狛枝「君の銀の庭」罪木「ふぇ……?」 (93)

タイトルは関係ない

希望ヶ峰学園 中庭

罪木(ふゆぅ……入学初日から迷ってしまいましたぁ……)

罪木(どうしよう……もう入学式が始まる時間なのに……)

罪木(誰かに聞きたくても、私なんかに話しかけられたら皆さん困るだろうし……)

罪木(……あれ?)

狛枝「………」

罪木(中庭のベンチに、誰か座って……)

狛枝「ん?」

罪木「あ……!」

罪木(ど、どうしよう! き、気づかれてしまいましたぁ……!)

罪木「あ、あ、あの……その……!」

狛枝「やぁ、君もこの」

罪木「ご、ごめんなさぁい!!」

狛枝「……は?」

狛枝「……どうして急に謝るのかな?」

罪木「わ、私なんかに見られて、気分を害されてしまいましたよね?」

罪木「ごめんなさぁい! なんでもするので許してくださぁい!!」

狛枝「君が何を行っているのかちょっと良くわからないけど」

狛枝「混乱してるならほら、深呼吸深呼吸」

罪木「は、はい……すぅ……すぅ……すぅ……」

狛枝「吸い過ぎだよ」

罪木「ハッ!? ご、ごめんなさぁい!!」

少しして

狛枝「落ち着いた?」

罪木「は、はい……すみません、取り乱してしまって……」

狛枝「まぁ、入学初日だからね、緊張するのも無理はないよ」

罪木「ふえぇ!? なんで、私が新入生だって……?」

狛枝「同級生になる人達だからね、ちょっと下調べをしておいたのさ」

罪木「そうなんですかあ。……え? 同級生、って……」

狛枝「あぁ、自己紹介がまだだったね」

狛枝「ボクは狛枝凪斗。君と同じ希望ヶ峰学園の新入生さ」

狛枝「よろしくね。超高校級の保健委員、罪木蜜柑さん」

罪木「あ……はい……よろしくお願いしますう」

罪木「……あれ? 狛枝さんも新入生、なんですよね?」

狛枝「まぁ、信じられないかもしれないけどそうなんだ」

狛枝「ボクみたいな最低で最悪で劣悪で愚かな奴が君みたいな才能ある希望の持ち主と同じだなんて、虫唾が走るだろうけどね」

罪木「す、すみませんすみません! 決してそんな、狛枝さんを問い詰めるような意味で言ったんじゃ……」

罪木「か、体に落書きしても構わないので許してくださぁい!!」

狛枝「いや、ボクの方こそ……っと、これじゃあ埒があかないね」

狛枝「何か言いたいことがあったんじゃないの?」

罪木「あ、その……新入生なら、入学式はどうしたのかな、と思いまして……」

罪木「実は、私この学園の中のことが分かってなくて、もし良かったら、案内していただけたらなあ、って……」

狛枝「ああ、そういうこと」

狛枝「残念だけど、それは無理なんだと」

罪木「うぅ……そうですよね、私なんかに教えたら狛枝さんの貴重な時間を無駄に……」

狛枝「いや、そうじゃなくてさ」

罪木「ふぇ?」

狛枝「ボクにも分からないんだよね、体育館の場所」

罪木「え、えええぇ!?」

狛枝「不幸なことに入学案内が入ったバッグをひったくられちゃってさ」

狛枝「定期入れと財布は服に入れておいたから無事だったんだけど……」

罪木「じゃ、じゃあ急いで警察に……それに、もう式まで時間が……!」

狛枝「ああ、それなら心配いらないよ。なんとかなるからさ」

罪木「そんな、大丈夫なワケが……」

狛枝「いや、本当に大丈夫なんだよ」

狛枝「ボクの超高校級の幸運の才能があれば、ね」

罪木「幸運……?」

小泉「あ、居た居た!」

罪木「ひぃっ!?」

小泉「アンタ達、新入生でしょ? もう入学式始まっちゃうよ!」

罪木「ご、ごめんなさぁい!!」

狛枝「ゴメンネ、わざわざ探しに来てくれたの?」

小泉「新入生一同でね。誰かが欠けてたら、式にならないでしょ?」

小泉「ほら行くよ。みんな待ちくたびれてるんだから!」

罪木「は、はいぃ……」

罪木(……本当に、なんとかなっちゃいました)

狛枝「言ったでしょ?」

罪木「ひぅ!?」

狛枝「なんとかなるって」

罪木「は、はい……」

罪木(……不思議な人、だなぁ……)

小泉「みんな! 最後の二人、見つけたわよー!」

数日後 中庭

罪木(……なんとなく、会えると思って来てしまいました)

罪木(けど、会った所で特にお話することなんて……)

罪木「……!」

罪木(あのベンチに座ってるのは……)

狛枝「ん?」


罪木「あ……」

狛枝「……やぁ」

狛枝「また会ったね」

罪木「は、はい……ぐ、偶然ですねえ……」

狛枝「そうだね。こんなところで会えるなんて、ボクはツイてるよ」

罪木「そ、そうですね……ハッ!? ご、ごめんなさい! 私なんかに会いたかったワケ無いですよね!」

罪木「自意識過剰ですみません! あの、こ、これでどうか……!」つ【1000】

狛枝「千円って……今どき子供のお小遣いにすらならないよ」

罪木「ご、ごめんなさぁい……!!」

狛枝「はは、冗談だよ。それに、それももうしまっていいから」

狛枝「とりあえず座ったら?」

罪木「あ、で、では……失礼します……」

ストン

罪木「………」

狛枝「………」

罪木「………」

狛枝「………」

罪木「……す、すみませぇん……!」

狛枝「……今度は何かな?」

罪木「折角横に座らせて頂いたのに、私、面白いこと何も言えなくて……!」

罪木「ぶ、豚のマネで良ければ出来ますから、それで許してくださいぃ!」

狛枝「豚のマネか、それは少し興味があるね」

罪木「で、では」

狛枝「でも、今はいいよ」

罪木「ふえぇぇ……ごめんなさい、やっぱりそんなことじゃ満足できいませんよね……」

狛枝「それよりさ、君の事を聞かせてくれないかな?」

罪木「え……私、ですか……?」

狛枝「うん。ボクは君に興味があるんだ」

罪木「ふえええぇぇ!?」

狛枝「正確に言うと、君のその才能にって言った方がいいかな」

罪木「あ、そ、そうですよね……」

狛枝「実はみんなにも聞いてるんだよ。今の才能をどうやって自覚したのか、ね」

罪木「才能を自覚、ですか……?」

狛枝「ボクはね、君達のその才能に対して畏敬の念を持っているんだよ」

狛枝「いや、畏敬なんて堅苦しいものじゃないな……もっと、単純で、複雑で、浅くて、深い……」

狛枝「そう、愛しているといった方がいいね」

狛枝「ボクは君達の才能が希望となって輝く姿が見たいんだ」

狛枝「そのためには、ある程度事前に情報は集めておきたいじゃない?」

狛枝「だから、話を聞こうとしてるんだけど、これを言うとみんな逃げていっちゃってね」

狛枝「どうしたものかと思案してたところに君が来てくれたのさ」

狛枝「いやぁ、ボクはやっぱりツイてるよ!」

罪木「……あ、あの」

狛枝「何かな?」

罪木「ちょっと、失礼しますね」

狛枝「おでこなんて触ってどうしたの?」

罪木「……熱は、無いみたいですね……」

狛枝「はは、流石は超高校級の保健委員だね。けど、ボクはこの通り健康だよ」

罪木「え、ええと……ちょっとその、私には理解しがたいというか……」

罪木「はぁ! わ、私なんかにこんなこと言われたくないですよね!?」

罪木「ごめんなさい! ごめんなさぁい!!」

狛枝(……彼女から話を聞くのは、骨が折れそうだね)

数日後 中庭

罪木(あの後結局逃げてしまいました……)

罪木(クラスの皆さんが話していたのを聞く限り、狛枝さんの評判はあまり良くないみたいです……)

罪木(……って、私が言えたことじゃないですけど……)


罪木「あ……」

狛枝「……やぁ」

狛枝「最近良くここで会うね」

罪木「そうですね……教室は、同じですけど……」

狛枝「ところで、この間の話なんだけど」

罪木「ひぅ!?」

狛枝「ああ、安心してよ。別に無理やり聞き出そうってワケじゃないから」

罪木「ほっ……」

狛枝「まぁ、君の希望が輝くならボクはそれでも構わないけどね」

罪木「ひぃぃ!?」

罪木「うぅ……狛枝さんのこと、やっぱりよく分からないです……」

狛枝「ははは、よく言われるよ」

罪木「……入学式の時は、私を助けてくれて。すごく良い方だと……」

罪木「あ、け、決して今が最悪ってことじゃないんです! ごめんなさい!!」

狛枝「いや、その認識は間違ってないよ。ボクは最悪で最低(ry」

狛枝「けど、残念だね。ボクはみんなの希望のためにやっているだけなのに」

狛枝「理解されないっていうのはやっぱり辛いね。絶望的だ」

狛枝「けど、ボクはこの絶望を乗り越えた先に、君達の輝かしい希望があると確信しているんだ」

罪木「………」

罪木「あ、あのぉ……」

狛枝「ん……?」

罪木「そ、その、迷惑でなければなんですが。ひとつ聞いてもいいですか……?」

狛枝「なにかな?」

罪木「狛枝さんは、どうしてそんなに希望に執着しているんですか……?」

狛枝「……そんなのは決まってるよ」

狛枝「前にも言ったけど、ボクは君達の才能を愛しているんだ」

狛枝「これはね、言うなれば無償の愛のようなものなんだよ」

狛枝「だから、どうしてと聞かれても、明確な答えなんて出るわけがない」

狛枝「愛は誰しもが持っているけど、その存在を証明できないようにね」

狛枝「わかるかな? いや、分からなくても良いんだよ」

狛枝「これはボクだけの愛だから、誰にも理解されないだろうし、誰にも渡すつもりはない」

狛枝「ボクにとっての希望は、そういうものなんだよ」

罪木「……愛……」

狛枝「ああ、ちょっと話しすぎちゃったね」

狛枝「ボクなんかのつまらない話に君を付き合わせてゴメンよ」

狛枝「さて、ボクはそろそろ行こうかな」

罪木「あ、あの……!」

狛枝「ん?」

罪木「……あ、いえ……なんでも、ないです」

狛枝「……ふーん」

数週間後 中庭

罪木(はぁ……今日も西園寺さんに怒られてしまいました……)

罪木(私がトロくてドジだから……)

罪木(でも、なんとか豚のマネで許してくれて……)

罪木(えへへ、やっぱり優しい人かもしれません。……あれ?)


罪木「あ……」

狛枝「……やぁ」

罪木「こ、狛枝さん!?」

狛枝「なんだか久しぶりな気がするね」

罪木「ど、どうしたんですか、その怪我!」

狛枝「ああ、これ? 実は上から落ちてきた植木鉢に当たっちゃってね」

狛枝「なんとか腕で致命傷は防いだんだけど、破片で腕を切っちゃってさ」

狛枝「いや、とんだ不運だったよ」

罪木「い、言ってる場合ですか!? と、とにかく早く治療しないと!」

狛枝「大丈夫だよ、これくらいは。君の才能を煩わせる程の怪我じゃ……」

罪木「切り口からばい菌が入るかも知れません! い、いいから早く行きましょう!」

グイッ

狛枝「いてっ」

罪木「ああ!! ご、ごめんなさい! ごめんさぁい!!」

保健室

罪木「……これで、よしと」

狛枝「ありがとう。見事な手つきだったよ、流石だね」

罪木「いえ……私も、こうして誰かの役に立てるのが、うれしいので……」

狛枝「なるほどね、それが君の希望ってことかい?」

罪木「そうなのかは、分からないですけど……」

罪木「私、昔からいじめられていたので、誰にも必要とされないと思っていたんです」

罪木「でも、こうやって誰かを治療している時は必要とされてるって実感があって……」

狛枝「そこで夢中になっていくうちに、今の才能に気がついたってことか」

狛枝「けど、ボクには話したくなかったんじゃないのかい?」

罪木「そうなんですけど……この前の狛枝さんを見ていたら、ちょっと気が変わって……」

狛枝「この前……?」

罪木「愛とかの話は、私にはよく分からなかったですけど……」

罪木「昔から、いじめられていた私には分かるんです……」

罪木「狛枝さん、希望を愛してると言うより……憎んでるって感じがして……」

狛枝「……!」

狛枝「……どうしてそう思ったのかな?」

罪木「確証とかは無いんですけど……その……」

罪木「昔からそういった感情をぶつけられてきた所為か、分かっちゃうんです……」

罪木「そういう感情を持ってるかどうか……」

狛枝「……へぇ」

狛枝「だとしたら、罪木さんは才能をもうひとつ持っているのか」

狛枝「素晴らしいよ! 君はまさに希望と言うべき存在だね!」

罪木「……」

狛枝「こんな怪我までした甲斐があったよ」

狛枝「目の前で、こんなに輝かしい希望を見ることが出来たんだからね」

狛枝「……さて、じゃあボクは行かせてもらうよ」

罪木「え、で、でもまだ……」

狛枝「大丈夫だよ。腕は罪木さんに治療してもらったし」

狛枝「それに、今回の不運に見合う幸運にも巡り会えたしね」

罪木「……??」

狛枝「ああ、そう言えば言ってなかったね」

狛枝「ボクの幸運はね、不運の後にやってくるんだ」

狛枝「そして、その不運が大きければ大きいほど、後の幸運も大きくなる」

狛枝「逆もまた然り、だけどね」

罪木「え、ど、どういうことですかあ……?」

狛枝「例えば入学式の日、ボクはひったくりに遭うという不運に襲われた上に学園で迷ったよね」

狛枝「けど、幸運なことに財布は無事で、しかも幸運なことに小泉さんに会場まで案内してもらえた」

狛枝「ね?」

罪木「ね? って、言われてましても……」

狛枝「とにかく、そういうふうに出来ているんだよ」

狛枝「幸運と不運は差し引きゼロ。ボクの幸運はそういう仕組なんだ」

罪木「……そんな、そんなの……」

罪木「狛枝さんは……ずっと幸せになれないって言われてるようなものじゃないですか……」

狛枝「そうかな? 確かにゴミみたいな才能だけど、使える時だって……」

罪木「う、うぅ……」

狛枝「えっ」

狛枝「ど、どうして罪木さんが泣くのさ?」

罪木「ご、ごめんさぁい……ごめんなさぁい……」

狛枝「謝ってるだけじゃ分からないんだけど……」

罪木「……私も、だから……」

狛枝「え?」

罪木「私も、幸せになっちゃいけないって……昔から……」

罪木「だから、狛枝さんの気持ちも、分ちゃって……私なんかに分かるはずな無いのに……」

罪木「おこがましくて、ごめんなさぁい……!!」

狛枝「……」

罪木「う、うええええぇぇぇぇぇぇぇん!!」

狛枝「……はぁ、なんだかボクが泣かせたみたいじゃない」

罪木「ご、ごめんなさ」

狛枝「けど」

ポスッ

罪木「ふぇ……」

狛枝「こんなどうしようもないクズのために泣いてくれるなんて」

狛枝「やっぱり、君は希望に相応しい人だよ。罪木さん」

数ヶ月後 中庭

罪木(あの日以来、狛枝さんと話す機会が増えました)

罪木(狛枝さんだけでなく、クラスメートの皆さんとも)

罪木(みんないい人達です。私を殴ることも蹴ることも無ければ、タバコの火を押し付けてくることもありません)

罪木(狛枝さんは、やっぱりたまにわからないことがありますけど……)

罪木(あの時、頭を撫でて貰った感覚は、暖かくて……)


罪木「あ……」

狛枝「……やぁ」

罪木「こ、狛枝さん!?」

狛枝「ここで会うのは久し振りだね。いつも教室だから」

罪木「そ、そそそうですね……」

狛枝「? どうかした?」

罪木「い、いえ! なんでも……」

罪木(なんだか落ち着きません……)

狛枝「そう。君も文化祭のアレを見に来たの?」

罪木「アレ?」

狛枝「超高校級の彫刻家が作成している巨大像」

狛枝「モチーフは……クマ、なのかな? まぁとにかく、今回の文化祭の目玉だって話だよ」

狛枝「仮組みの足場まで設置して、本格的だよね」

罪木「そ、そうですね……」ソワソワ

狛枝「? ……ああ、ごめんね。君も準備の途中だった?」

罪木「あ、は、はい。ナース喫茶の衣装を運ぶように言われてて……」

狛枝「なるほどね。なら、ボクも手伝うよ」

罪木「あ、ありがとうございますぅ……」

グラァ

「危ない!!」

罪木「ふぇ……?」

狛枝「! 罪木さん!!」

ガラガラガラガラ……!!

教室

澪田「いやー、にしても九死に一生ってやつッスね!!」

小泉「まさか足場が倒れてくるなんて、ホントに大丈夫なの罪木ちゃん?」

罪木「は、はい……狛枝さんが助けてくれて……」

西園寺「へぇー、希望中毒の狛枝おにぃもたまには役に立つじゃん」

狛枝「はは……」

小泉「とりあえず、罪木ちゃんはここでちょっと休んでて。衣装運びは私達でやるから」

罪木「で、でも……」

澪田「いいから任せるっすよ! 唯吹がいればイナバの物置っす!」

西園寺「なにそれ? ガラクタつめ込むしか能が無いってこと?」

澪田「たはー!! 違うっす! 百人力ってことっすよ!」

西園寺「とにかく、小泉おねぇがここまで言ってるんだから大人しくしてなさいよねゲロブタ!」

澪田「スルーのナイフで滅多刺しっすね!!」

罪木「あ、ありがとうございます」

小泉「うん! じゃあ狛枝、罪木ちゃんの面倒お願いね」

狛枝「え?」

小泉「え? じゃないでしょ。男の子なら最後まで面倒見てあげなさい」

狛枝「……分かったよ」

小泉「よし。それじゃ、行ってくるね」

………

狛枝「………」

罪木「……あ、あの、狛枝さん? さっきは、その、危ないところを……」

狛枝「ボクのせいだね」

罪木「ふゆぅ……?」

狛枝「この数ヶ月、君達と過ごして忘れかけてたよ」

罪木「こ、狛枝さん……?」

狛枝「罪木さん、忠告する……ボクとはもう関わらない方がいいよ」

罪木「……へ……?」

狛枝「みんなにも、そう言っておいてくれる?」

狛枝「もっとも、ボクと好き好んで関わってた人なんて、この学園にはいないけど」

罪木「ちょ、ちょっと……待ってください……」

狛枝「ボクの幸運の仕組みは前に説明したよね?」

狛枝「ボクの幸運は必ず不運を伴ってやってくる」

狛枝「きっと、本来ならさっきの事故も、ボクだけに降り掛かってくるものだったんだろうね」

狛枝「でも、今回は君も巻き込んでしまった」

狛枝「この学園に来れば、ちょっとはマシになるかと思ったけど、やっぱりそうでもなかったみたいだね」

罪木「待って……」

狛枝「でも、気にする必要はないよ。この才能のせいで、昔から一人でいるのは慣れて……」

罪木「待ってくださいよ!!!」

狛枝「!」

罪木「狛枝さんが希望を求めてたのって、そういうことだったんですか……?」

罪木「自分の幸運のせいで傷つかない、自分の幸運も跳ね除ける、そんな人……」

罪木「それが、狛枝さんの言う希望ってこと何ですか……?」

狛枝「………」

罪木「狛枝さん……?」

狛枝「は、はは……」

狛枝「あはは」

` 、  .-= 、_ _ _ / /    _ _ _ _ ,,, -´´ /            (´ `\  (´`ヘ
/\    ` 、 _ _ ,ノ'/ ,,,,,イ ´ /   ___     \ /   /l     __    \  \ヘ  ヘ
; ; /丶、 _ _ _ _   l / /´ | /   |r≡三ミ、 ヘ {    { l     (  `  、 ヘ   ヘ   ヘ
; ;;l; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; l  リ l   l /   ゞ巛◎i》》l  l   l ヘ     `ヘ   `丶ヘ   ヘ   l
; ; \; ; ; ; ; ; ; ; ; ;;;/    l  リ|    ヾ三彡''''l  l   l _ \__    \  `l   l    l
; ; ; ; \, - - - '´    /丶 _.イ         ̄   l  l __二(、_ _  `へ  l   l   l   l
; ; ; ; ; ; \- 、    /l     l   -t- 、      l l 《巛合ミ、\ヘ   ヘ l    l   l  l
\; ; ; ; ; ; \; ;`; .- ´; ;/   /ヘ.   l丶        / l l `ゞ≡彡i  l ヘ  ヘ    l   ヘ /
; ;;;\; ; ; ; ; ; \; ; ; ;/   /l ヘ   |ヘ \     / ヘ  ` ̄´ / l ヘ  ヘ   ヘ    l
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; ; ; ; ; ; ; ; ;//; \; ; ; ;ヘ; ; ; ; ヽ    \ _ _ ,  イi ´   /   l l _/          /- 、
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    |;;〈〈; ; ; ; ; ; ; ; ; ;/;;\; ;\ヽ     l ヽ; ;l l; ; ; ;;;\ ヘ i; ; -; ;-; ;-;;-;; ̄; ; ; ; ;.;|
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狛枝「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!ハッハハハハハハハハハハハ!!!」

罪木「ひぃ……!?」

狛枝「そうか、そうだったのか……」

狛枝「自分自身でも気が付かないことって、本当にあるんだね」

狛枝「素晴らしいよ! やっぱり、罪木さん。君は希望かもしれないよ」

罪木「す、すみません、何を言っているのか……」

狛枝「ああ、ゴメンゴメン。つい可笑しくてね。こんな簡単なことにすら気が付かなった自分がさ」

罪木「え……えっと……?」

狛枝「今思い返して見れば、君の言うとおりなんだよ」

狛枝「ボクが昔大切だと思ってた人達は、みんなこの能力のせいで不幸になっていった」

狛枝「自分でも信じられないんだけど、ボクはどうやら、そのことに対して絶望していたらしいんだ」

狛枝「だから、希望を。絶対的な、何者にも負けない希望を求めたんだ」

狛枝「すごいや! まるでパズルのピースがハマって行くような感覚だよ!」

罪木「ふ、ふええぇ……?」

狛枝「そうか、つまり、ボクが本当に求めていた希望は……罪木さん!」

罪木「は、はひっ!?」

狛枝「ボクと……友達になってくれないかい?」



罪木「は……へ…………は、はい」




.

数ヶ月後 中庭

罪木(こうして、私と狛枝さんは友達になりました)

罪木(友達。それは私がずっと欲しかったもの)

罪木(前からなんとなく、思っていたのですが……)

罪木(狛枝さんは、やっぱり私に似ているのだと思います)

罪木(どこか、本質的な部分で、私達は通じ合うところがあったんだと思います)

罪木(そう考えると、やっぱり……)

罪木(あの日、狛枝さんに会えたのは……)

罪木(『幸運』だったのかもしれません)

罪木「あ……」

狛枝「……やぁ」



狛枝「今日は、何を話そうか?」

END・・・?

まどか観た後飲んだテンションで書いたせいでよくわからんことになりました。
でもまだちょっとだけ続くんじゃよ。

中庭

罪木(ある日を堺に、狛枝さんはぱったり姿を見せなくなりました)

罪木(『やることが出来た』と言っていましたが、何があったのでしょう……)

罪木(クラスの皆さんも心配しています)

2日後

罪木(狛枝さんは、今日も居ません)

………

1週間後

罪木(狛枝さんは、今日も居ません)

………

1ヶ月後

罪木(江ノ島盾子という後輩の子に会いました)

………・

3カ月後

罪木(狛枝サンは、今日もイません)

……・・………・

半年後

罪木(コマエダさん、は、今日もいません)

*ヶ月後

罪き(コマエダさんは今日もいあmせn)

…・・・・………・・

すうgかせう後

つみき(こませがだsn、きょうhもいませ9

・・・・・・・・・・・・・・・……


・・・・・・・
 …?・   ・・・・・・・・・・

‥・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・


・・・・・・

‥‥うぷぷ


うぷぷ‥‥‥ぷぷぷ‥‥


うぷぷぷぷぷぷぷぷぷ……!!

江ノ島「絶望しちゃった?」

??? ???




罪木「あ……」

狛枝「……やぁ」



狛枝「君もこっちに来たんだね」

狛枝「君は希望だと思っていたんだけど、ガッカリだよ」

狛枝「本当、がっかりし過ぎて……心地良いくらい絶望的だよ」

罪木「………」

狛枝「何か言って欲しいんだけど……まぁ、ボクなんかの話なんて聞いてくれないか……」

狛枝「ねぇ、罪木さん……」

ゴト

罪木「!!」

狛枝「ああ、『これ』は音だけで反応してくれるんだね。流石だよ」

狛枝「ねぇ、罪木さん」

狛枝「君としては、『これ』をただ腐らせて行きたくはないだろう?」

罪木「はぁ、ああん……盾子様……盾子様……」

狛枝「だからさ、『これ』を、ボクの一部にして欲しいんだ」

狛枝「そうすれば、君は生きた彼女にまた触れられる」

狛枝「ボクは、憎き彼女を自分の一部として取り込める」

狛枝「やってくれるよね……なんせ君は、超高校級の保健委員……」

狛枝「……ああ、今はただの絶望だったね」

罪木「盾子様……盾子様……」

罪木「盾子様……盾子様……」

罪木「盾子様……盾子様……」

罪木「盾子様……盾子様……」

罪木「盾子様……盾子様……」
罪木「盾子様……盾子様……」
罪木「盾子様……盾子様……」
罪木「盾子様……盾子様……」
罪木「盾子様……盾子様……」
罪木「盾子様……盾子様……」

― initialize ―

……

……

……

ジャバウォック島 砂浜

狛枝「おーい? おーい」

狛枝「……参ったな。目覚める気配がない」

狛枝「これは、誰か呼んだ方が……おっ、おーい!」



罪木「あ……」

狛枝「……やぁ」

罪木「ど、どうされたんですかぁ……?」

狛枝「実は、彼が気絶したまま動かなくなっちゃって」

罪木「た、大変じゃないですか……!」

狛枝「確か、君は超高校級の保健委員、だったよね?」

罪木「は、はい」

狛枝「一緒に彼を介抱してもらえないかな? ほら、ボクそういう知識はからきしで」

罪木「わ、分かりました……。じゃあ、とりあえず日陰に移動させましょう」

狛枝「そうだね」

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