榊原「今日はホワイトデーか」(182)

榊原(バレンタインの時には自分が見崎にあげたけど)

榊原(一応本命のつもりで見崎も『返事はホワイトデーの時に』と言ってたけど大丈夫かな……)

赤沢「恒一君、おはよう」

榊原「おはよう。あっ、ちょっと待って」ガサゴソ

榊原「これ、バレンタインの時のお返し。え~と、その…義理で済まないけど」

赤沢「ありがとう。(まあ予想はしてたけど、やっぱりハッキリ言われるとキツいものがあるわね)」

勅使河原「なるほど~。これで俺も大手を振って泉美にアタックできるというわけだ」

赤沢「ハァ?何言ってるのあんた」

赤沢「仮に私が恒一君と付き合えなかったとして、なんであんたなんかと付き合えることになるわけ?」

赤沢「だいたい下の名前で呼ばないでよ馴れ馴れしい」

勅使河原「お前だってサカキのこと名前で呼んでるじゃないか」

赤沢「それは苗字で呼びたくない理由が……」

ギャーギャーワーワー

榊原(また始まった……案外この二人お似合いなんじゃないか?)

望月「勅使河原君もそういう事を言うくらいなら、プレゼントくらい用意してあるの?」

勅使河原「いいや?俺はバレンタインの時に赤沢から何ももらってないからな」

榊原&望月(ダメだこりゃ)

赤沢「そんな甲斐性なしだから、あんたはモテないのよ。少しは恒一君を見習いなさい」

勅使河原「お、俺はそういうプレゼントに頼るようなやり方じゃなくて純粋に俺の魅力をだな……」

ガラッ

榊原「おはよう、見崎」

見崎「おはよう、榊原君」

見崎「榊原君、先に確認しておきたいんだけど」

榊原「何?」

見崎「今日の午後ってあけてあるよね?」

榊原「うん」

勅使河原「お?なんだ?デートの約束か?」

見崎「ちょっと違うけど」

望月(え?違うの?)

見崎「と、とにかくあいてるならそれでいいの」

榊原「う、うん」

ガサゴソ

見崎「あとこれ、バレンタインのお返し」

見崎「手作りはうまくできなかったから既製品だけど。あと……」

見崎「義理でごめんなさい」



「「「「え?」」」」

榊原「あ……いや、うん。ありがとう」

榊原(あれ?これって)

赤沢(もしかして恒一君……今、見崎さんにフラれたの?)

勅使河原(これは予想外の展開!)

望月(おかしいな……てっきり二人は相思相愛だと思ってたけど)

見崎「じゃあ、そういうことで」スタスタ

榊原「…………」

赤沢「……」

勅使河原「まあ、その…なんというかドンマイサカキ」

望月「……見崎さんってあんまり恋愛とか興味なさそうだしね」

望月「別に嫌われてるわけじゃないと思うから、そんなに落ち込まないほうが」

赤沢「そ、そうよ。まだ終わったわけじゃないわ。だから元気出して、恒一君」

赤沢(……って何励ましてるのかしら、私は。むしろこれはチャンスなのに)

望月(でもこの落ち込みようは……)

勅使河原(見崎じゃないけど、顔が……白い…)

榊原「……うん、僕は大丈夫だから。そろそろHR始まるし、みんなそろそろ席についたほうが」

勅使河原「サカキ……時間10分間違えてるぞ」

榊原「えっ?……あっ……そうだったね」

望月(これは結構重症かも)

【昼休み】

見崎「榊原君」

榊原「……」ボーッ

見崎「榊原君!」

勅使河原「お~いサカキ、愛しの鳴ちゃんが呼んでるぞ。返事してやれ」

榊原「え?あ……ごめん……何?」

見崎「今日は屋上……行かないの?」

榊原「……今日は教室で……いいよ」

見崎「…そう」スタスタスタ

榊原(あれ?見崎の様子はいつも通りだ……)

榊原(これは……逆にいえば自分は男としては全く意識されてなかったってこと?)

榊原(そもそも見崎にフッたという自覚があるのかさえ怪しい気も……)

榊原(バレンタインの時は反応いいと思ったんだけどなあ)


…………


赤沢「どう思う?さっきの見崎さんの態度」ヒソヒソ

勅使河原「普段どおりって感じだったが…」ヒソヒソ

望月「あれはかえって残酷な気がする」ヒソヒソ

赤沢「何を考えているのかしら、彼女は…」ヒソヒソ

勅使河原「案外何も考えてない可能性もあるぞ」ヒソヒソ

望月「あながち否定しきれないのが悲しい所だね」ヒソヒソ

勅使河原「まあ…なんだ……今のうちにサカキを元気づける方法でも考えとくか」

望月「そうだね……自分たちの力でどうにかできる問題ではないとはいえ」

赤沢(私から見ても仲が良さそうだと思ったのに……あれではただのクラスメイトのような反応)

赤沢(このまま放っておいていいのかしら……)

【放課後】

勅使河原「なあ、サカキ、そんな落ち込むなって」

勅使河原「振られた者同士、ここはカラオケにでも行ってパァーッとさ!」

望月「そうだね。それに勅使河原君と違って榊原君はまだ見込みがあると思うし」

勅使河原「望月って時々さりげなく酷いこと言うよなあ」

榊原「気、遣ってくれてありがとう。でも今日はそういう気分じゃないんだ。まっすぐ家に帰るよ」

テクテクテク…

勅使河原「おい、サカキ……」

望月「まあ……今はそっとしておこうよ」

赤沢(……)

赤沢(これじゃあ……恒一君が可哀そうだわ。ちょっと見崎さんに言ってやらないと)

【教室】
ガラッ

赤沢「見崎さん…ちょっと話が」

見崎「…何?私ももう帰るところだけど」

赤沢「あなた、何故恒一君のこと振ったの?てっきりあなたは彼のこと好きだと思っていたけど」

見崎「私……榊原君を振ってなんかいない」

赤沢「え?」

見崎「……まあ、仕方ないか」

見崎「誰にも言わないつもりだったけど……

…………………………………………

【恒一の家】

榊原(……何がいけなかったんだろう)

榊原(……本当はもしかしてバレンタインの時にプレゼントを用意してたとか)

榊原(でも僕があげちゃったから、渡すタイミングが……)

榊原(いや、でもそんなことで)

榊原(単なる自意識過剰だったのかな……)

榊原(自分に対する態度が他の人とは違うだけで、別に僕のことが好きだったというわけではないのかもしれない)

榊原(望月が言うように……嫌われてるわけではないと思うけど)

榊原(う~ん……)

コンコンコン

怜子「恒一君、恒一君。電話よ」

榊原「……誰から?」

怜子「同じクラスの見崎さんって子から」

榊原「え!?」

怜子「早く出なさい、女の子を待たせるもんじゃないわ」

榊原「は、はい」

……

榊原「もしもし……見崎?」

見崎「うん。最初は榊原君の携帯にかけようと思ったんだけど……よく考えたら私は番号を知らなかったから…家に」

榊原(そういえば、そうだったっけ……でも今日、今さら何か話す用事なんて)

前のバレンタインのやつの続き?

見崎「榊原君…今日の午後あけておくようにって言ったの、忘れちゃった?」

榊原「……あ」

見崎「…もう。……今から私の家に来てくれる?あと榊原君、何か誤解してるみたいだから」

榊原「う…うん」

見崎「じゃあ、そういうことで。話はその時に…ね」

榊原「…わかった」

…………

榊原「…行ってきます」

怜子「うんうん、健闘を祈りますよ」

榊原「そんなんじゃないって……」

>>28バレンタインの奴って?
【見崎の家】

榊原(とりあえず言われるがまま来ちゃったけど……何の用だろう)

ガチャリ

見崎「どうぞ、中へ」

榊原「お…お邪魔します」

榊原(ん?この匂いは……)

見崎「とりあえず、私についてきて」

スタスタスタ

【ダイニング】

見崎「榊原君、紅茶でいい?……まあ毎回そうなってるけど」

榊原「うん」

バレンタインに恒一くんが鳴ちゃんにチョコ上げる奴があったからそれの続きかと思った
違うっぽいな、すまん

…………

見崎「…どうぞ」

榊原「あれ?今日は缶じゃないんだ。珍しいね」

見崎「まあ……さすがにアンバランスになると思って」

榊原「?」

見崎「ちょっと待ってて。今持ってくるから」

見崎「もう匂いでわかってると思うけど……はい」

榊原「!……このクッキー見崎が焼いたの?」

見崎「そう」

見崎「やっぱりこういうものは……出来立てが一番美味しいから」

榊原「そ…そうだね」

>>35あれよく読むと完結してるんだよね……アイディアだけ借りた感じ


見崎「じゃあさっそく、はい…あーん」

榊原「!」

見崎「ほ、ほら…早く口あけて……私も…は、恥ずかしいから」

榊原「う、うん……あーん」パクッ

見崎「…どう?」

モグモグ
榊原「…美味しい。すごく美味しいよ。お店で出せそうなくらい」

見崎「ありがとう。……そ、そこまで褒めてもらえるとは思ってなかった」カァァ

見崎「そ、それで……このクッキーの意味とか色々私が言うべきこともあるけど」

見崎「…榊原君も訊きたい事あるだろうから……そっちから質問してくれる?」


榊原「そ、そうだね。ま……まず最初に訊きたいのは」ゴクリ

榊原「……僕はその……見崎さんに振られたの?」

見崎 「!……」フルフル

見崎「振ってない。むしろ、これが……このクッキーが本命のプレゼント」

榊原「え…あ、そ、そうだったんだ。ああ…そうだったのか…そうだったのか…」ポロポロ

見崎「!さ、榊原君、泣いてるの?」

榊原「!え?あ、いやなんか安心したら涙が……」

見崎「…はい、ハンカチ」

榊原「……ありがとう」

……

見崎「少しは落ち着いた?」

榊原「……うん」

見崎「まだ、他にも訊きたいことあるよね?」

榊原「そうだね。う~ん、まあ殆ど予想はついてるけど最近露骨に見崎の昼食の量が減ってたのって」

見崎「そう……これの練習してたから。正直言って私自身はクッキーが飽きるくらい」

榊原(そんなに作っていたのか……なんか逆に申し訳なくなるくらいだな)

榊原「普段は料理しないって言ってたのに……本当にありがとう」

見崎「榊原君は自分で料理するくらいだから舌も肥えてるかな、と思って」

見崎「前にもらったお弁当もすごく美味しかったし」

榊原「……なんか意外だな。見崎って手作りのプレゼントとかあまり興味なさそうな感じがするから」

見崎「そうかも。でも今回の場合は先にもらっちゃってるし」

榊原「だから……だから学校で先に既製品の物もらった時も違和感なかったんだ」

見崎「それで……ごめんなさい。結果的にあんなに落ち込ませちゃって」

榊原「いや、まあ…誤解は解けたからもういいんだけど……なんであの時はわざわざ義理なんて言ったの?」

見崎「それは……学校で告白するのは…ちょっと恥ずかしかったっていうのと……」

見崎「あと榊原君を驚かせたかった……んだと思う」

見崎「結局、義理チョコとかっていうのは……これは私の考えだけど…世間体のためにあると思うから……」

見崎「…だから学校とか会社で渡す必要があるわけ」

見崎「本命は、それとは違ってその当事者だけ知ってればいいかな、と思って」

見崎「だから学校では義理って言ったの。もちろん出来立てを食べてほしいから本命のほうを学校で渡さなかった、というのもあるけど」

見崎「でもそれで榊原君を誤解させてしまって……」

見崎「あの後ね、榊原君は知らないと思うけど、赤沢さんにも怒られちゃった。みんな私が榊原君のこと振ったと思ってたのね」

榊原「そういうことか……見崎はなんというか……意外と人を驚かせるのが好きみたいだね」

見崎「……そうみたい。どうしてこんな事したかは……だいたいわかってもらえた?」

榊原「うん」

見崎「…じゃあ、改めて言います」

見崎「私は……見崎鳴は……榊原恒一君の事が好きです。その……私でよかったらつきあって下さい」

榊原「僕も…見崎さんのことが好きです。だから…うん、つ…つき合おうか」

見崎「つき合おうか……だって」クスッ

榊原「え?じゃ、じゃあ他になんて言えばよかった?」

見崎「あ、いや、いまのはね、別にバカにした訳じゃなくて……嬉しくて笑ってしまっただけ」

見崎「榊原君って……前から思ってたけど面白いよね」

榊原「え~?むしろそれはこっちのセリフだな」

見崎「わ、私って面白いの?」

榊原「意外とね」

見崎「どんなところが?」

榊原「そうだなあ…意味深なこと呟いてると思ったら、ただのカッコつけだったり意外と天然だったりするところ?」

見崎「私は天然じゃない」

榊原「うん、そうだね。本当に天然の人こそ見崎みたいにそうやって否定するの」

見崎「今の榊原君……意地悪。……嫌い」

榊原「いらぬ心配をさせたお返しだよ」

見崎「ご、ごめんなさい」

榊原「いや、もうそれはいいんだ。むしろ今は……すごく幸せな気分だよ」

見崎「私も…………とりあえず話も一段落したし、少し冷めちゃったけどどんどん食べて」

榊原「うん、ありがとう」

榊原「……」モグモグ

見崎「……」モグモグ

榊原「見崎……クッキー飽きたと言ってる割には、結構食べるよね」

見崎「食べるのに飽きたとは言っていない」モグモグ

榊原「そうだっけ?まあいいけど。見崎の食べっぷりって見てて気持ちがいいし」

見崎「……私ってそんなに大食いっぽく見られてるの?…ちょっとショック」

榊原「一応今のは褒めたつもりなんだけどな」

見崎「私は……時々榊原君が私の事褒めてるのか貶してるのかわからなくなる」

榊原「基本的に褒めてると思ってもらえればいいよ」

見崎「そうなの?さっきから天然とか食べっぷりがいいとか言われてるのは気のせい?」

榊原「まあ、そもそも何を言われたのか気にする必要すらないと思うよ」

見崎「何故?」

榊原「そういうところも含めて見崎のことが好きだから」

見崎「……さ…榊原君のバカ」カァァ

榊原「あれ?今度はこっちがバカと言われてしまった。これは気にしたほうがいいのかな」

見崎「気にしたほうがいい。榊原君はバカだもん」

榊原「どんなところが?とりあえず学校の成績は良いほうだと思うけど」

見崎「そうじゃなくて……わ、私に……やっぱりやめとく」

榊原「途中で言いかけてやめるのはなしにしようよ」

見崎「自分で言うのは……自意識過剰みたいで恥ずかしい。違っててもイヤな感じがするし」

榊原「言ってみて?たぶん本当だと思うから」

見崎「榊原君が……バカなところは……その……私に目がないところ」

榊原「うん、確かに見崎は隻眼だしね」

見崎「そう、私は目が片方ない…って、そうじゃなくて…もう……わかってるくせに……榊原君は基本的に私の事見過ぎなの」

榊原「そ、そうなの?」

見崎「ほら、だから自意識過剰みたいで自分で言うのはイヤだってさっき……」

榊原「あ~、いや自覚がなかっただけだと思う……例えばどんな時にそう思った?」

見崎「割と最初に学校で会った時から視線は感じてた。まあ、その時は私は『いない者』だったから仕方ないと思ってたけど」

見崎「二人で『いない者』になった時は、まあ他に喋る相手がいないからその時もあまり気にはしなかった」

見崎「でも、それが解かれても榊原君はずっと私の事を見てた。極めつけは、私が別荘に行ってた時」

見崎「普通、あんな遠くから見つけられないよ。そんな感じで榊原君の視線は今日まであまり変わりはなかった。だから……」

榊原「…私に目がないと。そうかもね。でも、好きな人のほうに視線がいくのは自然なことじゃない?」

見崎「それもそうね……その理屈からいくと……そういえば榊原君に訊こうと思っていたけど、いつから私の事……好きだった?」

榊原「え?…そうだなあ……今から思えば一目ぼれだったのかもしれない」

榊原「ちょっと行動的にもアレだったし……」

見崎「ああ、帰り道に私をつけてた時の事?」

榊原「ハハハ、バレてたの……」

見崎「途中でまいたと思ったから、まさか家までついてくるとは思ってなかった」

榊原「しかし、あの時見崎も僕のことを無視して姿を見せる必要もなかったよね?」

見崎「そう言われると……今から思えば……やっぱり私も榊原君と話したかったんだと思う」

見崎「私の家に来る人もあまりいないしね……」

見崎「だからあの後学校で話しかけてくれたとき……災厄の対策としてはダメだけど……本当は嬉しかった」

榊原「うん…」

見崎「これは榊原君と出会うまで、あまり自覚はなかったんだけど……私は本当は他の人と色々お喋りしたいのかもしれない」

見崎「あの時は……未咲が…死んじゃって……誰も話す相手がいなかったから」

榊原「……」

見崎「……」

見崎「ごめんなさい……しんみりしちゃって。せっかくのホワイトデーなのに」

榊原「ううん、むしろ見崎が話したい事話してくれた方がありがたいよ」

見崎「ありがとう」

榊原「それと、クッキー御馳走様」

見崎「ど、どういたしまして」

見崎「…ちょっと片づけてるから、先に私の部屋に行っててもらえる?」

榊原「…わかった」

…………

【鳴の部屋】

榊原(何度か来てるとはいっても、改めて恋人になったせいなのか緊張するなあ)

榊原(絵が少し置いてあるけど、やっぱり上手い)

榊原(お母さんの絵は家に持って帰っていたのか)

榊原(いちおうこれは完成……してるんだよね?)

榊原(切り裂かれてるのも含めて作品……なのか?)

榊原(……)

榊原(?……この机の上にあるのは)パラパラ

榊原(!……)

ガチャリ

榊原「!」サッ

見崎「…待った?」

榊原「い、いや全然。全然待ってないよ」

見崎「?……榊原君」

榊原「……はい」

見崎「後ろ手に何を隠しているの?」

榊原「……ご、ごめん。勝手に見て。返すよ」スッ

見崎「……そうか、榊原君はこれを見たんだ」

榊原「ごめんなさい」

見崎「……まあ見られたものは仕方ない。ちゃんとしまっておかなかった私も悪いか……」

見崎「……で。どう思った?」

榊原「え?えーと……見崎は相変わらず絵が上手いなあって」

見崎「そ、それだけ?気持ち悪いとか思わなかった?」

榊原「いや、別に」

見崎「そう……それならいいんだけど」

榊原「さすがに最初は自分の顔ばかり描かれてるの見た時は少し驚いたけど」

見崎「……誰にも見せるつもりなかったんだけどな、このスケッチブックは」

見崎「……なんだか頭の中覗かれるみたいで恥ずかしい……」

榊原「それって暗に『自分は榊原君の事ばかり考えてる』って事を言ってるような」

見崎「!……え、あ、いやそういうつもりじゃ」カァァ

榊原「……大丈夫だよ、見崎。恥ずかしがらなくても」

見崎「?」

榊原「……同じだから。僕も見崎のことばかり考えてる」

見崎「!……な、なんで榊原君ってそういうことサラッと言えちゃうの?」

榊原「まあ……ここには二人しかいないし……それに…」

榊原「僕は見崎の事信頼してるから。だから……何を言っても大丈夫だって」

見崎「……ちょっと……買いかぶり過ぎじゃない?」

榊原「そう?ある程度人を見る目はあると思ってるよ」

見崎「……じゃあ、自分の事買いかぶり過ぎ……と言った方がいいのかな」

榊原「そうかもね。……そう、時々そうやって辛辣な事言う所も好きだよ」

見崎「……もう私からは何も言わない」

榊原「え~、僕は見崎ともっと話したい」

見崎「榊原君は沈黙に耐えられないタイプ?逆だと思ってた」

榊原「う~ん、むしろ普段は見崎と無言で会話することが多いから今日はちょっと違うことを、と」

榊原「……まあ見崎が望まないなら話さなくてもいいか」

見崎「そ、それは……榊原君が恥ずかしい事言ったりするから…」

榊原「僕は恥ずかしくないよ」

見崎「それに………私が話したいことって……あまり楽しい話題じゃないし……」

榊原「!……」

見崎「…出来れば……出来ることなら二人で楽しい時間を過ごしたい……だから…」

榊原「聴くよ。見崎が話すのを望むなら。……それがどんな話でも」

見崎「あ、ありがとう」

見崎「……いいの?たぶん気分が良くなる話じゃないと思う」

榊原「気分の良くなる話じゃなくても、それで見崎の気が楽になるなら……いいよ」

見崎「……榊原君」

榊原「?」

見崎「手、握ってもらっててもいい?」

榊原「…わかった。……こう?」ギュッ

見崎「うん……」

見崎「榊原君の手……温かいね」

榊原(見崎の手は……冷たいな)

榊原(ん?……手が……)

見崎「どうしたの?」

榊原「いや、なんでもない(これは後で言っとかないと……)」

見崎「じゃあ隣に座って」ポンポン

榊原(え?いいの見崎のベッドに)

見崎「椅子は一つしかないから、ほら」

榊原「う、うん」

………………………………

榊原「……ということは、あの羽根をつけるって言ってた絵はひょっとして未咲さんがモデルなの?」

見崎「そうかもね」

榊原「……」

榊原「……もっと、一緒にいてあげれば良かった……僕は卒業したら東京に帰るっていうのに」

見崎「!……ううん、大丈夫」

見崎「私は…榊原君に出会えたことで、もちろん榊原君の事もだけど……自分の事も前よりは分かるようになったから……だから……」

榊原「……前に見崎は、結局人はひとりとか……つながってないほうが安心とか言ってたけど……」

榊原「…その……たとえひとりでも……つながってなくても……ずっと僕は……榊原恒一は…いるから…」

見崎「うん」

榊原「だから……もしひとりが嫌になった時は……つながりたい時は……いつでも呼んで。すぐ行くから」

見崎「…ありがとう。榊原君も、もしそうなったらいつでも私は……」

榊原「うん」

見崎「…ごめんなさい。本来は榊原君がゲストなのに、こっちばかり話しちゃって」

榊原「いいよ。僕も前より見崎の事よく分かるようになったし」

見崎「それでね……お詫びというわけではないんだけど…」

榊原「?」

見崎「夕食もうちで食べていかない?」

榊原「え?」

榊原「いや、さすがに悪いよ。家族も帰ってくるでしょ?」

見崎「今日は私以外外食で夜遅くにしか帰らない」

見崎(…さすがに出払っててもらってることは榊原君には黙っておこう)

榊原「いや見崎はそれでいいかもしれないけど……うちのことは」

見崎「大丈夫。怜子さんに電話した時、私の家で夕食を食べることも言っておいたから」

榊原「そうだったの!?……わかった」

見崎「クッキーと違って、私の手作りじゃないけど……いい?」

榊原「さすがにそこまで手が回るとは思ってないよ」

榊原(怜子さんに手を回してるのには驚いたが)

榊原(見崎って口で何かをアピールすることはあんまりないから忘れがちだけど、妙に積極的な行動とる時あるよなあ……)

見崎「じゃあ、そういうことで。温めるだけだからそんなに時間はかからないと思うから、上で待っててね」

榊原「うん」

ガチャッ パタパタパタ……

【ダイニング】
見崎「またしても匂いでわかってると思うけど、これ……おばあちゃんの作ってくれたカレーね。榊原君の口に会うといいけど」

榊原「ありがとう」

榊原(見崎があのおばあちゃんに頼んでる所を想像すると、口角が上がるなあ)

見崎「…じゃあ」

見崎&榊原「いただきます」

パクパク

見崎「どう?ほいひい?」パクパク

榊原「美味しいよ。これも見崎がおばあちゃんに頼んでくれてんだよね。ありがとう」

見崎「!……ウグッ…グッ」

榊原「だ、大丈夫?今水を……」サッ
ゴクゴク
…ゴクリ

見崎「ふぅ…大丈夫」

榊原「そんな早く食べるもんだから」

見崎「…榊原君が変なこと言うから。これは…余っただけだから」

榊原「ふ~ん……でも先に怜子さんに電話して伝えておいたって事は、見崎にとってこの予定は折り込み済みだったって事だよね?」

榊原「わざわざゲストに余りものを食べさせようと思ったの?」

見崎「ち……ちがう。ほら…カレーって寝かせた方が美味しくなるでしょ?そ、そういうこと」

榊原「まあ実際寝かせてあるみたいだし、そういう事にしておこうか」

見崎「そうそう」

パクパク
モグモグ

榊原「…見崎もクッキー食べてたけど、そんなにお腹空いてた?」

見崎「……料理したり、喋ったり、普段やらないこと色々やってて疲れたのかも」

榊原「…そっか」

パクパク
モグモグ

榊原「ふぅ……ごちそうさま」

見崎「お粗末さま」

見崎「…じゃあ私は洗いものしてるから、そっちのソファでくつろいでて」

榊原「僕も手伝うよ。ごちそうしてもらってばかりじゃ悪いしね」

見崎「!…ううん、いいの。これは私の仕事だから」

見崎「!…ううん、いいの。これは私の仕事だから」

榊原(一応他にも手伝いたい理由はあるんだけど……)ジーッ

見崎「(視線が…)…じゃあお皿拭くのだけお願いしようかな」

榊原(あ…そっちの仕事になってしまったか。まあ仕方ないか)

榊原「…わかった」

見崎「?」

ジャーッ
ゴシゴシ

榊原(やっぱり思ってた通りか……”料理”はしない、か)

見崎「どうしたの?……なんかジロジロ見られるとやりにくい……」

榊原「ん~、なんでもないよ。…これを拭けばいいんだね?」

見崎「お願いします」

榊原「……なんだかこうしてると」

見崎「…?」

榊原「夫婦みたいだね」

見崎「!」スルッ
バーンッ
榊原「あっお皿が」

見崎「…シンクの中だったから……平気」

見崎「……榊原君」ジロッ

榊原「は、はい!」

見崎「喋るのは後にしよう?ね?」

榊原「はい……(さすがに睨まれると怖いなあ)」

…………
見崎「ふぅ……さっきのアレはともかくとして……ありがとう、手伝ってくれて」

榊原「(アレって…)……ど、どういたしまして」

見崎「今日の榊原君……口が暴走してる」

榊原「ハハハ……そうかも」

榊原「まあ、そういう見崎も結構体が暴走してるような」

見崎「ほ、ほら……すぐそういうこと」カァァ

榊原「ん?……今は顔が暴走してる。見崎の顔、真っ赤」

見崎「!」

榊原「……とりあえず、そっちのソファに座って話そうか」 見崎 コクコク

見崎「……」

榊原(何も顔を手で隠さなくても……)

榊原「……ちょっと訊きたいことがいくつかあるんだけど、いいかな」

見崎「……ヘンなことは訊いたらダメ」

榊原「洗いものの話だから、安心して顔見せて」

見崎「…………わかった」

榊原「さっき見てた感じだけど、手慣れてるよね手つきが」

見崎「そう?」

榊原「そう。料理はしなくても洗い物はしてるの?」

見崎「最近だけ、ちょっとね」

見崎「……交換条件だったの。私がおばあちゃんにクッキーの作り方を教えてもらう代わりに、私が洗いものをやってたの」

榊原「なるほど…(…どおりで……クッキー作るだけでああはならないよな)」

見崎「……なんでそんなこときいたの?」

榊原「見崎……自分の手を見てなんとも思わない?」

見崎「え?まあ……ちょっと荒れてるけど、水仕事してたらこんなものでしょ」

榊原「そう?普段から時々洗いものする僕の手と比べても?」

見崎「…私の手の方が荒れてるね」

榊原「荒れてるね……じゃなくて……なんというか見崎は自分のことにもうちょっと気を遣うべきだよ」

見崎「うちは母親が手仕事ってのもあるから、そのせいじゃないかな」

榊原(絶対違うと思う)

榊原(母親に原因が全くない……とは言い難いが)

見崎「……今までそういう事を指摘してくれる人がいなかったからなのかな」

榊原「…そうかもしれないね」

榊原「さっき話をした時も思ったけど……体じゃなくて心のことも同じかな?一見平気で鈍感そうだけど」

見崎「実は違う、と?」

榊原「うん。だから、僕は見崎の事が時々心配になる」

見崎「…榊原君は私の事心配してくれてるの?」

榊原「当たり前だよ!」  見崎 ビクッ

榊原「…そんなの当たり前じゃないか……今は、その、一応彼氏でもあるんだし」

見崎「……」

榊原「……と、とりあえず僕の言いたいことはわかってもらえた?」

見崎「はい……」

見崎「榊原君……これからも……そういうことがあったら、指摘してくれる?そうしてもらえると私は嬉しい」

榊原「もちろん」

榊原「……じゃあ見崎もわかったところで、さっそく実行に移そうか」

ガサゴソ

見崎「?」

榊原「今日はたまたまこういうものを持ってるからね」

見崎「ハンドクリーム?」

榊原「そう。使ったことないでしょ?こういうの」

見崎「使ったことない」

榊原「やっぱり……だから、今から塗ろうか」

見崎「い、今から?」

榊原「どうせ後から塗れって言っても塗らないでしょ、たぶん」

見崎「…(あながち否定できないところが辛い)

榊原「ほら、手を出して」

見崎「こ、こう?」スッ

榊原「そう。そのまま……(あんまり残ってないからなかなか出ないな)」

グリュッ
「「あ」」
榊原「ごめん、ちょっと出し過ぎた……」

見崎「じゃあこうしよう」スリスリ
榊原「!」

見崎「これはもともと榊原君の持ち物だから……どのみち塗るんでしょ?」

榊原「それは、まあ……」

見崎「じゃあ、一緒に塗ろう」

榊原「うん…(…あれ?なんか恥ずかしいかも。何でかは分からないけど)」

……

スリスリ
モミモミ
……

見崎(榊原君の顔が赤くなってる……かわいい)

見崎(意外とこっちから押せば……もしかして弱い?)

見崎(今日は今まで散々からかわれたから……)

見崎「恒一くん」   ビクッ

見崎「どうしたの?恒一くん。そんなに驚いて」

榊原「え!?いや……急に名前で呼ばれたから」

見崎「私たち、もう恋人同士なんでしょう?」

榊原「う、うん」

見崎「私の事も名前で呼んでほしいな」

見崎「夫婦になるのに苗字で呼んでたらおかしいもんね」

榊原「!?」ガタッ

見崎「……それともさっきの『夫婦みたいだね』ってのはウソだったの?ウソだとしたら私は」
榊原「ウ、ウソではないけど、あれは比喩って言うか……悪かったよ」タジタジ

見崎「ううん、恒一くんは何も悪くないよ。むしろそう言ってくれて嬉しかった」

榊原「そ、それはどう、いたしまして」

見崎「だから……ね?ほら、座って」

榊原(何だこの上目づかい、なんか色々とヤバい)

見崎「ほらほら、早く」

恒一「め、鳴」

鳴「やっと呼んでくれた。ありがとう恒一………………大好き」

恒一「だ!?……う、うん、僕も……」カァァァ

鳴「僕も?何?口に出さないと分からないよ?」

恒一「ぶ、文脈で分かるでしょ…」

鳴「そう?私は比喩も分からなかったバカな女らしいから……ハッキリ言われないと伝わらない」

恒一「そ…そうだったね」ゴクリ

恒一「……………………大好きだよ、鳴」ボソッ

鳴「……ごめんなさい、よく聴こえなかった。もう一度言って?」

恒一「な!?見崎、じゃなくて鳴……わざとやってるでしょ」カァァ

鳴「何が?あ、それとも私の言ったことよく聴こえなかった?私は恒一くんのことが大好」
恒一「あ~~もう!わかったよ、見崎……鳴の気が済むまで言うよ。鳴。大好きだよ。これで聴こえたでしょ?」

鳴「うん。でも、ちゃんと聴こえたからもういいよ」

恒一「あれ…?」グッタリ

鳴(……ちょっと休ませてあげるか……)

恒一「……」

鳴「……」

恒一「……」

…………
鳴「ところで恒一くん?」

恒一「ん?」

鳴「フフ、呼んでみただけ」

恒一「ありゃ」

鳴「……恒一くん?」

恒一「また呼んでみただけでしょ?」

鳴「今度はそうじゃなくて……えーと」

恒一「?」

鳴「……もう、そろそろ帰るよね?」

恒一「え?え~と……えっ!?もうこんな時間なの」

鳴「そう。だから……最後にひとつお願いしてもいい?」

鳴「わ、私の事……ギュッて…して?」

恒一「そ、それは……抱きしめるという事?」  鳴 コクリ

恒一「こ……こうかな?」ギュッ

鳴「うん……」

恒一(鳴の匂いがする…………やっぱり華奢だなあ……な、なんというか庇護欲をそそられるんだよなあ、鳴って…)

鳴(……意外と恒一くんの体……がっしりしてる……これ……クセになりそう……気持ちいい…)

恒一「……」

鳴「……」

恒一「……」

鳴「……」

……

鳴「…そろそろいいよ」

恒一「うん…」

鳴「…………まだ、してたかった?」

恒一「しょ、正直言うとね……」

鳴「わ、私もね……でも、今日はこの辺にしとこっか」

鳴「ちょっと私の胸に手をあててみて?」

恒一「!?」

鳴「ま、真ん中の部分ね」

ピタッ

恒一(す、すごい……こんなに早く……鼓動が)

鳴「ね?ドキドキしてるでしょう。だから、あんまりやり過ぎてもね」

恒一「そ、そうだね」

鳴「恒一くんのも触っていい?」

恒一「え?胸を?」

鳴「そう」

恒一「う、うん」

鳴「……じゃあ触るね?」

恒一「!……手をあてるんじゃないの?」

鳴「耳で胸を触ってるの。手で触るとは言ってないでしょ?」

恒一(め、鳴の顔が僕の胸に……)

鳴「恒一くんもドキドキしてる」

恒一「…そりゃそうだよ…」

…ドクンドクンドクン…

鳴(心臓の音を聴くっていうのも悪くないかも……)

鳴「……」

恒一「……」

鳴「ねえ」

恒一「は、はい」

鳴「ちょっと手を握ってもらってもいい?」

恒一「?うん……あれ?」ジトッ

鳴「……私がこうなってるの……珍しいでしょ?」

恒一「そうだね。鳴ってあんまり汗かかなそうなイメージあるから」

恒一「……こうやって手を握ればお互いのドキドキが分かるね」

鳴「そうね」

恒一「……」

鳴「……」

…………

恒一「……そろそろいいかな?」

鳴「うん…私の家族も帰ってきちゃうしね」

恒一「別に隠すような事しなくてもいいのに」

鳴「そうだけど……今日は二人きりでいたかったから……」

恒一「…そっか」

恒一「じゃあ、お義父様にご挨拶とかはまた今度って事で」

鳴「ご挨拶って………うん。また今度、ね」

【玄関】

恒一「もう遅いし、真っ暗だから送らなくていいよ」

鳴「そう?」

恒一「…今日は……なんというか……色々あり過ぎて一言では表せないけど……今までで一番幸せな日だったと思う」

鳴「ありがとう。私も……そう…だと思う」

恒一「明日になったら誤解を解いておかないとね。勅使河原や望月にはいらぬ心配をかけてしまったし」

鳴「うん……あ……赤沢さんには帰るときに私が説明したから改めて話す必要はないと思う」

恒一「……なんか赤沢さんにも悪い事したような気がするなあ。やっぱり明日謝ったほうが」

鳴「それはやめてあげて(それじゃかえってキズを……)」

恒一「わ、わかった」

恒一「じゃあ、また明日。学校で」

鳴「……あともう一つあげるものがあるんだった」

恒一「え?そうなの」

鳴「だからちょっと目をつぶってて」

恒一(なんだろう……)

スルッ




チュッ

恒一「」

鳴「……あ、あんまりジロジロ見ないで……こっちも恥ずかしい」

恒一(顔が真っ赤だ……あ)

恒一「でも、顔を手で隠されると鳴の左目も見えないよ」

鳴「……今日は眼帯取るのも忘れてたから」

恒一「うん、キレイだ…………………鳴、大好きだよ」

鳴「私も……恒一くんの事が大好き」

恒一「……その……さっきも言ったけど……」

鳴「……つながりたくなったら呼ぶ、でしょ?」

恒一「そうそう」

鳴「恒一君も、ね?」

恒一「うん」

…………

【翌日】

恒一「鳴」

鳴「恒一」

恒一「鳴」

鳴「恒一」

望月「……これはいったいどういう状況なの?」

勅使河原「さっきサカキに聞いたところによると――――ということらしい」

望月「へぇ~見崎さんもなかなかやるね。そりゃ榊原君もメロメロになるわけだ」

望月「しかし意外なのは、赤沢さんがそれほど落ち込んでいないところだね」

勅使河原「……赤沢は昨日の段階で見崎に事情を問いただして先に知ってたからなあ」

勅使河原「まあ……あと昨日のサカキの落ち込みっぷりを見てやっぱり彼には彼女がいないとダメだと思ったらしい」

勅使河原「ちなみに失恋の涙は昨日で涸れたと、さ」

望月「そうだったんだ……ん、噂をすれば」

赤沢「恒一君、見崎さん」

恒一&鳴「はい?」

赤沢「ふ…不幸になったら許さないからね!」

恒一&鳴「「はい!」」

勅使河原「泉美、俺で良かったらお前のことを幸せに……」

赤沢「黙れ!」ゲシッ ドカッ バキッ

望月(これはこれでアリだと思うんだけどな)

恒一「鳴」

鳴「恒一」




……「「大好き」」




Another White Day  ―おわり―





 最後まで見てくれてありがとう。二人のイチャイチャを書きたいだけの割には長くなり過ぎた。
原作未読で時系列とか適当でスマン

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