真「AKB48……ですか?」(173)

いち

真「ふぅ―――それにしても、疲れたなあ……」

響「……真、今日はちょっと、頑張り過ぎだったんじゃないか?」

真「ええー?……そ、そういう響だってさあ、いつもより張り切ってなかった?」

響「うぐっ……ひ、否定はしないさー……。でも、やっぱり仕方ないじゃないかぁ……」

真「……うん、そうだね」

響「…………」

真「…………」

真・響「「どんな風にプロデュースしてくれるんだろう……」」

真「……やっぱそこだよねー!」

響「なー!」

真「……」

響「……」

真・響「「楽しみだなあ」」ポワワーン



?「……?」

?「あれ、あの二人って……」

?「…………」ン~?

?「……!あはっ☆やっぱりそうなの!」

?「真く~ん、響ぃ~、待ってなの~」

タッタッタ……

…………

(事務所のみんなの方針を提案することになり、千早・春香・貴音・雪歩・真美・やよいの6人までが終わった)

(真美については辛く当たってしまったが、その分きちんとサポートしてやらなきゃな、と改めて思った)

(あとは真・響・美希の3人だけになったのだが……)

P「……真美ぃ~、もう泣くこたぁないだろー?」

P「ちゃんと指切りもしただろ?ほら、元気元気」

真美「ヒック……ち、違うんだよぉ……ヒック、に、にいちゃん……」ポロポロ

真美「なんかね……真美、急に、き、気が抜け……ちゃって……」ズズッ

真美「じ、ぶんでも……ヒック、なみだ……とめ……らんないの……ぉ……」ヒック

P「あ~、もう……」

P「……しょうがないなあ」グイッ

ギュッ

真美「あっ……///」

真美(に、兄ちゃんの胸……)

真美(………おっきくてあったかい……)

P「しばらくこうしてていいから、落ち着け、な?」ポンポン

真美「う、うん……///」ギュ

真美「(兄ちゃん……)…………///」ギュウウ

春香(いいな~、真美)

やよい(はわわわ……)ドキドキ



真美「……スーッ、ハーッ、スーッ…………ん、もう大丈夫っ」

P「ほんとか……?」スッ

P「……まあ、目は真っ赤だけど、いつもの真美に戻ったな」

真美「……うんっ!」ニカッ

真美「あ……そうだ!」

クルッ

真美「あ、あの……やよいっち…………これから……よろしくね!」スッ

やよい「真美……」

やよい「……うんっ!こちらこそ」ギュッ

真美「……えへへっ」

やよい「がんばっていこうね」ニコッ

……パチパチパチパチ

真美「み、みんなぁ……///」

やよい「あうぅ、はずかしいですー///」

貴音「ふふ……新しい『アイドルゆにっと』の誕生ですね」

雪歩「おめでとう、真美ちゃん、やよいちゃん」

春香「こりゃあ私も、竜宮小町も、うかうかしてられないかもですね」

P「そうだな。二人の可能性は、それだけ未知数だからな」

P「……この二人が成長したら……ひょっとしたら、とんでもない

ガチャ

響「ただいまー、みんなー!……あ、プロデューサー、早く方針、聞かせてくれよぉ!」

響「もう自分、レッスン中もそればっかり考えてて、いつもより張り切っちゃったくらいさー」

響「…………」

響「…………あれ?」

P(うわー、響……うわー……)

春香(ひ、響ちゃん……)

雪歩(あわ、あわわ……な、何か言ってあげないと……!)

P「お、おう……響……おかえり」

響「?ただいま」

貴音「ひ、響……あの……そ、そう。真、真は一緒ではなかったのですか!?」

響「?なに慌ててるんだー貴音?真なら、美希と会っちゃっておやつ選びに付き合わされてたぞー」

響「真が気を利かせてくれて、自分だけ先に帰ってこられたんだー」

響「あ、でもコンビニに寄るくらいだから、もうすぐ帰ってくるさぁ」

P「そ、うか……」

響「……あれ!?真美、目ぇ真っ赤じゃないか……ど、どうしたんだ!?」

真美「え、あ、えーと……その……」

響「だ、大丈夫か!?なにかあったのか!?」アタフタ

P(アカン)

P「響、真美は大丈夫だから、方針について話そう……な!」

P「真美、大丈夫だよな!?」

真美「ん!?あ……だ、大丈夫だよ!ひびきんも気にしないで!」

P「えーと、あっちの会議室が空いてたはずだから、二人で話そう、ほらこっちこっち」チョイチョイ

響「……?わかったぞー」タタタッ


ガチャ、バタン


P「……ふぅー……で、響の方針についてか……」

ストンッ

響「ああ、自分は、どんな活動をしていけばいいんだ?教えてくれよプロデューサー!」

P「……響は、こういう活動をしたい、っていう希望はあるか?」

響「ん?うーん……そうだなあ。自分、ダンスが好きだから、ダンスパフォーマンスはやってみたいな」

P「他には?」

響「他は……うぅ、ごめんなさい。ちょっと思いつかないぞ」

P「いやいや、まだやりたい事が見つからないのもしょうがない」

P「…………」

P「…………」ニヤリ

P「そうだなあ、響がどんな人物なのか分析すれば、響に合った活動も考えやすくなるかもなあ」

響「ほ、ほんとうか!?」

P「ああ。……そうだ、俺が感じた響の性格や特徴とかを、今から言っていってみよう」

P「自分はそんなんじゃないよ、と響が思ったら、その都度訂正してくれ」

響「えーと……要するに、何か違うと思ったら、その場で言えばいいんだな?」

P「そうそう、そういうこと」

P「そうだなあ……まず響は、沖縄育ちだ」

響「うん」

P「元気でおおらか、南国育ち特有の朗らかさがある。響の可愛らしさを大きく形作ってるな」

響「う……えへへ///……自分ではよくわかんないけど、悪い気はしないぞ」

P「あとはそうだなあ。もう無いかなあ」

響「え、ええぇ!?いやいや、もっとあるだろ!?」

P「え?ああ、ごめんごめん……あ、そうだ」

P「響の良さは、何と言っても『物怖じしない』ことだな」

響「……っていうと……どういうことだ?」

P「どんな物や相手にでも、普段の自分のまま接していける、ってことだ。貴音とも仲が良いのが、その証拠かな」

響「あ~……そうだなあ。貴音って変なとこで自分の世界に入るから、みんな積極的には話そうとしないもんな」

P「そう、みんなからすると接しづらい人でも、響は簡単にその人の中へ入っていける」

P「物怖じしない、前へ前へ出ていける、というのは芸能界ではとても重要だ」

P「あとそれと関係して、立ち直りが早いのも良い所かな」

響「そ、そうか……!ふふん。ま、まあ自分は完璧だからな!」

P「……もう無いかな」

響「えぇ!?……いや、じ、自分は……まだまだ自分の良い所、あると思うぞ……」

P「そうか?……ああそうだ、物怖じこそしないんだが、響は周りの空気にも敏感だ」

P「みんなの様子が普段と違う、何かおかしい、ということにも気づけるし、そういう時には積極的に気遣いができる」

響「あー、そうだなあ。さっきの真美もなんかおかしかったからなぁ。自分、ちょっと焦っちゃったぞ」

P「あとは響はたくさんの動物を飼ってるけど……それは別にどうでもいいか」

響「んなっ!?ど、どうでもいいことあるわけないだろー!」ガタッ

響「あの子たちは、自分の大事な家族なんだっ!家族を悪く言われたら、いくらプロデューサーでも黙ってられないぞ!?」

P「そうだったか、すまないな。……つまり響は家族思いだし、動物の世話をするのも得意、だと」

響「んぅ?……んん……そういうことになると……思う」

響(な、なんか調子狂っちゃうなあ……)

P「あとはそうだ、自分の気持ちに素直だ」

響「っていうと……例えば?」

P「今みたいに自分が思ったこと、感じたことを隠そうとしない。自分をさらけ出すのに抵抗が無い」

P「嫌なことは嫌だって言うし、自分が感じたことをその場ではっきり言う」

P「でも自分が悪い、と思ったらちゃんと謝れるし、自分の心では納得できなくても、相手の気持ちを感じて意見を譲ることもできる」

響「ああー……まあ、そうなのかもな。やっぱり完璧だからな」フフン

P「何事にも全力を出す、というのも良い所だな」

P「そういった響の『ひたむきさ』に触れて、好きになる人も多い」

響「ま、まあな~♪」

P「あと空気が読めない」

響「ふへ!?」ガタタッ

P「周りの空気には敏感なんだが、『察する』ことができない。だから余計なことに首を突っ込んで、損をする」

響「ぬ……ぐぐぐ…………」ワナワナ

P「……あれ、違ったかな?」

響「違う……って言いたいけど……言い切れないぞ…………」ワナワナ

響「この前も……レッスンが上手くいかなかった雪歩を励まそうとして……余計に落ち込ませちゃったんだ……」

響「ただそっとしといてあげればよかっただけなのに、自分がしゃしゃり出ちゃったせいさ……」

P「……そういうことで言えば、響は持ち前のその元気が、よく空回りするな」

響「あぐっ」ズキン

P「自分では良いことをしたと思っていたのに、結果はそうではなかった、ということがよくある」

P「響の『ひたむきさ』は、響が『空気が読めない』せいで、相殺されてしまうんだな」

響「ぬぬぬー……そんなことないっ!て言いたいけど…………心当たりがありすぎるさー……」ショボン

P「おいおい……響……全然カンペキじゃないじゃないか」

響「ううぅ……返す言葉も…………」ガックシ

P「…………」

P「…………ふ、ククク……ク……」

響「……?プロデューサー?」

P「いや……クク……す、すまん……ククッ」

響「な、なんで笑ってるさぁ!自分、何かおかしなこと言ったか!?」

P「いや、そうじゃない……ククッ……いかん、一旦落ち着こう」フゥー

P「ハーッ……ああ、すまんすまん」

響「……?プロデューサー、さっきから何かおかしいぞ?」

響「ひょ、ひょっとして……自分をからかってるのかぁ!?」

P「…………」

P(…………いや、試す価値はあるな)

P「そうだな、からかってる」

響「でえぇ!?ぷ、プロデューサー、それはあんまりじゃないかぁ!」ワナワナ

響「自分は、今日一日、これを楽しみにして過ごしてきたんだぞ!」

響「ま、真面目に、もっと真面目に自分と話してくれてもいいじゃないかぁ、プロデューサー!」ジワァ

P「あ、いや、ごめん。……いかんなあ、ちょっと踏み込み過ぎたか」

響「は?」

P「……フゥー」

「……響。お前の希望である、ダンスを主軸にした活動は、ちゃんと考えてある」

P「でも、それとは別に、お前に挑戦して欲しい活動があるんだ」

響「え……どんなだ?」

P「……『バラエティ』だ」

響「バラエティ?」

P「前々から思っていたんだが……さっきの会話で、確信に変わった」

P「響、ダンス中心の活動と並行して、『バラエティアイドル』やってみないか?」

響「…………バラドル……」

せめて前スレぐらい貼ろうやぁ

響「え、と……なんでさっきの会話で、そんなことがわかったんだ?自分じゃ全然、わからなかったぞ」

P「ふーむ、そうだなあ……」

P「まずな、俺がつい笑っちゃったんだが……響の『返し』はスゴイ」

響「返しって何だ?」

P「意識的、無意識的なもの関係なく、『ボケ』に的確に反応する。それが『返し』」

P「俺が『多分突っ込まれるだろうな~』と思いながら適当に放り投げた会話を、響はちゃんと処理してくれた」

響「あ、あれってやっぱりふざけてたのか!?」

P「うん。まあ、そのことについてはすまん」

響「……」ムスーッ

>>36
1スレ目
春香「プロデューサーさん、正統派ですよ、正統派!」
春香「プロデューサーさん、正統派ですよ、正統派!」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331564584/)

2スレ目
真美「真美は、どんなアイドルになればいいの~?」
真美「真美は、どんなアイドルになればいいの~?」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1331902325/)

P「……司会者の人たちからすれば、コール&レスポンスがしっかりしているタレントは、とても頼りがいがある」

P「漠然としたものでも、響に話を振れば、ちゃんと反応を見せてくれる」

P「トークや展開の『流れ』を意識しすぎて、思うように発言できないタレントもいる」

P「話を広げてくれる、こちらの話にリアクションをとってくれる、ということは共演者にとってはありがたいことだ」

P「……あと今言った『リアクション』だ。俺の発言にいちいち反応してくれてるんだが、それも面白い」

響「……自分の反応が面白いのか?」ジトー

P「面白い。悪い意味でなく、純粋に良い意味で」

P「……響はさっきも言ったが、南国育ち特有の可愛らしさがある」

P「その響の可愛さが、喜怒哀楽を表に出すたびに、さらに何割も増していく」

P「響は765プロの中で、一番感情豊かだ。事務所の誰よりも、感情を表に出す」

P「驚いたとき、ガッカリしたとき、怒ったとき、納得行かないとき、楽しいとき……」

P「何かを経験するその度に表情が変わり、『我那覇響』の新しい面が見える。魅力が解放されていく」

響「え……?う……あぅ……///」

P「……その顔も可愛いぞ。『恥ずかしいとき』の顔も」グッ

響「え、えぇ~…………か、勘弁してほしい……ぞ……///」マッカッカー

P「ふふ、こういう響の反応もそうだ……今言ったことは、裏を返せば『響の反応を見たい』ということに繋がる」

P「俗に言う『イジられる』ってやつだ。たまにエグイ弄り方をする人もいるが、響の可愛さは、そこまでのキツイ弄りを躊躇わせる」

P「響の反応が可愛いのと、返しの能力は高いのも相まって、愛のあるイジりをしてもらえるだろう」

P「一生懸命に頑張る響は、きっととてもテレビ映えする」

響「そ、そうか~♪」

P「まず最低限の知名度を得るのに、響個人の活動は『グラビアアイドル』から始めてほしい」

P「響はスタイルも抜群だ。容姿の存在感と、沖縄育ちの健康的な肌があって、水着も絵になる」

P「雑誌の表紙で考えても、少年誌・青年誌に限らず、引く手数多だ」

P「そこで知名度が上がってきたら、バラエティへ進出する。……ここからが戦場だ」

響「せ、戦場…………」ゴクリ

P「いやな、出始めのバラエティだと、次に繋がるために、収録一回一回で目に見える結果を残せるようにしたいんだ」

P「MCやディレクター、番組スタッフに気に入られれば、また番組に呼んでもらえるかもしれない、ってな」

P「だから若手タレントからしたら、気張り過ぎて緊張したり、思うように発言出来なかったりもする」

P「そこにアイドルだけじゃなく芸人たちもいるから、コメントやトークの取り合いになることもあるな」

P「だから戦場なんだが……響に関して、その面はあまり危惧してない」

響「なんでだ?」

P「さっきも言ったろ?『返し』と『反応の良さ』が素晴らしい」

P「オーディションを受けることが楽しいなら、テレビ出演に緊張することもあまりないだろう」

P「MCに振られたときの反応や返し、そして自分から積極的に発言できる能力」

P「響のそういった力を考えると、ゲーム番組やトーク番組だけじゃなく、グルメレポートやロケ企画にも使いやすい」

響「なんか、褒められっ放しで逆に怖いぞ……」

P「…………そう、だな」

P「…………」

P「積極的に発言できるんだが……響は多人数だと、自分を出せないことも多い」

P「事務所の中でもそうだ。人見知りするわけでも、みんなから避けられてるわけでもないのに……輪に入れないことが多い」

響「!」ズキン

P「図星か?」

響「…………」

P「多分……みんながどう思ってるかじゃない。響自身が、空回りしてみんなに嫌な思いをさせることを、一番恐れてるんだ」

P「普段は元気で人懐っこいのに、そんな考えが、時折みんなとの交流を躊躇わせる」

P「……そこが、一番の不安要素なんだよな……」

P「大人数でのトーク番組は、バラエティの王道だ。変に委縮してしまったりすると、自分を出せずに終わってしまうかも……」

響「うぐぐ……」

P「…………」

P「……でもな、それが響の一番の武器でもある」

響「……へ?な、なんでだよ……」

P「響はバラエティに必要な要素、『返し』『リアクション』『積極性』をすべて持ってる」

P「だけどな、だからってバラドル全員、それだけで人気が出るわけじゃない」

P「響のウィークポイントであり、最大の魅力……それは、『危うさ』だ」

響「あや……うさ……?」

P「積極的で、誰とも仲良くなれる元気な子……芸能界には、それを売りにしているバラドルはたくさんいる」

P「代表者としては『ベッキー』だ」

響「『天才志村動物園』で見る人だな」

P「性格的にも良い娘で、仕事に対してのモチベーションも高い」

P「彼女の活動には常に『安定感』がある。どんな仕事をしても、スタッフの求めるものを的確に判断し、結果に繋げる」

P「だから一般からの人気ももちろん、業界内での人気度は更に高い」

響「はぁ~、すごいんだなぁ」

P「響はベッキーのようなタイプかと言うと、そうではない」

P「響は確かに元気で、誰とも仲良くなれる」

P「だけど……本当は寂しがり屋だし、泣き虫だ」

響「うえぇ!?」

P「……違ったか?」

響「…………いや、否定はしない……ぞ……」

P「……大丈夫だ響、だからこそお前の魅力は、さらに増すんだ」

響「……なんでだ?」

P「……響がテレビに出て、活動したとする。おそらく世間の人は最初に『明るくて元気な子』だと思うだろう」

P「だけど、響にはそうじゃない一面がある」

響「……」

『誰とでも仲が良いのに、たまに一人ぼっちに見える時がある』

『元気で、何事にも動じないような娘なのに、時折すごく寂しそうに見える時がある』

P「響自身は、それを自分の『いやな所』だと思うかもしれない」

P「だけど、それは『我那覇響』を語る上で決して外すことはできない」

響「む……」

P「ベッキーのように、求められるものを完璧にこなせる、そういうタレントはごく一部だ」

P「だけど、ただ明るくて元気があるだけのタレントなら、いくらでもいる」

P「……響は、そうじゃない」

響「…………」

響「それが……『危うさ』なのか?」

P「そう、そうなんだ。……『守ってあげないと』と思わせる何かがある」

響「守って……」

P「響が寂しがり屋だと言った。だけど、それでもお前はとっても強い娘だ」

P「自分から寂しい、なんて滅多に言わないし、みんなに嫌な顔をして欲しくないから、自分を犠牲にするのも厭わない」

響「……うん、まあ……」

P「テレビで活躍する響は、多分とても輝いている」

P「積極的に発言するし反応も良いから、きっとみんなから愛される」

P「そんな人懐っこい、共演者からも可愛がられるバラドルになれるだろう」

P「……だけど、その元気が時に空回りしてしまうことも、それが原因で落ち込んでしまうこともあるかも」

P「するとその瞬間……みんなが、響のことを『もっと知りたい』って思うようになる」

響「それで、自分のことを……?」

P「何事にも全力で取り組む響を、ひょっとしたらうっとおしく思う人もいるかもしれない」

P「でもそんな響も、時には失敗する。失敗すると、普段とは違ってしおらしくなる」

P「あんなに元気だった娘が、こんな弱い姿を見せてしまうのか。と、響のことを気にかけてしまう……」

P「響の持つ危うさは言うなれば、『気丈に振る舞いながらも、何かの拍子に壊れてしまいそう』と思わせるもの」

P「……もちろん、普段の収録でそんな姿をしょっちゅう見せても、ただの『無理した女の子』だ」

響「……」

P「響本人が普段から明るく、その自分のいやな所を決して見せようとしないからこそ、たまに見せる影がとても魅力的に映る」

P「響が何にでも一生懸命取り組む姿を見て、そして時には失敗してしまう姿を見て、みんなが『愛おしい』と思う」

P「そして何より、落ち込んでもすぐ元気になる響を見て、『もっと頑張ってほしい』と思うようになる」

P「……失敗をプラスに変える、欠点を魅力に変える……『弱さ』を『可愛さ』に変える、響にはそういう才能がある」

響「……なんか……結局褒められてるのか、けなされてるのか、よくわかんないなぁ……」フゥ

P「心外だなあ…………俺は、最初から最後まで、全部褒めてるつもりだ」

P「元気で明るい響だけじゃない……失敗しちゃって落ち込む響を、俺はたまらなく愛おしく思うよ」

響「ぷ、プロデューサー!?///」

P「バラエティにおけるベッキーみたいな、完璧な人間なんて中々いないんだ……」

P「ていうかベッキーだって、あの有吉弘行から『元気の押し売り』って言われて凹んだこともある」

P「普段は元気なベッキーだからこそ、落ち込んだ時のいつもと違う表情は、新鮮に映る」

P「完璧じゃないからこそ、見えてくる魅力ってあるんだよ」

響「完璧じゃないからこそ……」

P「失敗したって、落ち込んだっていいんだ。響はその姿を見せようとしないし、あくまで元気に振る舞おうとする……それでもいいんだ」

P「だからこそ、響は響らしくあって、だからこそ響はとっても可愛い」

響「うぅ~……す、すっごく恥ずかしいぞ……あんまり可愛いとか言わないでくれよプロデューサー……///」

P「その恥ずかしがってる顔も……やっぱりすごく可愛い」

響「か……勘弁してくれぇ……///」パタパタ

響「///」マッカッカー

P「……バラエティ番組、どうだろう?」

響「…………」

響「……失敗してもいいのか?本当に?」

P「積極的でさえあれば、失敗したって構わない。一生懸命取り組む、へこたれないこと、それが一番大事だ」

響「自分は……その強さ、持ってるかなあ」

P「俺は持ってると思うぞ。でも時には泣いたっていいんだ。……収録で泣かれると困るけど」

響「……プッ、あはは!そうか、なら……多分大丈夫だ!」

P「やってみるか?……ああ、辛かったらいつでも抜け出していいからな?そのための『帰る場所』も用意してる」

響「……プロデューサー……」

グッ

響「なんくるないさー!」ビシッ


響編 おわり

ちょっと休憩します。

タイトルがアレだったかなあ……

むしろこういうタイトルだとみんな見てくれると思ったのになあ……

打算的すぎるなあ……

P「オッケー。沖縄で響が見てたような、超有名バラエティにも出せるようにしてやる」

P「あとはやっぱり……『天才志村動物園』とかな」

響「えへへっ、頼むぞープロデューサー」

響「あ……ていうか『帰る場所』ってなんだ?」

P「ああ、それはな……ダンス活動とも関係してくるんだ」

響「?どういうことだー?」

P「……真たちもそろそろ帰ってきたかな?あいつらとも話がしたいから、ちょっと呼んでくる」

響「???」


ガチャ

真「お邪魔しまーす」

響「おう、おかえり」

美希「……あふぅ」

P「おい……こんだけ遅刻しといて、まだ寝足りないのか」

美希「眠いものは眠いんだから、しょうがないの」

P「……まあいいや。今からお前たち3人の、活動方針を決めようと思うんだ」

真「おぉー、やっとですね!」

美希「何でもいいけど、早く教えてほしいの」

響「ん?え?……自分の方針なら、さっき聞いたばっかりだぞ?」

P「……響は人の話を聞かないねー、もう」

響「へ?え?」

P「『お前たち3人の』って言ったでしょ?」

響「……あ」

真「ってことは……この3人で、何かするってことですか?」

P「そうだ。お前たち3人で一緒に活動してもらう」

P「活動内容は……『アイドルグループ』だ」

響「グループ……」

P「3人で歌を歌って、ダンスをして、アイドルとして活動する」

美希「それって……律子、さんのとこの、竜宮小町みたいなやつ?」

P「まあ……方向性は違ってくるけど、ああいう活動をしていきたいな」

真「アイドルグループかぁ……それで、どんな曲を歌うんですっ!?」

P「ああ、曲な。……ちょっと待ってろ。デモテープはあるから、ラジカセ取ってくる」


―――

P「例えばこういうのとかな」カション

~♪~

美希「『迷走mind』……真君には似合いそうなの」

~♪~

真「『relations』かぁ。……カッコいい系の曲が中心なんですか?」

P「いや、一応そうじゃないのも考えてるぞ」

~♪~

響「『shiny smile』かー、明るくて良い曲だな」

P「この曲自体は正統派なんだが、このグループで考えると『変化球』になる」

P「2、3枚CDを出した後にこれを発表すれば、このグループのイメージにも幅が出る」



真「ってことは、やっぱり最初の2曲みたいなイメージで……」

P「まあ……そうだな」

P「この3人でのグループ活動を考えると……当面の目標は『AKB48』だ」

真「AKB48……ですか?」

美希「美希たち3人だよ?あんなに多くないの」

P「いやまあ、あくまで最近のトレンドと活動の傾向で言うなら、だな。グループのイメージ自体は違うところにある」

P「少人数、ダンスパフォーマンス、という点では、往年の『SPEED』のようなイメージでいきたい」

美希「……誰だっけ」

P「ハァ……さすがに響はわかるよな?」

響「も、もちろんだぞっ!自分たちの大先輩で、沖縄が生んだ超有名アイドルグループさぁ!」

P「……そう、ダンスに力を入れる芸能養成学校『沖縄アクターズスクール』出身の、アイドルグループだ」

P「歌やビジュアルだけじゃなく、ダンスパフォーマンスにも定評があった」

P「対してAKBは、流石に個々のダンスの技術ではアクターズ出身者に劣る」

P「だが、あっちはあっちで、『多人数』の強みを最大限に活かすダンスをしている」

美希「どんなの?」

P「『ヘビーローテーション』の、マーチングバンドのような恰好と振り付けが代表的だな」

P「あれを少人数でやっても、見た目的にちょっと寂しい。多人数でやるからこそ、画面がより華やかになる」

P「つまり、見ていて『楽しい』と思わせるダンスだ。よりそう思わせるには、あの人数は好都合だ」

響「な、なるほど……」

P「SPEEDのようなグループはそういう意味では、『カッコいい』、と視聴者に『憧れ』を抱かせるダンスだ」

P「ダンスで『魅せる』場合は、多人数だと個々が埋もれてしまうから、少人数の方が都合が良い」

P「ダンスが得意な真と響、ビジュアルで男性層に強く訴えかける美希」

P「総合すると、3人のグループのイメージはSPEEDが最も近い」

真「ん?……じゃあ、なんでAKBを引き合いに出したりしたんです?」

響「そういえばそうだな」

P「……それはな……『ギャップ』だよ」

響「ギャップ?」

P「SPEEDもそうだったが、AKBの彼女たちも年相応の少女らしさがある」

P「一度ステージに上がると、その姿からは想像できないほどのパフォーマンスを披露する」

P「だけど普段はテレビや雑誌で、年頃の女の子らしい面をさらけ出したりしている」

P「ステージで輝きながら、普段は自分たちと変わらぬ一人の少女」

P「そのギャップに男性は惹かれ、特に同年代の女性たちは憧れを抱く」

P「自分もああなりたい、ってな」

真「でもプロデューサー、AKBとSPEEDと、そこはどっちも同じなんじゃ……」

P「……同様の部分はあるんだが、そうじゃない部分でのギャップもある」

美希「どういうとこ?」

P「AKBもSPEEDもライブパフォーマンスが肝のグループだ。だから、ライブでのカッコよさと普段の姿とに、ギャップがある」

P「だけどSPEEDがテレビ番組に出演するときは、大体が音楽番組。バラエティはあまり出なかった」

P「それに歌手活動を中心にやっていたから、メンバー個々の活動は後年まであまり認知されていなかった」

P「だから基本的に普段は『年相応の女の子』、ライブでは『カッコいい』『歌って踊れる』という、イメージのギャップが生まれる」

真「まあ、そうですよね」

P「対して、AKBは違う。バラエティなんかで、個々のメンバーが色々な姿を見せている」

P「体当たりのロケをしたり、共演者からイジられたり、時には芸人がやるような罰ゲームを受けたり」

P「音楽そのものに興味が無かった人も、そういった入口からAKBを知り、メンバーの『バラエティでの顔』を覚える」

響「あ、なるほど……そういう人たちがライブのパフォーマンスを見れば……」

P「ご名答。普段の『バラエティでの顔』とは全く違う『アイドルの顔』を見て、そのギャップにも心惹かれる」

P「SPEEDのようなライブでの『カッコいい』イメージだけでなく、バラエティでの『親しみやすい』イメージもつくわけだ」

P「だから、グループのイメージはSPEEDでも、活動はAKBを目安にしてほしいんだ」

響「はあぁ~……」

真「ってことは……僕もバラエティに出るんですか?」

美希「む~……テレビに出るのはいいけど、美希は罰ゲームなんてしたくないの」

P「いや、全員がそういうわけじゃないよ……」

P「……AKBのメンバーには、バラエティ中心の者もいれば、ドラマによく出る者、より『アイドル』として活動する者もいる」

P「結局、『アイドルの顔』がより引き立つ活動が出来ればそれでいいんだ」

P「その中で響には、バラエティアイドルの道を提案した」

響「うん。やれるだけやってみるぞ」

P「……普段バラエティで明るく活躍する響が、グループだとカッコいいアイドルに変身する」

P「二人にも、そういうギャップが生まれるような活動を考えていきたい」

真「ボクは、ボクはどうなるんです!?」

美希「ミキの活動ってなーに?……あふぅ」

P「そうだなあ……じゃあ、まずは真から言っていくか」

P「終わったら美希にもすぐ話すから、ちょっと待ってろ……寝るなよ?」

美希「はーい、わかったの」

真「……はい、じゃあお願いします」

P「真は……だなあ」

P「……お前個人の希望としては、もっと可愛い服着たりしたいんだろ?」

真「そうですね。ボクも女の子ですし、ライブでは『カッコいい』んでもいいですけど、普段はもっと可愛く行きたいです」

P「そうだなあ……」

真「この前テレビで見た時に、伊織が着てたフリフリの付いたピンクのドレスなんか、もうたまんないですよね」

真「ああいうの着て、男の人たちをキュンキュンさせてやりたいですよ!」ヘヘッ

P「…………」

響「う……」

美希「……真君には似合わないの」ボソッ

真「?美希なんか言った?」

美希「……なんでもないの」

P「真……」

真「はい」

P「事務所の中でな……真ほど、自分の持ち味に気づいていない奴もいないぞ」

真「…………は?」

真「え、と……どういうことですか?」

P「ちなみに逆は伊織だ。あいつはセルフプロデュースだけでも良い位置まで行けるだろう」

真「いや、だから……」

響(ぷ、プロデューサーまさか……)

P「お前にそういう服は似合わん」

真「えっ!!」

美希(ウンウン)

響(や、やっぱりかあぁ)

P「お前の魅力は、今言ったみたいな可愛い服を着て、発揮されるようなものじゃない」

真「…………」グッ

真「そんなことくらい、ボクだってわかってますよ……」

真「でも、男の人と間違われたり、女の子からだけキャーキャー言われたり……」

真「…………っ」

真「もうイヤなんです!ボクだって可愛い服を着て、もっと女の子らしくしたいんです」

真「アイドルになって、そういう服を着て、男の人がボクを見て『可愛い』って言ってくれるような……そんなアイドルになりたんです!」

真「もちろんダンスは好きだから、プロデューサーの言ってくれたグループ活動は嬉しいです」

真「でも……だったら、それ以外の活動では、もっと女の子らしくさせてくれたっていいじゃないですか!」

P「真……」

真「…………すいません。急に取り乱したりして」

P「…………ハァー」

P「だから、お前は自分の持ち味に気づいてないって言ったんだ」

真「……どういうことですか」

P「まず前提が間違ってる。真は女の子らしくて可愛い」

真「!!!///」ボッ

真「えぇーっ!?あの、ちょ、え、あの、その?……ぷ、プロデューサー!?///」アタフタ

響(確かに今の慌ててる真は可愛いぞ)

美希(それは、美希もちょっと思うな)

P「お前の持ち味はな、確かに『カッコいい』って部分でもあるよ」

P「並の男じゃ歯が立たないくらい顔立ちが整ってるし、男役も嵌ってる」

P「かと言ってむさ苦しいわけじゃないから、清潔感があって女の子から人気があるのもわかる」

P「でもな、真は可愛い。傍で見てきて何度も思った」

真「い、今の説明のどこに、可愛い要素があるっていうんですかぁ!?///」バタバタ

P「……芸能界で男役や男装の麗人役を演じた女優はたくさんいる」

P「イケパラの『堀北真希』、金八先生の『上戸彩』、西遊記の『深津絵里』、どろろの『柴咲コウ』」

P「そういう役は宝塚出身の女優がよく担当するものだが、それ以外でもこういった人たちが演じている」

P「特に真のイメージに一番近いのは、『堀北真希』だと思う」

真「僕が……堀北さんに近いんですか?」

P「上戸彩は特に演技力で、性同一障害のある生徒役を務めた」

P「深津絵里や柴咲コウは、それぞれの役柄になりきり、端正な顔立ちを武器に男役を演じきった」

P「もちろんそれぞれの良さはあるが、敢えて言うなら一番近い」

P「堀北真希はその年齢もあるが……そういう演技をするときに『少年』っぽさがある」

P「演じる役もそうだが、声も。ゲームで少年役の声優をやったこともあるしな」

真「結局、男っぽいんじゃないですか」

P「違う違う。真にも、堀北真希にも言えること……それは、『透けて見える可愛らしさ』だ」

真「透けて見える……?」

P「どんなにカッコいい男の役を演じていても、彼女が持つ女性らしさ、可愛らしさは隠せない」

P「まあそれでいいんだけどな。男装の麗人はそういう部分も肝だし、それが嫌ならそれこそ男性を使えばいいんだから」

P「……真だって見ようによっては『イケメン』だ。確かに男に間違われる時もある」

真「そ、そうですね」ムスッ

P「だけど、真がふとした時に見せる表情や仕草は、どれも女性らしさに溢れている」

真「!」ドキン

P「笑った時のやわらかな笑顔とか、照れた時の真っ赤な顔とか、落ち込んだ時の気弱な反応とか」

P「そうだなあ、『健康的な可愛さ』と言い換えてもいい。女性スポーツ選手が見せる可愛さとも共通してくるかもな」

P「でも……真はそれに気づいていない。いつだって自分は男っぽいと思って、それでいて女の子らしさに憧れてる」

P「だけどそうじゃない。真は気づいていないだけで、十分に可愛くて女の子らしい」

P「逆に真が男を演じようとしても……普段の表情や仕草から、女の子らしさが『透けて見える』んだ」

真「え、と……ありがとうございます///」モジモジ

P「『自然体でいることで見える可愛らしさ』……『菊地真』の最大の持ち味は、そこだ」

P「……何なら二人に聞いてみると言い」

P「『今の自分の表情や仕草を見て、可愛いと思うかどうか』ってな」

真「プロデューサー……あうぅ///」

真「……」チラッ

響「う……エヘヘー」

美希「真君。ミキは真君のこと、カッコいいって思ってるよ」

真「……今は?」

美希「あ……アハハー」

真「…………」

真「……………………ハァ」

真「……プロデューサー、わかりましたよ」

真「無理しないで自然体でいれば、ボクは一番可愛いんですね?そうなんですね?」

P「だからそうだって」

P「それに『伊織が着てたような』服が似合わないだけで、真に似合う『可愛い服』なんていくらでもある」

P「真は『素材を活かす』って言葉を知らないな。お前がきちんとそういうオシャレをしてこなかったのもあるけど」

P「お前らしく自然体で、より可愛く、なんてスタイリストさんにかかればすぐだ」

P「無理に女の子らしくしようとするな。お前は今のままでも、女の子らしくって可愛いんだ」

真「そうですか……」

真「……」フゥー

真「……よっし(パンッ)!わかりました!」

真「もう吹っ切れました!ボクの可愛さが透けて見えるってんなら、男役だろうと何だろうと、全部やりきってやりますよ!」

P「……真……吹っ切れすぎだって」

真「え、そうですか?」

P「流石にそこまでは求めてないぞ……。男っぽい格好をお願いすることはあるかもしれんが」

真「え、じゃあ……ボク個人では、どんな活動をしていけばいいんですか?」

P「真個人では、『役者』と『モデル』だな。お前が出たいなら、バラエティも視野に入れるが」

P「とりあえず『アイドルグループ』も含めて、『3本柱』でアピールしていきたい」

真「3本柱……」

P「これは、実は雪歩にも提案した方針だ。だがどれかに重点を置かない雪歩とは違って、真の活動は『アイドル』に重点を置く」

真「なんでです?」

P「お前たち3人のグループにそれだけ可能性がある、というのが一つ」

P「さらに、真の普段の女の子らしさは、どちらの分野でも発揮される、というのがもう一つ」

P「役者なら、仮に本当に男役でも、さっき言ったように女の子らしさは透けて見える」

P「元気な女の子の役を中心に取ってくるけど、何にしても、あくまで自然な演技を心がけてほしい」

P「……あと真の『自然体』を活かすなら、CMも効果的だと思う。健康的な可愛さは、商品の紹介をするのにうってつけだ」

P「スポーツ飲料のCMとか似合いそうだな。……『CMタレント』も考えてもいいかもしれない」

真「はい、わかりました」

P「そしてモデルは、『真に似合う可愛い服』を実際に着てもらうため」

P「ま、グラビアの方も考えてるけど、女性誌を中心に行きたいな」

真「あ……ありがとうございます、プロデューサー!」

P「……流石に男性誌はないだろうが、『男っぽい恰好をしたい女の子』向けの女性誌はある。そこから声がかかる場合もある」

P「でも大丈夫だ。いくら見た目だけカッコよくなっても、真の女の子らしさは消えないから」

真「そういう仕事でもガンガン受けて行けってことですね」

P「まあね。……打算的な言い方だけど、やっぱり女性ファンを獲得できそうだから」

真「へへっ、今更そんなことで怒ったりしませんよ」

真「何だったら、男の恰好しながら、フェロモンバリバリになれるようなアイドルになってやりますよ!」

P「……き、期待してるぞ……」



真編 おわり

さるさん気にならない時間から始めて投下しまくったら、

ちょー早く終わっちゃったでござる。真は好きだよ。駆け足でゴメン。

またちょっと休憩して、しばらくしたら始めます

乙乙
前作読んでないからわかんないけど
アイドル個個の売り方を示して行くスレ?

>>104
前スレとかは>>38を参考にしてくらさい

アイドルの売り方を示していく、のは合ってるけど
最初の動機は
「現実のアイドルに当てはめたらどういう感じになるのかな」
から始まってます

P(ていうか宝塚の男役の人とか、カッコいいというか「美形」なんだよな)

P(真も成長したら、765プロ一の美人さんになりそうなもんだ)

P(……まあ、今言ってもややこしくなるだけだから、後で言ってやろう)

P(―――で、ようやくか……)

P「美希、待たせたな。最後はお前だ」

美希「ホントだよハニー。ミキ、待ちくたびれちゃったの」

P「元はと言えば遅れてきたお前のせいなんだけどな~。……じゃまあ、方針を考えるか……」

P「まずメインとなる、アイドルグループについてはどうだ?」

P「曲は、激しいダンスのものが多くなると思うが」

美希「ん~……あんまり疲れるのはヤだけど、ミキ運動できるし、ヘーキだと思うの」

P「……わかった。じゃあ俺が考えた、グループのそれぞれの立ち位置を話そう」

美希「?どんなの?」

P「えーとだな……まず、美希がセンターを務める」

P「と言っても、美希を中心に売り出すわけじゃない」

P「美希の特徴である、金髪その他もろもろ……インパクトを考えると、真ん中に配置するのが一番効果的だ」

真「まあ……そこはしょうがないですよね」

響「この中だったら、美希が一番目立つもんな」

P「……話が早くて助かる。で、その両サイドに二人が付く」

P「あくまでも美希は『センターの位置』にいるだけで、それ以上でも以下でもない」

P「歌のパートやら何やら、美希の担当が重くなるような贔屓はしたりしないし、そういう扱いも受けさせない」

P「美希もそれでいいか?」

美希「うん。ミキが目立つせいで真君と響にヤな思いさせたくないし、何よりミキが疲れちゃうのもヤなの」

P「はは、正直だな。……じゃあ、グループのポジションはそれで行こう」

真「わかりました」

響「わかったぞ」

美希「ハイなの」

P「次にグループでの活動そのものについて話していく」

P「3人での活動は、定期的なライブパフォーマンスと、音楽番組への出演を中心に考えてる」

P「個々のとは別に、グループでのラジオ番組とかテレビ企画とかも出来ればいいな」

真「そうですねー、この3人で色々やってみたいですね」

P「そうだな。ただ3人一緒に出すときは、あくまでクールな『アイドルの顔』を忘れないように」

P「響が普段バラエティでは見せない姿を、見せるような……そういう気概で取り組んでほしい」

響「うん、わかったぞ」

P「そんで個々の活動だ。イザという時には『カッコいいアイドル』として活動するが、普段は違う顔を見せれるように」

P「真美とやよいにも、個々の活動をしながらのアイドルユニットを考えていたんだが、この3人はちょっと意味合いが違う」

響「どう違うんだ?」

P「あの2人は将来を見据えてのアイドル活動だ。今はまだ力を蓄えて、アイドルの経験を積むためにユニットを組む」

P「だから、アイドル活動と個々の活動の比重は、個々の活動の方に置きたい」

P「だけど、こっちの3人のグループには『可能性』が既にある。年齢的にも個々の能力的にも、『完成形』が見える」

P「だから、それぞれの活動のすべてが、この3人の『アイドルグループ』での活動に繋がるようにしたい」

P「響には『バラドル』で親しみやすいキャラクターを、真は『役者』や『モデル』で、健康的な女の子として」

P「それぞれ『アイドル』として活動したときに、より魅力的に映るようにな」

P「そして、美希……お前だ」

美希「ハニー。ミキは何をやれば、『ぎゃっぷ』ってやつが出るの?」

P「うーんそうだなあ……やっぱり『モデル』と『タレント』の両立が一番かなぁ」

美希「ミキも真君みたいなモデルさんなの?」

P「いや、真のそれとはかなり違うな」

P「……ちょっと待ってろ」


―――

P「はい、お待たせ」ドサッ

真「これ、ファッション雑誌ですか」

響「ずいぶんたくさんあるんだなあ……」

美希「あ、今月号まだ見てなかったのもあるの♪」

P「どれだ?」

美希「えっと、『Popteen』と『CUTiE』はまだなの」

P「『Seventeen』とか『ViVi』とか……こっちの『S Cawaii!』は読んだのか?」

美希「どっちも読んだよ。Sカワは……あれば読むけど、自分じゃ買わないの」

P「……なるほど。大体分かった」

美希「なにが?」

P「いや、美希のファッションの傾向が」

P「……まず、真については、こっちの『KERA』や『SEDA』、『mini』のモデルが適任だな」

真「えーと」ドレドレ

真「表紙見た感じだと、統一性は無いみたいですけど……」

P「えーとな、KERAは『パンクスタイル』中心。真の『カッコいい』面を引き出せる」

P「SEDAは『カジュアル/ストリート』、miniは『ボーイッシュ』……ボーイッシュと言っても、オシャレさを追求した上でのボーイッシュだ」

P「どっちも、KERAとは違う一面……真の『自然な可愛さ』が出せる」

真「は~、なるほどー。……ボクもちゃんとこういうの読まないとなぁ」パラパラ

P「……で、美希が読んでいるのは『ギャル』系、『ティーン』系の雑誌。あとカジュアルか」

美希「うん」

P「美希の場合、本人の服装や雑誌の嗜好とビジュアルとが、完全にマッチしてる」

P「美希自身には言うまでもないんだが、自分に似合う服をきちんと理解している証拠だ」

P「加えて、中学生離れしたルックスとスタイルがある」

美希「それって、ミキのおっぱいのこと?」

P「……まあ、そうだね」

真(うぐ……)

P「……だから、ちょっと年齢層高めの雑誌にも、違和感無く溶け込めるはず」

P「……美希は、どの雑誌のモデルをやってみたい?」

美希「んっとねー……Seventeenは昔から読んでたから、モデルさん、やってみたいの」

P「同じ系統なら、別の雑誌でも大丈夫か?」

美希「む~……ミキだったら絶対すぐのせてもらえると思うけど……もし無理なら仕方ないの」

P「大した自身だな」

美希「だって……雑誌のヒトから、スカウトされたこと、あるよ?」

P「……は?」

響「え?な、なんだそれ、聞いてないぞ?」

美希「だって言ってないもん。街歩いてたら、お姉さんに写真とられて、雑誌にのったの」

P「ちょ、おい!そういうことは早く言えよ」

真「ていうかどの雑誌?」

美希「えっと……CUTiEだったかな。それがきっかけで、CUTiEも読み始めたからおぼえてるの♪」

美希「それでお姉さんに『読者モデルならない?』って言われたけど、ハニーに無断でなると怒られちゃうと思って、断っといたの♪」

P「あ、ああ……そこの判断は正しいよ。よかった」

美希「でしょ?ほめてほめてー」

P「……」ナデナデ

美希「~♪」

美希「だから、ミキが見てる雑誌のモデルくらいだったら、すぐになれるって思うな」

P「…………」

P「うーむ……」

美希「ハニーどうしたの?怖い顔して」

P「…………」

P「美希は……モデルの仕事でいいだろう。ティーン雑誌、ギャル系雑誌の方面でな」

P「ビジュアルを考えると、それこそ『カリスマモデル』にもなれる逸材だ。ファッションショーからも声がかかるレベルの」

美希「あはっ☆やっぱり?」

P「……それに美希自身の、そういう歯に衣着せぬ物言いとか、大胆な発言とか……」

P「そういうのテレビ受けするだろうから、タレント兼モデルとしてテレビに出れば、さらにファンが付くだろう」

P「テレビでは『自由奔放なわがまま娘』、雑誌では『カリスマモデル』、そして本業は『本格派アイドル』」

P「ギャップという意味では十分すぎるくらいだ」

P「テレビで『常識知らずだな』と悪印象が付いた場合も、アイドル活動でそういう人たちを実力で黙らせることが出来る」

P「……が、流石に度を越してしまうと、俺も世間も、フォローできなくなるかもしれない。そこは気を付けてほしい」

美希「……?どういうこと?ジツリョクで黙らせればいいんじゃないの?」

P「それにも限界があるんだ。傍若無人に振る舞って、評判を落としたタレントはたくさんいる」

P「一番有名なのは『沢尻エリカ』だろう。不遜な態度からバッシングを浴び、それまでの順調だった活動に大きくセーブがかかった」

真「『別に……』って人ですよね。ボクも、あれはいい気分しませんでしたね」

響「あーあの人かー。あれはちょっとなー」

P「そう、いくら才能があっても、『世間の悪評』の前では無に等しい」

P「美希はまだ仕事、というかレッスンに対しても、真面目になりきれていない」

P「今日だって遅刻してきたし、もっとやる気を出してくれてもいいと思う。少なくとも俺は」

P「何も優等生でいろ、なんて言わない。行き過ぎた発言にならないよう、考えて行動してほしいだけ」

P「……『二人に迷惑かけるのはヤだ』って言ったんなら、グループ活動に支障がでないよう、弁えた行動を心がけてほしい」

美希「む~……しょうがないの。ミキが自分で言ったことだし、ハニーにも迷惑かけたくないの」

P「……良い子だ。美希が本気出せば凄いのは、俺もわかってる」

P「美希は歌が上手いし、ダンスも出来る。ビジュアルは男性を惹きつけて止まない」

P「モデル活動でももちろんだが、何より『アイドル』になるべくして、生まれたかのような人間なんだ」

P「その美希がやる気と本気を出せば、誰も太刀打ちできないよ。……そして、その本気の出し方も知ってるもんな」

美希「えへへ、当たり前だよ?美希は、ハニーのためだったらゼンリョクで頑張っちゃうの!」

響(プロデューサーべた褒めだなぁ……)

響(……あれ?自分の時は確か、こういう話の後に……)

美希「じゃあ、ミキはモデルさんやって、テレビに出て、アイドルでカッコよく決めちゃえばいいんでしょ?」

P「まあ、そうだな……」

美希「うん、どれもバッチリできそうなの。……見ててねハニー。ハニーのために、ミキ頑張るからね」

P「…………」

真「?プロデューサー?」

P「…………」

響「ぷ、プロデューサーどうしたんだ……?」

美希「ハニー、まだ怖い顔してるの……?」

P「…………美希」

美希「なーに?」

P「…………」

P「活動は今言った感じで構わない。態度とやる気を改められるなら、俺もしっかりとフォローしよう」

P「ただ……始める前に、お前に直してほしい点が一つだけある」

美希「やる気と態度のこと?それだったら、ハニーのためにちゃんと直すようにするの」

P「いや、そこじゃない。……そこじゃないんだ」

P「もし自分の力では直せそうもないようなら……活動方針を見直す必要もある」

美希「?ミキにそれ以外で直すところなんてないと思うの。ハニーがそう言ったんだよ?」

P「いや……俺が美希に直してほしいのは『能力』の話じゃない。『適性』の話だ」

美希「???……何のこと?」

P「……」

P「……お前にはな、絶対的に足りてないものがあるんだよ」

P「それが……アイドルとしての……『意識』だ」

美希「いしき……?」

真「意識……」

P「まだ本格的に活動してるわけじゃないから、そういう意識が理解できない、育たないのも無理はない」

P「だけど、他のみんなはレッスンや俺の言葉を通じて、多少なりとも『アイドル』としての振る舞いや、常識が身についてきている」

P「……なのに美希には、明らかにその意識が欠如している」

P「ちゃんと言い聞かせてやれなかった俺の責任だと思う……申し訳ない」

美希「……?ハニー、なんであやまってるの?」

P「…………」

P「……アイドルとしての意識。美希にはわかるか?」

美希「……ん、ううん」フルフル

P「……まず一つは、仕事に真面目に取り組む姿勢だ」

P「これはさっき言った『やる気』『態度』とほぼ同じ」

P「結局今の段階で身についてなかったから、とりあえず言ってみた」

P「……が、美希本人がさっき改めると言ってくれた以上、これについては言及しない。美希を信用する」

P「……問題は、もう一つの『意識』についてだよ」

美希「え……?ハニー、今ので終わりじゃないの?」

P「……多分お前は、テレビに出てる時でもどんな時でも、俺のことをそうやって『ハニー』って呼ぶよな」

美希「うん!だって、ハニーはハニーだよ?ミキの大切な人だもん」

P「……それで、みんなの前で今みたいなことを言うんだろうな」

美希「む~……それの何が悪いの?ミキはハニーのことが好きで、それはジジツなの」

真「あ……美希、それは……」

響「た、しかに……ちょっと……」

P「…………」フゥー

P「お前がな、『恋』を活力に頑張ってるのは知ってるよ。そして恋する本気のお前には、誰も勝てないってことも」

P「お前が俺のことを好きなのも知ってるし、俺だって悪い気はしないさ」

P「ふざけてるように見えて、お前なりに俺への気持ちも本気だってことも……もちろんな」

美希「ふざけてなんてないの。ミキはハニーのためだったら、いつだって本気なの」

P「……そこが、問題なんだよなぁ」ハァ

美希「なんで?」

P「……まず大前提として、『アイドル』に恋愛はご法度だ」

P「それは何でだかわかるか?……美希だけじゃない。わかったら誰でも答えていいぞ」

真「……」スッ

P「よし、真」

真「あの、多分ですけど……ファンのみんなを裏切ることになるから……とか」

P「……そうだな。それも理由の一つだ」

P「特に男性ファンは、アイドルに少なからず『清純性』を求めてる。よっぽど変な売り方をしなきゃ、どんなアイドルにでも」

P「……自分たちの『憧れ』や『理想』であり続けていてほしいと願っている」

P「過去に、『リア・ディゾン』というアイドルがいた。『グラビア界の黒船』と呼ばれた、確かな才能を持った外国人タレントだった」

P「彼女は日本に来てから、瞬く間にアイドルの道を駆け上がった。しかし、その道はある日を境にパッタリと消える」

真「そ、それってもしかして……」

P「……そう。妊娠、してしまっていたんだ。しかも熱愛報道、婚約発表のどちらもない状態で、本人の口から発表した」

響「そ、それはひどいな……」

P「……彼女自身が、日本でどこまで上り詰めるつもりだったのかはわからない」

P「だが間違いなく、その発表によって、彼女の日本での『アイドル』の道は閉ざされた」

美希「……」

P「アイドルの恋愛。それがファンの心に刻むショックは、計り知れない」

P「アイドルだって人間だから、美希やリア・ディゾンのように恋愛をすることだってあるさ」

P「だけど、だからこそ、その姿を絶対に表に出してはいけないんだ」

P「少なくともそういう活動をしている内は、ファンを裏切る行為……『スキャンダル』、なんてもっての外だ」

P「……他には?」

響「え、えっと……」スッ

響「例えば、自分たちのグループが全員同じ人を好きになっちゃったら……気持ちが、バラバラになるから、とか……」

P「ん、いいとこ突いたな。それも理由の一つになる」

P「全員が俺に惚れたら、って話でもないな。何ならみんなが好きになる人が別々でも、その問題は発生する」

P「まず……好きな人を取り合うなんてのは論外だ。それでチームがまとまるわけがない」

P「だけどそもそも恋愛にかまけすぎると、『アイドル』としての意識が薄くなってくる」

美希「薄くなる……って?」

P「……さっきも言ったように、アイドルはみんなの『憧れ』でなくてはならない」

P「そのためには、特定の人間にじゃない、『全員』に平等に愛情を注げなければならない」

P「ファンの一人一人を大切に思い、感謝することができる、それが真の意味での『アイドル』だ」

真「それは、そうですよね……」

P「恋をするな……とは言わない。お前たちだって思春期の女の子だ。恋の一つや二つ、したって構わん」

P「だけどもし、それがエスカレートしたら……」

『自分にはこの人しかいない。この人に全てを捧げる』

P「……になってしまったら。……ファンを愛せなくなってしまったら『アイドル』とは呼べなくなる」

美希「う…………」

P「恋愛と、ファンへの愛情とを分けて考える、という開き直りも出来なくはないが……おそらく今の美希には出来ない」

P「『俺』と『ファン』……どちらかを選べと言われたら、間違いなく俺を選ぶ。……そうだろ?」

美希「…………」

P「『最低でも』……そう、最低でもその質問に『どちらかなんて選べない』と答えられなきゃ、お前に『アイドル』は務まらない」

P「真と響……インパクトこそ無くなるけど、ダンスをメインとした堅実なアイドルユニット」

P「そう売り出さざるを得なくなるな。……その場合、美希はモデル活動、タレント活動に精を出してくれ」

美希「え……そ、そんなの……ヤなの……。美希だって、みんなみたいに……」

P「……モデルやタレントだったら、そういうことを心配しなくて済むのにか?」

P「それだったら、俺のことを気軽に……まあ気軽でいいか。気軽に『ハニー』って呼んでくれて構わないし、問題ないのに?」

P「それはイヤだ、みんなと一緒にステージに立ちたい、と言うなら、腹を括るしかない」

P「……どうしても『アイドル』の道に進む気があるのなら……その場合は、俺のこと

美希「イヤッ、そんなのイヤなの!!」

P「…………」

美希「……ダメだよ……。そんな……ハニーのこと、嫌いになんてなれないよ……」フルフル

響「美希……」

真「…………」

P「美希……今からの話を、最後までちゃんと聞くんだ、いいか?」

美希「……」コクン

P「……お前は俺のことが好きで、それを力に、レッスンを頑張ってきた」

P「お前を本気にしたのは『恋』だ。恋を否定することは、美希の本気を否定することになる」

P「でもだったら……本当の本気で『アイドル』を目指すなら……『俺だけ』を見るのは、もうやめろ」

美希「ハニー……」

P「『星井美希』には、間違いなく『アイドル』の才能がある」

P「モデルやタレントでは、決して到達できない高みに行くだけの、そういう力がある」

P「……俺のことが好きなら、それでいいと思う。違う男のことを好きになったっていい」

美希「み、ミキはっ、ずっとハニー一筋だよ!?絶対、絶対ぜっーたい変わらないの!」

P「……あくまで例だよ。肝心なのは、美希が『ファン』の方へ、俺に向けるのと同じぐらいの愛情を、向けられるかどうかだ」

美希「ファンの人に……ハニーみたいな……」

P「俺だけを見るな。『ファン』から目を逸らすな」

P「そもそも恋愛をしている時点で、美希のことを思ってくれるだろう、未来のファンを既に裏切っているんだ」

P「それでもアイドルをやりたいって言うなら……『俺』と『ファン』を平等に見るんだ」

美希「ハニーを……」

P「俺のことを嫌いになる必要なんてない。……でも、俺を特別視しちゃいけない」

P「美希の笑顔は、俺じゃなくファンに向けて見せるもので、その愛情も、本来ファンに向けて注がれなきゃいけないものなんだ」

P「……わかってくれ、美希」

美希「…………」

響「ん……うぅん……」

真「……うーん……」

美希「…………」

美希「ハニー」

P「なに?」

美希「ハニーのことは、好きでいてもいいんだよね」

P「……まあ、そうは言ったけど。……お前

美希「いいんだよね!?」

P「…………はい」

響(び、びっくりしたぞ……)

美希「…………わかったの」

美希「……ミキ、ハニーにほめられると思って、すっごく真剣に『アイドル』のこと、考えるようになったんだよ」

美希「……でも、ミキの考えはまだまだ全然だったって、今の話でわかったの」

美希「ハニーはハニー。それはこれからもずっと変わらない。ミキの中で、一番大切な人」

P「…………」

美希「だから……ミキがトップアイドルになるまで……ミキの中の『一番大事なもの』は……隠しておくの」

真「み、美希……」

美希「ミキ、『一番』を何個も作れるくらいキヨウじゃないもん」

美希「……だから、アイドルでいる間は、『一番大事なもの』のことは、忘れておくの」

美希「真君、響、事務所のみんな、パパとママ、お姉ちゃん……そして、ファンの人たち」

美希「みんな同じくらい大事なもの。だからちょっとの間だけ……ハニーも、その中にまぜちゃうの」

P「自分の気持ちを偽る……のか」

美希「……あはっ☆しょうがないの。……ミキにはこれくらいしかできないから」

美希「だから……ハニー、約束してほしいの」

P「……なんだ?」

美希「もしミキが……ううん、『ミキたち』がトップアイドルになれたら」

美希「その時は……ミキ、ハニーに全力の思いをぶつけるの」

美希「だからハニーも……ハニーの正直な気持ちを、教えてほしいの」

美希「それまではミキ、いっぱいいっぱい頑張るよ。ファンの人たちのこと、ハニーと同じくらいに愛せるようにする」

美希「今日約束してくれれば、ミキはどこまでだって頑張れちゃうの」

美希「だからその時がきたら……」

P「…………」フゥー

美希「ハニー、お願い……」

P「…………」

P「……もう一度確認しておく。美希は今の時点で、俺という思い人がいる。……『裏切り者』のアイドルだ」

美希「……う、うん」

P「しかも、今に至るまで、芸能界に対するちゃんとしたやる気や態度を、あまり見せてこなかった」

美希「……うん」

P「そんなお前が……初めて、『決意』を口にした」

P「俺への『好き』の気持ちを一旦忘れる。仕事に真剣に取り組む……本当に出来るんだな?」

美希「……ふふっ、心配しないでほしいの。いくら一番じゃなくなったって、ハニーはミキにとって大事な人だもん」

美希「そんな大事な人との約束、絶対破るわけにはいかないの」

美希「それに、ケッキョクはハニーのために頑張るんだもん。ミキにとっては……同じことだよ」

P「……わかった」

美希「……ハニー……」

P「……これからは、『プロデューサー』だ」

美希「……わかったの。じゃあ、これからもよろしくね?……『プロデューサー』……」

P「ああ、約束しよう。……絶対に、その時にまでに答えを出してやる」

美希「…………」

美希「……真君、響」

真「なんだい?」

響「どうしたんだ?」

美希「ミキ……本当の本気で、これから頑張るよ」

美希「いっぱい迷惑かけちゃうかもしれないけど……2人と一緒にトップアイドル、目指したいの」

美希「ミキの目標が、自分勝手なものだってわかってる。だけど一緒に……ついてきてほしいの」

美希「……ダメかな」

P「……」

真「へへっ、なーんだ。そんなことか」

響「……自分だって、一人じゃ不安なんだ。美希と真がいてくれた方が……『帰る場所』がある方が、力強いさー」

真「ボクだって、美希みたいな立派な決意はまだ持てないけど……この3人でどこまで行けるか、楽しみなんだ」

響「こうなったら一緒にトップ、目指すしかないさぁ。よろしくな真、美希」

真「ボクの方からも、お願いするよ……美希、響」

ガシッ

美希「まことくん……ひびき……」

美希「……」ポロ

美希「ふ……たりとも……」ポロポロ

美希「うん……う゛ん……。ありがとう……なのぉ……」ズズッ

美希「グスッうぅっ……ヒック……あり……ヒックうぅ……」ポロポロ

響「あーあー、もう美希ってば。綺麗な顔が台無しだぞ?」

真「しょうがないなあ……二人とも、泣きやむまで傍にいるからさ」ナデナデ

美希「うん……うん……」グスッ

P「…………」

P(……美希、お前は本当にいい仲間に巡り合えた)

P(やっぱりこの3人を一緒にしたのは、間違いじゃなかった……)

P(元気で心の支えになってくれる響、明るさと優しさで包んでくれる真)

P(そして、底なしの才能とやる気で、2人を引っ張って行ける美希)

P(……そうだ、お前たち3人なら、きっともっと輝けるはずなんだ)

P(―――美希を「裏切り者」だ、なんて言ったな……)

P(そうなると、俺は……「卑怯者」だ)

P(美希の好意を利用して、あいつを焚き付けた……。どうしようもないプロデューサーだ)

P(でもだからこそ……お前たちのことを最後まで見続け、導いていかなきゃならない)

P(美希の……いや、全員の本気に応えてやるためにも……)

P(何より、俺が彼女たちに示した道なんだ……俺が責任持たなくて、どうするんだ)

P(…………)

P(みんな、それぞれ輝けるだけの力を持ってる。そして俺が、より輝ける手助けをする)

P(それが、アイドルの『親』である、『プロデューサー』の役目なんだからな)



美希編 おわり

と、いうわけで竜宮以外の全アイドルの担当が終わりました。
長々と朝までかかりましたが、読んでくれた人、支援くれた人、ありがとうございます。
特にエピローグも用意してないので、このまま終わりということで……

真美編を見てもらえばわかるんですが、
竜宮は完全に「そういうもの」として見ながら話を作ったので
自分のやる気が高まってきたら、パラレルで話を書くかもしれません。

この設定を利用してなんか書くかもしれないんで、
よろしければその時にまた応援してくれれば幸いです。
お疲れ様でした~

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