P「ヤンデレをプロデュースするのは大変です」(1000)

シマウマ代行

>>1 スレ立てサンクス!!!!

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 序章

伊織「どうしてあんたがこんな目にあうのか分かる?」

P「……」

伊織の問いかけに返す言葉を持たないP。
無表情で床を見つめている。そこにはボロボロ
になったうさぎのぬいぐるみがあった。

彼女のお気に入りだったはずのうさちゃんだ。

伊織はそんな彼に構わず話を続けた。

伊織「あたしはずっと前からあんたのことが大好きだった。
   今でも思うの。竜宮小町に入ったのは間違いだったのかも
   しれなってね。だってあんたと会える時間が減っちゃうんだもん」

P「……」

Pはまだ無言だった。

伊織「私も美希みたいに積極的だったら、こんなことには
   ならなかったかもしれないわね。素直に慣れない自分の
   性格が恨めしいわ」

P「い、伊織。もういいだろう?」

伊織「よくないわよ。まだまだあんたに話したいことがあるの。
   あんたにはしばらく家にいてもらうわ。事務所の復興にはしばらく
   時間がかかるしね。にひひ、大好きよプロデューサー」

Pは悪態をつきたくなるのをこらえた。理不尽すぎる彼女の要求。
己の手に装着させられた手錠すらなければ、今すぐ脱出できるのに。

P(ちくしょう……)

Pは、遠い目をしながらこうなってしまった原因を思い出していた。

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第1部 ①  ※一人称視点へ変更

俺がプロデューサーになってずいぶんたった。
律子の手腕で竜宮小町が一躍有名になり、
俺の手持ちアイドルたちもどんどん売れだし始めたころだった。

決して女の子と関係を持たないように心掛けていたつもりだったのにな。
なぜだろう。あの娘のことだけは特別に思ってしまった。

雪歩「んああっ……だめぇえっ……」

P「静かにしろ雪歩。声を出すと周りに気づかれちまうだろ」

雪歩「はぁはぁ……は、激しすぎて……声がでちゃうんですぅ……」

スプリングの音がきしむ俺のベッドの上。
四つん這いにさせた雪歩の後ろから俺が挿入していた。

P「雪歩が悪いんだからな? おまえが俺を誘惑するから…!!」

雪歩「あっ……あっ……あんっ……!!」

さらに強くピストンされ、揺れる雪歩の身体。
色白の肌が汗をかいていた。

十代とは思えないほど色っぽい。こいつは美希や貴音みたいに
大人っぽい体つきをしてるわけじゃないが、なぜか俺を興奮させる。

我慢できるわけないじゃないか。

決して女の子と関係を持たないように心掛けていたつもりだったのにな。
なぜだろう。あの娘のことだけは特別に思ってしまった。

雪歩「んああっ……だめぇえっ……」

P「静かにしろ雪歩。声を出すと周りに気づかれちまうだろ」

雪歩「はぁはぁ……は、激しすぎて……声がでちゃうんですぅ……」

スプリングの音がきしむ俺のベッドの上。
四つん這いにさせた雪歩の後ろから俺が挿入していた。

P「雪歩が悪いんだからな? おまえが俺を誘惑するから…!!」

雪歩「あっ……あっ……あんっ……!!」

さらに強くピストンされ、揺れる雪歩の身体。
色白の肌が汗をかいていた。

十代とは思えないほど色っぽい。こいつは美希や貴音みたいに
大人っぽい体つきをしてるわけじゃないが、なぜか俺を興奮させる。

我慢できるわけないじゃないか。

P「雪歩……雪歩……」

雪歩「ふぁあ……はぁぁ……だめえぇ……!!」

雪歩を感じながら、何度も達してしまったよ。

これはお互いの同意の上の秘密だ。

別にいいじゃないか。
俺だって一人の若い男だ。
両思いになった女の子の一人くらいいてもいいだろう?

雪歩「……ん~。大好きですぅ。プロデューサー」スースー

事後は身体を寄り添わせながら一緒に寝ていた。
今日はお互いオフだったのでまだ昼間だが、
激しい運動だったので疲れたんだろうな。

雪歩は安心しきった顔で寝ている。
こんなに近くで雪歩の寝顔が見れるなんて最高だよ。

俺も少し昼寝するかな。はは。今日は寝てばっかりだな。

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それから数日がすぎたある日、美希がとうとつにこう言った。

美希「最近ハニーの様子が変わったの」

P「え?」

俺は書類の整理をしてる手を止めた。

美希「休み明けはいっつも疲れた顔してるし。 
   仕事が多いから疲れがたまってるのかなって思ったら
   それとは違うみたいだし」

P「……気のせいじゃないか?」

いつもの事務所の風景のはずだった。仕事が多くなったきたので
こんなとこで油売ってるアイドルなんてほとんどいないのだが。

美希「毎日がすんごく充実そうな顔してるの。何か楽しいことでもあった?」

P「……悪いな。もう行かなきゃならないんだ」

俺は強引に話を切り上げ、次の仕事場へ向かおうとした。

美希「待って。最近ね。雪歩の様子も変なの。あの清楚だった雪歩が、
   大人の女みたいな顔をすることが多くなったの。ハニーは
   心当たりとかあるかな?」

P「……さあ、どうだかな。あまりアイドルのプライベートには
  関与したくないと思ってるんでね。次はフェアリーでラジオの収録だぞ?
  また遅刻して怒られたら大変だ。さっさと出発するぞ」

草原を走るシマウマのように去っていく俺。
言い訳しようがないんだよ。

あいつは俺と雪歩の関係に気づいてるようだ。
俺は自分の動揺を隠せるほどのペテン師じゃないから、
逃げるしかないじゃないか。

俺が内緒にしていた雪歩への気持ち。
やはり日常の変化というのは気づかれちまうんだな。
秘密を守るというのは思ったよりも大変らしい。

P「待たせたな。貴音。響」

響「遅かったじゃないか、プロデューサー」

貴音「まだなんとか間に合う時間です。はやくまいりましょう」

二人は俺の車の前で待っていた。

少しして美希は納得してなさそうな顔で事務所から出てきた。
今じゃP・フェアリーのラジオを楽しみにしてる人たちだって
大勢いるんだ。そんな顔してたらファンを悲しませるだろ?

貴音「……? 美希はどうしたのですか?」

P「さ、さあな。今日は具合が悪いのかな」

美希「……ハニーは嘘つきなの」

響「嘘つき? いきなりなに言ってんのさー。
  プロデューサーと喧嘩でもしたのか?」

貴音「なにやら面妖な表情ですね。
   悩み事でもあるのなら、相談に乗りますよ?」

P「そ、それより遅刻するぞ。早く現場に行かないとな!!
  さあ車に乗るんだ!! 向こうのディレクターに迷惑かけちゃうからな」

強引に話を切り上げてしまう。

美希の奴め、するどいな。

あいつはマジで俺に惚れてるらしいからな。
思春期特有の少女の思い込み。いわゆる恋に恋してるような
軽い気持ちだと思ってたんだが、どうやら違うらしい。

俺と雪歩の異変にいち早く気付いたのが美希だ。
今後も警戒しないとな。


ラジオの収録はむしろ好調に終わったから困る。
美希もプロとしての自覚が出た証拠だな。

公私混同するのは卒業してくれたらしく、
にこやかに収録してくれたよ。

事務所に帰った俺たちを迎えてくれたのは、雪歩と小鳥さんだった。
やはり雪歩の顔を見れるのは素直にうれしい。

彼女と話すときは自然と微笑んでしまうし、
美希に気づかれるのも無理はないか。

雪歩「おかえりなさいですぅ。プロデューサー」

P「おう。ただいま。待っててくれなくてもよかったのに。
 春香たちはもう帰ったのか?」

雪歩「はい。私だけプロデューサーが来るのを待ってました///」

P「きょ、今日の仕事はとっくに終わってるくせに……しょうがない奴だな…///」

俺にとって事務所は第二のホームだ。そこで好きな女の子が
出迎えてくれたのだからうれしくないはずがない。
傍目から見ても甘ったるい雰囲気だったのだろう。
小鳥さんにからかわれてしまった。

小鳥「おやー。お二人とも事務所でラブコメですかぁ?
   Pさん、これから残業があるんだからしっかり頼みますよ?」

P「はいはい。分かってますって」

雪歩「……お茶ですぅ」

雪歩はにこにこ笑いながら、さりげなくお茶を注いでくれる。
その姿はまるで聖母のように美しい。
この慎ましいところがいいんだよな。
慎ましさは日本人の美徳だと思う。

響(い、いいなぁ。プロデューサーにお茶をつげて)

貴音「……さて。そろそろ帰る準備をしますか。
   あなた様。明日もよろしくお願いしますね」

響と貴音の2人はさっさと帰り支度をして帰ってしまった。
なぜか貴音は不機嫌そうに。響はモジモジしててたが、
同じく怒ったような顔をしていたのが印象的だった。

何故かは分からないが、少しだけ背中が冷たくなった。
この視線は美希か? さりげなく後ろを振り返る。

美希「……」

俺はチラリと確認しただけだったのだが、美希の顔はやばかった。
ライオンが、自分のテリトリーに侵入した他の動物を睨む時
特有の表情で雪歩を見ていたんだよ。

深海魚で例えると、クロデメニギスに近い。
こいつの見た目の恐ろしさは半端じゃないぞ。

美希「ハニー」

P「な、なんだ?」

美希が低い声で話しかけてきた。
ただならぬ雰囲気に俺も緊張してしまった。

美希「雪歩のことが好きなんでしょ?
   隠してても二人が影で付き合ってるのがバレバレなの」

P・小鳥・雪歩「……!?」

俺たち三人は驚愕し、言葉も出なかった。

美希「アイドルとはそういう関係にならないって言ってたよね?
   美希のことは大人になったら真剣に相手してあげるって
   前に言ってたの。他の娘たちも同じはずだよね。
   なのに雪歩は違うの?」

P「……」

美希「無視するつもり? ふざけないでよハニー」

P「……」

まさに答えようがないというふざけた状態。
本当のことを言えばスキャンダルになる。

世間様に知られればどういうことになるか、
美希は分かってて言ってるのか?

小鳥さんなんかは俺と雪歩の関係を理解してて
それを黙認してくれてるってのに(他のアイドルには秘密にしてある)

このやばさを感じ取ってくれた小鳥さんが道化を演じてくれたのだが、

小鳥「み、美希ちゃん? あまり人のプライベートに干渉するのはよくないピヨよ。
   プロデューサーさんだって大人なんだから隠し事の一つや二つ…」

美希「小鳥は黙ってて!!」

小鳥「ひぃっ」

あの小鳥さんを黙らすだけの迫力が美希にはあったのだ。
なんというか美希がマジ切れしちまってる。

美希「ハニー!! 黙ってないで答えてほしいな!!」

ただでさえキンキンの高い声だからかなりうるさい。
本気で怒ってる相手というのは怖いものだ。
それが俺よりはるかに年下の女の子だとしても。

P「な、なんの話だかよく理解できん。
 今日のおまえは疲れてるんじゃないか?」

美希「全然疲れてないの!! 早く質問に答えて!!
   どうして雪歩なの?」

P「ぐ……」

完全に修羅場だった。
美希は俺の胸元を掴まんばかりに超接近してくる。
これじゃ逃げられないじゃないか。

誰か助けてくれ。

雪歩「や、やめなよ美希ちゃん。
   プロデューサーが困ってるよ」

美希「雪歩は黙ってて。今ハニーに質問してるの」

雪歩「きゃ…」

短い悲鳴が聞こえたな。雪歩が美希に突き飛ばされたんだ。
まるで邪魔者を追い払うように冷たくな。

俺の雪歩に暴力をふるうなよ美希。
雪歩が怪我でもしたらどうするんだ?

頭に……血が上る。

P「美希っ!!」

美希「……っ」

雪歩は少し尻もちをついた程度だったのだが、
なぜか無性に腹立たしかった。

柄にもなく怒鳴ってしまったのだが、大声を出した後で
美希に本気で怒ったのは初めてだったと気づく。

P「……」

美希「……」

何か言えばよかったのに、次に続く言葉は出てこなかった。

俺は無言で美希を睨んでいたのだが、
美希も一言も発しようとしない。

泣きそうな表情で俺と雪歩を交互に見ていた。

雪歩「プ、プロデューサー。私は大丈夫ですから。
   美希ちゃんを怒らないで上げてください」

雪歩がおろおろしながら俺たちをなだめようとしてる。
やはり雪歩氏は天使のように愛らしいのだが、はたして
美希の奴はどう思ってるのだろうか。

美希「もう帰るの」

小鳥「え?」

なんということか。美希は本当にそのまま帰っちまった。

事務所に残された俺たち三人はしばらく呆然としていたよ。

美希が何を考えてるのかよく分からないから怖い。
こんなんで明日の仕事はうまくいくのかよ。
最悪の場合は首になることも覚悟しなければならないだろうな。

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その日は休日が重なった貴音とドライブしていた。
本当は雪歩以外の女の子とはすごしたくないんだが、
そんなこと言ってたら俺たちの関係がばれちまう。

貴音「あなた様。最近よからぬ噂を耳にするのですが」

どんな噂なんだ?

貴音「どこぞのプロデューサーが、あろうことか所属アイドルと
   みだらな関係に陥ってるというのです」

P「ほ、ほう……」

カーブを曲がり損ねそうになった。

今日は貴音の要望で星空が見渡せそうな
広い丘を見座して走ってる。おっとりした彼女との
まったりしたドライブになるはずだったのに。

空気が張りつめてて運転しにくい。

貴音「プロデューサーは以前言っていたそうです。
   アイドルとそういう関係になるつもりはないと。
   当然ですね。スキャンダルになりますから」

P「……」

貴音からこの前に美希のような雰囲気を感じた。
こいつも間違いなく俺と雪歩について文句を言ってくるつもりだな。
このまま話を続けるとまずそうだ。

P「……そ、そういえばこの前亜美の奴がいたずらでさ…」

貴音「雪歩との関係について気づかれてないとでも思いましたか。あなた様」

P「…ゆ、雪歩だって? ふっ、意味が分からん。
 なんの根拠があってそんなことを……」

貴音「今更嘘をついても無駄です。この写真に見覚えがありませんか?」

ちょうど赤信号で止まってたので、貴音の携帯の画像が見れた。
写メールだった。俺と雪歩のキスシーンがはっきりと映っていたよ。

いつのまに撮られたんだ?

貴音「行き先をホテルに変えていただけませんか?
   もし反対したら、この画像をいんたあねっとで
   公表しようと思います」

もう追い詰められた獣と同じだな。
俺はゆっくりと首を縦に振り、行き先をラブホテルに変更した。

夜空は星空がきれいなのが皮肉だった。

貴音を横目で見ながら、ハンドルを握る力にこもる。
こうなったら行くとこまで行ってしまうしかないだろう。
俺はダメなプロデューサーだ。雪歩、許してくれ。

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貴音「よろしいのですね? では、あなた様」

ホテルという名の密室で俺たちは向かい合ってる。
俺の首に両手を伸ばして密着しようとする。

P「……っ」

俺は一瞬だけ戸惑ったが、すぐハグに応じた。

アイドルたちを性的な目で見るなという方が無理な話だし、
貴音やあずささんの巨乳に目を奪われそうになったことは
一度や二度じゃない。

もし俺がPじゃなければ。そう思ったことすらある。

貴音「好きです……あなた様……」

互いの唇が重ねられていた。
貴音の吐息、髪の匂い、濡れた唇の感触。
その全てを感じることができる。

プロデューサーとしての責務は?

理性が崩壊しかかっていた俺の脳内に問いかけられた言葉。
俺の自制心が問いただしのだろう。

この少女と交わるのは間違っていると。

P「服、脱がしてもいいよな?」

貴音「はい……」

女の子の服を脱がすなんて初めての体験だ。
今までなんて女運のない人生を送ってきたのだろうと
考えると恥ずかしくなるが、今はどうでもいい。

貴音は目を閉じていた。
肩の力を抜き、自然体で立っている。

全てを俺に任せているんだな。

おまえがどれだけ俺が好きだったのか分かるよ貴音。

こうやって力いっぱい胸を触っても嫌じゃないんだろう?

貴音「……んっ」

すでに全ての服を脱がされている貴音が喘いだ。
俺は両手で貴音の豊満な胸を握りしめていた。

貴音は首のあたりまで真っ赤になってる。
それだけ恥ずかしいんだろうな。
男の前で裸をさらしてるんだから無理もない。

全ては俺のために。そう思うと少しうれしくなって、
またキスをしてしまった。

貴音「……んn……あなたさまぁ……」

密着すると貴音の乳房に押しつぶされそうになる。
初雪のような色をした髪を撫でてやり、
大人のキスを堪能する。

息が続かなくなったのだろう。
貴音がたまに息継ぎをする。

普通ならキスの最中は相手の顔なんて見ないもんだが、
俺は冷静に観察していた。

舞台で踊ったり演技してる時とは違う四条貴音。
俺だけが見ることができる、もう一人の彼女だ。

いつまでも仮面をかぶっていられない。
俺だって若い一人の男だ。

P「もう我慢できないよ貴音。最後までいっちまうけど、いいか?」

念のための確認だったが、彼女は初めからそのつもりだったから
すぐオーケーしてくれた。

愚問だったな。そう思いながらベッドに押し倒した。
ラブホテル特有の雰囲気にのまれたのかな。
俺もまだ若造だ。今はこいつを犯したくてしょうがない。

濡れてるのは確認しなくてもわかる。

大胆に開かせたあいつの両足。
その間の部部を一瞬だけ見た後、
容赦なく俺のを挿入してやったよ。

貴音「……あっ……」

乱暴な挿入に驚いたのか、それとも痛かったのか。
貴音は目を見開いて声を発した。

貴音「あんっ……ああっ……ああっ……」

狂ったようにベッドの上で暴れ続ける貴音。
絶え間ない俺の突きを喰らい続けてるせいだ。

もっと気持ちよくさせてやるからな。
俺はやると決めたらとことんまでやる男だ。

貴音の腰を掴み、さらに奥までペニスを挿入してやる。

貴音「~~~っ……~~~~~!!

もう何を言ってるのかわからない貴音の喘ぎ声を聞きながら、
俺は達してしまったのだった。その後、もう一開戦続けてやっちまった。

貴音の身体を見てると我慢できなくなるんだよ。しょうがないだろ?
これじゃあ雪歩に合わせる顔がないなぁ。事後になって初めて
自分の愚かさに気づいた気がする。

だが、時間を巻き戻すことはできないんだ。誰にも…な。

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翌朝の日の出とともに覚醒した俺。
見慣れた俺の部屋だ。
いつも以上にかったるい体をベッドから起こした。

P「はぁ。もう朝が来ちまったのか。今日も会社行かないとな」

結局、貴音とも関係を持っちまった。
脅されてたから、なんて言い訳はしたくない。

いっそ自分を最低のプロデューサーだと認めてしまおう。
俺は自分の意志で貴音を抱いた。
今も俺を信じてくれてるだろう雪歩を裏切って……。

貴音『これからもたまにでいいですから、私の面倒も見てください』

つまり愛人のような関係になれということなのだろう。
あの日、貴音は最後にそう言い残して俺と別れた。

二人のアイドルに手を出してる現状を考えるに、相当まずいだろうな。
他のアイドルたちにばれるのも時間の問題だろう。特に美希が怖い。

P「……考えすぎるのもよくないな」

俺はさっさと身支度を済ませ、軽い朝食をとってから事務所へ向かったのだった。


雪歩「おはようございますプロデューサー」

P「おはよう、雪歩……」

雪歩「プロデューサー?」

P「ど、どうかしたか?」

雪歩「どうして私と目を合わせてくれないんですか?」

昨日の今日だぞ。罪悪感から雪歩の顔を正面から見ることができない。
だが今日のうちはせめて誤魔化しておこう。

P「ちょっと疲れがたまっててな。ごめんな雪歩」

雪歩「あっ…///」

頭を撫でてやるのも一瞬だけだ。
さりげなく、他の皆にばれないようにな。

事務所には次々にアイドルたちが出社してきて、大所帯になった。
といってもすぐみんないなくなるんだけどな。
最近は仕事に困らなくて本当に助かってる。

小鳥「ん? この写真はなんですか?」

小鳥が指摘したのは一枚の写真。俺の机に置かれたものだった。

P「なっ」

雪歩「え?」

俺と雪歩は固まった。俺と貴音がキスしてる写真だったのだ。
しかも場所はラブホテル。間違いなく昨夜のシーンだ。

雪歩は口元を手で押さえながらまだ固まってる。
彼女がここまで驚いてるのを見るのは初めてだ。

誰がこんなものを…

小鳥「ぴよおおおおおおおおおおお!!
   これは……スクープだわ。スキャンダルよ!!」

ば、大きな声出したらみんなにばれ…

春香「え? なんですかその写真。合成とかじゃなくて本物ですか?」

亜美「お→。兄ちゃんたらお姫ちんとラブラブですなぁ」

真美「に、兄ちゃんのバカ……。兄ちゃんのこと信じてたのに」

やよい「……ブツブツ」

律子「まさか……本当に手を出すとは……」

貴音「みなに見られると恥ずかしいですわ///」

小鳥さんが騒いだせいで皆に知られてしまったぞ。
なぜに真美は涙ぐんでんだ? 春香はすさまじく不愉快そうな顔してる。

伊織「あんた……雪歩と付き合ってたんじゃないの?」

真「プロデューサーなら雪歩を幸せにしてると思ってたのに。
  浮気はいけませんよ」

P「ち、違うんだ話を聞け。つーか俺と雪歩のこと知ってたのかよ」

伊織「どうみてもバレバレじゃない。まあ私たちは美希みたいに
   詮索したりはしなかったけど」

伊織はチラリと美希の方を見た。挑発的な視線だ。

美希「ミキにケンカ売ってるのデコちゃん?」

伊織「別に……ただ言ってみただけよ。それより問題は雪歩よ」

雪歩「……プロデューサー、私のことは遊びだったんですか? 酷いですぅ」

上目づかいで瞳をウルウルさせてる雪歩。いつもなら抱きしめたいほど
可愛いシーンなのだが、そんなことやってる場合じゃない。

このまま黙って見守ってたら状況は悪化する一方。
優れたPとしての手腕を今ここで見せてつけてみせるぜ。

俺は席を立って事務所の中央に陣取り、
マイクロホンを手にする。

P「あーーー、みんな、その写真は偽物だ!!」

全員「はい?」

P「よくあるマスコミとかが作ったの捏造写真だ!!
  そもそも俺はプロデューサーという立場上…」

美希「そんなわけないの」

P「ん?」

話の腰を折られてしまい、間抜けな声を出してしまう。

美希「だってハニーが貴音と寝た画像を持ってるもん。
   これに見覚えあるでしょ?」

美希が差し出したデジカメは、しっかりと俺と貴音が
映し出されていた。画質も鮮明、枚数は五十を超える。

シマウマ「どうもPCの調子がおかしいな。途中でどうなるかわからん。
     一応40KBくらい溜め込んであるから全部投下したいと思ってる」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
撮影された画像には日付時刻も明記されており、言い訳しようがない。
美希はそれをアイドルたちに見せていった。

誰しも俺を軽蔑するような目で見てくるのが痛かった。
事実として俺は最低なんだから無理もない。
でも昨日は貴音に脅されたんだけどな。全部俺が悪いのか?

美希「ハニー」

P「なんだ?」

美希「美希に何か言うことないの?」

P「……。少し考えても何も思いつかないな。
 できれば自殺用の拳銃が欲しいんだが、持ってないか?」

美希「この平和な日本にそんなものあるわけないの」

P「じゃあどうすればいい? 今すぐ消えたいんだが」

美希「浮気はやめて、本命の美希と付き合えばすべて解決するの」

P「すまん。意味が分からない。それより雪歩に謝らせて」

俺は老人のような足取りでソファの上に立った。
もう心身ともにボロボロになっちまったよ。
でも声だけは出せるからな。

P「あー、みんな聞いてくれ!!」

演説開始だ。自慢だが俺は人前で説明したりするのが得意だ。
特に大衆の前だと特有の高揚感を味わうことができる。←バカ。

P「俺が貴音と寝ちまったのは事実だ!! だが俺の本心じゃない!!

  貴音に脅されて仕方がなくやったことなんだ!! 詳しい経緯を説明しよう!!
  昨夜、俺と雪歩の恋愛スキャンダルを世間に公表すると脅されたんだ!!
  仮に貴音の誘いを断わってたら今頃この事務所はなかったと思う!!」

律子「今の状態でも事務所がつぶれそうなんですけど」

うるさいパイナップルだ。いいから俺の話を聴け。

P「今律子が言ったとおり、確かに俺のやったことはスキャンダルだ!!

  マスコミにばれたら全てが終わり!! 俺も雪歩も貴音も首だろうな!!
  だがここで問題があると思わないか?」

全員「……?」ザワザワ

少し間をあけて、

P「貴音が俺と雪歩の写メを持っていたことだよ!! なぜ、俺と雪歩の秘密の
 場面を写真に収めることができたのか!! 俺はずっと疑問に思っていた!!
 恥ずかしい話だが、あれはベッドシーンの写真だった!! 
 たとえば俺たちのことを四六時中監視してなければ撮影することは不可能だ!」

――つまり貴音はストーカーだった。最初から俺たちを追い詰めようとしていたんだよ
  遅かれ早かれ、俺は貴音のストーカープレイに追い詰められたに違いない。

そう結論付けたのだが、

春香「あのー。たぶん問題はもっと最初の方だと思うんですけど」

――なんだと? 言ってみろ

春香「そもそもプロデューサーさんが雪歩ちゃんと関係を持ったのが
   事の始まりじゃないですか。担当アイドルに手を出すなんて……」

P「それを言われると否定しようがないな!! ちなみに俺が
 雪歩に手を出した理由はただ一つ!! たった一つのシンプルな理由!!」

――雪歩が大好きだからだ

そう締めくくった。

雪歩「プ、プロデューサーったら……はっきり言われると照れちゃいますぅ///」

美希「……」

伊織「……」

貴音「……」

その他「……」

雪歩とそれ以外の温度差が、やべえ。なんと伊織も切れてる。

伊織「そんな適当な演説で納得できると思ってんの?」

P「えっ」

伊織「あんたって女に見境のない変態じゃない。所属アイドルに
   手を出すなんて正気じゃないわ。警察が警察に逮捕されるくらい
   おかしいことだわ」

美希「そもそもどっちが告白して付き合うことになったの。
   仮にハニーから雪歩に迫ったとしたらハニーが黒になると思うな」

俺と雪歩は顔を見合わせ、よく考えたのだが、

P「よく覚えてません。どうも俺たちは最初から両思いだったみたいで、
  気が付いたらこんな関係になってました」

雪歩「み、みんなには黙っててごめんなさいです」

美希「謝らなくていいの。かわりに今すぐ死んでほしいな。
   あるいは辞めてもいいと思う。雪歩が辞めればハニーが動きやすくなるの」

なんてことを言うんだこいつは。
雪歩は同じ事務所のアイドルじゃないか。

苦楽を共にしてきた仲間をそんな風に言うなんて。
いくら美希でもこれは叱ってやらないとな。

P「おい。バカなことはやめ…」

真美「それ、いいかもね→」

春香「私もそう思う。やらしい雌豚の雪歩が
   プロデューサーさんを誘惑したんでしょ?
   最低だよねー」

やよい「プロデューサーはみんなのお兄ちゃんなのに、
    独り占めするなんてずるいですよね」

響「やれやれ。雪歩にはお仕置きが必要みたいだな。
  自分、動物のしつけとかは得意だぞ。腕がなるさー」

おいおい。雲行きが怪しくなってきてるぞ。
夏の夕立の雰囲気みたいだな。

突如接近してきた雨雲と共に鳴り響く雷雨。
ある種、非現実的な光景といえなくもないだろう?
それと似たようなもんだ。

美希「ハニーは動かないで黙って見てて」

美希に睨まれて動けなくなったしまった俺。
美希はキレるとかなり怖い。まじで動けんから困る。

雪歩「ひぃぃ……来ないでくださいですぅ……」

悪党どもに包囲された雪歩の状況は四面楚歌なんて
レベルをはるかに通り越していた。

円を描くように雪歩の周りにむらがり、
逃げ場をなくしている。そして恐怖を煽るように
じりじりと距離を縮めていっている。

彼女らの瞳には感情が宿っていない。
どろどろに濁った闇の色をしていた。

春香「怖がらなくても痛いのは最初だけだよ」

真美「ゆきポンが悪いんだかんね→。容赦しないよ?」

響「いい子だから、リラックスするんだぞ~」

縄や拷問用具を取り出し始めたアイドルたち。
近所の公園までピクニックに行くように楽しそうなノリだ。
完全に正気を失ってる。俺の娘たちはどこで道を踏み外したのか。

律子「ちょ……何やってんのよあんたたち。
   いい加減にしなさい」

伊織「止めたらプロデューサーの秘蔵写真をネットでばらまくわ」

律子「なっ」

伊織「まだこの仕事続けたいでしょう? なら黙って見てなさい。
   あいつらだって加減はするわよ。小鳥も大人しくみてなさいよ?」

小鳥「ピ、ピヨ~」

音無さんは安定した小鳥っぷりを発揮していた。

こうなったら大人組の出番はなし。あずささんと千早は今日はオフか。
うんうん。休みで正解だったと思うよ本当に。正直もう泣きそうです。

事態の急激な変化についていけなくて胃が痛くなってきました。
こんなキチガイだらけの事務所に就職した自分の不運を呪いたいです。

伊織「ちょっとあんた」

伊織がヒソヒソ声で話しかけてきたのだった。

P「なんだ」

伊織「二人だけで話があるの。こっち来て」

P「美希に動くなって言われてるんだけど」

伊織「え? 美希ならそこで寝てるわよ。寝不足かしら」

なんということか。さっきまで俺を監視していたはずの美希が
床に倒れていた。どうみても気絶してるようだぞ。
そもそも美希は昼寝するときはソファーで寝るだろう。

美希の首筋に赤いあざがあるのが気がかりだ。

伊織「すぐそこの更衣室よ。今ならみんなにばれないから、
   早く行きましょ?」

確かに他の奴らは制裁とやらに夢中だから俺たちを見てない。
制裁って字を使うと外国人になった気分になるのはなぜだろう。

俺と伊織はこっそりとその場を抜け出し、更衣室へ場所を移したのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


伊織「あのバカたちのことはもう忘れて? あんたはこの
   スーパーアイドル伊織ちゃんのことだけ見てればいいの」

そのセリフのあとにキスされた。
凄まじい展開の早さだった。

P「……ぷはっ。ま、待て伊織。これ以上はまずい」

伊織「今更なにがまずいってのよ。すでに事務所はカオスと
   化してしまったのよ。私だって好きな男とキスぐらい
   させてもらいたいわ」

P「す、好きって、俺のことが…?」

伊織「他に誰がいんのよ。バカね。さ、続きをしましょう?」

P「ちょ」

待てという前に唇がふさがれてしまった。身長差がかなり
あるので俺にしがみつくように抱き着いてくる。
その唇は甘くてとろけるようでせつない味がしたのだった。

P「待て待て!! 本当にこれ以上はまずいことになるって!!」

伊織「もみ消してあげるから」

P「え?」

伊織「今回のスキャンダル未遂ね、貴音や美希の持ってる画像も含めて、
   うち(水瀬)の権力でもみ消してあげるから」

P「……!!」

伊織「だから最後までやって。お願い」

願ってもない好条件だった。俺の不純異性交遊を表ざたにしないために、
どんなことでもするつもりだった。ゆ、雪歩ほどじゃないにしろ、
伊織のことはもちろん好きだしな。

こんなめちゃくちゃな事態になっちまった以上、頼れるのは
金持ちの伊織お嬢様くらいだ。こうなったらどうにでもなっちまえ。

P「分かったよ。来いよ伊織。おまえの気が済むまでやってやる」

今度は俺の方からキスした。

伊織「……んっ!!」

重なり合う俺たちの身体。

俺は伊織の唇を味わいながらもしっかりと胸を触っていた。
雪歩や貴音よりはずいぶん小さいけど。揉み心地がいい。

伊織の顔が真っ赤になってるのがおもしろい。
調子に乗って背中を触り、うなじや太ももなど
いろんな場所をまさぐっていった。

伊織「んあっ……」

くすぐったそうに喘ぐ伊織。
いい反応だ。初めてにしては相性がいいのかもしれない。

伊織の口からこぼれてる唾液を舐めてやった。
伊織の味がしたよ。お嬢様の味だ。髪もすごくいい匂いがする。

P「伊織、俺の見てる前で服を全部脱いでくれないか?」

伊織「……ヘンタイ」

と言いつつも指示に従ってくれる伊織。まさにツンデレだ。
上着、スカート、ソックスを脱いで下着だけの姿になった。
俺はもちろんガン見してる。

伊織は恥ずかしくて俺の顔をまともに見れないようだったが、
震える手で自らのブラを外し、ショーツに手をかけた。

P「綺麗だよ伊織」

伊織「……///」

正面から伊織の身体を観察してやった。
美希に知られたら殺されるだろうな。
あいつちゃんと気絶してるかな?

P「乳首が立ってるぞ?」

伊織「あうっ……」

P「見られて興奮したのか? 伊織ちゃんはヘンタイでちゅね~」

伊織の胸にじかに触れた。手のひらに収まるほど小さい。
けどかわいい胸だ。伊織らしいといえば変だけど、
こういう胸をも悪くない。

P「伊織の胸、かわいいよ?」

伊織「……もう///」

伊織は俺にされるがままだから笑える。初めから俺に犯してほしかったんだろうか。
Sっぽく見えるのに実はドMなんだろうな。これはいい。俺も興奮してきたぜ。

P「お胸ぺろぺろしちゃうぞ?」

伊織「あっ/// …ゃ~~」

固くなった乳首を唇ではさみ、舌で刺激した。
伊織は切なそうな顔で刺激に耐えてるようだった。

もう自分の担当じゃなくなったとはいえ、伊織と初めて会った時の
ことは忘れてないぞ。最初はなんてブリっこな子なんだと思ったが、
あのツンツンした態度すら仮面にすぎなかったのかもしないな。

P「伊織ぃ? こっちも濡れてきたんじゃないか?」

伊織「んっ……///」

手で大げさになぞる伊織の秘所。
確かにそこは湿っていた。というよりすでに
洪水状態になってる。そんなに興奮していたとは。

P「こっちも舐めてあげるからな?」

伊織「ああっ……ふああっ」

伊織は視線がうつろになり、内股気味になってる。
おしっこを我慢してるような態勢だ。

俺は膝をついて伊織のアソコを舐め舐めしてる。
伊織は立ったままの体勢だ。
割れ目を下でなぞるたびに愛液が溢れ出してくる。

今頃雪歩は大変な目にあってるだろうに。俺たちは
何をやってるんだろうね。て、今は関係ないか。

P「ほーら。もうびしょ濡れになっちゃったぞ?
 今度は指を挿入してあげるからな」

伊織「ひゃああっ!!」

いっきに二本挿入してやった。伊織のキツキツのそこは
簡単に受けれてしまう。これだけ濡れてれば当然だ。

異物が自分の身体に入った感触はどうだ伊織?

伊織「んんっ……だめ……」

P「ん? 気持ちいのか? もっと触ってやるからな」

クチュクチュ

指を出し入れするとエッチな水温を奏でた。

伊織「ふぁぁ……」

視線がうつろだ。立ってるだけでもやっとのようで、
ふらふらして俺に寄りかかってきそうになる。

俺は伊織の腰をしっかりと固定し、さっきよりも強く
指を挿入した。伊織の中を自由自在に指が動き回る。

伊織「んあああっ……もう……イっちゃうぅぅぅ……」

P「我慢しなくていいんだよ伊織? 俺の見てる前でイっちまえ」

伊織「やああああっ……見ないでええええっ……」

伊織は大きな声をあげながら達してしまった。
アソコから出された大量の愛液が俺の手を汚してしまう。

俺はついに伊織がイク姿を見てしまったのか。
感慨深いもんだぜ。

俺の息子もビンビンにいきり立ってる。
次はこれの処理をしてもらおうかな。

P「歯を立てないようにしてゆっくり口にくわえてくれ」

伊織「ふぁい…」

直立してる俺の前に膝立ちになった伊織。
まるで召使がご主人様にするように俺のデカマラに
ご奉仕する伊織。この快感といったらなかった。まさに最高だよ。

P「いい子だな伊織。頭をナデナデしてあげよう」

伊織「……んぐ……んぐ」

なんだかシュールな体制だな。伊織の髪の毛は貴音たちよりも
柔らかくてみずみずしかった。さすが金持ちは髪質も一流だな。

ネチネチした伊織の舌が俺のモノの先端を舐めている。
細い指でしっかりと握られてることもあって今すぐ
射精しそうになるが、早漏すぎても情けないので我慢だ。

伊織「プロデューサー。気持ちい?」

P「ああ、とっても気持ちいよ伊織。伊織はお利口さんだな」

伊織「う、うん……///」

自然に頭を撫でてしまう。伊織はすごくうれしそうだった。
普段からこういう素直な態度を見せてくれれば可愛いのにな。

伊織はいったん中断していたフェラを再開する。

伊織「はむ……」

P「ぐ……」

伊織「おいひいわぁ。プロデューサーのデカマラ」

そんなかわいい顔で言うなよ。今すぐぶちまけたくなるじゃないか。

伊織「……んっ……んっ……」

だ、だめだ。もう我慢できん。

伊織「んんんn!?」

伊織のお口の中に大量に流れ込む白い液体。
苦しそうにしていた伊織だったが、覚悟を決めたのか
それを飲み込んでしまった。

俺は信じられないものを見る目で伊織を見ていた。

P「飲まなくても吐き出してくれもよかったんだよ?」

伊織「いやよ。プロデューサーのだもん」

P「そ、そうか……。じゃあ次は…」

いよいよ本番にしゃれこもうとしたのだが、とんだ邪魔が入ってしまったのだ。

ガアアアアアアン ドガアアアアン ガシャアアアアン

事務所の方からとんでもない音が響いてる。
春香たちが暴れてるのだろうか。誰かの悲鳴も聞こえてくるぞ。
いずれにせよこのままプレイを続行するのは無理かな。

伊織「今日はここまでにしましょう? 私が向こうの様子を見てくるから、
   あんたはもう帰りなさい」

P「なっ、俺もう帰っていいのか? 一応Pなんだけど」

伊織「今回の件はかなり特殊な事情よ。さっきも言ったおとり後始末は
   私がなんとかしてあげるから、あんたは逃げたほうがいいと思うわ。
   たぶんここに留まってたら命に関わる」

P「りょ、了解」

あとは水瀬家に任せればいいか。確かにそうだな。
俺は一目散に逃げることにした。

最後に、伊織に戸締りはきちんとするようにと言われた。
背筋が凍るような思いだった。

この時から俺はやな予感を感じ取ってたんだが、
まさか次の日にいきなりあんな事件が起こるとはな。
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次の日、事件は起きたのだった。

朝になり、俺が目覚めるとここが自分の部屋じゃないことに気づく。
そして鎖の感触。これは拘束されてますね。身動きができないんですけど。

貴音「うふふ。おはようございますあなた様」

P「……っ!!」

これでも頭は働く方だ。一流Pの状況判断力をなめるなよ。

P「なるほど。どうやら俺は監禁されたらしいな。
 まずは質問だ。いつ拉致したのか?」

シマウマPなのか…支援
ところでもうひとつの長編はどうなったん?

貴音「昨夜遅くにです」

P「問2、どうしたら俺を自由にしてくれる?」

貴音「雪歩と別れ、私との交際を認めてくれたら解放しましょう」

P「問3、俺はおまえのことがそこまで好きじゃないって言ったら?」

貴音「……」

貴音は無言で俺を睨み、こっちに近づいてきた。

貴音「問題ありません。他の女どもが目に入らない環境にいれば、
   必ず私の気持ちにこたえてくれるはずです」

あいつの言ってることは冗談じゃないから困る。
経験豊富な俺でも監禁されるのは初体験だ。

俺の携帯も没収されちまったみたいだし、助けを呼ぶ手段は
あるのだろうか? ついてねえ。

最初はこんな軽い気持ちで構えていたんだけどな、
のちにすさまじいい精神的苦痛になっていくんだよこの生活が。

シマウマP「あーー!! 昼飯あんど休憩時間に入る!!
     再会は13:00ごろを予定してる!!
     悪いが保守ヨロだ!!」

雪歩「私がどうなったかについてはしばらく後に
   明らかになるでしょう」

美希「もう雪歩は死んでいいの」

シマウマだが、戻ったぞ
>>107 あれは未完なのだ さーせん

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※三人称視点へ変更。

それから一週間近くの時が経過したが、Pの監禁はいまだ継続されていた。

貴音「ここまでくるのにどれだけ時間がかかったのでしょう
   あなた様。初めて私と顔を合わせた日を覚えてらっしゃいますか?」

P「……」

Pは何も答えなかった。無言、無表情。
あたかも無視されているようなその態度に苛立ち、

貴音「聞いているのですかあなた様?」

語尾に怒気をふくんでしまう。
普段のおだやかな彼女とは全くの別人。

P「……」

Pには覇気がない。身体の自由を奪っているのは鉄の鎖。
病んだ彼女に拉致され、拘束され、監禁されてる現状。

寝させられてるのは貴音のベッド。身体中が鎖で
締め付けられ、指一本すら満足に動かせない。

話す余裕すらないほどに、衰弱していた。

貴音「どうしてあの一言をおっしゃってくださらないのですか?
   ただ一言。私に愛してると言ってくだされば解放してあげますのに」

P「……!!」

貴音「……?」

貴音が首をかしげる。廃人だったPの瞳に、
人間らしい感情が宿ったのが分かったからだ。

彼は口を開いた。

P「おまえは……俺の知ってる貴音じゃない」

貴音「……?」

貴音はもう一度首をかしげた。
そんなことは貴音の聞きたいセリフではなかったからだ。

P「もう俺を解放してくれ。頼む、解放してくれ……雪歩に会いたい…」

貴音「はぁ……またですか」

溜息。そして平手打ち。

P「……ッ!!」

貴音「なぜ、私の気持ちを理解してくれないのですか。
   それに他の女の名前出すなんて失礼です」

P「す、すまなかった。ゆ……許して……くれ」

あまりにも非常な仕打ちだった。
なぜ自分の意思に反して貴音の家に拘束され、
虐待されなくてはならないのか。

遠い場所となってしまった765プロの事務所を想う。
アイドルたちの笑顔を思い浮かべると、涙が止まらなくなった。

Pは精神の均衡を崩してしまい、震え始めてしまった。

P「……嫌だ。もういやだ。誰か助け…」

その動きに連動して鎖が鳴る。その音を不快に思った
貴音がPの上にまたがり、話しかける。

貴音「うふふ。そんなに怖かったのですか?
   脅えてる姿もかわいいものですね。
   まるで幼い子供のようですよ?」

P「うああ……もうやめてくれ……もう痛いのはいやだ……」

貴音「大丈夫ですよ? もう私は怒ってません。
   キスでもして仲直りしましょう? 
   今回はちゃんと拘束しましたから、もう抵抗できませんよ?」

貴音がゆっくりと顔を近づけ、Pとの距離をゼロにした。
女の長い髪の毛がPの顔にかかった。怖くて逃げ出したいのに、
貴音の匂いがなぜかPを安心させていた。

P「た、貴音ぇ。貴音ぇぇ」

貴音「素敵ですあなた様。もっとキスしましょう?」

クチュクチュ ピチャピチャ

舌と唾液の絡み合う音が響く。
Pは貴音にリードされるままだ。

もとより抵抗する術などないのだ。

監禁されてから何日たったのか覚えていなかったが、
アイドルたちの顔は忘れてなかった。

こんなふしだらで不健康な生活がいつまで続くのか、
Pは軽いうつ病になりつつあった。

だがどこにでも救いの神というのはいるもので
Pは突然救出された。救いの女神は水瀬伊織嬢だった。

Pはあまりの幸運に感謝し、伊織に抱き着いて号泣した。

貴音は長い棒のようなモノで背後から襲撃されたため
その辺に倒れてる。頭から血を流してるのが少し気がかりだが、
今は脱出できることがうれしくてどうでもよくなった。

しかし、この伊織嬢はPと一緒に生活することを望んできたのだった。
場所は水瀬宅。その提案に仰天したPだが、断わるだけの
体力も気力も彼には残されてなかった。


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⑨     ※一人称視点へ戻る。

俺は何度も自宅に帰りたいとさりげなく要望したのだが、

伊織「ダメに決まってるでしょ」

まっこうから反対された。

伊織「あんたと離れるくらいなら自殺したほうがましよ。
   こんなチャンスめったにないんだから……」

竜宮小町のリーダーとして立派に成長したと思ってたのに、
精神的には俺に依存していたのか。

これじゃ監禁場所が貴音の家から水瀬邸に変更されただけじゃねえか。

しかし、伊織の奴もそんなに俺のことが好きだったとは複雑な気分だな。
伊織のことを少しも分かってやれなかった俺は大バカなんだろうか? 

いや、今はどうでもいい。とにかく伊織をなだめてやらないと大変だ。

伊織はどういうわけか泣きそうになっていたんだよ。
俺が帰りたいといったから傷ついちまったのかな。

P「ご、ごめんな伊織? 今のは冗談からな?」

伊織「ほ、本当に?」

そ、そんな涙目で見つめてくるなよ。
監禁されてるカオスな状態なのに、ときめいてしまうじゃないか。

P「もちろん本当だよ? 俺が嘘を言うと思うかい?」

伊織「うーー。じゃあキスしてくれた信じる」

やよいみたいな口調で言いやがった。
仕方ないのでキスに応じてやるが、ひそかに今後のことを考える。

現状は伊織の家に監禁か。今事務所がどんな状態になったのか
気になるが、とにかくここから脱出しないとな。

伊織「なによ。恋人とキスしてるのに考え事? 仕事のことはしばらく忘れていいわよ」

P「な、なんでだ?」

思考を読まれてしまったのか? 恐るべき洞察力だ。

伊織「事務所はもう崩壊しつつある。美希や春香を中心としたヤンデレ集団が
   あんたを捕獲しようと動いてるわ。見つかったらやばいわよ。
   貴音以上に恐ろしい奴らだから」

意味が分かりません。俺って動物か何かか?

伊織「なにシマウマみたいな顔してんの。しっかりして。あんたは
   伊織ちゃんが守ってあげてるでしょ? ここにいれば命の安全は
   保障されるんだから」

確かにその通りかもしれん。貴音を倒してくれたのも伊織だし。

でも気になるところはたくさんあるぞ。俺の……本命だった雪歩は
どうなったんだろう。あの時は春香たちに粛清されてたっぽいけど、
俺は伊織とプレイ中だったから詳細は知らないんだよね。

今の伊織は冷静だし、雪歩のことを訊いても怒らないよな?
(貴音はめちゃ怒ってたけど)

P「なあ伊織。その……雪歩はどうしたのかなって……」

伊織「は?」

P「い、いや。だからさ、雪歩は元気にしてるのか気になっちゃって。
 俺って一応プロデューサーだろ? アイドルのことはどうしても
  気になっちゃうんだよね。なーんて…」

伊織「……」

P「あの」

伊織「……」

P「……」

不意に訪れた無言の時間。原因は俺か。
どうやら雪歩の名前を出すのはタブーだったらしい。

伊織は雪歩に嫉妬してたに違いない。だから俺がまだ雪歩のことを
好きだと思ってるんだな。実際その通りなんだが。

伊織「まだあの女のことが気になるの?」

P「うっ……」

すげえ顔で睨まれたぞ。蛇に睨まれたカエル状態だ。
どうやらマジで地雷を踏んじまったらしい。俺は本当にマヌケだ。

伊織「なんで……雪歩なのよ」

P「……そ、その……」

部屋の空気が凍りついていく。伊織は雪歩の顔を思い出してるのか、
抱いていたウサギを親の仇を見るような目で見ていた。

伊織「なんで雪歩のことばっかり特別扱いするの? 私はあんたの
   ピンチを救ってあげたし、いつでもあんたのことを想ってたのに。
   なんで? なんで?なんで? なんで?なんで? なんで?なんで?
   なんで? なんで?なんで? なんで?なんで? なんで?なんで?」

P「い、伊織。頼む。落ち着いて話を聞いてくれ」

伊織「……」

P「……っ!!」

伊織の表情は激変していた。瞳は感情が欠落したような
濁った色をしており、全身から殺気だっている。

下手なことを言えば本当に殺されてしまいそうだ。

P「聞いてくれ。伊織に助けてもらったことは本当に感謝してる。
 もう二度と他の女の名前を出さないと誓うよ。だから許してくれないか?」

伊織「……」

P「なあ、頼むよ伊織。なんでもするから」

伊織「……じゃあこれ」

伊織はふてくされた顔で手錠のカギを取出し、
両手の拘束を解除してくれた。

伊織「あんた、私のこと好きよね?」

P「……っ!! ああ、もちろん大好きだ!!
  俺には伊織以外の女なんて考えられない」

伊織「じゃあこの間の続きしましょう?
   私たち、愛し合ってるんだから問題ないわよね?」

ほ、本番をやろうってのか。前回は中途半端に終わって
ほっとしていたんだが、そんなこと口にしたら殺される。
(もしくは拷問されるかもしれん)

P「もちろんオーケーだ。来いよ伊織。
  俺もこの間の続きがしたくてうずうずしてたんだ」

すでに手錠ははずされてる。そして伊織は俺に何かを求めるような目で見てる。
もうここまで来たら止まれないな。

伊織「だいすきぃ……!!」

伊織が正面から抱き着いてきたのでそれを受け止めてやる。
ベッドがわずかにきしむ。俺はベッドの上に座っているから、
伊織は俺の膝の上に乗るような形で密着してるわけだ。

まるで幼児が親に甘えるような格好だなぁ

伊織「好きよ。あんたのことが大好きなのぉ……!!」

至近距離で愛の告白をされるとさすがに恥ずかしいもんだ。
同時に伊織を犯してやりたい衝動に駆られる。
今は我慢する必要はないんだけどな。

伊織の身体って柔らかいんだな。
服越しでも体温が伝わってきて心地いいよ。

安心させるように頭を撫でる。
伊織は静かに目を閉じ、もう一度キスを求めてきた。

こうしてると伊織のことがたまらなく好きになってしまいそうだ。
俺はなんてバカなことをしてるんだ。雪歩のことは
もうどうでもいいのだろうか。そんなわけは……

伊織「もっとちょうだぁい。プロデューサーのおくちぃ……」

ねっとりと舌をからませる伊織。
目を細め、ひたすらに俺を求めてくる。
年齢に不釣り合いなその仕草に俺のアソコに血流が集中する。

伊織「きゃあ?」

キスに満足できなくなってしまった俺は伊織を押し倒した。
スカートの中に手を入れてショーツを脱がす。
お嬢様らしい上品なショーツだった。

伊織「ひゃああ?」

クンニの時間だ。伊織の太ももをつかんで強引に足を広げさせ、
可愛いアソコを舐め舐めしてるのさ。

伊織「んあぁっ……!! そんなに舐めちゃダメぇ……!!」

すでに濡れていたソコからさらに液体が滴る。
俺の舌の動きにあわせてやらしい水温が響くのだった。

お嬢様を犯すってのも悪くない。この時の俺は
完全に理性を失っていた。獣以下だな。
たぶん深海魚のほうが俺より立派だよ。

伊織はせつなそうな吐息を吐きながら刺激に耐えている。
そんな顔されたら、ますます燃え上がっちまうじゃないか。

P「伊織。抱いてあげるからこっちおいで」

伊織「ふぁい」

目がうつろだな。伊織は言われたとおりベッドに座っている俺の
膝の上に乗る。お互い正面から見つめあってるから、この体勢は
対面式。つまり対面座位だな。

伊織はゆっくりと腰を下ろし、慎重に俺のモノを濡れ濡れのソコに受けいれた。

伊織「ふぁあああ……!! プロデューサーのここ、おっきいわぁ!!」

俺にしがみついてる伊織。揺れ続けながら耳元で卑猥なことを言ってる。
いつもの生真面目なツンデレキャラとは正反対でおもしろい。

俺も調子のって伊織の奥の奥までデカマラを入れてやった。

伊織「んああああああ!! いいよおおおおお!!」

休みなく、激しい上下の運動の時間だ。伊織の汗の匂いまで
間近に感じることができるぞ。これじゃどんな男だってノックアウトだな。

P「もうイキそうなのか? 伊織」

伊織「ああああああんっ!! プロデューサーのデカマラでイっちゃうのおおおお!!」

キツキツの秘所が俺のをつかんで離さない。その締め付けがいっそう強くなったと
思ったとき、伊織は遂に絶頂に達し待ったようだ。

ひときわ大きな声を上げて脱力し、俺に寄りかかってきた。
俺は伊織をナデナデしながら愛の言葉をささやいた。
こうでもしないとこいつはまた暴走しかねないからな。

これからは雪歩のことは口にしないようにしようっと。

こうして俺は伊織の奴隷となった。だが決して希望を捨てたわけじゃないぞ。
いつかここから脱出し、平和な日常を取り戻して見せる。


※これにてPの回想は終わり、物語は序章の部分へと戻るのだった。
            
                           第一部 完

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うん。なんというか疲れた。第一部はちゃんと書き溜めしたからな
前回の反省だ。伊織好きの人にはたまらん内容だったろうね
代行してくれた>>1には感謝だ。支援してくれた読者にも感謝。

シマウマ「分かったよ。第二部はまだ六割くらいしか書き溜めできてないんだ。  
     書き溜め(構想含む)を含めて休憩させてください。
     まじで疲れてるのだ。一時間でいいから(切実)」

第二部  ①  


仕事に疲れ、人生に疲れ、ヤンデレに疲れて旅に出る。

俺は、癒しを求めていた。

以上の部分だけでもストーリーの予想はつくだろう。

俺は休職したのだ(退職ではない)

もちろん社長や律子に猛反対されたが強引にねじ伏せてな。
今頃代理のPががんばってるだろうから問題ないだろう。
つーか、あの事務所ってまだ残ってたのか。

ガーガーガーガー

揺れるJRの車内。昼間の時間帯ということもあり、
乗ってる人は人は少ない。今日は天気も良くていい日だ。

日常の憂さを晴らすには絶好の天気ってやつだな。
俺は空港までの道のりを確認しながらIPODで音楽を聴いてる。

どうせ近場に逃げてもあいつらは追ってくるんだろうから
遠くまで逃げようと思ってる。

おまえは水瀬邸に監禁されていたはずだ。
どこからかそんな声が聞こえてくるな。

脱出したんだよ脱出。どうやって脱出したかというとだな。
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②    伊織ちゃんの家から脱出編 回想

ちくしょう、ヤンデレに監禁されるのがこんなにつらいなんて。
俺はいつになったら家に帰れる? そして本来の仕事に戻れるんだ?

伊織「プロデューサー、チョコ食べさてあげるわね。口渡しで☆」

P「……ははっ。わーい。うれしーな!!」

チョコをくわえた伊織の顔がせまる。俺は抵抗しなかった。
普段は手錠されてるのでご飯すら自分じゃ食べられてないんだ。

今は午後のおやつの時間なんだ。伊織は食事のたびに
この部屋に俺の分を持ってきては食べさせてくれる。
ちなみに断わったら大変なことになる(烈火のごとく激怒)

こいつは貴音より質の高いヤンデレで、怒らせるとかなり怖い。
あと一日三十回くらい好きだって言わないと不機嫌になるから困る。

伊織「プロデューサー。あたしのこと好き?」

P「もちろん大好きだ!!」

伊織「どのくらい好き?」

P「世界で一番大好きだ!! もう好きすぎて死にそう!!
  俺にとって一番の苦痛は伊織に会えないことかな!!」 

俺は道化を演じてる。アホとか言うなよ。
こうでもしないとマジで殺されるんだから。

伊織「にひひ。ありがと。それじゃ出かけてくるから。
   おとなしく待ってなさいよ?」

P「おう、行っておいで」

事務所にでも行くのだろうか。あの事務所がまともな姿で
残ってるとも考えにくいが。ちなみにそのことを伊織に訊いても
話を誤魔化されて終わりになる。だから詳細は知らないんだ。

一番気になるのは雪歩のことだが、もちろん訊くわけにはいかない。

伊織よ。せめて手錠を外してくれれば……。

とにかく今は一人だ。何か脱出の手段を考えなければ。

その辺の家具でも物色するか。せめて手錠の鍵でもあればいいんだが。

俺は三十分くらい熱中してガサ入れした。例えるなら、
プラモデルを組み立てるのに夢中になってる中学生男子みたいなもんだ。

P「こ、これは……!!」

なんと!! 本当に手錠のカギを発見してしまったぞ。
ピアノの近くに置いてあった。なんでこんなとこにあるんだよ!!

P「よし、これで手錠は外れたぞ!! あとはどうやって逃げるかだ……」

扉には鍵がかかってる。ここを出ると廊下なんだろうが、
多数の召使どもがいるんだろうな。メイドとか執事とかが。
つまり廊下に出ればヒャクパー捕まるわけで。

P「なら窓からだ!!」

俺はついに気が狂ったのか。たぶん長い監禁生活で頭が
おかしくなったんだろうな。本当に飛び降りてしまったよ。
ここは三階だったが、もうどうでもいい。

パリィィィん!! ←またAAよろしくお願います。

ハリウッドスターを彷彿とさせるポーズで
飛び降りることに成功した俺。

着地の衝撃で足がじんじんするが、いたって健康だ。問題ない。

いや、問題はあったな。

P「なにここ? 本当に日本なの?」

そこは深い森の中だった。どうやら俺は裏庭らしい場所に
出てしまったらしいな。背の高い木がいくつも生い茂っていて
日光すらまともに入ってこないぞ。

そして行き先もほとんどわからない。

ちくしょう……

その昔、ベートーベンは森を散歩しながら作曲のネタを考えていたという。
漫画家が深夜徘徊するみたいなもんだな

メイド「何かお困りのようですね。お客様」

P「なっ」

俺は背後を振り返る。そこにはメイドと思わしき女がっていた。
いつからそこにいたんだ。俺を捕まえる気か?

メイド「いいえ。あなたをどうこうするつもりはございません」

P「な、ならここから出してくれないか。俺はもう限界なんだ。
 二度とヤンデレとは関わりたくない」

メイド「そうですか。私は止はしませんよ。
    でも伊織お嬢様が……哀しむでしょうね」

メイドの話し方はいちいち引っかかるものがあった。
しかしこいつ美人だな。憂いを秘めた瞳が何とも……。

P「監禁された俺の方が悲しいよ!! いいから出口まで案内してくれ。

  俺は伊織の他にもたくさんのアイドルを抱えてる身なんだぞ?
  あいつらを一流アイドルにさせるのが俺の使命なんだ!!
  頼む。行かせてくれ」

メイド「……そうですか」

メイドは淡白な言い方をして、俺を先導した。
落ち着いているようだが、その内面に何かを秘めているような
女だった。迷路と思われたこの森も、正しい道のりで進めば
十分程度で門までたどり着けた。やはり裏門か。

P「案内してくれてありがとう。じゃあな」

メイド「ええ」

最後まで無表情な女だった。感情というものが欠落してるみたいで怖い。
まあ再開することもないだろうし、どうでもいいか。

俺は家に帰った。久しぶりの我が家だ。アパートだけどな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


なにこれ?

俺は部屋に入ってから呆然とした。

天井には六種類の監視カメラが置いてあった。
部屋の家具はめちゃくちゃに荒らされ、もはや
ただのガラクタ置き場をかしてる。

これを春香たちヤンデレ集団がやったのかを想うとぞっとする。

おれは、もう一度プロデューサーをやり直したいと思って
ここに帰ってきた。なのにこんな有様を見せられたら。
もう何を信じたらいいのか分からない。

雪歩は五体満足で生きてるのだろうか?
携帯を取り出そうとしたが、伊織に没収されてることに気づく。

P「くっ」

千早のように悪態をついてしまう。

何より気に入らないのが、俺のベッドの上に美希が倒れてることだった。
寝てるわけじゃないぞ? なにせ後頭部あたりから真っ赤な血を流してんだからな。
おそらく背後から鈍器のようなもので強打されたのだろう。

つくづくバカな奴だな。まあ死んじゃいないだろう。
美希はわがままがすぎたからたまには血を流すくらいでちょうどいいんだよ。
それにしてもベッドシーツが真っ赤だ。まあいいけど。

それにしてもショックだなぁ。俺のプロデューサーするべきアイドルは
屑ばっかりてことか。ここまでくると転職したほうがよさそうだ。でもその前に。

P「さて。そろそろ旅に出るか」

俺は心の休養のため、旅に出ることを決心したのである。
①のシーンへはこうして戻るわけだ。



旅に出たというが、行き先は海外じゃないぞ。
まずは羽田空港に行き、適当に国内旅行を決めようと思ってる。
沖縄とかがいいかな。北海道も悪くない。東京から離れてればどこでもいいけどな。

やよい「国内なら響ちゃんの故郷の沖縄なんてどうですか?」

P「……」♪

ところで、俺はこれでもポータブルプレイヤーの音質にこだわってる。
ポータブルアンプ+遮音性の高いヘッドホンで聴いてるのだ。
(車内でクラシックを聴くにはこのくらいしないとちゃんと聴こえないんだ)

やよい「プロデューサー。無視しないでくださいよぉ」

このようなノイズが入らないよう、細心の注意を払ったつもりだった。
俺のヘッドホンはそんなに遮音性が低かったのか? ショックだ。

やよい「私の顔、見えてますよね? なんで見えてない振りしてるんですか?」

俺はヘッドホンを頭からそっと離したのだった。

P「初めに訊くぞ。なぜ俺がここにいることを知ってる?」

ここは電車の中だ。道端でばったり会うのとはわけが違う。
やよいは俺が秘密裏に計画していた旅行を
事前に察知し、全く同じ電車の同じ車両に乗り合わせてる。

もちろん旅行計画は社長にすら話してない。
俺が休暇をもらったのは、心の休養のためと説明してある。

この現状から察するのに、やよいは俺の普段からの行動や言動を
なんらかの手段で傍聴してると思われる。スパイみたいなやつだな。

やよい「えー? なんでって今更じゃないですか。
    プロデューサーの部屋に盗聴器とか仕掛けられてるのに
    気づかなかったんですか?」

P「な……に……?」

やよい「てっきり気づいててわざと外さないで置いたのかと思いました。
    関係ないけどソ連製監視カメラもいくつか設置してます。
    分かりやすく壁に埋め込んであるのですぐ気づくと思ってました。
    プロデューサーが持ってるエロ本の正確な数を教えてあげましょうか?」

P「……っ……っ!!」

やよい「どうしたましたか? 震えてますけど」

俺はプルプル震えた後、走り出すことにした。
どこでもいい。こいつらから逃げたかった。

やよい「どこに行くんですか!!」

背後から聞こえる舌たらずな声を無視する。
俺はもう迷わない。こいつらとはかかわらんぞ。

車内を走り続ける俺を乗客が奇異な目で見てくるが
かまうものか。全裸でマラソンするよりはマシだろう。

……ふ。さすがに前方不注意だったかな。
吊革につかまっていた中学生くらいの女の子とぶつかっちまったよ。

伊織「……いたた。気をつけなさいよね」

俺は情けないことに、車内にいた伊織に突撃する形で
押し倒した体勢になっていた。強引に押し倒された格好になる
伊織は、不満そうな声を漏らしながらもまんざらではなさそうだ。

ん? なんかおかしくない? なんだこの美少女は。伊織……だと?

P「おまえ……なぜここに?」

伊織「えへへ。来ちゃった/// あんたを捕まえるためにね」ギロ

P「」

いい加減にしろ。もう死ぬわ。やよい+伊織のコンボ。
この分だと他のアイドルたちも潜入してる可能性は高い。

俺は絶望感に満ちた顔をした後、行き先を沖縄から
京都に変更するため、次の駅で乗り換えることにしたのだった。
やっぱり陸路で旅行するに限るね。



いや待て。京都に変更したって同じ結果だ。このスパイどもは
どこへいっても着いて来るにきまってる。旅行という行為自体が
すでに死亡フラグみたいなもんだ。

慣れない地でヤンデレに襲撃されたら終わりじゃないか。

どこに行けばいいんだよ?

俺はシマウマの体勢でうづくまった。
目を閉じ、真剣に考える。
脳内に浮かんだのはクラシックの指揮者だった
(フルト・ヴェングラー)

ヴェングラーといえばベートーベーンやブラームスだな。
あー、コンサート会場にいきてえ!
(ちなみに俺は千早の影響でクラ好きになった)

伊織「音楽なら家で聴けばいいじゃない。
   家のオーディオじゃ満足できなかったの?
   ヴェングラーのアナログ盤なら真空管アンプで
   十分鳴るじゃない」

P「たしかに伊織のうちにあるのは次元の違う音だったよ。
  だが俺は生演奏が見たいんだ!! たとえ下手な指揮者のでもいいから!!」

やよい「うっうー。わがまま言ってるお兄ちゃんにお仕置きしたいです」

P「え」

なんと、やよいに腕組みされてしまった。もう追いつかれてしまったんだな。
伊織とだべってる時間が無駄だった。腕組みというよりもはや拘束だがな。

やよい「つかまえましたよ?」

死んだ? おれ死んだ? 今日が命日になるの? 
痛いんで離してもらえますか? 腕が折れそうです。
あと目つきがすごく怖いです。

やよい「お兄ちゃんがどこへ逃げようと同じですよ?
    私たちはどこへでも着いていきますから」

P「……もうダメポ」

俺はorzの体勢になり、絶望に暮れていた。

伊織「そんなに絶望することないでしょ?
   ちょっと監禁するだけじゃない。……あと拷問も」ボソ

やよい「監禁されるのがそんなに怖いんですか?
    絶望してるお兄ちゃんの顔もかわいいですぅ」

ふざけんなよおまえら? ほんと人の人生をなんだと思ってんの?

P「あああああああああああああああああ!!」

俺はこの時何を思ってたのかわからない。
ストレスのたまりすぎで精神的にいかれてたんだろうな。

P「あーなんだか無性にセクハラしたい気分だぜ♪」

やよい「え?」

P「いくぞ。パイターッチ!!」

やよい「」

以前、別の次元の俺が全く同じことをした気がするな。
まあ平衡世界ってやつだ。気のせいだろう。

やよい「」

おし、腕のホールドが解除されたぞ。

P「伊織ちゃんにもパイたーっち!!」

伊織「んああああああ!?」

続けて伊織の胸も揉んでしまった。
しかもここは電車の中。客たちは
奇異の目で俺たちを見ていた。

このままじゃ通報されるね。
ちょうど電車が駅に止まってるので、俺は車外へ出た。
バカ二人は驚愕して固まってやがる。

まもなくして扉は閉まり、伊織とやよいを乗せたまま
電車が走り出してしまった。

ふははは。ざまーみろってんだ。うまく逃げ切ったぜ!!

P「やはり俺は天才だな。なんで初めからセクハラしなかったんだろうな」

美希「そうだね。ハニーはセクハラするのも一流なの」

P「な!?」

間違いなく、そこにいたのは星井さんだった。←もう名前で呼びたくない。
星井さんは後頭部を強打したはずだったのだが、ピンピンしてるから不思議だ。

美希「こんにちわなの、ハニー」

P「あの、失礼ですけど、どちらさまですか?
その、ハニーってのは外国人の名前とかですか?
  あなたは誘拐犯かなにかですか? 警察に通報しますよ?」

美希「ふざけてるの?」

P「そっちこそふざけないでください。僕はあなたのような
  人と会ったことなんてありませんよ。僕、これから行くところが
 あるのでどいてくれませんか?」

美希「……」

あ、やべー。キレてる。

まあ他人の振りされたら誰だって切れるよね。
今の星井さんの顔を深海魚で例えると、クロトカゲギス。
俺の持ってる図鑑だとすげえ顔してるぞ。

美希「お願いだから、これ以上美希を怒らせないで」

クロトカゲギスが言う。

怒ってるのはこっちだってえの。深海魚みたいな
表情してるから美人が台無しじゃねえか。

俺は笑ってる星井美希さんが大好きだったんだよ
(遠い目をしながら昔を振り返るのだった)

美希「ハニー? なんか失礼なこと考えてない?」

P「……? 言ってる意味がよく分かりませんね。
 初対面の人にそんなこと言われるなんて心外です。
 じゃあ、僕はこのあとクラシックのンサートに
 行かないと行けないんで失礼しますね」

立ち去ろうとしたが、もちろん止められた。

美希「待って。まさか記憶喪失とかじゃないよね?
   美希のこと忘れちゃったの?」グス……

あ、泣きそうになってる。これはおもしろい。

P「ああ、思い出した。たしかあなたは星井さんですよね。
  アイドルの。あなたの活躍はテレビでみたことがありますよ」

美希「……え?」

P「いやぁ、アイドルの人に話しかけられるなんて光栄だなぁ。
  友達に自慢できます。とにかく僕はこれで失礼しますね」

美希「は……にぃ……? どうしてそんなこと言うの?
   いくらなんでも悪ふざけがすぎるの……うっ……」

美希は立ち尽くしたまま涙を流していた。
あなたにとってアイドルは娘のようなものだったんじゃないんですか?
どっかからそんな質問が聞こえてくるな。

それに対する俺の回答は……こうだ。

P「うっせー。全員くたばれ」

クズとは、俺のために用意された言葉に違いない。
少なくとも俺は監禁生活で心を汚してしまったようだ。
おまえらも監禁されてみればこうなるよ。

だが、ここで白状させてもらう。
俺は星井の泣き顔を見て勃起していた。
あいつの泣き顔はかなりかわいかった。

この気持ちをどうやって抑えようか。
旅に出ると妙に発情してしまうのはなぜだろう。

P「風俗でも行くか? つーかここどこだよ」

適当に電車を乗り継いでぶらり旅してたんだが、
どういうわけか愛知県あたりに来てしまったらしい。
つーか今何駅にいるのかもよく分からん。

できれば近畿に行きたかったんだが。
つーか関東以外のことはよく分からん。

あと星井ならうざいから駅に置き去りにしたからな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ザワザワ ザワザワ

駅はすごい人通りだな。人の波にのまれてしまいそうだ。
の、乗り換えしないと。えーと次に来る電車の番線は……。

完全に迷ったぞ。駅員に聞くしかなさそうだな。
なんつー方向音痴だ。あずささんのことをバカにできねー。

あずさ「あはー」

P「……」

もう驚くだけの精神力を残してないぞ。しばらくぶりにあずささんに
再開しちまった。なぜかこんな場所で。一応訊いてみるか。

P「今週はグラビアの撮影がありましたよね。
 そろそろ事務所に行かなくていいんですか?」

あずさ「そのはずだったんですけど、道に迷っちゃいました。あはー」

あはーじゃねえ。なんだその爆乳は。少し揉ませろ。

あずさ「プロデューサーさんなら揉んでもいいですよ?」

思考を読まないでください。さらに勃起しちゃいました。
でもこの人の笑顔見てると癒されるんだよね。大人の包容力があるっているのかな。
星井さんみたいな子供とはやっぱり違う魅力があるよ。

P「胸はどうでもいいです。どうせ今から事務所に行っても間に合いませんよ。
  今日は仕事をさぼって俺とデートしませんか?」

あずさ「あらあら、プロデューサーさんから誘ってくれるとは思いませんでした」

P「いえいえ。あずささんみたいな素敵な人だったら誰だってデートに誘うと思いますよ。
  じゃあどこ行きますか? 映画とかだとありきたりだし、できればクラシックの
  コンサートがいいんですが」

あずさ「チケット持ってますよ。二枚ほど」

A席のチケット二枚だった。上等だな。
しかも愛知劇場コンサートホール。おーけー。

俺たちは恋人のように手をつなぎながら会場を目指した。
あずささんの手はやわらかくて暖かかった。
幸せだ。もうプロデューサー業とかどうでもいいや。


コンサートは盛り上がったぜ。ブラームスの第一番が聞けるとはな。
指揮者はロシア人だったが、悪くはなかった。強烈なフォルテッシモで
身体が飛び上がりそうな衝撃を受けたぜ。ブラボーとか叫んじまった。

今度はベルリンフィルの演奏を聴いてみたいぜ。
いっそのことこのままドイツまで行っちまうか?

あずさ「海外ですか? 国内でも楽しいことはたくさんありますよ?」

P「そ、そうですよね。今のは冗談ですよ」

さっきからなんでこの人俺の心が読めるの?
たぶんニュータイプかなにかか。

あずさ「それとプロデューサーさん、背中に発信器がついてますよ」

P「えっ」

俺は唖然とした。あずさんがそっと俺の背中に触れると、
確かに発信器と思われる機械が見つかったのだった。

なるほど、やよいたちはこれで俺を追跡してきたのか。
死ねばいいのに。

やよい「誰が死ねばいいんですか?」ギロ

P「やよいのことかな。毎回毎回ワンパターンで登場しやがって。
 いい加減その登場の仕方にも飽きたんだよ!!

  ストーカーみたいな真似してんじゃないよこのバーーカ。
  やーい貧乳!! おまえ貧乳だよ!! ロリだよ!! 最高だね→。
  おまえ今すぐ関東に帰れよ」

やよい「……プロデューサー。どうしてそんなひどいこと言うんですかぁ。
    雪歩さんが今どうしてるか教えてあげようと思ったのに」ウルウル

P「ゆき……ほ……?」

懐かしい名前だった。もはやプロデューサーとして腐ってしまった俺は、
765プロのアイドルなんて赤の他人だと思っていた。
しょうじき春香の顔とか思い出せない。

雪が歩むとかいて雪歩の名前を成す。
ゆきほ……? それともゆきポだっけ?

このPはソビエト呼びじゃなくてロシアなんだな

>>244 このPは日本人て設定だ あと第二章は完全にギャグだから

あのー。飯の時間なんだわ。みなさん保守頼むわー

フルネームはおぎわらゆきぽであってるか?

やよい「萩原雪歩ですよプロデューサー。
    二十台なのにもう痴呆が始まったんですか?」

P「そうかもしれない。クラシックの指揮者の名前のほうが
  思い出せるよ。なんでかな?」

あずさ「一種のストレス障害とかですかね?」

P「なんすかそれ。あっ、バカなやよいにも
  分かるよう優しい言葉で説明してくださいね」

やよい「……」ギロ

あずさ「自分にとって嫌なことを一時的に忘れてしまう病気ですよ。
    精神性ストレス障害でしたっけ? そんな感じだった思います」

案外適当ですね。まあいいですけど。

やよい「プ、プロデューサーが私のことバカって言いましたぁ。
    ひどいですよぉ……ぐすっ」

あずさ「まあまあ。やよいちゃんは嘘泣きが上手ねえ」

P「そうやって泣けばなんでも許されると思ってんじゃねえぞクソガキ」

やよい「……」ギロリ

ほーら本性を出しやがった。こいつ、顔はたしかに可愛いが
中身がやばいぞ。影でタバコとかふかしてるタイプだね。
未成年なんたらで逮捕されるね。俺とあずささんの目をだませるとは思うなよ。

ここは市内の大通りなんだが、通行人にじろじろ見られてんじゃねえか。
こんな怖いロリがいたらそりゃ目立つよな。

765プロは本当にキチガイ養成所と化してるよ。
まだ961のがましだろ。今のところあずささんが
一番信用できるぜ。

P「あずささん。立ち話もなんですから喫茶店でも入りませんか」

あずさ「そうですね」

やよい「私も行ってもいいですか?」

P「もちろんだよ。大勢で言った方がわいわいできて楽しいもんな」

あずさ「うふふ。プロデューサーさんは優しいですね」

P(いえ、断わったらまた盗聴器とか仕掛けられそうですからね)

あずさ(なるほど。やよいちゃんは油断ならないクズってわけですね)

俺たちはこそこそ話したのだが、

やよい(ぜーんぶ、聞こえてますからね。あとで覚悟してください☆)

という始末。ふざけんな。なんで俺が幼女に脅されなくちゃならないんだ。
あんまり調子に乗ってるとあとで犯してやるからな。


んで喫茶店に入ったわけよ。適当にメニューを頼んでおしゃべりタイムだ。

あずさ「やよいちゃんは仕事休んで平気なの?」

やよい「社長と律子さんが過労で倒れちゃったから仕事がないんですよ」

なにそれ? まあ誰が死んでもいいや。

P「あんなクソ事務所の話はいいよ。やよいちゃんよ。萩原雪歩さんが
  どうしてるのか教えてくれないか。パフェおごってやるからさ」

やよい「うーー。しょうがないですね。じゃあ教えてあげます」

と言った次の瞬間、やよいはテーブルに頭をぶつけた。

ごちん。

可愛い音だが、シャレにならん。なにせ、やよいは前のめりに
気絶したんだから。後ろから何らかの攻撃を受けたんだろうか。

あずさ「やよいちゃんの飲み物に一服盛っちゃいました☆
    あの子のプロデューサーさんを見る目が尋常じゃ
    なかったので」

P「ナ、ナイスですあずささん。こういう不良ぶった奴には
 毒とかお似合いですよね。あ、あはははははは」

この人に逆らったらえらいことになりそうだな。
いつのまにもったんだよ。
それにしても765のアイドルはすげえ。

こんな聖母みたいな人でも鬼になれるんだからな

あずさ「悪い子はちゃんとしつけないといけないと思うんです」

P「まったくですね。特に伊織とかは全く最低ですね。

  仕事は真面目でもプライベートがまるでダメ。
  人に依存しすぐなんですよあいつは。しかもドMの雌豚ですよ」

伊織「ふーん。そう」

P「俺がPに復帰したら真っ先に首にするのは伊織と高槻やよいですね」

伊織「美希だってわがままじゃない」

P「美希って星井さんのことか? あんな奴は論外だね。
 俺の目に映らない場所で死ねばいいと思うよ。
  俺がもう一度プロデュースしてもいいと思えるのは
 あのリボンをつけた…はる……なんとかって名前の女の子だね」

伊織「いくら春香が地味だったからって名前まで忘れるなんて最低ね。
   ……悪口言われてむしゃくしゃしたからそのへんの児童を誘拐したいわ」

あずさ「伊織ちゃん。喫茶店でぶっそうなこと言っちゃだめでしょ?」

伊織「だって、KGBでこういう訓練受けちゃったんだからしょうがないでしょ」

かーじぇーべーってなんだ? 英語っぽくないひびきだな。何語だよ。
なんかの組織の名前なのだろうか。そういや響のことはよく覚えてるぞ。

P「で、伊織は何しにここに来た? 一応ここは関東じゃないんだが。
 東京からここまでどんだけ離れてるか分かってるか? HA~?
 遠路はるばる俺を捕まえに来たのか? その前にせめて市内を観光させろ」

あずさ「そんな悠長なことが言ってられるでしょうか」

P「えっ」

あずさ「他の娘たちも、ここに来るんじゃないでしょうか。
    みんな伊織ちゃんと同じ訓練を受けてますから」

たしかに、星井さんとも道中でばったり会ったしな。
てか訓練てなんですか? もしかして軍隊の訓練のこと言ってんのか?

ちくしょう、名古屋あたりは周りたかったんだが。
ま、出張したと思えばいいか。観光には今度一人で来よう。

俺はクソロリの高槻やよいの分だったパフェを食べながら訊いた。

P「伊織は俺を捕まえてどうしたいんだい?」

伊織「まずは地下室に閉じ込めて拷問かしら。
   しばらくは電気椅子との生活に耐えてもらうわ。
   食事は一日一回だけね。私が言いというまで」

はははは。面白いジョークだ。誰かデコちゃんを逮捕してくれ。
それにしてもパフェを食いながらする話じゃねえ。

あずさ「伊織ちゃんたら、ぶっそうなことを言うわね。
    拷問は日本じゃダメって言ったでしょ?
    逮捕されちゃうわよ?」

伊織「……? 警察なら水瀬家で買収するから問題ないわよ?
   もしくは警察署長の子供を人質にでもとって
   警察に拷問を命じてもいいわ」

P「つーか人としておかしいだろうが。
  金髪の不良だった星井さんでもそこまでしないと思うぞ」

あずさ「美希ちゃんたら最近見なくなったけど元気にしてるかしら」

P「あの人とならどっかの駅ですれ違いましたよ。

  目がイッチまった感じでしたけど、胸がでかかったです。
  泣き顔にはぐっと来るものありましたが、頭悪そうでした」

伊織「あんた、まさか巨乳好きなんじゃないでしょうね?」

P「否定はしないよ。ただ星井さんは中学生にしては
  大きかったから気になっただけだ。顔もまあまあ美人だったかな」

あずさ「私も中学の時にあのくらいありましたよ?」

P「ぶはっ」

想像したらパフェをふいちまった。
口の周りがクリームで汚れる。

伊織「ふん。なんで男って胸の大きな女が好きなのよ」

頬杖を突きながら言う伊織。不機嫌そうな顔もかわいいな。
腐っても美少女とはこいつのためにある言葉か。

だからだろうか。ついこんなことを口走ってしまった。

P「俺は伊織の貧乳も悪くないと思ってるぞ?」

伊織「んなあああ?」

あずさ「まあ伊織ちゃんたら初心な反応ね。
    プロデューサーさんとなんどもやってるくせに」

知ってたんですか。むしろあなたには知らないことの方が少ないか。
伊織は顔を真っ赤にして恥ずかしがってる。デコがまぶしい。

P「確かに中学生にしてはませてますよね」

伊織「もう高校生よ!!」

そうだっけ? 俺は中学生とキスしたんじゃなかったんだな。
背が小さいから最初に会ったときは小学生かと思ったぞ。

あずさ「ませてるってレベルじゃないでしょうね。
    大の男の人を監禁するとか、相当イッてますよね」

P「そうだぞ伊織。このバカたれが。どういう教育を受けたら
  監禁するという結論にいたるんだ」

伊織「……だって、あんたが私のものにならないんだから
   しょうがないじゃない」

P「だからって監禁して言い訳がねえだろうが!!」

あずさ「言い訳をして言い訳がありませんね」

P「あずささん、伊織は逮捕されるべきだと思いませんか?」

あずさ「まぁまぁ、プロデューサーさん。
    かつては自分の担当アイドルだったじゃないですか。
    伊織ちゃんだって悪気があったわけじゃないということに
    して水に流してあげませんか?」

P「いやいや、それは無理があるでしょう。伊織は悪の塊ですよ。

  俺も自分が屑だって認めますけど、こいつよりはマシですよ。
  俺の悪レベルが3くらいだとしたら、伊織は70はいってますね。
  高槻やよいは80くらいかな。いずれにせよ万死に値します」

伊織「ぐぬぬ……言いたい放題言ってくれるわね……」

伊織嬢は本当に悔しそうな顔をしながらコップを握りしめていた。
あーあー。割れたらちゃんと弁償しろよ?

P「あっそーだ。俺の携帯返せよ。いつまで俺の携帯没収してんだよ」

伊織「返せるわけないでしょ。あれを返したら他の女と連絡するじゃない」

P「ん? 心配ないよ? アイドル全員に対して着信拒否するし」

あずさ「それじゃあ返してもらうメリットがあまりないんじゃ…」

P「通報するために必要なんですよ。それと裁判のための費用もほしいですね。
 伊織、四条、高槻、星井らは起訴されるべきだと思うんですけど」

あずさ「そうしたら本格的に765プロは終わりですねー」

P「もう終わってるようなもんじゃないですか。律子とかどうしてます?」

あずさ「倒れちゃいましたよ。代理のPも社長もみんな鬱病になっちゃいました。
    プロデューサーさんがいなくなったせいですよ」

P「そうですか。想像していた以上にやばいですね。旅に出てよかったです」

伊織「まあそういったわけで私たちも暇を持て余してるんだけどね」

P「そういや双海姉妹っていたよな。あの髪の長いほうが好みだったんだけど、
  あいつらはどうしてんの?」

伊織「あまり事務所に来なくなったわね。兄ちゃんがいないとつまないとか
   ほざいてたわ。真美があんたにぞっこんだったから、
   やよいにメリケンサックで殴られてたわ」

あずさ「やよいちゃんたら、ちゃんと手加減したかしら」

伊織「全治二週間のけがだそうよ」

P「高槻の野郎、どこまでふざけたロリっ子☆なんだ。
 なんでこんな奴がアイドルやってんだよ」

テーブルに頭をぶつけた高槻を見る。
高槻はぐーすか寝てる。タフなやつだ。

どんな毒を盛られたのか知らないが、こいつなら死ななそうだ。

なぜか無性にオパンチュを脱がしたくなるのはなぜだ?
寝顔だけ見てると天使そのものだからくやしい。

あずさ「おかしいですねぇ。野生の猛獣でも動けなくなるような
    猛毒だったんですけど」

やよい「……うっうー?」

バカが目覚めたようだ。復活するの早いな。
うっうーとか絶対頭おかしいだろこいつ

やよい「……もうプロデューサーったら///
    あんまり酷いこと言うと泣いちゃいますよ?」

ぶりっこうぜー。いいからはよ死ね。

やよい「……」ギロ

なんだこの眼つきは。猛獣でもここまで怖くないだろうよ。
『ワニトカゲギス』で検索すれば分かってもらえると思う。
この世の生物とは思えん恐ろしさだ。

やっぱり高槻は獄中生活を送った方が世のためだ。

伊織「目が覚めたのね、やよい。
   あずさの前で油断するなんてあんたも相当なバカね」

やよい「うっうー。三浦あずさ、あとで覚えてろです」

あずさ「うふふふふ。言い眼つきねぇ。
    また同僚をこの手にかけなくちゃならないのかしら?」

P「あーはいはい。修羅場はもうネタ切れなんで止めてもらえませんか?

  それより高槻てめえ、萩原さんが今どうしてるか教えろっての。
  今俺の手持ちの写真で確認したんだが萩原さんてすげえ美少女じゃん。
  ……あとおまえのパンツも見せろ」

やよい「プロデューサーはああいう地味な女が好きなんですか?」

P「地味だと? 雪歩さんが地味? 地味? ジミー?」

ドゴおおおおおおおおおおおおん

俺はテーブルを拳で一撃した。テーブルには
中央から大きな亀裂が走り、嫌な音を立てて崩壊してしまった。

P「高槻。屋上行くか? 今の俺なら大抵の奴は倒せる自信がある」

やよい「プロデューサーこそ調子に乗らないでください。
    あまり口のきき方が悪いと毒ガスをまきますよ」

耳を疑ったね。そのKGBとやらは毒ガスも使いこなす集団なのか?

あずさ「プロデューサーさんは雪歩ちゃんの写真を持ってたんですね」

P「はい。そこのデコに監禁された時も肌身離さず持ってたんですよ。
  持ってたことを今思い出しました。見てくださいよこのベストショットを」

伊織「あんた……雪歩の写真なんて持ってたのね……?」

P「はい。ずっと持ってましたが何か? この萩原さんて人がどんな人だったが
 よく覚えてないけど、かなり俺の好みですが何か?」

あずさ「プロデューサーさんたら雪歩ちゃんのCDをたくさん買いましたもんね」

伊織「はぁ?」

伊織が驚くのも無理はない。俺は萩原さんのCDを二十枚くらい
買ってしまったのだ。クラシックコンサートの帰りにな。

あずさ「クラシックのようなハイカルチャーを好むわりには、
    よくアイドルのCDに興味がわきますね」

P「まあジャケット買いですね。この人の声聞くとフル勃起するので
  全裸で聞き流すのにちょうどいいかなって思いまして」

やよい「うっうー。全部叩き割ってやりたいです。
    あとプロデューサーがキチガイになってきてます」

P「俺は高槻の頭をかち割りたい」

伊織「なにバカなこと言ってんのよ。それよりあんた、また浮気したのね」ギロ

P「浮気ってこのCDのことか? おまえはモノにまで嫉妬する豚だったのか?
  残念だったな。俺が買ったのは萩原さんの水着写真集もだ。永久保存版だぞ?」

やよい「全部燃やしてやりたいですー」

P「さっきからうっせえぞ高槻。それと俺が持ってる萩原さんの写真は隠し撮り
  で間違いなさそうだな。このアングルは普通ありえないもんな。
  全部で十枚もあるぞ。記憶がなくなる前の俺もなかなかやるじゃないか」

伊織「さっきからべらべらとよくしゃべるじゃない。
   あんた私に監禁されたこと忘れたんじゃないでしょうね?
   二度と雪歩の名前を出さないように誓わせたってのに」

P「……? すみません。一切記憶にございません」

伊織「……」

伊織がマジ切れする五秒前だが、あずささんがいるからどうにかなるだろう。

やよい「プロデューサーは浮気してばっかりですね」

あずさ「まあまあみんな、落ち着いて話をしましょう? ここが喫茶店だということを
    忘れないでね? あんまりおいたが過ぎる人はお仕置きですからね」

伊織・やよい「……っ」

俺の目は正しかったようだな。あきらかにあずささんが支配的な力を持ってるようだ。
高槻と伊織のバカ二人はびびりまくってんじゃねえか。あいつらをびびらせるって
尋常じゃねえ。俺はあずささんに依存して生きたほうがよさそうだな。

P「つーか高槻よ。俺はもともと萩原さんと付き合ってたって話じゃねえか。
  俺は浮気なんてしてないんじゃねえか? 他の女どもが勝手に俺に
  迫ってきただけじゃねえか」

やよい「四条貴音さんなんかはそうですね。訓練されたゲス女でした」

P「あのバカはどうしてる?」

伊織「たしか逮捕されたはずね。私が警察に通報しといたから」

おお。逮捕者第一号はもう出ていたのか。ざまーねーな。
でもあの巨乳が見れなくなるのはさみしいな。
あとで写真集でも買っておくか。あいつも腐っても顔とスタイルだけはいいからな。

やよい「まだ貴音さんのことが気になるんですか?」

P「んなわけねえだろ。あいつは上品なキチガイだったって印象しか残ってないよ」

以前はあいつの尻に興奮していたものだ。懐かしい。

あずさ「まさか765プロで逮捕者が出るとは思いませんでした」

伊織「貴音はバカだった。それだけよ」

まあそうだろうけどよ。なぜか複雑な気分になるな。

やよい「気になってたんですけど、お兄ちゃんはどうして私のことを
    名字で呼ぶんですか? 事務所だと名字で呼ばれることがないから新鮮です」

P「ああ。簡単な理由だよ。大嫌いな奴は名字で呼ぶようにしてるんだよ」

伊織「なによその理由……ぷっ……あははははははっ」

あずさ「まぁまぁ。残念だったわねぇやよいちゃん。ぷぷっ」

あずささんまで笑ってるよ。二人とも容赦がないから困る。
ここは空気を呼んで笑わないでやれよ←お前が言うな。

やよい「……」ギロ

深海魚になった高槻が二人をにらんでるぞ。予想はできたけどな。
それから高槻のバカはまた作り物の笑みで俺を見てきて、

うあぁぁぁぁああああああ。風呂タイムだぁあああ!! 保守ヨロ!!

やよい「私はプロデューサーのこと、お兄ちゃんだったらいいなって
    思ってたのに。あんまりですよ」

また嘘の泣き顔で言われちまった。俺は騙されねーよ?

P「おまえの兄になるなら死んだ方がましだ」

やよい「……」

伊織「………ぷぅうううーーぷはああああああああああ!!」

あずさ「~~~~~~~ゲラゲラ!!」

伊織とあずささんは腹をかかえて爆笑してる。
そんなに面白いこと言ったかな俺。

つーか、こいつら仲悪いんじゃねえの?
この状態で責められるのって普通俺なんじゃねえの。
自分でもちょっと言いすぎたかなって思ってるんだよ。

こんな小さな子をバカにするなんて二人とも何考えてんだ。
なんか高槻さんがかわいそうになってきたな。

やよいさんは現状を理解できませんでした。
大好きなお兄ちゃんに頭を撫でてもらえるはずが、
なぜこんなことになってしまったのか。

P(おし)

ガッツポーズをしたPは、どこの世界に出しても恥ずかしくないほどのクズでした。

P「ナデナデされると思ったか? 嘘だよバーーーカ!!」

世の中には色々な小説があるでしょうが、このような登場人物が主人公の
作品はほとんど存在しないでしょう。

あずさ・伊織「」

上の両名も唖然としてPを見ていました。
この状態はすなわち、Pがさらなる悪として目覚めてしまったことの何よりの証拠。

ところで、人とは他者の影響を受けて成長するものです。

悪党のそばにいればその思想の影響を受けるもの。
Pを責めてはなりません。彼がやったことは最低ですが、
彼をここまで悪に染めてしまったのは醜い監禁生活でした。

すまん。この内容が>>335の前に入る予定だった。なんというミスだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
P「お、俺はやよいさんのこともまあ悪くないと思ってるよ」

やよい「ほえ?」

P「た、たしか君は兄妹が多くてその中じゃ一番のお姉さんだったんだよな。

  年上に甘えたくなるのも分かるよ。今まで悪口言って悪かったな。
  ほら。こっちおいで。頭撫でてやるから」

やよい「え/// いいんですか?」

P「遠慮するなよ。さあおいで」

やよい「わーい///」

ナレーション↓

数秒後、高槻やよいさんは目を見張ってしまいました。
なぜなら、彼女の頭からお湯が滴っていたからです。

不思議に思った彼女が見上げると、鬼畜Pがあずさの飲みかけの
カップを上から垂らしてるのが見えました。暖かいコーヒーでした。

やよい「????」

貴音と伊織は、Pにとって文句なしの二大悪党だったのです。
一方で天使は萩原雪歩だったのですが、彼がいつになったら
彼女の安否を確認できるのか、疑問です。

やよい「……うぐっ……ぐすっ……ううっ……ひどいです……」

P「……!!」

やよいさんはそれは哀しそうに泣いてました。裏切られた彼女の
心の傷は深いのでしょう。彼女とてまだ中学生の女の子。無理もありません。

(かわいいな、こいつ)

その少女に対し、鬼畜Pは以上のような感想を持ちました。

これは重要な心境の変化でした。
鬼と化していた彼の心に、何かが宿り始めようとしてた証拠です。

彼はこう言いました。

P「やよいの髪、よごれちゃったな。服も洗濯しないとな。
 俺が責任を持ってきれいにしてやるから、来いよやよい」

やよい「え?」

やよいは、Pのセリフに温かみを感じていました。
今までの凍てついたPとは違う、人間味を感じ取りました。

だから彼女は従ったのです。

P「近くにホテルがある。そこでシャワーを浴びよう。いいな?」

やよい「はい……」

まるで本当の兄妹のように手をつなぎ、喫茶店をあとにします。
支払いはすべてあずささんと伊織に任せてしまいました。

ちなみに二人は今も固まったままです。旧ソ連で訓練を受けた
二人でも、鬼畜Pのコーヒーこぼしには仰天してしまったのです。

人の脳には許容量の限界があるから、仕方のないことです。
担当アイドルにする仕打ちにしてはあまりにも醜すぎたからです。

Pらはラブホテルに来てました。やよいは未成年でしたが、
問題なく入ることができました。詳細は不明です。
仮に質問されても答えません。

P「さあ、ホテルだぞやよい。ここに来るのは初めてかな?」

やよい「は、はい。なんだかキラキラしてて大人っぽい雰囲気の場所です」

やよいさんにも邪気は消えていました。なぜかこの二人は
以前のように良好な関係に戻っていました。おそらく一時的な
現象でしょうが、仲がいいのはなによりです。

P「さあ、シャワーだぞ。俺がやよいの髪を洗ってあげるからな?
  大人しくしてるんだぞ?」

やよい「あの、プロデューサー。雰囲気を壊すようなこと言っちゃって
    申し訳ないんですけど、このバスルーム盗聴されてますよ」

P「構うものか。どうせならそいつらに俺たちの仲を見せつけてやろうぜ」

Pは限りなく真人間に近い口調でそう言いました。丁寧な手つきで
やよいの髪を撫でていきます。シャンプーを泡立て、慣れた手つきで
女の子の長い髪の毛を洗っていきます。以前にこういった経験があったのでしょうか。

やよい「プロデューサーに洗ってもらえるとすごく気持ちいです」

P「はは。やよいはかわいいな」

Pは笑顔でシャワーで洗い流しました。
やよいの髪を洗い終えると、次は身体です。

P「やよい。身体も洗っちゃうけど、いいよな?」

やよい「は、はい。プロデューサーにならいいです///」

照れながら言うやよいの顔はまさに天使そのものでした。
Pもさらに笑顔になり、まさしく幼女の身体をまさぐるような
手つきでやらしく触ります。未発達の胸を触り、乳首を刺激します。

やよい「ふぁあ……変な気分になっちゃいます」

P「いい子だなやよい。そのまま動かないでね?」

Pの手が次々にやよいの身体を触っていきます。
胸からお腹へ、そして下腹部へと移行しようとした時、
やよいが少し悲鳴のようなものを上げましたが、構わず浸入しました。

やよい「あ……んっ……」

P「ここは特に念入りに洗わないとな?」

やよい「あんっ……指を入れちゃダメですぅ……」

洗うといっても、Pはボデイソープや石鹸の類は使用してません。
普通に触るのが目的でやよいの身体に触れてました。

やよいもそれが分かっていて抵抗しないのですから、
まさにお互い合意の上での行為というわけです。

やよい「んんっ……あっ……んんっ」

幼い唇から吐息がこぼれます。
大人の指が秘所をかき回し、彼女を刺激してるのです。

Pは一方手の手で乳首に触れています。
小さな胸の彼女は、特に乳首が敏感だったのです。
Pはそのことをいち早く察知してました。

やよい「ああんっ……ああっ……」

P「やよい。イキたくなったらいつでもイッちゃっていいからな?」

Pの手は止まりません。緩急をつけてやよいのアソコを
いじくりまわし、エッチな水温を奏でていました。
やよいには強すぎる刺激だったのでしょう。

やよい「んあああっ……なんかきちゃいますうううっ……!!」

身体を弓なりにのけぞらせるやよい。アソコから噴出した
液体がPの手を濡らしました。ついに達してしまったのです。

やよい「……///」

自らのことをはしたないと思っているのか、
やよいは頬を赤らめています。

P「可愛かったよ? やよい」

Pがそう言って抱き寄せてやると、やよいはうれしそうに微笑むのでした。

やよい「はい。大好きですプロデューサー」

P「俺もだよやよい。キスしようか?」

やよい「はい///」

やよいにとってのファーストキスでした。
Pは右も左もわからぬやよいをリードし、
キスの仕方を教えてあげました。

やよいにとっては官能の世界への旅立ちというわけです。
学生でいえば卒業式のようなものでしょうか。

P「ん~~。おいしいなぁ。やよいのおくちは」

やよい「んん~~~。息が苦しい…ですぅ……」

Pの方がキスに夢中になってました。
やよいの顔は近くで見れば見るほどかわいかったのです。
こんなに愛らしい少女を罵倒しまくっていた自分の愚かさを知りました。

やよい「苦しいけど、すっごくうれしいです」

P「そうか。俺もすごくうれしいよやよい。大好きだ」

やよい「はい///」

P「じゃあ次は最後までイッちゃうからな?」

やよい「分かりました。プロデューサーにお任せします」

初めての体験。やよいにとってはドキドキでしたが、
大好きなプロデューサーにしてもらえるならご褒美でした。
やよいはPの指示通りに仰向けに寝て足を開きました。

P「いくよ、やよい?」

やよい「はい。プロデューサー」

Pは慎重にイチモツを挿入していきました。
やよいは思ったより痛がりませんでした。

アソコが大量に濡れていたからでしょうか。
それとも相性が良かったのかは不明です。

Pのピストン運動が始まります。

やよい「ああんっ……ふぁあっ……」

P「やよい。痛くなったらいつでも言えよ?」

やよい「ああっ…だいっ…じょうぶです……プロデューサーを信じてますからっ……」

P「やよいっ……!!」

初めての行為で不安がないわけがありません。
でもやよいは大好きな人に捧げられるから怖くないと言ってるのです。
そのけなげな姿を見てると、Pの気持ちが燃え上がってしまうのです。

P「少し強くいくからな……!!」

やよい「ああああっ……!! んああっ……!!」

身体をのけぞらせ、揺れ続けるやよい。
普通なら初めてなんて痛いだけでしょうが、
彼女は感じていたのです。

男のいきり立ったものが、己の内部を犯してるその感触を
しっかりと堪能していました。

P「いいぞ。おまえの顔見てるともっと責めたくなる」

やよい「いいですよぉ。もっときてください……」

P「やよいっ……!!」

やよい「ふぁああっ……ああああうっ……あああっ……!!」

口を大きく開けて喘ぐやよい。舌足らずな声なので
不思議な色っぽさがありました。
まるで幼女が喘いでいるようです。

Pのピストン運動は休まることがありませんでした。
その絶え間ない運動が、やよいを快楽の頂点へと導いてしまうのでした。

やよい「んあああああっ!!」

身体を弛緩さえたやよいが、ついに限界を迎えたのです。
少し後にPもイッてしまい、やよいの初体験は終わりました。

愛知県まで遠征した結果、やよいは多くの思い出を得たのでした。
二人だけの秘密のバスルーム体験ツアーでした。

(一方で盗聴器が仕掛けられてましたが、
 日常的なことなので二人とも特に気にしませんでした)

同時に、Pのアイドルに対する考えも少しだけ変わりました。

このやよいのように、当初は人間のクズだと思っていた女の子も
こうして分かり合えることがあるんじゃないかと考え、
少しはアイドルに歩み寄っても悪くないのではないかと思ったのです。

今までの喫茶店を中心としたやり取りは、
ほとんど無意味な茶番にすぎませんでした。

本当にPとアイドルが分かり合えるのか。
もしかしたら、それはただの夢物語かもしれません。

彼とて現在は伊織に追われてる身です。それらをふまえた上で、
今後彼が何を思い、どんな行動をとるかは誰にも予想ができないでしょう。

                     第二章  完

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こら。いい加減に寝させなさい。俺だって人間だから今日はこれ以上
続けるのは無理だぞ。スレは落としてもかまわんからね。
じゃあな、おまえら。いい夢見させてもらうぜ

シマウマだが起きたぞ 準備するから待っててね 

第三章  雪歩の様子を見に行く編

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
①  ※冷静な三人称視点

P「ふぁあー。朝が来ちまったか…」

やよい「お兄ちゃんたお寝坊さんです。もうお昼近くですよ?」

そこはPの見慣れない部屋のベッドだった。

昨夜止まったラブホテルだ。しかもここは
愛知県内だから、関東から外に出たことのないPら
にとって異国の地に等しい。

やよいはにこにこ笑っている。

P「今更だがおはよう、やよい」

やよい「おはようですー」

Pが頭をなでてやると、やよいは猫のように喜んでいた。

(この子から邪気が消えて言ってるのがわかる。
 俺にも妹がいたらこんな風に慣れたのかな)

Pはそう思っていた。邪気が消えたといえば彼も
そうなのかもしれないが。

P「もう旅は十分満足したかな」

やよい「え」

唐突なPの発言に戸惑うやよい。この旅の目的は現実逃避
することだった。しかし道中で星井さんや水瀬さんらと会い、
正直言って心が休まったとは言い難い旅だった。

P「でもやよいちゃんとも仲良くなれたし、まあ悪くないと思ってる」

やよい「やよいちゃんじゃ他人行儀でつまらないです。
    いつもみたいにやよいって呼び捨てにしてください」

P「そ、そうか。じゃあやよい」

やよい「えへへ///」

やよいの頭をもう一度撫でてしまうPだった。

初めはあんなに嫌っていた彼女なのに、
こうして自然と分かり合えるのだから
人間とは不思議な生き物だと思った。

きっと我々には何かのきっかけが必要なのだ。
Pはそう考え、ずっと気になっていたことをやよいに訊くのだった。

P「前質問したけど、邪魔が入って聞きそびれちまった。
  今度こそ萩原雪歩さんのことを教えてくれるかな?」

やよい「いいですよ。雪歩さんなら今ごろ入院してるはずです」

P「なっ……」

一時的な記憶喪失に陥っているPは、雪歩の顔すらよく
覚えていなかったほどだったが、入院という言葉に
驚きを隠せなかった。

Pの脳裏にかすかによみがえる記憶。最後に出社した日の765事務所で、
雪歩という少女は制裁という名の暴力を振るわれていた(第一部を参照)
はっきりこの目で見たわけじゃないが、凄まじい女の悲鳴だけはよく覚えていた。

やよい「みなさんが容赦しなかったから、今頃無視の息かもしれません」

P「なんてことだ……」

Pは一方的に制裁を喰らった雪歩さんのことを想像し、涙しそうになった。
彼の手元には雪歩さんの隠し撮り写真がある。見るからに清楚なこの
女の子が、悪女たちにいじめられたなど、考えたくもなかった。

やよい「大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ」

P「し、心配かけてごめんな。もう大丈夫だ」

Pはペットボトルの水を飲み、頭をクールダウンさせた。
屑の世界代表レベルだった彼でさえ、雪歩さんのことを
想像するとはらわたが煮えくり返るのだった。

P「雪歩はどこの病院にいるんだい?」

やよい「それが、私たちには知らされてないんです」

P「どうして?」

やよい「アイドルたちにとどめを刺されない様にって理由で、
    律子さんと社長さんがどこかの大学病院に入院させたそうです。
    どんな場所なのかはあずささんですら知らないと思います」

あのあずささんでも知らない病院だと?
どこか別の世界の俺もお世話になってそうな病院だな(前作)


P「じゃあどうすれば病院の所在が分かるんだ?
  律子にでも直接訊いてみるか?」

やよい「それも無理だと思います。律子さんならもう姿をくらましましたから」

P「え」

やよい「あんなに頑張っていたプロデューサー業も、キチガイを相手にするのに
    疲れたみたいで、しばらく放浪の旅に出るとか言ってました」

Pは驚愕したが、一方で納得もしていた。律子も自分を同じ心境に
至っていたことに、ある種の連帯感を感じていたからだ。
キチガイを相手にしてれば誰でもこうなる。

Pは、まだ露出趣味などに目覚めないだけでも冷静な方だと筆者は思う。

竜宮小町、律子が作り出したあのユニットの大ヒットから、
ナムコプロの躍進はスタートしたといってよかった。
彼女は今頃転職先でも探してるのかもしれないが、
Pはそれが無性に哀しく思った。

(ははっ。変だな。俺はまだあんなクソ事務所に未練があるってのか?)

そう思うPだが、少なくともアイドルたちには未練があるのだろう。
特に萩原雪歩さんとは恋人同士だったのだ。会いたくないわけがない。

やよい「手がかりは事務所にあるはずです。残された書類とか
    PCを調べれば手がかりが手に入ると思います」

P「そ、そうだね」

やよい「まだ希望を捨てないでください。私たちはきっとまた
    雪歩さんに再開できますから」

こんな小さな子供に励まされてるのを情けないと思うかは人の自由だ。
だが、Pはやよいのことがたまらなく好きになってしまいそうだった。

P「やよいっ。ありがとうな!! おまえのおかげで少し元気が出たよ」

やよい「うっうー。プロデューサーの元気な姿を見てるとこっちまで
    うれしくなるです」

あずさ「それはよかったわね~。じゃあそろそろ出発しようかしら?」

Pは一瞬だけ戦慄を覚えたが、もう慣れっこだ。ここにいてはいけないはずの
人物がいきなり現れるなど、何度も体験してきたことだ。

あずささんはぽわぽわしてるし、敵意がないのもわかる。
この人とホームに帰れるならむしろ安心だろうと思った。

一応ここはラブホテルなのだが、突っ込むのも疲れていた。

P「おはようございます、あずささん。伊織は一緒じゃないんですか?」

あずさ「ああごめんなさい。伊織ちゃんなら昨日お仕置きしちゃいました」

P「ほえ?」

いきなり理解しろと言われても無理な話である。
それを分かってるあずさが補足を加える。

あずさ「やよいちゃんとプロデューサーさんに嫉妬しちゃったんでしょうね。
    プロデューサーさんを家に連れ戻すとかほざいてたので私が
    絞めておきました。悪い子にはお仕置きが必要ですもんね。
    プロデューサーさんもそう思うでしょう?」

P「はっ。ははははっ。は、はい。全くその通りだと思います」

Pは、以前見たソ連製映画の内容を思い出していた。
たしか政治委員とかいう人たちが下級将校をこんな感じで
脅してるシーンがあった。KGBとやらも聞いたことがったような気がした。

Pは不覚にもソ連の人々の苦労を理解してしまったのだった。

やよい「とにかく出発するです。伊織ちゃんならタフだから大丈夫ですよ」

P(できれば二度と会いたくないがな)

こうして三人は再びJRの電車に揺られ、関東を目指すのであった。
行き当たりばったりの旅の前回とは違い、今度はきちんと
路線を調べていった。

乗り換えもスムーズにすみ、あっという間に都心へ戻った。
(それでも距離があったので半日近くかかったが)

ついにホームへ到着である。

あずさ「懐かしいですね。あれが私たちの第二の故郷。
    765プロの事務所ですよ」

P「あの半壊してるビルらしきものがですか?

  どんな劣悪な設計をしたらああなるんだ。
  いつ倒壊してもおかしくないですよ」

やよい「うっうー。まるで重戦車の砲撃に耐えていたような感じです」

やよいの指摘が的を射ていた。二階部分のガラスは全て割られていて、
壁もところどころひびが入っている。もはや事務所というより
戦場跡といったほうが正しいかもしれない。

P(ホラーゲームだったら、こういうダンジョンはつねにあるな。
 建物の中には化け物が出て切るんだ。そして俺たちは書類などを
 読み漁り、事件のなぞ解きをしていく)

まさに現在の状況はそのような感じであった。
彼らに与えられたミッションは、雪歩の病院の所在を確かめること。

あずさ「まずは社長室に行きましょう。あの人は気がくるって
    ゲイバーにめざめたらしく、今頃はお尻の穴を開拓されてる
    最中でしょう」

やよい「うええ。気持ち悪い趣味です」

P「ほんと吐き気がするな。つーか社長なにやってんだよ」

俺たちはボロボロになってる階段を慎重に上り、二階の事務所を目指した。
(二階であってるよな? 間違ってたらスマン)

あずさ「ここが社長室ですね」

やよい「あたりまえですけど誰もいませんね。椅子やテーブルが
    その辺に飛び散ってること以外は普通です」

社長室は少しだけ荒らされていたが、PCはまだ残っていた。
念のため電源を入れてみると、しっかりと起動してくれた。

P「これはいいぞ。何か雪歩の手がかりになるようなことはないか?」

Pが夢中になってPCを操作するが、やはり社長のPCなので
強力なパスワードロックがされていて中身が見れない。

P「くそっ!!」

苛立ったPが、その辺の棚を蹴ってしまう。
すると、棚の上から一冊のノートが落ちてきたではないか。

あずさ「あらあら。ほこりだらけになってるノートね。
    いったい誰が書いたものかしら」

ノートの表紙には何も書かれていなかった。
あずさが表紙をめくると、中には日記と思わしき
内容が書かれていた。

『プロデューサーさんったら、また女のことばっかり見てる。
 許せない許せない許せない。どうして私ことは見てくれないの?』

『あの女がまたプロデューサーさんに色目を使っていた。
 遅くまで事務所に残って営業帰りのプロデューサーさんを
 待ってる。プロデューサーさんはどうしてあんな女に騙されるの?』

『ちくしょう、ユキホ。ハギワラユキホ。ユキホ。コロス。コロシテヤル』

三人はノートの内容を見て驚いていた。
所属アイドルの中でプロデューサーをさんづけする人は限られてる。

チッ チッ チッ

夕暮れの静寂の中、時計の針の音が妙に響いた。

外では何事もなく車の往来があるが、
何の気休めにもならず、Pは背筋が凍る思いをしていた。

まだ夕方なのに少し早い夜が訪れたような気分だった。
生唾を飲み込んでからあずささんに問いかける。

P「これを書いたのは春香でしょうか?」

あずさ「……その可能性は高いですね」

あずささんも真剣な顔をしていた。
いつも笑顔の彼女ですら今は真顔だ。

P(くそっ……震えが止まらない……。
 俺はどうしてこんなに弱くなっちまったんだ……?)

秘められた少女たちの思いの強さ。その方向性を
失えば恐るべき狂気へと変貌する。

Pはアイドルに関わる仕事をしてこれほど恐ろしいと
思ったことはなかった。

やよい「お兄ちゃん。そんなに怖がらないでください。
    私がそばにいてあげるから大丈夫ですよ?」

やよいはPの両手を握ってくれた。柔らかくて優しい感触がした。
彼女の汚れがなさそうな笑みを見てると、自然と安心してしまう。

P「ありがとうな。やよい?」

やよい「えへへ。またナデナデされちゃいました///」

まさに仲のいい兄妹という表現が正しいだろう。
Pにとってやよいは最高の精神安定剤だった。
どうしてもっと早くやよいと仲直りしなかったのかと後悔していた。

一方のあずさはまだ真顔だ。

あずさ「このページ、まだ続きがありますよ」

P「え」

内容はこうだった。

『ああああああああ あの女あああああああああああああ。
 ぜっーーーーーたい生きて返さない!!!!!』

『……jひあsh……コロス……ユkホ……』

後半の分は文字になってなかった。なぜなら用紙が
血で汚れていたからだ。

Pは推測する。たとえばこれを書いた人物が、
リストカットなどをしてたとすれば、
ノートが血で汚れるのも納得できる。

いずれにせよ狂人の日記だ。Pはやよいと繋いだ手を
離せずにいた。今は彼女のぬくもりがないと、気が狂いそうだった。

あずさ「恐らくは春香ちゃんか、あるいは他の誰かが書いたんでしょう。
    脅かすよな言い方をして申し訳ないんですけど、
    この子はまだPさんを狙ってるでしょうね」

P「そ、そんな……」

ショックを通り越して眩暈がしそうになった。
まるで自分の娘のように可愛がっていたアイドルたちだったのに。
どこで道を踏み外したらこんなことになるのか。

あずさ「落ち着いてくださいプロデューサーさん。
    私もやよいちゃんもマトモですよ。探せば
    他にも正常な子がいるはずです」

やよい「どうか希望を捨てないでください。お兄ちゃんは
    いっつも前向きだったじゃないですか」

P「ああ。ありがとう。二人の言うとおりだな」

身近に励ましてくれる人がいるのは、本当にありがたいことだった。
Pはこの二人にいくら感謝してもしきりれないほどの恩を感じていた。
普段からおっとりした性格の二人は見てるだけでも癒されるものだ。

あずさ「この部屋には。もうめぼしきものはなさそうですね」

いちおう社長室には軍用のナイフも見つかったのだが、
そのまがまがしさに恐れをなしてしまい、触れることすらできなかった。
ようは危険そうなものはスルーである。

P「じゃあ、次は事務所ですね。あそこが一番大きな被害を受けてるのは
  間違いあません。何が待ち構えてるのか分からないからより慎重に行きましょう」

Pが先頭、続いてあずさ、やよいという順で事務所に入っていく。
いつもなら元気にあいさつをしながら入っていく場所だ。

P「おーーーい!! 誰か中にいないのか!!」

扉を開けたままの状態で叫んでみた。
仮に女の子たちが潜んでいるならPの帰還を喜び、
出てくるはずだったからだ。

念のため一分くらい返答を待ったが、返事はなかった。

あずさ「中へ進みましょう。ここなら多くの手がかりが見つかるはずです」

三人は三手に分かれ、それぞれの場所を散策することにした。
もちろん事務所は散々に荒らされていて足の踏み場もない。

足元には家具やガラスの破片、そして様々な書類が散乱しており、ひどい有様だ。

P「うああああああああ!! な、なんだこれは……!!

大の男が腰を抜かしてしまうほどの衝撃とは何のか。

騒ぎを聞きつけたやよいとあずささんもそれを確認した。

百戦錬磨と思わしきあずささんですら……

あずさ「……う」

吐きそうになるのをこらえるがやっとだった。

天井には首吊り用のロープがあったのだ。
ロープは人間の血を吸っていてドス黒く染まってる。
死の塗装。そこは日常から遠く離れた魔界だった。

やよい「あっちの隅に踏み台と思われるものが見つかりました。
    これってもしかして……」

その次は言わなくても察することができた。
絞首刑の執行に使われる台なのだろう。
罪人を裁くために作られたものだ。

断じてアイドル事務所に置かれていていいものではない。
血の匂いもすごかった。鉄を腐らせたような異臭が漂っている。

あずささんはハンカチで鼻を押さえながら喚起しようと思ったが、
初めからガラスが割られていたので無意味だということに気が付く。

誰もが戦慄して震えそうになっていた時だった。

ドドドーーン

全員「……!?」

突然鳴った物音に心臓が飛び出そうなほど驚いた。

何か重たいものが落ちてきた音だ。
音は女子更衣室の方から聞こえてきた。

やよい「……っ」

P「……うっ」

二人とも恐怖のあまり動けずにいた。
もはやここに来たのは間違いだったとすら思っていた。

もともとは雪歩の入院先さえ知れればよかったのだ。
アイドルという名の狂人とここで出くわせば、
命を取られてもおかしくはない。

Pは更衣室を確認しに行く勇気が出なかった。

あずさ「気持ちはわかりますよプロデューサーさん。
    狙われる危険性が一番高いのがあなたです。
    ここは私に任せてください」

P「ひ、一人で更衣室に行くつもりですか?」

あずさ「私だって伊達にKGBで訓練されてませんよ。
    簡単にはやられないつもりです。でも、私が
    十分たっても戻ってこない様だったら、その時は頼みます」

P「……っ!!」

すでにアイドル事務所は戦場のような狂気につつまれていた。
あずささんは自ら死地へ飛び立とうとしてるのだ。

P「で、でもそういうことなら男の俺が行くべきじゃ……!!」

あずさ「いいえ」

あずささんは真剣な顔になり、首を横に振る。
ポーカーフェイスを排除した本来の彼女の顔だった。

あずさ「あなたは私たちのプロデューサーです。あなたがいなかったら、
    誰が仕事を持ってくるんですか? 社長や律子さんだって
    プロデューサーさんには本当に感謝してたんですよ」

P「し、しかし……」

あーーーーー。いいところ済まねえが休憩タイムが来ちまった!!
一時間くらい保守ヨロ!!

あずさ「とにかく任せてください。プロデューサーさんはやよいちゃんを
    守ってあげてください。それじゃあ」

去っていくあずささんの背中が、妙にはかなげなのが気になった。

異常事態を察したPは、社長室からこっそりとナイフを拝借する。
手に持ったのはソ連製ナイフ。なんて重いナイフなんだろうと思った。
持ってるだけで筋肉痛になりそうだった。

やよい「それ、ぶっそうですね」

P「念のためだよ。やよい。もし誰かに襲われたら俺が守ってやるからな?」

やよい「はい。お兄ちゃん///」

少し甘ったるい雰囲気だが、正直Pはナイフの扱いなど知らないし、
有事の際に刺すべき人体急所も知らない。脇の下あたりが有効だと
どこかの本で読んだことがあったが、実戦で試すのは難しいだろうと思った。

やよい「お兄ちゃんの机の上にレポート用紙がありますね」

正確には机だったものだった。一言でいうと粉砕されていたからだ。

レポート用紙にタイトルは『兄ちゃんへ』と書かれていた。
十枚くらいの用紙がホチキスで止められてる。
間違いなく双子姉妹のどちらかが書いたものだろう。

内容は下記の通りだ。

『兄ちゃんがゆきぽんと影で付き合ってるの知ってたよ?
 ゆきぽんたら急に雌豚みたいなやらしい眼つきをするように
 なったんだもん。分かりやすいよね→?』

『初めはあきらめようと思ったんだけどね、やっぱり許せなくなっちゃった。
 何が許せないか分かる? 私のモノになるはずだった兄ちゃんを
 横取りしたゆきぽんのことだよ。殺してやりたいほど憎いんだ→』

『ねえ。もしかして私のこと嫌いにあった? こんな怖いこと
 書くような女は兄ちゃん嫌い? でも兄ちゃんが悪いんだかんね。
 私がこんなに兄ちゃんのこと好きなのに。分かってくれないんだもん』

『ゆきぽん、ついに入院しちゃったんだよ。残念だったね→。
 あいつ以前から調子に乗りすぎだと思ってたらか容赦なく
 いじめちゃったよ。あの女ったら拷問されてる最中も
 兄ちゃんの名前を呼んでたから頭にきちゃったよ→
 あーあー。あの女の地で服が汚れちゃったぁ』

P「もういい。ここまで読めば十分だ」

Pは握りしめていたレポートを落としてしまった。
すでに精神のバランスを崩し始めていた。
あの純粋だった双海姉妹すら狂ってしまってる。

やったのは亜美か真美のどっちなのかは分からない。
だが大方の予想はつく。思春期の真美の可能性が濃厚だった。

それにしても雪歩は拷問されていたとはショックだった。
奴らの行動は完全に常軌を逸してしまっていた。

やよい「お兄ちゃん……」

やよいはPに抱き着いていた。また震えが止まらなくなったPは、
顔から唇まで真っ青に染まっていたのだ。

言いようのない恐怖に、今日はもう帰った方が
いいのではないかと考えたときだった。
 
…ゴト …バタ

あの音は他の部屋から聞こえてきた音だった。まるで
人が床に倒れたかのような音。あずささんは女子更衣室に
探索に行ったきりまだ帰ってこない。

P「もう十五分以上たってるじゃないか」

腕時計の時刻を確認してぞっとした。
レポートの内容があまりにも衝撃的過ぎて
時がたつのを忘れていたのだ。

やよい「あずささんは……もう……」

P「そ、その可能性が高い……」

やよい「……」

P「……」

沈黙が訪れる。あずささんがやられたと断定するには根拠が
足りない気もするが、彼女は十分以内で戻る旨をPらに伝えたのだ。

だが、仮にあずささんがやられたとしたら何者かが女子更衣室に
潜んでいることになる。つまり更衣室に行くことは死亡フラグだ。

あずささんが勝てない相手に、不慣れなナイフを装備した男が
どうやって勝てというのか。まして相手の正体すら分からないのに。

やよい「……もう帰った方がいいですよお兄ちゃん」

P「そ、そうしたいところだが、あずささんがまだいるじゃないか」

やよい「生きてると思いますか? もう十五分もたったんですよ?」

P「仲間を置いていくわけにはいかない。幸い俺にはナイフがある。
  相手はどんなに強くても少女だ。そんなに怖がらなくても大丈夫だ」

気やすめだったが、己を奮い立たせるにはこうするしかなかった。
やよいも死を覚悟して大好きなPと更衣室を確かめに行こうと思ったその時だった。

キキィ

なんと、更衣室と思わしき部屋の扉が開いたのだった。

更衣室からは少女が出てきた。成人してるあずささんとは違う。
十代特有の幼さが残る顔に不釣り合いな狂気がにじみでている。

「来てたんだ。兄ちゃん」

真美……だった。

Pは、彼女を真美と認識するのをためらったほどだった。
彼女はいつもの子供っぽい派手な服を着ていたが、
眼は濁り、顔が笑ってなくて別人のようだった。

真美「私の書いたラブレター、読んでくれたかな?」

P「な、なんのことだ?」

真美「兄ちゃんの机の上に置いておいたじゃん。
   あのレポート用紙のことだよ」

あれをどう解釈したらラブレターになるのか理解不能だった。
狂気に満ちた愛の告白らしきものは少しだけ書かれていたが、
雪歩に対する恨みの方が圧倒的に強かった内容だった。

真美「それよりさ。なんで兄ちゃんに別の女がしがみついてんの?」

P・やよい「……っ!!」

睨んだ、などという生易しい表現は不適当だ。
真美の視線は、質量を持ったかのような勢いでやよいを射抜いていた。

やよいは電流を流されたかのように全身が弛緩してしまい、
立っているのもやっとの状態だった。

やよい「うぅぅ……お兄ちゃん……怖いですぅ……」

P「ああ。俺から離れるなよやよい」

気絶しそうなほどの恐怖を感じていたのはPも同様だったが、
大人としてのプライドでなんとか正気を保っていた。
ナイフを握った手に力を込めつつ、やよいをなだめる。

食われる側に回った動物の気持ちは、
味わったものにしか分からないだろう。

真美「やよいー。兄ちゃんから離れないと大変なことになるよ→?」

やよい「……ぅ」

文面では伝わりにくいだろうが、真美の眼は凄まじかった。
やよいとて眼光の鋭さなら他者に後れを取るつもりなかったが、
真美ははるか上をいっていた。

Pにしがみつきながらも震えが止まっていない。

P「……ま、真美、おまえはおかしい」

真美「何? もしかして説教でも始めるつもり?」

P「そうだよ。お、おまえには訊きたいこともたんくさんある。
  あの日記には雪歩を拷問したと書かれていたが、
 本当にそんなことしたのか?」

真美「さあね。忘れちゃったな。あんな奴の顔なんて二度と見たくないし。
   詳細は、はるるんにでも訊けば?」

P「春香だと…? そういえばあいつは今どうしてるんだ?」

真美「秘密。簡単にばらしちゃったらつまんないじゃん」

P「……まあいい。じゃあもう一つ。あずささんはどうした?
 さっき女子更衣室に向かったきり帰ってこないんだが」

真美「後ろから首に一撃しただけで気絶しちゃったよ?
   隙だらけだったからね→。まあ殺してないから
   心配しなくても大丈夫だよ?」

Pは背筋が凍る思いだった。あの訓練されたあずささんが
倒されたのだ。奇襲には十分に警戒していただろうに、
それでも後ろを取られてしまったということだ。

あずさでも勝てない相手。

ナイフを持ったところでPが勝てないのは明らかだった。

真美「さっきから何度も質問されてうざいんですけど→?
   こんどはこっちから訊いてもいいかな?
   なんで兄ちゃんはやよいと一緒にいんの→?」

P「……うぅ」

また、真美の視線攻撃がはじった。睨むという行為が、
これほど人体に悪影響を及ぼすものだろうか。
Pはマヒしたように一歩も動けなくなってしまった。

真美「兄ちゃん。訊いてる→?」

P「う……ぁ……もう許してくれ……頼む、命だけは……」

やよい「ひぃぃ……」

真美「その女、さっきから目障りだね→」

真美は明らかにやよいを敵視していた。あの日記に書かれていた
ほどの憎悪を、今度はやよいに向けてるのだろう。

P「やよいだけは……勘弁してやってくれないか……まだ子供だぞ?
 俺ならどんな酷いことをしてもいいから……頼むよ」

真美「ど→しよっかな→。そいつを殺したら兄ちゃんが悲しむもんねー。
   またショックで旅に出られたら困るしな→」

真美は常にPに嫌われたくないと思ってる。
ヤンデレを好む男などほとんどいないから、
皮肉にもそれは手遅れなのだが。

P「やよい。俺から離れろ」

やよい「は、はい」

やよいはPから距離を取る。

P「どうだ真美。やよいは俺から離れたぞ。これで満足か?」

真美「んーん。全然。兄ちゃんはなんでそいつと一緒にいるの?
   たしか旅に出たんじゃなかったっけ?」

P「おーけー。一通り話すよ。ただここで立ち話するのも疲れないか?

  俺だって今日の夕方ここについたばかりなんだ。行きつけのファミレスで
  デザートでもおごってやるからさ。そこでゆっくり話をしようぜ」

真美「ん→。デザートか。悪くないかもね」

やよい「………」

Pとやよいが緊張して見守る中、真美はオーケーしてくれたのだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



できればあずささんの無事を確認したかったPだが、真美は
許してくれなかった。Pたちは仲良さげな兄妹を装いながら
ファミレスに入店する。実際はPが真美のご機嫌取りをしてるにすぎないが。

真美の機嫌を損ねれば、すべてが終わりそうだ。

P「ちょうど夕飯時だ。二人とも好きなメニューを選んでいいぞ。
  今日は俺のおごりだからな!!」

やよい「わ、わーい。お兄ちゃんふとっぱらです!!」

真美「……なんでこいつと一緒なの。兄ちゃんと二人きりがよかった」

P「あ、あはははは。ごめんな真美。アイドルたちはみんな仲良しの
 ほうが俺は好きだぞ。やよいだって仲間じゃないか。あはははは」

真美「ふーん。兄ちゃんがそういうなら仕方ないね」

この少女に逆らえば、やよいの首など簡単に落としてしまうだろう。
だがPに嫌われたくないという乙女心も持ってる。
Pはそれを逆手にとってああいう言い方をしたのだ。心理戦だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

注文を取りに来たウエイトレスにオーダーを告げ、
Pは真美に話しかけた。ちなみに席順は、
Pのむかい側にやよいと真美が座ってる。四人用の席だ。

P「まずは真美に訊かれたことを答えるよ。俺は人生に疲れて、
 放浪の旅に出たんだ。行き先なんて決めてなかったから

  適当に電車を乗り継いでな。そしたら偶然一緒にいた
  あずささんとやよいと合流したんだ」

真美「へー。偶然?」

P「な、なにかおかしいことがあったか?」

真美「これでおかしくないわけないっしょ。
   兄ちゃんてどこまで旅にいったの?」

P「な、名古屋のあたりだったかな」

真美「なにそれ。こっからちょー離れてんじゃん。
   どーやったら偶然そんなことで再開すんの?」

真美は鬼の形相でやよいを睨んでいた。
明らかにこのテーブルだけ他と空気が違う。

隣のテーブルの客たちがこっちの異常に気付いたようで、
ちらちらと様子をうかがっていた。

真美「ねえおかしいよね。やよいっち?」

やよい「……う……っうー……ごめんなさい……です」

もはや呂律すら回らぬほど脅えきっていた。
これでは猛獣の檻の中に入れられた子猫のようなものだ。

しかし店内なら人目があるから殺されることは
ないだろうと重い、Pはここを選んだのだ。

真美「ごめんなさいって何? それって悪いことでもしたってこと?
   たとえば盗聴とか盗撮とか? あんたたちってそういうこと
   やるの大好きだもんね→? 兄ちゃんの予定を事前に知ってたんでしょ?」

やよい「……あ、あの……その……」

真美「早く答えろって。これでもキレ気味なんですけど?」

やよい「はい……盗聴してました。ごめんなさい……」

真美「ふうん。やっぱりそうなんだ→。ねえ兄ちゃん。
   こいつのことどう思う? 盗聴してたんだってよ?」

P「……っ」

突然話を振られたPは戸惑ったが、できるだけ早く返答した。

P「と、盗聴とかはやっぱりよくないよな!! 俺の方から
  やよいには注意してあるから大丈夫。もうしないって
 約束してくれたもんな。そうだよな、やよい?」

そんな約束などもちろんしてないのだが、口裏合わせだ。
Pのアイコンタクトを察したやよいは、

やよい「は、はい。もう二度としません」

と言ったのだが、

真美「あっそ。じゃあその件はどうでもいいや。
   それにしてもさー。二人ともずいぶん仲良くない?
   もしかして旅の途中でなんかあった?」

P・やよい「……っ」

鋭い質問だった。昨夜のホテルでの1件を言ってしまえば
血を見ることになってもおかしくない。

かといって答えずにいたら、

真美「あれ。なんで無視すんの? もしかして答えにくい質問だった?」

真美の機嫌を損ねることになる。万事休すとはこのこと言うのだ。

ウエイトレス「お、お客様、お食事をお持ちしました。○○を頼んだ方は?」

P「は、はい。おれです」

偶然注文した品が来たので助かった気分だった。
といっても、時間稼ぎにしかならないのだが。

P「ま、真美の分はまだ来てないんだな。

  なあ真美。一緒に食べないか? 
  食べさせてあげるからこっちの席に来いよ」

真美「えっ。いいの?」

P「ああ、もちろんだ。ハンバーグとか好きだったよな?
  今日は特別に食べさせてあげよう!!」

真美「ふぅん。誤魔化してるのが見え見えだけど、
   兄ちゃんに食べさせてもらえるならいっか」

真美はPの作戦などすべて見抜いたうえで乗っているのだ。
以前よりすっかり冷めていて、ある意味大人だった。
席を移動し、Pの横にぴったりとくっついた。

P「火傷しないように気を付けてな。はい、あーん」

真美「あーん♪」

真美は以外にもノリノリだった。つい先ほどまで
凄まじい殺気を出していたのが嘘のようだった。

Pは猛獣に餌をあげるような心境で真美の口に
ハンバーグを運んでいく。普通のデミグラスソースだ。

所詮はファミレスの味なのだが、真美にとってはご馳走だった。
大好きな兄ちゃんに食べさせてもらってるからだ。

やよいは、うらやましそうに遠目に見ていた。

ウエイトレスはやよいと真美が頼んでいたチーズハンバーグ定食を配膳。

真美「やっと来たか。兄ちゃんにも食べさせてあげるからね→」

うあああああああああああああああああ。
疲れたから休憩すんぞ!! 三十分から一時間くらいな
キーボードの叩きすぎで手が痛いんだよ!!
保守は頼んだぞ!! ぐああああああああああああ!!

真美はPに超接近し、恋人のように寄り添っている。
もちろんPに抵抗する術はない。
今のPは重役の接待をしてるのと同じ気分だ。

真美「兄ちゃん、あーん」

P「あーん。……うん。おいしいな」

真美「おー、兄ちゃんが喜んでるね→」

P「ああ。だって大好きな真美に食べさせてもらったからな!!」

真美「だ、大好きって……そんな人前で言われると恥ずいよ……///」

真美は頬を真っ赤に染めて照れてる。
Pは自分の作戦が成功しつつあるのを感じていた。

P「あはは。真美は本当にかわいいなぁ」

容赦なく連続攻撃だ。真美の頭を自然を装って撫でてみる。

真美「あう……///」

Pが思った以上に効果は抜群だった。
ヤンデレ成分の何パーセントかがこの少女から
消えていくのがわかる。

RPGでいえば、毒を治療する回復アイテムを使ったのに近い。

やよい(いいなぁ。お兄ちゃんに食べさせてもらえるなんて……)

やよいはそう思ってはいるが口には出せない。
そんなわがままを言えば、真美が鬼へと変わるのが分かってるからだ。

P(やよい。俺は真美の接待で忙しい。
すまないが一人で食べててくれ)

やよい(分かりました)

すでに二人は上記のようにアイコンタトさえこなす仲だった。
まるで長年連れ添った夫婦のようである。

真美「あっ、兄ちゃんの口ところにソースがついてるよ」

P「おっ。そうなのか。こまったなぁ」

真美「真美が取ってあげるね」

真美はさらに身を乗り出し、Pとの距離をゼロにする。
キスするかのように顔を近づけ、Pの口元を舐めたのだった。

真美「えっへへ→。取れたよ→?」

P「あ、ありがとうな真美ぃ。
 真美はお利口さんだから頭を撫でてあげよう」

真美「~~~♪」

他人から見れば茶番かもしれないが、真美にとっては重要なことだ。
大好きなPが旅に出ている間、ずっとさみしい思いをしていたのだ。
たまにはこうして甘えないと割に合わないというもの。

(というかヤンデレ化が促進するため、極めて危険である)

一方のPはこう考えていた。

(こいつは確かにかわいいよ。すごい美少女だと思う。
 でも雪歩を制裁した一味の一人だ。こんな素敵な笑顔の
 少女が、あんなひどいことを? いまだに信じたくないよ)

まだ真美のことを色眼鏡で見ていた。

真美にはまだまだPの知らない秘密があるのは明らかだった。

こいつは雪歩を痛めつけた主要なメンバーの独りだが、
他にも春香や響など、複数の犯人がいる。
(哀しいことにアイドルのほとんどが犯人)

事務所が崩壊し、伊織に携帯を没収されてる現状では
奴らと連絡を取るのは難しい。

ならば、この真美を懐柔してしまえばいいのではないか。
Pはそう考えた。この真美から秘密を洗いざらい話してもらえば、
雪歩への近道につながる。彼はそう確信していた。

食事という名の茶番劇は終わった。

Pはやよいと別れた後、真美を家に呼ぶことにした。
またホテルでもよかったのだが、昨夜と続けて
二回連続で未成年と泊まるのは、彼の正義心が傷つけられる。

P「汚い部屋だと思うけど我慢してくれよな?」

真美「にーちゃんの部屋だったらどんなのでも我慢するよ→?」

二人は手をつなぎながら夜の道を歩いていた。
真美はそれはもうご機嫌で、ヤンデレ成分はほとんど
抜けてしまったといっていいだろう。

P(汚いってレベルじゃねーけどな。まえ星井さんが

  血だらけで倒れてなかったけ? あれ以降帰ってないから
  どうなってるのかさっぱり分からんぞ)

素直にホテルにしとけばよかっただろうか?
Pはそう思いつつ、歩みを進めるのだった。
握った手の感触が心地よかった。

P「これはいったい…?」

Pはアパートの玄関を開けてしばらく立ち尽くしてしまった。
なんと、きれいに片付いてるのである!!

星井さんに汚されたはずのベッドシーツも真っ白に
なってるし、錯乱してたはずの家具類も整理整頓されてる。
さらに秘蔵のエロ本も定位置に戻されてることを確認し、
思わず涙を流してしまった。

真美「おお→。めっちゃきれいになってんじゃん。
   これのどこが汚い部屋なんだヨ→。
   むしろ私の部屋のが散らかってるわい」

なによりうれしいのが、監視カメラと思わしきものが
すべて取り除かれてることだった。

それでも盗聴器と思わしきものはベッドの近くで見つかったが、
スルーした。もう考えたり突っ込んだりするのに疲れたからである。
そんなに人のプライベートが気になるなら勝手に聞いてくれという気分である。

二人はベッドに座り、向かい合った。

P「さあ真美。おまえは大人の男の部屋に招待されたんだ。
  これから何をするか、言わなくても分かってるよな?」

真美「もちろんだよ兄ちゃん。つーか御託はいいから早く始めよ→よ」

Pはうなづいた後、真美の唇を奪った。
まずはキスから。それが彼の信条だった。

真美「んん~~。にーちゃぁん……」

今更遠慮することもない。Pは存分に真美の唇を味わっていた。
キスしてるときの真美はいつもより大人っぽく感じた。

P「いい子だ真美。お胸も触っちゃおうかな?」

真美「ひゃあ」

不意に胸を触られて驚く真美。未発達だが、
決して小さすぎない乳房がPにもてあそばれる。

P「お→。真美ちゃんたらかわいい声を出したねえ?」

真美「だって……兄ちゃんが突然触るんだもん……///」

P「嫌だったかな?」

真美「そんなことないよ。ちょっと驚いただけ。
   兄ちゃんに触られるなら嫌じゃないよ///」

Pは、不覚にもこの一言をうれしく思ってしまった。
初めは雪歩を制裁した犯人の一味程度にしか思っていなかったが、
今だけは特別に思ってしまった。

Pは真美に許可を取ってから服を脱がすことにした。
下着を見られた真美は最初は恥ずかしそうにしてたが、
やがて慣れたようでいつもの軽口が叩けるようになった。

P「真美の身体、とってもきれいだぞ?
  真美はもう立派な大人だな」

真美「んもう。兄ちゃんのエッチー///」

真美はベッドの上で足を開かせられた。そして
Pの顔がその間に侵入していた。いわゆるクンニである。

真美のぴったりと閉じた割れ目にそって舐めていき、
次第に濡れてきたらそこを開いてしまった。

真美の中はピンク色をしていて、愛液で濡れていた。

真美「んあぁあ……そこ……兄ちゃんの吐息がかかってるよぉ」

P「真美のここはすごいなぁ。真美の味がするよ?」

真美「ああうっ……なんか変な気分になっちゃうぅ……」

舐めきれないほど愛液が滴ってきてる。Pは目を閉じて
感じてる真美をチラッと見ながら、そろそろいいかなと
思い、事前に用意していたあれを取り出した。

P「真美。プレイを中断して悪いが、これがなんだか分かるか?」

真美「それは……ロープ?」

P「そうだ。これはSM用でな。おまえのような女の子を縛るためにあるんだ」

真美「えええ!! 真美縛られちゃうのぉ?」

P「嫌なのか?」

真美「初めてなのに拘束プレイだなんて嫌に決まってるっしょ!!」

P「そっか……」

真美「え」

Pは突然がっかりしたような顔になり、うつむいてしまった。
真美の位置からは彼の表情が分からなかったが、
とにかく落ち込んでいることだけはわかった。

P「せっかく真美のために買ったロープだったのに。
  無駄になっちゃったなぁ。あーあ、残念だな」

真美「に、兄ちゃん?」

本当に残念そうな演技をするPに、真美は完全に騙されていた。
Pは笑いをこらえながらも演技を続行する。

P「俺、昔からSMプレイが大好きだったんだ。だから

  俺のお嫁さんになる人はドMな人がよかったんだけどなぁ。
  そっかそっか。真美が嫌だっていうならしょうがないよな。
  あるいは別の人にたのめば…」

真美「そ、そんなのダメぇ!!」

ついに食いついたかと思ったPは、すでに爆笑しそうだった。

真美「真美以外の人にそんなことしたら許さないんだからね!!」

ちょっと伊織っぽい口調だったのでさらに笑いそうになったP。

P「じゃあ、やってくれるのかい?」

真美「うん/// 兄ちゃんのためならいいよ。
   その代り、真美のことだけ見ててくれればね///」

P「ああいいだろう。約束するよ。俺は真美だけを愛するよ」

真美「兄ちゃん///」

Pは、今の約束を三秒で忘れるのだった。

それはともかくとして、いよいよSMプレイの開始である。

まずは真美の両手を縛るのだが、縄は天井へと繋がってる。
真美をばんざいさせ、両手首を縛る。そしてその手は上から
吊るされる形で拘束させた。まあよくある拘束だから伝わったであろう。

ここでPが取り出したのは、魔界の兵器、『鳥の羽』だった。
これはまさにクスグリのために生み出されたといっても
過言ではない、人類共通の遺産である。

これを有効活用すれば、冷戦をより早期に集結できたのではないかと
筆者は考えたことがあるほどである(うそである)

まあそれはともかくとして、現在の真美たちの状況を
もう一度振り返ってみよう。

まず、真美は前述のとおり拘束されてる。両手を高く上げ、
足だけは自由だ。Pはあいからずのメガネ面でにやにやしてる。
どうみてもモテるようには見えない男だ。

余談がすぎたことを謝罪する。

ここでPは恐るべきことを口にした。

P「おい、真美。お隣さんに迷惑だからあんまり騒ぐなよ?」

真美「え?」

くすぐりとは、声を出すプレイであり、またそれを楽しむものである。
それを制限されるとは、屋内でのオーディオ使用禁止を告げられた
オーディオマニアの心境に近いだろう。

真美は深海魚の図鑑を買ったと思ったら、
実は食虫植物の図鑑だったほどの衝撃を受けていた。

P「じゃあ始めるからな」

鬼畜メガネが羽を持ち、まずは真美のわきを責めたのだった。

真美「ひゃあ~~~~~~~」

P「おい。大声出すと周りの人に怒られるだろ?
  おまえはよくても怒られるのは俺なんだぞ」

真美「で、でもこれ……あうっ……ああああっ……」

真美は狂ったように身体を暴れさせ、その刺激に耐えていた。
両手はばんざいしてるから羽から逃れるのは不可能だ。
Pはゆっくりと撫でるように羽を動かし、真美を責め続ける。

真美「~~~~~~~~~~~~!!」

もう言葉にならない小さな叫び声をあげる真美。
声をたくさん出したので汗をかき始めていた。

P「こんどはこっちもどうかな? ほれほれ」

真美「あううううう!! いやあああああああっ!!」

次に責められたのは首筋だった。首の正面のあたりから
うなじまで、円を描くようにいろんな場所を撫でまわし、
真美を退屈させなかった。

真美「ひゃあああっ、ひひゃゃややああああああ!!」

くすぐったくて呂律が回ってないのがおかしかった。
Pは満面の笑みでくすぐりを続行した。
真美にとっては地獄だろうが、Pは天国にいる気分だった。

真美「うひゃあああ!! ひゃああああああ!! らめええええ!!」

真美の叫びは止まらなかった。同じ部分だけを刺激してはだめだ。
すぐ刺激に慣れてしまう。だからPは真美の無防備な身体の
いたるところを羽で撫でてやったのだ。

口からはよだれが垂れ、目はだらしないことに焦点があってない。
相当エッチな姿だった。

真美「んあああああ!! ひゃああああああああ!!」

P「どうだい真美?」

真美「もうゆるひへえええええええ!!」

真美は体力的にも限界が近かった。永遠と叫び続けたのだから無理もない。

P「んー。どうすっかな」

いじわるそうな顔をするP。そして急にプレイを中断した。

真美「ほえ?」

いきなり地獄から解放された真美は、逆にびっくりした。
一度解放されるとこんなに楽な気持ちになるんだと驚いていた。

P「じゃあ質問に答えたら教えてあげるよ」

真美「しつ…もん?」

P「ああ。おまえ雪歩さんが今どこに入院してるか知ってるか?」

真美「……!!」

P「ほう。その反応は知ってるな」

プロデューサー業がいたについてきたPには
真美の反応を見ればだいたいの想像はつくのだ。

P「雪歩さんの入院してる病院を教えてくれよ。
  さもないと、もっとくすぐるぞ」

真美(や、やだよ。誰がゆきぽんの居場所を兄ちゃんに教えるもんか…)

P「不満そうな顔だな。じゃあもう一回…」

Pが責めを再開すると、

真美「いやああああ!! ひゃああああ!!……分かった言いますから!!」

P「そうか。言ってくれるのか。じゃあどうぞ。遠慮なくしゃべってくれ」

真美「双海医院にいるよ。うちのパパが経営してる病院なの」

P「ほう。病室とか分かる?」

真美「765室だよ。これでもういい?」

P「まだだ。春香や響がどうしてるのか教えて」

真美「事務所が崩壊してから会ってないから知らない。嘘じゃないよ?
   あの二人は県外出身だから実家にでも帰ったんじゃないかって噂だよ」

P「なるほどね。よく分かったよ」

満足したPは真美の拘束を解いてあげた。
真美はぐったりしていて、Pに寄りかかってきた。

真美「兄ちゃんのいじわる……本当に苦しかったんだからね……」

P「ありがとうな真美。いじめるような真似して
  すまなかった。おわびにキスしてあげるからな?」

真美「うん……///」

ねっとりした大人のキスを堪能する二人。
これからさらに盛り上がりそうなところだが、
真美は体力的にもう疲れていたのだ。

キスした後、真美はベッドで横になってしまう。
まもなくしてスヤスヤと子供らしい寝息を立て、熟睡してしまった。
あの年齢ではハードなプレイはきつすぎたのだろう。

※双海医院とは、この小説に出てくる架空の病院である。
非常に特殊な大学病院であり、十六階建てくらいあって院長が
元ソ連人という危険な設定。Pは拳銃自殺を迫られたほど。
(しかも亜美、真美は院長の娘といういい加減な設定)

なお765号室とは、存在自体が死亡フラグな病室である。
前作では確かに爆破されたが、今作ではこの病院は健在である。

↓くわしく知りたい人は前作を参照とのこと。
P「音無さん…音無さん…」シコシコシコ 小鳥「」

P(これで萩原雪歩さんの居場所はわかった。きっと大けがしてるん
  だろうけど、俺の顔を見たら元気になってくれるかな?)

ネットで病院の位置を特定したので、明日には
出発できる。入院患者の面会時間は午後一時からなので、
その時間に合わせて出発することにした。

次のパートから雪歩氏に再会します。でもその前に休憩させろ(切実)
19:00ごろには戻るからさ 頼むぜ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
③  ~クズP、雪歩に会いに行く編~  ※一人称視点へ変更


P「んああああ」

俺は千早みたいな声を出して目覚めたんだが、信じられないことに
午後の一時はとっくに過ぎてたんだよ。

P「えええ? もう二時過ぎじゃねえか?」

目覚ましはセットしたはずなのに。なんでだ?
頭に来たんで目覚ましを思いっきり投げちまった。

「んぎゃあああ!!」

舌を巻いたような独特な音程の叫び声。
どうやらそいつの頭に目覚ましが当たっちまったらしい。

真美「何するのさ兄ちゃん!!」

P「うあああああああああ!! なぜおまえがここにいる!?」

真美「なんでって。昨日泊まったからに決まってんでしょ!!」

P「そうだっけ?」

真美「そうだよ。てかなんで昨日の記憶がとんでんの」

P「俺、自分のやったこととかは五秒で忘れるんだよね。

  まあ、このくらいの気楽さがないとプロデューサーなんて
  勤まらないんだよ。気にするな」

真美(意味わかんないよ)

真美が珍しく不審そうな目で俺を見てくるのだった。
あいつが呆れてる顔なんてめずらしいな。
人に煙たがられるのは慣れてるから別にいいけどな。

目覚めて真美がそこにいるって不思議な気分だ。
うれしくないわけじゃないんだが、俺は雪歩さんと
付き合ってるっていう設定らしいからな(Pは記憶喪失)

P「よし。少し遅くなっちまったが、これから雪歩氏のお見舞いに
  行こうと思う。 真美はどうする? 俺と一緒に行くか?」

真美「うん……行くよ。言ってゆきぽんに謝りたい」

P(え?)

どういった心境の変化だこいつ。あれだけ雪歩のことを
憎んでたのに、謝りたいだと? そのことを真美に訊いたんだが、

真美「だって、真美は兄ちゃんのお嫁さんになるんだよ?
   昨日誓ってくれたよね。真美のことを一番愛してるって。
   ならゆきぽんを恨む理由がないじゃん」

それ、星井さんあたりが聞いたら激怒しそうなセリフナンバーワンだね。
そういやあの人元気にしてるかな。胸だけはでかかったのが印象に
残ってるよ。あと俺って真美に告白したのか?

P「よく分からんが分かったよ。見舞いの品と言ったら
 フルーツが定番だな。その辺のスーパーで買ってくか!!」

真美「うん!!」

こうして俺はお嫁さん候補?らしい真美と一緒に病院へ向かうのだった。
恋人に会いに行くのにお嫁さん候補がいちゃダメじゃないか。
すでにろくなことになりそうにないな。

そんなこんなでスーパーで買い物をすませる。
俺は安売りしてたフルーツの詰め合わせを選んでたんだが、

真美「おんやー? あそこにいるのってミキミキじゃない?」

真美がさした先には確かに星井さんがいた。
アイドルみたいにスタイルのいい人だから
こんな庶民のスーパーじゃかなり目立ってる。

やはり胸がでかかった。

P「まえ駅であの人とすれ違ったんだけど、誘拐されそうになった」

真美「マジすか!!」

P「星井さんは相当やばい人だぞ。そういやあの人アイドルだったっけ。
  俺、あの人のCDだけは絶対買いたくない」

真美「でもミキミキの歌めっちゃうまいのに。
   買わないなんてもったいないなぁ」

P「いくら歌がうまくても中身が誘拐魔じゃ困るよ」

真美「そういや兄ちゃんてウチのアイドルのCDとかって買うの?」

P「萩原さんのなら五十枚くらいもってるけど。他のは誰のも買ってないな」

真美「ふーん。そうなんだ。それ、割っていいかな?」

P「なぜに!?」

星井さんはお菓子コーナーで手当たり次第にカゴに入れてるぞ。
なんちゅう買い物の仕方だ。やっぱりアイドルだと金がありまってんのかね。

真美「ミキミキ、すごい勢いでお菓子を買ってるね」

P「まいったね。俺も雪歩さんが好きそうな菓子を買って
  いきたかったんだが。早くどいてくれないかな」

俺たちは目立たない場所でスモーキースリルを踊りながら
星井さんが立ち去るのを待っていた。

真美「やっと行ったみたいだね」

P「今度は果物コーナー(ここ)に来るぞ。逃げろ」

さすが星井さんだ。アイドルだけあって果物は
きちんと買うんだな(スタイル維持)

てかよく見るとあの人かなり美人だな。
しばらく会ってないから顔忘れてたよ。

中学生であれだけ顔がいいと、一年間で学年中の
男子から告白とかされてそうだな。どうでもいいけど。

俺たちはこそこそとお菓子コーナーにいき、チョコ系の
お菓子を中心に買いまくったのだった。ちょっと買いすぎたかな。

真美「それって兄ちゃんが好きなお菓子なんじゃないの?」

P「バレたか。俺は萩原さんの性格も思い出せないようなバカだから
  許してくれないか。あの人の好みとかも知らないし」

真美「まあそれはいいけど、早く会計済まそうよ。
   こんなところで時間食ってたら日が暮れちゃうよ」

P「そうだな。星井さんもちょうど会計を終えたようだし、
  ちょどいいかな」

俺たちは仲良し?のようなので手をつなぎながらレジに並ぶ。
店員の女に舌打ちを受け止めながら会計をすました。
なんで店に来ただけで舌打ちされるの? 嫉妬するなよ。

俺たちが店の外に出ようとした時だった。
件の星井さんと出会ってしまった。
というより向こうが待ち伏せしてたんだ。

美希「はろー。ハニー?」

P「え? なんですか英語ですか? すみません。
僕、かろうじてロシア語であいさつができる程度で

  英語とかよく分からないんですよ。すみませんが
  勘弁してもらえますか。ヘイユー、アンダスンミー?
  Haー、アスホール、ビッチ!! どうですかこれであってますか?」

美希「……よく分からないけど、
   なんだかすごい失礼なことを言われた気がするの」

P「はああ? あなた日本語話せたんですか? 金髪だったから

  てっきりオーストラリア人なんだと思ってました。おかげで
  変な英語話しちゃったじゃないですか!!」

美希「ハニー。ちょっとうるさいの」

P「うるさい? うるさいって僕のことですか? よく言えますね。
  あなたこそこの前僕を誘拐しようとしたじゃないですか。あの
 駅での出来事を忘れたことはありませんよ。つーかなんであなたは
  こんなところで僕を待ち伏せしてたんですか?」

真美「に、兄ちゃん、しゃべりすぎだよ……ミキミキが怒ってるよ」

P「怒ってる? 星井さんが怒ってるだって? 怒ってるのはこっちだよ真美!!
 僕は星井さんに誘拐されそうになったんだぞ? 大の男が中学生に誘拐されそうに
 なるとか信じられないシュチュだよね? ねえ、僕何か間違ったこと言ってるかな?」

美希「……ミキ、ハニーを誘拐しようと思ったことは一度もないな」

P「誘拐しようと思ったことがない? ほらでた。誘拐魔はみんなこう言うんですよ。

  いやだなぁ星井さんは。あなたはアイドルなんですから、僕なんかに油売ってないで
  真面目にレッスンでもしてたらどうですか?」

真美(うわあ、兄ちゃんうぜえ)

お騒がせキャラの真美でさえあきれるほどのマシンガントーク。
さすがに自重しろって感じだが、こうでもしないと星井さんに
誘拐されかねない。どうせあの人は説得しても無駄なんだ。

すきをみて逃げないと大変なことに……

ドゴおおおおおおおおおおおおおおおおオン

星井さんがその辺にあったゴミ箱を蹴り飛ばしたぞ。
なんという脚力だ。さすがは訓練されたアイドル。
つーかどうやったらゴミ箱を蹴ってそんな音が出せるんだ。

美希「くだらないおしゃべりはもうお終いなの」

P「」

真美「」

終わるのはおしゃべりだけじゃなくて俺の命もだな。
いいから早く病院に行かせてくれよ。

美希「その前にハニーに話があるの」

ほら見ろ。星井さんの目が光ってるぞ。
ワンパだけど深海魚を例にすることでしか
この恐ろしさを伝えるのは不可能。

今回の深海魚は→クラゲイカ
俺の図鑑だと目が真っ赤になってて怖すぎる。

あとハニーってもしかして俺のことを言ってんの?
俺っていつから外国人の名前を授かったの?

美希「ハニー。もうふざけるのはやめて」

P「はい。すみませんでした。もうしません」

美希「それでいいの。ハニー。これからデートしない?」

真美・P「はぁ?」

俺と真美は二人そろって驚きの声を上げてしまった。
星井さんの言うことはいっつも唐突だ。

P「そのデートっていうのは、誘拐するための口実ですか?」

美希「だから誘拐はしないって言ってるの!!
   人の話はちゃんと聞いてほしいな!!」

P「さて、そろそろ警察に通報するか」

真美「でも兄ちゃんっていおりんに携帯没収されてるよね?」

P「そうだったな。じゃあ真美が代わりに通報しといてくれないか?」

美希「なんで美希が通報されなきゃならないの!!」

P「誘拐の現行犯逮捕ですね。女子中学生が誘拐犯として
  逮捕されるってめったになさそうですね」

真美「そんな変態ってまずいないよね」

美希「ハニー。酷いの。どうして美希をいじめるの?
   ハニーは前は優しい人だったの。美希のわがままも
   聞いてくれたし、いつでも親身になってくれたの。
   美希はそんなハニーだから、好きになったんだよ?」

星井さんが何か言ってるが、俺たちは聞いてなかった。

P「真美、病院へはこの道であってるかな」

真美「これならタクシー使った方が早くない?
   駅から結構離れてるし」

二人で地図を見ながら行き先をしっかり確認する。
迷ったら面倒だからね。

P「タクシーなんてリッチすぎるよ。ここは気長にバスで行こう。
  まだ三時前だから面会時間までには間に合うよ」

美希「……」

ん? なんか星井さんがプルプル震え始めたぞ。
なにか哀しいことでもあったのかな?

美希「ハニー、ひどいよぉ。お願いだからいつものハニーに戻って……」

なんと、星井さんは泣き出してしまったぞ。ここはスーパーだから
人の往来があるってのに。その辺を歩いてる主婦たちに注目されてるぞ。

それにしてもよく泣く人だなぁ。泣くのが趣味なのか、もしくは
次に出演するドラマの練習でもしてるのかな? 仕事熱心な人だ。

演技の練習の邪魔になるといけないから、俺と真美は早々に立ち去ることにした。

そんなこんなで病院行きのバスに乗る。

真美「バスなんて久しぶりに乗ったよ→」

P「俺もだよ。慣れてないとバス酔いしそうだな」

目的地まではすぐ着いた。ちなみに俺たちは隣通しの
席に座り、恋人のように手をつないでいた。
ように、じゃなくて本当の恋人なのだろうか?

バスから見下ろす景色は新鮮で、誘拐魔と会った後だと
心が洗われるようだった。まあ都会のごみごみした景色なんだけどね。
本当に癒されるのはピアノ協奏曲とかを聞いた時だよ。

真美「クラ好きなの?」

P「少しだけね。CDはほんの三百枚くらい持ってる」

真美「それ、ちょーマニアじゃん!!」

俺たちはバスを降り、いよいよ目的地に着いたのだ。
雑談してると移動時間なんてあっという間だ。

P「はぁ。風が冷たいぜ。ついに到着しちゃったね」

真美「なんか引っかかる言い方だね。来たくなかったの?」

P「どうしてかこの病院はやばい気がする」

真美はいぶかしむような顔で俺を見た。

真美「やばいってどーゆーこと?」

P「胸騒ぎがするんだよね。ここまで来たからには中に入るけどさ、
  俺にとって非常によくないことが起こりそうな気がする」

真美「気のせいじゃないのー?」

P「そうだといいんだが……」

俺は真美と手をつないだまま、病院へ入ったのだった。
まずは受付に行き、萩原さんの病室の確認をする。

事務員「はい、萩原さんなら765室にいますよ。面会希望ですか?」

P「うっす」

やはり病室は真美の言ったとおりだ。
とにかく雪歩さんの様子を見に行こう。

エレベーターで七階に行った。時刻は四時少し前か。
765号室のプレートを確認し、まずはノックする。

『どうぞ』

雪歩さんの声だろう。

P「失礼するよ、雪歩」

以前の俺は雪歩と呼んでいたらしいからその名で呼ばせてもらおう。
雪歩さんは写真で見た通りの清楚な感じの女性だった。

腕や頭に包帯を巻いてるのが痛々しかったが、ベッドの上で
上半身を起こして読書していた。割と元気なのかな?

雪歩「プ、プロデューサー!? 
   来るなら連絡くらいしてくれればよかったじゃないですか!!」

P「いや、それが事情があって今携帯使えないんだよね」

雪歩「……事情?」

P「説明すると長くなる。とにかくお見舞いの品があるんだ。
  受け取ってくれ」

雪歩「わあ、おいしそうなフルーツ」

雪歩さんは目を輝かせており、うれしそうだった。
やっぱり買ってよかったな。

「ちっ、見舞いの品なんてもう飽き飽きしてんだようぜえ」

ん? 今すごく低い声が聞こえてきたぞ。
まさか萩原さんが言ったんじゃないよな?
写真で見た感じだとすごく優しそうな人だったけど。

真美「ゆきぽん、この間はひどいことしてごめんね」

雪歩「……っ。あんたも来てたのね」

真美「うん。前のことを謝ろうと思って」

真美はしゅんとしててかわいかった。
本当に申し訳なさそうにしてるから、
こういう子をけなすなんて絶対にできないはずなんだが、

雪歩「あっそ」

雪歩さんは冷たくあしらうのだった。
なんなんだこの人は? 

雪歩「あれだけひどいことをしておいて
   今更謝りに来ただけ? ふざけないでよ」

文面じゃ伝わりにくいだろう。雪歩さんはすごい怒ってるんだ。

真美「でも、本当に反省してるんです。ごめんなさい」

雪歩「あぁうざい。あんたの能天気な顔見てるとこっちまで
   頭悪くなりそうなのよ。まずはそのふざけた声やめてよ。
   なんなのそのアニメ声は?」

真美「こ、声は生まれつきこうなので……」

雪歩「その巻き舌を使った話し方がむかつくのよ。
   あんたアイドルやめて演歌歌手にでもなれば?
   つーかあんたたち双子ってどっちも顔似てるから
   いまだに見分けつかないわ」

ごめん、俺もつかない。←クズ。

しかし萩原さんの奴、いくらなんでも言いすぎだろ。
俺も真美もはるばる病院までやってきたってのに。
その言い方はないんじゃないか?

P「なあ雪歩。真美だってちゃんと謝ってるじゃないか。
  どうしてそんなひどい言い方するんだい?」

雪歩「このクソッタレが私を痛めつけたからですよ。
   誰のおかげで入院してると思ってるんですか」

真美「うー。ごめんなさぁい」

真美は目に涙をためている。
これだけボロクソに言われたら無理もないか。

お見舞いに来たのにマジ切れしてる雪歩さんに
会うことになるとは思わなかったな。

こんな狂暴な人と俺は付き合ってたのか?
まだ星井さんのがマシだったんじゃないのか?

俺がショックで記憶喪失になったのも納得だね。

P「きょ、今日のところはもう帰った方がいいかな。
  雪歩の邪魔しちゃ悪いしな。さ、帰るぞ真美」

真美「う、うん」

雪歩「待ってください。プロデューサーにだけ話があります」

なんと、俺だけ引き留めるつもりかい?

俺は真美に廊下で待ってってとアイコンタクトし、
その場に残ることにした。真美は寂しそうに
部屋を去って行った。まあ自業自得だな。

拷問したんじゃ恨まれるのも仕方ないだろう。
真美の奴もオオバカだなぁ。

雪歩「プロデューサー、あれからしばらく会ってませんでしたね」

P「そうだね。実に一か月くらいはご無沙汰してたね」

雪歩「私はここでクソみたいな引きこもり生活を送ってましたが、
   プロデューサーはどうしてました?」

優雅な監禁生活を送ってました。そう答えるのが
正しい答えなのだが、この場合はだめだろうな。

P「い、いろんなことがありすぎてよく覚えてないかな。はははは」

雪歩「なんか気になる言い方ですね。もしかして私に嘘ついてます?」

す、するどいぞこの人は。雪歩さんて嘘とか通用しないタイプなのか?

雪歩「律子さんから聞きましたけど、プロデューサーは放浪の
   旅に出たとか? ぶらり一人旅ですか?」

P「は、はい。その通りです」

まるで面接官に質問されてるみたいだ。つい敬語になってしまう。

雪歩「どこまで出かけましたか?」

P「愛知県あたりです。途中で何度も道に迷いながら適当に電車を乗り継ぎました」

雪歩「そうですか。観光名所とかは行ったんですか?」

P「まわりたかったんですが、ちょっと用事が出来てしまいまして…」

雪歩「用事ですって? 旅の途中で起きる用事って何ですか?
   言い方が不自然なことから、嘘ついてそうですね」

P「う、嘘じゃありません。正直に言うと、
  伊織とやよいとあずささんと遭遇しました」

雪歩「はぁ? なんで愛知県内でクズどもと会うんですか?
   しかも三人と? 何度も起きる偶然のことを必然って言いません?」

P「いやまったくその通りで。なんであいつらと会ったのかいまだに…」

雪歩「あのクズどももKGBで鍛えられてますからね、きっとプロデューサーの
   部屋を傍聴したんでしょう。ちっ、くだらないことに工作能力を
   使うのは二流のすることですよ」

なんでこの人には嘘がつけないの? つーかこの人からもKGBって
単語がでてきたぞ。最近のアイドルの間で流行してんのかな?

それにしても恐ろしい病院だ。俺はお見舞いに来ただけなんだが、
なんで尋問されてるんだ? そのKGBって組織の人は尋問のプロか何か?

P「あ、そろそろ面会時間が終わるな」

時計を見る。もうすぐ夕方の五時だ。ふぅ。やっと解放されるぜ。

P「雪歩、もうすぐ面会時間が終わりだから俺はそろそろ…」

雪歩「はい? なんで帰る支度してるんですか」

P「えっ」

雪歩「面会時間なんて関係ないでしょう? 久しぶりに恋人同士で
   再開したんです。もう少し一緒に話しましょうよ」

心から遠慮いたします。こんなおっかない人だとは思わなかった。
恐ろしく頭の回転が早いし、嘘も瞬時にに見抜かれる。
まるで自分の頭の中をのぞきこまれてるみたいだ。

雪歩さんは警察官とかのがむいてるよ。アイドルよりね。

P「あの、真美が廊下で待ってるんで、
 せめて先に帰るよう 伝えておきたいんですが?」

雪歩「ああ。それなら問題ありませんよ。
   おい!! 私はプロデューサーさんと一緒にいるから、
   おまえはとっとと帰りなさいよクソガキ!!」

これはあれだな。風呂タイムが来ちまったな。保守タイムだな。うん

雪歩さんの怒鳴り声はすさまじかった。廊下にいる真美まで
はっきり聞こえるほどだったんだからな。
つーか見舞客にとっとと帰れってひどすぎないか?

真美『うわあああああん』

真美は敗走兵のようにダッシュしていた。かわいいな。

雪歩「これでゴミは帰ったようですね、プロデューサー」

いや、ニコニコされても困る。
こういう時に笑顔の人って性格がゆがんでませんか?
星井さんのがずっとましだ。早く家に帰りない。

P「あ、あの。面会時間がすぎてるのに本当に大丈夫なのでしょうか。
  見回りの看護師さんたちに見つかったら、雪歩も怒られると思うんですけど…」

雪歩「問題ありませんよ。看護師を買収すればすむ話です。
   実は私の入院に関して、父が裁判を起こすと脅しまして、
   屈服した高木社長から多額の賠償金を獲得しました」

P「な、なるほど……へえ……あはははははは」

もう笑うしかなかった。もううちの事務所は完全につぶれたね。
ただでさえ零細事務所で他にPを雇う余裕もないほどだったのに。

こんなとこに就職してしまった自分はバカなんだろうか?
あの生真面目な律子が放浪の旅に出たのもうなずけるよ。
そういや小鳥さんとか元気にしてるかな?

今頃いい相手でも見つけて結婚してたりして。んなわけないか。

雪歩「プロデューサー。カーテン閉めてもらえませんか」

P「ん? まあいいけど」

俺が何気ない動作でカーテンを閉めたのだが、

雪歩「やっぱりね。背中に盗聴器が二種類もついてますよ」

またそのパターンですか。盗聴慣れしそうな自分が怖い。

雪歩「うちのアイドル全員が容疑者ですけど、誰につけられたか
   心当たりのある人物はいませんか?」

P「う~ん。多すぎてしぼれないな」

雪歩「最近、道端でばったり会ったりする人とかいませんか?」

P「会ったといえば星井さんとスーパーで会ったかな」

雪歩「星井さんて、あのクソ美希ちゃんのことですか?
   プロデューサーが名字で呼ぶなんて珍しいですね」

P「大嫌いな奴は下の名前で呼びたくないだけだよ」

雪歩「あの黄色毛虫には名字でももったいないくらいです」

それにしてもなんという口の悪さ。俺も人のことは
言えないと思っているが、雪歩よりはマシだと思う。

それだけ雪歩の心の傷は深いということなんだろうな。

今ならあの時のことを思い出せるよ。
たしかこの子は内気で男性恐怖症の女の子だった。

俺と内緒で付き合い始めたけどみんなにばれた。
そして集団リンチされたんだから恨んで当然だろうな。
俺だって同じ立場だったらやさぐれると思うよ。

P「雪歩も大変だったんだよな」

雪歩「……え///」

同情してしまった俺は、雪歩の頭をそっと撫でていた。
雪歩の頭は手を置きやすかったのもある。

雪歩「も……もういいですよ。子供じゃないんですから…///」

P「そうか? ごめんな。嫌だったかな?」

雪歩「い、嫌ってわけじゃないです……」

雪歩は照れてるんだな。一種のツンデレみたいなもんか。
伊織の専売特許を奪っちゃダメじゃないか。

雪歩「おほん、で、クソ星井が犯人の可能性が高いですね」

P「盗聴器の犯人のことか? まあたしかにあいつとは
  変な場所でよく会うからなぁ」

雪歩「明日にでも星井をここに連れてきてくださいよ。
   訓練された看護師の集団で捕獲して拷問したいです」

P「はい?」

雪歩「なに驚いた顔してるんですか。拷問は自白を強要するのに
   最適な手段じゃないですか。まあ仮に犯人じゃなかったとしても
   かまいませんけどね。拷問施設なら地下とかにあります」

なに、この病院……? 俺が感じていた嫌な予感はこれだったのか。
どこか東欧風の雰囲気だと思ってたんだが、まるで外国みたいだ。

雪歩「院長がソビエト連邦出身の方でしたから、この病院なら
   罪人と『思わしき者』まで全員処罰できますよ?」

ごめんなさい。ついていけません。二度とここに来たくありません。
いますぐ帰りたいです。カミサま助けてください。

雪歩「うふふ。別にプロデューサーをどうにかしようと
   考えてるわけじゃないから大丈夫ですよ」

P「あ、あんまりぶっそうなことを考えるのはやめないか?」

雪歩「そうでしょうか? あっちが盗聴器なんてしかけるのが
   いけないと思うんですけど。やられたらやりかえすのが
   正しいと思います」

この娘はどこで道を踏み外したのか。集団リンチされただけで
ここまで腐れるのか? いくら俺でも星井さんが拷問されるなんて嫌だぞ。

看護師「萩原さーん。そろそろ夕食のお時間ですよ」

雪歩「はーい。どうぞ入ってください」

もう六時か。夕食の配膳が来たみたいだ。
個室は優雅でいいね。

看護師はでかいカートを押して部屋に入ってくる。
もちろん病院食だから味には期待できないが、
贅沢は言ってられないだろう。

雪歩「私、少食だから全部は食べられないんですよ。
   どうせだから食べさせっこしませんか?」

もちろんおーけーだ。これでも恋人同士だしな。
てか俺はいつまでここにいればいいんだろうね。
看護師も俺がいるのに完全スルーだし。まじで買収してんのかな。

雪歩「プロデューサー、あーんしてください」

俺からなのかよ。一応雪歩の食事なのに。まあいいや。

P「あーん」

雪歩「病院食ですけど、お味はどうですか?」

P「まあ悪くないほうかな。
  雪歩が食べさせてくれたからおいしく感じたのかも」

雪歩「プロデューサーったら///」

おー、また照れてるよ。恥ずかしくて俺から目をそらしてる。
以前の雪歩みたいな仕草だな。ダークサイドに堕ちたとはいえ、
雪歩にもまだ女らしいところは残されてるんだな。

昔を思い出してうれしい気持ちになるぞ。

食べさせっこという名のお遊戯をとっとと終えた俺たち。
食事は看護師が回収していった。さっきとは別の人だったんだが、
またしても俺のことはスルー。信じられないよね?

あきらかに不審な男が女の子の病室にいるのに。
俺のことは無害なシマウマか何かと思ってんのか?

雪歩「常に私が銃をチラつかせてたからですよ」

空耳だろうか。あまりにも現実離れしてるセリフが聞こえてきた。
雪歩が逮捕される日も遠くないかもしれないな。

P「さて、食事も終わったことだし、そろそろ帰っていいかな?」

雪歩「は?」

キレてらっしゃる。やっぱり帰っちゃダメなのか。
なんで帰らせてくれないの?

あと俺のポリシーなんだが、できるだけ人の表情を
説明するときは動物などの比喩を使いたいと思ってる。

だってごちゃごちゃした文より写真とかの方が伝わるだろ?
さっきの雪歩の「は?」と言った時の顔は、『ラブカ』のそれに近い。
(やはり深海魚なのが恐縮の極みだ)

絵が描ける人が本当にうらやましいとか思ってたりする。
完全に余談だったな。失礼。

雪歩「さっきから失礼なこと考えてません?」

P「すみません。で、なんで俺は帰っちゃダメなんですか?」

雪歩「恋人はいつでも一緒にいるべきですぅ」

あ、今の部分だけ話しかたが昔に戻った。

P「し、しかし俺もそろそろ帰らないと明日の準備とかがですね」

雪歩「準備って何の準備ですか? 浮気の準備ですか?
   もうPを首になったようなもんなんですから、
   家に帰ってもやることないでしょう?」

P「確かにその通りですが、さすがに夜遅くまでいるというのも…」

雪歩「ダメですよ。プロデューサーは私の監視下に置かないと
   すぐ別の女が寄ってくるんですから。しばらくはここで
   一緒に暮らしましょう? 生活費なら私が負担します」

耳を……疑いました。

俺は軽い気持ちで見舞いに来たのだが、信じられないことに
監禁まがいのことをされつつあるぞ。
時刻はもうすぐ七時になろうとしてる。

俺は人生で何度監禁されればいいんだ。

相手は病人なんだから逃げればいいって?
どこからかそんな声が聞こえてきたが、できないんだよ。

なぜなら可憐なる雪歩嬢は、

カチャリ

猟銃を俺に構えていたからだった。
照準は俺の右足のあたり。足だけじゃなくていろんな場所が
吹き飛ばされそうな感じだね。銃はベッドの下に隠してたらしい。

つーか本物の銃とか生まれて初めて見ました。
けっこういい光沢してるね。重そうだし。

雪歩「まだ帰りたいですか?」

P「とんでもない。ここは素晴らしい病院ですよ。
  いつまでだってここにいたい気分です」

雪歩「分かってくれてよかったですぅ」ニコ

どんな男でもとりこにしそうな笑みだった。
かつて俺が雪歩に惚れた一番の理由がこれだった。
銃を構えてるせいで台無しだがな。

夜七時半、とくにすることもないのだが、
俺はひたすら雪歩との雑談に付き合わされていた。

雪歩の奴はとにかくよくしゃべる。こいつは仲のいい人と
一対一の時ほどよくしゃべるようで、入院生活の話やら
昔のアイドル時代のときなど色々と話していた。

雪歩「院長は話の分かる人で助かりました。私の父とも
   意気投合してましたよ。ソビエト時代は
   閣僚会議の一員だったそうです」

P「……へえ。そうなんだ」(閣僚会議? 意味が分からん)

院長殿の話は俺にはついていけない次元だったが、
どうやら外国では偉い地位についてた人らしい。

P「院長とも話とかするの?」

雪歩「はい。私のリンチ事件のことを知ったら激怒してくれました。
   765プロのアイドルがKGBで鍛えられてることを知ったら、
   そいつらを打倒するための色々な殺害方法を提案してくれました」

P「……っ」

雪歩「プロデューサー。ちゃんと聞いてますか?」

P「もちろん聞いてるよ!! 悪人どもはぶちのめすのが
  一番だと俺は思うよ」

雪歩「やっぱりプロデューサーもそう思いますよね。
   KGBといえばロシアのプーチン氏もそこの出身ですね。
   昔は欧州方面のスパイだったとか」

P「そ、そんな奴が一国の代表を務める国なのか。とんでもない話だな」

ちなみに、話は最後まできちんと聞いてしっかりと答えないといけない。
もし途中で居眠りでもしようものなら、オデコにライフルを突き付けられる。

つーか雪歩の話す内容が女子高生らしくない。

P「うちのアイドルの中だと、雪歩はどいつを一番に殺したい?」

雪歩「ちょっと悩みますけど、あのくされリボンでしょうか。
   あのクズが一番私を殴ってきましたから」

P「春香のことか。そういやすっかり姿を見なくなったな。
  真美に所在を訊いたら実家に帰ったとか言ってたぞ」

雪歩「もともとアイドルの素質ゼロでしたからね。
   どのみち実家に帰ることになったでしょう」

P「おまえも言うじゃないか。それにしても雪歩を一番多く殴るなんて

  春香も悪党だな。以外に嫉妬深かったんだな。
  あと貴音が逮捕されたの知ってる?」

雪歩「ええ? あの女が逮捕されたんですか?」

P「おうよ。あの大バカは俺を監禁してきやがったからな。
  伊織が救出してくれたんだが、ついでに通報もしたらしい」

雪歩「765で逮捕者が出るって初めてじゃないですか?」

P「間違いなく初だね。表ざたにはなってないけどな。

  貴音はどこに出しても恥ずかしくないほどの
  バカだったということだな」

こんな感じで雑談してどんどん時が過ぎていくのだった。
うちのアイドルたちは個性的だからな。誰の噂話をしても
話題が尽きることがない。

P「伊織の奴も世界レベルのバカだった。
 実はあいつにも監禁されたんだよね」

雪歩「最低ですね。あのデコ女はプロデューサーに惚れてるのが
   バレバレなのにツンデれぶってるから余計腹が立つんですよ」

P「ぶっちゃけツンデれってもう需要ないよな」

雪歩「前世期の遺産ですね」

P「つーかうちの事務所にまともな奴っているのかな?」

雪歩「社長とか音無しさんとかですかね?」

P「社長はキチガイになってゲイバーで掘られてるらしいぞ」

雪歩「うわあ……最低ですね。あの事務所つぶしてよかったです」

P「そういや、もうなくなっちまったんだなあの事務所。
  雪歩はもう一度ライブとか出てみたくないのか?」

雪歩「あんな事件があったばかりなのでしばらくはいいです。
   今までの仕事を振り返ってもまあまあ楽しかったですし、
   今はそれよりアイドルたちに復讐したいです☆」

P「おまえもさらっと恐ろしいこと言うようになったなぁ」

雪歩「リンチされれば誰だって変わりますよ」

P「まあそうだろうな。なんで765のアイドルは嫉妬深い
  奴ばかりなんだろうな」

雪歩「そういえば千早さんとあずささんには暴行されてません」

P「ん? ああ、確かにあの二人はあの時非番だったしな。
  まああの二人はマトモだと思うぞ。他に比べれば…だが」

時間は確実に時を刻んでいった。もう八時半くらいになってる。
話に夢中になってると時間なんてあっという間にすぎるんだな。
つーか人とこんなに雑談したのは初めてかも。

雪歩「しばらく千早さんに会ってないですね。
   蒼い鳥とかいい歌でしたね」

P「あいつの歌唱力はアイドルのレベルを超えてるだけに
  惜しい存在だったな。Sランクを目指せる器だったのに」

雪歩「全てはキチガイ集団が悪いんですよ。なんでプロデューサーと
   付き合っただけで集団リンチされなきゃならないんですか」

P「女の嫉妬は恐ろしいというが、あれはちょっと異常だよな。
  まるで誰かの意志によって性格が改変されたみたいだった」

雪歩「そういえばプロデューサーってアイドルのCDとか買うんですか?」

P「もちろん買うよ。雪歩のを五十枚くらいと、実は千早のも持ってる」

雪歩「私のCDをそんなに買ってくれたんですか///」

P「まあな。雪歩の声が大好きなんだ///」

雪歩「///」

なんだかすげえ甘ったるい雰囲気になっちまったな。
今更だけど俺って監禁されてるんだよね。
夜の間もここにいなくちゃならないのかな?

時計を見るともう九時になろうとしてるぞ。
つまり消灯時間が迫ってるわけで。
そんなことを考えてたら看護師が来ちまった。

看護師「まもなく消灯時間ですので明かりは消してくださいね」

こんな時間まで部外者の俺がなんで病室にいるんだって話だ。
帰りたいなんていったら殺されるしなー。
さて、どうするかな。雪歩が寝るまで待ってみるか?

雪歩「はぁ。真っ暗だとすることがないですね」

P「まったくだね。俺ならこういう時は音楽でも聴きたいね」

雪歩「そこにケンウッド製のラジカセタイプのコンポが
   ありますよ。お父さんが置いていってくれたんです」

P「いいね。ちょうど手盛りのCDは千早のしかないんだ。
  眠り姫とかアルカディアでも聴いて盛り上がるか?」

雪歩「はい。病院の腐った雰囲気をぶち壊すにはちょうど
   よさそうですね。低温は抑え目にして聴きましょう」

俺はリモコンを手に取ってBASS機能を調整した。
音量もかなりしぼり、廊下や隣の部屋には
聞こえないようにした。
トーンコントロールが自由自在だと助かる。

雪歩「眠り姫って名曲ですよね」

P「最高だよな。曲のダイナミクスもいいし、
 ボーカルのハイトーンもきれいだ。
 クラ好きの俺でもこれはいいと思う」

雪歩「そういえばプロデューサーはクラシック好きという
   設定でしたね」

P「設定ってなんだよ。本当に好きなんだってば。
 むしろ俺は器楽曲のが声楽曲より好きなの」

雪歩「もしかして音大出身ですか?」

P「んーや全然。今まではポップスばっか聞いてたんだけどな、
 気が付いたらクラシックやJAZZにはまっちまった」

雪歩「じゃあ私の曲は好きですか?」

P「好きで、よかった、やLOSTとかが最高だね。
  ピアノの伴奏とかクラシックギターの音色がいいね」

俺は賞もない話をしながら雪歩が寝てくれるのを待ってた。
ちなみに俺はベッドの上で寝てない。

備え付けのソファーで横になっていた。
恋人ならなんでベッドに寝ないんだよって
話だが、なんとなくそんな気分じゃないんだよ。

雪歩の奴は全然寝やしねえ。たぶん一杯昼寝したんだろうな。
俺は毎日病院に通うのは構わないんだが、監禁されるのは
嫌だぞ。いまでこそ手足の自由は確保されてるが、
いつ手錠とかで拘束されることか。

伊織やたかねに拘束された屈辱は死んでも忘れねえぞ。
つーか頼むから雪歩さん寝てくださいよ。

雪歩「さっきからそわそわしてどうしたんですか?」

雪歩も訓練されてるだけあって俺の異変に気づき始めてるな。
そう。俺は今この瞬間も脱出の機会をうかがってるんだよ。

雪歩のことは嫌いじゃないさ。そのヤンデレっぷりが嫌いなだけ。
いうなればアレルギーさ。俺はヤンデレアレルギーなの。

雪歩「もしかして逃げようとか考えてません?
   しきりに窓や扉を見てますね」

消灯しててもよく分かりますね雪歩さん。
猫か何かですかあなたは。

雪歩「初めに行っておきますけど、私が寝るのを待っても無駄ですよ?
   廊下や通路には買収した看護師が銃を持って警備してますから」

え?

雪歩「最悪の場合は撃ち殺されますよ」

ここ、病院じゃねえの? この建物って双海病院のはずだよね?
人の命を奪うのに病院を名乗っていいのかよ?

もう寝させてくだせえ げんかいだ じゃあね
残ってたら明日も書くかんね→☆

このスレの作者(シマウマ)だが、起きたぞ
準備てくるから待ってて

今更だがこんな病院来るんじゃなかったって
後悔してます。俺は何度同じような目にあえば気が済むんだ?

おとなしく真美と家でイチャイチャしてたほうが
マシだったかもしれん。毒気を抜くのって大変なんだよ?
まして雪歩氏とは初めてじゃないから効果がないだろうし。

雪歩「いつまで考え事してるんですか?
   ふざけてるようでしたら、私が制裁を加えてもいいんですよ?」

P「おまえ、怪我してるじゃん」

雪歩「銃くらいなら撃てますよ」

P「まあまあ、そう好戦的になるなよ。それより千早の話しようぜ」

雪歩「また千早さんですか?」

P「俺はもう一度Pをやり直せるとしたら、あいつを中心に
  したユニットでも組みたいと思ってるんだ」

雪歩「というと歌中心のユニットですか?」

やはりこいつは話好きだ。簡単に乗ってきやがる。
ヤンデレ雪歩姫が眠くなるまで話を続けてやる。

P「いや、千早には歌に専念してもらって、

  ほかにバックダンサーでも
  やとったりするのはどうかなあと」

雪歩「でも千早さんの歌ってバラード系が魅力だから
   ダンサブルなのは流行るでしょうか。むしろ
   星井のほうが向いてそうですね。あいつも死ねばいいですけど」

P「星井のバカは確かに万能キャラだ。歌も踊りもスタイルもよし」

雪歩「今考えるとすごい人材じゃないですか?」

P「俺も同じことを考えてた。誘拐未遂犯じゃなければ
  新しい事務所にスカウトしてもいいくらいなんだがな」

雪歩「その誘拐未遂ってのはなんなんですか?
   星井が腐ってるのは知ってますけど、
   そこまでクズなんですか?」

ストレートに人をクズ呼ばわりするのってすごいと思う。
今までの優しかった雪歩さんの面影がほとんどないな。
ラブコメすると、たまに昔の口調に戻るんだけどね。

P「星井さんはよく分からないんだよな。クズってほどでも
  ないと思うんだが、恋に恋してるのかな?」

雪歩「あの女もまだ中学生ですもんね」

P「あと俺のことハニーって呼んでくるのはなんでなのか」

雪歩「親愛の証なんじゃないですか? 
   それだけプロデューサーが好きってことですよ」

P「うーん。惚れられて悪い気はしないんだが、

  どいつもこいつも強引すぎるんだよな。
  なんで自分の気持ちにレーキがかからないんだろうな」

雪歩「全てはヤハウェ様次第ですよ」

聞き慣れない単語が出てきたな。ヤハウェって誰の名前だ?
時々こいつらのことが分からなくなるから困る。

雪歩の部屋にはロクボウセイを描いた変な模様があった。
よく見ると雪歩の腕にも何かが巻いてあった。
変な宗教にでもはまってるんじゃないだろうな?

俺はキリスト教カトリックしか分からんぞ。

P「ただ話してても退屈だな。ポップスも聴き飽きたし、
  たまにはJAZZでもどうだ? バラード中心の名盤があるんだが」

雪歩「なんか古臭そうですけど、たまにはいいですね」

萩原父が置いて行ったコンポの横にCDが詰まれていてな。
そこにビル・エヴァンスのアルバムがあったのだ。
これは睡眠導入にはもってこいだ。

雪歩「へー。ピアノの旋律がきれいですね。
   こういうジャンルの音楽を聴いたのは初めてなので
   新鮮です。もっと早く聴いとけばよかったです」

P「気に入ってもらって何よりだ」

俺なんてストレスの溜まった日は音楽を聴きながら寝てるぜ。
プロデューサー業は実に激務だったからな。
雪歩氏は目を閉じて音楽に聴き入ってるようだ。

……そろそろかな?

雪歩「ふぁあ」

あくびをし始めたぞ。眠くなってる証拠だ。
エヴァンスの曲なら無理ないな。ベートーベン作曲、月光の
第一楽章なみにゆったりしたテンポの曲を流してるんだ。

雪歩「ふにゅ……もうしゃべるのも疲れてきましたぁ……」

ありがとう音楽!! このヤンデレを眠らせてくれて!!

初めてクラりネット協奏曲の作曲を依頼され、
苦難のうちに譜面を完成させた時のモーツァルトの
心境を理解することができた。←意味不明。

雪歩「すぴー すぴー」

よく分からない寝息を立てながら天使が眠りについたようだ。
いよいよ俺の時代が到来したぞ。ここからは俺のターンってやつだ。
まずは脱出用の道具でも調達するか。

まずはガサ入れが基本だ。ここはいい感じの個室で洗面所から
冷蔵庫、棚などいたれるつくせりだ。

冷蔵庫を開けたら媚薬が入ってたのですぐ閉じた。
洗面所にはなぜか歯ブラシが二人分あった。
床の一部には地雷と思わしきものが埋めてあるのがわかった。

小さな本棚のような棚にはハンドガンの弾がいっぱい入っていた。
どこのホラーゲームだよ。あとライトが入っていたな。
携帯用LEDライトだ。ふむ。これは脱出に使えそうだ。

雪歩「むにゃ……プロデューサーぁ……あなたが好きですぅ」

寝言で告白するのとか止めてもらえませんか。
ガサ入れに集中できなくなるじゃないですか。

俺はライトを忍ばせながら廊下に出てみた。
そういやここは七階だったな。一階まではあまりにも遠すぎる。
険しい山から下山するような気分だぜ。

院内は実に真っ暗だ。普通の病院なら廊下の明かりは
つけとくもんだぞ。患者がトイレに行くときとか困るだろうが。

しかも恐ろしいほどの静寂。静かすぎてすでにホラーだな。
足音を立てただけで看護師とやらに見つかってしまうのだろうか。
看護師らは雪歩に買収されたって話だが……。これはなんだ?

『見敵必殺』 『同志レーニン万歳』 『暴力推奨、全ての権力をソビエトへ』

廊下の壁には意味不明の壁紙がしてあった。

ちなみに全部ロシア語で書かれていたんだが、なぜか読むことができた。
学生時代は英語すら読めなかったのになんで読めたんだろう。
俺って天才じゃん?

P「……っ」

なぜか悪寒が止まらなかった。俺は本当に病院にいるんだよな?
今は平成のはずなんだが、なんかここは戦前みたいな雰囲気だな。

まるでシベリアの奥地に迷い込んでしまったような感じだ。
暗くて不気味な廊下。数メートルすらよく見えない。
寒い。寒くて凍えてしまいそうだ。

カツカツカツ……

P「ひっ」

あれは見回りの人の歩く音だろう。
恐らく女の足音とみて間違いない。

いつまでもここにいたら見つかっちまう。
どうしよう。すぐそばにあるトイレにでも入ってやりすごすか。

カツカツカツ……

一定のリズムで足音を奏でてやがる。

俺は男子トイレの個室に隠れてる。
まさかここまで奴らが入ってくることはないだろうからな。

カツカツカツ……

怖くてたまらん。でもドラムスのパーカッションの
リズムだと思えばなんでもない。ポジティブにいかないと。

カツカツ……

足音は次第に聞こえなくなってきた。
よし。もう奴はいったようだな。
そろそろトイレから出よう。

俺はさらに院内の探索を続けるのだった。

この階の中央部分、そこにはロビーと受付があった。
さすがに受付だけは明かりがついていて、
看護師らが仕事してるのが見える。

たとえばナースコールを鳴らせば、あいつらが対応してくれるんだよね。

P「……どうすっかな」

小声で独り言をいう俺。それくらい迷っていた。
階段とエレベーターは受付の先にある。
つまりあそこを突破しないことには
下の階にはいけないってわけ。

強引に突破してみろって? 無理に決まってるだろ。
だって受付には重機関銃が設置してあるんだ。
比喩じゃなくてマジなんだから笑えん。

看護師が丁寧に銃を磨いてるよ。つまり俺が
飛び出そうものなら一瞬で蜂の巣だ。ふざけんな。

P「なんでこんな腐った病院がこの世にあるんだ……」

絶望を通り越して笑いそうになっちまったよ。
お見舞いに行こうって真美を誘ったのは俺だったのにな。
自ら戦場に飛び込んだことになるぞ。

なんで病院に銃があるのかは最大の疑問だが、
院長の影響なんだろうな。いつかつぶしてやるぞこの病院。

すると背後から独特の抑揚のあの声が聞こえてきたのだった。

亜美「兄ちゃん……」

P「あいffしゃfhkさfじゃ!!」

俺が瞬間的に叫びそうになったところ、
亜美の手で口を押えられた。

亜美は超小声でこう言う。「叫ばないで。騒いだら殺されるよ」

確かに亜美の言うことはもっともだ。
俺は深呼吸して息を整えた後、超小声で対応する。

P「すまなかったな亜美。まさかおまえがここにいるとは思わなかった」

亜美「いちおうここってパパが管理してる病院だしね。
   兄ちゃんがピンチっぽかったから助けに来たよ→?」

P「お、おまえってやつは…!!」

俺は感動のあまり亜美を抱きしめてしまった。
亜美の髪からシャンプーの香りが漂う。
風呂上がりだったのかな?

亜美「うへへ→。苦しいよ兄ちゃ→ん」

P「あ、すまんすまん。つい強く抱きしめちまった。
  それでここから脱出できるのか?」

亜美「それが難しいんだよね。すでに兄ちゃん包囲網
   が作られてるらしくてさ。すべての看護師が
   兄ちゃんの脱出を警戒してるみたい」

ほとんど軍事拠点に潜入したようなもんだな。
俺はアイドルのプロデューサーだったはずだが……。

P「それって死ぬの確定してないか?」

亜美「ここにいればそうなるね。見回りの人らは定期的に
   院内を巡回するからいつかは見つかると思う」

P「やばいじゃん。雪歩の部屋に戻った方がいいかな?」

亜美「それも悪くないけど、ゆきぽんって相当キレてるんでしょ?
   今日真美がのび太君みたいに泣きながら帰ってきたから
   びっくりしちゃったよ」

P「雪歩氏はまじでシャレにならんからな。真美は帰れてむしろ
  よかったと思うよ。雪歩も銃とか普通に持ってるから」

亜美「え→!! まじっすか」

P「しかも俺を監禁するつもりらしかった。あの病室にだぞ?」

亜美「それってやばいっしょ。キチガイにしても度が過ぎてるよ」

P「俺もしばらく記憶障害だったからな。あそこまでキチになってる
  とは予想がつかなかったよ。写真に騙されたかな」

亜美「んふふ。兄ちゃんたら見た目のいい女に騙されましたな→?」

P「でも根はいい子だと思うんだよ。
  何かきっかけがあれば元に戻ってくれるとおも……」

さすがに雑談が過ぎたのかな。俺は背中に鉄のような
冷たい感触を感じたんだ。亜美は驚愕して口を大きく開けてる。

看護師「Как ни торопись,
    всё равноне успеешь」

なんと言ってるのか分からんが、動いたら殺されるのは分かるよ。
聞きなれない言語だが、ロシア語だろうか。
俺は背後からアサルトライフルを突き付けられていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
               ※ロシア語は適当ですが勘弁しなさい

看護師「Посмотрите сюда」

なに言ってるのか理解できるわけないだろう?
俺の学校での英語の成績はいっつも最下位だった。
ロシア語なんて分かるわけねーだろ。←じゃあなんで張り紙は読めた?

このまま俺は連行されて拷問とかされるのか?
軍隊で捕虜になったようなもんじゃないか。
俺の運命はこんなところで尽きてしまうのか?

亜美「……ぐぬぬ。えいやっ!!」

おっ。亜美が隙を見てスタンガンを取出し、
看護師にあてちまったぞ。亜美はあいからわずのだみ声だ。

看護師「fさldkflkdf」

感電する嫌な音が鳴り響き、ばったりと倒れちまった。
気絶した看護師はえらい背の高い人だった。
ロングの金髪で肌の色素が薄い。まるで日本人じゃないみたいだ。
というか確実に外人だろこの人。

掃除してくる ニ十分ほど空けるかんね

亜美「夜勤の人はソ連系だからね」

P「ソ連系ってこんな美人な人ばっかりなのか?
  しかも若いし。あと助けてくれてありがとう」

亜美「まあ顔はキレイだよね。
   アメリカでもロシア系って美人が多いらしいよ。
  
P「そうなのか。まあ顔はともかくとして、なんで外人がいんの?」
 
亜美「うちの病院ってナチと戦った経験のある人が多く
   採用されてるの。お父さんのかつて同志とか言ってたよ。
   ドイツ兵にも負けないくらいの戦闘力を
   持った人ばかりだから気を付けてね」

それ、気を付けてどうにかなるのか?

俺はただのプロデューサーだって言ってんだろうが。
戦闘訓練なんか受けてないし、欧州最強とか言われた
ドイツと戦ったやつらに勝てるかよ。

P「ちょっと待ってくれ亜美」

亜美「なに?」

P「ドイツとの戦争って六十年前くらいの話だよな?
  なんで看護師たちはみんな若いの?
  普通ならほとんどの人が亡くなってる年齢じゃないか?」

亜美「あーあー。やっぱそこが気になっちゃったか。
   細かいことを気にしたら撃たれるよ」

P「誰に?」

亜美「誰かに」

P「……」

理解不明な会話だった。まさに茶番である。
そんなことより脱出しないと。

亜美「うーん。受付は機関銃陣地になってんね。
   階段の前にもいくつか地雷が仕掛けられてる。
   四十四年式のスプリング地雷かな。
   このフロアにいる看護師は全部で六人。
   今一人倒したから残りは五人だね」

P「な、なんでそんなこと分かるの?」

亜美「パパの部屋から見取り図をパクってきたの」

亜美が手にしてるのは病院の見取り図だった。
俺のLEDで照らしてみたんだが、とんでもない地図だったぞ。
軍用としか思えないほど事細かく武器の位置などが記載されてる。

P「亜美。俺はもう精神的に限界なんだが……」

亜美「あきらめたらそこで試合終了だよ兄ちゃん」←AAとかあります?

どこぞのバスケ監督みたいなこと言うなよ。
スポーツと同じ次元で戦争を語るんじゃありません。

時間が気になるのな。俺は腕時計もなくしたし、
携帯は伊織デコ氏に取り上げられたままだ。

P「今何時だっけ?」

亜美「夜の十一時だよ。他のみんなも起きてるだろうし、
   援軍を呼べば助かるかもね」

P「援軍ってアイドルを呼ぶってことかい?」

亜美「うん。その人におとりになってもらえば看護師たちの
   注意をそっちに向けることができるよ。んで中央突破すんの」

P「えー」

亜美「えーじゃないよ。階段は使えないから、
   受付を抜けてベーターで逃げるしかないっしょ」

ちゃんとエレベーターって言いなさい。

とにかく亜美ちゃんの言うとおりにしないと
ダメそうだな。この子もだてにソ連の血をついでるだけ
あって軍事には強いみたいだな。

俺一人だったらさっきの看護師に捕まり、
拷問されていたと思う。

P「じゃあ誰を呼ぼうか?」

亜美「兄ちゃんの言うことを聞いてくれそうな
   人がいいな。運動神経がよくて純情な人とかいない?」

P「……星井さんだな」

亜美「ミキミキにすんの? たしかに運動神経いいもんね」

しかし、俺は迷っていた。星井さんは俺のP復活の際に
欲しい人材だ。こんなとこで戦死されちゃ困る。

どうせおとりとして使うんだ。欧州の覇者だったドイツの人らと
戦ってきた看護師を相手に使うおとり。無茶だな。殺されるのは確実だろう。

だったら死んでもいい人を呼んだ方がいい。
雪歩曰くリボンの人を一番恨んでたそうだから、
あの人がいいだろう。名前は天海さんであってるよな。

亜美「はるるんにするの? あまりダンスとか得意な
   ほうじゃなかった気がするけど、大丈夫かな?」

P「天海さんならきっとやってくれると思う。
  俺はあの人の隠れた才能を見抜いてる」

自信満々に言う俺に対し、亜美は少しだけ不機嫌そうな顔をした。

亜美「……そーなんだ。じゃ、はるるんに連絡してよ」

P「わりいな。今デコに携帯取られちまってんだ」

亜美「なにそれ。じゃあ亜美の貸してあげるからかけてみて」

亜美の携帯から電話帳を開き、天海さんの番号をプッシュ。
ちなみに天海春香さんの名前が『無個性リボン』で登録されてたぞ。
俺を笑い殺すつもりか?

P「おう春香か? 俺だよ俺。PだよP!!」

春香「ほえええええ!? プロデューサーさんですかぁああ!!
   こんな時間にどうしたんですか急にいいいい!!
   てかなんで亜美の携帯からかけてるんですか?」

P「しばらくだったな春香。おまえに会えない日は本当に
  さみしかったぜ。しばらく事務所をほったらかしにして
  悪かったな。でももう自分の気持ちに整理がついたよ。
  本当に大切な人はだれかってことにも気が付いた」

春香「え……そんないきなりそんな話されても心の準備が……」

亜美「兄ちゃん……」

春香はまじで告白だと思ってるんだろうが、もちろん演技だよ。
亜美の奴はなんで悲しそうな顔して俺を見てんの? 演技だっての。

P「今は亜美の携帯からかけてるが、俺のは電池切れなだけだ。
  こんな大切な話を電話越しにしてすまないと思ってる。
  だから、直接話がしたいんだ。俺は今、双海医院の七階にいる。
  ここまで来てくれないか? 俺の気持ちを……おまえに伝えたい」

春香「プロデューサーさん……そんなに私のことを……」

電話越しでも春香が涙ぐんでるのが分かる。
我ながら素晴らしい演技力だ。誰か俺を表彰してくれないか?

春香「分かりました。今すぐ行きますから待っててくださいね」

そして通話を終える。なぜか亜美は不機嫌そうだった。
まさか春香嫉妬してんのか?

亜美「兄ちゃんのバカ……」

P「あれは演技だって」

亜美「でも兄ちゃんがほかの女に甘い声出してんの見るのやだ」

中々可愛いことを言ってくれるお子様である。
でもそんなに甘い声だったのか。自分じゃ全然分からん。

亜美「亜美は兄ちゃんのこと好きだからね」

P「ありがとな。俺も亜美のこと大好きだぞ」

亜美「もー。そういう意味じゃなくって」

P「あーはいはい。亜美はお利口さんだなー」

亜美「んもう。すぐそうやってはぐらかすんだからー///」

亜美の頭をナデナデしてやるとまんざらでもなさそうだった。
やっぱり精神的にはお子様だな。ここが真美と違うところだ。

戦場でラブコメするのも悪くない。そう思うだろう?
受付で機関銃を磨いてる看護師が恐ろしいぜ。
そんなに磨かないといけないもんなんだろうか。

戦場慣れしたのか、俺たちはすきを見て
自販機でジュースを買った。
廊下の目立たない場所で飲みながら話をしていた。

亜美「はるるん、いつごろ来るかな?」

P「天海さんは神奈川あたりに住んでたっけ?
  ここは東京だから時間かかりそうだな。
  つーかこの時間で電車動いてんのか」

亜美「ギリギリ終電とかで来るんじゃないの?」

P「なんというギリギリな人生。他の奴にすれば
  よかったかな。待たせちゃってごめんな亜美」

亜美「亜美は暇してたからかまわないよ。
   最近は仕事もなくなっちゃったしね」

P「ごめんな亜美。いろいろ迷惑かけちまった」

亜美「謝んなくていいってば。亜美は……兄ちゃんと
   一緒にいられるだけで幸せなんだから……///」

危機的状況に接してるこういうタイミングだと、
妙に盛り上がってしまうものなのだ。
天海さんをただ待ってても退屈なのもあるしな。

P「亜美……」

亜美「兄ちゃん……」

P「キスしようか亜美」

亜美「うん……」

優しく抱きしめあい、情熱的なキスをする俺と亜美。
なんで亜美の髪っていい匂いがするんだろう。

そういや雪歩もここに入院してるんだっけ。
もうどうでもよくなってきたぞ。

俺たちが犬も食わないようなラブコメをしてると、
階下のほうで騒ぎが起き始めた。どっかで聞いた音だな。

ドゴゴゴゴゴッゴオッゴオゴッゴゴゴゴオゴッゴゴゴオ

お昼休憩がきたぞ。一時間な。保守ヨロ

何かの走行音みたいだな。
俺が以前映画で見た戦車の走行音に近いが、まさかな。

亜美「これはドイツ軍戦車の音だよ。エンジン音から
   さっするに、たぶんパンツァーかな」

P「なんじゃそりゃ」

亜美「あちゃー。はるるんたら戦車で来ちゃったんだね。
   たしかにこの時間だとほとんどの路線が止まってるから
   無理もないか……」

意味が分からな過ぎて俺の頭上に多数の
クエスチョンマークが浮かんでしまったぞ。

パンツァーッてのは新しいパンツの名前か?

亜美「受付が騒ぎ始めたね」

受付の看護師らは電話や無線でしきりに連絡し合ってる。
鬼気迫る顔で通信し合ってる。やがてそのほとんどが銃を持って
エレベーターで降りて行ったぞ。一階に増援に行ったんだろうな。

亜美「これで七階はがら空きだね。様子を見て脱出するよ」

P「しかっしエレベーターは危険じゃないか?」

亜美「非常階段を使おうよ。受付の奥に用意してあるよ」

無人になった受付に入り、奥の扉を開くとそこは非常階段。
階段は屋外にらせん状に設置されてるから、ここを降りれば
一気に地上に行けるというわけだ。

P「行くぞ亜美」

亜美「うん」

出発する俺たち。無事に脱出できるだろうか。
なにせ下記のように銃声が鳴り響いてる。地獄みたいだ。

ズガガガガズガガガガズガガガガガガガガ

ズガガガガズガガガガズガガガガズガガガガズガガガガ

これは機関銃の音なのか? なんてうるさい音だ。
ライブ会場がお遊戯会場みたいに思えるぞ。
これ以上聞いてると鼓膜が破れちまうよ。

ダダダダダダダダダダダダ

バーーーーーーーーーーーーーーーー

いったいどんな戦闘が行われてるのか知らんが、
天海さんはよく奮闘してくれてるみたいだ。

おかげさまで俺たちは脱出することができたよ。
ふははは。ついに脱出。ミッションクリアだ。

最高の気分だぜ。ふーっはははははははは!!
次はどこに行くか。いったん俺の家に帰ろうかな。
もう夜の一時過ぎだ。さすがに眠くなってきたぞ。

亜美「亜美も行っていいかな?」

なん……だと?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
④     ※一人称を継続

亜美「真美が兄ちゃんの家に招待されたって聞いて
   うらやましくなったんだよ→。ねえいいでしょ?」

P「もう夜遅い時間ですよ。子供は早く家に帰るべきだと
  私は思うわけです。先生に怒られますよ?」

亜美「つまんないよそのジョーク。で、行ってもいいの?」

P「実は雪歩氏に浮気は許さないと言われておりまして……」

亜美「病院から逃げたくせに今更どの口がそう言うの?」

全くその通りだから困る。事実として俺は雪歩から逃げちまった。
だって監禁したいとか言い出すんだもん。誰だって逃げるよな?
こちとら二階も監禁された経験があるんだぞ。悪夢ですよ悪夢。

逃げた俺を責められる奴なんているのか?
ヤンデレアレルギーなめんなよ。

そして問題はそこだけじゃない。なんと俺は真美と婚約してしまった
らしく、このまま亜美といけない関係になったら浮気になっちまう。

亜美「兄ちゃんは真美のが好きだったの?」

P「その……なんというか……あれは真美に脅されて仕方なくですね……」

亜美「何言ってるかよく分かんないよ。亜美は兄ちゃんの危機を
   救ってあげたんだよ? 命の恩人なんだよ? それなのに
   ほかの女を優先するの?」

P「俺がそんな薄情な男に見えるか? 今の俺には亜美しか映らない。
  こんなところで立ち話なんてしてる場合じゃねえ。早く俺たちの家に帰るぞ」

意見が百八十度変わる俺。やっぱり一流のPは言うことが違うね。
ちなみにこのくらい機転がきかないと営業なんてできないぞ。

亜美は笑顔でうなずいてくれてたぜ。そして俺たちは両手をつなぎ、
ピクニックに行く幼稚園児のような歩き方で帰路についた。

のだが、ここでまた問題が起きちまった。

自転車に乗った警官とすれ違っちまった。野郎は
俺たちを確認すると自転車を止め、こんなことを言ってきやがった。

警察「こんな夜遅い時間に散歩ですかな?」

P「はい。すみません」

警察「小さな女の子を連れてるようですが、娘さん?
   もしくは妹さんですかな?」

P「違います。俺の担当してるアイドルです」

警察「アイドル……? にわかには信じられませんね。
   それに今何時だと思ってるのかね? 
   君の身分証明書を見せてますかな?」

P「分かりました。ちょっと待っててください」

俺は適当に財布やポケットの中を探したのだが、
困ったことに見つからなかった。なんでないんだよ。
保険証も免許証もねえぞ。伊織に没収されちまったのかな。

警察「証明するものが見つかりませんか? 
   では署まで任意同行願いますけどよろしいですか?」

よろしいわけねえだろ。つーか無駄に丁寧な口調なのがむかつくぜ。
なんか別の世界の俺も警察の世話になってそうだから困る。

P「あの……そのですね……」

亜美「兄ちゃん……どうするの……?」

亜美は子供だからこういう時の対処法なんて知らないだろうな。
軍事においてはプロフェッショナルでも警察のあしらい方なんて
知らないだろう。知らなくてあたりまえだよ。

春香「お困りのようですねプロデューサーさん」

警察「え?」

春香「警察官さん。動いたら、どうなるか分かりますか?」

悪魔が来ちゃったか。このバカは一番多く雪歩をぼこったという
前科持ちだ。今は警察の背後から拳銃をつきつけてるよ。
まあ春香ならこのくらいはやるだろうね。

警察「……っ。お……お嬢さん、なんの冗談ですかな?」

春香「あなたこそ何の冗談なんですか? 私の旦那になる人を
   勝手に任意同行させようとしてましたよね?」

警察「……わ、分かりました。私はもう退散しますから
   拳銃を構えるのをやめてください」

春香「はああ? 退散ですって? 今更ですよね。
   そんな甘い考えが許されると思ってるんですか?」

警察「ひいいいいいい!!」

警察は春香に恐れをなして逃げ出したのだが、追いかけられてボコボコにされていた。
『ぎゃあああああ んぎゃああああああ!!』今のセリフは警官の断末魔だ。
大柄の男の警官だったが、春香の前では無力だったが。

春香は気持ちのいい運動を終えたあと特有の高揚感に
包まれているようだ。にこにこ笑顔だが、目が怖い。

春香「あぁぁ。すっきりしたぁ」

P「は、春香さんちーっす。あと誕生日おめでとうございます」

亜美「お……おめでとうございます。はるるん」

俺と亜美は恐縮して答えた。こんな化物に逆らえるわけないだろう。
雪歩より怖い。つーか次から次へと恐ろしいキャラが登場しすぎだろ。
まさに強さのインフレーションってやつだ。

P「ときに春香さん。病院のほうはどうなりましたか?」

春香「一通り殲滅しときましたよ?」

P「せ、殲滅ですか。結構な戦力が用意されてると思ったのですが……」

春香「所詮は陸兵だけじゃないですか。戦車の前ではすべてが無意味です」

P「……なるほど。さすがは春香さんです」

亜美「……はるるんさっすがだね→。かっこい→!!」

俺たちは冷や汗をかきながらおだてていた。

亜美よ。おまえ、携帯の春香の登録が
『無効性リボン』だって知られたら殺されるぞ。
クズの俺ですら春香さんには敬語を使っちまうくらいなんだ。

春香「プロデューサーさん。どうして私に敬語を使うんですか?」

P「な、なんでかなぁ。久しぶりに会ったから緊張してのかも☆」

冷や汗が滝のように出て止まらない。こんな奴を呼ぶくらいなら
大人しく病院で監禁されておけばよかった。俺は何度同じような
あやまちを犯してるんだ?

春香「将来結婚するんですから他人行儀な態度はやめてくださいよ///」

P「そうだよな!! あはは。俺としたことが!!」

春香「それと一つ聞いていいですか?」

P「え?」

この瞬間、周りの空気が五度くらい下がった気がした。
春香は真顔でこう訊いてきた。

春香「亜美ちゃんとはどういう関係ですか?
   なんで二人きりで歩いてたんですか」

P「」

春香「プロデューサーさんは私に告白するために
   呼び寄せたんですよね? なのになんで
   亜美ちゃんと夜のお散歩してたんですか?」

春香の鋭い視線が俺たちを射抜いていた。
嘘なんて言ったら間違いなく殺される。

亜美(兄ちゃん、はるるんが着てるあの制服、
   ロシア軍の特殊部隊だよ)

P(なんだと?)

亜美が小声で話しかけてきた。

亜美(スペツナズ、αチームのマークだよ。
   連邦軍参謀本部情報総局のだと思う)

P(なんじゃそら? 強いのか?)

春香「まあそこそこ訓練は受けましたから。
   たとえば亜美ちゃんの首をナイフで切断するとしたら、
   一秒もかかりませんね」

全部聞こえていたらしい。さすがにもう死んだかな俺?

P「春香。話すと本当に長くなるんだ。
  いったん俺の家に帰ってから話し合わないか?
  もちろん亜美もいっしょにな」

春香「プロデューサーさんの家に行くのは構いませんけど、
   なんで亜美ちゃんも?」

P「亜美も春香と再会できてうれしいんだってさ。
  みんなが会えるなんて久しぶりじゃないか。
  色々つもる話もあるし、人数なら多いほうが楽しいだろ?」

春香「……」

P「春香。頼むよ。亜美には病院で命を救ってもらったんだ」

春香「しょうがないですね。プロデューサーさんがそういうなら……」

しぶしぶといった感じだが納得してくれたらしい。
毎日が衝撃の連続で寿命が三十年くらい縮みそうだぜ。
俺に安息の日は訪れるのだろうか。

俺の家への帰り道だ。

春香は俺と腕を組みながらどうどうと歩いていた。
亜美は指をくわえながら見てて、後ろからついて来る。

本当は亜美と手をつないでハイキングする予定だったのだが。

ちなみに、この時間はバスも電車もないので
タクシーに乗って帰ろうとしたが、全員金を持ってなかったので
自宅まで強制ハイキングコースになってしまった。←おかしいだろ!!

ふざけんな。どんだけ距離が離れてると思ってんだ。

春香「夜風が気持ちいですね」

P「そうだね。春香は元気にしていたか?」

春香「しばらくは実家に帰っておとなしくしてましたよ。
   学校にもちゃんと行ってたし、765プロのことは
   どうでもよくなっていました」

奇遇だね。俺なんか仕事だけじゃなくて人生にも疲れて
放浪の旅に出たほどだぞ。今でも765のことはあんまり
考えたくない。社長もホモだし、ろくなもんじゃねえ。

春香「高木社長ってゲイだったんですか?」

P「そういう噂だよ。他人のアナルの開拓工事が
  生きがいらしい」

春香「……うわぁ」

全裸で微笑む社長を想像したのだろう。
ものすごく嫌そうな顔をしてる。

春香「人って見かけによりませんね」

P「まったくだよ。今度の就職先ではきちんと
  上司を選ばないとな」

春香「またプロデューサーをやるんですか?」

P「今のことろそのつもりだ。俺はまだプロデューサー業を
  極めてないからな。いつか俺のアイドルを日本一にしてみせる。
  もちろん春香もプロデュースしてあげるからな」

春香「ふふ。その時はよろしくお願いしますね」

P「おう。まかせろ。ところで今何時かな?」

春香「二時半くらいですね」

さりげなく時刻を訊いて唖然としちまった。
こんな夜遅い時間になんで外を歩いてんだ俺は。

また警察のお世話になるのはごめんだからな。

亜美「ふぇぇ。もう歩くの疲れたよぉ→……」

亜美氏はさすがにクタクタだ。こんな幼い少女が
深夜行軍に耐えられるはずがないもんな。
かわいそうに。おぶってやるか

春香「亜美をおんぶしてやるんですか?」ギロ

P「お……おうよ。俺と春香が夫婦だとしたら、
  亜美は子供役だな。なーんて……」

春香「夫婦と子供……ですか。悪くないですね……///」

誰か俺に猛獣取扱い検定でもくれないか?
受賞するだけの実力はあると思う。

亜美は俺の背中に乗ると、あっというまに寝ちまった。
背中越しに亜美の寝息を感じる。子供っていいよな。
癒されるぜ。特にこういう大人同士のいざこざのあとだとな。

P「さあ、もうすぐ着くぞ」

春香「私、プロデューサーさんの家に行くのって初めてです」

P「特に変わったものとかは置いてないぞ?」

春香「それでもうれしいです。
   できれば今日からでも同棲生活を送りたいんですから///」

P「そ、それは春香が高校を卒業してからでも遅くないよな?」

春香「そうですね。実家の両親とも真剣に話し合わないといけないし」

こういうところは固いんだから。以外にしっかりしてるんだな春香って。

ふぅ。ついに俺のアパートについたぞ。もう三時過ぎてるけどな。
時間なんてどうでもいい。夜勤の帰りだと思えばいいや。

ガチャ。

P「ただいま~。つっても誰もいないけどな」

ところが困ったことに↓の人がいたんだよ。俺のベッドにな。

星井さん「すぴーすぴー」

俺と春香は呆然とするほかなかった。

俺たちの愛の巣?になるはずの場所に、
なぜほかの女がいるのか理解できなかった。

P・春香「」

亜美「すーすー……」

美希「むにゃむにゃ……?」

何度見ても意味が分からない。亜美が寝てるのはいい。
だが星井さんは何やってんの?

もちろん家に招待したつもりもないし、なぜここにいるのか。
修羅場の原因を作るような真似はやめてくれないか。
体力的にも精神的のももう限界だよ。

美希「あ、ハニー」

目覚めやがった。そして俺に抱き着いてきた。
そういやこの人って昔は俺によく抱き着いてきた気がするな。
記憶がよみがえりつつあるぞ。美希っていっつもわがままだったよな。

P「お、おい美希。おまえ俺の家でなにしてるんだ!!
  つーか離れろ。春香が見てるだろ」

美希「ハニーが帰るのを待ってたの。でもいつになっても
   帰ってこないから疲れて寝ちゃったの」

春香「……」

春香氏がどう思ってるだろうか。キレてる可能性が高い。
また修羅場かよ。勘弁してくれ。

P「とにかく何時だと思ってんだ。もう家に帰りなさい」

美希「いやなのー」

春香「……美希。てめえ」

疲れたぞ。いいとこですまんが、しばらく休憩させろ

今春香さんがてめえとか言ってたぞ。
ただならぬ雰囲気だ。しかもその怒りは
美希に向いてるみたいだ。死んだな美希。

墓なら毎年お参りに行ってやるからな。

美希「は、春香……久しぶりなの……」

春香「そうだね。久しぶりだね」

美希「……睨むのをやめてほしいの……心臓が止まりそうなの」

春香「ふぅんそうなんだ。それは困ったね」

スペツナズに睨まれてんのに気絶しないだけでも
美希はたいしたもんだよ。ある意味大物だ。

俺なら全財産を差し出してでも命乞いするね。

春香「プロデューサーさんに質問です。
   美希と付き合ってますか?」

P「そのような事実は一切ございません。
  この美希は何の約束もなしに私の家に
  無断で侵入し、現在に至っております」

春香「次に美希に質問です。プロデューサーさんを
   ストーカーするのは楽しいですか?」

美希「た、楽しいもなにも……美希は将来ハニーの
   お嫁さんになるから当然なの……」

春香「……はぁ? ごめんね美希。よく聞こえなかった。
   もう一回言ってもらえるかな?」

美希「ひぃぃぃ……」

あの生意気な美希ですら完全に脅えちまってる。
真美に脅されたやよいの時よりもっとひどいぞ。
まじで殺されるんじゃねーの ←他人事。

これより俺の部屋は修羅の場と化す。
とりいそぎ俺がすることは一つ。

P「亜美。今日は疲れさせちゃってごめんな?
  ゆっくり寝ろよ?」

亜美「すーすー」

本日俺の命の恩人である亜美氏をベッドに寝かせてあげたのだ。
ちゃんと布団もかけたよ。風邪ひくといけないからね。

亜美「んー兄ちゃん……すーすー」

寝言で俺の名前を言ってる。
なんて無邪気な顔で寝てるんだ。
春香が修羅になってなければいい思い出になったろうに。

美希「ぐぬぬ……なんという殺気なの……」

春香「どれだけ話をしても平行線をたどるだけ。
   もう美希と分かり合うのは無理みたいだね」

あいつらの喧嘩はどうなるのか。
気にになるけど関わりたくないね。
やっぱり人間なんてわが身が可愛いもんだ。

俺は疲れたのでお茶でも飲みながら亜美を眺めていた。
いたずらで亜美の頬をつついてみる。

亜美「んー」

お、反応があったぞ。
もう一回やってみるか。

ツン

亜美「んーー?」

亜美はちょっと不愉快そうな顔をして
寝返りを打ったのだった。
それにしても柔らかい頬っぺただ。

亜美はまだまだ子供。双海姉妹の髪の長い方が
少しだけませてるだけなんだ。俺はむしろ亜美みたいな
性格の女の子のが癒されるよ。

春香「そうなんですか。じゃあ私もロリっぽく
   なったほうがいいですか?」

P「おう春香か。美希の気配が消えたようだが、
  もう始末したのかい?」

春香「五秒ですませました」

P「さすがはスペツナズの一員だ。暗殺は春香の専門かい?」

春香「はい」

P「もしかして星井美希さんは首から上が飛んでるとか?」

春香「そこまではしてませんが、拘束しておきました」

俺は後ろを振り返り、件の星井美希さんに注目した。

美希「~~~~!!」

星井さんは『助けて』って言いたかったに違いない。
彼女の涙目を見ればわかるよ。

口には何重にもガムテープが巻かれ、
手も足も縄できつく縛られて床に転がってる。
見るからに痛々しい姿だ。春香に逆らうからそうなるんだ。

美希は愚かだった。理由としては、それだけで十分じゃないか。

春香「プロデューサーさんは話が分かるようで助かります」

P「ああ。俺と春香が結ばれる運命なのはわかってたさ。
  好きだよ春香。美希の見てる前で始めようか?」

春香「いいですね。じゃあキスしてくれますか?」

俺は春香の顔をやさしくつかみ、こちらに引き寄せた。
春香は目を閉じていて、すべてを俺に任せてくれている。

星井さん「ん~~~ん~~~!!」

縛られてる人が発声練習らしきものをしてるが気にしない。

春香のお口の中を堪能させてもらう。しょっぱなから
ディープキスだ。フルスロットルだよ。飛ばしていこうぜ。

春香「んあぁ……しゅごおいい……」

俺の舌が自在に動き回り、春香の口腔を犯していく。

こっちのが慣れてるからひたすらリードしてやる。
いきなり舌を入れるのは抵抗があると思ったんだが、
意外とすんなり決まってる。

春香の胸を揉むのも忘れてないぞ。ブラの上から
力強く触ってやってる。相手も求めてるんだから
遠慮する必要ないじゃないか。

春香「あ……ん……」

痛いのか? それとも感じてるのか。
その喘ぎ声の正体を確かめたくなった。

美希さん「んん~~~~んぎ~~~~~!!」

発声練習中の美希が変な声を上げてる。
目が血走っており、あきらかに何かを主張してるようだ。

春香「うふふ。美希ぃ。目の前でプロデューサーさんを
   奪われるのはどんな気分?」

美希さん「んん~~~~~~~!!」

春香「あはははははは。ぶざまねえ。あんたは
   縛られてる姿がお似合いよ!! あはあははは!!」

魔界の女王みたいに笑う春香。
あるいは堕天使のようだ。
なぜか春香には黒のイメージがぴったりだ。

春香「プロデューサーさん。美希の見てる前で
   もっとキスしましょ?」

P「おーけー。美希にとっては最高の拷問となるわけだね。
  上等だ。だがその前にこうしよう」

俺たちは寝てる体勢だった美希を強引に起こし、
ベッドに寄りかかるようにした。つまりベッドを
背にして座ってる状態にしたのだ。

その方が俺たちを見やすいだろう?

そしてキスを再開する。

春香「ふぁああ……ぷろひゅさんのおくち……おいひぃです」

春香は意外とエッチな娘だったようだ。
俺とのキスがそんなにうれしいのか、
わざと大きな音を立てながら舌をからませてる。

いや、すべては美希に見せつけるためか。

美希「うぅ~~~~~~!!」

美希は泣きながら俺たちのことを見てる。
感動する映画で泣いてる女子中学生そのものだ。
キスの最中に余計なBGM流すなよ。雰囲気が台無しだ。

P「美希。悪いけどさっきから
  うるさいから静かにしてくれないか」

美希「んん~~~~!! んがああああ!!」

春香「うふふ。そんなに言いたいことがあるなら
   はっきり言えばいいじゃない。ガムテープを
   外してあげましょうか」

春香はゆっくりとガムテを外し、美希の口を解放してやった。

美希「うぅ……ひどいのぉ……どうして美希の前で
   ハニーとそんなことを……ぐすっ」

まじ泣きしてました。なんていうか思春期の女の子だね。

春香「ははははは!! なにその泣き顔!! 
   おかしすぎるよ!! あはははははははは!!」

魔女となってしまった春香さんはひたすら鬼畜街道を進んでる。
春香氏はもう戻れない場所まで達してるんだろうな。
かつての仲間をいじめるのがそんなに楽しいですか?

春香「美希ぃ? 私プロデューサーさんとキスしちゃったよ?
   ねえ今どんな気分なのか教えてよ? あはははははは!!」

美希「うぐっ……うえええんっ……くやしいのおおおおっ!!」

なぜだろう。美希がいじめられてる姿を見ると
ワインが飲みたくなってくる。そんな余裕はないけどな。

春香「プロデューサーさんのここ、大きくなってますよ?」

春香とたっぷりキスしたからな。美希の泣き顔もぐっときたよ。

春香「私がご奉仕してあげましょうか?」

P「ああ。ぜひ頼むよ。美希の見てる前でな」

俺が横目で美希を見ると、彼女は目を閉じて何も
見ないようにしていた。

春香「美希。目を開けなさい。
   言うとおりにしないと拷問するわよ?」

美希「ひぃ!!」

拷問という単語に凍りついた美希が急いで両目を開いた。

それにしても春香の恐ろしさは底がしれない。
俺も春香の言いなりみたいなもんだ。
おそらく誰もこいつには逆らえないだろうな。

春香「……んぐっ……んぐっ……すごく固いですねっ……」

それはもう情熱的なフェラだった。春香さんの顔が
エロすぎる。これでは見てるだけの美希はたまらないだろうな。

美希「……っ」

美希は俺のいきり立ったものをじーっと見てる。
そんなに見られたら興奮してしまうからやめてくれ。

春香「んぐっ……はむっ……おいひいれす……」

なんてやらしい手つきなんだ。俺のモノをしっかりと
つかんで離さないし、お口の奥までふくんでやがる。
ねちょねちょした春香の唾液がミックスしてさらにやばい。

美希「……お願い。もう許してなの」

美希が何か言ってるが、春香の手は止まらない。
俺のを口に含んだまま美希のことなんて見向きもしてなかった。

俺はというと、春香がエロすぎてもう我慢の限界だった。

P「……くっ……はるか……もうっ……」

春香「んぐんぐ……いいれすよぉ……だしひゃってくらさい……」

上目づかいでそんなことを言われてしまったので
いっきにイッてしまった。春香の口に大量の液体が流れ込む。

春香「……んん!! けほけほ……」

全部は飲みきれなかったようで、最後は咳き込んでいた。

ふむ。春香のテクニックには驚かされる。

春香「みきぃ。プロデューサーさんのデカマラおいしかったよ。
   うらやましい? 美希も食べたいでしょ?」

美希「ううう……」

美希の様子がおかしい。今までは春香にびびる一方だったのに、
今度は睨んでるぞ。どういう心境の変化だ?

春香「あれれ? 美希はどうしたのかな?」

美希「美希より先にハニーとやるなんて許さないの……」

春香「なにそれ。口応えのつもり?」

美希「春香なんて死ねばいいと思うな。ハニーは
   脅されてしかたなくやってるだけなの。春香はただの暴力女なの」

春香「へえ。おもしろいねそれ」

次の瞬間、春香の平手打ちが飛んだのだった。すごい音がしたぞ。

春香「愚図のくせに口答えしてんじゃないよ」

美希「ひぃい……」

巨大な悪に睨まれ、美希は委縮してしまってる。
いまさら後悔しても遅い。絶対者に逆らうからそうなるんだ。
春香に逆らうのは、イスラム教徒がアッラーを信じないようなもんだぞ。

春香「ちょうどいいわ。美希のことをもっといじめてあげる。
   あんたの髪ってきれいでいいわよねえ? どんな手入れしてんの?」

美希「うっ……触らないでなの……」

春香「うふふふ。そんなに震えてたら触りにくいじゃない。
   次はこの大きなおっぱいを揉んじゃおうかな?」

美希「……ん……だめなのぉ……そこはハニーのものなの……」

春香は無抵抗の美希の胸を好きなように揉みまくってる。
気持ちよさそうだな春香。美希は乙女心全開のセリフを言ってるがどうでもいい。

今さらだが俺はクズだ。美希のことは決して嫌いじゃないんだが、
命を懸けてまで助けようとは思わない。今は春香のいじめタイムが
始まってるようだから、俺は自由な時間を楽しみたいと思う。

俺の楽しみとは……。

亜美「むにゃ……すぴー……」

双海亜美ちゃん観察タイムである。
ちなみにこれは非常に貴重な時間である。

なぜなら亜美ちゃんと一緒に寝たりしなければ
発生しないイベントだからである。

亜美「んん~~」

また寝返りをうった。なんて寝相の悪い子なんだ。
俺はそっとふとんをかけ直してやるのだった。

深夜のほっとするひと時だった。

※Pの事情により、三人称視点へ変更

春香「美希のここ、すっごい濡れてるよ?
   私とプロデューサーさんのを見て興奮しちゃったのかな?」

美希「んん……いやあっ……触っちゃダメなのぉ……」

春香「もうイキたいんでしょ? 遠慮しないでイッちゃいなよ変態?」

春香は美希のパンツの中に手を突っ込んでます。
美希のやらしい愛液でぐちょぐちょになってる割れ目に
指を入れて責めてました。美希はもちろん縛られたままです。

美希は何度もハニーハニーと助けを呼んだのだが、
Pは返事すらよこしてくれません。

なぜでしょう?

P・亜美「すぴーすぴー」

時刻は朝の四時。もうすぐあたりが明るくなってくる時間です。
Pと亜美はソ連軍の残党と戦い、春香におびえ、ようやく
ここまでに帰ったのです。

二人とも体力の限界だった。それだけの理由です。
星井さんはこのあとも散々な目に合いましたが、
Pらには関係のないことです。

ともかくこれにて双海病院への大冒険は終了し、
第三章の目的は果たされたというわけです。

雪歩さんは残念ながら変わり果てた姿でしたが、
Pの愛の力(笑)がなんとかしてくれることでしょう。

                   第三章 完                
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まだ続く しばらく休憩させなさい  作者より

前作の続きは検討しておく。自分の書いた他の作品についてもあとでね。
誰かが勝手に紹介してくれても全然かまわない。こっちは書くので忙しい
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第四章   ~身辺整理 及び ヤンデレ対策~ 
    
  ①  ※丁寧な三人称視点


Pは自宅で目が覚めました。きょろきょろとあたりを
見まわし、目覚まし時計を手に取ります。
時刻を確認すると、まだ朝の七時でした。

仕事を辞めてから日中に起きることが多くなったPでしたので、
こんな早い時間に起きることは珍しかったので驚きました。

春香「おはようございます、プロデューサーさん」

エプロン姿の春香さんでした。Pが目を見張ったのは、
彼女が朝食の支度をしてたことです。

目玉焼きを焼いておりました。また味噌汁やごはんは
すでに盛り付けてあります。だらしない生活を送ってきた
Pにとってご馳走でした。

P「おはよう春香!! 朝ごはん作ってくれてたのか。
  悪いねえ。すんごくうれしいよ!!」

春香「うふふ。こんなことなんでもないですよ。むしろ当然です。
   だって私はプロデューサーさんの婚約者候補なんですから」

候補と言ったのは、彼女の両親の説得がすんでないからです。
しかしながら恋人ではなく婚約者候補という言い方には、
重い意味が含まれていることでしょう。

春香「冷めないうちにいただきますか?」

P「そうだね。あと亜美も起こしてあげるか?」

双海亜美ちゃんはまだベッドで夢の中でした。
幼い身体には昨夜の長距離行軍が答えたのでしょう。

        ※星井美希さんはとっくに自宅に帰ってます。

一方の春香さんはぴんぴんしており、朝食まで
作ってるのだから驚きです。スペツナズで訓練されたのは
伊達ではないのでしょう。

春香「亜美はまだ疲れてるから寝させてあげましょうよ」

まるで自分の子供を見るような優しげな視線をくれる春香さん。
昨日Pが冗談で言った親子設定がまだ生きてるのでしょう。

P「そうだな。とりあえず二人で食べてようか。
  こんなおいしそうな朝飯にありつけるなんて
  俺は幸せ者だよ。ありがとうな春香」

春香「面と向かって言われると照れますね///」

P「春香と結婚できる奴は本当に幸せ者だよ。
  あっ…俺が結婚するんだっけか…あはは///」

春香「うふふ///」

まさに夫婦ラブコメです。

亜美「……うぅーん。ここどこぉ?」

春香「亜美ちゃん。目が覚めたの?」

亜美「あ、はるるん。……そっか。昨夜は兄ちゃん家に
   泊まったんだっけ」

眠そうな目をこすりながら、亜美も身体を起こしました。

春香「もうご飯の支度はできてるから、顔洗ってきなさい」

亜美「は~~い」

まさに母と子の関係のようです。春香さんは昨夜の特殊部隊っぷりが
少し消えていて、聖母のように美しかったのです。Pはそんな
春香さんの様子をうれしく思いました。

昨夜の鬼のような春香さんはどこへ消えたのでしょうか。

P「春香の作ってくれたごはんはおいしいなぁ!!」

春香「もう。あなたったらそればっかり///」

Pは春香の料理を口に入れるたびに絶賛しておりました。
普段からカップラーメンばかり食べてるような男だったからです。

春香の料理は平均的な家庭料理の味で、
女子高生が作ったことを考えれば十分な腕前でした。

亜美「わーい。なんだか本当の家族みたいになっちゃったね」

春香「あら亜美ちゃんたら、お口にご飯粒がついてるわよ?」

亜美「わー。はるるん優しいね。なんか本当にお母さんみたい!!」

まさに理想的な家庭がそこにありました。のほほんとした食事を
終えた三人は、一緒にテレビを見てました。せまいアパートですので、
みんなで肩を寄せ合うような形でした。

テレビはどうでもいいニュースを何度も放送してました。
海外で起きてる紛争や一向に良くならない経済問題など、
この場にいる誰もが興味のない内容でした。

次第に芸能間係のニュースに変わり、
自分たちの話題が皆無なのが哀しくなりました。

春香「このたびのことは本当に残念でしたね」

P「なんでこんなことになっちまったんだろうな」

亜美「魔が悪かったんだよきっと。他の皆とも
   会えなくなっちゃうのかな……」

憂鬱な沈黙タイムが訪れてしまいました。
少し前までみんなで笑いあえたのに、どうしてこんな
ことになったのか。そう思わない日は一日もありませんでした。

P「俺も再就職しないとな……いい加減バカやってる場合じゃなし」

亜美「兄ちゃん、携帯はまだ返してもらってないの?」

P「そういえばそうだな。保険証や免許証もあのデコに
  奪われたままだ。このままじゃ社会生活が送れないぞ」

春香「いったい何があったんですか?」

春香が怪訝そうな顔で訊いてきたので、Pは伊織にされた
蛮行の限りをできるだけリアルに伝えました。

話を聞いていくうちに春香さんの表情が曇っていきます。
やがて彼女は伊織嬢に憎悪すら抱くようになりました。
スペツナズの顔です。

なにせ自分の将来の旦那を拉致、監禁した女のですから、
恨むのも当然というものでしょう。

春香「もしよろしければ、伊織ちゃんを拷問しましょうか?」

P「そこまではしなくていいよ」

エプロン姿の主婦っぽい春香が言ったのでPは冷や汗をかきました。

P「伊織だって話せばわかってくれる相手だよ。765崩壊以前は
  頭もよく回るしっかりものだったし。あいつだって人間だから
  自分の悪行を振り返って懺悔でもしてるんじゃないのかな?」

春香「そうだといいですけど」

亜美「いおりんって意外と極悪なところあるからね→。
   あんまり油断しない方がいいと思うよ?」

亜美の方が、竜宮小町というユニットで伊織のことを
近くで見てきました。その亜美がこういうのだから、伊織は
油断ならない相手と考えるのが妥当かもしれません。

テレビではニュースキャスターがハキハキと朗読してます。
Pは険しい顔をしながら話をつづけました。

P「しかし、生活に必要な物は返してもらわないと困る。
  俺はもう一度伊織に会わなくちゃならないんだ」

亜美「いおりんをどっかに呼び出したりするの?」

P「それがいいだろうな。場所は喫茶店とがいいかな」

春香「相手が何をしてくるか分かりません。もちろん
   私たちも一緒に行きますからね」

P「ああ。そうしてくれると心強いよ。正直俺だって
  監禁魔と再開するのは怖い。今だって手がふるえそうだ。
  でもあいつも昔は俺の担当アイドルだったから、
  最後まで信じてやりたいんだ」

今までのPにあった毒気が少しだけ抜けていました。
彼も色々な人生経験をつんで丸くなっということなのでしょうか。
それとも一時的な症状なのかもしれません。

いずれにせよPの現状は相当なものです。なにせ免許証や
保険証すら奪われてるのですから。それだけに伊織嬢の
Pへの思いの強さが分かるというもの。

伊織と会うのは死亡フラグ。亜美と春香は影でそう思っていました。

しかしPの意志は固いようなので彼を尊重することにしたのです。
春香さんは若いのに男性をたてることができるいい妻でした。
(厳密には妻ではありませんが)

春香(伊織のゲス女め。私の旦那に手を出しやがったら容赦しねえ)

以上の内容は、春香さんの清純さを信じたい人は読まなかったことに
したほうがいいでしょう。

P「おい春香? 難しい顔してどうした?」

春香「……なんでもないですよ?」

Pは春香から不思議な恐怖を感じていましたが、
気にしないことにしました。

P「今日はちょうど休日だ。伊織ももう起きてるだろうし、
  さっそく電話してみるか?」

春香「そうですね。私の携帯使いますか?」

P「おう。悪いな」

伊織の番号を押し、緊張しながらコール。

prrrrrrr

伊織はなかなか出てくれなかった。

P「ちくしょう。留守かな?」

春香「もしかしたら私の携帯だから無視されてるのかも。
   ためしに亜美のでかけてみたらどうでしょう?」

そんなことがあるのだろうかとPは考えたが、
ものはためしだと思い、亜美から携帯を借りました。

伊織「もしもし亜美? こんな朝っぱらから何の用よ?」

監禁魔はすぐ出てくれました。どうやら春香さんからの
連絡は無視していたようです。春香さんは影でキレていました。

P「亜美じゃなくて悪いな。俺なんだ」

伊織「……あんただったの!? なんで亜美の携帯から
   かけてくんのよ。びっくりしたじゃない!!」

P「驚かせてすまない。あいにくおまえに携帯を
  奪われてるんで困ってたところなんだ」

伊織「……え?」

P「え? じゃないよ。俺の携帯を返しなさい。
  あと保険証と免許証もだよ。このままじゃ
  転職活動ができないんだよ」

伊織「そうだったの……。それは悪かったわね」

P「ちょっとこれから会わないか? 
  待ち合わせ場所はどこにする?」

伊織「双海医院なんてどう?」

P「ふざけないでくれ。死んでも行きたくない」

伊織「じゃあ○○駅前のマックなんてどう?
   いっつも喫茶店じゃ飽きるじゃない」

P「ふむ。まあいいだろう」

そのように決まったので、一同はマックに行くことにしました。
約束の時間は十時ちょうど。Pらはその十五分前には着いていました。

春香「ちょっと早く着きすぎましたかね?」

P「早く来ることに越したことはないよ」

亜美「いおりんも几帳面だからきっと早めに来ると思うよ」

Pたちは適当にドリンクを注文して席について待ってました。
四人掛けの席です。春香さんは有事に備え、ハンドバックの中に
コンバットナイフや小型拳銃を忍ばせておきました。

もちろんPには内緒です。そんなことが知られれば
嫌われるからです。一方の亜美は能天気で、春香が
いれば大半の敵は撃破できると思って気楽に構えていました。

今日は日差しが強く、店内にもほどよい日光が降り注いでいました。

P「こうして座ってると俺たちって家族みたいだよな」

春香「プロデューサーさんったらお上手ですね///」

亜美「んもー。亜美は子供じゃないってば」

事実、亜美と春香さんの年齢はそんなに離れてません。
亜美を子供役にするのには少し無理がありましたが、
春香さんはスルーしてました。

伊織「待たせたわね。つーか来るの早いわねあんたら」

ついに伊織嬢が登場したのでした。
見た目はあいらからずのお嬢様らしい格好。
こうしてみた感じでは異常者にはとても見えませんでいた。

伊織「あら春香。あんたもいたの」

アーーーーーーーーー

どっこいしょーwwwwwどっこいしょwwww


                       ヘ(^o^)ヘ  あ、どっこいしょー!!どっこいしょ!!
                         |∧  
                     /  /

                 (^o^)/ あ、ソーランソーラン!
                /(  )    (ソーランソーラン!)
       (^o^) 三  / / >

 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三 
 ( /

 / く  ひやぁ~~~(ハイッハイッ!)~~~(ハイッハイッ!)ひっ(ハイッハイッ!)
       あぁあどっこいしょ!!あ、どっこいしょー!!どっこいしょ!!



どっこいしょーwwwwwwどっこいしょwww

そーらんwwwwwそぉーらんwwwwwwwwwwww

ソーランwwwwwwソーランwwww

どっこいしょーwwwwwwどっこいしょwwwww

そぉー!りゃんせ!

あ、どっこいしょー!!

S O I Y A

席に座った伊織は最初にそう言いました。
ちなみに席順は、Pと春香の向かい側に亜美と伊織です。

春香「いちゃおかしいかな?」

伊織「何殺気立ってんのよ。訊いてみただけじゃない」

P・亜美「……」

すでにやばそうな空気の片鱗が見え隠れしていたことを
Pと亜美は察していました。しかし、いつまでも脅えてる
わけにもいきません。Pは本題を切り出しました。

P「伊織。要件は電話で話した通りだ。
  早く例のものを返してくれ」

伊織「……はぁ」

伊織嬢がなぜか溜息をはいたのを、Pは少し不審に思いました。

どっこいしょーーwwwwwwwwwwwwwあどっこいしょーWWWWW

伊織「どっこいしょーwwwwwどっこいしょwwww」

P「.…......................」

伊織「ソーランwwwwwソーランwwwww」

どっこいしょーwwwwwどっこいしょwwww

P「ソーランwwwwwwwwwwそーらんWWWWWWWWW」

ソーランwwwwソーランwww

あああああぁああぁあぁあぁあれん

>>937
ここ埋まりそうだからまた明日にでも新しくたててくれ

>>951
どっこいしょーwwwwwwどっこいしょwwwww

そーらんせっwwwwwwそいやっwwwwwwwwwwwwwwwwそいやっwwwwwwwwwwww

ソーランwwwwwwソーランwwwwww

現実では誰からも必要とされず妄想に逃げ込む汚い生ゴミソーランソーラン

>>972
どっこいしょーwwwwwwwどっこいしょwwwwwwwe

いやぁぁぁぉぁぁぁあ

作者だが、私のレベルじゃスレ立ては不可能だ

>>976
どっこいしょーwwwwwwどっこいしょwwwww

P「ソーランをプロデュースするのは大変です」
wwwwwwWWWWWwwwwwwwwwWWWwWWソーランWWwwwwwwwwwww

ソーランwwwwソーランwwww

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