大石泉「トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タッタッタラ」 (39)

モバマスSS
イズミン誕生日記念。アイドルになる前のお話

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さくら「みんなー、盛り上がってますかぁ!?」
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亜子「まだまだこれからやでー!! テンション上げてこー!! ほら、泉も!」
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泉「聴いて! 私たちのハーモニー!!」
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ワーワー!! ワーワー!! ワーワー……。

泉(研ぎ澄まされた感性を歓声が包み込む)

泉(眩しい光を浴びた私たちは蕩けてしまって、そのまま吸い込まれていきそうで――)




トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タッタッタラ
トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タッタッタラ


泉「んん……。朝か」

泉「アイドルになる夢なんて、亜子たちが聞いたら笑いそうね」

泉「さくらは……なりたい! って言いそう。あの子、アイドル好きだし」

泉弟「おはよ、姉ちゃん」

泉「おはよう。ねぇ」

泉弟「?」

泉「私がアイドルになるって言ったら、どう思う?」

泉弟「姉ちゃんがアイドル? 変なものでも食べた?」

泉「そう、思うよね」

泉弟「だって想像つかないし。ああいう衣装着るんでしょ?」

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泉「……あれは極端な例だと思うけど」

泉弟「どうしたの、アイドルになりたいの? 昔はアイドルの真似とかしてたけど」

泉「小学校の頃の話じゃない。変な夢を見たの。さくらと亜子と一緒にステージの上に立って、大歓声の中歌って踊っていて。私らしくない夢だよね」

泉弟「案外そういう願望があるんじゃない? それとも」

泉「それとも?」

泉弟「予知夢だったりして。本当は、子供の頃の夢が未だに根付いていて」

泉「論理的じゃないわ」

泉弟「まっ、そだけどさ」

泉(予知夢、か……。そんなものあるわけないのに)

泉「亜子、さくら。おはよう」

さくら「おはよっ、イズミン!」

亜子「おはよー! ちょうどええとこに来た! 泉もこれ見てよ!」

泉「うん? 何それ」

亜子「あー、これ? いま人気のアイドルの動画……」

チャージマン研『これでもくらえジュラル星人! アルファガン!!』

ジュラル星人『うわぁーー!!』

ウサミン星人『ナナは関係ないのにー!!』

泉「……アイドル?」

さくら「画面の上に変な糸があるよぉ? 『~』みたいな」

亜子「ってこれじゃなくて……こっちこっち!」

さくら「あっ、トライアドプリムス! 今人気だよねぇ! イズミンは知ってる?」

泉「一応、名前はね。そのアイドルがどうかしたの?」

亜子「いやー、知ってる? アイドルの年収がいくらか。昨日ふと気になって調べてみたのよ。そしたら! 結構儲かるみたいなのよね」

泉「それは売れっ子アイドルの話じゃないの?」

亜子「まぁ、せやけど? ロマンがあるやん。ね、さくら」

さくら「うん、皆でアイドルになれたらちょーハッピーだよねぇ!!」

泉「皆?」

さくら「うん! わたしと亜子ちゃんとイズミンの3人でぇす!」

泉「……は?」

亜子「そういう事! どう? うちらと一緒に一山当てへん?」

泉「私が、アイドル?」

泉弟(案外予知夢かもよ?)

泉「……論理的じゃない。そもそも思いつきでなんとかなる世界じゃないわ」

亜子「それはごもっともよ? でもキッカケなんてそんなもんやって。それに、アタシはイケると思うんよね。泉とさくらとなら、夢物語も本当に描けそうやん!」

さくら「3人なら無敵でぇす!!」

泉「でも私は……アイドルらしくない。さくらみたいに可愛げもないし、亜子のように上手に話せないから」

亜子「泉ー、アンタは自分のことを過小評価しすぎや。うちらは泉と話していて飽きひんし、面白いことも言ってるよ?」

さくら「そうそう! イズミンが可愛くなかったら、皆可愛くないよぉ?」

亜子「まあ急に話振られても戸惑うよね。冗談めかして言ってるように聞こえるかもしれんけど……アタシら本気やからね」

亜子「でもアイドルなるんなら」

さくら「3人でなりたいなっ!」

泉(ふと思い出す、今朝見た夢を。あれはきっと、彼女たちの夢の到着地点。亜子とさくらは素敵なアイドルになると思う。親友の私が保証する)

亜子「っと授業や授業! また後でな!」

さくら「あっ! 宿題忘れちゃったぁ……」

泉(だけどその場に、私がいることが許されたのなら……。ううん、たらればをいくら言っても意味がない)

先生「んじゃ、次の問題を大石」

泉(私には向いていない。議論する間もない、結論は出ている――)

先生「おーおーいーしー!!」

泉「ふぇ?」

先生「この問題解く!!」

泉「えっとすみません……、どの問題ですか」

亜子「泉らしくないね、授業中ボーッとしてるなんて。先生も心配してたよ?」

さくら「体調悪いの?」

泉「ううん、ちょっとね」

亜子「あっ! もしかして考えてくれてたとか?」

さくら「! イズミンもアイドルになるの!?」

泉「だから私は……ううん。もう少し考えさせて」

亜子「……せやね。じっくり考えて、返事ちょうだいね」

泉「うん。そうする」

泉「ただいま」

泉弟「姉ちゃんお帰りー」

泉「ねえ、今朝言ったこと覚えている?」

泉弟「ん? アイドルがどうとかってやつ?」

泉「うん。実はね、亜子とさくらに誘われたの」

泉弟「亜子さんとさくらさんから? へー、アイドルになりたいんだ。姉ちゃんも?」

泉「私はまだ分からないわ」

泉弟「ふーん。でもいつもの姉ちゃんなら、有り得ないってぶった切ってるのに悩むなんて。本当はアイドルに興味があるんじゃないの?」

泉「……かもしれないわね」

泉(確かにそうだ。不確定な未来しか見えない賭けなんて、私の柄じゃないのに)

泉弟「でもそうなったら静岡を出るわけでしょ? お土産宜しくね! あっ、新田ちゃんのサインも貰ってきて欲しいな!」

泉「はいはい。覚えていたらね」

泉「懐かしいな」

泉(何かに行き詰まったり、悩んだりしたとき私は決まってパソコンを起動させてプログラムを作成する)

Hallo World!

泉(最初にプログラムした言葉、初心忘れるべからずの心。プログラミングに初めて触れた時はこれからどんな事があるんだろうって、ワクワクしていたっけ)

泉「アイドルとプログラミングなんて全然違うのにね」

『輝く世界はそこにある――CGプロダクションアイドル候補生募集中』

泉「気になって調べてみたけど、色々な事務所があるのね。CGプロダクション、あの子がファンだっていう新田さんはここの所属みたいね」

泉「亜子たちはここまで調べているのかしら? 気が向いたら教えてあげてもいいかも」

泉「ふぁあ……、ちょっと眠くなってきたかな……」




トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タッタッタラ
トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タ


泉「ん? なんだろう、このページ」

――プリコグ――

泉「プリコグ……プリコグネーションのこと? 予知、予測だったかしら」

泉「予知夢……随分タイムリーなページ」

『ようこそ、予知夢の入り口へ』

泉「えっ?」

『あなたは多分、最初で最後の閲覧者?』

『少し、お話したいな』

泉「これ、チャットってことでいいのかしら?」

Izumin『あなたは誰?』

ELLIE『HN.ELLIE。よろしくおねがい、します?』

泉「エリー? 聞きおぼえが有る気がする」

Izumin『私はあなたを知っている?』

ELLIE『それもそのはず? ここはあなたの予知夢の入口だから』

泉「?」

Izumin『それはどう言う意味?』

ELLIE『そのままの意味、だよ。私にも分からない。気にしなくていいと思う』

ELLIE『だから私は分かっている。本当は憧れて探していたもの、本当は胸の奥に隠れていたものも』

泉「私の中にあるもの……」

ELLIE『こんな姿?』
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ELLIE『それとも、こんな姿?』
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泉「ぶっ! い、衣装に着られている気が」

ELLIE『そう? 似合っていると思うけど』

Izumin『私はアイドルになりたいの?』

ELLIE『アナタを取り巻く風景は動き出しているよ。関係も少しずつ、廻りだしているよ』

ELLIE『自分だけ置き去りになるって、不安定になっていない?』

Izumin『それは違う、って言えないわ』

泉(置いていかれることが怖い? いや、それよりも)

ELLIE『2人が羨ましい?』

泉(亜子とさくらが羨ましかった。2人はバランスすら取れないような不安定な道のりを選んで行こうと強く決意をしている)

泉(不安だってあるに違いない。それでもきっと巧くいくって、心から信じている)

ELLIE『きっとあなたは知っているはず。ちゃんとはじめから決まってたと』

ELLIE『コンピューターの中には見つからなくても、心の中に溢れている』

泉「遠い昔の」

Izumin『虹色の夢が』

ELLIE『ピンポン。それじゃあここで、一度向き合ってみたら? 自分自身の嘘偽りのない心と』

泉(なんだ、簡単なことじゃない。無理だ無理だって思って前に進めないよりも、どんなに痛みが体を貫いても。2人と一緒に新しい世界に飛び立ちたい)

Izumin『私は生まれ変われるのかな?』

ELLIE『そう思えたのなら、昨日までのあなたとは違う? 鏡を見てごらん?』

泉「あっ」

泉(なんでだろう。いつもと変わらないはずなのに、今までの私じゃない新しい私がそこにいるみたい)

Izumin『私は生まれ変れたんだね』

Ellie『うん。あなたはもう、昨日までのあなたとは違う。ここから先は誰も知らない場所へとつづく道。予知夢へとその向こう側へと抜けていく』

Ellie『あっ、そろそろお別れの時間。多分きっと、もう会うことはない? だから、餞別にこの言葉を送ってあげる』

ELLIE『ハッピーバースデー』

泉「え?」

ELLIE『それと魔法の言葉を教えてあげる。私の作ったおまじない。――』

ELLIE『不安を脱ぎ捨てることができて、なんとなくだけど……巧くいける気が、しない?』

Ellie『じゃあね、バイバイ――』

泉「えっ、待ってーー」




トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タッタッタラ
トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タ


泉「んん……。あれ、私寝ちゃってたのかな」

泉「プリコグなんてサイト、どこにもない。夢だったのかな」

泉「あっ、メールが来ている。亜子とさくらだ」

『イズミン誕生日おめでとう! これからもずっと友達でいようねぇ!!』
『誕生日おめでと! イズミの時間に届いとるかな? 明日ポッキー持ってくで!』

泉「あっ、もう日付が変わっていたんだ」

11月11日 1:23

泉「イズミの時間ってそういうことね。ズが強引な気もするけど」

ELLIE『アナタはもう、昨日のアナタとは違う』

泉「歳が1つ違っただけなのにね。でも……」

泉「トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タッタッタラ・トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タ」

泉(その言葉に意味はない。だけど意味をつけるとするなら、生まれ変わるための魔法のようなプログラム)

泉「Hallo World。こんばんは、新しい世界」

泉「2人とも、驚くかな」

泉(いや、きっとこう言うだろう)

亜子「分かってたって!」

さくら「うん! イズミンなら一緒に来てくれるって、信じてたもん!」

泉(ほらね。最初からそのつもりだったんだから)

泉「ふふっ。これからも宜しくね、2人とも」

亜子「よーし!! この戦国時代に新たな波を起こすでー!!」

さくら「ざっぶーんと行こうよぉ!」

泉「New Waveだね」

亜子「となると、事務所のオーディション受けに行かないと! どの事務所にしよかな」

さくら「イズミン良いアイデアない?」

泉「それなんだけど、この事務所とかどうかな――」

泉(これから何があるかわからない。だけど3人ならば、どこまでも行けるはず)

泉「ハッピーバースデー、私たち」




トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タッタッタラ
トゥルタラ・タッタッタ・リッタ・トゥルタラ・タ


「昨日、変な夢を見たの」

「夢?」

「私はチャットをしていた。相手が誰かは分からないけど、向こうの思っていることが手に取るように分かったの」

「あなたの夢と、誰かの夢がつながったってこと?」

「かもしれない? 凄く不思議な夢だった。私は何かの役を演じていて、自然とセリフが浮かんできた」
「きっと相手は、昔の私みたいな子だったのかな? それとも、いつか起きる予知夢なのかも」

「昔のあなたみたいな子、ね。巧くいくんじゃないかしら?」

「ハッピーバースデー」

「えっ? 今日ってだれかの誕生日だっけ?」

「ううん、なんとなく言いたくなったの。行こう、尾崎さん」

尾崎「変な絵理ね」

絵理「ふふっ。頑張れ、どこかの誰かさん?」



http://youtu.be/RvOve2kZcRk

短いけどこんなもので。こっから先は特に考えてません
中の人のスケジュール的にムリが有るだろうけど、876の3人もまた復活して欲しいなと思ってたり

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