澪「ファイナルファンタジー4 THE ENKO」(157)

MIO”FINAL FANTASY IV THE ENKO”

おじさん「それじゃあ僕先にシャワー浴びてくるね♪」

澪「ぇ、ぁ、あの……」

ガチャ バタン シャワアアアア

澪「……」

澪(うわあああどうしてこんなことに……)

数時間前



律「こないだムギと二人きりで会ってさー」

澪「っ……それでどこにいったんだ?」

律「ん? どこに行ったかって、えっとー駄菓子屋とかゲーセンとか」

律「ムギの奴ほんと何にでも興味津々でさ。ま、いつもの事だけどな。それでな――」

律「――ムギのやつ唯より天然かもしれないぜ。すごく面白かったー!」

澪「……」

律「澪? どしたの?」

澪「……いや、なんでも」

律「あれぇーもしかして澪も遊びたかったのかなぁ? いやあーすまんすまん! 二人っきりでデートを満喫しちゃったよ♪」

澪「っ!」

ゴチンッ!

律「ぐぇあ!?」

――――

澪「なんだよ律の奴……」とぼとぼ

澪「ムギ……」

澪「私もムギと遊びたかった」

澪「遊びたいよう」

おじさん「えっ!? じゃあ……遊ぶ?」

澪「遊ぶぅ……」

おじさん「おお……! じゃ、じゃあ休憩しにいこっか!」

澪「うん……えっ?」

おじさん「いやー君かわいいね♪ おじさんドキドキしちゃうよ」

澪「あ、あれ?」



そして今に至る

シャワアアアアア

澪「ど、どうしようどうしよう……」

澪「どうしてこんな事に……あぁぁ」

澪「元はと言えば律の奴が……いや、律は悪くない」

澪「私が勝手に怒って……怒るっていうか律に……」

澪「だってムギと二人っきりで……」

ガチャ

おじさん「ふーさっぱりさっぱり♪」

澪「あああそんな事考えてる場合じゃなかったぁぁぁ……!」

おじさん「どうしたの澪ちゃん。澪ちゃんもシャワー浴びるでしょ? おじさんは浴びなくても構わないけどね(笑)」

澪(どうしよぅぅ……はっ! ていうかおじさんがシャワー浴びてるうちに逃げればよかったんじゃ!?)

澪(私のバカバカ!)

おじさん「それとも話でもする? 澪ちゃんって高3くらい?」

澪「……あ、はい」

澪(何か……何かこの状況を打開する方法を考えなきゃ……!)

おじさん「じゃあ夏休みかー。学校はどこに通ってるの? 家はどの辺?」

澪「……学校は桜が丘女子高で家は――」

澪(さっきまでは怖くて頭が回らなかっただけだ。冷静に考えれば何か糸口が見えてくるはず!)

おじさん「へえー隣の駅かぁ。そうだ番号とアドレス交換しようよ」

澪「……はあ」

澪(こんな時律ならどうするのかな……ムギだったら……)

おじさん「これでOK。暇な時は遊ぼうね♪」

澪「あ、はい」

澪「……へ?」

おじさん「澪ちゃんみたいなかわいい子に誘ってもらえるなんて嬉しいなあ!」

おじさん「僕の息子も喜んでるよ。なんちゃって////」

澪「」ダラダラダラダラ

澪(ア……あ……考えるのに夢中でなんだか色々まずい話しちゃった気がするぞ……)

おじさん「それじゃあ――」

澪「っ……ああっ!」

おじさん「うん?」

澪「えーとえーと……あ! ゲーム! ゲームがある!」

澪(何だかホテル同様古そうだけどこれで時間を稼ごう!)

おじさん「うわあスーファミだ懐かしいな~」

澪「わ、私これやりたいですっ!」

おじさん「うーん、じゃあやってみようか。夜は長いしね//// なんちゃって(笑)」

澪「わ、わーい」

澪(ふぅ……あとはなるべく長持ちするゲームを)

澪「えっとえっと……ぷよぷよはだめだ……スト2も……」

澪(対戦型ゲームじゃ常に終りと隣り合わせだ。おまけにおじさんとの仲を深めていい余興になってしまう可能性もある……!)

澪(じゃあ何をやればいいんだぁぁぁ……ん、これは?)

澪「FINAL FANTASY IV……」

おじさん「えっそんなのあるの? うわー懐かしいなー」

澪(このシリーズ律と聡がやってるの見た事ある。確か13だか14だった。そのゲームの4作目か)

澪(おじさんも知ってるみたいでウケもよさそう。何よりRPGなら時間が大幅に稼げる!)

澪「これやりたいです!」

おじさん「でもこれRPGだよ」

澪「だ、だけどどうしてもこのゲームやってみたいんです! お願いします!」

おじさん「うーん……」

おじさん「僕このゲーム昔よくプレイしたんだよねー。懐かしいなぁ。そもそも今時スーファミが置いてあること自体がすごいね」

おじさん「ああ、そういえばこのゲームって2人プレイ出来たっけなぁ」

澪「じゃ、じゃあ……」

おじさん「せっかくだからやってみようか」

澪(神よ……!)

おじさん「スーファミのカセット差し込むなんて何年振りだろう」

ガチャ バチン

テレレレレレレレ……♪



  ___ ___ _ _  _  ___   . ___  _  _ ._ __ ._  __  ._ _  ___ _
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おじさん「うわー懐かしいな(笑)」

澪(とにかく今は1秒でも長くゲームをやり続けるんだ)

澪「ええと、あの、これはどういう感じのRPGなんですか?」

おじさん「今でこそスタンダードなファンタジーって感じだけど当時は画期的なシステムや音楽に心を惹かれたよ。まあ21年前のゲームだからね」

澪「そうなんですか」

おじさん「オープニングで大体の感じはつかめると思うよ」

澪「は、はい」

オープニング終了

澪(バロン国の暗黒騎士セシルが主人公で、親友の竜騎士カインと共に幻獣討伐してミストの村にボムの指輪を届ける、と)

澪(あとセシルにはローザっていうほぼ相思相愛の女性がいる)

おじさん「ちなみにカインもローザの事が好きなんだよ」

澪「へえ……」

澪(ストーリーを把握して話のタネを沢山見つけなきゃ)

おじさん「今の子からすると古いゲームに見えるだろうけどストーリーや音楽なんかは結構いいんだ。思い出補正かもしれないけど(笑)」

澪「は、はい」

澪(だめだもっと会話を続かせるんだ)

澪「私は昔のゲームってやったことないから新鮮です」

おじさん「だろうねえ。今はFFも13だか14まで出てるみたいだからねえ」

澪「あ、で、でも最近のはあんまり合わないっていうか、一本道っていうか」

おじさん「そうなんだよ。昔みたいな面白さがね――」

澪(律と聡のゲームプレイが役に立った)

おじさん「このゲームは最大5人パーティでシステムもオードソックスなRPGだけど何故か2人プレイ出来るっていうのがね」

おじさん「とりあえず澪ちゃんはセシルとカインどっちを操作したい?」

澪「じゃあ……カインで」

澪(主人公をおじさんにプレイさせれば向こうも熱中するかもだし)

おじさん「はいはい。……よし、これで戦闘とフィールドの移動が2Pでも出来るようになったよ」

澪「わ、わぁい」

澪(それに親友と好きな人が相思相愛って……何となく共感できるっていうか)

澪(何より左利きみたいだし)

おじさん「ちなみに次に仲間になるのはリディアっていう7歳の女の子だよ(笑)」

澪「7歳!?」

澪(私がカインだとすると律がセシルでムギがローザ……じゃあリディアは梓かな)

澪(そうこうしているうちに幻獣を倒してミストの村にきたけど)

澪「ボスのドラゴン弱かったですね。後はミストの村にボムの指輪を届けるだけかぁ」

おじさん「……うん、そうだね」

澪(なんでおじさんのテンション下がってるんだろう……)

おじさん「村に入ったら澪ちゃんが話進めておくれ」

澪「はあ」ポチポチ

澪(それにしてもボムの指輪って物騒な名前だ)

セシル「指輪が光る……!?」

ピカリーン  ゴオオオオオオオオ

カイン「これは!」

澪「えっ……村が燃えて、る」

セシル「この村を焼き払うために僕らはここまで……」

澪「え……」

澪(バロン王に騙されて村を燃やしてしまった……)

澪(おまけにさっき倒したドラゴンはこの村の人が召喚したもので、それを倒してしまったからその召喚士も死んで……)

女の子「えーーーん……」

澪(残されたのは召喚士の娘リディア……ごめんな梓……)

澪「ゲームって結構シビアな内容なんですね……」

おじさん「そうだね……うぅ」

澪(まさか7歳の子のお母さんを殺してしまうなんて……だからおじさん元気なかったのかな。半泣きだし)

おじさん「うっく、ここでセシル達はバロン国に反旗を翻す決心をするんだ」

澪「なるほど」

おじさん「でもここで地震が起こって……」

澪「あ……カインとはぐれちゃった」

澪(その後もゲームを進めていくとローザや他のキャラが仲間になった)

澪(そしておじさんとキャラを分け合って進めていく。目的はゴルベーザという敵からクリスタルを守るというもの)

澪(おじさんも熱中してるみたいでいい感じだ。このまま……)

おじさん「……来る」

澪「え? 何がですか……あっ!」

カイン「久しぶりだな」

澪「カイン! 良かった生きてたんだ。また一緒に戦ってくれるんだな!」

カイン「無論そのつもりだ。だがセシル、戦うのは貴様とだ!」

澪「へ?」

おじさん「カインはゴルベーザに操られているんだ……」

澪「そ、そんな……カイン……」

         |{、_ ,ム 、__/j
  ト、 _ \」 _,.心´ _ノ!
  ヽ_>。`Y弋廴_了≦ _ヾ,
  i´t ,.爿=r勹、__ーェノ;彳アカ
  ヾ/ ,イフ ̄クーァ―ァ‐'"マ、ーァ

    .Vヘト、_i'L 斗=弌ー- スミjトゝ
     い1^>'‐≦彡=E公y1!
     ヾ |:::冫==!!'" |ト、:::::| ト
     ト」 ヾー三7j  ,!トゞ:::j j |、
     ゙! ト、\ニ7-イ^ヾ:::|j1!、\
      |! ト.ヽ \ ,!  _|:::;!| ハヾ、\
     ぃヾ:::、 :::\_ク テ:川::::i、゙:::\\

      |::i l!ヾ;:、Y:::\.|::|| |::::::::、ヽ::\ヽ
        }::! |∧::i |::::いヘ| !゙i::::::::\\::i,.リ
        |::1|:| !レ::::::i ハ!l ト、:::::::::\小,
        !::l |:| |::::::::::} ゙i N ヘヾ:::::::::::ヽリ
      i::/ |:| |::::::::ノ   ;}}l 弋 \::::://
     _レ ノ/ ノrァ::/__/イ:::ト\::ヽ Y/

      ム辷_イ==_厂ー、:::::; -\:::レ/
       ̄ー‐―' ̄ ̄     レ′

澪(カインに敗北した上ゴルベーザにローザを連れ去られてしまった)

澪「辛い事が連続で起こりますね……」

おじさん「FF4は暗いストーリーが続くんだ……」

澪「そうなんですか……」

おじさん「……あれ? 今何時だろう」

澪(やばいっ!)

おじさん「あら、もう時間だ」

澪(いやったぁーーーー!)

おじさん「仕方ない延長するか」

澪「!!?」

澪「あ、あのあのっ! 私今日はもう帰らないとママに叱られちゃうのでっ!」

澪「あと心配性だから帰りが遅いと捜索願い出されちゃうかも!」

澪(うう、理由が弱い……)

おじさん「ええー、そうかぁ……ま、しょうがないか」

澪(やったあ!)

おじさん「また連絡するね♪ なんなら迎えに行っちゃうよ(笑)」

澪(しまったぁぁぁぁぁ連絡先と住んでる場所ばらしちゃったんだ……)

澪(もう、お嫁に、行けない――)

翌日

澪「ああぁぁ……嫌だよぅ」

澪「いや忘れよう。もう連絡してこないかもしれないじゃないか」

澪「勉強して忘れるんだ……って今日はもうずっと勉強ばっかりやってる……はは、はかどるなぁ」うるうる

ヴーーーー ヴーーーー

澪「っ!!」

澪(律! 律! 律からであってくれ……!)



澪「……『これからまた遊びに行こうか♪ といっても休憩だけどね(笑)』」

澪「……」

澪「ふえぇ……」うるうる

ラブホテル近隣

おじさん「あっ澪ちゃん♪」

澪「ど、どどどどうも」

おじさん「もしかして緊張してる?」

澪「いえ、べべつに」

おじさん「とりあえず入ろうか」

澪「は、はいい」

ラブホ内

おじさん「昨日と同じ部屋が良かったの?」

澪「は、はははい!」

澪(だめだ……今日こそ私は……)

――――

おじさん「そう……そのまま飲み込んで。僕のエクスカリバー……」

澪「うぅ、はい……」

――――

澪(なんてことに……?)

澪(怖い怖い怖いやっぱり怖い! 今日も出来る限るの事はやろう!)

澪「ゲ、ゲーム! ゲームしませんか!?」

おじさん「うーん……」

澪「つ、続きが気になっちゃって!」

おじさん「おお、FF4に興味を持ってくれるとは嬉しいねえ。そういう事ならやろうか」

澪「わぁい」

澪(よし、よし……!)

おじさん「昨日でローザがゴルベーザにさらわれてしまったから、これから奪還するために色々動くんだよ」

澪「は、はい!」

おじさん「セシルが暗黒騎士からパラディンになるのさ」

澪「パラディン?」

おじさん「過ちを犯してしまった自分を変えて、悪の力に立ち向かうためにね」

おじさん「ほら、オープニングで王の命令で無抵抗な人からクリスタルを略奪しただろう?」

澪「はい」

澪「過ちを犯した自分を変える……」

澪(そういえば律にまだ謝ってないや。私が一方的に怒っただけなのに……)

――――

おじさん「ふう、これでカインが正気に戻ってローザも仲間に戻るぞ」

澪「あ……カイン、やっと仲間に戻るんだ」

カイン「……セシル! す、すまん……俺は何という事を……」

セシル「操られていたんだ……仕方ないさ」

カイン「しかし……意識はあったのだ。俺はローザを……」

澪(カイン……)

澪(そこを付け込まれて操られたのかな)

澪(でもカインの気持ちわかる気がする。私も律とムギに……)

澪(カインはその後ローザにもあやまって、正直にローザと一緒にいたかった事を告げた)

澪(自分の行いを恥じて、何の弁解もなくセシル達に力を貸してくれた)

澪(……かっこいいよ)

澪(私も律に謝らなきゃな)

おじさん「あちゃーまた時間が来ちゃった。澪ちゃん――」

澪「すみません! 今日は帰ります!」

――――

ピポパ プルルルル

律『もしもーし、どしたー?』

澪「……」

律『みおー?』

澪「あのな、この前はその……ごめんな。ちょっとうらやましくなっちゃって」

律『この前? 何かあったっけ?』

澪「ほら、私が叩いちゃって……」

律『え、いつもの事じゃん』

澪「そ、そんなに叩いてないだろ」

秋山 澪(あきやまみお)

日本名:秋山 澪(あきやま みお)。韓国名:秋 山澪(チュ サンジュ)

漫画・アニメ「けいおん!」に出てくる登場人物。同作品において唯一の外国人キャラクターである。
国籍は韓国(不法入国の在日3世)。暴力的で、自分の考えに賛同しないものに対してすぐにキレてしまう。
また、寝顔を撮られただけで首を締め上げるなど、突然常軌を逸した行動をとることがある。
これは、韓国人特有の病気である火病(ファビョン)からくるもので、抑えようが無い。
作品中ではたびたびこういった描写が出てくるため、一部では「作者が在日についての問題提議を行っている」とも言われている。

律『いーや叩いてるね! てゆかそれが用事?』

澪「あ、うん」

律『どうした、風邪でも引いた? そっち行こうか?』

澪「いやいいよ……うん、ありがと」

律『おう? 変な奴だな。』

澪「それじゃ……な」

律『おー。風邪引いたら看病してあげまちゅからね!』

澪「ふふ、じゃあな」



澪「よかった、律怒ってなかった」

澪「バイバイ律。次に会う時には私は……」

一週間後

澪(……って覚悟してたけど、何だかんだ言って上手い事逃れてるなぁ)

澪「今日もゲームやりましょう!」

おじさん「ハハッ、澪ちゃん大はまりだね」

澪「え、ええまあ」

澪(ゲームは楽しいんだよな)

澪(ゲームはって……気付いたら私ちょっとだけ楽しんじゃってる)

おじさん「澪ちゃん本当に普段ゲームやらないの? 魔法とかアイテムの使い方うまいよね」

澪「あ、それは……攻略サイトを見てそれで」

澪(ちょっとだけじゃないかも)

澪(で、でも! そのおかげでまだえっちな事してないし!)

おじさん「どしたの? 次ボス戦だよ」

澪「は、はい!」

おじさん=カイナッツォ

澪「うわ、このボス強い」

おじさん「ええと、何が有効だったかなこのボス……あ、澪ちゃん※ケアルラお願い」

澪「はい、全体ですね」

おじさん「※フェニックスのお使った後すぐね」

澪「はい」

おじさん「くそー強い。こいつ素早いな」

澪「※スロウとか効かないかな……」

おじさん「なるほど試してみよう!」

澪「はいっ」

テレレレレレ♪ チクタクチクタク

おじさん・澪「効いたーー!!」



※ケアルラ:白魔法、HPを中回復
※フェニックスのお:アイテム、味方一人を生き返らせる
※スロウ:白魔法、素早さを下げる

おじさん「あ……」

澪「どうしました?」

おじさん「いや、なんでもないよ」

おじさん(なんだろうこの感じ。胸がいっぱいになる……)


蘇る21年前の記憶



親友「おーいたかし! 学校終わったら速攻でおまえんち行くわ!」

おじさん「おう! 昨日みたいにコントローラー忘れんなよ!」

親友「おまえんちの2Pの十字ボタンが悪いんだろ!」

おじさん「おかげで『たたかう』しか出来なかったもんな」

――――

親友「やべーもう負ける!」

おじさん「これで決める!」

ザシュ

おじさん・親友「倒したー!!」

親友「やっぱお前にカイン任せて正解だったわ!」

おじさん「おうよ!」

――――

――――――――

――――――――――――

おじさん「……」

おじさん(あの頃は楽しかったなぁ……)

おじさん(あいつ元気にやってるのかな)

おじさん(今会ったら……あいつに怒られるよなあ)

おじさん(ENKOなんかして……)

澪「おじさん? もうダンジョンの出口だけど……」

おじさん「ああごめんごめん」

澪「……あれ? 画面が暗くなった」

セシル「なんだ?」

ゴルベーザ「カイン……帰って来い、カイン……」

澪「えっこれって」

おじさん「カインをもう一度操ろうとしているんだ!」

セシル「カイン!」

ローザ「しっかりして!」

カイン「だいじょうぶだ……」

澪「カイン……!」

澪(そうだよ、もうカインは操られたりしない!)

カイン「おれは しょうきに もどった!」

ドカッ!

セシル「うっ!」

  クリスタルを うばわれた!

澪「カイーーーン!?」


\   、 m'''',ヾミ、、 /   
  \、_,r Y  Y ' 、 /';,''    
  、 ,\ヽ, | | y /、 ,;;,,'',  
  \、\::::::::::/, /,, ;;,    
   ヽ\ o 、 ,o / { ;;;;;;;,,    
   丿 [ \|:::|/ ]  >"'''''   <だいじょうぶだ‥‥
    >、.>  U   <,.<        おれは しょうきに もどった!
  ノ  ! ! -=- ノ!  ト-、       
..''"L  \\.".//_ |   ゙` ]

――――

おじさん「あちゃー今日も時間かぁ」

澪「はは、カインが……」

おじさん「澪ちゃんカイン好きだねえ。僕もカイン好きなんだよ」

澪「でもまさか2度も裏切るなんて……」

おじさん「そこがカインだよねえ」

澪「うう……」

おじさん「それじゃあまた明日ね♪」

澪「はい」

数日後

澪「今日はなんとかカインの目を覚ませてあげたい」

澪「……」

澪(私、早くゲームがしたいって思ってる……おじさんと一緒なのに)

澪(おじさんが悪い人じゃないってわかるけど、それでも元はえ、えっちな事をするために集まってるんだよな)

澪(なのに私は何やってるんだろう……でも……)

おじさん「澪ちゃーん!」

澪「どうも」

ラブホ内

おじさん「ちょっと時間遅いけど平気?」

澪「はい」

おじさん「いやー今日も暑くて汗だくだよ。先にシャワー浴びてくるね」

澪「それじゃあ私レベル上げしてます」

おじさん「よろしくー」

シャワアアアア……

澪「カインがいなくなっちゃったからパーティの攻撃力が弱い……カイン……」

澪「まさかまた裏切るなんて……いきなりだったもんな」

澪「……あ、れ?」

ガチャ

おじさん「ふぅ」

澪「あれ? あれ?」

おじさん「どうしたの?」

澪「※ディフェンダーが無くなってる……」

おじさん「え……」



※ディフェンダー:剣、高い攻撃力に加え装備すると防御力がアップする。その上アイテムとしても使用可能で○プロテスの効果がある。非売品。
○プロテス:白魔法、防御力が上がる。

澪「ももももしかして別のお客さんがプレイして※ディフェンダーを、こ、コ、ココラッシュ、しゅて、捨てちゃったとか……?」ガクガク

おじさん「そんなまさか……あっ! そういえばディフェンダーはカインに装備させてた……」

澪「ああっ!? ど、どうしよう……」

おじさん「残念だけど、再開する時には別の装備をつけてるよ。つまりディフェンダーはもう……」

澪「そんな……苦労して強敵を倒してようやくゲットしたのに……」

おじさん「おまけにディフェンダーより弱い武器を持って帰ってくるんだ……」

澪「……」

おじさん「……」



※ディフェンダー:剣、カインの装備可能武器で2番目に攻撃力が高く、最強武器よりも命中率と防御力アップの面で優れる。また、最強武器との攻撃力差は殆どない。

>>53
カイナッツォおじさんはカインが好きなんだな
http://i.imgur.com/FoTGX.jpg

澪「……」

おじさん「……そういえば。僕も最初にプレイした時にカインにディフェンダーを取られちゃったんだ」

おじさん「装備を外すのすっかり忘れていたよ」

澪「……」

おじさん「ははは……」

澪「……っぷ」

おじさん「ははっ」

澪「あはははっ」

おじさん「はっはっはっ」

澪「ぷふ、ふふふ……あははははっ!」

――――

澪「まさかゴルベーザがセシルのお兄さんで、ゴルベーザ自体も操られていただけだったなんて」

澪「てっきりラスボスだと思っていたのに。だけどこれでカインも正気に……」

カイン「やっと、自分の心を取り戻す事が出来た……今更許してくれとは言わんが……」

澪「カイン……また操られたり……しないよな?」

カイン「……その時は遠慮なく俺を斬るがいい!」

澪「……やっぱりかっこいいよ、カイン」

――――

澪「ついにラストダンジョン手前まできましたね」

おじさん「ディフェンダーはなくなっちゃったけどね」

澪「……」

おじさん「……」

澪「くすっ」

おじさん「(笑)」

おじさん「ラストダンジョンは結構大変だった記憶があるなあ」

澪「そうなんですか。夏休み中にクリア出来るかな」

おじさん「8月ももうすぐ終わりだもんね。澪ちゃん勉強とか大丈夫なの? ……って僕がいつも誘ってるんだけどね」

澪「勉強は普段からしてるし夏期講習にも行っているので。でも学校が始まったら忙しくなるかも……」

おじさん「そっかー。それじゃあもう会えないかな」

澪「あ……」

おじさん「変なこと聞くようだけどさ、澪ちゃんて僕以外の人とENKOした事あるの?」

澪「ふぇっ!? な、ないですっ!」

おじさん「やっぱり。そんなことするような子に見えないし、話してると余計にそう思ったよ」

澪「え?」

おじさん「おじさんから誘っておいてあれだけど、今日でもう会うのやめようか」

澪「え……」

おじさん「僕も思い出したっていうか、しょうきにもどったっていうか」

おじさん「このゲームやってたら色々とね……」

おじさん「僕はただ話し相手が欲しかっただけなのかもしれない。寂しかったのかな、はは……」

おじさん「それで今日まで拒否しない君に甘えてた……かな。僕もカインと一緒さ、なんちゃって(笑)」

澪「おじさん……」

おじさん「ただし彼は恥を知る男だ。僕も見習わなくちゃいけない」

おじさん「結局お金も澪ちゃんがいらないって言うからあげてないけど、やっぱり迷惑かけた分だけでも」

澪「……ぁ、あのっ!」

おじさん「ん?」

澪「……まだ、クリアしてないじゃないですか」

おじさん「えっ?」

澪「ここまでプレイしてクリアしないなんて、嫌ですよ……」

澪(あれ何言ってるんだ私)

澪「私、夏休みであと1日空いてる時間がありますから、だから」

おじさん「でも1日じゃあクリアは難しいよ」

澪「……ひ、ひっ、ひと晩でも、ですか?」

おじさん「み、澪ちゃん……。わかった、それじゃあもう一日だけおじさんに付き合ってもらおうかな」

おじさん「何だかんだ言っておじさんもFF4が好きだからね」

澪宅

澪「……わ」

澪「私は何をやってるんだ!?」

澪「せっかくおじさんからもうやめようって切り出してくれたのに」

澪「電話番号とアドレスも消してくれるって言ってくれたのに」

澪「……」

澪「やっぱり楽しんでたんだな、私」

澪「最初はただ怖くて、だけどあの2人への嫉妬で自棄になってたのかも」

澪「それから気が付いたらFF4が楽しくて、カインの行く末が知りたくなって。RPGって独特の期待感があるんだよな」

澪「おじさんは毎日仕事ばっかりで、話し相手がいなくて少し寂しい思いをしていただけで、いい人だったし。『しょうきにもどった』だって……ふふ」

澪「男の、それもかなり年上の人とあんなにスラスラ話せるようになるなんて思わなかった」

澪「律が知ったらビックリするな」

澪「おじさん……」

――――

ラブホ前

おじさん「……やあ」

澪「……はい」

おじさん「それじゃあ行こうか、ラストダンジョンへ」

澪「はい!」

ラブホ内

おじさん「今日は長期戦になると思ってご飯買って来たんだ。お寿司」

澪「わぁ」

おじさん「色々種類あるけど澪ちゃん何食べる?」

澪(何だか気持ちが落ち着かない。口に何か入れたいけどお腹はあんまり空いてない。ひとまず……)

澪「ガリで」

おじさん「さて、ここからラストダンジョンな訳だけど。ここには強い武具が隠されているけど敵も相当強い」

澪「はい、気を付けていきましょう」

澪(おじさんの言った通り敵はかなり強い。それにラストダンジョンだけあって道程も長い)

澪(でも今まで培ってきたおじさんとのコンビネーションやゲームのノウハウで何とか最深部に辿り着く事が出来た)

おじさん「多分もうすぐラスボスが出てくる。澪ちゃん、本当に帰らなくて大丈夫なのかい?」

澪「あ、はい、友達の家に泊まるって言ってあるので」

おじさん「そうか……じゃあ行こう」

澪「はい」

侍「寿司おごるよ」
暗「マジでぇ?w」
狩「んじゃ、イクラ」
白「あたしタマゴ~」
侍「竜さんは?」

\   、 m'''',ヾミ、、 /   
  \、_,r Y  Y ' 、 /';,''    
  、 ,\ヽ, | | y /、 ,;;,,'',  
  \、\::::::::::/, /,, ;;,    
   ヽ\ o 、 ,o / { ;;;;;;;,,    
   丿 [ \|:::|/ ]  >"'''''   <ガリで。
    >、.>  U   <,.<        
  ノ  ! ! -=- ノ!  ト-、       
..''"L  \\.".//_ |   ゙` ]

澪(最初は王に逆らえない臆病な暗黒騎士だったセシルが、やがてバロン国に反旗を翻して)

澪(ゴルベーザを倒すために自分を乗り越えてパラディンになって、地上の世界から地底、さらには月へ行くなんて)

澪(そこで出会った月の民フースーヤに聞かされる衝撃の事実。そしてゴルベーザすらも操られていただけだった)

澪(ゴルベーザも正気に戻って、フースーヤと共にラスボスを倒しに行ったけど……)

澪(FF4……まさかこんなにスケールの大きな話になるなんて)

おじさん「いた! 奴が諸悪の根源、ラスボスの『ゼムス』だ!」

澪「あいつが……あっ、ゴルベーザ! フースーヤもいる!」

澪(……フースーヤって髭が長くてなんだかモップみたい)

おじさん「彼らが一足先にゼムスと戦うんだ」

澪「頑張れっ!」

フースーヤ「もう一息じゃ、パワーを※メテオに」



※メテオ:封印されし伝説の黒魔法。おいぼれが使うと死ぬ。

         |{、_ ,ム 、__/j
  ト、 _ \」 _,.心´ _ノ!
  ヽ_>。`Y弋廴_了≦ _ヾ,
  i´t ,.爿=r勹、__ーェノ;彳アカ
  ヾ/ ,イフ ̄クーァ―ァ‐'"マ、ーァ

    .Vヘト、_i'L 斗=弌ー- スミjトゝ      「いいですとも!」
     い1^>'‐≦彡=E公y1!
     ヾ |:::冫==!!'" |ト、:::::| ト
     ト」 ヾー三7j  ,!トゞ:::j j |、
     ゙! ト、\ニ7-イ^ヾ:::|j1!、\
      |! ト.ヽ \ ,!  _|:::;!| ハヾ、\
     ぃヾ:::、 :::\_ク テ:川::::i、゙:::\\

      |::i l!ヾ;:、Y:::\.|::|| |::::::::、ヽ::\ヽ
        }::! |∧::i |::::いヘ| !゙i::::::::\\::i,.リ
        |::1|:| !レ::::::i ハ!l ト、:::::::::\小,
        !::l |:| |::::::::::} ゙i N ヘヾ:::::::::::ヽリ
      i::/ |:| |::::::::ノ   ;}}l 弋 \::::://
     _レ ノ/ ノrァ::/__/イ:::ト\::ヽ Y/

      ム辷_イ==_厂ー、:::::; -\:::レ/
       ̄ー‐―' ̄ ̄     レ′

ゴルベーザ「いいですとも!」

おじさん「いいですとも!!」

澪「!? いっ、いいですとも////」

●Wメテオ

澪「おおおお!? 強い!」

おじさん「うわー懐かしいややっぱり」

澪「勝った!?」

おじさん「いや……ここからが本当の戦いだよ」

澪「っ! ゼムスが変身して『ゼロムス』に……!」

澪「ああ……ゴルベーザ達が負けた」

おじさん「僕達の出番だよ!」

澪「はい!」

――――

澪「……か、勝った」

おじさん「やった!」

澪「勝ったーーーー!」

おじさん「勝ててよかったよ」

ゼロムス「……我は滅びぬ……生あるものに……邪悪な……心が……ある限り……グ……ズ……ギャアアアム!!!!」

おじさん「邪悪な心……」

澪「……」

フースーヤ「邪悪な心は消えはしない……どんなものでも、聖なる心と邪悪な心を持っている」

フースーヤ「しかし、邪悪な心がある限り、聖なる心もまた存在する」

フースーヤ「ゼムスの邪悪に向かったそなたらが、聖なる心を持っていたように……」

澪「……」うるうる

おじさん「……」うるうる

――――

おじさん「セシルも最後にゴルベーザと和解出来てよかった」

澪「う゛ん……よ゛がったよぉ……」ポロポロ

おじさん「ここからは確かキャラ達のその後が描かれるはず」

澪「あっ! セシルとローザ、結婚するんだ。それにバロンの国王になってる! ……カインは、どうするんだろう」

カイン「セシル……ローザ……今の俺には、お前達を祝福する事は出来ん……」

カイン「技を磨き、父を超える竜騎士となった時には、バロンに……戻れそうな気がする……それまでは……」

澪「カイン……」ポロポロ

おじさん「カイン……」ポロポロ

――――

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澪「うっく……ぐすっ……カイン……」

澪「うぇ……っ……」

澪「……」

澪「……zzz」

おじさん「……」

――――

澪「ん……あえ?」

澪「ここどこ……あ」

澪「おじさん?」

澪「おじさーん?」

澪「……いない」

私が目を覚ますとおじさんの姿は無かった。

澪「あれ……封筒が置いてある」

中を覗くとお金と紙が入っていた。
紙にはどこかまるっこい字でおじさんの言葉が書かれている。



澪ちゃんへ
おじさんは しょうきに もどった のでもう澪ちゃんと会う事もないでしょう
FF4を遊んで昔の事を思い出して、今の自分を恥じる事が出来ました。カインの様に
貴重な夏休みを使わせてしまってごめんなさい
おじさんに言われてもあれだと思うけど、受験頑張って下さい
それと、澪ちゃんは貰いたくないかもしれないけれど、僕のけじめを同封しておきます
迷惑だったらごめんなさい。必要なければ捨てて下さい
今まで遊んでくれてありがとう。楽しかったです



澪「おじ、さん……」

――――

THE AFTER



あれから半年後。
私は無事大学に合格する事が出来た。
あんな事があったけれど、勉強のいい息抜きになっていたのかもしれない。
律とも仲直り出来た。というよりあいつは初めから気にしていなかったみたいだけれど。
それで改めて3人で遊ぼうとして、結局5人で遊んだり……。

そういえば夏によく通ったあのホテルなんだけど、私が行かなくなってからすぐに潰れてしまった。
元々古い建物だったし、後々調べたらああいう所でゲーム機を貸し出すのはよくないらしい。
おまけに高校生が頻繁に出入りしていたし。
正確な原因は分からないけれどどの道こうなっていたんじゃないかな。

そしてあれっきりおじさんとは連絡を取っていない。



今にして思えば私も正気を失っていた。
あんな異質な関係に段々慣れていって、最後の日は自分から誘うなんて……。
あの日、下着を選んでいた事は記憶の底に一生封印しておきたい。
もしこれから先に似たような事が起こっても今の私ならきっぱりと断れるはずだ。

おじさんがけじめとして置いて行ったお金。
渡された時はどうする事も出来なくてずっとしまいこんでいた。
最近ようやくその一部を使わせてもらう事にしたんだ。


律「よーっす。遊びに来たー」

澪「おお」

律「何してたの?」

澪「ゲーム」

律「へえー珍しい。てかPSPじゃん。どしたのそれ」

澪「受験も終わったし、学校に行かない日も増えたから買ったんだ」

律「んで何のゲームやってんの?」

澪「ファイナルファンタジーIV コンプリートコレクション」

澪「FF4とその続編、さらにこのふたつの時代を繋ぐシナリオが収録されてるんだぞ。カインのその後がな――」

律「……ハマったの?」

澪「んー……まあな」

澪「律もやってみる? きっとハマると思うぞ♪」



END

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