シンジ「うわぁぁ!!アスカがショートヘアになってるぅぅぅ!!」(210)

シンジ「ただいまぁ」

アスカ「ん」

シンジ「……」

アスカ「な、なによ?」

シンジ「……」ジーッ

アスカ「……なに?」

シンジ「???!?!?」

アスカ「髪のこと?」

シンジ「……!!!」コクコク

アスカ「イメチェンよ。イメチェン。短くしてみたの」

シンジ「うわぁぁぁぁ!!!!あぁぁぁぁぁ!!!!!」

アスカ「うるさいわね」

アスカ「ごくごく……ぷはぁ」

シンジ「……」ブルブル

アスカ「……ミサトは?」

シンジ「……も、もうすぐ……帰ってくるんじゃないかな……」

アスカ「ふーん。じゃ、ご飯できたら教えて」スタスタ

シンジ「う、うん……」

アスカ「……」

シンジ「あぁ……ぁぁ……」ガタガタ

シンジ(僕だ……絶対……僕がなにか……したんだ……)

シンジ(なんだろう……なんだろう……!!)ガタガタ

シンジ(謝らなきゃ……謝らないと……)ガタガタ

ミサト「たっだいま―――」

シンジ「ミサトさん!!たすけてよぉ!!!」ギュゥゥゥ

ミサト「おわっと!?どうしたの?」

シンジ「僕……僕……アスカに酷いことしちゃった……」ブルブル

ミサト「ぷぷ……なぁに?着替えでものぞいちゃったの?やぁね、シンジくんはぁ」

シンジ「ちがうよ!!そんなことじゃないんです!!」

ミサト「え?」

シンジ「もっと……もっと酷いことをしたんです……」ガタガタ

ミサト「ちょ……シンジくん……なにが―――」

アスカ「あ。ミサト、遅かったわね」

ミサト「―――!?!?!!?!!?!」

アスカ「なに?」

ミサト「シンジくん!!!アスカになにしたの!?」

シンジ「わかりません!!!」

アスカ「……」

ミサト「あ、ああ、アスカ?」

アスカ「なに?」

ミサト「と、とりあえず、座って」

アスカ「なによ」

ミサト「シンジくんはご飯を作ってくれる?」

シンジ「わ、わかりました……」

アスカ「……」

ミサト「アスカ。学校は楽しい?」

アスカ「別に。普通だけど」

ミサト「えっと……エヴァに乗るの、嫌?」

アスカ「バッカじゃないの?そんなわけないでしょ。エヴァに乗るのことが私の全てなのよ?」

ミサト「そ、そうよね……うん」

アスカ「なによ。そんなに髪……変?」

ミサト「う、ううん!!すっごいにあってるわ!!!ねえ、シンジくん!!!」

シンジ「かわいい!!アスカかわいいよ!!!」

アスカ「そ、そう……ふーん……」プイッ

ミサト「シンジくん」

シンジ「は、はい……」

ミサト「(身に覚えは?)」

シンジ「(はっきり言ってありすぎて……)」

ミサト「(はぁ……やばい……明日、シンクロテストもあるのに……リツコに怒られるかもしれない……)」

シンジ「(すいません……)」

ミサト「(と、とにかく、いい?とりあえず謝っておいて)」

シンジ「(でも、何に対して……?)」

ミサト「(もしかして振ったんじゃないでしょうね?)」

シンジ「そ、そんなことしてません!!!」

アスカ「なに?なんの話?」

ミサト「ううん。今日のごはんはなにかなーって」

シンジ「な、なな、なにがいい?アスカ」

アスカ「……ハンバーグ」ボソッ



シンジ「……」トントン

アスカ『はぁーい?』

ガラッ

シンジ「アスカ……?」

アスカ「ん?」ピコピコ

シンジ「アスカ……あの……なにか……したかな?」

アスカ「なにが?」

シンジ「だから……僕……アスカになにか酷いこと……しちゃったかな?」

アスカ「別に」

シンジ「な、なんでもするよ!!アスカのためなら!!心をいれかえるよ!!」

アスカ「はぁ?じゃあ、私より先にお風呂に入んないでくれる?」

シンジ「ほ、ほかには?」

アスカ「んー……朝、起こして。ゆっくりねたいから」

シンジ「う、うん!!わかった!!」

翌朝

シンジ「アスカー?」トントン

シンジ「アスカー?」トントン

ガラッ

アスカ「すぅ……すぅ……」

シンジ「アスカ、アスカ。朝だよ」ユサユサ

アスカ「んん……わかってるわよ……」ムクッ

シンジ「じゃ、じゃあ、着替えてリビングにき、きてね……」オドオド

アスカ「んー」

シンジ「はぁ……」

シンジ「……アスカ、ほんとにどうしちゃったんだろう……」

シンジ「早く思い出そう……」

シンジ「うーん……あれかなぁ……アスカの飲みかけのジュースを飲んじゃったことかな……」

シンジ「それとも歯ブラシを間違えて使っちゃったことかな……」

シンジ「でも……どっちもちゃんと謝ったし……」ブツブツ

通学路

ケンスケ「あ。きたきた」

トウジ「おーい、せんせ―――」

シンジ「や、やぁ……おはよう」オドオド

アスカ「……」

トウジ「お……?」

ケンスケ「……!?!?!??」

アスカ「なによ?ショートヘアがそんなに珍しいの?」

トウジ「シンジ!!ちょっとこい!!!」グイッ

シンジ「うわぁ?!」

トウジ「なにしたんや?!」

ケンスケ「エヴァを降ろされたとか!?」

シンジ「ないない!!」

トウジ「ほんまやな!?ほんまなんやな!?」

アスカ「仲いいわね。三バカは」

学校

レイ「……」ツカツカ

アスカ「……」スタスタ

レイ「……」チラッ

アスカ「……」スタスタ

レイ「……」ツカツカ

レイ「……?!?」バッ!!!

アスカ「……なに?」

レイ「ううん」フルフル

アスカ「ふん……」スタスタ

レイ「……」

ヒカリ「アス―――えぇぇぇぇぇ!?!?!?!?!」

アスカ「なによ、ヒカリまで」

ヒカリ「普通驚くって!!!ど、どどど、どうしたの!?なにがあったの?!」

アスカ「イメチェンよ。長い髪に飽きたの」

ネルフ

マヤ「はぁー……資料おもいなぁ……」トコトコ

リツコ「今日はシンクロテストがあるから、仕方ないわね」

マヤ「そうですけど……」

シンジ「あ、こんにちは」

マヤ「シンジ君。こんにちは」

リツコ「1700時からシンクロテストだからね」

シンジ「はい」

レイ「……」スタスタ

マヤ「レイは挨拶してくれませんね」

リツコ「ま、いつものことじゃ―――」

アスカ「……」スタスタ

マヤ「……」バサバサバサ

アスカ「資料、落ちたわよ?」

リツコ「……ありえないわ」

ミサト「……」

加持「ミサト」

ミサト「ん?」

加持「アスカになにがあった?」

ミサト「イメチェンらしいわ」

加持「そんなバカな……」

リツコ「ミサト!!」スタスタ

ミサト「なに?」

リツコ「あなたの監督責任よ?」

ミサト「ちょ……」

リツコ「いい?エヴァは精神が少しでも乱れたら乗れないの。知っているでしょ?」

ミサト「今からシンクロテストだしいいじゃないの」

リツコ「あのね……!!!」

加持「まぁ、あの碇司令が目を丸くしている光景はよかったけどな」

ミサト「うそ?見たかったわぁ」

冬月「モニターに出せ」

日向「は、はい!!」

パッ

アスカ『ミサトー?なんで私だけ先にやるわけー?』

ミサト『なんとなくよ』

ザワザワ……!!

青葉「な、なんだ……!?」

マヤ「……」

冬月「どうする、碇?」

ゲンドウ「……冬月先生」

冬月「……」

ゲンドウ「すこし席を外します」

冬月「……」

ゲンドウ「……」スタスタ

冬月(流石の碇も今後のプランを変えざるを得ないと判断したか……?)

『碇、どういうことだ?』

ゲンドウ「これは予定外です」

『弐号機のパイロットに然程重要性はないにしても、まだ脱落には早すぎる』

ゲンドウ「承知しています」

『早急に原因を調べろ』

ゲンドウ「シンクロテストの結果次第です」

『万が一のことも考えておけ、ということだ』

ゲンドウ「……全てはゼーレのシナリオ通りに」

ゲンドウ「……」

ゲンドウ「シンジ……なにをした……」

ゲンドウ「……テストの様子を見に行くか」

リツコ「……」

アスカ『……』

ミサト「……安定……してるわね」

リツコ「シンクロ率は62パーセント……」

ミサト「高いぐらいね」

リツコ「アスカ……」

ミサト「あれよ。髪を切ったことで気持ちが吹っ切れたとか」

リツコ「あなたのように単純ならそう判断してもいいのだろうけど……」

ゲンドウ「赤木博士。弐号機パイロットは?」

リツコ「はい。高水準をキープしています。作戦に支障はないかと」

ゲンドウ「そうか」

ミサト「申し訳ありません。ご心配をおかけしました」

ゲンドウ「何もないならいい。しかし、こういうことはすぐに報告しろ」

ミサト「はっ」

ゲンドウ「では、戻る。あとは任せた」スタスタ

アスカ「ふぅ……」

シンジ「お、お疲れ様、アスカ」

アスカ「別に」

レイ「ジュース、買っておいたから」

アスカ「はぁ?なんで?」

レイ「疲れているときは甘いものって聞いたことがあるから」

アスカ「ふーん……もらっておくわ」

レイ「……あの」

アスカ「なに?」

レイ「えっと……うまくいえないけど……がんばって」

アスカ「ふんっ。言われなくてもがんばってますぅー!!」

レイ「……」

シンジ「綾波、いこっか」

レイ「ええ」

アスカ「……」

アスカ「ミサトー!先、帰るけどいい?」

ミサト「いいわよー、おつかれー」

アスカ「……」スタスタ

ゲンドウ「……」

アスカ「な……ど、どうも」ペコッ

ゲンドウ「待て」

アスカ「は、い?」

ゲンドウ「……これを」

アスカ「どらやき……?」

ゲンドウ「……お前はいつもうまくやっている。このままの調子でやってくれ」

アスカ「は、はぁ……」

ゲンドウ「……」スタスタ

アスカ「……はむっ」

アスカ「おいしい……」モグモグ

シンジ「……」

レイ「碇くん」

シンジ「アスカのこと?」

レイ「なにかあったの?シンクロテストでは何も問題ないって言っていたけど」

シンジ「分からない……。一番、可能性としてあるのは……僕がアスカの下着を洗濯して畳んでタンスの中に入れてることかも……」

レイ「それって、髪を切るぐらいショックなこと?」

シンジ「アスカにとっては嫌だったのかもしれない」

レイ「そう……」

ミサト「シンちゃーん、いるー?」

シンジ「はい、なんですか?」

ミサト「……碇司令が呼んでいるわ」

シンジ「え?!」

ミサト「アスカのことじゃない?」

シンジ「そ、そんな……」ガクガク

レイ「私もいくわ。碇くん」

シンジ「い、碇シンジです」

ゲンドウ「はいれ」

シンジ「……」ドキドキ

レイ「大丈夫よ」

シンジ「う、うん……」

ゲンドウ「……シンジ。何故、呼ばれたかわかるな?」

シンジ「アスカ……のこと?」

ゲンドウ「なにをした?」

シンジ「い、いつも下着を洗濯して……それをた、畳んで……タンスに……!!」

ゲンドウ「何故そのようなことした?」

シンジ「よ、よかれと……思って……」ブルブル

ゲンドウ「……弐号機パイロットの衣類は洗濯するな。いいな?」

シンジ「わ、わかりましたっ!!」

ゲンドウ「帰ってよし」

シンジ「し、しつれい……します……」

葛城宅

シンジ「はぁ……疲れた……」

プシュー

シンジ「ただいまぁ」

アスカ「んー」

ペンペン「くぉくぉ」ペタペタ

シンジ「ねえ、アスカ。ごめん」

アスカ「なにが?」

シンジ「これから……気をつけるよ」

アスカ「……ええ。そうして」

シンジ「……あれ?」

アスカ「なに?」

シンジ「これ……アスカが作ったの?」

アスカ「ペンペンがお腹すかせてたから。あんたの分はないわよ」

シンジ「うん……」

シンジ「……」グウォングウォン

ミサト「シンちゃーん!わたしのおパンティーもあらっておいてー」

シンジ「ミサトさん!!」

ミサト「よろしくぅー」フラフラ

シンジ「もう……本部ではかっこいいのに……」

アスカ「……」スタスタ

シンジ「よいしょっと……」

アスカ「ん?ちょっと、シンジ」

シンジ「な、なに?」

アスカ「私のは別で洗うの?」

シンジ「え?あ、アスカが自分で洗ったほうがいいんじゃないかな?」

アスカ「あんたバカぁ!?私に水仕事をさせるっていうのぉ?!」

シンジ「だって、そっちのほうがいいんだろ!?」

アスカ「はぁ!?」

シンジ「も、もうアスカのは洗わないから……許してよ!!」

アスカ「ちょ……わ、わかったわよ!!ふんっ!!」

シンジ「……はぁ」

シンジ「よかったぁ……許してくれた……」

シンジ「洗おう……」

シンジ「……」

シンジ「……」キョロキョロ

シンジ「でも……アスカのを洗えないのって……」

シンジ「……」ソーッ

アスカ「バカシンジ」

シンジ「うわぁ!?」

アスカ「なに?まさか、私の下着の匂いでも嗅ごうとしてたんじゃないでしょうね?」

シンジ「し、してないよ!?」

アスカ「まぁ、いいわ。それより、お腹すいたからご飯にして」

シンジ「う、うん!!えっと、なにがいい?」

アスカ「……から揚げ」ボソッ

ミサト「……ぷはぁ!!くぅぅー!!!うまいっ!!」

シンジ「さっきから飲んでばかりですよ」

ミサト「だってぇー、シンちゃんのごはんでお酒がすすむくーん」

シンジ「はぁ……」

アスカ「……」モグモグ

シンジ「……アスカ?」

アスカ「ん?」

シンジ「えっと……おいしい?」

アスカ「お……ふつうよ。ふつう。ふつうより少し普通ね」

シンジ「そ、そう……」

アスカ「……」モグモグ

ミサト「あっれー?ペンペンはぁー?」

シンジ「アスカがもうご飯をあげたみたいです」

ミサト「あら、そう?ありがと。あの子、意外とグルメだから大変だったんじゃない?」

アスカ「ふん……別に……」

夜 リビング

アスカ「……」カキカキ

アスカ「……よし」

ミサト「ふわぁぁ……」フラフラ

アスカ「ミサト、なにしてるの?」

ミサト「トイレ……」

アスカ「はいはい」

ミサト「ひとりでいけるわよー」

アスカ「トイレで寝られたか困るからよ!!」

ミサト「アスカぁ。やさしいわねー。チューしてあげるー。んー」

アスカ「やめて!!!」


シンジ「……」スタスタ

シンジ「ん?」

シンジ「このメモ……」

シンジ「なんだろう……卵焼き……の作り方……かな?」

アスカ「全く……」

ミサト「老後はアスカにめんどーみてもらおーっと」

アスカ「見ないわよ」

ミサト「えー?」

シンジ「アスカ、ミサトさん」

アスカ「あー!!勝手に触らないで!!!」バッ

シンジ「え……」

アスカ「もう……ねるっ!!」スタスタ

ミサト「なになにー?」

シンジ「いえ……」

ミサト「ふーん」

シンジ「……」

シンジ(そっか……アスカなりの好みの味付けがあったんだ……)

シンジ(僕の料理じゃ……不満だったんだ……)

シンジ(あのメモどおりに作ったら確実にスクランブルエッグになるけど……やってみよう)グッ

翌朝

アスカ「シンジ!!バカシンジ!!!」

シンジ「どうしたの?」

アスカ「私の下着がないんだけど?!」

シンジ「だって、洗ってないから」

アスカ「……っ」

シンジ「どうしたの?」

アスカ「あ、あらえばいいんでしょ!!!ふんっ!!!」ズンズン

シンジ「変なアスカ」

ミサト「……おはよう。あれ?今日はスクランブルエッグ?」

シンジ「はい」

ミサト「ふーん。ところでペンペンしらない?」

シンジ「そういえば見てませんね」

ミサト「晩酌にも現れなかったし……どうしたのかしら。部屋にもいないし」

シンジ「なにかあったんですかね?」

アスカ「なによ……シンジのバカ……」

アスカ「いーわよ。いーわよ。洗濯ぐらいできるんだから」

アスカ「……えっと……」ピッ

アスカ「……よっと」ドサッ

アスカ「あとは洗剤……」

アスカ「……どれくらいかしら?」

アスカ「んー?まぁ、目分量で……」ドバドバ

アスカ「ふー、おしまい」パタン

アスカ「学校行く前には干せそうね」

アスカ「……」

アスカ「バカシンジ……なによ……意地悪して……文句があるならいえばいいでしょ……」

アスカ「……」

アスカ「下着……そんなに汚れてたかしら……?」

アスカ(髪を切ってからみんなの様子も変だし……)

ミサト「ペンペーン」

アスカ「……」

ミサト「アスカ、ペンペンしらない?」

アスカ「ペンペン……は、私の部屋だけど」

ミサト「え?なんで?」

アスカ「べ、べつにいいじゃない」

ミサト「まぁ、いいけど……なにかしてたの?」

アスカ「何も」

ミサト「ふーん」

アスカ「ふんっ。シンジー、ごはんはー?」

シンジ「もうちょっと」

アスカ「はやくしてよねー。遅刻しちゃうでしょ」

シンジ「わかってるよ」

学校

トウジ「で、どうなってんねん」

シンジ「え?」

ケンスケ「変わりはないの?」

シンジ「うん……割と普通……」

トウジ「ほんまかぁ?女ちゅうのは見た目で判断できんからなぁ」

ケンスケ「そうそう。普通に装っているだけかもしれない」

シンジ「そ、そうなのかな……?」


アスカ「……あ」

アスカ「下着、干すの忘れてた……」

ヒカリ「あ、あの……」

レイ「……」

アスカ「ん?なに?」

ヒカリ「えっと……なにか困ってない?」

レイ「何でも言ってほしいわ」

アスカ「別に」

ヒカリ「ほ、ほんと?」

アスカ「なによ?」

レイ「みんな貴女の心配をしているから」

アスカ「なんで?」

ヒカリ「だって……髪……」

アスカ「だから、これはイメチェンだって」

ヒカリ「う、うそ!」

アスカ「え……」

ヒカリ「女の子がそんな簡単に髪なんて切らないよ!!」

レイ「私もそう思うわ」

アスカ「う……」

ヒカリ「なにかあったんでしょ?!あったんだよね!?」

レイ「どうしたの?」

アスカ「あー!!!なにもないってば!!心配しないで結構よ!!」

ネルフ

アスカ「……」スタスタ

ゲンドウ「……」

アスカ「あ……ど、どうも」ペコッ

ゲンドウ「……これを」

アスカ「え……これは……みたらし団子?」

ゲンドウ「体には気を遣え」

アスカ「わ、わかりました……」

ゲンドウ「……」スタスタ

アスカ「……はむっ」パクッ

加持「アスカ」

アスカ「あ、加持さん」モグモグ

加持「ほら。欲しがってた服だ。買っておいた」

アスカ「えぇ!?いや、加持さんに言った覚えは……」

加持「元気だせよ」

アスカ「……」モグモグ

マヤ「アスカー」

アスカ「はい?」

マヤ「はぁ……今日のトレーニングのあと、しっかりと疲れをとれるように温泉を用意したから」

アスカ「は?」

マヤ「ゆっくりつかってから帰ってください。それじゃあ」

アスカ「あの……」

リツコ「アスカ」

アスカ「な、なによ?」

リツコ「はい、これ」

アスカ「……栄養ドリンク?」

リツコ「私のオススメよ」

アスカ「……」

リツコ「それじゃあね」スタスタ

アスカ「な、によ……みんなして……」

葛城宅

アスカ「……」

ペンペン「くぉ!くぉ!!」

アスカ「はいはい、ちょっと待ってて」

ペンペン「くぉー!!」バタバタ

アスカ「こら、暴れないの!!」

アスカ「よーし。えと……」ゴソゴソ

アスカ「今日はハンバーグに挑戦よ」

ペンペン「くぉー?」

アスカ「平気よ。もう焦がしたりしないって」

ペンペン「くぉ!」

アスカ「そうよ……」

アスカ「大丈夫よ、アスカ……」

アスカ「もう……失敗は許されないんだから……」グッ

ペンペン「くぉー!!!」バタバタ

アスカ「よっと」ジュー

ペンペン「……」

アスカ「……ん?もう大丈夫。髪に引火することはまずないわ」

ペンペン「……」

アスカ「なに?」

ペンペン「くぉ」

アスカ「あ!?そうだ!!下着!!ペンペン、火加減みてて!!!」ダダッ

ペンペン「くぉ?!?」

アスカ「下着、下着!!」

ペンペン「くぉー……」

ジュー……

ペンペン「……」

ボッ!!

ペンペン「?!!」

アスカ「はぁ……シワシワだけど……いけるかしら?」

ペンペン「くぉー!!!!くぉー!!!!!!」

アスカ「どうしたのー?」

ペンペン「くぉー!!!」バタバタ

アスカ「なに……なんか焦げ臭いわね……」クンクン

ペンペン「くぉくぉ!!!!」

アスカ「えー?な……!?!?」

ゴォォォ

アスカ「フライパンから火が!?なんで!?」

ペンペン「くぉ!!くぉぉ!!」バタバタ

アスカ「おちつけ……そうよ!水よ!」

アスカ「簡単じゃないの」

アスカ「よっと」バシャ

ゴォォォォォ!!!!!!

アスカ「きゃぁ?!勢いが増した!?」

シンジ「ん?煙……?」

プシュー

アスカ「ごほ!!ごほ!!」

シンジ「アスカ!?」

アスカ「あ……シンジ……」

シンジ「なに?どうしたの?!」

アスカ「えっと……家事してたら火事にしちゃった……」

シンジ「……」ダダッ

アスカ「あ。シンジ!!」

ペンペン「くぉ!!くぉ!!」バタバタ

シンジ「フライパンから……!?」

シンジ「蓋をして……」パカッ

シンジ「……冷やしておかないと」

アスカ「……あれ?火事は?」オロオロ

シンジ「アスカ、油いれすぎたでしょ?」

アスカ「……」

シンジ「もう……」

アスカ「なによ……ちょっと失敗しただけでしょ」

シンジ「そのちょっとで家を失うところだったじゃないか」

アスカ「……」

シンジ「……なにか言うことあるんじゃないの?」

アスカ「……」プイッ

シンジ「アスカ!!」

アスカ「なによ!!バカシンジのくせに!!」

シンジ「な……!?」

アスカ「ふん……」

シンジ「アスカ……」

アスカ「わ、悪かったわよ……」

シンジ「……何を作ろうとしてたの?」

アスカ「ハンバーグ……」ボソッ

シンジ「……」

アスカ「もういいでしょ。洗濯物、干したいんだけど」

シンジ「うん」

アスカ「……」スタスタ

シンジ「……」

アスカ「よっと……」

アスカ「……」ゴソゴソ

シンジ「アスカ」

アスカ「なに?」

シンジ「ちゃんと伸ばしてから干さないと」

アスカ「知ってるわよ。いま、やろうとおもったの!!」

シンジ「……」

アスカ「むぅ……」オタオタ

シンジ「ふふ……アスカって不器用だよね」

アスカ「なによぉ!!!じゃあ意地悪しないであんたが干しなさいよ!!!はい!!!」

シンジ「え……」

アスカ「ふんだ……!!」スタスタ

シンジ「アスカ……干しても……いいの?」

アスカ「……」

シンジ「アスカってば」

アスカ「……なんでそんな確認とるのよ!!今までだって干してたじゃない!!」

シンジ「だ、だって……嫌だったんじゃ」

アスカ「なんでよ」

シンジ「いや……あの……」

アスカ「い、嫌だったら……とっくに自分でやってるわよ……あんた、ほんとうにバカね……」

シンジ「え……じゃあ、その髪は……?」

アスカ「イメチェン!」

シンジ「ほんとに?」

アスカ「ええ。別になにもない」

シンジ「……よかった」

アスカ「……」プイッ

シンジ「じゃあ、干してくるよ」

アスカ「はいはい」

シンジ「ふんふーん♪」スタスタ

アスカ「……なによ、嬉しそうにしちゃって……」

アスカ「変態か……?」

ペンペン「くぉ~」グゥ~

アスカ「あ、そっか。ご飯ができないのよね……」

アスカ「よし。作り直すか」

アスカ「えっと……まずはフライパンを洗わないと―――」ジュゥ

アスカ「あっつ!?!?」

シンジ「アスカ!?」

アスカ「なに?!」

シンジ「フライパンはしばらく触れないよ?」

アスカ「今、知ったわよ!!」

アスカ「……」

シンジ「触ったんでしょ?」

アスカ「……」

シンジ「ほら、冷やさないと」

アスカ「うん」

シンジ「……はい。これで冷やして」

アスカ「……そんな冷たいもの私に持たせる気?」

シンジ「え?でも」

アスカ「あんたが持って、私を冷やして」

シンジ「我侭だなぁ」

アスカ「はやく」

シンジ「はいはい」ギュッ

アスカ「……」

シンジ「どう?」

アスカ「気持ちいい……」

ペンペン「くぉくぉ」ペタペタ

シンジ「ねえ、アスカ?」

アスカ「なによ?」

シンジ「髪……本当にイメチェンのためだけ?」

アスカ「そうよ。……やっぱり、変?」

シンジ「ううん!!全然!!!」

アスカ「ふぅ……無理しなくていいわ。みんな私を見る目が違うもの」

シンジ「……」

アスカ「やっぱり、燃えたところだけにしとくべきだった……」

シンジ「え?燃えた?」

アスカ「なんでもない。ほら、もっとしっかり握ってよ」

シンジ「はいはい」ギュゥゥ

アスカ「ん……」

シンジ「一人で悩まないでね、アスカ。できることはやるから」

アスカ「余計なお世話よ」

ミサト「ただいまー?」

シンジ「はい!」パッ

アスカ「おかえり」バッ

ミサト「おんやー?ここだけ気温がたこうございますわねー?くっくっくっく」

シンジ「ア、アスカが小火を……」

アスカ「な?!」

ミサト「小火?なに?なんか燃やしたの?」

アスカ「なんでもないわよ!!」

ミサト「まぁ、このフライパンが犯人か―――」ジュゥ

ミサト「きゃぁ?!あっつい!!!」

シンジ「あぁ、ミサトさんまで」

ミサト「しんちゃぁん……やけどしたぁ」ポロポロ

シンジ「今、氷だしますよ」

ミサト「うぅ……」

アスカ「ふんっ……」

夜 リビング

アスカ(何がいけなかったのかしら……。燃えちゃうってことは強火じゃなくて中火に……)

シンジ「油の量だよ」

アスカ「な!?」ドガァ

シンジ「いっ!?」

アスカ「急に話しかけてこないで」

シンジ「ご、ごめん……」

アスカ「……で、油の量がなに?」

シンジ「多すぎ」

アスカ「あら、そうなの……」カキカキ

シンジ「……うん。それでいいよ」

アスカ「やった」

シンジ「他に聞きたいことある?」

アスカ「ね、ねえ……えっと……にくじゃがってどう作るわけ……?」モジモジ

シンジ「いいよ。なんでも言って」

深夜

ミサト「といれぇー……」

ミサト「ん?」

シンジ「すぅ……すぅ……」

アスカ「ん……すぅ……」

ミサト「ふふ。テーブルで寄り添って寝ちゃって……もう……」

ミサト「んー?なんだぁ、料理のお勉強を……」

ミサト(ペンペンが食事をしなかったのはアスカが毒味でもさせていたってとこか……)

ミサト(となると……髪は……)

ミサト「あぁー、な~る」

ミサト「……毛布でももってこよ」トコトコ

シンジ「アスカ……そこ……ちがう……よぉ……すぅ……」

アスカ「……すぅ……すぅ……」

ミサト「よっと」ファサッ

ミサト「おやすみ、シンジくん、アスカ」

翌日 ネルフ

ミサト「報告します!!」

ゲンドウ「うむ」

ミサト「どうやら弐号機パイロットは髪を燃やしてしまったようです」

ゲンドウ「なに?」

ミサト「自分のミスのようですので、周囲が気にするほどアスカは不安定になると思われます」

ゲンドウ「そうか。ではこれまで通りに接すればいいのだな?」

ミサト「はい!」

冬月「そうか。よかったな、碇」

ゲンドウ「ああ。問題ない」

ミサト「では」

ゲンドウ「ああ」

冬月「……で、そのたい焼きはどうする?」

ゲンドウ「……食べるか?」

冬月「渡してこい」

アスカ「……」スタスタ

ゲンドウ「……」

アスカ(ま、またいる……)

アスカ「ど、どうも」

ゲンドウ「……」スッ

アスカ「たい焼き……」

ゲンドウ「それで最後だ」

アスカ「え……」

ゲンドウ「もうお前に渡すことはない」

アスカ「……そうですか」シュン

ゲンドウ「……」

アスカ「はむっ……」モグモグ

ゲンドウ「……」

アスカ「おいしい……」モグモグ

ゲンドウ(明日はたこ焼きにするか)キリッ

シンジ「綾波ー」

レイ「なに?」

シンジ「はい。今日のお弁当」

レイ「ありがとう」

アスカ「バカシンジ!!」

シンジ「アスカ……?」

アスカ「はい!!味見して!!」

シンジ「え?」

アスカ「いい?味見よ?別にあんたに弁当を作ってきたとかそんなんじゃないの!!味見させるために持ってきただけだから!」

シンジ「うん。分かってるよ」

アスカ「ふんっ」

レイ「……」ムッ

アスカ「も、もしまずかったら、あんたの教え方が悪かっただけで、私の所為じゃないからね」

シンジ「うん」

アスカ「だ、だから、まずかったら、もう一度その……教えなさいよ……私がうまくなるまで……」ボソボソ

翌日 ネルフ

レイ「……」スタスタ

ゲンドウ「……」ソワソワ

レイ「あ……♪」テテッ

アスカ「……」スタスタ

ゲンドウ「……」スッ

アスカ「今日はたこ焼き……」

ゲンドウ「火傷しないようにな」

アスカ「はむっ……はふはふ……」モグモグ

ゲンドウ「……」

レイ「……」

レイ「……弐号機の人……どうして……」

レイ「……」

シンジ「綾波?どうしたの?」

レイ「なんでもない……」スタスタ

綾波宅

レイ「……」

レイ「……」ゴロゴロ

レイ「髪が短い……」

レイ「私も……短い……」

レイ「……でも……どうして……たこ焼き……欲しいのに……」

レイ「碇くんにお弁当……あげたいのに……」

レイ「……」

レイ「……髪の長い人が短くなって……みんなの評価がかわるなら……」

レイ「私は髪を伸ばせばいい……」

レイ「……」ガバッ

レイ「伸ばす」グッ

レイ「……」トゥルル

レイ「もしもし、赤木博士?はい、綾波です」

レイ「一日で髪を腰まで伸ばせませんか?え?無理?」

翌日 学校

アスカ「おはよう、ヒカリ」

ヒカリ「アスカ、おっはよ」

トウジ「なんか。別に普通やな」

ケンスケ「うん。ショートになっただけで、いつものアスカだ」

シンジ「ふふ……」

トウジ「なんやねん?」

シンジ「ううん。あれでも少し変わったんだ」

ケンスケ「そうなの?」

シンジ「うん」

トウジ「どこがや?」

シンジ「見た目じゃ分からないよ」

トウジ「なんかあやし―――」ビクッ

シンジ「ん?トウジ?どうしたの?」

トウジ「う、うしろ……うしろ……」ブルブル

シンジ「もうどうした―――」クルッ

レイ「おはよう」ファッサ

シンジ「うわぁぁぁ!!!!綾波がロングヘアになってるぅぅぅ!!!!」

レイ「大丈夫。カツラだから」パッ

シンジ「いや!!そんなのわかるよ!!どうしたんだよ!?」オロオロ

レイ「イメチェン」

トウジ「ありえんやろ!?」

ケンスケ「天狗じゃ!!天狗の仕業じゃ!!!」

レイ「え……?」

シンジ「綾波!!何があったの!?教えてよ!!なんでも協力するから!!」ギュゥゥ

レイ「えっと……別に」

シンジ「あぁ……僕だ……僕の所為だ……」

シンジ(綾波をここまで追い込むなんて……なにを……なにをしたんだろう……)ブルブル

レイ「あの……碇くん?」

シンジ「ごめん!!ごめん、綾波!!なんでもするよ!!だから許して!!」

ネルフ

レイ「碇司令」ファッサァ

ゲンドウ「ぶー!!」

冬月「碇、しっかりしろ」

レイ「……たこ焼きください」

ゲンドウ「冬月先生」

冬月「ああ」

ゲンドウ「ここは頼みます」スタスタ

ミサト「な、なんじゃ……ありゃぁ……」

リツコ「オシャレに目覚めたんですって」

ミサト「あのレイが?!」

リツコ「髪を伸ばしたいっていうから、カツラをあげたの」

ミサト「えー……」

レイ「たこ焼き……」グゥ~

シンジ「はぁ……はぁ!!綾波!!!」

レイ「あ、碇くん」

シンジ「たこ焼き!!もってきたよ!!」

レイ「ありがとう」

シンジ「ゆっくり、ゆっくり食べてね。火傷しちゃうから」

レイ「ええ」

ゲンドウ「レイ」

レイ「あ……」

ゲンドウ「たこ焼きだ」

レイ「どうも」

ゲンドウ「ゆっくり食べるんだぞ」

レイ「はい」


アスカ「……」

アスカ「なによ……みんなして態度かえて……!!」

アスカ「そんなにロングがいいわけ……?!」

翌日 ネルフ

シンジ「アスカ!?」

アスカ「どう?もどしてみたわ。カツラだけど」ファッサァ

シンジ「よかったね」

アスカ「え……?」

レイ「おはよう。碇くん」ファッサ

シンジ「綾波!!おはよう!!」ギュッ

レイ「ふふ……今日はお弁当つくってきたの」

アスカ「バカシンジ!!ちょっと!!あんた、どっちが好きなのよ!!!」

シンジ「え?」

アスカ「はっきりしなさいよ!!!」

シンジ「えっと……なにが?」

レイ「長い髪か短い髪かじゃないかしら?」

シンジ「ああ。じゃあ、短い髪」

アスカ「じゃあ、私じゃない!!ほらっ!!短いわよ!!」

シンジ「でも……アスカは元々、長い髪……」

アスカ「ずっとこのままでいるわよ!!」

シンジ「え、そうなの?」

レイ「それじゃあ、私も」パカッ

アスカ「あんたねえ……」

レイ「短い髪なら……私のほうがキャリアは上ね」

アスカ「……」

レイ「……」

シンジ「あ、あの……」オロオロ

ゲンドウ「レイ。たこ焼きだ」トコトコ

レイ「いりません」キリッ

ゲンドウ「!?」

レイ「碇くん、どっちの短い髪が好き?」ギロッ

アスカ「ほら、さっさと決めて」キッ

シンジ「うわぁぁ!!そんなの決められないよぉ!!!」
                                       おしまい。

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