向日葵「電飾の灯は木間から雪を照らす・冬」(170)

あなたは私を“大切な人”と言ってくれた――――

私にとってもあなたは“大切な人”――――

なのに、こんなにも胸が苦しい――――


共に過ごしてきた日常と紡いできた季節があの枯葉のように散ってしまいそうで――――



でも、この浮わついた迷いを断ち切ることに決めた――――


だって、私はあなたを支えたいから、信じ続けたいから――――




そして、後悔はしたくないから――――

~前回のあらすじ~

文化祭の本番を迎えるが、ちょっとした予想外の出来事が起こる。
しかし、なんとか無事文化祭を成功におさめる。

その後、撫子の話により、櫻子の迷いが確信へと変り、自分の進路が明確に。
それを聞かされた向日葵は、櫻子を陰で応援したい気持ちと櫻子と離れたくない気持ちの板挟みになる。

そして、年に一度の大切な人と過ごす日、クリスマスが近付いていた。

来たか

規制祭りで人いないけど、がんばる!
だから、ゆっくり投下しますね

恒例だけど、また途中でお風呂入ります……

風呂入ってから立てたらいいのに

――十二月・某日

~教室~


櫻子「……つまりね、そういうことなんだ」

あかり「そっかぁ、ちょっと寂しくなるね……」

ちなつ「でも、櫻子ちゃんが決めたことだから、私達はそれを応援しないとね」


櫻子「ありがとう、あかりちゃん、ちなつちゃん。私、立派になって帰ってくるからね」

ちなつ「がんばってね、櫻子ちゃん」

あかり「たまに連絡してくれると、あかり嬉しいな」

櫻子「って言っても、ここ出るの三月だから、まだまだだよ」

あかり「えー、あと数ヶ月しかないよぉ」

向日葵「……」

ちなつ「……」

>>5
そうすりゃ良かった……

――そして


向日葵「……」

ちなつ「やっぱり迷ってる?」

向日葵「……」

ちなつ「櫻子ちゃんのこと」

向日葵「………………少しだけ」

ちなつ「さっきの様子だと、もう話は済んだみたいだったけど」

向日葵「ええ、おおよそは」

ちなつ「じゃあ、もういっそのことアタックすればいいじゃん!」

向日葵「わ、私は吉川さんじゃあるまいし、そんな大胆なことは……」

ちなつ「えー、こほん」

ちなつ「あーあー、これは独り言です」

向日葵「?」

ちなつ「私はやだなぁ……結衣先輩と暫く会えなくなるとしたら」

ちなつ「たぶん、胸が張り裂けそうなくらい痛くて苦しいと思う」

ちなつ「今できることを今しないと、後悔しちゃう」

ちなつ「やっぱりそんなのは悲しい」

ちなつ「だから……私なら私なりに悔いの残らない選択をする」

さるよけ

ちなつ「自分を信じれば、ぜぇったい大丈夫だよ」

向日葵「吉川さん……」


ちなつ「あ、後もう一つ」

ちなつ「誰かが動かないと始まらない。それが、恋の掟よ♪」


向日葵「うん……ありがとう」

ちなつ「えへっ、私ったらついつい喋りすぎちゃった」

ちなつ「じゃあ、ごらく部に行くね。ばいば~い」



向日葵「……」

向日葵(私はようやく……)

ついにシリーズ最終話と聞いて

しっえーん

何回も言ってるけど、最終話じゃないべww
あともう一個あるの……

――それから、数日後

――クリスマス・イヴ 前日


~大室家~


向日葵(今日、明日くらいは……いいですわよね)

ガラッ

向日葵「さくらこぉー、居ますー?」


ドタドタ


櫻子「おぉ、向日葵!? どしたの?」

向日葵「あ、あの、今日、少し空いてます?」

櫻子「まぁ、空いてるっちゃ空いてるけど、勉強は大丈夫なの?」

向日葵「たまには息抜きも必要ですわ」

櫻子「そっか! じゃあ、どこ行く?」

向日葵「そうですわねぇ、買い物とか……」

櫻子「おっ、何か買ってくれるの?」


向日葵「残念、ただ見るだけ」

櫻子「えー、ケチぃー」

向日葵「それでは、行きましょうか」

櫻子「あ、ついでだから、今日は向日葵ん家で夕飯食べるー」

向日葵「仕方ないですわね」

支援

~繁華街~


櫻子「おー、もうでかいクリスマスツリー出てたのか」

向日葵「わりと早い段階から出てましたけど」

櫻子「これ光ったら綺麗だよなぁ」

向日葵「ええ」

櫻子「雪降ったらもっと綺麗だよね」

向日葵「……」


向日葵(私も……ホワイトクリスマスで櫻子と一緒に過ごしたい)


櫻子「うぅ、それにしても、寒い……」

向日葵「寒いなんて言うと、余計に寒くなりますわ」

櫻子「だって、寒いものは寒いんだもん!」

向日葵「しょうがないですわね……どこかで暖をとりましょうか」

櫻子「ファミレスがいい!」

向日葵「ご飯とは言ってないけど」

櫻子「ええー向日葵のケチんぼ」

向日葵「この後、家に来て夕飯食べてるんでしょ?」

櫻子「そうだけど……」シュン

向日葵「……ま、まぁ、少し小腹も空いてきましたわね。ちょっとだけなら」

櫻子「やったー!」

向日葵「もう、まったく……」

櫻子「じゃあ、行くぞー!」

~ファミレス~


向日葵「軽めのものにしなさいな」

櫻子「大丈夫だって、私ハンバーグにするー」

向日葵「私はサイドメニューから……フライドポテトにしますわ」

櫻子「よーし、頼むよー」ポチ ピンポーン

――そして


向日葵「……」パクパク

櫻子「ふぉれにしふぇも、むょうはみゅうにむぉうしてゃの?」モグモグ

向日葵「食べながら話すのは行儀悪いですわ」

櫻子「……ごっくん。それにしても、今日は急にどうしたの?」

向日葵「そ、それは…………かった」ボソッ

櫻子「はい?」

向日葵「い、いい……一緒に……」

櫻子「ん?」

向日葵「やや、やっぱり何でもない!!」

支援

大丈夫かな?
一応さるよけ

櫻子「あそぅ。それより、ポテトいらないならくれし!」

向日葵「え、あっ、どうぞ」

櫻子「いただきー」ヒョイヒョイ

向日葵「あ、あの、そんなに食べて本当に大丈夫ですの?」

櫻子「大丈夫だって」モグモグ

向日葵「……」

向日葵「……櫻子」

櫻子「……んぁい?」モグモグ

向日葵「……ううん、なんでもない」

櫻子「さっきからなんだよ、気にな――!? んっっげほっ!!」

向日葵「!? ちょ、落ち着いて! み、水!!」

ふむ

――数分後


店員「ありがとうございました」



向日葵「食べながらお喋りするからですわ」

櫻子「反省してます……」

向日葵「さて、もう暗くなるし、そろそろ……」

櫻子「そうだねー、雪降りそうだし」

向日葵「……あっ、忘れてた」

櫻子「何か用事あった?」

向日葵「ついでに楓のクリスマスプレゼント買おうと思って」

櫻子「なるほど」

向日葵「遅くなるから、先に帰ってもらっても構わないけど?」

櫻子「んぅ………………そうする」

向日葵「それでは、また後で」

櫻子「はいよー」


向日葵(櫻子へのクリスマスプレゼントも買いましょう)

木間・・・木間・・・

キリがいいのでさっさと風呂入って来ます

はい

続き物かこれ 前作読みたいから検索ワードくれ

向日葵「居回りの若草は愛くるしくて・春」
向日葵「月高く昇る暗い夜にあなたと・夏」
向日葵「待ち暮らす日々から明日へ・秋」

ありがとうございます

1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
5. ファーランド サーガ1、2
6. MinDeaD BlooD
7. WAR OF GENESIS シヴァンシミター、クリムゾンクルセイド
SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって

――そして

~古谷家~


向日葵「ただいまー」

楓「お姉ちゃん、おかえりなさい」

向日葵「ただいま楓、すぐに夕飯を作りますわね」

楓「今日も櫻子お姉ちゃん来ないの?」

向日葵「いえ、今日は来ますわ」

楓「ほんと!?」

向日葵「でも、私より先に帰ってるはずだから、すぐに来るはずなんだけど……」


向日葵(もしかして、まだ帰ってきてない?)

向日葵(あの子は何をやってるのやら)

――それから数十分後


櫻子「おーい、来たぞー」

向日葵「どうしましたの? 私より先に帰ったはずなのに」

櫻子「あー、い、いや、そのー乗る電車間違えちゃって……」

向日葵「まったく、あなたはどこまでおっちょこちょいなの……」

向日葵「まぁ、いいですわ。今夕飯作ってる最中だから、その間に楓と遊んでてくれません?」

櫻子「はいはーい。楽しみにしてるよ」

支援

――そして


向日葵「はい、できましたわ」

櫻子「おおーうまそー」

楓「わぁ、おいしそうなの」

向日葵「肉じゃがとお味噌汁とお浸しですわ」


櫻子・楓「いただきます」

向日葵「はい、召し上がれ」

櫻子「……んー! うまい!!」

楓「また腕上げたね、お姉ちゃん」

向日葵「そ、それほどでもありませんわ」

楓「これなら、お姉ちゃんと結婚する人は幸せだね」

向日葵「!? ななな、何をいきなり……」

おお来てたか

櫻子「……」パクパク

楓「だって、毎日おいしい料理食べられるもんね」

向日葵「あ、あー、私、もうお腹いっぱいですわ」

向日葵「後は適当につまんでも構いませんから、え、えーと、その……お風呂沸かしてくる!」アセアセ

櫻子「あ、うん」

楓「……」パクパク

櫻子「ひ、向日葵どうしちゃったんだろーなー」

楓「ねぇねぇ、櫻子お姉ちゃん」パクパク

櫻子「んーどうした、楓」パクパク

楓「櫻子お姉ちゃんはお姉ちゃんのこと好き?」パクパク

櫻子「なっ……!」

楓「……」

支援

櫻子「そ、そりゃあ、嫌いじゃあないけど、すす好きっていうの、よくわかんないし……」

楓「……変なこと聞いちゃってごめんね」

櫻子「あ、いや、別にいいって」

楓「……ありがとう、櫻子お姉ちゃん。それと、ごちそうさま」

櫻子「おわっ、食べるの早いな……」

楓「あっ、冬休みの宿題残ってるから、先に戻るね」

櫻子「おう、がんばれよ」

楓「あと……もし良かったら、お姉ちゃんのこと幸せにしてあげてね?」タタッ

櫻子「」ドキッ

櫻子(はぁ、結婚……か)

櫻子(無理な話かもしれないけど……)


向日葵「あ、今風呂沸かし始めたから、お湯張ったら、先に入っても構いませんわ」

櫻子「うん、わかった」

――そしてそして


櫻子「何か久しぶりに向日葵ん家のお風呂入った気がするわ」

向日葵「ついこの間まで入ってたじゃない」

櫻子「はは、そだっけ? 楓はもう寝てるの?」

向日葵「ええ……で、今日は泊まりますの?」

櫻子「うん、そうするよ。また暫く来ないつもりだから、記念にね」

向日葵「そう……」

櫻子「ん? そういや、いつもの布団は?」

向日葵「あの……きょ、今日は、その、一緒に寝ません?」

あらあらあら

櫻子「い、一緒に?」

向日葵「今夜は冷え込むみたいだし、それに、暫くここに来ないんだから、記念に…………」

櫻子「あ、あー、うん、一緒に寝よう、そうしよう」

向日葵「……じゃ、じゃあ、どうぞ」

櫻子「お、お邪魔します」

櫻子(って、何で他人行儀なんだ、私は!)


向日葵「電気消しますわね」

櫻子「うん」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「ふふ、あったかい」

櫻子「うん」

向日葵「ねぇ、覚えてる? プチ旅行の時のこと」

櫻子「もちろん」

向日葵「あの時も、こうやって寝ましたわね」

すごい。今そんなこともあったなあ…って思った
連作なのは分かってるけど、改めて繋がってる感じがした

櫻子「そうだね」

向日葵「……何話したかは覚えてる?」

櫻子「…………誰かが側にいると安心できるね、だっけ?」

向日葵「ふふっ、櫻子にしては上出来ですわ」

櫻子「ばかにするなよ」

向日葵「……何で安心するか未だにわかりませんわ」

櫻子「それがわかったら、ノーベル賞だ」

向日葵「意味わかんない」

支援

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「……そ、そういえばさ、すす好きな人のことも聞い――――」

向日葵「……」

櫻子「向日葵……寝てる?」

向日葵「……」

櫻子「寝たふり?」

向日葵「……」

櫻子「…………牛」ボソッ

向日葵「……」

支援

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……」


櫻子「……ねぇ、向日葵……突然だけど、少し聞いてほしいことがあるんだ」


向日葵「……」

櫻子「向日葵はさ、将来何になるの?」

向日葵「……」

櫻子「私的には幼稚園の先生とかが似合ってるんじゃないかなぁ、って思う」

櫻子「ほら、迷子の女の子いたじゃん。あの時の向日葵、本当にお母さんみたいだった」

櫻子「だから、思ったんだ。子供と関わるお仕事に向いてるって」

櫻子「……まぁ、どうでもいいや」

向日葵「……」

何これ///

櫻子「…………こんな時にしか本音言えないのって、ずるいよね」


櫻子「でも、もうちょっと聞いてほしいなぁ」


向日葵「……」


櫻子「あのね、いつも意地張ってるけど、実は素直になれないだけなんだ……ごめんね」


櫻子「私ね、ほんとは向日葵のこと嫌いじゃないよ」


櫻子「ほんとはね………………ううん、やっぱり、何でもない」


櫻子「それじゃあ……おやすみ、向日葵」

甘い……

――翌日・クリスマス・イヴ


向日葵「すう……すう……」

櫻子「……んー」

櫻子「さむっ」

櫻子(あ、だいぶ雪積もってる……)

向日葵「……すう……すう」

櫻子「……」ジー

櫻子(まぁ、今日くらいいっか)ゴソゴソ

櫻子(……やっぱりあったかい)

櫻子「……」

支援
見てるよー

――そして


櫻子「……はっ」ガバッ

向日葵「……やっと起きましたのね」

櫻子「今何時?」

向日葵「十三時くらい」

櫻子「あーまじかー」

向日葵「お昼ご飯はそこにありますわ」

櫻子「おっ、さんきゅー」

向日葵「……あの、今日もどこか遊びにいきません?」

櫻子「あ、実は私も言おうと思ってたんだ」

向日葵「そ、そう。それじゃあ、どうします? また繁華街とか……」

櫻子「散歩したい」

向日葵「さ、散歩?」

櫻子「うん、ここらへんぐるっと歩くだけ」

向日葵「べ、別に構わないけど……」

櫻子「じゃあ、決定! あ、でも、これ食べ終わってからね」

向日葵「わかってますわ」

――そして


櫻子「雪すごいなぁ」

向日葵「滑らないように気を付けましょう」

櫻子「よーし、じゃあ、行くか!」

向日葵「どこかに行くわけでもないけど」

櫻子「まぁまぁ、そう言わず」

向日葵「そうですわね……」

櫻子「んじゃあ、まずは七森中あたりに行こう」

向日葵「ええ」

支援

寝た……?

誰もいない……

寝たのか…

誰かいますか……

寝落ちするところでした……
まぁ、誰か見てると信じて続けます

いるよん

――そしてそして


向日葵「着きましたわ」

櫻子「うんうん、いつ見ても普通の学校だ」

向日葵「……で?」

櫻子「次は小学校だー!」

向日葵「はぁ……」



――そしてそして


向日葵「……懐かしいですわね」

櫻子「いやぁ、やっぱり変わってないなぁ」」

向日葵「何を期待したの、あなたは……」

櫻子「最後は公園だー!」

超見てる

――さらにそして

~小さな公園~


櫻子「おーやっぱり人はいないか」

向日葵「さすがにね……」

櫻子「はっはっはー、ここは櫻子様が占領したぞ!」

向日葵「何言って……あれ、この場所」

櫻子「うん、一年の時に迷子になって、たまたま着いた公園」

向日葵「一時はどうなるかと……」

櫻子「くらえ!」シュッ

向日葵「え? ちょっ」ボシュ

櫻子「今のは160キロくらい出たんじゃない?」

向日葵「も、もう! お返しですわ!」パシュン

櫻子「そんなへなちょこ球当たんないよー」ヒョイッ

向日葵「下手な鉄砲も数打てば当たるの!」シュ シュパッ シュパン

櫻子「ちょっ、ぶふっ」ボフッ

向日葵「やりましたわ!」


櫻子「このーおりゃおりゃ!」スパンッ

向日葵「負けませんわ!」ヒュッ

支援

――数分後


向日葵「はぁ、はぁ……」

櫻子「つ、疲れた……」

向日葵「あ、あなたがムキになるから……」

櫻子「向日葵だって……大人げなかったよ……」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……くすっ」

櫻子「ははは」

向日葵「もう……今日はせっかくのクリスマス・イヴなのに」

向日葵「それに、イルミネーションで照らされたクリスマスツリー見たそうだったじゃない」

櫻子「あっ、忘れてた」

向日葵「もういいですわ……」

櫻子「でもさ、たまにはこういうクリスマスも悪くないんじゃない?」

向日葵「たまには、ね」


櫻子「……」ガサゴソ スッ

向日葵「?」

櫻子「メリークリスマス、向日葵」

向日葵「え…………指輪」

櫻子「まぁ、すごい安物だけどね」

向日葵「……」ガサゴソ スッ

櫻子「えっ!」

向日葵「メリークリスマス、櫻子」

櫻子「ゆ、指輪……」

向日葵「まさか被るとは思ってなかった……」

櫻子「うん……」

支援

向日葵「……この指輪、大切にしますわ」

櫻子「じゃあ、私はもっと大切にする」

向日葵「わ、私はもーっと大切にしますわ!」

櫻子「私なんか、もっともーっと大切にするんだからっ!」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「…………そろそろ帰る?」

櫻子「うん、そうだね」

向日葵「さて」


櫻子「…………ねぇ、向日葵」

向日葵「何?」





櫻子「…………今日も泊まる」

向日葵「はいはい」




向日葵にとっても、櫻子にとっても、大切な日になりました

――それから、月日は流れ三月


櫻子「向日葵、合格おめでとう!」

向日葵「ありがとう、櫻子」

櫻子「いやぁ、すごいよ。だって七森でしょ?」

向日葵「ふふ、櫻子が来なかったから、集中して勉強できたのかも」

櫻子「嬉しいような、悲しいような……」

向日葵「でも、そのおかげで私は第一志望に受かりましたわ」

櫻子「はは、向日葵が喜んでくれるなら、それでいいや」

ほっしゅ

向日葵「で、東京の高校は受かりましたの?」

櫻子「まぁ一応ね。夏休み中に向日葵が勉強教えてくれたし、私もそれなりに勉強してたから」

向日葵「そう、私も嬉しいですわ」

櫻子「とはいっても私立だけどね」

向日葵「赤座さんは?」

櫻子「確かちなつちゃんと同じじゃなかった?」

向日葵「ということは、二人共八森に受かったんですのね」

櫻子「みんな受かって良かった良かった」



向日葵(あとは卒業だけ……)

――それから数週間後


ちなつ「うぇぇん」

あかり「ちなつちゃん、卒業しちゃったよぉぉぉ」

ちなつ「寂しいよぉ……別れたくないよぉ……」

あかり「あかりもやだよお……ええぇぇん」

向日葵「ぐすっ、ほんとに卒業しちゃったんですわ……」

櫻子「ひ、向日葵泣いてんの……ぐしゅ」

向日葵「あ、あなただって目に涙浮かべて……」

櫻子「か、花粉症だし……ううぅ……」

向日葵「うぅぅ……」

櫻子「えぇぇぇん……」

ちなつ「ぐすっ……よぉし、みんなでファミレス行こっか……」

あかり「そうだね……ずびー」



この後、ファミレスで三年間の思い出を語り合いました

支援

――その帰り道


櫻子「楽しかったね」

向日葵「ですわね」

櫻子「…………明日」

向日葵「明日?」

櫻子「明日……ここを出ようかなって」

向日葵「そ、そう……」

櫻子「だから、見送りに来てほしい」

向日葵「……」

櫻子「だ、駄目?」

向日葵「……ううん、私もあなたを見送りたい」

櫻子「来てくれる?」

向日葵「ええ、もちろん」

櫻子「はぁ、良かった」

向日葵「……」

櫻子「……明日の朝……私が向日葵ん家に行くから」

向日葵「……待ってますわ」

櫻子「じゃあ、待っててね」

向日葵「ええ……また明日」

櫻子「また……明日」



向日葵(また明日……)

――翌日


向日葵(あまり眠れなかった……)

向日葵(櫻子に送る言葉も考えられなかったし……)

向日葵(本当に……今日……)

向日葵(どうせなら、外で待ちましょう……」

ガラッ


櫻子「!?」

向日葵「あ……」

櫻子「や、やぁ」

向日葵「待ってたのなら、入れば良かったのに……」

櫻子「は、入りづらかったから」

向日葵「そう……」

櫻子「じゃ、じゃあ、駅まで行こっか」

向日葵「ええ」

櫻子「あ、その前にちょっと寄り道していい?」

向日葵「?」

支援

――そして


向日葵「で、どこに寄りますの?」

櫻子「ほら、通学路の外れ道に桜並木あるじゃん」

向日葵「ありますわね」

櫻子「そろそろ咲く頃だから、一目見ようかな、って」


向日葵「……」

櫻子「あっ、それとさ、お別れするときは笑ってお別れようしよ!」

向日葵「ええ、その方が清々しいですわね」

櫻子「じゃあ、決まりっ! 湿っぽいのも禁止だからね?」

向日葵「約束ですわ」

青春だなぁ

櫻子「……まぁ、その内超天才の櫻子様になって帰ってくるからさ」

向日葵「あら、あなたは天才なんでしょ?」

櫻子「超になるんだよ、超に」

向日葵「ふふ、でも、私は今の櫻子の方がおバカで可愛らしいと思いますわ」

櫻子「は、はぁ? ななな何言ってんの? バ、バカじゃん!」

向日葵「変なこと言ってごめんなさいね」

櫻子「ふん、今日だけは許してやる」

心が痛くなりそうなんだけど……

もう泣きそう

向日葵「……でも、こういうやり取りも暫くできなくなると、なんだか物寂しくなりますわね」

櫻子「そっか、そうだよなー……ん?」

櫻子「おっ、やっぱり桜咲いてた!」

向日葵「ええ、とても綺麗……」

櫻子「思い返せば、昔は向日葵とここでよく遊んだっけ?」

向日葵「そうでしたわね、櫻子と……」

櫻子「はぁ、今日でこの場所ともお別れかなあ……」

向日葵「あなたが何処へ行こうとも、この桜はきっといつまでも変わらず待っててくれますわ」

櫻子「うん、そうだといいなー」

支援

うむ

向日葵「……」

櫻子「それじゃ、もう行こうかな?」

向日葵「もう……」

櫻子「こ、このまま話しててもキリないし……」

向日葵「そっか……」

櫻子「あー、こういう時なんて言うのかわからないや」

向日葵「……」

櫻子「……でも、最後に向日葵と会えて良かったよ」

向日葵「櫻子……」


櫻子「……っと、湿っぽい別れはしない、って約束したからね。そろそろ行くよ」


向日葵「……ええ」


櫻子「じゃあ、ね……」ニッ


切ないな

あああああああ

・・・・

心痛いよね……

向日葵「……あ」





櫻子「……」





向日葵「……いや」



櫻子「……」



向日葵「――――ッ」







向日葵「待って!!」ギュッ

ひま・・・

・・・・・・

さく・・・

夜中にこれはやばい

櫻子「……」ピタッ


向日葵「やっぱり、こんな別れ方は嫌!」


櫻子「向日葵?」


向日葵「そのまま振り向かないで……」


向日葵「今だけ……私のわがままを聞いてくれませんか?」


櫻子「……うん」


向日葵「きっとこんな形で終わってしまったら、私の心には後悔しか残らないと思うから」


向日葵「だから、私は自分の気持ちを余すことなく伝えます」


櫻子「…………うん」

やっと来たか…………

リアルに正座して待ってる

キマシ



向日葵「私は、初めて会った頃からずっと……ずっと」


向日葵「櫻子のことが大好きです」


向日葵「櫻子のバカなところ。櫻子の怒る顔。そして、櫻子の照れてる顔」


向日葵「そんな櫻子の一面、ぜんぶ、ぜーんぶ大好きです」


向日葵「あなたが何処に行こうとも、何年経とうとも、私の気持ちは決して色褪せることはありません」


向日葵「大袈裟なことかもしれないけれど、あなたに会えたことは偶然ではなく、必然だと思っています」


向日葵「あなたと共に過ごした日々は、私の生涯の中で最高にして最大の思い出……」




向日葵「そして、これが私の初恋です」


向日葵…

うん……うん……

初恋は実るよ、絶対

櫻子「向日葵……」


向日葵「ま、まだ……まだ、振り向かないで……」


櫻子「……」


向日葵「……」


櫻子「……」


向日葵「……」


櫻子「……そんなに強く抱かれたら痛いよ」


向日葵「……」


櫻子「もう、そっち向いてもいいよね?」


向日葵「……ええ……」パッ

ひま・・・

櫻子「……」

向日葵「……」


櫻子「そのままでいいから聞いて」


櫻子「えっとね、向日葵には失礼なことかもしれないけど」


向日葵「……構いません、どうせ実りはしない恋なのだから……」


櫻子「え、い、いや、違うんだけど」


向日葵「……えっ」


櫻子「さ、先に言わないでよ……その……ね?」

さく…

んっ

もう……ね

向日葵「…………?」


櫻子「だ、だから、えーと、あー……私も向日葵が好き、なんだ」


向日葵「……えっ?」



櫻子「ほんとはさ、言おうと思ったんだけど……タイミング逃しちゃって」

向日葵「櫻子……」

櫻子「ま、まさか、ここで告白されるなんてね、あはは……」

向日葵「……ば、ばか」

櫻子「ま、まぁ、何て言うか、そのー……私達両想いだった、みたい?」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……」

櫻子「な、な、何か話してよ、気まずくなっちゃうじゃん!」

向日葵「私は……」



向日葵「私は、とても幸せですわ」ニコッ


櫻子「えへへ、私もしあわせだよ」ニコッ

ドラマみたいやでぇ

その笑顔が・・・

うぅぅ

ええよぉぉ

笑顔で…

櫻子「じゃあ、そろそろ行かないと」

向日葵「うん……何かを送る代わりと言っては変かもしれないけれど」

向日葵「再会の願いを、あなたに」


向日葵「……目を、瞑って」


櫻子「……うん」


向日葵「……」

櫻子「……」


向日葵「これで――――」


櫻子「……ねぇ、もう一回」


向日葵「……まったく」


櫻子「……」

向日葵「……」

間がもうね…たまんない

あえてキス描写を書かない……だよね?

>>151
おまかせします

櫻子「えへへ、ありがとう」

向日葵「……」

櫻子「大丈夫だよ! また会いに来るからさ」

向日葵「……」

櫻子「あっ、そうだ」

櫻子「むむむむ……はいっ、今向日葵に呪いをかけた!」

向日葵「こんな時に何を……」

櫻子「向日葵と私、絶対に離れられない呪い」

向日葵「……ふふっ、呪われましたわ」クスッ

櫻子「そうそう、向日葵は笑ってる顔が一番似合ってるんだから」

向日葵「……ありがとう、櫻子」

向日葵「なら、お返しに私も呪いますわ」

櫻子「おっ」

向日葵「もう一度……あなたと会えたら……」

向日葵「私と共に、この桜並木を歩かないといけない……呪いですわ」

櫻子「うん、絶対に」


向日葵「絶対に……」


櫻子「向日葵」


向日葵「……」


櫻子「……それじゃあ」


向日葵「…………ええ……」

恋は呪いと一緒だって姉ちゃんが言ってたな

(´;ω;`)

櫻子「心配ないよ! 私達はお互い呪われたカップルだもん!」

向日葵「ふふっ、変なカップルですわね」

櫻子「…………もう行くね」

向日葵「ええ……さようなら」

櫻子「今度は、私からお別れに」


向日葵「……」

櫻子「……」


向日葵「……」

櫻子「や、やっぱり、上手くできないね」


向日葵「…………ありがとう、櫻子」

櫻子「うん、私からもありがとう」

大人になっていくのね


向日葵「また……この桜並木で再会しようね!」ニコッ


櫻子「うんっ! またね、向日葵!」ニコッ



向日葵「また……会えることを……」



“呪い”という名の“約束”を交わしたこの場所で――――


「きっとまた会える……いいえ、必ず会える……」


そう信じてあなたを待ち続けます――――


あなたのいないこの場所は、冷たい風のせいか、なんだか心の寂しさが際立ち――――


ついには、「あなたに見せたくない」と、強がっていた感情は途端に溢れ出してしまって――――


桜のどこか懐かしい匂いに誘われて、私はひとり泣いた――――

向日葵……

自分で言うのもアレだけど、切ない……

あと、もう一個で完結。要は後日談ね

ちなみに、完結する日は未定……3/31は忘れて……

最後につくづく嘘を吐く人間ですいません


向日葵・・・・


さあ、完結編はどうなるか

真面目に乙!!!!

光景が……

大層乙であった

乙…

あ、いつも忘れちゃう
読んでくれて本当にありがとう

超乙
最後ハッピーエンド待ってるよ

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