美希「ハニーの日記」(130)

■記念すべき一ページ目

春もうららかなこの季節。
一人目の担当アイドルである天海春香のプロデュースが一段落した。
結局Bランクという、惜しいところで任期が来てしまったのが悔やまれる。
春香はアイドルを続けるらしい。

一年という長いようで短かった時間を思い返すと、いろいろと思うこともあった。
ありがたいことに社長は俺との契約を続行してくれるとのことだったので、
次の担当アイドルからはこのノートに観察日記を付けていこうと思う。
次の次のアイドルやそれ以降のアイドル、はたまた関係者各位の趣味趣向を漏れなく記載すれば、
今後の役に立つだろうとおもったからだ。

じゃあ、明日の新しいアイドル(候補生)との会合に備えて、今日は寝るか。

明日からが楽しみだ。

結構前に、アイマスSS紹介スレで美希が幸せになるSSを書いてといってた人がいたので立てた。
構想はあるけど、書き溜めは一切無いのでスロー投下

星井美希 15歳
この子が俺の新しい担当アイドルだった。
ウェーブのかかった長い金髪に、歳相応のかわいらしい顔がとても魅力的な子だ。
ただ、どうも礼儀を知らないようだ。
会って早々に、そこの人呼ばわりをされてしまった。
何とも前途多難なことだ。というか社長が話してるときに寝てんじゃねーよ。
というか社長も怒れよ。

あぁ、春香が恋しい。

俺の星井美希の第一印象は、
生意気ボディの礼儀知らずだった。

■初めてのレッスン
星井美希のプロデュースを頑張ろうと、気合を入れて出社した。
だが待てど暮らせど、美希が来ない。
当初予定していた時間から1時間程過ぎていた。
もしかして、事故か? 何て一人焦っていたら、美希がひょっこりと顔を出した。

美希に何かあったのかを聞くと、
「寝坊したの」
だそうだ。

俺の胃がやばいことになる気がしてきた。

この小娘・・・・・・!
まぁ、いい。初日だし今回は見逃してやろう。
美希に今度から遅刻するときは連絡しろと、注意だけですませた。

「はーい。わかったの。そこの人」
あくびの後の気の抜けた返事だった。
ていうかそこの人じゃねーよ。プロデューサーと呼べと、これまた注意した。

どうも先行きが不安で。
俺は自分の教育方針を見誤りそうな気がした。
これを見返す、何年後かの俺よ。先に謝っておく。

ともかく気を取り直してレッスン場へ。
アイドルたるもの歌えることが大前提と、俺は思っているので、
とりあえず、美希の歌唱力を確認したかった。

するとどうだ。美希のやつ言うに事欠いて
「や」と一蹴しやがった。
どうやら、今日はダンスがしたいらしい。候補生のくせに。

今日は怒らない日と決めてしまっていたので、仕方なく美希にダンスをやらせてみた。
曲は春香の「I Want」

あれ、ダンスうまくね? 
というか歌ってるし、それに春香より歌上手く(線で消されている)

今日のレッスンの収穫は、踊るのが好きみたいということだった。

会話の時の声を聞いていて、声質はかわいらしいものかと思っていたが、
どうもカッコいいのもイケるらしい。

これも今日の収穫。

社長が、あの子は原石だとか言っていた。
磨けば光りそうなのは確かみたいだが、いかんせんなめられている気がしてならない。
明日からはびしっと決めてやろう。

今日は寝る。

ちょっとご飯食べてきます。

もどり

■初めての営業
今日は営業に行ってきた。
音楽家や音響のお得意さんに、星井美希の売り込み挨拶をするつもりだったのだが。
案の定、遅刻しやがった。
しかも2時間。

さすがにこれはいかんだろと、美希をしかりつけたら
少し泣きそうになりながら、謝った。
さすがに謝れないほど、ゆとりではないらしい。よかった。

今日の収穫。

泣き目だったから、顔を洗ってこさせにいってる間に、社長に怒られた。
何故だ。

春香も御用達のスタジオにいってきた。
顔見知りが多いから緊張しなくていいぞって言ったら、

「緊張なんかしないよ」
と、何で緊張しなきゃいけないのって顔をしてたのが印象的だった。
見栄を張ってるわけでもなかった。これは大物なのか大バカなのか。

音響家さんたちとの挨拶はつつがなく終了。する訳がなかった。
美希のやつ、どでかいミキサーに興味を持ったと思ったら、ミキサーのつまみを引っこ抜きやがった。

それだけに飽き足らず、最近テレビでよく見る、新幹線少女(だっけ?)がレコーディングしているのを発見すると、
「生で聴きたい!」といって、スタジオに突撃しやがった。

俺は、関係各位に謝り倒して腰が痛くなった。

ミキサーのつまみに関しては、大丈夫だよと笑って許してもらえた。
それに、君のとこのアイドルはホント面白いねーと、美希のことも覚えてもらえそうだった。
怪我の功名だよ。ほんと。

美希を注意すると、
「うるさいのー。別に美希悪くないもん」と悪びれた様子がなかった。
こいつは・・・・・・。

事務所でお説教すると、また社長の過保護で怒られそうなので、車の中でお説教してたら
やっぱり寝てやがった。

それと、これは悪いニュースで新幹線少女がいる事務所(こだまプロだった気がする)に、目を付けられてしまったみたいだ。(そりゃそうだよ)
事務所に帰ってから調べてみたんだが、ここの事務所は中堅どころで芸能界でもそこそこ幅が利くらしい。

これはやばいなー。

まぁ、くよくよしたって仕方ないからな。今日はもう寝る。

■星井美希という可能性
これまでの星井美希の失態を数えると憂鬱になりそうだ。
ただ、最近わかったことなのだが、どうやら美希は春香にあこがれているらしい。(ダンスも歌も春香の持ち歌ばかりを練習するからな)

それに、俺が春香のプロデュースをしていたと知ると、俺へのまなざしにちょっとだけ尊敬が含まれるようになった気がする。
それと、その日を境に俺への呼称が「そこの人」から「プロデューサー」に変わった。

だけど、基本的には面倒くさがりなのは変わらなかった。
これは、春香に協力してもらって、美希を更正させるしかないな。

そういえば、この間、トレーナーさんと相談して、美希に春香以外の曲をやらせてみようと画策している。
これも最近知ったんだが、イチゴのババロアとおにぎりが大好きみたいだから、それを使って美希を釣ってやろうと思う。

結局春香の真似をするだけじゃ、アイドルとしては大成しないだろうしな。

近々アイドル活動の登竜門である「The Debut」が開催される。
どうにかしてこのオーディションに出してやりたい。
いつまでもアイドル候補生じゃ、モチベーションも上がらないだろうしな。
このオーディションで華やかなデビューをさせてやりたいもんだ。

さて、寝るか。

■星井美希の可能性(2)
この間、書いた美希に他の曲をやらせてみようという計画を実行した。
結果だけで言うと、度肝を抜かれた。

レッスン時に、今日頑張ったらイチゴババロアの入ったおにぎりをくれてやろうと言ったら、
美希の目の色が変わった。(というかおにぎりにババロアってどうなんだろうか)

美希に我が765プロの楽曲である「THE IDOLM@STER」を躍せてみた。
トレーナーが美希の前で、一通りの流れを教える目的でダンスを踊ると、美希はすぐさま踊り始めた。
美希は荒削りながらも、「THE IDOLM@STER」を一回で踊りきりやがった。

これには俺もトレーナーも開いた口がふさがらない。
当の美希は、
「結構簡単だね。あはっ☆」と笑っていた。

おいおい。これはひょっとするとものすごい子なんじゃないのか。

美希にもうすぐあるオーディションに参加しないかと持ちかけてみた。
すると美希は「めんどくさいから、や」と拒否してきた。
「そんなことより、約束のおにぎり! ちょうだい!」と。
ここで機嫌を損ねるのもアレなので、言うとおりにおにぎりとババロアを買ってやった。
俺の財布から一葉が消えた。

美希をその気にさせるにはどうしたらいいだろうか。
毎回、エサで釣ってると俺の財布が死んでしまうしなー。

ま、いいか。
そんなことは明日から考えよう。

オーディションは裏で進めて、当日バーンとやらせるのも最終手段としてとっておこう。

よし。美希の可能性を見ることが出来たし、やる気が出てきたぞ!
今日は寝る!

■デビュー曲
美希のオーディション参加の意欲を向上させるために、デビュー曲を作ることにした。(というか逃げ道を塞いでるだけ)
これで美希もやる気を出してくれるだろう!

美希にデビュー曲はどんなのが良いかと聞いてみると
「太陽のジェラシー!」と間髪入れずに言った。
ダメに決まってんだろ。
美希にケチと言われながらも、デビュー曲は可愛らしいものにするとこで落とした。

ちなみに美希のアイドル像は決まっていたりする。

■ふるふるフューチャー
美希のデビュー曲デモが完成した。
タイトルは「ふるふるフューチャー」ってこっぱずかしい名前のラブソングナンバー。
歌詞を見ても、口から砂糖がでそうなくらい甘ったるい。
まぁ、俺の想定だと最初の美希は可愛らしければ可愛らしいほど良い。

これを美希に聞かせてみたら
「カワイイの! ミキこの曲気に入っちゃたな。あはっ☆」とのことだった。
ご満悦のようだったが、「でも、ここの歌詞はミキ的にはちょっとなしかな」
どうやら「教えてダーリン 未来は何色?」の「ダーリン」が気に入らなかったらしい。
「ここ、ぜったい【ハニー】の方がカワイイの。プロデューサーもそう思うよね?」
と、聞かれたから、いいんじゃなかって答えておいた。

■美希のアイドル像(これは日記ではなくメモ書きのようだ)

美希のアイドル像
・デビュー曲をカワイイのにする
・アイドルとしてそこそこ知名度が出たら、カッコいい曲に方向転換
・カッコいい美希を定着させる
⇒バカ売れ

■美希、春香と出会う
前々から美希に合わせろとせっつかれていたので、スケジュールを見て、美希と春香を会わせてみた。
いったいどんな粗相を起こすかと不安ではあったが、思いのほか美希と春香は意気投合していた。

まぁ、歳も近いしこんなもんなのか。
ただ、春香と美希のジュースを買いに行って、戻ってきたら先ほどの和気あいあいとしたムードがなくなっていた。
何があったんだろうか。

先に出て行った春香を美希はにらんでるし。春香は春香で不適な笑みを浮かべてるし。
春香に聞いても美希に聞いても教えてくれなかった。

なんだなんだ? 年頃の娘さんはよくわからんな。

×前々から美希に合わせろと
○前々から春香に合わせろと

■美希の変化
デビュー曲の練習を始めてから、美希に変化が出てきた。
遅刻がかなり減ってきたし、レッスンにもきちんと取り組むようになってきた。(というかそれが普通なんだよな)

そして何より大きな変化は、オーディションを受けたいと言い出したことだろうか。

前まで、どんな手を使っても「や」の一点張りだった美希がどういった心境の変化だろうか。
いや、俺としても事務所的にも嬉しいのに変わりは無いんだけど。
まぁ、美希がやる気を出してくれたんだったらそれでいいか。

そういえば、春香がメールなんでくれないんですかって怒ってたな。
可愛いやつめ。

■テスト
春も終わりに差し掛かって、雨のにおいが近づいてきた気がする。
学生諸君は新学年になってから初めてのテストがあるみたいだ。

我が765プロの学生諸君も例に漏れず、事務所でテスト勉強に躍起になっている。
うーうーうなってるやよいの勉強をみてやった。

そういえば美希はテスト、大丈夫なんだろうか。
大丈夫じゃない気がするんだが。

■テスト結果
大体の子のテストが帰ってきたらしい。
やよいは、教えたかいあって良い点数が取れたみたいだ。
伊織に頭をなでてもらってるやよいがとても可愛くて(線で消されている)

美希は当然のように、赤点をもらってきやがった。
そのことで、美希の姉にこっぴどくしかられたらしい。
今度から俺がテスト勉強を見てやると言ったら、
「ありがと」って照れながら言った。

なにこれ可愛い。

■ボーカルレッスン
オーディションに向けて本格的なレッスンを開始した。
今日はボーカルレッスンをして、美希の声を調整する。

美希のセンスの良さは、前のダンスの時で知っていたし、歌も春香の歌の時に聴いていたから心配していなかったのだが、
「ふるふるフューチャー」を歌わせるとどうもぎこちない。
というかロボットみたいな抑揚のない状態だった。

なんでだ。
急遽予定を変更して、歌詞レッスンに切り替えた。

■ロボット歌唱
美希の歌についてトレーナーさんとうんうん言いながら考えていて、ひとつの仮定が出た。

・美希は春香の曲しか歌ってない(というか聴いていない)
・春香への憧れから、曲の情念を感じ取り、歌っていた
・今回の「ふるふるフューチャー」は一切春香が関与していない

つまり、美希の表現力はそこまで優れていない状態だということだった。
あながち間違ってない気がする。

予定を変更して、明日から表現力レッスンを行うことにするか。

■表現力レッスン
美希の表現力を補うために、表現力レッスンと歌詞レッスンを並行して行うことにする。
表現力レッスンで美希の引き出しを増やし、歌詞レッスンでこの歌詞が伝えたいことは何かを考えさせる目論見だ。

美希自身、歌って踊りたいみたいだが、ここは我慢してもらった。
というか美希がわがままを言ってるときに、春香の名前を出すと言うことを聞くようになっていた。
なにこれ、春香バッジ最強じゃねーか。わるいみきはいうことをきいた!

美希に足りないものを伝えるときに渾身の一撃を放ってみた。
「お前に足りないものは、それは~ 情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてェなによりも、表現力が足りない!!」
「なにそれ」
通じなかった。

■歌詞レッスン
今日は美希と二人で歌詞レッスンをしていた。
首をかしげながら歌詞に自分なりの注釈を入れていく美希が娘の(線で消されている)
妹のように感じた。

「ねぇ、ここってどういう意味なの?」美希が指差したところは「いっぱい ねぇ たくさんしてあげる」だった。
なんでこんなピンポイントの箇所だけ聞いて来るんだよ。

わざとか。
と思っていたら違うみたいで。美希は純粋だなぁ。

速さが足りない!

>>73
すすすすみません!!!

■ボーカルレッスン
今日は予定を変更してから、初めてのボーカルレッスンを行った。

歌詞の意味を一言一言考えて歌ってみろ、と専門家ぶって美希に言ってやると。
素直に「はいなの」と返事してくれた。
最近、美希と良好な関係が築けている気がする。

美希が歌って俺とトレーナーはまた驚かされた。
甘ったるいだけと思っていた、「ふるふるフューチャー」が少し切なく聞こえた。

歌い終わった後に一番驚いていたのは美希のようだった。
美希自身、前の自分の「ふるふるフューチャー」に何の疑問も持っていなかったみたいだが、
歌に感情を乗せることがどれだけ、歌を変化させるのかを知ることができたみたいだ。

レッスン終了後に美希が唐突に
「ありがとプロデューサー! 実はすごい人なんだね!」と褒めてくれた。

お役に立てて美希の笑顔がまぶしかった。

×お役に立てて美希の笑顔がまぶしかった。
○美希の笑顔がまぶしかった。

■美希の恋愛事情
美希はボーカルレッスンの出来の良さに気を良くしたみたいで、一層、表現力レッスンに打ち込んでいた。
「ふるふるフューチャー」を自分の解釈でどんどんアレンジしていた。

今日の「ふるふるフューチャー」は、少し思い込みの激しい女の子が勘違いから男の子に迫るという内容らしい。
・・・・・・ヤンデレ?

今まで、結構な数のアレンジを聞いてきて、美希は経験豊富で恋愛上手だと思っていたが、そうではないらしい。
休憩中の美希曰く「だって学校の男の子ってソーショクケーばっかりだもん」とのこと。
「それに・・・・・・」といった後に、さっさとレッスンに戻りやがった。

それに、なんだよ気になるじゃないか

■レコーディング
「ふるふるフューチャー」もだいぶ形になってきたので、今日はレコーディングに行った。(前回美希が粗相を起こしたところだ)

この前の美希の破天荒な行動を覚えてる方が多いようで、大半のスタッフが美希を覚えていてくれたみたいだ。
美希ははじめてのレコーディングに少し戸惑っていて、やつも人の子かとか思っていたら、春香が現れた。
どうやら隣のブースでレコーディングしていたらしい。
美希がいることを聞いて、応援に駆けつけてくれたそうだ。やっぱり春香はいい子だなぁ。

春香が来てからというもの、美希は鬼気せまる勢いで、レコーディングを行っていき(そんな曲じゃないのに)、
当初予定していた時間よりも早くに収録が完了した。

美希はスタジオからブースから出てくると、「春香は?」と聞いた。
お前の歌を聞いて満足そうに帰ったぞ、と伝える。
美希はどこか悔しそうにしていた。

■オーディション
とうとう明日は「The Debut」のオーディションだ。

あのレコーディング以来、美希はいつにも増して、レッスンに取り組んでいた。
憧れの春香に見てもらうためなのだろう。

みるみる完成度が上がっていく美希を、傍らでずっと見ていた俺としては、感慨深いものがあるな。
いや、それは明日のオーディションに合格してからにしよう。
それに、このオーディションに合格して初めて、アイドルとしてのスタートラインに立つんだからな。
まだまだ先は長い。

美希にはさんざん振り回されたが、明日どういう形であれ、一区切りが付くんだ。

明日に備えて今日は寝る!

そしてみなさん。
明日は仕事なので、今日は寝ます。

■オーディション当日
今日はオーディションに行ってきた。
美希はいつもどおり、緊張もあまりしていないようで一安心だ。

春香とともに何回もお世話になったTV局へ到着すると、例のごとく突風が吹き、美希のスカートを捲り上げた。
思わぬ眼福にまじまじと美希のライムグリーン(線で消されている)

美希に「突風アイドルー。なんちて」というと、ごみでも見るような目で見られた。
素直に謝ると、ぷりぷり怒りながらも許してくれたので良しとしよう。

美希も女の子なんだなーと改めて感じた。

オーディションの控え室に入ると、すでに参加予定のアイドル候補生たちが顔をそろえていた。
初めてのオーディション受験者が多いのだろう、室内はとてもぴりぴりしていた。

美希は余裕の表情を浮かべて更衣室に向かった。俺は美希の勝利を確信した。
ジャージに着替えた美希が姿をあらわした直後に、審査員が控え室へ入ってきた。
俺の知っている審査員の人で、春香のデビュー時も彼女が審査をしていたはずだ。

オーディションの流れとルールを事細かに説明していく。
美希も真剣な表情で審査員を見ていた。
ここ一番でしっかりできる子なんだなと感心した。

最後に審査員は恒例の一言を美希にお願いした。(俺の顔が見えたからかもしれない)
「美希、余裕で合格すると思うな」
自信満々すぎて、審査員が顔を引きつらさせていたのが印象的だった。

まさかのスタート前に転倒して雲行きが怪しくなってきたぞ。
「あれ? 美希なんか変なこと言った?」
本人は気づいていないようで、仕方なく美希のビックマウスっぷりを教えてやった。
すると、「美希、ウソついてないよ。この中だったら美希負けないって思うな」
周りから視線が痛い。
馬鹿やろー! 余計なことを言うんじゃない!

一気に空気の悪くなった控え室で、針のむしろ状態で出番を待つこと数十分。
ついに美希の番が回ってきた。

舞台袖で美希に、俺たちは一心同体だ! と声をかけるも
「イッシンドータイってなに?」と返された。
今度から国語の勉強も教えようと思う。

ただ、美希の余裕の表情が崩れていたのが気になった。

美希が舞台で名前を読み上げる。
少し声が上ずっている。なんだ、やっぱり緊張してるんじゃないか。

照明が落とされて、音楽が流れると美希はいつも通りのように歌っていた。
歌いだしたら緊張がなくなったんだろうか。

美希の歌にダンス以外の審査員は、首を縦に振っていた。(そんなダンサブルなナンバーじゃないしな)
それすなわち、美希の表現力が万人に受け入れられる可能性があるということだ。

曲が終わると、美希は頭を下げて舞台袖に戻ってきて、俺に詰め掛けた。
「何で春香がいるの?」と。

春香が来ているらしい。
だから美希は、歌う前に緊張していたのか。

これはあとから春香に聞いたことだが、このオーディションの特別審査員として招待されていたそうだ。
美希にとっても春香に見てもらえることは嬉しいことだろう。

どうも腑に落ちていない美希に、歌の出来は良かったぞと声をかけるも、
「そんなんじゃないの」と冷たく返された。

控え室に戻って、審査員の発表を待っていると、春香が入ってきた。
春香が今回の発表者らしい。
春香は俺の視線に気づくと、あぞとくもウインクしてきた。
可愛いやつめ。

美希の機嫌は晴れない。

合格者の発表
美希は・・・・・・。

合格した。

詳しい点数はわからないが、少なくとも一位ではあるらしい。
春香は美希を連れて、番組の収録に向かった。

俺も春香の後を追って、スタジオへ行く。
美希は、ステージ衣装を着て、初めての舞台に立った。
スポットライトを浴びて笑う美希は、とてもキラキラしていてまるでお姫様に見えた。

今日この日から、美希はアイドルとしてのスタートラインに立つことが出来た。
明日からはもっとびしばししごいていこう。

これだからプロデュースはやめられない。
今日はもう寝る!

というわけで、美希がデビューしました。
今日は本当に寝ます。
スレはまた立て直しますのでよろしくお願いします。

スレタイも今回と同じ
美希「ハニーの日記」で立てる予定です。
残業がなければ明日。
余裕がまったくなければ週末にでも。

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