女神「眠りなさい、勇者……魔王が再び蘇る時まで」(141)

女神「よくぞ魔王-----を打ち倒しました。恐らく彼の者の蘇りの術もあと一度」

女神「次が最後の戦いとなるでしょう」

勇者「女神XXXXXの御意向のままに……」

女神「過去に無い熾烈を極める戦いとなるでしょう」

女神「今は体を休めるのです」

女神「それにしても、難儀なものですね……」

女神「勇者+++++の曾孫の貴方が旅立ち、一ヶ月ももたずと瀕死の重症を負い」

女神「この私と一時的とは言え、人の理から外れる事となる契約を結んで」

女神「幾度も死闘をこなす羽目になろうとは……」

勇者「……あれ、急に何か酷い事を言われた気がする」

勇者「そもそもが無茶な話なんですよ。曾孫ってだけで勇者として駆り出されたのが」

勇者「討伐に向かわされた中で俺が最年少でしたけど、年上の従兄弟や再従兄弟は全滅じゃないですか」

女神「そうですね……彼らは皆戦死してしまいましたからね」

勇者「そもそも、俺が生まれた時点で曾爺様は既に他界していましたし」

女神「それでも人間は過去に縋るものですよ」

勇者「……契約結んでから、女神様とばかり話しているからなぁ」

勇者「変な悟り開いてそう。ちゃんと社会復帰できるかなぁ」

女神「もしかしたら魔王も力を貯めるにあたり、次回の目覚めが遠のくかもしれません」

勇者「何とか親の死に目にはあえましたが、これ以上長くなると契約する前の友達全滅するんですが……」

勇者「うあー舞おう倒したら完全に孤独ですかー?」

女神「皆、貴方を讃えてくれるでしょう」

勇者「勇者と言う記号でですね。誰も一人の人としては接してくれない未来とか……」

女神「ならば祈りなさい。早く魔王が蘇るように、と」

勇者「それは勇者として間違っている」

女神「さあ、魔方陣は完成しました……今はただ悠久の時に身を任せ、傷ついた体を癒すのです」

勇者「女神XXXXXのご加護、確かに」

女神「さあ、お眠り。勇者*****目覚める時までお休みなさい」

勇者(この……襲い掛かるまどろみも……これが最後……か)クラ

勇者(案外……気持ち良い……んだよな……)スゥ

……
「――……――……」

勇者(何か……聞こえる)

「――すか? ――ください!」

「大丈夫ですか? しっかりして下さい! ああもう、何でこんなところに人が!」

「全く何もんなのかねぇ……」

勇者「う……あ……」

「良かった、気がついた……」

勇者「あー……何年の、何月何日でしょうか?」ボケー

「え、何年……?」

「えーとXXXX年のX月XX日です」

勇者「XXXX年……」ボケー

勇者「っ?!」ガバァ

「うわぁ!?」

勇者(XXXX?! おいおい、300年近く経っているぞ?!)ダラダラ

B「いきなり起き上がるなよ。びっくりするなー」

A「あのー大丈夫ですか?」

C「回復魔法をかけておいたので、傷は無いはずですが……」

D「貴方、ここが何処だか分かっている?」

勇者「ここ……?」キョロキョロ

勇者「廃、墟……?」ダラダラ

勇者(お、おかしい! 女神様の神殿で眠ったのだから神殿で起き……げ、これがその神殿か?!)ダラダラ

勇者(おいおい、信仰が薄れて女神様の力が途絶えたとかか? かなり不味い状況じゃないのか?!)ダラダラダラ

D「それにしても、こんな所に神殿があるなんて……」

C「一体どんな神様を奉っていらしたのでしょうか?」

B「文字も何も風化しちまって何も残っちゃいねーよ」

A「えと……あの、ご自身の事は分かりますか?」

勇者「俺……俺の、名前……」

B「おっと、何か嫌な予感がする台詞……」

勇者(不味い、状況が分からない以上下手に喋るべきじゃない)ダラダラ

勇者(考えろ! 嘘を! 設定を!)ダラダラ

A「……ま、まさか」

騎士「いや……俺の名は騎士だ。だが……俺は何故、ここにいるのだ……?」

騎士「ここで何を……」ブツブツ

B「うげーやっぱり」

C「記憶喪失、でしょうか?」

D「貴方は何処の国に暮らしていましたか? どういった仕事に就いてました?」

騎士「……分からない。兵士、なのかもしれないが」ガチャガチャ

騎士「その記憶は……思い出せない」

A「うーん……困ったな。こんな鎧、あたし見たこと無いよ」

B「あたしだってねーよ。だいだいこの紋章はなんだ? こんな国はないし家紋か? 珍しいな」

騎士「どうしたら……いいのだろうか」

D「……貴方が国や地名、町の名前で覚えているものはありますか?」

騎士(いやいや300年前だぞ……超地雷じゃねーか)

騎士「……いや、一つも分からない」

C「どうしましょう……」チラ

A「うーん、一先ず自己紹介からしておこうか。こっちは名前聞いたわけだしね」

B「あたしは戦士だ。元は国で騎士をやっていた者だ」

C「私は僧侶です。戦士さんと同じ国の教会に勤めていました」

D「私は魔法使い。二人とは別の国の城で雇われ魔法使いをしていた」

A「不肖ながら一応リーダーの勇者です。あたし自身は城下町で暮らしていないのであれですが……」

戦士「なーにが一応だよ。立派にこなしてるじゃないか」

勇者「えへへへー」

騎士「勇者……様ですか?」

勇者「そう! これでも列記とした勇者の末裔なんだよ!」

騎士「勇者+++++……?」

魔法「……誰ですか?」

騎士(しま、しかも地雷!)

騎士(何百年も経っているんだ! 違う勇者がいたっておかしくないのに!)

騎士「分からない……ただ、勇者と聞いて思い浮かんだ名前がそれなんだ」

僧侶「う~ん、私は全く聞いた事が無いですね」

魔法「とりあえずは一つ目のキーワードってところかしら」

騎士「これで縁も所縁もなかったら泣けてきますね……」

騎士「待てよ、勇者様がいらっしゃるという事は大事が起こっているのですか?」

勇者「……魔王、という者について覚えていますか?」

騎士「凶悪な敵、だったような」

勇者「その通りです。悪しき魔王が蘇った今、あたし達は魔王討伐の旅をしている所なんです」

騎士「そう、だったのですか……」

騎士(魔王って-----かな? だとしたらその影響で俺も目覚めた?)

騎士(タイミングがずれたのは女神様の力が失われた所為か?)

戦士「なあ、勇者のご先祖様の話もしとこうぜ? もしかしたら何か思い当たるんじゃねーの?」

勇者「あ、それもそうだね」

勇者「なんと! と言っても伝わらないかもしれませんが」

勇者「あたしのご先祖様は不死身と謳われた勇者こと*****なのです!!」

騎士「ええぇっ!?」

騎士(待て待て待て! 俺はまだ童貞だぞ!)

魔法「あら、こちらもご存知でしたか?」

騎士「いや、ええと、不死身の*****という記憶はあるが……勇者だったのか」

騎士(聞くなぁぁぁ! 色々と考える時間をくれえええ!!)

騎士(なんで?! どういう事?!)

勇者「今はその血族は本家と分家という形で各地にいます」

騎士(寝ている間にとかか? いやいや、能力的にも俺は人外だぞ。そこら辺の女の子に隙をつかれるとは考えにくい)

勇者「最も一部の分家は連絡が途絶え、消滅の扱いではありますが……」

騎士(俺をも出し抜ける女性? 候補はあるが……それだったら目覚める度に何かしら、話になっているはずだし)

戦士「こいつ、こう見えて本家の一人娘なんだぜ」

騎士「なんと……お嬢様でしたか」

騎士(とすると、従姉妹とかの線で大人の都合で俺の血筋の扱い、とか?)

勇者「まー……礼儀作法より剣ばかり鍛えさせられるから、全然お嬢様じゃないですけどねー」

騎士(そもそも曾爺様同様、血を受け継いでいるからなんだよ?! 何人死んだと思っているんだ?!)

勇者「けど、勇者*****の退魔の力は今も健在ですよ!」

騎士(そんなんねーよおおぉぉ! あってたまるかちくしょおおぉぉぉ! どんだけ苦労してたと思ってんだああぁぁ!!)

勇者「ま、そんな訳でこうして勇者をやらせていただいています」

騎士(駄目だ……情報が足りないし、仮に俺の血筋じゃないとしたら真実はもう歴史に埋もれてるだろうな)

僧侶「人一倍正義感が強いのに、いつでもこう謙遜なさるんですよ~」ニコニコ

騎士(彼女の家の事は一旦放置だな……今更どうこう言っても仕方ないだろうし)

勇者「いやー照れるからやめて」

戦士「なあ、騎士さんよ。さっきから難しい顔してどうしたんだ?」

騎士「何か思い出せそうだったのですが……やはり駄目ですね」

僧侶「これからどうしましょうか……?」

勇者「騎士さんさえ良ければ共に行きませんか?」

勇者「魔王討伐の旅なので危険は付き物ですが、何処かで記憶に繋がる場所に辿り着くかもしれないし」

騎士「え……よろしいのですか?」

騎士(これは願ってもないチャンスじゃないか? 地理も現代常識もさっぱりだしかなり助かるぞ)

戦士「あたしぁー反対だね。助けるだけならまだしも、何処の馬の骨ともしれない奴と共に旅するなんて」

騎士(今では俺もどこぞの馬の骨か……女神様、俺挫けそう)

勇者「じゃあ民主的に多数決で。騎士さんが仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間にしますか?」

騎士(女神様、俺挫けそう)

勇者「はい、の人は手ー上げーてー」ノ

魔法「……」ノ

戦士「……」

僧侶「……」

勇者「ありゃ、僧侶ちゃんも嫌だったか」

僧侶「い、いえ……ただ、やはり見ず知らずの殿方と共に、というのは少し怖いと言いますか……」

騎士「あー……」

騎士(これは終わったかもしれんね)

魔法「貴女、それでどうやって騎士団の人と付き合いたいわけ?」

僧侶「っ?!」ビク

勇者「ほほう、面白そうな話」

戦士「そういやーそんな事言ってたな」

僧侶「そそそそ、それとこれとは!」

魔法「いくら女ばかりと言えど、こっちは四人。しかも私達だ」

魔法「全く抵抗できないなんて事も無いだろうし、これを機に男性に慣れた方がいいのではないだろうか?」

僧侶「し、しかし!」

勇者「でもまあ、確かに僧侶ちゃん焦ってミスして消沈する図が、簡単に想像できるあたり何ともいえないなぁ」

戦士「おいこら、これは民主的じゃないだろ」

騎士「びっくりするぐらい蚊帳の外」

僧侶「うう! ええーい、なる様になる!」ノ

戦士「あ、こら! おい勇者! これは無効だろ!」

勇者「じゃあ賛成三人で可決ね」

戦士「うおおおぉぉぉぉぉい!!」ガッシ

勇者「いやー民主的は大事じゃん、仕方ないよー」ユッサユッサ

魔法「そうだよ、往生際が悪い」

戦士「こいつらああぁぁぁ!」

騎士(やべぇ超空気わりぃ)

騎士「ええと、無理をして頂かなくても……」

魔法「そうしたら貴方が死ぬほど無理をする事になるではないか」

騎士「ご、ご尤もで……」

勇者「まーまー戦士ちゃんもいいじゃないの」

勇者「屈指の剣の達人でしょー。どこかの馬の骨を恐れちゃうのー?」

戦士「む……分かった、いいだろう。賛成してやる」

魔法「負けず嫌いと言うかプライドが高いと言うか」

僧侶「扱いやすいと言うか、乗せやすいと言うか」


僧侶「ごへんなひゃい! ごへんなひゃい!」ギリギリ

騎士「……つかぬ事ではありますが、勇者さんと戦士さんは剣の腕前はどちらが?」

勇者「流石に戦士ちゃんだねー。本職には勝てないよ」

戦士「何言ってんだよ。お前んちの剣術は昔の国の騎士団のものだろ」

騎士「そうなのですか?」

勇者「何故だが勇者*****の剣術は残っていないそうなんです」

騎士(そりゃそうだ。独学に多くの国の流派が混ざってるんだ。それに弟子もいないし教えた事も無い)

勇者「なので勇者*****との一騎打ちで勝ったとされる騎士の剣術が残されているんですよ」

騎士(当たり前だぁぁ! ふざけやがってあの野郎ども!! 対人剣術なんて知るかよ!!)

騎士(どーせ魔物専門だよ! 断れない事を良い事に! さぞ良い暮らしをしたんだな! くそが!!)

魔法「ほら、そろそろ準備するよ」

勇者「はーい」

戦士「あんたは少しここを見て回ってきたらどうだ? 何か思い出すんじゃないか?」

僧侶「そうですね、私達は荷物をまとめていますので」

騎士「そうですね……ではお言葉に甘えて」


騎士(女神様はもういないのか……)

騎士(余裕無くて滅茶苦茶な契約をしたとは思ったが)

騎士(それでも、元々は貴女の事は敬っていたし、実際にああして意思疎通ができて幸せだった)

騎士(それももう……無いのか)

騎士(皮肉だな……これで本当に俺を知っているのは魔王だけになってしまったのか)

……
勇者「どう? 景色とかで何か?」

騎士「空が青い……川がある……山が見える……」

魔法「この程度で思い出せたら苦労はしないだろうね」

戦士「そういや、お前は金ってあるのか?」

騎士「え……どうだったかな」チャラチャラ

騎士(うん、最高額の金貨4枚。旅してたら一ヶ月で潰れるなっ)

勇者「……?」クビカシゲ

戦士「……?」ジー

騎士(うおおぉぉやっべぇぇぇぇ!! 超地雷だこれ!!!!)

魔法「はて……?」

僧侶「ちょちょちょ、それ、見せて下さい!!」

騎士(うっひょおおぉぉぅ!!)

勇者「何処の国のお金ー?」

僧侶「嘘、嘘! 何でこんな……!」

魔法「どうかしたのかい?」

僧侶「こ、これ数百年前の金貨ですよ!! しかも一番価値が高い金貨です!!」

勇者「へー換金したらいくらになるのかなー?」

戦士「案外高値だったりしてな。結構状態よくね?」

僧侶「馬鹿言わないで下さい!!」

僧侶「こ、こんな保存状態が良い金貨なんて……そもそもこれ自体、世界に殆ど残っていないのですよ?!」

騎士(そして置かれている状況はより悪い方という)

戦士「今じゃ金で貨幣なんて作らないからな」

勇者「貨幣としての価値が無くなってから、どんどん貴金属として使われていったんだっけ?」

僧侶「そうです……それがこんな……ああ、4枚も」

魔法「何だが凄い価値があるような言い方だね」ゴクリ

僧侶「馬鹿言わないで下さい!!」

勇者「二度目だね」

戦士「大事な事なんだろ」

僧侶「お城が一個とお釣りがきますよ!!」

勇者「大事な事だった」

戦士「やべぇ」

騎士(どうしよう、どう誤魔化そう)

僧侶「貴方は……一体?」

騎士「……」

騎士「……その硬貨についても何も思い出せない」

騎士「けど……何かは分からないが、それは使う事はできないんです」

騎士「多分……大事な何か。貨幣としての価値では賄えない……何か」

魔法「……」

騎士「金なら……どうやって稼ぐのかも分かっていませんが、可能な限り稼ぎます」

騎士「だから、それには手を付けないでもらえないでしょうか?」

僧侶「あっ! い、いえ! そういう意味で言ったのではないので!」

勇者「にしてもなんだかとんでもない話になってきちゃったねー」

戦士「騎士が何者なのか、少し知りたくなってきたな」

魔法「全くそうだね……案外、過去から来たら人だったりしてね」

騎士「いやーどうなんでしょう……」

騎士(切れ者怖い)

僧侶「そんなファンタジーな……」

勇者「でもなんか今ある情報だとそれっぽい」

戦士「いや、単に情報が少なすぎるだけじゃないか?」

戦士「そりゃまあ、本当にそうだとしたら古銭を持っていても不思議じゃないが」

魔法「因みに、当時の金額としてあの金貨四枚は今でいくらなんだい?」

僧侶「4万Goldですかねぇ……」

勇者「物価の違いはあるとは思うけど……それ旅してたらあんましもたないよね」

騎士(あ、似た様なものなのかなぁ)

魔物の群れが現れた!
が、騎士と戦士の先制で返り討ちにした!
魔物の群れを倒した!

勇者「うわっ強っ!!」

魔法「おや、これはいい拾い物だね」

僧侶「魔法使いさん! いくらなんでも言い方が!」

騎士「いやー間違ってはいないですよ?」

戦士「……」ジー

騎士(いやん、脳筋かと思ったら何か察した? 視線が超痛い!)

勇者「よーし町に到着!」

魔法「何だかんだで疲れたね」

僧侶「これからどうしましょうか?」

勇者「もう日暮れだし宿とって休もうよ」

戦士「なあ騎士。ちょいと付き合えよ」

騎士「あ、俺酒は……飲めるのかなぁ?」

戦士「そっちじゃない」

戦士「一戦手合わせをしてくれよって話しだ」

勇者「おおう、戦士ちゃんが誘うなんて珍しい!」

戦士「こいつ相当の技量だよ。ここまで来るのに、全く隙が無かった」

戦士「どんな時でも索敵してやがる。それも自然過ぎて、警戒されていないと踏んで飛び出た魔物は一太刀さ」

魔法「それ、君も同じではないのかい?」

戦士「あたしぁー定期的に索敵してるのさ。だがこいつは常にしてやがる」

戦士「それにあたしは集中力が切れれば隙もでる。初めの一戦、あたしは先頭にいたのに出遅れた」

騎士(驚いたな……これほどか。彼女もよっぽどの実力者なんだな)

戦士「おまけにあの時、あんたは勇者の横にいたはずなのに、敵襲の時には先頭のあたしの真横にいた」

戦士「とんでもない野郎さ」

騎士「そうは言われましても、体が勝手に動いていたんですよねぇ」

戦士「だろうね。あれは考えてやってる風じゃない。身体の芯まで染み付くほどに行い続けなくちゃ無理だ」

戦士「つー訳であたしと戦え。あんたの実力、あたしは知りたいんだよ」

騎士(なんか前にもあったなぁ)

騎士「女性に剣を向けるのは忍びないですが、本人たっての希望とあらば……」

戦士「そうこなくちゃぁ」

僧侶「これはいいんでしょうか……?」

魔法「まあ、決闘じゃないからいいのでは?」

騎士「……」

戦士「……」

騎士「……ふ」ボッロボロ

戦士「よえぇ……」

勇者「あっれええぇぇ?! さっきの熱い語りは?!」

僧侶「ええと、大丈夫でしょうか?」

騎士「結構痛い」

魔法「想像を斜め下にいく結果だね」

戦士「お前……なんなんだ? 対人は0か?」

勇者「素手で取っ組み合いしたらあたし勝てそう」

魔法「そもそも勇者相手では並の者では勝てないでしょうに」

騎士(評価が並以下に凋落した!)

戦士「なんつーか……悪かったな。まさか対人剣術がからっきしだとは思わなかった」

宿屋
勇者「う~ん、騎士君かー」

魔法「まあ、時々は男手が欲しい事もあったし丁度良かったんじゃないか?」

僧侶「素性不明の方ですけどね……」

戦士「魔物戦じゃあダントツだろうし、いいんでねーの」

勇者「ありゃ、戦士ちゃんがもうデレた」

戦士「対人はあれだが、あたしらの本分は魔物だからな」

戦士「つーか、あたしとしちゃあ魔法使いがあっさり賛同したのに驚きだけどな」

魔法「そうかい?」

勇者「うーん、なんか魔法使いちゃんはガチでそっちの気があるように見えるからなぁ」

戦士「そうそう、んでもって男嫌い」

僧侶「どういう事でしょうか?」

魔法「大概に失礼だね。ちゃんと異性も好きだよ」

僧侶「??」

魔法「ちゃんと男性にも恋愛感情をもっているという事だよ」

僧侶「?? 確かに魔法使いさんは不思議な雰囲気をお持ちですが、別に普通のことですよね?」

勇者「あれぇ? あたしの聞き間違い?」

戦士「いやこいつ今、間違いなく二刀流発言だったぞ」

戦士「お前、確か弟子とかいたよな」

魔法「正式なもんじゃないし、私自身まだまだ未熟だからね。適当に基礎を教えている程度さ」

戦士「国が違うってのに、弟子を食う若師匠ってんでお前は有名だったんだぞ」

魔法「ああ、それで私はレズだと思っていたのか?」

勇者「だってあたしの家まで噂が届くんだもの」

魔法「そうだねぇ……その時代から両方ともいける口で盛んだったからかな」

勇者「魔法使いちゃんがとんでもない件」

戦士「今度から僧侶あたし勇者魔法使いの並びで寝ようか」

勇者「酷っ!」

魔法「それは勇者の挑発と見ていいのだね」

勇者「あたしいぃぃぃ?!」

魔法「まあ、真面目な話をすれば……あんな鎧も紋章も見た事が無い」

魔法「そして記憶喪失……ふふ、これが面白そうに見えず何に見えるという」

戦士「何だそりゃ。ただの興味本位かよ」

魔法「好奇心と言っていただきたいね」

勇者「でも、本当に何者なんだろうねー」

僧侶「記憶が戻ったら悪人でした、とかないですよね……」

勇者「仮にそうだとしても、わざと負ける必要は無かっただろうし」

勇者「いざとなったら四人で袋にすればいいよ」

魔法「時々勇者は怖い事をしれっと言うね」

戦士「武力で成り立つ家のご令嬢だもんな」

勇者「酷っ!」

騎士「ふう……」ボフ

騎士「早くも疲れたなぁ」

騎士「現状……云百年経っている」

騎士「女神様はいない、魔王が復活している……」

騎士「……どうしろって言うんだろう」

騎士「彼女達と共に旅をして……魔王を倒して……その後は?」

騎士「幾度の戦いの功績は白紙。勇者と共に戦ったただの剣士」

騎士「っは。割りに合わない話だ」

騎士「……」

騎士「ええい、腐るな! 成るようになる、成るようにしかならん!」ガバ

――……
「魔王-----! お前を倒しに来た!」

「ほう……ようやくここまで来れる人間が現れたか」

「だが、それもここまでよ! 我が力の前に屈するが良い!」

懐かしい夢を見た。初めて魔王と戦った時だ。
この時、一分ともたずとして俺は殺された。
加護があったものの一週目は初めての事の繰り返しで、過酷で辛くて苦しいものだった。


だけど、俺はもう一人じゃない。

……
勇者「お、騎士君起きたー?」

僧侶「お、お早うございます」

戦士「よう、昨日は眠れたか?」

魔法「何か思い出せたかい?」

騎士「皆さん、お早うございます。しっかりと休めましたよ」

騎士「記憶は……さっぱりですね」

勇者「まあ、じっくり進めていけばいいよ」

戦士「そして辿り着く魔王城」

魔法「私達の旅はこれからだ!」

勇者「打ち切ったーー!」

騎士(図らずとも最終局面には突入するんだけどさ)

勇者「あ、そうだ。町を出発する前に聖堂に寄っていくからね」

騎士「聖堂?」

魔法「私達が信仰する女神様を奉る場所さ」

戦士「達、つっても何処の国でも基本的には女神様を信仰しているからなぁ」

僧侶「多少大きい町でしたら、何処でも聖堂があるくらいですものね」

騎士「へー……」

勇者「騎士君のこれからの旅路の無事も込めて、女神様に礼拝しておこうと思ってね」

騎士(別の女神様か……少し、気がのらないが仕方がないか)

聖堂
勇者「さ、ここがあたし達をいつも見守って下さる女神XXXだよ!」

女神XXX像(女神XXXXX)

騎士(ぶーーーーー!!)

騎士「これは……美しい女神様ですね」

勇者「でしょー? 博愛と平和を司る女神なんだよ」

騎士(なに別の女神に変わってるんですか女神様!!)

騎士「なるほど……だからこそ皆が信仰するのですね」

僧侶「当然ですが、私の教会も女神XXX様を信仰しているものなんですよ」

騎士(つーか俺置き去りですかーー?! 契約どうなっているんですかーーーー?!)

女神(……何やら聖堂にそうぞうしい者がいるようですね)

騎士(念話で俺が叫んでいるからですよ!!)

女神(あら、勇者*****……あら? そういえば?)

騎士(そういえばじゃなーーい! 何で別の女神になっているんですか!)

騎士(せめて俺を連れて行ってくださいよ!!)

女神(あー……ごめんなさいね。本堂を移す事になったのだけれども、何か色々と手違いがあって)

女神(名前は変わるわ司る力も変容するわで私も大変だったのですよ?)

騎士(その後半、俺が置いていかれた後の事ですよね?!)

騎士「……」

勇者「……騎士君、ずっと女神像を見つめて」ヒソヒソ

戦士「なにか思い出してんのかねー」ヒソヒソ

僧侶「もしかしたら元々信心深い方なのかもしれませんね」ヒソヒソ

魔法「凄い真剣な眼差しだねぇ」ヒソヒソ

女神(契約は微妙に続いていますね)

騎士(契約なのに微妙に続くっておかしくないですか?!)

女神(死亡時、72時間後に復活する蘇生は機能していません)

騎士(だああああ! 一番の特典ぐぁぁぁ!!)

女神(見たところ仲間がおられるようですし、いいのでは?)

騎士(それでもしんがり務めたり色々とできるでしょーがぁ!)

騎士(だいたい目覚めたの昨日ですよ?! 道案内無しにどうしろと?!)

女神(あら、魔王が蘇ったのはだいぶ前なのに……復活もずれているのね。後は幸運の加護は無いわ)

騎士(戦闘面がどんどん凋落していく!)

女神(身体能力強化は今でも顕在ですよ)

騎士(でも一般人の目の前だから、基本人間レベルにセーブしなきゃなんですけどね!)

騎士(そうだ、今回の魔王に復活に際して勇者が討伐に出たようです)

騎士(まあ、この隣にいる女性なのですが……俺の子孫って事になっているんですが、何かご存知でしょうか?)

女神(あまりそういった話に干渉する事が無いのに分かる訳が無いでしょう)

女神(だいたいにして貴方は性交経験などないでしょう)

女神(ともすれば、なにかしらの理由による捏造と判断すべきです。気にする事は無いでしょうね)

騎士(まあ、そうだろうとは俺も思いますよ)

騎士(はあ……まあ、女神様がいるのは分かったし俺は行きますね)

女神(そうですか。では、各地に聖堂がありますので、その都度必ず礼拝しにきになさい)

騎士(何でです?)

女神(現状、貴方は対話ができる唯一の存在です。どれほど信仰されようとも、神々というものは寂しいものなのですよ?)

女神(本当に信仰を高めた者は、時折こちらの言葉を聞き取りもしましたがね)

騎士(そういう事でしたら、可能な限り足を運びますよ)

勇者「……どうだった?」

騎士「えっ!?」ドキ

戦士「いや、あんなに長いこと礼拝していたから何か思い出したんじゃねーか、て話をしていたんだ」

騎士「いえ……特には何も」

勇者「そうかー。じゃあ信心深いのかな?」

騎士「どうなんでしょうね……」

戦士「そんじゃ、そろそろ出発しようぜ」

騎士「せい、や!」ヒュヒュンヒュン

勇者達は魔物の群れを倒した!

勇者「うわー……本当に魔物相手だと人が違うくらい強い!」

騎士「魔物専門の騎士だったのでしょうかねぇ」

戦士「それかなり職が限定されてね?」

魔法「魔物専門なら野生動物もいけるでしょうに。案外弓矢もたせたら必中だったりしてね」

騎士(ハードル高っ。近接武器しか使った事ないって)

僧侶「皆さんも魔物から収集物回収するの手伝ってくださいよー!」

戦士「お、こいつすげー牙してんな」ザクザク

勇者「少しは良い値で売れそうだね!」ベリベリ

騎士(俺の時は国が収集物を討伐証拠として報酬を出してくれていたが、今じゃ素材として売買されているのか)ズァザックグチャァ

魔法「……」ジー

騎士(お、肝臓がいい色。こりゃあ食えるな)グチ

魔法「……」ジー

騎士(しまった、めっちゃ見られてる)

僧侶「魔法使いさん、どうかされましたか?」

魔法「騎士は随分と魔物の解体に慣れているのだね」

騎士「自然と手が動くんですよ」

勇者「魔物専門は固そうだね」

戦士「よーし、川も近いしこのあたりで野営しようぜー」

勇者「あたし薪集めるねー」

騎士「そうだ、これ」ガサゴソ

僧侶「お肉、ですか?」

騎士「さっきの魔物のレバー。色が良かったから取ってみたんです」

魔法「ま、魔物を食べるのかい?」

騎士(しまった一人で旅していたから感覚がずれてる!)

騎士「立派な生き物だし、食べられるんじゃないかなって思いましたが……やめておきます?」

勇者「旅人は度胸! 焼いてみようよ!」

戦士「いいね、レバー! まさかこんな所で肉がありつけるたー……そうか魔物肉、その手があったか」

僧侶「ほほ本気で言っているのですか?!」

魔法「しまった……馬鹿二人が焚き付けられた」

騎士(何だろうこの罪悪感)

僧侶「」モックモック

魔法「」パクパク

戦士「あ、てめえあたしの取りやがったな!」

勇者「戦士ちゃんここは戦場だよ!! 誰の、なんて無いんだよ!」ガッガッ

騎士「まあ……喜んでもらえてよかったですよ」モグモグ

戦士「つーか、否定的だった奴が一番食っているじゃねーかよったく」モグモグ

勇者「騎士君は魔物の解体知識とかってあるの?」

騎士(スルーして欲しいなぁ)

騎士「説明はできないですね。ただ、見れば食べられそうかは何となく分かるのですよ」

戦士「おいおい、これも”られそう”で持ってきたのかよ」

騎士「何でしょう、これは別に危険が無いかと。多分、思い出せないだけで知識はあるのかもしれませんね」

騎士(まあ、経験上の知識なんだけどな)

魔法「ああ……美味しかったわ」

勇者「今度から食材・肉確保は騎士君だね」

騎士「担当なんてあったのですか?」

戦士「あたしが頑張って鳥とか兎をとっていたんだよ」

魔法「私が唯一遠距離で攻撃できるのだが、魔法ではミンチだからね」

騎士「なるほど……」

僧侶「ふぁ……沢山食べたから眠くなってきましたね」

僧侶戦士勇者騎士魔法

騎士「……この並びは一体」

勇者「色々とあるんだよ」

戦士「気にせずに寝てくれ」

騎士「いや、逆に眠れません。隅にして下さい。というか出合って二日の男を間に挟むとか気が知れない」

魔法「よく自分から言えるね」

騎士「いや、だってこれ絶対おかしくないでしょうか?!」

戦士「ぐー……ぐー」

僧侶「すや……すや」

勇者「むにゃむにゃ」ギュ

魔法「すぅ……すぅ」ギュウ

騎士(ね、寝れない……なんて恐ろしい拷問なんだ!)

騎士(男だよ! 俺男だよ?! いいの? 少しくらい手出しちゃうよ? 健全な男の子だよ?)ムク

魔法「むにゃ……昏睡、魔法」ボソリ

騎士「」ドサ

勇者「朝ごはんできたよー」

戦士「干し肉焼いて、木の実集めただけだけどな」

僧侶「騎士さん……今日はお寝坊ですね」

魔法「仕方が無い人だね。覚醒魔法!」カッ

騎士「っは!」

騎士「あ、あれ……俺は?」ボー

戦士「ほら、飯飯。食ったら出発するよ」

騎士「ああ……あれ、俺は昨日……あれ?」

……
勇者「いやー……なんかここ数日、あたしあまり戦っていない」

戦士「敵が出る、騎士が飛び出てズバン! K.O. You Win!」

魔法「Perfect! Bonus 10,000Point!」

騎士「意外と魔法使いさんはノリがいいんだな」

僧侶「普段はクールな方なのに……本当に不思議です」

魔法「ただの口調の問題じゃないかね?」

勇者「かくいう騎士君もだいぶ素が出てきたね。口調も凄く砕けてきたし」

戦士「あたしとしちゃあ、今の騎士のがとっつき易くていいわぁ」

騎士「流石に数日も寝食を共にすればね」

魔法「あらやだ……同棲しているみたい」

僧侶「その数日全て野営ですけどね」

戦士「さあて久しぶりの町だな」

勇者「昼食に間に合ってよかったー! お店探そうよ!」

僧侶「ここら辺ですと、やはり鶏は外せませんねっ」

魔法「いやいや、ここは合えて麺類もいいんじゃないかな?」

騎士(この町って残っていたんだ……凄いな)

騎士(……もうあの店はないんだろうなぁ)フラフラ

戦士「おい、騎士が何処かへ……」

勇者「ありゃー? 空腹のあまりに匂いに釣られたかな?」

魔法「とりあえず追いかけてみようか」

騎士(違う建物になってら……はは、当然だよな)

勇者「おおーい、どうしたんだい?」

騎士「いや、良い匂いがしたもんだからきたんだが……」

戦士「へーこんな所にも店があるのか」

騎士(昔は美味い鳥の鍋物やっていたんだが……店の名前も違うしなぁ)

僧侶「ああ、良い匂い! もうここにしましょうよ!」

魔法「そうだね、こんな所にあるんだし隠れた名店かもしれないな」

勇者「ほっほう……ここは鍋物が多いですな」

戦士「やべぇ、全メニュー食ってみたくなるな」

僧侶「どんだけ滞在するつもりですか?!」

騎士(あれ……メニューが同じだ……ま、まさか!)

魔法「こんな所に来てしまっては……鶏は切れないね」

勇者「うーこれは悩むなぁ」

騎士(ああ……ああっ! 間違いない! ここはあの店なのか?!)

騎士(弟子とかが受け継いだ? いや何だって構わない! この匂い間違い無い!!)ゴクリ

戦士「騎士のやつ、すんげー顔で涎垂らしてるぞ……」ボソ

勇者「時々おかしくなるよね」ボソ

勇者「んーー! 美味しい!! 幸せ!!」ハフハフ

戦士「この鶏肉たまんねーなぁ!」モッグモッグ

魔法「このスープも……はあ、勇者じゃないけど幸せ……」スス

僧侶「野菜も鶏肉の旨みを吸っていて……たまらないですね」パクパク

騎士「あ~……冬場に食べたら堪らないだろうなぁ」

騎士(ああ……懐かしいなぁ。この味……数百年も経っているのに変わっていない)

騎士(はは、涙がでないよう気をつけないとだな)

勇者「あ~……美味しかった。凄い良い店だったねぇ」

戦士「こりゃあ騎士は勲章ものだな」

騎士「そんな大げさな」

魔法「それにしても、なんであんな所に向かっていったんだい?」

騎士「何か良い匂いがしたなぁっと思ったら本当に店があったんだよ」

勇者「本当に匂いに釣られたんだ」

僧侶「でもあの通りまで匂いがしてましたかねぇ……?」

騎士「ここにも聖堂があるのか……」

勇者「この辺りはだいたい何処でもあったはずだよ」

戦士「礼拝していくのか?」

僧侶「私は行って参りますが、皆さんはどうします?」

騎士「俺も行くよ」

勇者「あ、あたしもー」

魔法「私はいいかな」

戦士「じゃーあたしと魔法使いで宿屋探しておくわ」

僧侶「魔法使いさんが礼拝しないのも珍しいですね」

魔法「礼拝するとね、少しは魔力が回復するのだよ。最近はあまり魔法を使っていないから一晩寝ればいいのさ」

戦士「本当にとんでもない掘り出し物だな」

騎士(女神様、参りましたよー)

女神(あら……流石に数日共に行動すれば変わるのね)

騎士(何がですか?)

女神(その子達との距離よ。この間は一歩距離を開けていたじゃないの)

騎士(あーそれはまあ……そうですね)

女神(私としては少々寂しいところではありますが、貴方の為にも祝福致しましょう)

騎士(え、なにそれ。フラグ立ってたんですか? 期待しちゃいますよ)

女神(仮にそうであっても、流石に御互いが触れ合う事はできませんよ?)

騎士(触れ合えたらそうなるって事ですか? やばい、興奮してきた。ちょっと方法無いか旅しながら探してみます)

女神(どうしようこの子本気だった)

騎士(あれ、弄られてただけ?)

女神(そうですね、貴方達の感性で言いますと幼い頃から知っている近所のお姉さん、でしょうか)

騎士(何その具体的過ぎる例え。でもまあ、それならまだ可能性も……)

女神(……私、まだまだ貴方に対する理解が足りていなかったようね)

騎士(なんか凄いどん引きされてる。俺は何を間違ったのか……)

女神(貴方はそちらの女性達としっかりと良好な関係を築くように)

騎士(それはまあ、築くに越した事はありませんから努力しますが……)

勇者「やっぱり長い礼拝」

騎士「ええ、まあ……」

僧侶「その祈り、女神様にも届いている事でしょう」

騎士「それだといいんだがなぁ」

騎士(祈るどころか対話なんだけどもなぁ)

勇者「それじゃ宿に行こうか」

戦士「お、きたきた」

魔法「もしかして、騎士の礼拝が長いのはデフォルトなのかしら?」

僧侶「とても良い事ではありませんか」

勇者「まーまーそれはおいといて。二人して外で待ってるなんてなにかあったの?」

戦士「あーそれがだな……三人部屋と二人部屋しか空いていないんだとよ」

騎士「あー……俺野宿しようか?」

勇者「結論早いよ! しかも選択肢おかしいよ!」

魔法「騎士は相変わらずそこは固いねぇ」

戦士「あたしらはどう部屋割り組むかって考えてたんだが」

騎士「待て、貞操観念おかしくないか?」

戦士「野宿の時にさんざん一緒に寝ただろ」

騎士「野宿は止むを得ないとしても、一つ屋根の下で同じ状況はおかしいだろ」

魔法「別に一つのベッドに寝る訳でもなし。何をそんなに焦るんだい」

魔法「君だって立派に私達の仲間、討伐部隊の一員化しているんだ。おいそれと軽率な行動はするまいに」

魔法「それとも、そう思っているのは私達だけだったかな?」

騎士「……それは無い。出会って一週間程度と言えど、大切な仲間だ」

魔法「なら、私達は君との相部屋で不安を覚える事は無い」

魔法「これは信頼の証なのだよ」

勇者「魔法使いさんがかっこいい件」

僧侶「……素敵です」

戦士「あたし前衛だけどこの後衛なら抱かれてもいい」

魔法「勇者、僧侶、騎士は三……」

戦士「さーてそれじゃあ部屋割り決めようかっ!!」

勇者「厳選なクジ引きの結果」

魔法「折角、戦士がカミングアウトしてくれたのに……」

騎士「……」

勇者「おや、騎士君は凄い顔になっているね」

騎士「普通、俺は無条件で二人部屋じゃないのか?」

騎士「というかよくよく考えたら、野宿と違って他にも色々と困る事があるだろう!」

魔法「大抵はどうとでもなる事じゃないか」

騎士「えー……」

勇者「お風呂どうする?」

騎士「もういい……全てそちらにお任せします」

勇者「それじゃあ魔法使いちゃん、先に入ってきなよ」

魔法「一番風呂でいいのかい?」

勇者「どうぞどうぞ」

勇者「というか、あたしの後に入られると色々と怖い」

騎士「何それ怖い」

魔法「別に変態じゃないのだがね」

騎士「何の話?!」

勇者「……とまあそんな話がありまして」

騎士「作り話? ガチ?」

勇者「いやー魔法使いさんの噂は本当らしいし多分、ね」

騎士「でも、見境なしに襲い掛かる人でもないだろうし、御互い同意の上ならそういうのもありなのかなぁ」

騎士「……ああ、後に入られるのはってそういう」

勇者「そうそう」

魔法「ふう……空いたよ」サッパリ

勇者「それじゃあ、あたし入っちゃいますね」

魔法「はあ……ベッドで寝れる」トサ

騎士「……」ジー

騎士(女性と屋内でこう同じ空間で生活するの初めてだが……風呂上りって本当に色っぽいな)ゴクリ

魔法「おや? ……ふぅん」

騎士「え、こっち見るなりなに?」

魔法「初心だねぇ……経験ないのかい?」

騎士「……さあ? どうなんだろうね?」

魔法「それだけ喉を鳴らしておいて、言い訳がきくとでも? 最も記憶がないとは言え、君自身はそう思っているのだね」

騎士(やべー超恥ずかしい)

勇者「ふ~いいお湯でした」ホッコリ

騎士「……」ゴクリ

魔法「……」ニヤニヤ

騎士「そ、それじゃあ俺も入ろうかな」

騎士(うわああぁぁぁ魔法使いこええぇぇ)

勇者「?」

猿→水遁コンボ+容量制限涙目です

容量ひっかかるレス多くて続行無理すぎワロタ

分割とか残りのレスが五割増しじゃすまないからなぁ

とりあえず






女神「眠りなさい、勇者……魔王が再び蘇る時まで」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/write.cgi/internet/14562/1333795969/)
再開しているけどね

深夜に立てたが速報のが良かったのだろうか?

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