少年「かっけー!」ガーゴイル「どーも」(12)

少年「ねぇ!?ねぇ!?ねぇ!?何で石像なのに喋れて動けるの!?」

ガーゴイル「ガーゴイルだからだね」

少年「ガーゴイルって何!?」

ガーゴイル「うーん……魔物みたいな物かね?」

少年「すっげー!オレ本物の魔物初めて見たよ!」

ガーゴイル「そりゃ良かったね」

少年「それでさ、それでさぁ!何で魔物がこんな森の中の人もいない教会にいるの!?もしかして魔物軍団の根城なの!?」

ガーゴイル「いや、私はここを守るために作れられたからな、人がいなくなっても離れる気になれないんだ」

少年「そーなんだ!じゃあさ!じゃあさ!ここに秘密基地作ったら守ってくれる!?」

ガーゴイル「……まあ別にいいが…私がいることをあんまり広めてくれるなよ?私は静かに暮らしたいんでね」

少年「秘密基地なんだから広めないよ!秘密なんだから!」

ガーゴイル「……そうですか」

………

少年「おはよう!ガーゴイル!」

ガーゴイル「…ずいぶんとまあ大荷物だね」

少年「ここはボロボロだからね、大改築しなきゃ!」

ガーゴイル「改築はいいけど倒壊だけは勘弁してくださいね」

少年「任せなって!オレの父ちゃんは大工なんだぜ?」

ガーゴイル「そうですか」

………

少年「ふぅ…こんなもんかな?」

ガーゴイル「…床の穴に板を滅多打ちしただけじゃないか」

少年「うるさいなぁ、こういうのは少しづつやってくものなの!明日が壁で明後日が天井なの!」

ガーゴイル「足場とかはどうするのかね?」

少年「はしごがあれば何とかなるはず!」

ガーゴイル「はぁ…」

少年「今日はもう帰るね!バイバイ!」

………

少年「すっげー!天井も壁も直ってる!」

ガーゴイル「床もね」

少年「ガーゴイルがやってくれたの?」

ガーゴイル「怪我でもされたらたまらないからね」

少年「ありがとー!よーし!さっそく宝物を運んでこようっと!」

ガーゴイル「宝物?」

少年「秘密基地には宝物があるものなんだぜ?特別にガーゴイルにも見せてあげるよ!」

………

少年「えっーとねぇ、これが川で拾った綺麗な石でね、これが道に落ちてた何かのネジで……」

ガーゴイル「ガラクタばかりじゃないか」

少年「もしかしたら何かの役に立つかもしれない、って思うと捨てられないんだ」

ガーゴイル「この丸めた紙も?」

少年「あっ、それはゴミだね、いらないや」

ガーゴイル「教会に捨てるな」

少年「ガーゴイルの宝物はないの?」

ガーゴイル「あるよ、とても大切なものだ」

少年「『この教会を守る使命』とかじゃないよね?」

ガーゴイル「違うよ、ほらこれだよ」

少年「手紙?」

ガーゴイル「この教会に人がいた頃、僧侶さんにとある人物に渡すように頼まれてたんだけど……」

少年「来なかったの?」

ガーゴイル「ああ」

少年「なんでその手紙が宝物なの?」

ガーゴイル「私たちにとっては主からの預かり物は宝物なんだ、信頼の証だからね」

少年「へぇ~、ところで何年前に渡されたの?」

ガーゴイル「……ちょうど40年前だったかな」

少年「…ガーゴイルって何歳なの?」

ガーゴイル「この教会よりちょっと年上だ」

………

ガーゴイル「そろそろ暗くなってきたから帰ったほうがいいんじゃないか?」

少年「え~?もうちょっと遊びたいのに……」

ガーゴイル「夜の森を甘く見ないほうがいいよ、夜行性の獣と会いたいのなら別だけど」

少年「あー……それは怖いかも…」

ガーゴイル「もしかしたら魔物も出るかもしれないよ?」

少年「魔物なら歓迎するなぁ、見てみたいし」

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