女「あのね……私のお父さん、うんこなの」 男「は?」 (10)

男「急に何を言うんだ、これから初めてのHをしようってときに」

女「ごめんなさい、ちょっと待ってて。トイレに行ってくるから」

タタタッ

男「あ、そうか、トイレを我慢していたのか。そりゃ便意をこらえたままHなんてできないもんな」
 「それにしても、いくら恥ずかしいからってあんなテンパった言い方するなんて」
 「うぶ……ってことなのかな?」

シュー

女「男くん、ちょっと来てー」

男「えっ? うん、行くよ、何?」
 (あれ? 消臭スプレーの音だけで流した音がしなかったぞ)

うんこ「やあ、男くん、初めまして! 君のことは娘から聞いているよ」

男「うんこが喋った!!!」

うんこ「娘からも話があったと思うが、わしが女の父だ。よろしく頼むよ」

男「……なんだよこれ。腹話術? ドッキリか? なんにせよこんな日にたちの悪い冗談はやめてくれ」
 「特別なサプライズがしたかったならもっとあったろう。もう流すからな」

うんこ「あっちょっまっ」ゴポポ

女「ああ、お父さん!! ――よかった、間に合った」
 「男くん、勝手にお父さんを流さないで。私が見ていないとお父さんは私のおなかに戻れないのよ」
 「前にそのまま流しちゃって下水処理場まで探しに行ったことだってあるんだから」

男「女ちゃん? 何を言ってるんだ、まったく訳が分からないよ」
 「まさか本当に今のうんこが君のお父さんだっていうんじゃないだろうな」

女「驚かせてごめんなさい。でも父がうんこというのは本当なの」
 「私が高校生の時お父さんは人間でなくなってうんこになったの。それも娘の私のうんこに」
 「それ以来私がうんこする度に父は便器にうんことして現れ
  そして流される前に私の腸に帰ってくる、そんな不思議な存在になったの」

男「にわかには信じられないが……目玉のおやじのようなものか」
 「でもどうしてこんなときにカミングアウントしたんだい?」

女「普段私のおなかの中にいるときの父は話しかけてはこないのだけれど
  声は聞こえるらしくて、私が緊張したり運動したりするのも分かるらしいの」
 「それで、今日男くんとHすることになったら、きっとすぐお父さんには分かってしまう」
 「だからそういうことになるんだったら先に伝えておこうと思って……お父さんにも、男くんにも」

男「そうだったのか。それでHの直前にトイレに行ったんだね」
 「びっくりしたけど、女ちゃんが嘘つくはずない。信じるよ、俺」

女「男くん……」

男「それで、今お父さんは女ちゃんのおなかの中にいるわけ?」

女「そうよ。あっ、お父さんがまだ出たがってる」
 「お父さんは何か言いたいことがあると便意を催させることがあるの」
 「でもさっきうんこしたばかりだから出ないかも……私ちょっと浣腸してくるね」

タタタ

男「浣腸、ね……そんなもの持ち歩いているとなるといよいよ本当の話のようだ」
 「まったく、彼女のお父さんとの初めての対面があんな形になろうとは」
 「それにしても、あんな人前でうんことか浣腸なんてさらっと言える子だったなんて」

シーン

男「静かだな……浣腸といってもトイレで何をしているんだろう」

コンコン

女「んっ……はぁ、男くん、何?」

男「いや、あのさ、今……浣腸してる?」

女「うん。ちょっと待ってて」

男「分かった」


女「……あのね、男くん……居る?」

男「いるよ」

女「私ね、前の彼にもお父さんのことを打ち明けたことがあったの」

男「えっ?」

女「でもね、その人、すごく取り乱して、バケモノって叫んで逃げちゃった」
 「それもお父さんじゃなく、私の顔を見て。だから本当は今日男くんに話すのがすっごく怖かった」
 「嫌われたらどうしよう、バケモノ扱いされたらどうしようって」
 「でも男くんは私の話を聞いてくれた。信じてくれた。……嬉しかった」

男「女ちゃん……独りで抱え込んでいたんだね」
 「病院とか、お母さんには伝えてあるの?」

女「ううん。お父さんが嫌がって……あっ来た! んン゙ア゙ッ! でりゅ~~~~!!」

ビチビチブババババブリュンゲル!!

男「女ちゃん!?」

バーン

下痢父「やあ! 男くん、また会ったね!」

男「今度は下痢が喋った! しかも声がなんか甲高い!」

女「ハァハァ……やだ、飛び散っちゃった」

下痢父「女、お風呂場で洗ってきなさい。その間わしは男くんと話をしていよう。男同士の話をな」

女「うん、分かった。行ってくるね」フキフキ

パタパタ

下痢父「さてと、男くん。聞いての通りだが、もう一度順を追って説明しよう」
   「昔、わしは会社をリストラされ、再就職先も見つからず、自分はうんこだと卑下していた」
   「そんな時娘を見て思った。同じうんこなら愛しい娘のうんこになりたいと」
   「すると次の瞬間、気が付いたらわしはうんこになっていたのだ!!」デーデッデンデーン

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