橘純一「もうダメだ」(320)

純一「僕はもう我慢ができない……」

純一「これから先で自分を抑えきる事なんてできないよ……」

純一「………っ」ぐぐっ…

純一「やるっきゃ無いんだっ! 僕はなせる男だと、必ず成功できる紳士なんだと信じてっ!」

純一「……僕の知り合いである、全員の女の子の…」

純一「───耳たぶを、あまがんでやるってね!フゥーッ!」

純一「そうと決まってしまえば話は早い……出会った人から片っ端に耳たぶを甘かんでいってやろう……」

純一(ぐへへ、今の僕は誰も止めることなんてできやしないだろう!
   本気になったこの僕を、果たして誰が止めや出来るだろうかっ!)

純一「さて、誰かいないかなー?」きょろきょろ…

純一「───ふむ、いないね。学校の廊下だったら一人ぐらいは知り合いがいるもんだと思ったんだけど……」

純一「あっ!」ぴた!

「………」すたすた…

純一「…………いるじゃないかぁ、ふふ! なんともまぁ、耳たぶが柔らかそうな女の子がぁ…」ジュルル…

純一「んっふふ! さっーて! いきまっしょい!」しゅたっ!

~~~~

純一「おーい! 梨穂子~!」たったった

梨穂子「ん~? あ、純一ぃ。おっはー」

純一「おっはー、こんなところでなにしてるんだ? 北校舎に部室も教室もないだろうに」

梨穂子「ちょっと用事でね~。そしたら純一の方こそ、こんなところでなにしてるの?」

純一「僕は考え事さ。梨穂子みたいにお花畑な奴にはわからないかもしれないけどね」

梨穂子「……んーっと、えっと………それってどういう意味?」

純一「そんなところがさ!」

純一(よし、やっぱり梨穂子は感づいてないな! 明らかな僕の邪な視線に全く気づいていない…くくっ!
   僕はこんなにも梨穂子の耳たぶをハイエナのごとく狙っているというのにねぇ…っ)

梨穂子「どうして笑ってるの~?」

純一「いや、なんでもないよ! それよりも梨穂子……あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

梨穂子「うんっ、なになに~?」

純一「耳たぶ噛んでもいい?」

梨穂子「……え?」

純一「…………」きりっ

梨穂子「……え、えええっ…!? ど、どうしたの急に~…っ?」

純一「梨穂子の耳たぶ、はむはむしたいんだ」

梨穂子「どうしてっ!? なんでそんなっ……ええっ!?」あたふた…

純一「だって……前々から思ってたんだ。梨穂子の耳たぶってさ、なんだか咥えたら美味しそうだなって」

梨穂子「美味しそうって……いやいや、純一!? 私の耳たぶはお菓子なんかじゃないよう…!?」

純一「嘘だ! こんなにもぷるぷるしてて、とっても柔らかそうなのにっ!」

梨穂子「だれだってそうだよぉ! 私の耳たぶだけじゃないよっ…みんなみんなおんなじだよっ」

純一「じゃあ僕の耳たぶ触ってみる!? 梨穂子みたいに全然っ柔らかくないからさ!」

梨穂子「え、う、うん……」

梨穂子「………」さわさわ…

純一「どう?」

梨穂子「……えっと、その。私よりは柔らかくない……かな?」

純一「だろっ!?」

梨穂子「で、でもっ…そんなこと言われても、耳たぶを噛ませろなんて……」もじもじ…

純一「……僕に噛まれるのは、イヤか梨穂子?」

梨穂子「ふえっ!? あ、ああのそのっ……嫌ってそんなことっ…ないわけじゃなくて、あの……言えないよそんなことぉ~!!」

純一(駄目なら断ればいいのに……本当に梨穂子は可愛いなぁ。まぁ、そんなところを漬け込むんだけどね!)

梨穂子「…うっ、ううぅ~…っ」

純一「大丈夫だよ! これは決してやましい気持ちでやってるんじゃないんだ!」

梨穂子「……そおなの? え、えっちな感じじゃないの…?」ちらっ…

純一「まさか! 僕はどのようなことがあっても梨穂子にとっては紳士な男で在り続けるよ!」

梨穂子「……ほんとに…?」

純一「本当に本当! 僕が梨穂子に嘘をついたことあったか!?」

梨穂子「……いっぱいある気がするけど…?」

純一「っ……じゃ、じゃあ今日は僕は嘘をつかないー! 本当だよー! 僕は嘘をつかない良い人になるー!」

梨穂子「で、でもだよ? 耳たぶかませるなんて、ちょっと幼馴染だからって~……」もじもじ…

純一「幼馴染だからだよ、梨穂子……」すっ…

梨穂子「えっ! じゅ、純一……なにするの…っ?」

純一「……梨穂子の髪、とっても柔らかいな」さらり…

梨穂子「く、くすぐったいよ……んっ」ぴくん

純一「当たり前だよ、他人に髪を触られたら誰だってくすぐったいさ……ほら、見えたよ梨穂子の耳たぶが」

梨穂子「っ……は、恥ずかしいからあんまり見ないで~…っ」

純一「どうして? あはは、耳たぶじゃないか……恥ずかしがることはないだろ」

梨穂子「な、なんだか恥ずかしいんだようっ……」ぴくっ……ぴくぴく

純一「…………」キュッ

梨穂子「っひぃいっ!?」びくん

純一「おや、梨穂子……耳たぶをつまんだけだよ? そこまで強くつまんでもないのに、どうかしたのかな?」

梨穂子「あ、あのその、ちょっとびっくりしちゃって…っ…ううっ…」

純一「そっか、ごめん梨穂子……あのさ、これって僕は梨穂子だからこうするんだよ…?」

梨穂子「えっ……わ、わたしだから…?」

純一「そうだよ、僕は誰かれ構わず耳たぶを噛ませろ、なんて言わないさ……僕は梨穂子のだから、幼馴染だから……」

純一「……こうやって、甘噛みたいんだ」すっ…

梨穂子「えっ!? だっ…じゅ、純一っ…だ、だめ……っ」ぎゅっ…

かぷっ

梨穂子「~~~~~っ……!!?」びくんっ…

純一「はむはむ」

梨穂子「ひぁ、ひぁうっ!? だ、だめだよ純一そんなっ、噛んじゃ、だめ、んっ……んん~~~!!」ぴくぴくっ

純一「───ふはぁっ……やっぱり想像通り、とっても柔らかいじゃないか……梨穂子、かぷっ…」ぼそっ…

梨穂子「想像通りって……ひゃうっ!? だ、だめっ……離して純一っ…んっ、背中の手とっ……頭の手ををどけてっ…!」

純一「ぷは……ん? どうしたんだよ梨穂子、僕は耳たぶを噛んでるだけだよ?」

梨穂子「っ……噛んでる事自体が、相当なことだよっ…!」

純一「梨穂子だって嫌がってないじゃないか、本気で抵抗したら僕にだって止めることはできないよ」

梨穂子「………っ……」

純一「……口だけでイヤイヤ言っても、僕は耳たぶを噛むことは止めないからな。
   本気で止めたかったら、ちゃんと僕の目を見て断りを入れるんだ」すっ…

純一「───やめて欲しいんだな、梨穂子?」じっ

梨穂子「っ……う、ううっ……」きょろきょろ……ちら

純一「………」じっ…

梨穂子「……~~~~~っ───わ、わたしは、こんなことやめ」ぎゅうっ…

純一「遅い、タイムアップ」かぷっ

梨穂子「ひゃあああー!?」

純一「はみはみ」

梨穂子「う、うそっ───たいむあっぷなんて私聞いてないよお…っ…だ、だめだっていいたく、んっ!」

純一「ぺろぺろ」

梨穂子「っっ………んーーー!?」ぱし…

純一(あれ? 声が聞こえなくなってきた……ああ、口を手で抑えてるか。じゃあもっとやってあげよう!)

純一「ぺろぺろ、かりかり」

梨穂子「んっん……んんっ!? ん、んっ………んむぅっ───んっ!?」びくん!

純一「………ぺろっ」

梨穂子「ぷはぁっ……じゅ、純一っ! …い、今耳の中っ───」

純一「ぺろぺろぺろ」

梨穂子「っっ~~~~~~~~!!!」びくびくん!

純一「ぷはぁ……よし、満足した!」

梨穂子「はぁっ……はぁっ……」くたー

純一「あ、あれ…? 梨穂子大丈夫か…? なんだかぐったりしてるけど…?」

梨穂子「はぁ…はぁ………純一……」くたぁ…ぽすっ…

純一「う、うん……どうした梨穂子…?」

梨穂子「…………純一の、えっち」ボソッ

純一「あ、あはは…ごめんちょっとやりすぎたかな…?」

梨穂子「やりすぎたじゃないよっ……もう、耳の中…べたべただよ…っ」ぎゅっ…

純一「そ、そっか……ちょっと気持ちよくてさ、我慢出来なかったんだ」

梨穂子「…………」

純一「……怒ってる?」

梨穂子「………怒ってない」

純一「…怒ってるだろ、梨穂子…だって僕の顔を見てくれないし…」

梨穂子「怒ってないよ…本当に、本当」

純一「……本当に? じゃあ顔を見せてくれよ」すっ…

紗江ちゃんはよせな

うんこ言ってたら寝てたごめん

今から書く

梨穂子「……イヤ、だよ」ぎゅうっ…

純一「イヤって……やっぱり怒ってるじゃないか」

梨穂子「怒ってない、これは本当……でも顔は見せたくないっ」

純一「…………」すっ…

梨穂子「えっ、あ、いや……手をどかさないでっ───」

純一「………」

梨穂子「っ………」

純一「……顔真っ赤だ」

梨穂子「……ち、違うよ」ぷ、ぷい

純一「…違わない、顔真っ赤じゃないか」

梨穂子「…ちがうもん」

純一「梨穂子は可愛いなぁ」

梨穂子「……か、かわいくないもん」

純一「こんなにも顔が真っ赤だと……梨穂子の好きなりんごと見間違うね」

梨穂子「っ……」ぴくっ…

純一「…ん? どうしたの梨穂子?」

梨穂子「………──るる…」

純一「え? なんか言った?」

梨穂子「がるる…っ」キッ

純一「……あれ? ど、どうしたの梨穂子……睨めつけて───」

梨穂子「がおー!」がばぁっ

純一「えっ、うわぁあー!?」

梨穂子「がぶがぶっ! がぶぅっ!」

純一「ふ、ふわぁあー!? り、梨穂子っ!? ほ、頬をかむんじゃ……ぎゃああー!」

梨穂子「がおおおー!!」がぶがぶがぶがぶ

数十分後

純一「ま、満足したら帰っていった……顔の全体の皮膚を全て、梨穂子に噛まれた気がする…」

純一(なんということだ、紳士という僕でありながら……婦女子に引けをとるとは…くっ、僕もまだまだだな…)

純一「だけど、僕の挑戦はまだ終わったわけじゃない、頑張るぞ僕ぅ!」ぐっ

純一「……でも梨穂子の唇、柔らかかったなぁ、てへへ」

~~~~~~

すたすた…

梨穂子「………」ぷんすかぷん

「───あれ、桜井ぃー!」

梨穂子「…あ、香苗ちゃん」

香苗「うぃっす! んなトコでなにしてんの?」

梨穂子「っ……な、なんもしてないよ…うん」

香苗「へ? どうして顔を真赤にすんの?……ははーん、まさかまさか~」

梨穂子「ふぇっ!? な、なんにもないよ! じゅ、純一に耳たぶ噛まれたとかそんなんじゃないから……っ」

梨穂子「って、言っちゃったよぉ~!?」

香苗「………いや、そんな桜井の素直さを利用したのはあたしだけどさ。なんというか、凄いことをやってたのね」

梨穂子「ち、違うよっ! 違うからね香苗ちゃーん!」あたふた…

香苗「いいよいいよ、アンタが……今みたいに可愛い顔をしてるんだったら、イヤじゃなかったんでしょ?」

梨穂子「……か、可愛い顔してる…?」

香苗「ばっちりよっ! これなら橘くんが落ちんのもすぐじゃないかな~?」

梨穂子「お、おちるって……そ、そんなつもりなんて……」もじもじ…

香苗「あははー……ってあれ? その手紙どしたの?」

梨穂子「え? あ、これは……」

香苗「なにそれ? ……ラブレター?」

梨穂子「……う、うん」

香苗「んなぁにぃー!? え、どうしたのそれ!? た、橘くんから……?」

梨穂子「………違うよ、違うクラスの男の子からもらったの」

香苗「違うクラスの子って……今朝に下駄箱に入ってた感じ?」

梨穂子「うん……北校舎の教室で待ってますって…書いてあっててね」かさ…

香苗「へぇ~……もてますなぁ、桜井さんは!」ぐりぐり

梨穂子「や、やめてよ~……でも、あのね、断ろうと思うんだ」

香苗「……へ? まだ断ってなかったの?」

梨穂子「……そう、まだね」

香苗「まだって……アンタは橘くんっていう……」

梨穂子「………」

香苗「……そっか。ま、アタシは桜井を応援するだけで、強制するつもりなんてこれっぽっちもないから。
   あんたの好きな通りにすればいいよ、色々とちゃんと考えてんでしょ?」

梨穂子「うん、ありがと香苗ちゃん……」

香苗「お礼は橘くんに……でいいのかな、これって。きちんと自分自身を見つめ直して、
   一番っていう答えを見つけ出すこと、わかった桜井? 弱気になっちゃだめだからね?」

梨穂子「……ちゃんと考えるよ、私だって幸せになりたいから」

梨穂子「…純一のこと、まだ諦めたりしないからっ!」

廊下

純一(ぐへへ~……次は誰が僕の餌食になるのかな?)ジュルルッル

純一「でも、僕の知り合いは多すぎて……どれにしようか迷っちゃうなぁ」

純一「んーっと、次は誰にしよう……それじゃあパッと思いついた子にしよう! この子にしようかな!」

純一「>>47

麻奈実「無理だと思うよぉ~」
まゆしぃ「幼なじみは決して幸せにはなれないのです!」

七咲

水泳部・着替え室

純一「……え?」

七咲「……ここなら、誰にも見られることは無いですよね?」くるっ…

純一「え、うん……そ、そうだね! あは、あはは!」

七咲「ふふっ、それじゃあ…先輩、どうぞ。思う存分───」すっ…

七咲「───耳たぶ、噛んでもいいですよ…?」

純一「……えっと、七咲? あ、あのさ…」

七咲「はい? どうかしましたか…?」

純一「僕から言っておいてなんだけど……えらく、その、ノリ気っていうか……」

七咲「……先輩が噛みたいって、言ってきたんですよ? じゃあそれなりの場所でしたいじゃないですか」

純一「う、うん……?」

七咲「私だって、恥ずかしいんです……これでも、頑張って先輩に耳たぶを見せてるんですから……」

七咲「……先輩も、早く思う存分に耳たぶをかんでください……お願いします」

純一(……はっ!? なんということだ、紳士である僕が気圧されつつある…っ!)

七咲「……」ニコニコ

純一(でもなんだこの無垢な笑みはっ……七咲、君は何を思ってそんな笑みを浮かべつことが出来るんだ…っ!)

七咲「…先輩がしないのなら、私からしちゃいますよ?」

純一「えっ!? それもなんだか魅力的っていうか……違う違う! これは僕からのお願いであってね!」

七咲「ふふっ、じょーだんです。じゃあ早く……こっちに着てください、せんぱい」

純一「う、うん……」すた…

七咲「ふふっ」

純一「え? 何で笑ってるの七咲…?」

七咲「だって、せんぱいったら震えながらこっちに来るんですから……可愛くて、ちょっと笑っちゃいました」

純一「だ、大丈夫だよ…! 僕は平気さ…!」

七咲「はいはい、知ってますよ。せんぱいはなんていったって、紳士ですもんね?」

純一「そ、そうだよっ…! 紳士である僕が、このような行為に恐れを覚えるなんて…!」

七咲「ふふっ…はい、じゃあその紳士のせんぱいは……私になにをしてくれるんですか?」

純一「七咲の……み、耳たぶを噛もうと思う!」

七咲「よくできました。……それじゃあ、せんぱい…」すっ…

七咲「やさしく、してくださいね…?」

純一「う、うん!」すっ

純一(あ、あれ? 結局、なんだか僕が促されてるような……ま、いっか!)すすっ…

七咲「………んっ…」

純一「っ………」ドキドキ…

かぷっ

七咲「んんっ……!」ぴくんっ

純一「……かぷかぷ」

七咲「……んっ、んっ………せんぱい、くすぐったいです……んっ」

純一「ちろちろ」

七咲「ん、あっ……ふふっ、せんぱい……そんなに耳たぶ美味しいですか…?」

純一「おいひいれふ」

七咲「そうなんですか、じゃあ……もっと強く噛んでもいいですよ…?」

純一(強くって……こうかな?)かりっ…

七咲「っ……そ、そうです……せんぱい、よくできました…」なでなで…

純一「かりかり」

七咲「あっ…あんっ、んんっ…!」びく、びくん…

純一「かりぺろぺろ」

七咲「ん……っ…くすすっ…せんぱいったら、まるで赤ちゃんみたいですよ…?」

純一「ちゅうちゅう」

七咲「っひぅ……っ…せ、せんぱ…それは…!」

純一「ちゅう……ぺろぉー」

七咲「ひぁう!? せんぱい、中はだめっ…です…!」

純一「ちゅるる」

七咲「……~~~~っ…!」びくんびくん

七咲「く、くすぐったいですからっ……そんな風に舐めちゃ、いけな…~~~っ!」ビクン

純一「……ぷはぁ…」

七咲「…っ…ふー……っ…ふー……」ぎゅっ…

純一「…どうしたの七咲…? 口を抑えて…誰もここにはいないよ…?」

七咲「ん、はっ………だって…口を抑えておかないと…」くたぁ…

純一「…おかないと…?」

七咲「……えっちな声が出そうになっちゃいましたから」にこ…

純一「っ……」ドキッ

七咲「───せんぱい……もう、これでおわりですか…?」ぎゅうう…

純一「えっ……? な、七咲…? 抱きついてきてなにを……」

七咲「わたしはまだ、声を我慢ができる元気はありますよ……だから、もっと…」

七咲「……みみたぶをもっと噛んで、私のえっちな声……聞きたくありませんか…?」

純一「………まだ噛んでても…いいの?」

七咲「……はいっ! どうぞ!」

数分後

純一「───あれ…? どうしてロッカーの中に僕らいるんだ…? すっごく狭いよ!」

七咲「せんぱい、せんぱいっ…」ぎゅううっ

純一「それでどうして七咲は水着姿なのかな!?」

七咲「え……だってせんぱいが、水着姿になれっていいましたよ…?」

純一「ぼ、僕が…? あれ!? ここ数分間の記憶が全く……あれっ!?」

七咲「ほんとうにもう、せんぱいったら……えっちなんですから」かぷっ

純一「うひぃっ!? な、七咲…っ!? ぼ、僕の耳たぶを……!」

七咲「はむはむ……ふぇんぱい、ふぁいふきれふ…っ」ちゅっちゅ

純一「得、それは普通にキスってやつじゃ……七咲!? だ、だめだよ…というか何でロッカーの中に居るのか説明を……ふぁあああー!!!」

数十分後

純一「解放された……もう、何だかわからない……僕、今まで何をしてたんだっけ…?」とぼとぼ…

純一「強烈な出来事って、本当に記憶からなくなりやすいんだ……ちょっともったいない気がするなぁ…うん」

純一(異様に指が痛い理由が知りたい……まさか七咲に噛まれたのかな。わかんないや…)

~~~~~

プール

七咲「───ふふっ……」

響「…あら、どうしたの七咲? えらく嬉しそうね」

七咲「あ、塚原先輩。こんにちわ」

響「こんにちわ、昼間に練習? 熱心ね、偉いじゃない」

七咲「あ、そ、そうですね……」

響「…? それで七咲、嬉しそうに笑ってたけれど」

七咲「はいっ! ちょっと……ふふっ、ストレスというか…気持ちがすっきりと出来たコトがありまして」

響「へぇ~、明日は県大会っていうのに……どんなことがあったのかしら?」

七咲「それは……塚原先輩にも内緒ですっ」

響「……ふぅ~ん、あ。そういえば七咲……さっきそこで橘くんと会ったんだけど」

七咲「えっ」びくんっ

響「……なるほどね、あの子になにかしてもらったと。ふふっ、よかったじゃない七咲」

七咲「そ、そんなこと……ないですっ……」ぷしゅー

響「どうするのかしら? ……これから大会があるたびに、あの子が居ないと困るんじゃない?」

七咲「っ……う、ううっ……」

響「ふふっ、冗談よ。七咲、ちょっとまだ時間もあるから泳ぎを見てあげるわ」

七咲「え、いいんですか…?」

響「いいわよ。それともそんな余裕はないのかしら?」

七咲「……そんなわけありません。私は何時だって、準備万端です」

響「いい返事ね、好きよそういった七咲の顔」

七咲「あ、ありがとうございます! それに……なんだか、今までにない記録が出せそうな気がするんです」

七咲「……せんぱいとまた、あんなことをするためになら。どこまでも……どこまでも!」

ちょっとうんこすまん

屋上

純一「………」びゅぅうう~……

純一「───充電完了……」ざわぁああ~……

純一(僕の秘密の部屋で、エネルギー危機は解消……最初の紳士度に戻ることが出来た)

純一「そして、更なる高みへと昇ることが出来た……ふふ、今の僕には敵なんていない、無敵だ!」

純一「さてさて、次はどうしようかなぁ……今の華麗なる紳士度に見合う女の子なんているのかな~?」すたすた…ぐるぐる…

純一「………」ぴたっ

純一「よしっ! きめた! 次は……>>」

「───あら、ここでなにをしているのかしら?」

純一「───え…?」

絢辻「………」どん!

純一「あや、つじ……さん…?」

いくらでも待つからうんこの報告はいらんぞwwww

絢辻「こんにちわ、でいいのかしら? うーんと、そろそろ午後の授業が始まるんだけど…
   …貴方はここで、なにをしているのかしら? うん?」

純一「……えっと、あはは! あの、その、ちょっと考え事を~……」すすっ…

純一(───だめだ! 絢辻さんと眼を合わせたら、なんだか思惑が全て暴かれる気がする…!)

絢辻「………」じっ…

純一(ここで絢辻さんにバレるのは……今後の行動に支障を致す場合が…!
   なんとか逃げ切るしか無い、そうだ、逃げよう!)

純一「あ! そ、そうだった! 僕ってば高橋先生に呼ばれてて……」

絢辻「高橋先生なら今日はおやすみよ」

純一「……あ、間違った! 保健室の先生だよ! 予備の補充が切れたって言われてね!
   授業も遅れても構わないって……うん! 次の英語の先生も言ってたから!」

絢辻「………本当に?」じぃー…

純一「う、うん! 本当だよ! 潔白だよ!」

絢辻「……そう、そうであるのなら早くしなさい。遅れる許可が降りても、サボる理由にしちゃいけないのよ?」

純一「わ、わかりました! 委員長!」

絢辻「よろしい。では、いってきなさい」

純一「わんわんっ!」だだっ!

絢辻「わ、わんっなんて言わないの! なんだか私が飼い主みたいじゃない…!」

純一「わんわーん!」だだだ……

絢辻「もうっ……」

絢辻「……はぁ、橘くんはいつもあんな感じね……うん? なにかしらこれ…メモ用紙?」ひょい

絢辻(橘くんのおとしものかしら、今から呼びかければ間に合う───)ちら…

絢辻「……へぇ~、そんなことしてるんだ。ふーん…」

ぐぐっ……ぐしゃっ

絢辻「───これは、あたしからの調教が必要ね……ふふっ、あはは!」すたすた…

~~~~~

純一「な、なんとか逃げ切れたかな……あれ? ポケットに入れたはずの計画を書いたメモ用紙がない…」

純一(どっかに落としたのかな……まあ、汚い字で書いたし。読める人なんていないよね!)

純一「……それで、結局は保健室に来ちゃったけど。どうしようかなぁ……」がらり

森島「あれ?」

純一「ん?」

森島「あれれー? 橘くんだ~! へろー!」

純一「へ、へろーです! え、森島先輩……どうしてこんな時間に保健室に…?」

森島「え? あ~……えっとね~……そんなことよりも! 君こそどうしたのかしら!」

純一「へっ? あ、僕は……その、あはは。サボりみたいなもんです……すみません」

森島「なーんだ、ひびきちゃんのさしがねじゃないのね~……ふぅ、安心したわ」

純一「……どういうことですか?」

森島「ふふっ、気になるかしら? でもでも、内緒っ」

純一「は、はあ……まあ、僕も偉い身分じゃないので……ここはお互いに秘密ってことで」

森島「オーキードーキー! まあ君の理由は知っちゃったから、お互いってのもおかしいけどねっ」

純一「あはは……」

純一(───きたぞ、次のチャンスがきた…!)

純一(絢辻さんに鉢合わせしたときは、もう命の終わりだって思ってたけど……神様は僕を見捨ててはなかった!)

純一(森島はるか先輩! この人がまだいた! 僕にはこの人の耳たぶをかんで見せる!)

森島「……うーん?」

純一(以前に膝の裏を舐める所業をなせた僕だ……耳たぶなんてちょろいもんだよ!)

森島「むむむ~……」ささっ

純一「……え? ど、どうしたんですか先輩…? 後ずさって…」

森島「……君、ちょっとえっちな瞳の色してるよっ」

純一「えっ!? ま、まさか……そんなことありませんって!」

森島「む~! でもでも、君がそんな色をした時って必ず……」

純一「ち、違います! 僕はただの……ただの……」

森島「……ただの?」

純一「ただの……っ」

純一(考えろ考えろ橘純一っ……考えろ考えろ考えろっ…!)

純一「僕は──………ただの、子犬です!!!」

純一(きた!!妙案!!!)

森島「子犬ちゃん?」

純一「そ、そうですっ! 僕がそんな瞳の色をしてたのはっ……その、餌を欲しがる欲によってなんですよ!」

森島「確かに…子犬ちゃんって、餌が欲しい時って途端に卑しくなるわね……うんうん」

純一「だ、だからその……先輩から良い匂いがしたので、僕という子犬にとっては…そんな感じになっちゃうんです!」

森島「えっ……プチベビースターをもってること…どうしてわかったの?」

純一(本当にもってた!?)

純一「で、でしょう! だから僕はその匂いに釣られて、わんわんきゅーん!」しゅたっ!

森島「わぁお! 急に四つん這いになって、子犬ちゃんになっちゃったわっ」

純一「わんわん! わぉーん!」ぐるぐるっ

森島「きゃっ…こ、こらっ! そんな風に身体をこすりつけてもあげないからね…っ!」

純一「…くぅーん…へっへっへ…」ごろり…

森島「お腹を見せてもだめなものは……だめなものは……」うずうず…

森島「くぅいー! どうだどうだぁ! ここがいいのかぁ~!」なでなでなで

純一「わぉーん!」

森島「くぁいいなぁもうっ! こんなことしちゃって! 君ってば誰にだってそうやって甘えちゃんでしょ!」なでなで!

純一「わんわん! くぅいーんっ!」

森島「え~? 私だけって~? んーっ! このこのぉ~! たらしさんなんだからっ!」なでなでー!

純一「っ…オッフ…ウッフッフッ…!」

森島「ん~! 凄いわね橘くんっ、この私が本当に子犬ちゃんと接してる気分にさせるなんて!」

純一「……ま、任せてください…ウッフ…僕は森島先輩の望みを叶えるためになら、なんにだってなってみせる自信があります…!」キリッ

森島「わぁお! 腹ばいになりながらでも、いい表情をするわね橘くんっ!」

純一「どんとこい超常現象です…!」

純一(さ、さてっ……ウッフ……こ、ここからだ…! 僕はここからさらに、展開を昇華させる…!)

純一「わんわん! わんわん!」しゅった!

森島「うん? どうしたのかな子犬ちゃんはぁ~?」

純一「へっへっへ……!」ぐいぐいっ

森島「こらこらっ、そんなに押しちゃお姉ちゃん倒れちゃうから───きゃっ…」ぽすっ

純一「わぉーん!」ばっ…

ぎしっぎしっ…ぎし…

森島「………」

純一「………」

森島「……橘くん…?」

純一「……先輩、お願いしてもいいですか…」

森島「…えっと、あはは……た、橘くん…子犬ちゃんごっこはもう……」

純一「ええ、おわりです……ですからここから、僕のお願いです」

森島「君からの……お願い…? なんなのかな、こんなふうにベットに押し倒して…することなの…?」

純一「………」

森島「え、あっ、そのっ……ええっ…橘くん、それは何て言うか……あのねっ」きょろきょろ…

純一「森島先輩」

森島「っ……なに、かな…?」ちらっ

純一「僕、どうしても……先輩にしたいことがあるんです」

森島「し、したいこと……っ?」びくんっ

よいそよいぞ

純一「ええ、したいことがあるんです……聞くだけでいいですから、聞いてみませんか?」

森島「き、きくだけって……でも、君はなんだかその願いをしたい感じじゃない…っ?」

純一「したいです、でも……先輩に拒まれるのなら僕はやめます」

森島「……い、いいの…? 拒んでも、私が拒んじゃっても……いいの…?」

純一「…紳士ですから、無理矢理なんてしません。本当ですよ」

森島「……そ、それじゃあ……その、聞いてあげようかな」ぷいっ…

純一「はい、ありがとうございます。先輩……僕は貴方の───」

森島「っ……」ぎゅっ…ブルルッ…

純一「───耳たぶを、あまがみたい」

森島「やっぱりそういうのは結婚してから───……へ?」

純一「………」じっ…

森島「え、えっと……耳たぶを? かみたい?」

純一「はいっ! 先輩の耳たぶかみたいです!」

森島「………」

純一「……だめ、ですか?」

森島「……あの、それだけ…?」

純一「え? はい、それだけですけど……それだけ?」きょとん

森島「い、いやっ…いいの! 気にしないで! ……びっくりしたぁ~…もっと凄いことお願いするかと…」ゴニョゴニョ…

純一「森島先輩…?」

森島「ひゃいっ!? な、なんでもないわ! う、うんうん!」ブンブン!

純一「は、はい……」

森島「そ、そうねぇ~……耳たぶを噛みたいだなんて、本当に橘くんらしいわっ」

純一「そうですか? でもほら、先輩の耳たぶって美味しそうですし……」

森島「お、美味しそうなの…?」

純一「はい、あまがんだら甘い味がしそうじゃないですか」

森島「も、もうっ! 私の耳たぶは、ガムなんかじゃないんだからねっ」

純一「あはは…ごめんなさい、でも、かみたいってのは本当ですよ?」

森島「う、ううっ~……本当にかみたいの? 私の耳たぶ…を?」じっ…

純一「はいっ! かみたいです!」

森島「っ~~~……じゃ、じゃあ1つだけお願いをきくこと!」

純一「聞きます! 僕もお願いしてますから! 先輩もどうぞ!」

森島「………えっちなことはしちゃダメ、これだけは約束すること! いいかしら橘くん…!」ぴっ

純一「しません! 僕は先輩の可愛い可愛い耳たぶを噛むだけです! えっちなことはしません!」

森島「……う、うん。そ、それじゃあ……その……橘くん……」

純一「……いいんですか?」

森島「……うん、いいよ…私のみみたぶ……」

森島「……かんでも、いいわ…」くいっ…

純一「……ゴクリ」

森島「……そんなに見つめないで、恥ずかしいんだからっ…」

純一「は、はい……それじゃあ早速……いきますよ…」すすっ

純一「………」すっ…

かぷり

森島「っ~~~~……!」びくんっ

森島(ほ、本当にかんでる…っ…橘くん、本当に私のみみたぶを……っ)

純一「はむはむ」

森島(ひぁああうっ!? な、なんてこと……そんな、だめ…橘くん、そんなあまがんじゃ…ひぅっ…!)

純一「ぷはっ……先輩? どうかしましたか?」

森島「はぁ……はぁ…ふぇ…?」

純一「……。なんだか気持ちよさそうなので、もっとかみますね…」はむっ

森島「えっ、あっ、一回だけじゃないの───っ~~~~!」びくびくんっ

森島(だ、だめよっ…これ以上みみたぶ噛まれちゃったら声がでちゃっ…)ぱしっ

純一「………」ぐいっ

森島「ひぁっ…た、橘くん…っ? どうして手を押さえ……っ」ドキドキ…

純一「───先輩の声、聞きたいです…」ボソッ…

森島「……こえを…?」

純一「はい、僕は森島先輩の声をもっと聞きたい……みみたぶを噛まれてる時の、先輩の声を……」

純一「僕は、ちゃんと聞き入れたいんです…」

森島「そ、そんなっ…私、どんな声あげちゃうか…自分でもわからなくてっ…だから…!」

純一「僕は気にしません、第一……先輩の声だったら何だって聞きたいです……」すっ…

森島「だ、だめっ…! 噛んじゃだめたち、ばなく───んんッ……!」

純一「はむ!はむはむ!」

森島「きゃあっ…! あ、いやっ…だめ、てをはなし、ひっ、あっ……くすぐっ……んんっ!?」

純一「ぺろぺろ」

森島「んっ……んんっ~~~~!!!?」ビクビクン

純一「ちろちろ…ぺろぺろ」

森島「あっ、いやっ…だめ、そんなの、だめだから…! たち、ばなくんっ…みみ、とっても弱いから…っ!」もじっ…

純一「べろぉん」

森島「ひっくっ……! んんっ~~~~! そんなのっ………だめっ……!」ブルルルッ…

純一「ぷはっ……先輩って、耳が弱いんですか? あはは、いいこと知ったなぁ…かぷかぷ」

森島「た、たちばなくんっ…はぁっ…はぁ……え、えっちなことはだめだって…っ」

純一「……僕は耳たぶを噛んでるだけですよ? それがエッチな事だって思ってしまっているのは…先輩だけじゃないですか?」

森島「そ、そんなことっ……ないもん……っ」ぷいっ

純一「あはは、冗談ですって。僕もちょっと……先輩の声を聞いたら、我慢ができなくて…」ぺろっ

森島「んっ……も、もう! いじわるする橘くんは……私は嫌いよ…!」

純一「えっ……こんな僕、先輩は嫌いですか…?」

森島「……う、うん」

純一「………」ショボン

森島「……っ……ど、どうしてそんな顔をするの…っ!」

純一「だって…先輩に嫌いって言われたら、僕……どうしたらいいのか…死んだほうがいいのかなって…」

森島「そ、そこまで落ち込まなくてもいいじゃない……そんなに、私に嫌いって言われるの……やなの…?」

純一「…はい、とても悲しいです」

森島「悲しいって……大げさじゃないかしら…」

純一「ぐすっ……ひっく…」

森島「っ~~~~………じゃあ、その……き、嫌いじゃないわ、今の橘くんは…」

純一「ぐすっ…───本当ですかっ!?」パァアア!

森島「わ、わぁお! びっくりするぐらいに、いい笑顔ね橘くん…!」

純一「ええっ! それりゃーもう! 先輩にそんな事言われたら、誰だって喜びます!」

森島「そ、そおなの…?」

純一「はいっ! じゃあお返しにもっとかんであげますね!」

森島「えっ……えええっー!? も、もう終わりじゃないの…っ?」

純一「なにいってるんですか、僕は……先輩に許可をもらったようなもんでしょう?」

森島「い、いや……そんな風に受け止めるのは…私的に予想してなかったというか……っ」

純一「はむはむ」

森島「っ~~~~~!!?」びくんっ

数十分後

純一「なんだかとっても……僕らしくないことをやってしまったような気がしないでもないね」ツヤヤカ

純一(先輩は小走りに走りさってしまった……帰り際、ちょっと睨んでたけど嫌われちゃったかな…)

純一「……いや、僕はやるだけのことはやった。ネガティブに捉え続けても、いいことはない!」

純一「至極変態であれど……されど紳士であり、しかし変態でありながら……だが紳士でもある!」

純一「この言葉に二言無し! 紳士、橘純一に後悔の念はひとつとしてありはしない! あーっはっはは!」

純一「あっはっは……」

純一「………嫌われてたら本当にどうしよう…」ショボン…

~~~~~

森島「も、もうっ……橘くんがあんなコトをするなんて思わなかったっ……!」すたすたすた!

森島「今後、ずっと口を聞いてあげないんだらっ! べぇ~~~だっ! 」すたすた…

森島「………」すた…

森島「……ずっとは、言い過ぎかな。一ヶ月……半月? あ、これも可哀想かな…」

森島「一週間! ……それもちょっとあれかな…じゃあ一日? う、うーん…」

森島「……あっ! そうだっ! だったら無視するのはやめて、私が仕返ししちゃえばいいじゃない!」

森島「ナイスよはるか~!なんて言い思いつきかしら! うんうん! 
   今度、橘くんを見かけたらこれでもかってぐらいに仕返ししちゃうんだから~うふふ!」

森島「だったらすぐにでも計画を立てるわよ!それー!」だだだっ!

だっだっだだ……

「………」すっ

「………なるほど、こういうことなのね」

「どのように女の子に迫ってるのかと思えば、上手い顔色の伺い方ね……見直したわ」

絢辻「───くすくす……ありがとう、橘くん。あたしもきっちり、覚悟が出来たわ」

絢辻「女の敵、橘くん……?」すたすた…

~~~~~

純一「ふぃー! どうしよっかなぁ~……今は授業中だけど、そろそろ終わるみたいだし…あ、ここのエリアは…」

純一「──一年教室エリア! ということは……っ」

キーンコーンカーンコーン

純一「……」ささっ

がやがやっ……がらり

「───ということがあってね~! にっしし!」

「───うふふ、もう…だめだよ? そんなことしちゃ」

純一「………」キラン

「……むっ!」ばっ!ばばっ!

「え、どうかしたの…? 急にウルトラマンみたいな構えして…?」

純一「……ッチ、流石にアイツは気づくか…」

美也「……なんだか、嫌な気配を感じたんだよね。こう、狙われてるみたいな……ぐるるー」

「ね、狙われてるって……」

紗江「そんなことないと思うけど……でも、美也ちゃんが言うならそうなのかな…?」

美也「むぅ~~~っ……紗江ちゃん、みゃーの後ろに隠れてて! なんだか、もうすぐきそうな気がするんだ!」

紗江「あっ、うんっ……もうすぐ来るって……?」

美也「この視線の正体……もう、近くにいるよ…! 気をつけてね…!」

紗江「ち、近くにいるの…っ?」きょろきょろ

「───ああ、ここにいるんだな。それが…」

紗江「きゃああっ…!?」

美也「さ、紗江ちゃん!?」

「ふっふっふ……おしいな、美也よ。お前は僕……いや、この鮪ダンボール様の気配は感づいても……ふふっ」

鮪「華麗なるオレ様の策略には、敵わなかったようだ……なっ!」

紗江「きゃああー! 下ろしてくださぁいっ…!」

美也「ぐっ……一年の教室の中を通って、後に回っていたのとでも言うの…っ!」

鮪「ふはっはは! 正解だ、美也よ……だがもう遅い!」しゅたっ

美也「あっ! まてぇー! 鮪ダンボール!!」

鮪「あっはっはっは! 今のオレ様には誰も追いつけはしなのだ!
  美也よ! お前は大人しく授業でも受けてるがいい!」

美也「一年は5時限目で終了だからもう帰るんだよっ! にぃに!」

鮪「に、にぃにいうんじゃない! 僕は鮪ダンボール様だよ!?」

紗江「おろしてぇえ~……っ」

美也「恥ずかしくないのっ! 一年の娘をさらうなんて、みゃーは見損なったよ!」

鮪「にぃにじゃない! 鮪ダンボールだって何度言えばっ……」

紗江「いいからおろしてぇえええー…!」

クラスメイト「またやってるよ…」

クラスメイト2「ほんと、飽きないよなあの兄妹……まぁ、見てるこっちも面白いからいいんだけど」

クラスメイト3「なんか美也ちゃんのお兄さんから飴玉もらっちゃった。ダンボール貸してくれたお礼だって……あ、美味しい…」

クラスメイト4「ええっ!いいなぁ~……あの二年の人、お菓子のチョイス凄いんだよ~!」

クラスメイト5「本当にっ? 今度またしないかな~」

鮪「──ではさらばだ! 美也よ、今晩のご飯は素麺だってさ!」

美也「ええっー! またぁ~!?」

うんこ…

~~~~~~

体育館倉庫

純一「はぁっ…はぁっ…流石に、人一人抱えて走るのはっ……きついものがあったなっ…はぁっ…」コト…

純一「……まあ、要件だったダンボールを倉庫に戻すことも出来たし。結果オーライだね」

紗江「……あの、先輩…?」

純一「あ、ごめんね紗江ちゃん! なんだか攫ってちゃった感じになっちゃって……あはは!」

紗江「は、はい……とってもびっくりしました」

純一「だ、だよね……つい調子乗っちゃってさ、えっと…迷惑だったよね?」

紗江「あ、いいえ……そんなこと、ないです。なんだかとっても楽しかったです」

純一「そ、そう? 紗江ちゃんがそう言ってくれるのなら、僕もやったかいがあったもんだよ~」

紗江「………」

純一「あはは、あは、はは………」

紗江「………」もじっ…

純一(……あ、あれ? なんだかちょっと……気まずい空気が漂ってるような)

紗江「……あの、せんぱい…」ちらっ

純一「う、うん? どうかした?」

紗江「その……なにか、ご用があって…私をここに連れてきたんじゃ…」

純一「えっ!? あ、そうなんだよね~! そうそう! よくわかったね紗江ちゃん! すごいね!」

紗江「そ、そんなことないですっ……」

純一「えっとね~……ちょっと、お願いがあってね。紗江ちゃんをここに、連れてきたんだ」

紗江「……体育館倉庫に、ですか?」キョロキョロ

純一「うん!」

紗江「………あの、どんな用なんでしょうか? 私はどうも、検討がつかなくて…」もじっ…

純一(なんだか紗江ちゃん……さっきからもじもじしてるな、緊張してるのかな?
   ……そうだ、ここは僕がリードしてあげて緊張をほぐしてあげないといけないな…)

紗江(……おトイレに行きたい…っ…)もじもじ…

紗江(牛乳飲み過ぎちゃったかな…ううん、でもセンパイがようがあるっていうから…ここは我慢しなきゃ)

純一(時間をかけて…そうだ、今までみたいに早急に行っちゃ紗江ちゃんを傷つけるかもしれない…ここは慎重に行こう)

紗江(いまはだめです、って言ったらセンパイを傷つけちゃうかも知れないし……頑張って、最後までがまんがまん…)

純一(ここは我慢だ、どれだけ紗江ちゃんの耳たぶを貪りたいと思っても……僕は女の子を傷付けるために、こんなことをしてるんじゃない!)

紗江(センパイは、絶対に傷つけない……)

純一(紗江ちゃんは、絶対に傷つけない……)

───今、二人の希望は曲がりにも正しく、そして密やかにと繋がったのだった。(cv.ジョージ)

紗江「ごくり……」

純一「ごくり……」

───尿意を我慢する少女と、欲望を我慢する少年。果たして、これが行き着く答えは如何に。

純一「あのね、紗江ちゃん……お願いがあるんだ…」

紗江「は、はい……なんでしょうか…?」もじっ…

純一「僕は……ちょっと女の子身体で、気になってるところがあるんだ……恥ずかしながら、ね」

紗江「……女の子の身体、ですか?」

純一「あっ……決していやらしい意味じゃないよ! これは、ちょっとした疑問というか…ね?」

紗江「いやらしいって……は、はいっ! わかってます…っ!」

純一「そ、そっか……そのね、紗江ちゃん。聞きたいんだけど……」

紗江「なんでしょうか?」

純一「………紗江ちゃんの耳たぶって、柔らかい?」

紗江「……はい…?」

純一「紗江の耳たぶだよ、両耳に付いてる柔らかい奴」

紗江「え、えっと……はい! 自分じゃわからないですけど…多分、柔らかいかと……それが、どうかしたんですか…?」

純一「……触ってみても、いいかな?」

紗江「さ、さわっ……ええっ?」

純一「だ、だめかな?」

紗江「え、ええっと……みみたぶ、触るんですか…っ?」

純一「う、うん……なんというか…こんなこと、紗江ちゃんいしか頼めないんだよ……」ずきっ…

───これまでの行いを少し思い出し、良心が痛む少年。こんな無垢な少女を騙すことは、やっぱりいけないことではないかと。

純一「あっ……決していやらしい意味じゃないよ! これは、ちょっとした疑問というか…ね?」

紗江「いやらしいって……は、はいっ! わかってます…っ!」

純一「そ、そっか……そのね、紗江ちゃん。聞きたいんだけど……」

紗江「なんでしょうか?」

純一「………紗江ちゃんの耳たぶって、柔らかい?」

紗江「……はい…?」

純一「紗江ちゃんの耳たぶだよ、両耳に付いてる柔らかい奴」

紗江「え、えっと……はい! 自分じゃわからないですけど…多分、柔らかいかと……それが、どうかしたんですか…?」

純一「……触ってみても、いいかな?」

紗江「さ、さわっ……ええっ?」

純一「だ、だめかな?」

紗江「え、ええっと……みみたぶ、触るんですか…っ?」

純一「う、うん……なんというか…こんなこと、紗江ちゃんいしか頼めないんだよ……」ずきっ…

───これまでの行いを少し思い出し、良心が痛む少年。こんな無垢な少女を騙すことは、やっぱりいけないことではないかと。

純一「………っ」ぐぐっ…

───だが、少年は気づく。一人だけを特別に扱うのはそれ自体が悪だと。過ちなのだと、我が身を奮い立たせるのだった。

紗江「………」もじっ

───そして少女も気づいた。これは、試されているのだと。あの時行なってきた、特訓の成果を出さなければいけないのではないかと。

紗江「………っ」

───そして決断した。その少年の期待に答えることを、尿意が限界が迎えそうになっていたとしても。彼女は既に決断した。勘違いですけど。

紗江「……わかり、ました。センパイ……」すたすた…ぷるぷる…

純一「え……?」

紗江「みみたぶ……触ってもいいです! どうぞ!」くいっ

純一「……いいの? 紗江ちゃんの耳たぶ、触っても…」

紗江「い、いいんですきょーかん! わたしは……なんだって受けれいて、全力で立ち向かいます…!」びしっ

純一「さえちゃんっ……」

───少年は歓喜した。こんなにも立派に言葉を発する彼女は、もう自分が知っている彼女じゃないのだと。

───ならば、もう。この溢れ出る欲望を思う存分ぶつけてしまっても、構わないのではないか。そんな真宵が生まれてしまっていた。

純一「ごくり……」

───でも、やってはいけない少年! その決断は、彼女に深い傷を残す結果が待ってるかも知れない! 主に漏らしちゃう的なことで!

純一(僕は……自分に正直に、やってきてたつもりだ。これが正しかったなんて、一度思わず…いつだって不安に思いながら…)

純一(紳士的行いを、やってきたんだ……!)ぐっ…

純一「……じゃあ、紗江ちゃん……いくよ…?」

紗江「はいっ……」ぷるぷる…

純一「…………」すっ…

───少年はそっと、伸ばした手を……彼女の背中に伸ばした。耳たぶではなく、彼女を捉えるために腕を腰に絡める。

紗江「……ふぇっ…?」

───少女はその感触に小さな声を上げる。だが、信じる少年に疑念の想いを浮かべることはなく。

純一「紗江ちゃん……ごめんね」

紗江「ど、どうしたんですかセンパ───」

───その信じる心を、見事に少年に浸け込まれたことも知らずに。

紗江「───っ~~~~っ!?」

───地獄の数分間が、始まるのだった。

紗江「せん、ぱいっ……!?」

純一「はむはむ…」

紗江「っ~~~~!!?……な、なんでみみたぶ、さわるって、ひぅっ…っ!」びくんっ びくびくっ…

純一「ぷはっ……ごめん、我慢できなくて……でも、紗江ちゃんの耳たぶ柔らかいよ…はむっ」

紗江「ひぁああっ!? やめ、やめてっ…だめだめ! だめですぅっ…!ひゃああ!?」ぶるぶるっ

純一(……あ、あれ? 紗江ちゃんって、こんなにも声をあげるこだっけ……?)

紗江「ひああああ!! いやっ、だめっ、そんなことしたら───……んんっー!?」ぶるっ……ぎゅうっ…

純一(で、でも……口だけであんまり抵抗してない。ど、どうしよう……なんだかちょっと不安になってきた…)

紗江「んっんっ……んあっ! や、やめっ…せんぱい、そんなっ……!」ぎゅうっ…ぎゅうっ…

純一「んっふ!?」

純一(紗江ちゃん!? そんなに頭を抱きしめたら、普通に頬にキスする感じに……! それはだめだよ!)ぐいっ

紗江「ふあっ───」びくんっ…

純一「えっ……さえ、ちゃん…?」

紗江「はぁっ! はぁっ……! ……せ、せんぱい……っ」くたっ…

純一「う、うん……どうかしたの?」

紗江「ど、どうかしたじゃありませんっ……耳たぶ舐めるなんて、私聞いてないです…!」

純一「あ、ごめん……さっきもいったけど、我慢できなくて……ごめん、もうやめるね…?」

紗江「………」ぎゅっ…

純一「……紗江ちゃん? 手を離してくれないと、その、離れなれないっていうか……」

紗江「…………」

純一「……紗江ちゃん?」

紗江「…………これだけ、ですか…」

純一「え…?」

紗江「…………」もじもじ…

純一「これだけって……あはは、どういうことかな…?」

紗江「……わたしはまだ、我慢できます……だから、センパイ……もっと…」ちらっ

純一(我慢…? どういうこと?)

紗江「だから……もっと、してくださいっ……しぇんぱい…っ」ぎゅうっ

───少女は思った、いや気づいてしまった。この快感、今まで感じたことも感じようとも思わなかった快感を。

紗江(………我慢しながら、こういうことするの……とってもきもちいい…っ!)もぞもぞっ…

───決して開花してはいけなかった、少女の秘匿すべき癖が今。無事に花咲こうとしていた。これはひどい。

純一「…………あっ!」

───そして少年も思った。この少女の仕草、態度、表情……それはまるで、尿意を我慢しているのではないかと。

純一「ま、まさか紗江ちゃん……さっきからトイレに行きたかったとか…?」

純一(そ、そういえば美也と二人で居た時も……トイレに向かおうとしていた気がする…!)

───今までの勘違いに気づいてしまった少年、だが遅すぎた。開花された花は既に、陽の光を浴び甘き匂いを発し始めている。

紗江「しぇんぱいっしぇんぱいっ……もっとかんでくださいっ、もっと舐めてください…っ!」ぎゅぎゅっ

純一「だ、だめだよっ…! そんな刺激を与えちゃ、紗江ちゃんがおもら──ご、ごほん! だめだって!」

紗江「そんなことないですっ……しぇんぱぁい、しないなら私からしちゃいますよ……?」ぺろっ

純一「……」ドクンッ…

───そして、少年は惑わされる。少女の魅惑の匂いに、ダメだと気づいても誘われてしまう自我に苦悩しながら。

───『少年にとって、地獄の数分間が無事に始まったのだった』

一時間後

紗江「はぁっ……はぁっ……しぇんぱい、すっごく…よかったです…っ」

純一「………」サララ…

紗江「……あ、あれ? せ、せんぱい…? なんだか、真っ白ですけど…大丈夫ですか…?」

純一「うん、大丈夫……大丈夫だよ……あはは…」

紗江「そ、そおですか…? じゃ、じゃあその……本当に…我慢の限界ですので……それでは…っ!」だだっ

純一「ま、またね紗江ちゃん……」どしゃぁっ…

純一(あはは……気苦労って、本当に寿命を縮めるのかもね……僕、今だったらデコピンで死んじゃいそうだよ…)

~~~~~~

じゃああああー……

紗江「───ふぅ……なんとか間に合った…」

紗江「…………」ドキドキ…

紗江「………なんだか、まだ身体火照って……」

紗江「…しぇんぱい、またしてくれるかな………」ドキドキ

紗江「今度は……一時間って言わずに、一日かけてとか……だめだめ、そんなことしたら私が壊れちゃう…っ」

紗江「………もう、我慢出来なかったらしちゃって……きゃー! だめだめそんなことー!」

紗江「えへへ……センパイ、もっともっといろんな事してくれないかな……?」

~~~~~~

純一(ジョージの嘘つき! 数分間だっていったじゃないか……一時間だよ! 一時間!)

純一「なんかもう疲れちゃったな……投げやりにしたくないけど、僕はまだ知り合いの女の子は……」

純一「……少なくとも二人、ぐらいいるしなぁ」

純一「……でもつかれたし、今日はこのへんでいいかもね。僕だって紳士だけど、人間だから、疲れを知らないわけじゃないんだよ」

薫「ん? あ、純一ぃ~! 今帰りぃ?」

純一「よし、そうと決まればもう帰ろう! 誰にでも合わずに変えれることをねがってね!」

薫「……ちょっと、純一?」

純一「んじゃ教室にかばんを取りに行って……」

薫「……ふんぬっ!」ばっ げしっ!

純一「ぐんはぁっ!?」ずさぁー…

純一「……痛いじゃないか、薫」

薫「あ、やっと反応したわね。びっくりしたわよ、もうっ!
  アタシのこと見えてないんじゃないかって、だからこうやってドロップキックをしたんだけど……」すたすた…

純一「……勘付こうよ、わざと無視してるってさ。そして確かめ方が暴力的過ぎる」

薫「慣れたもんでしょアンタだったらさー。んで、よくもこのアタシも無視してくれたわねゴラァ」ぐいっ

純一「待て。平和的解決を……僕は望んでいる、まずは話しを聞いてみようとは思わないかい?」

薫「いいわよ、アタシだって寝ている奴の頭を殴るのは気が引けるモノ」

純一「躊躇しろよ…気がひけるんじゃなくて。ご、ごほん。あ、あのな……僕はとっても疲れてるんだ!」

薫「……そうね、確かに。午後の授業を殆ど休んでたみたいだし」

純一「う、うん。だからね? 僕としてはもう、まっすぐにおうちに帰りたいんだ……わかってくれるな?薫?」

薫「やだ」

純一「やだじゃない!」

薫「やだ!」

純一「なんだよ! そしたら僕に用事もでもあるのか!? ないだろ絶対に!」

薫「よくわかったわね……そうよ、なんにもない。アンタに用事なんて無いし、ただ見かけたから呼びかけただけね」

純一「じゃあ僕はもう帰るもん! 帰らせろ、というかパンツ見えてるからはやくどけって!」

薫「見せてんのよ」

純一「はっ! 嘘だね、強がってるけど若干頬が赤い! 夕日と誤魔化そうにも僕の眼は衰えてないよ!」

薫「ふんっ」ぱちんっ

純一「あ、いたい……」

薫「今日はやけに強気じゃない、純一ぃ……なによ何かいいことでもあったのかしら? うん?」

純一「……そ、そんなことはない…よ」

薫「どうして顔色を伺いながら言うのよ……ほんっと、アンタってわかりやすいわね」

純一「素直が売りだって自負して……冗談冗談! 拳しまって!」

薫「……はぁ~。なんなのよ、もう……ただアンタを見かけたから話しかけただけなのに…結果はアンタに馬乗りになってるじゃない」

純一「す、すごいな……僕と薫だからなせる現実だよ!」

薫「こんなの定番にしたくない、本当にしたくない」

純一「あはは、そうかな? 僕は結構楽しいけど?」

薫「……楽しんでんのは、アンタだけよ! アタシはイヤ!」

純一(絶対に楽しんでるくせに……)

薫「こんなの……なんだか、まるで小学生みたいじゃない…ムカつくから殴る、文句を言う…
  ……こういうのじゃないのよ、アタシがしたいのは……」ごにょごにょ…

純一「……なんだよ、これは代々と受け継がれた関係性じゃないのか?」

薫「だぁーれから受け継いだのよ。というか、アタシはこんな関係はいやなのよ! ものすごく!」

純一「ふーん」

薫「ふーんって……はぁ、アンタに言ったのは間違いだっわ。ごめんごめん、じゃあさっさと退きますよ~」

純一「まて、薫」ぎゅっ

薫「きゃっ…!」ぐいっ……ぽすっ

純一「ふんぐっ!?……なぜ、肘で着地した…っ?」ぷるぷる…

薫「あ、アンタが急に引っ張るからでしょ…! アタシは悪くないわよ…!」

純一「そ、そうか……それは僕が悪かったな……」

薫「と、というか……なによっ、手をどかしてってば! どうして抱きついてきてるのよ……っ?」

純一「……なぁ、薫。お前ってさ、耳たぶ噛まれたらどう思う?」

薫「は?」

純一「喩え話だよ、ちょっとした世間話」

薫「……この状況で話すことでもないし、世間で話す内容でもないきがするんだけど…?」

純一「僕はそういうやつだって、もう薫は知ってるだろ?」

薫「……なによ、それ。みみたぶ? アンタがアタシの噛んだらってことでいいの?」

純一「そう、そんな感じ」

薫「……。真剣に答えるべき?」

純一「茶化しなく」

薫「……ちょっと嬉しい、かも」

純一「わぁお! 薫大胆!」

薫「…森島先輩のモノマネそれ? 気持ち悪いからやめたほうがいいわよ」

純一「…わぁお、容赦無い」

薫「それがどうしたっていうのよ、アンタなに……あたしの耳たぶかみたいの?」じとっ…

純一「……うん?」

薫「どうして答えを求めるような表情をするのよ……アンタ」

純一「あはは、なんかもう……口にだすのはいいかな、なんて想ってさ」

薫「思うだけじゃだめじゃない、ちゃんと口にしないと思いは思いのままよ。ずっとね」

純一「深い言葉だ。僕にはとっても重たい言葉だよ、本当にね」

薫「……本当に今日は上機嫌よね純一」

純一「うん、上機嫌すぎて薫のみみたぶ……かみたいぐらいだよ」

薫「……やめて、あれは言葉だけであって本当かどうかはわからないんだから」

純一「えー、それじゃあ試してみるとかは?」

薫「却下。論点をずらさないの、アタシはしたくないってことを察しなさい」

純一「薫だって僕を察してくれなかったくせに……」

薫「あ、あれは純一が無視するからでしょ…!」

純一「そっか……それは残念だ」ぎゅっ…

薫「……そろそろ、離しなさいよ純一。廊下でこんなふうに…倒れ込みながら抱き合ってるなんて、
  誰かに見られたらどうすんのよ…」

純一「……もうちょっとだけ」

薫「……やだ」

純一「声に気持ちがこもってないよ、薫らしくない」

薫「……じゃあ、良い」

純一「あはは、それじゃ僕の腕を枕にしていいよ?」

薫「……こう、かしら。腕痛くない純一?」もぞもぞ…

純一「ん、おっけー」

薫「………」

純一「………」

薫「……なんだか、子供みたいね。あたしたち…こんなフウに廊下に寝転びあってさ…」ぎゅっ…

純一「…そうだね」

薫「身体ばっか大きくなって……気持ちも、関係も、全然なにも変わってない」

純一「それでいいんじゃないか? 僕はそれでいいと想ってるよ」

薫「……さっきも言ったけど、あたしはイヤ。そんなの、面白くないじゃない……全然」

純一「面白くなくていいよ、僕は……薫とこうやってノンビリ出来る関係もなかなか」

薫「……本当に? それでいいのアンタは?」くるっ…じっ…

純一「どうしてそんなこと聞くのさ、薫」

薫「……わかるのよ、あたしは。あたしは…なんだか置いて行かれてるって」

純一「…どういうこと?」

薫「アンタによ、なにもかも……アンタだけが先に進んで行ってる気がする。
  これは勘違いじゃなくて、思い違いじゃなくて…たぶん、本当のこと」

純一「薫はそんな心配性だったか…?」

薫「……違うわね、でも。あんたのせいで……心配性になってるのは事実よね」すっ…

純一「……薫?」

薫「ねえ、純一。みみたぶ、また……噛んでもいい?」

純一「だめ」

薫「いや。無理矢理する」

純一「…じゃあいいって言ったら?」

薫「全力でする」

純一「あはは、いい返事だね。まるで誰かが言ったことのあるようなセリフだ」

薫「ふふっ……一体誰かしらね、その人って女の子のへそを舐めたヘンタイよね多分」

純一「違うな、紳士だよ。女の子を大切想ってる……変態紳士だ」

薫「あら、えらくその人のこと持ちあげるのね……まさかアンタじゃないでしょ?」

純一「どうだかなぁ……ま、でも。変態と呼ばれるのは、そんなに嫌いじゃない」

薫「そ。でも……今日はアタシが、変態になるかもしれないわね……」すっ…

純一「変態淑女、みたいな…?」

薫「不名誉な名前、つけないでよ……強くかんじゃうわよ?」

純一「ソレは恐い。やさしく頼むよ」

薫「あはは、女の子みたいなこといわないでよ……お腹、いたくなるじゃない」

純一「そうかな、それにしては薫の表情……顔が真っ赤だけど?」

薫「お互い様よ、アンタもそうじゃない」

純一「僕は見えてないから、信じようにも信じられないよ」

薫「……ばか、強がるじゃないわよ純一…かぷっ」

純一「っ………」ぶるっ…

薫「──ほう? ほんなはんひ…?」

純一「く、くすぐったいかな…?」

薫「くひゅひゅ……ほうなの? ほぇ~……」はむはむ

純一「お、おうっ…! それ、ちょっと……気持いいかも」

薫「……ひもい」

純一「言うな言うな。自分でも分かってるから」

薫「ぷはっ……ひひっ、あ、わかってたのね? ちょっとプルプル震えてるからさ~……あはは!」

純一「誰だって……耳を噛まれたこそばゆいっていうよ!」

薫「……じゃあ、してみる?」

純一「…ふふん、耐えきれるかな。薫ってば変に強がるし、今みたいにね」

薫「強がりじゃないわよ、これは」

純一「…じゃあ単純に、して欲しいとか?」

薫「さぁーてね。…でも、女の子に全て言わせる男は………嫌われちゃうわよ」

純一「了解した。僕は男だ、なにも聞かないし雰囲気を感じ取って動こうと思う」

薫「……うん」

純一「薫……こっちきて」すっ

薫「………」すすっ…

純一「……それじゃあ届かないよ、もっとこっちに」

薫「っ……こ、こう…?」ドキドキ…

純一「うん、いいよ……ちょっと髪をかき分けるよ?」しゅっ……

薫「……っ…っ……」

純一「……うん、見えた。薫の耳たぶだね、以外にかわいい形してるじゃないか」

薫「……意外にってなによっ」

純一「普段はモッサモサの髪の毛に隠れてるし……」

薫「う、ううっ……もさもさ言わないでよ…っ!」

純一「……気にしてるならストレートにすればいいのに」

薫「……案外、気に入ってるのよっ。アンタは……こういうの、嫌い…?」ちらっ

純一「え? 好きだけど?」

薫「……軽いわね」

純一「あはは、なんていったって素直が売りなもんでね」

薫「…そう、じゃあいつまでもこの髪型にする。決めた」

純一「おおう、そうやって即決する薫は……もっと好きかな?」

薫「うん、知ってる」

純一「僕も知ってた。じゃあ、薫……耳をこっちに向けて…そう、いいよ」

かぷっ

薫「んっ……じゅ、純一……どんな感じ…っ?」ぴくぴくっ…

純一「ほんらはんひっへ……ひわらはい?」

薫「そ、そうっ……んっ……それはよかったわ…っ」ぴくっ…

純一「……はむ」

薫「んっ! ちょ、ちょっと……純一、それ以上はやりすぎよっ…」びくんっ

純一「はむはむ」

薫「ひぁっ……だ、だめだって…いってるじゃない…っ…んっ、あっ…!」びく……びく!

純一「ぺろ……ぺろろ」

薫「っっ……っ! …ひゃああっ!……うっ、ひっ…だめ、声出ちゃうからっ…! 純一、ダメだって…ひぅっ!?」びくん!

純一「ぷは……もっと声をだせばいいよ、誰も居ないよこんな放課後に」

薫「で、でもっ…誰か残ってたらこんなっ……っ~~~!? 純一っ…!? 舌を……耳の中っ……っ!」ぐぐっ…ぽすっ…ぎゅううっ…

純一「…いいよ、腕で支えきれ無くなったのなら。僕に倒れ込めばいいさ」ぎゅっ…

薫「……ば、ばかっ…こんなこと、あたしはしろなんて一言もっ…!」ぎゅうっ…

純一「雰囲気を察したんだ、これが僕の答えだよ」

薫「……な、なによそれっ……間違ってるわよその察したの…!」

純一「じゃあ、やめる? ───なんてことは、もう言わない」

薫「えっ……?」

純一「何も聞かないし、僕は察した通りに動くだけ……そう望むのが女の子ってものなんだろ?」

薫「ち、ちがっ…そんなつもりであたしは言ったんじゃ……っ」

純一「違わない、僕はそうするだけだ……はむっ」

薫「んんっ~~…!?」

純一「ぺろぺろ……ぺろぉおん」

薫「っ! っ! ……んっんっ! んはぁっ……じゅんいち、だめだって…あたし、おかしくなる…」

純一「はむかり……ちろちろ」

薫「みみ、すっごく弱いからっ……今までのこと、全部謝るからっ…! じゅ、じゅん……んんっ!」びくん!

純一「はむっ……僕は別に許してもらいたくなんか無い。なんだあれ、僕が記憶する薫は全部……大切な薫だ」

薫「そん、なこと……今、いわないでよ…っ…ひいんっ…!」びくっ!

純一「言うよ、だって薫だから…何時だっていわせて欲しい…」ちゅるちゅる…

薫「い、いやっ…ごめん、ごめんなさい純一っ……もう、だめっ、それいじょっ…あっ! んっ!」ぴくぴくっ

純一「はむはむ!」

薫「許してっ……頭がおかしく、なっ…あっ、あん! だめだからっ…いや、いやっ…イ───」びくんっ……

~~~~~~~~

純一「ぷはぁ……ふぅ、べったべっただ」

薫「……っ……っ………」ぴく…ぴく…

純一「……薫? 大丈夫か?」

薫「っ……だ、大丈夫なわけ……ないでしょっ……ばかっ…! へんたいっ…! すけべ…!」キッ

純一「酷い言われようだよ、薫だって……もっとやってほしそうに声をあげてたくせに…ごはぁっ!?」

薫「はぁっ…はぁっ……最後の、力っ…振り絞って、殴ってやったわ……どう、純一っ…効いたでしょっ…?」

純一「う、うん……体重が乗っててすごかったよ……世界チャンプも目じゃないな…っ!」

薫「そお、それはよかったわ……ふぅ…」へたり…

純一「……嫌だったか?」

薫「……ばか」

純一「ふふっ、そっか」

薫「今度……またお返しするから、覚悟しておきなさいよ…っ!」

純一「うん、楽しみにしとくよ」

薫「そこは…恐怖しておきなさいよ! ……い、色々とやりにくいじゃないの…」ぼそっ…

純一「そうだね、それじゃあ全力でその日が来ることを……怖がっておくことにするよ」

薫「……にやけてるわよ、アンタの表情」

純一「うん、そういう薫もね」

~~~~~~

純一「………」ぼぉー……

純一(なんだか、薫と色々と……関係が深くなったような気がするなあ。
   僕としてはそれは、よかったことなんだろうか…今はまだ、わからないけれど…いつかはきっと、わかるはずだよね)

純一(分かれるとき、薫は笑ってたけど……僕は、僕は……ううん、悩んだってしかたない)

純一「………紳士的行いも、ココに来て五人目か。随分と今日は、女の子の耳たぶをあまがんだなぁ…」

純一「………」すっ……ぱっぱっ…

純一「……後は、一人だけか」

「───なにが、後一人だけなの?」

純一「っ……!?」ばっ

純一「──この声……あや、つじさん…?」

「………」すっ…

絢辻「こんばんわ、橘くん」

純一「……こ、こんばんわ……こんな放課後に、なにをしてたの絢辻さん…?」

絢辻「委員会の仕事よ、橘くんこそ……なにをしていたのかしら?」すたすた…

純一「え、えっと……ちょと用事があって~…」

絢辻「あら、また用事? 今日は大忙しじゃない。大変ねぇ~」ぴた…

純一(ち、近い…!)

絢辻「……それで? 今はどんな用事だったの?」

純一「あ、あのねっ…絢辻さんいは説明しなくても、至極どうでもいい問題でね…!」

絢辻「まあ! そうなの……そうよね、だって保健室の用事もどうだっていいことだったみたいだしね~」にこっ

純一「っ………」ダラダラダラ…

絢辻「……本当に、どうだっていい用事だったのよね。まるで嘘だったのかのように、そんな用事なんてありはしなかったかのように…ね?」

純一「………あ、絢辻さん…」ダラダラ…

絢辻「うん?」にこっ

純一「……せ、先生に聞いたの…?」

絢辻「聞いてないわよ? 先生はお休みだって言ったじゃないの、英語の先生…高橋先生はいないじゃない」

絢辻「だから君も、そんなことをいったんでしょう? ──確かめ用がない、真実は闇の中。だから貴方はそんなことをいったんでしょう?」

純一「で、でも……絢辻さん、なんだか真っ向から疑ってかかってる気が…!」

絢辻「…疑ってる? あら、私はただ嘘だったように──と、言っただけよ?
   なにも橘くんの言動を疑ってることなんてこれっぽっちも……」

純一(……嵌められた!)

絢辻「……ふふっ、おかしいわねえ。橘くん? 
   私は、本当に信用してたんだけど、ちょっとおかしいかな~…なんて想ってただけなのに」

絢辻「……実は、保健室なんてこれっぽっちも用事はなくて。しかも……今、言った用事も───嘘、とか?」

純一「………」たらり…

絢辻「まあまあ……それは橘くん、悪いことよ? 嘘はいけないことなんだから、
   これはから絶対にしちゃだめ。いい? わかったかしら?」

純一「う、うん……わかりました……」

絢辻「よろしい。それじゃあ橘くん、帰り道は気をつけてね……特に夜道とか、ね」

純一「ごくりっ……わ、わかりましたっ!」

絢辻「はい! それじゃあね。橘くん…」ふりふり…

純一「さ、さようなら…絢辻さん…!」

純一(……あれ?)

純一(意外とすぐに解放された……なんだろう?
   絢辻さんなら、授業をサボったことを知ったら、もっと怒ってくると想ったんだけど…?)ちらっ

絢辻「!」

絢辻「……」ふりふり…

純一「あはは…」ふりふり…

純一(機嫌でもいいのだろうか? ふむ……ここは素直に運が良かったと思うべきか…うん! そうだね!)

絢辻「───…………」じっ…

純一(それなら今日はゆっくりと眠って……明日に備えよう! 絢辻さんは……明日にでも色々と考えればいいかな!)ぐぐっ…ぐいー!

絢辻「───ふぅ……すぅーー……」

純一(……あ、でも。なにかを忘れてるような…大事な事を…軽く考えてしまったことが、ひとつだけ───)

絢辻「……あら! すっかり忘れてたわぁー!」

純一「っ……」びくんっ

絢辻「そういえば昼休みに拾った───このメモ用紙をっ! 落し物箱に! 入れるのをすっかりー!」

絢辻「しょうがないから今からでもー! あー! でもでも、これってやっぱり掲示物として貼り出したほうがいいかしらー!」ひらひら

純一(メモ、用紙……あれは!! 僕の!! 甘噛み計画メモ用紙……!?)

絢辻「でもあれよねー! 字が少し、特徴的だから私が清書して! 綺麗な文字にして貼り出せば誰かが気づいてくれるかもー!
   いい案ね詞ちゃーん! とってもてんさーい!」

純一「…………」ダラダラダラダラダラダラダラダラ…

絢辻「……ふぅ」すたすた…

純一「っ…!」ばっ! だだだだだ!

ずさーっ

絢辻「………なにかしら、橘くん。お別れはもう言ったはずよ」

純一「すみませんでした、本当にすみませんでした」ばっ

絢辻「…何に謝ってるの? くす、よくわからないんだけど? もうちょっとあたしに、わかりやすく喋ってくれる?」

純一「………」ダラダラダラダラ…

絢辻「頭を下げたまんまだと、あたしの顔色を伺えないんじゃない? ───他の女の子にやったみたいに、ね」

純一「っ……」びくっ…

純一「……すみませんでした、ほんの出来心だったんです。悪意は全くないんです…」ダラダラ…

絢辻「だからどうして謝るの? あたしは別に、なんにも思っちゃいないわ、これっぽっちも。ほんの少しも思ってはいない」

純一「……ほ、本当にですか?」

絢辻「うんっ、だってゴミ虫以下だって思ってるから。思うにも思えないでしょ?」にこっ

純一「…………………」ダラダラダラダラダラダラダラダラダラダラ

絢辻「あら、でもそれだとゴミ虫にも申し訳ないわね……うん、そうだわ」

絢辻「ねえ、ゴミ? 今、どんな気分?」

純一「……とっても、苦しい気分です…」

絢辻「え~! 嘘言っちゃダメだよ? なんたって、少なくとも四、五人の女の子のぉ~……みみたぶを、あまがんでしょう?」

純一「…………」ダラダラダラダラダラダラダラダラ…

絢辻「それなのにぃ……苦しい気分ですって、そんなこと言うかしらフツー?
   ───橘くんって、あ、ゴミだったわね。ゴミってそんなにも最低な男性だったのね……あたし、とっても悲しくて悲しくて…」よいよい…

絢辻「……踏みつぶしそうになっちゃうわ、本当に…」

純一「…………」ダラダラダラダラダラダラダラダラ…

絢辻「…本当のゴミみたいに…こうやって……こうみたいねっ」ぐしゃぐりっ

純一(僕の、メモ用紙が……)

ぐしゃ、ぐりぐりっ…!

絢辻「……ふぅ。ねえゴミ、そのゴミあとで拾っておいて。そして一緒に焼却炉に飛び込んできなさい」

純一「そ、それは僕が……死んじゃうっていうか…」

絢辻「生きたいの?」

純一「……できれば、はい…」

絢辻「そうなんだ、へぇ~……生きていくほうが、もっと辛い目に合うと思うのにね」

純一「………」たらり…

絢辻「冗談よ、なんて言って欲しいのかしら? ふふっ……あはは、それはゴミ……ちょっと都合がよすぎるんじゃないかしら?」

純一(冗談じゃないってことは、その瞳の色を見れば十分です……!)

絢辻「……で? 弁解はないの?」

純一「……弁解、ですか…?」

絢辻「ええ、そう。そこの踏み潰されたゴミ企画の、弁解。調子づいた言葉遣いで、意気揚々と語ってちょうだい」

絢辻「──全部、軽蔑な眼差しをしながら聞いてあげるから。ほら、はやく」

純一「っっ……その、ですね…この企画は、僕の思いつきで始まりまして…」

絢辻「ふぅん、そう。そうだって思ったわ、こんなしょうもない計画を立てるなんて、貴方一人ぐらいよ」

純一「……それでその、前から計画してたんですけど…ちょっと、最近…我慢できなくなって…それで…」

絢辻「決行したと、馬鹿なの? そんな馬鹿なら、死んじゃえばいいのにね」

純一「し、死にたくないです…!」

絢辻「口答えするな」

純一「は、はいっ…あのその、それでっ……僕は知り合いの女の子から、やっていこうと思いまして…それで…はい…」

絢辻「…至極まともなことを言わせてもらうけど、頭どうかしてるんじゃない?」

純一「…はい、すみません…」

絢辻「知り合いの女の子からやっていこうと思ってました、ですって? へぇ~、たいしいた自信だこと。
   貴方の知り合いは全部、貴方の都合のいい勝手のいい道具でしか見えてないってことなのかしらね」

純一「ち、違うっ…! それは…!」

絢辻「敬語はどうしたの…?」

純一「……ち、違います…! そんなことはありませんっ…!」

絢辻「…何が違うのかしら? あたしにはそうとしか捉え用がない、事実そういうことんじゃないの?
   貴方がしたことは胸を張って言い張ることが出来る行い? 今までやってきたことを、全て彼女たちに言い張ることが出来る内容だった?」

純一「…………」

絢辻「例え貴方が悪いことじゃない、正しくて、同意の上なんだって。ここであたしに言い張ったとしても……」

絢辻「……あたしは一生、貴方のことを軽蔑する」

純一「っ………」

絢辻「……後は、彼女たちと幸せに学生生活を過ごせばいいじゃない。
   あたしは……わたしは、もう貴方と関わり合いを持つことをやめるから」

純一「…………」

絢辻「いいふらすこともしない。今日だけ……あたしが貴方に口を開くのは。これから先は『私』が接し続けるから。
   たいして何も変わらない、今日みたいに……こうやって色々と貴方とあたしが会話する機会が無くなるだけ」

絢辻「……邪魔はしないから、そっちで勝手にドロドロとぐちゃぐちゃに……幸せになっとけばいいじゃない!」

純一「…………」

絢辻「……なにも、言わないのね。弁解しようもないってことかしら……?」

純一「………」

絢辻「っ………最後に1つだけいっておくけど───謝るなんて、どうしてそんなことするのよ……あたしに悪いなんて、思わないでよっ……」くるっ…すたすた…

純一「あっ………」すたっ…

絢辻「───こないで!!」

純一「…………」ぴた…

絢辻「……っ」すたすたすた…

純一「…………」

~~~~~~

階段踊り場

絢辻「…………」すたすたっ…

絢辻「…………」ぴたっ くる…

絢辻「…………」じっ…

絢辻「───はぁっ……ふぅー……」ずり……ずりり……

絢辻「………」

絢辻「……あたしって、嫌な女…」ぼそっ…

絢辻「………」

絢辻「……なにも、あそこまで言わなくてもいいじゃない……あたしだって、ちゃんとしってるじゃない…」

絢辻「……彼が、女の子を道具だなんて思ってないこと……きちんと、ちゃんと…」

絢辻「……もうもうっ! 詞のばかばか! ほんっとにばかっ!」

絢辻「…………」

絢辻「……きらわれちゃったかな……だよね、あんだけのこと言っちゃったんだもん。嫌いになるにきまってる…」

絢辻「…でも、我慢出来なかった。あんなことしてるって知ったら、我慢できなくて……」

絢辻「まだ……手、震えてる……あの時、あたしが暴言はいてた時…橘くん……あたしの足が震えてたの気づいてたかのかな…」じっ…

絢辻「……気づくわけない。あたしよりも橘くんのほうが、ブルブル震えてたから……」ぽすっ…

絢辻「………何であんなこと言っちゃったんだろ。もう、後戻りできない……これから先、ずっとずっと……」

絢辻「ずっと……橘くんを、無視し続けなきゃいけない…あと、約二年間……できるかな、あたしに…」

絢辻「……ううん、しなきゃだめ。そう、あたしがあたしであるかぎり、これは決まってること……」すっ…

絢辻「あたしは……わたし、そう、変わるわけじゃない。ちょっと見方を変えるだけ……それだけで、あたしは私になる……」

絢辻(完璧な私、敵なんていない私、弱点がない私、答えがない私、真実がない私、本音を出さない私、
   好きな人はできない私、ずっと無で在り続ける私、壁を作り続ける私、私私私───……)

絢辻(私私私、私私私……私……)

絢辻「───もう、あたしは終わり。おしまい、これで……おしまい」

絢辻「……………」

絢辻「…………」

絢辻「………ぐしゅ…」

絢辻「…………そん、なこと……できないよっ……ぐすっ…」ぎゅうっ…

絢辻「いやだよっ……戻りたくなんか無い、まだあたしでいたい……ちゃんとあたしで生きていたい…っ」

絢辻「でもっ……もう! なっちゃうんだっ……ぐす、こうやっておまじないみたいに、ずっとずっと唱えてれば…!…ひっく…」

絢辻「なっちゃうんだよっ……橘くん、あたしは、私に……私になっちゃうんだよ……ぐしゅっ…」

絢辻「いやだよ、なりたくなんかないっ………」ぎゅっ…

絢辻「っ……ごめんなさい、橘くんっ……あんな勝手なこと言って、あたし……あたし……っ」

絢辻「……ちゃんと謝るからっ……助けて、橘くん……っ」ぎゅううっ……

「…………」すた…

絢辻「ぐしゅっ……ずずっ……え……?」

「───……大丈夫? どうか泣かないで欲しいよ」

絢辻「え、あ、だれ……? 私、貴方のこと知らなくて……」

「僕? えっと、あはは……そうだね、君の友達かな?」

絢辻「友達…? 私に友達なんていない……ずっと一人で生きてきたから、これからも…」

絢辻「…友達だなんて、できっこない」

「あはは、そうかな? 僕は君とは友達だって思ってたけど……」

絢辻「……そうなの? おかしな話だね」

「本当におかしな話だ、でもさ……おかしくていいんじゃない?」

絢辻「え、どういうこと…?」

「うん、だってね……誰にだって間違いはあるし、違ったかなって迷ったりすることもあるはずだよ」

絢辻「それじゃあ……ぐす、人に嫌われてばっかじゃない…?」

「いいんだよ! 嫌われていいんだ! だって僕らは……完璧じゃないからね」

絢辻「完璧じゃない……の?」

「完璧な人間だって、一人だっていないよ! でも、もし……そんな自分を求めてる人が居たのなら。
 僕は全力でその人を止めようと想ってる、そんなこと、本当に正しいのかって」

絢辻「どうして…? 完璧なら、なんだって正しいんじゃないの…?」

「確かに完璧ならいいことが沢山、あるかもしれないよ?
 ……でも、それは逆を言えば完璧じゃなくなってしまう気がするんだ」すっ…

絢辻「……?」

「ねぇ、絢辻さん……僕はさ、どんな絢辻さんだって好きだよ」

絢辻「好き…? こんな私なのに、好きなの…? 変態さんなのね……」

「あはは、よくいわれるよ。でもさ、それは僕は誇って生きてるんだ」

「みんなみんな、誰にだって……弱点はある。もしそれが無くなってしまってだよ、
 果たしてそれは……完璧だっていうのかな? 僕は……うん、そう思わない」

「例えば僕の変態的なこと。これって僕にとっては……多分、弱点のはずだ。
 でも、それは僕はなくそうと思わない、絶対にあり続けるよう僕は努力するはずだよ」

絢辻「……どうして?」

「どうして? それはもちろん、僕の──個性だからさ!」

「そう、これは僕の個性! 絶対に無くしちゃいけないモノだよ!!」

絢辻「個性……」

「うんっ! だって僕はこんな個性だから、性格だから、変態さんだから!
 女の子の耳たぶを噛みたいって! いっつも悩んでしょうがなくなって実行してしまう! どうしようもない変態だ!」

絢辻「………」

「でも、それを僕は誇ってる。こうやって自分自身を出しきれる……自分の弱点をおおらかに出来る!
 この僕こそが! 完璧な変態紳士であることだってね!」

絢辻「弱点を出すことが……完璧になる…」

「……そうなんだよ、絢辻さん。誰にだって失敗はあるし、弱点を晒すことは恐いことさ。
 でも、怖がっていちゃなにも始まらない。そうだって、そうなんだって……」

純一「僕は、君に教えてもらったんだ……絢辻さん」

絢辻「……たちばな、くん…」

純一「うんっ! 忘れることなんてできないよ、絢辻さんが……手帳を燃やした日のコト。
   忘れるにも忘れることなんて出来やしないからね」

絢辻「私…───わたしは、素直に……いきていいの…?」

純一「僕が改めて言うことじゃないよ。……あの時踏み出したのは、絢辻さんだ」

純一「そしてまた決めるのは、絢辻さん自身だよ?」

絢辻「…………」

純一「僕はちょっとだけ……うん、促しただけだ。なんにもしてない、誰にも頼ってないよ絢辻さんは……」

純一「『わたし』の絢辻さんは、そういった事が得意なんじゃないのかな……?」

絢辻「……そう、わたしはわたしで……あたしに戻れる、そうやって前も…あたしに変わった…」

純一「うんうん!」

絢辻「誰にも頼らず……そうやって、わたしは変われたんだ……!」

純一「既に答えは決まってるんだよ! なにも泣かなくていい、助けを求めなくていい……」

純一「……絢辻さんは、とっくにわたしなんて『弱点』を捨て切って」

純一「完璧な『あたし』になれるんだから!」

絢辻「…………橘くん、あたし……そうよ、あたしはあたしじゃない…」

純一「そうそう、どうして泣いてるのさ絢辻さん……もう! 変に心配しちゃったよ!」

絢辻「……なんてこと、こんなこと……思いつきもしなかった……」すっ…

純一「……よかったね、これで本当の絢辻さんになったわけだ。僕はとっても嬉しいよ!」

絢辻「うん、本当に……なんだか実感わかないけど……でも……」

純一「でも……?」

絢辻「一つ、だけ……わかることがあるの……」じっ…

純一「……うん。どんなことがわかったの?」

絢辻「ええ、それはね……」ぐっ…

純一「え」

絢辻「ふんっ!」ぱぁああんっ!

純一「ぐはぁっ!?」どたんっ!

絢辻「……なに、いい風に言って誤魔化そうとしてるのかしら。ってこと」

純一「……な、なるほどね…流石だよ完璧な絢辻さ、あふんっ!」ぐりりっ

絢辻「……はぁーあ、なんだかばかみたい。なに悩んでたのかしら、あたしってば」ぐりぐり…

純一「うっひ……あやふひはぁん~……!」

絢辻「…なに? ちゃんと上履き脱いで踏んであげてるじゃない、なんか文句でもあるのかしら」

純一「ないれふけど……ほっと、ほねはいは……!」

絢辻「え? なに? ごめんなさい……あたし、地面の汚れと会話する技術なんてもってないんだけど?」

純一「はっひ、ひほへてはんは……」

絢辻「はい?」ぐりっ

純一「うっひぃ! ………はんれもないれふ…!」

絢辻「よろしい。でも、まあ、ちょっと気まぐれにも機嫌がいいから……そうね、三秒間だけ人外の言葉を聞いてあげましょうか、うふふ」すっ…

純一「えっ……」

絢辻「───ほら、はやくいいなさい。なにをあたしに、願いたいのかしら?」ぐいっ

純一「く、くるしっ……あははっ、なんだかネクタイ引っ張られるのって懐かしいね…!」

絢辻「いーち、にー……」

純一「い、言います! まってまって!」

絢辻「そう? じゃあ特別にもういっかいチャンスを上げるわ、よかったわね橘くん?」

純一「う、うんっ! やったよ! やったぁー!」

絢辻「うるさい、喜びすぎ」

純一「す、すみません……」

絢辻「冗談よ。はい、それじゃあ今から三秒間~……よーい、スタートっ」

純一「あ、あのさ絢辻さん…僕は、どんな絢辻さんだって可愛いし綺麗だし好きだって思ってる!」

絢辻「いーーーち」

純一「だからね! 僕が絢辻さんに謝ったのは……順番を最後にしてしまったことなんだ!耳たぶを噛むことの順番ね!」

絢辻「に、にーーーーーいっ」

純一「僕はっ…出来れば絢辻さんの耳たぶをかみたかったんだ! 可愛くて小さな耳たぶを! 僕は一番に噛みたかった!」

絢辻「さぁああーーーー」

純一「お願いだよ絢辻さん! どうかどうか僕に……」

純一「絢辻さんの耳たぶ、噛ませてください!!!」

絢辻「ーーーんっ、はい終り」

絢辻「……結局、貴方ってそんな感じなのね。弱点丸出しじゃない」

純一「僕は……あはは、いつもこんなもんだよ」

絢辻「ふぅ……ま、知ってて聞いてあげたんだけどね。うん、じゃあ答えだけど」

純一「う、うん……」ドキドキ…

絢辻「いいわよ、噛んでも」

純一「……えっ!? ほ、本当に!?」

絢辻「うん」こくり

純一「や、やったぁー! なんて僥倖! 神は僕のことを見捨ててなんかいなかった! やっぱりね!」

絢辻「………」にこにこ…

純一「いぇーい………えっと、絢辻さん……」

絢辻「なにかしら?」にこにこ

純一「…ど、どうして笑ってるの?」

絢辻「うん? え、だって~……貴方が喜んでるんだもの、だからあたしだって嬉しくなってきちゃうに決まってるじゃない」

純一「へ、へー……そう、なんだ…」

絢辻「ええ、そうよ。あ、でもねちょっと条件があるんだけど……いいかな? ううん、そんなたいしたことじゃないからね?」

純一「僕、まだなにもいってないけど…?」

絢辻「心配しなくても大丈夫、ちゃーんと労働義務法を守った使い方をしてあげるから。
   そうねぇ~…例えば明日から文化祭の仕事があるんだけど、それの手伝いをしてもらうわ」

純一「そ、それぐらいなら……」

絢辻「あとそれと、あたしの送り迎え。登校下校どっちもね? それと昼ごはんは一緒に食べること、時間がないから食べながら仕事するわよ。
   ついでに買い出しも行ってもらうわ、重くて大変なの。ありがとう橘くん」

純一「え、あっ、うんっ! まかせて! 大丈夫!」

絢辻「そおなの? へぇ~…それだったら委員会の仕事も手伝ってもらおうかしら。
   明日から提出プリントの回収がずっと続くのよね、これは助かっちゃったわ~」

純一「……は、はい…がんばります」

絢辻「ふふっ、ありがと。感謝してるわ、本当にね」

純一(……ううっ、なんていうことだ…明日から暇なしだ……)

絢辻「………」ちらっ…じっ…

「……っふふ、本当に…感謝してる。橘くん……」

純一「……えっ?」

絢辻「……かぷっ」

純一「ひあぁあ!? あ、絢辻さん…っ!?」

絢辻「ぺろぺろ…」

純一「うっ、ひぃっ…!? だ、だめだよ…!」

絢辻「……っぷあ、ふふ…これはお礼、貴方が私から守ってくれた……あたしからのお礼だから」

純一「……お礼だなんて、そんなっ…」

絢辻「……いやだったかしら?」

純一「とんでもない!」

絢辻「……じゃあとっても、嬉しかった?」

純一「…うーん、それも違うかなぁ…」

絢辻「なによ、はっきりしないわね……じゃあ、どんな感じだったの!」

純一「うん、そうだね……僕は絢辻さんに耳たぶ噛まれてね───」

純一「───もうダメだ、これで落ちちゃって…想ったかな?」

誰だって女の子が『えっち』っていうとキュンとしませんかそうですか


これにて終わりです。ご支援ご保守ありがとう、
感謝してもしきれないぐらいです。うんこいってきます。

みんな可愛くかけれたかな、みんなが満足できたかなってのが心配です
ではではみなさんおやすみノシ


あ、もうちょっと続きます

文化祭 実行室

純一「……もうだめだよ、もう動かないよ…」ぐたっ…

絢辻「………」てきぱき…

純一「………」じっ…

絢辻「…なに? 休むのはいいけど、そんな見つめないでくれない?」

純一「……耳たぶ、かみたい」

絢辻「だめ」

純一「え~~~! 結局、絢辻さん! あれから一度も噛ませてくれないじゃないか~!」

絢辻「一回で十分でしょう! そんな馬鹿なことをいう元気があるなら、もっと仕事量ふやす──……きゃっ!」ずりっ

純一「っ…絢辻さん!」ばっ

どたーん

絢辻「いたた……あ、橘くん!? 大丈夫……っ?」

純一「だ、大丈夫……絢辻さんの胸が気になって、痛みなんてこれっぽっちも痛ぁ!?」ぱしん

絢辻「もうっ……ほら、仕事続けるわよ───え、なに…?」

純一「………」ぎゅっ…

絢辻「…離しなさい、手を」

純一「いやだ」

絢辻「またブツわよ。今度は手加減なしだから」

純一「いいよ」

絢辻「……そう、いい覚悟ね。まってなさい、あなたのその弛んだ煩悩を一気に引き締める一撃を───」

純一「えいっ」ちゅっ

絢辻「……!?」

純一「……あはは、どう? びっくりした? 絢辻さん的には……耳とか攻めてくると想ったんじゃない?」

絢辻「………」

純一「残念だったね! 僕はもうそんなことはしないよ! 次ぎの段階に、ことは進んでいるんだ──その名も」

純一「『唇強奪計画』! これはもう、僕にしか……でき……ない……」

絢辻「…………」

純一「あ、あはは……絢辻さん? じょ、冗談だよ…? いくらなんでも、僕がそんなことするわけ……」

絢辻「っ~~~~……今、してるじゃない実際にぃっ……!」

純一「あ、本当だ! ───ち、違う…! これも冗談! ちょっとした気まぐれで…!」

絢辻「冗談でっ……あたしに、今! き、きききすをしたってこと…っ?」

純一「……そうなる、かな?」

絢辻「………そう、そうなんだ」ふっ…

純一(あれ、怒気が消え去った…)

絢辻「……貴方はそうやってまた女の子に迫って唇を奪っていくんだね。ふぅーん」

純一「あ、あれ? この空気、どこかで感じたような……」

絢辻「……私、そんな貴方でも大丈夫だよ? うん、軽蔑なんかしないし嫌ったりなんかしないから、私」

純一「ま、まって! そっちにならないで! 心苦しいから! やめてお願い!」

絢辻「……」ふっ…

絢辻「今度また、こんなことしたら……また私に戻るから、いい?」

純一「は、はい……」

純一(ぼ、僕は…もしかして本当に完璧な人間を創り上げてしまったんじゃないだろうか…!?)

絢辻「………」じっ…

純一「う、うーむ……でも、それはそれでいいのかもしれないぁ…」

絢辻「……くす」

純一「うーむ……」

絢辻「───ねえ、橘くん……あたしね」

純一「うむ? どうかしたの?」

絢辻「うん、ちょっと貴方に言いたいことがあるんだけど……いいかな?」

純一「うん! いいよ、なにかな…?」

絢辻「ありがと、それはね───……」

「あの時はごめんなさい、あたしは……ただ、嫉妬してただけだった」

「なんにも考えてなくて、もうあたしは本当にだめな子だった」

「だから許して、ゆるしてくれたらあたし……ずっと、ずっと…」

「───貴方の側にいることを、誓ってあげるから……ね?」

これでおまけ終わりだよ!
裡沙ちゃん…は夜中ベットに潜り込んで耳たぶチュッチュしてる感じの脳内補完で。


それと蛇足なんだけど、次回予告を少々

「───お前は、なにを言ってるんだ。あたしゃ、なんにもわからないよ」

「───僕は本気です。何もかも、自分で決めて……そして、全てを彼女たちに伝えました」

「……へぇ、変わったねアンタ。一年間で随分と……最悪な男になり果てたわけだ」

「……最悪なんかじゃありません。そうならないよう、何時だって…今だって頑張ってます!」

夕月「そりゃ残念だ、あたしから見た今のアンタは……道みたって最悪な男に変わりないよ」

純一「ま、まってくさだい…! まだ、話は終わってはいません…るっこ先輩!」

夕月「……終わりだよ、もう今のアンタと話すことはしたくない」

純一「ど、どうして……僕は、先輩を大事に思ってここまで…!」

夕月「そうかい、ならこれからも大事に思っててくれ……」

夕月「……高校生だった頃の橘を、アンタでぶち壊さないよう……喋らないようにな」

純一「っ……せんぱい…!」

夕月「………」すたすた…

純一「僕は、ただ……くそ、また……せんぱいを、手放してしまうのか…僕はっ!」

~~~~~~

───あの中途半端ストーリーが今、誰にも期待されずに再度にて開かれようとしていた(cv.ジョージ)

七咲「……せんぱい、元気出してください」

純一「うん、まだ……僕は頑張れるよ」

───少年が一生をかけて覚悟した、『ハーレム』をつくることの……真実の三年前が今。

薫「なぁーにやってんのよ、ちょっとは考えて行動しなさいってば!」

純一「うぇっ!? か、薫っ!?」

───一人の少女の問題と混じり、解き明かされようとしていた。

紗江「……わたしは、結婚しません!」

純一「ひゅー! よくいったよ! 紗江ちゃん! じゃあ僕とキスをしようよ!」

───七咲「……ハーレムですよ?」純一「それでも、僕は嫌だ」を超えた超作になると

絢辻「……まだよ、それじゃ裏表素敵なんて言われたりできない」

純一(言って欲しいのかな…?)

───断言したい、そんな一冊にしたいものです。

夕月「…ハーレムなんてごめんだよ」純一「僕は絶対に幸せにします!」


近日始まるかも。がんばります

じゃあうんこして寝ます。ここまでよんでくれたかた感謝れふ
ではではノシ

七咲「……ハーレムですよ?」純一「そうだとしても、僕は嫌だ」でした。
 
頭バグってますごめんなさい、おやすー

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