勇者「ここが、エルフの里か……」(1000)

長年、人間達はエルフに対して嫉妬してきた。

その美しい容姿と、万能無敵な半神的な存在。

エルフ達は、人間よりも遥かに力が強く、時には他の種族を躊躇いもなく自らの手で殺めた。

いつしか、人間達はそんなエルフに対して、強い恐怖や嫉妬等を抱くようになっていった。

それが原因なのか、人間達はいつしかエルフ達を徐々に弱体化する様に仕向け、若い女のエルフ達を拉致しては奴隷とする。

何度も何度も、囚われの身となったエルフ達に乱暴をし、人間達の前で服従する様にと催眠や調教等を繰り返した。

だが、それも長くは続かずに人間達はエルフ達による逆襲を受け、多数の人間達の土地や命等が失われる事になる。

やがて、人間達はエルフ達による更なる侵攻を恐れ、とある一人の勇者にエルフ討伐を依頼したのだった。

~とある城・謁見の間~

国王「そなたが、件の勇者か?」

国王「よく、ここに来てくれた!」

国王「そなたの噂は、よく聞いておるぞ!」

国王「つい先日、魔王を討ち取ったばかりだと言うのに、休む間もなく呼び出して本当に申し訳ない!」

大臣「……」

勇者「はっ! お初にお目に掛かります! 国王陛下!」

勇者「この度は、ご尊顔を拝し恐悦至極に存じ奉ります!」

国王「うむ。面をあげい!」

勇者「……」ムクッ

勇者「して、私めにご用件とは?」

勇者「事態は、急を要するのでしょうか?」

国王「うむ。そうじゃ!」

勇者「……」

国王「大臣。早速、勇者に用件を伝えよ!」

国王「事態は、本当に急を要する!」

国王「このままでは、我ら人間はエルフによって滅ぼされる!」

国王「なんとしても、あの凶暴なエルフ達を一人残らず殲滅するのじゃ!」

大臣「はっ!」

勇者「……」

大臣「おっほん……」

大臣「勇者よ。この度は、よく来てくれた!」

大臣「この大陸では、人間達の力がかなり弱い!」

大臣「いつ、エルフ達の手によって滅ぼされてもおかしくないのだ!」

勇者「……」

大臣「そこで、今のそなたに頼みたい事がある!」

大臣「勇者よ。どうか、この大陸にいる全てのエルフを殲滅してくれ!」

大臣「エルフ達は、ここより南の地域を占領している!」

大臣「どうか、そなたの手で凶暴なエルフ達を全て殲滅してはくれぬか?」

国王「……」

勇者「はっ、しかと承りました!」

勇者「この勇者XXX、必ずやエルフ達を殲滅して見せます!」

大臣「おおっ、そうか!」ニパァ

国王「勇者よ。早速、憎きエルフ達を殲滅してきてくれ!」

国王「あ奴等は、我々人間を殲滅するつもりだ!」

国王「今の我らに、残された時間はあまりない!」

勇者「はっ!」ペコッ

国王「大臣。勇者に、例の物を!」

国王「勇者に、アレを渡すのじゃ!」

大臣「はっ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スッ……

大臣「……」

勇者「……」

大臣「勇者。これを受け取れ!」

大臣「この各国共通の許可証があれば、エルフの里に入る事が出来る!」

大臣「そなたは、この世界を救った英雄だ!」

大臣「その英雄に対して、エルフの里側も手出し出来んだろう!」

勇者「……」

スッ、ギュッ、ギュッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

大臣「勇者。くれぐれも慎重にな!」

大臣「この大陸に住むエルフ達は、かなり手強い!」

大臣「そなた次第で、我ら人間の運命は大きく変わる!」

大臣「正直な所、そなたの住む国や大陸が羨ましい!」

大臣「同じエルフでも、あそこまで違うものかと感心させられてしまうからな!」

勇者「はっ!」ペコッ

国王「……」スッ

兵士達「……」ビシッ

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

国王「勇者。もう下がって良い!」

国王「そなたの健闘を祈る!」

勇者「はっ! 失礼致します!」ペコッ

ムクッ、スッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

もう三作目かよwwwwwwww

>>10
ええ、そうです。
マンボウ書いてる途中に思い付きました。

~とある城・城門~

勇者(結局、詳しい事は聞けず終いか……)

勇者(どこの大陸の国王も、皆あんな感じなのか……)

勇者(しかし、エルフによる侵攻とはまた珍しい……)

勇者(エルフは、永世中立のはずだ……)

勇者(そのエルフが、どうして?……)

勇者(どうして、この大陸ではエルフが人間を襲う?……)

勇者(一体、何がどうなっているのだ?……)

勇者(俺の住む国や大陸では、エルフは割りと友好的だった……)

勇者(魔王軍との決戦の際も、難民保護や医療支援等を申し出てくれていた……)

勇者(それなのに、何故、エルフは人間を襲う?……)

勇者(この国の民達は、何故、そこまでエルフを恐れている?……)

勇者(まさか、この国の民達はエルフに何かしたのか?……)

勇者(以前、他の大陸ではハーフエルフによる大規模な反乱があったみたいだな……)

勇者(それに、ここ最近になって、この大陸には多数のエルフ達が入植をしてきた……)

勇者(これは、絶対に何かある……)

勇者(どうやら、俺の知らない所でまた何か裏で動いている様だな……)

勇者(結局、俺はただの捨て駒に過ぎないと言う訳か……)

勇者(はぁ……)ガクッ

兵士長「……?」チラッ

兵士長「勇者殿、どうなされた?」

兵士長「どこか、気分でも悪いのか?」

勇者「……いえ、別に」

兵士長「なら、早く城内から出られた方が良い!」

兵士長「ここにいたとしても、事態は何も変わらないのだからな!」

勇者「……」

兵士長「勇者殿、聞いておられるか?」

兵士長「門は、もう既に開いておりますど!」

勇者「……」

兵士長「……?」

「所詮、勇者も人の子と言う訳か」

「そんな気持ちで、よく魔王を倒せたな!」

勇者「……」クルッ

兵士長「……」ビシッ

スタスタスタッ、ピタッ……

王子「勇者よ。久し振りだな!」

王子「まさか、再びそなたとここで会おうとは!」ニヤニヤ

勇者「……」ペコッ

王子「相変わらず、そなたは愚かな男だ!」

王子「我が父の誘い等断って、故郷でのんびり暮らしていればいいものを!」ニヤニヤ

勇者「XXXXX王子。そなたか……」

勇者「そなたと、こうして会うのは何年振りだったかな?」

兵士長「……」

王子「かれこれ、もう一年だ!」

王子「そなたこそ、よくあの国王の下で未だに仕えておるな!」ニヤニヤ

勇者「……」

王子「それで、どうする?」

王子「このまま、そなたは逃げ出すか?」

王子「今度の敵は、エルフ族10万!」

王子「それも、各大陸に住むエルフ達が、挙って続々とこの我々がいる大陸にまで大移動してきておるぞ!」ニヤニヤ

勇者「XXXXX王子。それは誠か?」

勇者「何故、各大陸に住むエルフ達が、挙って大移動をしてきてるのだ?」

王子「……」ニヤニヤ

勇者「そなた、一体何を隠している?」

勇者「何故そこまで、そなた達は情報を統制しているのだ?」

王子「……」ニヤニヤ

勇者「頼む! どうか教えてくれ!」

勇者「一体、この大陸では何が起こっているのだ?」

王子「……」ニヤニヤ

兵士長「……」

王子「勇者XXX。それに関しては何も話せん!」

王子「父上から、あまり勇者にはこの件の事を話すなと言われてる!」

王子「それに、これもそなたに課せられた試練だ!」

王子「勇者なら勇者らしく、自分の手で情報を集めるんだな!」ニヤニヤ

勇者「……」

王子「兵士長。勇者を出せ!」

王子「これから、また別の客人が来る!」

王子「ここに、勇者が留まっていても何も意味もない!」

王子「今の我らには、あまり時間がないのだからな!」ニヤニヤ

兵士長「はっ!」

兵士長「勇者殿。王子様からの命令だ!」

兵士長「早急に、この城から立ち去られよ!」

兵士長「さぁ、早く!」

勇者「……」

兵士長「勇者殿。もう一度警告する!」

兵士長「早急に、立ち去られよ!」

兵士長「聞こえておるのか!」

勇者「……」

兵士長「……」

王子「……」

勇者「XXXXX王子。これだけは、言っておく!」

勇者「今のそなたも、かなり愚かだ!」

勇者「それだけは、十分に覚えておけ!」

王子「ああ、了解した!」ニヤッ

兵士長「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

王子「勇者XXX。達者でな!」

王子「不義の子なら不義の子らしく、自身が生まれながらに背負った罪を存分に償え!」ニヤニヤ

勇者「……」ピタッ

王子「それと、民達に聞いても何も情報は得られんぞ!」

王子「この地では、たとえそれが相手が勇者であろうと、全く同じ事だ!」

王子「以前、そなたがしていた事についても、この地にまで聞き及んでおる!」

王子「特に、そなたの父の事についても!」

王子「今のそなたは、本当に罪深き存在なのだからな!」ニヤニヤ

勇者「……」クルッ

王子「……」ニヤニヤ

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ギギィーーーーッ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャ----ン……

過去作あんの?

>>22

◇一作目
魔女「もう最悪だわ……」

◇二作目
マンボウ「あの、私、ただの魚なんですけど……」

タイトルを検索したら、すぐに出てきます。
今作とは、あまり繋がっていません。

~とある城下町・中央広場~

「なぁ、お前知ってるか?」

「今、この国に勇者が来ている様だ!」

「これで、俺達も安心して暮らしていける!」

「やはり、神は俺達を見捨ててはいなかった様だな!」

魔法使い「……」

「けど、その問題の勇者様とやらは、一体どこに?」

「俺達、まだその勇者様とやらには会えず終いなんだが」

「おまけに、各地のエルフがこの大陸に入ってきた!」

「エルフ側も、本気で俺達の事を潰す気なんだ!」

「だが、天は俺達の事を見捨ててはいない!」

「その証拠に、勇者がこの国に来た!」

「ようやく、俺達の陳情が通ったんだ!」

「これで、エルフ達も一人残らず奴隷にしてやる事が出来るんだ!」

魔法使い「!?」

「でもよ、今の俺達エルフに勝てるんか?」

「俺は、別の大陸にて多数のエルフ達の姿を見てきた」

「そいつら、かなり弱々しかったぞ!」

「俺達の住む大陸と違って、向こうのエルフはかなり温厚で大人しい性格の様なんだ!」

魔法使い「……」

「なら、何でこっちのはやけに狂暴なんだ?」

「それなら、俺達も向こうの方が良い!」

「さぁな」

「俺が知るかよ」

魔法使い「……」

「まぁ、もうすぐエルフ達も屈服するんだ!」

「これで、安心して夜を迎える事が出来る!」

「でも、今から20年くらい前に起きた大規模な反乱みたいにならないと良いがな!」

「あん時は、本当にかなりヤバかったらしいが!」

魔法使い「……」

「おいっ! お前ら何を騒いでる?」

「今から、牢屋にでもぶちこんでやろうか?」

「げっ!?」

「やべっ!」

魔法使い「……?」

「全く、お前らいつもこうなんだな!」

「無駄話している暇があるなら、さっさと持ち場に戻れ!」

「へい!」

「了解しやした!」

魔法使い「……」

「それと、貴様らもうこれで三回目だぞ!」

「お前ら、一体いつになったら体で覚えるんだ!」

「へぇっ、すんません!」

「全く、これだから最近の若いもんは……」

「貴様ら、次なんかあったらクビだかんな!」

「へいっ!」

魔法使い「……」

「後、お前らちゃんと給金も事務所に取りに来い!」

「本当に、何でいつもお前らばかり問題起こしてんだ?」

「へいっ! すんません!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

戦士「すまん。待たせたな!」

戦士「少し、買い物に手間取った!」

魔法使い「そう」

戦士「お前、何かまた魔法でやってたのか?」

戦士「お前の目、完全に変わってたんだが」

僧侶「ええ、そうですね!」

魔法使い「……」

戦士「それで、勇者はまだか?」

戦士「まだ、ここの国王と謁見してるのか?」

魔法使い「うん。そうみたい」

戦士「本当に、勇者は何を考えているんだか」

戦士「相変わらず、勇者が何考えてんだか全く解らねぇよ」

魔法使い「……」

スッ、ドサッ……

ガサガサッ、ガサガサッ……

戦士「おっ、あった」

魔法使い「……?」

スッ、ムキムキッ……

ムキムキッ、ムキムキッ……

スッ、モグモグッ……

モグモグッ、モグモグッ……

戦士「ああっ、美味い……」

戦士「やっぱり、ドライソーセージは美味いなぁ……」

僧侶「……戦士」

魔法使い「あんた、何でそれ食べてんのよ?」

魔法使い「それ、携帯食じゃなかったの?」

戦士「ああ、そうだけど」モグモグッ

僧侶「戦士。太るよ」

僧侶「本当に、戦士ってばよく食べるよね?」ジーーッ

戦士「……」モグモグッ

魔法使い「はぁ……男って何でこんなに馬鹿なんだか……」

魔法使い「しかも、それ別に皮なんか剥かなくても良かったはずなんだけど……」ジーーッ

戦士「え? そうなのか?」ピタッ

僧侶「へぇ~っ」

魔法使い「とりあえず、勇者はまだ戻ってきてないわ」

魔法使い「またどうせ、一人でぶらついてんじゃない」

僧侶「ええ、そうかもしれませんね」クスッ

戦士「けどよ、何でここの民達はエルフなんかを恐れてんだ?」

戦士「そんなに、あいつらは狂暴な種族なのか?」

魔法使い「さぁ……」

僧侶「とりあえず、勇者様がまだ戻ってきてませんし、暫くはここで待つ事にしましょう!」

僧侶「勇者様も、あれはあれでお忙しいお方ですし!」

僧侶「私達の任務は、勇者様とは別行動で情報収集!」

僧侶「あくまで、勇者様の側にいるのはついでなんですからね!」ニコッ

戦士「ああ、そうだな!」

魔法使い「ええ、そうね!」ニコッ

僧侶「……」ニコニコ

~とある城下町・酒場~

老剣士「そろそろ、来る頃だと思ってたぞ!」

老剣士「そなた、やはりエルフの里に向かうみたいだな!」

老剣士「それで、そなたは何が聞きたい?」

老剣士「今のそなたは、本当にエルフ達を殲滅出来るのか?」

勇者「……」

魔導師「生憎、俺達はお前と組む気はない!」

魔導師「俺達は、ただこの大陸に観光に来ているだけだ!」

魔導師「そなたの話は、よく聞いておる!」

魔導師「本当に、そなたはあの腰抜けの息子とは思えぬな!」

勇者「師匠。本日、お伺いしたのは他でもない」

勇者「この大陸では、何か良からぬ事が起きてしまっている!」

勇者「試しに、この国の民達から情報を集めてはみたが、何も得れなかった!」

勇者「一体、この島で何が起きているかについてをお聞かせ願いたい!」

老剣士「……」

魔導師「勇者XXX。そなた、エルフの奴隷を見た事があるか?」

魔導師「そもそもの事の発端は、エルフの奴隷達だ!」

魔導師「昔から、我々人間はエルフに対して嫉妬してきた!」

魔導師「いつか必ず、エルフを越えるとそう思い続けてきた!」

スッ、コトッ……

魔導師「だが、所詮、人間はエルフには勝てなかった!」

魔導師「人間には、必ずしも限界がある!」

魔導師「これまで、人間はエルフに対して何度も戦を仕掛けた!」

魔導師「何をしても、人間はエルフには敵わなかったと言う訳だ!」

勇者「……」

魔導師「そこで、人間達はある賭けに出た!」

魔導師「自分達の持てる力をフルに発揮し、一部のエルフ達を弱体化させる事には成功したのだ!」

魔導師「しかし、それも結局は長くは続かずエルフ達による逆襲に遭い、全てが無に返した!」

魔導師「特に、あの憎き一人のハーフエルフの手によってな!」

魔導師「あ奴だけは、本当に赦しがたい存在なのじゃ!」ダン

老剣士「魔導師。落ち着け!」

老剣士「また、体調を悪くするぞ!」

老剣士「お前、つい最近まで入院していたのだろ?」

老剣士「また、そなたの体調が悪くなる一方だぞ!」

魔導師「くっ……」ギリッ

勇者「ですが、所詮ただの一人のハーフエルフ!」

勇者「それ以上でも、それ以下でもない!」ダン

魔導師「……」ギリギリッ

老剣士「だが、そうも行かなかった!」

老剣士「あ奴だけは、何度殺しても再び我々の前に立ちはだかった!」ダン

老剣士「おまけに、そいつは今エルフの里におる!」

老剣士「エルフの里で、女侯爵XXXXXXと名乗り、エルフの里ではかなりの権力者となった!」

老剣士「そなた、今から23年前に起きたハーフエルフの反乱は知っておるか?」

老剣士「その首謀者こそが、その女侯爵XXXXXX!」

老剣士「あ奴の所為で、俺達の国は滅ぼされた!」

老剣士「今では、完全にエルフの里の属領なのだ!」ギリギリッ

勇者「!?」ガーーン

魔導師「……」ギリギリッ

店主「……」ピタッ

店員「……」ピタッ

魔導師「勇者XXX。そなた、本当に大丈夫なのだな?」

魔導師「あの憎きエルフ達を、そなたは一人残らず殲滅する事が出来るのか?」ギリギリッ

勇者「……」

魔導師「まぁ、魔王を討ち取ったそなたなら大丈夫だろう?」

魔導師「ただ、今回の相手はエルフ族およそ10万!」

魔導師「更には、各大陸から完全武装した多数のダークエルフ及びハーフエルフの姿が確認された!」

魔導師「もう既に、各大陸にて捕らわれていたエルフ達もまた続々と帰還!」

魔導師「その上、各国の王公貴族達も挙ってエルフの里には和議を申し入れている始末!」

魔導師「所詮、今の我々人間では、あの憎きエルフ達にはとても敵わん!」

魔導師「つい先日、見事に魔王を討ち取ったそなた以外は、とても無力な存在なのだ!」ギリギリッ

勇者「……」

魔導師「……」

老剣士「……」

店主「……」

店員「……」

勇者「……」

魔導師「……」

老剣士「……」

店主「……」

店員「……」

勇者「師匠。いくつか、質問があります」

勇者「師匠は、何故、共に戦ってはくれぬのですか?」

勇者「師匠は、相手の事をよく熟知しているのでしょ?」

勇者「師匠も、この私めに同行して頂ければ良いと思うのですが」

老剣士「……」

勇者「それに、その問題のハーフエルフとやらが、本当にそれだけの地位や力を持っているのですか?」

勇者「エルフは、ハーフエルフに対してかなり差別的だ!」

勇者「ダークエルフとも、敵対関係にあるはずです!」

勇者「それなのに、何故、エルフの里と手を組んでいるのです?」

勇者「今の私には、それがとても理解出来ない!」ギリッ

老剣士「勇者XXX。自惚れるな!」

老剣士「その自惚れるや過信は、自身の死を招く!」

老剣士「俺達も、幾度もなくあ奴に戦いを挑んだ!」

老剣士「時には、あ奴に対して一騎討ちを申し込み、見事なまでに惨敗を喫する程の強さなのだからな!」

勇者「!?」ガーーン

魔導師「だが、我々にも勝機はある!」

魔導師「見事、魔王を討ち取ったそなたがおる!」

魔導師「勇者XXX。よろしく頼むぞ!」

魔導師「我らの代わりに、憎きエルフ達を殲滅してきてくれ!」ペコッ

勇者「なっ!?」

勇者「魔導師XX。頭をお上げ下さい!」

勇者「立場的には、あなたの方が遥かに上だ!」

魔導師「……」

老剣士「勇者XXX。それは出来んな!」

老剣士「今の我らには、そなたこそが唯一の希望なのだ!」

勇者「しかし……」

老剣士「エルフの里は、ここより南の深い森に位置している!」

老剣士「しかし、油断は禁物だぞ!」

老剣士「あの憎きハーフエルフが里に入ってから、我ら人間の犠牲が格段に上がっておる!」

老剣士「あの憎きハーフエルフがエルフの里で力を持ってから、弱体化させていたはずのエルフ達ですら元の力を取り返し始めとるのだ!」

老剣士「勇者XXX。くれぐれも慎重にな!」

老剣士「今の俺達には、本当にどうにも出来ん!」

老剣士「そなたこそが、我々人間にとっては唯一の希望!」

老剣士「必ずや、憎きエルフ達を一人残らず殲滅してくれると信じておる!」ニコッ

勇者「……」

魔導師「勇者XXX。道中を気を付けてな!」

魔導師「そなたとは、もうこれで最後になるかもしれん!」

魔導師「たとえ、そなたが死んだとしてもすぐに蘇らせてやる!」

魔導師「だから、そなたは何も心配はする必要はない!」ニコッ

勇者「……」

勇者「師匠。誤魔化さないで下さい!」

勇者「ただ単に、あなた達は理由を付けて向こうに行きたくないだけでしょ?」

勇者「師匠達がついて来てくれたら、エルフ達には確実に勝てます!」

勇者「ですから、私について来て下さい!」

老剣士「無理だ!」

魔導師「同じく!」

勇者「……」

老剣士「皆の者、勇者をここから出せ!」

老剣士「ここに留まらせていても、どうにもならん!」

老剣士「だから、早く勇者をここから叩き出すんだ!」スッ

スッ、ゴトゴトッ……

ゴトゴトッ、ゴトゴトッ……

店主「……」

店員「……」

勇者「!?」ガーーン

店主「勇者様、営業妨害です! どうかご退店を!」

店主「たとえ、相手が勇者様であろうとも容赦はしません!」

店主「俺達にとって、あんたは唯一の希望なんだ!」

店主「こんな所で弱音吐いてないで、さっさとエルフ討伐に行きやがれ!」

店員「そうだ! そうだ!」

老剣士「勇者XXX。さっさと行け!」

老剣士「行かぬなら、この俺が実力行使するまでだ!」

老剣士「そなた、仮にも勇者なのだろ?」

老剣士「日々、常日頃から困っている民達が目の前にいるのに、そなたはそれを見捨てて逃げる事しか出来ないのか?」

魔導師「……」ムクッ

スッ、カチャ……

勇者「……」

店主「勇者様。どうか、ご退店を!」

店主「今なら、まだ間に合う!」

店主「ほらっ、さっさとあの爺さん達に殺される前に行きやがれ!」

スッ、ムクッ……

スッ、ジャラジャラ……

勇者「マスター。ここに酒代は置いてく」

勇者「店内を騒がして、悪かったな」

店主「あいよ!」

店員「……」

勇者「師匠。俺の仲間達を頼みます!」

勇者「仲間達には、一人でエルフの里に向かったとお伝え下さい!」

老剣士「ああ、了解した!」

魔導師「……」

スッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

ガチャ、キキィーーッ……

スタスタスタッ、バタン……

老剣士「……」

魔導師「……」

店主「ほっ……」

店員「ほっ……」

相変わらず主人公に厳しい

>>51
勇者は、色々と悪評を流されていますから。

~とある城下町・中央広場~

戦士「なぁ、魔法使い」

戦士「お前、さっきから何やってんだ?」

戦士「お前の目、まだ変わったまんまなんだけど」

僧侶「ええ、そうですね」

戦士「まさか、また何か良からぬ事を企んでいるとか?」

戦士「お前の目、本気でヤバそうな感じがしてるんだが」

戦士「一体、さっきから何やってんだよ」

僧侶「……」

スッ、ムクッ……

魔法使い「戦士。少し黙って」

魔法使い「今、まさに勇者が私達を素通りしようとしてる」

魔法使い「あいつ、このまま一人で行くつもりなのかしら?」

魔法使い「今さっき、近くの酒場から出てきたみたいだし」

戦士「え?」

僧侶「……」クルッ

魔法使い「……」

僧侶「……」キョロキョロ

僧侶「……」キョロキョロ

僧侶「あっ……」

僧侶「ねぇ、戦士」

僧侶「勇者様って、あんな服装してたっけ?」

僧侶「勇者様、何故か鎖帷子着てるけど」

僧侶「あまり、あの格好は似合わないね」

僧侶「勇者様。何も顔まで変えていなくても」

戦士「え? どこどこ?」キョロキョロ

僧侶「ほらっ、あそこ」クイッ

戦士「……あっ」ハッ

魔法使い「……」

勇者「……」ハッ

魔法使い「あいつ、何で鎖帷子なんて着てるのよ?」

魔法使い「しかも、しっかりと冑まで新しくしてしまってるし」

魔法使い「つい昨日まで、ただの革鎧だった癖に」

魔法使い「あれもしかして、密かに隠し持っていたのかしら?」

戦士「さぁ」

僧侶「……」

戦士「とりあえず、勇者どうすんだ?」

戦士「あのまま、一人で行かしちまうか?」

魔法使い「ええ、そうね!」

僧侶「それが、勇者様の選んだ道なのならば!」

魔法使い「勇者。せめて、私達に前もって言って行ってよ!」

魔法使い「これだから、あんたの前の仲間も苦労したりするのよ!」

魔法使い「あんた、私達と知り合う前にも仲間全滅させてしまってるし!」

魔法使い「そんなんだから、前の仲間に悪評を流されてしまうのよ!」イラッ

僧侶「ええ、そうですね!」イラッ

戦士「全くだ!」イラッ

勇者「……」ピクッ

魔法使い「……」ジーーッ

戦士「……」ジーーッ

僧侶「……」ジーーッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」ジーーッ

戦士「……」ジーーッ

僧侶「……」ジーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

勇者「ふぅ……」

勇者「すまん。待たせたな」

魔法使い「お帰り。勇者」

魔法使い「鎧、新調したみたいね」

魔法使い「何も、鎖帷子は無いんじゃない?」

魔法使い「昨日まで使ってた革鎧はどこいったのかしら?」

僧侶「……」ジーーッ

戦士「……」ジーーッ

勇者「ああ、これか?」

勇者「これは、ちょっと見映えを良くする為に買っておいた!」

勇者「俺の今の姿、前よりは断然良くなっているだろ?」

勇者「勇者たる者、見た目もかなり重要だからな!」ニッコリ

魔法使い「ふぅん。そうなんだ」

魔法使い「あんた、私達と出会った時は、かなり貧相だったからね!」

魔法使い「出来れば、今みたいな威厳ある時に出会いたかったなぁ!」

魔法使い「そしたら、私達もあんたにもう少しは優しく出来たのに!」

僧侶「ええ、そうですね!」

戦士「全くだ!」

勇者「……」

魔法使い「とりあえず、あんたどうするの?」

魔法使い「私達、これから急な用事が出来てしまったんだけど?」

勇者「!?」ガーーン

魔法使い「勇者。早く顔戻したら?」

魔法使い「服装はともかく、今のあんたの顔は明らかに詐欺よ!」

勇者「……」

魔法使い「それに、あんたこの大陸の言語解るの?」

魔法使い「私と僧侶は、普通に話せるけど」

勇者「……いや、それが」

戦士「勇者。お前、話せるのか?」

戦士「俺すら、僧侶に通訳して貰わないと買えなかったんだが」

勇者「え?」

魔法使い「……」ジーーッ

僧侶「勇者様。凄いですね!」

僧侶「勇者たる者、武芸だけではやっていけませんからね!」

勇者「……いや、あの、それが」

戦士「勇者。いつ習った?」

戦士「やっぱり、勇者になるには武芸だけではやっていけないんだな」

勇者「……」

魔法使い「とりあえず、あんたにこれ渡しとくわ」

魔法使い「これを飲めば、あんたは一時的だけど他国の言語が話せる様になる」

魔法使い「そろそろ、あんたの飲んでる薬の効果が切れる頃でしょ?」

魔法使い「これ使わなきゃ、あんたが他国の言語を話せる訳がないからね」スッ

僧侶「魔法使い。どう言う事?」

僧侶「勇者様は、その怪しげな薬を使って他国の言語を操っていたの?」

魔法使い「ええ、そうよ!」

僧侶「これ、かなり怪しいですよね?」

僧侶「こんな怪しげな小瓶に入った薬は、私見た事がない!」

戦士「……」ジーーッ

勇者「……」

魔法使い「勇者。どうかしたの?」

魔法使い「早く、これ受け取りなさいよ」スッ

勇者「え? ああ、すまん……」スッ

魔法使い「後、あんたの分の水や食料等も買い込んどいたわ!」

魔法使い「これ全部、あんたの実家に請求が行くから!」

勇者「!?」ガーーン

魔法使い「それと、あんたのお父さんも可哀想にね!」

魔法使い「また、あの奥さんの元から逃げるのを失敗したみたい!」

魔法使い「まぁ、さすがにあれはないわね!」

魔法使い「不倫現場を、奥さんに押さえられちゃっていたんだから!」

勇者「……」ガクッ

戦士「ああ……」

僧侶「最低……」

魔法使い「でも、あんた今お金有り余ってんだから大丈夫でしょ?」

魔法使い「見事に魔王を討ち取って、あの糞国王から大金を貰えたんだし!」

勇者「ああ、まあな……」

魔法使い「それなら、もっと他に使い道があると思うわ!」

魔法使い「まぁ、剣や盾もそれっぽく新調してるみたいだし!」

魔法使い「本当に、最初から今みたいな姿で会いたかったなぁ!」

魔法使い「それに、今みたいに男前だったら、少しは体くらいは許せたんだけどなぁ!」

僧侶「……」コクン

戦士「全くだ!」

勇者「……」

勇者「僧侶。俺の分の荷物を」

勇者「俺は、これからエルフの里に向かう」

勇者「お前ら、何でそんなに俺に冷たいんだ?」

勇者「皆、俺に対して冷たすぎるだろ?」

魔法使い「うん!」ニッコリ

僧侶「何か問題でも?」ニッコリ

勇者「……」

戦士「勇者。それは、仕方ないんだ!」

戦士「お前の前の仲間が悪評流しまくってるんだから!」

勇者「くっ……」ガクッ

魔法使い「それに、私の兄は未だに苦しんでいるわ!」

魔法使い「もう二度と、刃物どころか丸い棒すら握れなくなった!」

魔法使い「本当に、あんたも親やその伯父に似るのね!」

魔法使い「突如、女に狂って、自身の仲間すら蔑ろにして殺す!」

魔法使い「その所為で、私の兄は未だに入院してるのよ!」

魔法使い「私だけでなく、僧侶や戦士の兄も全く同じ目に遇わされているんだから!」ギリッ

勇者「……」

戦士「……」ギロッ

僧侶「……」ギリッ

勇者「……」

勇者「皆、すまん」

勇者「これに関しては、皆、俺の責任だ」

勇者「俺の事を恨みたければ、好きなだけ恨め」

勇者「今の俺は、何も言い返す事は出来ない」

魔法使い「……」

スッ、コトッ……

魔法使い「まぁ、あんたはあんたで色々と苦しんでいるんだから、少し楽になるわ!」

魔法使い「私達の兄も、あんた同様にあの糞国王からそれに似合う富と名誉等は受け取っているんだから!」

魔法使い「けど、これだけは覚えておきなさい!」

魔法使い「あんたの犯した罪は、一生消えないって!」

魔法使い「結局、兄も兄で馬鹿だったんだし」

魔法使い「確か、あんたとは王都にある酒場で出会ったんだったわよね?」

魔法使い「そこで、私の兄はあんたと息投合をし……」

魔法使い「一緒に仲良く酒を飲み交わした仲だけでなく、同じ女を抱いた穴〇弟でもあるんだからね……」ガクッ

戦士「……」ガクッ

僧侶「……」ガクッ

勇者「……」ムクッ

魔法使い「……」

戦士「……」

僧侶「……」

勇者「とりあえず、俺はもう行くな」

勇者「これから、エルフの里に向かわなければならない」

勇者「お前達、達者でな」

勇者「兄達にも、宜しく伝えといてくれ」

魔法使い「……ええ」ムカッ

スッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」チラッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……勇者」

戦士「あいつ、本当に行っちまったな」

戦士「本当は、一人では行きたくなかった癖に」ムクッ

魔法使い「ええ、そうね」

僧侶「でも、これはこれでもう仕方ないと思います」

僧侶「私達普通の人間では、エルフには到底叶わない!」

僧侶「それが出来るのは、見事に魔王を討ち取った勇者様唯お一人!」

僧侶「実際、私達には祈る事しか出来ません!」

僧侶「全ては、神から与えられた定めなのですからね!」ムクッ

戦士「ああ、そうだな……」

魔法使い「兄さん……」

戦士「とりあえず、もうすぐ昼だし酒場に行こう」

戦士「そこに、魔導師XX様がいる」

戦士「本日の宿は、そのすぐ横だ」

戦士「まだ、俺達の任務は終わっていないんだからな」

魔法使い「ええ、そうね」

僧侶「……」コクン

クルッ、スタスタスタッ……

スッ、ササッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある城・大臣の執務室~

密偵「報告! 勇者XXXがエルフの里に向かいました!」

密偵「同行者三名は、勇者とは別行動を取っている模様!」

密偵「今現在、同行者三名は城下町にある酒場XXにて、魔導師XX様と接触!」

密偵「魔導師XX様も、特に動きはありません!」

大臣「……」

密偵「大臣様。如何致しますか?」

密偵「このまま、勇者XXXの内偵を続行させましょうか?」

大臣「ああ、頼む」

密偵「はっ!」

大臣「しかし、勇者XXXも災難だな」

大臣「魔王を倒してすぐ、今度はエルフ狩りとはな」

大臣「それに、老剣士XXXの動きも気になる」

大臣「この町には、本当に観光か何かで来ているのだろうか?」

密偵「……」

大臣「密偵。老剣士XXXの近くに人員を増やせ!」

大臣「場合によっては、老剣士XXXも勇者と共に災いの元となる!」

大臣「老剣士XXXは、過去に数々の赦しがたい罪を犯してきた極悪人だ!」

大臣「あの者にも、これまで以上に監視の目を光らせておけ!」

密偵「はっ!」

勇者がエルフ討伐に旅立ったその日、エルフの里でも動きがあった。

勇者が来るのに備えて、エルフの里を治める女王は里全体に厳戒体制を敷いたのだった。

それに比べて、勇者の同行者は一人もなし。

皆、勇者の悪評を鵜呑みにし、誰一人として勇者に同行をする者はいなかった。

だが、勇者はそんな事を気にも留めなかった。

勇者は勇者で、もう既に諦めがついていたからだ。

そして、勇者は今いる大陸を南に徒歩でゆっくりと進んで行き……

偶々見つけた廃墟にて、一晩を明かす事にしたのだった。

>>77
少しだけ繋がってます。
今作は、魔女の23年後の話です。

~とある平原~

その日の夜――

傭兵隊長「ああっ、こりゃあもう手遅れだな……」

傭兵隊長「この傷だと、とても治りようがない……」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔術師「……」ブツブツ

傭兵隊長「今日だけでも、一体何人死んだ?」

傭兵隊長「何度俺は、部下達の死ぬ瞬間を見れば気が済むんだ!」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔術師「……」ブツブツ

傭兵隊長「魔術師。もう止めろ……」

傭兵隊長「それ以上やっても、副長はもう助からない……」

魔術師「ですが!」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

傭兵隊長「もうこれ以上、部下が苦しむのは見てられない……」

傭兵隊長「ここは、俺が止めを刺してやる!」

魔術師「!?」ガーーン

傭兵副長「……えっ?」ガーーン

スチャ、スラァ----ン……

スッ、シャキン……

傭兵隊長「副長。ご苦労だった……」

傭兵隊長「今までよく、俺に仕えてくれた……」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

傭兵隊長「今から、俺が止めを刺してやる!」

傭兵隊長「だから、お前も安らかに眠れ!」

魔術師「いやああああああああ――――――――っ!?」

ブオーーーーーーーーン……

傭兵隊長「!?」ビクッ

ズザーーーーーーーーッ……

傭兵隊長「はぁ、はぁ、はぁ……」ビクビクッ

傭兵隊長「おっ、お前何すんだ?……」

傭兵隊長「いきなり、そんな怪音波みたいな大声を出すな!……」ビクビクッ

魔術師「だって……」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」ビクビクッ

傭兵隊長「お前、かなりバカだな!……」

傭兵隊長「また、モンスターが出てきたらどうすんだよ!……」ビクビクッ

魔術師「あっ……」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」ビクビクッ

魔術師「でも、私悪くないもん……」

魔術師「隊長が、副長に止め刺そうとするのが悪いんだもん……」ウルウル

傭兵隊長「いや、これ無理だろ……」

傭兵隊長「この状態じゃあ、もう助からねぇ……」

魔術師「……」ウルウル

傭兵隊長「だから、ここは俺が止めを刺してやるんだ!」

傭兵隊長「それが、隊長としての俺の務めなんだ!」

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔術師「でも、まだ助かる可能性があるかもしれませんよ……」

魔術師「副長。まだ息がありますし……」ウルウル

傭兵副長「はぁ、はぁ、はぁ……」

傭兵隊長「……」

傭兵隊長「だが、この状態じゃあもう無理だ!」

傭兵隊長「お前は、大人しくそこで見とけ!」

魔術師「いやああああああああ――――――――っ!?」ウルウル

ブオーーーーーーーーン……

傭兵隊長「!?」ビクッ

ズザーーーーーーーーッ……

傭兵副長「……」ガクッ

魔術師「あっ……」

魔術師「副長――――――――っ!?」ウルウル

傭兵副長「……」チーーン

傭兵隊長「……お前、止め刺したな」

傭兵隊長「こう言うのは、本来俺がするべきなんだよな……」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「まぁ、これで副長も天に昇った……」

傭兵隊長「後は、どう一矢報いるか……」

魔術師「……」ポロポロッ

スチャ、カシャン……

傭兵隊長「魔術師。穴を掘れ」

傭兵隊長「副長を、今から埋葬する」

傭兵隊長「だから、早く魔法で穴を掘るんだ」

傭兵隊長「魔術師。聞こえたか?」

傭兵隊長「早く、穴を掘るんだ」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「仕方ない。こいつも始末するか……」

傭兵隊長「まぁ、その前に味見くらいはしても良いだろうけど……」

魔術師「……」ポロポロッ

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

傭兵隊長「……ん?」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

傭兵隊長「誰かいるのか?」キョロキョロ

ガサッ……

「おっ、人がいたな」

「さっきの悲鳴は、お前達なのか?」

傭兵隊長「ああ、そうだ!」

魔術師「……?」ポロポロッ

「生憎、この辺にはモンスターはいない」

「何故か、モンスターどころか、人一人すら見かけなかったからな」

ガサガサッ、ピタッ……

傭兵隊長「なっ!?」ハッ

魔術師「……」クルッ

勇者「……」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」チーーン

勇者「……」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」チーーン

勇者「どうやら、生きているのは二人だけか」

勇者「ここの平原、やけに静か過ぎるだろ」

魔術師「あなた、一体何者?……」

魔術師「見た所、この辺りの人じゃないみたいね……」ポロポロッ

勇者「ああ、そうだが」

魔術師「一体、ここに何しに来たの?……」

魔術師「この辺りは、もう立ち入り禁止区域に指定されているんだけど……」ポロポロッ

勇者「ん? そうなのか?」

傭兵隊長「……」

スチャ、スラァ----ン……

魔術師「……」ポロポロッ

スチャ、シャキ……

勇者「おいおい。そう身構えるな!」

勇者「俺は、お前達の国の国王からの許可を得てここに入ったんだ!」

魔術師「え?」ポロポロッ

勇者「おっと、申し遅れた!」

勇者「俺の名は、勇者XXX」

勇者「つい先日、魔王を倒してすぐ今度はエルフ狩りを命じられた、ただの旅人だよ!」

魔術師「――――――――っ!?」ポロポロッ

傭兵隊長「なん……だと……!?」ガーーン

魔術師「……」ポロポロッ

スッ、ポトッ……

魔術師「あなた、今の冗談でしょ?……」

魔術師「あの味方殺しの勇者が、こんなにイケメンの訳がない……」ポロポロッ

勇者「……」

魔術師「それに、私が聞いてたのは、とても貧相な装備……」

魔術師「こんな威厳と覇気が出ているなんて、何かの間違いよ……」ポロポロッ

傭兵隊長「ああ、そうだな……」

勇者「……」

魔術師「それで、その勇者様が何でここにいるの?……」

魔術師「あなた、本当は偽物とかじゃないの?……」ポロポロッ

勇者「違う」

傭兵隊長「なら、それを今から証明してみろ……」

傭兵隊長「今のお前、本当に本物の勇者かどうかが疑わしい……」

勇者「ああ、了解した」

魔術師「……」ポロポロッ

スッ、ストッ……

パサッ、ガサガサッ……

ガサガサッ、ガサガサッ……

スッ……

勇者「ほれ」シュッ

傭兵隊長「……」パシッ

シュルシュル、シュルシュル……

パサパサッ、ピシャ……

傭兵隊長「……」

魔術師「……」チラッ

傭兵隊長「……」

魔術師「……」ポロポロッ

傭兵隊長「うむ。確かに……」

魔術師「あっ……」ガーーン

勇者「……」

魔術師「……」クルッ

傭兵隊長「失礼。ウチの部下が、あんたの事を疑って悪かった」

傭兵隊長「この辺りは、歴代の勇者すら訪れる事のない場所だったからな」

魔術師「……」ペコッ

傭兵隊長「それで、あんたここに何しに来た?」

傭兵隊長「あんた、本当にあのエルフ達を狩りに来たのか?」

勇者「ああ、そうだ!」

傭兵隊長「その割りには、お供すらいないな」

傭兵隊長「皆、もうあんたの側からいなくなったのか?」

勇者「ああ、そうだ」

魔術師「……」スッ、フキフキ

魔術師「隊長。ここは、一端別の場所で話を聞きましょう」

魔術師「この近くに、今は使われていない小屋があります」

魔術師「もうすぐ日も暮れてきますし、モンスターがいつ出てくるかも分かりません」

魔術師「勇者様。あなたも私達とご同行を」

魔術師「勇者様がエルフ討伐に加わって頂けるのなら、少しは勝率が上がるみたいなので」シャキン

勇者「ああ、了解した」

傭兵隊長「宜しく頼む」スッ

勇者「ああ」スッ

ザッザッザッ、ピタッ……

ギュッ、ギュッ……

傭兵隊長「副長、すまん。また明日な」

傭兵隊長「明日の朝、他の皆と一緒に埋葬をしてやる」クルッ

傭兵隊長「それまで、どうか食われないでいてくれ」

傭兵隊長「明日の朝、必ず埋葬をしてやるから」

傭兵副長「……」チーーン

魔術師「副長。短い間でしたが、お世話になりました」

魔術師「あなたの奥様には、勇敢に戦ったと伝えておきます」クルッ

魔術師「ですから、どうか化けて出てこないで下さい」

魔術師「個人的には、アンデットと化した副長とは戦いたくはないんで」ビシッ

傭兵隊長「ああ、そうだな」ビシッ

勇者「とりあえず、その小屋まではどれくらい掛かる?」

勇者「一体、この辺りはどうなっているのだ?」

魔術師「……」

傭兵隊長「この辺りは、さっきも言った通りに立ち入り禁止区域だ!」

傭兵隊長「ここ最近、やけにモンスターの動きが活発になってきてやがる!」

傭兵隊長「それもこれも、あの狂暴な女エルフ達が現れてからだ!」

傭兵隊長「皆、あいつの所為でこんな目に遭っているんだ!」ギリッ

魔術師「……隊長」

勇者「……」

傭兵隊長「……」プルプル

魔術師「隊長。もう移動しましょう!」

魔術師「今の私達には、勇者様がついていらっしゃいます!」

魔術師「明日、必ず副長達の敵を討ちましょう!」

魔術師「今の私達まで死んだら、副長達も深く悲しんでしまいますよ!」ニッコリ

傭兵隊長「……」プルプル

魔術師「だから、今はまだ我慢してて下さい!」

魔術師「いずれ必ず、皆の敵は取れるんです!」

魔術師「今の私達には、勇者様がいらっしゃいます!」

魔術師「あの方がいらっしゃれば、全て上手く行くんですからね!」ニコニコ

傭兵隊長「ああ、そうだな……」プルプル

勇者「魔術師。早速、そこに案内をしてくれ」

勇者「早くしないと、またモンスターと遭遇をする」

魔術師「はい。かしこまりました」

勇者「隊長。早く行くぞ!」

勇者「ここにいたら、俺達までどうなるかが全く分からないからな」

傭兵隊長「ああ、了解した……」プルプル

魔術師「……」

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

~とある小屋前~

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ……

勇者「ここか?」

魔術師「はい。そうです」

傭兵隊長「かなり、荒れ果てているな」

勇者「……」

傭兵隊長「魔術師。中を確認しろ」

傭兵隊長「まだ、誰かいるかもしれない」

魔術師「はい」

勇者「……」

ザッザッザッ、ピタッ……

ガチャ、キキィーーーーッ……

魔術師「……」

スッ、スチャ……

ザッザッザッ、ピタッ……

魔術師「……」キョロキョロ

魔術師「隊長。異常ありません」

魔術師「中には、誰もいない様です」

傭兵隊長「うむ。そうか」

勇者「……」

魔術師「隊長。如何致しますか?」

魔術師「まだ、室内は使えそうな物が多いみたいです」

傭兵隊長「何?」

ザッザッザッ、ピタッ……

傭兵隊長「それで、使えそうな物とは?」

傭兵隊長「以前、ここには誰か住んでいたみたいだな」

魔術師「ええ、そうみたいです!」

魔術師「個人的には、このベッドは使えそうです!」

魔術師「ですが、この小屋では一人が精一杯みたいですね!」

魔術師「今の私達では、とても入りきれません!」

傭兵隊長「……」

魔術師「そこで、この私に案があります!」

魔術師「ここは、勇者様にここに滞在して貰って私達は拠点に戻りませんか?」

魔術師「一度、拠点に貰って大臣様にご報告をしないと!」

魔術師「じゃないと、また大勢の仲間が戦死してしまう事になってしまいますよ!」

傭兵隊長「うむ。そうだな!」

勇者「おい。今の冗談だろ?」

勇者「お前ら、自分達だけ先に戻るのか?」

傭兵隊長「ああ、そうだ!」クルッ

魔術師「何か問題でも?」クルッ

勇者「……」

魔術師「ここにいたら、いつ勇者様に寝首を狩られるかが解りません!」

魔術師「今の私達は、とても無力な存在!」

魔術師「何故なら、勇者様は見事に魔王を倒された!」

魔術師「私達にとっては、勇者様はそう簡単には死んで貰っては困る存在だからです!」

勇者「……」

傭兵隊長「勇者。本当にすまんな!」

傭兵隊長「あんたと一緒にいたら、いつ寝首を狩られるかが分からん!」

傭兵隊長「俺の聞いた話だと、あんたは自分の仲間の寝込みを襲った!」

傭兵隊長「寝込みを襲って仲間を始末した後、あんたはその仲間の所持金やアイテム等を奪って逃走をした!」

勇者「……」

傭兵隊長「だから、今の俺達はそんな風になるつもりはない!」

傭兵隊長「今のあんたは、確かに勇者だ!」

傭兵隊長「だが、一度流れた悪評は、なかなかそれを消すこと事態が難しい!」

傭兵隊長「あんたが過去に各地で犯した罪等は、そう簡単には消せないと言う訳だ!」

勇者「……」

魔術師「勇者様。どうかご武運を!」

魔術師「私達は、予定を変更して先に戻らせて頂きます!」

魔術師「ここは、まだ使えそうです!」

魔術師「一晩だけなら、何も問題はないと思いますよ!」

勇者「……」

傭兵隊長「とりあえず、俺達は先に戻るな!」

傭兵隊長「魔術師。拠点にまで転移魔法を頼む!」

傭兵隊長「もし仮に、あんたが今の俺達に手出ししたら、その時点であんたは終わりだ!」

傭兵隊長「今の俺達は、本当にただのか弱い人間達だからな!」

スチャ、シャキッ……

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

傭兵隊長「……」

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「はっ!」ボワッ

魔術師「隊長。完了しました!」

魔術師「これより、拠点にまで転移します!」

勇者「……」

傭兵隊長「勇者。お先に失礼させて貰う!」

傭兵隊長「貴殿も、道中お気をつけて!」

魔術師「……」ペコッ

勇者「……」

シューーーーッ、シューーーーッ……

シューーーーッ、シューーーーッ……

シューーーー----ッ、シュン……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「仕方ない。ここで宿を取るか……」

勇者「一晩だけなら、なんとかなるみたいだからな……」

ザッザッザッ、クルッ……

スッ、キキィーーーーッ……

バタン、カシャッ……

スッ、ストッ……

>>506
見事にクズしかいねーなw

>>109
はい。グズばっかりです。
中世はドロドロしてますから。

~とある宿屋・宿泊部屋~

その頃――

戦士「そう言えば、勇者は大丈夫かな?」

戦士「あいつ、そのまま野垂れ死んでいなきゃ良いんだけど」

魔法使い「さあね」

僧侶「知りませんよ。あんな人」

戦士「ひでぇな……」

魔法使い「それが、当然でしょ」

僧侶「ええ、そうですね」

戦士「……」

魔法使い「戦士。何か気になるの?」

魔法使い「今のあんた、何考えてんの?」

戦士「……」

僧侶「戦士。今日の夕飯抜きにしようか?」

僧侶「私達の知らない間に、携行食を全部食べてたでしょ」

戦士「……」

魔法使い「あんた、さっきから何黙ってんの?」

魔法使い「まさか、あんたもあの馬鹿に感化されちゃったとか?」

戦士「違う」

僧侶「じゃあ、何でついさっきから、ずっと考え込んじゃってるの?」

戦士「実は、勇者が向かったエルフの里の近くには、迷いの森があるんだ!」

戦士「そこの森は、一度迷ったら二度と出てこれない!」

戦士「今まで、数えきれない数の人間達がその森で迷った!」

戦士「あの森を抜けるには、エルフの力がないと到底無理らしい!」

魔法使い「それで?」

僧侶「それが、どうかしたの?」

戦士「だから、あのまま勇者が道に迷ったら一大事だ!」

戦士「エルフを狩る所か、勇者がミスしたら俺達まで危ないと言う訳だ!」

魔法使い「あっ……」

僧侶「!?」ガーーン

戦士「あいつ、今までずっと他人に頼りっきりだったろ?」

戦士「俺の兄貴達は、あいつによって完全に使い捨てられてただろ?」

戦士「だから、これってかなりヤバイんじゃないか?」

戦士「あのまま、勇者をほっといたら、勇者がエルフを狩るのを失敗してしまう!」

魔法使い「……」

僧侶「……」

戦士「とりあえず、明日俺達も勇者を追いかけよう!」

戦士「勇者には、そのままエルフを狩って貰わないと俺達が困る!」

戦士「今のままじゃ、俺達の身も危ない!」

戦士「いつ、俺達まで勇者の仕出かしたミスの責任を取らされるかが分からねぇんだぞ!」

魔法使い「いや、大丈夫よ!」

魔法使い「あいつ、そう簡単には死なないわよ!」

僧侶「ええ、そうですね!」

戦士「その根拠は?」

魔法使い「だって、あいつ魔王を倒したんでしょ?」

魔法使い「魔王を見事に討ち取っていたのに、その辺の雑魚に負けると思ってるの?」

戦士「え?」キョトン

僧侶「ああ……」

魔法使い「私、そんな馬鹿いるのなら見てみたい」

魔法使い「魔王より断然強いモンスターって、そんなのこの世にいる訳ないでしょうが!」ニッコリ

戦士「でもよ、万が一の事ってもあるぜ!」

戦士「勇者が駄目なら、次は俺達だ!」

戦士「魔導師様達は、暢気に観光を楽しんでる!」

戦士「勇者がミスしたら、必然的に俺達がそれをやらなきゃいけない事になると思うんだが」

魔法使い「ええ~~っ?」

僧侶「そんな……」

戦士「……」

魔法使い「……」

僧侶「……」

戦士「……」

戦士「とにかく、明日は勇者を追いかけよう!」

戦士「そうしないと、俺達が困る!」

魔法使い「嫌!」

僧侶「同じく!」

戦士「……」

魔法使い「戦士。あんた本当に、そんな面倒くさい事をするつもりなの?」

魔法使い「わざわざ、あんないつ死ぬか分からない場所なんかに行く必要なんてないと思う!」

魔法使い「それに、私達まで死んだらどうすんの?」

魔法使い「あいつは、私達の兄達を傷物にした極悪人なのよ!」

僧侶「ええ、そうですね!」

魔法使い「戦士。今はまだ、私達が動く必要なんかない!」

魔法使い「私達の任務、忘れた訳じゃないのよね?」

戦士「ああ、まあな」

魔法使い「なら、あんたも少しは我慢しなさい!」

魔法使い「またどうせあんたの事だから、その辺にいるモンスターを沢山切り殺したいだけなんでしょ?」

戦士「ちっ……バレてる……」

僧侶「戦士……」

戦士「……何か、文句あるのか?」

僧侶「うん!」

魔法使い「あるから、言ってんのよ!」

魔法使い「とりあえず、そろそろ夕飯の時間じゃない?」

魔法使い「今はまだ、勇者の事なんて考える必要なんかないわよ!」

魔法使い「勇者の動きは、もう既にこの国で放たれていた密偵達から報告が入るわ!」

魔法使い「魔導師達も、それ次第で動く!」

魔法使い「私達は私達で、勇者やエルフ達による動きを本国に知らせていれば良いのよ!」

魔法使い「勇者の動き等に関しては、この国の人達もちゃんとしてるみたいだから!」

戦士「……」

僧侶「戦士。もう分かった?」

僧侶「分かったんなら、もうこの話はもう止めにしましょ」

戦士「ちっ……」

魔法使い「あんた、意外に脳筋とかじゃなかったのね」

魔法使い「てっきり、私はあんたが脳筋だとばっかり思ってた」

戦士「……」プイッ

僧侶「あの、魔法使い……」

僧侶「もう、その辺でしといてあげて……」

僧侶「戦士。完全に拗ねちゃってる……」

僧侶「昔から、戦士は女性に反論されるとこうなっちゃうし……」

僧侶「特に、自分よりも強くて賢い人達には余計にね……」

戦士「……」

魔法使い「あっそ」

僧侶「戦士。そんなに拗ねないの」

僧侶「今の戦士が、ちゃんとない頭使って物事を考えている事くらいは、私分かってるから」

戦士「……」

僧侶「ほらっ、そんなに拗ねないの」

僧侶「そんなんじゃ、あの勇者様にも勝てないわよ」

戦士「……」プイッ

僧侶「戦士」

魔法使い「僧侶。あんたも止めときなさい」

魔法使い「さりげなく、あんたも戦士を傷つけているわ」

戦士「……」

僧侶「戦士。もしかして、欲求溜まってるの?」

僧侶「ここ最近、戦士は娼館には行ってなかった」

僧侶「ここ当分、私の出番はないと思うよ」

僧侶「だから、今の内に娼館にでも行っといたら」

戦士「……ああ、そうだな」ムクッ

魔法使い「え?」

僧侶「……」ニッコリ

戦士「僧侶。この町に、娼館はどこにあるんだ?」

戦士「やっぱり、裏通りに行かないとないのか?」

僧侶「うん。そうだけど!」ニコニコ

魔法使い「あんた、本当に行くの?」

魔法使い「自分の目の前に、レディが二人もいるのに」

戦士「ああ、文句あるか?」

僧侶「別に、文句なんてないよ!」ニコニコ

魔法使い「……」

戦士「僧侶。少しばかり行ってくるな!」

戦士「明日、是非とも通訳の方も頼む!」

僧侶「うん。良いけど!」ニコニコ

戦士「やっぱり、お前は話が分かるな!」

戦士「この国の女は、一体どんな味がするんだろうな!」ニコニコ

僧侶「とりあえず、その話も明日ね!」

僧侶「今の私達には、任務がある!」

僧侶「戦士、魔法使い。その事をくれぐれもお忘れなく!」

僧侶「今の私達は、もうこれ以上エルフ達による被害を出さない事!」

僧侶「今回の件、何か他に裏がありそうですし!」

僧侶「何としても、それを暴いて本当に報告をしないといけませんからね!」

戦士「ああ!」

魔法使い「……」

魔法使い(この二人、本当にただの幼馴染み?)

魔法使い(絶対、影で付き合ってるでしょ?)

すいません。
次からは減らしていきます。

~とある城・大臣執務室~

一方――

大臣「何? 壊滅しただと!?」

大臣「ウチの傭兵隊が、モンスターとの戦闘ですぐさま壊滅したと言うのか!?」

密偵「はい」

大臣「一体、傭兵隊長は何をしておる!?」

大臣「どうして、そう簡単にやられるんだ!?」

密偵「……」

大臣「まさか、本当にあの女エルフが?……」

大臣「あの女エルフは、23年前に死んだと聞いていたのだが……」

魔導師「大臣。そう狼狽えるな!」

魔導師「今のそなたが狼狽えたとして何になる?」

魔導師「それで、勇者XXXの現在地は?」

魔導師「今、あ奴はどの辺にいるのだ?」

大臣「……」

密偵「はっ、今現在、勇者XXXはXXX平原の南に位置しております」

密偵「そこで、勇者XXXは我が国の傭兵隊長と接触」

密偵「その後、傭兵隊長はXXX平原を離脱し、拠点へと帰還」

密偵「勇者XXXは現地に残り、近くにあった廃墟にて一晩を過ごす模様です」

魔導師「うむ。そうか」

大臣「魔導師。何か策があるのか?」

大臣「このまま行くと、我が国まで攻め滅ぼされてしまう!」

大臣「今の我らに、兵はろくにない!」

大臣「それに比べて、エルフの里が差し向けた兵は少なくとも一万!」

大臣「各大陸からも、続々とエルフの里の救援の為に兵を差し向けている!」

魔導師「……」

大臣「頼む、魔導師。早く教えてくれ!」

大臣「我々は、一体どうすれば良いのだ?」

大臣「たかが、平原のモンスター退治如きで傭兵隊が壊滅した!」

大臣「今の我らに、本当に勝機はあるのか?」

魔導師「ああ、ある!」

魔導師「一体、何の為に勇者を差し向けたと思っておる?」

魔導師「勇者には、このまま死んで貰うが得策じゃろう」

魔導師「あの者は、本当に強くなり過ぎた!」

魔導師「だから、我らはあの者をエルフの里に差し向けたのだ!」

大臣「……」

魔導師「それと、兵の事ならば心配する必要はない!」

魔導師「何故なら、もう既に俺の方で兵を千名用意しておる!」

魔導師「この町に住む、魔術師及び賢者達全てに動員を掛けよ!」

魔導師「召喚兵を用いて、この町の警備を厳重にするのだ!」

密偵「魔導師様。それについてですが、もう既に動員しております」

密偵「ですが、この町の魔術師及び賢者達は召喚兵を出す事が出来ません」

密偵「あなた様の生まれた国と違って、我が国は数ある小国の中の一つ」

密偵「とても、魔導師様の様には出来ないのです」

魔導師「何?」

密偵「そもそも、召喚兵とやらは本当に役に立つのですか?」

密偵「私が聞く限り、召喚兵に関してはあまりいい噂を聞きません」

密偵「しかも、魔導師様はお父上と違って万単位ではお出し出来ないはず」

密偵「とても、エルフの里が差し向けた兵を防ぐ事が出来ません」

魔導師「……」

大臣「魔導師。何か策はあるか?」

大臣「我が国は、本当に危機的状況にある!」

大臣「周辺諸国は、もう既にエルフの里からの脅しに屈した!」

大臣「この大陸では、我が国以外は全てエルフの里と和平を結んでおるのだ!」

密偵「……」

魔導師「なら、何故貴国は和平を結ばん?」

魔導師「エルフの里と和平を結べば、それで済むではないか?」

魔導師「一体、貴国は何を隠しておる?」

魔導師「何か、和平を結べぬ事情でもあるのか?」

大臣「……」

魔導師「密偵。そなたはどうか?」

魔導師「そなたは、何か思い当たる節はないか?」

密偵「いいえ」

魔導師「一体、貴国は何を隠しておる?」

魔導師「今のままでは、無駄に民達を死なせてしまう恐れがあるのだぞ!」

大臣「……」

「なら、この私が話そう」

「もうこうなった以上は、全てを話すしかないのだろうな」

魔導師「む?」クルッ

ガチャ、キキィーーッ……

王子「魔導師XX。久し振りだな」

王子「よく、この国に来てくれた」

王子「この度の一件、全て我らに非がある!」

王子「特に、今そこにおる大臣は身に覚えがある様だがな!」ニヤリ

大臣「くっ……」

魔導師「……」チラッ

大臣「……」

魔導師「して、何が原因なのだ?」

魔導師「まさか、この町にエルフを捕らえているのではなかろうな?」

王子「ああ、そのまさかだ!」ニヤニヤ

魔導師「大臣。今の誠か?」

魔導師「何故、その事を早くに言わんかった?」

魔導師「早く、捕らわれの身となっているエルフ達を解放して、エルフの里と和平を結ぶのだ!」

魔導師「今なら、まだ間に合うかもしれん!」

魔導師「早くせねば、この国までエルフの里の属領となってしまうのだぞ!」

大臣「……」

魔導師「大臣。早くせぬか!」

魔導師「そなたは、この国が滅ぼされても良いのか?」

魔導師「早くせねば、俺の生まれ育った国の様に属領となる!」

魔導師「どうして、そなたはエルフの里との和平を進めなかったのだ?」

大臣「出来るものなら、最初からやっておる……」

大臣「だが、もう既に手遅れなのだ……」

魔導師「!?」

王子「大臣。それも、もう仕方のない事だ」

王子「我が国に捕らわれの身となっていたエルフ達は、もう既に命を絶った後だ」

大臣「……」

王子「おまけに、そのエルフ達が生んだ子供達も道連れでな」

王子「そのエルフ達の亡骸を処分する時、とある子連れのエルフにその現場を見られてしまっていた」

王子「その時、その現場を目撃した子連れのエルフによって、事が明るみとなってしまい」

王子「今の我が国は、エルフの里からの宣戦布告を受けてしまっている!」

王子「それに加えて、我が国では若い女のエルフを拉致しては奴隷としていた」

王子「それも、この今の我らがいる大陸ではなく、別の大陸に住むエルフを大量に船で運んで」

王子「その結果、そのエルフ達はほぼ毎日の様に無数の男達に乱暴されていった」

王子「それをあの子連れのエルフに知られ、すぐさまエルフの里からの宣戦布告を知らせる書状が我が国に届いたのだ」

魔導師「……」

王子「それに、私はもうこの国は長くないと考えておる」

王子「その時、その現場を目撃した子連れのエルフこそが、かの女侯爵XXXXXX」

王子「そのエルフ達の遺体全ては、もう既にエルフの里に移送された」

王子「後は、我が国がエルフの里に攻め滅ぼされるのを待つだけだ」

大臣「……」

魔導師「大臣。そなた、何て事を……」

魔導師「あの者は、仲間の死に関しては特に感情的になるのだぞ……」

魔導師「王子。それは、いつの話だ?」

魔導師「いつ、あの女侯爵に知られてしまったのだ?」

王子「確か、今から数年前のはずだ」

大臣「その時、あの女侯爵XXXXXXにその現場を目撃されてしまったと言う訳だ」

魔導師「……は?」

密偵「なら、何故もっと早く攻めてこないのです?」

密偵「我が国とは、同じ大陸のはずですが」

魔導師「うむ。そうじゃな」

王子「偶々、我が国は猶予を与えられていただけだ」

王子「他の諸国には、しっかりと兵を送り込んでおる」

王子「それも、各地で同時期にエルフ達に侵攻をされてな」

王子「エルフ達が兵を差し向けた国の中には、そのまま人間達が奴隷にされてしまった国もいくつもある」

魔導師「!?」ガーーン

王子「だから、我が国もただでは済まないのだろう」

王子「こうして、ここで我らが話をしている間に各大陸からの兵が、こちらに向かってきてはいる」

王子「よくて、後二日程だ!」

王子「今の我らに残された時間は、今日を入れても二日しかないのだ!」

魔導師「……」

大臣「結局、今の我らに残された時間は余りにも少ない……」

大臣「ここで、勇者が上手く立ち回ってくれたら我が国は助かる……」

大臣「本当に、時間を戻せるのなら戻してみたい……」

大臣「あの時、我らが欲に駆られてエルフなどを拉致して来なければ……」

王子「……」

密偵「……」

魔導師「このまま行くと、あの時と全く同じ事か……」

魔導師「女侯爵XXXXXX、何故お前はまだ生きている?……」

魔導師「親父、よくあの女を上手くコントロールしていたな……」

魔導師「こう言う事に関しては、俺は親父には敵わないよ……」ハァ

カァーーン、カァーーン、カァーーン……

カァーーン、カァーーン、カァーーン……

魔導師「む?」

王子「大臣。もう夕食の時間だ」

王子「この話は、後にしよう」

大臣「はっ、かしこまりました」

王子「魔導師。そなたもどうか?」

王子「そなたも、ここで夕食を取って行くか?」

魔導師「ああ、そうさせて頂く」

大臣「その方が、色々と都合が良いな」

王子「密偵。厨房に行って、魔導師の分の用意を」

王子「我らは、先に食堂に行っておく」

王子「いつ、我らは死ぬか本当に分からん」

王子「だから、そなたも存分にな」

魔導師「うむ」

大臣「では、参りましょう」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、キキィーーッ、バタン……

~とある小屋~

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

スッ、ゴロン……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「もう、勇者なんて止めようかな……」

勇者「どいつもこいつも、皆、俺にだけ冷たいし……」

カリカリカリッ、カリカリカリッ……

勇者「……?」

カリカリカリッ、カリカリカリッ……

勇者「……」ムクッ

カリカリカリッ、カリカリカリッ……

勇者「……」

カリカリカリッ、カリカリカリッ……

勇者「何だ?」

スッ、スタッ……

クルッ、スチャ……

「誰か、ここにおるのか?」

「もし居るのなら、ここを開けてほしい」

勇者「……」

「今宵は、かなり冷えていてのぅ」

「とても、寒くて外では眠れぬわ」

勇者「……」

スタスタスタッ、ピタッ……

ガチャ、キキィーーッ……

巨大猫「……」

勇者「!?」ビクッ

巨大猫「おおっ、人がおったか」

巨大猫「すまぬが、中に入れておくれ」

巨大猫「と言うより、そなたはどこの誰じゃ?」

巨大猫「この小屋の持ち主は、一体どこに行ったのじゃ?」

勇者「……」

巨大猫「そなた、何故黙っておる?」

巨大猫「妾の言葉、理解しておるのか?」

勇者「……」

巨大猫「そなた、もしかして言葉が通じぬのか?」

巨大猫「見た所、旅の者と見受けるが」

勇者「……お前、一体何者だ?」

勇者「お前、まさかモンスターなのか?」

巨大猫「うむ。そうじゃが」

勇者「なら、この場で叩き斬ってくれる!」

勇者「覚悟しろ!」

スチャ、スラァン……

巨大猫「……」

スッ、スチャ……

勇者「……」

巨大猫「……」

巨大猫「そなた、かなり血気盛んじゃな」

巨大猫「初対面の相手に、いきなり剣を抜くとか」

勇者「黙れ!」

巨大猫「そなたの目、かなり脅えておる」

巨大猫「そんなに、妾の事が怖いのか?」

勇者「黙れ、黙れ!」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「とりあえず、早く剣を収めよ」

巨大猫「妾は、ここの小屋の持ち主に用があって来たのじゃが」

勇者「残念だが、ここの持ち主はもういない」

勇者「全て、お前の仲間が消し去った」

巨大猫「……」

勇者「お前、一体ここに何しに来た?」

勇者「ここの持ち主とは、一体どう言う関係なのだ?」

巨大猫「……」

スッ、クネッ……

ポリポリポリポリッ……

勇者「!?」ビクッ

ポリポリポリポリッ……

巨大猫「そなた、今の話は本当なのか?」

巨大猫「ここの持ち主は、本当に死んだのか?」

勇者「ああ、そうだ」

巨大猫「はて、それはおかしいのぅ?」

巨大猫「ついさっき、妾はここの持ち主に会ってきた」

巨大猫「妾が、実際に会った時にはまだ生きていたはずなのじゃが」

勇者「……」

巨大猫「それで、そなたは何者じゃ?」

巨大猫「ここは、妾の寝床なんじゃが」

スッ、スタッ……

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「お前、今の冗談だろ?」

勇者「だったら俺、一体どこで寝ればいいんだよ?」

巨大猫「そんなの妾が、知るか」

巨大猫「妾は、ここの持ち主の許可を取った上で寝床にしてるんじゃが」

勇者「……」

巨大猫「お前さん。もしかして、許可を取っとらんのか?」

巨大猫「客には客用の寝床が、ちゃんとあるんじゃが」

勇者「!?」ガーーン

巨大猫「とりあえず、そなたは剣を収めよ」

巨大猫「早よう、そこを退いておくれ」

巨大猫「このままじゃと、妾は凍え死ぬ」

巨大猫「今のそなたは、生き物を常日頃から大切にすると言う心はないのか?」

勇者「ああ、ないな……」

勇者「特に、お前の様なモンスターには!」ギリッ

巨大猫「……」

勇者「俺は、こう見えてもこの世界を救った男だぞ!」

勇者「お前の仲間は、この俺の持つ剣の錆となっていった!」

巨大猫「……は?」

勇者「だから、お前も今から錆となれ!」

勇者「皆して、俺の事を馬鹿にしてんじゃねぇ!」

勇者「大体、何で皆は俺の事を敬わないのだ?」

勇者「俺が魔王を倒したから、世界の平和が保たれているんだろうが!」

巨大猫「そなた、もしかして例の勇者か?」

巨大猫「妾が聞いてたのは、もっと貧相な顔をしていたはずなのだが」

勇者「黙れ!」

巨大猫「その勇者が、何故ここにおる?」

巨大猫「今のそなたなら、もっと良い宿を取れたじゃろうが?」

勇者「黙れ!」

巨大猫「……」

勇者「……」

「あら? 巨大猫。どうしたの?」

「どうして、あなたは寝床に入っていないの?」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ……

巨大猫「……」クルッ

勇者「……?」

「巨大猫。早く、小屋の中に入りなさい」

「一体、何故あなたは小屋の中に入ろうとしないの?」

巨大猫「うむ。それが……」スッ

勇者「……」

少女「?」ヌッ

少女「あなた、一体誰?」

少女「ここで、一体何をしているの?」

少女「見た所、あなた騎士か何かみたいね」

少女「ここは、私の家の小屋なんですけど」

勇者「……」

巨大猫「少女よ。こ奴は、ただの不審者じゃ!」

巨大猫「何故か突然、妾の寝床を占拠していた!」

巨大猫「それに加えて、こ奴は自ら勇者と名乗りおってのぅ」

巨大猫「妾が聞いた勇者とは、かなり顔や装備等が掛け離れておるのじゃ」

少女「え?」キョトン

少女「あなた、本当にあの勇者様?」

少女「確か、つい最近になって魔王を討ち取ったと言う勇者の?」

勇者「ああ、そうだが」

少女「いや、それは有り得ないよ!」

少女「私の聞いている勇者は、かなり不細工なはずだもの!」

巨大猫「うむ。そうじゃったな!」

勇者「……」

少女「さては、あなたは偽物ね?」

少女「本物の勇者様なら、今頃こんな所にいたりしないもん!」

勇者「……」

少女「それで、あなた一体何者なの?」

少女「早く、ここから出ていって!」

巨大猫「……」ジーーッ

勇者「……」

少女「あなた、私の言葉聞こえてる?」

少女「ここは、この子の寝床なの!」

少女「早くここから出ていって!」

巨大猫「……」ジーーッ

勇者「……」

スッ、カシャン……

勇者「……」

少女「……」

巨大猫「……」ジーーッ

勇者「……」

少女「……」

巨大猫「……」ジーーッ

勇者「はぁ……」

クルッ、スッ……

スチャ、カチャカチャ……

カチャカチャ、カチャカチャ……

少女「巨大猫。そこどいてあげて」

少女「今から、この人はお帰りになるみたいだから」

巨大猫「ああ、了解した」

クルッ、スタスタスタッ……

クルッ、ピタッ……

勇者「……」

少女「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

巨大猫「……」ニヤリ

少女「巨大猫。早く、小屋に入りなさい」

少女「もう夜になったし、またあの不審者がいつ来るかが分からないから」

巨大猫「ああ、了解した」

少女「全く、どこの誰だか知らないけど、勇者の名を語るなんて」

少女「つい先日も、自称・勇者がこの付近を荒らしてたし」

少女「あの不審者、後で城の方に通報しといた方が良いのかしら?」

巨大猫「ああ、そうじゃな」

スタスタスタッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ピタッ……

少女「それじゃあ、お休みなさい。巨大猫」

少女「また、明日の朝に様子を見に来るから」ニッコリ

巨大猫「ああ、気を付けてな」

少女「この辺、今は立ち入り禁止区域に指定されているし」

少女「あなたの事は殺さない様に、お城の方にも許可を取っているからね」

巨大猫「うむ」

スッ、キキィーーッ……

ガチャ、バタン……

スッ、スタッ……

キョロキョロ、コロン……

人望。今の勇者には、それがなかった。

これからも、この勇者には人望と言う言葉は縁がない言葉であろう。

それもこれも、勇者は人として問題があった。

その所為で、皆が勇者に冷たく接しているのである。

その事についてを、勇者はしっかりと身に染みながら、再びゆっくり歩を進めた。

宛もなく夜道をゆっくりと進んでいき、気がついた時には落とし穴に嵌まって気絶してしまっていた。

後に、勇者は翌朝になってその落とし穴から脱出。

偶々、付近に生き残りのモンスター達がいて、勇者は八つ当たり気味にそのモンスター達全てを殲滅したのだった。

もしかして外国の方?

>>166
いいえ

~とある平原・落とし穴~

翌朝――

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」パチッ

勇者「……」シャキン

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

キョロキョロ、キョロキョロ……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

キョロキョロ、キョロキョロ……

勇者(どうやら、落とし穴に嵌まったみたいだな……)

勇者(気がついたら、もう朝か……)

勇者(全く、どうして俺ばっかりがこんな目に……)

勇者(これも、勇者としての宿命なのだろうか?……)

スッ、ムクッ……

勇者(とりあえず、ここを出るとするか……)

勇者(結局、昨日の夜から何も口にしていない……)

勇者(この辺、一体今どこだ?……)

勇者(昨夜は、夜道をずっと歩いていたのだからな……)

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者「……」ハッ

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者(誰か来る……)

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ……

勇者(敵か?)

スッ、スチャ……

「勇者様。大丈夫ですか?」

「今から、引き上げて差し上げましょうか?」

勇者「……」

「我々は、敵ではありません!」

「大臣様からの命令で、この平原のモンスター退治に来た傭兵隊の者です!」

勇者「……」

「魔術師。これ大丈夫か?」

「かなり、深い落とし穴に嵌まってしまってるが」

「はい。大丈夫です」

「うむ。そうか」

「勇者様、聞こえてますか?」

「私の言葉は、理解出来てますか?」

勇者(さっぱり、解らん……)

「聞こえているなら、何か返事をして下さい!」

「私達は、これから平原のモンスター退治を再開します!」

「モンスターは、まだこの近くに複数いますよ!」

「だから、早めに返事をして下さい!」

勇者「……」

「隊長。モンスターが来ました!」

「あれ、かなり大きいです!」

「うわっ、何だあの猫!?」

「あれ、かなり大きいぞ!」

「隊長。迎撃しますか?」

「モンスターは、ゆっくりとこちらに接近中です!」

勇者「……」

「いや、あれは違うな!」

「あれは、味方の巨大猫だ!」

「ええ、そうですね」

勇者「……」

スッ、スラァン……

「お前ら、あの巨大猫に手を出すな!」

「あれは、味方のモンスターだ!」

「全員、引き続き付近を警戒!」

「勇者様を引き上げるまで、警戒を怠るな!」

「はっ!」

勇者「……」

「隊長。勇者様からの反応が全くありません」

「恐らく、今の勇者様には私達の言語が全く通じてない様です」

「何?」

勇者「……」

「勇者様は、別の大陸に住むお方です」

「以前から、別の大陸に向かう際には通訳を携えていたのでしょう」

「今朝、私が勇者様の同行者とお会いした時に、ある情報を入手致しました」

「勇者様は、通訳なしでは会話が出来ません」

「一人でいる時は、一時的に他国の言語が話せる薬を用いているみたいです」

勇者「……」

「隊長。どう致しますか?」

「その薬は、町に戻らないと手に入りませんが」

「ちなみに、私は他国の言語を話す事は出来ません」

「ウチの傭兵隊も、誰一人として勇者様と会話すら出来ていませんよ」

「ああ、魔術師。先に、勇者様を引き上げよ」

「確か、勇者様は他国の言語を話せる薬を持っていたんだよな?」

「それを使って、俺達と会話をして貰う」

「早く、お前は勇者様を引き上げるんだ」

「はっ!」

勇者「……」

「勇者様。これから引き上げます!」

「そのまま、勇者様はじっとしてて下さいね」

勇者「……?」

勇者「何なんだよ? 一体?」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

フワッ……

勇者「……」ビクッ

フワワッ、フワワッ……

勇者「なっ!?」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

勇者「うっ、浮いてる!?」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

勇者「……」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

勇者「……」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

勇者(あっ、何か地上が見えてきた……)

勇者(まさか、俺を助けに誰か来てくれたのか?……)

~とある平原・落とし穴前~

数分後――

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

傭兵隊長「おっ」

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

フワワッ、フワワッ、フワワッ……

スッ、スタッ……

勇者「……」

魔術師「ふぅ……」

魔術師「勇者様。大丈夫ですか?」

魔術師「私の言葉は、理解出来てますか?」

勇者「……」フリフリ

魔術師「隊長。やっぱり、駄目です」

魔術師「勇者様には、私達の言語が通じていません」

傭兵隊長「ああ、そうみたいだな」

勇者「……」

傭兵隊長「巨大猫。今度は、お前が話し掛けてくれ」

傭兵隊長「お前なら、勇者と会話出来るかもしれんからな」

巨大猫「うむ。了解した」

巨大猫「勇者。妾の言葉は解るか?」

巨大猫「昨夜、妾とも会話していたではないか」

勇者「……」クルッ

巨大猫「妾達は、そなたの敵ではない」

巨大猫「今の妾達は、この平原にいるモンスター達を退治しに来たのじゃ」

勇者「……何だと?」

魔術師「あっ……」

傭兵隊長「おっ……」

勇者「……」

スッ、カシャン……

勇者「お前、本当に敵じゃないんだな?」

勇者「何故、お前は人間に味方している?」

巨大猫「……」

勇者「お前、一体何者だ?」

勇者「何故、お前は今ここにいる人間達には受け入れられているんだ?」

巨大猫「……」

魔術師「巨大猫。勇者様は何て?」

魔術師「今の勇者様、あなたに何て言っているの?」

巨大猫「うむ。それが……」

勇者「……」ジーーッ

魔術師「巨大猫。早く通訳して」

魔術師「勇者様に、早く他国の言語が話せる薬を飲ませて」

巨大猫「ああ、了解した」

勇者「……」ジーーッ

巨大猫「今の勇者は、この平原で起きている事を知りたがっとる」

巨大猫「残念な事に、今の勇者は他国の言語が話せる薬を使いきった後みたいじゃ」

巨大猫「勇者が言うには、昨夜の内にモンスターと戦闘となった」

巨大猫「そのモンスターとの戦闘の際に、逃げ遅れた人間との会話の際に使いきった後だった様じゃ」

魔術師「え?」

傭兵隊長「何だと?」

魔術師「じゃあ、その勇者様と遭遇をした人はどうしたの?」

魔術師「その人、今無事なの?」

巨大猫「ああ、ちょっと待て」

勇者「……」ジーーッ

巨大猫「勇者。妾は、人間達の味方じゃ」

巨大猫「元々、妾は人間達によって飼われていた猫達の成れの果て」

巨大猫「今の妾は、その猫達の死後に生まれた存在なのじゃ」

巨大猫「だから、今の妾は人間達に味方しておる」

勇者「何?」ギロッ

魔術師「……?」

勇者「なら、何故昨日それを伝えなかった?」

勇者「おかげで、こっちは野宿する嵌めになったんだが」

勇者「お前、本当は俺の事を馬鹿にしてるだろ?」

勇者「一体、俺は今まで何の為に戦って来たんだ!?」ムカッ

魔術師「……」ビクッ

傭兵隊長「……」スッ

巨大猫「勇者。そう怒るな」

巨大猫「妾は、決してそなたの事を馬鹿にしておらん」

巨大猫「昨夜は、偶々そうなっただけじゃ」

巨大猫「最初から、妾の寝床に来なければ良かっただけの事じゃ」

勇者「じゃあ、せめて俺を宿まで案内をしろよ!」

勇者「どうして、あの時に俺を宿にまで案内しなかったんだよ?」イラッ

巨大猫「……」

勇者「おまけに、俺はあの時追い出された!」

勇者「俺は勇者なのに、どうしてそんな目に遭ってるんだ!?」イライラッ

魔術師「……」

巨大猫「勇者。それは、そなたが悪い!」

巨大猫「そなたが、自身の仲間に対してやってきた事が、全て緒を引いておるのじゃ!」

勇者「!?」ガーーン

傭兵隊長「……」

巨大猫「そなた、自身の仲間に対して何をやった?」

巨大猫「そなたの仲間は、その後どうなったのじゃ?」

勇者「……」

巨大猫「そなたの仲間は、今も病や怪我等で苦しんでおる!」

巨大猫「そなたが仲間にした事が原因で、皆がそなたに冷たく接しておる!」

勇者「くっ……」

巨大猫「全く、これだから最近の若者は困るのじゃ!」

巨大猫「今のそなたは、ただただ殺戮を楽しむだけのはみ出し者!」

巨大猫「そなたが変わらなければ、人々の信頼や尊敬等は一切得られん!」

巨大猫「それだけでなく、そなたは永遠に仲間やその親族達から恨まれるじゃろう!」

巨大猫「のぅ、勇者」

巨大猫「そなたは、まだ若い!」

巨大猫「今のそなたは、まだ人生にやり直しが利く!」

巨大猫「ここで、そなたは自身を大きく変えてみてはみんか?」

巨大猫「今なら、まだそなた自身を変える事が出来る!」

巨大猫「これが、神から与えられた最初で最後のチャンスかもしれないのじゃ!」

勇者「……」

巨大猫「まぁ、それをどう生かすか殺すかはそなた次第じゃ!」

巨大猫「今の妾に、それを強制する事は出来ん!」

勇者「……」

巨大猫「勇者。妾は、そなたに期待しておるぞ!」

巨大猫「そなたが、数多く人々の尊敬の念を抱かれる勇者になる事を!」

巨大猫「今のそなたは、まだ人々からの信頼や尊敬の念等を、一度も得られていない!」

巨大猫「ここで、そなたが変わらなければ一生そなたは今のままとなってしまうぞ!」

勇者「……」

巨大猫「勇者。それで、どうするのじゃ?」

巨大猫「そなたは、今後人々からの信頼や尊敬の念等を得られる勇者になる事が出来るのか?」

勇者「ああ、大丈夫だ!」

巨大猫「その根拠は?」

勇者「ない!」

勇者「でも、これからそれを作って行けば良いだろう?」

勇者「今の俺の回りには、多数の傭兵達がいる!」

勇者「皆、この俺の為だけに集まってくれたはずた!」

勇者「俺が死んだら、この国はエルフに侵略されるんだからな!」

巨大猫「……」

勇者「とりあえず、何か皆が何を話しているかが気になっている様だから通訳を頼む」

勇者「今の俺は、他国の言語が話せる薬を粉砕してしまった」

勇者「結局、俺は一人じゃ何も出来ない!」

勇者「今のままでは、俺はずっと悪評を流されたままみたいだからな!」

巨大猫「ああ、了解した」

巨大猫「魔術師。勇者からの情報じゃ」

巨大猫「勇者と遭遇をした人間は、モンスターによって殺害された」

魔術師「!?」

巨大猫「勇者が言うには、その時にはまだ息があったらしい」

巨大猫「どうやら、この平原が禁止区域に指定されている事を知らぬ者達がここに入った」

巨大猫「その数は、勇者ですらも分からん」

巨大猫「勇者がその人間を助けた時には、もう既に手遅れだった様じゃが」

魔術師「……そんな」

傭兵隊長「くっ……」

勇者「……」

巨大猫「隊長。ここは、妾に任せてくれ」

巨大猫「今後は、勇者との通訳を妾がいたす」

巨大猫「これは、早めに勇者をエルフの里に連れていった方が良いかもしれんな」

巨大猫「妾は、過去にエルフの里に入った事がある」

巨大猫「そのついでに、勇者の道案内等も妾がしたいのじゃが、どうか?」

傭兵隊長「……」

魔術師「隊長。ここは、許可した方が宜しいかと」

魔術師「今回の件、エルフが絡んでいるのは間違いありません」

魔術師「エルフは、私達人間の事を恨んでいます!」

魔術師「もう既に、エルフの里は我が国に対して戦を仕掛けてきているのですよ!」

巨大猫「ああ、そうじゃな!」

巨大猫「エルフは、これまでの復讐を果たすつもりじゃ!」

巨大猫「でなければ、永世中立だったはずのエルフが、勇者の敵になるはずがない!」

巨大猫「ここは、早めに勇者をエルフの里に連れて行く方が良いじゃろう!」

魔術師「……隊長」

傭兵隊長「ああ、了解した!」

傭兵隊長「この平原を抜けるまでなら、俺達も勇者に同行をしてやる!」

傭兵隊長「巨大猫。早速、勇者にもその件を伝えてくれ!」

傭兵隊長「今の俺達には、本当に時間がないのだからな!」

巨大猫「ああ、了解した」

巨大猫「勇者。傭兵隊長からの伝言じゃ」

巨大猫「これより、傭兵隊はそなたに同行をする」

巨大猫「じゃが、それはここの平原を抜けるまでじゃ」

巨大猫「いつ、この者達の国がエルフに攻められるかが分からん」

巨大猫「実際、エルフ達は船を使ってこの国に向かっておる」

巨大猫「妾は、通訳の為にエルフの里まで同行するぞ」

勇者「おおっ!」

勇者「よっしゃああああああああ――――――――っ!!」

魔術師「……」

傭兵隊長「……」

巨大猫「では、早速参ろうか?」

巨大猫「この付近には、まだモンスターが隠れておる」

巨大猫「傭兵隊長。勇者らの伝言じゃ」

巨大猫「ご協力感謝する。全て、自分に任せておけだそうじゃ」

傭兵隊長「ああ、了解した」ニヤッ

魔術師「良かったですね。隊長」ニヤッ

傭兵隊長「ああ」ニヤニヤ

傭兵達「……」ニヤニヤ

勇者「……」ニヤニヤ

巨大猫「……」スッ、ムクッ

傭兵隊長「よしっ、お前ら進め!」

傭兵隊長「モンスターはまだ近くにいる!」

傭兵隊長「早く進むんだ!」

傭兵達「お――っ!」

巨大猫「勇者。今回の件、宜しく頼むぞ!」

巨大猫「そなたは、人間達全ての最後の希望じゃ!」

巨大猫「幸い、傭兵達の士気は上がった!」

巨大猫「早速、人々の心を上手く掴んだ様じゃな!」

勇者「!?」

巨大猫「勇者。この調子じゃ」

巨大猫「そなたは、妾の忠告通りに変わろうとしておる」

巨大猫「今後も、この調子で行け」

巨大猫「そうすれば、人々の心を上手く掴む事が出来るぞ」

勇者「ああ」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

魔術師「巨大猫。もう行くよ」

魔術師「勇者様にも、早く進む様に伝えて」

巨大猫「ああ、了解した」

勇者「……」

巨大猫「勇者。もう行くぞ」

巨大猫「皆、もう先に進んでおる」

巨大猫「ここから、エルフの里まではまだ距離がある」

巨大猫「そなたも、気を引き締めてな」

勇者「ああ、了解した」クルッ

魔術師「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

魔術師「とりあえず、落とし穴は埋めとこ」

魔術師「あれ、また誰かが嵌まったら危ないし」クルッ

落とし穴「……」

魔術師「やっぱり、ちょっとやり過ぎたかな?」

魔術師「自分で作っといてなんだけど、まさか勇者様が嵌まるとはね」

スッ、スチャ……

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「……」ブツブツ

魔術師「はっ!」ボワッ

シューーーーッ、シュン……

文章が固いね。
……も多いと読みづらいと思うんだ。

>>201
分かりました。
直して行きます。

魔術師「私の言葉は、理解出来てますか?」

勇者「……」フリフリ

魔術師「隊長。やっぱり、駄目です」

魔術師「勇者様には、私達の言語が通じていません」

話通じてるだろこれ

一回日本語ちゃんと勉強して自然な台詞回しができるようになると良いかも

>>203
勇者は、簡単な他国の会話のフレーズなら少しだけ分かります。
ですが、自力ではなかなか話せないので薬か通訳に頼ってばかりです。

~とある平原・街道~

勇者「ふぅ、何とかまともな道に出れたな」

勇者「ここから、エルフの里まではどれくらいあるんだ?」

巨大猫「かなりあるぞ」

勇者「でも、この辺もモンスターはいないな」

勇者「一体、何でこの辺もモンスターはいないんだ?」

巨大猫「さぁ、分からんな」

傭兵隊長「魔術師。皆、ついてきてるか?」

傭兵隊長「お前、殿を務めていたんだろ?」

魔術師「はい」

勇者「だが、何故モンスターは出てこないのだ?」

勇者「昨日、どれくらいの数を傭兵隊は駆除したのだ?」

巨大猫「さぁ、解らんな」

勇者「巨大猫。傭兵隊長に聞いてみてくれ」

勇者「じゃないと、俺がいる意味がない!」

巨大猫「ああ、了解した」

魔術師「……?」クルッ

巨大猫「魔術師。ちょっと良いか?」

巨大猫「昨日、この辺のモンスターは何匹倒したのだ?」

魔術師「ええ、ちょっと待ってね」スッ

魔術師「昨日だけで、トロル2体、キャタピラー20体、キラービー20体」

魔術師「後は、スライム40体にリザードマンを20体ね」

巨大猫「そんなにもか?」

傭兵隊長「ん? 昨日倒したモンスターがどうかしたのか?」クルッ

傭兵隊長「それを聞いて、一体どうするつもりなんだ?」

魔術師「……」

巨大猫「実は、勇者がついさっきから戦いたくてうずうずしておるのじゃ」

巨大猫「この大陸に来てから、モンスターとは一度も戦ってはいない」

巨大猫「それで、勇者は早くモンスターを退治したがっておる」

巨大猫「このままでは、いつ妾が勇者によって斬られるかが、全く解らないのじゃ」

魔術師「でも、勇者様が魔王を討伐してからと言うもの、モンスターはすぐに駆除されていったよ」

魔術師「エルフの里や周辺諸国の方でも、独自に兵を出して駆除している」

魔術師「今は、各地にいるモンスター達の勢いとかも収まってきてね」

魔術師「だから、今すぐモンスターと戦いたいと言われても困るんだけど」

傭兵隊長「ああ、そうだな」

巨大猫「なら、何故そなた達は昨夜壊滅したのじゃ?」

巨大猫「何か、狂暴なモンスターがいたからじゃろ?」

魔術師「うん」

傭兵隊長「だが、あれはさすがに手に追えないな」

傭兵隊長「昨日、俺達が戦っていた相手はハーフエルフだったからだ」

巨大猫「隊長。今の誠か?」

巨大猫「それなら、早速勇者と戦わすのじゃ」

巨大猫「勇者は、敵と戦いたくてうずうずしておる」

巨大猫「いずれ、勇者はエルフとも戦わねばならんからな」

傭兵隊長「しかし……」

魔術師「隊長。どうかご決断を!」

魔術師「今の私達には、勇者様が付いていらっしゃいます!」

魔術師「ここは、適当に理由を付けて厄介払いをしましょう!」

魔術師「ハーフエルフは、すぐそこまで来ているのですよ!」

傭兵隊長「……」

巨大猫「隊長。妾からも頼む!」

巨大猫「どうか、勇者を行かせてやってくれ!」

巨大猫「あ奴は、この世で唯一人の勇者なのじゃ!」

巨大猫「今行かせなくては、そなたは後悔するぞ!」

傭兵隊長「くっ……」

魔術師「隊長。最初から、私達は勇者を使い捨てにしています!」

魔術師「ここは、勇者に対する情けを全て捨てるべきではないのですか?」

巨大猫「うむ。そうじゃ!」

魔術師「それが終わった後、私の事を好きにしても構いません!」

魔術師「私、目的の為ならば手段を選びませんので!」ニッコリ

傭兵隊長「お前。結構、冷徹だな……」

傭兵隊長「一体、そんな所は誰に似たんだか……」ガクッ

魔術師「さぁ」ニコニコ

傭兵隊長「魔術師。適当に、勇者に情報を与えてやれ」

傭兵隊長「つうかお前、本当に勇者の言葉は解らないのかよ?」ムクッ

魔術師「はい!」ニコニコ

傭兵隊長「……」

巨大猫「それで、モンスター達の情報とは?」

巨大猫「一体、そ奴等は後何体いるのじゃ?」

勇者「……まだか」

魔術師「大体、私達が確認しただけで五体のみです」

魔術師「その割りにはかなり強く、数多くの私達の仲間達が彼らによって殺害されました」

傭兵隊長「……」

魔術師「でも、それももう終わりでしょ?」

魔術師「勇者様が、諸悪の根元さえ駆除してくれたら、全て解決するんだし!」ニッコリ

傭兵隊長「……ああ、そうだな」ウルッ

巨大猫「では、それを勇者に伝えるぞ」

巨大猫「そなた達、良いな?」

魔術師「はい」

傭兵隊長「了解した」

巨大猫「勇者。傭兵隊長から情報が入った」

巨大猫「この辺りのモンスターは、昨日の時点で9割は倒した後だそうじゃ」

勇者「!?」ガーーン

巨大猫「じゃが、まだハーフエルフが五体ほど生き残っておる」

巨大猫「そやつら、かなりの手練れでな」

巨大猫「昨日の時点で、多数の傭兵達が惨殺された」

巨大猫「それで、今から勇者にそのハーフエルフ達を討伐して貰いたいと言う訳じゃ」

勇者「……」

魔術師「……」

傭兵隊長「……」

巨大猫「まぁ、今のそなたなら無理もないな」

巨大猫「皆、そなたの力を必要としている様じゃ!」

巨大猫「勇者。ここが、そなたの腕の見せ所!」

巨大猫「見事、ハーフエルフを討伐して人々の心を掴むのじゃ!」

勇者「おう!」ニッコリ

魔術師「……」

傭兵隊長「……」

巨大猫「では、早速そなたは行ってくるのじゃ!」

巨大猫「傭兵隊は、周辺で逃げ遅れた者がいないかどうか捜索に当たる」

勇者「ああ、了解した!」ニコニコ

勇者「では、俺はもう行くな!」

勇者「このまま、まっすぐ道を歩いて行けば良いのか?」

巨大猫「ああ、そうじゃ!」

勇者「では、俺は今から行ってくる!」

勇者「すぐに終わらせてくるから、お前達はここで待っていてくれ!」

巨大猫「ああ、了解した」

魔術師「……」

傭兵隊長「……」

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

魔術師「巨大猫。勇者様は何て?」

魔術師「やけに、勇者様は張り切っていたみたいだけど」

傭兵隊長「ああ、そうだな」

巨大猫「ちょっと、勇者のやる気が出る様な事を言っただけじゃ」

巨大猫「もう時期、昨夜この平原に現れたハーフエルフと戦闘を開始するだろう」

巨大猫「あ奴、かなり単純な奴じゃからな」

巨大猫「妾が、少し盛った話をしただけで、すぐに食いつきよった」

シュピン……

魔術師「ん?」

巨大猫「どうかしたのか?」

魔術師「隊長。たった今、大臣様からの連絡が入りました」

魔術師「ダークエルフの軍勢が、船で海上から上陸」

魔術師「場所は、隣国のXXXX王国」

魔術師「そこは、もう既にエルフの里に屈服をしました」

魔術師「今すぐ、傭兵隊は城下町までに引き返す様にとの事です」

傭兵隊長「ああ、了解した」

巨大猫「……」

魔術師「隊長。転移魔法を使用しますか?」

魔術師「今すぐ、私は町に戻りたいのですが」

傭兵隊長「お前……」

魔術師「隊長。早く、ご決断を!」

魔術師「勇者様なんかほっといて、早く城下町に戻るべきです!」

傭兵隊長「……」

巨大猫「隊長。早く決めんか!」

巨大猫「そなたの部下は、早く城下町に戻りたそうにしておるぞ!」

傭兵隊長「……」

魔術師「皆、早く町に戻りたい?」

魔術師「また、昨日みたいな惨敗を喫したい?」ニッコリ

傭兵達「いいえ!」

傭兵隊長「……」ガクッ

魔術師「じゃあ、今から私達は城下町まで撤退!」

魔術師「皆、早く円になる様に手を繋いで!」

傭兵達「お――――っ!」

巨大猫「……」

傭兵隊長「お前ら、戻ったら覚えておけ!」

傭兵隊長「全員、来月から減給にしてやる!」

傭兵隊長「特に魔術師、お前9割減な!」

傭兵隊長「今日と言う今日は、お前の酷さは目に余った!」

傭兵隊長「だから、後で覚悟しておくんだな!」

魔術師「はい。かしこまりました!」ニッコリ

>>204
そうですね

~とある平原・川~

その頃――

頭領「くっ、ここまでか……」

頭領「何でハーフエルフの癖に、こんなにも強い力を持っているんだ?……」

娼婦「……頭領」ビクビク

山賊達「……」ボロボロ

頭領「おいっ、お前らまだやれるか?」

頭領「これ本気でやべぇみていだぞ……」

山賊達「もう、無理です……」ボロボロ

娼婦「そんな……」ビクビク

半エルフ兵長「おいっ、貴様ら。早く投降しろ!」

半エルフ兵長「投降すれば、命だけは助けてやる!」

半エルフ兵達「……」

頭領「くっ……」

半エルフ兵長「どうやら、貴様らは死にたいらしいな!」

半エルフ兵長「総員、そのまま止めを刺せ!」

半エルフ兵達「はっ!」

娼婦「……頭領」ビクビク

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

頭領(くそっ、もう体が動かねぇ……)

頭領(配下達も、皆がもうボロボロだ……)

頭領(せめて、こいつだけは逃がしてやりてぇ……)

頭領(なんとか、チャンスはないものか?……)チラッ

娼婦「……」ビクビク

山賊「頭領。敵が来ます!」

山賊「今のままでは、もう無理だ!」

頭領「くっ……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

頭領(このまま、川を泳いで逃げるか?……)

頭領(いや、向こう岸までには泳ぎきれない……)

頭領(くそっ、何か方法は?)

頭領(俺達、このまま死ぬしかねぇのかよ!?)

娼婦「……」ビクビク

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

スッ、ザシュッ……

ザシュッ、ザシュッ、ザシュッ……

山賊「ぐっ、ぐはっ!?」

ザシュッ、ザシュッ……

山賊2「うぎゃあっ!?」

ザシュッ、ザシュッ……

山賊3「おえっ!?」

バタッ、バタッ、バタッ……

頭領「!?」ハッ

娼婦「ああああっ……」ビクビク

山賊4「くそっ……」

山賊5「もう終わりか……」

頭領「……」ガクッ

山賊4「と、頭領……」

山賊4「早く、お逃げを……」

山賊4「早く、ここから逃げて下さい……」

頭領「何?」

山賊5「ここは、俺達が食い止めます!」

山賊5「早く、頭領は逃げて下さい!」

娼婦「……みんな」ビクビク

頭領「……」ムクッ

半エルフ兵長「ほう?」ニヤリ

半エルフ兵達「……」

山賊5「頭領。何をしてるんですか?」

山賊5「早く、娼婦を連れて逃げて下さい!」

頭領「くっ……」

娼婦「……頭領」チラッ

頭領「……」

半エルフ兵長「総員。そのまま、一人残らず皆殺しにしろ!」

半エルフ兵長「今目の前にいるのは、俺達をずっと差別や迫害をしてきた人間達だ!」

半エルフ兵長「絶対に、生きて返すな!」

半エルフ兵達「おーーーーっ!」スチャ

頭領「……」

頭領「皆、すまない」

頭領「俺の所為で、こんな風になっちまってな」

頭領「しかし、俺はここに残るぞ」

頭領「どうせ、皆がここで死ぬんだ」

頭領「せめて、一矢くらいは報いさせて貰う」

スッ、シュポッ……

娼婦「頭領。それ何?……」

娼婦「一体、今から何をするつもりなの?……」ビクビク

頭領「……」スッ

娼婦「えっ?……」ビクビク

頭領「娼婦。これを、今すぐ川に投げろ」

頭領「これを投げたら、川に突っ込め」

娼婦「……」ビクビク

頭領「その後、しばらくそこにいろ」

頭領「そしたら、お前は町に戻れる」

頭領「後は、教会で俺達全員の蘇生を申請しろ」

頭領「今それが出来るのは、お前しかいないんだからな」

娼婦「……そんな」ビクビク

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

スッ、ザシュッ……

山賊4「ぐっ!?」

スッ、ザシュッ……

山賊5「ぐあっ!?」

バタッ、バタッ……

娼婦「……」ビクビク

頭領「娼婦。早く、投げろ!」

頭領「お前だけでも、早く逃げるんだ!」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

半エルフ兵長「残念だが、もう間に合わん!」

半エルフ兵長「貴様らは、もうここで死ぬんだからな!」

頭領「娼婦!」

娼婦「……」ビクビク

スッ、ザシュッ……

娼婦「!?」

スッ、ザシュッ、ザシュッ……

頭領「ぐっ!?」

バタッ、バタッ……

半エルフ兵長「ふぅ……」

スッ、カシャン……

クルッ……

半エルフ兵「兵長。全員、刺殺しました!」

半エルフ兵「後は、勇者を待つだけです!」

半エルフ兵長「うむ!」

スッ、カシャン、カシャン、カシャン……

クルッ、クルッ、クルッ……

半エルフ兵長「総員。ご苦労だった!」

半エルフ兵長「今日だけでも、人間を120名は殺せたな!」ニヤリ

半エルフ兵達「……」ニヤリ

半エルフ兵長「皆、ここでひとまず休憩だ!」

半エルフ兵長「いずれ、勇者はここを通る!」

半エルフ兵長「今まで、ずっと俺達ハーフエルフは差別や迫害等をされてきた!」

半エルフ兵長「これは、我らにとっては復讐戦でもある!」

半エルフ兵達「……」

半エルフ兵長「女侯爵XXXXXX!」

半エルフ兵長「貴女が思い描いていた理想は、必ず我らの手で成し遂げて見せます!」

半エルフ兵長「それに、神は我々の味方だ!」

半エルフ兵長「今後も、数多くの人間達を始末していくのだ!」

半エルフ兵達「おーーーーっ!」

~とある平原・街道~

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者(モンスター、なかな出てこないな)

勇者(そろそろ、出て来てもいい頃だが)

勇者(この辺、やけに静かだし)

勇者(ああは言って出てきたが、なんか違和感があるんだよな)

ピタッ、クルッ……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「なっ!? 誰もいない!」

勇者「一体、どう言う事だ!?」

巨大猫「……」

勇者「己れ、謀られたか!?」

勇者「貴様ら、本当にいい加減にしろ!」

スッ、スチャ、スラァン……

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……?」ハッ

スッ、スタッ……

「失礼だが、勇者XXXとお見受けする!」

「覚悟して貰おう!」

スチャ、スラァン……

勇者「!?」クルッ

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

敵兵達「……」

勇者「……」

スチャ、スチャ、スチャ、スチャ……

敵兵長「勇者XXX。貴様もバカな奴だ!」

敵兵長「そのまま、生まれ故郷でゆっくり休んでいればいいものを!」

敵兵長「我らは、今は亡き魔王様の臣下!」

敵兵長「今こそ魔王様の仇、取ってくれる!」

勇者「……」

敵兵長「全員、進め!」

敵兵長「今こそ、魔王様の仇を討つのだ!」

敵兵達「お――――っ!」

ダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

敵兵「とりゃあ!」ブン

勇者「……」サッ

敵兵2「てやっ!」ブン

勇者「……」キン

敵兵3「己れ!」ブン

勇者「……」ズバッ

敵兵3「ぐっ!?」プシューーッ

ブン、ズバッ……

敵兵「とりゃあ!」ブン

クルッ、ズバッ……

敵兵長「くっ、やはり手強いか……」

敵兵長「だが、我々ももうこれ以上は負けられない!」ギロッ

バタッ、バタッ……

敵兵4「とりゃあ!」ブン

勇者「……」サッ

ブン、ズバッ……

敵兵4「ぐあっ!?」プシューーッ

敵兵長「敵兵4!?」

フラッ、バタッ……

勇者「……」

敵兵2「勇者。まだ、腕は鈍ってはいないな?」

敵兵2「てっきり、父親同様に女に狂ってると思ってたが!」

勇者「……」

敵兵2「貴様のおかげで、魔王様は亡くなられた!」

敵兵2「絶対に、貴様だけは許さん!」ダッ

勇者「……」スッ

ダダダダッ……

敵兵2「てやっ!」ブン

勇者「……甘い」サッ

クルッ、ズバッ……

敵兵長「ちっ、やられたか……」

敵兵長「敵兵2。大丈夫か?」

敵兵2「……」

勇者「……」スッ

ズバッ、フラフラッ……

敵兵2「……」フラッ

バタッ、カシャン……

勇者「……」

敵兵長「……」

勇者「……」ダッ

ダダダダッ……

スッ、ズバッ……

敵兵長「ぐはっ!?」

勇者「……」スタッ

「隙あり」ヌッ

勇者「!?」ハッ

敵兵6「てりゃあ!」ブン

勇者「くっ……」キン

ダダダダッ、ダダダダッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ、ピタッ……

敵兵長2「勇者。覚悟しろ!」

敵兵長2「仲間の仇も、この場で一緒に取ってやる!」

勇者「……」ギリギリ

敵兵6「……」ギリギリ

バン、スタッ、スタッ……

敵兵長2「全員、そのまま突っ込め!」

敵兵長2「第三班、第四班も応援を頼む!」

敵兵達「お――――っ!」

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

勇者(くっ、敵が多すぎる……)

勇者(何故、こんなにも魔王の配下達が……)

敵兵6「……」ブン

勇者「……」サッ

敵兵7「……」ブン

勇者「……」サッ

勇者(こいつら、まさか例のハーフエルフか?)

勇者(俺の知ってるハーフエルフは、こんなにも強くない!)

敵兵6「……」ブン

スチャ、ズバッ……

敵兵長4「くそっ、手強いか!」

敵兵長4「さすがは、魔王様を殺害しただけの事はある!」

勇者「……」スッ

勇者「回転斬り!」

クルッ、ズバズバズバッ……

敵兵達「ぐあ――――っ!?」

バタバタバタッ……

敵兵長4「だが、貴様もここで終わりだ!」

敵兵長4「第五班から第八班、援軍を頼む!」

敵兵達「お――――っ!」ダッ

~とある平原・街道(巨大猫側)~

巨大猫「おやおや、もう始まったか」

巨大猫「あ奴、やけに強いな」

敵兵6「ぐあ――――っ!?」

フラッ、バタッ……

巨大猫「じゃが、あ奴の体力はいつまで持つか?」

巨大猫「このまま、全ての敵兵を撃破できるかのぅ?」

キン、キン……

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

巨大猫「あ奴、一人で大丈夫か?」

巨大猫「やけに、亜人達が頑張っておるが」

巨大猫「そなたは、最初からあ奴を嵌めるつもりだったじゃろ?」

巨大猫「今の勇者は、本当に大丈夫なのか?」チラッ

少女「ええ、大丈夫よ」スッ、スタッ

巨大猫「……」

勇者「三回転斬り!」

クルッ、ズバズバズバッ……

ズバズバズバッ、ズバズバズバッ……

少女「でも、さすがは勇者様だわ!」

少女「あれだけの数、いとも簡単に蹴散らしていくんだから!」

巨大猫「……」

少女「あのまま、勇者様が今は亡き魔王の残党を撃ち取ってくれたら、かなり楽!」

少女「元々、勇者様はただの使い捨て!」

少女「今の私、全く間違っていないわ!」

少女「一度勇者となったからには、あのまま死ぬまでモンスターと戦い続けて貰うのがお似合いなのよ!」

巨大猫「……」

敵兵長2「ぐあ――――っ!?」プシューーッ

フラッ、バタバタッ……

少女女「あっ、勇者様が消えた」

少女「まさか、勇者様はもう死んじゃったのかな?」

巨大猫「……」ジーーッ

少女「……」ジーーッ

巨大猫「いや、まだあ奴は生きておるな」

巨大猫「あ奴、かなりしぶといな」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

少女「あっ、本当だ」

敵兵達「……」

勇者「くっ……」

少女「勇者様。頑張ってね!」

少女「そのまま、モンスターを全て倒しちゃえ!」

勇者「……」ブンブン

敵兵長4「……」ブンブン

少女「巨大猫。勇者様が死んだら、すぐに知らせて」

少女「魔術師のお姉ちゃん達が、また何か忙しいみたいだから」

少女「私、今から町に戻るね」

少女「だから、巨大猫もここで大人しくしとくのよ」

巨大猫「ああ、了解した」

少女「……」スッ

ヌポッ、プシューーッ……

少女「……」

プシューーッ、プシューーッ……

巨大猫「……」チラッ

少女「巨大猫。別に心配入らない」

少女「ちょっと、アイテムを使って転移魔法を発動させただけよ」

少女「これ、最近になって発売されたやつだし」

少女「だから、何も心配はしないでね!」

巨大猫「ああ、了解した」

シューーーーッ、シュン……

~とある平原・街道~

勇者(くっ、かなり多いな……)

勇者(だが、まだやれない訳じゃない……)

勇者(あいつら、完全に俺の事をバカにしやがって!)

勇者(今度会ったら、必ず斬り殺してくれる!)

敵兵達「……」ジリジリ

勇者(だが、まずはこいつらが先だ……)

勇者(こいつら、本当にハーフエルフなのか?……)

勇者(その割りには、指揮官とも言える奴の存在はなし……)

勇者(一体、敵の指揮官はどこに隠れているんだ?……)

敵兵長3「……」ダッ

敵兵長3「とりゃあ!」ブン

勇者「……」サッ

敵兵10「てやっ!」ブン

勇者「……」サッ

敵兵長5「己れ、ちょこまかと!」

敵兵長5「早く、早く皆の手で討ち取れ!」

敵兵達「お――――っ!」

勇者「……」スッ

勇者「雷撃!」

敵兵長5「なっ!?」

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

巨大猫「!?」

敵兵達「ぐああああああああ――――――――っ!?」

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

敵兵達「ぐああああああああ――――――――っ!?」

勇者「……」

スチャ、カシャン……

バタバタバタバタッ、バタバタバタバタッ……

勇者「ふぅ、これで最後か……」

勇者「ざっと数えても40体と言う事か……」

死体の山「……」

勇者「しかし、敵の指揮官がいない……」

勇者「一体、奴はどこにいるんだ?……」

巨大猫「……」

勇者「……」ハッ

巨大猫「……」

勇者「……」ジーーッ

巨大猫「……」

勇者「まさか、あいつが指揮官なのか?」

勇者「だとしたら、かなりのやり手だぞ」

巨大猫「……」

勇者「あの巨大猫、一体何者だ?」

勇者「あいつは、他人すら操る程の力の持ち主なのか?」

巨大猫「……」

ヒュン、スタッ……

ダッ……

勇者「……」ハッ

クルッ、キ----ン……

勇者「くっ……」ギリギリ

リザードマン「……」ギリギリ

勇者「……」ギリギリ

リザードマン「……」ギリギリ

バン、ヒョイ……

スタッ、スタッ……

勇者「……」

リザードマン「……」

ヒュン、スタッ、スタッ……

ヒュン、スタッ、スタッ……

勇者(くっ、今度はリザードマンか……)

勇者(それも、五体もいやがる……)

勇者(巨大猫の話では、この辺のモンスターの九割は駆逐されたはずだ……)

勇者(それなのに、何故こんなにもいる?……)

リザードマン「……」ジリジリ

勇者(まさか、また騙されているのか?……)

勇者(どこへ行っても、俺の扱いはこんな感じなのか?……)

勇者(いい加減、そろそろ鬱陶しくもなってきたな……)

勇者(あいつら、本当に今度会ったら叩き斬ってやる!)

リザードマン「……」ダッ

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

勇者「てやっ!」ブン

ズバッ、ズバッ……

リザードマン「ぐっ!?」プシューーッ

ヒュンヒュンヒュンヒュン……

勇者「……」サッ

勇者「といやっ!」ブン

リザードマン2「ぐあっ!?」プシューーッ

バタッ、バタッ……

敵騎士「ちっ、外したか!」

敵騎士「お望み通り、出てきてやったぞ!」

勇者「……」

敵騎士「勇者。これで最後だ!」

敵騎士「貴様には、ここで死んで貰う!」

勇者「なっ!?」

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

ピタピタピタピタッ、ピタピタピタピタッ……

スッ、スララララララララァン……

勇者(くっ、また出たか……)

勇者(一体、これのどこが九割撃破なんだ!?)

勇者(相変わらず、こいつら腕が衰えてねぇ……)

勇者(前に戦った時と、全く同じ強さを保ってやがる……)

敵兵達「……」

勇者(とりあえず、また雷撃で撃破……)

勇者(いや、雷撃だけでは足りない……)

勇者(こいつら、多分対策とかはしてるだろう……)

勇者(じゃなきゃ、ここまで俺の事を襲ってきたりはしない……)

リザードマン「……」ジリジリ

敵騎士「全隊、突撃!」

敵騎士「敵は連戦で体力を消耗している!」

敵騎士「掛かれ!」

敵兵達「お――――っ!」ダッ

リザードマン達「……」ダッ

勇者「くっ……」

リザードマン3「……」ブン

勇者「……」キン

リザードマン4「……」ブン

勇者「……」キン

リザードマン5「……」ブン

勇者「……」サッ

リザードマン3「……」ブン

勇者「うわっ!?」キン

ズルッ、ステン……

リザードマン3「……」ブン

勇者「おっと」サッ

リザードマン4「……」ブン

勇者「うわっ……」ブン

ズバッ、プシューーッ……

敵騎士「己れ! 勇者、ちょこまかと!」

敵騎士「さっさと死ね! 早く死ね!」

敵騎士「それで、魔王様に許しを請え!」ムカッ

リザードマン3「……」プシューーッ

勇者「……」ムクッ

スッ、バタッ……

敵兵達「……」

リザードマン4「……」ジリジリ

リザードマン5「……」ジリジリ

勇者「……」スッ

リザードマン4「……」ダッ

リザードマン5「……」ダッ

勇者「……」サッ

ドシ--------ン!

リザードマン4「ぐっ!?」

リザードマン5「ぐえっ!?」

スッ、スタッ……

勇者「はっ!」ブワッ

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

リザードマン達「ぐええええええええ――――――――っ!?」

フラフラッ、バタバタッ……

フラフラッ、バタバタッ……

リザードマン達「……」プスプス

死体の山「……」プスプス

勇者「お前ら、まだやるか?」

勇者「逃げるんなら、今の内だぞ!」

敵騎士「……」チラッ

敵兵達「……」フリフリ

敵騎士「……」スチャ

敵兵達「……」コクン

敵騎士「勇者。残念だが、我々は退かん!」

敵騎士「貴様が死ぬまで、我々は絶対に退かんのだ!」

敵兵達「……」ジリジリ

敵騎士「勇者。本当に、ここで死ね!」

敵騎士「貴様をこの手で殺すまで、我々は絶対に退かんぞ!」

敵兵達「……」ダッ

勇者「ちっ……」スチャ

ダダダダッ、ダダダダッ……

ダダダダッ、ダダダダッ……

勇者「はっ!」スッ、ブワッ!

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

敵兵達「ぐああああああああ――――――――っ!?」

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

バチバチバチバチッ、バチバチバチバチッ……

敵兵達「ぐああああああああ――――――――っ!?」

勇者「……」スッ

敵騎士「……」スチャ

バタバタバタバタッ、バタバタバタバタッ……

バタバタバタバタッ、バタバタバタバタッ……

敵騎士「結局、残ったのは私だけか……」

敵騎士「だが、貴様はかなり体力を消耗しているな……」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」

敵騎士「勇者。このまま一騎討ちだ!」

敵騎士「次こそ、私の手で魔王様の敵を討ってくれる!」

勇者「はぁ、はぁ、はぁ……」スチャ

敵騎士「……」ダッ

勇者「!?」スチャ

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

敵騎士「勇者。早く死ね!」

敵騎士「いい加減に、早く死にやがれ!」ブンブン

勇者「……」キンキン

敵騎士「貴様、何故そこまで生きる事に拘る!」

敵騎士「貴様の役目は、もう既に終わったはずだ!」ブンブン

勇者「……」キンキン

敵騎士「まぁ、それももう聞く必要すらない!」

敵騎士「貴様は、今からもう死ぬんだからな!」ブンブン

勇者「……」キンキン

巨大猫「……」ジーーッ

~とある平原・街道(巨大猫側)~

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

巨大猫「……」

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

巨大猫「……」

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

魔法使い「……」

魔法使い「あっ、勇者が何か戦ってる」

魔法使い「あいつ、何でまだこんな所で戦っているの?」

巨大猫「……」クルッ

魔法使い「あなた、確か魔術師が世話してる巨大猫よね?」

魔法使い「私、ちょっと勇者の様子を見に来たんだけど」

巨大猫「ああ、そうじゃが」

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

魔法使い「それで、何であいつは戦っている訳?」

魔法使い「あいつ、実は結構強かったとか?」

巨大猫「うむ。そうじゃよ!」

巨大猫「あ奴、腕だけは確かの様じゃ!」

キンキン、キンキン……

巨大猫「ちなみに、その辺に転がっている死体の山も全て勇者が!」

巨大猫「あ奴、もう既に百人近くは斬っておるぞ!」

魔法使い「!?」ガーーン

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

魔術師「巨大猫。お待たせ」

魔術師「勇者様の方は、どうなっているの?」

魔法使い「……」クルッ

巨大猫「ついさっきから、モンスター相手に百人斬りじゃ!」

巨大猫「本当に、あ奴腕だけは確かな様じゃな!」

魔術師「ええ、そうみたいね」

魔術師「……え?」

巨大猫「……」

魔法使い「……」

魔術師「!?」ガーーン

魔法使い「あいつ、結構強かったんだ……」

魔法使い「私達の前では、そんな素振りは全く見せてこなかったのに……」

キンキン、キンキン……

魔法使い「私、今会ったら犯されるのかしら?……」

魔法使い「いや、それだけは絶対に勘弁してほしい!」ゾワッ

魔術師「……」ビクッ

キンキン、キンキン……

巨大猫「それで、そなた達は何しに来た?」

巨大猫「今の勇者、かなり気が立っておるぞ」

ブン、ズバッ……

巨大猫「おっ、今の一発入ったな!」

巨大猫「後は、もう一撃を受けたら敵は倒れる!」

巨大猫「じゃが、まだ例のハーフエルフ達は姿を見せとらん!」

巨大猫「一体、どこで何をしているのやら」

勇者「……」スッ、ブワッ

バチバチバチバチッ……

敵騎士「ぐわああああああああ――――――――っ!?」

バチバチバチバチッ……

敵騎士「ぐわああああああああ――――――――っ!?」

フラッ、バタッ……

巨大猫「むっ? 終わったか」

巨大猫「あ奴、かなりやりおるな」

魔法使い「……」ビクビクッ

巨大猫「とりあえず、我らも合流するぞ」

巨大猫「今のそなた達は、勇者に用があるみたいじゃからな」

魔術師「……」ビクビクッ

スッ、ムクッ……

ノビーーーーッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある平原・街道~

スッ、カシャン……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

スッ、ストン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

巨大猫「勇者。ご苦労じゃった」

巨大猫「そなたのおかげで、大分片付いた」

巨大猫「たった今、魔術師と魔法使いがここに着いてな」

巨大猫「今のそなたに、何か用があってきたらしい」

勇者「……」

巨大猫「それで、今のそなたはどう思う?」

巨大猫「そなたは、モンスターと戦いたかったのじゃろ?」

巨大猫「望み通りに、そなたはモンスターと戦う事が出来た」

巨大猫「まだ、そなたはこれからも戦わねばならん」

勇者「……」

巨大猫「勇者。妾の話は聞いておるか?」

巨大猫「疲れきっている所悪いが、まだそなたには戦って貰わなければ困る」

巨大猫「次は、この道をまっすぐ行った先にある川じゃ」

巨大猫「そこに、妾達が依頼した多数のハーフエルフ達がおる」

勇者「……」

巨大猫「勇者。そなた、まだ戦えるか?」

巨大猫「無理なら、正直に申し出てほしい」

勇者「……」フリフリ

巨大猫「なら、このままそなたには引き続き戦って貰う」

巨大猫「その前に、妾達の背後におる魔術師達の話を聞こうか」

勇者「それで、魔術師達の用件とは?」

勇者「何故、あいつらはあんなに離れているんだ?」

巨大猫「さぁ、解らぬ」

勇者「それに、傭兵隊はどうした?」

勇者「また、皆して俺の事をバカにしているのか?」

巨大猫「いや違う」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

勇者「ん?」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ……

魔術師「お疲れ様です。勇者様!」

魔術師「さすがは、魔王を討ち取ったお方!」

魔術師「本当に、見事な戦い振りでした!」

勇者「……」

魔法使い「勇者。お疲れ様!」

魔法使い「早速、私達が仕入れた情報を勇者に伝えるわよ!」

魔法使い「なんか、ダークエルフの軍勢が隣国に上陸したみたい!」

魔法使い「もう既に、隣国はダークエルフの軍勢によって制圧された後!」

魔法使い「一旦、傭兵隊は平原を抜けて町にまで撤退する事になったみたいよ!」

勇者「!?」ガーーン

魔術師「勇者様。本当に、申し訳ございません!」

魔術師「こればっかりは、本当に仕方なかったんです!」ペコッ

勇者「……」

魔術師「ですから、私達の事を犯さないで下さいね!」

魔術師「私、まだ犯されたくはないです!」

魔術師「せめて、初めては自身が本気で愛した人以外は絶対に嫌なんです!」

勇者(……何語?)

魔法使い「だから、私達には何もしないでね!」

魔法使い「もし仮に、手を出すのなら娼婦にだけにしてね!」

勇者「……は?」ギロッ

魔法使い「ゆっ、勇者。どうしたのよ?……」

魔法使い「今のあんた、かなり迫力があるんだけど……」ビクッ

勇者「……」ジーーッ

魔法使い「今のあんた、かなり血塗られているし……」

魔法使い「出来れば、本当に何もしないでね……」ビクビクッ

勇者「……」ジーーッ

スッ、ムクッ……

魔法使い「……」ビクッ

魔術師「……」ビクッ

勇者「……」ジーーッ

勇者「お前、何か勘違いしてないか?」

勇者「言っとくが、俺は娼婦以外に手を出した覚えはないが!」

魔法使い「!?」

魔術師「!?」

巨大猫「……」

勇者「お前、そんなに犯されたいのか?」

勇者「その時は、ゆっくりとお前達二人の事を存分に可愛がってやるよ!」ニヤリ

魔法使い「!?」ガーーン

魔術師「!?」ガーーン

フララッ、ドサドサッ……

勇者「ん? お前ら何やってんだ?」

勇者「今の、ただの冗談だったんだが」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

勇者「ちなみに、俺はどこぞの馬鹿師匠達みたいにレ〇プなんてしてない!」

勇者「それについては、完全な潔白だ!」

勇者「だから、そんな風にわざわざ怯え出す必要もない!」

勇者「と言うか尻餅ついて怯え出す程、今の俺の事がそんなに怖いのか?」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

巨大猫「勇者。そなた、何もせんのだな?」

巨大猫「この二人の女達に、そなたは手を掛けんのだな?」

勇者「ああ、そうだ」

巨大猫「なら、今のそなたの血を洗い直して来い」

巨大猫「ここを真っ直ぐ行った先に、大きな川がある」

巨大猫「そこは、今となってはハーフエルフによって占領された」

巨大猫「だから、そなたは今から川に向かうが良い」

勇者「ああ、了解した」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

勇者「では、俺はもう行くぞ」

勇者「今の俺達には、あまり時間はないみたいだからな」

巨大猫「ああ、了解した」

魔法使い「ゆっ、勇者……」

魔法使い「せめて、昨日渡した薬を持って行きなさいよ……」

魔法使い「あんた、あれ昨日全部使いきっていたんでしょ?……」

魔法使い「これから、エルフと戦わなければならないのに……」

魔法使い「それがないと、あんたは不便でしょうが……」スッ

魔術師「ええ、そうですね……」ビクビクッ

勇者「……」

スッ、ストッ

スッ、ギュッ……

勇者「では、これは頂いていく」

勇者「お前達も、気を付けてな」ニッコリ

魔法使い「……」コクン

魔術師「ええ、気を付けて……」

巨大猫「……」

スッ、ムクッ……

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

巨大猫「うむ。勇者は行ったな」

巨大猫「後は、迫り来るハーフエルフの軍勢を倒してきて貰うのを待つだけじゃ」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

巨大猫「そなたら、まだ怯えておるのか?」

巨大猫「もう、勇者はこの道を真っ直ぐ川の方にまで向かったのに」

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

巨大猫「とりあえず、妾は後を着けるぞ」

巨大猫「そなた達は、もう町に戻っておれ」

魔術師「ええ、そうさせて貰うわ……」

魔術師「今の私達、本気でヤバかったから……」ビクビクッ

魔法使い「……」コクンコクン

巨大猫「なら、早いとこ町に戻れ」

巨大猫「特に、そなたにはまだまだやる事があるのじゃろ?」

魔術師「ええ、まあね……」ビクビクッ

魔法使い「と、とりあえず、私達は先に戻るね……」

魔法使い「巨大猫も、道中を気を付けてね」ビクビクッ

巨大猫「ああ、了解した」

魔術師「また、今度ね……」ビクビクッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

魔法使い「……」ビクビクッ

魔術師「……」ビクビクッ

スッ、ヌポッ……

プシューーッ、プシューーッ……

プシューーッ、プシューーッ……

シューーーーーーーーッ、シュン……

~とある平原・川~

その日の昼――

勇者(ここが、例の川か)

勇者(巨大猫の言う通りに、ハーフエルフ達がいたな)

ハーフエルフの死体「……」

勇者(それに、その近くには人間の死体もある)

勇者(皆、剣による傷等が原因で死んでいる様だ)

山賊達の死体「……」

勇者「……」

娼婦の死体「……」

勇者(だが、これはどう言う事だ?)

勇者(俺の来る前に、何故かハーフエルフが全て始末されていた)

勇者(おまけに、山賊と思われる死体が六体ある)

勇者(後一人は、若い女の様だな)

ハーフエルフの死体「……」

勇者(なら、誰がこいつらをやった?)

勇者(俺以外にも、ハーフエルフを討伐する者がいたと言う訳か?)

勇者(しかし、この山賊達の死体は厄介だな)

勇者(下手したら、俺が疑われかねない)

山賊達の死体「……」

「む? この死体の山は何じゃ?」

「そなた、もう既にハーフエルフ達を退治したのか?」

勇者「……」クルッ

「それにしては、状況が異なる」

「ハーフエルフだけでは飽きたらずに、とうとう人間まで殺めてしもうたか」

勇者「……」

スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

巨大猫「勇者。これはどう言う事じゃ?」

巨大猫「そなた、何故人間まで巻き込んでおる?」

巨大猫「今のそなた、かなり立場が悪いぞ!」

巨大猫「この山賊達の死体は、全てそなたが作りおったのか?」

勇者「いや違う」

巨大猫「なら、これは誰が作った?」

巨大猫「妾は、ハーフエルフだけを討伐しろと言うたではないか!」

巨大猫「一体、そなたは何をしておる?」

巨大猫「これでは、まるでただの殺戮者じゃぞ!」

勇者「……」

巨大猫「勇者。早く説明をせよ!」

巨大猫「これは、一体どう言う事なのじゃ?」

巨大猫「そなた、もう既に人としての心を捨てたのか?」

巨大猫「人としての心を失うたから、こないな事が出来たのか?」

勇者「……」

巨大猫「勇者。早く弁解をしてみよ!」

巨大猫「そうしなければ、そなたの罪となる!」

巨大猫「まだ、ここは立ち入り禁止区域じゃ!」

巨大猫「これが公になれば、そなたの悪評が更に流れてしまう事となるぞ!」

勇者「!?」ガーーン

「あの、それについては大丈夫ですよ」

「この方、何も悪い事なんてしてませんから」

勇者「え?」

「この方、ついさっきここに着いたばかりなんです!」

「私達、ちゃんと見てましたから!」

勇者「……」クルッ

巨大猫「む? 誰じゃ?」

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

ピタタタタタタタタッ、ピタタタタタタタタッ……

勇者「……」

スッ、スチャ……

スララララララララァン、スララララララララァン……

スララララララララァン、スララララララララァン……

勇者「……」

スチャ、スラァン……

半エルフ兵達「……」

エルフ女侯爵「久しぶりね。巨大猫」

エルフ女侯爵「こうして、あんたと会うのは何年振りだったかしら?」

エルフ女侯爵「まさか、あんたが勇者に肩入れしてるとはね」

エルフ女侯爵「一体、どう言う風の吹き回しなのかしら?」ニッコリ

勇者「……」

巨大猫「確か、かれこれ23年振りじゃったかな?」

巨大猫「そなた、よくあの戦いに生き残った」

巨大猫「今の妾は、ちょっとした訳有りの身」

巨大猫「じゃから、今の妾は人間達に力を貸しておるのじゃ」

勇者「……」

エルフ女侯爵「そう。そうなの」

エルフ女侯爵「それで、今のあんたは勇者と一緒にいるの?」

エルフ女侯爵「けど、私が聞いてた勇者の人相とはかなり違わない?」

エルフ女侯爵「こいつ、本当にあのヘタレ野郎の息子なの?」

巨大猫「ああ、そうじゃが!」

勇者「……」イラッ

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「それで、そなたは今からどうするのじゃ?」

巨大猫「まさかとは思うが、ここで一戦交えるか?」

勇者「……」

エルフ女侯爵「それについては、今そこにいる勇者次第よ!」

エルフ女侯爵「私、今日は勇者と戦いに来た訳じゃない!」

勇者「何?」

巨大猫「なら、一体そなたは何しに来た?」

巨大猫「このまま、兵を率いてXXX王国に戦を仕掛けるのか?」

エルフ女侯爵「ええ、そうよ!」ニッコリ

勇者「……」ギリッ

巨大猫「じゃが、それはすぐには出来ぬぞ!」

巨大猫「今のXXX王国には、万全の対策が施されておる!」

エルフ女侯爵「うん。それで?」ニコニコ

巨大猫「そなた、まだ分からないのか?」

巨大猫「このまま、エルフが人間を滅ぼしたら世界のバランスが崩れる!」

巨大猫「そなたの怒りは、妾とて分からないでもない!」

巨大猫「今そなたがしてしまっている事については、ただの一方的な侵略に他ならないのじゃぞ!」

勇者「……」

巨大猫「じゃから、そなたも今すぐに兵を退くのじゃ!」

巨大猫「このままでは、本当に世界のバランスが大きく崩れる!」

巨大猫「今の妾とて、今のそなた同様に人間が憎い!」

巨大猫「本当に、このままじゃと取り返しのつかない事になるぞ!」

勇者「……」

エルフ女侯爵「だから、私達エルフが人間を滅ぼすのよ!」

エルフ女侯爵「それが、何が悪いって言うの?」

エルフ女侯爵「あんたとて、本当は分かってるでしょ?」

エルフ女侯爵「今まで、人間がしてきた事についてを!」

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「これまで、私達エルフは人間達に酷い目に遭わされてきた!」

エルフ女侯爵「だから、私はエルフと名の付く種族の為に立ち上がったのよ!」

エルフ女侯爵「人間こそ、この世界の中では有害でしかない!」

エルフ女侯爵「特に、私達エルフ族の事を奴隷にしようとしている人間達についてはね!」

巨大猫「……」

勇者「お前、本当にそんな事が出来ると思っているのか?」

勇者「ここは、俺が必ず食い止める!」

勇者「お前、以前から噂に聞く例のハーフエルフだな?」

勇者「残念だが、お前の野望もここまでた!」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「勇者。気を付けよ!」

巨大猫「女侯爵XXXXXXは、かなり強いぞ!」

巨大猫「そなたの父も、こ奴には勝てなかった!」

巨大猫「今のこ奴は、格段と以前よりも力が増しておる!」

勇者「何!?」

エルフ女侯爵「勇者。そこを退いてくれる?」

エルフ女侯爵「まぁ、退いてくれなくても別の道を通れば済む話なんだけど」

エルフ女侯爵「あんた、そんな血塗られた姿で戦えるの?」

エルフ女侯爵「一回、城下町にまで戻って装備を整えてきた方が良いんじゃない?」

勇者「余計なお世話だ!」

巨大猫「うむ。そうじゃ!」

エルフ女侯爵「なら、ここであんたには死んで貰うわ!」

エルフ女侯爵「勇者。ここで、私と一騎討ちよ!」

エルフ女侯爵「それなら、あんたとて文句はないはず!」

エルフ女侯爵「後の残りは、そこで待機していなさい!」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、スチャ……

勇者「……」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「では、これより妾が審判を務める!」

巨大猫「始め!」

勇者「……」ダッ

エルフ女侯爵「……」ダッ

ダダダダダダダダッ、ダダダダダダダダッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

勇者「……」

エルフ女侯爵「……」

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

勇者「てやっ!」ブン

エルフ女侯爵「……」サッ

スッ、ドゴッ!

勇者「ぐわっ!?」ズシン

スッ、スタッ……

クルッ、スチャ……

勇者「うぐぐっ……」

エルフ女侯爵「……」

勇者「うぐぐっ……」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「勇者。立てるか?」

巨大猫「まだ、開始して間もないが」

勇者「ううっ、くそっ……」イテテッ

エルフ女侯爵「……」

エルフ女侯爵「ハーフエルフ傭兵隊、戦闘態勢解除!」

エルフ女侯爵「全隊、勇者を無視して行軍を開始しなさい!」

エルフ女侯爵「巨大猫。これ、私の勝ちよね?」

エルフ女侯爵「今の勇者、かなり苦しそうなんだけど」

巨大猫「ああ、そうみたいじゃな」

勇者「ううううっ……」

スッ、カシャシャシャシャシャシャシャシャシャン……

カシャシャシャシャシャシャシャシャシャン……

巨大猫「やはり、鎖帷子では問題があったか」

巨大猫「鎖帷子は、衝撃には弱いからな」

エルフ女侯爵「勇者。私、言ったわよね?」

エルフ女侯爵「城下町に戻って、装備を整えた方が良いって!」

エルフ女侯爵「鎖帷子の欠点は、殴打と刺突!」

エルフ女侯爵「この二つは、鎖帷子に対してはかなり有効!」

エルフ女侯爵「私、今実際に杖を持っているんだし、それを鈍器代わりにされるって想像出来なかった訳?」

勇者「うぐぐっ……」

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

巨大猫「勇者。ハーフエルフ達が行軍を開始した!」

巨大猫「このままだと、本当に大変な事になるぞ!」

巨大猫「勇者、何をしておる!」

巨大猫「早く立たぬか!」

巨大猫「そなたが原因で、救えぬ命がまた増えるのじゃぞ!」

巨大猫「下手したら、本日中に城下町までに達してしまう!」

勇者「くそっ……」

エルフ女侯爵「まぁ、どの道大丈夫でしょ!」

エルフ女侯爵「どうせ、魔導師と老剣士が城下町にいるんだし!」

エルフ女侯爵「だから、このまま一緒にエルフの里まで来ない?」

エルフ女侯爵「明日の朝、XXX王国に対して総攻撃を仕掛けるから!」

勇者「!?」ガーーン

巨大猫「XXXXXX。そなた、考え直してはくれぬのか?」

巨大猫「このまま、本当に城下町にまで攻め込むのか?」

エルフ女侯爵「ええ、そうよ!」ニッコリ

巨大猫「出来れば、そなたには今すぐ考え直して貰いたい!」

巨大猫「今のそなたは、まるで魔王そのものじゃ!」

巨大猫「いつか必ず、痛い目に遭うぞ!」

エルフ女侯爵「うん。そうかもね!」ニコニコ

巨大猫「……」

勇者「お前、一体どう言うつもりだ?……」

勇者「何故、俺なんかをエルフの里にまで連れていく?……」

エルフ女侯爵「だって、あんたエルフの里に向かうんでしょ?」

エルフ女侯爵「今からだと、転移魔法でも使わないと絶対に間に合わない!」

エルフ女侯爵「だから、今のあんたにもチャンスをあげるの!」

エルフ女侯爵「そうしないと、フェアじゃないでしょ?」

勇者「うぐぐっ……」

エルフ女侯爵「とりあえず、巨大猫も一緒についてきて」

エルフ女侯爵「あんたは、元々私達エルフとは敵対していない」

エルフ女侯爵「と言うか、ケット・シーの割りにはかなりデカくない?」

エルフ女侯爵「あんた、一体どうしたらそんな巨体にまでなってしまうのよ?」

勇者「うぐぐっ……」

巨大猫「妾は、確かに種族的にはケット・シーじゃ」

巨大猫「それでも、あの城下町の人間達からは、ごくごく普通に接しられておる」

巨大猫「元々、妾達ケット・シーは人間達とも共生しておってな」

巨大猫「じゃから、妾は人間達に力を貸しておるのじゃ」

勇者「うぐぐっ……」

巨大猫「のぅ、XXXXXX」

巨大猫「行くなら行くで、早く行くぞ!」

巨大猫「早くせねば、城下町が火の海に包まれる!」

巨大猫「今の妾は、そちらの方が遥かに心配なのじゃ!」

エルフ女侯爵「ええ、そうね」ニッコリ

巨大猫「では、XXXXXX。今から転移魔法を頼む!」

巨大猫「勇者。これより、妾達はエルフの里に向かうぞ!」

巨大猫「そなたのおかげで、要らぬ心配が増えた!」

巨大猫「その責任、しっかりと取って貰うからな!」

勇者「うぐぐっ……」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「……」ブツブツ

エルフ女侯爵「はっ!」ブワッ

巨大猫「……」

勇者「うぐぐっ……」

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

シューーーーーーーーッ、シュン……

わかりました。
言い回しについては、自然的にそうなってしまいます。

~エルフの里・城門~

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタタタッ……

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ……

警備士官「お疲れ様です。女公爵」

警備士官「こちらの方達は、どちら様でしょうか?」

エルフ女侯爵「ええ、ちょっとね」

巨大猫「妾達は、そこにおるエルフに保護されたのじゃ」

巨大猫「偶々、道を歩いている時に魔王軍の残党に襲われてな」

巨大猫「それで、ここまで避難してきたと言う訳じゃ」

勇者「……」

警備士官「女公爵。今のは事実ですか?」

警備士官「まだ、魔王軍の残党がうろついていたとは」

エルフ女侯爵「ええ、その通りよ」

巨大猫「エルフ。すまぬが、一晩ここに厄介になるぞ」

巨大猫「ここで今倒れているのは、勇者XXXじゃ」

巨大猫「勇者は、とある国からの依頼で平原のモンスター退治を行っていた」

巨大猫「その途中で、勇者は魔王軍の残党に襲われたと言う訳じゃ」

警備士官「ふむふむ」

エルフ女侯爵「警備士官。勇者を至急病院へ」

エルフ女侯爵「それと、あの年増女にもすぐさま連絡」

エルフ女侯爵「勇者の周りに、最低でも一分隊は配置しときなさい」

エルフ女侯爵「今の勇者は、かなり精神を病んでしまってるから」

警備士官「はっ!」

巨大猫「エルフ。妾はどうする?」

巨大猫「妾も、出来れば勇者の元に付いていてやりたいのじゃが」

巨大猫「勇者は、エルフの言葉が解らん」

巨大猫「普段から、通訳無しには会話すら出来ないのじゃ」

警備士官「何?」

勇者「……」ムクッ

エルフ女侯爵「ええ、構わないわよ」

エルフ女侯爵「あんたは、勇者と一緒に付いていてあげて」

巨大猫「ああ、了解した」

警備士官「しかし」

エルフ女侯爵「警備士官。大丈夫よ!」

エルフ女侯爵「勇者は、永世中立のエルフの里には敵対はしない!」

エルフ女侯爵「たとえ、勇者が我々エルフに敵対したとしても、全てが無駄となる!」

エルフ女侯爵「もうこれ以上、勇者は悪評を広げられるのは嫌みたいだし!」

エルフ女侯爵「私達、エルフを一人でも殺害した時点で、人間達全てがエルフによって殺害されてしまうから!」ニッコリ

勇者「!?」

警備士官「成る程」

巨大猫「……」ギロッ

エルフ女侯爵「だから、勇者に関しては大丈夫よ!」

エルフ女侯爵「勇者を、すぐに病院で手当てしてあげなさい!」

警備士官「はっ、了解しました!」

警備士官「至急、手配致します!」

クルッ、スタッ……

警備士官「第一分隊、勇者を収容せよ!」

警備士官「第二分隊は、宮廷にまで連絡!」

警備士官「第三分隊は、引き続き警備!」

警備士官「各員、早急に持ち場に戻れ!」

警備兵達「はっ!」

勇者「……」

巨大猫「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ……

警備下士官「勇者殿、立てますか?」

警備下士官「見た所、かなり血塗られていますが」

勇者「ああ、大丈夫だ」

巨大猫「少し、魔王軍の残党達との戦闘で負傷しただけじゃ」

巨大猫「勇者は、背中のあたりを痛めておる」

巨大猫「ついさっきまで、勇者はなかなか立てずにいた」

巨大猫「特に、鎖帷子は打撃には弱いからな」

エルフ女侯爵「警備下士官。早く連れてってあげて」

エルフ女侯爵「今の勇者は、かなり体力を消耗しているみたいだから」

警備下士官「はっ!」

勇者「……」

クルッ、スッ……

スッ、ギュッ、ムクッ……

警備下士官「よいしょっと!」

警備兵達「……」

巨大猫「では、行くぞ」

巨大猫「ちゃんと、勇者を背負えているみたいじゃからな」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

警備士官「女公爵。宜しいのですか?」

警備士官「あの勇者、かなり怪しいのですが」

エルフ女侯爵「ええ、構わないわ」

警備士官「念の為、勇者の周りには警備を厳重にしときます!」

警備士官「勇者が送られるのは、主に外来用の為の病院!」

警備士官「そこは、普段から警備が厳重!」

警備士官「もう既に、結構な数の人間達を収容していますよ」

エルフ女侯爵「ええ、分かってるわ」

警備士官「なら、何故人間達を収容するのです?」

警備士官「あの人間達を使って、一体何をなされるつもりなのですか?」

エルフ女侯爵「……」

警備士官「そんなに、人には言えない事なのですか?」

警備士官「一体、何を隠されているんです?」

エルフ女侯爵「その件については、後で明らかになるわ!」

エルフ女侯爵「明日、人間達は地獄を見る!」

エルフ女侯爵「それ以上は、私の口からは言えないわ!」

警備士官「……」

シュピン……

エルフ女侯爵「ん? あの子からの通信?」

エルフ女侯爵「あの子、相変わらず情報が早いわね……」

警備士官「……」

エルフ女侯爵「あの子、一体何考えているのよ?……」

エルフ女侯爵「また、あの年増女に媚売っちゃって……」ムカッ

警備兵達「……」

エルフ女侯爵「警備士官。上から連絡があったわ!」

エルフ女侯爵「勇者は、エルフの里の内部にて拘束をする!」

エルフ女侯爵「あの勇者、XXX王国より刺客として送り込まれていたみたいね!」

エルフ女侯爵「まぁ、それも明日になれば、全てが無駄になるんだけどね!」

エルフ女侯爵「とりあえず、あんたも持ち場に戻って!」

エルフ女侯爵「勇者に関しては、こっちで何とかする!」

エルフ女侯爵「明日、XXX王国ももう終わりになるんだし!」

エルフ女侯爵「また、あの子が何か企んでいるみたいだからね!」

警備士官「はっ!」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ギギィーーーーッ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

エルフ女侯爵「勇者。まずは、怪我を直しなさい」

エルフ女侯爵「そうしないと、何回やっても私には勝てないわ」

勇者「……」

エルフ女侯爵「あんた、ここ最近ずっと連戦続きで休む暇がなかったんでしょ?」

エルフ女侯爵「そうじゃなきゃ、魔王を見事に討ち取ったはずのあんたがあんなに弱いはずがない」

勇者「……」

巨大猫「勇者。まずは、怪我を直せ」

巨大猫「そうせねば、そなたはXXXXXXには勝てぬ」

巨大猫「せっかく、そなたはエルフの里に入る事が出来たのじゃし」

巨大猫「そんな体のままでは、エルフ全てを殺害する事等出来ぬのじゃからな」

巨大猫「XXXXXX。そなたの心遣い感謝する」

巨大猫「じゃが、妾はそなたのやる事には納得が出来ぬ」

巨大猫「それだけは、しかと覚えておけ」

エルフ女侯爵「ええ、了解したわ」

勇者「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

カチャ、ギギィーーーーッ……

ギギィーーーーッ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

勇者の悪評については、全て勇者のした事が原因です。

勇者が、魔王を討つ旅に出ている途中に女に狂い、集まった仲間達を些細な事で殺害したり見殺しにしたりしました。

その時に生き残った仲間の身内が、戦士と魔法使いと僧侶の兄達です。

彼等がこの事を公にし、勇者の悪評が世界中に広がったと言う訳です。

~エルフの里・大通り~

しばらくして――

ガヤガヤガヤッ、ガヤガヤガヤッ……

ガヤガヤガヤッ、ガヤガヤガヤッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

勇者「ここが、エルフの里か……」

勇者「俺の住む国より、遥かに発展しているんだな……」

巨大猫「ああ、そうみたいじゃな」

エルフ女侯爵「……」

勇者「なぁ、巨大猫……」

勇者「ここ、結構広くないか?……」

勇者「通路だけでも、結構広い……」

勇者「至る所に、人が溢れ返ってる……」

巨大猫「ああ、そうじゃな」

勇者「それに、何だよあの店の数……」

勇者「店だけでなく、あらゆる物資すら全て揃ってるぞ……」

勇者「一体、何をやったらここまで発展出来るんだ?……」

勇者「今の俺、本当にエルフ達に勝てるのか?……」

巨大猫「さぁ、分からんな」

エルフ女侯爵「うふふっ、そんなにこの町が羨ましい?」

エルフ女侯爵「あんたの住む町って、かなり田舎みたいね」

勇者「……」ギロッ

エルフ女侯爵「こんなの、まだまだ発展途上なのよ」

エルフ女侯爵「ここまでの規模になるまで、かなり時間が掛かっちゃったけど」

勇者「……」

巨大猫「XXXXXX。病院はまだか?」

巨大猫「まだ、病院に着かないのか?」

エルフ女侯爵「ええ、まだよ」

勇者「まだ、着かないのかよ……」

エルフ女侯爵「まずは、どこへ行くにもここを通らなきゃいけないから」

エルフ女侯爵「ここは、エルフの里の全ての通路に繋がる大通り」

エルフ女侯爵「それも、わざわざ私があんた達の案内もしてあげているのよ」

エルフ女侯爵「少しは、有り難いと思いなさい」

勇者「……」

巨大猫「XXXXXX。早くしてくれ」

巨大猫「このままでは、勇者が死んでしまう」

巨大猫「元々、そなたが余計な事をしたからこうなったのではないか」

巨大猫「そなたさえ余計な事をしていなければ、勇者とて平穏無事な余生を過ごせていたと言うのに」

勇者「……」

エルフ女侯爵「警備下士官。まだ掛かる?」

エルフ女侯爵「この人混み、まだ抜けられないの?」

警備下士官「はっ、申し訳ございません」

警備下士官「まだ、抜け出せそうにはありません」

エルフ女侯爵「そう」

巨大猫「なら、転移魔法を使ってはどうか?」

巨大猫「早く、勇者を病院にまで連れてっておくれ」

エルフ女侯爵「はいはい」

勇者(全く、まだ着かないのか……)

勇者(出来れば、早くしてくれよ……)

エルフ女侯爵「警備下士官。転移魔法は?」

エルフ女侯爵「それを使って、病院にまで飛べる?」

警備下士官「いいえ、無理です」

エルフ女侯爵「なら、このまま歩いていくしかないわね」

エルフ女侯爵「一体、何でここまで混雑しているの?」

警備下士官「……そっ、それが」

「あっ、お母様。お帰りなさい」

「ごめんなさいね。ちょっと、皆が前祝いを始めちゃってたから」

エルフ女侯爵「え?」クルッ

スッ、スタッ……

エルフ女侯爵「あんた、何してるの?」

エルフ女侯爵「何で、こんな所にいるの?」

エルフ魔女「うん。ちょっとね」

エルフ女侯爵「やっぱり、またあんた何かしてるでしょ」

エルフ女侯爵「この人混み、まさかあんたが原因なんかじゃないわよね?」

エルフ魔女「うん。そうだけど」ニッコリ

エルフ女侯爵「……」

勇者「……?」

巨大猫「!?」ハッ

警備下士官「……」

巨大猫「そなた、一体何者じゃ!?」

巨大猫「まさか、XXXXXXの娘なのか!?」

エルフ魔女「ええ、そうよ」ニコニコ

巨大猫「XXXXXX。どう言う事じゃ!?」

巨大猫「そなた、いつこの幼子を産んだのじゃ!?」

エルフ女侯爵「うん。内緒!」ニッコリ

巨大猫「妾、そなたが再び娘を産んだとは聞いてないぞ!?」

巨大猫「そなたの娘は、今から23年前に戦死したはずじゃ!?」

巨大猫「一体、何がどうなってる!?」

巨大猫「まさか、そなたら妾達の事を謀りおったな!?」

エルフ女侯爵「うふふっ、バレた?」

エルフ女侯爵「私達、最初からそのつもりだったのよ」

エルフ女侯爵「この子は、あの戦いから一年後に生まれた私の大事な大事な実の娘」

エルフ女侯爵「多分、あんたの事だから、もう気づいたんじゃないの?」

エルフ女侯爵「この子が、過去にどんな事をしてきたか……」

エルフ女侯爵「今のあんたなら、この子を見た瞬間から気づいちゃったのよね?」ニヤリ

エルフ魔女「……」ニコニコ

巨大猫「くっ……」

勇者「……?」

警備下士官「……」

エルフ女侯爵「とりあえず、早く病院にまで行きましょ」

エルフ女侯爵「それ終わったら、私はもう戻るから」

エルフ女侯爵「巨大猫。この事、誰かに漏らさないでね!」

エルフ女侯爵「この事、誰かに漏らしたらあんたの命すら危ないからね!」ニッコリ

巨大猫「……ああ、了解した」ビクッ

勇者「……?」

エルフ魔女「それで、こちらの方はどなた?」

エルフ魔女「もしかして、この方が例の勇者様なの?」

エルフ女侯爵「ええ、そうよ」

巨大猫「……」ジーーッ

エルフ魔女「あれ? 何か顔が違わなくない?」

エルフ魔女「私が聞いた勇者様は、もっと貧相な顔をしているはずだけど」

エルフ魔女「まさか、魔王との戦闘で顔が変わっちゃったとか?」

エルフ魔女「それで、元々の顔にどこかの病院で戻して貰ったとか?」

巨大猫「ああ、そうみたいじゃ」

エルフ魔女「なら、早く病院に行かないとね」

エルフ魔女「私が、今から病院にまで道案内をしてあげる」

エルフ魔女「警備下士官。私についてきて」

エルフ魔女「すぐそこの裏道を使えば、病院にまで早く行けるから」

警備下士官「はっ、了解しました!」

クルッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ、……

巨大猫「勇者。これより、抜け道を使う」

巨大猫「もう暫く、辛抱してくれ」

勇者「ああ、了解した」

警備下士官「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ガヤガヤガヤッ、ガヤガヤガヤッ……

ガヤガヤガヤッ、ガヤガヤガヤッ……

カーネルの転生後は、エルフ魔女です。
今は、エルフの里でのんびりと過ごしてます。

~エルフの里・外来用病院前~

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタピタピタピタッ……

エルフ魔女「皆、着いたわよ」クルッ

巨大猫「おおっ、やっとか」

巨大猫「かなり、大きな建物じゃなぁ」

エルフ魔女「うん。まあね」

勇者「……」

スッ、ガチャ……

「あっ、お疲れ様です。女侯爵」

「今、そっちにむかいますので」

エルフ女侯爵「ええ、了解したわ」

勇者「……」

「先生。女侯爵XXXXXX様が、今お着きになられました!」

「今から、患者を中に搬送します!」

「ああ、良いよ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ……

エルフ看護師「勇者様。大丈夫ですか?」

エルフ看護師「意識の方は、ございますか?」

勇者「……」

巨大猫「勇者。看護師が意識はあるかと問いかけておる」

巨大猫「そなた、まだ死んどらんのだな?」

勇者「ああ、当たり前だ……」ムクッ

エルフ看護師「では、これから勇者様を中で診察を致します」

エルフ看護師「こちらのケット・シーは、勇者様の通訳と言う事で宜しいのですよね?」

エルフ看護師「今回は特例として、ケット・シーを病院内に付き添わせます」

エルフ看護師「衛生上の事を踏まえ、今後この様な事がない様にして頂きたいです」

エルフ女侯爵「ええ、了解したわ」

エルフ女侯爵「今後は、この様な事態が起きないように努力する」

エルフ女侯爵「今の勇者、かなり疲弊していてね」

エルフ女侯爵「私が発見する前まで、魔王軍の残党と戦闘をしていたみたいだから」

勇者「……」

エルフ看護師「でしたら、武器や武具等はこちらでお預かり致します」

エルフ看護師「見た所、つい最近になって新調された様ですね」

エルフ看護師「今まで、鎖帷子は装着した事はなかったのでしょう」

エルフ看護師「上に羽織っていたサーコートまで破かれていますよ」

エルフ女侯爵「ええ、そうみたいね」

巨大猫「勇者。病院内では、武器等を外すぞ」

巨大猫「そうしなければ、そなたの怪我等を治療出来ぬからじゃ」

巨大猫「今の所、エルフ達には敵対する医師はない」

巨大猫「今は大人しく、自身の体を治す事に専念するのじゃ」

勇者「ああ、了解した……」

巨大猫「では、勇者を早く中へ」

巨大猫「勇者には、妾の方で武器等を外すと伝えといた」

巨大猫「ちなみに、診察代はいくらなのじゃ」

巨大猫「勇者の持つ財布まで血塗られていようぞ」

勇者「……」

エルフ看護師「診察代につきましては、里の予算内です」

エルフ看護師「勇者様ご自身からは、1Gも頂きません」

巨大猫「うむ。そうか」

エルフ女侯爵「うふふっ、心配しなくても大丈夫よ」

エルフ女侯爵「皆、魔王を見事に討ち取った勇者様には、感謝くらいはしてるから」

エルフ女侯爵「だから、巨大猫も心配はしないで」

エルフ女侯爵「ここの病院内には、勇者様と同様に数多くの人間達が怪我や病気等の治療を受けている」

エルフ女侯爵「つい最近、勇者様が魔王を見事に討ち取った事実についても、私達の方で知らせてるから」

巨大猫「ああ、了解した」

エルフ魔女「……」

「看護師。もう大丈夫だよ」

「準備出来たから、早く勇者様を中に」

エルフ看護師「はい。了解しました」

エルフ女侯爵「警備下士官。中にまでお願い」

エルフ女侯爵「それ終わったら、もう持ち場に戻って良いから」

警備下士官「はっ!」

勇者「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

エルフ魔女「……」

エルフ看護師「では、勇者様はこちらでお預かり致します」

エルフ看護師「またのご来院をお待ちしております」ペコッ

エルフ女侯爵「ええ、御苦労様」

巨大猫「では、失礼する」

エルフ魔女「またね」

巨大猫「ああ」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

エルフ女侯爵「ふぅ……」

エルフ魔女「お母様。お疲れ様!」

エルフ魔女「本当に有り難うね。また、私の我が儘を聞いてくれて!」ニッコリ

エルフ女侯爵「……」ギリッ

エルフ魔女「多分、またお母様には活躍をして貰うかも」

エルフ魔女「私、今の体じゃ何も出来ないし」

エルフ魔女「また以前みたいな事は、とても出来ない」

エルフ魔女「後何年かしたら、私は学校とかにも行かなくちゃいけないから」

エルフ女侯爵「……」

スッ、ガシッ、ヒョイ……

エルフ魔女「!?」

エルフ女侯爵「それで、次は一体何をすれば良いの?」

エルフ女侯爵「今のあんたは、また何を企んでいるの?」ニッコリ

エルフ魔女「……」ビクッ

エルフ女侯爵「あんた、そう言えばまだ未就学だったわよね?」

エルフ女侯爵「私、その事すら完全に忘れてたわ」

エルフ魔女「……」

エルフ女侯爵「おまけに、あんたあの年増女に媚売っちゃって……」

エルフ女侯爵「何故か、あんたがあの年増女による推薦で私と同じ学校に入学するんじゃないかって言う話すら聞いてしまったいた……」

エルフ女侯爵「その上、族長自ら推薦する特待生って一体何?」

エルフ女侯爵「今のあんた、あの年増女に何を吹き込んでいるのかしら?」ニッコリ

エルフ魔女「ただ単に、私は純粋なエルフとして生まれたから……」

エルフ魔女「お母様が、以前私にエルフならエルフらしくしろって言ってたから、エルフらしく学校に通おうかなぁって……」

エルフ女侯爵「うん。それで?」ニコニコ

エルフ魔女「そしたら、あの年増女が推薦状を書いてくれるって……」

エルフ魔女「私、色々とあの年増女に媚とか売ってるし……」

エルフ魔女「後は、今やってるオペレーションの功績に報いるもの……」

エルフ魔女「だから、私は何も悪い事はしてないわ……」

エルフ魔女「私が成人するまでの間は、子供なら子供らしく学業に専念しようかなぁって……」

エルフ魔女「あの、駄目だった?」

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

エルフ女侯爵「だったら、何でそれを私に言わなかったのよ!?」

エルフ女侯爵「私、つい最近になってそれを知ったんだけど!?」ギリッ

エルフ魔女「!?」ビクッ

エルフ女侯爵「あんた、私の事を何だと思ってるの!?」

エルフ女侯爵「私、あんたの実の母親なのよね!?」ギロッ

エルフ魔女「うん。そうだけど……」

エルフ女侯爵「はぁ……」

エルフ女侯爵「とりあえず、後の話は家で聞くわ……」

エルフ女侯爵「あんたも、覚悟くらいはしときなさいよね……」

エルフ魔女「うん。分かった……」ビクビクッ

スッ、スタッ……

スッ、スッ……

エルフ女侯爵「あっ、そう言えばあんたあの人達の事を覚えてる?」

エルフ女侯爵「あんたが、以前マンボウを捕まえた砂浜で出会った漁師さん達」

エルフ女侯爵「あの人達から、また手紙が届いたわ」

エルフ女侯爵「また、マンボウを高値で買い取って貰いたい」

エルフ女侯爵「ここ最近、魚がなかなか取れないみたいでね」

エルフ女侯爵「あそこの漁師さん達が、かなり困ってるみたいよ」

エルフ魔女「へぇ~~っ、そうなんだ」

スッ、クルッ……

エルフ魔女「でも、私もうマンボウはいらないんだけどなぁ」

エルフ魔女「あの時のマンボウ、結局逃げられちゃったし」

エルフ魔女「思えば、何であんな不気味な魚が高値になっているんだろう?」

エルフ魔女「あれ、そんなに美味しいのかな?」

エルフ女侯爵「さぁ、分からないわ」

エルフ魔女「とりあえず、もう戻りましょ」

エルフ魔女「私の今日のお昼の予定は、お母様によるお説教等のフルコースみたいだし」

エルフ魔女「相変わらず、お母様はヒステリックでバイオレンス」

エルフ魔女「私、もっと優しい人が母親だったら良かったなぁ」ガクッ

エルフ女侯爵「ええ、そうね」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

エルフ女侯爵(全く、どうしてこんな所まで私に似ちゃったんだか……)

エルフ女侯爵(お母様も、よくこんなクソ生意気な娘を一生懸命育ててたわね……)

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

エルフ女侯爵(私の時も、こんなんだったのかしら?……)

エルフ女侯爵(今覚えば、亡くなったお母様には本当に悪い事をしたわ……)ハァ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

「お母様。何してるの?」

「私、先に戻ってるよ!」

エルフ女侯爵「駄目。そこで待ちなさい!」

「なら、早く来て!」

「じゃないと私、このままどこかに逃げちゃうから!」

エルフ女侯爵「はいはい!」

エルフ女侯爵(とりあえず、後で従者A辺りにも話聞いてみよう)

エルフ女侯爵(あいつ、私が子供の時からいたんだし、何か良い方法を思い付くかもしれないからね)

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……


しかし相変わらず筆が速いな
その才能分けて欲しいぜ

>>371
ありがとうございます。

~とある宿屋・宿泊部屋~

その日の夕方――

僧侶「は? 勇者様が行方不明?」

僧侶「一体、それはどう言う事なんですか?」

戦士「……」

僧侶「勇者様は、ちゃんとエルフの里に向かわれたのですよね?」

僧侶「一体、勇者様の身に何があったのですか?」

魔法使い「……」

老剣士「今さっき、俺の元にも魔導師から情報が入った」

老剣士「詳しい事は、俺にも解らん」

老剣士「だが、魔導師から聞かされた話によれば、最後に勇者と実際に会っていたのはたった二人」

老剣士「それについては、何か心当たりがあるのだろう? 魔法使い」

老剣士「勇者は、この近くの平原でモンスター退治をしている最中に、魔王軍の残党と交戦した」

老剣士「それを見事に単騎で殲滅し、近くにある川へと向かうまでしか足取りが掴めていないのだ」

魔法使い「……」

老剣士「それで、何かお前は心当たりはないか?」

老剣士「お前と一緒にいたもう一人は、何も知らないと言っている」

老剣士「このままでは、我らに勝ち目がなくなってしまうぞ!」

老剣士「もう既に、隣国のXXXX王国にはダークエルフの軍勢が上陸を果たしているのだ!」

魔法使い「……」

戦士「師匠。落ち着いて下さい」

戦士「魔法使いも、勇者と最後に会った後から何か様子がおかしいのです」

戦士「俺達の前でも、魔法使いは何も語ろうとはしません」

戦士「一体、何が起きているんですか?」

老剣士「知るか」

戦士「……」

僧侶「それで、何があったの?」

僧侶「このままだと、本当に危ない事になるわよ」

魔法使い「……」

スッ、コトッ……

戦士「お前、この薬を渡しに行った後からおかしくなったんだよな?」

戦士「一体、お前は何を見たんだ?」

魔法使い「……」

老剣士「魔法使い。早く答えろ!」

老剣士「さもないと、お前の立場も危うくなる!」

魔法使い「……」ウルッ

僧侶「魔法使い。何があったのか説明して」

僧侶「私は、魔法使いの味方だから」

僧侶「だから、正直に全てを答えてちょうだい」ニッコリ

魔法使い「……」ウルウルッ

魔法使い「あれは、私が勇者に例の薬を届けに行った時の事よ……」

魔法使い「その時、勇者は魔王軍の残党達と交戦をしていたわ……」ポロポロッ

僧侶「うん。それで?」

魔法使い「その時、私は恐怖を感じたの……」

魔法使い「戦闘の時に見せた勇者の知られざる一面……」

魔法使い「普段と違い、魔王軍の残党達との戦いの時は、遥かに別人だった……」

魔法使い「普段から、私達には絶対に見せなかった殺人的な衝動を、この私の前で初めて見せてきたのよ……」スッ、フキフキッ

僧侶「……」

戦士「それで、話の続きは?」

戦士「お前がこうなるって事は、勇者が相当強かったって言う事か?」

魔法使い「ええ、そうよ……」

魔法使い「あいつ、本当に強かった……」

魔法使い「この私の目の前で、魔王軍の残党達が一瞬にして斬り殺されていたのよ……」

魔法使い「更には、あいつ雷撃まで使っていた……」ウルッ

戦士「は?」

老剣士「いや、それは普通だろ」

老剣士「勇者たる者、魔法くらいは使えないといけないのだが」

僧侶「ええ、そうですね」

魔法使い「でも、私が見たのは、本当に恐ろしかった……」

魔法使い「あいつ、下手したら私の事まで殺し掛けていたわ……」ウルウルッ

魔法使い「おまけに、私、あいつに犯され掛けていたの……」

魔法使い「完全に、血塗られていたあいつとか弱い乙女がたった二人……」

魔法使い「結果は、誰が見ても絶望的だったわ……」

魔法使い「あいつ、実際に“この私の事を犯してやろうか?”って、不適な笑みを浮かべながらそう至近距離でこの私に呟いてきたのよ……」ポロポロッ

僧侶「!?」

戦士「なんだと!?」

老剣士「……すまん」

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「……」スッ、ギュッ

魔法使い「……」ポロポロッ

戦士「じゃあ、お前がそうなっているのは、勇者が原因なのか?」

戦士「本当に、勇者の奴はそう言ったのか?」

魔法使い「ええ、そうよ……」ポロポロッ

僧侶「……」

戦士「だが、それは信じられねぇな」

戦士「兄貴の話だと、あいつ娼婦以外は抱かなかったって」

老剣士「うむ。確かに!」

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「でも、実際に魔法使いが犯され掛けたのは事実じゃないのかな?」

僧侶「そうじゃなきゃ、魔法使いがここまでか弱く泣いてたりはしないでしょ!」

老剣士「なぁ、魔法使い。今のは事実なのか?」

老剣士「はっきりと、今のお前はそう断言出来るのだな?」

魔法使い「はい……」ポロポロッ

老剣士「お前と一緒にいた魔術師も、そう証言した」

老剣士「その時、近くにいた一匹のケット・シーが止めに入ってくれたそうだな?」

魔法使い「はい。そうです……」ポロポロッ

僧侶「え?」

戦士「ケット・シー?」

老剣士「うむ。そうだ」

魔法使い「……」スッ、フキフキッ……

戦士「師匠。ケット・シーって何ですか?」

戦士「それ、何かの動物か何かですか?」

僧侶「……」

老剣士「ケット・シーと言うのは、猫の姿をしたモンスターだ」

老剣士「奴等は知能が高く、人間達と共生をしている」

老剣士「こいつと一緒にいた魔術師も、ケット・シーの世話をしていてな」

老剣士「そのケット・シーですらもまた、勇者と一緒に本日の昼頃に消息を絶った」

戦士「そんな」

僧侶「……」

魔法使い「……」ウルッ

魔法使い「でも、ケット・シー自体には問題はないわよ……」

魔法使い「普段は、ただの猫として活動をしているから……」

僧侶「え?」

戦士「でも、そいつ大丈夫なのか?」

戦士「勇者の身に何かあったら、今後は俺達が行かなきゃならないんだぞ」

僧侶「うん。そうだね……」

老剣士「いや、特に問題とかはない」

老剣士「ケット・シー自体は、この国では普通に世話されている」

戦士「は?」

僧侶「何故です?」

魔法使い「何故って、私の様な魔法使いにはとても馴染みがあるから……」

魔法使い「昔から、よくフクロウや黒猫等を使い魔にしてるでしょ?……」

魔法使い「元々、ケット・シーは山間部に生息をしているんだけど……」

魔法使い「人懐こいとこがあるし、人間の言葉も話せるから便利な訳……」

戦士「ああ、そうか」

僧侶「成る程ね」

魔法使い「だから、ケット・シー自体は何も問題はないの……」

魔法使い「あのケット・シーは、魔術師さんが勇者の為に貸し出した通訳の代わりだからね……」

僧侶「そう」

戦士「意外だったな」

魔法使い「とにかく、私は何も知りません……」

魔法使い「勇者と再び別れた後、ずっとここにいたんです……」

魔法使い「多分、あの魔術師さんも全く同じ事を言うでしょう……」

魔法使い「私達、下手したら勇者に犯されてましたし……」

魔法使い「未だに、勇者の事を考えたらすぐさま涙が出てきますからね……」ウルウルッ

僧侶「……」

戦士「……」

老剣士「戦士。この二人の事を見張ってろ」

老剣士「俺は、再び魔導師の元に行く」

スッ、ガタッ……

戦士「師匠。俺もここにいなきゃいけませんか?」

戦士「俺とて、詳しい情報を知りたいです!」

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「戦士。ここは抑えて!」

僧侶「戦士まで何かあったら、私達どうすれば良いのよ?」

戦士「だが!」

老剣士「戦士。詳しい情報が入ったら、お前にも教えてやる!」

老剣士「それまで、お前はここでこの二人の事を見張ってろ!」

戦士「くっ……」

僧侶「戦士!」

戦士「師匠。かしこまりました……」

戦士「必ず、俺達にも情報を下さいね……」ギリッ

老剣士「ああ、了解した!」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ガチャ……

キキィーーッ、バタン……

戦士「……」

僧侶「……」

魔法使い「……」スッ、フキフキッ

僧侶「戦士。ここは我慢してね」

僧侶「戦士まで、勇者様みたいになったら、私達が困るんだから」

戦士「ああ、分かってるよ……」イラッ

魔法使い「……」

僧侶「魔法使い。今日は、私が一緒に寝てあげる」

僧侶「だから、魔法使いは安心してね」ニッコリ

魔法使い「ええ、了解したわ……」

戦士「……」

僧侶「……」

魔法使い「……」

~とある城・大臣執務室~

密偵「報告。勇者XXXの所在は、未だ掴めません」

密偵「見つかったのは、魔王軍の残党達と思われる死体ばかりのみ」

密偵「ハーフエルフの軍勢は、XXX平原にまで展開」

密偵「そこに陣を敷き、後続の部隊と合流をする模様です」

大臣「……」

王子「して、ダークエルフの軍勢は?」

王子「まだ、XXXX王国からは動かないのか?」

密偵「はい」

王子「大臣。今後どうする?」

王子「この国の守りは、一体どこまで進んでいるのだ?」

大臣「王子。恐れながら申し上げる」

大臣「我が国の守りは、本当に絶望的です」

大臣「何故なら、我が国には正規の兵士が100名しかおりませぬ」

大臣「傭兵隊を合わせても、良くて200行くか行かないかの状態なのです」

王子「……」

大臣「王子。他に、何かご質問はありますかな?」

大臣「もし仮にないのでしたら、もうそろそろお開きに致しますが」

王子「いや、ある」

大臣「では、ご質問の方を」

王子「すぅ……はぁ……」

王子「大臣。魔導師からの連絡はどうした?」

王子「確か、魔導師が召喚兵とやらを用意していると聞いていたのだが」

大臣「はい。確かに」

王子「それを使えば、いくらかは我らを守る壁となる」

王子「国境付近に兵を集中させ、その間に民達をどこかに逃がしてはどうか?」

密偵「……」

大臣「残念ですが、それには及びません!」

大臣「魔導師には、召喚兵を出すなと指示を出しております!」

王子「は?」

大臣「王子。私は、もう腹をくくりました!」

大臣「迫り来るエルフ達の軍勢に対して、降伏をするつもりです!」

王子「お主、それは本気か?」

王子「その事についてを、父上にはもう話したのか?」

大臣「いいえ」

王子「だったら、何故もっと早くに和平の道を探らなかった!?」

王子「そなたが父上にもっと早くに進言さえすれば、状況は少しは変わったはずなのに!」

大臣「申し訳ござりませぬ!」ペコッ

密偵「……」

王子「大臣。私は、つくづく失望した!」

王子「そなたは、何年この国に仕えているのだ!?」

大臣「……」

「大臣。余からの質問にも答えよ!」

「たとえ、降伏をしたとしても、あの女エルフがそれを受け入れるとは思えぬが!」

王子「!?」クルッ

大臣「陛下?」スッ、ガタッ

密偵「……」クルッ、ペコッ

スッ、ガチャ……

スタスタスタッ、バタン……

王子「父上、今の話をお聞きになっておられたのですか?」

王子「さすがに、私も父上と同意見です」

国王「うむ。そうだ」

国王「大臣。何故、降伏をする?」

国王「もし仮に、我らがエルフの前に降伏をしたとして、今後の我らはどうなるのだ?」

王子「……」

大臣「はっ、恐れながら申し上げます!」

大臣「現段階の時点で、今の我らに勝ち目はありません!」

大臣「何故なら、勇者XXXが消息を絶ちました!」

大臣「周辺諸国からも、我が国の民達の受け入れや救援の兵を出す事すら全て拒否されたからです!」

国王「……」

王子「なら、何故もっと早くに和平の道を探らなかった?」

王子「例の件が発覚してから、そなたは何をしておったのだ?」

大臣「王子。私は、これまでの所何もしてきませんでした」

大臣「所詮、エルフの言う戯言など聞く必要はない」

大臣「あの女エルフが生きている事すら、単なる噂話でしかないと思っていたからです」

大臣「実際、あの女エルフが再び私の前に姿を現すまでは、適当にあしらっておけば良いと考えていたのです」

王子「……何?」

国王「大臣。そう早まった真似はするな!」

国王「我らが、エルフに降伏をする必要はない!」

国王「所詮、エルフなど奴隷にしておけば良いのだ!」

国王「周辺諸国も、本心は我らと全く同じであろう!」

大臣「……」

王子「ですが、実際にエルフによって滅ぼされた国があるのですよ!」

王子「それについては、一体どう説明するのですか?」

国王「……」

王子「私は、もっと早くに和平の道を探っておけば良かったと考える!」

王子「父上達は、何故エルフなどに手を出したのですか?」

王子「過去の先人達がエルフなどに手を出さなければ、こんな事態にはならなかったはずです!」

王子「エルフ達は、実際に我が国に対して兵を出しているのですよ!」

国王「……」

大臣「……」

王子「……」

大臣「王子。もう諦めるしかありません!」

大臣「我が国は、完全に孤立しているのです!」

大臣「あの女エルフさえ生きていなければ、こんな事態にはならなかった!」

大臣「あの女エルフさえこの世にいなければ、どれだけ幸せな事でしょう!」

王子「……」ギリッ

国王「大臣。それについては私も同意見だ!」

国王「あの女エルフは、本当に生かしてはおけぬ!」

国王「あの時、どこぞの馬鹿貴族が保護しなければ……」

国王「私の父や母も、あの女エルフに殺されたのだぞ!」

王子「!?」キョトン

大臣「陛下。その話はなりませぬ!」

大臣「また、陛下のお体に障りますぞ!」

国王「ああ、そうだったな……」

王子「父上。今のどう言う事ですか?」

王子「父上達は、以前からあの女エルフとは顔見知りなのですか?」

国王「ああ、そうだ……」

王子「……」

大臣「王子。もう宜しいでしょう?」

大臣「これ以上、陛下の口からお話させる事をお止め下さいませ」

王子「ああ、すまぬ」

国王「大臣。絶対に、エルフの前には降伏をするな!」

国王「明日の朝までに、何としても勇者を探し出すのだ!」

国王「もしそれが無理なら、エルフと刺し違える覚悟で戦え!」

国王「この際、召喚兵だか何だか知らんが、それを使ってでも防ぎきれ!」

大臣「はっ!」ビシッ

国王「……」

クルッ、ガチャ……

スタスタスタッ、バタン……

大臣「……」

王子「……」

大臣「密偵。魔導師の元に迎え」

大臣「今さっきの陛下のお言葉を、しかと伝えるのだ」

密偵「はっ!」ペコッ

王子「……」

大臣「王子。あなたも部屋でお休み下さい」

大臣「この件につきましては、我らが対処致しますので」

王子「ああ、了解した……」

スッ、ムクッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ガチャ……

大臣「王子。早くお部屋にお戻り下さい」

大臣「それと、この件につきましては誰にも他言せぬ様に」

王子「……」

大臣「王子。どうされましたか?」

大臣「まだ、何かあるのですか?」

王子「いや、ない……」

密偵「……」

王子「大臣。気を付けてな」

王子「それだけは、私から言っておく」

王子「では」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

大臣「……」

大臣「……」

大臣「……」

大臣「……」

スッ、ストン……

大臣「本当に、我らには手はない……」

大臣「一体、どうしたら良いのだ?」

~外来用病院・病室~

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」パチッ

勇者「……」シャキン

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

巨大猫「……」チラッ

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

巨大猫「うむ。起きたみたいじゃな」

勇者「巨大猫。ここは?……」

勇者「まだ、俺は死んでいないんだな?……」

巨大猫「ああ、そうじゃ」

勇者「と言う事は、ここはエルフの里なのか……」

勇者「俺の治療、何も問題はなかったんだな?……」

巨大猫「ああ、まあな」

勇者「……」

巨大猫「……」

スッ、ムクッ……

トントン、ガチャ……

エルフ看護師「失礼します」

エルフ看護師「勇者様。本日の夕食をお持ち致しました」

巨大猫「ああ、すまぬ」

勇者「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、コトッ……

エルフ看護師「勇者様。お加減の方は宜しいですか?」

エルフ看護師「もうお起きになられても、大丈夫なのですか?」

勇者「……巨大猫」

巨大猫「彼女は、夕食を食えるかどうかを聞いておる」

巨大猫「もし仮に、そなたが食えないのなら、このまま下げてしまうとな」

勇者「ああ、大丈夫だ」

巨大猫「看護師。勇者は、大丈夫だと申しておる」

巨大猫「それと、本日の夕食のメニューは一体何なのじゃ?」

勇者「……」

エルフ看護師「本日のメニューは、人間の方でも食べれる様にアレンジがされています」

エルフ看護師「私達は、基本的に肉食は好みません」

エルフ看護師「ですから、勇者には普段から人間の方達が食べられているメニュー」

エルフ「主に、貧しい農村部と同じメニューにしてあります」

巨大猫「勇者。そなたの本日の食事はかなり質素じゃな」

巨大猫「パン、豆入りスープ、チーズ、ワイン」

巨大猫「普段から、そなたはこの様な食事を取っておるのか?」

巨大猫「はっきり言って、まだ妾の方が比較的に良い食事をしておるぞ」

勇者「……」ガクッ

エルフ看護師「……」

巨大猫「ん? どうした?」

巨大猫「やっぱり、そなたの本日のメニューを変えてほしいのか?」

勇者「ああ、そうだ……」

エルフ看護師「……」

巨大猫「看護師。すまぬが、本日のメニューを変えてはくれぬか?」

巨大猫「一応、自分は魔王を討ち取ったのじゃから、少しくらいは贅沢がしたい!」

巨大猫「ここ最近、勇者はろくな物を食ってないそうでな!」

巨大猫「だから、せめて最後くらいは豪華な食事をしてみたいそうじゃ!」

エルフ看護師「はい。かしこまりました」

スッ、コトッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、クルッ……

スッ、バタン……

巨大猫「勇者。本日の食事は、作り直してくれるそうじゃ」

巨大猫「良かったのぅ、あんな質素な食事ではなくて」

勇者「ああ、まあな……」

巨大猫「一体、次は何を持ってくるのじゃろう?」

巨大猫「やはり、ついさっきのメニューに何品か追加したくらいのメニューかもしれぬ」

勇者「……」ウルッ

スッ、フキフキッ……

巨大猫「勇者。大丈夫か?」

巨大猫「まだ、そなたはやれるのか?」

勇者「ああ、大丈夫だ……」ウルウルッ

巨大猫「なら、こんな所で泣くでない」

巨大猫「そなたは、仮にもこの世界を救った勇者なのじゃぞ」

勇者「……」ポロポロッ

巨大猫「そなた、まさか挫折し掛けておるのか?」

巨大猫「そなたが挫折したら、一体どれだけの人間達が無惨に死んでいくかが分かっておるのか?」

勇者「ああ、分かってるよ……」ポロポロッ

巨大猫「なら、こんな所で泣くでない」

巨大猫「そなたは、この世界を救った勇者なのじゃ」

巨大猫「そなたの体、どこも異状はない」

巨大猫「少し休めば、すぐに良くなるそうじゃ」

勇者「なら、早くここを出ないとな……」

勇者「俺の武器とかは、一体どこにある?……」スッ、フキフキッ

巨大猫「ここの警備室じゃ」

勇者「警備室? かなり厄介だな……」

勇者「つまり、今の俺はエルフ達の監視下に置かれていると言う訳なんだな?……」

巨大猫「ああ、そうじゃ」

勇者「くそっ、しくじったか……」

勇者「やはり、あそこで装備を整えた方が良かったか……」

勇者「そしたら、あの女エルフにも負ける事はなかった……」

勇者「魔王軍の残党達がいなかったら、確実に勝っていただろう……」

巨大猫「勇者。今後どうするのじゃ?」

巨大猫「そなたの見張りは、最低でも10名以上はいる」

巨大猫「まず、ここの病室の前に2人」

巨大猫「出入り口と廊下には、東西に別れて1人ずつ」

巨大猫「この建物の敷地内には、小規模ながらも兵士詰め所があるぞ」

巨大猫「ここは、外部から来た病人達が収容される病院なのじゃ」

勇者「……」

スッ、クルッ……

勇者「よっと……」

スッ、スタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

ガチャ、ヌッ……

「おや? どうかしましたか?」

「もう、出歩いても宜しいのですか?」

勇者「いや、ちょっとトイレに……」

「トイレでしたら、室内にございます」

「そこに置いてある木桶をご使用下さい」

勇者「はい。すみません……」

スッ、バタン……

勇者「巨大猫。今の聞いてたか?……」

勇者「俺、通訳なしで会話した様な……」

巨大猫「ああ、したな」

勇者「……」

巨大猫「……」

スッ、ガチャ……

エルフ医師「勇者様。どうかしましたか?」

エルフ医師「お加減の方は、もう良いみたいですね」ニッコリ

勇者「ええ、まぁ……」

巨大猫「おやおや」

エルフ医師「勇者様。もうすぐ夕食の時間です」

エルフ医師「勇者様は、室内で待機していて下さい」ニッコリ

勇者「あっ、はい……」

スッ、バタン……

勇者「……」

巨大猫「……」

スッ、ガチャ……

エルフ医師「ちなみに、私はあなたの言葉は分かります」

エルフ医師「ですから、お気軽に私に声を掛けて下さいね」ニッコリ

スッ、バタン……

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「……」

巨大猫「……」

勇者「今さっきの、聞かれてたのか?……」

勇者「もし仮に、そうだったらかなりヤバイな……」

巨大猫「ああ、そうかもな……」

勇者「……」ガクッ

~外来用病院・廊下~

数分後――

スッ、ガチャ……

警備兵「ん?……」チラッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

巨大猫「……」

スッ、バタン……

警備兵「何だ、勇者様と一緒にいた巨大猫か」

警備兵「本当に、デカイ猫だな」

警備兵2「ああ、そうだな」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

警備兵「おっ、止まった」

警備兵「何してんだ? あいつ」

警備兵2「さぁ」

巨大猫「……」

キョロキョロ、キョロキョロ……

「おやっ、どうしたんだい?」

「今後は、君がトイレに行きたいのかな?」

巨大猫「ああ、そうじゃ」

「猫用のトイレは、建物の外にある家畜収容小屋に行かないとないよ」

「君、勇者様の側に居なくても良いの?」

「勇者様、通訳がいないとキツイのに」

「君がいなきゃ、僕がしないといけなくなるじゃんか」

巨大猫「ああ、そうじゃな」チラッ

スタスタスタッ、ピタッ……

巨大猫「……」ジーーッ

エルフ医師「……」ジーーッ

巨大猫「……」ジーーッ

エルフ医師「……」ジーーッ

「先生。どうかされたのですか?」

「何さっきから、猫と見つめあっているんですか?」

巨大猫「……」ジーーッ

エルフ医師「……」ジーーッ

「先生。ここ病院ですよ」

「次の患者さんが、先生の事をお待ちしておられるのですからね」

巨大猫「……」ジーーッ

エルフ医師「……」ジーーッ

警備兵「……」ジーーッ

警備兵2「……」ジーーッ

エルフ医師「はぁ、分かったよ……」

エルフ医師「君が、トイレを済ますまでだからね……」

巨大猫「ああ、了解した」

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ看護師「先生。早くして下さい」

エルフ看護師「次の患者さん、お待ちしてますよ」

エルフ医師「はいはい……」

クルッ、スタスタスタッ……

巨大猫「ああ、待て。家畜収容小屋ってどこなのじゃ?」

巨大猫「妾、早くトイレに行きたいのじゃが」

警備兵「トイレなら、俺が連れてってやる」

警備兵「こっちだ。巨大猫」

巨大猫「おおっ、すまんな」クルッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

警備兵「すまん。ちょっと、こいつに付き合ってくる」

警備兵「ここ頼むぞ」

警備兵2「ああ、早めにな」

警備兵「ああ」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

警備兵2「全く、これだからケット・シーは」

警備兵2「ケット・シーって、あそこまでデカクなるものなのか?」

警備兵2「まぁ、トイレくらいならすぐに戻るだろ」

警備兵2「そうだよな。警備兵3」

「ああ、全くだ」

スタスタスタッ、ピタッ……

警備兵3「それで、勇者の状態は?」

警備兵3「勇者は、まだ室内にいるのか?」

警備兵2「ああ、そうだ」

スッ、ガチャ……

警備兵2「……」

警備兵3「……」

勇者「……」

警備兵2「……」

警備兵3「……」

勇者「……」

スッ、バタン……

警備兵3「大丈夫。まだいるみたいだ」

警備兵3「あいつ、かなり若いんだな」

警備兵2「ああ、そうだな」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

エルフ看護師2「すみません。勇者様のお夕食をお持ちしました」

エルフ看護師2「つい先程、勇者様がお口に会わないと申されたみたいですので」

警備兵2「ああ、通れ」

スッ、ガチャ……

エルフ看護師2「失礼します」

エルフ看護師2「勇者様。ご夕食をお持ち致しました」

勇者「え?」ムクッ

警備兵2「あっ、すまん。今の勇者は、通訳がないと駄目なんだ!」クルッ

警備兵2「そこの机の上に、置いといてやれ!」

エルフ看護師2「え? ああ、はい……」

エルフ看護師3「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

スッ、コトッ、コトッ……

勇者「……」

警備兵2「……」ジーーッ

エルフ看護師2「勇者様。こちらに、本日の夕食を置いておきますね」

エルフ看護師2「それでは、私達は失礼致します」ペコッ

エルフ看護師3「……」ペコッ

勇者「……」

クルッ、クルッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

警備兵2「……」クルッ

警備兵3「あいつ、さっきより良いメニューにして貰ったな」

警備兵3「さっきのメニュー、パンとチーズとスープとワインぐらいだったよな?」

警備兵2「ああ、まあな」

警備兵3「それに比べて、今後のメニューはパンとチーズとニシン3匹」

警備兵3「後は、卵6つにポタージュとクルミと沢山のビール」

警備兵3「でも、これは確か人間の修道士か何かが普段食っていた食事のはず」

警備兵3「勇者の奴、これで満足するのだろうか?」

警備兵2「さぁな」

警備兵3「……」クルッ

警備兵2「おっ……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

警備兵「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

巨大猫「……」

警備兵「ふぅ……」

警備兵2「お前、早かったな」

警備兵2「もう、済ませたのか?」

巨大猫「ああ、そうじゃよ」

巨大猫「妾の足は、結構早いからな」

警備兵2「ああ、そうか」

巨大猫「して、勇者は?」

巨大猫「勇者は、まだ中にいるのか?」

警備兵2「ああ、まあな」

警備兵3「今さっき、新たなメニューが届いたぞ」

巨大猫「うむ。そうか」

スッ、ガチャ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

警備兵2「巨大猫。気を付けてな」

警備兵2「勇者の奴、お前がいなくて困ってたから」

巨大猫「ああ、申し訳なかった」ピタッ

警備兵「警備兵3。お前、階段の方に戻れ」

警備兵「次の交代まで、まだ時間がある」

警備兵3「ああ、了解した」

スッ、バタン……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スタッ……

~とある宮殿・女王の執務室~

衛兵隊長「報告。ハーフエルフの軍勢が、XXX王国領XXX平原に到達しました」

衛兵隊長「ダークエルフの軍勢は、XXXX王国領XX平原に展開」

衛兵隊長「明日の朝、双方共にXXX王国に対して攻撃を仕掛けます」

衛兵隊長「本日の昼頃、女侯爵XXXXXX様がお連れになられました勇者XXXに関しては、全く動きはありません」

エルフ王女「……」

エルフ女王「そう。了解したわ」

エルフ女王「意外に、大人しくしてるのね」

エルフ女王「あの子の話だと、勇者XXXはXXX王国が差し向けてきた刺客」

エルフ女王「それにしては、随分と静かにしてるみたいね」

エルフ女王「さて、今後あの子はどう動くのかしら?」

エルフ女王「あの子、もしかしたら大陸全土をエルフだけの土地にするつもりなのかしら?」

エルフ女王「もし仮に、本当にそうだったとしたら、かなり面白いわね!」

エルフ女王「今まで、私達エルフの事を好き放題してくれたんだし、あの子がそれを望むのなら私もあの子の事をとことん支援するわ!」ニヤリ

衛兵隊長「……」

エルフ王女「衛兵隊長。また何か分かりましたら、すぐにご連絡を!」

エルフ王女「今の陛下は、かなりあの子に毒されています!」

エルフ王女「陛下が、また変な気を起こされる前よりも先に、この私にまでご連絡の方を下さいね!」

エルフ王女「今後はそうして頂かないと、陛下がまたあの子から変な要求等を飲まされてしまいますから!」

衛兵隊長「はっ!」ペコッ

エルフの里が世界中の国や地域等に対して、宣戦布告や警告等を発してから早数年。

XXX王国の大臣は、何の対策もしていなかった。

「所詮、エルフの言う戯言など聞く必要などない!」

XXX王国以外の国や地域等も、XXX王国と同様の態度等を取っていた。

だが、そんな彼等の思いも虚しく、戦場ではある一人の女エルフが陣頭指揮を取る。

皆、その一人の女エルフの名を聞いた瞬間から驚きを隠せず、次々と宣戦布告をされた国や地域等はエルフ達によって侵略をされていく。

そして、次が自分達の番だと気づいた時には、もう完全に手遅れな状態。

XXX王国の大臣は全てを悟り諦め、過去に自身や自身の先人達が犯してきた罪を悔いながら、今宵は眠れぬ夜を過ごすのだった。

~とある城下町・城門~

深夜――

カーーン、カーーン、カーーン……

カーーン、カーーン、カーーン……

老剣士「全く、勇者の奴はどこをほつき歩いているのだ?」

老剣士「このままでは、確実に取り返しのつかない事になるぞ」

魔導師「ああ、全くだ」

老剣士「魔導師。召喚兵達の用意は?」

老剣士「もう準備の方は、終えたのか?」

魔導師「ああ、まあな」

老剣士「しかし、今回の件はかなり妙だな」

老剣士「ここから、エルフの里までには大分掛かるはず」

老剣士「勇者には、予め監視の目ををつけておいたはずだ」

老剣士「それなのに、何故勇者は姿を消したのだ?」

魔導師「さあな」

大臣「……」

老剣士「その上、こんな時間なのにも関わらず、何故大臣がここに?」

老剣士「そなた、まだ午前三時なのだぞ」

老剣士「こんな所で油打ってないで、早く城に戻れ」

老剣士「そなたがいなければ、城の業務が滞るではないか」

大臣「老剣士XXX。私が、ここにいて何か悪いか?」

大臣「私は、この国の政を取り仕切る大臣だ」

大臣「エルフ達は、いつここへとやって来るかが全く分からない」

大臣「だからこうして、私はこの町の警備を寝る間を惜しんでやっているのだ」

老剣士「……は?」

大臣「……」

魔導師「老剣士よ。今は、そっとしといてやれ」

魔導師「今の大臣は、とても正気ではない」

魔導師「思えば、あの時の夜もこんな感じだった」

魔導師「我らの故郷が、ハーフエルフなんぞの手に陥ちた時も、こんな感じだったな」

老剣士「お前、まだ覚えておるのか?」

老剣士「あの時の戦は、かなり凄まじかった」

魔導師「ああ、そうだったな」

老剣士「思えば、あれはお前の父上が居たから出来た事だろ」

老剣士「お前の父上は、あの憎きハーフエルフと戦って死んだ」

老剣士「あ奴が率いていた私兵1万を一瞬の内にして撃破していき、すぐさまあの憎きハーフエルフの事を牽制」

老剣士「結局、どう言う訳かお前の父上もあの戦いで死んだ」

老剣士「世間からは、お前の父上は英雄として祭り上げられているではないか」

魔導師「ああ、そうだったな……」

大臣「……?」

魔導師「老剣士XXX。そう言えば、騎士XXはどうした?」

魔導師「騎士XXは、そなたにとっては兄的な存在」

魔導師「彼がいてくれれば、少しは力にはなってくれるはず」

魔導師「彼とは、まだ連絡を取ってはいるのか?」

老剣士「……」

魔導師「老剣士XXX。どうかしたか?」

魔導師「まさか、この俺同様に体でも悪くしたか?」

老剣士「いや、違う……」

魔導師「では、一体何なのだ?」

魔導師「あの賢者の時の様に、もう既にあの憎きハーフエルフによって命を絶たれた後だったのか?」

老剣士「魔導師XX。それ以上は聞くな!」

老剣士「騎士XXは、もうこの世にはいないのだ!」ギリッ

老剣士「これについては、あの憎きハーフエルフは全く関係はしてはいない!」

老剣士「それとは、また別のモンスターの手によって、見るも無惨なまでに殺害されてしまった後なのだ!」

魔導師「!?」

大臣「……」

老剣士「だから、もうこの話はなしだ!」

老剣士「騎士XXの敵は、必ずこの俺が取ってみせる!」

魔導師「ああ、了解した」

老剣士「……」

大臣「それで、召喚兵とやらは一体どこに?」

大臣「もう既に、そなたは召喚をし終えた後なのか?」

魔導師「ああ、まあな」

大臣「なら、早く私に見せてくれ」

大臣「この目で、ちゃんとその存在を確認せん限りは、そなたの言う事をすぐには信じれない」

魔導師「ああ、了解した」

スッ、スチャ……

魔導師「はっ!」ブワッ

スポポポン、スポポポン……

スッ、スタタタッ……

召喚兵長「総員、整列!」

召喚兵長「大臣様に、敬礼!」

召喚兵達「……」

シュバババッ、シュバババッ……

魔導師「……」

老剣士「……」

大臣「……」

魔導師「大臣。気が済んだか?」

魔導師「これで、そなたも少しくらいは安心したのだろう」

老剣士「ああ、そうだろうな」

大臣「魔導師。たったこれだけか?」

大臣「そなた、千人は出せるはずではなかったのか?」

魔導師「……」

老剣士「大臣。そなた、何を勘違いしておる?」

老剣士「こ奴の出した召喚兵は、ただの一部だけじゃ!」

老剣士「残りは、この城門の向こうで待機しておる!」

老剣士「この場で、千人も出したのなら我らは窮屈ではないか?」

大臣「おおっ、そう言う事なのか……」

老剣士「大臣。そなた、少し休まれよ」

老剣士「そなた、今宵は一睡もしていないのだろ?」

大臣「いや、それには及ばん!」

大臣「たとえ、私が今一睡をしようが事態は早々と変わらんのだ!」

大臣「あの時、我らがまともな対応さえ取っていれば!」

大臣「この国もまた、あの憎きハーフエルフの手によって、陥落をしてしまうのだ!」ウルッ

老剣士「大臣!」

魔導師「……」

老剣士「大臣。滅多な事を言うではない!」

老剣士「そなたが、ここで気弱になったら、この国の民達は一体どうなるのだ?」

老剣士「早く、早く正気に戻られよ!」

老剣士「ここ最近のそなたは、かなり色々とおかしいぞ!」

大臣「なら、何故どの国も助けんのだ?」

大臣「我らは、このまま滅ぶしかないのではないか?」

大臣「勇者も勇者で、完全に消息を経った!」

大臣「今の我らには、本当に何も打つ手はない!」ポロポロッ

老剣士「……」

魔導師「……」

老剣士「なら、何故もっと早くに手を打たんかった?」

老剣士「そなたが変われば、この様な事態にはならなかったはずじゃ!」

大臣「くっ……」ポロポロッ

魔導師「……」スッ

老剣士「大臣。そなた、どうする気じゃ?」

老剣士「そなたは、今後どうするつもりなのじゃ?」

大臣「……」ポロポロッ

老剣士「このまま行くと、確実にこの国は滅ぶ!」

老剣士「あの憎きハーフエルフの手によって、完膚なきなまでに叩きのめされてしまう!」

大臣「……」ポロポロッ

魔導師「そなた、もしや泣く事しか出来ないのか?」

魔導師「そんな事、赤子だけでも出来てしまうぞ」

大臣「……」スッ

フキフキ、フキフキ……

老剣士「大臣。ここで、気を落とすな」

老剣士「そなたが弱気になれば、確実にこの国は負ける」

老剣士「魔導師。敵の動きは?」

老剣士「まだ、敵は動かないのだな?」

魔導師「ああ、まあな」

大臣「……」

老剣士「なら、俺は大臣を今から城にまで送ってくる」

老剣士「ここに、大臣を置いていたとしても邪魔なだけだ」

老剣士「下手したら、今の我らの話を民達に聞かれたかもしれん」

老剣士「民達には、まだこの件については内密にしておかなければならないのだからな」

魔導師「ああ、了解した」

魔導師「大臣の送迎、しっかりと頼む」

魔導師「ここは、俺に任せて大臣を送ってこい」

魔導師「何かあったら、すぐに魔法通信で連絡を取る」

老剣士「ああ、了解した」

大臣「……」

老剣士「大臣。ほら、行くぞ」

老剣士「ここにおれば、民達の邪魔となる」

大臣「……」

スッ、ギュッ……

老剣士「大臣。早く城に戻るぞ」

老剣士「さぁ、早く歩け」

大臣「……」クルッ

老剣士「では、後の任せる」

老剣士「この俺もまた、すぐにここにまで戻ってくるからな」

魔導師「うむ。気を付けてな」

老剣士「ああ」

大臣「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある城下町・民家~

同時刻――

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」パチッ

魔術師「……」シャキン

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」ムクッ

魔術師「ふぁ~~っ……」

魔術師「……」ウルッ

魔術師「……」ポロポロッ

スッ、フキフキ……

スッ、ポイッ……

トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

傭兵隊長「……」

魔術師「……」クルッ

傭兵隊長「何だ、起きてたのか」

傭兵隊長「使い物にならなかったら、そのまま皆で犯してやろうと思ってたのに」

魔術師「……変態」

傭兵隊長「悪かったな」

スッ、バタン……

スタスタスタッ、ピタッ……

魔術師「それで、こんな夜中に何のご用で?」

魔術師「まさか、そこまで女に飢えていたとか?」

傭兵隊長「……」

魔術師「隊長。そんなんだから、奥さんに逃げられちゃうんですよ」

魔術師「隊長の前の奥さん、晴れて無事に天国にまで逃げる事が出来たんじゃないですか」

傭兵隊長「……」

スッ、ストン……

傭兵隊長「……お前、今日出れるか?」

傭兵隊長「勇者の奴、下手したらしくじったかもしれん」

魔術師「え?」

魔術師「隊長。それどう言う意味ですか?」

魔術師「まさか、本当にあの勇者様がしくじったのですか?」

傭兵隊長「ああ、多分な」

魔術師「そんな……」

傭兵隊長「お前、あいつからの連絡はないのか?」

傭兵隊長「一体、何の為に巨大猫が付いていってるんだよ」

魔術師「……すみません」

傭兵隊長「……」

スッ、ゴクゴクッ……

スッ、コトッ……

傭兵隊長「とりあえず、今日は体調も良いみたいだし、このまま出ろよ!」

傭兵隊長「下手したら、マジでこの国が飛ぶかもしれん!」

傭兵隊長「どうやら、もう既にハーフエルフの軍勢はXXX平原にまで到達した!」

傭兵隊長「隣国のXXXX王国領XX平原からは、ダークエルフの軍勢が接近してきている!」

魔術師「!?」

傭兵隊長「だから、お前もすぐに準備しろ!」

傭兵隊長「ウチは、もうお前以外には魔術師は一人もいない!」

傭兵隊長「ほらっ、さっさと着替えて本部に行け!」

傭兵隊長「もう敵は、すぐそこにまで来てるんだぞ!」

魔術師「はっ、はい……」ビシッ

トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

傭兵「隊長。大変です!」

傭兵「大臣様が、トチ狂いました!」

傭兵「今さっきから、大臣様が何か大声で泣き言を呟いております!」

傭兵「複数の民達にも、大臣様の泣き言が聞かれたかもしれません!」アセアセッ

傭兵隊長「何!?」クルッ

魔術師「……」

傭兵「隊長。如何致しますか?」

傭兵「このままでは、本当にこの国は陥落をしてしまいますよ!」アセアセッ

傭兵隊長「傭兵。すぐに、大臣様を黙らして来い!」

傭兵隊長「大臣様は、本当にどこか頭がおかしくなってきている!」

傭兵隊長「魔導師様にも、この件をすぐに報告!」

傭兵隊長「さっさと、大臣様を城にまで送ってこい!」

傭兵「はっ!」ビシッ

クルッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

傭兵隊長「……」

魔導師「……」

スッ、ムクッ……

魔術師「隊長。着替えたいんで、先に戻っててくれませんか?」

魔術師「私、一応はまだ年頃の女の子なので」

傭兵隊長「ああ、そうか」

クルッ、スタスタスタッ……

ピタッ、スッ、バタン……

傭兵隊長「……」

魔術師「……」

傭兵隊長「……」

魔術師「……」

傭兵隊長「……」クルッ

魔術師「隊長。まさか、本当に犯す気だったんですか?」

魔術師「出来れば、初めてくらいは好きな人が良いです!」ビクッ

傭兵隊長「……」

魔術師「私、一応はまだ使えますよ!」

魔術師「昨日は、本当に危なかったですけど、まだ自分では使えると思うんですが!」アセアセッ

傭兵隊長「……」

魔術師「だから、隊長はこのまま早く本部まで戻って下さい!」

魔術師「じゃないと私、このまま隊長の目の前で自害致しますので!」ウルッ

傭兵隊長「……」

スチャ、スラァン……

傭兵隊長「お前、さっきから何勘違いしてやがる?」

傭兵隊長「別に、今の俺はお前なんて犯したりはしねぇよ」

魔術師「え?」キョトン

傭兵隊長「お前、ひょっとして何も気づいてなかったのか?」

傭兵隊長「お前のその今寝ているベットの下にいる奴は、一体何なんだ?」

魔術師「……は?」

スッ、スタッ……

クルッ、チラッ……

魔術師「……あっ」

使い魔「ZZZ……」

魔術師「隊長。この子は、ウチの子ですよ」

魔術師「この子は、例の勇者様と一緒にいるケット・シーではありません」

傭兵隊長「何?」

魔術師「この子、つい最近になって捕獲したばかりでしてね」

魔術師「まだ、実戦には向きません」

魔術師「出来れば、あの巨大猫くらいにはなってほしいんですけど」

魔術師「あの子自体は、特に飼い主を決める事なく、自由に動き回るのが好きな子ですから」

傭兵隊長「ああ、そうか」

使い魔「ZZZ……」

スッ、カシャン……

傭兵隊長「とにかく、お前はさっさと着替えて本部に来い」

傭兵隊長「じゃないと、お前の事を本当に犯さないといけなくなる」

傭兵隊長「お前、まだ俺達に犯されたくはないだろ?」

傭兵隊長「まぁ、俺達が犯さなかったとしても、迫り来る無数のエルフ達によって今のお前は犯されてしまう」

魔術師「……」ビクッ

傭兵隊長「だから、そうならない様に俺達も出るぞ」

傭兵隊長「そればっかりは、決して勘違いするんじゃねぇよ」

傭兵隊長「特に、お前は優秀な魔術師だ」

傭兵隊長「傭兵隊全てを転移させるまで、お前には捕まって貰っては困るんだからな」ニヤリ

魔術師「……」ウルッ

トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

傭兵2「失礼します!」

傭兵2「隊長。緊急事態です!」

傭兵2「早く、本部にまでお戻り下さい!」

傭兵隊長「ああ、了解した!」

魔術師「すぐに、向かいます!」ウルウルッ

クルッ、スタスタスタッ……

スッ、バタン……

魔術師「……」スッ、フキフキ

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」

魔術師「……」

スッ、ストン……

魔術師「良かった。あのまま犯されなくて……」

魔術師「私、まだ成人したばっかだし……」

魔術師「まさか、三日連続で誰かに犯されかけるなんて……」

魔術師「はぁ……」ガクッ

使い魔「ZZZ……」

~とある宿屋・宿泊部屋~

スッ、ガチャ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、バタン……

僧侶「……」

魔法使い「……」ムクッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

魔法使い「どこに、行っていたの?」

僧侶「少し、礼拝にね」

魔法使い「礼拝? こんな真夜中に?」

魔法使い「まだ、外は暗いはずよ」

魔法使い「僧侶、あなた正気なの?」

魔法使い「まさか、本当にたった一人で夜道を歩いていたと言うの?」

僧侶「ええ、そうですよ」ニッコリ

魔法使い「……」

僧侶「そんなに、今の私はおかしい?」

僧侶「私は、僧侶となった時から神に仕える身なのよ」

僧侶「毎日、午前二時には起きているわ」

僧侶「だから、今日も私は礼拝に行っていた訳」

魔法使い「そう。そうなの……」

魔法使い「気がついた時には僧侶がいなかったから、本当に私焦ったわ……」

僧侶「そう。ごめんなさいね」

魔法使い「僧侶。出来れば、事前に言って欲しかったわ……」

魔法使い「私、また昨日犯されかけた時の夢を見ちゃってた……」

僧侶「……」

魔法使い「私、こんなに弱かったっけ?……」

魔法使い「今までの私、本当にどこに行っちゃったの?……」

魔法使い「お願い。僧侶、今後は何も言わずに出掛けたりしないで……」

魔法使い「僧侶がそうしてくれないと、私、本当に駄目になっちゃいそうだから……」ウルッ

僧侶「うん、分かった。今後は気を付けるね」

僧侶「だから、魔法使いも安心して」

僧侶「私は、魔法使いの味方だから」ニッコリ

魔法使い「……僧侶」ウルウルッ

スッ、ムギュッ……

僧侶「……」

魔法使い「……」ウルウルッ

僧侶「……」

魔法使い「……」ポロポロッ

シュピン……

魔法使い「え? 魔術師 さんからの通信?……」

魔法使い「こんな真夜中なのに?……」

僧侶「……」

魔法使い「僧侶。なんか、今私達がいる城下町の中で異変が起きた……」

魔法使い「魔術師さんが所属している傭兵隊に、緊急召集が掛かったみたい……」ポロポロッ

僧侶「え?」

魔法使い「とりあえず、僧侶は戦士を起こしてきて……」

魔法使い「魔術師さん曰く、私達にも救援を要請してる……」

魔法使い「早く、私達も行かなきゃ……」

魔法使い「下手したら、私達の動きが読まれてるかもしれない……」ポロポロッ

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

魔法使い「……?」ポロポロッ

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

僧侶「何かしら?」

魔法使い「さぁ……」ポロポロッ

スッ、ガチャ……

傭兵3「おおっ、起きてたか」

僧侶「え?」

傭兵3「悪い、傭兵隊の者だ!」

傭兵3「大至急、手を貸してくれ!」

傭兵3「大臣様が、完全にトチ狂った!」

傭兵3「おかげで、それを真に受けた民達が騒ぎ出している!」

魔法使い「!?」ポロポロッ

僧侶「何ですって!?」

傭兵3「とりあえず、あんたらにも援軍を要請する!」

傭兵3「今の俺達だけでは、とても手に負えん!」

傭兵3「このままだと、本当にこの国はヤバイ事になるみたいだ!」

傭兵3「とにかく、早くあんたらも着替えて民達を落ち着かせてくれ!」

僧侶「はい。かしこまりました!」

僧侶「魔法使い。すぐに着替えて!」

僧侶「私は、戦士を起こしてくる!」

僧侶「それと、魔導師様にもすぐに連絡!」

僧侶「すぐに、私達も駆けつけますから!」

傭兵3「ああ、頼む!」

クルッ、スタタタタタッ……

僧侶「魔法使い。もう離すね」

僧侶「私、戦士の事を起こしてこなくちゃいけないから」

スッ、スタスタッ……

魔法使い「あ……」ポロポロッ

僧侶「魔法使い。大丈夫だよ」

僧侶「私、すぐに戻ってくるから」ニッコリ

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「だから、そんな顔をしないで」

僧侶「私、魔法使いの前からいなくなったりしないからさ」ニコニコ

魔法使い「……」ポロポロッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、クルッ……

スッ、バタン……

魔法使い「……」

魔法使い「……」

魔法使い「……」

魔法使い「……」

スッ、フキフキ……

魔法使い「……」

魔法使い「……」

魔法使い「とりあえず、早く着替えなきゃ……」

魔法使い「今の私に、泣いている暇なんかないみたいだからね……」

スッ、スタッ……

~とある城下町・中央広場~

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

老剣士「大臣。落ち着け!」

老剣士「まだ、我らは負けた訳ではない!」

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

老剣士「だから、早くそなたも落ち着け!」

老剣士「無駄に、民達に対して不安を扇ぐでない!」

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

民達「……」

老剣士「誰か、魔法を使える者はいるか?」

老剣士「出来れば、鎮静か睡眠の方が良い!」

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

老剣士「頼む、早くなんとかしてくれ!」

老剣士「じゃないと、本当に取り返しのつかない事になる!」

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

ピタタタタタッ……

傭兵隊長「ちょっと、そこを通してくれ!」

傭兵隊長「俺達は、傭兵隊の者だ!」

傭兵隊長「早く、通してくれ!」

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

傭兵隊長「俺達は、傭兵隊だ!」

傭兵隊長「だから、早く通してくれ!」

老剣士「!?」ハッ

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

老剣士「傭兵隊の諸君、こっちだ!」

老剣士「早く、なんとかしてくれ!」

傭兵隊長「今行くぞ!」

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

傭兵隊長「ああもう、邪魔だ。早く通せ!」

傭兵隊長「俺達は、早く通りたいんだよ!」

老剣士「……」

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

「ちょっと、一体何があったのよ?」

「煩くて、眠れないわよ!」

「あんた達、さっきから何してるのよ?」

「喧嘩なら、他所でやって!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

「おいっ、誰か説明しろ!」

「つうか、あの老剣士を捕まえろ!」

「あれ、よく見たら大臣様じゃないか!」

「皆、早く大臣様を救出するんだ!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

「いや、それには及ばん!」

「我々は、傭兵隊の者だ!」

「皆、ここを通してくれ!」

「今の大臣様は、少し錯乱されているだけだから!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

「皆、早くどけ!」

「傭兵隊が来たぞ!」

「聞け、老剣士。これでもう終わりだ!」

「今から、お前を捕縛して貰う!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

スッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

老剣士「……」

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタタタタッ……

傭兵隊長「ふぅ、待たせたな……」

老剣士「ご苦労。傭兵隊の諸君!」

老剣士「早く、なんとかしてくれ!」

大臣「○×△□☆、○×△□☆!」

スッ、スチャ……

傭兵隊長「大臣様。失礼する!」

傭兵隊長「少しの間、眠っててくれ!」

スッ、ガッ……

大臣「!?」

傭兵隊長「……」

大臣大臣「もがもがっ……」

大臣大臣「もがもがっ……」

大臣「うっ……」フラッ

老剣士「おっと」ガシッ

傭兵隊長「ふぅ、なんとか収まったな」

傭兵隊長「後は、大臣様を城に戻せば済むだけだ」

老剣士「ああ、そうだな」

大臣「……」

傭兵隊長「老剣士XX。すまぬが、大臣様を城にまで連れてってくれ」

傭兵隊長「俺達は、ここで民達の混乱を解いておく」

傭兵隊長「ああ、了解した」

大臣「……」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

傭兵隊長「ほらっ、散った散った!」

傭兵隊長「皆、すぐに自宅に戻れ!」

傭兵隊長「大臣様は、俺達が城にまで送り届ける!」

傭兵隊長「だから、早く散りやがれ!」

民達「……」

老剣士「では、また後で」

老剣士「貴殿とは、後で嫌でも顔を合わす事となるからな」

傭兵隊長「ああ、了解した」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

~とある城下町・宿屋前~

スッ、ガチャ……

キキィーーッ、ダン……

老店主「お客さん。気を付けてな」

老店主「まだ、外は喧嘩か何か起きているみたいだから」

僧侶「はい。ありがとうございます」

魔法使い「……」

戦士「爺さん。戸締まりはしっかりとな!」

戦士「いつ、何が起きるかが全く分からないから!」

老店主「はい。かしこまりました」

僧侶「では、私達は少し出掛けてきます」

僧侶「すみません。こんな夜中にも関わらず、無理を言ってしまって」ペコッ

老店主「いえいえ」

魔法使い「戦士、僧侶、行くわよ!」

魔法使い「早くしないと、間に合わなくなってしまうから!」

僧侶「うん」

戦士「おう」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

魔法使い「待って!」

戦士「うん。どうした?」

戦士「何か、あったのか?」

魔法使い「ええ。そうよ」キョロキョロ

僧侶「魔法使い。一体、どうしたの?」

僧侶「また、何か感じ取ったの?」

魔法使い「ええ、そうよ」キョロキョロ

戦士「魔法使い。早く教えろ」

戦士「一体、何があったんだ?」

魔法使い「いた!」キリッ

僧侶「え?」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

魔術師「はぁ、はぁ、はぁ……」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、ピタタタタタッ……

キキィーーッ、ピタッ……

魔術師「はぁ、はぁ、はぁ……」

戦士「……」

僧侶「……」

魔法使い「……」

魔術師「おっ、おはようございます。魔法使いさん達……」

魔術師「これより、私が傭兵隊本部にまでご案内致しますので……」

魔術師「はぁ、はぁ、はぁ……」

戦士「……」

魔術師「何故か、大臣様が真夜中なのにも関わらず、突然トチ狂い始めましてね……」

魔術師「それを聞いた民達が、かなり混乱しています……」

魔術師「ですから、魔法使いさん達は私達にご協力の方をお願い致します……」

魔術師「皆、今日の大臣様には酷く驚かれているみたいですからね……」

魔術師「はぁ、はぁ、はぁ……」

僧侶「……」

魔法使い「おはようございます。魔術師さん」

魔法使い「私達も、魔術師さん達にご協力の方をさせて頂きます」

魔法使い「それで、騒ぎの規模は?」

魔法使い「見た所、かなり沈静化してきている様にも見えますが」

魔術師「ああっ、ちょっと待って下さいね……」

スッ、スポッ……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ……

魔術師「ふぅ……」

スッ、キュルキュル……

魔術師「ああ、すみません。魔法使いさんの指摘通りに、事態は段々鎮静化してきてます」

魔術師「ですが、まだ問題は解決してません」

魔術師「ハーフエルフの軍勢が、我が国のXXX平原にまで展開」

魔術師「更には、ダークエルフの軍勢が隣国領XX平原を抜けて、こちらに向かってきているのです」

魔法使い「!?」

魔術師「それに、勇者様の消息は昨日から完全に途絶えました」

魔術師「おまけに、私が昨日貸し出した通訳代わりのケット・シーですら消息不明」

魔術師「勇者様は、私達と別れた後に行方不明となっております」

魔術師「ですので、魔法使いさん達も急いで下さい」

魔法使い「はい。かしこまりました」

戦士「でも、何で大臣様はトチ狂ったんだ?」

戦士「これもまた、敵による策略かもしれん」

僧侶「うん。そうだね」

魔法使い「とりあえず、早く私達も行くわよ!」

魔法使い「魔術師さん。早く私達を本部にまで案内して下さい!」

魔術師「はい。かしこまりました」

「おいっ、お客さん。忘れ物だよ!」

「これっ、お客さんの者じゃないのかね?」

魔法使い「え?」クルッ

スタスタスタッ、ピタッ……

魔法使い「お爺さん。それ、どこで?」

魔法使い「今、お爺さんが持っているのは、私が勇者に渡していたアイテムなんだけど」

老店主「ほう、そうなのかい」スッ

魔法使い「……」スッ

僧侶「すみません。わざわざ」

僧侶「ほらっ、魔法使いも早くお礼を言って」

魔法使い「ええ、ありがとう。お爺さん」

老店主「いえいえ、どう致しまして」

クルッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」

スッ、シュルシュル……

スッ、ピラッ……

魔法使い「……」

魔法使い「……」

魔法使い「……」

魔法使い「……」

僧侶「魔法使い。それ何?」

僧侶「その羊皮紙に、一体何が書いてあるの?」

魔法使い「……」ウルッ

スッ、ガクッ……

魔法使い「たった今、勇者から連絡があったわ……」

魔法使い「勇者は今、エルフの里の中にいる……」

魔法使い「でも、勇者は例の女侯爵の部隊に囲まれててね……」

魔法使い「魔術師さんが貸し出したケット・シーも、今は例の女侯爵の手によって捕らわれているみたい……」

魔術師「!?」

僧侶「そんな!?」

戦士「くっ……」ガクッ

魔法使い「……」ウルウルッ

スッ、ヒラヒラッ……

ヒラヒラッ、ポトッ……

魔術師「とりあえず、この件をすぐに本部にまで報告を……」

魔術師「皆、勇者様からの連絡をお待ちしています……」

魔術師「ですが、一体どうやって勇者様は?……」

魔術師「勇者様は、どうやってあの距離を移動したんですか?……」

魔法使い「さぁ……」ウルウルッ

魔術師「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スッ、ピラッ……

パンパン、パンパン……

僧侶「……」ピラッ

戦士「けど、よくそれを送ってこれたな?」

戦士「勇者の奴、一体向こうで何をやっているんだよ!」

僧侶「戦士!」クルッ

魔法使い「……」ウルウルッ

戦士「大体、あいつにそんな力あるのか?」

戦士「俺はまだ、あいつの持つ力はあまり認めてない!」

魔法使い「……」ウルウルッ

魔術師「は?」

僧侶「戦士!」

戦士「あん? 何だよ?」

魔術師「とりあえず、早く行きましょうよ!」

魔術師「皆、勇者様からの連絡を待っています!」

魔術師「大体、あなたは勇者様の戦っている姿を見た事があるんですか?」

魔術師「あれだけ、勇者様が活躍していたのに、その態度はないでしょうが!」ギロッ

戦士「何を!?」ギロッ

僧侶「戦士!」ギロッ

魔法使い「……」ウルウルッ

魔術師「ともかく、早く私達も行きますよ!」

魔術師「事態は、本当に急を要するので!」ギリギリッ

戦士「ああ、了解した!」ギリギリッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」

魔法使い「……」

スッ、フキフキ……

「魔法使いさん。もう、行きますよ!」

「早く、私達について来て下さい!」

魔法使い「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある城下町・傭兵隊本部前~

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

キキィーーッ、ピタタタタタッ……

魔術師「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔法使い「はぁ、はぁ、はぁ……」

戦士「はぁ、はぁ、はぁ……」

僧侶「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔術師「皆さん。着きましたよ……」

魔術師「ここが、傭兵隊の本部です……」

魔術師「今から、ここに入りますからね……」

魔術師「はぁ、はぁ、はぁ……」

僧侶「はぁ、はぁ、はぁ……」

戦士「僧侶。大丈夫か?……」

戦士「お前、やけに息が上がってるが……」

僧侶「うん。大丈夫……」

魔法使い「おえっ……」

魔術師「ふぅ……」

「お前、遅かったな」

「一体、どこで油を売ってたんだよ?」

魔術師「……え?」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ、ピタッ……

魔術師「あっ、隊長……」

魔術師「もう、終わったんですか?……」

魔導師「私達、今着いたばかりなのに……」

傭兵隊長「ああ、そうだ……」

魔術師「隊長。例の勇者様の同行者をお連れしました」

魔術師「それと、例の勇者様からの手紙を預かっております」

傭兵隊長「何!?」

魔術師「僧侶さん。例の手紙を」

魔術師「それを、早く隊長にも見せてあげて下さい」

僧侶「はい。かしこまりました」スッ

傭兵隊長「……」スッ

魔術師「それが、ついさっきこの方達が宿泊されている宿屋に届きました」

魔術師「内容は、かなり衝撃的だった様です」

傭兵隊長「うむ。そうか」

スッ、シュルシュル……

スッ、ピラッ……

傭兵隊長「……」

傭兵隊長「……」

傭兵隊長「……」

傭兵隊長「……」

魔術師「隊長。如何ですか?」

魔術師「これを早く、魔導師様達にもお伝えすべきです!」

傭兵隊長「うむ。そうだな」

スッ、クルクルッ……

傭兵隊長「よしっ、そこの勇者の同行者三人」

傭兵隊長「これから、君達には我々に協力をして貰う」

傭兵隊長「今、我が国は危機的な状況にある」

傭兵隊長「ここに集まったからには、是非とも協力をして貰いたい」

戦士「おう!」ビシッ

僧侶「……」コクン

傭兵隊長「では、早速ながらも君達には活躍をして貰うぞ」

傭兵隊長「魔法使い。君は魔法通信は使えるな?」

傭兵隊長「もし仮に、使えるのなら魔術師との連絡役を担当して貰う」

傭兵隊長「君達三人は、この件をすぐに魔術師様にも伝えて貰いたい」

僧侶「はい。かしこまりました」

僧侶「今すぐ、魔術師様の元にまで向かわせて貰います」

僧侶「ですが、その後の事についてはどう致しますか?」

僧侶「この暗さなら、敵による闇討ちとか等も警戒する必要があると思いますが」

傭兵隊長「ああ、そうだな」

戦士「本当なら、まだ俺は寝てる時間だぞ」

魔術師「それについては、もう大丈夫です」

魔術師「つい数日前から、魔導師様がとても強力な結界を張られましたから」

魔術師「ですから、城下町に対する闇討ちとかはありません」

魔術師「魔法使いさん達も、その辺についてはご安心下さい」

戦士「ふぅん。そうなのか」

戦士「それなら、俺達も安心だな」

戦士「とりあえず、早く行こうぜ」

戦士「じゃないと、魔導師様達もかなり本気でヤバイ事になる」

僧侶「ええ、そうね」

魔法使い「じゃあ、私達はこのまま魔導師様の元に向かいます」

魔法使い「今、魔導師様はどちらにいらっしゃいますか?」

傭兵隊長「城門だ」

戦士「なら、二人共早く行くぞ」

戦士「早くしないと、敵がいつ来るから分からんからな」

僧侶「でも、ここからだと城門はどっちの方角なの?」

僧侶「この暗さだと、今持ってるランプだけじゃあ心苦しくない?」

戦士「ああ、そうだな」

魔法使い「とにかく、私達はそれでも行かなくちゃいけないのよ」

魔法使い「方角なら、私が解るから早く行きましょう」

戦士「ああ、了解した」

魔法使い「では、私達は行ってきます」

魔法使い「魔術師さん達も、お気を付けて」

魔術師「はい。かしこまりました」

傭兵隊長「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

傭兵隊長「魔術師。お前、ここで待機な」

傭兵隊長「遅刻した挙げ句、あんな重要な手紙をすぐ届けなかった」

傭兵隊長「だから、今の間に始末書書いとけ」

傭兵隊長「特に、ここ三日間のな」

魔術師「え~~っ?」

傭兵隊長「お前、そんなに書くの嫌か?」

傭兵隊長「もし嫌なら、お前のその体で払って貰う事になるぞ」

傭兵達「!?」

魔術師「隊長。それだけは止めて下さい!」

魔術師「そんな事をされたら、亡くなった隊長の奥様に対して顔向けが出来ません!」

魔術師「第一、今は有事でしょ?」

魔術師「今の隊長の頭、一体どうなってるんですか?」

傭兵達「……」

傭兵隊長「なら、さっさと始末書書け!」

傭兵隊長「ここ最近のお前は、隊規を乱し過ぎている!」

傭兵隊長「俺が問題にしてるのは、お前のそう言った所だ!」

傭兵隊長「部下なら部下らしく、ちゃんと俺の言う事を聞け!」

魔術師「はいはい。分かりましたよ!」

魔術師「聞けば良いんでしょ? 聞けば!」

魔術師「それで、始末書はどこに?」

魔術師「書き終わった後にでも、隊長の机の上にでも置いときましょうか?」

傭兵隊長「ああ、頼む」

魔術師「では、失礼」

スッ、チャラッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

傭兵隊長「お前、ちゃんと書けよ!」

傭兵隊長「書かなかったら、マジで皆の相手をして貰うからな!」

スッ、カチャカチャ……

スッ、キキィーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

傭兵4「隊長。宜しかったんですか?」

傭兵4「隊長の姪っ子さん、かなり拗ねてましたが」

傭兵隊長「ああ、まあな」

傭兵4「それで、例の手紙にはなんて書いてあったんです?」

傭兵4「俺達、まだ詳しい内容とか聞かされていませんよ」

傭兵隊長「ああ、後でな」

傭兵4「でも、よく隊長の姪っ子さんをウチに入れれましたね?」

傭兵4「普通なら、俺達の様な前科者が多い所には入ってこないはず」

傭兵4「まぁ、今は金のない貴族や騎士とかも傭兵をやっています」

傭兵4「出来れば、あまり女っ気はない方が良いんですがね」

傭兵隊長「ああ、そうだな」

傭兵5「隊長。俺達、今後どうするんです?」

傭兵5「もし仮に、逃げるのならもう手遅れですよ」

傭兵5「あのエルフ達、かなり執念深いです」

傭兵5「そうじゃなきゃ、あの副長がエルフ達に殺られる訳がありません」

傭兵隊長「……」

傭兵隊長「ともかく、今の俺達はここで待機だ!」

傭兵隊長「まずは、例の勇者の手紙を魔導師様達が読んだ後に、俺達への指示が下る!」

傭兵隊長「皆、くれぐれも気を付けてな!」

傭兵隊長「何名かはまだ戻ってはいないが、後で必ず勇者から送られてきた手紙の内容を教えてやるからな!」

傭兵達「はっ!」

傭兵隊長「……」

スッ、スポッ……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

傭兵隊長「ふぅ……」

スッ、キュキュッ……

「たっ、たいちょ~~~~~~~~う!」

「肥溜めの中にいた糞くらい達が、何故か暴れてます!」

「早く、早く来てくださ~~~~~~~~い!」

傭兵隊長「!?」クルッ

「隊長。早くして下さい!」

「糞くらいが、糞くらい~~~~~~~~っ!?」

傭兵隊長「……」

傭兵4「隊長。一応、中に入りますか?」

傭兵4「姪っ子さん。かなりピンチみたいですし」

傭兵隊長「ああ、頼む……」ガクッ

~とある城下町・城門~

召喚兵長「報告。ハーフエルフの軍勢に動きなし」

召喚兵長「ダークエルフの軍勢も、野営地からは動いておりません」

魔導師「うむ。そうか」

老剣士「して、女侯爵XXXXXXの動きは?」

老剣士「あの女は、今どの辺りにいる?」

老剣士「あの女は、本当に神出鬼没だ!」

老剣士「あの女だけは、絶対にこの手で叩き斬ってくれる!」

魔導師「うむ。そうだ!」

召喚兵達「……」

召喚兵長「はっ、恐れながら申し上げます」

召喚兵長「女侯爵XXXXXXの動きは、未だ掴めてはおりません」

召喚兵長「何故なら、我々がそれを確認しようとする度に敵側の邪魔が入ります」

召喚兵長「もう既に、何名もの味方が惨殺されているからです」

老剣士「……」

魔導師「なら、それをどう突き崩すか」

魔導師「ここは、老剣士に任せるとしよう」

魔導師「老剣士。そなたやれるか?」

魔導師「敵側の守りは、かなり固いぞ」

老剣士「ああ、了解した」

召喚兵長「ですが、まだ動く時ではありません」

召喚兵長「今の我々には、あまり兵はいないのです」

召喚兵長「ここは、敵側が動くのを待つべきなのでは?」

召喚兵長「まだ敵側の動きはありませんし、老剣士様に何かあったらどうされるのですか?」

老剣士「何?」ギロッ

召喚兵長「……」

魔導師「老剣士。控えよ」

魔導師「この者の言う事にも一理ある」

魔導師「召喚兵とて、我らと全く同じ様に心と体があるのだ」

魔導師「そなたが、ここで怒りを抑えなければ、あの者と全く同じ様になる」

老剣士「ふん。たかが、召喚兵如きが生意気な……」

老剣士「確かに、今は無駄に犠牲を出す必要はない……」

老剣士「だが、どうも納得がいかんな……」

老剣士「俺から見たら、召喚兵とてただの操り人形にしか見えんのだぞ……」

召喚兵長「……」

魔導師「しかし、実際にはこの者達にも心と体があるのだ」

魔導師「そなたとて、それについては分かっていよう」

魔導師「元々、召喚兵自体は突然変異」

魔導師「あの女が、俺の親父に魔術等を学んでいる時に、自ら編み出した魔術でもあるのだからな」

召喚兵達「……」

老剣士「なら、この者達もいつか敵になるな」

老剣士「あの女も、そなたと全く同じ様に召喚兵を繰り出してくるのだぞ」

老剣士「本当に、そなたの父上はバカな男だ」

老剣士「あの女に関わったばかりに、人生を棒に振ったんだからな」

魔導師「ああ、まあな……」

老剣士「とりあえず、俺はここで待機しとけと?」

老剣士「なら、一体俺はいつ動けば良いのだ?」

魔導師「さぁ、まだ分からんな」

老剣士「全く、俺も丸くなったものだ……」

老剣士「昔の俺なら、問答無用で叩き斬っていたと言うのに……」

魔導師「老剣士。そなた、まだ動くな」

魔導師「いつ、あの女が動き出すかが分からんのだ」

魔導師「それに加えて、何やらこの町にも動きがあるみたいだぞ」

魔導師「つい先程から、傭兵隊が慌ただしく動き始めた」

魔導師「それに加えて、魔法使い達まで何故か動き出しておる」

魔導師「しかも、良からぬ知らせを携えてな」

老剣士「!?」

召喚兵長「……」

魔導師「まずは、魔法使い達がここに着いてからだな」

魔導師「それを確認してから、我らも今後どうするかについてを決めるとしよう」

魔導師「召喚兵長。そなたもここにおれ」

魔導師「ここにおって、老剣士を見張っておくのだ」

召喚兵長「はっ!」

スッ、ムクッ……

魔導師「老剣士。そなたも、ここで待機な」

魔導師「まだ、そなたは動くではないぞ」

老剣士「くどい!」

魔導師「……」

召喚兵長「……」

召喚兵達「……」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

魔導師「おっ、来たな」

老剣士「……」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

キキィーーッ、ピタタタタタッ……

魔法使い「はぁ、はぁ、はぁ……」

戦士「はぁ、はぁ、はぁ……」

僧侶「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔導師「魔法使い。どうしたのじゃ?」

魔導師「まだ、真夜中の三時なのじゃが」

魔法使い「はぁ、はぁ、はぁ……」

魔導師「そなた、あまり激しい運動は控えた方が良いぞ」

魔導師「普段から、部屋に込もって研究やら読書やらをしておるのじゃから」

魔法使い「はぁ、はぁ、はぁ……」

老剣士「それで、お前ら何しに来た?」

老剣士「たとえ、お前らが成人しているとは言え、俺達から見たらまだまだガキだ」

老剣士「ガキならガキらしく、まだまだ寝ておれ」

老剣士「ここは、我らだけでも十分だ」

魔法使い「魔導師様。こんな真夜中なのにも関わらす、申し訳ございません……」

魔法使い「つい先程、勇者XXXからの連絡が入りました……」

魔法使い「ここに、勇者XXXからの手紙がございます……」

魔法使い「どうやら、今の勇者は危機的な状態にある様です……」スッ

魔導師「何?」スッ

スッ、ピラッ……

魔導師「……」

魔導師「……」

魔導師「……」

魔導師「……」ガクッ

老剣士「魔導師。一体、何があった?」

老剣士「その手紙には、何て書いてある?」

魔導師「……」スッ

老剣士「……」スッ

ピラッ、ピラッ……

老剣士「……」

老剣士「……」

老剣士「……」

老剣士「……」

スッ、ギュッ……

魔導師「魔法使い。これは誠か?」

魔導師「今の勇者は、エルフの里におるのか?」

魔導師「一体、あ奴はどうやって?」

魔導師「エルフの里に入るには、あの難攻不落の数々の砦や迷いの森等を抜けねばならぬのに」

老剣士「……」

魔法使い「私達にも、詳しい事は分かりません」

魔法使い「ただ唯一、確かなのは今の勇者が危機的な状態にある事」

魔法使い「私の元に、この手紙を送ってきたと言う事は、かなり切迫をしている様子」

魔法使い「場合によっては、もう既にエルフの里で捕らえられているのかもしれません」

魔導師「ふむ。そうか」

老剣士「だが、これは罠かもしれんな」

老剣士「敵側が、敢えて俺達を混乱させる為に送ってきた罠かもしれん」

魔導師「……」

老剣士「第一、これをどうやってそなたの元に届けたのだ?」

老剣士「もし仮に、転移魔法を使ったとしてもエルフの里からだと、かなり遠過ぎるだろ」

魔法使い「……」

老剣士「それで、これを見つけた時、何か変わった事はないか?」

老剣士「そなた、これを勇者に手渡していたのだろう?」

老剣士「実際、この中で最後に勇者と会ったのはそなただけだ」

老剣士「この羊皮紙に、一体どう言った細工をしておったのだ?」

魔法使い「残念ながら、私は何の細工もしておりません」

魔法使い「つい先程、傭兵隊の皆さんからの連絡を受けて宿屋を出る時に、そこの宿屋のお爺さんがこの私に手渡してきたんです」

老剣士「何?」

魔導師「それは、誠か?」

魔法使い「はい」

魔導師「……」

老剣士「なら、この手紙を誰が届けた?」

老剣士「やはり、これは敵側による罠の可能性もある」

老剣士「魔法使い。この件を誰に話した?」

老剣士「この件、他には他言しておらんだろうな?」

魔法使い「老剣士XXX。申し訳ありません」

魔法使い「もう既に、ここの傭兵隊長にはお話しました」

魔法使い「何分、こんな真夜中ですし」

魔法使い「この手紙を忘れたまま、ここに一度は来かけてしまいましたから」

老剣士「あっ? この大うつけが!」

魔法使い「!?」ビクッ

僧侶「きゃあっ!?」ビクッ

戦士「……」ビクッ

老剣士「……」ギロッ

スッ、グシャ……

老剣士「お前、何やっとる?」

老剣士「本当に、お前は何をやっとるのだ?」

老剣士「これが、ここの民達に知られたら大パニックになるぞ!」

老剣士「どうして、我らよりも先に傭兵隊長なんぞにこの手紙を見せたのだ!?」ギリッ

魔法使い「も、申し訳ございません!」ペコッ

老剣士「……」ギリギリッ

魔導師「魔法使い。そなた、本当に馬鹿な奴だな!」

魔導師「これを、我らよりも先に見せてどうする!?」

魔導師「傭兵隊とて、この国の民達だ!」

魔導師「そなたのした事は、まんまと敵側の術中に嵌まってしまっていると言う事だ!」

老剣士「とりあえず、お前どうする?」

老剣士「この責任、一体どうするつもりなのだ?」

老剣士「下手したら、もう既に他の民達にも知られた可能性がある!」

老剣士「貴様、本当に余計な事をしてくれたな!」

魔法使い「申し訳ありません!」ウルッ

魔導師「……」

老剣士「それで、貴様どうするのだ?」

老剣士「このまま、俺の剣の錆となりたいか?」

老剣士「今の俺は、一向に構わん!」

老剣士「何故なら、今の貴様は本当に万死に値する罪を犯したのだからな!」

戦士「師匠。ここは、どうか穏便に!」

戦士「今のこいつは、勇者の所為でおかしくされているだけなんです!」

老剣士「……」ギロッ

戦士「師匠。どうか、お願い致します!」

戦士「こいつが死んだら、一体誰がこいつの兄の面倒を見るのですか?」

老剣士「知るか!」

戦士「師匠!」

魔法使い「……」ウルウルッ

僧侶「……」

スッ、ムギュッ……

魔導師「老剣士XXX。怒りを抑えよ!」

魔導師「ここは、もう我ら年寄りだけで行く事にする!」

魔導師「そなた達三人は、これ以上この件に関わるな!」

魔導師「本当に、今回ばかりは余計な事をしてくれたよ!」

魔法使い「……」ウルウルッ

老剣士「戦士、僧侶。こいつをちゃんと見張っとけ!」

老剣士「貴様ら三人、宿屋で今後もずっと待機しておれ!」

老剣士「たかが、15~6のガキがでしゃばってくんじゃねぇよ!」

老剣士「貴様ら、この戦いが終わったら絶対に覚悟しとけ!」

魔法使い「はい……」ポロポロッ

戦士「師匠。ですが、俺達は傭兵隊の方に協力をしています」

戦士「せめて、俺だけでも戦には出させて下さい」

老剣士「あっ!?」ギロッ

戦士「!?」ビクッ

老剣士「戦士。貴様、俺の剣の錆びになりたいのか?」

老剣士「俺の話、貴様はちゃんと聞いていなかったのか?」

戦士「……いいえ」

老剣士「なら、何故その様な事を言う?」

老剣士「貴様も、大人しく宿屋で待機しておけ!」

戦士「ですが……」

魔導師「ですが、何なのだ?」

魔導師「そなた、どうしてそんなに戦に出たい?」

戦士「そ、それは……」

魔導師「老剣士XXX。そなたの言う通りに、この者達を宿屋で待機させる」

魔導師「しかし、ここの傭兵隊からの協力要請は無視出来ん」

魔導師「どうだ? ここは、この者達三人に汚名返上の機械を与えようではないか?」

魔導師「この者達三人も、それを望んでおるぞ」

老剣士「ちっ……」クルッ

戦士「……」

魔法使い「……」ポロポロッ

老剣士「魔導師XX。好きにしろ!」

老剣士「たとえ、問題が起きたとしても俺は責任は取らん!」

魔導師「ああ、了解した!」

魔法使い「……」ポロポロッ

魔導師「そこの三人、今の聞いておったな?」

魔導師「そなた達は、もう下がっても良い」

魔導師「だが、くれぐれも我らの邪魔だけはせんようにな!」

魔導師「特に、自分の犯したミスを取り戻そうと独断先行的な事をするだけは、絶対にあってはならんぞ!」

魔法使い「はい!」ポロポロッ

戦士「……」ビシッ

僧侶「はい。かしこまりました」

僧侶「私達は、これで失礼致します」

僧侶「この度の件、本当に申し訳ございません」

僧侶「以後、この様な事がない様に精進させて頂きます」ペコッ

魔導師「うむ。了解した」

魔法使い「……」ペコッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

老剣士「……」

魔導師「……」

老剣士「全く、ここ最近のガキ共は……」

老剣士「本当に、色々と余計な事をしてくれる……」

老剣士「とりあえず、今回の件は全てあの魔法使いの所為だ……」

老剣士「それについてを、しかと覚えておけ……」ギロッ

魔導師「……」

老剣士「後、俺は少し寝て来る……」

老剣士「午前六時になったら、お前が起こしてくれ……」

魔導師「ああ、了解した……」

召喚兵長「……」

召喚兵達「……」

錯乱する大臣に、戸惑いを隠せない民達。

ただでさえ、エルフの軍勢が迫ってきていると言うのに、ろくな対策すら打たない自国の国王。

更には、勇者がエルフの里で捕らわれている事が露見してしまった。

その事すら瞬く間に民達の間で伝わってしまい、それについてで責任を感じている魔法使い。

その日の朝、魔導師はハーフエルフの軍勢を向かい打った。

ハーフエルフの軍勢に続いて、別方向からはダークエルフの軍勢がXXX王国を攻撃をする。

それに対して、勇者はそんな事すら全く知らずにエルフの里の病院内にて完全に熟睡。

民達は、各エルフ達による逆襲に怯え、事態が沈静化するのを待つしかなかったのだった。

~傭兵隊本部・控え室~

その日の朝――

魔術師「魔法使いさん。元気出して下さい」

魔術師「いずれ、勇者様の件は誰かが暴露していたんですから」

魔法使い「……」

魔術師「私なんて、しょっちゅう隊長に罵倒されていますよ」

魔術師「ついさっきも、不要だと感じたら皆で犯してやるって言われた程ですから」

魔術師「だから、元気出して下さい」ニッコリ

魔法使い「……」

スッ、コトッ……

魔術師「ほらっ、ここにハーブティが有りますよ」

魔術師「これ飲んで、早く元気になって下さい」ニコニコ

魔法使い「……」

魔術師「魔法使いさん。私の話、聞いてますか?」

魔術師「ついさっきから、ずっとそんな感じですよ」

魔法使い「……」

スッ、ガチャ……

キキィーーッ、ダン……

傭兵隊長「……」

魔術師「あっ……」クルッ

傭兵隊長「魔術師。ここにいたか」

傭兵隊長「お前が遭遇した糞食らいは、ちゃんと処理したんだよな?」

魔術師「ええ、大丈夫です」

傭兵隊長「それと、どう言う訳か例の手紙の内容が民達に知られた」

傭兵隊長「その対応の為に、俺達にも出動命令が出てる」

傭兵隊長「魔術師。お前は、俺と一緒に来い」

傭兵隊長「つうか、何で今そこにいるお前のお仲間は、そんな暗い顔をしているんだ?」

魔術師「ええ、ちょっとした訳有りで……」

傭兵隊長「……」

スタスタスタッ、ピタッ……

傭兵隊長「おいっ、お前起きてるか?」

傭兵隊長「もし仮に、お前が使い物にならないんなら、魔術師と一緒に犯してやるよ」

魔法使い「!?」ビクッ

傭兵隊長「おっ、起きたな」

傭兵隊長「お前も、魔術師と同じで顔だけは良いな」ニヤリ

魔術師「最低」ムスッ

魔法使い「……」ウルッ

傭兵隊長「おいっ、たかがミス一つ犯したくらいで、そんなに泣くな!」

傭兵隊長「こいつが今までしてきた事に比べたら、お前のはまだまだ軽いくらいだ!」

魔法使い「……え?」ウルウルッ

魔術師「隊長。変な事を言わないで下さいね」

魔術師「私、まだ隊長には犯されたくはないんで」

魔法使い「……」ウルウルッ

魔術師「大体、魔法使いさんは他国の方ですよ」

魔術師「もし仮に、魔法使いさんが隊長に犯されたら、外交問題にまで発展しますよ」

傭兵隊長「ああ、そんな事は分かっとる」

魔術師「なら、そう言う事を私以外には言わないで下さい!」

魔術師「魔法使いさん。本当に、今回の事では責任を感じているんです!」

魔術師「隊長。ここ最近の言動等は、かなり問題があります!」

魔術師「私、隊長が誰かを犯す姿なんて見たくありません!」ギリッ

傭兵隊長「なら、お前も俺に対する態度等を改めろ!」

傭兵隊長「ここ最近のお前、全く人の事を言えねえぞ!」クルッ

魔術師「どう言う意味ですか?」

傭兵隊長「とりあえず、この話は置いといて早速任務だ!」

傭兵隊長「魔術師。お前からの反論等は後で聞く!」

傭兵隊長「まずは、ここの民達の不安を消し去るぞ!」

傭兵隊長「大臣様が、完全にトチ狂ってから色々と民達が不安がっているからな!」

魔術師「はい。かしこまりました」

魔法使い「……」ウルウルッ

スッ、ゴクゴクッ……

魔術師「魔法使いさん。魔法使いさんは、ここで休んでて下さい」

魔術師「私達、すぐ用事済ませてここに戻ってきますので」ニッコリ

魔法使い「……」コクン

傭兵隊長「……」

魔術師「隊長。早く行きましょ」

魔術師「後で、隊長には覚悟して貰いますから」

傭兵隊長「ああ、了解した」

スッ、コトッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」

魔法使い「……」

魔法使い「……」

魔法使い「……」

スッ、ゴクゴクッ……

魔法使い「ふぅ……」

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

魔法使い「え?」

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

僧侶「あれ? 魔法使いだけ?」

僧侶「ここの魔術師さん達、一体どこに行っちゃったの?」キョロキョロ

魔法使い「うん。なんか、用事が入ってね……」スッ、フキフキ

僧侶「そう。なら私もここに居とくよ」

僧侶「なんか、今日の魔法使いは昨日以上に弱々しいし」

僧侶「このまま放っておいたら、魔法使いの心が余計に泣いてしまうからね」ニッコリ

魔法使い「うん。ありがとう……」ポロポロッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、キィーッ……

クルッ、ストン……

僧侶「所で、今魔法使いは何飲んでるの?」

僧侶「なんか、良い香りがするね」

魔法使い「ええ、そうね……」ポロポロッ

僧侶「それ、もしかしてハーブティ?」

僧侶「多分、私の勘だと魔術師さん辺りが煎れてくれたのかな?」

魔法使い「ええ、そうよ……」ポロポロッ

シュピン……

魔法使い「……え?」

魔法使い「……」

魔法使い「……」

魔法使い「僧侶。魔導師様から、連絡があったわ……」

魔法使い「ハーフエルフの軍勢が、とうとう動き出したわ……」ポロポロッ

僧侶「!?」

魔法使い「魔導師様曰く、ハーフエルフの軍勢はおよそ一万……」

魔法使い「魔導師様が用意した召喚兵だけでは、とても防ぎ切れない……」ポロポロッ

僧侶「……」

魔法使い「とりあえず、私達はまだここで待機……」

魔法使い「ダークエルフの軍勢は、まだ確認がされていないの……」

魔法使い「これ、完全に危ないわよね?……」

魔法使い「私達、本当にこれからどうなっちゃうの?……」ポロポロッ

僧侶「魔法使い。今は、そう言う事を考えるのを止めましょ」

僧侶「今回の件は、魔法使いの責任なんかじゃないから」ニッコリ

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「ほらっ、魔法使い笑って」

僧侶「魔法使い、笑って」ニコニコ

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「いずれ、勇者様の件については、敵がバラしていたよ」

僧侶「魔導師様達はああ言ってたけど、いずれバレちゃう事だったんだよ」

魔法使い「……でも」ポロポロッ

スッ、フキフキ……

僧侶「魔法使い。大丈夫だから」

僧侶「私達、このまま死んだりはしないから」ニッコリ

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「魔導師様達は、昔からずっと誰かの所為にしてばかり」

僧侶「そんなんだから、人の恨みを買う事になるのよ」ニコニコ

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「とりあえず、それ飲んだら少し出歩かない?」

僧侶「今の魔法使いには、少し気分転換が必要だから」

魔法使い「……ええ、そうね」

スッ、コトッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、ムギュッ……

僧侶「……」ニコニコ

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「……」ニコニコ

魔法使い「……」ポロポロッ

僧侶「魔法使い。早く、元の魔法使いに戻って」

僧侶「いくら、魔法使いが泣いてたとしても、何も変わらないんだから」ニコニコ

魔法使い「……」コクン

僧侶「……」ニコニコ

僧侶「後、戦士は市場で買い物をしてるわ」

僧侶「戦士。なんか、今日は一人で買い物をしたいみたいだし」

僧侶「多分、例の薬を使ってお肉買いに行ったんだと思う」

僧侶「戦士、ここの市場のドライソーセージを気に入っちゃってね」

僧侶「それで、朝から戦士は買い物に行ったのかもしれないわね」ニコニコ

魔法使い「……そう。相変わらずね」クスッ

僧侶「……」ニコニコ

魔法使い「……」

僧侶「……」ニコニコ

魔法使い「……」ニッコリ

僧侶「さてっ、魔法使いも元気が出てきた事だし、少し出るわよ」

僧侶「ちょっと、今から私に付き合ってくれる?」

僧侶「大丈夫。魔導師様達にはバレない様にするから」

僧侶「少し、私達も市場の方に行かない?」

魔法使い「うん。良いけど」

僧侶「とりあえず、魔導師様への言い訳については戦士を探す事」

僧侶「戦士。あの後ずっと一人で行動をしちゃってるし」

僧侶「そろそろ、魔導師様辺りが文句を言って来そうだからね」ニッコリ

魔法使い「ええ、了解したわ」ニコニコ

スッ、ササッ……

クルッ、キィーッ……

コトッ、コトッ……

僧侶「とりあえず、先に戦士と合流をしましょ」

僧侶「戦士の向かった先は、すぐ分かるからね」

魔法使い「……」コクン

僧侶「魔法使い。早く元気になってね」

僧侶「今のままの魔法使いも可愛いけど、私はいつもの魔法使いの方が好きだから」ニコニコ

魔法使い「……ええ、了解したわ」ゾクッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある城下町・中央広場~

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

魔術師「皆さん。どうか落ち着いて下さい!」

魔術師「我々は、傭兵隊の者です!」

魔術師「速やかに、持ち場に戻って下さい!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

魔術師「皆さん。どうか落ち着いて下さい!」

魔術師「我々は、傭兵隊の者です!」

魔術師「どうか、落ち着いて下さい!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

魔法使い「ねぇ、僧侶。この騒ぎは一体何?」

魔法使い「何故、皆はこんなにも騒いでるの?」

僧侶「さぁ」

魔法使い「魔術師さん。かなり大変そう」

魔法使い「このまま、私達も応援に駆けつけた方が良いのかしら?」

僧侶「……」

魔術師「皆さん。どうか落ち着いて下さい!」

魔術師「我々が、この国を必ず守ります!」

魔術師「ですから、皆さんはどうか安心して下さい!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

「なぁ、聞いたか?」

「あの勇者が、しくじったみたいだ!」

「ついさっき、あの糞国王の元に連絡があったみたいでな!」

「それで、大臣様の頭が完全におかしくなったらしい!」

「え? 嘘!?」

「そんな!?」

「くっ……」

魔法使い「……」ハッ

僧侶「魔法使い」

スッ、ギュッ……

「それだけならまだしも、ウチの糞国王は何の対策すら取っちゃいねえ!」

「このままだと、俺達は犬死にだ!」

「全ては、あの勇者と糞国王の所為なんだ!」

「だから、早く俺達もここから脱出するんだ!」

「おうっ!」

「ええっ、そうね!」

魔法使い「……」

僧侶「……」

「でも、一体どうやって?」

「今、城門には魔術師とか言う爺さんがいるんだぞ!」

「ああ、それなら心配はいらない!」

「魔導師だかなんだか知らんが、向こうはたった一人だ!」

「俺達は、一体何人いると思ってる?」

「ここを出て、どこか遠くの町に行くだけなら何も心配はいらない!」

魔術師「……」ハッ

「けど、あの爺さんはかなり強いらしいぞ!」

「つい昨日から、あの爺さんが多数の兵をどこからか集めてる!」

「それに、あの爺さんと一緒にいる老剣士すら危ねぇ!」

「あの二人、例の勇者の師匠か何からしい!」

「何!?」

「それなら、俺も見たぞ!」

「あの爺さん達、ずっと城門の警備してやがる!」

「多分、これからここで戦か何か始まるんじゃないか?」

「やっぱり、例のエルフ達が俺達は対して兵を挙げたんだ!」

魔術師「……」ジーーッ

「なら、俺達は今後どうすりゃあ良いんだよ!?」

「やっぱり、このまま犬死にするしかねぇんじゃないか!?」

「あの勇者、本当に役に立たねぇ!」

「つい最近、見事に魔王を討ち取った癖に、エルフ如きにヘマしてんじゃねぇ!」

魔術師「……」ジーーッ

「おいっ、お前ら落ち着け!」

「傭兵隊の連中が、何かししゃり出て来やがった!」

「あいつら、俺達の事を鎮圧しに来たぞ!」

「ついさっきから、俺達の事をマークしてやがる!」

「何!?」

魔術師「……」ジーーッ

「とりあえず、ここは散るぞ!」

「皆、早く荷物纏めてここを出るんだ!」

「おうっ!」

「了解した!」

魔術師「隊長。いくつか、不穏な噂を流す輩が若干あり」

魔術師「如何致しますか?」ジーーッ

傭兵隊長「……」

魔術師「隊長。早くご決断を!」

魔術師「あの者達、もしかしたら間者の可能性があります!」ジーーッ

傭兵隊長「ああ、了解した!」スッ

傭兵達「……」ダッ

「皆、早く逃げろ!」

「エルフ達が、ここに攻めてくるぞ!」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

「皆、早く荷物纏めて逃げるんだ!」

「エルフ達に殺されたくなかったら、さっさと早く逃げやがれ!」

ワーーーーッ、ワーーー-ッ、ワーーーーッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

「皆、早く逃げろ!」

「エルフ達に、殺される前にな!」

ワーーーーッ、ワーーー-ッ、ワーーーーッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

「イヤイヤイヤ!」

「そんなのイヤ――――――――ッ!?」

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

ワーーーーッ、ワーーー-ッ、ワーーーーッ……

ザワザワザワッ、ザワザワザワッ……

ワーーーーッ、ワーーー-ッ、ワーーーーッ……

魔術師「隊長。逃げられました!」

魔術師「あの輩、やはり間者だったのでは?」

傭兵隊長「ああ、そうみたいだな」

魔術師「隊長。向こうに、魔法使いさん達がいます!」

魔術師「彼女達にも、間者の捜索には協力をして貰っても宜しいですか!」

傭兵隊長「ああ、構わん!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーーーッ、ワーーー-ッ、ワーーーーッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーーーッ、ワーーー-ッ、ワーーーーッ……

魔法使い「……」ウルウルッ

僧侶「……」スッ、フキフキ

魔法使い「……」

僧侶「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

魔術師「魔法使いさん。もう大丈夫なのですか?」

魔術師「見た所、また魔法使いさんは悲しそうな顔をしていらっしゃいますよ」

魔法使い「……」ウルウルッ

魔術師「もしかして、この騒ぎの事が原因ですか?」

魔術師「この騒ぎに関しては、魔法使いさんは全く関係はありませんよ!」

魔法使い「……」ウルウルッ

僧侶「こんにちは、魔術師さん。今回は、少し気分転換に」

僧侶「それと、魔導師様からの連絡は入っていますか?」

僧侶「ついさっき、魔法使いの方には魔導師様からの連絡が入りました」

僧侶「その件で、私達は魔術師さんの方にも確認を入れに来たと言う訳です」

魔術師「ああ、そうなんですか」

魔術師「僧侶さん達、本当に仲が宜しいんですね」

魔術師「でも、私達の方には何も入ってはいませんよ」

魔術師「あのお爺さん達、何故か私達には情報を入れたがろうとはしないみたいですから」

僧侶「え?」

魔法使い「why?」ウルウルッ

魔術師「……もしかして、何か動きがあったのですか?」

魔術師「私達の方でも、何故か魔法通信が上手く使えていないんです!」

魔術師「おかげで、ここの民達が余計に混乱をしてしまってます!」

魔術師「未だに、大臣様はトチ狂ったままの状態みたいですからね!」

僧侶「実は、ついさっき魔導師様からはこう連絡が入りました」

僧侶「ハーフエルフの軍勢一万が、こちらに向けて出撃」

僧侶「ダークエルフの軍勢は、まだ確認は取れていない」

僧侶「そう、魔法使いに対して連絡をしてきたんです!」

魔術師「!?」

僧侶「ですから、私達はそれを伝えに来ました」

僧侶「そのついでに、今ここでずっと泣いてばかりの魔法使いの気分転換も合わせて」

僧侶「ですから、魔術師さんもどうかご用心の程を!」

僧侶「魔導師様達、何か良からぬ事を企んでいるのかもしれません!」

魔法使い「……」ウルウルッ

魔術師「ええ、ありがとうございます。僧侶さん」

魔術師「この知らせについては、すぐに隊長の方にもお伝えします」

魔術師「それと、つい先程になって我々はこの城下町に潜んでいた間者達を発見致しました!」

魔術師「その間者達は、我が国の民達を言葉巧みに煽動!」

魔術師「今まさに、その噂を真に受けた民達がここから脱出しようと、慌ただしく動き始めてます!」

魔術師「ですから、魔法使いさん達もその間者摘発にご協力下さい!」

僧侶「はい。かしこまりました」

魔法使い「……本当に、申し訳ありません」ペコッ

魔術師「……」

僧侶「……魔法使い」

魔術師「とりあえず、僧侶さんは魔法使いさんと一緒に行動を」

魔術師「魔法通信は使えませんが、他の魔法や魔術等は今でも使えるみたいです」

魔術師「後、魔法使いさんは今回の件を気にし過ぎです!」

魔術師「魔法使いさんの事を責めているのは、あのお爺さん達二人だけ!」

魔術師「それ以外の人達は、全く魔法使いさんの事を責めてはいませんからね!」ニッコリ

魔法使い「……魔術師さん」ムクッ

魔術師「……」ニコニコ

僧侶「……」ナデナデ

魔術師「とりあえず、私は隊長にこの件を伝えてきます」

魔術師「お二人は、そこで待っていて下さい」ニコニコ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔法使い「……」

僧侶「……」

魔法使い「僧侶。少し気持ちがが楽になったから、もうしなくて良いわ……」

魔法使い「後で、あの糞爺達を地獄へと送る……」

魔法使い「その後で、しっかりと確実にあの勇者もね……」

魔法使い「うふふっ……」ニッコリ

僧侶「そう。了解したわ」ニッコリ

スッ、ササッ……

魔法使い「後、僧侶はハーブ使い過ぎよ」

魔法使い「一体、どんだけハーブ使ってるのよ?」

魔法使い「また、後でハーブ補充しないといけないじゃない」

魔法使い「ここまで持ち直すまで、一体どんだけハーブを使ったのよ?」

僧侶「さぁ、どれぐらいだったかしらね」ニコニコ

魔法使い「……」

僧侶「とりあえず、戦士の事はどうする?」

僧侶「この分だと、市場の方はちゃんと開いてるのかしら?」

僧侶「もし開いてないのなら、先に宿屋か傭兵隊本部に戻ってるはずなんだけど」ニコニコ

魔法使い「さぁ、私分からないわ」

僧侶「やっぱり、ついさっきまでの魔法使いも捨てがたいかな」

僧侶「本当に、ついさっきまでの魔法使いが可愛かったもん」

僧侶「ねぇ、魔法使い。今度ゆっくりと時間とか取れない?」

僧侶「魔法使いが良ければ、私が色々と教えてあげる」

僧侶「私、以前から魔法使いの事を狙ってたし……」

僧侶「魔法使いが良ければ、普段と違う私を見せてあげても良いからね!」ニヤリ

魔法使い「!?」ビクッ

僧侶「……」ニヤニヤ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

魔術師「お二人さん。許可取れましたよ」

魔術師「では、早速この城下町内の捜索に入って下さい」

僧侶「はい。かしこまりました」クルッ

魔法使い「……」

魔術師「では、お二人共頑張って下さいね!」

魔術師「私、女同士でもいける口なんで!」ニッコリ

魔法使い「――――――――っ!?」

僧侶「はい。かしこまりました!」ニコニコ

魔術師「……」ニコニコ

僧侶「魔法使い。早く行きましょう」

僧侶「魔術師さん。何か解り次第、すぐ連絡をします」

僧侶「後、戦士を見掛けたら今さっきの件をお伝え下さい」

僧侶「私達、暫く二人っきりで行動を致しますので」ニヤリ

魔術師「はい。かしこまりました」ニヤリ

魔法使い「……」ビクビクッ

魔法使い(もしかして、私の精神が不安定なのはこの二人が原因?……)

魔法使い(もしそうだったとしたら、かなり最悪だわ……)ビクビクッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある城下町・城壁の上~

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

魔導師「老剣士。どう見る?」

魔導師「敵の動き、結構早くないか?」

老剣士「ああ、そうだな」

魔導師「敵の数が、予想以上に多い」

魔導師「それに、どうやって今後は敵を防ぐかが問題だな」

老剣士「ああ、そうだな」

伝令兵達「……」

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

魔導師「伝令兵長。全隊に迎撃態勢を発令!」

魔導師「弓隊、攻撃用意!」

魔導師「歩兵隊は、敵が落とし穴に嵌まるまで待機だ!」

魔導師「急げ!」

伝令兵長「はっ!」

スッ、ササッ……

伝令兵長「……」フリフリ

伝令兵達「……」フリフリ

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

老剣士「魔導師。落とし穴とは何の事だ?」

老剣士「そなた、いつそんな物を用意していた?」

魔導師「ああ、昨夜の内にな」

老剣士「果たして、落とし穴だけで大丈夫なのか?」

老剣士「敵は、ハーフエルフだけではないのだぞ!」

魔導師「ああ、大丈夫だ」

伝令兵長「……」フリフリ

伝令兵達「……」フリフリ

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

老剣士「敵は、まずは騎兵からか」

老剣士「普通、攻城戦なら歩兵から出すであろう」

老剣士「一体、敵は何を考えておる?」

老剣士「そのまま、我らとやり合うつもりなのか?」

魔導師「さぁ、分からんな」

老剣士「……」

伝令兵長「……」フリフリ

伝令兵達「……」フリフリ

~とある城下町・城門前~

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

召喚兵副長「隊長。魔導師様より合図が出ました!」

召喚兵副長「迎撃態勢の発令です!」

召喚兵隊長「うむ。了解した!」

召喚兵副長「全隊、迎撃態勢を取れ!」

召喚兵副長「弓隊、攻撃用意!」

召喚兵副長「歩兵隊は、敵が落とし穴に嵌まるまで待て!」

召喚兵達「お――――――――っ!」

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

召喚弓兵長「……」

召喚弓兵達「……」

スッ、ササササササッ……

ササササササッ、ササササササッ……

召喚弓隊長「……」スッ

召喚兵副長「隊長。弓隊の射撃態勢完了!」

召喚兵副長「いつでも、撃てます!」

召喚兵隊長「うむ。了解した!」

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

召喚兵隊長「弓隊、そのまま引き付けろ!」

召喚兵隊長「俺が合図するまで、絶対に仕掛けるな!」

弓兵達「……」ギリギリ

召喚兵隊長「副長。魔導師様にすぐさま報告!」

召喚兵隊長「迎撃態勢完了とな!」

召喚兵副長「はっ!」

クルッ、スッ……

フリフリ、フリフリ……

~とある城下町・城壁の上~

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

魔導師「む? もう迎撃態勢完了とな」

魔導師「さすが、親父が編み出した召喚兵達。かなり優秀だな」

老剣士「……」

魔導師「とりあえず、後は敵が落とし穴に嵌まるのを待つだけ」

魔導師「老剣士は、まだこの場で待機しておいてくれ」

老剣士「ああ、了解した」

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

密偵「報告。各地区にて、敵の間者らしき不審者あり」

密偵「今現在、傭兵隊が捜索にあたっています」

密偵「例の勇者の同行者三名は、騒ぎを聞き付けてすぐ傭兵隊に合流」

密偵「民達の不安は、極限にまで達しています」

魔導師「……」

老剣士「して、大臣の方は?」

老剣士「大臣の方は、まだ牢に入れられているのか?」

密偵「はい」

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

老剣士「全く、またあのガキ共がしゃしゃり出てきた!」

老剣士「一体、何度我らの邪魔をすれば気がするんだ!」ムカッ

魔導師「……」

老剣士「大体、あいつら俺達の邪魔をし過ぎだろ!」

老剣士「城下町に潜入した敵の間者共々、奴等を一人残らず捕らえて来い!」ムカムカッ

密偵「はっ!」ビシッ

~とある城下町・城門前~

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ポツポツポツ、ポツポツポツ……

召喚兵隊長「……」

召喚兵副長「……」

召喚兵達「……」

ポツポツポツ、ポツポツポツ……

召喚兵隊長「む? 雨か……」

召喚兵副長「ええ、そうみたいですね」

召喚兵達「……」

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ポツポツポツ、ポツポツポツ……

召喚兵隊長「……」

召喚兵副長「……」

召喚兵達「……」

ポツポツポツ、ポツポツポツ……

シュン、ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

召喚兵隊長「おっ、落ちたみたいだな」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

召喚兵隊長「副長。魔導師様にすぐさま報告!」

召喚兵隊長「敵は、魔導師様が仕掛けられた落とし穴に嵌まった!」

召喚兵隊長「我、敵の追討の指示を求む!」

召喚兵隊長「急げ!」

召喚兵副長「はっ!」

クルッ、フリフリ……

~とある城下町・城壁の上~

魔導師「おおっ、老剣士。敵が落ちたぞ!」

魔導師「敵が俺の仕掛けた落とし穴に、まんまと嵌まりおった!」ニパァ

老剣士「!?」

魔導師「おまけに、敵の動きがすぐに止まった!」

魔導師「この分だと、先発隊は大打撃!」

魔導師「これより、敵の追討に入る!」

魔導師「ようやく、そなたの出番じゃぞ!」クルッ

老剣士「ああ、了解した!」ニパァ

クルッ、スタタタタタッ……

魔導師「伝令兵長。歩兵隊に、すぐさま追討の合図を!」

魔導師「敵は、我らの仕掛けた落とし穴にまんまと嵌まった!」

魔導師「弓隊に、落とし穴に向けて攻撃を仕掛けよ!」

魔導師「歩兵隊は、落とし穴から這い出てきた敵兵の追討をせい!」

伝令兵長「はっ!」ビシッ

伝令兵達「……」スッ

伝令兵長「……」フリフリ

伝令兵達「……」フリフリ

伝令兵長「……」フリフリ

伝令兵達「……」フリフリ

~とある城下町・城門前~

召喚兵副長「隊長。魔導師様からの合図です!」

召喚兵副長「弓隊に対し、落とし穴に向けて攻撃を開始せよ!」

召喚兵副長「歩兵隊は、老剣士様と共に落とし穴にまで迎え!」

召喚兵副長「落とし穴から這い出てきた敵兵を、すぐさま追討せよ! 以上です!」

傭兵隊長「うむ。了解した」

スチャ、スラァン……

召喚兵隊長「全隊、攻撃開始!」

召喚兵隊長「弓隊、落とし穴に向けて矢を放て!」

召喚兵隊長「歩兵隊は、老剣士様と共に落とし穴から這い出てきた敵兵を追討するのだ!」

召喚弓隊長「弓隊、構え――――っ!」

召喚弓隊長「目標、味方が仕掛けた落とし穴周辺!」

周辺弓隊長「放て――――っ!」ブン

召喚兵弓兵達「……」サッ

スパパパパパッ、スパパパパパッ……

スパパパパパッ、スパパパパパッ……

スッ、ササササササッ……

ササササササッ、ササササササッ……

スパパパパパッ、スパパパパパッ……

スパパパパパッ、スパパパパパッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

ピタッ、クルッ……

老剣士「召喚兵隊長。待たせたな!」

老剣士「これより、俺は敵陣に切り込む!」

老剣士「歩兵隊を暫し借りてくぞ!」

召喚兵隊長「ええ、構いませんが」

召喚兵副長「歩兵隊、老剣士様に続け!」

召喚兵副長「ただし、第一から第六中隊までだ!」

召喚兵達「お――――――――っ!」

老剣士「では、これで失礼する!」

老剣士「諸君、また会おうぞ!」

召喚兵隊長「ええ、お気を付けて!」

召喚兵副長「老剣士様、吉報をお待ちしております!」

老剣士「ああ、了解した」

クルッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

召喚歩兵隊長「第一中隊、進め!」

召喚歩兵隊長「老剣士様に遅れを取るな!」

スッ、スラララララァン……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

スパパパパパッ、スパパパパパッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

スパパパパパッ、スパパパパパッ……

召喚兵隊長「弓隊、攻撃中止!」

召喚兵隊長「味方が、落とし穴に向かった!」

召喚兵隊長「その場で、待機せよ!」

召喚弓隊長「はっ!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

スパパパパパッ、スパパパパパッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

スパパパパパッ、スパパパパパッ……

召喚弓隊長「弓隊、攻撃中止!」

召喚弓隊長「別名あるまで、そのまま待機!」

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

~とある城下町・城壁の上~

魔導師「うむ。なかなかの腕だ!」

魔導師「親父の奴、何でこれを俺に譲らなかったのか?」

魔導師「これで、奴を倒せる!」

魔導師「あの憎き女侯爵XXXXXXを、ようやくながらも倒す事が出来てしまう!」ニヤリ

伝令兵達「……」

魔導師「伝令兵長。すぐに、ここの国王に急報を知らせよ!」

魔導師「引き続き、城下町内では魔法通信を禁止する!」

魔導師「我が隊は、迫り来るハーフエルフの軍勢を迎え撃った!」

魔導師「このまま、後続の部隊も叩くとな!」

伝令兵長「はっ!」

魔導師「後、例の傭兵隊にはまだ何も伝えるな!」

魔導師「あ奴等は、金によって態度を変える奴等だ!」

魔導師「引き続き、城下町内の警備を担当して貰う!」

魔導師「特に、例の勇者の同行者三人には何も伝えるな!」

伝令兵長「はっ!」

クルッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

伝令兵達「……」

魔導師(これで、あの憎きハーフエルフに勝つ事が出来る……)

魔導師(親父。俺が必ず、あんたの敵を討ってやるからな!)ニヤニヤ

~外来用病院・廊下~

その頃――

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

警備兵達「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

クルッ、ピタッ……

巨大猫「すまぬ。開けてくれ」

警備兵「ああ、了解した」

スッ、ガチャ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

巨大猫「何じゃ、勇者はまだ寝ておるのか」

巨大猫「もう既に、午前九時を過ぎたと言うのに」

勇者「ZZZ……」

勇者「ZZZ……」

勇者「ZZZ……」

勇者「ZZZ……」

スッ、バタン……

警備兵2「あいつ、まだ寝てるのか?」

警備兵2「一体、どんだけ眠るつもりなんだよ?」

警備兵「さぁな」

警備兵2「しかし、俺達は暇だな」

警備兵2「ハーフエルフの連中は、今頃XXX王国を攻めていると言うのに」

警備兵「ああ、そうだな」

警備兵2「けど、ここ最近は出撃が多くね?」

警備兵2「つい先日から、エルフ近衛連隊が迷いの森まで出撃をしてる」

警備兵2「それだけでなく、エルフ騎士団まで外征にし出した」

警備兵2「一体、これからどうなるんだろうか?」

警備兵「警備兵2。下っ端の俺達には何も分からねぇよ」

警備兵「俺達は、本当にただの下っ端だ」

警備兵「上のやる事は、詳しくは教えては貰えねぇ」

警備兵「第一、外征している連中とは所属先が違うだろ」

警備兵2「ああ、そうなんだが」

警備兵3「でも、それを言ったら俺も気になるな」

警備兵3「最近出来たエルフ衛兵隊の連中は、エルフ近衛連隊の代わりに宮廷内を警備してる」

警備兵3「今まで、宮廷内の警備はエルフ近衛連隊の任務だ」

警備兵3「それを突き崩すなんて、絶対に裏で何かあるとしか思えねぇがな」

警備兵2「ああ、そうだな」

「おいっ、お前ら。私語を慎め!」

「今はまだ、任務中だぞ!」

警備兵「!?」ハッ

警備兵「げっ!?」ハッ

警備兵3「失礼しました。警備兵長!」クルッ

警備兵達「……」ビシッ

スタスタスタッ、ピタッ……

警備兵長「お前ら、今は任務中だ!」

警備兵長「警備兵なら警備兵らしく、しっかりと任務に励め!」

警備兵達「はっ! 申し訳ございません!」

警備兵長「お前ら、ここ最近は弛み過ぎだ!」

警備兵長「そろそろいい加減にせんと、営倉に送るぞ!」

警備兵長「俺達の任務は、この病院内の警備だ!」

警備兵長「その事を、絶対に忘れるな!」

警備兵達「はっ!」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

警備兵「ふぅ……」

警備兵2「……」

警備兵3「……」

警備兵「なぁ、ここ最近は警備兵長が煩くねぇか?」

警備兵「一体、何があったんだよ?」

警備兵2「さぁ、知らんな」

警備兵「今まで、警備兵長も暢気に昼寝とか飲酒とかしてたのに」

警備兵「新しく来た警備下士官に、それを咎められたんだろうか?」

警備兵2「ああ、多分な」

警備兵3「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

ピタッ、ピタッ……

エルフ看護師4「すみません。勇者様にお出しした朝食の食器の回収に参りました」

エルフ看護師4「ここを通して貰っても、よろしいでしょうか?」

警備兵「ああ、構わんが」

エルフ看護師4「失礼致します」ペコッ

スッ、ガチャ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ看護師4「あら?」

巨大猫「む? どうした?」

エルフ看護師4「あの、勇者様はまだご就寝中なのですか?」

エルフ看護師4「もう、午前9時を過ぎていますが」

巨大猫「ああ、そうじゃ」

勇者「ZZZ……」

エルフ看護師4「おまけに、ご朝食すら召し上がった形跡すらない」

エルフ看護師4「人間って、ここまで眠るものなのでしょうか?」

巨大猫「さぁ、分からんな」

勇者「ZZZ……」

エルフ看護師4「……」ジーーッ

勇者「ZZZ……」

巨大猫「とりあえず、こ奴の分の朝食は下げてくれ」

巨大猫「ここに置いていても、冷める一方じゃ」

巨大猫「後、エルフ医師をここに」

巨大猫「今の勇者の症状、どこかおかしいと思うのからのぅ」

エルフ看護師4「はい。かしこまりました」

勇者「ZZZ……」

巨大猫「……」

スッ、コトッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

警備兵「巨大猫。他に必要な事は?」

警備兵「もしあるんなら、今の内に言っとけ?」

巨大猫「いや、ないが」

警備兵「なら、ここを閉めるな」

警備兵「勇者のお守り、しっかりとな」

巨大猫「ああ、了解した」

スッ、バタン……

警備兵「……」

警備兵2「……」

警備兵3「……」

~とある宮殿・女王の執務室~

その一方――

衛兵隊長「報告。ハーフエルフの軍勢が、XXX王国と交戦状態に入りました!」

衛兵隊長「今現在、XXX王国は魔導師XX率いる召喚兵隊を主力とし、城内にて籠城!」

衛兵隊長「ハーフエルフの軍勢に、多大な死傷者が出ています!」

衛兵隊長「城下町に潜入している一部の偵察兵とは、未だに連絡が取れません!」

エルフ女王「……」

衛兵隊長「陛下。如何致しますか?」

衛兵隊長「今入っている情報は、以上となりますが!」

エルフ女王「……そう、たったそれだけなの」

エルフ王女「衛兵隊長。女侯爵XXXXXXからの情報は?」

エルフ王女「彼女は、あの子の保護者です」

エルフ王女「こんな僅かな情報で、陛下にどうしろと?」

エルフ王女「女侯爵XXXXXXからは、何の情報も入って来ないのですか?」

衛兵隊長「はい!」

エルフ女王「でも、あの子なら大丈夫よ」

エルフ女王「あの子、私の事を裏切ったりはしないもの」

エルフ女王「本当に、あの子は何を考えているのかしらね?」

エルフ女王「このまま、どんどん海外に属領でも増やしていくつもりなのかしら?」ニッコリ

衛兵隊長「さぁ、何も解りませぬ」

エルフ王女「陛下。あまり、あの子の事を信用なされるのはどうかと思います!」

エルフ王女「あの子は、過去に陛下に弓を引いた反逆者なのですよ!」

エルフ王女「元々、あの子は本当に汚らわしい存在でした!」

エルフ王女「たとえ、あの後エルフに転生しようが、絶対にあの子の犯した罪は消えません!」

衛兵隊長「……」

エルフ女王「けど、今の貴女に比べたら遥かに優秀だわ!」

エルフ女王「あの子のおかげで、あの戦の後もエルフの里が糾弾されずに済んでいるんでしょうが!」

エルフ女王「私、あの子が成人した暁には、すぐにも側近として登用をしたい!」

エルフ女王「あの子に一軍を任せて、大陸全土を平定して貰いたい!」

エルフ王女「!?」

エルフ女王「だから、あんたは早く仕事等を覚えなさい!」

エルフ女王「本日の各省庁から送られてくる書類等は、一体どこにあるのよ?」

エルフ女王「今のあんたに、あの子の事をとやかく言う資格はないわ!」

エルフ女王「あんたは、早く各省庁から届いた書類等をここに持ってきなさいよね!」ギロッ

エルフ王女「……ですが!」ギロッ

衛兵隊長「……」

エルフ女王「エルフ王女。さっさと書類を持ってきなさい!」

エルフ女王「一体、私の秘書を何年やってると思ってるの?」

エルフ女王「今の貴女、本当に役立たずだわ!」

エルフ女王「いくら、自分自身が役立たずだからと言って、他人を貶める様な真似だけは絶対にしないの!」イライラッ

エルフ王女「陛下。私は、陛下の為を思って言っているのですよ!」

エルフ女王「どうして、この私の思いを分かっては頂けないのですか?」

エルフ王女「あの子は、かつて陛下に弓を引いた極悪人!」

エルフ王女「なのに、陛下は実の娘でもある私よりも、あの子の方が大事なのですか?」

エルフ王女「後で、陛下が後悔した所で私は何も知りませんよ!」

エルフ王女「あの子だけは、私は絶対に信用すら出来ません!」ギリッ

エルフ女王「なんですって!?」ギリッ

エルフ王女「……」ギリギリッ

エルフ女王「……」ギリギリッ

衛兵隊長「……」

エルフ女王「とにかく、あんたは早く書類を持ってきなさい!」

エルフ女王「一体、いつになったらあんたは仕事を覚えるのよ?」

エルフ女王「ああ、早くあの子が成人しないかしら?」

エルフ女王「あの子が成人したら、すぐにでもあんたの代わりとして使ってあげれるのに!」ギリギリッ

エルフ王女「陛下!」ギリギリッ

エルフ女王「あん!?……」ギリギリッ

衛兵隊長「……」

エルフ王女「陛下。これより、書類をお持ち致します……」

エルフ王女「少々、お待ち下さいませ……」ギリギリッ

エルフ女王「ええ、了解したわ……」ギリギリッ

トントン、トントン……

エルフ王女「はい!」クルッ

スッ、ガチャ……

エルフ魔女「失礼致します」

エルフ魔女「女王陛下。少し宜しいでしょうか?」ニッコリ

エルフ王女「!?」ピキッ

衛兵隊長「なっ!?」クルッ

エルフ女王「あら、良い所に!」ニッコリ

スタスタスタッ、クルッ……

スッ、バタン……

エルフ魔女「陛下。執務中の所、大変申し訳ありません」

エルフ魔女「大至急、ご報告したい事がございます」

エルフ魔女「つい先程、ハーフエルフの軍勢がXXX王国に対して、攻撃を仕掛けました」

エルフ魔女「本日は、それに関するご報告をする為に、参上した次第であります」ペコッ

エルフ王女「……」ギロッ

エルフ女王「ええ、構わないわ!」

エルフ女王「早く、こっちにいらっしゃい!」ニコニコ

エルフ魔女「はっ!」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ女王「それで、ハーフエルフの軍勢がどうしたの?」

エルフ女王「もう既に、XXX王国には攻撃をしているみたいね」ニコニコ

エルフ魔女「はい」

エルフ女王「XXXXXX二世、そこにいる役立たずの王女なんか無視して早く報告をして」

エルフ女王「私、早く貴女からの報告を聞きたいから」ニコニコ

エルフ魔女「はい。かしこまりました」

スッ、シュルシュル……

スッ、ピラッ……

エルフ王女「……」

エルフ女王「何その紙?」

エルフ魔女「陛下。今現在、判明している事をご報告致します!」

エルフ魔女「ハーフエルフの軍勢1万は、本日の午前九時よりXXX王国に対して攻撃を開始しました!」

エルフ魔女「敵の主力は、魔導師XX率いる召喚兵千名のみ!」

エルフ魔女「同国の傭兵隊100名及び騎士隊100名に関しては、城下町の警備にあたっております!」

エルフ女王「……」

エルフ魔女「それと、今現在の戦況につきましては、我が軍の方が圧倒的に有利です!」

エルフ魔女「敵は、我が軍の騎兵大隊千名を魔導師XXが仕掛けた落とし穴を用いて撃破!」

エルフ魔女「その隙に、城下町の真下からはダークエルフの軍勢が次々と地下のトンネルを利用して潜入!」

エルフ魔女「それに魔導師XXは未だ気づかず、魔法通信を自ら使用禁止にしている為、地中からの潜入は楽に行っている様です!」

エルフ女王「そう。それで?」

エルフ魔女「後は、私の独断で城下町の中に糞食らいを放っておきました!」

エルフ魔女「その糞食らいが、我が軍の進撃の手助けをしてくれております!」

エルフ魔女「その結果、同国の民達はかなり動揺していますね!」

エルフ魔女「いずれ、数日前から潜入していたハーフエルフ達による煽動も上手く行く事でしょう!」

エルフ魔女「本日中には、XXX王国を陥落させる事が出来ます!」

エルフ魔女「勇者XXXに関しては、この戦が終わるまでの間は我々の手で軟禁しておく事が得策かと」

エルフ魔女「以上で、報告は終わりです!」

エルフ女王「そう。ご苦労様」

エルフ王女「……」

衛兵隊長「……」

エルフ魔女「……」スッ、クルクルッ

エルフ女王「XXXXXX二世。その紙、私にくれる?」

エルフ女王「なんか、私の今さっき聞いた報告よりは、詳しく書かれてるみたいだから」ニッコリ

エルフ魔女「え? これをですか?」キョトン

エルフ女王「ええ、そうよ」

エルフ女王「今の貴女が持っているそれは、私に出す報告書じゃないの?」

エルフ女王「もしくは、まだ途中経過でしかないから、後で清書でもするのかしら?」

エルフ女王「私、少しばかり実の娘の育て方を間違えたみたいでね」

エルフ女王「貴女が、以前私に出してくれた貴女の率いる私兵部隊の編成表とかも、全部読み終えた後だから」ニコニコ

エルフ魔女「はい。かしこまりました」

エルフ王女「……」ムカッ

エルフ王女「XXXXXX二世。その紙は、こちらでお預かり致します!」

エルフ王女「貴女、少しは自身の立場を弁えなさい!」

エルフ王女「本当なら、貴女はここにいてはいけない存在のはず!」

エルフ王女「私、未だに貴女の事だけは絶対に信用しないから!」ギロッ

エルフ女王「王女!」ギロッ

エルフ王女「とりあえず、早くその紙を私に渡しなさい!」

エルフ王女「何で、貴女みたいな汚れた血がお母様にまで可愛がられるのよ!」

エルフ王女「あのまま、貴女は一生ハーフエルフとして、誰からも愛されずに憎まれながらも生きていくはずだったのに!」

エルフ王女「一体、どれだけ他人の事を不幸にすれば気が済むのよ?」ギリギリッ

エルフ王女「王女!」ダン

エルフ魔女「衛兵隊長。貴方が代わりにこれを受け取って」

エルフ魔女「今の王女様、少し虫の居所が悪いみたい」スッ

衛兵隊長「え? ああ、はい」スッ

エルフ魔女「私、これでも誰かから嫌われている自覚とかあるわよ」

エルフ魔女「王女様に言われなくたって、自分が過去にしでかした事は一生消えないわ」ギロッ

エルフ王女「……」ギロッ

エルフ女王「はぁ……」ガクッ

衛兵隊長「……」

エルフ王女「だったら、早く退室をして!」

エルフ王女「もう二度と、私の前に顔を見せないで!」ギリギリッ

エルフ魔女「お生憎様、私だって貴女の顔を見たくないわよ!」

エルフ魔女「他人の事をどうこう言うより、今の自分自身の至らない所を直しに行ったら?」

エルフ魔女「私、これでもハーフエルフの族長なのよ!」

エルフ魔女「今の貴女は確かに王女様だけど、これまでの私の積み上げてきた実績に比べたら全く大した事はないわ!」クルッ、ギロッ

エルフ王女「なんですって!?」ギリギリッ

衛兵隊長「……」

エルフ女王「二人とも、喧嘩するのなら他所でやりなさい」

エルフ女王「ここ一応は、エルフの里の中枢なんだけど」

エルフ女王「まぁ、確かにXXXXXX二世に比べたら、ウチの娘は本当に出来が悪いわ」

エルフ女王「若い頃の私の性格や言動の悪さだけを、そのまま引き継いじゃってるから」ガクッ

エルフ王女「お母様。それは余計よ!」

エルフ王女「お母様は、私達親子がバカにされてて悔しくはないの?」

エルフ王女「私、やっぱりこの子をこの里に置いておくのは反対だわ!」

エルフ王女「この子の母親共々、再びエルフの里から追放をして!」ギリギリッ

エルフ女王「え~~~~っ?」

エルフ魔女「陛下。誠に申し訳ございません!」クルッ

エルフ魔女「陛下の御前で、とんだご無礼を!」

エルフ魔女「本日は、これで失礼致します!」

エルフ魔女「どうか、本日の私めの失態、ご容赦下さいませ!」ペコッ

エルフ女王「ええ、了解したわ」ニッコリ

エルフ王女「貴女、また私達親子の事を馬鹿にしたでしょ?」

エルフ王女「一体、何度私の事を不快にしたら気が済むのよ?」

エルフ王女「お母様、早くこの子を追放をして!」

エルフ王女「じゃないと、あの腰抜けの前族長の時みたいに、また影でエルフの里をこの子に牛耳られる!」ギリギリッ

エルフ魔女「……」

エルフ女王「XXXXXX二世、もう下がって良いわ」

エルフ女王「本当にごめんなさいね。また、ウチの娘が煩くて」

エルフ女王「次、またここに来る時は面白いものを持ってきてね」

エルフ女王「勿論、先に本日の戦に関する報告書の方が優先だけど」ニッコリ

エルフ魔女「はい。かしこまりました」ニッコリ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ王女「……」ギロッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

エルフ魔女「……」ギロッ

スッ、ガチャ……

エルフ王女「さぁ、どうぞ……」ギリギリッ

エルフ魔女「あら、ありがとう……」ギリギリッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ女王(全く、何でこんな所まで似ちゃうのかしら?……)

エルフ女王(あの二人、以前よりも仲が悪くなっているわね……)

エルフ女王(相変わらず、あの子達二人は仲が悪い……)

エルフ女王(まるで、遥か昔の私とあの子の母親みたいだわ……)ハァ

スッ、バタン……

エルフ女王「衛兵隊長。貴方も、もう下がっても良いわ」

エルフ女王「今の貴方に聞いても、大した情報はない」

エルフ女王「貴方も、早く自分の持ち場に戻りなさい」

エルフ女王「あの子から受け取ったメモを、私にくれたらもう下がっても良いから」

衛兵隊長「はっ、かしこまりました!」ビシッ

ハーフエルフ。

それは、人間とエルフの間に生まれたタブー的な存在。

今回の戦でも、多数のハーフエルフ達の血が流れ、人間達は狂喜乱舞する。

人間達はハーフエルフの事を心底嫌い、ハーフエルフの事を見つけるやいなや、その場で何度も何度も虐殺を繰り返していった。

だが、それも長くは続かなかった。

地中からは多数のダークエルフが現れ、逆に人間達の事をすぐさま虐殺しだしたからだ。

これを受け、人間達はただただ逃げ惑うしかなく、次第にその数を減らしていく。

やがて、人間達の住み処はハーフエルフ達の手によって瞬く間に占領をされ……

その人間達の住み処だった場所の中には、夥しい程の人間達の死体が転がっていたのだった。

~とある城下町・城壁の上~

その日の昼――

密偵「報告。城下町に潜んでいたハーフエルフを数十体発見を発見しました!」

密偵「今現在、傭兵隊がハーフエルフ達の討伐を行っております!」

密偵「ですが、そのハーフエルフ達は武装していて、とても傭兵隊だけでは数が足りません!」

密偵「傭兵隊長より魔導師様に対して、『援軍を求む!』との要請が出ております!」

魔導師「うむ。そうか」

密偵「魔導師様。どうか、援軍を!」

密偵「傭兵隊は、地中より現れた糞食らいの対応にも追われているのです!」

魔導師「……」

密偵「魔導師様。どうか、お願い申し上げます!」

密偵「もう既に、多数の民達にも犠牲が出ております!」

密偵「このままでは、民達の犠牲がますます増える一方!」

密偵「城下町にいる民達も、皆が武器を手になんとか戦っている状態なのです!」

魔導師「……」

密偵「魔導師。どうか、ご決断を!」

密偵「まだ、城門の前には多数の兵隊がいます!」

密偵「それを援軍として、民達の事をお救い下さい!」

密偵「今の我々には、もうそれしか手はないのです!」

魔導師「……」

伝令兵長「魔導師。このままでは、民達がますます犠牲になります」

伝令兵長「一旦、城門前にいる隊を治安維持にあて、後顧の憂いを絶つのです」

伝令兵長「でなければ、我々は再びハーフエルフ達の前に敗北を喫します」

伝令兵長「そう、それも23年前の時と同じ様に」

伝令兵長「魔導師様は、また一つ罪無き国をお潰しになられるおつもりですか?」

魔導師「……」

密偵「魔導師様。どうかご決断を!」

密偵「敵は外だけでなく、内にもいるのですよ!」

密偵「今の貴方に、この国の命運が握られているのです!」

密偵「どうか、魔導師様もご決断の程を!」

魔導師「伝令兵長。今現在の兵の数は?」

魔導師「老剣士達は、まだ戻らないのか?」

伝令兵長「はい」

魔導師「老剣士達が戻ってこなければ、我らとて兵に余裕はない」

魔導師「たかが数十体のハーフエルフなら、傭兵隊だけでも対処出来よう」

魔導師「密偵、城下町に現れた糞食らいの数は?」

魔導師「一体、何体の糞食らいが現れたのだ?」

密偵「6体です」

伝令兵長「城門に残っている兵達は、私を含め400名になりますが」

魔導師「うむ。そうか」

魔導師「伝令兵長。召喚兵隊長に連絡!」

魔導師「城門前にいる召喚兵隊全てを、これより治安維持に充てよ」

魔導師「ただし、伝令兵長はここに残れ」

魔導師「そなたがいなければ、老剣士達とは連絡が取れなくなる」

伝令兵長「はっ!」ビシッ

密偵「……」ビシッ

魔導師「後、城の方は問題はないのか?」

魔導師「城の守りは、今現在も騎士隊が務めているはず」

魔導師「城の方にも、糞食らい達が現れた可能性がある」

魔導師「城の方にも、何名かは派遣しておくように」

伝令兵長「はっ!」

スッ、ムクッ……

クルッ、スタスタスタッ……

密偵「魔導師。城の警備に関しましては、何も問題はありません」

密偵「城の内部を、100名からなる騎士隊が警戒にあたっております」

密偵「ですが、傭兵隊に関しては些か不安が残ります」

密偵「この機に乗じて、他の民達と同様に略奪等を行っていなければ宜しいのですが」

伝令兵長「……」ピタッ

魔導師「密偵。それに関しては、俺も気にはなった」

魔導師「俺は昔から、傭兵と言うものは信用をしてはおらんからな」

伝令兵長「……」スッ、フリフリ

魔導師「とにかく、そなたは城に戻ってこの件を伝えよ」

魔導師「これより、俺の率いる召喚兵隊も傭兵隊と共に城下町の治安維持にあたる」

魔導師「まだ、地中から糞食らいが出てきてから時間が立ってない」

魔導師「俺は、このままここで城門の警備をしておかなければならないからな」

密偵「はっ!」ビシッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

魔導師「……」

伝令兵長「……」フリフリ

伝令兵長「……」フリフリ

~とある平原・落とし穴付近~

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

召喚歩兵隊長「くそっ、敵が多すぎる!」

召喚歩兵隊長「ここは、一旦退くべきだ!」

老剣士「何!?」

召喚歩兵隊長「老剣士殿、ここはすぐに退くべきだ!」

召喚歩兵隊長「でなければ、我々は全滅する!」

老剣士「くっ……」

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

「隊長。敵が多すぎます!」

「我々だけでは、とても防ぎきれません!」

老剣士「おのれ!」プルプル

召喚歩兵隊長「老剣士殿、ここは退く!」

召喚歩兵隊長「城に戻って、再起するぞ!」

召喚歩兵隊長「聞いておるのか!?」

老剣士「……」プルプル

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

「中隊長。敵の騎兵が、こちらに向けて接近!」

「第二中隊長が戦死しました!」

召喚歩兵隊長「何!?」クルッ

「中隊長、ここはもう持ちません!」

「一旦、城に戻って態勢を整えましょう!」

召喚歩兵隊長「ああ、了解した!」

老剣士「……」プルプル

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

召喚歩兵隊長「全隊、城にまで撤退!」

召喚歩兵隊長「速やかに、兵を集めて撤退せよ!」

「はっ!」

老剣士「……」プルプル

召喚歩兵隊長「老剣士殿、これより我が隊は撤退する!」

召喚歩兵隊長「貴殿も、早くついて参れ!」

老剣士「……」プルプル

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

召喚歩兵隊長「……」クルッ、ダッ

老剣士「……」プルプル

「全隊、速やかに撤退!」

「早く、城にまで撤退せよ!」

「死にたいのか!?」

「うわ――――――――っ!?」

老剣士「……」プルプル

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

チュドドドドーーーーン……

「ぐわああああああああ――――――――っ!?」

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

チュドドドドーーーーン……

「ぐわああああああああ――――――――っ!?」

老剣士「……なっ!? 馬上から炸裂矢だと!?」プルプル

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

老剣士「おのれ! 女侯爵XXXXXX!」

老剣士「やはり、貴様は以前よりも遥かに力を増しておったか!」

老剣士「一体、何故貴様如きにその様な力がある!?」

老剣士「何故、貴様は俺と会う度に以前よりも遥かに力が増しておるのだ!?」

スッ、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

チュドドドドーーーーン……

「ぐわああああああああ――――――――っ!?」

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

老剣士「答えよ! 女侯爵XXXXXX!」

老剣士「これが、お前の答えなのか!?」

老剣士「俺は、絶対に貴様の事だけは許さん!」

老剣士「たとえ、この場で俺が死んだとしても、貴様だけは死語も永遠に呪い続けてくれる!」

スッ、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

チュドドドドーーーーン……

老剣士「!?」グラッ

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

スッ、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

チュドドドドーーーーン……

老剣士「ぐわっ!?」グサグサッ

スッ、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

チュドドドドーーーーン……

老剣士「ぐわ――――――――っ!?」グサグサッ

スッ、ドサッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ドドドドドドッ、ドドドドドドッ……

ワーーーーッ、ワーーーーッ、ワーーーーッ……

スッ、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

チュドドドドーーーーン……

老剣士「ぶっ、ごほっ……」

老剣士「ぐえっ、ぶほっ……」

老剣士(どうやら、俺もここまでか……)

老剣士(魔導師XX、後は頼んだぞ……)

老剣士「……」ガクッ

~とある城下町・貧困地区~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

「おいっ、いたか?」

「いや、いない!」

「くそっ、どこに行った?」

「ハーフエルフの奴等、絶対に許さねぇ!」

「必ず、奴等を殲滅してくれる!」

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」

「皆、絶対にハーフエルフを見つけるんだ!」

「見つけ次第、殺すんだ!」

「あいつらは、俺達と違ってモンスターだ!」

「モンスターならモンスターらしく、俺達に狩られてたら良いんだよ!」

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」

「けど、あいつらは一体どこに?」

「全く、奴等の手がかりがねぇ!」

「あいつら、意外にすばしっこいぞ!」

「皆、ハーフエルフには十分注意するんだ!」

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」

半エルフ兵長「はぁ、はぁ、はぁ……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタタッ……

スッ、ストッ……

闇エルフ兵長「おいっ、大丈夫か?」

闇エルフ兵長「自力で、歩けるか?」

半エルフ兵長「ああ、大丈夫だ……」

闇エルフ兵長「お前、他の仲間は?」

闇エルフ兵長「他の奴等は、もうやられたのか?」

半エルフ兵長「ああ、まあな……」

闇エルフ兵長「ここからは、俺達の役目だ」

闇エルフ兵長「お前は、すぐそこにある潜入地点で休んでおけ」

半エルフ兵長「ああ、了解した……」

スッ、ムクッ……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

闇エルフ兵達「……」

闇エルフ兵長「総員。これより、人間達との戦闘に入る!」

闇エルフ兵長「ハーフエルフを見かけたら、速やかに潜入地点にまで援護しろ!」

闇エルフ「敵は、この町にいる人間達全てだ!」

闇エルフ兵長「良いな?」

闇エルフ兵達「はっ!」

闇エルフ兵長「よしっ、皆行くぞ!」

闇エルフ兵長「皆、俺についてくるんだ!」

闇エルフ達「はっ!」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある城下町・職人地区~

戦士「ふぅ、なんとかなったな……」

戦士「この糞食らい、かなり手強かったぜ……」

僧侶「ええ、そうね……」

糞食らい「……」

魔法使い「けど、どうしてこんな場所に糞食らいが……」

魔法使い「この糞食らい、一体どこから来たのよ?……」

戦士「さぁ、知らんな」

僧侶「ええ、そうね」

魔法使い「……」

戦士「とりあえず、まずは一体倒したな」

戦士「他の連中、大丈夫だろうか?」

僧侶「ええ、多分ね」

戦士「しかし、糞食らいってかなりデカイんだな」

戦士「この三本の触手に、三本の足」

戦士「こいつ、体長は絶対に2mは超えてるだろ?」

戦士「こいつの体、結構硬かったからな」

僧侶「ええ、そうね」

魔法使い「……」

糞食らい「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ……

傭兵「すまん。こっちに、ハーフエルフは来なかったか?」

傭兵「と言うか、何だよ? この生き物?」

戦士「ああ、これか?」

糞食らい「……」

魔法使い「残念だけど、こっちには来てないわ」

魔法使い「私達、これを倒すのに夢中だったからね」

傭兵「ああ、そうか」

傭兵「それで、こいつは一体何なんだ?」

傭兵「こんな生き物、俺見た事ねぇよ」

傭兵2「ああ、そうだな」

戦士「こいつは、ついさっき何故か俺達が倒したばかりの糞食らいだ」

戦士「元々、こいつはゴミや死体等を食って生活をしてる」

戦士「と言っても、普段は自分達の巣からは出てこないんだが」

戦士「ゴミや死体だけでなく、新鮮な肉も食うから厄介なんだよ」

傭兵「へぇ、そうなのか……」

傭兵2「かなり、匂うんだな……」

糞食らい「……」

傭兵「とりあえず、ハーフエルフを見かけたらすぐに殺してくれ!」

傭兵「あいつら、何の罪もない民達の事を惨殺をした!」

傭兵「俺達は、まだこの辺を捜索をしてる!」

傭兵「だから、すぐに殺してくれ!」

戦士「ああ、了解した!」

糞食らい「……」

クルッ、スタスタスタッ……

クルッ、スタスタスタッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

~とある城下町・裏通り~

「いや、止めて!」

「お願い、止めて!」

「知るか!」

「殺せ――――っ!」

魔術師「……」キョロキョロ

「いや、止めて!」

「お願い、いやああああ――――っ!」

スッ、グサグサッ……

グサグサッ、グサグサッ……

「皆、やったぞ!」

「俺はまた一人、ハーフエルフをこの手で殺した!」

「これで、もう五人目だ!」

「ううっ、くううっ……」ポタポタッ

「とりあえず、お前血だらけだぞ……」

「今から、服や体を洗ってこい」

「ああ、悪かったな……」

「全くだ」

「……」ガクッ

魔術師「……」ハッ

「とりあえず、ここで休憩だ」

「お前の顔、本当に血だらけだな」

「ああ、まあな」

「皆、後で祝杯でもあげようぜ」

「今の俺達、とんだ英雄なんだし」

「今後100年近くは、俺達の話で持ちきりだと思うからな」

「賛成――――っ!」

「俺も!」

「ああ、後でな!」

魔術師「……」

魔術師(皆、結構えげつない事になってるんだなぁ……)

魔術師(至る所に、死体の山が築かれている……)

魔術師(これ、本当に大丈夫なの?……)

魔術師(私達、このままどうなっちゃうの?……)

死体の山「……」

魔術師(ああ、どうしよう?……)

魔術師(本当に、どうしよう?……)

魔術師(早く、ここから逃げないと……)

魔術師(早く、この町から逃げないと……)

死体の山「……」

魔術師(確か、今回ここを攻めているのって、例のハーフエルフなのよね?……)

魔術師(その人、かなり執念深いって聞いてるし……)

魔術師(いつ、私まで殺されるかが全く分からない……)

魔術師(今さっきの人みたい、絶対にあんな風にはなりたくはない……)

クルッ、スタスタスタッ……

魔術師(とりあえず、魔法使いさんとこに合流をしよう……)

魔術師(魔法使いさん達、まだこの町のどこかにいるはず)

魔術師(私、まだ死にたくはないし……)

魔術師(こんな場所では、絶対に死にたくはないからね……)

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある城下町・中央広場~

傭兵隊長「おいっ、今の冗談だろ?」

傭兵隊長「あの爺さん。俺達の事を信用してなかったのか?」

密偵「ああ、そうだ」

傭兵隊長「おいおい、マジかよ!?」

傭兵隊長「あの爺さん。俺達の事を、そんな風に思ったのか!?」

傭兵隊長「さすがは、かつて実の父からからは見捨てられていただけはある!」

傭兵隊長「あの爺さんの方が、俺達よりは遥かに信用出来んだろ?」

傭兵隊長「それで、全く魔法通信が使えなかったのか?」

密偵「ああ、そうだ」

傭兵隊長「くそっ、あの糞爺!」

傭兵隊長「今から、俺が直接抗議に行ってやる!」

傭兵隊長「元々、爺さんの方が余所者だろ!」

傭兵隊長「俺達は、生まれも育ちもこの国なんだよ!」ムカッ

密偵「ああ、そうだな」コクン

傭兵隊長「とりあえず、爺さんはどこだ?」

傭兵隊長「まだ、城門の方にいるのか?」ムカムカッ

密偵「ああ、そうだ」

傭兵隊長「お前、ついさっきから『ああ、そうだ』しか言ってえねえだろ?」

傭兵隊長「お前のその口は、それ以外に何か言えねぇのか?」ムカムカッ

密偵「隊長。ここは、先にハーフエルフ達の方を叩こう!」

密偵「今は、あの爺さん達と対立をしている暇はない!」

傭兵隊長「何?」ギロッ

密偵「あの爺さん。俺達の事を、最初から守るつもりなんて更々ないぞ!」

密偵「ここへ来たのは、例のハーフエルフへの復讐の為だ!」

密偵「俺達は、まんまとそれに乗せられた!」

密偵「そうじゃなきゃ、ここの民達に犠牲が出ているのに、兵を出し渋ったりはしないだろ!」

傭兵隊長「くっ……」ムカムカッ

密偵「……」

傭兵隊長「……」ムカムカッ

傭兵隊長「なら、俺達は最初から捨て駒か?」

傭兵隊長「あの爺さん。俺達の国が無くなろうがどうでも良いのか?」ムカムカッ

密偵「ああ、確実にな!」

傭兵隊長「くそっ、まんまとしてやられた!」

傭兵隊長「あの爺さん達、とんだ極悪人だ!」

傭兵隊長「密偵、この件をすぐに糞国王に伝えろ!」

傭兵隊長「あの爺さん。ひょっとしたら、大臣様の件にも絡んでる可能性がある!」

傭兵隊長「下手したら、本当にこの国が滅びるぞ!」

傭兵隊長「あの爺さん達の所為でそうなる前に、早くこの件を城に知らせるんだ!」ムカムカッ

密偵「おう!」

密偵「では、俺はこれで失礼する!」

密偵「隊長も、気を付けてな!」

傭兵隊長「ああ、お前もな!」

密偵「……」ビシッ

傭兵隊長「……」ビシッ

クルッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スチャ、スラァン……

傭兵隊長(とりあえず、あの爺さん達よりも先にハーフエルフの連中を始末するか……)

傭兵隊長(あいつら、あの爺さん以上に厄介だからな……)

~とある城下町・表通り~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

少女「……」

使い魔「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

少女「行ったみたいだね」

少女「あの人達、一体誰だったのかな?」

使い魔「……」

少女「ねぇ、お姉ちゃん。どこに行っちゃったの?」

少女「私、今日は一度もお姉ちゃんとはあってないよ」

少女「このままだと、私達まで被害に遭いそうだね」

少女「私達、何も悪い事なんかしてないのに」ウルッ

使い魔「……」

少女「一体、どうしてこうなったんだろうね?」

少女「あの人達、どうして私達の住む町を攻めてくるの?」

少女「私、もしかしたらここで死んじゃうかもしれない」

少女「出来れば、そうなる前に早くここを出たいなぁ」ウルウルッ

使い魔「……」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

少女「……」ウルウルッ

使い魔「……」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

戦士「おいっ、お前生きてるか?」

戦士「お前、もしかして親とはぐれたのか?」

少女「え?」ウルウルッ

少女「お兄ちゃん達、誰?」

少女「敵と味方、一体どっちなの?」

使い魔「……」ギロッ

戦士「俺達は、傭兵隊に協力してる勇者の仲間だ!」

戦士「ここは、もうかなり危ない!」

戦士「早く、ここからお前も逃げるんだ!」

少女「え?」ウルウルッ

僧侶「戦士。もっと他の言い方とかないの?」

僧侶「この子、完全に怖がらせてしまってるよ」

魔法使い「ええ、そうね」

戦士「けどよ。今の俺は、事実を言っていたまでの事だ!」

戦士「早くここを出ないと、本気でヤバイだろうが!」

僧侶「戦士!」

少女「……」ウルウルッ

使い魔「……」ジーーッ

魔法使い「ああ、ごめんね。別に怪しい者なんかじゃないわ」

魔法使い「私達、ここに数日前に訪れていた勇者の仲間なのよ」

魔法使い「だから、お嬢ちゃん達は何も心配はしないで!」

魔法使い「私達は、お嬢ちゃん達の味方だから!」ニッコリ

少女「本当?」ウルウルッ

僧侶「うん。大丈夫だよ」

僧侶「私達、今からお嬢ちゃんの事を安全な場所まで避難させてあげるから」ニッコリ

魔法使い「……」ニコニコ

少女「でも、私、今日の朝から魔術師のお姉ちゃんとはぐれちゃって……」

少女「この子と一緒に、魔術師のお姉ちゃんの事を待ってる……」

少女「だから、まだここで良いかな……」

少女「お姉ちゃん達、上手く魔法で擬態した敵の可能性だってあるから……」ウルウルッ

戦士「何?」

僧侶「……」チラッ

魔法使い「戦士」チラッ

「ああ、その人達は大丈夫だよ」

「お嬢ちゃん。別に、その人達の事を信用しても大丈夫だから」

少女「え?」クルッ

使い魔「……」クルッ

「魔法使いさん達、その木箱をちょっと退けて下さい」

「私、今その木箱の向こうにいるんで」

魔法使い「え? ああ、はい」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

スッ、スッ……

数分後――

魔術師「ああ、魔法使いさん。ありがとうございます」

魔術師「これで、全員揃いましたね」

少女「うん。そうだね」ポロポロッ

魔術師「お嬢ちゃん。もう大丈夫だからね」

魔術師「今から、私と一緒にここの外に避難するからね」

少女「うん。分かった」ポロポロッ

戦士「……」

僧侶「……」

魔法使い「……」

魔法使い「それで、これからどこに移動するんです?」

魔法使い「ここ、もう完全に戦場となってしまってますけど」

僧侶「ええ、そうね」

魔術師「これから、私の従姉妹が住んでいる町にまで避難致します」

魔術師「私の従姉妹は、隣国との国境沿いに居を構えていましてね」

魔術師「つい最近、結婚して出産すら終えたばかりなんですよ」

魔術師「私もこの子も、従姉妹同士ですし」

魔術師「だから、そっちにまで今から移動致します」

僧侶「はい。かしこまりました」

魔術師「……」スッ

魔術師「では、今からこれを抜きます!」

魔術師「皆さん。その場で待機して下さい!」

使い魔「……」ジーーッ

スッ、ヌポッ……

小瓶「……」バリン

魔術師「え?」

バラバラバラッ、バラバラバラッ……

少女「……お姉ちゃん?」ポロポロッ

魔術師「もしかして、転移魔法すら使えないの?……」

魔術師「あのお爺さん、本当に余計な事をしてくれたわね……」ガクッ

戦士「とりあえず、どうする?」

戦士「このまま、隊長の元に向かうか?」

戦士「隊長の所なら、まだ大丈夫だ」

戦士「隊長のいる中央広場に向かって、少し休もう」

僧侶「ええ、そうね」

魔術師「でも、ここから城門は一番近いです」

魔術師「私は、一度城門に向かってここを出た方が良いと思います」

魔術師「皆、最初からこんな戦は望んではいませんでした」

魔術師「元々、私達は単なる被害者なんです」

少女「……」ポロポロッ

戦士「けど、城門に行ったとしても、師匠に追い返されるぞ」

戦士「俺ら、師匠に『邪魔するな!』って、何度も怒られているんだ」

戦士「それに、師匠にとって例のハーフエルフは憎むべき相手」

戦士「昔、師匠はそのハーフエルフによって実の親父を殺されたらしく、それを今でも恨んでるらしい」

魔術師「……」

魔法使い「とりあえず、まずは隊長達と合流をしましょ」

魔法使い「今、隊長は中央広場にいるんでしょ?」

魔術師「ええ、そうです」

魔法使い「なら、早く行きましょ」

魔法使い「隊長なら、何か知ってるかもしれない」

魔術師「じゃあ、今から私が中央広場にまで道案内を致します」

魔術師「皆さん。どうか、敵の攻撃にだけは気を付けて」

戦士「おう!」

少女「……」ポロポロッ

魔術師「お嬢ちゃん。大丈夫だからね」

魔術師「私達がついているから、何も心配はしないでね」ニッコリ

少女「うん」ポロポロッ

使い魔「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある城下町・中央広場~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵6「ん?」

傭兵7「何だ?」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

傭兵隊長「おっ、来たか」

傭兵副長「そうみたいですね」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ピタタタッ、ピタタタッ……

召喚兵隊長「失礼。傭兵隊長はどこだ?」

召喚兵隊長「我々は、魔導師XX様配下の召喚兵隊!」

召喚兵隊長「魔導師XX様の命により、XXX王国傭兵隊をこれより援護する!」

召喚兵隊「それと、ハーフエルフ及び糞食らいの出現地点をお教え願いたい!」

傭兵隊長「おう。あんたらのお探しの傭兵隊長は、この俺だ!」

傭兵隊長「ハーフエルフ及び糞食らいは、各地区にバラバラとなって出現をしている!」

傭兵隊長「だが、敵は武装している上にかなり素早い!」

傭兵隊長「糞食らいについては、表面が硬くて骨がかなり折れるぞ!」

召喚兵隊長「ああ、了解した!」

傭兵隊長「……」

召喚兵隊長「全隊、ここを拠点として活動をする!」

召喚兵隊長「分隊単位で、各地区に向かえ!」

召喚兵隊長「ただし、本部要員だけはここに残れ!」

召喚兵隊長「さぁ、早く急ぐんだ!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」

傭兵達「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵隊長「……」

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵隊長「……」

傭兵副長「……」

傭兵達「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

傭兵隊長「ふぅ、ようやく行きやがった……」

傭兵副長「あれだけの数、俺だって率いた事なんてねぇよ……」

傭兵「ええ、そうですね……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

傭兵副長「隊長」ハッ

傭兵隊長「ん?」ハッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタタッ……

召喚兵隊長「……」ビシッ

召喚兵副長「……」ビシッ

召喚兵隊長「失礼。傭兵隊長とお見受けする」

召喚兵隊長「よく、無事であらせられた」

召喚兵隊長「我々が来たからには、もうこれ以上はハーフエルフ達の好きにはさせない」

召喚兵隊長「貴殿達も、どうか今は休んでてくれ」

傭兵隊長「ああ、了解した」ビシッ

傭兵副長「ご苦労様です」ビシッ

召喚兵隊長「それで、勇者の同行者三名のいどこは?」

召喚兵隊長「魔導師様からは、勇者の同行者三名も一緒に行動していると聞いているが」

召喚兵隊長「見た所、貴殿達だけの様だな」

召喚兵隊長「例の三名は、一体どこに行った?」

傭兵副長「例の三名でしたら、この辺りにいるはずです」

傭兵副長「今、我々には人手が足りません」

傭兵副長「それで、例の三名にも我々の活動に参加して貰っております」

傭兵副長「この辺りを探せば、すぐに彼らを発見する事が出来るはずですよ」

召喚兵隊長「ああ、了解した」

傭兵隊長「なら、こちらからも質問をさせてくれ」

傭兵隊長「外の様子は、一体どうなっている?」

傭兵隊長「何故か、今朝から魔法通信が全く使えない」

傭兵隊長「人によっては、転移魔法すら使えない様なのだが」

傭兵副長「……」

召喚兵副長「それでしたら、魔導師様が本日の明け方から一切の仕様を禁止しています」

召喚兵副長「その理由につきましては、城下町に潜んでいる間者対策の為」

召喚兵副長「魔導師様は、間者の逃亡及び敵同士の通信を遮断」

召喚兵副長「それで、今現在も魔法通信が使えないのです」

傭兵隊長「……」

召喚兵副長「それと、外の様子につきましては、我が軍が敵の騎兵部隊を打ち破りました」

召喚兵副長「老剣士XXX様が自ら先頭に立って我が軍の歩兵隊600名と共に、今現在も戦闘を繰り広げられております」

召喚兵副長「ですから、貴殿方もどうかご安心を」

召喚兵副長「我々がいる限り、ハーフエルフの軍勢をこれ以上城下町に入れる事はありません」

傭兵隊長「ふむ。そうか」

召喚兵隊長「傭兵隊長。他に質問はあるか?」

召喚兵隊長「もしないのなら、これで質問は打ちきりとする」

傭兵隊長「ああ、ないな」

召喚兵隊長「では、他に何かあった時はいつでも声を掛けてくれ」

召喚兵隊長「我々は、ここを拠点として事態の収集を図らせて貰う」

傭兵隊長「ああ、了解した」

召喚兵隊長「……」ビシッ

傭兵隊長「……」ビシッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

傭兵隊長「副長。どう見る?」

傭兵隊長「あの爺さん。本当に、信用出来るのか?」

傭兵副長「……」フリフリ

傭兵隊長「今の俺達は、完全に脱出不能だ」

傭兵隊長「下手したら、このまま犬死にかもしれん」

傭兵副長「……」

傭兵隊長「お前、蘇生されて早々すまなかったな」

傭兵隊長「この分だと、次は絶対にないと思う」

傭兵隊長「偶々、お前だけは蘇生出来たが、他は全て駄目」

傭兵隊長「俺の姪の話じゃ、他の奴等は蘇生自体がかなり難しかったらしい」

傭兵副長「隊長。今は、そう言う事を言っているべきではありませんよ」

傭兵副長「今の泣き言、皆に聞こえますよ」

傭兵副長「貴方がそんな風だと、皆まで不安に駆られるじゃないですか」

傭兵副長「隊長なら隊長らしく、皆の前で弱気な態度を見せてはいけません」

傭兵隊長「すまん」

傭兵達「……」

傭兵副長「とりあえず、今はハーフエルフの討伐に専念をしましょう」

傭兵副長「敵は、いつどこからか攻めてくるかが全く分かりません」

傭兵副長「隊長なら隊長らしく、皆の前では気丈に振る舞って下さい」

傭兵隊長「ああ、すまなかった」

「隊長。大通りの方から誰か来ます?」

「あれは、味方の兵でしょうか?」

傭兵副長「え?」クルッ

「いや、違うな」

「あれが、例の勇者の仲間達かもしれぬ」

「一応、警戒だけはしとけ!」

「少しでも不審な動きをしたら、皆で攻撃をするんだ!」

「はっ!」

傭兵副長「隊長」チラッ

傭兵隊長「ああ、その様だ」コクン

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

傭兵達「……」ジーーッ

召喚兵達「……」ジーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

傭兵達「……」ジーーッ

召喚兵達「……」ジーーッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタタタタッ……

魔術師「隊長。ただ今、戻りました」

魔術師「相変わらず、しぶといですね」

傭兵隊長「ああ、まあな」

傭兵副長「魔術師。ご苦労様」

傭兵副長「どうやら、例の勇者の仲間達とも一緒だったみたいだね」

傭兵副長「まずは、ここで少し休憩をしていきなさい」

傭兵副長「事態は、かなり切迫をしているみたいだから」

魔術師「はい。かしこまりました!」ビシッ

傭兵隊長「……」

傭兵達「……」

傭兵隊長「そんで、お前は何やってた?」

傭兵隊長「お前が深夜退治損なった糞食らい達が、多数各地区に現れたんだが」

魔術師「ああ、それは……」

傭兵隊長「まぁ、あれだけの数を一人でするのは無理があるな」

傭兵隊長「さすがの俺も、そこまで鬼じゃねぇよ」

傭兵隊長「まずは、自分達の体をここで休めろ」

傭兵隊長「これから、もっとヤバイ連中が出てきてるみたいだからな」

魔術師「はい。かしこまりました」

傭兵副長「そこの皆もね」

魔法使い「はい」

魔術師「では、私達は先に休憩入ります」

魔術師「何かありましたら、すぐに声を掛けて下さい」

傭兵隊長「ああ、了解した」

傭兵副長「後、水や食料等はその辺に置いてあるよ」

傭兵副長「皆、各自で現地調達をしているみたいだからね」

傭兵副長「皆も、体調の管理だけは気を付けてね」

魔術師「はい。かしこまりました!」

僧侶「お手数をお掛けします!」ペコッ

傭兵副長「いえいえ」

少女「……」ポロポロッ

~とある城・食堂~

王子「大臣。もう体は大丈夫なのか?」

王子「まだ、少し休んでいても良いのだぞ?」

国王「……」

大臣「いえ、お気遣いなく。殿下」

大臣「私は、この国の政を取り仕切る身」

大臣「つい先程は、お見苦しい所をお見せして申し訳ありません」

大臣「全ては、あの老剣士達の所為なのでございます」

王子「ほう。それで?」

国王「あの老剣士達が、一体何をしたと言うのだ?」

大臣「はっ、恐れながら申し上げます!」

大臣「老剣士XXXは、昨晩の私にとある物を飲ませました!」

大臣「そのとある物と言うのは、一時的にこの私を大いに錯乱させる為の薬!」

大臣「それを、あの老剣士XXXは魔導師XXに言われて、この私にその薬を飲ませたと言う訳です!」

王子「何?」

国王「それは、誠なのか?」

大臣「はい。これは、誠にございます!」

大臣「その証拠に、今の私はどこも悪くありませぬ!」

大臣「あの二人は、最初から我が国を利用しておりました!」

大臣「あの憎きハーフエルフの件を理由に、まんまと我が国を利用していた訳です!」

国王「大臣。そなた、本当に大丈夫なのだな?」

国王「もう二度と、あの様な失態は犯さぬのだな?」

大臣「はい」

国王「なら、そなたいつ気づいたのだ?」

国王「さすがの余も、そこまでは気づけなかったぞ」

王子「……ええ、そうですね」

大臣「ですが、もう完全に手遅れです!」

大臣「ハーフエルフの軍勢が、城下町の方にも出現致しました!」

国王「!?」

王子「なっ!?」

大臣「魔導師XXは、完全に我が国を見捨てるつもりです!」

大臣「今の魔導師XXの頭の中にあるのは、過去における復讐のみ!」

大臣「いずれ、我が国の民達は魔導師XXによって、皆殺しにされるでしょう!」

大臣「私がいなくなれば、魔導師XXは復讐の為の戦が出来る!」

大臣「そう考えた魔導師XXは、この私めに老剣士を通じて錯乱をさせる薬を飲ませました!」

大臣「その結果、我が国は魔導師XXの望む様な結果にまでなってしまったのです!」

国王「くっ……」

王子「……」ガクッ

スッ、ガチャ……

ギギィーーッ、ダン……

騎士「陛下。ご無礼つかまつる!」

騎士「ハーフエルフの軍勢が、城下町に現れました!」

騎士「それだけでなく、ダークエルフの軍勢までもがどこからかと出現!」

騎士「城下町にいる民達に、多数の死傷者が出ております!」

国王「何!?」

大臣「して、ダークエルフの軍勢の数は?」クルッ

大臣「魔導師XXは、一体何をしておる?」

騎士「!?」ハッ

大臣「そなた、何故答えぬ?」

大臣「今の私は、この通りもう大丈夫だ!」

騎士「はっ、恐れながら申し上げます!」

騎士「魔導師XXは、自ら敵の軍勢を招き入れておりました!」

騎士「老剣士XXXに関しては、今朝の段階から行方不明!」

騎士「ただし、勇者XXXの仲間は傭兵隊と協力して、民達の救護及びモンスター退治を行っている模様です!」

大臣「……」

騎士「それと、魔導師XXの所為により、転移魔法及び魔法通信が全く使えません!」

騎士「いくら、我々が魔導師XXに使用制限を解除する様に申し渡しておりますが、一切無視している模様!」

騎士「恐らく、本日の明け方に起きた大臣様の件にも関わっている可能性があります!」

騎士「このままでは、確実に我が国が持ちません!」

国王「おのれ!……」プルプル

大臣「騎士。各隊にこう伝えよ!」

大臣「魔導師XXは、完全に我らの敵となった!」

大臣「あの男、絶対に生かしてはおけぬ!」

大臣「今すぐ、魔導師XXを捕らえてここに連れてくるのだ!」

騎士「はっ!」

クルッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

国王「……」プルプル

王子「……」

大臣「……」クルッ

大臣「陛下。ご昼食の所申し訳ございませぬが、主塔にまでお移り下さい!」

大臣「このままでは、我が国はハーフエルフの軍勢によって滅ぼされてしまいます!」

大臣「ささっ、早く殿下共々主塔にまでお移り下さい!」

大臣「もう既に、敵はそこまで来ているのですからね!」

国王「……」プルプル

王子「……父上」チラッ

大臣「……」

スタタタタタッ、スタタタタタッ……

スタタタタタッ、ピタタタッ……

スッ、ストッ……

密偵「報告。魔導師XXが、召喚兵隊を城下町に移動させました」

密偵「召喚兵隊は、傭兵隊と協力してハーフエルフの討伐を行っている模様」

密偵「魔導師XXは、引き続き城門を守備」

密偵「民達の死傷者は、かなりの数に上ってきております」

大臣「うむ。そうか」

密偵「大臣様。どうなさいますか?」

密偵「老剣士XXXは、今朝から出撃をしたままの状態ですが」

密偵「それに、勇者XXXの行方は未だに分かってはおりません」

密偵「やはり、例の手紙通りに勇者XXXは女侯爵XXXXXXの手によって、もう既に捕らわれの身となっているのでしょうか?」

大臣「ああ、多分な」

王子「ささっ、父上。早く、主塔に移動致しましょう」

王子「ここにいては、いつハーフエルフの軍勢に襲われるかが、全く解りませぬ」

国王「……」プルプル

王子「密偵。少し、父上に手を貸してくれ」

王子「今の父上は、かなりお怒りの様子」

王子「とても、一人ではお歩きにはなれない」

王子「ささっ、早く大臣も手を貸してくれ」

大臣「はっ!」

密偵「しかと、承りました!」

国王「……」プルプル

~とある城下町・貧困地区~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

「うわっ、来るな!」

「誰か、誰か助けてくれ!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

スッ、ズバズバッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

闇エルフ兵長「皆、行け行け!」

闇エルフ兵長「人間共を、一人残らず殺し尽くせ!」

ズバッ、ズバズバッ……

ザクッ、ザクッ、ザクッ……

「ぐわああああ――――っ!?」

「いやああああ――――っ!?」

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

ズバッ、ズバズバッ……

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

召喚兵長「くそっ、ダークエルフめ!」

召喚兵長「総員、民達を守れ!」

召喚兵長「さぁ、早く急ぐのだ!」

召喚兵達「お――――っ!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

「くそっ、もう終わりだ……」

「俺達は、もう終わりなんだ……」

「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

「勇者の野郎、本当に何をやってんだ!?」

「てめぇの所為で、全てはこうなったんだ!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

「皆、早く逃げろ!」

「ここに居たら、ダークエルフに殺されちまう!」

「今はまだ、味方の兵達がいる!」

「だから、早く逃げるんだ!」

「ううっ、ううっ……」ポロポロッ

~とある城下町・職人地区~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

糞食らい「……」

糞食らいB「……」

糞食らいC「……」

糞食らいD「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

糞食らい「……」

糞食らいB「……」

糞食らいC「……」

糞食らいD「……」

スッ、スタッ……

キンキン、キンキン……

キンキン、キンキン……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

「かなり、酷い有り様だな……」

「そこらじゅうに、モンスターや人間の死骸が転がっている……」

「俺達、大丈夫なのか?……」

「このままだと、皆やられちまう……」

「ママ~~ッ、ママ~~ッ!」ポロポロッ

「ママ~~ッ、ママ~~ッ!」ポロポロッ

「いやああああ――――っ!」ポロポロッ

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

「ぐわああああ――――っ!?」

ズルッ、ドサッ……

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

「ぐわああああ――――っ!?」

「いやああああ――――っ!?」

ズルッ、ドサドサッ……

「ママ――――ッ!」ポロポロッ

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

「ぐわああああ――――っ!?」

ドサドサッ、ドサドサッ……

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

ドカアアアアアアアアーーーーーーーーン!

「くっ、ここは駄目だ!。早く、別の所に!」

「皆、早く逃げろ!」

「早く、逃げるんだ!」

~とある城下町・中央広場~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

ズバッ、ズバズバッ……

傭兵6「ぐわああああ――――っ!?」

ズルッ、ドサッ……

傭兵7「ぐえっ!?」

フラッ、ドサッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

傭兵隊長「くっ、くそっ!」

キンキン、キンキン……

スッ、グサッ……

傭兵8「ぐえっ!?」

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

少女「おっ、お姉ちゃん……」ポロポロッ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

キンキン、キンキン……

魔術師「……」

少女「……」ポロポロッ

キンキン、キンキン……

シュン、グサグサッ……

傭兵5「ぐああああ――――っ!?」

フラッ、バタバタバタッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

傭兵隊長「くそっ、敵が多すぎる!」

傭兵隊長「副長。魔術師達、無事か!?」

キンキン、キンキン……

傭兵副長「ええっ、なんとか!」ギリギリッ

闇エルフ兵長2「……」ギリギリッ

戦士「こっちも、無事だ!」

僧侶「……」ガクガク

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

キンキン、キンキン……

戦士「魔法使い。シールドは大丈夫か!?」

戦士「この数じゃ、いつお前達まで犠牲になるかが分からない!」

僧侶「……」ガクガク

キンキン、キンキン……

魔法使い「ええ、なんとか……」

魔法使い「でも、この状態じゃあ私達の身の安全も保障出来ない……」ガクガク

少女「……」ポロポロッ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スッ、ズバッ……

傭兵9「ぐああああっ!?」

ズバッ、ズバッ……

傭兵10「ぐええええっ!?」

ドサドサッ、ドサドサッ……

傭兵隊長「くっ……」

魔術師「……」ガクガク

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

傭兵副長「隊長。なんとかして下さい!」

傭兵副長「このままだと、全滅です!」

キンキン、ギリギリッ……

傭兵副長「隊長。早くなんとかして下さいよ!」

傭兵副長「このままだと、確実に全滅です!」

傭兵隊長「うるせぇ――――っ!」イラッ

キンキン、キンキン……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

少女「お姉ちゃん。どうするの?……」

少女「私達、このまま死んじゃうの?……」ポロポロッ

魔術師「……」ガクガク

キンキン、キンキン……

少女「やっぱり、皆ここで死んじゃうんだ……」

少女「もうこれ以上は、私達逃げられないんだね……」ポロポロッ

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

シュン、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ズドドドドドドドーーーーーーーーン……

魔術師「!?」ビクッ

僧侶「きゃあっ!?」ビクッ

バリンバリンバリン、バリンバリンバリン……

魔法使い「あっ……」ガクガク

魔術師「シッ、シールドが!?」ガクガク

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

召喚兵1「ぐわっ!?」ドゴッ

召喚兵2「ぐえっ!?」ドゴッ

召喚兵隊長「ぐううっ!?」ドゴッ

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

闇エルフ兵長2「ちょっ、危ないだろ!?」

闇エルフ兵長3「今、射ったん誰だ?」

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

召喚兵3「!?」ドゴッ

召喚兵4「げっ!?」ドゴッ

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

闇エルフ兵長2「おわっ!?」ドゴッ

闇エルフ兵長3「うおっ!?」ドゴッ

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

魔術師「はぁ、はぁ、はぁ……」スチャ

魔法使い「まっ、魔術師さん。大丈夫?……」

魔法使い「今の技、一体何?……」ガクガク

魔術師「……」ウルッ

僧侶「今の、結構凄かったですよね?……」

僧侶「さりげなく、何名かは味方を巻き込んでましたが……」

魔術師「……」ガクガク

スッ、ストン……

少女「今の、確かお姉ちゃんが得意な魔法攻撃だよね?……」

少女「あれに当たったら、一定時間は動けないんだよ……」ポロポロッ

魔法使い「そう。そうなの……」ガクガク

僧侶「魔術師さん。意外に強かったんだ……」ガクガク

傭兵11「なっ、副長!?」

傭兵11「しっかりして下さい! 副長!」

傭兵副長「……」ピクピクッ

魔術師「……え?」ウルウルッ

傭兵11「魔術師。早く応急処置を!?」

傭兵11「このままだと、副長が危ない!」アセアセッ

魔術師「いやああああああああ――――――――っ!?」ブワッ

ブォーーーーーーーーン……

魔術師以外「!?」ビクッ

ズザーーーーーーーーッ……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

闇エルフ兵「ぐっ!?」ドゴッ

闇エルフ兵2「ぐえっ!?」ドゴッ

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

シュンシュンシュンシュン、シュンシュンシュンシュン……

闇エルフ兵3「ぐっ!?」ドゴッ

闇エルフ兵4「ぐえっ!?」ドゴッ

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

バタバタバタッ、バタバタバタッ……

魔術師「皆、今の内に逃げて!」

魔術師「ここにいたら、皆殺されちゃう!」

魔術師「だから、早く逃げて――――っ!」ポロポロッ

魔法使い「え? でも……」ガクガク

僧侶「一体、どうやって?……」ガクガク

魔術師「とりあえず、どこでも良い!」

魔術師「ここ以外の場所で、早く逃げて――――っ!」ポロポロッ

魔法使い「ええ、了解したわ……」ガクガク

僧侶「か、かしこまりました……」ガクガク

闇エルフ兵達「……」ピクピクッ

~とある城下町・城壁の上~

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スッ、カチャカチャ……

カチャカチャ、カチャカチャ……

魔導師「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スッ、カチャカチャ……

カチャカチャ、カチャカチャ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

スチャ、スラララァン……

半エルフ兵達「……」ジリジリ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

半エルフ兵達「……」ジリジリ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

半エルフ兵「ん? 誰もいない……」

半エルフ兵「ここは、確か魔導師XXが守備しているのではなかったのか?……」

半エルフ兵2「……」キョロキョロ

魔導師「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

半エルフ兵2「とりあえず、門を開けよう!」

半エルフ兵2「皆、早く門を開けるんだ!」

半エルフ兵「おう!」

魔導師「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師(ふぅ、行ったか……)

魔導師(まさか、ここまで早かったとは……)

魔導師(今はなんとか、一時的に姿隠しは出来ている……)

魔導師(ここは、そろそろ退いた方が良いな……)

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師「……」スッ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師「……」ブツブツ

魔導師「……」ブツブツ

魔導師「……」ブツブツ

魔導師「はっ!」ボワッ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師(これで、転移魔法は使える)

魔導師(後は、転移魔法を唱えるだけか)

魔導師(それにしても、あ奴等が攻城兵器を持ち込まなくて運が良かった)

魔導師(まぁ、あ奴等が梯子を持ってくるのは予想できてたが)

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

魔導師(とりあえず、ここを離脱するぞ)

魔導師(ここに居ては、いつ狙われるかが分かったものじゃない)

魔導師(皆、精々頑張っておくれ)

魔導師(俺は今から、安全な場所に避難するからな)ニヤリ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、スタタタッ……

ガチャ、ギギィーーーーッ……

ギギィーーーーッ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

「門が開いたぞ――――っ!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

「よしっ、行け行け!」

「行け行け!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

「この町は、もう落ちたも同然だ!」

「皆、行け行け行け――――っ!」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」スッ

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ダダダダダダッ、ダダダダダダッ……

ワーーッ、ワーーッ、ワーーッ……

魔導師「……」

魔導師「……」

スッ、ヌポッ……

スッ、コトッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

プシューーーーッ、プシューーーーッ……

シューーーーーーーーッ、シュン……

~とある城・食堂~

国王「なっ、何のつもりだ?……」

国王「そなた、もう大事ないのではなかったのか?……」ガクガク

王子「ちっ、父上……」ポタポタッ

密偵「ううっ、ぐっ……」ポタポタッ

騎士「……」

国王「そなた、一体どう言うつもりなのだ?……」

国王「余の知っているそなた達は、絶対にこの様な事はせぬ……」ガクガク

騎士達「……」ジリジリ

兵士達「……」ジリジリ

国王「一体、何がどうなっておる?……」

国王「何故、そなたが余に反旗を翻す?……」

国王「まさか、そなたまだ血迷ったままなのか?……」

国王「それで、今のそなたはこうして余に反旗を翻しておるのだな?……」ガクガク

大臣「はい」ニッコリ

国王「くっ……」

王子「大臣。そなた、なんて事を……」

王子「そなた、それでもこの国の政を取り仕切る大臣か?……」

王子「一体、何故そなた程の人物が反旗を翻す?……」

王子「まさか、あのハーフエルフにたぶらかされておったのか?……」ポタポタッ

大臣「その様子だと、まだお気づきになられないみたいですね」

大臣「今の私は、あなた方がご存じの大臣ではございませぬ」

大臣「この城の中にいる兵士や身の回りを世話している者達もまたこの私の配下」

大臣「本物の大臣なら、ここの地下牢にて朽ち果てております」

大臣「私、実は本日の明け方より入れ替わっておりました」

大臣「まぁ、この城の中で身の回りの世話をする者達の方は、それよりも以前に入れ替わっていたのですけどね」ニコニコ

国王「!?」ガクガク

王子「なん……だと……!?」ポタポタッ

密偵「……」ガクッ

騎士達「……」ジリジリ

王子「なら、そなた何者じゃ?……」

王子「まさか、そなたが例のハーフエルフなのか?……」

王子「頼む、どうかこの私だけでも助けてはくれ……」

王子「私は、そなたが言う過去のエルフ達の件には関わっていない……」ポタポタッ

国王「……」ガクガク

大臣「残念ですが、ここで殿下にも死んで貰います!」

大臣「あなたが生きていれば、いずれ再び私達エルフにも害をなすやもしれません!」

大臣「ですから、どうか安らかに!」

大臣「今から、あなたも大臣達の元に連れてってさしあげますから!」ニコニコ

王子「くっ……」ポタポタッ

大臣「総員、このままトドメを刺せ!」

大臣「さぁ、早く仕留めるのだ!」

騎士達「はっ!」

国王「……」ガクガク

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

スッ、スチャ……

スッ、グサッ……

王子「ぐあっ!?」ポタポタッ

王子「ぐあっ!?」モジモジッ

スッ、ズボッ……

王子「ううっ、ぐうっ……」

王子「ぐあっ、ぐううっ……」ポタポタッ

国王「おっ、王子……」ガクガク

スッ、スチャ……

スッ、グサッ……

国王「ぐあっ!?」

グサッ、グサッ……

国王「ぐおおおお~~~~っ!?」ポタポタッ

王子「……」ガクッ

スッ、ズボッ……

ポタポタッ、ポタポタッ……

国王「はぁ、はぁ、はぁ……」

国王「はぁ、はぁ、はぁ……」

騎士達「……」

国王「はぁ、はぁ、はぁ……」

国王「はぁ、はぁ、はぁ……」

国王「ぐううっ……」

国王「……」ガクッ

スチャ、カシャカシャカシャン……

スッ、ストッ……

スッ……

国王「……」

騎士「……」

スッ、ムクッ……

クルッ、ビシッ……

騎士「隊長。対象者全員の死亡確認!」

騎士「後は、ダークエルフ及びハーフエルフからの合図を待つだけです!」

大臣「うむ。ご苦労」

スッ、ベリッ……

偵察隊長「皆、ご苦労だった!」

偵察隊長「これで、この国は我が軍の前に陥落をした!」

偵察隊長「総員、速やかに擬態を解除せよ!」

偵察隊長「これより、撤収作業に入る!」

騎士達「はっ!」

スッ、ベリベリベリッ……

ベリベリベリッ、ベリベリベリッ……

偵察士官「……」

偵察下士官「……」

偵察兵達「……」

偵察隊長「よしっ、皆、擬態を解除したな?」

偵察隊長「これより、撤収作業を開始する!」

偵察隊長「偵察士官、今からここの旗を下ろせ!」

偵察隊長「この城の旗を下ろし、我がエルフの里の旗を掲げるのだ!」

偵察士官「はっ!」ビシッ

偵察隊長「後、他の皆はそもまま撤収用意!」

偵察隊長「ここに、友軍が入り易いように障害を撤去せよ!」

偵察隊長「まだ、城下町の中では友軍が戦っている!」

偵察隊長「一刻も早く、友軍達の為にも速やかに取り掛かるのだ!」

偵察兵達「はっ!」ビシッ

~外来用病院・病室~

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」パチッ

勇者「……」シャキン

スッ、ムクッ……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

キョロキョロ、キョロキョロ……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「あれ? 巨大猫は?」

スッ、パサッ……

パサパサッ、パサパサッ……

パサパサッ、パサパサッ……

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……あれ、いない?」

スッ、パサッ……

勇者「……」キョロキョロ

勇者「……」キョロキョロ

勇者「あいつ、どこに行った?」キョトン

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

スッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スッ、ガチャ……

勇者「……」ヌッ

キョロキョロ、キョロキョロ……

「おやっ、どうかしたのかい?」

勇者「ああ、すみません。俺と一緒にいた巨大猫を知りませんか?」

勇者「あいつ、今いないみたいなんです」

勇者「どこか、あいつが行きそうな場所は知りませんか?」

勇者「あいつなしじゃ、ろくに誰かと会話が出来ないんで」

「ああ、知ってるよ」

「確か、ここの城門に用があるみたいわね」

勇者「ああ、そうなんですか」

「とりあえず、君は何も心配はしなくて良いよ」

「彼女、すぐに用事済ませてくるみたいだから」

勇者「はい。分かりました」

スッ、バタン……

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

クルッ、ストッ……

勇者「あいつ、一体どこに用事があるんだ?」

勇者「まさか、このまま自分だけ逃げると言う腹積もりなのか?」

スッ、ゴクゴクゴクッ……

勇者「いや、あいつの事だから、それだけはあり得ない」

勇者「だったら、最初からついてきたりはしないからな」

スッ、コトッ……

勇者(しかし、今日は割りとよく眠ったな……)

勇者(大体、もう昼過ぎくらいか?……)

勇者(あっ、そう言えば師匠達は無事だろうか?……)

勇者(師匠の事だから、割りと大丈夫だと思うんだけど……)

スッ、ポリポリッ……

勇者(まぁ、魔導師様か一緒なんだし、多分大丈夫だろうな……)

勇者(あの人、確か万単位の召喚兵とか言うのを呼び出せたはず……)

勇者(さてっ、ここで食事を済ませてすぐ、俺も支度するとするか……)

勇者(ここの連中、まだ俺の目的には気づいてはいない様だからな……)

ポリポリッ、ポリポリッ……

勇者(ん? 何だこの紙?……)

勇者(これ、もしかしたら巨大猫が残していったのか?……)

勇者(ええっと、何々『少し、所用が出来たので出掛けてくる!』)

勇者(『そなたが寝坊している間に、XXX王国はエルフ達の手によって攻められてしまった!』)

勇者(『それが原因で、XXX王国はもう既に滅亡寸前!』)

勇者(『だから、後で覚悟しておけ!』)

勇者「……」

勇者「……」

勇者「うっ、嘘だろ?……」

勇者「誰か、嘘だと言ってくれ……」

トントン、トントン……

スッ、ガチャ……

エルフ看護師長「失礼します」

エルフ看護師長「勇者様、お体の具合は如何ですか?」

エルフ看護師長「私、こう見えても人間の言語も話せますので」ニッコリ

勇者「……」プルプル

エルフ医師「あれ? どうかしたの?」

エルフ医師「なんか、君の顔が真っ青だよ」

エルフ看護師長「勇者様?」

勇者「……」プルプル

スッ、ストッ……

フラッ、バタッ……

勇者「……」プルプル

勇者「……」プルプル

エルフ看護師長「先生。また、勇者様の食事に何か盛りましたか?」

エルフ看護師長「勇者様、また体調が悪くなられたみたいですよ」

エルフ医師「いや、何もしてないけど」

エルフ看護師長「とりあえず、勇者様の診察をお願い致します」

エルフ看護師長「じゃないと、またあの口煩いケット・シーからクレームが入りますからね」ハァ

エルフ医師「うん。了解した」

巨大猫は、無我夢中で走った。

偶々、XXX王国に用事があって出掛けるエルフ女侯爵と共に。

その日の夕方、ようやくXXX王国に到着した巨大猫の目に映ったのは、夥しい程の数の人間達の死体。

その死体の山の中に、巨大猫の見知った顔が多数あり、巨大猫は深い悲しみに暮れていく。

その後、巨大猫は勇者をここに連れてくる様に懇願した。

それをエルフ女侯爵は聞き入れ、勇者をXXX王国へと移送する。

その日の夜、勇者はエルフ女侯爵に連れられ、XXX王国にまで到着。

そこで、XXX王国の悲惨な惨状を目の当たりにし、勇者は今の自分自身の無力さについてを激しく痛感したのだった。

~とある教会・聖堂~

その日の夕方――

戦士の死体「……」

僧侶の死体「……」

魔法使いの死体「……」

魔術師の死体「……」

少女の死体「……」

使い魔の死体「……」

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「……」

傭兵隊長の死体「……」

傭兵副長の死体「……」

魔導師の死体「……」

老剣士の死体「……」

傭兵達の死体「……」

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「……」クルッ、ギロッ

巨大猫「……」ジーーッ

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「そなた、よくもやってくれたな……」

巨大猫「何故、そなたは妾の忠告を無視したのじゃ?……」

巨大猫「そなたが、偏った考えさえ持たなければ、こんな事にならなかったぞ……」

巨大猫「一体、何故そなたはここまでする?……」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」

巨大猫「それに、この人間達の死体の山の中には、妾と常日頃から親しくしていた者達が多い……」

巨大猫「皆、昔から妾とは親しい仲じゃった……」

巨大猫「この落とし前、今のそなたはどう着けるつもりなのじゃ?……」

巨大猫「事と次第によっては、たとえそれが今のそなたとて妾は容赦せぬぞ!……」キリギリッ

エルフ女侯爵「……」

エルフ女侯爵「別に、どうって事ないじゃない?」

エルフ女侯爵「少しくらい、人間を虐殺したとしても何の問題もないわ!」ニッコリ

巨大猫「何?」ギリギリッ

エルフ女侯爵「所詮、人間なんて私達の敵ではない!」

エルフ女侯爵「日頃の行いが悪いから、こんな目に遭うのよ!」ニコニコ

巨大猫「何じゃと?」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

巨大猫「そなた、今の本気なのか?……」

巨大猫「いくら何でも、それは冗談では済まされぬぞ!……」

巨大猫「そなたのした事は、ただの一方的な虐殺じゃ!」

巨大猫「これは、もう明らかに度が過ぎておる!」ギリギリッ

巨大猫「XXXXXX。もう、この辺りで無駄な殺生を止めよ!」

巨大猫「今のそなたには、何の大義もない!」

巨大猫「今の妾は、心底怒りに震えておる!」

巨大猫「もうこれ以上、偏った思想や野心等を捨てよ!」ギリギリッ

エルフ女侯爵「そう。それで?」ニコニコ

巨大猫「だから、もうこの辺で止めよ!」

巨大猫「今の妾は、必死に理性を働かせておる!」

巨大猫「一体、いつからその様な偏った思想等を持ってしまったのじゃ?」

巨大猫「妾と初めて会った時には、その様な思想等は持っていなかったはずじゃ!」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

「たとえ、この場でいくら私が言い訳をしようが、その事実は消えないわ!」

「所詮、人間なんて私達の敵ではない!」

「今まで、私達エルフは大目に見てきたのよ!」

「なのに、人間達は私達エルフに残虐な事をした!」

「だから、これまでの復讐等を実際にやってて何が悪いの?」

「今のあんたは、ただただ少し人間よりになっているから、そんな事を言えているだけ!」

「本当に、人間なんて私達エルフが助ける価値すらない!」

「それがようやく私にも解ったんだから、別にもう良くないかしら?」

エルフ女侯爵「ええ、そうね!」ニコニコ

巨大猫「!?」ハッ

スッ、スタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ魔女「お母様。お疲れ様」

エルフ魔女「ここ最近、ストレスばっか溜まってたみたいだけど、綺麗に吹き飛んだかしら?」ニッコリ

エルフ女侯爵「ええ、まあね」ニコニコ

巨大猫「……」ビクッ

エルフ魔女「あら? 巨大猫もここに来てたの?」

エルフ魔女「やっぱり、ここの人間達が心配になって、わざわざここまで来ていたのかしら?」

エルフ女侯爵「ええ、まあね」ニコニコ

巨大猫「……」シュン

エルフ女侯爵「それで、次はどうするの?」

エルフ女侯爵「私、そろそろ帰ってゆっくりとしたいんだけど」ニコニコ

エルフ魔女「うん。良いけど」

エルフ女侯爵「なら、今ここにいる巨大猫も連れ帰らないとね」

エルフ女侯爵「この子、今日からはただの野良猫みたいだし」

エルフ女侯爵「あんたが良ければ、この子をペットにしてあげるわよ」

エルフ女侯爵「ここ最近、あんた鹿とか沢山仕入れてるし」

エルフ女侯爵「このまま、ウチでこの子の事を引き取っちゃおうかしら?」ニコニコ

エルフ魔女「うん。それ良いね」ニッコリ

巨大猫「!?」ビクッ

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタタッ……

偵察隊長「報告。城の障害物及び死体の搬出を完了!」

偵察隊長「今現在、城下町に生存者はなし!」

偵察隊長「我が軍の損害は、ハーフエルフの部隊を除き軽微!」

偵察隊長「その大半が、XXX平原での落とし穴によるものが多数を占めております!」

エルフ女侯爵「そう。ご苦労様」

エルフ魔女「意外に、ハーフエルフの方に被害が出たわね」

エルフ魔女「まぁ、後で皆がエルフに転生出来るんだから、別に構わないけど」

エルフ女侯爵「ええ、そうね」

偵察隊長「後、こちらの死体はどう致しますか?」

偵察隊長「つい先程から、ずっとここに放置されていますが」

エルフ女侯爵「ええ、ちょっと待ってね」チラッ

エルフ魔女「……」コクン

エルフ女侯爵「とりあえず、勇者の仲間達の死体は後で蘇生しといて」

エルフ女侯爵「他の人間達の死体は、そのまま焼き討ちにしても構わないから」

偵察隊長「はっ!」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「巨大猫。あんたは私達と共に来なさい」

エルフ女侯爵「今後は、私達の方であんたの事を世話してあげる」

エルフ女侯爵「娘。それで良いわね?」

エルフ女侯爵「今のあんた、この子の事を本当に欲しそうな顔をしてるから」ニッコリ

エルフ魔女「うん。ありがとう!」ニコニコ

巨大猫「……」

エルフ魔女「けど、この子ついさっきから元気ないわね?」

エルフ魔女「何か、一段とまた老けた様な顔をしてしまってるわよ」

エルフ女侯爵「あら? そうね」

巨大猫「……」

エルフ魔女「やっぱり、今の私なんかよりは元の飼い主の方が良い?」

エルフ魔女「本当の所は、あの魔術師さん達と一緒に暮らしていきたいとそう思ってるの?」

巨大猫「……」

エルフ魔女「なら、特別にあそこで死んでる魔術師さん達の事を蘇生させてあげる」

エルフ魔女「その代わり、私達の出す条件を飲んでほしいのよね」

巨大猫「……何じゃと?」

エルフ魔女「……何か文句ある?」ニッコリ

巨大猫「……」

エルフ女侯爵「とりあえず、あんた他にリクエストとかある?」

エルフ女侯爵「今なら、特別に聞いてあげても良いんだけど」

巨大猫「なら、勇者をここに呼んでくれ……」

巨大猫「出来れば、本日中にじゃ……」

エルフ女侯爵「ええ、了解したわ」

エルフ魔女「良かったわね」ニコニコ

巨大猫「……」

エルフ魔女「お母様。ちょっと、悪いんだけど今から頼める?」

エルフ魔女「その間、私がここの指揮を執るわ」

エルフ女侯爵「ええ、構わないけど」

エルフ魔女「後、そこの魔術師さん達の死体を例のマンボウと出会った田舎町に送るね」

エルフ魔女「あそこなら、すぐにでも預かって貰えるから」

エルフ女侯爵「そう。それじゃあ、私はまた行ってくるわ」

エルフ女侯爵「多分、次は夜くらいになると思うけど」

エルフ女侯爵「あんた、一応私の娘なんだから気を付けなさいよね」

エルフ女侯爵「今のあんた、昔と比べてまだ子供のままなんだから」

エルフ魔女「ええ、大丈夫よ」

エルフ女侯爵「あんた、くれぐれも無茶だけは止めなさいね」

エルフ女侯爵「今のあんた、結構人間達からは恨まれているんだから」

エルフ女侯爵「まぁ、今の私自身も少しくらいは楽しんでるけどね」

エルフ女侯爵「ここ最近、やけにあんたの機嫌とか良いし」

エルフ女侯爵「だから、あんたも人間達に襲われない様に注意しなさいよね」ニッコリ

エルフ魔女「うん。分かった」

エルフ魔女「お母様の忠告、ちゃんと聞いてあげといてあげる」

エルフ魔女「お母様。くれぐれも道中は気を付けてね」

エルフ魔女「まだ、どこかに生存者とかがいるかもしれないし」

エルフ魔女「お母様に何かあったら、すぐに私が蘇生させてあげるからね」

エルフ女侯爵「そう。それじゃあね」ニッコリ

エルフ魔女「うん。行ってらっしゃい」ニッコリ

巨大猫「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ魔女「さてっ、私もまだ少しやらないとね」

エルフ魔女「今のあんた、まだここに残っとく?」チラッ

巨大猫「……誰に聞いておるのじゃ?」

エルフ魔女「私、今のあんたに質問をしてるの」

エルフ魔女「あんた、私の正体はもう気づいているのよね?」

巨大猫「……」コクン

エルフ魔女「なら、今のあんたはそれを黙ってて!」

エルフ魔女「私、まだまだ今後も人間達に逆襲をするつもりだから!」

エルフ魔女「後、私達エルフの事を悪く言うのだけは止めて!」

エルフ魔女「そうじゃなき、私達エルフはどんどん人間達の事を駆逐していくから!」ニッコリ

巨大猫「ああ、了解した……」

従者A「お嬢様。この死体の山、どうされますか?」

従者A「つい先程から、ずっとここに放置されていますが」

従者A「このままだと、腐敗する一方ですよ」

従者A「早く、これも焼き捨てた方が良いと思いますが」

巨大猫「……」

エルフ魔女「ああ、それは後で蘇生させる奴よ」

エルフ魔女「適当に、若い男女の死体だけは蘇生魔法を掛けといて」

従者A「え? 宜しいのですか?」

エルフ魔女「うん。良いのよ」

エルフ魔女「それが終わったら、ついこの間私がマンボウを見つけた田舎町に転送するから」

エルフ魔女「だから、それまでの間はここに置いといてね」

エルフ魔女「そうしないと、今私の隣にいる巨大猫が納得をしないから」

エルフ魔女「特に、そこの爺さん達二人の死体は念入りに焼いといてね」

エルフ魔女「今そこで倒れてる若い男女五人の死体に掛け終わったら、私がその死体の山を別の地点に移動させるから」

従者A「はい。かしこまりました!」

巨大猫「……」

エルフ魔女「……」

スッ、スチャ……

スッ、ゴクゴクゴクッ……

エルフ魔女「ふぅ……」

巨大猫「そなた、まだ力はあるのか?……」

巨大猫「まだ、そなたの野心は衰えてはおらぬのか?……」

エルフ魔女「ええ、そうよ」

巨大猫「なら、あの時に出会ったのはそなたの方か?……」

巨大猫「それとも、そなたの母親の方なのか?……」

エルフ魔女「さぁ、どっちだったかしら?」

スッ、キュルキュル……

エルフ魔女「とりあえず、あんた今日どうする?」

エルフ魔女「あんたの普段から使ってる寝床、まだ無事みたいよ」

巨大猫「おおっ、そうなのか……」ゴシコシッ

エルフ魔女「まぁ、あんたはお母様が勇者をここに連れてくるまでは、のんびりとしてなさい」

エルフ魔女「転移魔法を使えば、一気にエルフの里まで行けるから」

巨大猫「うむ。そうか……」ゴシコシッ

エルフ魔女「後、あんたの今日の夕食は沢山のニシンね」

エルフ魔女「まぁ、今のあんたはかなり大きいから沢山のお魚を出してあげる」

エルフ魔女「だから、あんたはここで大人しくしててね」

エルフ魔女「私の事、そんなに怖がらなくても大丈夫だから」ニッコリ

巨大猫「ああ、了解した……」ゴシコシッ

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

すいません

~エルフの里・城門~

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

ヒュルヒュルヒュルヒュル、ヒュルヒュルヒュルヒュル……

スッ、スタッ……

エルフ女侯爵「……」

エルフ女侯爵「……」

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ザッザッザッ、ザッザッザッ……

ピタタッ……

警備兵達「……」ビシッ

警備士官「お疲れ様です。女侯爵」

警備士官「ご命令通り、勇者の身柄を拘束致しました」

エルフ女侯爵「そう。ご苦労様」

勇者「……」ギロッ

警備士官「しかし、本当に宜しいのですか?」

警備士官「勇者XXXは、昨日から我が里では保護下に置かれていたはずなのですが」

エルフ女侯爵「ええ、良いのよ!」

エルフ女侯爵「こいつ、XXX王国に依頼されて私達の事を始末しに来てたみたいだから!」ニッコリ

警備士官「何ですって!?」

勇者「くっ……」ガクッ

警備士官「女侯爵。それは事実なのですか?」

警備士官「でしたら、何故この者を保護されたのですか?」

警備士官「このままでは、女侯爵の責任問題にまで発展致します!」

警備士官「さすがに、今回ばかりはかなり危ないのでは?」

エルフ女侯爵「は?」ギロッ

警備士官「……」ビクッ

警備兵達「……」ビクッ

勇者「……」ビクッ

エルフ女侯爵「いや、それについては大丈夫よ!」

エルフ女侯爵「私、これについてはもう許可取ってんだから!」

エルフ女侯爵「こいつには、これからXXX王国がどうなったかについてを見て貰うわ!」

エルフ女侯爵「昨日、私がこいつを保護したのは、最初からそれが目的だったのよ!」

エルフ女侯爵「こいつ、聞く所によるとかなり評判が悪いみたいだからね!」

エルフ女侯爵「だから、私が更にこいつの評判をとことん落としてやりたかったのよ!」

エルフ女侯爵「遥か昔、こいつの父親の所為で私は酷い目に遭った!」

エルフ女侯爵「だから、こいつの父親同様にこいつの事も叩き潰してやろうと思ってた訳!」

警備士官「しっ、失礼致しました……」

警備士官「何分、急な話だったので……」

エルフ女侯爵「分かれば良いわ」

警備兵達「ほっ……」

警備士官「でしたら、このまま勇者の事を移送致しますか?」

警備士官「今からだと、さすがに夜になってしまいますが」

勇者「……」ムクッ

エルフ女侯爵「こいつの移送は、この私がやるから!」

エルフ女侯爵「あんた達は、もう持ち場に戻りなさい!」

警備士官「はっ!」ビシッ

警備兵達「……」ビシッ

勇者「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

エルフ女侯爵「さて、今から私があんたの事を移送するわ」

エルフ女侯爵「何か、質問とかある?」

勇者「……」ギロッ

エルフ女侯爵「その様子だと、あんたあるみたいね」

エルフ女侯爵「まぁ、良いわ。早く、質問があるのなら言ってみなさい」ニッコリ

勇者「……」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

勇者「……」ギリギリッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

警備兵達「……」ジーーッ

勇者「お前、俺をどうするつもりだ?」

勇者「もう既に、XXX王国を攻め滅ぼした後なのか?」ギリギリッ

エルフ女侯爵「ええ、そうよ」

勇者「なら、一緒にいた俺の仲間達は?」

勇者「まさか、あいつらもあの場で殺したのか?」ギリギリッ

エルフ女侯爵「ええ、そうよ」ニコニコ

勇者「くっ……」ガクッ

エルフ女侯爵「……」ニコニコ

勇者「お前、本当に最悪だよ……」

勇者「どうして、お前みたいな奴がまだこの世にいるんだ?……」

エルフ女侯爵「私はただ、仲間達の敵を討っただけよ!」

エルフ女侯爵「何か、文句ある?」

勇者「……」ムクッ、ギロッ

エルフ女侯爵「それに、人間なんて私達の敵じゃないわ!」

エルフ女侯爵「たとえ、見事に魔王を討ち取ったあんたでもね!」

勇者「……」ギリギリッ

エルフ女侯爵「とりあえず、そろそろ行きましょうか?」

エルフ女侯爵「向こうでは、もう既に巨大猫が待っているみたいだし」

勇者「何!?」

シュピン……

エルフ女侯爵「ん? あの年増女から通信?」

エルフ女侯爵「今から、ちょっと来てほしいって……」

エルフ女侯爵「私、早く帰ってゆっくりしたいのに……」

エルフ女侯爵「全く、何考えてんだか……」イラッ

勇者「……」

エルフ女侯爵「警備士官。ちょっと来て!」

エルフ女侯爵「こいつ、また暫くの間見ててくれない?」

警備士官「ええ、構いませんが!」

エルフ女侯爵「何か、あの年増女が今から来いって!」

エルフ女侯爵「本当に、相変わらず人使いが荒いんだから!」イライラッ

勇者「お前、呼び出しでもくらったのか?」

勇者「まぁ、その性格と言動じゃあ上に目を付けられても無理はないだろう!」

勇者「噂に聞く通りに、お前は人として問題があるな!」

勇者「まぁ、そんな性格とかしてるから、誰からも恨みを買う事になるんじゃないか!」

エルフ女侯爵「あ?」ギロッ

勇者「!?」ビクッ

警備士官「げっ!?」ビクッ

エルフ女侯爵「警備士官。早く来なさい!」

エルフ女侯爵「早く来ないと、こいつ八つ裂きにしてしまうわよ!」イライラッ

警備士官「はっ、はい!」ダッ

ザザザザザザッ、ザザザザザザッ……

ザザザザザザッ、ザザザザザザッ……

ピタタタタタッ、ピタタタタタッ……

警備士官「……」

警備兵達「……」

エルフ女侯爵「あんた達、私がここに戻ってくるまでここで見てて!」

エルフ女侯爵「そうじゃなきゃ、あんた達の事も八つ裂きにしてしまうから!」

警備士官「はっ!」ビシッ

警備兵達「……」ビシッ

勇者「……」

エルフ女侯爵「後、こいつの持っていた装備類とかは、まだ渡さないで!」

エルフ女侯爵「いつ、どこで何があるかが分からない!」

エルフ女侯爵「私が良いって言うまでは、こいつにだけは渡しちゃダメよ!」

エルフ女侯爵「こいつは、私達エルフの事を殺害しに来た極悪人!」

エルフ女侯爵「だから、死なない程度に痛め付けておきなさい!」

エルフ女侯爵「それじゃあ!」イライラッ

警備士官「はっ!」ビシッ

警備兵達「……」

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

警備士官「よしっ、お前ら勇者を囲め!」

警備士官「女侯爵からの命令通りに、死なない程度まで痛め付けろ!」

警備士官「まずは、第一分隊から順番にやって行け!」

警備士官「これは、命令だ!」

警備兵達「はっ!」

勇者「……」

スッ、ガチャ……

ギギィーーーーッ、ギギィーーーーッ……

ダン、カシャン……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

~とある城下町・教会前~

半エルフ下士官A「おいっ、これで満杯だ!」

半エルフ下士官A「次の荷馬車を寄越してくれ!」

半エルフ下士官B「あいよ!」

スッ、パン……

荷馬車「ヒヒィーーーーン!」

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

半エルフ下士官A「隊長。これどうしますか?」

半エルフ下士官A「さすがに、これは荷馬車に載せれませんよ」

半エルフ士官A「ああ、そうだな」

糞食らいE「……」

半エルフ士官A「この糞食らいは、後で魔法が使える奴等に頼もう」

半エルフ士官A「じゃないと、俺達だけじゃとても運べねぇよ」

半エルフ下士官A「はっ!」

糞食らいE「……」

クルッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

半エルフ下士官B「隊長。別の荷馬車がこっちに来ます」

半エルフ下士官B「ですが、向こうも満杯の様ですね」

半エルフ士官A「ああ、そうなのか」

半エルフ下士官A「とりあえず、今さっき出た荷馬車が戻ってくるのを待ちましょう」

半エルフ下士官A「それまでは、少し作業が中断してしまいますがね」

半エルフ士官A「ああ、そうだな」

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

パカパカパカッ、ガラガラガラッ……

スタスタスタッ、スタスタスタッ……

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ魔女「ちょっと、士官Aいる?」

エルフ魔女「もしくは、士官Bでも良いわ」

エルフ魔女「少し、お願いがあるんだけど!」

エルフ魔女「今手が空いているのなら、こっちに来て!」

半エルフ士官A「はっ、何でしょうか?」クルッ

半エルフ士官B「いらしてたのですか?」クルッ

エルフ魔女「ええ、まあね」ニッコリ

スタスタスタッ、ピタッ……

エルフ魔女「久し振りね。二人とも」

エルフ魔女「すっかり、もう士官として板についちゃって」

エルフ魔女「ここの人間達の死体、今どこに運ばれてるの?」

エルフ魔女「もしかして、XXX平原に出来た落とし穴の中にでも落としてたのかしら?」ニコニコ

半エルフ士官A「はい。その通りです」

半エルフ士官B「もう既に、味方の死体の回収作業は終えましたので」

エルフ魔女「そう。ご苦労様」

エルフ魔女「後は、勇者の到着を待つだけね」ニコニコ

半エルフ下士官達「……」ハッ

半エルフ下士官達「……」ビシッ

エルフ魔女「二人とも、今から夜間作業の準備を」

エルフ魔女「城下町中に、ウチで使ってる松明を配置していってくれる?」

エルフ魔女「今、城下町で作業を行っているのはハーフエルフなのよね?」

エルフ魔女「夜間には勇者がここに来るし、そろそろ冷えてくるから用意してほしいの」

半エルフ士官A「はっ、了解しました!」ビシッ

半エルフ士官B「すぐに、用意致します!」

エルフ魔女「そう。お願いね」

エルフ魔女「それじゃあ!」ニコニコ

クルッ、ス