さやか「杏子のポニテさわさわ」杏子「やめろよ!」(179)

さやか「えーけちー。いいじゃん、へるもんじゃないし」

杏子「おっさんかよ!」

さやか「ねえせめて匂い!匂いだけでも嗅がせて!」

杏子「だーめだ、寄るなバカ!」

さやか「ぶー・・・」

ドカァァン!

魔女「ギイェアアアアアー!!」

杏子「ハァ・・・ハァ・・・・手ごわかったな・・・」

さやか「ハァ・・・・ハァ・・・・ゲホォ、ゲホッ」

杏子「さ、さやか!」

さやか「はぁ・・はぁ・・・気にしないで」

杏子「しゃべるな、ゆっくり息をしろ」

さやか「はぁ・・・・はぁ・・・・・」

さやか「あんたのポニテの匂い、嗅ぎたいな・・・・」

杏子「死ね」

さやか「見て見て杏子ー!幻の10段アイスだよー!」

杏子「う、うぉぉ・・・・」キラキラ

さやか「えへへー・・・・食べたい?」

杏子「え?ええっ!?・・・いいのかさやか?」

さやか「うん、もちろんよ!」

さやか「ポニテの匂い嗅がせてくれたら・・・・」

杏子「やっぱいらない・・・・」

さやか「じゃーん!これ、なーんだ?」

杏子「リボンじゃねえか・・・さやかがつけんのか?」

さやか「ううん・・・」

さやか「あんたなら、きっと似合うんじゃないかって」

さやか「このリボンつけてるあんたを想像したら、たまらなくなって買っちゃった」

杏子「さ、さやか・・・・」

さやか「さっそく・・・つけてみない?」

杏子「あ、ああ・・・」

さやか「じゃああたしがつけてあげるね!」

杏子「自分でやるよ」

さやか「ねえ杏子・・・」

杏子「すぅ・・・・すぅ・・・・」Zzzz

さやか「あらら疲れちゃったか・・・今日はいっぱい遊んだもんね・・・・」

さやか「・・・・可愛い」

さやか「今ならちょっとくらい、いいよね・・・・」

さやか「くんk」

ガバァ!

さやか「きゃっ!?」

杏子「ふーっ!」

さやか「はぁ・・・・」

さやか「なんで杏子のやつ・・・・髪に触られるのあんなに嫌がるかな・・・・」

さやか「はぁぁ~」

さやか「杏子の髪・・・嗅いでみたいよぉ・・・・」


仁美「さやかさん、大丈夫かしら・・・すごく悩んでらっしゃるようですわ・・・」

まどか「うん・・・どうしちゃったのかな、さやかちゃん・・・」

まどか「さやかちゃん」

さやか「うわっまどか!?お、おはよー」

まどか「おはよ」

仁美「おはようございます、さやかさん」

さやか「お、仁美も。おはよ」

まどか「さやかちゃん、大丈夫?」

仁美「なんだか、真剣に悩んでいるように見えましたわ」

さやか「え?あ、いやー大したことじゃないんだけどね」ハハハ

まどか「さやかちゃん、何かあったら、私はいつでも相談に乗るよ?」

仁美「わたくしもですわ。お友達の悩みを解決するのも、クラスメイトの役割ですもの」

さやか「な、なんだよ2人とも・・・うん、ありがと」

さやか「あ、まどか、ちょっと」

まどか「なに?」

さやか「ちょっと髪の匂い、嗅がせてもらってもいい?」

まどか「え?ええ?」

さやか「いやあ、なんだかいい匂いがするなって。シャンプーは何なのかな?」

まどか「えー、照れるなぁ・・・普通のだよ」

さやか「どーれ・・・」クンカクンカ

まどか「ウェヒヒ、なんだか恥ずかしいよぉ」

さやか(うん・・・普通はそこまで拒否らないわよね・・・・)



ほむら「・・・・・・・」メラメラ

仁美「・・・・」

さやか「あ、仁美も・・・シャンプーは何使ってんのかな?」

仁美「それを聞いてどうなさるおつもりかしら?」

さやか「え?」

仁美「ハレンチですわ・・・///」

さやか(この反応・・・・杏子も仁美と同じ世界に住んでるってこと…?)

さやか(意外とあいつ・・・・お嬢様だったりするのかな・・・・)

~放課後

さやか「ばいばーい!また明日ー!」

まどか「うん!ばいばいさやかちゃん!」

仁美「ごきげんよう」

テクテク・・・・

さやか「さ・・・・今日もあいつと魔女退治にはげんじゃいますよ!」

さやか「おーい杏子ー!」

杏子「あ、遅いぞさやか!」

さやか「ごめんね、学校が長引いちゃって」

杏子「へーえ・・・・いっつも思うんだけどさ」

杏子「そんなに学校の決まりだのなんだのに縛られて・・・楽しいわけ?」

さやか「うん、楽しいよ?」

さやか「あたしはいつか、あんたと学校に行けたらなっていっつも思ってるけどさ」

杏子「よせよ、あたしは今のままがいいんだよ」

杏子「好き勝手やって、美味いもん食って」

杏子「毎日さやかと組んで魔女退治、これ以上望むものなんてあるもんか」

さやか「そっか・・・でも」

さやか「気が変わったらいつでも言ってよね」

杏子「うぜー・・・さっさと行くぞ、こっちだ」

さやか「廃工場かぁ・・・・いかにもって感じだよね」

杏子「辛気くせえ奴らには辛気くせえ場所がお似合いだよ」

杏子「っさて!」ヘンシン

杏子「今日も一発かましてやっかぁ!」

さやか「うん!」ヘンシン

杏子「行くぞ!」バシュゥゥゥン!

杏子「ハァ・・・・ハァ・・・・なんとか勝てたな・・・・」

さやか「はぁ・・・はぁ・・・そうね・・・・」

杏子「ちっ・・・・髪が泥だらけになっちまった」バサッ

さやか「・・・・・!」

杏子「・・・・なんだよ?」

さやか「いや・・・・あんたが髪下ろしたとこ、初めて見たから・・・・」

杏子「それがどうしたんだよ、変なやつ・・・」

杏子「ちっ、まだ付いてやがる・・・・ホテルで変な目で見られちまうじゃねえか、ったく・・・」ブツブツ

さやか「・・・・・」ウズウズ

杏子「?・・・・ははん」

杏子「さやか、またあたしの髪に触ろうとしてやがんな?」

さやか「えっ!?い、いやいやいやそんな・・・」

杏子「ダメだかんな!」

さやか「うん・・・・」シュン

杏子「ったくいい加減諦めろ、あたしは誰にも触らせる気なんてねーぞ」

さやか「・・・・なんでよ」

杏子「・・・・・なんでも」

さやか「杏子・・・・あたし、杏子のこと、好きだよ」

杏子「ああ、あたしもさやかのこと大好きだぞ」

杏子「なんだよ今更?」

さやか「さらっと返してくれるわね・・・///」

さやか「うん、あたしたちって相思相愛じゃない?」

さやか「それでも、あんたの髪に触っちゃいけないの?」

杏子「相思相愛なら髪に触んなきゃいけねえのか?」

さやか「・・・そういうわけじゃないけどさ」

さやか「あたしたち、もっと・・・・スキンシップがあってもいいんじゃない?」

杏子「なんだよそりゃ・・・・よせよせ、人のぬくもりじゃ腹はふくれねえだろ」

さやか「・・・・ハレンチだから?」

杏子「は?」

さやか「ハレンチな行為はしませんってわけ?」

杏子「はぁ?ハレンチ?なんだよそりゃ美味いのか?」

さやか「いや、いいわ・・・聞いたあたしがバカだった」

杏子「どうしたんだよさやか・・・今日変だぞお前」

さやか「ううん、なんでもない忘れて」

さやか「あたしもあんたと仲良くしたいもん、我慢すべきことは我慢しなくちゃね」スクッ

さやか「さ、なんか美味しいものでも食べて、かえろ?」

杏子「ああ、そうだな」

杏子「苦戦した分、お腹一杯食べないとね!」

~その夜

さやか「ああああああ~!」ゴロゴロ

さやか「髪下ろした杏子も・・・かわいかったよぉ・・・・」マクラギュー

さやか「おまけに、あたしのこと・・・大好きって・・・きゃっ!」ギュウウウウウウ

さやか「あの髪・・・・いつか思いっきり嗅いでみたいよぉ・・・・」

さやか「お風呂で洗いっことかしてみたいよぉ・・・・」

さやか「はぁ・・・・はぁ・・・・・んっ」

さやか「杏子ぉ・・・・んっ・・・杏子ぉ・・・・」クチュクチュ

さやか「~ッ!!」ビクッビクッ

さやか「・・・・・はぁ」

さやか「ほんと、なんで触っちゃいけないんだろ・・・・」

~次の日

さやか「はぁ・・・・また杏子のこと考えながらあんなこと・・・・」

さやか「あたしってダメな子だ・・・・」ズーン…



仁美「まどかさん・・・今日のさやかさんはまた一段と元気がなさそうですわよ?」ヒソヒソ

まどか「うん・・・何があったんだろ・・・」ヒソヒソ

まどか「おはよ、さやかちゃん!」

仁美「おはようございます、さやかさん」

さやか「ん?あー、おはよー・・・」

仁美(これは・・・重症ですわね)ヒソヒソ

まどか(ほんと・・・心配だね仁美ちゃん・・・)ヒソヒソ

さやか「ねえ二人とも・・・」

まどか「え?」

仁美「え?」

さやか「あたしって、変なのかなぁ・・・・」

まどか「え?変って何が?」

仁美「ぜ・・・全然さやかさんは変じゃありませんわ」

さやか「いやね、あたしさ・・・」

さやか「ある人の髪の匂いが、すっごく気になるんだ・・・」

まどか「えっ?」

仁美「まぁ・・・」

さやか「でもね、そいつは・・・・」

さやか「あたしのことが大好きだって、はっきり言ってくれる」

まどか「ウェッ!?」

仁美「ま、まぁ・・・///」

さやか「でも、髪の匂い嗅がれるのは、どうしても嫌だって・・・」

さやか「それであたしはさ」

さやか「そいつの髪の匂いが気になって・・・夜も眠れないんだ」

猛烈にお腹がすきました
1時間くらいで戻れると思います

仁美「まあまあまあ・・・・////」

まどか「ティヒヒ・・・」

さやか「なによその反応・・・」

まどか「いや、安心したよさやかちゃん」

仁美「そうですわね・・・上条君のことがあってから、心の傷になっていないか心配でしたのよ」

まどか「ちゃんとまた好きな人・・・できたんだね」

さやか「2人とも・・・・」

仁美「ふふ、それにさやかさんはやっぱり、全然変じゃありませんわ」

まどか「そうだよさやかちゃん。好きな人の匂いって安心するよね」

まどか「私もね、ほむらちゃんの匂い嗅いでたら、すっごく幸せになれるんだ」

仁美「あらやだ、まどかさん、またのろけ話ですの?」

まどか「ティヒヒヒヒ」




ほむら「・・・・・・・////」

仁美「でも、その方が嗅がれるのを嫌がるなら、無理強いはしない方がいいかもしれませんわね」

さやか「やっぱそっかぁ・・・」

仁美「自分の匂いにコンプレックスを持っているのかもしれませんし」

仁美「何より、人の匂いに対する思いは千差万別ですもの」

まどか「そうだね、仁美ちゃんの言うとおりだよ」

まどか「まずはお互い、もっと理解を深めるところからだね!」

まどか「あせらずにいけば、きっとそのうち、その人も髪を嗅ぐの許してくれるよ!」

さやか「まどか・・・仁美・・・」

さやか「ありがと!あたし、なんか元気でてきたわ!」

~放課後

まどか「じゃーまた明日ね、さやかちゃん!」

仁美「ふふ、ごきげんよう」

さやか「ばいばーい!」



さやか「お互い理解を・・・ね」

さやか「うーん、どうやったらわかってもらえるんだろ・・・」

杏子「さやかー!」

さやか「あ!おまたせ、杏子!」

杏子「もー今日も遅かったじゃんかよー」

さやか「ごめんごめん!」

さやか「学校でね、ちょっと文化祭の出し物をどうするかでホームルーム長引いちゃってさ」

杏子「ふーん、文化祭、かぁ・・・・」

さやか「おや?興味あるのかなー?」

杏子「ハッ!?ね、ねーよバーカ」

さやか「鯛焼きの屋台やろーって意見が出たりさ」ニコニコ

杏子「あぅ・・・・」キラキラ

さやか「ってなわけで今日も元気にいっちゃおっか!」

杏子「文化祭・・・・鯛焼き・・・たこ焼き・・・・」

さやか「おーい、杏子ちゃーん?」

杏子「ハッ・・・そ、そうだな、行くぞーっ!」

さやか「またソウルジェムに反応が出てる・・・こっちね!」

杏子「よっしゃ!ったく、倒しても倒してもウジャウジャ湧いてきやがる」

さやか「泣きごと言わないの、魔法少女でしょ?」

さやか「うわ・・・すごい反応・・・今日の相手は昨日のより手ごわいかもしれないよ」

杏子「っ大丈夫だ!」

杏子「あたしとさやかならな!」

~魔女結界内

魔女「くぁwせdrftgyふじこlp;!!!!!」バシュバシュバシュ!

さやか「あぁッ・・・!!」ズザザザァ

杏子「さやかぁ!こいつ、よくもさやかをぉぉぉぉぉ!!」ダッ

魔女「あqwせdrftgyふじこl!!!!!」シュバババババババッ!

ガギン!ドカァッ!バキッ!

杏子「ぐ、はぁ・・・・・っ!!!」ドサッ

さやか「杏子!」

杏子「心配すんなさやか・・・・」ヨロヨロ

さやか「もういい!一旦退こう、杏子?」

杏子「まだだ・・・・!」

杏子「うおおおおおおおおおおッ!!」ダッ

さやか「杏子ぉー!!」

魔女「あqwせdrftgyふじこlp;!!!!!」バシュシュシュシュバッ!

ドカドカドカッ!

杏子「うぐぁっ・・・・・」ドサァズザザザザ

キィン・・・

杏子「」ガク

さやか「う・・・」

さやか「うああああああああああっ!!」ダッ

魔女「くぁすぇdrftgyふじこlp?????」

ザシュッ!!!

魔女「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーー!!!!!」ブシャァァァァァァ

ドッカーーーーーン!!!!!・・・・・・・・・・・

さやか「はぁ・・・・はぁ・・・・・・!!!」

さやか「杏子!?杏子ぉー!!」

杏子「」グッタリ

さやか「杏子!しっかりして杏子ぉ・・・目を開けて!!」ユサユサ

杏子「ぅ・・・・・・あ」

さやか「杏子!しっかり!あたしがわかる!?」

杏子「う・・・・あ、あたりまえだろばーか・・・・」

さやか「うぐ・・・大丈夫なの?グスッ痛いとこはない・・・?」ポロポロ

杏子「ぐ・・・・な、泣くなよ・・・・」

杏子「あたしなら大丈夫だよ・・・・魔法少女だし・・・」

杏子「これくらい、屁でもねえ・・・・」

さやか「うぅ・・・・よかった・・・えぐ、よかったよぉ・・・・うえええええん」ポロポロ

杏子「・・・・・悪いな、手間、かけさせちまった・・・」

さやか「えぐ、ぐすっ、うえええええん・・・」

杏子「おいそろそろ泣きやめって・・・」

さやか「らって、杏子ボロボロだもん・・・・服もボロボロらしぃ、」

さやか「髪もほどけてボロボロだもん・・・・」

杏子「なん、だと・・・・ハッ!」

杏子「髪留め・・・・あたしの髪留めは!?」ガバッ

さやか「!?」

杏子「ちょっと待てオイ・・・どこだ、くそっ、どこ行った!」ウロウロ

さやか「杏・・・・子・・・?」

杏子「どこだ・・・・・!?」

杏子「う・・・・あ・・・・・・・っ!!」

さやか「?」

杏子「こんな・・・・・粉々に・・・・・・!!!」

杏子「・・・・・・・・・・・・・っ」ワナワナ

さやか「杏子・・・・」

杏子「悪いなさやか」

杏子「しばらく・・・話しかけないでくれる?」

さやか「・・・・!」

杏子「・・・・・・・・・・・」

さやか「・・・・・・・・・・・・」


杏子「・・・・・・・・・・ごめんな、さやか」

さやか「・・・・・え?」

杏子「つい、さやかに当たっちまった」

さやか「・・・・・・・・・・いいよ、そんなの」

さやか「それも、パートナーの役割だもん」

杏子「・・・・・ありがと」

さやか「・・・・・・・ねえ、聞いてもいい?」

杏子「・・・・・」

さやか「その、髪留めのこと」

杏子「これは・・・・親父の唯一の思い出の品だった」

杏子「元は親父がいつも付けてたブローチだったんだけどね」

杏子「あたしと親父が最後に触れ合ったときの・・・・思い出の品さ」

さやか「・・・・・・・」

杏子「あれは、親父がもうすっかり酒におぼれて、毎日くだをまいてた頃のことだったな」

杏子「あの頃の親父はもう・・・・あたしにも、妹にも暴力をふるうようになってた」

杏子「すっかり頭がいかれてさ・・・・もう、家族の区別すらついてない、ひどい状態だったよ」

さやか「・・・・・・・・」

杏子「でもある日、あたしが魔女退治から帰った時にね」

杏子「そのときもこんな風に、髪の毛がぼっさぼっさのぼろぼろになって帰った時」

杏子「夜中に家に入ったらさ・・・・」

杏子「泣いてんだよ、親父が」

杏子「それはもう、さめざめと」

杏子「あたしと妹に、ひどいことをしてしまった、私は心まで悪魔に染められてしまったんだ、ってね」

杏子「あたしはびっくりして動けなかった」

杏子「そして、親父があたしに気付いた」

杏子「そして言ったんだ」

杏子「すまなかった、許してくれって」

杏子「あたしの前にひざまずいて、そう言ったんだよ」

杏子「あの人は、あの時のあたしが自分に殴られてぼろぼろになったって思ったんだろうね」

杏子「それから親父はあたしを椅子に座らせてさ」

杏子「髪を・・・・結んでくれたんだ」

杏子「ぼろぼろになってるのが・・・目立たないように」

杏子「あたしが、外で普通の女の子として過ごせるように」

杏子「でも、あの人は不器用だからさ」

杏子「あたしの髪を束ねてから、髪留めがないことに気づいたんだ」

杏子「それで親父はね」

杏子「自分のブローチを外して、あたしの髪留めにしてくれた」

杏子「驚いたよ、信仰の証のブローチを、魔女呼ばわりしたあたしに託したんだ」

杏子「そのとき、あたしが振り返ってみたら」

杏子「親父がほほ笑んでた」

杏子「やっと、娘に償いができた」

杏子「あのとき、親父は確かにそう言ったと思う」

杏子「それが、あたしが見た最後の親父の笑顔だった」

杏子「・・・次の日だったよ・・・・親父たちが死んだのは」

杏子「酒でいかれた親父が最後にくれた、唯一の親子らしい思い出・・・・」

杏子「それが、あたしの髪留めと、髪型だったんだ・・・」

さやか「そう・・・・・だったの・・・・・・」

杏子「ああ、それ以来、あたしは誰にも髪を触らせてない」

杏子「親父との唯一の思い出が壊れちゃう気がして、さ」

杏子「ごめんな、くだらない話聞かせちゃったね」

杏子「さ、すっかり体力も回復したことだし、帰ろうか!」

さやか「・・・・・・・・・・」

杏子「どうしたさやか・・・まだ傷が治らねえのか?」

さやか「ねえ杏子・・・・・」

杏子「なに?」

さやか「あたしに、その髪、結び直させてくれない?」

杏子「えっ・・・・」

さやか「杏子が、お父さんとの思い出をすごく大事にしてるのはよくわかった」

さやか「でもね杏子・・・・思い出って、そんなに簡単に壊れちゃうものなのかな」

さやか「ねえ杏子・・・・髪留めのことは本当に残念だったと思う」

さやか「でもね・・・あんたの頭の中の思い出は、その髪留めと一緒に壊れちゃったの?」

さやか「あんたのお父さんとの思い出は、その程度で壊れちゃうほどもろいものだったの?」

杏子「なっ・・・・・」

さやか「あたしは、そうは思わない」

さやか「髪留めが壊れても、あんたの中でしっかり、お父さんの思い出は残ってるはずよね?」

さやか「それに、思い出は・・・・・」

さやか「楽しい『今』があってこそ、輝くものなんじゃないかな」

杏子「さやか・・・・」

さやか「なら、あたしは・・・・」

さやか「あんたの、『今』になりたいの」

さやか「杏子・・・・」

さやか「お父さんとのこと・・・・あたしと、いい思い出にしていこう?」

さやか「それともあたしとじゃダメ・・・・かな・・・・?」

杏子「さ、さやか・・・・・・・」

杏子「本気で・・・・言ってんのか・・・?」

杏子「本気で・・・・そこまであたしのことを・・・・?」

さやか「決まってるじゃない・・・」

さやか「あたしはいつだって本気なんだから!」

さやか「さぁ・・・・返事を聞かせてよ、杏子!」

杏子「さやかぁ・・・・・・」フラフラ

ダキッ

杏子「ありがと、ありがとなさやかぁ・・・・」

杏子「うん・・・・あたしの『今』になってくれさやか・・・・」

さやか「・・・・・・よ、よかったぁ・・・」ヘナヘナ

杏子「わっ!?と、おい!大丈夫か?」

さやか「よかった・・・えぐっ、よかったよぉ・・・・」ポロポロ

さやか「だめって言われたらぁ、ひっく、どうしようかと思ったぁ…」ポロポロ

杏子「バカだなぁ・・・あたしがさやかの傷つくようなこと言うわけないじゃん・・・」ナデナデ

さやか「ひっく・・・うええええええん・・・・」

杏子「よしよし」ナデナデ

さやか「ひっく、ひっく・・・・」

杏子「ふう・・・・落ち着いた?」

さやか「うん・・・・」

さやか「じゃ、じゃあさ、杏子・・・・」

杏子「ん?」

さやか「後ろ、むいて」

杏子「こう?」

さやか「すわって」

杏子「ほらよ」

さやか「ぐすっ・・・・えへ」

さやか「杏子の髪・・・」サラッ

杏子「あ・・・」

さやか「くんくん・・・・・すーはーすーはー」

杏子「そ、そんなに一生懸命嗅ぐなよぉ・・・///」

さやか「うん・・・いい匂いだよぉ杏子・・・・・」

杏子「やめろよ、今は汗臭くないか・・・?」

さやか「ううん・・・」スリスリ

杏子「おい、もういいだろ・・・・そろそろ結んでくれよ」

さやか「ふにゃ・・・・あと5分~」スリスリ

杏子「そんなに待てるか!」

さやか「むう・・・・けち」

さやか「それじゃ、結ぶよ」

さやか「きゅっきゅっきゅーっと」

さやか「はい!」

杏子「お、ありがとな」

さやか「どういたしまして」ニコ

杏子「あーあ、ついに髪、触らせちまったなぁ・・・」

さやか「ええー今更不満は言いっこなしだよ」

さやか「なんてったって、あたしはあんたの『今』なんだから!」

杏子「よく考えてみるとなんつう恥ずかしいセリフだよ・・・・」

さやか「むっ・・・・」

杏子「あー、うそうそ!すごく嬉しかったぞ、さやか」

さやか「もう・・・・///」

~次の日

さやか「~♪」



仁美「あらあら・・・今日のさやかさんは随分ご機嫌なこと」

まどか「うん・・・ふっきれたんだね、さやかちゃん・・・」

さやか「おっ?まどかぁー!仁美ぃー!おっはよー!」

まどか「ウェヒヒ、おはよ、さやかちゃん!」

仁美「おはようございます、さやかさん」

和子「はーいみなさん静かにー」

和子「今日はみなさんに大変なお知らせがありまーす」

和子「なんと!このクラスにまた、転入生がくることになりました!」

ザワザワ・・・・

和子「はいはい静かにしてください!」

和子「普通なら続けて2回も同じクラスに転入生が来ることはないんですが、今回は特例です」

和子「みなさんも仲良くしてあげてくださいね!はい、入ってらっしゃい」

ガラ・・・・

さやか「!!」ガタッ

杏子「し、しつれいしますっ!」

~休み時間

さやか「なんでなんで!なんでよ!」

杏子「べ、べつにさやかがいるからとかじゃないぞ!」

杏子「あ、あたしは文化祭で鯛焼きが食べたいから来ただけだかんな!」

さやか「え、でもそれ、昨日あたしが教えたこと・・・・」

まどか「転入の手続きって・・・」

仁美「最低でも1カ月くらいは前から準備しないと、ですわねぇ・・・」

杏子「~ッ!!////」

~放課後

まどか「それじゃまた明日ね、さやかちゃん、杏子ちゃん!」ニコニコ

仁美「ごきげんよう、おあとがよろしいようで」ニコニコ

さやか「お、おー、ばいばーい!」

杏子「そ、それじゃあなー!」

テクテク・・・

さやか「で?そろそろ教えてよ・・・見滝原中に転入した理由」

杏子「ああもう!どうあっても言わせる気かよ!」

さやか「・・・・聞きたいな、杏子の口から」

杏子「・・・・さやかと」

杏子「もっと長い時間、一緒にいたかったから・・・」

さやか「くすっ・・・」

杏子「な、なんだよ」

さやか「よく言えましたぁ!」ダキッ

杏子「きゃっ!?ちょ、ちょっとさやかぁ・・・」

さやか「うーん、制服姿の杏子・・・・超かわいいよぉ・・・」スリスリ

杏子「きゃは、く、くすぐったいぞさやかぁ・・・」

さやか「えへへ・・・」スリスリスリスリスリ

杏子「ひゃあっ・・・あは、あははは!」

さやか「えへへへへへ・・・・」

さやか「ねえ、杏子」

杏子「ん?」

さやか「このへん、誰もいないね」

さやか「ねえ・・・・キス、しよ?」

杏子「う、うお・・・・」

さやか「うおじゃないでしょ」

杏子「すすすすまねえ!」

さやか「あーあ、ムードもへったくれもあったもんじゃないなぁ・・・」

杏子「ごめんさやか!やり直すから!そ、その・・・」

さやか「その・・・?」

杏子「・・・・キス、しよう?」

杏子「・・・・さやか」

さやか「うん・・・・・んっ」

杏子「んっ・・・・」

チュ

さやか「・・・・・・・・・っ」

杏子「・・・・・・・・っぷは!」

さやか「ふふ・・・・あたしたち、今までよりもっと、仲良くなれたんだね・・・」

杏子「ああ・・・・」

さやか「覚悟しといてね杏子・・・・これからはもっともっと、スキンシップをとってやるんだから!」

杏子「ああ・・・・さやかなら、いいよ」

さやか「言ったな~それっ!」

杏子「きゃあっ!?」

さやか「うりうりうり~杏子はあたしの嫁になるのだー!!」

杏子「ちょ、こ、これからって、まさに今から、かよぉ!・・・・あんっ!」

さやか「えへへ・・・杏子・・・」ギュー

さやか「あたしたち・・・幸せだね」

杏子「ああ、幸せだぞ!」ギュー




終わり

ここまでお付き合いいただいた皆様、保守・支援レスの数々、ありがとうございました
おしっこSSばっかりじゃなく、たまにはこういうのも書きたいなーって書いてみました
それではまた、どこかでお会いいたしましょう

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