ユミル「女装についてばかり考えてたが、違うかもしれない」

クリスタ「どういうこと?」

ユミル「女装なんかしなくても、誰にも気付かれずにここに入れる奴もいるんじゃねぇかってことだ」

ユミルが何を言いたいのか、私には理解できません。

女装をせずに、この部屋に入る?
そんなの、無理に決まっています。
男子が入ってこようものなら大騒ぎになるはずです。

……といっても、アルミン以外の男子が女装をしたところで違和感しかないのですが。

ユミル「物凄く影の薄い奴なら、気付かれないかもしれねぇ」

クリスタ「影の、薄い……?」

そんな人、いたでしょうか。
訓練兵の皆は、それなりに存在感があると思うのですが。

と、私がそんなことを考えていると、ハンナが「あっ」と声を上げました。

ハンナ「もしかして、ベルトルト?」

ユミル「ご名答」

ベルトルト、といえば、成績が良くて背の高い男の子です。

言われてみれば、いつもライナーの後ろに隠れてしまっていて、あまり目立たないかもしれません。

ユミル「奴なら、もしかしたら。例えば窓の隙間から入り込んできて、出るときは換気扇からなら……」

と、ユミルが無茶苦茶なことを言いかけた時でした。

アニ「ベルトルトはないんじゃない」

アニが、否定したのです。

まさかの人物から否定されたことに、少し面食らった様子を見せたユミルでしたが、すぐにいつものようにニヤリと笑ってみせました。

ユミル「ほう。何でそう言える?」

アニ「……私は、あいつを影が薄いなんて思ったことがないから」

ユミル「それはまた! 何か特別な理由でもあるのか?」

アニ「悪いけど、あんたが期待してるようなことはないよ。立体機動訓練で組むことが多いからってだけ」

確かに、アニとベルトルトは立体機動訓練で素晴らしい連携を披露しています。

そういうことなら、アニがベルトルトを“影が薄くない”と感じるのも納得できます。

ユミル「チッ。いい線いってると思ったんだがなぁ」

ユミルがぼやきます。
そんな彼女に突っ掛かっていったのは、驚くことにまたしてもアニでした。

アニ「さっきから他人を疑ってばかりだけど、本当はあんたが犯人なんじゃないの?」

ユミル「……は?」

アニ「あんた、いつもクリスタを困らせてるじゃないか。だから今回も」

ユミル「おいおい、何を馬鹿なこと言ってんだ? 私はずっとクリスタと話してた。盗もうとしてもクリスタに気付かれるだろ」

アニ「……じゃあ、クリスタも共犯だとしたら?」

クリスタ「ええっ!?」

まさかここで私に疑いが掛かるとは思わず、私は驚きのあまり上擦った声を上げてしまいました。

ユミル「おい、おいおいおい、アニさんよ。ってことは何だ、私とクリスタが自分で食っておきながら、騒いでるって言いたいのか?」

アニ「そういう可能性も捨てきれないんじゃないの。私たちをからかってるだけ、とかね」

ユミル「馬鹿なこと言うな。私はともかく、クリスタがそういうことが嫌いなのは知ってるだろ」

アニ「じゃあ、やっぱりあんた一人がやったんじゃないの」

アニが疑いの目をユミルに向けます。

私は、思わず二人の間に割って入りました。
ユミルが疑われるのは、堪えられなかったのです。

私はユミルが犯人でないことを知っています。
もちろん、私だって犯人ではありません。

クリスタ「ユミルも私も、犯人じゃないよ!」

アニ「……へぇ。そう言い切れる証拠は?」

クリスタ「しょ、証拠……」

証拠、と言われても困ります。
だって、お互いの証人はお互いだけなのですから。

思わず黙ってしまった私ですが、思わぬところから助け船が出されました。

ハンナ「アニ、二人は犯人ではないわ」

クリスタ「ハンナ……」

ハンナ「私、編み物をしながらずっと二人の会話を聞いていたの。その中で何かを食べている様子はなかったわ」

会話を聞かれていた、というのが少し恥ずかしいですが、こうして証人になってくれるのはとても助かります。

アニ「……そ。疑って悪かったね」

アニはそれ以上何も言わず、引き下がってくれました。

けれど、ユミルはそれをよしとしませんでした。

ユミル「待てよ。随分と突っ掛かってきたが、もしかしてお前が犯人なんじゃねぇのか」

アニ「……何? 私を疑うっていうの?」

ユミル「じゃあ、何であんなに突っ掛かってきた? 普段は口数の少ないお前が」

そう言われると、先程のアニは普段よりも随分とお喋りでした。

不自然なくらいに。

アニ「……別に。ただ、他人を疑ってばっかりのあんたに少し腹が立っただけだよ」

ユミル「いつもは何かあっても我関せずじゃねぇか」

アニ「今日はそういう気分だった、それだけの話さ」

二人が睨み合います。
鋭い目付きに怖くなって、私はさっき助けてくれたハンナの方へ避難しました。

アニ「そもそも、私は寝ていた。それをあんたも知ってるはずだけど」

ユミル「寝たふりをしてたかもしれねぇだろ。そんで、寝返りをうつふりをしてクリスタのところまで近付いていけば……」

アニ「は? ……じゃあ、クリスタに聞くけど。私、あんたのところまで寝返りをうっていってた?」

突然、話題を振られたことに驚きながら、私は頭を振りました。

アニは、近付いてきていません。

近付いてきていたのは、あの子だけです。

そう、あの子だけ……。

……あれ? 何でしょうか、この感じ。
何か重大なことを見落としているような、違和感が……。


アニ「ほらね、私は白だ」

ユミル「チッ。疑って悪かったな」


アニとユミルが和解をしているようですが、私は今、それどころではありません。

──寝返り。近付いてくる。ゴロゴロと……。


クリスタ「……!!」


ああ、何ということでしょう。

私は気付きました。
違和感の正体、そして……犯人が誰なのかということを。

とりあえずここまで
読んでくださっている方、ありがとうございます

今更ですが勝手に皆さんのレスを拾ってしまってすみません

これ以降は解決編になるので、レスは拾えません

>>205
>>214


【事件です/解決編】

犯人は分かりましたが、この場で言ってしまうのははばかりがあります。

仮に違ったら、その人の名誉を深く傷付けてしまうし、何より証拠が不十分です。

もっと確実に、その人が犯人であるということが分かるまでは、何も言うべきではないでしょう。

けれど、どうしたら確実性が増すのでしょうか。

と、少しばかり考えた時です。
私は、あることを思い出しました。

クリスタ「そういえば、焼き菓子は鞄の中にも入れてたんだった」

そう、小箱に入りきらなかったので、鞄の中に焼き菓子を入れっぱなしにしていたのです。

私は鞄から焼き菓子を取り出しました。

クリスタ「皆、お騒がせしてごめんね。結局、犯人は分からないままだけど……焼き菓子はまだあるし、これで終わりにしよう」

ユミル「……まあ、クリスタがそれでいいなら」

渋々、といった様子でしたが、皆は納得してくれました。

クリスタ「何だか、お菓子を食べるって気分じゃなくなっちゃった。また小箱に入れておいて、後で食べよう」

随分と説明的な台詞になってしまいましたが、他の皆は既にこちらには興味を無くしたようで気にする人はいませんでした。

私は、焼き菓子を小箱に入れ、元の位置に置きます。

──さあ、これで事件前と同じ状況になりました。
あとは、犯人がどう動くか、です。

私はユミルと雑談を再開しながらも、意識は小箱の方へ向けていました。

騒ぎがあった為か、犯人は中々動こうとしませんでした。
けれど、私は待ちます。必ず動くと信じて。

なぜなら、私は知っているのです。
犯人の、食にかける情熱を。


──さて、小箱を置いてから十数分。

ついに犯人が動きました。


ゴロゴロ、ゴロゴロ。
だらけるふりをしながら、犯人がこちらへ転がってきます。

私の注意が向いていないのを確認するためでしょうか。
まだ、手は伸ばしません。

そうやって転がること数回。
小箱へと、手が伸ばされたのです。

けれど、まだ何も言いません。
手を伸ばしただけだと、偶然と言い張られてしまえばそれまでなのですから。

小箱の蓋が開けられました。
まだ、何も言いません。

焼き菓子に手が伸ばされました。
まだまだ、何も言いません。

焼き菓子が、口に運ばれました。
……今です!


クリスタ「やっぱりあなたが犯人だったんだね……サシャ」


サシャ「……!?」モグモグ

犯人……いえ、サシャが驚きの表情を浮かべ、私を見つめてきます。

最初に証言をした時と同じように、何かを咀嚼しながら。

そう、違和感の正体はこれでした。
あの時、ゴロゴロしていただけだと言ったサシャが、何かを咀嚼していたこと、です。

クリスタ「ごめんね、卑怯だと思ったけど、罠を仕掛けさせてもらったの」

サシャ「クリ、スタ……」モグモグ

クリスタ「こうすれば、あなたはまた手を伸ばすだろうって思って」

サシャ「……」モグモグ

サシャは、咀嚼したままうつ向いてしまいました。

私は、サシャが何かを言ってくれるのを待つつもりでした。
けれど、他の人……ユミルがそれを許しません。

ユミル「お前だったのかよ!」

ユミルは、バシッとサシャの後頭部を叩きました。
その拍子に、サシャの口から焼き菓子の欠片がこぼれ落ちます。

どう見ても、私の焼き菓子でした。
もう言い逃れは出来ません。

サシャ「お腹、が……」

クリスタ「うん」

サシャ「空いて、いて」

クリスタ「……うん」

サシャ「……ッ、ご、ごめんなさいぃぃ!!! クリスタの大切な焼き菓子をぉぉぉ!!!」

サシャはその場に顔を伏せてしまいました。

表情は分かりませんが、その態度や声色から、とても反省し、悔いていることが窺えます。

私は、サシャの頭にそっと手を乗せ、撫でました。

クリスタ「気付いてあげられなくてごめんね。部屋で何もせずに待機、なんて、お腹も空いちゃうよね」

ユミル「普通は何もしないと減らないもんなんだけどな」

クリスタ「それは一般論。サシャは違うんだよ」

サシャが顔を上げます。

サシャ「本当に、すみませんでした……!」

クリスタ「うん。もういいよ。ちゃんと謝って、反省してくれただけで。でも、次からは誰かのものを盗んじゃダメだよ」

サシャ「はい、肝に命じます!」

その返事を聞き、私は満足しました。

サシャはこの一件に懲りて、もう盗みなんてしないことでしょう。

……多分。


何はともあれ、この事件は無事に解決し、幕を下ろしたのです。


終わり

レスをしてくださった皆さん、ありがとうございました

女装ミンについては後々

【女装ミン】

ミカサ「……と、いう事件があった」

アルミン「へぇ、大変だったね。けど、無事に解決できて良かったじゃないか」

ミカサ「ええ。名探偵クリスタのお陰」

アルミン「そっか。……ところでさ、ミカサ」チラッ

ミカサ「何?」

アルミン「その手に持ってる物は何かな。あと、君の後ろで僕をすごく見てくるクリスタとミーナは何なのかな」

ミカサ「これはアルミンに着てもらおうと思って準備した服。後ろの二人は……」

クリスタ「その服を着てるところを」ニコニコ

ミーナ「この目に焼き付けたくて」ニコニコ

アルミン「わけがわからないよ」

アルミン「僕のために服を準備してくれたのは、まあ、ありがとう。でも」

ミカサ「?」

アルミン「その服さ、どう見ても女物だよね?」

クリスタ「え?」

ミーナ「問題ある?」

アルミン「!? 問題だらけだよ!!」

ミカサ「えっ」

クリスタ「えっ」

ミーナ「えっ」

アルミン「何だよ、その信じられないことを言われた! って顔! こっちが信じられないよ!!」

ミカサ「そう言わず、一度でいいから着てみてほしい」

ミーナ「そうそう、着れば分かるよ」

アルミン「何がだよ!」

クリスタ「いいからいいから」

アルミン「よくないよ!!!」

ミカサ「……アルミン。そんなに、着たくない?」

アルミン「当たり前じゃないか、僕は男なんだぞ!」プンスカ

ミカサ「では、例えばこのセーターが私のもので」

クリスタ「このスカートが私のもので」

ミーナ「このお化粧道具が私のものだったとしても……?」

アルミン「え……」トクン…

アルミン(女の子たちが、僕のために服や化粧道具を持ち寄って……?)

アルミン「……はっ! いけない、騙されるところだった」

ミカサ「チッ」

クリスタ「さすがアルミン」

ミーナ「一筋縄ではいかないね」

ミカサ「こうなったら仕方ない。この手は使いたくなかったけれど……」ユラリ

アルミン「ミ、ミカサ?」

クリスタ「ごめんね」ユラリ

ミーナ「じっとしててね」ユラリ

アルミン「クリスタ……ミーナ……?」

ミカサ「覚悟」ガバッ

アルミン「や……!」


ヤメテェェェ



女装ミン「」シクシク

ミカサ「こ、これは……」ゴクリ

クリスタ「……私たちは大変なものを生み出してしまったかもしれない」ゴクリ

ミーナ「まさかこんなに似合うなんて」ゴクリ

女装ミン「うう、酷い目にあった」シクシク

ミカサ「……泣かないで、アルミン。酷いことをしてごめんなさい」

女装ミン「ミカサ……」

ミカサ「とても似合っている。どうか自信を持って」グッ

女装ミン「嬉しくないよ!」

クリスタ「けど、本当に似合ってる」

ミーナ「想像よりもすごく可愛い!」

女装ミン「二人まで……」ズーン

──今のアルミンは、誰がどう見ても美少女と言うであろう装いだった。

唇と頬は淡い桜色に染まり、瞼に乗せられたピンクブラウンのアイシャドウは彼の碧眼を際立たせている。

服装は、冬らしい白いセーター。
アルミンよりも身長が高いミカサの私物ということで、サイズは大きめだ。
袖口からは、指が少し覗いていて、それがまた愛らしさを感じさせる。

赤いチェックのプリーツスカートは、膝上5センチといったところだろうか。
短すぎず、長すぎない、大きめなセーターと相まって、絶妙な長さになっている。

そして脚には、黒のタイツが履かされていた。
透けて見える肌が、妙に色っぽい。


今の、アルミンは。
想像していたよりもずっと可愛らしく、そしてどこか色気が漂っていた。

女装ミン「もう満足したでしょ? 脱いでもいい?」

ミカサ「駄目、まだ駄目、絶対駄目」

クリスタ「もう少し堪能させて」

ミーナ「もうずっとその格好でいればいいのに」

女装ミン「誰か助けて」シクシク


終わり


タイツは>>213より

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