赤沢「恒一くん、演劇の練習に付き合ってくれない?」(346)

恒一「演劇の練習?」

赤沢「そう。部活で今度発表があるから」

恒一「うーん…僕は演劇の経験なんてないし、ちょっと力になれそうにないなぁ」

赤沢「大丈夫よ。あなたの演技力には最初から期待していないし、台本を棒読みしてくれればそれでいいから」

恒一「はっきり言うね…。いや、でも…演劇の練習なら小椋さんとか綾野さんを相手にしたほうが良いんじゃない?同じ演劇部なんだし」

赤沢「男役を相手に練習したいのよ」

恒一「じゃあ勅使河原とか望月くんでも良いんじゃ」

赤沢「勅使河原?あんな奴、冗談じゃないわ。望月くんは女の子っぽいしダメよ。恒一くんがちょうどいいの」

恒一「あ、千曳先生は?演劇部の顧問なんでしょ?」

赤沢「先生はおじさん過ぎるわ。同世代の役だからイメージしにくいのよ。ね、お願い恒一くん」

恒一「…まぁ…そこまで言うならいいけど…」

赤沢「 ありがとう。じゃあ放課後、教室に残っててちょうだいね。みんなが帰ったら始めましょう」

放課後

見崎「……」スタスタ

恒一「あ、見崎、もう帰るの?僕も一緒に…」

赤沢「ちょっと!」ガシッ

恒一「ぐぇ。な、なに?どうしたの赤沢さん…」

赤沢「どうしたのじゃないわよ。練習に付き合ってくれるって約束したじゃない。何帰ろうとしてるのよ」

恒一「あ、あぁ…そうだったね。忘れてた…」

赤沢「…」ジトー

恒一「あ、いや、これはきっと災厄のせいだよ。記憶が改竄されて…」

赤沢「何よそれ。下手な言い訳ね。とにかく約束通りちゃんと残ってて」

見崎「……」スタスタ

30分後

恒一(はぁ…。見崎帰っちゃったな…)

赤沢「みんな帰ったわね。じゃあ早速始めましょう」

恒一「赤沢さん、さっきも言ったけど本当に僕演劇の経験なんてないからね?」

赤沢「わかってるわよ。あなたは台本をただ読んでくれればいいから。はいこれ、台本」

恒一「うん…。あれ?一冊しかないけど、赤沢さんは台本いらないの?」

赤沢「演劇部のエースを舐めないでほしいわね。台本は全部頭に入ってるわよ」

恒一「そうなんだ。さすがだね。……ん?」

赤沢「どうかした?」

恒一「あ、いや…あの…台本に書いてあるこのタイトル…」

恒一「『イズミ☆コウイチ★ジェットコースターラブストーリー』って…何これ…?」

赤沢「何って、タイトルよ。演劇のタイトル」

恒一「いや、それはわかるんだけど、え?おかしくない?このタイトル」

赤沢「何もおかしくないわ。さ、早く台本開いて。まずはあなたの台詞からよ」

恒一「う、うん」ペラ

恒一「!?」

恒一「あ、あの…赤沢さん。この役名は一体…」

赤沢「何か問題ある?」

恒一「思いっきり『榊原コウイチ』『赤沢イズミ』って書いてあるんだけど…」

赤沢「いきなり役になりきるのは初心者には難しいでしょ。だからあなたはあなたを演じればいいの。それなら簡単でしょう?」

恒一「なんだかややこしいな…」

赤沢「じゃ、始めるわよ。3、2、1、キュー!」

第一幕
場面:夕暮れの教室。コウイチはイズミを呼び出す。

コウイチ:ア、赤沢サン。急ニ呼ビ出シテゴメン

イズミ:全くよ。対策係で忙しいのに。で、何?話って

コウイチ:ジ、実ハ赤沢サンニズット伝エタイ事ガアッタンダ

イズミ:伝えたいこと?

コウイチ:実ハ僕、ズット前カラ赤沢サンノコトガ…

恒一「あの、ちょっといいかな?」

赤沢「何よ。いきなり中断しないでくれる?」

恒一「この台詞、本当に言うの?」

赤沢「言ってくれなきゃ練習にならないでしょ」

恒一「そ、そうだよね。あ、あー…コホン」

コウイチ:実ハ僕、ズット前カラ赤沢サンノコトガ好キダッタンダ!///

イズミ:えっ…?な、なに言ってるのよいきなり…。冗談でしょ?

コウイチ:冗談ナンカジャナイヨ!赤沢サン、僕ト付キ合ッテクレナイカ?///

イズミ:こ、恒一くん…。でも…あなたにはもう付き合ってる人が…

コウイチ:見崎トハナンデモナインダ!誤解ダヨ!アンナチンチクリン…見崎ガ一方的二ツキマトッテクルダケダヨ!僕ガ好キナノハ赤沢サンダヨ!赤沢サンダケヲアイシテルンダ!!

恒一「あの…何なのこの台本…?何で見崎の名前まで出てくるわけ?」

赤沢「何でもなにもないわ。そういうシナリオなのよ」

恒一「……」

赤沢「何か問題ある?」

恒一「問題っていうか…この台本書いたの誰?」

赤沢「私だけど」

恒一「……」

恒一「えーと…赤沢さんはこれを演劇部で発表するの?」

赤沢「そんなわけないじゃない。さっきも言ったようにこれはあなたがやりやすいように役名を変えてるだけよ」

恒一「余計やりにくいんだけど…」

赤沢「ごちゃごちゃ言ってないでほら、さっさと次いきましょう」

恒一「う、うん。えーっと……」

コウイチ:ダ、ダカラオ願イダ!僕ト付キ合ッテクレ!絶対幸セニスルカラ!

イズミ:き、急にそんな事言われても困るわ…。わ、私帰るから!(イズミ、焦って帰ろうとする)

コウイチ:待ッテ!(コウイチ、イズミの腕を掴んで引き止める)

イズミ:っ…!

コウイチ:チャント返事ヲ聞カセテクレ!

イズミ:こ、コウイチくん…。わ、私は、その…///

イズミ:私は……付き合ったりとか…したことないし…それに今年は受験とか…災厄とか…

コウイチ:ソンナノ関係ナイヨ!災厄モ受験モ二人デ乗リ越エヨウ!

イズミ:コウイチ…くん…

イズミ:う、うん…///いいよ…。じゃあ…私は…今からコウイチくんの彼女…ね///

コウイチ:赤沢サン……イヤ、イズミ!!

恒一「…」

赤沢「ちょっと。何突っ立ってるの?ちゃんと台本通りやってよ」

恒一「え?」

赤沢「台本に書いてるでしょ。ほら、ここ!」パンパン

赤沢「『コウイチ、感極まってイズミを抱き寄せる』って」

恒一「え…?これ本当にやるの?」

赤沢「当たり前でしょ。さ、早く」

恒一「あ…う、うん…」

コウイチ:イズミ!愛シテル!(そ~っ…

赤沢「カットカット!何よそのビクビクした抱擁は」

恒一「いや、だって…」

赤沢「ちゃんと力一杯やってくれないと練習にならないわ」

恒一「わ、わかったよもう…」

コウイチ:イズミ!愛シテル!(ガシッ ギュッ

イズミ:あっ///こ、コウイチくん…///

恒一(う、うわ…やばい…赤沢さん意外と華奢だな…///)

コウイチ:イズミ…!僕、嬉シイヨ!(ギュウウウ

イズミ:ふふ、私も///

コウイチ:キスシテイイ?

イズミ:……うん///

恒一「あ、あの…赤沢さん…まさかこれもやらなきゃダメなの?」

赤沢「当たり前でしょ」

恒一「いや、でも…キ、キスって…。フリだけでいいんじゃないかな…」

赤沢「何言ってるの?お芝居舐めてるの?」

恒一「そういうわけじゃないけど…。大体このコウイチおかしいよ。手が早過ぎるよ…」

赤沢「ドラマのキスシーンでフリだけやられても興醒めでしょ。ちゃんと台本通りやって。それに素人が脚本に文句言うなんて10年早いわ」

恒一「ていうか…い、いいの?赤沢さん的にもまずいんじゃ…」

赤沢「何がまずいわけ?」

恒一「いや…だから…。あ…あぁ~っもう!わかったよ!するよ!」

赤沢「じゃ、続けるわよ」

コウイチ:イ、イイイイズミ…メメメメ目ヲ閉ジテ…///

イズミ:ん…

恒一「……」ドキドキドキドキ

イズミ:……

恒一「ゴクリ…」ドキドキドキドキ

赤沢「……はやくしなさいよ」ボソッ

恒一「あ、う、うん…」

コウイチ:……(ドックンドックンドックン

イズミ:…(スル ガシッ

恒一(ちょっ…!赤沢さん!?後ろに腕回してくるなんて台本に書いてな…///)

中尾「ふぃー!やべーやべー。ノート忘れちまったよ」ガララ

中尾「!?」

恒一「!?」バッ

赤沢「あっ…」

中尾「あ、あ……お、お前らい、いま…キ、キ…」アワワ

恒一「な、中尾くん!ち、違うんだ!今のは演劇の練習で…その…」アタフタ

イズミ:恒一くん、早く…

恒一「!?赤沢さん、な、何を言って…」

イズミ:ほら、早く(ンーッ

中尾「マ、マジかよ…お前らデキてたのかよ…」ヨロヨロ…オエーッ

恒一「ち、違っ……ちょっ!?離れて赤沢さん!!」

イズミ:んーっ…(ズイズイ

中尾「う…」

中尾「うわあああああああああああ!!」ガチャバタン スタコラサッサ

恒一「あ、赤沢さん!何考えてるんだよ!?中尾くんに思いっきり誤解されちゃったじゃん!」

赤沢「別にいいじゃない。役作りの一環と思いなさい」

恒一「話が違うよ!僕はあくまでも練習台じゃなかったの!?」

赤沢「そのつもりだったけど、恒一くんけっこう素質ありそうだからこれを機にちゃんとお芝居始めてみたら?」

恒一「ムチャクチャだよ赤沢さん!……と、とにかく中尾くんの誤解をなんとかしないと…」

赤沢「…仕方ないわね。じゃあ私が明日中尾に説明するわよ。それでいいでしょ」

恒一「う、うん…」

赤沢「じゃあ、練習の続きをしましょう」

恒一「まだやるの!?」

赤沢「こんなところで中断したらキリが悪いわ。第一幕だけでも最後までやらないと」

恒一「…わかったよ。で、でもやっぱりキスシーンは省略してもらえないかな…」

赤沢「…仕方ないわね」

イズミ:コウイチくん…私、今とっても幸せよ

コウイチ:ボ、ボクモダヨ

イズミ:そろそろ帰ろっか。誰かに見られたら恥ずかしいし…///

コウイチ:ソ、ソウダネ(手を繋ぐ二人。そのまま帰宅)

暗幕

恒一「ふう…。第一幕はこれで終わり?」

赤沢「まだよ。このまま一緒に下校してそこで終わりね」

恒一「え…。それお芝居の範疇外じゃないの…?」

赤沢「役作りよ。私、男の人と手を繋いで帰ったことなんてないからそういう経験が必要なの。さ、帰りましょう」

恒一「……」

廊下

恒一「あ、赤沢さん…この状況を誰かに見られたらまずいんじゃ…」

赤沢「何が?」

恒一「いや、手を繋いで歩いてるところを見られたらまた誤解されるよね?」

赤沢「大丈夫よ。田舎だし」

恒一「…田舎とか関係なくない?」

千曳「……おや、二人とも。これから下校かい?」

恒一(……って言ってるそばから!)

赤沢「はい、今から帰るところです」

千曳「そうか。帰り道はくれぐれも気をつけるんだよ」チラッ

手「ギュウ」

千曳「…ふふ、ふはっwwwこ、これは尋常ではないね。うんうん、青春だwwwwじゃ、また明日」ニヤニヤ

恒一「……」

下駄箱

恒一「赤沢さん……さっき明らかに千曳先生に誤解されてたよね…?」

赤沢「そんなことないわよ。考えすぎよ」

恒一「いや、だってめちゃくちゃニヤついてたよあの人…」

赤沢「千曳先生はいつもニヤついてるじゃない」

恒一「そ、そうだっけ…?」

綾野「おっ!泉美ー!と、こういっちゃん!今帰り?」

恒一(うっ…)

赤沢「うん。今帰るところ。由美は一緒じゃないの?」

綾野「由美は先に帰ったよ。もぉー、泉美が部活来ないと練習が引き締まらな……ん?」チラッ

手「ギュッ」

綾野「…へぇ~。ふんふん、なるほどなるほど~。そっかそっか~。こりゃ邪魔しちゃったかな?」ニヤニヤ

恒一「あ、あのね綾野さん。違うんだ。これにはちょっとワケが…」

綾野「へへへへへwwwwじゃ、お邪魔虫は消えますのでごゆっくり~」スタコラサッサ

恒一「あ、ちょっ…」

通学路

恒一「まずいよ赤沢さん…。綾野さん絶対誤解してたって…」

赤沢「彩はいつもあんな感じよ」

恒一「いやいやいや」

赤沢「…あ、私こっちだから。恒一くんは向こうよね」

恒一「あ、うん」スッ

赤沢「ここでお別れね」

恒一「あの…赤沢さん。本当に明日ちゃんと誤解解いてくれるんだよね?」

赤沢「…」

恒一「赤沢さん?」

イズミ:じゃあね、コウイチくん(ギュッ

恒一「うわ、ちょ、ちょっと赤沢さん!?」

三神家

恒一(あー…もぉー…何なんだ赤沢さんは…。綾野さんが前にやりすぎって言ってたけどその通りだよ…)

恒一(…見崎に見られなくて良かった…)

怜子「恒一くん恒一くん!ちょっといい?」

恒一「え?あ、はい、なんですか?」

怜子「ふふふ、聞いたわよ、千曳先生から。恒一くんも隅に置けないね~。ああいうツンツンしたのがタイプだったのね」ウリウリ

恒一「き、聞いたってまさか…」

怜子「いや~意外ね~。恒一くんは大人しい子が好きだと思ってたんだけど…私もまだまだ教師としての観察眼が足りないわね~」ニヤニヤ

恒一「ちっ、違うんです怜子さん!あれは誤解で…!」

怜子「またとぼけちゃって!大丈夫よ!私はそういうの禁止にしたりしない主義だから!」

恒一「ちょ…怜子さん僕の話を聞い…」

九官鳥「ツンツンシタノガタイプ!ツンツンシタノガタイプ!」

恒一「うああああああああ!!ソッコーで覚えてんじゃねえええええええええ!!」

翌日
学校

ガチャ

恒一「おはよう…」

どよっ…ざわざわ…

勅使河原「おっ!色男のお出ましだぜ!」

恒一「は?」

望月「からかっちゃ可哀想だよ」

恒一「な、ま、まさか…」

勅使河原「中尾から聞いたぜ~?いやー東京のオトコは流石だなー!な、俺にもそのテクニック教えてくれよ!」ニヤニヤ

中尾「榊原…俺の負けだぜ…。赤沢さんのことは任せた…」フッ

恒一「ち、違う…違うんだ…」ガクガク

勅使河原「なーにが違うんだよっ。綾野も見たって言ってたぞ?」ウリウリ

綾野「ごっめーん☆こういっちゃん!つい話しちゃった!」テヘペロ

恒一「あ…あ…ああああああ…」ガクガクブルブル

勅使河原「で?で?どうなんだよ赤沢は!あいつ胸でかいしやっぱ色々と凄いの?教えろよサカキィ~!」ズイズイ

恒一「ち、違う!違う違う違う!」バッ

恒一「見崎っ!」ツカツカ

見崎「…おはよう、榊原くん」

恒一「み、見崎も聞いたのかっ!?」

見崎「……榊原くん、赤沢さんとすごく仲が良いみたいだね」プイ

恒一「見崎、違うんだ!誤解なんだよ!僕と赤沢さんはそういう関係じゃ…」

小椋「はぁ?何よそれ!恒一くんまさか泉美で遊んでんの!?」

恒一「うわっ!小椋さん!?い、いや…ちが…っ…むしろ僕が遊ばれてるっていうか…」

杉浦「泉美はそんな子じゃないわ」

恒一「だ、だから、赤沢さんっていうか泉美さんっていうかイズミが…」

ガラッ

赤沢「おはよう」

恒一「あ、赤沢さん!ちょうど良いところに!」

赤沢「凄い剣幕ね。朝からどうしたの?」

恒一「クラス中に広まっちゃってるんだよ!昨日のアレ!中尾くんがペラペラ喋っちゃって!」

中尾「フッ…」

恒一「赤沢さん!約束通りちゃんと誤解といてくれるよね!?特に見崎には念入りに…っ!」

赤沢「ふうん、そういう事。いいわ。私からみんなに話してあげる」

恒一「ほっ…」

赤沢「みんな、ちょっといいかしら。私からみんなに話しておきたいことがあるの」

勅使河原「おっ、なんだなんだ?婚約発表か?」

赤沢「勅使河原うるさい。いないものにするわよ。茶化さないで」

勅使河原「お、おぉ…わりぃわりぃ…」

赤沢「コホン…。みんな、昨日私と恒一くんが教室で色々してた事はもう知ってるみたいね」

赤沢「…まずは先に、私の軽率な行いが騒動を招いた事をこの場で謝罪しておきます」

綾野「あ、ご、ごめん泉美。私もペラペラ喋っちゃって…」

赤沢「いいの、気にしないで彩。……それで、みんなが気になってるのは私と恒一くんの関係なんでしょうけど、それは…」

一同「ゴクリ」

赤沢「……」

イズミ:みんなの想像に任せるから……///

一同「うぉーーーーっ!!?」どよどよ

恒一(ちょおおおおおおおおおおおおおおお!?)

赤沢「じゃ、質問がある人はどうぞ」

小椋「しつもーん!どっちからそういう流れになったの?」

イズミ:「さぁ…忘れちゃった」

勅使河原「お前らどこまでいったんだ?もうやることやっちゃってんの?」

赤沢「そういう品の無い質問には答えないから。ていうか勅使河原の質問には答えないから」

勅使河原「うひぃー…こりゃ鬼嫁って奴ですなぁ」

風見「僕からもいいかな。ゆかりと僕は上手くいくと思う?」

赤沢「その髪型じゃ無理ね」

杉浦「質問。なんで私に話してくれなかったの?」

イズミ:ごめんね。急な事だったから

赤沢「……もう質問はないわね?じゃあ私からは以上。さ、そろそろ先生来るわよ。みんなも席について」

恒一「あ、が、ああああああああああ……」ガクガク

赤沢「ふう。これでいいかしら?恒一くん」

恒一「全ッ然良くないよ!完っ全に火に油だよ今の!も、無能とかそーゆーレベルじゃないよ!何やってんの赤沢さん!?」

赤沢「ごめんなさい。精一杯やったつもりだったんだけど…」

恒一「ああああ!もうわけわかんないよ!何これ?!現象!?これも災厄なの!?」

見崎「榊原くん、あまり大きな声出さないで。騒がしいのは嫌…」

恒一「見崎!違うんだよ!誤解なんだ!」

見崎「……」フイ

恒一「み…見崎…頼むから僕の話を…」

ガラッ

三神「みなさん席についてください。出席とりますよ」

恒一「」

放課後

恒一「…赤沢さん、ちょっといい?」

赤沢「あら恒一くん。ちょうどよかった。今日も練習の相手お願いしようと思っていたところなの」

綾野「じゃ!泉美、私先に部活行ってるね」ニシシ

小椋「じゃあね。ごゆっくり」ヌフフ

恒一「……」

赤沢「で、恒一くんの用事は何?」

恒一「今朝の事なんだけど。みんな完全に誤解しちゃってるけどどうするのこれ」

赤沢「言わせておけばいいわよ。噂なんてすぐ消えるわ」

恒一「いやいやいや、災厄の事も噂だけど全然消えてないじゃん。ていうかもうこれ噂じゃないよね?赤沢さんがなんかもう宣言しちゃったよね?」

赤沢「宣言なんてしてないじゃない」

恒一「いや、まぁ…そうだけどさ…。でもあの言い方じゃ認めたようなもんだし、なんなの?どういうつもりなの赤沢さん」

赤沢「それより、はい、これ台本。今日は第二幕をやりましょう」

恒一「……」

第二幕
場面:放課後の教室
人目を忍んで逢瀬を重ねるコウイチとイズミ

コウイチ:イズミ…放課後が待ち遠しかったよ

イズミ:私もよコウイチくん

コウイチ:イズミの家はご両親が厳しいし、僕の家は怜子さんがいるからね…

イズミ:うん。こうやって教室でこっそり示し合わせないと中々二人きりになれないわね

恒一「…あの…何で家族構成までまんま僕と同じなの?」

赤沢「リアリティの追求よ。このほうが恒一くんも役に入りやすいでしょうから」

恒一「……」

イズミ:……コウイチくん?どうしたの?険しい顔して

コウイチ:イズミ、今日の昼休みさ、見崎に何か言われてたみたいだけど…

イズミ:……

コウイチ:教えてくれよ。隠し事はしないって約束だろ?

イズミ:……私がコウイチくんと付き合ってる事…見崎さん知ってるみたいで…それで…

コウイチ:何て言われたの?

イズミ:……『アンタみたいなクソ女は榊原くんには似合わねえよ。調子くれてんじゃねえぞボケ!カス!無能!死ね!』って…

恒一「…見崎はこんなキャラじゃないと思うんだけど」

赤沢「これはあくまでも劇のシナリオよ。見崎さん本人とは別人だし気にしないで」

コウイチ:…な、なんて事を言うんだ見崎め!僕のイズミにそんな…!許さない!とっちめてやる!

イズミ:ま、待って!ダメよコウイチくん!見崎さんは悪くないわ!

コウイチ:何で庇うんだイズミ!僕は今怒りに打ち震えてるよ!

イズミ:ダメよ!ああ!どうかその振り上げた怒りの鉄拳を引っ込めてくださいまし!

恒一「…何か妙にセリフが芝居じみてない?」

赤沢「それはそうよ。お芝居なんだから当たり前でしょ」

コウイチ:くっ…!イズミがそう言うなら…!

イズミ:私は平気よ。周りに何を言われてもコウイチくんさえいれば生きていけるわ

コウイチ:イズミ…(ギュッ

赤沢「わ…」

恒一「え?何?台本通りやってるんだけど…」

赤沢「あ、うん。そうよね。何か突っ込んでくるかと思ってたから…。ごめんなさい、続けましょう」

コウイチ:イズミ…。大丈夫。見崎とか勅使河原とか見崎とか中尾とか見崎とか見崎とか見崎が何かしてきても僕がイズミを守るよ!

イズミ:コウイチくん、ありがとう…

コウイチ:……(コウイチ、ゆっくりとイズミを押し倒す

イズミ:あ、ま、待って///

コウイチ:…ダメかい?

イズミ:こ、心の準備が…

イズミ:……すー…はー…

イズミ:い、いいわよ…。コウイチくんの好きなようにして…

恒一「……一応確認するけど、まさかこの後のコレもやるの?」

赤沢「もちろんよ」

恒一「……えっと……『コウイチ、イズミの制服のボタンを外していく』って書いてるんだけど…」

赤沢「そう。その通りにやってくれればいいわ。あ、でもそれ以上はさすがにダメだから」

恒一「一応そういうボーダーラインはあるんだね…」

赤沢「ドラマでもその辺りは曖昧にぼかすでしょ。じゃあ、恒一くん、ボタン外して」

コウイチ:イズミ…(プツッ、プツッ…

イズミ:コ、コウイチくん…

恒一(…ていうかボタン外す時にどうしても胸に手が当たっちゃうんだけど…)ドキドキドキドキ

コウイチ:……(プツッ、プツッ

恒一「あ、赤沢さん…」

赤沢「何よ…」

恒一「いや…えっと…シャツ脱がせたら、その…赤沢さん下着の状態になっちゃうんじゃ…」

赤沢「…わかってるわよ。いちいち確認しなくていいから早くして。逆に恥ずかしいじゃない」

恒一(一応恥ずかしさはあるんだな…)

恒一「…」ドキドキドキドキ

コウイチ:……(バッ

イズミ:……///

恒一(うっ……やっぱ赤沢さん胸大きいな…///)ドッドッドッドッ

イズミ:コ、コウイチくん……きて……///

コウイチ:イズミ…

恒一(う、あ……)ドッドッドッドッドッドッ

恒一「イズミっ!!」ガバァ

赤沢「きゃっ!?ちょ、ちょっと!台本にはここで暗転って書いてるでしょ!?」

恒一「はっ……!あ、ご、ごめん……」

恒一(あ…危ない危ない…。理性が吹っ飛びかけた…)

赤沢「もう…。……まぁ役作りのためなら、ちょっとくらいは許してあげるけど…」

恒一「え」

赤沢「……」

恒一「あ、あの……今のはどういう……」

赤沢「……ちょっと触るくらいならいいって言ってるの」

恒一「う、あ……」

恒一「じゃ、じゃあ……ちょっと、だけ……」ドッドッドッドッドッドッ

赤沢「……」

恒一「あ……あ……」ドキドキドキドキ

恒一「……ってダメだ!ダメだよ!!何をしようとしているんだ僕は!!うわああああああっ!!」ガンガンガンガン

赤沢「……」

赤沢(ちっ)

恒一「ぜぇ…ぜぇ…」

赤沢「もう。別に気にすることないのに…」

恒一「い、いや、やっぱまずいって…」

恒一(危なかった!今のは危なかった!よく耐えた僕!)

赤沢「……まぁいいわ。じゃあ暗転後の場面いきましょう」

場面:事後の二人。衣服と呼吸が乱れたまま幸せそうに見つめ合う。

恒一「衣服が乱れるって…僕も?」

赤沢「そうね。じゃあ今度は私がボタン外してあげるからじっとしてて」

恒一「う、うん」

赤沢「……」プチ、プチ…

恒一「……」ドッドッドッドッドッ

ガラッ

中尾「やべーやべー。体操着忘れちゃってたよ」

中尾「!?」

恒一「ぬあ!?」

中尾のAA↓

中尾「あ……あ……お、お前ら……既にそこまで進んで……」ガクガク

中尾「き……教室でセッ……セッ……」オエーッ

イズミ:ハァ…ハァ…グスン……痛かったよぉ……///

恒一「!?」

イズミ:でもコウイチくんと一つになれて幸せだったな……///

中尾「あ、あわわわわわわ」オエーッマカセロー

恒一「チ、チガウ!誤解だってば!!」

中尾「ち……」

中尾「チクショォォォォオオオ!!勅使河原ーっ!!望月ィィーーッ!!」スタコラ

恒一「」

恒一「…………は、はははは…ハハハハハハハハ!!」

恒一「終わりだ……明日にはまたクラス中に広まってしまうんだ……炎の孕ませ転校生とかTOKYO援交ってあだ名になってしまうんだ……」ガチガチガチ

恒一「酒鬼薔薇扱いされてたほうがマシだった……」ガクガク

恒一「『ゲスキバラくん最低ね。もう近づかないで。アトリエも出禁ね。あと死ね』とか見崎に言われてしまうんだ……」ガクガクブルブル

恒一「……」ブツブツ

赤沢「恒一くん、大丈夫?顔色が悪いわよ。保健室行こうか?」

恒一「そ、そうだね……。さすがに頭がクラクラしてきたよ……。気胸も再発しそうな勢いだし……」

赤沢「ふふ、私もお芝居してるとたまにそうなるからわかるわ。役に入り込みすぎてアテられるっていうか」

恒一「は、ははは……あはははははは……」

保健室

赤沢「保健の先生は出張ってていないみたいね。恒一くんはベッドで横になってるといいわ」

恒一「そ、そうだね……。よいしょ……」ギシッ

恒一「あ……」

恒一「ふぁ……ふぁ……」

恒一「はくしょん!」

赤沢「大丈夫?そういえばこの部屋少し冷えるわね」

赤沢「よ、っと」モゾ

恒一「ちょっ…な、なんで赤沢さんまでベッドに潜り込んでくるの!?」

赤沢「ここ、暖房ついてないみたいだし、恒一くんが風邪引いたら悪いじゃない。それこそ、災厄でそのままポックリ…とか、ね」

赤沢「それにちょうど第二幕のラストはピロートークで〆だからここでやっちゃいましょう」

恒一「え……」

恒一「ほ、本当無理だって!こんなところ誰かに見つかったら…!」

赤沢「誰も来ないわよこんなところ」

恒一「で、でも……!」

赤沢「じゃ、始めるわよ」

第二幕
場面:コウイチの部屋
愛を語り合った後、ベッドの中でコウイチはイズミに進路の話をする

イズミ:コウイチ……(潤んだ目でコウイチを見つめる

コウイチ:ふふ……イズミ、綺麗だったよ

イズミ:コウイチもすごかった……///

コウイチ:イズミ…実は僕、東京の高校に行こうと思うんだ

イズミ:えっ!じゃあ…コウイチと離れ離れになっちゃうの…?

コウイチ:僕は東大を目指してるんだ…。だから高校もしっかり選ばないと…

恒一「えっ?ちょっと待って。僕は別に東大なんて目指してないよ?」

赤沢「えっ!」

恒一「美術系の学校に行くつもりなんだけど」

赤沢「き、聞いてないわよそんな話!」

恒一「そりゃあ言ってないからね。見崎には言ってあるけど」

赤沢「……恒一くん、ちょっと台本貸して!」バッ

赤沢「……」シャッシャシャシャ

赤沢「はい。セリフ変えたからもう一回言い直しなさい」

恒一「え、えぇ~…」

コウイチ:僕ね、絵で食っていこうと思うんだ。だから美術系の学校に行きたいんだ

イズミ:嫌よ……コウイチと離れたくない…

コウイチ:わかってくれイズミ……。僕だって離れたくないんだよ

コウイチ:でも僕には夢があるんだ。絵で食っていくという夢が!

恒一(夢ってそういうことじゃない気が…)

イズミ:嫌……離れたくない……(抱きつくイズミ

恒一(う、ぐ…///)

コウイチ:イズミ……僕はね、ゴッホみたいになりたいんだ!!

コウイチ:ゴッホみたいに絵で生きていく立派な人間に!!

恒一「赤沢さん…あんまり画家の事知らないでしょ……」

赤沢「……」

コウイチ:だからイズミ……僕は……

イズミ:コウイチのバカッ!(コウイチの顔を叩く

恒一「いてっ!」

イズミ:もう知らないわよコウイチの事なんか!(ベッドから出て走り去ろうとする

コウイチ:イズミっ!!待ってくれ!

赤沢「うーん、今の場面イマイチね。もう一回やっていい?」

恒一「え?あ、あぁ…うん」

イズミ:コウイチの…(ギュッ

恒一(う…///べ、ベッドの中で密着されるのは…///)

イズミ:コウイチのバカァ…(グスン

恒一(うぁ……///)

中尾(うぁ……///)

赤沢「うん、今のは中々うまくできた気がするわ」

恒一(す、すごいな赤沢さんの演技力……)

赤沢「じゃあ今日の練習はここまでね」

恒一「う、うん……」

赤沢「……」

恒一「……」

恒一「あの……赤沢さん?練習終わったならもうベッドから出てくれないかな……?」

赤沢「何とも思わないの?」

恒一「え……」

赤沢「この状態で……恒一くんは何とも思わないの?」ツツツ…

恒一「えっ?ちょ、ちょっと赤沢さん……?もしかしてまだイズミが抜けてないんじゃ……」

赤沢「さぁ。どうかしらね」ススス

恒一「ちょっ……待っ……」

ガチャ

千曳「ふぅー……いかんいかん。さすがに私も歳だな。ずっと図書室に座ってると腰が痛くてかなわん。ええとシップ、シップは~、と……うおっ!?」

恒一「あ」

千曳「こ、これはまた……フホッwwwwじ、尋常ではない場面に遭遇してしまったようだね……」ニヤニヤ

恒一「せ、先生…。先生の言いたい事はわかります。でもこれにはワケがあって……!赤沢さんからも何か言……」

イズミ:ね、私まだ物足りないの。コウイチもそうでしょ?(トローン

恒一「な!?」

千曳「いやいや!否定してくれなくて結構!私は教師という立場から逃げた人間だ、君達にとやかく言う権利はないよ」

千曳「若い人間ならむしろそれが健康で、あるべき姿とすら思う!」

恒一「せ、先生!だからこれは…!」

千曳「ふ、フフフフwwww私のような老いた人間は邪魔なだけだからね!失礼させてもらうよ!」ニヤニヤ スタコラ

恒一「せ、先生!千曳先生ーーーーーーっ!!」

朝まで寝る
保守はまかせたー

二ニニ==-  /:::::::::::::::::::::::`:.、
───   イ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
       イ::::::::::::::::::::::::::ヘ|;::::::::::ト
ニニ=-  1:::::::::::;;;::::::;vN、 "Nリヘj

       1::::::{ イ::/  rュ\ レ
.        l:::::::〉 "'   `  ′   おきたー
───    |:::/八      _j
        /´   、  マァ/
  __  ─     /\__ /
´          `ー─

二ニニ==-         ヽ

|    /  l          |
|   '   |    、     .|
|  /    、    ::ヽ    ,          r-...
;           ::::::.            /イ   }
ニニ=-        Λ    '.       j,   ,
   |         /  '.    :.__ ... ´    /

帰り道

恒一「なんで…なんでこんな事に…」フラフラ

赤沢「だらしない歩き方ね。シャキッとしなさいよ」

恒一「……ていうかなんで今日も手を繋いでるの…?しかも…」

手「ギュウ」カラミ

恒一「この繋ぎ方って…あの…」

赤沢「何?」

恒一「…もういいよ。好きにしてくれ…」ハァ

霧果「……あら?あなたは確か…」

恒一「げぇっ!?」

恒一「こ、こんばんは霧果さん」グイグイ

赤沢「…」ギュッ

恒一(くっ…!て…手を離してくれ赤沢さん!この人に見られるのはある意味見崎に見られるよりマズイ…!)

霧果「榊原くん……だったかしら」

恒一「は、はい…先日はどうも…」

イズミ:コウイチ、この方は?

恒一「え、えっと…見崎の…あ、いや、見崎鳴さんのお母さんだよ…」

霧果「……」ジッ

手「ギュウウウウウウ」ガッチリ

霧果「……」スタスタ

恒一「あ、き、霧果さん!こ、これは違うんです!霧果さんあの…」アタフタ

赤沢「行っちゃったわね。なんだか感じの悪い人」

恒一「あ…ああああ…ああああああああ…」ガクガクブルブル

恒一(さ、ささささ最悪だ…。今絶対『ウチの鳴にツバつけておきながら他の女と遊んでるなんてゲスキバラもいいところだわ!蝋人形にしてやる!』って思われた…)

赤沢「じゃあ、私はこっちだから」

恒一「うん…」

手「ギュウウウウウウ」

恒一「あいててててて!!あ、赤沢さん!強く握りすぎだよ!」

手「パッ」

赤沢「じゃあね恒一くん。また明日学校で」

恒一「ひぃ…ひぃ…」ジンジン

赤沢「……」

赤沢「恒一くん、本当に美術系の学校に行くの?」

恒一「え?な、何急に?そのつもりだけど…」

赤沢「そこって演劇系の学科はあるのかしら」

恒一「さ、さぁ?どうだったかな…」

赤沢「明日資料持ってきてくれる?」

恒一「あ、うん。別にいいけど…」

赤沢「そ。ありがと。じゃ、よろしくね」

三神家

恒一(まずい…非常にまずい…。事態は悪化する一方じゃないか…。キングの小説より恐ろしいよ…)ブツブツ

怜子「恒一くん、ちょっと来なさい」

恒一「あ、はい…。何ですか?」

怜子「いいからそこに座りなさい」

恒一「…?は、はい。どうしたんですか?怖い顔して…」

怜子「今日は叔母として、教師として、そして母親代行として恒一くんにお話があります」

恒一「??」

怜子「恒一くん。これが何かわかる?」スッ

恒一「…?……!?え!?あ、あのこれは…///」

怜子「そう。コンドームよ。保健で習ったわよね」

恒一「な、なんですか急にそんなものを出して…///」

怜子「千曳先生から聞きました。恒一くん、あなた今日保健室で赤沢さんと…いえ、これ以上はあえて聞かないでおいてあげるわ」

恒一「!?」

恒一(ち…千曳先生いくらなんでも口軽すぎるよ!!)

恒一「あ、あの…怜子さん、僕は…」

怜子「別にその事で叱るつもりはないわ。あなた達は…他のクラスの生徒とは置かれている状況が違うもの」

怜子「そういう息ヌキも…ま、まぁ必要と言えば必要かもしれないしね。私も大学の頃は少しはっちゃけてた時期があったからとやかく言うつもりはありません」

恒一「れ、怜子さん…だから僕は…」

怜子「でも避妊はしないとダメ。赤沢さんが妊娠したら、あなたまだ責任とれないでしょ?」

恒一「は、はい。それはそうなんですけど…」

怜子「ハァ…。一応聞いておくわ。恒一くん、ちゃんと避妊してるのよね?」

恒一「え?い、いやだから僕は…」

怜子「避妊してるのかしてないのかハッキリ答えなさい!!」バン!

恒一「ひぃっ…!し、してないです!」

怜子「なんですって!?」

恒一「あ、あの…僕は…」アワワ

怜子「恒一くん、こっちを向きなさい」

恒一「は、はい…」

怜子「フン!!」バチコン!!

恒一「へぶゥッ!?」ズサーーーッ

怜子「あなた女の子を何だと思っているの!?一時の快楽で赤沢さんの人生がメチャクチャになってもいいの!?」

怜子「男の子ならちゃんと考えてあげなさい!!相手のご両親が知ったら何て言うか…!あなたのしていることは赤沢さんを傷つける事になるのかもしれないのよ!?」

恒一「あ、あがが…」ボタボタ

怜子「コンドームは挿入時以外でも毎回着用!安全日でもコンドーム着用!危険日はコンドーム関係なく一切しないこと!生理の時はちゃんと気遣ってあげること!」

怜子「わかった!?」

恒一「れ、れいこひゃん…ぼ、ぼくは…」ボタボタ

怜子「わ か っ た !?」

恒一「ふぁ、ふぁい…」グスン

怜子「そう。じゃあもう戻ってよろしい。明日からはちゃんとこのコンドームを持ち歩きなさい」

恒一「ふぁい…。ずびばぜんでじだ…」フラフラ

翌朝

恒一(いてて…。昨日ぶたれたところまだ腫れてる…)オーイテテ

恒一(どうしよう…。怜子さん完全に誤解してるよ…。まるで聞く耳持っちゃくれないし…)

恒一(もし昨日の事が見崎に知られたら…。うう、考えたくもないな…)

恒一(はぁ…頭が痛くなってきた…)

恒一(今日もまたクラスで何か言われるのかな…)

恒一(赤沢さんの口ぶりだと今日も練習するみたいだし…)

九官鳥「コンドーム!コンドーム!!コンドーム!!コウイチクンコンドーム!!」

恒一(こいつはうるせーし…)イライラ

教室

ガラッ

恒一「おはよう…」

勅使河原「おーうサカキ!どうしたその顔?赤沢とケンカでもしたか~?」

恒一「違うよ…。ていうかそのからかい方本当にやめてくれないかな…」

勅使河原「なんだよサカキィ~。いいじゃねえか、友達だろ?色々話してくれよ。な?」

恒一「……」ムシ

恒一「おはよう、見崎」

見崎「……」プイ

恒一「み、見崎…怒ってるの?」

見崎「…何で私が怒るの?やましい事でもあるの?」

恒一「…霧果さんに何か聞いた?」

見崎「別に何も聞いてないよ。……ただ、榊原くんが彼女連れて歩いてた、としか」

恒一「見崎、聞いてくれ。それは誤解なんだよ。僕と赤沢さんは…」

ガラッ

赤沢「おはよう」

綾野「おっはよー泉美!恒一くんはあっちだよ」ニヤニヤ

赤沢「そう」スタスタ

赤沢「おはよう恒一くん」

恒一「あ、赤沢さん…」

赤沢「昨日頼んだあれ、持ってきてくれた?」

恒一「え?あ、あぁ、うん。資料だっけ?はい、これ」

赤沢「ありがとう。助かるわ」

小椋「なになに?高校の案内?」ヌッ

恒一「あ、これは、えと」

小椋「もしかして泉美と榊原くん、同じ高校行くの?」

イズミ:そうよ

恒一「!?」

見崎「へぇ、そうなんだ。へぇ~…」

恒一「み、見崎、だから僕の話を聞い…」

見崎「赤沢さんのヌードデッサンでもするの?いいじゃない、楽しそうね」プイ

恒一「見崎~…」

小椋「あーな~んかもう聞いてるこっちが顔赤くなるよ」キヒヒヒ

小椋「ん?恒一くん、それ何?」

恒一「え?」

小椋「ポケットの…輪っか?なんか浮き出てるけど」

恒一「あっ!?い、いや、これは…」

小椋「ちょっと見せなさい!」バッ

恒一「お、小椋さん!?ダメだ!それは見ちゃダm…」

小椋「こ、これ…は…///」

ゴム「」ヤァ

綾野「あ、わ…キャーッ///」

勅使河原「うおっ!?こ、こいつはまさか…!」

恒一「ちっ、違うんだ!待て!僕の話を聞いてくれ!」

勅使河原「これは……コッ、コッ、コココココ、コンドームじゃねえかああああああああああああああああああああ!!!!」

エーッ ザワザワ マジカヨスゲー フェラジャナイヨ イヤーン マカセロー ワイワイ フウセンゾナ

恒一「みんな落ち着いてくれ!頼むから話を…!」

勅使河原「すげーーー!本物見たの初めてだぜ!サカキ、お前とんだオシャレさんだな!」

恒一「意味わかんないよ!いいからそれ返せよ!」バッ

杉浦「泉美、意外とカラダ許すの早いね」

イズミ:コウイチの押しに負けちゃった///

恒一「何言ってんの赤沢さん!?」

風見「恒一くん、僕にもひとつくれないかな」

恒一「あげないよ!いや、別にあげてもいいんだけど風見くんは何か危さそうだからあげないよ!」

ガラッ

三神「はいみなさん、席についてくださいね。…!?こ、恒い…榊原くん!?教室で何出してるの!?あとで職員室にきなさい!!」

恒一「」

昼休み

恒一「見崎、話があるんだ。ちょっといいかな」

見崎「……何?」

恒一「僕と赤沢さんは何でもないんだ。誤解なんだよ」

見崎「教室でコソコソ何かしてて手を繋いで下校して避妊具持ち歩いてて、誤解?榊原くん、嘘つくのヘタね」プイ

恒一「違うんだよ。これは全部赤沢さんの演劇の練s…」

中尾「おーーーい!三神先生が呼んでるぞーーー!!」

恒一「……」ピキピキ

中尾「お?聞こえなかったか?榊原ーーーー!!三神先生が鬼の形相で呼ん」

恒一「あああああああ!!聞こえてるよ!わかったよもう!今行くよ!!」

中尾「おう!伝令はまかせろー」

職員室

恒一「失礼します」ガチャ

三神「やっと来たわね。こっちへいらっしゃい」

恒一「はい…」

三神「……」バチーーーン!!

恒一「はびゅッ!?」

三神「確かに私は昨日、コンドームを持つように言ったわ」

三神「でもね、それは『いつでもどこでもやっていい』って事じゃないの」

三神「避妊具はセックスの免罪符じゃないの!!それくらい中学生でもわかるでしょ!?」

恒一「ひゃ、ひゃい…わひゃりましゅ…」

三神「赤沢さんは他の子と比べて発育がいいから年頃のあなたが溺れてしまうのもわかるわ。でもね…」

三神「慎みというものを持ちなさい!!赤沢さんにもあなたからちゃんと言っておくように!話は以上!教室に戻りなさい」

恒一「ふぁい…。しひゅれいしましゅた…」ヨロヨロ

放課後

赤沢「何も言わなくても残ってくれてるなんて関心ね。恒一くんもお芝居の楽しさがわかってきたかしら?」

恒一「赤沢さん…あのね…僕はもうこの役を降りるよ…」

赤沢「えっ?何よ今更」

恒一「もうウンザリだよ…。みんなに誤解されるし先生には殴られるし…赤沢さんもわけわかんないし…」

赤沢「じゃあ恒一くんは私の事をもっとよく知る必要があるわね。お芝居の練習を通して理解を深めましょう」

恒一「……頼むよ…。もう勘弁してくれよ…。見てよこの顔…。先生に二回もぶたれて腫れあがってるんだよ…」ヒリヒリ

赤沢「見事な役作りね。第三幕はコウイチがボロボロになる話だし…台本をよく読み込んでるじゃない。見上げた役者魂よ」

恒一「……」

赤沢「じゃあ始めるわよ。いよいよ最終幕。気合入れていきましょう」

体育館裏


第三幕~究極の愛…ハワイコナエクストラファンシーラブ~
場面:体育館裏
放課後、イズミは血だらけで地に臥しているコウイチを見つける

恒一「なにこのサブタイ…?ていうか教室でやるんじゃないんだね…」

赤沢「最終幕だから。これくらい派手にしないとね」


イズミ:コウイチのバカバカ!私に何も言わないで進路決めるなんて…!もう知らないんだから…(一人トボトボと歩く

コウイチ:う、ううう…(血ヘドを吐いて倒れている

イズミ:コ、コウイチ!?どうしたの!?(コウイチに駆け寄る

コウイチ:イ、イズミ…

イズミ:酷い怪我…!脚が折れて…首も真逆に回ってる…!

恒一「いや、それ即死でしょ」

赤沢「フィクションだからいいのよ。それより演技に集中して」

コウイチ:だ、大丈夫…。ちょっと暴漢に襲われてね…

イズミ:暴漢…?

コウイチ:1VS70だったからね…さすがに…ウッ…勝てなかったよ…

イズミ:そんな!ひどい!どうして逃げなかったの!?

コウイチ:それは…

コウイチ:あいつら…イズミを襲おうと…してたから…

イズミ:えっ?私を…?

コウイチ:どういうつもりか知らないけど…だから僕、イズミを守らないとって思って…

イズミ:コウイチ…!ごめんなさい…私、そうとは知らずにコウイチを恨んで…(目に涙を溜める

イズミ:こんなボロボロになるまで…バカよ…。あなたバカよ…

コウイチ:ふ、ふふ…いいんだ…バカでも、いいんだ…

イズミ:コウイチ…私…私もthe大都会TOKYOに行くわ…!

コウイチ:イズミ…?

イズミ:あなたはすぐこうやって無茶ばかりするんだもの…。私がいないとダメでしょ?

コウイチ:……

イズミ:今度は私が…私がコウイチを守るから…

コウイチ:イズミ…ありがとう…

コウイチ:うぐっ!?

イズミ:コウイチ…?

コウイチ:う、うぐぅ!うぐぐぐぐぐ…!(のたうちまわる

イズミ:コウイチ!?どこか痛いの!?

赤沢「…?あれ?」

恒一「え?何?」

赤沢「今のセリフ、私のだったかしら?」

恒一「え?うん、台本にはそう書いてあるけど…」

赤沢「そう、ごめんなさい。コウイチのセリフのような気がしたけど…まぁいいわ。続けましょう」

コウイチ:せ、背骨が…あと肺とか肝臓とか胃とか腰とか歯茎とか大脳新皮質とか各所に激しい痛みが…!

イズミ:そ、そんな!どうしたら…!コウイチ!コウイチッ!!

コウイチ:あ…が…

コウイチ:う、うぐおおおおおおおおお!!

イズミ:コウイチ!しっかりして!

コウイチ:ぐにゃああああああああ!!!!(激しくのたうちまわる

コウイチ:死ぬ!死ぬうううううううううううううううううううう!!!!(さらに激しくのたうちまわる

イズミ:いや…いやああああ!誰か!誰か助けてーーーーー!!

千曳「どうした!?」バッ

恒一「!?」

イズミ:先生!コウイチが…!コウイチが…!!

千曳「な、なんて事だ。これは尋常ではないね!一体何事だ!?」

イズミ:コウイチが死にそうなんです!!

千曳「しまった!災厄か!?恒一くん、しっかりしたまえ!」

恒一「あ、いや、僕は全然平…」ムク

千曳「顔が腫れている…。脳腫瘍か!?今すぐ私の車で病院に運ぼう!」

イズミ:はい!お願いします!

恒一「え、ちょっ」

千曳「さぁ恒一くん!行くぞ!」ガシッ

恒一「ちょ、先生!待っ…」





ブロロロロロロロロ

病院

恒一(本当に病院まで来ちゃったよ…)

千曳「急患だ!今すぐ診てくれ!!」

イズミ:コウイチ!コウイチしっかりして!!

医者「わかった!すぐに運んでくれ!」

ガラガラガラガラ


~10分後~


医者「打撲だね。顔を思い切り殴られたようだね」

千曳「ほっ…。良かった。命に別状はなさそうだね」

イズミ:良かった…。本当に良かった…

恒一「……」

恒一「あの…じゃあ僕はこれで…」

千曳「待ちなさい。ここは大事をとってまだ安静にしていたほうがいい」

恒一「いや、本当に大丈…」

イズミ:またそうやって無理して…!少しは私の気持ちもわかってよ…!

千曳「そうだぞ恒一くん。男なら恋人を泣かせるもんじゃない」

恒一「……」

イズミ:コウイチ…今日は私がそばにいてあげるから…ね?だから安静にしてて

恒一(はぁ…もう…。仕方ない、どうせ今日で演劇は終わりだし、ちょうど次は病院のシーンだし、合わせてあげるか…)

コウイチ:わかったよイズミ…。心配かけてすまなかったね

イズミ:コウイチ…

コウイチ:イズミ…君がいてよかった…。君がいなかったら今頃僕は…

千曳「うんうん。学生らしいじゃないか」ホロリ

ガチャッ

悪いミサキメイ:ここにいたかサカキバラァァァァァァァ!!!!

恒一「!?」

極悪非道のミサキメイ:ククク…ようやく見つけたぞォォォ…

恒一「み、見崎…!?一体ここで何やって…」

残虐非道のミサキメイ:イズミイズミって…私をコケにしやがって…!許さんぞ!!

千曳「み、見崎くん!これは何事かね!?」

イズミ:やめて!コウイチくんには手を出さないで!

傍若無人のミサキメイ:黙れ!黙れ黙れ黙れ!貴様ら二人とも絶対に許さないからな!

千曳「これは…尋常ではない修羅場のようだね…!恒一くん、後は君たちの問題だ!私はこれで退散させてもらうよ!では」スタコラ

恒一「せ、先生!ちょっと待っ…」

諸悪の根源ミサキメイ:ククク…実はコウイチに暴漢を送り込んだのは私だったんだよ!!

イズミ:な、なんですって!?

呪われしミサキメイ:どうやら刺客による闇討ちは失敗したようだが…今度は私が直接手を下してやる!死ね!!コウイチ!!

イズミ:やめて!やめてーーーーー!!

デビルメイミサキ:おりゃあああああああああ!!(ナイフ的なものをコウイチのどてっ腹に刺す

恒一「う、うわああああああああああああああああああ!!?」

恒一(ってあれ?痛くない…)

イズミ:コウイチ…!コウイチーーーーーッ!!!

我に返ったミサキメイ:はっ…!あ、あ…(自分の犯した罪に気付き動揺する

正気になったミサキメイ:私は…私はなんてことを…!

一生消えぬ十字架を背負ったミサキメイ:い、いやああああああああああ!!(その場から逃げ出す

恒一「あ、ま、待って見崎!これは一体どういう…!」

イズミ:コウイチ!いやっ!死なないで恒一!

恒一「あ、赤沢さん、なんなのこれ…」

イズミ:あなたが死んだら私…私…(目に涙を溜める

恒一(えっ…赤沢さん…?)

イズミ:コウイチ…!コウイチーーーーーーーーーー!!(ポロポロ

恒一(ほ、本当に泣いてる…)

イズミ:いやああああああ!!死なないで!!

恒一(……)

コウイチ:イ、イズミ…僕は…君と出会えて幸せだった…

イズミ:コウイチ…!

コウイチ:泣かないでイズミ…。大丈夫…きみは…きっと…幸せ…に…

コウイチ:……(力尽きる

イズミ:あ…イヤ…コウイチ…。コウイチ…!

イズミ:目を開けてよコウイチ!!

コウイチ:……

イズミ:いやあああああああああああ!!死んじゃいやあああああああああああ!!!

イズミ:コウイチのバカーーーーーーーーー!!

イズミ:うっ…ううう…

イズミ:コウイチ…

イズミ:私…あなたの事を忘れない…

イズミ:みんながあなたを忘れても…ずっと覚えてるから…

イズミ:コウイチ…

イズミ:……(倒れているコウイチにキスをする

コウイチ:…う、うううん…

イズミ:コウイチ!?

コウイチ:身体が…傷が治ってる…

イズミ:コウイチ…ど、どうして…

コウイチ:イズミの愛が…僕を死の運命から救ってくれたんだ…

イズミ:コウイチ!!

コウイチ:ありがとうイズミ…。ありがとうハワイコナエクストラファンシー。そしてありがとう、愛

イズミ:コウイチ!!(コウイチに抱きつく

~終幕~




医者「なんだこいつら」

帰り道

恒一「本当にびっくりしたよ。まさか見崎が来るなんて…」

見崎「今日の昼休みにね…頼まれたから」

赤沢「この子に頼むのは不本意だったけどね…。お芝居のためなら仕方ないわ」

恒一「まぁ…僕はいいけどさ。誤解もといてくれたみたいだし」

赤沢「一応クラスのみんなにもちゃんと説明しておいてあげたわ。全部お芝居だって」

恒一「脚本途中で変えられて本当に困ったよ…。せめて教えてくれればよかったのに。もう演劇はこれっきりにしてほしいな…」

赤沢「そう言う割りには最後の方はいい演技してたじゃない」

恒一「…赤沢さんの演技に引っ張られちゃって…。にしても、見崎もすごい演技だったね」

見崎「そう?普通よ、あれくらい」

見崎「じゃあ、私こっちだから。榊原くん、また明日学校で」

恒一「うん。気をつけてね」

赤沢「今回は助かったわ恒一くん。いい稽古になったと思う。ありがとう」

恒一「そう…。まぁそう言ってくれると僕も怜子さんに殴られた甲斐があったかな…」

恒一「あ、でも赤沢さんは脚本家より女優のほうが向いてるんじゃないかな、やっぱり…」

赤沢「何よそれ。褒めてるの?貶してるの?」

恒一「両方、かな」

赤沢「……」

恒一「赤沢さんはもっと本とか読んだほうがいいよ」

赤沢「そう?じゃあ恒一くん、何か貸してくれる?」

恒一「え?あ、うん…ホラー小説でよければ…」

赤沢「いい趣味ね…」

赤沢「あ、そういえばひとつ聞きたいことがあるんだけど」

恒一「何?」

赤沢「今朝の…その…恒一くんが持ってきてた…あれは…どういうつもりだったの?」

恒一「え?……あ、いや、あれは…///」

赤沢「芝居にかこつけて、何をするつもりだったの?」

恒一「ち、違うよ!あれは怜子さんに持たされただけで…」

赤沢「ふうん?本当かしら」

恒一「本当だよ…。赤沢さんにそんなこと恐ろしくてできないって…」

恒一「ていうか赤沢さんこそ演技とは思えないくらいガッチリだったと思うんだけど」

赤沢「そう?」

恒一「あやうく勘違いしそうになったよ」

赤沢「……」

恒一「赤沢さん?」

赤沢「……」

赤沢「…………」

泉美「…もし、勘違いじゃなかったらどうする?」

恒一「え?」

泉美「勘違いじゃなくて、お芝居じゃなくて、私が本当に恒一くんの事好きだったらどうする?」

恒一「え?え?」

泉美「どうするの?」

恒一「あ、赤沢さん…?」

泉美「……」ジッ

恒一「……」

恒一「ぷっ……あははははは!やだな赤沢さん、またイズミ?もうお芝居は終わったんだよ」

泉美「……」

赤沢「ふふ、さすがにもう引っかからないか」

恒一「綾野さんがやりすぎって言ってたけど本当だね。芝居の外でもずっと役のまんまだったし」

赤沢「そう…。そう、ね」

恒一「あ、そうだ。誤解をといた時、その、見崎の誤解をといた時、見崎は何か言ってた?」

赤沢「何かって?」

恒一「えっと…赤沢さんの事でも…僕の事でも…」

赤沢「さぁ。どうだったかしら。忘れたわ」

恒一「そっか」

恒一「じゃあ、赤沢さん。僕こっちだから」

赤沢「うん。気をつけてね」

赤沢「…」スッ

恒一「ん?何?」

赤沢「握手。お芝居につきあってくれてありがとう」

恒一「ああ、うん。これからも演劇頑張って」ギュ

赤沢「……」

恒一「じゃあ、また明日」スタスタ

赤沢「うん。また明日」

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「……」

泉美「『見崎は何か言ってた?』、か……」

泉美「私が教えてあげるわけないじゃない…バカ…」

一方その頃

図書室


千曳「ふふふふふ…久しく見ていなかったね…ああいう修羅場は」ニヤニヤ

千曳「恒一くんも中々やるねぇ…」ニヤニヤ

千曳「あぁ~…尋常ではないねぇ~」ニヤニヤニヤニヤニヤニヤニヤ













おしまい

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