叛逆ほむら「あなたの記憶を」さやか「うう、思い出せない」 (168)

さやか「見つけたよ、ほむら」

ほむら「血相変えてどうしたのよ、美樹さやか」

さやか「思い出したんだ、この世界は間違ってるって……あんたは悪魔だって!」

ほむら「……そう、またなのね」

ほむら「記憶はしっかり消してあげたはずなのだけど、あなたは特に頑固ね。思い出して反抗するだけ無駄だとわかってるでしょうに」

さやか「やってみなきゃわかんない! てやあーーーっ!」

さやか「」


ほむら「やれやれ、やっと大人しくなったわ」

ほむら「特に脅威にはならないとはいえ、もう何度目かしら。こう頻繁に思い出されると気が休まらないわ」

ほむら「……そうだ」

ほむら「記憶を消すだけだからいけないんだわ。足りない部分を補おうとして思い出してしまう」

ほむら「それなら、消した記憶の分だけ新しい記憶を持たせてあげればいのね」

ほむら「美樹さやか……新しい記憶をあげるわ。あなたは>>5だったのよ」

さやか「うっ……!」

メグ・ライアン

さやか「うう……あれ? あたしは何を……」

ほむら「気がついたかしら、美樹さやか。気分はどう?」

さやか「気分……何だろ、ずっと忘れてた何かを忘れてたような」

さやか「そうだっ、ロケの途中だったじゃない!」

ほむら「え?」

さやか「こうしちゃいられない、早く現場に戻らないと!」


ほむら「ちょっ……美樹さやか!?」

ほむら「確かに『あなたはメグ・ライアンだった』なんて記憶にしたけれど、あなたは美樹さやかでしかないのよ! 映画ロケなんて実際には!」

さやか「お待たせしました!」

監督「ちょっとさやかちゃん、どこ行っちゃってたの!? ああもう、髪もボサボサでメイクもほとんどしてない!」

監督「大至急衣装とメイクね! 台本は頭に入ってる!?」

さやか「すみません! でも大丈夫、ちゃんと全部のシーン、全部の台詞しっかり覚えてますから!」

監督「OK、じゃあ30分で整えて! 後半パートの頭からいくわよー!」


ほむら「……」

ほむら「えっ、何これ」

ほむら「おかしい……私は美樹さやかの記憶を書き換えただけのはず」

ほむら「美樹さやか自身は普通の女子中学生で間違いないはずなのに……」


メイク「美樹さやかさん、準備整いました!」

衣装「OKです、いけます!」

さやか「……お待たせ致しました」

監督「!! もう役に入ってるわね……お嬢様役なんて合わないと思ってたけど、こっちの路線もイケるじゃない!」


ほむら「あれが、美樹さやか?」

ほむら「違う。姿かたちは美樹さやかでも、雰囲気が……あの粗野で直情的な美樹さやかとは違いすぎる……!」

ほむら「そういえばこの町も何かおかしい……」

ほむら「うっ、ショーウィンドーのディスプレイに美樹さやかが!」

ほむら「ビルの看板にも、美樹さやかが化粧品を持って立ってるわ……!」


ウィーン ラッシャッセー


美樹さやか主演『人魚たちの予感』大特集!

新作『見滝原の恋人』主演女優・美樹さやか独占インタビュー!


ほむら「これも……これも、これも」

ほむら「映画雑誌、女性誌に美樹さやかの記事がこんなに……」

ほむら「見滝原が美樹さやか一色になってるわ……」

ほむら「撮影現場は人だかりで近付けなくなってしまったわ」

ほむら「記憶の改竄に、世界の方が合わせてしまうというのかしら……」

ほむら「まどかの記憶を安定させるために使いたいと思っていたけど、もう少し慎重になった方がよさそうね……」


ガサッ


杏子「よっと」スタッ

ほむら「ひゃっ……佐倉杏子!? どうして木の上からいきなり」

杏子「え? ああ、あんた同じクラスの……えっと、ほむらだっけ? 驚かせちゃったか、悪い悪い」

ほむら「あなた、こんな昼間から木登りなんかして何してるのよ」

杏子「昼間からって、昼間のいい天気だから木に登るんだよ。夜にやってたら不審者だろ」

ほむら「それは言葉のあやよ……学校はどうしたのよ?」

杏子「だってさやかのやつ、撮影が忙しいとかでちっとも学校行かねーんだもん、つまんないじゃん」

杏子「らぶこめの女王? とか言って調子に乗っちゃってさ。家にもなかなか帰ってこねーし」

杏子「あたしももともと、そこまで学校に行きたいわけじゃないしね。なんかこうやって気ままにやってる方が自然な気がするよ」

ほむら(しまった……美樹さやかの影響が、居候の佐倉杏子にまで及んでいる)

ほむら(確かに学業に熱心だとは思えなかったけど、まさか美樹さやかがいなくなるだけで通学すらやめてしまうなんて)

ほむら(もともと学校に通っていなかったからなのか……「その方が自然」ということは)

ほむら(佐倉杏子も、前の世界の記憶を引き継いでいるというの……?)

ほむら(だとすれば、放ってはおけない。どの道まどかに使うのが不安なら、他で何度か試してみる必要もあることだし)

杏子「そういや、あんたこそ何で学校行ってねーんだ?」

ほむら「えっ」

杏子「ははーん、あんたもサボりなんだ? 結構派手なピアスしてるし、不良なんだねえ?」

ほむら「いえ、私は違っ」

杏子「あはは、隠すなって。あんたはそれくらいアウトローな方が自然だって!」

杏子「あれ? なんでその方が自然だって思ったんだっけ……?」

ほむら「佐倉杏子! あ、あなたは実は>>26だったのよ!」

レズ

ほむら「佐倉杏子、あなたはレズだったのよ!」

杏子「は……はあ!? おま、いきなり大声で何言って……喧嘩売ってんのか!?」

ほむら「佐倉杏子、よく聞きなさい」ガシッ

杏子「お? おう」

ほむら「美樹さやかは今や映画スター。多忙なスケジュールのため通学が困難なのは仕方ないことだわ。でもあなたは違う」

ほむら「あなたは正当な理由もなく学校をサボってしまっている……美樹さやかがそれを知ったらどう思うかしら?」

杏子「えっ……いや、さやかは……あいつはそんな優等生じゃないって」フイ

ほむら「いい? 佐倉杏子、真剣に助言するわ」

ほむら「美樹さやかの欠席には正当な理由がある……とはいえ、時間は残酷よ」

ほむら「授業内容も人間関係も待ってはくれないわ。美樹さやかはどんどん学校と疎遠になっていくでしょう」

杏子「えっ……いや、そりゃ困るよ。あいつ学校好きそうだもん。だからあたしも通ってたようなもんで」

ほむら「そこで、あなたが橋渡し役になるのよ」

ほむら「しっかり勉強をして、美樹さやかがわからない部分はあなたが教えてあげる」

ほむら「美樹さやかが復学した時に孤立しないよう、あなた自身がちゃんと学校に馴染んでおく」

ほむら「一緒に住んでいるあなただからこそできることよ。それに」

ほむら「そんなふうに頑張れば、芸能活動で疎遠になった美樹さやかとあなたも接しやすいでしょう?」

杏子「なななっ! 何言ってんだよ、あたしは別にさやかとあんまり一緒にいれなくて寂しくなんてっ」

ほむら「佐倉杏子、自分の心に嘘をついては駄目よ」

ほむら「あなたは確かに寂しがっている。美樹さやかのいない学校の居心地が悪くて、こうしてさ迷っているのが証拠だわ」

杏子「何だよ……あんたに何がわかっ」

ほむら「わかるのよ! 私もずっと同じだったから」

杏子「……もしかして、あんたも」

ほむら「ええ。女同士、いいじゃない」

ほむら「あなたのその気持ち……まさしく、愛よ」

ほむら「それに美樹さやかのご両親にも通学のために助けてもらっているのでしょう?」

ほむら「将来のためにも、真面目に通学して印象を良くしておくのは大事だわ」

杏子「そうか……そうだよな、うん」

ほむら「さ、そうとわかれば学校に行きましょう。ちなみに私は体調不良で遅刻しただけだから。不良ではないから」

杏子「わかったわかった、あたしもあんたのこと誤解してたよ」

杏子「まあ、さやかがいなくて学校がいつもよりつまんないのは事実なんだ。そのぶん仲良くしてくれよな、ほむら!」

ほむら「ええ、もちろんよ」

ほむら(佐倉杏子の懐柔に成功。良好だわ、この調子ならまどかにも)

まどか「……?」

ほむら(……いえ、さすがに安定性に欠けるわ。もう少し成功例を増やしてからにしたいところね)


仁美「あの、上条君。よかったら放課後、どこかに寄っていきませんか? 私、久しぶりに習い事がお休みで」

上条「志筑さん、ごめん。今日もみっちりレッスンに時間を取りたいんだ。次のコンクールまで近いしね」

仁美「え……ええ。だったら仕方ありませんよね。じゃあ、せめて途中まで一緒に……」


ほむら「……」

ほむら「愛を自覚したからかしら。あの二人のやり取りがどうにも見ていられないわ」

>>40
1.仁美の記憶を改竄する
2.上条の記憶を改竄する

上条「じゃあ志筑さん、また明日」

仁美「え、ええ……ごきげんよう」

仁美「……」

仁美「……別れ際、振り返ってもくれませんのね」

仁美「『また明日』と言ってもらえるだけいいと思うべきなのでしょうけど」

仁美「……」


ほむら「その言葉、本心からかしら?」

仁美「!?」

仁美「暁美さん、あなた……どこから聞いて」

ほむら「親友と奪い合いまでして、ようやく付き合ってみればこのすれ違い」

仁美「なっ……違います、奪い合いなんてしてない!」

仁美「それにすれ違いだなんて……上条君はバイオリンに一生懸命ですもの、私は納得したうえで」

ほむら「志筑仁美。私とあなたはそう親しい仲でもないわ……取り繕う必要もないでしょう」

仁美「……」

仁美「納得したうえでというのは、本心ですわ」

仁美「でも、それがこんなに寂しいなんて……私、知りませんでしたもの」

仁美「もともと、私の片思いだったと思います。自覚しています」

仁美「だから私はお付き合いしているだけで……私の思いに応えてもらただけで満足しないといけませんの」

仁美「さやかさんも、私も同じ。バイオリンに一途で、一生懸命な上条君を好きになったはずですから」

仁美「だから、バイオリンと私どっちが好きなのなんて……私を選んでほしいだなんて」

仁美「言えません! 思っていても言えるはずがありませんわ!」

ほむら「……そう」

ほむら「上条恭介のことは詳しく知らないから、私には言えることはないわ」

ほむら「ただ、あなたの苦痛を和らげることはできる。あなたの望んだ形ではないでしょうけど」

仁美「暁美さん……? あなた、何を」

ほむら「志筑仁美。あなたは>>50なのよ」

超中学級のマネージャー

上条「~~~♪」


バターン!!


上条「な、何!?」

仁美「上条君……」

上条「志筑さん? 今はレッスン中……というか、どうやって家の中に」

仁美「上条君のレッスンは、間違ってますわ!」

上条「ええっ!?」

講師「突然乱入してきて何ですかこの子は!?」

仁美「お黙りなさい!」

仁美「上条君をお慕いしたその日から……私は上条君の役に立つための道を模索したのですわ」

仁美「バイオリニスト上条恭介を支えるために! 効果的なレッスン法を! 体調管理を! スケジューリングを! 売り込み方を!」

仁美「全ては上条君をマネージャーとしてバックアップするため……」

上条「志筑さん、あの、その辺りにして今日は……」

仁美「上条君……マネージャーとして、辛辣な事実を言わせていただきますわ」

仁美「今の上条君に、バイオリンを弾く資格はありません!」

上条「!?」

講師「言うに事欠いて何を……!」

仁美「お黙りなさいと言っています、無能講師!」

仁美「ただ演奏する音色だけに集中し、上条君の体……コンディションに目を向けられないなど、愚の骨頂ですわ!」

上条「えっ……?」

仁美「上条君、バイオリンを構えてみてください」

上条「えっ……うん」サッ

仁美「構えがなっていません」

上条・講師「!?」

仁美「怪我をする以前の上条君と見比べてみればわかることです……背筋が伸びず、体重も片側へ寄っています」

仁美「長期間入院していたんですもの……筋肉が衰えていて当然です。バイオリンを支えきれていないのですわ」

仁美「手と耳はご自分の演奏を覚えているだけに、今の衰えた体でも以前と変わらない演奏ができるよう、無理な体勢をとっているんですわ」

仁美「長期のブランクでも演奏の腕は衰えず、忘れていなかった!」

仁美「それなら今上条君がするべきなのは演奏の実践練習ではなく、以前のコンディションに戻すためのリハビリ……トレーニングです」

上条「志筑さん……」

講師「坊ちゃま! そのような子供の世迷いごとに騙されては」

上条「いいんだ!」

講師「う……」

上条「わかってたんだ。事故の前と比べてバイオリンが重くて、長時間の演奏は辛いってことは」

上条「本当はもっと基本的な準備から始めるべきだった……でもそれをしなかったのは、僕が曲を弾ける楽しさに夢中になってたせいだ」

上条「演奏からもう一度離れるのを恐がってたせいだ……」

上条「……片付けておいて」スッ

講師「坊ちゃま!?」

上条「目先の目標ばかりに集中して、遅れを取り戻そうと焦りすぎてたよ」

上条「また弾ける体になったんだ。だったらもう焦らなくていい」

上条「今は演奏は勘を鈍らせない程度におさえることにするよ。それより今は、この弱った体をなんとかするのが先みたいだ」

上条「志筑さん……手伝ってくれるかい?」

仁美「も……もちろんですわ! この超中学級マネージャーにお任せあれ!」

ほむら「……」

ほむら「せめて志筑仁美がもう少し積極的に動けるようにと思った程度だったけれど」

ほむら「予想以上にアグレッシブになったわ……あの様子なら、上条恭介の方を改竄する必要はなさそうね」

ほむら「……うん、なかなか手応えを感じてきたわ」

ほむら「そろそろまどかへ干渉してもいい頃かしらね」


マミ「あら? あなた確か……暁美さん?」

なぎさ「マミ、知り合いなのです?」

マミ「ええ、うちの中学の後輩よ。何度か佐倉さんや美樹さんに話も聞いてるわ」

マミ「それにしても、まともに話したこともほとんどないのに……どうしてかしら、他人のような気がしないわね」

なぎさ「……」ササッ

ほむら「暁美ほむらよ……巴マミに百江なぎさ。改めてよろしくお願いするわ……って、どうして隠れるのかしら」

マミ「そうよなぎさちゃん、ちゃんと挨拶しないと駄目でしょう?」

なぎさ「うう……どうしてだかわからないけど、なんだか恐いのです。危ない予感がするのです」

ほむら(百江なぎさ……この子も確か、美樹さやかと同じだったわね。放っておくと後々面倒になりそうだわ)

>>70
1.マミの記憶を改竄する
2.なぎさの記憶を改竄する

マミ「大丈夫よ。何もされないし、もし何かあってもなぎさちゃんは私が守ってあげるんだから」

なぎさ「そういう問題でもなかった気がするのです……」

マミ「あら、信用できないのかしら? 現に一回、暁美さんから守りきったじゃない」

ほむら「え?」

なぎさ「え?」

マミ「……あら?」

ほむら「巴マミ、あなたと敵対した覚えは私には」

マミ「ええ、もちろんそのはずよ。どうしたのかしら私、変ね」

なぎさ「……マミ、どうして泣いてるのです?」

マミ「え、泣いてる? 私、やだ、どうして……」

マミ「何かしら、私……暁美さんと何度もすれ違ってた気がする。あの戦いは悲しくて、でもどこか気持ちよかったような……」

ほむら「……」

ほむら「巴さん。私も、もう一度……初めて会った時みたいに戻れたらどんなに……」

マミ「暁美さん?」

ほむら「巴マミ、あなたは……>>76よ」

私のお姉ちゃん

なぎさ「……? マミ、今何て言われたのです?」

ドサッ

なぎさ「わっ!? マミ! せっかく買ったチーズを落とすなんて、何てことするですか!」

マミ「暁美さん……ううん、ほむらちゃん」

なぎさ「え?」

マミ「どうして今まで忘れてたのかしら……気付かなかったのかしら……!」ガバッ

ほむら「と、巴マミ!? 苦しいわ……!」

マミ「ううん! ううん! 離さないわ……私にまだ家族がいたんだもの!」

マミ「ごめんなさい! 今まで寂しい思いをさせてごめんなさい……!」

ほむら「……」

ほむら(これは私自身が起こした記憶改竄による効果)

ほむら(巴マミと私が姉妹であるはずがない……それは間違いないわ)

ほむら(なのに)

ほむら(私の中に湧き上がってくるこの記憶は何なのかしら)

ほむら(どうしてこんなに暖かいのかしら……)

ほむら「は、離して……巴マミ、離しなさい!」

マミ「あっ……」

ほむら「確かに、私はあなたの妹だった。けれど長い間別々に暮らしてきた」

ほむら「急に接し方を変えないでちょうだい……私もやりづらいわ」

マミ「そう……そうよね」

ほむら「……」

ほむら「その……ほむらちゃんはやめて。呼び捨てで、ほむらでいいわ」

マミ「!」

ほむら(平静を保っていられない……百江なぎさのことは後にして、一度離れましょう)


マミ「ほむら!」

マミ「今日は……ううん、これからも! うちで暮らしていいのよ?」


ほむら「……」

ほむら「考えておくわ」

ほむら「ずっと一人だった」

ほむら「まどかを失って、魔法少女として時間を越えたあの時から」

ほむら「私を知らないみんなとの出会いを何度もやり直して、私はずっと一人だった」

ほむら「唯一今までの私を理解してくれたまどかは概念となって、みんなの記憶からすらいなくなってしまった」

ほむら「今こうして人間としてのまどかを取り戻したけれど、人間のまどかは私のこれまでを覚えてるわけじゃない」

ほむら「やっぱり私は一人だった」

ほむら「なのに、どうして……こんなに寂しくなったの?」


QB「自業自得だよ、暁美ほむら」

ほむら「……口答えの許可はしていなかったはずよ、インキュベーター」

QB「自分で自分を無意識に書き換えてしまったんだから、そう言う他ないだろう?」

ほむら「……どういうことよ」

QB「宇宙には弾性あるんだ。大きな力で法則が捻じ曲げられた場合、なるべく元に戻そうとする力が発生する」

QB「かつての鹿目まどかと君との違う点は、君が世界の法則を動かせる力の持ち主でありながら世界の一員でもあるということさ」

QB「だから、捻じ曲げられた事象の辻褄をあわせるための動きに君自身が巻き込まれてしまった」

QB「巴マミが暁美ほむらの姉であるために、君自身の存在が『巴マミの妹』として書き換えられてしまったんだよ」

QB「もう勘違いでも何でもない。君と巴マミが姉妹であることは、この世界において動かしようもない事実なんだ」

ほむら「……そう。ある程度は理解したわ」

QB「理解できても感情は整理できないってことかい? やっぱり人間の感情の扱いってやつは困難で非効率だね」

ほむら「おしゃべりが過ぎるわよ、インキュベーター」

ほむら「私がその気になればお前の記憶だって書き換えることができるのよ」

QB「やってごらんよ。やめておいた方がいいとは思うけどね」

QB「君が僕を逃がさず世界に留めておいたのは、魔法少女のシステムの基盤を築き、管理しているのは僕たちなのは変わっていないのを理解しているからだろう?」

QB「僕の存在を変化させた場合、魔法少女のシステム自体が成り立たなくなるかもしれない」

QB「短絡的な感情による判断で決断するには、リスクが大きすぎると思うけどね」

ほむら「……」

>>112
1.インキュベーターの記憶を改竄する
2.インキュベーターの記憶を改竄しない
3.なぎさ、まどかの方が先だ

ガシッ


ほむら「あなたはやっぱり自分の立場というものを理解していないようね」

QB「理解したうえの発言さ、暁美ほむら。一度はこの星から手を引くと決めた以上、このまま飼い殺しにされているよりはいい結果を望める選択だよ」

ほむら「その分の悪い賭けで勝てることを祈っていればいいわ」

ほむら「インキュベーター……あなたに与える記憶は>>118よ」

屋敷しもべ妖精

杏子「おっす、ほむらー。遊びにきたぞー」

杏子「いやー、あんたが家に誘ってくれるなんて珍しいよな。面白いものが見れるってどういう」

QB「やあやあ佐倉杏子、よく来たね。上着はハンガーにかけておくかい? すぐにお茶とお菓子を用意するから座って待っててくれないか」

杏子「えっ」

ほむら「インキュベーター、掃除がまだ終わってないでしょう。来客までにすませておくように言わなかったかしら」

QB「ほむら様! 申し訳ございません、お客様のお持て成しがすみましたらすぐに戻りますので!」

QB「ささ、佐倉杏子。上着を預かるよ」

杏子「え? ああ、サンキュ」

杏子「えっと……キュゥべえってもともとあんな感じだったっけ?」

ほむら「主人の命令には絶対服従がインキュベーターの本能であり、最大の喜びだそうよ。まったく難儀な生き物よね」


QB(体が軽い……この奉仕の快感、これが感情なのかい!? もう何も恐くない!)ビクンビクン

ほむら「それで、美樹さやかとの関係は良好かしら?」

杏子「ああ、おかげさまで。初めて勉強教えてやるって言った時は熱でもあるのかって心配されたけどね」

ほむら「今や学校でも優等生だものね、あなた」

杏子「んで、ほむらの方こそどうなんだよ」

ほむら「関係はまったく進んでいないわ。それに、それ以外に問題も出てきて……巴マミのことなのだけど」

杏子「ああ、そういや姉妹なんだっけ……あんたたち」

ほむら「ええ。今さらどう接したものかってね」

ほむら「あなたは一時期巴マミと二人で組んでたわけだし、何かアドバイスでももらえればと」

杏子「アドバイスも何も……別に何もしなくていいじゃん」

杏子「姉妹で接し方がどうのって身構えてるほうが逆にギクシャクするよ。素直にやりたいようにやればいいのさ」

ほむら「そういうものかしら」

杏子「そ。マミのやつは姉っぽく格好つけたがったり、猫っかわいがりしてくるだろうけどな。まあ、そのうちボロが出るよ」

杏子「もっと言えばいるだけで、なんとなく安心できるもんさ。特別なことなんていらないんだよ」

ほむら「あなたも……その、そうだったのかしら」

杏子「さてね。モモには……妹にはもう確かめようがないからさ、そうだったらいいよなーってだけ」

ほむら「……そう」

杏子「ま、会わずにウジウジしててもしょうがないって。でもほむらの頼みだ、特別にあたしがマミに姉としての心構えをきっちり叩き込んでやるよ」

ほむら「えっ……今からかしら」

杏子「さっきも言っただろ、姉妹で会うのに心の準備なんていらねーの!」

ほむら「わかった、わかったわよ。引っ張らなくてもちゃんと行くわよ」


QB「お出かけかい?」

ほむら「ええ。帰ってくるまでにアパートの廊下全部磨いときなさい」

QB「よ、ヨロコンデー!」

        __〃^ミ、__,,,,....,,,,_
    /⌒{{=ミィ幺圭圭圭圭ミ≧z..、
   ⌒>《_≧{≫'''" ̄  ~`'''寺圭ミ℡、  ←オシャレなベレー帽
   / ((>''"         / ``寸圭心、
  /ィ .//  /      ノ    `寸ミ沁  ←頼れる理想の先輩
   ∨ /  ,:'   / / ヽ  `:,   ゙寸l私
   / /  斗‐‐// /  ⌒ト、i !   Ⅵ仞  ←明晰な頭脳
   / /  ,'  ∠  {/  二,,, i i }   }  }少゙
   { {  { { ,ィi然     テ斧≧jノ} j!  j!  }  ←眩しすぎる金髪
    弋 人i {!i.)ll}       わ戔心 ;  /  ノ
    \ rハ弋ソ     弋;;;;;;タノ /^)ノ  ←癒しのタレ目
    f⌒「{{_{゙i⊃      ⊂ニ/彡,斗‐'"⌒}
    辷弋::::::ト.、_ `ー ''   _,.ィ/  -―__〉  ←聞く者を魅了するお姉さんボイス
   }⌒ヽrミニ彡}<∀/>ニ、/ ,.ィ<孑''"~}

   ニ二>j /仁ニ(7ー-┐ \ミァ"_,.ャ≦ }  ←マミマミしたい美乳

  /   __〈 { f彡イf゙{ {\/ _/ ( (__`'''" ̄`ヽ
 { 〃 ̄ } ゝ_,,.::jj \>`ヒ o],,.._`ー‐''"⌒ヽ  }  ←円環の理に導く縦ロール
  `(    `ー//:::〃`iトミ/〈 '⌒{-┴-...,,_  ノノノ
     / ̄ヾ::〃;;斗=〈≦i  `<~、,,} ''"´  ←モデル体系をひきたてるコルセット
   ∠.:.:.:.:.:./.:`'"/.:.:.:.:i.:.:.j   _{_
   (ヾ/`ミメ.:.:.:./孑三ミ}.:.:.\〃il㌢ミ}  ←白魚のような繊細な手
   `^{::::::`ミ三ヾノl  レ辷ニ彡(/⌒"
     `"`ー<l、_ノiΠl辷}}==ヨ} }  ←逆さ吊りでも鉄壁ガードのスカート
            l:;l:;l:;代辷彡>"⌒''"
          {ヽ/{_}ト ̄  ←絶対領域が作り出す素敵空間
            l::::::::ll::{
             }f^Lll::l  ←能力はリボン。拘束からマスケット銃まで多彩
            j__ノ^゙}
             ゝ_ノ  ←使い魔も一撃で潰す魅惑のヒール

マミ「ほむら、やっと会いにきてくれたのね! お姉ちゃん寂しかったわ!」

杏子「ハイそこまでー。そういうベタベタな猫っかわいがり、妹からは凄えウザがられるから」

マミ「ええっ!?」ガーン

ほむら「……経験談かしら?」

杏子「……その辺りは想像に任せるよ」


ほむら(あら? この1サイズ小さい靴って……)

なぎさ「マミー、モッツァレラのパックが開かないのです! なんとかしてほしいのです!」

ほむら「百江なぎさ……あなたまさか、ここに暮らしてるの?」

なぎさ「そうですよ?」

マミ「なぎさちゃんは私と同じで身寄りがない子でね」

ほむら「そう……なの」


ほむら(そうか……お菓子の魔女は同じ時間軸に存在していたとはいえ、百江なぎさがいつ魔女化したのかはわからない)

ほむら(無理やりこの世界に取り込んだわけだから、存在の設定があやふやなのかしら)

ほむら(ある意味で美樹さやかよりも不安定な状態ね)


マミ「あら、ほむらもしかして妬いちゃったかしら?」

ほむら「……好きに想像すればいいわ」

杏子「にしても、チーズばっかり飽きずによく食うなあ」

なぎさ「当たり前なのです! 毎日三食チーズでもいいくらいです!」

なぎさ「今のなぎさが死んだら、きっとチーズ食べたさに化けて出てくるでしょう!」

マミ「こら、縁起でもないこと言わないの」

杏子「ふーん。どうしてそんなに好きになったんだよ、チーズ」

なぎさ「なぎさもよく覚えてないですが、ママが好きだったような気がするです……」

なぎさ「それに、なんだか随分長いことチーズが食べられない期間があったような……」

ほむら「百江なぎさ……もし、あなたが別の世界の人間だったとしたら」

ほむら「チーズの食べられない故郷の世界と、チーズの食べられる異世界……どっちに住みたい?」

杏子「何だその質問?」

なぎさ「なぎさはもちろんチーズが食べれる方がいいのです! チーズがない世界に生まれたら、きっとチーズを求めて別の世界に旅立つのです!」

マミ「行動力あるわねえ」

ほむら「ふふっ……大丈夫よ。あなたはこれからもチーズが食べられるわ」

なぎさ「え?」

ほむら「百江なぎさ……あなたは>>146だから」

私の妹

なぎさ「……あれ?」

マミ「どうしたの、なぎさちゃん?」

なぎさ「なぎさ、なんだかさっきまでほむらお姉ちゃんのこと恐い人だって思ってた気がするのです」

なぎさ「ほむらお姉ちゃんはお姉ちゃんですのに」

ほむら「……そうね、私も近寄りがたい雰囲気を出してたかもしれないわ」

ほむら「久々にお姉ちゃんと妹とゆっくり会うんで、緊張しちゃってたのかしらね」

杏子「っかー、三姉妹揃って仲良くしちゃってさ! 羨ましくなってくるよな、あたしとしちゃ」

マミ「佐倉さん、ごめんなさいね。そういうつもりじゃ」

杏子「真に受けて謝るなよ、余計にそういう気分になるだろ」

杏子「……それに、今はさやかんちの親御さんが本当の親みたいによくしてくれるからさ。家族のこと思い出すのも、今は本当に平気なんだよ」

杏子「さやかとも本当の姉妹みたいなもんだしな……ま、姉妹で終わらせる気はねーけど」

マミ「え?」

なぎさ「え?」

ほむら「……」

杏子「……あ」

QB「お帰りほむら、遅かったね」

ほむら「……本当にアパート全体の廊下を磨ききったのね」

QB「それがインキュベーターの本能だからね。当然だろう?」

ほむら「口の利き方がなってないのは相変わらずね。靴磨いときなさい」

QB「はいご主人様、誠心誠意!」キュッキュッ

QB「それにしても……よかったのかい? 巴マミに加えて、さらに肉親を増やすなんて」

ほむら「……そういう部分には相変わらず目ざといわね」

QB「僕らのインキュベーターとしての存在の根底は揺らがなかったからね。もともと僕らはこの星の外から来たからかな? おかげで興味深い実験結果が得られたよ」

ほむら「奉仕の喜びは遺伝子レベルで組み込まれたようだけど」

QB「おかげで一度は挫折した感情の研究も再開することができたよ。この奉仕の快感というやつは素晴らしいね」

ほむら「……まあ、それはそれとして」

ほむら「百江なぎさの件は問題ないわ。おかげで私自身の存在を書き換えるのにも慣れることができた」

ほむら「いよいよ、まどかにこの力を使う時だわ」

まどか「あっ、さやかちゃん久しぶり! また学校来れるようになったんだね!」

さやか「やっと撮影が一段落したからねー! 会いたかったぞまどかー、うりうりうり!」ギューグリグリ

まどか「ちょっ……もー、苦しいよー!」

杏子「さやかさやか、あたしもあたしも」

さやか「えー、杏子には家でもできるじゃん? 今はまどかのじーかーんー」

杏子「うぐぅ……」

上条「やあさやか、順調そうだね」

さやか「あ、恭介も……って、なんだかガッシリした?」

上条「はは、入院前の状態に戻せるように鍛え直したからね。今じゃ事故の前より体が軽いくらいさ」

上条「それもこれも、全部志筑さんが気付かせてくれたおかげだよ……あのまま演奏練習だけを続けてたら変な癖がついて直らなかったかもしれない」

仁美「ふふ……そう評価していただけるとマネージャー冥利に尽きますわ」

さやか「あーもう、見せ付けてくれちゃってますねー! 一時はどうなるかと思ったけど、仲良くなって嬉しいやら悲しいやらだっ!」

仁美「でも、私一人じゃこんな風にはなれませんでしたわ……あの時暁美さんに背中押してもらわなかったら……」

ほむら「……」

ほむら「……」

ほむら「えっ」

まどか「ほむらちゃんが?」

仁美「ええ……私が抱えていた悩み、本当に親身になって聞いてくださって」

仁美「確かにマネージャーの勉強を続けてはきましたけど、あの時話を聞いてもらってなかったらきっと……上条君のもとに踏み込んでいく勇気は持てませんでした」

さやか「へえー、ほむらにもいいとこあるじゃん!」

まどか「優しいんだね……恋愛の話とか、そういうのあんまりしないと思ってたよ」

ほむら「え……ええ、まあ」

杏子「いやいや、ほむらは話せばわかるやつだよ」

さやか「そういえば杏子とほむら、最近仲いいよね。いつの間にさやかちゃんから乗り換えたんだー? このこの!」

杏子「なっ!? ちちち、違ーし! ほむらとはホラ、恋バナとかで盛り上がる仲だよ!」

まどか「ええーっ! ほむらちゃんと杏子ちゃん、好きな人いるんだ!」

ほむら「ちょっと佐倉杏子!」

さやか「おお、この後ろから追い抜かされてくような感覚……うちの杏子をたぶらかしたのはどこのどいつだー? お父さんは許しませんよっ!」

杏子「だだだだ、誰でもいいだろっ! この話は終わりだ終わり!」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年11月28日 (金) 18:26:55   ID: -dTQHY-9

これ完結してる…のか?

2 :  SS好きの774さん   2015年02月06日 (金) 01:41:16   ID: xksCSlhm

だな。ほんとに終わっちまったよ…

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