恒一「見崎って天然だよね」鳴「え?」(819)

鳴「天然?」

恒一「そう、天然。見崎って意外と無防備だし、無邪気だし……」

恒一「あ、あと地味にイタズラ好きなとこもあるよね」

鳴「……子供っぽいってこと?」

恒一「まあそうとも言えるかな」

鳴「……そんなことない。私、子供じゃないもの」

恒一「そうかなあ……」

鳴「そうなの」

恒一「でもこの間旧校舎で松永さんの残した手がかりを探してたときさ」

鳴「?」

恒一「見崎、大丈夫とか言いながら危うく怪我しかけたじゃないか」

鳴「あれはちょっと油断してただけ」

恒一「それに僕らが探してるあいだ、ちょっと遊んでたよね? コンパスいじったりポンポンを頭につけてみたり」

鳴「……なんで、そんなに私のこと見てるの?」

恒一「危なっかしくてつい目がいっちゃうんだよ……」

鳴「……ちょっと過保護すぎると思うわ」

恒一「保護されてる自覚はあるんだね」

鳴「……っ!」

鳴「言葉のあやよ。そういう揚げ足取る人、嫌い」

恒一「あ、ごめん。別にそういうつもりで言ったんじゃ……」

鳴「それじゃ私こっちの道だから。さようなら」タッ

恒一「あっ見崎! 急に走るとあぶな――」

鳴「きゃっ!」ビタン

恒一「……」

鳴「……」

鳴「……」スクッ

恒一「……見崎、大丈夫? 盛大に転んだけど」

鳴「……平気」ポンポン

恒一「ちょっと涙目になってるじゃないか……あーあ、膝すりむいちゃってる」

鳴「このぐらいの傷、どってことない」パッパッ

恒一「駄目だよ。ばい菌が入ったら大変だって」

恒一「あそこの公園に水道あるからそこで傷口洗おう?」

鳴「……」

恒一「ね?」

鳴「……うん」

~公園~

恒一「じゃあ靴下脱いで足出して」

鳴「うん」

恒一「ちょっと沁みるかもだけど我慢してね」キュッキュッ ジャー

鳴「つっ……!」

恒一「やっぱりしみる?」

鳴「……へ、平気っ」プルプル

恒一(……また涙目になってる)

鳴「……ま、まだ?」

恒一「うん……まあこんなもんでいいかな」キュッキュッ

恒一「それじゃちょっとベンチで座って待っててくれる? 消毒液と絆創膏買ってくるから」

鳴「そこまでしなくてもいい」

恒一「駄目だよ、もし化膿したら大変じゃないか」

鳴「でも……」

恒一「いいから。すぐ戻ってくるからちゃんと待っててよ?」タッ

鳴「あっ……」

恒一(今度から消毒液とか常備しとこう……)タタタタ…

鳴「……」

鳴(行っちゃった……)

鳴「……」

鳴「……」

鳴「……」

鳴「……榊原くん、まだかな」

鳴「……」

鳴「……」

鳴「……」

鳴「……あ、ちょうちょ」

鳴「……あっ」

恒一「見崎、お待たせ」

鳴「榊原くん、遅い」

恒一「ごめんごめん、ついでに包帯とか湿布も買ってたら遅くなっちゃって」

鳴「? なんでそんなものを?」

恒一「(見崎に)何があっても大丈夫なようにね」

鳴「榊原くんって心配症なんだね」

恒一「まあ災厄のこともあるし、色々と(見崎が)心配だから」

鳴「ふーん……」

恒一「それじゃ手当するからまた足出してくれる?」

鳴「うん」

恒一「消毒液を脱脂綿に浸らせて、と……沁みるけど我慢してね」チョンチョン

鳴「んうっ……!」ビクッ

恒一「あっ、こら、動いちゃ駄目だって」

鳴「……だって」

恒一「まったく……消毒はこんなもんでいいかな」

恒一「絆創膏は安かったからこれ買ってきたんだ」ガサゴソ

鳴「あ、うさぎさん可愛い……」

恒一「それじゃ貼るね」

鳴「うん」

恒一「これでよし、っと」

鳴「ん……ありがと、榊原くん。絆創膏代とか出すね」

恒一「いいよこのぐらい」

鳴「でも……」

恒一「いいからいいから」

鳴「むぅ……」

赤沢「対策会議してたらもうこんな時間ね」テクテク

杉浦「そうね……って、あれ?」テクテク

赤沢「どうかした?」

杉浦「ねえ、あそこにいるのって見崎さんじゃない?」

赤沢「え?」ピタッ



恒一「ついでに正露丸も買っといたよ」

鳴「私この臭い嫌い……」

恒一「そう? 僕は結構大丈夫だけど」

恒一「折角だから少し公園で休んでこっか」

鳴「うん」



赤沢「なんで公園なんかに……」

杉浦「あの二人仲良いものね……どうする? さっさと帰る?」

赤沢「……いえ、偶然あったクラスメイトを無視するのも悪いし声かけに行きましょう」

杉浦「はいはい」

杉浦(……わかりやすいなあ)

恒一「じゃあ何か飲み物でも――」

赤沢「こ、恒一くん!」

恒一「え? あれ、赤沢さん。それに杉浦さんも」

赤沢「こんなところで奇遇ね」

杉浦「公園の近くを通ったらたまたま見かけたの」

恒一「そうなんだ?」

鳴「……」

杉浦「見崎さんもこんにちは」

鳴「うん」

赤沢「二人とも、こんなところでなにしてるのかしら?」

恒一「ああ、見崎が転んで怪我しちゃってさ、その手当をしてたんだ」

赤沢「へえ、そうなの?」

恒一「そうなんだよ、見崎ってば落ち着いてるようで危なっかしくって……」

鳴「……榊原くんっ」

恒一「え? なに?」

鳴「恥ずかしいから、余り人にそういうこと言わないで……」ムスッ

恒一「あっ、ご、ごめん見崎……」アセアセ

鳴「もう……」

恒一「ごめんってば、謝ってるじゃないか」

鳴「大体榊原くんは私のこと心配し過ぎなの」

恒一「そうは言っても、心配にもなるって」

鳴「子供じゃないんだから放っておいて」

恒一「でも……」


ギャーギャーワーワー!


赤沢(……なにかしら、これ? 夫婦喧嘩?)

杉浦(兄妹喧嘩……いや、親子喧嘩か)

赤沢「……ねえ、ちょっと」

恒一「大体見崎は最初にあったときから……ん? なに赤沢さん?」

赤沢「えっと……こ、こんな所で立ち話もなんだし、とりあえず何処か休めるところにいかない?」

恒一「うーん……そうだね、移動しよっか。見崎もそれでいい?」

鳴「うん、いいよ」

杉浦「ここからならイノヤが近いんじゃない?」

赤沢「そうね、それでいいわ」

恒一「それじゃ行こうか。ほら見崎、手」

鳴「ん」ギュッ

赤沢・杉浦「!!!!?」

赤沢「ち、ちょっと恒一くん……?」

恒一「え? どうかしたの赤沢さん?」

赤沢「いや、どうかしたとかじゃなくて……な、なんで見崎さんと手繋いでるの?」

恒一「なんでって……見崎が転ばないようにだけど」

赤沢「転ばないように?」

恒一「うん。それに今足怪我してるし、万が一があったら大変だから」

赤沢「そ、そう……」

赤沢(正直全く納得できない……)

杉浦(榊原くん、これが素なのかしら……恐ろしい……)

鳴「……ねえ、早く行かないの?」

恒一「あ、ごめんごめん……それじゃさっさと移動しようか」

赤沢「ええ……」

杉浦「……そうね」

恒一「見崎、足もう大丈夫?」

鳴「平気」

恒一「そう、何かあったらすぐ言ってよ」

鳴「しつこい」

赤沢「……」

杉浦「……」

~喫茶店イノヤ~

望月(姉)「ご注文は?」

赤沢「私はコーヒーのハワイコナ・エクストラ・ファンシーで」

杉浦「私は……アイスコーヒーでいいや」

赤沢「そっちはどうする?」

恒一「そうだなあ……見崎はなににする?」

鳴「……私このケーキ食べたい」

恒一「じゃあそれと……飲み物は?」

鳴「紅茶」

恒一「それじゃ、このケーキと紅茶二つで」

望月(姉)「承りました、それじゃちょっと待っててくださいね」

赤沢「……恒一くん、前に私が勧めたコーヒーは?」

恒一「え? あ、忘れてた……」

赤沢「……(なにこの敗北感)」

杉浦「……(ドンマイ、泉美)」

赤沢「……(憐れみの視線向けてくんな!!)」

杉浦「……(別にそんなつもりじゃ)」

恒一(この二人、目で会話してる……仲いいんだな)

鳴(ケーキまだかな……)

鳴「ケーキ遅い……」

恒一「まだ一分も経ってないよ、見崎」

杉浦「……ねえ、榊原くん」

恒一「ん? なに?」

杉浦「前から気になってたんだけど」

恒一「?」

杉浦「榊原くんと見崎さんって付き合ってるの?」

恒一「えぇ!?」

赤沢「!!!?!?!?」

赤沢「(ちょっと!? なに聞いてるのよ!?)」ヒソヒソ

杉浦「(折角の機会なんだから聞いちゃった方がはやいって)」ヒソヒソ

恒一「なんで突然そんなこと……」

杉浦「いいからいいから、それでどうなの?」

恒一「いやいや、付き合ってなんかないよ」

杉浦「へえ、そうなんだ」

赤沢「っ! ……よかったぁ」ボソ

杉浦「その割にはよく一緒にいる気がするけど」

恒一「まあ……クラスで一番仲良いのは見崎だし」

恒一「一時期一緒にいないものになってたのもあるからね」

赤沢「っ……! ご、ごめんなさい……」

恒一「えっ? あっ、べ、別に赤沢さんを責めるつもりじゃ……!」

恒一「それに、見崎と仲良くなれたのもある意味いないものにされたお蔭っていうか……」

赤沢「……! ううっ……」ズーン

恒一「えぇ!? なんで余計に落ち込むの!?」

杉浦(泉美、本気でドンマイ)

鳴「ケーキまだかな……」

恒一「……見崎、一応自分の話でもあるんだから少しは会話に参加しようよ」

鳴「え? ……ごめんなさい、話聞いてなかった」

恒一「見崎……」

鳴「何の話だったの?」

杉浦「あ、もういいわこの話は(これ以上は泉美が可哀想すぎる……)」

鳴「そう? ……なんで赤沢さんはテーブルに突っ伏してるの?」

赤沢「……」ズーン

杉浦「そっとしておいてあげて」

鳴「?」

望月姉「お待たせしました」

鳴「!」

恒一「あ、来たね」

望月姉「ケーキと紅茶のお客様は?」

鳴「わたしっ」

望月姉「はい、どうぞ……もう一つの紅茶は」

恒一「あ、僕です」

杉浦「アイスコーヒーは私です」

望月姉「はいどうぞ。それで泉美ちゃんはいつものね……ってなんでテーブルに突っ伏してるの?」

杉浦「そっとしておいてあげてください」

望月姉「いや、カップが置けないんだけれど……」

http://i.imgur.com/992Bk.jpg
め、鳴ちゃんかわいい…?

>>66
いないものの相手はよせ

鳴「♪」モグモグ

恒一「早速食べてる……どんだけ楽しみだったんだよ」

鳴「おいしい……♪」モグモグ

恒一「聞いてない……」

杉浦「……見崎さん、よく食べるのね」

恒一「そうなんだよ、意外と食いしん坊でさ」

杉浦「へー……」チュー

恒一「この間も昼休みにさ――」

杉浦「……」チュー

恒一「僕はちゃんと栄養のあるもの食べた方がいいと――」ペラペラ

杉浦(……やばい、地雷踏んだかも)チュー

~五分後~

恒一「それでね……って杉浦さんどうしたの?」

杉浦「……いや、なんでもない」ゲンナリ

恒一「そ、そう……?」

杉浦(うぅ……見崎見崎って幻聴がする……)

鳴「♪」パクパク

杉浦(話題にされてたこの子はケーキに夢中で全く聞いてない……)

杉浦(なんなんだこの二人……)

赤沢「……」ムクリ

杉浦「あ、復活した」

恒一「赤沢さん、コーヒーもう来てるよ」

赤沢「そう、ありがと」

恒一「さっきはどうしたの? 急に突っ伏して」

赤沢「ちょっとお腹の具合がね」

杉浦(吹っ切れたのか、なかったことにしたのか……)

恒一「そう……って、見崎」

鳴「? ……なに?」

恒一「ほっぺにクリームついてるよ」

鳴「え? どこ?」

恒一「ほらここ」ヒョイ ペロリ

鳴「あっ……」

赤沢「!!?!?!?!!?」

杉浦(あちゃー)

恒一「ん……甘くて美味しいねこれ」

鳴「でしょ?」

赤沢「………………」

杉浦(うわー……これは)

恒一「僕も後で食べてみようかな……って赤沢さん?」

赤沢「………………」

恒一「ど、どうしたの? 目が死んでるけど」

杉浦「自覚がないってのも罪よね……」

恒一「えっ? どういう意味?」

杉浦(これは最早死んだ方がいいレベル……)

恒一「す、杉浦さん? 黙られると怖いんだけど」

鳴「……あっ、ケーキ無くなった」

       ,   _ ノ)
      γ∞γ~  \
      |  / 从从) )  ファサァ
      ヽ | | l  l |〃
       `从ハ~ ーノ)     ))
       /つ( ̄`ヽO_ノ⌒ヽ
      ノ   )        \ ))
     (__丿\ヽ ::    ノ:::: )

         丿        ,:'  ))
       (( (___,,.;:--''"´``'‐'


         ,   _ ノ)
        γ∞γ~  \
         |  / 从从) )  おやすみんみん!
        ヽ | | l  l |〃
         `从ハ~ ワノ)
       _ ./   _ノ⌒⌒⌒`~、_
      (. ⊂人 //⌒   ノ  ヽ)
     ⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃

二時間だけ!!!!!二時間だけだから!!!!!!!!!!!!!!!!!!


         ,   _ ノ)
        γ∞γ~  \
         |  / 从从) )  ………
        ヽ | | l  l |〃
         `从ハ~ ―ノ)
       _ ./   _ノ⌒⌒⌒`~、_
      (. ⊂人 //⌒   ノ  ヽ)
     ⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃

~公園前~

杉浦「それじゃまた明日ね」

恒一「うん……赤沢さんは大丈夫なの?」

赤沢「」

杉浦「大丈夫明日には元に戻ってるはず……多分」ボソッ

恒一「え? 今最後何か言わなかった?」

杉浦「気のせいよ」

恒一「そ、そう……」

杉浦「見崎さんも、また明日ね」

鳴「うん」ヒラヒラ

杉浦「……ほら泉美、しっかり歩きなさいって」

赤沢「」フラフラ

恒一「……それじゃ僕らもそろそろ帰ろうか」

鳴「うん」

恒一「そういえば見崎とああいう喫茶店にいくのって初めてだったよね」

鳴「そうだね」

恒一「いつもは公園や川原でぶらぶらするだけだったしね……」

鳴「……うん」

恒一「……もっとああいうところ行きたい?」

鳴「?」

恒一「だから喫茶店とか、後は……映画館とか、動物園とか?」

鳴「別に、そこまで行きたくは」

恒一「そっか……」

鳴「……でも」

恒一「ん?」

鳴「今日みたいに、大勢で一緒にいるのは楽しかった」

恒一「! ……そっか」

鳴「この前の海も、皆で遊ぶの楽しかったし」

恒一「そっかそっか……それじゃ今度、赤沢さんとか勅使河原たち誘って何処か遊びにいかない?」

鳴「……えっと」

恒一「え? やっぱり嫌だった?」

鳴「ううん……榊原くんも、一緒に来てくれるよね?」

恒一「そりゃもちろん、僕だけ仲間外れは嫌だよ」

鳴「ん……じゃあ行く」

恒一「うん! じゃあ今度皆を誘おうね」

恒一「やっぱり、見崎ももっと皆と仲良くしたほうがいいと思うからさ」

鳴「そう?」

恒一「うん。友達は多い方がいいって」

鳴「……別に、私は少なくても構わないけど」

恒一「うーん……でも、友達少ないの見てるとなんか心配と言うか」

鳴「……はぁ」

鳴「やっぱり、榊原くんは過保護すぎ」

恒一「えっ……そう?」

鳴「うん」

鳴「将来子供ができたら構いすぎて逆に嫌われるタイプ」

恒一「ちょっ……り、リアルな予想しないでよ」

鳴「予想じゃない、これは予言」

恒一「ほ、ほぼ確定事項なの?」

鳴「そう」

恒一「そんなあ……」

鳴「…………それに」

恒一「え?」

鳴「……別に、友達なんて榊原くんがいてくれたら十分だもの」

恒一「えっ……」

恒一「見崎、今のって……」

鳴「それじゃ、私こっちだから」

恒一「えっ」

鳴「また明日」タタッ

恒一「あっ、ちょっ、また走るとあぶな――」

鳴「ぴっ!?」ビタン

恒一「あ」

鳴「っ……!」スクッ ダッ

恒一「あっ! 待って見崎手当しなきゃ!」

ダダダダダ…

恒一「……行っちゃった」

~恒一宅~

恒一「ただいまー」

怜子「あらおかえりなさい、遅かったのね」

恒一「ちょっと喫茶店に寄ってて……」

怜子「あら、駄目よ中学生があんまり寄り道なんてしちゃ」

恒一「す、すいません」

怜子「ほどほどにしなさいね? ほら、もうお母さんがご飯作ってるから手洗ってきて」

恒一「は、はいっ!」

恒一「いただきます」

祖母「はい、めしあがれ」

怜子「お母さんの料理は相変わらず美味しいわね」

怜子「……そうだ恒一くん、さっき喫茶店寄ってたっていってたよね?」

恒一「? はい」

怜子「誰と一緒に行ってたの?」

恒一「え? えっと……クラスメイトの見崎と赤沢さん、それに杉浦さんと」

怜子「……全員女の子?」

恒一「ま、まあ」

怜子「ふーん……」ニヤリ

怜子「恒一くんモテモテね、ハーレムじゃない」ニヤニヤ

恒一「えぇ!? そ、そんなんじゃないですよ!!」

怜子「ねえねえどの子が本命なの?」

恒一「い、いや、そんな本命とか……」

祖母「こら怜子、からかうんじゃありませんっ」

怜子「はいはい、ごめんなさーい」

祖母「全く……ごめんなさいね? 恒一ちゃん」

恒一「い、いや……大丈夫だから」

恒一「……」

恒一(本命……)

恒一(好きな人、か……)

恒一(……)

祖母「……? どうしたの恒一ちゃん、箸止まってるわよ?」

恒一「!」ハッ

恒一「な、なんでもないよお婆ちゃん」

祖母「そう? ならいいんだけど……洗い物あるから早く食べちゃってね?」

恒一「うん、わかった」パクパク

祖父(……わしの空気っぷりェ……)モグモグ

~翌日~

恒一「あ、おはよう見崎」

鳴「おはよう。登校中に会うのは珍しいね」

恒一「そうだね、見崎いつも学校くるの遅いし……あ」

鳴「?」

恒一「昨日大丈夫だった? 最後転んだでしょ?」

鳴「! ……へ、平気」

恒一「ほんと? また怪我してたりとか……」

鳴「大丈夫」

恒一「ならいいけど……」

恒一「そういえば見崎学校くるの遅いのってなんで?」

鳴「? なんで突然そんなこと……」

恒一「いやほら、いないものだったときもよく遅刻してたし」

恒一「もしかして朝弱いのかなって」

鳴「……そうね、朝は結構苦手」

恒一「やっぱり」

鳴「榊原くんは朝は得意なの?」

恒一「そうだね、結構目覚めはいいほうだよ」

恒一(……まあ、最近は悪夢のせいで目覚め最悪だけど)

鳴「そうなんだ……羨ましいな、朝はどうしても起きれないから」

恒一「ふーん……そうだ、それなら僕が毎朝起こしにいってあげようか?」

鳴「……え?」

恒一「どうせ見崎の家によるぐらい十分もかからないし」

鳴「……そっそれは流石に――」

恒一「なんてね」

鳴「え?」

恒一「あはは、流石にそれは迷惑だからしないよ。昨日見崎に過保護って言われたばかりだしね」

鳴「……」

恒一「……あれ? どうしたの見崎?」

鳴「……」

恒一「え、ど、どうしたの? 急に黙りこくって」

鳴「(…………ちょっと残念なのが余計にむかつく)」ボソ

恒一「え?」

鳴「……なんでもない、早くいこっ」スタスタ

恒一「あっ、ちょっとまたそんな急に早く歩いたら――」

鳴「いっ!?」グキッ

恒一「あ」

鳴「いたい……」グスッ

恒一(すごい既視感……これで三回目か)

~教室~

ガラッ

恒一「おはよう」

勅使河原「おっす! おはようサカキ――ってなんだそれ!?」

恒一「え? なにが?」

勅使河原「いや……なんでお前見崎のことおんぶしてんの?」

恒一「ああ、実は来る途中に見崎が足くじいちゃって……」

鳴「……」

勅使河原「そうなのか……見崎って案外ドジなのか?」

恒一「うん」

鳴「っ……! なんで榊原くんが答えるのっ」バシッ

恒一「いてっ!? ちょっと頭叩かないでよ!」

鳴「まったく……」

恒一「いたた……強く叩き過ぎだって」

鳴「榊原くんはこのぐらいしないとわかってくれないもの」

恒一「だからって叩き過ぎだよ……」

勅使河原(夫婦漫才……)


ガラッ


赤沢「おはよう――って」

小椋「どうしたの泉美、さっさと中入ってよ――って」

恒一「ん?」

赤沢「なっ……な……!」プルプル

小椋「え……なにこれ……?」

恒一「あ、赤沢さんに小椋さん。おはよう」

赤沢「あ、お、おはよう……じゃなくて!! なにしてるの恒一くん!!」

恒一「えっ、なにが?」

赤沢「なにがじゃないわよ!! なんで見崎さんをおんぶしてるの!?」

恒一「ああ、さっき見崎が足くじいちゃってさ」

赤沢「ま、まさかその状態で教室まで?」

恒一「? うん、そうだけど」

赤沢「……っ!」クラッ

小椋「……」ドンビキ

鳴(……眠くなってきた)

小椋「……と言うか、足くじいたなら保健室に連れて行けば?」

恒一「でももうすぐホームルーム始まるし、湿布なら僕が持ってるし」

赤沢「なんで湿布なんて常備して……あ、いいわ。やっぱり理由は言わなくていい」

恒一「? う、うん」

鳴(榊原くんの背中あったかい……)ボー…

赤沢「と、とにかく……早く見崎さん降ろしてあげなさい」

恒一「え?」

鳴(このまま寝ちゃおうかな……)

赤沢「いつまでもおぶられてたら見崎さんも恥ずかしいでしょ?」

恒一「あ、それもそうだね。見崎、降ろすよー」

鳴「えっ?」ハッ

鳴「え……な、なに?」

恒一「どうしたの見崎? ……もしかして寝てた?」

鳴「っ! ね、寝てないっ」

恒一「そう? まあいいや、取りあえず降ろすよ。勅使河原椅子持ってきてくれない?」

勅使河原「ん? おお、わかった」ガタガタ

恒一「ありがと……それじゃゆっくり降ろすからね」

鳴「ん」

恒一「よいしょ……っと」スッ

鳴「……きゃっ」ドサッ

恒一「!? だ、大丈夫だった見崎!?」

鳴「んっ……大丈夫、がくんってなって驚いただけ」

恒一「そっか、よかったぁ……」ホッ

鳴「もう、だから心配し過ぎ」

恒一「でも見崎になんかあったら僕は……」



小椋「……なんだあのバカップル」

赤沢「……っ!!!!」ギリィッ

勅使河原「お、おい赤沢、顔やばい顔やばい」

赤沢「あ゛あ゛っ!!?」ギロッ

勅使河原「ひいっ!? ご、ごめんなさいっ!!」

恒一「それじゃ湿布貼るね」ゴソゴソ

鳴「自分で貼れる」

恒一「そう? じゃあはい、やってみて」スッ

鳴「うん」

鳴「えっと、これ剥がして……あっ」

鳴「あっ、くっついちゃった……は、剥がれない……」

恒一「……」

鳴「くっ……このっ……」

恒一「……」

鳴「……」

恒一「……やっぱり僕が貼るね」

鳴「……うん」

恒一「これでよし……っと」ペタリ

鳴「ありがと」

恒一「どういたしまして。これなら歩けそう?」

鳴「うん、歩くぐらいなら平気」

恒一「そっか、まあ心配だから後で保健室で見て貰おうね」

鳴「うん」

恒一「じゃ、ホームルーム始まるし席に戻るよ……また後で」

鳴「うん、また後で」



小椋「……泉美、あれは無理だって」

赤沢「はぁ!!?!? なんの話よ!?!?!!?」

小椋「現実見なって」

赤沢「くぅっ……!!」プルプル

~昼休み~

恒一「見崎、ご飯食べに行こう」

鳴「うん」コクリ

恒一「歩ける? 手繋ごうか?」

鳴「大丈夫」

赤沢「こっ、恒一くん!!」

恒一「? どうしたの赤沢さん?」

赤沢「今日一緒にお昼食べないかしら?」

恒一「……え? 僕と?」

赤沢「え、ええ」

恒一「珍しいね、お昼誘ってくれるなんて」

赤沢「そ……そうかしら?」

恒一「うん」

赤沢「……そ、それはともかく! それで? 一緒に食べるの食べないの!?」

恒一「まあ断る理由もないし、一緒に食べようか」

赤沢「……!!」

赤沢(やった! これで……)

恒一「あ、見崎も一緒でいいよね?」

赤沢「は?」

恒一「それじゃ屋上で食べよっか。行こう見崎」

鳴「うん」

赤沢「え、ちょ、ちょっと待って」

勅使河原「お、何々屋上で昼飯食べんの?」

恒一「うん、勅使河原たちもくる?」

勅使河原「いいね! 一緒に食うか!」

望月「そうだね、僕もたまには屋上で食べようかな」

赤沢「えっ、ま、待って」

恒一「それじゃ赤沢さん、先に屋上行ってるね」

赤沢「あ……」

赤沢「…………」

杉浦「……泉美」ポン

赤沢「……だからその憐れみの視線やめろ……」

~屋上~

勅使河原「お、サカキは弁当か?」

恒一「うん。勅使河原は購買?」

勅使河原「まーなー、やっぱり焼きそばパンが一番だろ!」

望月「僕はお弁当だね、お姉さんが作ってくれてるんだ」

恒一「へえ、お姉さんが……あ、赤沢さんも弁当?」

赤沢「……ええ、うちは母が作ってくれてるわ」ドンヨリ

恒一「? なんか暗いけどどうしたの?」

赤沢「誰のせいだと……」

恒一「え?」

赤沢「なんでもないわよっ!」

恒一「? う、うん」

鳴「ねえ、榊原くん」

恒一「え? あっ、ごめんごめん、そうだったね」

恒一「はい、今日のお弁当」スッ

鳴「ありがとう」

赤沢「……は?」

勅使河原「……お?」

望月「……え?」

恒一「…………えっ? ど、どうしたの皆?」

鳴ちゃん‥‥お嫁さんになった時も恒一君に料理作らせるなんてことないように 勉強しなきゃだめだよ

赤沢「……こ、恒一くん? なんであなたが見崎さんのお弁当を……?」

恒一「ああこれ? 実はちょっと前から僕が見崎のお弁当作ってるんだよ」

赤沢「……は?」

望月「さ、榊原くんが? どうして?」

恒一「見崎いっつも購買のサンドイッチしか食べないからさ」

恒一「それじゃ栄養が偏ると思って……」

勅使河原「それでサカキが作ってやってんのか?」

恒一「うん、まあ大した手間じゃないからね。一人分作るのも二人分作るのも大して変わらないし」

望月「へ、へえー……」

勅使河原「そ、そうなのかー……」

赤沢「…………」

勅使河原・望月(赤沢(さん)からやばいオーラを感じる……)

恒一「前はお婆ちゃんがお弁当作ってくれてたんだけど、流石に見崎の分まで作ってもらうわけにはいかないしね」

望月「ふ、ふーん……見崎さん、そのお弁当美味しい?」

鳴「うん、美味しい」モグモグ

勅使河原「サカキって料理得意だったのな」

鳴「前は料理研究部だったんだって」モグモグ

勅使河原「マジで!? なんかイメージと違うな……」

恒一「そうかな?」

勅使河原「おう、なんかスポーツやってると思ってたわ」

恒一「まあ身体動かすのは好きだけどね」

赤沢「……ね、ねえ恒一くん」

恒一「ん? なに赤沢さん」

赤沢「ち、ちょっとお弁当一口くれる? 美味しいっていうのが気になるわ」

恒一「そう? うん、いいよ、じゃあ僕のお弁当から適当に……」

赤沢「あ、あーん」

恒一「え?」

勅使河原「え?」

望月「え?」

鳴「!?」

赤沢「あーん」

恒一「えっ……あ、赤沢さん? いきなりどうしたの?」

赤沢「は、早く食べさせてよっ」

恒一「え、で、でもこれって……」

赤沢「いいから!」

恒一「ええええ……」



勅使河原「どうなってんだこれ……?」ヒソヒソ

望月「僕だって聞きたいよ……」ヒソヒソ

鳴「…………」

嫉妬で湧き立つね 奪られるかもしれないという危機意識を持って初めて芽生える恋心

赤沢「ほら早く……あーん」

恒一「わ、わかったよ……じゃあ卵焼きでいい?」

赤沢「ええ」

恒一「……はい、あーん」

赤沢「! あ、あー……」

ガシッ

恒一「!?」

赤沢「!?」

鳴「……」

恒一「み、見崎? なんで手を掴んで……って」

鳴「……」グイッ

赤沢「っ!? ちょ、ちょっと!」

パクッ

赤沢「あーーーーーーっ!! わ、私の卵焼き!」

鳴「……」モグモグモグモグ

赤沢「ちょっと! 吐き出しなさい!」

鳴「……」ゴクン

赤沢「あーーーーーーっ!!」

鳴「……おいし」ケプッ

赤沢「こ、この女っ……!!」ギリギリギリ

恒一「赤沢さんそんな怒らないで! まだ卵焼きあるから……」

恒一「そ、それより見崎……ダメじゃないかこんなことして」

鳴「……」プイッ

恒一「そっぽ向かないでよ!」

鳴「……榊原くんが悪い」

恒一「え? ぼ、僕が悪いってなに?」

鳴「……自分で考えれば」ツーン



勅使河原「だんだん見てて楽しくなってきたんだが」ヒソヒソ

望月「実は僕も……なんか安いラブコメ見てる気分」ヒソヒソ

下痢ぶっぱしてくる

恒一「意味分からないって……」

鳴「ふんっ……」

赤沢「……そ、それより恒一くん! さっきの続き!」

恒一「え? あ……う、うん」

鳴「!」

鳴「……榊原くん、それ貸して」グイッ

恒一「え? ちょ、ちょっと見崎! それ僕のお弁当!」

赤沢「な!? 返しなさい! それは私のよ!」

恒一「いや僕のお弁当だよ!?」

鳴「っ……」ダッ

赤沢「どこいくつもり!? 待ちなさい!!」ダッ

鳴「……」パクパクモグモグ

赤沢「なっ!? 走りながら食ってる!? 待ちなさいこの眼帯女!!」


ダダダダダ…


恒一「……」

勅使河原「……」

望月「……」

恒一「……僕のお弁当……」

勅使河原「……さ、サカキ? 俺のパン一ついるか?」

望月「僕のお弁当も分けてあげるよ……」

恒一「……ありがとう」

~十分後~

勅使河原「おっ、あの二人戻ってきたぞ」

望月「あ、本当だ」

恒一「随分遅かったな……」



鳴「はぁ、はぁ……」

赤沢「ぜぇ、はぁ……な、なんで食べながらなのにあんな早く走れるのよ……」

鳴「はぁ、はぁ……ふっ」ニヤリ

赤沢「っ……!! この……いつか見てなさいよ……」

鳴「はい榊原くん、お弁当箱返すね」

恒一「うん……案の定空っぽだけどね」

鳴「……代わりに私のお弁当あげる」

恒一「え? いいの?」

鳴「うん……あと半分ぐらいしかないけど」

恒一「まあ勅使河原達に分けて貰った分じゃ物足りないし……いただこうかな」

鳴「ん……じゃあはい、あーん」

恒一「え?」

赤沢「はぁ!!?!?!?」



勅使河原「いい天気だな」

望月「そうだね」

鳴「あーん」

恒一「え? い、いやいやいや、見崎? なんのつもり?」

鳴「あーん」グググ

恒一「ちょ、ちょっと無理矢理口に押し付けないでむぐぐぐっ!?」

鳴「美味しい?」

恒一「むぐっ……ごくん」

恒一「いや、僕が作った弁当なんだけど……」

鳴「美味しいみたいね、よかった」

恒一「ええー……聞いてないし……」

赤沢「このっ……わ、私もやる! 貸して!」ガシッ

鳴「!? い、いやっ……」グググ

赤沢「この……は、放しなさいよっ」グググ

鳴「そっちが放してっ……!」

恒一「ちょ、ちょっと二人とも!? そんなにしたら弁当箱壊れるって!」

赤沢「か・し・な・さ・い~~~……!!」グググググ

鳴「っ……いやっ……!!」グググググ

恒一「ふ、二人ともやめなって!」



勅使河原「お、あれ飛行機雲じゃね?」

望月「あ、ホントだね」

~放課後~

恒一「はあ……」

恒一(結局あのあと二人をなだめるので昼休みが終わってしまった……)

恒一(二人ともなんであんな奇行に……?)

鳴「榊原くん、帰ろう」

恒一「あ、うん……そうだね」

恒一(……まあ、多分なにか疲れてたんだろうな)

赤沢「こ、恒一くん!」

恒一「え? 赤沢さん?」

鳴「……また来たか」

赤沢「ま、またとはなによ!?」

赤沢「恒一くん、今日一緒に帰らないかしら?」

恒一「え? 赤沢さんと?」

赤沢「そうよ」

恒一「別に構わないけど……」

小椋「駄目よ」

赤沢「っ!?」

恒一「わっ!? お、小椋さん?」

小椋「泉美、今日演劇部のミーティングがあるじゃない」

赤沢「あっ……」

小椋「完全に忘れてたのね……」ハァ

赤沢「くっ……」

赤沢「……ね、ねえ? 今日だけ休んじゃだめかしら?」

小椋「だめに決まってるでしょ、そろそろ発表会も近いんだから」

赤沢「そんな……」

小椋「ほら行くわよ」グイ

赤沢「ま、待って……お願い! 今日だけ見逃して!」

小椋「諦めなさい色々と」グイグイ

赤沢「い、いやぁああっ!!」

イヤァアアアアア…


恒一「……行っちゃったね」

鳴「そうね」

恒一「……なんだったんだろうね?」

鳴「さあ」

恒一「……帰ろうか」

鳴「うん」

鳴「…………勝った」ボソ

恒一「? 見崎何か言った?」

鳴「ううん、なにも」

恒一「……? まあいっか、早く帰ろう」

鳴「うん」

       ,   _ ノ)
      γ∞γ~  \
      |  / 从从) )  ファサァ
      ヽ | | l  l |〃
       `从ハ~ ーノ)     ))
       /つ( ̄`ヽO_ノ⌒ヽ
      ノ   )        \ ))
     (__丿\ヽ ::    ノ:::: )

         丿        ,:'  ))
       (( (___,,.;:--''"´``'‐'


         ,   _ ノ)
        γ∞γ~  \
         |  / 从从) )  もう無理!
        ヽ | | l  l |〃
         `从ハ~ ワノ)
       _ ./   _ノ⌒⌒⌒`~、_
      (. ⊂人 //⌒   ノ  ヽ)
     ⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃


         ,   _ ノ)
        γ∞γ~  \
         |  / 从从) )  ごめんね今日一時からバイトなんだ!
        ヽ | | l  l |〃
         `从ハ~ ワノ)
       _ ./   _ノ⌒⌒⌒`~、_
      (. ⊂人 //⌒   ノ  ヽ)
     ⊂ニニニニニニニニニニニニニニ⊃

ほしゅ

買うなら漫画と小説どっちがオヌヌメ?

>>414
赤沢好きなら漫画版

あとラストシーンの鳴ちゃんの美しさはレジェンド級  完全に女神

ほしゅ  もう戻ってこないなら次回作に期待

ほす


恒一「それじゃ支度もできたし帰ろうか」

鳴「うん――いっ!?」

恒一「!? ど、どうしたの見崎?」

鳴「……あ、足」

恒一「え?」

鳴「足……朝くじいたのが」

恒一「あ……もしかして昼休み走ったので悪化したの?」

鳴「っ……た、多分」

恒一「なんで今になって……」

鳴「うぅ……痛い……」

恒一「ちょっと足見せて」

鳴「……うん」

恒一「あー……少し赤くなってるね」

鳴「痛い……」

恒一「もう一度保健室行こうか、歩ける?」

鳴「……ちょっと辛い」

恒一「そっか、じゃあまたおんぶだね」

鳴「うん」

恒一「よいしょ……っと」

鳴「ん……お、重くない?」

恒一「むしろ軽すぎる方だよ」

鳴「ほんとに?」

恒一「うん、見崎は身体細いみたいだしね」

鳴「そう、よかっ……」ハッ

鳴「……」

恒一「ん? どうしたの?」

鳴「……」ペタペタ

恒一「え? なにしてるの見崎?」

鳴「……」ペタペタ

鳴「……」

恒一「おーい、見崎ー?」

鳴「……」バシッ

恒一「いたっ!? え、なっなに? なんで叩いたの?」

鳴「……私、細くない」

恒一「え? いや見崎は随分と細いほうだと……」

鳴「細くないのっ」バシッ

恒一「痛いっ……わ、わかった! 見崎は細くない! 細くないから叩くのはやめて!」

鳴「……うん」

恒一(なんなんだ一体……)

鳴「……」

恒一「……? 今度はどうしたの?」

鳴「……」ナデナデ

恒一「え?」

鳴「……いきなり叩いてごめんなさい」

恒一「あ……いや、いいよ気にしてないから」

鳴「ん……」ナデナデ

恒一(……後悔して叩いた所撫でるぐらいなら、最初から叩かなければいいのに)

恒一(……なんてことは、言っちゃ駄目なんだろうな……)ハァ

~保健室~

ガラッ

恒一「失礼します……ってあれ」

鳴「どうしたの?」

恒一「保健室の先生いないみたいだ……どこかでかけてるのかな」

恒一「……まあいっか、勝手に使っちゃおう」

鳴「うん」

恒一「それじゃベッドの縁にでも座っといてくれる?」

鳴「わかった」

鳴「……」

恒一「えーと、湿布はどこだろ……」ガサゴソ

鳴「……」

恒一「自分の湿布使うのは勿体ないしなあ……」ガサゴソ

鳴「……」

恒一「えーと……お、あった」

鳴「……」

恒一「後ははさみはさみっと」キョロキョロ

鳴(……ねむ)

恒一「一応包帯ももらっとこ」ガサゴソ

鳴「……」ポスッ

恒一「うーん……長さこのぐらいでいいかな」チョキチョキ

鳴「……」

恒一「あ、あと包帯止めるテープも……」チョキチョキ

鳴「……」

恒一「よし、これでオーケーかな……じゃあ見崎足出して――って、あれ?」

鳴「……」クー…クー…

恒一「……見崎ー?」

恒一「寝ちゃってるよ……」

鳴「……」スースー

恒一「どうしよう、寝てるうちに手当しちゃおうか……」

鳴「……」クークー

恒一「……幸せそうな寝顔だなあ」

鳴「……」スヤスヤ

恒一「……」

恒一「……えい」プニ

鳴「んんっ……」ムニャムニャ

恒一「うわ、ほっぺやわらか……」

恒一「マシュマロみたいだな……」プニプニ

鳴「んっ……」

恒一「……」プニプニ

鳴「ぅうん……」

恒一「……」プニプニ

鳴「んー……」

恒一「……」グニ

鳴「んやっ……んんっ……」

恒一「……」

恒一(……なんだろうこの可愛いいきもの)

恒一(……こっ、これぐらいにしておこう、起きたらこわいし)

~数十分後~

鳴「んっ……」

恒一「あ、起きた?」

鳴「ん……あれ、榊原くん?」

恒一「おはよう見崎」

鳴「おはよう……あれ? なんで私……」

恒一「気付いたら寝ちゃってたんだよ、まあ三十分ぐらいだけど」

鳴「そっか……ごめんね、勝手に寝ちゃって」

恒一「別にいいって、気にしないで」

鳴「……あっ、足」

恒一「ああ、寝てるうちに湿布とか包帯とかやっておいたよ」

鳴「ありがとう」

恒一「あっ、そうだそれと……」

鳴「?」

恒一「さっき先生がきて、捻挫かもしれないから一応病院で見て貰うようにだってさ」

鳴「うん、わかった」

恒一「またさっき出てっちゃったけど、人もいないししばらくベッドは使っててもいいって」

恒一「折角だからもう少し休んでこうか」

鳴「うん、そうする」

恒一「見崎、まだ眠い?」

鳴「ううん、大丈夫」

恒一「そう、まあもしまだ眠かったら、寝ちゃってもいいからね?」

鳴「うん……そうだ、私が寝てる間何もなかった?」

恒一「……えっ?」

鳴「? だから私が寝てる間……」

恒一「いっ!? い、いやいやいや、僕はなにもしてないよ!?」

鳴「……?」

鳴「……榊原くん、もしかして私が寝てる間になにかしたの?」

恒一「い、いやなにもしてないよ?」

鳴「……ホントに?」

恒一「ほっホントホント! 嘘吐いてないよ!」

鳴「……」

鳴「……まあいいや」

恒一「あ、あはは……」

恒一(あっぶな……危うく墓穴掘るとこだった……)

鳴「……それにしても」

恒一「ん?」

鳴「暇だね、こうやって休んでるだけっていうのも」

恒一「そう? 僕はこうやってのんびりするのも結構好きだけどな」

鳴「……」

恒一「? どうしたの?」

鳴「……なんか榊原くん、年寄りみたい」

恒一「と、年寄り……!?」

鳴ちゃん無口キャラだと思ったら、話が進むにつれおちゃめになっていく

おかえり  支援

恒一(年寄りって……地味にショックが……)

恒一(僕ってそんな老成して見えるのか……?)

鳴「……過保護なのと合わさってまるで父親みたいね」

恒一「え? ち、父親?」

鳴「そう」

恒一「そ、そうかな……?」

鳴「うん……榊原くん、私のお父さんよりずっとお父さんらしいもの」

恒一「えっ……」

鳴「……」

恒一「……見崎……」

鳴「……そろそろ帰ろっか」

恒一「えっ?」

鳴「もう十分休んだし、帰ろう?」

恒一「……そうだね、うん、帰ろうか」

鳴「うん」

恒一「足はもう大丈夫? 歩けそう?」

鳴「大丈夫」

恒一「そう……」

恒一「……」

恒一(たしか見崎、以前海に行ったとき……)

恒一(お父さんとの繋がりが殆ど無いとか言ってたな……)

恒一(……その時は気にしてないみたいなこと言ってたけど)

鳴「んっ、靴履きづらっ……」

恒一(……見崎のやつ、もしかして)

鳴「よいしょっ……くっ、この」

恒一(実は寂しいのか……?)

鳴「よし、履けた……ん? 榊原くん、どうしたの?」

恒一「!? え、なっ何が?」

鳴「なんかぼーっとしてたけど」

恒一「あ……い、いや、なんでもないよ」

メシの時間だ!!

恒一「それじゃ行こうか」

鳴「うん」


ガララッ


恒一「……え?」

赤沢「……あ」

鳴「!?」

恒一「あれ、赤沢さん」

鳴「また出た……」

赤沢「またってなによ!?」

恒一「見崎、そんなこと言っちゃだめだって……」

鳴「……ちっ」

恒一(今舌打ちした……?)

恒一「……そ、それで赤沢さんどうしたの? 保健室に何か用でも?」

赤沢「たまたま通りがかっただけよ……そっちこそなんで保健室に?」

恒一「ああ……ほら、見崎が昼休みに赤沢さんと追いかけっこしたせいで足がね……」

赤沢「……ああ、なるほど」

恒一「そうだ、部活終わったなら一緒に帰る?」

赤沢「!?」

鳴「!?」

恒一「ほら、さっき教室で一緒に帰ろうって言ってたから……」

赤沢「あ……」

鳴「……!!」

赤沢「……ごめんなさい、まだ部活終わってないの」

赤沢「今はちょっと忘れ物取りにきただけ」

恒一「あ、そうなんだ……」

鳴「……」ホッ

俺「……」ホッ

赤沢「……それじゃ残念だけど、またね」

恒一「うん、またね」


スタスタスタ…


恒一「そっか、まだ部活だったのか。残念だったね――って痛い!?」

鳴「このっ、このっ」バシッ バシン

恒一「痛い痛い痛いって! このパターン何回目!?」

鳴「わかってるならっ、学習っ、してよっ」バシバシバシン

恒一「背中がひりひりする……」

鳴「……これは謝らないからね」

恒一「基準がわからない……」

鳴「……榊原くんは一度冷静に己を見つめてみるべき」

恒一「どういう意味?」

鳴「自分で考えて」

恒一「ええー……」

鳴「いいからさっさと帰るよ」

恒一「う、うん……」

恒一「まぶしっ……もう夕方か、空が真っ赤だね」

鳴「うん」

恒一「もう遅いし、今日は真っ直ぐ帰ろうか」

鳴「そうね」

恒一「はー……今日はなんだかいつもより疲れた気がするなあ」

鳴「?」

恒一「何故か赤沢さんの様子もおかしかったし」

鳴「……」

恒一「そういえば……結局なんだったの? 昼休みのあれは」

鳴「……はぁ」

恒一「二人ともなんで僕の弁当の取り合いなんか……」

鳴「……知りたいの?」

恒一「え? まあそりゃ気になるからね」

鳴「……」

恒一「……どうしたの見崎?」

鳴「……じゃあ」

恒一「? じゃあ?」

鳴「じゃあ……教えてあげ――」

恒一「……あっ! しまった!」

鳴「え?」

恒一「ご、ごめん……宿題のプリント机に入れたままなの今思い出した」

鳴「え……」

恒一「ちょっと取りに戻る! 見崎は先に帰ってていいから!」

鳴「え、ちょっと待っ……」

恒一「ごめんね! それじゃまた明日!」


タッタッタッタ…


鳴「……」ポツン

鳴「……ほんと、タイミング悪い」

~教室~

赤沢「えっと……あ、あったあった」

赤沢「はぁ……私が教室に忘れ物するなんて、やっぱり今日は調子が狂ってるわね」

赤沢「……はぁ」

赤沢(……部活さえ無ければ恒一くんと帰れたかもしれなかったのに……)

赤沢(さっきも偶然恒一くんに会えたけど、結局見崎さんと一緒にいたし……)

赤沢(……やっぱり私が入り込む余地なんてないのかしら)

赤沢「……」グスッ


ガララ


恒一「……あれ?」

赤沢「え?」

アカザーさんにも光が

恒一「あれ、赤沢さん。さっきぶり」

赤沢「えっ……こ、恒一くん!? なんで教室に……」

恒一「実は宿題のプリント忘れちゃって……そういえば赤沢さんも忘れ物してたんだっけ?」

赤沢「あっ……う、うん」

恒一「あはは、なんか偶然だね」

赤沢「そ、そうね……」

恒一「えっと……確か机の中に」ガサゴソ

赤沢「……」

恒一「あれ? もっと奥かな?」ガサゴソ

赤沢「……」

赤沢(も、もしかしてこれは……チャンス!?)

赤沢(見崎さんは一緒にいない……)

赤沢(しかも今は教室に二人っきり……)

赤沢(……)

恒一「あったあった、よかったあ……」フウ

赤沢(……これは、おそらくまたとないチャンス)

赤沢(やるしか……ここでやるしかない!)

恒一「それじゃ、僕はこれで――」

赤沢「こっ、恒一くん!!」

赤沢「ちょっ、ちょっと待ってくれる? 恒一くん」

恒一「? どうしたの赤沢さん?」

赤沢「その……ちょっとだけ時間いい? 話があるの」

恒一「え……別に僕は構わないけど、赤沢さんは部活大丈夫なの?」

赤沢「だ、大丈夫、すぐ済ませるから」

恒一「そう? ならいいけど」

赤沢「あ、ありがとう……」

赤沢「……」

恒一「それで話って?」

赤沢「えっと……」

恒一「……?」

赤沢「……」

恒一「赤沢さん?」

赤沢「っ……」

赤沢(やば……い、いざとなると心臓がドキドキ言って……)

赤沢(こ、声がまともに出せない……)

恒一「? 赤沢さんどうしたの?」

赤沢「っ……! ち、ちょっと待って……」

赤沢「すぅー……はぁー……すぅー……はぁー……」

赤沢「……よしっ」

恒一「もう大丈夫なの?」

赤沢「うん、もう平気……恒一くん、聞いてくれる?」

恒一「うん」

赤沢「わ、私……実は……」

恒一「うん」

赤沢「実はね……こ、恒一くんのことが……」

恒一「? 僕が?」

赤沢「こっ、恒一くんのことが……」

恒一「……?」

赤沢「すっ、すき――」


スタスタスタ…


赤沢「っ!?」

恒一「あれ? 誰か教室に来たみたいだね――って赤沢さん!?」

赤沢「おっお願いちょっとこっち来て! 一緒に隠れるの!」

恒一「え? な、なんで隠れ……いっ痛い痛い痛い! 引っ張らないで!」

赤沢「かっ隠れる場所隠れる場所……そうだ教卓の下に!」

恒一「ええっ!? いや流石に狭すぎ――」

赤沢「いいから早くっ!!」



       /\___/ヽ
    /ノヽ       ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl  
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄

  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ

こんな形相の鳴ちゃんがやってくるのか……

良いぞ

赤沢「な、なんとか入れた……」

恒一「赤沢さんっ……せ、狭い! 狭いってこれ!」

赤沢「いいから静かにしてなさい!」ボソボソ

恒一「い、意味がわからな……むぐぐ!?」

赤沢「お願いだから!」ボソボソ


ガララ…


赤沢(! き、教室入ってきた……)

恒一(く、苦しい……と言うか、せ、背中に何か柔らかい感触が……)

小椋「……あれ? おかしいな、泉美のやついないし」


赤沢(ゆ、由美? 私を探しに来たの……?)ギュッ

恒一(!? や、柔らかい何かが押し付けられて……!?)


小椋「教室に忘れ物したとか言ってたのに……どこ行ったんだろ」

小椋「すれ違いになったのかな……」

小椋「……仕方ない、戻るか」


ガラッ スタスタスタ…


赤沢(……)

恒一(落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け)

赤沢「……ふう、行ったみたいね」

恒一「……え?」

赤沢「ごめんね、突然教卓に押し込んだりして。今出るから」モゾモゾ

恒一「い、いや、僕は大丈夫だよ、うん」

赤沢「……? どうしたの恒一くん?」

恒一「なっ、なんでもないから! 先に早く出て!」

赤沢「? わかったわ」ゴソゴソ

恒一(や、やばかった……何がやばいのかわからないけどとにかくやばかった……)

恒一「ふう、苦しかった……赤沢さん、なんでいきなり隠れたりなんかしたの?」

赤沢「えっ……そ、それは……」

恒一「それは?」

赤沢「……邪魔されたくなかったのよ」

恒一「え?」

赤沢「多分……今が最後のチャンスだと思ったから」

恒一「チャンス?」

赤沢「そう、チャンス……恒一くん、さっきの話の続きしていいかしら?」

恒一「? うん、いいよ」

赤沢「……恒一くん、私ね」

恒一「うん」

赤沢「私、恒一くんのことが……」

恒一「僕が……なに?」

赤沢「……恒一くんのことが、好きなの」

恒一「……え?」

先に告白しました このアドバンテージはとてつもなくデカイです

恒一「え、す、好きって……」

赤沢「っ……」カァアアア…

恒一「え? 赤沢さんが……ぼ、僕のことを?」

赤沢「そ……そうよ」

恒一「なっ、えっ……それって……」

赤沢「うん……」

恒一「……」

赤沢「……」

恒一「……い、いつから?」

赤沢「え……」

恒一「だから、いつから僕のことが……その、す、好きだったの?」

赤沢「いつから……」

赤沢「……たぶん、病院で初めて会った時から」

恒一「病院?」

赤沢「そう、恒一くんのお見舞いに行ったとき」

恒一「それって……」

赤沢「……うん、一目惚れ、だと思う」

恒一「ひ、ひと……」カァ…

赤沢「っ……」カァアア…

赤沢「……私ね」

恒一「? う、うん」

赤沢「……さっ、最初会ったときから、なんだか初めて会った気がしなくて……」

赤沢「何故かそれがすごく気にかかって……いつの間にか、常に恒一くんのこと考えるようになってたわ」

恒一「……」

赤沢「それを自覚してからは、結構アプローチしてたんだけど……」

恒一「アプローチ?」

赤沢「……はあ、やっぱり気付いてなかったみたいね」

恒一「あ……ご、ごめん」

赤沢「……それで?」

恒一「え?」

赤沢「え? じゃなくて……私の気持ちは伝えたわよ?」

恒一「あ……」

赤沢「返事……恒一くんの気持ち、聞かせて頂戴」

恒一「僕の気持ち?」

赤沢「そう、恒一くんの……恒一くんの好きな人を教えて」

恒一「好きな人……」

赤沢「……」

恒一「僕の、好きな人……」

赤沢「……恒一くん」

恒一「……」

恒一「…………うん」

恒一「赤沢さん、僕は――」

~数十分後~

恒一「……」テクテク

恒一「……」テクテク

恒一「……あれ? あれって……」

鳴「……あ」

恒一「見崎? なんでこんなところに……」

鳴「榊原くんを待ってたの」

恒一「僕を? こんな時間まで?」

鳴「うん」

恒一「……そっか、ごめんね待たせて」

鳴「ううん、大丈夫」

恒一「……じゃあ帰ろうか」

鳴「うん」

うわああああああああああああああ

~教室~

ガララッ

赤沢「……」

小椋「あ、泉美! まだ教室にいたの……ってあれ?」

杉浦「どうしたの由美……って、あら」

赤沢「……どうしたのよ、二人して」

小椋「どうしたってこっちの台詞よ……こんな時間まで何してたの? もう部活終わってるわよ」

赤沢「……そう、ごめんなさい。多佳子はどうして?」

杉浦「私は泉美を探すの手伝わされてただけ」

赤沢「そうなの……ごめんね二人とも」

小椋「……」

どうなった

赤沢「……」

小椋「……」

杉浦「……泉美、もしかして泣いてた?」

赤沢「っ!? な、なに言って……泣いてなんかないわよ!?」

杉浦「目、赤いけど」

赤沢「!? う、嘘っ」バッ

杉浦「嘘」

赤沢「……は?」

杉浦「しかし間抜けは見つかったようね」

赤沢「あ……くっ、私としたことが……!」

小椋「多佳子あんた……」

小椋「はぁー……とにかく帰ろ、もうすぐ下校時間過ぎるわよ」

赤沢「……そうね」

小椋「……」

小椋「……大丈夫よ」

赤沢「え?」

小椋「あんたみたいないい女なら、いい男なんてすぐ見つけられるわよ」

赤沢「……え? それって……」

小椋「……」

杉浦「……由美は励ますのが下手ねえ」

小椋「なっ!? べっ、別に励ましてるとかそういうんじゃっ……!」

赤沢「……いいわよ、ありがとね由美」

小椋「っ……」

小椋「……」

小椋「……どういたしまして」

中尾「チャンス!」

杉浦「……そうだ、今日泉美んちに泊まりにいってもいい?」

赤沢「はぁ!? なんで突然――」

小椋「あ、いいわねそれ」

赤沢「なっ……ゆ、由美まで……」

杉浦「赤沢泉美傷心パーティってことで飲み明かしましょう、ジュースで」

赤沢「傷心ってなによ!? 私なにも言ってないでしょうが!?」

小椋「それならお菓子も買っていかなきゃねー」

杉浦「そうね、後家からボードゲームとかも……」

赤沢「ちょっ……人の話聞きなさいよ!」

杉浦「いいからいいから」

小椋「遠慮しなさんなって」

赤沢「こ、こいつら……」

赤沢「……」

赤沢「……はぁ、仕方ないわね」

杉浦「さすが対策係兼委員長、話がわかる」

小椋「そうと決まれば早く行こう!」

赤沢「ちょっ、ちょっと! 引っ張らないで――」

ましろ色思い出した 

かーちゃんに殺されそうだから風呂入る

鳴「……」テクテク

恒一「……」テクテク

鳴「……」テクテク

恒一「……」テクテク

鳴「……あ、じゃあ私こっちだから」

恒一「あ、うん……」

鳴「じゃあね」ヒラヒラ

恒一「あ……」

恒一「……」

恒一「っ……ま、待って見崎!」

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

鳴「? なに?」

恒一「えっ……えっと」

恒一「……ちょっと公園に寄って行かない?」

鳴「公園? どうして?」

恒一「えっと……ち、ちょっと見崎に話したいことがあるんだ」

鳴「話?」

恒一「う、うん……すぐ済むから」

鳴「でももう暗くなってきた……」

恒一「……じ、ジュース奢るからさ」

鳴「!」

鳴「……紅茶ならいいよ」

恒一「! ありがとう!」

~公園~

恒一「はい、缶紅茶でいいんだよね」

鳴「うん、ありがと」

鳴「ん……あれっ」カリカリ

恒一「どうしたの?」

鳴「んっ……ぷ、プルタブが開けれない……」

恒一「ああ、たまにあるよね……貸して、開けてあげる」

鳴「……うん」

恒一「よっ……と」カシュ

恒一「はいどうぞ」

鳴「ありがと」

鳴「……」ゴクゴク

恒一「……」カシュ

鳴「……」プハッ

鳴「……恒一くんは何買ってきたの?」

恒一「僕? 普通のコーラだけど」

鳴「ふーん……」

恒一「一口飲む?」

鳴「! うんっ」

恒一「はい」スッ

鳴「ありがとう」

かわいいいいいいいいいいいいいい

鳴「……」ゴクッ

鳴「……!? げほっごほっ」

恒一「!? 大丈夫見崎!?」

鳴「えほっ、こほっ……の、喉が痺れたみたいに……」

恒一「見崎って炭酸だめだったの?」

鳴「……そうみたい」

恒一「みたい?」

鳴「普段飲まないから知らなかった」

恒一「そうなんだ」

鳴「口直し……」ゴクゴク

鳴「……」プハッ

鳴「……やっぱり紅茶が一番」

恒一「あはは、そうみたいだね」

鳴「うん」

鳴「……そうだ、はい」スッ

恒一「え?」

鳴「お返し、一口飲んでいいよ」

恒一「え……」

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

恒一「……あ、ありがと」

鳴「どういたしまして」

恒一「……」

恒一(……間接キス……)

鳴「? 飲まないの?」

恒一「!? ……ううん、飲む。飲ませていただきます」

鳴「? そう……」

恒一「……」ゴクリ

恒一「……い、いただきます」

恒一「……」ゴクッ

鳴「美味しい?」

恒一「……」プハ

恒一「……うん、美味しい」

鳴「そう、よかった」ニコ

恒一「……」

恒一(正直味がわからなかった……)

鳴「……あ」

恒一「ん? どうかした?」

鳴「紅茶に夢中で忘れてた……それで、話ってなに?」

恒一「え……」

鳴「さっき言ってたの」

恒一「あ……う、うん、今から話すよ」

鳴「わかった」

恒一「……」

恒一「……えっとね」

鳴「うん」

恒一「……」

鳴「……? どうしたの?」

恒一「いや……ごめん、早く言うね」

鳴「? うん」

恒一「……実はさっき」

鳴「うん」

恒一「さっき……赤沢さんに告白されたんだ」

鳴「…………」

鳴「!?」

鳴「え……こ、告白って」

恒一「うん……赤沢さんが僕のことを好きだって」

鳴「っ……! そ、それでっ?」

恒一「え?」

鳴「それで、榊原くんはなんて答えたの?」

恒一「ああ……うん、僕は断ったよ。赤沢さんとは付き合えないって」

鳴「!」

鳴「そ、そう……」ホッ

恒一「……それで、見崎」

鳴「? うん」

恒一「……見崎に聞きたいことがあるんだけど」

鳴「なに?」

恒一「……見崎はさ、今寂しくない?」

鳴「え?」

恒一「前に言ってたよね? 家族との繋がりが薄いって」

鳴「……そうね、言ったかも」

恒一「見崎はその時、気にしてないみたいなこと言ってたけど……」

鳴「……」

恒一「えっと……本当に気にしてないのかな、って気になったんだけど」

鳴「……」

鳴「……仮に、そうだとしても」

恒一「……」

鳴「大丈夫、今は寂しくない」

鳴「今は榊原くんが隣にいてくれるから」

恒一「! 見崎……」

鳴「……」

恒一「……見崎、でも」

鳴「?」

恒一「……僕は来年で、東京に帰るんだよ?」

鳴「え……」

恒一「夜見山に来たのは、父さんの仕事の関係だから」

恒一「来年の春にはまた東京に戻る予定なんだ……」

鳴「……そうだったね」

恒一「……だからさ、今僕がいなくなっても見崎は大丈夫?」

鳴「……」

恒一「……」

鳴「……わからない」

鳴「……榊原くんがいなくなるなんて考えたこと」

鳴「……ううん、考えたくないもの」

恒一「……」

鳴「……たぶん、今榊原くんがいなくなったら……」

恒一「……」

鳴「私……」

恒一「……」

鳴「……」

恒一「…………うん、決めた」

鳴「え?」

恒一「見崎、前海で砂山作ってたときに言ったこと覚えてる?」

鳴「え?」

恒一「たまに人と繋がるのもいいんじゃないかって」

鳴「あ……うん、覚えてる」

恒一「でもね……僕は、常に人と繋がってるのも安心できていいと思う」

鳴「安心?」

恒一「うん、家族の繋がりとか、友達の繋がりとか……そういうの」

鳴「家族……」

恒一「それで見崎」

鳴「?」

恒一「僕らの……僕らの間にも、繋がりを作らない?」

鳴「私たちの間に?」

恒一「うん」

鳴「でも、私たちもう友達じゃないの?」

恒一「もちろん友達だよ……でも」

鳴「……でも?」

恒一「でも、それ以上の……離れ離れになっても切れないぐらいの繋がりを作りたいんだ」

鳴「切れないぐらい……?」

恒一「うん」

鳴「どういうこと?」

恒一「……僕ね、今日赤沢さんに告白されて気付いたんだ」

鳴「気付いた?」

恒一「うん……多分、僕も今まで考えたくなかったんだと思う」

鳴「……」

恒一「でも……赤沢さんが勇気を出してくれたみたいに」

恒一「僕もこんな中途半端なまんまじゃなくて、はっきりしなきゃいけないって気付いたんだ」

鳴「榊原くん……」

恒一「見崎」

鳴「……なに?」

恒一「恋人同士にならない?」

鳴「……えっ?」

いいわぁ

鳴「……えっ、こ……恋人?」

恒一「うん、恋人。彼氏彼女の関係だね」

鳴「恋人って……あの?」

恒一「あのって?」

鳴「あ、あの……す、好きな人同士がなる……」

恒一「うん、それ」

鳴「っ……!」

恒一「……」

鳴「……」

恒一「……だ、駄目かな?」

鳴「っ……だ………い」

恒一「え?」

鳴「だっ……駄目じゃない」

鳴「私も……私も、榊原くんの彼女になりたい」

恒一「!」

!!

恒一「ほ、ホントに……?」

鳴「……うん」

恒一「……う、嘘じゃない?」

鳴「嘘じゃない」

恒一「……ゆ、夢じゃないよね?」

鳴「……うん、夢じゃないよ」

恒一「……ホントのホントに、夢じゃないよね?」

鳴「……」バシッ

恒一「いたっ!?」

鳴「痛いなら、夢じゃないでしょ」

恒一「いたた……あはは、そうだね」

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

恒一「ははっ……うん、これで大丈夫だね」

鳴「大丈夫?」

恒一「だって、できたじゃないか」

鳴「……? できたってなにが?」

恒一「切れない繋がりだよ」

鳴「あ……」

鳴「……うん、そうだね」

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

恒一「……」

鳴「……」

恒一「……えっとさ、あの……」

鳴「……榊原くん」

恒一「え? な、なに? 見崎」

鳴「……ぎゅってして?」

恒一「え?」

鳴「少し肌寒いから、温めてくれると嬉しい」

恒一「え……」

恒一「寒いって……夏なんだからむしろ暑いぐらいじゃない?」

鳴「……いいから、お願い」

恒一「……わかったよ。じゃあちょっとこっち寄ってくれる?」

鳴「うん」

恒一「……じゃ、ちょっとごめんね?」ギュッ

鳴「ん……」

恒一「……」

鳴「……」

鳴「……榊原くんの腕の中、暖かいね」

恒一「そう?」

鳴「うん……すごい暖かい」

恒一「そっか……ならよかった」

鳴「……」

恒一「……」

恒一「……ねえ、見崎」

鳴「……なに?」

恒一「好きだよ」

鳴「!」

鳴「……うん、私も」

鳴「私も大好き」

言ったああああああああああああああ

恒一「……もう真っ暗だね」

鳴「……うん」

恒一「……そろそろ帰ろうか?」

鳴「……うん、そうね」

恒一「……」

鳴「……」

恒一「……帰るんだから、そろそろ離れてくれない?」

鳴「もうちょっとだけ」

恒一「えー……」

鳴「……ん、もういい」パッ

恒一「あ、もういいの?」

鳴「うん」

恒一「それじゃ帰ろっか……家まで送ってくね」

鳴「いいよ、もう遅いし」

恒一「遠慮しないでよ、彼女を無事に家まで送り届けるのが彼氏の義務なんだからさ」

鳴「!」

鳴「……」

鳴「……なら、今日は特別に許可します」

恒一「うん」

うひょおおおおおおおおおお 

鳴「……」テクテク

恒一「……」テクテク

鳴「……」テクテク

恒一「……」テクテク

鳴「……あ」

恒一「……ん、もう着いちゃったね」

鳴「……うん」

恒一「それじゃ……って見崎! 危ない!」

鳴「え? きゃっ――」

恒一「っ!」ガシッ

鳴「きゃっ」

恒一「ふう……危ないなあ、また石につまづきそうになってたでしょ?」

鳴「あっ……あ、ありがとう榊原くん」

恒一「どういたしまして……まったく、ぼーっとしてちゃ駄目だよ?」

鳴「う、うん……」

恒一「はは、見崎はやっぱり天然だね」

鳴「っ! ……違う、榊原くんが過保護なだけ?」

恒一「そうかな?」

鳴「そうなの」

鳴「……じゃ、もうここで大丈夫だから」

恒一「そう?」

鳴「うん」

恒一「そっか……じゃあまた明日」

鳴「……」

恒一「……ん? どうしたの?」

鳴「……ねえ、榊原くん」

恒一「? なに?」

現象「今日は特別に許可します」

鳴「……もう、大丈夫だよね?」

恒一「え?」

鳴「離れてても……大丈夫なんだよね?」

恒一「……うん、大丈夫だよ」

恒一「何処にいても、僕と見崎はいつも一緒だ」

鳴「!」

鳴「……うん」ニコ

鳴「……そうだ、榊原くん」

恒一「なに?」

鳴「ちょっと屈んでくれる?」

恒一「屈むって……こう?」

鳴「そう……それと、少し目を瞑っててくれる」

恒一「? うん」

鳴「ん、ありがと……」

鳴「じゃあ、そのまま絶対に動かないでね?」

恒一「……? うん、わかっ――」


チュッ

素晴らしすぎて漏れそうです

中尾「チュッ」

恒一「――えっ?」

鳴「……ん、もう目開けてもいいよ」

恒一「えっ……み、見崎、今のって……」

鳴「それじゃ榊原くん、また明日ね」タッ

恒一「あっ……う、うん。また明日」


タタタタ…


恒一「……」

恒一「……」

恒一「……今日は顔洗うのやめとこっかな」

~恒一宅~

恒一「た、ただいまー……」

怜子「恒一くん!?」

恒一「れっ怜子さん!?」

怜子「こんな時間までなにしてたの!? もう九時じゃない!」

恒一「ごっ、ごめんなさい! ちょっと色々ありまして……」

祖母「怜子、恒一ちゃん帰ってきたの?」

怜子「あ、お母さん! そうそう、今帰ってきたわ」

祖母「あらあら……どこに行ってたの? 連絡もなくて心配してたのよ?」

恒一「ご、ごめんお婆ちゃん……」

祖父「おお恒一ぃ、帰ってきたのか」

恒一「あ、お爺ちゃん……ただいま」

祖母「ほら、今ご飯温め直すから手洗ってきちゃいなさい」

恒一「う、うん」

怜子「恒一くん?」

恒一「はいっ!? な、なんですか怜子さん?」

怜子「遅くなって理由、ちゃんと後で説明しなさいね?」

怜子「もし納得できる理由じゃなかったら……」ゴゴゴゴ

恒一「……な、なかったら?」

怜子「……ふふっ♪」

恒一「!?」ゾクッ

~翌日~

恒一「……んあ」パチ

恒一「ふわぁ……」ムクリ

恒一「朝か……えーっと時計は……」

『11:20』

恒一「……いや、昼だったか」

恒一(昨日は結局深夜まで怜子さんに説教されてたからなあ……)

恒一(今日が休みでよかった……)

恒一「ん……ふわぁ」

恒一「うーん……もう少し寝てようかな……」

ガラッ

恒一「わっ!?」

祖母「あら、やっと起きたのね恒一ちゃん」

恒一「な、なんだお婆ちゃんか……怜子さんかと思った」

怜子「あら、私だったら何かまずいのかしら?」ヒョコ

恒一「ひぃ!?」

恒一「びっくりした……ふ、二人してどうしたんですか?」

怜子「恒一くんにお客さんが来たから起こしに来たのよ」

恒一「お客さん?」

怜子「そ、お客さん……やっぱり恒一くん、隅に置けないわね~」ニヤニヤ

恒一「え? どういう……?」

怜子「いいからいいから、さっさと顔洗って着替えてきなさい」

恒一「? は、はい……」

~玄関~

鳴「……」

恒一「……あれ? み、見崎?」

鳴「あ、榊原くん。こんにちは」

恒一「あ、こんにちは……じゃなくて、客って見崎のこと?」

鳴「うん、遊びにきた」

恒一「そ、そうなんだ……よく家わかったね」

鳴「連絡網があったから」

恒一「あ、そっか……」

恒一「と言うか、来るなら携帯に電話でもしてくれればよかったのに」

鳴「……あ」

恒一「……もしかして忘れてた?」

鳴「……うん」

恒一「あはは、見崎はドジだなあ」

鳴「っ……だって、普段携帯電話なんて使わないし……それに」

恒一「? それに?」

鳴「……さっ、榊原くんに」

恒一「僕に?」

鳴「榊原くんに会いたいってことしか考えてなくて……頭回ってなかったから」

恒一「えっ……」

鳴「っ……」カァア…

恒一「え、えっと……」

鳴「……」

恒一「……あ、そ、それはともかく! これからどうする?」

鳴「……? どうするって?」

恒一「うちに上がるか、それとも何処か出かけようか?」

鳴「ん……出かけたい、かな」

恒一「そっか、じゃあ何処か出かけて遊ぼう」

鳴「うん」

恒一「どこ行きたい?」

鳴「榊原くんと一緒ならどこでもいいよ」

恒一「えー……どこがいいかなあ」

鳴「……」

恒一「……あっそうだ、映画館でも行こうか」

鳴「映画館?」

恒一「うん、一昨日も聞いたでしょ? 見崎に行きたいかどうかって」

鳴「あ……うん、そういえば言ってたね」

恒一「今日は大勢じゃあないけど……その内動物園とか水族館にも行こうよ、皆誘ってさ」

鳴「ん……」

恒一「……あれ? やっぱり乗り気じゃない?」

鳴「ううん、行きたい……けど」

恒一「……けど?」

鳴「けど……それとは別に、榊原くんと二人きりで行きたい」

恒一「えっ……ふ、二人きりで?」

鳴「そう」

恒一「そ、そっか……じ、じゃあ二人で行こうか」

鳴「うん」

鳴「榊原くん」

恒一「ん? なに、見崎?」

鳴「色々なところ、連れて行ってくれる?」

恒一「色々なところ?」

鳴「うん、さっき行った動物園とか水族館……あと」

恒一「あと?」

鳴「あと……東京にも、行きたい」

恒一「!」

鳴「……連れてってくれる?」

恒一「見崎……」

恒一「……うん、連れてくよ」

鳴「……!」

恒一「色々なところに連れてってあげる、映画館にも動物園にも……東京にも」

鳴「……うんっ」

恒一「いずれ迎えにくるから……その時まで待っててくれる?」

鳴「っ……! うん、待ってる」

恒一「寂しいと思うけど、大丈夫?」

鳴「うん、大丈夫……だって、繋がりは切れないもの」

恒一「……うん、そうだね」

鳴「うん……」

恒一「……ありがとう、見崎」ギュッ

鳴「ううん……私こそありがとう



  ――恒一くん」










――終わり







途中何度も消えて正直すまんかった


鳴ちゃんのイチャラブが書きたかっただけなのになんでこんな長くなったんだ……

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