京子「なんで結衣は私と仲良くしてくれるの?」(107)


結衣「京子は1年の頃吹奏楽部に入ってたよね」

あかり「初耳ザマス」

結衣「一ヵ月でやめたけどな」

結衣「こいつ音楽の成績1なんだよ」

京子「あいつとは…あいつとは分かりあえない!」

ちなつ「向いてなかったんですね…」

・・・

あかり「意外だなぁ」

京子「なにが?」

あかり「京子ちゃんって何でも器用にこなすし、歌も上手なのに」

京子「私にだって出来ないことくらいあるよ」

あかり「そっかぁ」

京子(叶わないことだってあるよ)

あかり「でもそのおかげで娯楽部ができたんだよね」

京子「そう、なるかな?」

あかり「あかり、今楽しいよ」

あかり「娯楽部を作ってくれてありがとう、京子ちゃん」

京子「楽しいに決まってるだろー」

京子「この京子ちゃんが作りあげたんだから」

あかり「あはは、そうだね」

京子「うん」

京子(娯楽部、か……)


  ・・
 ・・・・
・・・・・・


結衣「部活決めたの?」

京子「うん」

京子「吹奏楽部」

結衣「音楽苦手なのに大丈夫か?」

京子「結衣が一緒だもん」

京子「大丈夫だよ」

結衣「え?」

京子「ん?」

結衣「私も……吹奏楽部に?」

京子「違うの?」

京子(いつも一緒にいたから)

京子(結衣が一緒にいることが当たり前だったから)

京子(守ってくれるって言われた時から)

京子(私があまり泣かなくなっても)

京子(ずっと近くで見守ってくれていたから)

結衣「んー…部活はまだ考え中」

京子「一緒じゃないの?」

結衣「もう中学生だしさ」

結衣「京子ももう泣き虫じゃないし」

結衣「私がいなくたって大丈夫だろ?」

京子「え……?」

結衣「音楽の成績良くなるといいな」スタ

京子(結衣が一緒にいてくれることが当たり前だと思ってた)

京子(だからそれは私にとって歴史的で)

京子(理解できなかった)


・・・

いいぜ

京子(だけど、私ももう変わったから)

京子(泣き虫じゃないから)


結衣「結局部活入らなかったな」

京子「もったいないなー結衣は」

京子「陸上とかバスケとか合うと思うんだけどな」

結衣「うーん……体育会系ってなんか苦手」

京子「結衣なら大活躍だと思うのに」

結衣「買いかぶりだよ」

結衣「ほら、そろそろ部活行かないとだろ?」

京子「ほんとだ!結衣、また明日ね」


京子(たとえ結衣がいなくても)

京子(もう一人でも大丈夫)

・・・

ふむ

結衣「おはよう、京子」

京子「おはよ」

結衣「どうだった?部活は?」

京子「みんないい人ばっかりだからなんとかやっていけそう」

結衣「そうか」

京子「まぁまだ楽譜読めないんだけどね」

結衣「それは致命的だよな」

京子「なんでなんだろうなぁ」


結衣「なんでも卒なくこなすのに不思議だよな」

京子「天才だから大丈夫なはずなんだけど」

結衣「はいはい」

結衣「まぁ頑張れよ」

京子「言われるまでもないよ」


京子(ほら大丈夫)

京子(私、結衣がいなくてもやっていけるよ)


・・・

京子(吹奏楽部の仲間と仲良くなって)

京子(先輩ともうまくやっていけて)

京子(楽器の音だって出せるようになった)

京子(うん、何も問題なし)

京子(順調そのものなのに……なんでかな?)

京子(何か物足りない)


京子「そういえば結衣は放課後何して過ごしてるの?」

結衣「んー」

結衣「あかりと遊んだり、他の友達と遊んだり、家の手伝いしたり」

京子「そうなんだ」

結衣「吹奏楽部はどうなの?」

京子「音出せるようになったんだ」

京子「まだ楽譜が読めるまでにはなってないけどさ」

結衣「楽しそうで何より」

京子「そんなこと言って…私がいなくて寂しかったりするんだろ?」

結衣「うーん……多少寂しいけど、なんか安心した」

結衣「京子は一人立ちしたなぁって」

結衣「私がいなくても本当に大丈夫だなってさ」

京子「……そうなんだ」


「結衣ちゃん、ちょっといいかな?」

結衣「あ、うん」

「とっしのん、今日の部活なんだけどさ」

京子「んーなに?」

支援


京子(仮入部期間も終わって、本格的に部活動が始まった)

京子(朝練が始まった)

京子(土曜、たまに日曜も部活があるようになった)


京子(自然と私と結衣が一緒にいる時間は減っていった)


・・・

支援

京子(うわ…雨だ)

京子「ごめん、傘教室だから」

「今日用事あるから先帰るね、ごめん、としのん」バイバイ

京子「いいって、また明日ね」タタッ

京子「あれ…教室に明かりついてる」

京子「……」ヒョイッ

結衣「……」

京子(結衣だ……)

京子(なぜか分からないけどすぐに声をかけられなかった)

結衣「……」パラリ

支援

京子(何読んでるんだろう?)

京子(結衣は自分の席で黙々と本を読んでいて)

京子(私は教室の入り口に立ってそれを見ていた)

京子(結衣の顔見るの久しぶりな気がする)

京子(最近は朝も帰りも別で)

京子(あまり話すこともなかったから)

京子(綺麗な横顔だな)

京子(……なんで結衣は私に気付かないんだよ)

結衣「……」パラリ

京子「……」

結衣「……」パラリ

京子「ゆ……結衣!」

結衣「ん?あ、京子」

京子「何してんの、こんな時間まで」

結衣「傘忘れたから、雨やむのまってた」

結衣「まだやんでないみたいだけど」

京子「…一緒に帰る?」

結衣「京子、傘持ってるの?珍しいな」

京子(珍しいのは傘を忘れた結衣の方だよ)

結衣「じゃあ、お言葉に甘えて」

京子「うん」


・・・

おいおいなんか嫌な予感が…

結衣「こうやって二人で帰るのは久しぶりだなー」

京子「そうだね」

京子(なんでだろう……緊張する)

結衣「……」

京子「……」

京子(どうしてだろう)

京子(会話が続かない)

京子「……珍しいよね、結衣が傘を忘れるなんて」

結衣「一昨日雨が降った時に友達に1本貸して、置き傘で帰ったの忘れててさ」

結衣「置き傘があるものだと思ってたら…」

京子「そうなんだ」

結衣「……」

京子「……」

支援

京子(うぁ、また会話が終わっちゃった)

京子(こんなに結衣との会話って続かないものだったっけ?)

京子(いつも何の話をしてたっけ?)

京子(わかんない)

結衣「ここでいいよ」

京子「え?」

結衣「もうあとちょいだから」

京子「あ、お、送るよ」

京子(結衣との会話ってこんなに息苦しかったかな)

結衣「いいの?」

京子「いいに決まってるじゃん」

京子「結衣が風邪ひいたら、私が困るじゃん……」

結衣「え?雨でよく聞こえなかった」

京子(……あれ?私、困るかな?)

結衣「送ってくれるの?」

京子「え?あ、うん!もちろん」

京子(結衣がいなくてもやってこれてる)

京子(今はむしろ関わりが少ないし)

京子(困る……のかな?)

京子(でも……なんだろう、この気持ち)

てす

支援タ

結衣「送ってくれてありがとな」

京子「いえいえ」

結衣「……なんかあった?」

京子「え?」

結衣「元気なさそうだけど」

京子「そ、そんなことないよ」

結衣「ま、なんかあったらいつでも頼っていいんだからな」

京子「大丈夫だって」

京子「じゃあ、帰るね」

結衣「うん」バイバイ

京子(頼ろうにもさ、頼りようがないよ……)

京子(自分でもわからないんだから)

京子(あれ?)

京子(変だな……)

京子(傘さしてるのに)

京子(頬が濡れてるよ)


京子(……きっと雨がはねたんだ)



・・・

Oh...

京子「明日は結衣の誕生日だ」

京子(結衣の欲しいものってわかりにくくていつも悩む)

京子(お母さんには自分が欲しいと思う物をあげるといいって言われたけど)

京子(私が今一番欲しいもの……)

京子(楽譜が読める謎の技術?)

京子(ううん……それは違くて)

京子(前みたいに気楽な時間が結衣との間に流れること)

京子(だけどそれはあげられるものじゃないし)

京子(私の問題だから)

京子(だから無難に……)

京子(朝練終わったら、ダッシュで教室に行って)

京子(結衣に渡そう)

京子「うまく喋れればいいんだけど」

京子「誕生日イベント効果で何とかなるよね、きっと」


・・・

京子「お先に失礼しまーす」

「お疲れー」
「じゃあまた放課後にね」

京子「へへっ」ダッ

京子「結衣の奴、喜んでくれるといいなぁ」タタタ

京子「おはよ!」ガラッ

京子(真面目に朝練に参加していたから知らなかった)

京子(結衣が朝、誰とどんな風に過ごしてるかなんて知らなかった)

「船見さん誕生日おめでとう」
「結衣ちゃんおめっ」
「え、今日船見さん誕生日なの?」
「じゃあ、今日遊ぼうよ」

京子(4月生まれって入学したてだからあまり人と仲良くなってなくて)

京子(特別みんなに祝われることがない)

京子(だから、いつも私が……)

結衣「ありがと」ニコ

京子(なんでそんな風に笑うんだよ)

結衣「遊ぶって何か奢ってくれんの?」

京子(なんで私とは会話が続かなかったのに)

結衣「あはは、嬉しいよ」

京子(なんで気付いてくれないんだよ)

京子(気付いたら走ってた)

京子(気付いたらプレゼントはゴミ箱に捨てていた)

京子(気付いたら家にいて)

京子(気付いたら布団にもぐってた)

京子(気付いたら顔は涙か何かでぐしゃぐしゃで)

京子(でもどうしてこんなことしてるか分からなかった)


京子(結衣は私と一緒にいて楽しいのかな?)

京子(あの子たちと一緒にいた方が楽しいのかな?)

京子(そっか……、私、寂しいんだ)


京子(結衣が一緒にいなくて寂しいんだ)

切なくて良い

京子(でも……どうして)

京子(結衣がクラスメイトに囲まれてるのを見て、私は逃げたんだろ?)

京子(寂しいだけなら、結衣に頼ればいい)

京子(結衣はきっと受け入れてくれるから)

京子(結衣は優しいから……幼馴染だから……)

京子(だからきっと受け入れてくれる)

京子(でも……私と結衣の繋がりって、それだけなのかな?)

京子(結衣が優しくしてくれるのは)

京子(守ってくれると言ってくれたのは)

京子(一緒にいてくれたのは)

京子(私と結衣が幼馴染だったから?)

京子(私は、それだけじゃ、嫌だ。嫌だよう)


・・・

京子(私は変わったから)

京子(あの頃と違って泣き虫じゃないから)

京子(一人でも大丈夫)

京子(でもそれはやっぱり強がりで)

京子(ほんとは心のどこかに穴があいたようで)

京子(なんでか悲しくて)

京子(なんでかイライラして)


京子(私にとって結衣はなくてはならない大切な存在で)

京子(ずっと一緒にいたくて)

京子(私を見てほしくて)

wktk

京子(ここまでくれば答えは簡単)

京子(私は、結衣のことを……)


京子「好きなんだ……」


京子(きっと私のこれは友情を越えた所にあって)

京子(結衣のそれとは違って)


・・・

京子母「結衣ちゃんが心配してきてくれたよ」

結衣「入るよ、京子」

京子(私はまだその感情を自分の中で消化できないでいて)

結衣「今日はどうしたんだよ?朝練には出てたんでしょ?」

京子「……」

結衣「体調が悪くなったとか……?」

京子(今は結衣のこの優しさが痛くって)

結衣「最近元気なかったし」

京子(どうしようもない気持ちが暴れ出して)

結衣「何か悩みがあるなら…」

京子「結衣は優しいよね」

結衣「えっ?」

京子(そんなこと言ったら駄目だって頭では分かっているのに)

京子「結衣が私なんかに優しくしてくれるのって」

京子「結衣が私と仲良くしてくれるのって……」

京子「幼馴染だからなの?」

結衣「……」

京子(あー、今日は結衣の誕生日なのに)

京子(結衣にこんな顔をさせてしまった)

京子「ごめん」

結衣「私は……」

京子「今日は帰って」



・・・


京子(結衣が私の部屋を出ていくのを布団の中で聞いた)

京子(あぁ最低だ)

京子(このやり場のないもやもやした気持ちを結衣にぶつけてしまうとは)

京子(いっそのこと素直に伝えたらよかったのに)

京子(きっと結衣は優しいから私のこの気持ちを受け入れてくれる)

京子(そこに甘えて、ぶつけてしまえばいい)

京子(でもそれは、ただの自己満足で)

京子(……)

京子「……」zzz




・・・


きょうこ「好き」ハラリ

きょうこ「きらい」ハラリ

きょうこ「好き」ハラリ

きょうこ「きらい」ハラリ

ゆい「何してるの京子?」

きょうこ「好き」ハラリ

きょうこ「……きらい」ハラリ

きょうこ「……」ジワ

ゆい「京子……?」

きょうこ「結衣は私のこときらい?」

ゆい「そんなわけないよ」

支援

きょうこ「でも、花占いでね」

ゆい「そんな占いじゃなくて」

ゆい「私の言葉を信じてよ」

きょうこ「結衣……」

ゆい「京子、大好き」

きょうこ「私も……結衣大好き!」


・・・

京子(夢を見た)

京子(それは幼いころの記憶)

京子(自分自身忘れていた記憶)

京子(あの頃の私達はきっと同じ気持ちだった)

京子(いつから私達の気持ちは違ってしまったんだろう)

京子(いつから私の想いは変わったんだろう)


京子(結衣の優しさにずっと救われてきた)

京子(ずっと頼ってきた)

京子(なのにそこにつけこもうとするなんて……最低最悪)

京子(それはきっと間違い)

京子(だから)

京子(……こんな気持ち蓋をして、鍵をかけちゃえばいいのかな)

京子(鍵をかけて、鍵を捨てて…)

京子(ずっと閉じ込めておければいいんだろうな)


京子(でも感情なんて簡単にコントロールできなくて)

京子(結衣の目を見ていたら)

京子(結衣に見つめられたら…)

京子(鍵なんかなくても蓋なんて簡単にとれちゃって)

京子(想いがあふれ出してしまうんだ)

京子(どうすればいい?)

京子(どうすればいいんだろう?)


・・・

素直になれよ!

京子(……)トタトタ

京子(わかんない)

京子(でも目がさめちゃったし)

京子(体調も問題ないし)

京子(お母さんに学校行けって追い出されちゃったしな)

京子(とにかく今日はなるべく結衣に会わないようにしよう)トコトコ

結衣「京子」

京子「!?」

結衣「おはよ」

京子「……」

結衣「京子?」

京子「な、なんで?」

結衣「早起きしたから」

京子「……私、今日朝練の準備の当番なんだ」タタッ

結衣「待って!」

京子「ごめん!」ダッ


・・・

京子(なんで結衣は優しくしてくれるの?)

京子「……」♪~

「うまくなったね」
「楽譜も読めるようになったし」
「最初はどうなるかと思ったけど」

京子「……」♪~

京子(教室、行きたくないな)♪~

京子(結衣に、会いたくないな)♪~

京子(朝、結衣は何を言いに来たんだろう)♪~

「そろそろ時間だから片付けて」

京子(いいイメージと悪いイメージが交互に浮かんでくるよ)ガチャガチャ

京子(期待しちゃダメなのに)

京子(だめなのにな……)


・・・

京子(先生が扉を開けるのと同時に…)

京子「セーフッッッ!」

結衣「京子……」

先生「おい歳納!ぎりぎりだぞ」

京子「いや、今日はセーフですよ!」

先生「ったく」

結衣「……」

京子(ごめん、結衣)

京子(私まだ結衣と向き合うだけの自信がないんだ)


京子(授業が終わるとすぐに立ち上がって)

京子(昼はこないだ見つけた秘密の場所へ逃げて)

京子(放課後はすぐに部活に行って…)

京子(とにかく、結衣から逃げた)


・・・

「お疲れ」

京子「お疲れ様でーす」

京子(逃げ切れたと思ってた)

結衣「あ、京子」

京子(だから下駄箱に結衣がいた時は驚きすぎて動けなかった)

船見結衣の足は速い

ほう

来るか?

結衣「ちょっと話があるんだ」

京子「……」

結衣「京子」グイッ

京子「……結衣」

京子(結衣の表情は幼い頃、私と守ってくれた時と同じだった)

京子(結衣のその真剣な表情を見ただけで泣きそうになった)


・・・

京子(教室には誰もいなかった)

京子(結衣は手を離そうとしなかった)

キ、キマ……

結衣「京子……」

京子(真剣な表情が)

京子(私の名前を呼ぶ声が)

京子(蓋をしようとしている感情を激しく揺さぶる)

結衣「確かに私は京子と幼馴染だけど」

だけど・・・?

キマ……





結衣「好きだから」





キマシ!!

キマシタワーーーーーーーーーー!

   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|

   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
   丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
  /    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
     /ヽ ヽヽ、___,;//--'";;"  ,/ヽ、    ヾヽ

            /▲
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                .                           ´`"'
                .                  _
   .                      .       (|\\       なんてことだ

              .                    < ̄<       ここは木間市だったのか





結衣「大好きな親友だから」



キマ?

結衣「泣いてるの見たくないし」

結衣「守ってやりたい」

京子「……」ジワ

結衣「大好きな親友だから、仲良くしたいって思うんだ」

京子(……親友)

結衣「泣くなって」ギュッ

京子「うぅ……」

結衣「京子の寂しそうな顔見たくないよ」

京子「うぅぅ…」ポロポロ

結衣「よしよし」ナデナデ

結衣「京子はまだ私がいないとダメみたいだな」

なんという……

木間市建設作業員の夜は早い

親友・・・

京子(一瞬舞い上がってしまった感情は)

京子(いま急速に冷えていって)

京子(涙になった)


京子「私も好きだよ、結衣」

結衣「そっか」ナデナデ


京子(好きだよ、結衣)

京子(でも、ごめん)

京子(好きで、ごめん)

京子(知らなくていいよ)

京子(結衣は知らなくていい)

京子(私が今泣いてる本当の理由なんて)


・・・

切ないな


京子(久しぶりに結衣に手を引かれて帰った)

京子(やっぱり会話は少なかったのだけど)


京子(結衣の好きと私のは違うけど)

京子(でも好きだって言ってくれた…)

京子(これのどこが不満なのさ)

京子(これ以上何を望むのさ)

京子(一回殴られた方がいいな、私)


結衣『京子はまだ私がいないとダメみたいだな』

京子(まだっていつまで?)

京子(いつまで一緒?)

京子(街も人もみんな変わっていってしまう)

京子(きっと結衣も変わっていってしまう)

京子(結衣のいない未来が来るかもしれない)

京子(その時私がどうしてるかなんてわからない)


京子(だけど私たちが幼馴染なのは変わらないから)

京子(だから、幼馴染でよかったんだ)

京子(きっと……そう)

京子(私と結衣は幼馴染で親友で)


京子(それが、答え)


・・・

京子「結衣!誕生日おめでとう!」

結衣「お、おう」

京子「ちょっと遅れちゃったけど」

京子「これあげる!」

京子「私が欲しかった物だからきっと結衣も嬉しいよ!」

結衣「あ、ありがと」

京子「あと……昨日とかいろいろごめん」

結衣「気にしなくていいよ」

結衣「というかもっと頼っていいのに」

京子「結衣がいなくても大丈夫だと思ってたけど」

京子「やっぱまだだめだった」

結衣「……そう」

結衣ちゃんは大事なところでへたれちゃうな

京子「部活……辞めるね」

結衣「え?なんで?」

京子「もうすぐ1ヵ月経つのに全然楽譜読めないし」

京子「向き不向きってあるんだなー」

結衣「ふーん」

京子「うまくいかないこともあるんだなー」

結衣「……プレゼント、開けていい?」

京子「私がいないとこで開けてよ」ニコ

結衣「わかった」


京子(プレゼントをね、結衣が喜ぶとは思わないんだけど)

京子(私が今欲しいのは自分を思い切り殴ることだったから)

京子(きっと結衣は私を本気で殴るなんてないんだけどね)

しえん


京子「ねぇ、結衣」

結衣「ん?」

京子「……」

結衣「なに?」

京子「……なんでもない」ニコ



京子(いつまで結衣と一緒にいられるかなんてわからない)

京子(だけど、今だけは、)

京子(せめて今だけは一緒にいさせて)



・・・

支援

支援

結衣「え?」

京子「部活辞めた!」

結衣「ほ、ほんとに辞めたんだ」

京子「結局楽譜読めなかったしさ」

京子「あのね」

京子「偶然見つけた場所があるんだ」

結衣「?」

京子「元々は茶道部があったみたいなんだけど」

京子「もう廃部してるからさ」

京子「そこで一緒に遊ぼう」

結衣「それ部活じゃないし」

京子「娯楽部!」

結衣「娯楽部ぅ?」

京子「遊ぶのを含めて部活だよ!」

京子(結衣は私が頼めば断らないってわかってるから)

京子(だからごめんね、結衣)

京子(今だけ甘えさせて)


京子「部員2号はもちろん結衣ね」

結衣「はぁ…しょうがないな、京子は」


京子(もう少しだけ一緒にいたい)

京子(二人でいたい)


結衣「京子はまだ、私がいないとだめだもんな」


・・・・・・
 ・・・・
  ・・

あかり「じゃあまた明日ね、京子ちゃん、結衣ちゃん」

京子「おー」

ちなつ「失礼します」

結衣「じゃあね」


結衣「あかりと何話してたんだ?」

京子「んー……娯楽部のことをちょっとね」

結衣「ふーん」

京子「……あのさ、結衣」

結衣「ん?」

京子「今、楽しい?」

京子「結衣は、娯楽部楽しい?」

結衣「突然なんだよ?」

京子「答えて」

結衣「楽しいよ」

結衣「……楽しいに決まってるだろ?」

京子「そっか」

京子「……私も楽しいよ」

京子(うん、だから、)

京子(これでいいんだ)

結衣「変な京子」ハハ



京子(このままもう少しだけ)




終わり

以上です
キマシ詐欺して申し訳なかった
ちょっと片想いを書きたかっただけなんだ
とりあえず京子は思春期
たぶん結衣も思春期
読んでくれた方どうもありがとうございました

泣いた

この結衣ちゃんはヘタレてるだけでやっぱり京子ちゃんのことが好きそう

片想いいいね

乙乙

結京は恋人ルートはもちろんおいしいけど
親友ルートもおいしいというのをよく表している
素晴らしい

ゆるゆりってもうツタヤとかで借りられる?
SSいくつか読んだけどやっぱりついていけない


この二人が将来的に結ばれることを祈るわ

なんだろうこの気持ち…とてもよかった!
お疲れ様です!

ええわ

こういうのいいなあ乙

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