まどか「一人で遠くに行こうっと」 (42)

ほむら「♪あ~たらしい~ あ~さがきた~」

ほむら「♪き~ぼう~の あ~さ~」

 ティヒヒヒ ティヒヒヒ……

ほむら「この着信音はまどかね!」バッ

まどか『もしもし、ほむらちゃん? おはよう!』

ほむら「おはようまどか。こんな時間にどうしたの」

まどか『あのね、昨夜は『わたし一人で遠い所になんて行かない』って言っちゃったけど』

ほむら「まさか……!」

まどか『来ちゃった。ちょっと遠い所』

ほむら「……それで、今どこに!?」

まどか『ティヒヒヒ』

まどか『韓国』

——マミ部屋——

マミ「お弁当にさけるチーズも入れましょうね」

ベベ「ヤッタァ」

 バッタァアアアン!!!!

ほむら「マミイイイイ!!!!!」

マミ「どぅおわあああ!!!」

ほむら「お弁当作ってる場合じゃないわ! 荷物をまとめなさい!」

マミ「…鹿目さんのことね」

ほむら「聞いてるの!? なら話は早いわ! すぐ迎えに行くわよ!」

ベベ「ホムラオチツケ」

マミ「ついさっき私の所にも電話がきたわ」

マミ「鹿目さんはフェリーで釜山港に行ったらしいの」

ほむら「そうよ。だから私たちが迎えに行かないと!」

マミ「あなたが一人で突っ走らなくて安心したわ」

ほむら「……だって韓国語なんかわからないもの」

マミ「私もなんだけど」

マミ「とにかく、鹿目さんなら心配ないわ。もう明後日に乗る船の予約をしてるみたいだもの」

ベベ「マドカ タマニハ ヒトリニナリタイ」

ほむら「だからっていきなり外国に一人旅なんて…」

マミ「魔法少女だもの、それほど危険なこともないでしょう。土産話でも楽しみにしていましょう」

——二日後——

まどか『おはよう、ほむらちゃん!』

ほむら「まどか!? 今どこにいるの?」

まどか『ほむらちゃん、50回くらいLINE送ってきたでしょ。心配症だね』

ほむら「…今どこにいるの?」

まどか『これから船に乗るよ~』

ほむら「答えて。今どこにいるの?」

まどか『仁川港だよ!』

ほむら「それって…… 船はどこに行く便なのかしら」

まどか『ティヒヒヒ』

まどか『大連』

——美樹家——

美樹母「杏子ちゃん、後片付けおねがいね」

杏子「は~い!」

母「いつも助かるわぁ」

杏子「これくらいしないとね」

 バッターン!!!
ほむら「きょおこおおあああああ!!!!!!!!」

杏子「うおおお!! ほむらか!?」

ほむら「早く支度しなさい! 中国へ行くわよ!」

杏子「行かねーよ! 学校どうすんだよ!」

ほむら「どうせ行っても寝てるでしょ!! わかったらパスポートと現金を用意しなさい!」

杏子「あと、ママさんのびちゃってるんだけど」

—— 港 ——

杏子(↑…?)チラッ

マミ(『港』って書いてあるけど、群馬に港なんてあるの?)

ほむら「大連港行きの船を探すのよ! 魔法で時間を止めて乗り込むわよ」

杏子「密航かよ! あたしパスポート持ってないよ」

ほむら「安心して。さっき三人分作っておいたわ」

杏子「なぁ~んだ、早く言えよ」

マミ「……それを密航って言うんじゃないかしら」




杏子(ほむらこの間、見滝原の外なんてないとか言ってたけど、船は普通に出てるんだな)

杏子(今度水上バスで帰ってみるか)

杏子「それにしてもヒマだなぁ。これいつ着くんだろ?」

マミ「着くまでには鹿目さんも帰る気になってるんじゃないかしら」

ほむら「そうだといいけど、いてもたってもいられなかったのよ…」

杏子「そうなったらなったで、中国見物してこうよ」

マミ「大連といったら昔の街並みが有名ね」

ほむら「なによそれ?」

杏子「満州国ってやつか。なんか本で読んだ事あるな」

ほむら「着いたようね」

マミ「船内放送でも何か言ってるわね。中国語かしら」

杏子「もう冬なのにバカに暑いなぁ」

ほむら「ほら見て! 携帯の電波が入るようになったわ! 早速まどかに電話しないと」

 ティヒヒヒ ティヒヒヒ……

ほむら「かかってきた!」

杏子「着信音それなのかよ」

ほむら「もしもし、まどか!? 私たちもちょうど中国に着いたわ!」

まどか『ほむらちゃんたちはどこにいるの?』

ほむら「きっと大連よ!」

杏子「でも暑くない? 満州って確かずっと北の方でしょ?」

マミ「そうね…… でも見て、港に中国語で看板が出てるわ」

杏子「あ、ほんとだ!」

『歓迎光臨 新嘉坡』

杏子「よくわかんないけど、歓迎って書いてあるな」

マミ「きっと後半の三文字がここの地名なのね」

ほむら「もしもし? 読み方がわからないけど、中国の南の方に来てしまったみたい」

※新嘉坡:シンガポール

まどか「ほむらちゃんたちも出発したって」

まどか「次どこ行こうか?」

さやか「まだやるの?」

なぎさ「大連まで追いかけてくるのも大変だったのです」

まどか「だってほむらちゃん、今頃わたしを探してるよ」

さやか「だろうね」

まどか「きっと昔みたいに」

まどか「かなめさ~ん… 置いてかないでよぉ~とかやってるよ!」

さやか「昔のほむらってそんなだったのかよ」

なぎさ「誰にも可愛い頃があったのです」

ほむら「……だいぶ遠いわね」

杏子「ねぇもう帰ろうよ。まどかもそのうち帰って来るだろ」

ほむら「ここまで来たら私たちには前進しかないのよ!」

杏子「行くのかよ!」

マミ「行くしかないじゃない!」

杏子「マミまで!?」

マミ「ここはシンガポールよ」

マミ「ラッフルズ・ホテルのハイティを味わうまで帰れないわ」

杏子「いいねぇ」

ほむら「お腹も空いたことだし、まずは休憩しましょうか」

——数日後——

まどか「ほむらちゃん、来なかったね」

なぎさ「今更着いてももぬけの殻なのです」

さやか「待っててあげればいいのに」

まどか「もしもし、ほむらちゃん? 今どこ?」

まどか「……遠いねぇ~」

さやか「いつ合r…」

まどか「」シーッ

まどか「ほむらちゃん、どうするの? このままじゃわたしに追いつけないよ」

まどか「一人なのにもっと遠くに行っちゃうよ~」

さやか「あんたヒドいことするな」

——チェンマイ——

ほむら「うぅ… まどかぁ~……」クスン

マミ「暁美さん、ほら泣かないの。明日には国境を越えるわよ」

杏子「コー カンマンガイ サム!」(カオマンガイ三人前ね!)

マミ「ピセー チョー!(大盛りでお願いします) さぁ食べて元気を出しましょう」

ほむら「……二人とも、ずいぶん満喫してるわね」

杏子「なぁもう行っちゃうの? もうちょっとタイにいようよ」

マミ「暁美さんがこの状態なのよ。のんびりしていられないわ」

ほむら「……まどかに会いたいだけなのに…」ズルズル

マミ「鼻かみさない」

杏子「近くに象の動物園みたいなのがあるんだって。象乗って行かない?」

ほむら「……」

杏子「象の赤ちゃんにバナナやれるんだぞ。かわいいぞ~」

ほむら「…行く」

——さらに二日後 中国雲南省 昆明——

ほむら「ついに中国へ入ったはいいけど」

杏子「請給我 包子」

ほむら「出発する時に持って来た現金がそろそろ底をつくわ」

マミ「…やるしかないわね」

杏子「肉まんうめぇ」

 ティヒヒヒ ティヒヒヒ……

ほむら「電話だわ!」

まどか『もしもし? ほむらちゃん、今どこ?』

ほむら「ようやく中国に入ったわ。まどかはまだ大連にいるの?」

まどか『ティヒヒヒ』

まどか『西安だよ』

——夜——

ほむら「今日も一日大変だったね……」

マミ(効いてる)

杏子(効いてる)

杏子「にしても昼間のあれはおかしかったなぁ!」

ほむら「だってマミさんが魔法で大道芸するなんて言うから……」

マミ「先立つ物が無ければ鹿目さんにも会いに行けないのよ」

杏子「まどかに会えなくてもいいの?」

ほむら「会いたいよぉ……」

マミ(だいぶ素に戻ってきたわね)

杏子(これが本来のほむらか……)

マミ「じゃあ明日もやる?」

ほむら「えぇ~……」

杏子「さぁさぁ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい!」

マミ「日本から来た楽しいお芝居!」

ほむら「まほ… 魔法少女ショー はっじまるよ~…」

杏子「そんなんじゃ聞こえないって! はいもっと景気良く!」

ほむら「無理だよぉ…… もう……」ポロポロ

杏子(…いじめたいなぁもう)

——昆明発の長距離列車——

ほむら「……」

マミ「ほら見て。またずいぶんな絶景よ」

杏子「ほぉ~ なんか山の中ばっかりだな」

マミ「地図を見ると、終点の成都まで大きな街はなさそうね」

ほむら「その成都という街で、まどかと会えるのかしら」

杏子(一晩寝たら直った?)

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