綾乃「どうしよう、そわそわが止まらないわ…!」(63)

あかり「わぁい、いいお天気」アッカリアッカリ

あかり「春のポカポカ陽気だよぉ」

あかり「うふふ、こんな日はお散歩に限るよねっ」

ソワソワソワソワ

あかり「ん?あれ?」

あかり「京子ちゃんの家の前に誰かいるよ…?」


綾乃「そわそわそわそわ」

綾乃「そ、そそそそそ…」

綾乃「そ、そわーっ!そわあああああっ!」


あかり「ひいっ!?」ビクゥ

あかり「杉浦先輩がものすごくそわそわしてる…」

綾乃「そわそわ…」

あかり「あ、あのー…?」ビクビク

綾乃「そわ…そわ…!」

あかり「す、杉浦先輩…?」

綾乃「そわっ!?」ギクゥ

あかり「な、何やってるんですか?」

綾乃「そ、そわそわあわわわあわわ」アワワ


あかり(な、何言ってるかわかんないよおおお)ヒイイ

綾乃「はあ…はあ…、あ、赤座さん…」

あかり「お、落ち着きましたか?」

綾乃「え、ええ、ごめんなさい、少し驚いてしまって」

あかり「あっ、いいんです別に!あの、それで杉浦先輩は…」

綾乃「何かしら?」

あかり「杉浦先輩はここで何を…?」

綾乃「…」

あかり「…せ、先輩?」

綾乃「散歩よ」キッパリ

あかり「お散歩ぉ!?」ガビーン

あかり「えっ、でも先輩さっきからずっと京子ちゃん家の前に…」

綾乃「」ギク

あかり「京子ちゃんに用事があるんじゃないんですか?」

綾乃「な、ななななないわよ」アセッ

あかり「そ、そうなんですか」

綾乃「そ、そうよ」

あかり「そういえば、先輩がずっと手に持ってるそれって…」

綾乃「はうっ」ドキーン

あかり「誰かへのプレゼント?ですか…?」


綾乃「あわああああああわわあわ」

綾乃「違うの!違うのよっ!こ、これは別に…!」

あかり「?」

綾乃「べべべ別に歳納京子への誕生日プレゼントってわけじゃないんだからっ!」

あかり「た、誕生日…?」

綾乃(しまった…!!)ハッ


あかり「……わぁっ!」パアッ

あかり「そういえば今日って京子ちゃんのお誕生日!」

綾乃「へ?なななな、なんの話かしら」シラー

あかり「ええっ、だから京子ちゃんのお誕生日…」

綾乃「た、たたたん、ぼ、ボンジョビ?」

あかり「急に難聴!?」

綾乃(いけない!このままだと赤座さんにバレてしまうわ!)

綾乃(私が歳納京子に誕生日プレゼント渡した、なんて…)

綾乃(そんな話が学校で広まったら恥ずかしくて死んじゃうわ…!)

綾乃(ど、どうしよう…)

綾乃(……)

綾乃(も、もしかして、もうばれちゃったかしら…)

綾乃(わ、私が歳納京子のことを好き、なんてあらぬ噂を立てられたりするかも…)

綾乃(まあ、あらぬ噂じゃなくて本当のことなんだけど)

綾乃(いやああああああ!って!何考えてるのよ私!)

綾乃(やっぱりここは、ごまかしてやり過ごすのが一番ね…)



あかり(ちゃんとお誕生日を覚えてるなんて、杉浦先輩って友達思いだなぁ)

綾乃「赤座さん!」

あかり「えっ、はい?」

綾乃「私は今日、散歩をしているだけです」デーン

あかり「え、ええっ?」



綾乃「別にこのプレゼントは歳納京子のために買ったわけじゃないし」

綾乃「ましてや1週間ずっと、何を買うか迷っていたりなんかしないし」

綾乃「それでなんとか選んで買ったはいいものの」

綾乃「結局家の前まで来たのに渡す勇気が出なくて困ってる、なんて」


綾乃「そんな恥ずかしいことになったりしてないんだからっ!!!!」


あかり(な、なんかものすごく具体的だよぉ!)ガーン

綾乃「それじゃあ赤座さん、私は散歩の続きに戻るから」

あかり「あっ、はい…?」

綾乃「赤座さんも気を付けてね、それじゃあ」スタスタ

あかり「……?」



綾乃「……」スタスタ

綾乃「……」スタスタ

綾乃「……」ピタッ

綾乃「これくらいでいいかしら…」チラッ


\アッカリーン/


綾乃「よーし、行ったみたいね」

綾乃「今度こそ、ちゃんと決めてみせるわ!」

綾乃「……」キョロキョロ

綾乃「…敵影なし」

綾乃「目標をセンターに入れてピンポン…」サッ

綾乃「目標をセンターに入れてピンポン…」サッ

綾乃「……ふう」

綾乃「イメージトレーニングは完璧ね」

綾乃「……じゃあ本番いくわよ」ゴクリ

綾乃「目標をセンターに入れて…」

綾乃「………」


綾乃「だめだ押せないイイイイイイイイ!!」ゴロンゴロン

綾乃「だあああああああ」ゴロンゴロン

綾乃「あと数センチ!数センチなのよ!!」

綾乃「指を数センチ伸ばすだけの簡単なお仕事なのにいいいい!!」

綾乃「どうして!どうしてそんなことができないのよっ!」

綾乃「はあ…はあ…」ゼェゼェ

綾乃「……わかったわ」

綾乃「気合いだわ、気合いがあれば大丈夫」

綾乃「気合いを溜めてハッピーシャワーを出すアニメだってあるじゃない!」

綾乃「よーしいくわよっ!」

綾乃「きあいだきあいだっ…」グヌヌヌ


結衣「あ、綾乃なにやってんの…?」

綾乃「」

結衣「なんかすごい独り言しゃべってたけど…」

綾乃「あわあわ」

結衣「あっ…、声かけないほうがよかった…?」

綾乃「あわあわ」

結衣「ごっ、ごめん!」パシッ

綾乃「あわあわ」

結衣「最初は不審者かと思ったけど、綾乃だってわかったらびっくりして…」

綾乃「……」

結衣「って綾乃…?」

綾乃「あーわあーわ♪」

結衣「ラジオスターの悲劇!?」ギョッ

結衣「あっ、その手に持ってるやつ…京子にあげるの?」

綾乃「へっ?ああっ!えっ、あの…これはっ」アワワ

結衣「綾乃からもらったら喜ぶと思うよ、京子」

綾乃「ええっ!?べべべ別にっ、歳納京子にあげるわけじゃ…」アワアワ

結衣「あれっ、ごめん違った…?」

綾乃「そそそそうねっ、あげるかあげないかで言ったら、あげるが正解よっ」

結衣「それ二択の必要あんのか」


綾乃「ふ、船見さんも歳納京子に…?」

結衣「いや、私はスーパーに行くところだったんだけど」

綾乃「……」ポクポクポク

綾乃「わ、私もそうだったのよっ」チーン

結衣「おい」

結衣「それじゃ私行くから、京子によろしく、綾乃」

綾乃「ちょ、ちょっと待って!」

結衣「?」

綾乃「ふ、船見さんはこれから会う予定ある…?と、歳納京子と…」

結衣「いや、ないよ」

綾乃「ええっ!」ガーン

結衣「あいつ最近漫画書いてて、ずっと引き込もってるんだよ」ハァ

綾乃「じゃ、じゃあやっぱりこの家の中にいるのね…」

結衣「うん、そう思うけど」

綾乃「……」ソワソワ

結衣「あ、綾乃?」



綾乃「そ、そわそわそわそわそわそわそわそわ」

結衣「綾乃ぉ!?」

結衣「綾乃!大丈夫か!?すごくそわそわしてるぞ!?」

綾乃「し、してないわ」ソワソワ

結衣「いや口に出てたから!」


綾乃「ね、ねえ、船見さんはプレゼントどうするの…?」

結衣「私?私はあげないかな…」

綾乃「ええっ!?」

結衣「あいつ私の家で好き勝手やるから、それでチャラかなって」

綾乃「ああ…」

結衣「それにあいつだって、よくわからん誕生日プレゼント渡してくるから…」

綾乃「そ、そう…」

綾乃(何をもらったのかしら…)


結衣(ボクシンググローブェ…)

綾乃「じゃあやっぱり私一人で渡すしかないのね…」

結衣「まあ、そうなるけど」

結衣「別に軽い気持ちで渡せばいいんじゃない?」

結衣「普段みたいにさ、クラスメートなんだし」ニコッ

綾乃「船見さん…」

綾乃「ありがとう、一人じゃ心細いけどがんばるわね」ガッツ

結衣「うん、じゃあ私スーパー行くから」

綾乃「そう、仕方ないわね、私一人じゃ心細いけど」

結衣「……あ、綾乃さん」

綾乃「?」

結衣「手を離してくれないと動けないんだけど」

綾乃「」ガッチリ

綾乃「はあ…結局船見さん行っちゃったわ」

綾乃「そもそもこんなところを見つかってしまうなんて迂闊だったわね」

綾乃「周囲の確認を強化しなきゃダメね」

綾乃「……」キョロキョロ

綾乃「誰もいない…」

綾乃「とみせかけて大室さんあたりが…!」バッ

シーン

綾乃「いないわね…」

綾乃「赤座さんがまた戻ってきたり…!」バッ

綾乃「いない…」ワオ


綾乃(どどどどうしよう…)

綾乃(このままだとチャイム鳴らすしかないじゃないのよぉ!!!)

綾乃「よ、よーし…、心を決めたわ…!」

綾乃「せーの、でいくわよ」

綾乃「……」ググググ

綾乃「……」グググググ


綾乃「……ふ、ふう」ブハァ

綾乃(別にチャイムを鳴らす勇気が出ないわけじゃないのよ)

綾乃(そう、これはタイミングを見計らっているだけ)

綾乃(物事には、それにふさわしい時というものがあるのよ)

綾乃(だからあと3分)

綾乃(うーん…やっぱりあと5分くらい心の準備をしようかしら)


綾乃「気合いだ気合いだ気合いだ」

<5分後>

綾乃「5分経ったわ!!!!!!!!!!!!」

綾乃「十分に気合いを溜めたし、もう怖いものなんてないわ!!!!!!!」

綾乃「気合いが入りすぎてエクスクラメーションマークがとめどないわね!!!!!」

綾乃「しゃあああ!!!!!!行くわよおおおお!!!!」

綾乃「待ってなさい!!!歳納京子!!!!!!!!!」

綾乃「しゃああああらああああああっ!」カチッ

ピンッポーン



綾乃「…」ドキドキ

綾乃「…」

綾乃「…?」

シーン…

綾乃「いないの!?」

綾乃「いやいやいやいや」

綾乃「せっかく振り絞った私の勇気が無駄になるなんて」

綾乃「まさかね、現実はそこまで非情じゃないわよねっ?」カチッカチッ

ピンポーン ピンポーン

綾乃「…」ドキドキ

綾乃「…」

綾乃「」カチカチカチカチ

ピポーンピポッピポッ ピポピポピポピポーン


綾乃「ぬうあああああああ!!」

<七森町 スーパー>

綾乃「正直もう無理っす」

結衣「え、なに…?」

綾乃「ピンポン押すくらい楽勝」

綾乃「そう考えていた時期が、私にもありました」

結衣「わ、渡せなかったのか…?」

綾乃「…っ!」プルプル

結衣「あ、綾乃…?」



綾乃「のおおおおおおおおおっ!」グワアアア

結衣「!?」

綾乃「イナカタ!イナカッタヨオオオ!」

結衣(なんで片言…)

結衣「い、いなかったのか…、それは残念、ははは…」

綾乃「ドドッドド ドウスレバ イイネ」

結衣「落ち着け、それと口調もどして」



綾乃「まったく歳納京子ったら…」

結衣「ま、まあいつものことだし…」

綾乃「そ、そうね、でも次会ったらただじゃおかないんだから!」

綾乃「歳納京子のくせに私を困らせるなんてっ、これはアレしかないわ!」

結衣「!」

結衣(く、来るかな、罰金バッキンガム…!)ワクワク

綾乃「銃殺刑よっ!」

結衣「極刑!?」

結衣「まあすぐ戻ってくるだろうし、ちょっと時間つぶししようか」

綾乃「そ、そうねっ」

結衣「……」

綾乃「……」

結衣(とは言ったものの)

結衣(この沈黙は気まずい…)チラ

綾乃「……」

結衣(綾乃、普段はあんなにしっかりしてるのに)

結衣(こんな時だけ緊張するなんて、なんか面白いな)



綾乃(『モスクワでモス食うわ』…、うーん、これはお蔵入りね)

千歳「あれー?綾乃ちゃんと船見さんやーん」

結衣「!」

綾乃「ち、千歳!」

千歳「もしかして二人でお買いもの?やーん、邪魔してごめんなー」

綾乃「千歳ぇー!」ダキッ

千歳「きゃっ、え、なにごと!?」ドキ

結衣「実は、こうこうこういうわけで…」シカジカ

・・・・・

結衣「…というわけなんだ、えっと…こんな説明で大丈夫?」

千歳「なるほどなー、つまり綾乃ちゃんは」

千歳「歳納さんを待ちきれんくなって船見さんを襲ったってことやな!」

結衣「うん、もう一回話聞いてくれ」

千歳「うーん、そんなら歳納さん帰ってくるまでウチに居たらええよ」

綾乃「え、いいのかしら…」

千歳「別にかまへんでー」

千歳「それに、綾乃ちゃんの勝負下着がどんなもんか見たいしー」ウフフ

綾乃「ば、ばばばばばバカじゃないのっ!」

綾乃「べっ、べつに…」



綾乃「別に上下ピンクで統一なんてしてないんだからっ!」

千歳「あははー」


結衣(ピンクか、やるな綾乃…)ムムム

結衣「じゃ、私そろそろ帰るから」

千歳「気いつけやー」

綾乃「あ、ありがとう…船見さん…」

綾乃「あっ、あとでお礼するから!」

結衣「うん、がんばってね綾乃」

結衣「ちゃんと渡さなかったら罰金バッキンガムだぞ」

綾乃「ぶ、ぶふっ!」プルプル

結衣「自分のギャグなのに!?」



千歳「ええなあ…」ダバー

おばちゃん「お嬢ちゃん!鼻血!鼻血!」

<千歳の部屋>

千歳「ほら綾乃ちゃん、くつろいでええよ」

綾乃「うん、ありがとう」

千歳「あ、そういえば綾乃ちゃん」

綾乃「?」

千歳「ずっと聞きたかったんやけど、そのプレゼント何買ったん?」

綾乃「!」ビク

綾乃「え、えーとそれは…」

千歳「もしかして手料理?うーんいやいや、手編みのセーターかなあー」

綾乃「そ、そんな手の込んだものじゃないわよ…」

千歳「も、もしかして綾乃ちゃんの純潔…」

綾乃「どわっはあああああああああああ!!」ガッターン

千歳「じょ、冗談や綾乃ちゃん!暴れんとって!!」

綾乃「も、もう千歳ったら…心臓に悪いわ」

千歳「ごめんなー…、あっそうやー!」

綾乃「?」

千歳「ええもんがあるねんー」ガサゴソ

千歳「これや!これに綾乃ちゃんの想いを書くとええよ!」

綾乃「こ、これは!」

綾乃「……」

綾乃「えっと、どこにハンコを押せばいいのかしら…」ウーン



千歳「何と勘違いしたのか知らんけど、それただのバースデーカードやで…」

綾乃「よ、よーし、じゃあ使わせてもらうわ」ウデマクリ

千歳「どうぞどうぞー」

綾乃「よーし書くわよー」フン

千歳「うふふ」

綾乃「ほ、本当に書くわよっ…!」

千歳「ほかにもたくさんあるから、間違っても大丈夫やで」

綾乃「……」

千歳「……」

綾乃「……」プルプル

千歳「あ、綾乃ちゃん?」



綾乃「書けないイイイイイイイ!!!」ゴロンゴロン

千歳「綾乃ちゃん!!」

千歳「と、とりあえず落ちつこ?な?」

綾乃「え、ええ」ハァハァ

千歳「深呼吸やで、綾乃ちゃん」

綾乃「すー、はー、すー、はー」

千歳「ほんで、あとは自分の正直な気持ちを文字にするだけや」

綾乃「しょ、正直な気持ち…!」

綾乃「よ、よーし!書くわよー!」ガッツ

千歳「頑張ってな綾乃ちゃん!」

綾乃「……」

綾乃「……らーらーらー」

綾乃「ららーらーららーららーららーらー」



綾乃「言葉にできないイイイイイイイ!!!」ゴロンゴロン

千歳「綾乃ちゃん!!」

千歳「うーん困ったなあ…」

千歳「あ、そうや!漫画とかからヒントを得ればええんやないかな」ポン

綾乃「ええっ?」

千歳「だってプレゼントを渡すシチュエーション、いっぱいあるやろ?」

綾乃「そ、そうね!それを参考にすれば書けるかも!」

・・・・・・

綾乃「よーし…」

綾乃「最初は『誕生日おめでとう』っと…」カキカキ

千歳「おおー!」

綾乃「で、『頭がフットーしそうだよぉ』」カキカキ

千歳「…?」

綾乃「『そのキレイな顔を』」



綾乃「『フッ飛ばしてやる!!!』」

千歳「おかしいで!!」

綾乃「も、もうっ!こんなの時間かけるだけ無駄よっ!」

綾乃「どうせ歳納京子のことだもの!」

綾乃「手紙なんて読まずに食べちゃうに決まってるわっ!」

千歳「そ、それはないと思うけど…」

綾乃「とにかく!もう適当に書いちゃうから!」


綾乃「……」カキカキ

綾乃「……」ウーン

綾乃「……」ケシケシ

綾乃「……」カキカキ


綾乃「ま、まあこんなもんでいいかしら」

千歳「どれどれ……ぶ、ぶはっ!」ブシュウウウ

綾乃「ちょ、ちょっと千歳!!鼻血!」

<1時間後>

千歳「ほんなら、気いつけてな綾乃ちゃん」

千歳「そろそろ歳納さんも帰って来とる頃やと思うでー」

綾乃「ええ、いろいろ助かったわ」

千歳「ええってええって」

綾乃「それじゃあ、また学校で会いましょう」

千歳「ほななー」フリフリ

バタム

千歳「さて、そろそろウチらもやらなあかんなあ…」

千鶴「姉さん、まさかアレを…?」

千歳「そうや、新学期に向けて、これからは毎日レバーやで!!」

千鶴「はい、姉さん!」

<京子宅前>

綾乃「またここへ戻ってきてしまったわ…」

綾乃「……」キョロキョロ

綾乃「周囲確認良し」

綾乃「プレゼントよし、カードよし」

綾乃「……」ドキドキ

綾乃「ソロモンよ!私は帰ってきたああああ!!」ポチ


ピンッポーン


『はーい』


ガチャリ


・・・・・

京子「ふいー、まさか隣町まで行くハメになるとは」テクテク

京子「まあ初回限定版が手に入ったしいいか」テクテク

京子「よっし帰ったらまずシャワー浴びて」

京子「それからじっくり楽しむとするか…ってあれ?」

京子「私んちの前に誰かいる…?」

京子「あれは…馬?」ギョッ

京子「いや違う、綾乃のポニーテールか」

京子「おーい綾乃ぉー!」ブンブン


綾乃「ん?今何か聞こえた…?」

京子「あっやのー!!」ダダダダ

綾乃「ええっ!!」ギョッ



綾乃「と、とととと★я※Д≧@*%ぉ!?」

京子「何やってんのー?」

綾乃「あ、あああアンタこそ、どこ行ってたのよぉー!!」

京子「え、『うにのぼうけん』97巻買いに行ってた」

綾乃「ま、漫画…?」

京子「うん、ってかなんで綾乃は私が出かけてたこと知ってんの?」

綾乃「あうっ」ギク

綾乃「べ、べべべべ別に!勘よっ!」アワアワ

京子「ふーん」

京子「で、綾乃は私の家の前で何やってたのー?」

綾乃「あ、あわわわわ」

京子「馬のマネ?」

綾乃「違うわよっ!!」

綾乃「アンタがちゃんと春休みの課題やってるか確認しに来たのよっ!!」

京子「え、わざわざそれだけのために来たの?」

綾乃「わ、私は生徒会副会長だものっ!」

綾乃「宿題の進行具合をチェックするのも立派な仕事よ!」

京子「そっかー、大変だね」

綾乃「それで、どうなの?ちゃんと全部終わりそう?」

京子「おうよ、ばっちりばっちり!」エヘン

綾乃「ホントかしら…」


京子「本当だって!あまりにも進みすぎて宿題がどっか遠くに行っちゃったし」

綾乃「進むの意味が違うわ」

綾乃「まったく!ちゃんとやりなさいよっ!それじゃあねっ」

京子「え、ほんとにそれだけ…?」

綾乃「!」ギク

京子「うん、まあわかったよ、ありがとね綾乃」

綾乃「あ、あっ、ちょっと待って…!」

京子「?」

綾乃「あ、あのっ!おたんじょ、ぼ、ぼぼ、ぼんじょび…」

京子「Bon Jovi?」

綾乃「じゃなくてっ!おた、ああ、あ、アンチョビ…でもなくてっ!」

綾乃「~~っ!」カッ

綾乃「誕生日おめでとっ、それだけよっ!じゃあね!」ダッ

タタタタタタッ


京子(……)

京子(あ、今日私誕生日だったか)

京子「ただいマンモスー」

京子母「京子、さっきお友達が誕生日プレゼント持ってきてくれたわよ」

京子「おお?」

京子母「アンタにって、はいこれ」スッ

京子「お、おおお」


京子「」ワクワク

京子「」シュルリ

京子「」ガサガサ

京子「!!!」ガサッ

京子「おおおっ…」

ピラッ

京子(あ、なんか紙も入ってる)

―――――――――――――

歳納京子へ


宿題はちゃんと終わったかしら?

生徒会副会長としては、宿題を提出しない生徒は放っておけません。

ちゃんとやること!

それと、これはいつも仲良くしてくれてるお礼です。

別に他の意味とかは全然ないので変な勘違いしないように!

それじゃあ新学期にまた会いましょう。

遅刻は厳禁よ!



あっ、急に思い出したわ!今日はあなたの誕生日だったわね!

急に思い出したわ―!!

お、おめでとう

               綾乃
―――――――――――――――――

京子(……)

京子(……)

京子(……ん?)

京子(なんか黒いシミが点々とついてるけどなんだこれ)

京子(え、もしかして血…?)

京子(な、なんで血?呪い?呪いなのか?)

京子(……)

京子(あ、千歳の鼻血か)

<新学期>

綾乃「さあ!我々生徒会は始業式の準備よ!」ソワソワ

綾乃「では前に指示した通りにそれぞれ持ち場につくこと!」ソワソワ

向日葵「わかりましたわ」

櫻子「らじゃー」

綾乃「じゃ、じゃあ私は遅刻する生徒がいないか見張りに行こうかしらっ!」ソワソワ

綾乃「ほ、ほらっ!行くわよ千歳!」

千歳「いやん、強引な綾乃ちゃんも素敵やわー」

ダダダダダダダ

向日葵「櫻子、なんか今日の杉浦先輩、そわそわしてません?」

櫻子「うん、ブームなんじゃない?杉浦先輩の中で」

向日葵「違うと思いますわ」

<校門>

綾乃「始業式はじまりまーす、急いでくださーい」

千歳「体育館集合やでー」


綾乃「ふうっ」

千歳「遅いなあー歳納さん」

綾乃「なっ、別にアイツを待ってるわけじゃ…」

千歳「うふふーホンマにー?」

綾乃「ほ、本当よっ!別に歳納京子のことなんてっ…」

綾乃「!!」ピクン

オーイ アヤノー チトセー

千歳「あっ、ほら来たで綾乃ちゃ」

綾乃「歳納京子ぉー!!!」

千歳「な、なんて反応の速さや!」

京子「ギリギリセーフだ!」

綾乃「何言ってんのよっ!教室にカバン置きに行く時間も考えたらアウトよ!」

結衣「ご、ごめん綾乃!こいつがなかなか出てこなくて…」

京子「だって髪のセット終わんなかったし」ブー

千歳「あら?歳納さん…」ハッ

京子「ん?」

千歳「やっぱり!カチューシャ新しくしたん?」

綾乃「!!」

京子「そうだよー、もらったんだけどね」

千歳「あらー、誰にー?」

京子「……」チラ

綾乃「うっ」ドキ


京子「馬に」

千歳「う、馬!?」

綾乃「む、無駄話はここまでよっ!急ぎなさいっ!」

京子「ほーい」

綾乃「……それと」

綾乃「に、似合ってるわよ…」

京子「……」

京子「ふふーん」ニマッ

綾乃「うっ」ドキ


綾乃「あっ、歳納京子あなたそういえば宿題は!?」

京子「」ギク

京子「さて始業式だ」

綾乃「ちょっと!今の間は何よ!」


綾乃「待ちなさい!歳納京子ぉー!!」

おっわりーん

支援感謝

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom