吸血鬼娘「安価で神魔妖獣の頂点に君臨してやるわ」 (131)

従者「くだらないこと考えないで下さいよ」

吸血鬼「やるったらやる。決めたもんね」

従者「頂点に立ってどうするんですか」

吸血鬼「そういう系の最強スレとかでみんなが真っ先に吸血鬼を挙げるのを見て『ムフフ』ってする」

従者(動機が小物臭えー……)

吸血鬼「ふっふっふ。まあ私の手にかかりゃあどんな相手が来たってちょちょいのなんとかよ!」

従者「そもそも吸血鬼様って別にそういう最強議論に出るようなキャラクターでもないでしょうに」

吸血鬼「恐怖こそが私の骨、伝承は血肉、人間どもの間で恐れられていけばいくほど私の存在はより強力無比なものになるのさ!」

従者「はいはい。せいぜい格上に喧嘩売って泣いて棺桶籠らないようにしてくださいね」

吸血鬼「そんなことにはならないわよ! だって私は吸血鬼よ! いろんな媒体で進化し強化され続ける吸け」

従者「御託はいいからさっさと誰にボコられるか決めて下さい」

吸血鬼「……」

従者「ほらほら誰に喧嘩売るんですか。シヴァ神ですかイフリートですかがしゃどくろですかベヒーモスですか。早く決めろ馬鹿」

吸血鬼「馬鹿って言うな! ……じゃあ手始めに>>5を倒すわよ!」

kskst

従者「『てけてけ』ですかぁ、はーん」

吸血鬼「……」はひーはひー

従者「……? なんで過呼吸になってるんですか?」

吸血鬼「んえ? な、なんでもないわよ!」

従者(ゼウスが出てきてマジビビりしたな)

吸血鬼「ふふふ、うっふっふっふっふ」

従者「何がおかしいんですか」イラッ

吸血鬼「だってそうでしょう! 『てけてけ』よ!? こんな新参都市伝説のゆとりキャラが私の戦う相手だなんて……はんっ!」

従者「……吸血鬼の伝承は古いですけど、吸血鬼娘様自体は最近生まれたゆとり吸血鬼だってことを忘れないでくださいね」

吸血鬼「こんな雑魚キャラをいじめるのは心苦しいけど安価で決まったものは仕方ない。早速出発よ!」

従者「……どこにですか?(都合の悪い話しは無視、さすがゆとり)」

吸血鬼「決まってるでしょホッカイドゥーよ!」

従者「……ハァ?」

従者「どうしてわざわざそんな寒い所まで?」

吸血鬼「……え? だってそうしないとてけてけ直ぐに死んじゃうじゃない」

従者「……えっ」

吸血鬼「……えっ」

従者「すみませんけど吸血鬼様の知ってる『てけてけ』の話しってどんなのですか?」

吸血鬼「冬の北海道の踏み切りで列車に撥ねらて上半身と下半身とに切断されたが、あまりの寒さに血管が収縮したために出血が止まり即死できずに数分間もがき苦しんで死んでいった女性の幽霊でしょ?」

従者「……」

吸血鬼「ちなみにこの話を聞いた人の所に3日以内に下半身の無い女性の霊が現れて、逃げても時速100-150キロの高速で追いかけてくるから追い払う呪文を言わないと恐ろしい目にあうんだよ(Wiki参照)」

従者「……」

吸血鬼「キャー怖ーい! 吸血鬼ちゃん怖くておしっこチビっちゃうー!」

従者「なんだそりゃ」

吸血鬼「……えっ」

従者「いきなり北海道って言うからなんかヤバいとは思ってましたけど……」

吸血鬼「ヤバいって何よ! 従者が『てけてけ』の都市伝説知らないだけでしょ!」

従者「……『てけてけ』の噂はしってますよ」

吸血鬼「嘘よ嘘嘘! 絶対嘘! だって私やりすぎ都市伝説で見たんだもん! この話し!」

従者「これだらゆとりは……」

吸血鬼「ゆとりってゆうな!」

従者「その都市伝説は最近よくネットを中心に見かけるようになった都市伝説の代表みたいなものですよ」

吸血鬼「あー確かに、よく見るわ」

従者「恐らく、そっちの方がグロくて単純明快にインパクトがあるから元の話よりも有名になっちゃったんでしょうね」

吸血鬼「……Wiki見たけど私が話したやつしか載ってないよ。やっぱりこれが本物の話しなんじゃないの?」

従者「……何いじってるんですか」

吸血鬼「スマホ」

従者「……」イラッ

吸血鬼「そんなに私の『てけてけ』が違うってんなら従者の知ってる元の『てけてけ』ってどんな話しなのよ!」

従者「北海道の踏切じゃなくて、学校の怪談ですよ」

吸血鬼「がっこぉ?」

従者「学校です。電車に撥ねられる必要も、生命維持とグロさ増し増しの為の寒いっつう設定も必要ありません」

吸血鬼「都市伝説の舞台が全然違うじゃない」

従者「だからなんだそりゃなんですよ。自信満々にドヤ顔で説明し始めたからどんなのかと思ったら……」

吸血鬼「むぅ……は、早く教えなさいよ!」

従者「……ここで教えても良いんでしょうけど、『てけてけ』の出現エリアへ向かう道すがら話しますよ」

吸血鬼「はーい」

従者「では取り敢えず小学校へ向かいましょう」

…夕方…―小学校―

吸血鬼「小学校ならどこでも良いの?」

従者「どこでも良いっぽいですね」

吸血鬼「なんでそんな曖昧なのよ」

従者「怪談なんて本来そんなものです」

吸血鬼「ふーん」

従者「舞台は夕方の小学校、人気の無くなった校舎の廊下です」

吸血鬼「よっし! ならさっさと入ってちょちょっとひねってやりましょうか!」

従者「最後まで説明聞いて下さいよー」

吸血鬼「大丈夫大丈夫! だって私は最強の吸血鬼なのだからー!」

従者「私が従者じゃなかったら全力でぶん殴りたいって思ってるんだろうなー」

―廊下―

従者「うーん……」

吸血鬼「どーしたの従者?」

従者「もしかしたら会えないかも」

吸血鬼「えー!? ここまで来てそれはないよ!」

従者「いやぁ、この学校の怪談の『てけてけ』の話しは決まって『忘れ物を取りに来た生徒』が主役なんですよ」

吸血鬼「? ? ?」

従者「つまり、もしかしたら『忘れ物をしなければ』、そして『学校の生徒でなければ』いけないのかもしれません」

吸血鬼「マジか!?」

従者「まあかもしれないってだけなので……もしかしたら出てくるかも知れませんしね」

吸血鬼「でもあと三階の廊下だけだよ……全然出てきてくれなさそうなんですけどぉ」

女の子「ねえねえお姉さんたち、こんな所で何してるの!?」

従者(教室の窓枠に腕を組んで寄りかかる生徒か……上手い具合に下半身は見えない)

吸血鬼「おぉん? 君ここの生徒?」

女の子「うんそうだよ!」

従者「……(ダメだ私、まだ笑うな)」プルプル

吸血鬼「ダメでしょもう下校時刻とっくに過ぎてるんだからぁ。お子ちゃまは帰らないと!」

女の子「お姉さんたちは帰らなくていーのー?」

吸血鬼「うんいいんだよお姉さんたちは! これからやらなきゃいけないことがあるんだからねっ!」

従者「……ぶふぅ」

吸血鬼「わかったらさっさと帰りな……口裂け女には気をつけてね。行くぞ従者!」スタスタスタ

従者(……笑うな笑うな)スタスタスタ

吸血鬼「それにしてもなんでこんな時間に女の子が一人でいたんだろうね」クルッ

女の子「……」

吸血鬼「……あれ、教室から出てきた……あれ? 廊下にいる、え? なんで……『上半身』だけ?」

女の子「アソボウ、アソボウ」

従者「ぶっふぉwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

てけてけてけてけてけてけてけてけてけ

女の子「アソボウ、アソボウ、アソボウ」

吸血鬼「わぎゃああああああ! 女の子が遊ぼうって言いながら手で走ってるぅぅ! グロいキモい怖いいいいい!!!」ダダダダダッ!

従者「『てけてけ』は音の怪異です。なんで手で走るこの耳に障る音から名付けられたんですよー」

吸血鬼「しかも速いー!!!」

従者「速いのはこういったエンカウント系怪談の定番ですよね。口裂け女然り人面犬然り、さっきの北海道の『てけてけ』も高速設定ありましたしねー」

てけてけてけてけてけてけてけてけてけ

女の子「アソボウ、アソボウ、アソボウ」

吸血鬼「どうすんのこれ!? 従者どうすんのこれー!?」

従者「吸血鬼様が頂点(笑)に君臨するとか言ったんですからご自身でどうにかして下さいよ」

吸血鬼「やだやだやだぁ! 怖いー!」

てけてけてけてけてけてけてけてけてけ

女の子「アソボウ、アソボウ、アソボウ」

従者「ちなみに『てけてけ』に突かれたり抱きつかれたりした場所、要するに触れられた場所は腐るって設定持ちなんでせいぜい追いつかれないようにしてくださいねー」

吸血鬼「いやああああ腐りたくないー! 私腐女子じゃないもん!」ダダダダダ!

てけてけてけてけてけてけてけてけてけ

女の子「アソボウ、アソボウ、アソボウ」

吸血鬼「やばいやばいやばいこのままじゃ追いつかれる!(あ、ちょっとおしっこ漏らしちゃった……)」

従者「頑張れ頑張れ従者様ー」

吸血鬼「あんたはなんでそんな呑気なのよ!」ダダダダダ

従者「まあ『てけてけ』の対処法知ってるんで」

吸血鬼「それ教えてよ!」

従者「あくまでも対処法なんで、それやっても倒したことにはならないんで」

てけてけてけてけてけてけてけてけてけ

女の子「アソボウ、アソボウ、アソボウ」

従者「あらよっと」ひょいっ

吸血鬼「!? 従者何処行くの!?」ダダダダダ

従者「このように急に廊下を曲がると、足……手の速い『てけてけ』は曲がり切れずに真っ直ぐ進んじゃうんですよ」

従者「みんなも『てけてけ』に出会ったら試してね」

吸血鬼「うわああああ曲がれなかったああああ! 行き止まり、やっばい追いつかれる! 怖くておしっこダダ漏れだよー!」ジョボボボボ

間違えちゃった
従者「頑張れ頑張れ従者様ー」→従者「頑張れ頑張れ吸血鬼様ー」
別に訂正しなくても良さそうだけど

吸血鬼「追いつかれるー! 腐るー!」チョロチョロチョロ

従者「この怪談には追い付かれたら抱きつかれて、気付いたら暗い教室にいるってパターンもあるんで」

従者「もし運が良ければ腐ることはないんでそっちのパターンであること祈りましょう。吸血鬼ですけど」

てけてけてけてけてけてけてけてけてけ

女の子「アソボウ、アソボウ、アソボウ」

従者「まあその時は吸血鬼様の負けですけどね」フヒッ

吸血鬼「いやああああああ負けたくないけど腐りたくもないいいいいい!!!」ダダダダダ

てけてけてけてけてけてけてけてけてけ

女の子「アソボウ、アソボウ、アソボウ」

ツルンッ!

従者「あっ」

吸血鬼「えっ?」

女の子「ふぎゃっ」

ビチャンッ!

従者「……」

女の子「……」

吸血鬼「……」

従者「……」

吸血鬼「逃げるので一生懸命だったんだけど、何があったのかkwsk」

従者「『てけてけ』が吸血鬼様が無様にまき散らしたおしっこで滑って転びました」

吸血鬼「……」

女の子「……痛い」

吸血鬼「……」

従者「……」

吸血鬼「っしゃあああああ! 勝ったあああああ!!!」

従者「えー……」

吸血鬼「オラオラァ! 思い知ったか吸血鬼様の恐ろしさ!」ペシペシ

女の子「ふえぇ……ごめんなさいぃ……」

従者「えー……」

吸血鬼「これも全て計画通り!」キリッ!

従者「漏らしたことを正当化、あたかも自分は頭脳戦で勝ったとアピールするその図太さ。他の吸血鬼様たちの恥ですよこれは」

吸血鬼「だっはっはっは! やっぱり『てけてけ』なんざこの程度だったのね! 所詮私の敵ではないわ!」ペシペシペシ

従者「それ以上『吸血鬼』の名を汚すことは止めて下さい。赤い人とか真祖とかいろいろな方に怒られそうなんで」

吸血鬼「にしてもあっけなかったね」

従者「音の怪異である『てけてけ』ですからね。その源である音源(足音)を封じてしまえばこんなものだったんでしょう」

吸血鬼「これに懲りたらもう子どもたちを驚かすようなことはするんじゃないぞ!」

女の子「ふえぇ……わかりましたぁ、ごめんなさいぃ」スウゥ……

吸血鬼「消えちゃった」

従者「付き合いきれなくなったんでしょう」

吸血鬼「ふっふっふ、幸先良いわね!」

従者「先ずはパンツ着替えて下さい」

吸血鬼「輝かしい吸血鬼最強ロード! 私はその第一歩を確かに踏んだ!」ヌギヌギ

従者「うっわーびっちょびちょ」

吸血鬼「誰が相手でも私は勝つ!」

従者「えーっと、『吸血鬼(女)のお漏らしパンツ。最低落札価格1000円』っと」カチカチ

吸血鬼「ノリに乗ってるこの調子で次つぎぃ!」

従者「次の相手はどうするんですかぁ?」

吸血鬼「そうね、次は>>38にするわ!」

魔王(側近に無理矢理即位させられた魔力のない目の見えないロリ)

吸血鬼「魔王だ! 魔王を倒す!」

従者「また漠然とした相手ですね」

吸血鬼「最強、それはつまりありとあらゆる者の頂点!」

吸血鬼「例え伝承として明確化されていない曖昧模糊な存在でも存在しているのなら私の相手よ!」

従者「何ですかその超理論は」

吸血鬼「そこにあるのは勝つか負けるかだけってことよ!」

従者「うぜー」

吸血鬼「そうと決まれば出発よ!」

従者「……」ピポパ、プルルルルプルルルル

従者「……あ、もしもし、ちょっと聞きたいことが。はい、魔王の居場所なんですけど」

―魔王の統治する王国―

吸血鬼「魔王のいる国っつうのはここかぁ」

従者「今のご時世でも独立国家は珍しくありません」

従者「その中でも『魔王』が支配する国の一つくらいあっても良いでしょう。と無理苦理な説明で納得してください」

吸血鬼「……」

男「……」ボロッ

子ども「……」ボロッ

女「……」ボロッ

吸血鬼「なんかこの国のやつらみんな痩せてて元気無いな」

従者「魔王ですからね、むしろテンプレのような悪逆非道の王様っぽそうで安心してますよ私は」

吸血鬼「ふっふーん! 魔王に勝ってこの国に元気取り戻させよう!」

従者「それだけじゃ国は良くなりませんよ。よく考えて喋って下さい馬鹿」

吸血鬼「馬鹿って言うなー!」

―魔王のいるお城―

吸血鬼「たのもー!」

従者「もう少し順序ってものを知って下さい吸血鬼様」

側近「ダレだ貴様ら! ソトの兵士たちはドウシた!」

吸血鬼「私の能力でおねんねさ!」

側近「!?」

従者(人間相手には強気でいける……小物の代表見たいな吸血鬼だよホント)

側近「……なんのマネだ」

吸血鬼「最強議論で私の名前が真っ先に挙がるように世界中の神魔妖獣を倒しているのさ!」

側近「……くダラない!」

従者(……どうやらコイツが側近のようだな。それにしても、なんだあの学者のような格好……それに拙い喋り方)

吸血鬼「魔王を出せ! 魔王はどこだー!」

側近「仮にもクニの王をマオウとは……ナンテ失礼なやつらダ! そんなヤツラに王をアワセルわけには」

???「誰か来たの? 側近、誰か来たのね?」

側近「王様! 王の間から出てはいけないとあれほど!」

吸血鬼「出ーたーなー『魔王』! この私、吸血鬼様が相手……って、え?」

従者「……」

魔王「そこに誰かいるのね? ねえ、何人? 男の人? 女の人?」

吸血鬼「ねえ従者……あれってどう見ても、ロリだよな」ひそひそ

従者「……はい、どう見てもただのロリです」ひそひそ

側近「オウサマは王の間から出てはイケマせん! どこに反逆者がカクレテいるかわかりません!」

魔王「大丈夫だよ、この国の兵隊さん強いもん」

吸血鬼「……」

従者「……」

側近「ソレに、今まさにアヤシい馬鹿二人が城にシノビこんでいるんですよ!」

吸血鬼「馬鹿って言うな!」

従者「……」

魔王「その人たちは今どこにいるの?」

吸血鬼「? なんだこロリ魔王目ぇ見えないのか?」

従者「……」

側近「……。賊はフタリ、ともにオンナ。カタホウが特に馬鹿の怪しいヤツラです」

魔王「女の人!? わーいお姉さんかなぁ?」

吸血鬼「おいおい、私こんな可愛い魔王倒せないぞ」

従者「……」

側近「……王様よりイクラか年上カト」

魔王「お姉さんっ!? やったやった! お姉さんたちこんにちは!」

吸血鬼「……こ、こんにちは」

従者「……こんにちは」

魔王「ごめんなさい、私ね。珍しい病気みたいで、側近以外の『生き物』が見えないの」

従者「……」

吸血鬼「……なんだそりゃ?」

側近「フンッ。王様は生まれツキ、奇病を患ってイルんだ。私以外の『生き物』が見えないキビョウをな」

吸血鬼「ふーん、なんでお前だけ見え」

魔王「じゃあねじゃあね側近! ここにいるお姉さんたち殺して!」

吸血鬼「……え?」

従者「……」

側近「……オオセノままに」ニヤッ

吸血鬼「ちょっちょ待て待ていきなりなんだ!? そういう形式のバトルか!?」

魔王「……本当にごめんなさい! 私、あなたたちのこと見えないからどこに向かって話しかければ良いかわからないの。ホントにごめんなさい!」

吸血鬼「いやいやそんな目を見て話せないことに対しての非礼の詫びはいいんだよ! それよりもっと謝るべき非礼があるだろ!」

側近「兵士タチ出アエ出アエ! この汚いネズミ二匹を撃ちコロせ!」

兵隊たち「……」ザッザッザ!

魔王「お姉さんたち殺せなかった兵隊さんたちは全員処刑だよ!」

吸血鬼「なんだそりゃあ!?」ガクガクブルブル

従者「これはちょっと異常ですよ吸血鬼様」

吸血鬼「わかってるよ!」チョロッ

従者「え!?」

吸血鬼「驚くなよ!」

従者「取り敢えずまあこの状況を切り抜けましょう」

吸血鬼「わかった!」

魔王「私の国の兵隊さんたちは強いんだよ! 毎日訓練で殺し合ってるから!」

吸血鬼「なんだよそれぇ……なにこのロリ魔王ぉ」ジョボボボボ

魔王「側近が教えてくれるんだ! 兵隊さんたちの訓練の様子!」

側近「撃ちコロせぇ!」

兵隊「……」バンバンバン!

従者「どうやら思った以上の魔王だったみたいですね。頑張って下さいねー私応援してますから」

吸血鬼「従者いっつもそればっか! ……っくっそー!」シュダッ!

ドカッ、バキッ、ドゴッ!

側近「……」ポカーン

魔王「ねえねえ側近! お姉さんたちどうなってる!? 早く死体にしてくれなきゃ見えないよ!」

吸血鬼「……ふう」ポンポン

側近「……全滅デス。兵士たちガ」

吸血鬼「私は雑魚の相手するつもりはねえんだよ」キリッ!

従者(その雑魚ぶちのめしただけで得意げになっちゃって……)

魔王「……ぜん、めつ?」

側近「貴様ラ、何者ダ?」

吸血鬼「さっき言ったろうが! 私は世界最強を実証する孤高の吸血鬼! そしてこっちが」

従者「従者でーす」

吸血鬼「だ!」

側近「……クックック、あはははは!」

吸血鬼「何が可笑しい!」

側近「通りで鉛玉がキカないわけだ」

従者「……」

側近「王様、このネズミドモ生き残ってシマイました……どうしましょう?」

魔王「うーんとねー」

吸血鬼「……なんだこのテンションの定まらない空気は」

従者「私に聞かないでください馬鹿」

魔王「じゃあ生き残ったお祝いしよう!」

―王の間・食事中―

魔王「お姉さんたちが生き残ったお祝い! たくさん食べてね!」

吸血鬼「血が良かったけどまあ良いや。頂きまーす」

魔王「私の負けだよー」

吸血鬼「……」

魔王「お姉さんたち強いんだね!」

吸血鬼「……あれ? 今なんて? 唐突過ぎて聞き取れなかった」

従者「魔王が負けを認めました」

吸血鬼「ということは」

従者「吸血鬼様の勝ちってことです」

吸血鬼「っしゃあああああ勝っちゃったああああああああ!」

魔王「そんなに嬉しいのお姉さんたち。面白いね!」

従者「……そういえば声は聞こえるんですね、王様」

魔王「そうだよ!」

側近「……」

吸血鬼「にしても魔王様、なんであんた、ロリのくせにそんなに残虐非道なんだよ」モグモグ

従者「……」

側近「……」

魔王「ざんぎゃくひどう?」

吸血鬼「なんでそんなに片っ端から殺し合いさせるのかって聞いてるんですよマンコ舐めるぞコラ!」

側近「貴様オウサマになんて失礼ナ!」

従者「許して下さいコイツ馬鹿なんで」

吸血鬼「馬鹿ってゆうなぁ!」

魔王「……なんでって言われても。人が死ぬのを見たいから、すぐ近くで殺し合ってるのが楽しいから?」

吸血鬼「……おかしいだろ、こんな幼女が」

従者「……ええ、おかしいですね」

側近「……」

魔王「ねえお姉ちゃんたち。よかったら一緒に寝ようよ!」

側近「ソレはいくらなんでもキケンです!」

吸血鬼「……」

魔王「大丈夫だよ、お姉ちゃんたち優しそうだもん」

吸血鬼「こればっかりはあのカタコト側近の言う通りだな」

従者「さすがに私たちを信用し過ぎですよ王様」

魔王「……だって、いつも独りなんだもん」

吸血鬼「……」

魔王「私は側近以外の人を死体でしか見れないから……寂しいんだもん」

吸血鬼「……///」きゅんっ

従者「なにときめいてんですか」

側近「……ワカリマした。王様の言う通りにしまショウ」

従者「私たちの意見はガン無視ですか」

魔王「わーい! やったやった! 一緒に寝るんだー!」

従者「……」

吸血鬼「……フヒッ、幼女たんと一緒」

従者「キモいです」

…夜…―寝室―

魔王「お姉さんどこお?」もぞもぞ

吸血鬼「ここだよ魔王たーん」ギュッ

魔王「えへへー、見えなくてもわかるよお姉さんがいるの!」ギュウゥゥ

吸血鬼「ふひっ」

魔王「……お姉さん冷たいねー」

吸血鬼「え? 冷たい? ごめん私なんか悪いこと言った?」

魔王「ううん、違うの。体がね、冷たいの」

吸血鬼「あー(吸血鬼だからなー、アンデッドだしなー)」

魔王「死体みたい」

吸血鬼「あはははは、ひ、冷え性なだけだよー(死体です)」

魔王「でも、お姉さんあったかい! 冷たいけどあったかい!」ギュウゥゥ

吸血鬼「……(おかしいだろ、なんでこんな可愛らしい幼女が……あんなことを。おかしいだろjk)」

魔王「お姉さん……」ぎゅっ

吸血鬼(舐めてえー、出来ることなら吸血してえー)

魔王「寂しくないってこんなに嬉しいことなんだね」

吸血鬼「……なんだよ、そんな簡単なこと知らなかったのか?」

魔王「生まれた時からずっと……私の目に映る人は側近だけだったから」

吸血鬼「……私の事も見えてないんだろ?」

魔王「……うん。でも今はこうしてお話ししてる、ぎゅってしてもらってる」

吸血鬼「……」すりすり

魔王「だからね、寂しくない。あったかい」

吸血鬼(……生まれた時からずっと、孤独の世界にいたんだなこの子は)

魔王「……あれ?」

吸血鬼「ん? どうした?」

魔王「もう一人のお姉さんは?」

吸血鬼「従者か? そういやあいつトイレ行ってくるとか言って戻ってきてないな」

吸血鬼(……どこほっつき歩いてんだ? まあ魔王たん独り占め出来るからいいけどさ)

―城の廊下―

側近「……」キラッ

従者「物騒な物を持ってどちらへ? 側近さん」

側近「アノ頭の悪イ吸血鬼の従者カ」

従者「そうですよー。あの頭の悪い吸血鬼の従者です。一言一句正解です」

側近「……いつから気付いていた?」

従者「見た時から怪しいとは思ってました。そのカタコトな喋り方……」

従者「側近なのに似つかわしい科学者のような服装……」

側近「……」

従者「口を開くたびにチラチラと見える目障りな犬歯……」

従者「まだ年端もいかない幼い女の子に芽生えている凶悪な残虐性……」

側近「……ジュウシャは馬鹿ではなかったようダナ」

従者「そして何より、あの王様の奇病。『生き物を不可視にさせる』能力」

側近「上手くニンゲンに化けてイタつもりだったんだがな……」

従者「甘いですよ側近さん……いや、ソロモン72柱の序列25番、『グラシャ=ラボラス』!(詳しくはWikiを見てね)」

側近「……クハハハハ、見事だよ従者とやら」ズオオオオ

従者(本質を見せたか……)

グラシャ=ラボラス『よくぞ私の正体を見破った!』

従者「いやぁ……あのどうしようもない問題児の主と一緒にしないで下さいよ。このぐらい誰だってわかりますって」

グラシャ=ラボラス『私はあのガキを生まれた時から操り、この国を統治する傀儡として趣味の場を作っていたのだよ!』

従者「説明乙」

グラシャ=ラボラス『殺戮こそが私の趣味! この国は永遠に私のこの崇高な趣味の玩具になってもらう!』

従者(……36の軍団を指揮するんだよな確か。……うん余裕)

グラシャ=ラボラス『……そしてあのガキにも一生な。私の趣味の場を維持する為の道具になってもらう!』ニヤァッ

従者「……吸血鬼様の倒す相手はあくまで魔王であって悪魔じゃない、なんつって」

グラシャ=ラボラス『大人しく私に殺されるんだな。人の体は美しい……その美しさを更に美しく刻んでやろう!』

従者「厨二かよ……こんな奴の相手を吸血鬼様にさせるわけにはいきませんなー」ズオオオオオ

グラシャ=ラボラス『ッ!? き、貴様!? なんだ、貴様は『何だ』!?』

従者『さあて、私は一体……ナ・ン・ナ・ン・デショウネ』ニヤァ……

…翌朝…

従者「吸血鬼様ー、王様ー朝ですよー」

吸血鬼「……むにゃむにゃ、うふふあと50年……」スヤスヤ

従者「……終点ですよー」

吸血鬼「え終点!? やっべ寝過した!? っておい!」

従者「お早うございます吸血鬼様」ツヤツヤ

吸血鬼「おはよう……って従者お前どこ行ってたんだよ」

従者「ちょっとトイレがどこにあるかわからなくて一晩中彷徨ってました」ツヤツヤ

吸血鬼「あっははー馬鹿だな従者はー」

従者「……」イラッ

吸血鬼「っていうかなんで従者そんなにツヤツヤしてんの?」

従者「ちょっと一晩の間に美味しいご馳走見つけちゃいましてねー」ツヤツヤ

吸血鬼「ずるーい! 私も食べたかったー!」

魔王「んむぅ……ふわぁ」

従者「あーあ、吸血鬼様が大きな声出すからー最悪な寝起きになっちゃいましたよ王様」

魔王「……」ぽー

吸血鬼「おはよう魔王。ごめんなーうるさかったか?」

魔王「……見える」

吸血鬼「……へ?」

従者「何が見えるんですか?」ニコッ

魔王「お姉ちゃんたちが、見える!」ダキッ!

吸血鬼「うわおっ! マジか!? え、なんで!? 病気治ったの!?」

魔王「なんでかわからないけどお姉ちゃんたち見えるよー!」ギュゥゥ

従者「治って良かったですね王様。きっとこれでこの国の民や兵士の姿も見えましょう」ニコッ

魔王「……」ジー

吸血鬼「……あはは、そんなに嬉しいか? 私たちのこと変わりばんこに見てー」えっへっへっへっへ

魔王「お姉ちゃんおっぱい小さいんだね!」

吸血鬼「……な゛っ」ぺたんっ

魔王「でもそっちのお姉ちゃんは大きい!」

従者「……ふふん」ぼいんっ

吸血鬼「あー! 従者お前何勝ち誇ったような顔してやがんだ!」

従者「胸の大きさで勝ったからですけど何か?」ドヤァッ

吸血鬼「くっそがあああああああ!!!」

魔王「あはははは! わーいわーい! 見えるようになったよー!」

吸血鬼「……おっぱいかぁ」ちまっ

従者「まあまあ、別に良いじゃないですか……ぶふぉっwww」

吸血鬼「お前何笑ってんだよ!」

従者「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

吸血鬼「ちくしょーーーーーーーーー!」

魔王「ねえねえ側近! 側近はいるー!?」

ガチャッ

側近「こんな朝早くからどうしたのですか王様?」ニコッ

従者「……」

側近「……」

魔王「あのねあのね! 私病気治ったんだよ! お姉ちゃんたち見えるようになった!」

側近「それは真ですか!? いやあなんと素晴らしい!」

魔王「みんなでお祝いしたい! みんな! この国のひとたちみんなで! ……喜んでくれるかなぁ」

側近「王様の病気が治ったのです、国民も兵士たちも喜んでくれましょう」ニコッ

吸血鬼「……なんかあの側近雰囲気違くね?」

従者「気のせいじゃないですかー」

魔王「お姉ちゃんたちもお祝いしてくれる!?」

吸血鬼「うんするす」

従者「王様、まことに申し訳ないのですが……私たちにはやるべきことがあるのでここに長くはいられないのです」

吸血鬼「えー従者な」

従者「当初の目的忘れないでください」

吸血鬼「……はっ!(そうだった!)」

魔王「うーん……残念だな。また遊びに来てくれる!?」

吸血鬼「お、おう! 大丈夫、すぐにでも最強吸血鬼様として魔王の前に現れてやるから!」

魔王「わーい! じゃあまたねお姉ちゃんたち! 一緒に寝てくれてありがとう!」

吸血鬼「……なんか魔王のやつも毒が抜けたような」

従者「もう前のような残虐非道なことはしないでしょうね」

吸血鬼「……なんでわかんの?」

従者「なんとなくです」

吸血鬼「あの側近もなんか中の人変わってね? ってレベルで変わってね?」

従者「気のせいですよ」

――

従者『もしもーし、従者です。はい、ええ、滅びかけてる国を一国復活させて欲しいんですけどー』

従者『はいはい、ええ、あくまでも王の力で、はい。いやもうぶっちゃけ詰んでる国なんですけどねー』

従者『お願いします。はい、人の器を見定める能力の……はーい待ってまーす』

――

側近「……」

魔王「私、お姉ちゃんたちのお陰で『あたたかい』の嬉しさわかったんだよ!」

側近「それは良いことです(従者さん、この子なら大丈夫そうですよ)」

吸血鬼「『てけてけ』と『魔王』を撃破! 実績としちゃあちょっとショボイけどまあ堅実に一歩ずつ頂点向かってるな!」

従者「どっちも運で勝ったようなものですけどねー」

吸血鬼「だっはっはっはっは! 運も実力の内よ! むしろ運すら本気出して戦ってない状態だしー」ガッハッハッハッハ

従者「そんなこと言ってて本物のチート級にあたったらどうするんですかー」

吸血鬼「最強の吸血鬼様に倒せない者などいぬぁーい!」

従者「あーあーまーた調子こんでる。あ、これ飲んで下さい」

吸血鬼「……血?」

従者「お腹減ったら戦も出来ないんで、用意しときました」

吸血鬼「ありがとう! ……うっわまっずうっわ!」

従者「はいはいさっさと次の相手決めて下さい」

吸血鬼「なんだよなんの血だよこれぇ!? 従者私に何飲ませた!?」

従者「次の相手はだーれでーすか?」

吸血鬼「……うーんもういい! じゃあ次の相手は>>77だ!」

kskst

吸血鬼「となりのトトロだ!」

従者「それいろいろと不味くないですか?」

吸血鬼「な、なあに、彼奴に危害を加えることで方々からくる圧力なんて、こ、ここ怖くないもんねー!」チョロチョロチョロ

従者(めっちゃ動揺してる……)

吸血鬼「ふはははは、シシ神とか巨神兵とかじゃなくて逆に良いの? ってレベルだし」ジョロロロロロロ

従者(顔が真っ青だ……)

吸血鬼「こ、怖くないよ。うん、全然怖くない! スタジオジブリなんて怖くないぞー!」

従者「じゃあとっとと倒しに行きますか」スタスタスタ

吸血鬼「あ、ちょっと待って従者、待って心の準備が……」

―狭山市―

吸血鬼「ふっはっはっはっは! すっげー田舎!」

従者「へーここがとなりのトトロの舞台になった場所なんですねー」カシャッカシャッ

吸血鬼「……何やってるの?」

従者「写真撮ってfacebookに載せるんですよ、吸血鬼様はいチーズ」

吸血鬼「……」キリッ

従者「……で、映画の舞台に来たはいいですけどどこにいるか全くわからないじゃないですかこれじゃ」

吸血鬼「それなら心配ない! さっきまでずっと映画を見て予習してたからな!」

従者「それで心配無いって言っちゃうのがすでに心配なんですけど」

吸血鬼「正直感動した! メイちゃん可愛い!」

従者「ホントに倒す気あるんですか……」

吸血鬼「トトロとの不思議な出会いを通して成長してゆく二人の女の子の物語、『となりのトトロ』気になった人はビデオ屋さんへレッツゴー!」

従者「宣伝してもジブリからは何も貰えませんよー」

吸血鬼「くそマジか!」

従者「当たり前です」

…夜…―バス停前―

ザーザーザー

吸血鬼「天は私に味方したか! こうも都合良く雨が降ってくれるとは!」

従者「……なんとなく吸血鬼様の狙いがわかってきました」

―ちょっと離れた所―

雨降小僧「全く……従者さんの頼みだからやっちゃいるが、吸血鬼の嬢ちゃんは迷惑な娘だぜ」

―バス停前―

吸血鬼「ここで赤い傘を開き……」バサッ!

従者「……開いてどうするんですか」

吸血鬼「従者、私の背中におぶされ!」

従者「……やっぱそうなるのか」

吸血鬼「『てけてけ』の時に従者言ってたよな! 条件をなるべく揃えないと出てくるものも出てこない的なこと!」

従者「……まあ確かに言いましたけど、それはあくまで『都市伝説』や『怪談』、『噂』の属性を持った怪異のことであって……」

吸血鬼「よいしょっと」

従者「ふっ」

吸血鬼「うっは従者のおっぱお柔らけえwwwwwwwwwwwwwwwwww」

従者「これじゃあ映画の舞台で名シーン再現しちゃうただの痛い観光客じゃないですか……」

吸血鬼「こうやってサツキとメイちゃん待ってたんだなー」

従者「……」

吸血鬼「っていうか従者のおっぱ」

従者「恥ずかしいからそれ以上言わないでください!」

吸血鬼「ごめんごめーん!!! ……ん?」

従者「どうしたんで……す、か? あ」

トトロ「……」

吸血鬼「……」

従者「……」

従者「こーどーもの時にーだけー」

吸血鬼「あなたに訪れたーーーーーーー!!!」

従者「でも私たちって子どもではなくないですか?」

吸血鬼「だっはっはっはっは! そんな些細なことはどうでもいい! 出たならこっちのもんよ!」

トトロ「……」

吸血鬼「勝負だ『となりの』! スタジオジブリがなんだ! ギッタンギッタンにして『ごめんなさいトトロ~』って言わせてやるぜ!」

従者「さっきまで映画見て感動してたやつとは思えない口ぶりだ」

吸血鬼「関係無いねー! 私のトトロはビデオの中のトトロだもーん! 目の前にいる『となりの』じゃないもーん!」

従者「クズだ。潔いまでのクズがいる」

吸血鬼「おらどうしたかかってこいよ『となりの』! のしかかりか? ねむるか? この勝負はターン制じゃないんだぜー?」

従者「糸井重里のキャッチコピーはホントセンスありますよねー」

トトロ「……」

吸血鬼「なんだぁ? なーにもやってこないじゃんか」

従者「油断はしないでくださいよー。可愛い外見ですけど一応太古の頃からこの国に住む生き物って設定なんで」

従者「……ぶっちゃけこの国を相手にするようなもんですから」

吸血鬼「……は?」

従者「聞こえませんでした? この国の歴史そのものと戦うってことですよ」

吸血鬼「え、それって」

従者「まごうことなき神様ってことですね」

吸血鬼「えええええええええ!? なんだそれ聞いてないよ!」チョロチョロチョロ

従者「撒いた種を一気に成長させる能力とか持ってるし、恐らくはこの国の自然を体現した神様の一種というモノでいいかと」

吸血鬼「そんな奴とどうやって戦えばいいってんだよ!」

従者「さっきまで調子乗ってたのになんという掌返しですか」

吸血鬼「聞いてないもんそんなことー!」

従者「それよりもスタジオジブリ相手取ったことの方が厄介だと思いますけどねー」

吸血鬼「そんなのどうでもいいよ今はこの神様らしい『となりの』からどうやって逃げるかの方が大事だい!」

従者「私は何よりもその小物臭いキャラを先ずどうにかすべきだと思いますけど……ってあ、危な」

吸血鬼「……えっ?」

バキィッ!!!

従者「!? うっわ吸血鬼様の首が吹っ飛んだ」

吸血鬼「いってええええええ!!! いきなり何すんだこの!」(再生)

従者「さすがは腐っても吸血鬼。吹っ飛んだ首もあっという間に元通りですね(? おかしいぞ……)」

ドゴッ!!!

吸血鬼「がはっ!」ビチャッ!

トトロ「……」ブンッ!

グチャッ!

吸血鬼「……やば、普通に強いんですけど」(再生)

従者「ちょっとこれ今までで一番ヤバい状況じゃないですか?(こっちはまだ危害を加えていない、なのに奴の攻撃に迷いがない)」

トトロ「……」ドシンッドシンッドシンッ!

ぐちゃっ、ぐちゃっ、ぐちゃっ!

吸血鬼「ちょ、ぐべっ! ま、ぎゃっ! タンま゛!」

従者「うわー、倒れた吸血鬼様を容赦なく踏みつぶしてるー、リョナラー歓喜(……あれは『敵意』?)」

吸血鬼「霧化!」ズモモモモモモモワッ!

トトロ「……」

従者(いや……あの攻撃にある奴の感情は、『使命感』!?)

吸血鬼(霧化)『なにすんだお前! いきなり不意打ちですかさず踏み潰しってお前それでも神様かよバーーーーカ!』

従者「映画のシーンを忠実に再現することによって現れた……吸血鬼様を明らかに殺そうとしている……」ブツブツブツ

吸血鬼「はあ、はあ、はあ。ううぅ、ビックリしておしっこ漏れちゃったぁ……」(実体化)

トトロ「……」ぴーぽろぱー

吸血鬼「……オカリナ?」

従者(あ、これヤバいからちょっと離れとこ)ヒョイッ

ドドドドドドドドドドドド!!!

グサグサグサグサグサ! ザクザクザク!

吸血鬼「……かはっ、ぐぎ、木の……根っこ?」

従者「どうやらあのオカリナで植物を操ったみたいですね(映画に無いことを当たり前のように行う……まさか)」

吸血鬼「は、ぐ、いってえ……霧化して脱出を」

グサグサグサグサグサ! ザクザクザク!

従者「痛みを堪えて集中しないと霧化できませんからねー。このままだと嬲られ続けるばっかりですよー」

吸血鬼「って言ったって痛いもんは痛いんだから仕方ないだろー!」

従者「……奴のアナライズ終わりました。奴……『となりのトトロ』の正体は人々の感動で構成され噂によって肉付けされた伝説属性の怪異っぽそうです」

トトロ「……」

吸血鬼「ハア!? なんだそりゃ、じゃあ神様じゃないってことか!?」

従者「いや、恐らく存在意義は神様なんでしょうけど構成課程は神々のそれではありません」

吸血鬼「? ? ? ごめん痛くて頭が回らない!」

従者「頭回らないのはいつものことでしょ」

吸血鬼「うるさい!」

グサグサグサグサグサ! ザクザクザク! ドッパン!

従者「木の根の攻撃でバラバラに弾け飛んだ所で説明続けますけどー」

吸血鬼「いだいよー」(再生)

従者「そもそもアニメのキャラクターが現実に実体化するってことがおかしな話だったんですよ」

吸血鬼「冷静に考えればそうだな!」

従者「さっき吸血鬼様言ってましたね? 『条件をなるべく揃えないと出てくるものも出てこない』と」

吸血鬼「う、うん」

従者「それはさっきも言ったようにあくまで『噂』や『都市伝説』の発生方法なんですよ」

吸血鬼「でも実際出たじゃん『となりの』! 実際出た……え?」

従者「そう、『実際に出た』。これはつまり、目の前の似非神様が『噂』、『都市伝説』の類であることの証明なんです」

吸血鬼「……なるほど!」

従者「そして更に、吸血鬼様を執拗に攻撃することからあいつの正体はほぼ確定しました」

吸血鬼「映画見た大勢の人たちの共有する『トトロ』っていうキャラから生まれた偽トトロってことか!」

従者「そーいうことです、そんでもって……」

ドドドドドドドドドドドド!!!

吸血鬼「うっわ! 危ない!」

ザクッ!

吸血鬼「ぐあっ!」

トトロ「……」ブンッ!

バキィッ!

吸血鬼「あべしっ!」

従者「映画『となりのトトロ』の都市伝説を装備したハイブリッドなトトロってことです」

吸血鬼「『都市伝説』を装備ぃ!? どういうこっちゃそれは!?」(再生)

従者「目の前にいるトトロは仮初ですが『神様』であり、同時に『死神』でもあるということです」

吸血鬼「『死神』!? なんじゃそりゃ!?」

従者「えー有名じゃないですか『となりのトトロ』の都市伝説ですよ」

従者「作中でサツキとメイちゃんの影が途中から無くなっていることから、二人は既に死んでいるかもしくは死ぬ運命にあるって考察です」

吸血鬼「何それ怖いよー」ジョロロロロロ

トトロ「……」ブンッ!

吸血鬼「見切った!」ヒョイッ!

ドドドドドドドドド!

グサグサグサグサグサ!

吸血鬼「ぎゃああああああああリョナラー歓喜いいいいいいい!!!」

従者「そういった『死んだり、死期の近い子ども』の前にだけしか現れていないことから、トトロは死神なんじゃないかという都市伝説が流行ったんですよ」

吸血鬼「じゃあさじゃあさ! どうしてその死神さんが私のこと熱狂的に殺しにかかってるんだよ!?」

従者「だって従者様アンデッドじゃないですかー」

吸血鬼「……」

従者「死神にとっちゃ営業妨害も甚だしい存在じゃないですかー」

吸血鬼「そっか私は存在自体が営業妨害なんだ!」

またミスった・・・・・・申し訳ない
間違えた所は脳内補完してくれ

従者「それはさておき、奴の正体もわかったことですし……もうビビる必要もありませんね」

吸血鬼「おう! 所詮は共通イメージとウワサの肉ダルマ! 格下相手に負ける吸血鬼様じゃありませんよォ!」

従者(格下だとわかった途端この調子の乗りよう……小物だ)

トトロ「……」ぴーぽろぱー

ドドドドドドドドドドドドド!

吸血鬼「霧化!」ズオオオオオオオオ!

従者「ッ!? ちょちょちょ」スタタタタ

吸血鬼(霧化)『世界中の人間にずっと昔っから畏れ語り継がれた大人気キャラクター吸血鬼の格の違いを見せつけてやる』

トトロ「……!?」

吸血鬼「バーーーーーーーーーーカ後ろだよーーーーーーーーーー!!!」

トトロ「ッ!?」

ッドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!! ……シュウゥゥゥゥゥ。

吸血鬼「……ふぅ」

従者「……存在力爆発させるなら先に言って下さいよ」

吸血鬼「言ったら不意打ちにならないだろー」

従者「……はあ。世界中の人間の共通イメージを圧縮し人の形を保つ『存在の塊』である吸血鬼だからこそ出来る『イメージの破裂』」

吸血鬼「死神さん綺麗に消し飛んじゃったね」

従者「『知名度』を物理的な意味で武器に出来る唯一の存在……」

吸血鬼「あー、ほとんど体爆散させちった。従者ぁ悪いけど私の頭担いで帰ってくれ」

従者「いくらなんでも無茶し過ぎです」

吸血鬼「でも勝ったんだから良いだろ、だっはっはっはっは……はあ、疲れた」

従者「こりゃ半年分の食糧(血液)が吹っ飛びますよ……」

吸血鬼「なくなったらまた取り寄せれば良いじゃーん!」

従者「ホント、こいつの従者じゃなかったら今頃ぶん殴ってるんだろうなー私」

吸血鬼「抱っこして抱っこしてー」

従者「はいはい、よいしょっと」

吸血鬼「おっほwwwwwwおっぱい柔らけえwwwwwwwwwwwww」

従者「……山の中に捨てますよ」

吸血鬼「ごめんごめんごめん!」

吸血鬼「あー勝った勝った! ま? 私の手にかかりゃあジブリも所詮ジブリよ(笑)」

従者「……」

吸血鬼「血うめー」ちゅーちゅー

従者「また閻魔に小言言われるのか……」ハア

吸血鬼「いやー、こうもサクサク行くともう私最強で良いんじゃね? って思っちゃうわー(笑)」ちゅーちゅー

従者「……」イラッ

吸血鬼「さーて次はどいつをけちょんけちょんにしよっかなー?」

従者「うぜえー」

吸血鬼「よーし決めた! 次の相手は>>112だ!」

ぬーべーの鬼の手

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