アルミン「親友のいない日」ジャン「と、その足跡」(247)



アルミン「…エレン?エレン!」


アルミン「ミカサ…」


アルミン(闇の中で独り)


アルミン「…誰か…!」



1:夢




アルミン「――!!!」ガバッ

アルミン「…はぁ…はぁ…」キョロキョロ

アルミン(うわ…汗だく…)クンクン

アルミン(あーぁ…)ポリポリ


アルミン(…最近、悪夢を見て目が覚める)ドクドク


アルミン(落ち着け、“あれ”は夢だ)ドクドク

アルミン「…っはぁ…」フー


アルミン(………静かな部屋)トサッ


アルミン「………」ゴロン



カーテンの色から察するに


ガラスで仕切られた向こう側の空は


紺と黄色が入り混じったような色で、


そろそろ太陽を連れてくるように感じた。



最近、夢を見る。


悪夢だ。


闇の中でエレンとミカサを捜す夢。


夢の中では、確実にその闇の中でエレンとミカサの跡を感じている。


それだけを求めて歩き続けるうちに、


闇と息苦しさに蝕まれて、絶望する。


そして――



アルミン(…おかしくなってしまいそうな、夢…)


アルミン(……落ち着いたら、眠くなってきた)ウトウト


アルミン(…………)スウ















ライナー「起きろ、アルミン!」

アルミン「……ん…?」ウッスラ

ライナー「アルミン!」ユッサユッサ

アルミン「……ん!?」パチリ

ベルトルト「おはよう、アルミン」

ライナー「みんな食堂に行っちまったぞ!」

アルミン「―――!!!」ガバッ


アルミン「ご、ごめん!ありがとう、二人とも!!」ヌギヌギ アタフタ

ライナー「めずらしいな、お前が寝過ごすなんて」

アルミン「本当にごめん!先に行っててくれ!」ドタバタ

ライナー「そうするよ」

アルミン「ごめんね!」アセアセ

ベルトルト「気にしないで。僕らは先に行ってるよ」スタスタ

ライナー「早く来いよ」スタスタ



ガチャッ バタン…


アルミン「…………」ピタッ


アルミン「…………」ゴロンッ


アルミン(…食欲ないし、まだ寝ていたい…)ボンヤリ


アルミン(…………でも、行かないと)ムクッ



― 食堂 ―


ミカサ「………」モグモグ

サシャ「あれ?ミカサ、今朝は一人ですか?」

ミカサ「アルミンがいない」

サシャ「となり、座りますね」ガラッ

ミカサ「ええ」モグモグ

サシャ「アルミンはどうしたんでしょう?」モグモグ

ミカサ「さぁ」モグモグ


サシャ「そういえば、エレンはいつ帰ってくるんですか?」モグモグ

ミカサ「いつごろとは教えられていない。
    とりあえず、明後日、アルミンと一緒に審議所に行くことになった」

サシャ「そうですか…エレンは、せっかく穴をふさいだのに」モグモグ

ミカサ「………」モグモグ



ワイワイ ガヤガヤ


アルミン「おはよう…」コソッ


ミカサ「アルミン!」

サシャ「アルミーン、私たちもうすぐ食べ終わっちゃいますよ!」

ミカサ「でもよかった。朝食に間に合って」

アルミン「はは…恥ずかしいよ」ガラッ ストン

ミカサ「……隈ができてる」チラ

アルミン「なんだか寝つきが悪かったんだ」モグモグ


サシャ「大丈夫ですか?今日も訓練ですよ」モグモグ

アルミン「…大丈夫…だと思う」モグモグモグモグ

ミカサ「アルミン、もし体調が優れないのなら、医務官に言うべき」

アルミン「はは…心配かけてごめん」モグモグ


ガタンッ



ジャン「………」ジッ

アルミン「――!」


サシャ「ミカサ、そのパンいらないんですか?」

ミカサ「貴方にあげるものではない」

サシャ「ええー!じゃあなんで残しているんですか!」

ミカサ「残しているのではなく、今から食べる」モグッ

サシャ「ああああぁ…!」

ジャン「………」フイッ スタスタ

アルミン「…………」


サシャ「あれ?アルミン、手がとまってますよ」

ミカサ「アルミンの朝食はアルミンのもの」

アルミン「あ、ああ!急いで食べるね」モグモグモグ

ミカサ「サシャは食べていいかどうかの分別を、そろそろつけるべき」

サシャ「ええ?つけてますよ」

アルミン「…………」モグモグモグ


ミカサ「それはつけていると言えない」

サシャ「言えます」

アルミン「…………」モグモグモグ

ライナー「お、アルミン、間に合ったようだな」

アルミン「二人のおかげだよ。ありがとう」

ライナー「いいって。じゃあ、俺たちはもう片付けるから」

ベルトルト「また後で」


アルミン「うん」チラッ



ジャン「………」カチャカチャ

ライナー「よお、ジャン」スタスタ

ジャン「はよ」カチャン

ベルトルト「おはよう」カチャカチャ

ジャン「ああ、いったん部屋に戻るわ」スタスタ


ワイワイ ガヤガヤ


アルミン「………」モグモグ


サシャ「聞いてます?アルミン」

ミカサ「アルミンは朝食を食べている。邪魔はしないで」

サシャ「じゃ、邪魔なんてしてないじゃないですかぁ!」



ガヤガヤ ガチャン



ライナー「それでさ」カチャカチャ

ベルトルト「へえ」カチャカチャ


ワーワー コニーガ コボシタッ


ジャン「………」ドア ガチャン


ギャーギャー


ジャン「………」バタン


ワイワイ ガヤガヤ



アルミン「………」モグモグ


アルミン(………マルコ…)




気を使ってなのか、触れられないだけなのか、

自分が無事だったことの安堵で、みな忘れているのか、

数日前の巨人の襲撃がなかったような自然な光景だった。


この食堂にマルコやサムエル、ミーナなどの仲間たちが

忽然と消えているのが不思議なくらいだ。


ただ、ひとりになった姿は妙に目を引く。



アルミン(ジャン…アニ…)


アルミン(…彼らはなにも言わない。言わないけど…。

     寂しそうな背中が、どうしてかいつも視界にはいる…)




アルミン(…エレン、拘留所で酷い扱いを受けていないといいけど…)




いつも誰かが並んでいたのに、ひとりになった背中が目立つ。


意味をなさない罪悪感が、みなの底の底でひっそりと蠢いている。


今日はここまで。よろしくお願いします


エログロとかにはならなそうだけど、下げ進行で行くの?



― 講義室 ―


キース「解散式を終えた104期生が、今日訓練と称し集められたのはわけがある」

キース「今日は今から2者面談を行う」ギロッ

ナンダッテ     フーン
    ハゲト ハナシアイカヨ! 
 ザワザワ

キース「面談を終えたものから解散。午後は集合がかかるまで自主訓練に励め!」

キース「以上!では名前を呼んだものから、私についてくるように!!」

訓練兵「「「ハッ!!」」」



ガラガラ ピシャッ


コニー「配属兵科の面談か?解散式の前にやったばっかだろ」

アルミン「いや、こんな忙しい時期に、その主旨の面談はしないと思うんだけど…」

ライナー「じゃあ、なんなんだ?」

アルミン「おそらく…」チラッ

アルミン(ジャンは、僕たちと離れた一番前の席に座っている)

アルミン「……僕たちの心のケアみたいなものさ」ヒソ


コニー「は?教官がケアしてくれんのか?」

アルミン「ううん、そうじゃないよ。
     この間のトロスト区襲撃で、心が不安定になっている人がいてもおかしくないだろ?
     ましてや、僕たちみたいな訓練兵は…。
     各人の心の状態把握と調整が必要だと、上は判断したんだと思う」ペラペラ

ライナー「なるほど…やっぱり、堪えたやつは大勢いるからな」ギリッ

コニー「はーん…??」

ベルトルト「…………」




モブ上官「次、ミカサ・アッカーマン」

ミカサ「…はい」ガタン

ミカサ「いってくる」

アルミン「うん。がんばって」フリフリ

ミカサ「………(なにを?)」


ミカサ「………」スタスタ

ジャン「………」ボンヤリ


ガチャン


アルミン「…………」

コニー「そうじゃなくても、エレンの件でやたら上官たちに問い詰められたのによー」ノビー

ライナー「結局、俺たちは何も知らなかったが…」ハア


コニー「なー?エレン本人だってわかってなかったのによー」

ライナー「エレンはいつ帰ってくるんだかな」

アルミン「…どうだろうね。でも、エレンは何も知らなかったって、僕も思うよ」

コニー「だろ?いつも一緒のアルミンが言うんだから、それを信じればいいんだよ」

アルミン「あはは」


モブ上官「次、ジャン・キルシュタイン」

ジャン「…はい」ガタン

アルミン「!」


ジャン「………」スタスタ

アルミン(………)ホオヅエ


バタン


コニー「天才の俺様が保障する」エッヘン

ライナー「その台詞、馬鹿みたいだな」ガハハ

ベルトルト「ぶっ!」

コニー「な、なんだってぇ!?」

アルミン(……ジャンは、あえて僕たちと離れたところに座ってるのかな)ホオヅエ


ライナー「そういうところがお前のいいところでもある」ウンウン

コニー「そうか…そういうなら、そうなんだろう」エッヘン

ベルトルト「…コニー、きみ、それでいいのかい…?」

アルミン(僕たちと話すような気分じゃないから?
     今はマルコのことを思い出していたくないから?)ボケー


コニー「いま褒められたんじゃないのか?」

アルミン(でも、僕は…、
     ジャンの一人の背中を見るたびに、マルコのことを、思い出すよ)ジワ

ライナー「そうだぞ」

アルミン(……ジャンは、辛いはずだろ?)

コニー「だよな!」

アルミン(…ごまかしてるだけだ。みんな、気がついているんだ。
     ひとりぼっちの背中が、チラホラと目に映ることに、
     ひっそりと傷ついている)

モブ上官「次、アルミン・アルレルト!」

アルミン「あ、はい!」ガタンッ






アルミン「アルミン・アルレルトです!失礼します!」ガチャッ

キース「座れ」

アルミン「ハッ!失礼します」ギイ

キース「アルレルト。貴様はこの間の襲撃では、本部補給所での指揮、
    トロスト区奪還作戦でイェーガーを導いたそうだな」ギロ

アルミン「…い、いえ、私はそんな…」

キース「…よくやったな」

アルミン「…え…」

アルミン(笑ってはいないけれど…優しい顔だ…)


キース「貴様は技巧に進むべきだと思っていたが、知識や技術以外に、参謀の素質もあるのかもしれん」

アルミン「………」

キース「その素質を活かすのであれば、体力的に劣る貴様でも、調査兵団に入ることに意味がある」

アルミン「……私に、その素質はあるでしょうか…」

キース「トロスト区奪還作戦の立役者と、煽る奴もいるぞ」

アルミン「あの時は必死で…思いついたことを、とにかく実行しようとしただけです」


キース「なんだ。調査兵団に入るのはやめたのか」

アルミン「いえ、そんなことはありません。ただ…」

キース「何がそんなに引っかかっている」

アルミン「…………補給所の件では、本部の周りにいた仲間を…、奪還作戦では…イアン班長や、先輩方を…失いました」

キース「…それが、自分のせいだと?」

アルミン「…………いえ、ただ…」

キース「もっと違うことができたのではないかと?」


アルミン「…………」

キース「ふん。貴様はまだまだ甘いわ」

アルミン「…………」シュン

キース「結果を知った後で選択するのは、誰にでもできる」

アルミン「―――!!」ハッ

キース「大事なのは、選択に迫られたときに、答えを出せるかどうかだ」

アルミン「……答えを…だす…?」


キース「貴様には期待している」ニヤリ

アルミン「え、」

キース「以上だ!何ボサッとしている!!
    まずは蟻のような貧弱な体をどうにかしろ!!」ギロッ

アルミン「は、ハッ!ありがとうございました!!」スタッ

アルミン「失礼します!」ガチャンッ


キース「………次は、ライナー・ブラウンか」

キース(腑抜けだと思っていたアルレルトが、迫られたところでとりあえずは答えをだす根性を、実践で身に着けたか。

    …後は、出した答えを実行できる精神力が必要だな。

    非情な作戦でも、実行できる力だ…。

    そして、どれだけ使える駒になるか…いや、駒から脱出するかだ)



キース「あいつは意外と大物になるかもしれんな…」


ゴンゴンッ


ライナー「ライナー・ブラウンです!」

キース「入れッ!!」




アルミン(……教官があんなに優しい顔すると思わなかったから、つい、言っちゃったな)トボトボ

アルミン(でも…)ピタ


アルミン「僕が調査兵団に進む意味がある…か」


アルミン(…太陽がまぶしい)ウスメ

アルミン(……早朝に悪夢のせいで目覚めたせいか、少し眠い)

アルミン(集合がかかるまで部屋に戻ろう)スタスタ





― 渡り廊下 ―


ミカサ(……“イェーガーで自分を保つな”と、言われた)トボトボ

ミカサ(…家族で支えあうのは当然のこと)ズキズキ

ミカサ(……エレン)ズキズキ

ミカサ「少し、走ろう」スクッ





― 男子寮 ―


ジャン(面談の順番が早かったから、部屋には誰もいねえか)

ジャン(………うるさくなる前に、部屋を出るか)

ジャン「自主練しろって行ってたし、走るか」ノソノソ

ジャン(しかし…“ボットがお前に何を残した”…か)

ジャン「……マルコ」

レスくださった方、ありがとうございます!
どうぞお付き合いくださると嬉しいです

>>28
あまり意識しないでさげていました
特にこだわってはいないので、あげたりさげたりしようと思います!



― 男子寮 ―


ガチャンッ

アルミン「うわぁ!」ゴンッ

ジャン「あ、わり」ヒョコ

アルミン(ジャンと同じタイミングで、ドアを開けようとしたみたいだ)イテテ

ジャン「おい、大丈夫かよ」アセ

アルミン「うん、ごめん。えっと…ぼんやりしてたみたいだ」ニコ

ジャン「…そうか。こっちこそ悪かったな」

アルミン「どこかに行くの?」

ジャン「走り込みだ。じゃあな!」

アルミン「うん!いってらっしゃい」ニコニコ フリフリ



アルミン「………」スタスタ トサッ

アルミン(ジャンに優しくしようとしてしまった自分が、なんか嫌だ)ゴロン

アルミン(同情なんて、つもりはないけど…)アオムケ


ガチャッ ドタバタ


コニー「なんのための2者面だったんだ?大したこと言われなかったぞ」

ライナー「へえ…教官はなんて言ってたんだ?」


コニー「ああ、難しくて忘れちまったな」

ベルトルト「……コニー…きみ、大丈夫なの…?」

コニー「大丈夫だろ?」


アルミン(みんな面談が終わって、ぞくぞくと帰ってきた)ボンヤリ


ライナー「さて…集合まで自主練か。どうするかな」

ベルトルト「僕はブレードを磨いてこようかな…」


アルミン(エレンがいないと、…なんだか話がいがないなあ)ボンヤリ


コニー「人がいないうちに室内訓練所の場所取りしておくか」

ライナー「そうだな」




アルミン(……夢の中の僕も、エレンを探してるし)ボンヤリ

アルミン(…ここ最近で、たくさんの、人の死体を見て…)ボンヤリ


アルミン「……エレン」ボソッ



アルミン(……僕だって、君がいれば…少し強気になれたかもしれないよ)

アルミン(親友のいない日が、はやく終わればいいのに)



――キース『何ボサッとしている!!まずは蟻のような貧弱な体をどうにかしろ!!』

――ジャン『走り込みだ。じゃあな!』



アルミン(…………そうだ)

アルミン(…こんなところで腐ってちゃだめだ)ムクッ


アルミン「…僕にもできることをやらなきゃ」


コニー「おお、アルミンいたのかよ!しかも寝てた!」

アルミン「うん!ちょっと走ってくる!」ヌギヌギ

ライナー「寝坊したり、走ったり、アルミンにしては珍しい日だな」

ベルトルト「そうだね」



― 寮周辺 ―


ジャン「ミ、ミカサ…?」タッタッタッ

ミカサ「どうも」タッタッタッ

ジャン(うおー!ラッキー!!ミカサが寮の周りを走ってるのは知ってたけど、
    こうやって走り込みで会うのは、初めてだぜ!!)キラキラ

ミカサ「?」なんとなくイラッ

ジャン(ミカサについて行ってやるぜ!)タッタッタッ

ミカサ(なにこの馬面)タッタッタッ

ミカサ「……」フイ


ミカサ「―――!」

アルミン「ミ、ミカサ…だ…」ハアハア

ミカサ「ア、アルミン、貴方どうしたの?」タッタッタッ

ジャン(は?あいつは部屋に戻ったんじゃなかったのかよ)タッタッタッ

アルミン「僕も…体力をつけようと…」ハアハア

ミカサ「無理はしないほうがいい。今日は体調もよくないはず」タッタッタッ

アルミン「うん…でもなんか」ハアハア

アルミン「何も考えずに、できることに打ち込みたい気分で…」ハアハア


ミカサ「……そう」タッタッタッ

ジャン「…………(そうか…)」タッタッタッ

アルミン「…う、うん」ハアハア

ジャン「じゃあ、走れ!」タッタッタッ

アルミン「ジャン!」

アルミン「うん!は、走るよ!!」ハアハア




ジャン「ミカサ、速かったな…」ドサッ ハアハア

ミカサ「貴方もなかなか」ヨユウ

ジャン「…………」

ミカサ「…………」

ジャン(何を話せば…)キンチョウ

ジャン「アルミンの奴、まだ走ってるな」

ミカサ「アルミンは体力はないけど、負けず嫌い。決めた周回は走りきるはず」

ジャン「そうか」



アルミン(こ、これは…もうきついよ…)ヨロヨロ

アルミン(ジャンとミカサが座って僕を見てる…よかったね、ジャン…)ヨロヨロ

アルミン(あと少し…あと少し…)ヨロヨロ




ジャン「ミカサはアルミンとも仲がいいんだな」ドキドキ

ミカサ「ええ」

ジャン「へ、へえ…小さい頃はどんな感じだったんだ?」ワクワク

ミカサ(…小さい頃?)

ミカサ(…お母さん、お父さん…)


ジャン「ミカサ?」

ミカサ「貴方に話すことは――」


――キース『イェーガーで自分を保つな』


ミカサ「………」

ジャン「ミカサ?」

ミカサ「…アルミンは意外と、…やんちゃ」

ジャン「そうなのか!?意外だな」


ジャン「へ、へえ?ミカサは?」ドキワク

ミカサ「……エレンと薪拾いなどをしていた」

ジャン「そうか」パアア

ミカサ(……エレンがいない今…私に必要なことは…なに?)





アルミン「ミカサ…ジャン…」フラフラ

ジャン「アルミン、がんばったじゃねーか!」

ミカサ「やりきるなんて、すごい」

アルミン「あ、ありがと…」ハーハーハーハー

ミカサ「アルミンだったら、近道を発見して時間短縮できたはず」

アルミン「そんなの体力づくりにならないよ…」ハーハー

ジャン「アルミンはそういうのが得意なのか。頭いいもんな」


ミカサ「ええ。体力は後からついてくる」

アルミン「はは、あんまりついてこなかったけどね…。…あ」

ミカサ「なに?」

アルミン「もう星が出てる」

ジャン「本当だ。まだ暗くないのにな」

アルミン「一等星だね。もっと暗くなれば、星座が見えるよ」

ジャン「へえ、どんな星座だ?」

アルミン「えっと、季節からするとあの一等星は…」






ミカサ「走ったのだし、今日はゆっくり眠れるといいけど」チラ

アルミン「そうだね…きっと大丈夫だよ」ニコ

ジャン「そういえば…マルコも…星座、詳しかったな…」

アルミン「―――!」

ミカサ「…………」

アルミン「…ジャン、」


ジャン「そ、そういや、アルミンは中々マルコと仲良かったよな!」アセアセ

アルミン「……うん。そうだね」ニコ

ミカサ「…………」

ジャン「そういや、マルコとも…こんな風に走りこみしたな…とかよ…」ウツムキ

アルミン「……うん」

ミカサ「…………」


ジャン「あいつ、ああ見えて走りもはやくて、俺も必死で…」ウツムキ

アルミン「……うん」

ミカサ「…………」

ジャン「………わり…」

アルミン「……ううん」

ミカサ「…もう少しだけ、ここで休んでいこう」フイ

アルミン「そうだね」ニコ





彼の中で湧き上がる感情が、誰のためのものなのか、


はっきりとわかる。


目頭が熱いのか、喉が痛むのか、


俯いた頭が、隠れて揺れる。



空色に浮かぶ白い星は、


埋まらない心細さを和らげてくれるような


優しい淡い輝き。




アルミン「……風が気持ちいいね」ソヨソヨ

ミカサ「ええ」

ジャン「…ああ…」




罪悪感の合間を、小走りで駆け抜けるような、


黒いものに白を混ぜて、ぼんやりとした色にのばしていくような、


そんな感覚だった。


2:同期




エレン「ということは、憲兵に行ったのはアニとマルコとジャンだけか」




アルミン(あ)ズキ




ジャン「…マルコは死んだ」




けれど、仲間の死にひっそりと傷ついていた同期たちは、


何も知らず傷跡のなかった彼の言葉に、


戸惑いを感じるのだった。










ミカサ「さて、少し場面を巻き戻そう」マキマキマキ

アルミン「ミカサ、誰と話をしているの?」




― 調査兵団 講義室 ―


ネス「これがエルヴィン団長が考案した理論だ。この陣形を組織することで、我々の生存率は飛躍的に伸びた」

アルミン(配られた企画紙によると、僕は次列四・伝達…?班長は…)チラッ

ネス「お前達新兵には1ヶ月間で、この『長距離策敵陣形』を熟知してもらう」

アルミン(この人か)

ネス「お前達新兵には予備の馬との並走・伝達を任せる」


アルミン(ミカサは三列三…エレンは右翼前方)

ネス「主に巨人と接近するのは…」

アルミン(僕の配置場所からは、三列四のジャンが比較的近いな)

ネス「お前達は企画熟知の上、班別の対巨人訓練もある。各自で喰いついていくよう、励むことだ」

>>80
けれど、がいらなかったですね
ごめんなさい







ネス「今日の訓練はここまで!」



アルミン(………疲れた…)ヘロヘロ

コニー「よ!アルミンはあの人の班か」スタスタスタ

アルミン「うん。優しそうな人でよかったよ」

サシャ「あ!二人とも、お疲れ様です」タッタッタッ

コニー「お疲れさーん!」ヨッ


クリスタ「あ、みんなー!緊張したね~」ニコニコ

ユミル「はあ?何に緊張するんだよ」スタスタ

ライナー「しかし、馬で並走があるのか…」スタスタ

ライナー(と、言うことは…)チラ

クリスタ「おなかすいたね~」ニコニコ

ライナー(乗馬の上手いクリスタに教えてもらえるかもぉ)キラキラ

ベルトルト「ライナー、考えていることが顔に出てるよ…」ヤメナサイ


ジャン「アルミン!俺とお前、近い場所に配置されてるな」

アルミン「そうみたいだね…あ、ミカサ」

ミカサ「…………」スタスタ


ワイワイ ゾロゾロ


モブA「あいつら、トロスト区の優秀軍団か」ヒソヒソ

モブB「めずらしい訓練所だよなあ、上位10名のうち、憲兵にいったのは1人だってよ!?」ヒソヒソ

モブC「うちの区は10人全員憲兵だぜ?」ヒソヒソ

モブA「それが普通だろうよ…」ヒソヒソ




アルミン「新兵の企画説明だから、エレンもくると思ったけど、いなかったね」

ミカサ「……ええ」ションボリ

ジャン「そ、そんなに落ちこ」



??「オイ!!」


ミカサ「!!」ビックウ



アルミン「エレン!」



エレン「久しぶりに会った気がするぞ」

ミカサ「何かひどいことはされなかったの?」アセアセ

エレン「ねえよ」ハア?

ミカサ「あのチビは調子に乗りすぎた…。
    いつか私が然るべき報いを…」フルフルフル

エレン「…まさかリヴァイ兵長のことを言ってるのか?」


コニー「エレン!」

サシャ「あー!エレンじゃないですかあ!」

エレン「お前らも調査兵団に入ったのか!」


ワイワイ ワイワイ 



エレン「ということは憲兵に行ったのは、アニとマルコとジャンだけか…」





アルミン(あ)ズキ



サシャ「………えっと…」ウツムキ

コニー「…………」ズーン

クリスタ「…………」シュン

ライナー「…………」

ユミル(あーあ、地雷踏んだか)ケッ




エレン「…え?え?」


アルミン(あ、言わなきゃ)ズキズキ


エレン(なんだ、この空気…)タラッ


アルミン(エレンに言わなきゃ)ズキズキ


エレン「あ、アルミン?」アセアセ



アルミン「……エ…レン、マルコは」




ジャン「マルコは死んだ」




エレン「……え…」


アルミン(………ジャン…)

エレン「ジャンがなんでここに…?まさか…調査兵団に…」

ジャン「…………」ギロ

エレン「ま、待てよ!マルコは…死んだって言ったのか…?」


  シーン…
 

アルミン(…みんな、暗い顔をしている)チラ

アルミン(会話の合間合間で、
     心の傷つく音が、そこらじゅうから、
     聞こえてきそうだ…)ズキン




ジャン「エレン、お前は人類の勝利に必要な、特別な存在かもしれない。

    お前には、俺たちと人類の命が懸かっているんだからな」


エレン「………」


ジャン「だから、人類の命を左右するお前のためにと…、

    俺たちはマルコのようにエレンが知らないうちに死ぬんだろうな」



ジャン「知っておくべきだ。エレンも俺たちも。

    俺たちが何のために命を使うのかを」


エレン「…………」


ジャン「俺たちはエレンに見返りを求めている」


アルミン(…………)


ジャン「誰もがミカサのように、お前に無償で命はやれない」


ミカサ(こいつ…今、エレンを責めてなんの意味があるの)イライラ


ジャン「きっちり値踏みさせてくれよ。

    お前に懸けることが、自分の命に見合うのか、どうかをな…」


アルミン(…そうか)

アルミン(ジャンはエレンを恨んでいる訳じゃない)



エレン「…お前」



ジャン「だから…エレン、本当に…頼むぞ」ガシッ




アルミン(みんなが傷ついた死があったことを

     エレンに知ってほしいだけだ)



エレン「あ、ああ…」



アルミン(自分に命が懸けられていることを、

     エレンに知ってほしいだけだなんだ)




\ エレーン!帰るよー! /


\いつまでしゃべってやがる!!戻って来い!!/




エレン「あ…ペトラさんとオルオさん」

ミカサ(今、女の声がした)ギロ

エレン「オレ、戻らないと…」クルッ

ジャン「……俺達も行こうぜ」スタスタ

コニー「おい、ジャン!」タッタッタッ




エレン「………」

ミカサ(あの馬面…)ギロ

ミカサ「エレン、気にすることはない」

アルミン「エレン、ジャンは君を恨んでいるわけじゃないよ」

エレン「は、どうだか」

アルミン「ジャンは、君に命を懸けることにしたんだって、
     それを言いたかっただけだよ」ニコ

エレン「……オレに、命を…」ハッ

アルミン(…………)






アルミン(自分の存在が一人歩きして、

     自分の考えの範疇から飛び出して、

     それを突きつけられたエレンだって――)




傷ついている。




モブA「エレン・イェーガーってあいつか」ヒソヒソ

モブB「巨人になれる、調査兵団の秘密兵器な」ヒソヒソ

モブC「てか、知ってるか…審議所でのうわさ…」ヒソヒソ

モブA「ああ、9歳のときに強盗を刺殺したってやつだろ?」

モブB「こえーっ!さすがだわ」

モブC「ちょ、お前も刺殺されるぞ」

モブ「「ぎゃははは」」




ジャン「――チッ」ギロッ

ライナー「大丈夫だ、あの3人には聞こえていないさ」ポンッ

コニー「さっきはエレンを脅してたくせに、エレンの悪口を聞くのは嫌なのか?」

ジャン「うっせ」スタスタ

ライナー「…………」

コニー「なんだあいつ?」



クリスタ「ジャンはね、……信じたいんだよ。エレンのこと」


サシャ「そうですね。エレンは人類にとっての切り札だって、
    自分の命を懸ける価値があるって、私も信じたいですから…」


ライナー「確かにエレン自身の自覚が足りないな。
    “巨人を駆逐する”っていう自分だけの目的じゃあなァ…」


ユミル「実際、エレンのことを名前でしか知らない奴らは、
    エレン絡みの作戦に参加させられたら、疑問を抱くだろうよ」



トロスト区訓練所から調査兵団へ来た彼らのことは、

新兵の間でも、上官の間でも、よく挙がった。

秘密兵器と煽てられるエレンのことだけじゃない。

優秀な人材が調査兵団に入ってきたこと、

まだ巨人を見たことのない新兵もいるなかで、

すでに掃討作戦に参加してきたこと…。



サシャ「パンパンパンパァ~ン♪パン、パパパン♪」

クリスタ「なあに?その歌」ニコ

サシャ「パンの歌です!えへへ」テレテレ

ユミル「なにが、えへへだ。芋女」



自分たちへの視線や、“審議所でのうわさ”を少し心にひっかけながら、

彼らはただ、恐ろしい壁の外へ向うために

壁外調査までの1ヶ月間、真摯に訓練に取り組んだ。



ベルトルト「…スピー…スピー」

ジャン「ライナー、今日は」

ライナー「雨だな」

コニー「雨か」

アルミン「雨具用意しなきゃ」ゴソゴソ

ベルトルト「……フゴッ」



彼らは“トロスト区訓練所の卒業生”という括りを

心のどこかで拠り所にしていた。

掃討作戦、奪還作戦、そして…死んだ仲間の弔い…。



サシャ「誰ですかあああああああ!!
    入団式に芋食ってた女って噂流した奴はああああ!!」

コニー「あ、オレだ」

ジャン「オレもだ」

ライナー「え、俺もだ」

ベルトルト「僕も誰かに話したよ」

クリスタ「ご、ごめんね…!」

ユミル「いーもおんな!いーもおんな!」

ミカサ「…………」

アルミン「ミカサも流したでしょ」



誰もが戦ったからこそ、弱音をどこにも吐けずに

ひっそりと傷ついた少年少女たちの心は、

無意識に共有できるもののある、安堵の居場所を求めていた。




ミカサ「さすがアルミン」

アルミン(どや顔…?)



中核だと思われたエレンがいない中で

寂しさを忘れられずにいながらも

二人にも、やはり居場所が必要で

じわりじわりと、暖かな“同期”に滲出していた。


そして――



ペトラ「うまくなったわね、エレン」ニコッ

オルオ「いや、まだまだ俺の領域には達していない…」

ペトラ「だまって」

エレン「先輩方のおかげです!オレ、役に立てますかね?」ワクワク

エルド「よーっし、まずはオルオを出し抜いてやろうぜ!」


エレン「リヴァイ兵長に、訓練みてもらえないかなあ」チラ

ペトラ「えっ!」チラ

オルオ「兵長はお忙しいお方だから…」チラ



リヴァイ「………チッ」ギロ



人類の救世主とも悪魔とも呼ばれる、

巨人化の能力を持つ彼もまた

今までにない“信頼”を求めていた。


エレン「……」ワクワク

ペトラ「……」ドキドキ

オルオ「……」ウキウキ

グンタ「お前たち、兵長大好きだな」ハア



しかし、“3人の世界”から広がりかけた

彼の優しい憧憬は

壁外調査によって、悲しく閉じることになる。



― 男子部屋 ―


アルミン「―――ッ!!!」ガバッ

アルミン「…はァ…は、」バクバクバクバク


アルミン(吐き気が…する…っ)ジワ

アルミン(…落ち着け…夢、“あれ”は夢…)ハーハーハー


アルミン(なんの意味があって…毎日のように…悪夢を見るんだ)ハーハー


アルミン「………は、…」フウフウ

アルミン(……落ち着いてきた)トサッ

アルミン(…………)ゴロン



アルミン(……明日は壁外調査だ)ゾワ





壁外調査は、少年少女たちの心に

高い壁を残して幕を引く。

読んでくださっている方、レスくださる方、ありがとうございます
今日はここまでです
動きがないのに長くなってしまって、申し訳ないです



3:残されたもの






ジャン「………」パチッ

ジャン「……!」ギシッ

ジャン(うわ、体がくっそ痛いわ…)イテテ


  シーン…
     


ジャン(部屋が静かだ。
    まだ、誰も起きてねぇのかな)ゴロンッ

ジャン(そりゃ、壁外調査が昨日だったもんな…)

ジャン(オレもまだ、ねみ…)ボケー




――アルミン「わからないよ!いつだってわからないことだらけだ!

     でも時間って流れてるし、止まったりしてくれない!

     結果がわからないのに、選択の時間はかならずやってくる…」



ジャン(昨日、アルミンが樹の上で語ったことが脳裏によぎる)




――アルミン「大して長くも生きていないけど、確信してることがあるんだ。

       何かを変えることができる人間がいるとすれば、


       その人は  きっと ――――」



アルミン「………ふぁあ…」ノビー


ジャン(アルミンが目、覚ましたのか?)チラ

アルミン(誰か起きてるかな)ノソノソ

ジャン「お」バチ

アルミン「あ、ジャン。おはよう」ニコ

ジャン「はよ。頭の怪我はどうだ?」ムクッ

アルミン「ありがと、痛みはないよ。まだみんな寝てるね」ノソノソ

ジャン「今日は訓練もないしな…」

アルミン「そうだね。起こさないでおこうか」ニコ


ジャン「なあ、アルミン」

アルミン「ん?」

ジャン「壁外調査が終わって…オレ達はこれからどうすんだろうな…」

アルミン「うーん、おそらくだけど、」



コンコン



ジャン「!」

アルミン「誰だろ、こんな朝早くに…」スタッ



コンコン



アルミン「はーい」ガチャ

アルミン「…あ」

ジャン(あ)

アルミン「え…ミカサ…?ここ男子寮だよ」

ミカサ「…アルミン、私、どうすれば…」アセアセ


アルミン「――!」ハッ

ミカサ「アルミン、エレンが、」

アルミン「待って、ミカサ」コソッ

ミカサ「?」

アルミン「廊下で話そう」チラ

ミカサ「え、ええ」チラ


ジャン「?」



バタン…



ジャン「………は?」



 スピースピー…フゴッ


  シーン…



ジャン(なんだよ、オレに聞かれちゃまずいことかよ)チェ


ジャン(昨日の壁外調査で一緒に命懸けで戦って、
    アルミンと…なんかこう、信頼関係っぽいの、
    作れた気がしたのに)スネテヤル

ジャン(…………)

ジャン(……オレもミカサに頼られたい…)ゴロン



ジャン(――それにしても)



――「オレには今、何をすべきかわかるんだよ!力を貸せ!!」



ジャン(エレンとつるんでばっかで弱っちいと思ってたアルミンが、
    やるべきことがのために命を懸けて、
    一緒に闘ってくれる奴だったなんて、すこし意外だった)




――「フードを被るんだ!深く!」

――「本当に死に急いでしまった、死に急ぎ野郎の仇を!」



ジャン(その上、即席でも策を与えてくれるとは、な)


コニー「…んおおお…!」ガバッ

ジャン(…コニーが起きたか)

コニー「ん?みんな寝てるのか?」ムクッ

ジャン「…はよ」

コニー「お、ジャン!早起きだな」ハハハ

ライナー「……ん…?」ノソ

ベルトルト「……フゴッ」

ジャン(コニーにつられてみんな起きだしたか)




アルミン「あ、みんな起きたの?」キイイ ヒョコッ

ジャン「あ、ミカサは」ドキウキ

コニー「おー、どこに行ってたんだ?」

アルミン「ん?トイレだよ」ニッコリ

ジャン「は?」

アルミン「トイレ」ニコ


コニー「しょんべんで目が覚めたのか!」ナットク

ライナー「みんな、疲れてるだろうに朝が早いな」フアア

アルミン「おはよう、ライナー」スタスタ

ライナー「ああ、おはよう」

ジャン(アルミンのやつ、なんで隠すんだ?)


アルミン「………」ゴソゴソゴソ

コニー「ベルトルトはまだ寝てるな」

ライナー「今日は快晴だ」

コニー「まじか!」ギャハハ

アルミン「あ、ねえ、ジャン」スタスタ

ジャン「お、おう?」

アルミン「起きたばっかりのところ、申し訳ないんだけど、前に言われてた本を貸すよ」ハイッ


ジャン「……は?」

アルミン「1ページ目が少し汚れてるんだけどいいかな?」ニコ

アルミン「ちょっと確認してみて」ジッ

ジャン「……!」ハッ

ジャン「……お、う」ペラ


アルミン「どう?」

ジャン「!」

アルミン「大丈夫?」

ジャン「ああ、大丈夫だ。大丈夫」

アルミン「よかった!」ニコ


ライナー「どうする?ベルトルト起こすか?」

コニー「疲れてるんだし、いいんじゃね?」

ライナー「でも朝食の時間はいつもと同じだしなあ」


ジャン(アルミンに渡された本の1ページ目)チラ


――“朝食を食べたら、武器倉庫の裏に来てくれ”



ジャン(……もしかして…、アルミンと仲間として、少しは信頼しあえたのか…?)

ジャン(なんか、少しうれし…)ハッ

ジャン(はずかしいこと考えてるんじゃねえ!)ブンブン

ジャン(……ミカサもいるのかな)ドキッ


コニー「ジャンは楽しそうだな」

アルミン「本当だね!」ハハハ

今日はここでおやすみなさい







ミカサ「では、ノックする」スッ

アルミン「…うん」キリッ

ジャン「いや、待て」

ミカサ「……なに?」イラッ


ジャン「本当にエルヴィン団長に言うのか?」

ミカサ「貴方はアルミンの話を聞いていたの?」

アルミン「……あはは」アセ

ジャン「アニが女型で、エレンが王都行きで、オレが囮」

ミカサ「その通り」コクッ


ミカサ「では、ノックする」キリッ

アルミン「うん…!」キリッ

ジャン「いや、待て」

ミカサ「………」ギロッ

ジャン「………」ビクッ


ミカサ「ジャン。やる気がないならアルミンの話は忘れて、今すぐ帰って」ギロッ

ジャン「………」

アルミン「ま、まあ…ミカサ」

ジャン「………」

アルミン「ジャン。確証が持てなくて踏み切れないのはわかるけど…。
     どのみち僕たちの話を判断するのは、エルヴィン団長なんだ。
     だから、どうなるかはわからない…。
     でも、もしかしたらと思うと、話はしておくべきだと思うんだ」

アルミン「…それに、エレンが王都に行く日にちは決まっているから、早急に行動しないと」チラミ

ジャン「………確かに…そうだけどよ…」ウーン



ジャン「…………」

ジャン(アニとは、この間まで一緒に訓練してたんだぞ…なんて)チラ


アルミン「……?」

ミカサ「………」ギラギラ


ジャン(言える雰囲気じゃない…)

ジャン(…しかし、確証が持てねぇけど、アルミンの言うとおり、

    ここで行動しないのは、話を先延ばしにしているようにも思うし…)


アルミン「……」ソワソワ

ジャン「……」ウーン

ミカサ「……」イラッ



ミカサ「ノックする!」ゴンッ ゴンッ



ジャン「あ!?」

アルミン「えっ!」アセッ


ミカサ「……」ギラッ

アルミン「あ…っと」

アルミン「エルヴィン団長、アルミン・アルレルトです。
     ……内密に、お話したいことがあります」

ミカサ「……」キリッ

ジャン(…うわー…)ドキドキ



ガチャン…



エルヴィン「やあ」ニコ

ジャン(……間近で見るのは初めてだな)ドキドキ

アルミン「…お久しぶりです。アルミン・アルレルトです」キリッ

ミカサ「ミカサ・アッカーマンです」キリッ

ジャン(どうして、こいつらはこんなに堂々としてられるんだ…?)ドキドキ

エルヴィン「壁外調査が終わったばかりなのに、どうしたんだい?」ニコ



エルヴィン「ええと、君は…」

ジャン「ジャン・キルシュタインです」ドキ

エルヴィン「そうか。3人とも入りたまえ」

アルミン「はっ、失礼します」

ミカサ「……」ペコッ

ジャン「…失礼します」






エルヴィン「…なるほど、ね」

アルミン「はい」

エルヴィン「確かに君の話では確証が持てない…」

ジャン(…だろうな)

エルヴィン「しかし、エレンが王都に行くことを阻止する手立ては、今のところない」

ミカサ「…それなら」キッ

エルヴィン「そうだな…」ウム

エルヴィン「…やらねばならないか…」スッ

ミカアル「!」

エルヴィン「アルミンの案は採用できる。が、このままではだめだ。
      作戦をもう少し突き詰めて、私が人選しよう」

ジャン(…話が進んだ…?)

エルヴィン「必要なのは、信用できる最低限の人間と…」チラッ

ジャン(…オレの同期の…アルミンの案で?話が進むのか…!?)


ミカサ「囮用のカツラも必要」キリッ

アルミン「そうだね」コクッ

エルヴィン「わかった。囮用のカツラだね」メモメモ

アルミン「はい」コクッ

ミカサ「……」コクッ

ジャン「………」



エルヴィン「ところで…」スッ

エルヴィン「女型の正体を、私に伝えるだけでもよかったはずだ。
      それが君達は、作戦まで立てて、私のところに来た…」ツカツカ

エルヴィン「どうしてだい?」

ミカサ「………」チラ

アルミン(…どういう意味だ…?)メクバセ

ジャン(…試されてるのか…?)チラ



ミカサ「私は」

エルヴィン「………」

ミカサ「エレンを助けるためです」キッパリ

エルヴィン「なるほどね」

ジャン(…ミカサ…知ってはいたけども…)ズーン


エルヴィン「アルミン、君は?」

アルミン「ミカサと同じく、エレンを助けたいという気持ちと…。
     今、エレンを失うことは、調査兵団にとっても得策ではないと考えたからです」

エルヴィン「そうだね」ニコ

エルヴィン「君は?」

ジャン「!」




ジャン(オレは…

    エレンを助けるためか?

    それは、…なんか違うな…)

エルヴィン「………」

ジャン(…エレンは人類の切り札だ。失うことは痛手だ)

ジャン(でも、オレはそんなことを考えて、アルミンの話を聞いていたか?)

ジャン(違う)

ジャン(なら、なんでオレは確証のない作戦に協力しようとするのか…)



ジャン「………」ダンマリ

アルミン(…………)チラ


エルヴィン「どうしてだい?」

ジャン「――オレは」

ジャン(オレはエレンがどうのこうのじゃない。

    ただ、女型の正体、エルヴィン団長の責、エレンの引渡し…。

    全部ひっくるめて、アルミンの作戦が、というよりは、

    何か行動することが、調査兵団にはいったオレのやるべきこと――)



ジャン「人類の…ためだと思ったからです」



アルミン「!」


ジャン(誰かが、知らないうちに燃えカスになるのなんて…ごめんだ)



エルヴィン「なるほど、ありがとう」ツカツカ

エルヴィン「とりあえず、君達は各自待機していてくれ。
      なんらかの方法で内密に伝達を行う」

アルミン「わかりました」

エルヴィン「…君は少し忙しくなるかもな」

アルミン「僕ですか?」

エルヴィン「ああ。立案者であり、実行者だからね」ニコ

アルミン「……はいっ」


ミカサ「…私も協力する」コクッ

ジャン「………オレもだ」

アルミン「…うん、がんばろう」ニコ



アルミン(それにしても…)チラ


ジャン「が、がんばろうぜっ」

ミカサ「そう」シラン


アルミン(……人類の…ため…か)

今日はここでおやすみなさい

あまり波のないSSですが
読んでくださっている方、ありがとうございます





ジャン(……トイレに行ってから、目が冴えて寝れねぇ…)ゴロン

ジャン(今、何時だろ…明け方か?)

ジャン(……………)



 スピースピー
   ……フゴッ
グウグウ



ジャン(野郎共の寝息しか聞こえねぇ)ゴロン

ジャン(ベルトルトの奴、いつも息詰まってるけど平気なのか…?)

ベルトルト「………フゴッ」



ジャン(エレンの引渡しは明後日だ。アルミンの作戦は正式に採用され、実行が迫っている)


ジャン(それにしても…今日のミカサはいつも以上に静かだったな。

    アルミン曰く、女型の正体を聞いて、ショックを受けたエレンを見て、

    複雑な気分なんじゃないかって言ってたが…)


ジャン(……ミカサって、やっぱりというか当然のごとく…エレンのこと…)


ジャン(もし、“審議所でのうわさ”が本当で…

    エレンが、ミカサのために人を殺したことがあるなら、

    俺が入る隙は…あるのだろうか…)

ジャン「……………」

ジャン(うわさが真実なのか、内容が内容だけに、アルミンにも聞けねぇし)ゴロン


ジャン(エレンもアルミンも、外の世界に行きたいなんて言いながら、

    人間関係で見れば、せっまい“世界”に入り浸って満足してるじゃねぇかよ)ムスッ


ジャン(…“うわさ”が本当なら…

    エレンがミカサに“世界”を広げるよう促さない限り、

    エレンとミカサの関係は今のままなんだろうな)


ジャン(あの死に急ぎ野郎が、“ミカサの世界”に気づいてやれる奴なのか?

    ぜってぇ自分のことしか考えてないだろ、あいつ)イラッ


ジャン(あーなんか、ムカついてきたわ)


ジャン(アルミンの言葉を信じきって、ミカサは女型の正体はアニだと思い込んでる)


ジャン(幼馴染だからって、あんな風になれるもんなのか?)ウーン


ジャン(……ん?)




ガバッ




ジャン(…誰か起きたのか…トイレか?)ソロッ



アルミン「……はぁっ…は…」フーフー


ジャン(……アルミン…?)




アルミン「…う、わ………」ハアハア

アルミン「…………っは…」ハアハア



ジャン(体調が悪いのか?声、かけたほうが――)



アルミン「………どうし…て…」

アルミン「大丈夫だ、しっかりしろ…夢、夢だ…」ハアハア


ジャン(……………)


アルミン「………うあぁ…」ジワ



ジャン(……………寝るか)ソロソロ



アルミン「……………」ポロポロ



ジャン(…アルミン、どうしたんだよ)

ジャン(くっそ。何か困ってるなら、誰かに訴えろよ)

ジャン(だから、“世界”が狭いって言ってるんだよ)




ジャン(……一人で悩みやがって)














― 作戦決行当日 ―



ジャン「き、着替えて来たぞ…」ガチャッ


アルミン「………」チラ

ミカサ「………」チラ

エレン「………」チラ


ジャン「なんだよ!なんか言えよ!!」ドキドキ


アルミン「まあ…遠目から見たら、エレンに見えなくもないよ」

ジャン「おい…俺を推薦したのお前だろうが…」

ミカサ「…………ふ」

ジャン(その笑いの意味は…?)

エレン「オレ、こんなんじゃねぇだろ!?」ハア?

ジャン「うっせえ!俺だって不本意だ!!」イラッ


アルミン「待って、待って、あと10分近くで行動開始だ。確認するよ」

アルミン「エレンは当初の予定通り、ここからヘトヘス区までは馬車の中だ」

エレン「ああ」コクッ

アルミン「ミカサ、ジャン、それと僕は先にヘトヘス区へ移動」

アルミン「ジャンはヘトスト区中の護送班にまぎれて馬車と一緒に移動しながら、
     周囲の状況次第でエレンと交代。交代地点は先に、先輩方が確認している」

ジャン「了解」

アルミン「ミカサはエレン交代地点で待機。僕との合流地点まで、エレンを連れてくる」

ミカサ「ええ」コクッ


アルミン「僕は、憲兵団支部の入口付近で…」

アルミン「……アニを、待つ」


エレン「………」

ジャン「………俺は、いつ馬車からでていいんだ?」

アルミン「うーん、1次捕獲が成功すれば、ジャンの出番はないかもね」

ジャン「え?」



アルミン「でも、1次捕獲が成功しなかった場合、エレンが巨人化する必要が出てくるから、
     必然的に馬車の中の人物はエレンではないことが、明白になる」

ジャン「……俺、憲兵に問い詰められたりするのか?」

アルミン「まあ、そこら辺は団長がなんとかしてくれると思うけど…。
     護送班の誰かに、自分の立体機動装置を預けて、
     いざって時に動けるほうがいいかもしれないね」

ジャン「…そうか。そうする」



エレン「でも…まさか、ジャンが調査兵団に入って、こうやってオレ達と作戦を実行する側になるとはな…」



ジャン「なんだよ、悪いかよ」

エレン「あんなに内地に行きたがってたのにな」

アルミン「脳内快適とまで言われて」ニコ

ミカサ(そう言えば言われてた)チラ

ジャン「お前らまで…!?」ガーン



アルミン「でも、今年憲兵に行った新兵は、アニ以外巨人と戦ったことがない」

エレン「…そう考えるとゾッとするな。何も知らねぇ奴らが、戦うオレ達に指示を出すのかよ」

ジャン「………そうだな」

アルミン「もしかしたら…、そこにも何か理由があるのかもしれないね」

エレン「……理由?」

アルミン「…僕の適当な推測だよ」ニコ



ジャン「しかし…」

ジャン「内地で暮らしたいとは思っていたが、実情について、俺は何にも知らなかった。

    あのまま憲兵に行ったら、俺は本当に何も知らないままだったのかもしれない…」


ジャン「そうか…でも、お前らはあの頃すでに、巨人を知っていたんだな…」



エレン「!」

ミカサ「………」チラ

アルミン「……」ニコ


ガチャ バタン


リヴァイ「馬車がついた。移動する」

ハンジ「ミカサとアルミンは、私と一緒にここを発つよ」


アルミン「はい。準備はできています!」

エレン「行くか」スタスタ

ミカサ「ええ」スタスタ

ジャン「………」スタスタ


エレン「なあ、ジャン。お前さ」スタスタ

ジャン「んだよ」スタスタ


エレン「なんか…変わったな」スタスタ

ジャン「はぁ?」スタスタ

アルミン「………」スタスタ

ジャン「お前がいない間、いろいろあったんだよ」スタスタ

ミカサ「………」スタスタ


アルミン「みんな、それぞれに、色んなことがあって」スタスタ

エレン「変わっていくのか…」スタスタ

アルミン「…そうだね」ニコ

ジャン「…お前はどうなんだよ、死に急ぎ野郎」

エレン「は?」スタスタ

ジャン「お前はこの1ヶ月で何が変わったんだよ」

エレン「…オレは…」


ミカサ「………」チラ

アルミン「……」スタスタ


エレン「……」ダンマリ



アルミン「…エレンも、色々あったんだろうし、一言で表すのは難しいかもね」ニコ

ミカサ「……」ウンウン

アルミン「今度、僕たちと会わなかった間、どんなことをしてたのか教えてよ」

ミカサ「……」コク

エレン「……そうだな」スタスタ

ジャン(………)スタスタ



リヴァイ「…連れてきたぞ」

エルヴィン「ああ」ニコ

エレン(…ついに、か)

ジャン(緊張してきたわ…)

エルヴィン「では、エレンは馬車の中へ」

エレン「はい!」


ミカサ「……エレン」シンパイ

エレン「な、なんだよ」

アルミン「エレン、またあとで」ニコ

エレン「ああ、あとでな」

読んでくださっている方、レスくださる方、ありがとうございます!励みになります


ホモなの?ということですが、本人はホモの方向で書いていませんので、
今後もそういう風にはならないかと思いますが、
お好きなように読んでくださって構いません

どうぞお付き合いください


4:アニ



アルミン(ヘトヘス区…憲兵団支部…)キョロキョロ

アルミン(……ここか)チラ

アルミン(!!!)バッ



アニ「あんたは…正しい人だと思う」



アルミン(…アニの声が、聞こえる)バクバク



アルミン(この門からアニが出てくるのは間違いない。
     路地に入ろう…)スッ…



アニ「大きな流れに逆らうって…
   とても勇気がいることだから、尊敬するよ」



アルミン(…………)バクバク

ストヘス区

>>213
ごめんなさい…!今までもちょいちょい間違えてしまってます
ヘトヘス区です



アニ「あんたのような人は、特殊な人と呼ばれる。

   それに対して、周りに流され、ズルをする人たち…、

   …私達はなんて呼ばれるかな?」


アニ「あんたは…クズとか悪とか呼んだ」




アルミン(…どういうことだ?)



アルミン(……アニは、)キキミミ


アルミン(自分を、周りに流されて、ズルをする人間だって…思っているのか…?)


アルミン(僕から見たアニは、誰かに流されるような人間に見えなかったけど…)

マルロ「つまり、自分達はそんなに悪じゃないって言いたいんだろ?」


アニ「いいや…。到底正しい人間だとは思えないだろうけど」




アニ「普通の人間なんじゃないの?」




アルミン(…自分は…“クズ”でも“悪”じゃなくて…“普通の人”なんだって、

     アニは、そんな風に、自分を見てほしい…のか…?)


アニ「私はただ…そんな流されるような弱い奴でも…

   人間だと思われたいだけ…」


アルミン(…周りに流される“普通の人”。)


アニ「…それだけ」


アルミン(…そんな…女型の、巨人…)ズキンッ




ヒッチ「それだけって、あんた。
    話長すぎ……つまんないし」





アルミン(…アニ。

      人類を攻撃するほど…流される理由ってなに?)


アルミン(もしもアニが、“正しい”とか“良い”とか言われる人だったら…、

     こんなことにはならなかった?)




アルミン(…なんか、無性に悔しいよ)グググ



――…アルミン…



アルミン(僕とわかって…殺さなかったんだろ…?)

アルミン(なのに…)



アルミン(でも――)ギッ


マルロ「長話しすぎたな!行くぞ!」ザッ


アルミン「!!!」サッ

アルミン(でも、『こうすべきだった』なんて、誰にもわからない)


アニ「…………」スタスタ


アルミン(…………よし)


アニ「…………」スタスタ


アルミン「アニ」




アニ「!」ザッ


アルミン(僕が選んだのは)



アニ「…アルミン」

アルミン「やぁ…もうすっかり憲兵団だね」


アルミン(僕が選んだのは、“人類のため”に…アニを捕獲することだ)



― 同時刻 ―



ジャン「エレンッ」バサッ

エレン「よし…!」バサッ

ジャン「頼んだぞ!」

エレン「…お前に『頼んだ』って言われるの2回目だな…!」

ジャン「いいから早く行けよ!」オシダシ

エレン「ああ!」タンッ



ミカサ「エレン、こっち」テマネキ

エレン「ミカサ!」タタタッ

ミカサ「フードをきちんとかぶって。今はまだ順当にことが進んでいる」

エレン「わ、わかった…」ゴソゴソ

ミカサ「あとはアルミンが、アニを連れてこれるかどうか…」

エレン「……そうか」

ミカサ「そう」ジッ

エレン「…行くぞ!」スッ

ミカサ「ええ」スタスタ

中途半端ですが、今日はここまでです
ストヘス区です、申し訳ないです
ありがとうございました


― 馬車の中 ―


ガタガタガタ…


ジャン「…………」バクバクバク


ジャン(馬車がとまらない…ってことは、入れ替わったのがばれてねぇってことか)バクバク



ガタガタガタ…


ジャン(…仲間を疑いたいわけじゃねぇが)


――何かを変えることができるのは、
      何かを捨てることができる人だ


ジャン(今が、その取捨選択時ってことだろ…?

    情や、思い出や…アニ自身を…)



ガタガタガタ…



ジャン(ったく、人質なんて地味な役回りだぜ…)ヤレヤレ


ジャン(…アニが素直に捕獲されるとは思わないが…、

    上手くやれよ…)


― 憲兵団支部付近 路地 ―


アルミン「エレンを逃がすことに…協力してくれないか…?」


アニ「………逃がすって、どこに?
   王政の命令に逆らって、この壁の中のどこに逃げるっていうの?」


アルミン(……ばれているか…?)



アニ「悪いけど、話にならないよ…。
   黙っておいてやるから、勝手に頑張んな」スッ

アルミン(…だめか…!)



アルミン「アニ!」

アニ「………」スタスタ

アルミン(なんとかして、アニの足を止めないと――)



アルミン「お願いだ!」

アニ「………」スタスタ

アルミン「このままじゃ、エレンは殺される!!」


アニ「………!」



アルミン(―――僕さえも殺せない君を、)



アルミン「説得力がないことはわかってる…でも!

     もう、これしかない!!」


アニ「………」ジッ


アルミン(こんな言葉で…留まらせて)


アルミン「……アニ」


アニ「あんたさ…、私がそんなに良い人に見えるの?」

アルミン(……“良い”人…)

アニ「………」ジッ

アルミン「…良い人か」



アルミン「僕はその言い方、あまり好きじゃないんだ。

     だってそれって、自分にとって都合の良い人をそう呼んでいるだけのような気がするから」


アニ「………」ジッ


アルミン「だから…」



アルミン「アニがこの話に乗ってくれなかったら、」



――アニ『あんたは…クズとか悪とか呼んだ』

――アニ『到底正しい人間だとは思えないだろうけど、

      “普通”の人間なんじゃないの?』



アルミン「アニは、僕にとって…“悪い”人になるね…」


アニ「!」


アルミン(“普通”の人間だと思われたい君は、“悪い”人に、なれない…)


アニ「………わかった」

アルミン「!」

アニ「…ほら」スタスタ

アルミン「え、うん…!」スタスタ



アニ「!」


アルミン(“普通”の人間だと思われたい君は、“悪い”人に、なれない…)


アニ「………いいよ」

アルミン「!」

アニ「乗った…」スッ


アルミン「え、うん…!」スタスタ

これだと、アニの中では悪い人も
人間じゃない?



アルミン(アニ、やっぱり君は…)


アニ「エレンはどうやって抜け出すんだい?」スタスタ

アルミン「ジャンと途中で交換するんだ」スタスタ

アニ「そりゃまた…」スタスタ


アルミン(“普通”の女の子だったのかも知れないね)


途中、修正が間に合わず二重投稿になってしまいました

>>241
アニも“本来なら普通の女の子”だったと書きたいあまりに、
巨人うんぬんのその辺りを削ってしまいました
すみません…ありがとうございます

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月03日 (土) 20:51:25   ID: FRutyzpk

何がしたいんだ。

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