モバP「リーガル・ハイ」 (72)

ーシンデレラ事務所【扉の前】ー



モバP「あー…さむさむ…」

モバP「今日も朝から仕事か…」

ちひろ「あ、プロデューサーさん、おはようございます!」

モバP「ちひろさん!おはようございます!」

ちひろ「今日は少し遅めの出勤ですね、それに両手に持ってる紙袋は?」

モバP「ええ、少し電車が遅れていましてね…これは今日片付けようとしてる書類の束ですよ」

ちひろ「そうなんですか、じゃあ寒いですし早く入りましょう…あれ?」

モバP「どうしたんですか?」

ちひろ「鍵が開いてる…絞め忘れでしょうか……」ガチャ



幸子「……」


ちひろ「キャァァァァァァァ!!!」



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ー東京地裁ー


古美門「男さんはしてもいない万引きの罪にとわれ、拘留こそされなかったものの心に大きな傷をおってしまった!くる日もくる日もあの時のショックに身をやかれ職場の人間の事も友人の事さえも信じられないようになってしまったのです!」

古美門「ようは人間不振だ!元々は彼は人を疑うことも知らなかったような純粋な人間だったのにこの件のせいで完全に疑心暗鬼になってしまった!!これは充分な検証もせずに『たかが600円の文庫本の万引き』だと軽く受けとめて勝手に万引きをしたと決めつけた無能な警察と店舗側に責任があります!」

古美門「よって警察と店舗に男さんに対する不当な行い、そして彼の心に癒えぬ傷をつけた責任として…」

古美門「慰謝料2000万円の支払いを要求します!」



ー古美門事務所ー


服部「いやはや…今回も先生の勝利、お見事ですな」

古美門「楽勝過ぎてなんの達成感もありませんがね、こんなものは仕事を選ばない掃き溜めのカス弁護士にでもやらせておけば良かったものを…」

黛「?♪」シャカシャカ


古美門「どっかの誰かさんが持ってくるから仕方なく私が担当してやったんだ、なぁど っ か の 誰 か さ ん !!」ブチィッ

黛「いたっ!!」

古美門「がに股!お前はなぜ上司の叱責の言葉をこんな低脳な音楽でシャットアウトしているんだ?そんなに音楽を聞いていたいならイヤホンを直接鼓膜に接着剤で接着してしまったらどうだ?きっと頭の中を直接震わせる音楽に出会えることだろう!」

黛「っー!!話を聞いてなかったのは謝りますがなにも無理矢理力任せにイヤホンを耳から引き抜くことはないでしょう!?耳がおかしくなったらどうしてくれるんですか!?」

黛「それに低脳な音楽ってなんですか!私が何を聞いてるかなんて知らないくせに!この歌は素晴らしい歌です!!」

古美門「知らなくても貴様のような奴が聞く音楽などわかる、どうせ会いたくてずっとガタガタ震えてたり48人で素人レベルの楽器をかき鳴らしながら歌っているアイドルの歌だろう?」

黛「アイドルはアイドルですけど違います!!」

黛「これ!!この曲です!!」バッ

古美門「なんだこの薄紫の髪色をした小娘が写っているCDジャケットは」

服部「おや!輿水幸子ちゃんですか」



黛「ご存知なんですか服部さん?」

服部「ええ、実は私も彼女のファンでしてね」

服部「まるで孫娘を見ているようでとても癒されておりますよ、少し高飛車ですがね」

黛「そうなんですよ!ちょっとナルシストなところも可愛くって!ほんと可愛いんですよねー!」

古美門「くだらん、所詮アイドルのブームなんて一過性のものだ、どうせお前のようなミーハーなファンはすぐに次にプッシュされるアイドルを好きになるに決まっている」

古美門「すでに明日には『佐久間まゆちゃん可愛いー!』とか言っているのが目に写るな、服部さんお茶をお願いします」

黛「私はずっとファンです!!先生には幸子ちゃんの可愛さはわからないでしょうけど!!」

古美門「いいかがに股、私は基本的にアイドルというのもそのファンの奴等も大嫌いだ!!テレビのカメラを通してファンに『ずっとファンでいてね☆』だの『ファンの皆が彼氏だよ☆』と言いながらも裏では本命のイケメンの男性アイドルや自分のマネージャー、プロデューサーとイチャイチャ夜のライブをしているのがアイドルでそんな虚構の存在を有り難がってワーワー騒ぎ、同じCDを何枚も何枚も買って、彼氏が発覚したら今まで集めていたグッズもなにもかもをごみ捨て場へと移動させるのがアイドルファンだ!! どちらも大した差はぬわぁぁぁぁぁぁい!」


黛「幸子ちゃんはそんなことしませんー!!」

黛「はぁ幸子ちゃん可愛いなぁ…ほんとは天使なんじゃないかなぁ…きっとトイレとかも行かないんだろうなぁ…」

古美門「こりゃ重症だな、服部さん、お茶ありがとうございます」ズズズッ…

服部「いえいえ…ですがアイドルとは凄いものですな、一人の人間がこんなにも影響を与えるとは」

服部「これでもしも彼女達アイドルが事件に巻き込まれたりでもすれば一大事でしょうなぁ…」

黛「えー、大丈夫ですよ!売れっ子なんだからきっと手厚い警護が……」



TV『ーーーー次のニュースです』

TV『本日午前9時、芸能事務所【シンデレラ事務所】で大人気アイドル【輿水幸子】さんが何者かに襲われ、ただいま意識不明の重体です』

TV『警察の調べによると同じ事務所の人間に襲われた可能性が高くーーーー』



黛「ええええええええええ!!?」


ー面会室ー


古美門「で、貴方が被告人でしょうか?」

モバP「はい…警察が状況的に自分しか犯行が可能な人間はいないと…」

古美門「なーるほど…」ギシッ…


黛「なんでこんなことしたんですか!!!?」バンバンッ!!

モバP「ええ!!?」

古美門「しずまれ朝ドラ、貴様がどうしてもいうからこの仕事を引き受けてやったんだ、感情を高ぶらせるなうっとうしい」ピッピッ

黛「す、すいません…」


古美門「それで、貴方は当然無罪を主張しているのですよね?」

モバP「あ、当たり前です!僕じゃありません!!」

古美門「調書によると朝9時に事務所へと出勤して、その時事務員さんと偶然鉢合わせ同時に事務所へと入った」

古美門「そして事務員が事務所の扉に鍵がかかっていない事に気づき、扉を開けたら彼女が血を流して倒れていたと…間違いないありませんか?」


黛「あの!幸子ちゃんって普段の事務所でもあんな感じなんですか!?あと輝子ちゃんと小梅ちゃんとはやっぱり仲良いんですか!?それとそれと……!!」

古美門「お前は出てけぇぇぇ!!」

古美門「失礼しました、それでは質問を続けても?」

モバP「はい、大丈夫です」

古美門「モバPさん、貴方は輿水幸子以外にも何人かアイドルをプロデュースしているというのは本当でしょうか?」

モバP「え?」

古美門「複数人をプロデュースしているのかどうか聞いてるんですよ」

モバP「はぁ…確かに僕は他に数人のアイドルをプロデュースしてますが…それがこの事件に何か関係が?」

古美門「あるもある、おおありです、ではその他のプロデュースしているアイドルの名前をお聞きしても?」

モバP「はぁ…『星輝子』『森久保乃々』『渋谷凛』の3人です」

古美門「なぁるほどぉ……3人もですか」ニヤリ

ー面会室【廊下前】ー


黛「はぁ…幸子ちゃん…大丈夫かなぁ…」


ガチャッ

古美門「おいがに股、いつまで廊下に立っているつもりだ?自慢のがに股がさらに広がっていくぞ」

黛「先生!どうでしたか?彼を無罪に出来そうですか?」

古美門「誰に口をきいている、例え有罪だろうと無罪にしてやる」

古美門「最も、アイツは無罪だろうがな」

黛「なんでそんなことが…あ、わかりました!」

黛「あんなにアイドルを愛している奴が自分の担当アイドルを襲うわけがない…ってことですね!!」


古美門「お前はもうほんとうに朝からドラマをやってじぇじぇじぇじぇじぇじぇ連呼してネット内でにわかに騒がれているがいい、それで2ch でそのがに股をネタにしてもらって『黛が川越シェフと一緒に大奥にいたころの写真ください』とコラネタにでもされていろ、喜べ行きなり有名人だ、大好きなアイドルとも会えるかもしれんぞ『あの人はいま…』でなぁぁ!!」

黛「な…!シンデレラ事務所のみんなはきっと末永く芸能界で活躍してくれますー!!」

古美門「論点はそこか、まぁいい」

古美門「がに股、ここに書いてある住所にいって証人から有効な証言をとってこいそして一審までには間に合わせろいいなぁぁ?」

黛「え、あ…わかりました」

古美門「私は今から用がある、それではな」


黛「全く人使いが荒いんだから…仕方ない、行こっと」

黛「住所によればここだけど…ここって…」


ーシンデレラ事務所ー


黛「わぁぁ!ほんとにシンデレラ事務所だー!」キラキラ

藍子「すいません弁護士さん…本当だったらプロデューサーさんやちひろさんがいるんですけどプロデューサーさんはこうなってしまってるし…ちひろさんも検事さんの証言集めでいなくって…どうぞ、お茶です」コトッ

黛「ありがとうございます!うわぁぁ…藍子ちゃんにいれてもらったお茶が飲めるなんて…弁護士やってて良かったぁ…」ズズズッ

凛「ふーん、あんたがプロデューサーの弁護士?まぁ悪くないかな…私は渋谷り」

黛「渋谷凛ちゃんですよね!!!?」

凛「え…あぁそうだけど…」

黛「トライアドプリムスとかニュージェネレーションとか、私すっごくファンなんです!!ローソンとコラボしたときも関連商品いっぱい買いました!!」

凛「あ、ありがと……」

黛「アイドルと生で会えるなんて……杏ちゃんとかきらりちゃんとかは!?」

凛「今は自宅待機期間だから私達しかいないよ、事務所がこうなってるのに仕事なんて出来ないし」

黛「あ…そうだよねぇ…」

藍子「それに…プロデューサーさんがいないと仕事も出来ないしね…」

黛「えーと…他のプロデューサーさんとかは?」

凛「いないよ、うちのプロデューサーはあの人だけ」

黛「えぇぇぇ!?そうなんですか!?」

凛「うん、基本的にプロデューサーがプロデュースするのは今の私、幸子、輝子、乃々で」

藍子「他の私達はサブプロデュースって形でプロデュースしてもらってるんです」

黛「よく体もちますね…プロデューサーさん…百人以上のアイドルをプロデュースなんて…」



凛「私達もそう思うよ、まぁ何人かはプロデューサーの世話をやいてるし」

黛「世話?」

凛「例えば…まゆが一番すごいね」

黛「まゆって…佐久間まゆちゃんですか?」

藍子「まゆちゃんはプロデューサーの事が大好きですから…ちょっと行き過ぎな時もありますけどね」ハハハハハ…

黛「行き過ぎ?」

凛「うん…まゆはねーーーーー」



ー古美門事務所ー

黛「ただいま戻りましたー」ガチャッ

古美門「おそぉい!!いったい証言をとるのに何時間かかっているんだえーー!?なにか?お前はコミュ症か!?会話するときは最初にえーだのあーだのつけなきゃ話せない小林製薬系女なのかぁぁぁ!?だったらいますぐ病院に通って薬を処方してもらってこぉぉい!!もちろん小林製薬製のなぁが!!」

黛「あーもう!!いきなりなんですか!?」

古美門「『なんですかぁ?☆』じゃないんだよポンコツ!!お前が証言とってこないと私の仕事も始まらんのだ!!!わかるかこの脳みそ豚骨スープのギ ト ギ ト が に 股 女ぁ !!!」

黛「ラーメンは醤油派です!!はい!証言もきっちりとってきましたよ!!!」スッ

古美門「さっさと出せばいいんだこのポンコツゥ!!この証言も使えないとのだったらラーメン屋に売り出してやろうなになに…」バッ


『藍子ちゃんのお茶すごく美味しかった!!』

『凛ちゃんはかっこいい!!』

『藍子ちゃんのゆるふわオーラはほんもの!!』

『凛ちゃんの使ってるシャンプーは椿!』



古美門「こ の ポ ン コ ツ 豚 骨 ギ ト ギ ト が に 股 馬 鹿 お ん な ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」ビリビリビリビリ!!

黛「あぁぁぁぁぁ!!!なんてことするんですかぁぁ!?サインも書いてもらったのに!!」

古美門「私は今までお前に馬鹿か?と質問していたが訂正しよう、お前はド馬鹿だ!!お前に証言集めを頼んだ私が馬鹿でお前がその上をいくド馬鹿だなぁぁ!お前のようなド馬鹿に裁判が出来るならイクラちゃんでもサザエさんの次回予告を立派に勤められるだろうなぁぁ!お前はイクラちゃんと同レベルつまりはタラちゃん以下だ、愉快な足音を立てながらパンツ丸出しの叔母さんをしつこく追いかけ回しているがいい!!」

黛「確かに序盤はテンション上がりすぎて変でしたけど…後半はしっかりしてますぅ!!」

古美門「後半だとぉ!?サザエさんかと思ったらまる子ちゃんだったようだなぁ!!どうせ後半も役にたたないにきまってーーーーー」ヨミヨミ


古美門「………なるほど」ニヤリ

黛「ふふーん!!」ドヤ顔

古美門「その顔をすぐにやめろ腹に拳を刺されたくはないだろう、服部さんディナーの用意を」

服部「かしこまりました」

黛「そういえば先生、証言を集めて欲しいと言ってた対象のアイドル達…凛ちゃんからは得られましたが輝子ちゃんともう一人は…」

古美門「心配するな、手は貴様がアホ面さげてサインをもらっているときにうっている」

古美門「さぁ…明日の一審ではやくも決着をつけてやる」ニヤリ

ー東京地裁【第一審】ー


裁判長「それではシンデレラ事務所所属プロデューサー、モバPの裁判を開廷します」

カンカンッ



『弁護人の陳述』

古美門「今回の大人気アイドルである輿水幸子さんを襲った暴行事件、検察側は被告を有罪と判断しているでしょうが、我々弁護側と被告人は…」

古美門「無罪を主張します」


『冒頭陳述』


検事「輿水幸子さんは被告人の担当アイドルでした、事件が起きた深夜2時頃に被告は輿水幸子を呼び出し、そして犯行へと及んだ」

検事「そして犯行後、彼はあたかも部外者の犯行に見せかけるために鍵をわざと施錠せずに犯行現場を後にした…しかし、事務所近辺には不審者の情報も指紋もなかったので外部の犯行とは思えない」

検事「事務所の鍵を持っているのは貴方と事務員の千川ちひろさんのみ!さらに千川さんはアリバイもあります」

検事「つまり犯行を行えるのはモバPさん、彼のみなのです!」

検事「…以上です」


古美門「勝手な決めつけだな」

黛「でも…筋は通ってますよ」ボソボソ



『証人尋問』


裁判長「検察側、証人尋問を行ってください」


ちひろ「…」ペコッ

検事「千川さん、貴方は犯行時刻には同事務所に所属する佐久間まゆさんの部屋にて相談を受けていた…そうですね?」

ちひろ「はい、間違いありません」

検事「なるほど…それを証明できるものは?」

ちひろ「まゆちゃんが…証言してくれています」

検事「以上です」



古美門「千川さぁぁん、貴方は普段アイドルとそこまで交流がないと聞きましたが?」

ちひろ「確かに、プロデューサーさんほどではありませんが…私だって事務所の一員です、アイドルの悩みを聞くくらいはします」

古美門「なるほどそれはご立派な事だ、ですがね千川さぁぁぁん!!貴方は佐久間まゆさんの部屋まで行って相談を受けていたと言いましたよねぇ?」

ちひろ「その通りですが…」


古美門「おやぁぁぁ!!?おかしいですねぇぇ?佐久間まゆさんは他のアイドルからの証言によると『いつもプロデューサーにベッタリで自分の仕事が終わっても帰らずにプロデューサーの帰りまで待っている』と聞きましたがねぇぇぇ!!」

古美門「それにプロデューサーさんの家に勝手に侵入するなんて毎日の事だという情報もあるんですよっ!!」パァンッ

ちひろ「それは…!」

古美門「そんな彼女がむざむざプロデューサーの事をなげうってまで貴女に相談した内容とはなんだったんでしょうかぁ?私とっっっっても…気になってしまいますねぇ!!」

ちひろ「それは…これからの方向性とか…」


古美門「こ れ か ら の 方 向 性 !!?それならなおさらプロデューサーに相談をするはずでしょう!?なぜプロデューサーではなく!!貴女に!!わざわざ!!部屋に呼び出してまで!!!相談を持ちかけたんでしょうかねぇぇぇ!?」

古美門「もしかして本当は部屋になんか行ってないんじゃないですかぁ?証言もこれでは信憑性にかけてしまいますねぇぇぇ!!」

ちひろ「……ッ!」

検事「異議あり!!」

裁判長「認めます」

検事「弁護側の意見はあくまで推測に過ぎない!だいたい佐久間まゆさんが千川さんをかばってなんになるというのですか!?彼女が貴方のいう通りモバPさんをしたっているというのなら彼をかばうはずだ!!」

古美門「ハーハッハッハッハッ!これだから頭の固いカチカチの前時代の検事は困る!!」

古美門「佐久間まゆさんはアイドルだ!おおっぴらに彼と恋仲になれるはずもない!!ですが獄中ならどうです?例え触れられなくとも面会室は二人きりの空間だぁ、存分に愛を語ることができるでしょう!それに彼が出所した後は担当アイドルを襲った最低なプロデューサーに他の女が寄りつくこともありえない!!」

古美門「つーまーりー!!他のライバルもいなくなり!彼には自分しかいなくなる、そう考えているのでしょう…今の時代そんな愛の形もあるんですよ!!」

検事「そんなものは詭弁だ!!」

古美門「詭弁だろうがなんだろうが充分に考えられる事でしょう!以上です!」






黛「やりましたね」ボソボソ

古美門「ここまで言えばもはや検察の証言なんてものは意味がない、つまらん裁判だったな」


裁判長「それでは検察側は求刑を…」


検事「少し待っていただきましょうか」

古美門「ほう…まだ足掻くおつもりで?」

検事「もう一人…重要な証人がいるんですよ」

検事「お入りください」

古美門「もう一人の証人だと?いたちの最後っぺにすらならんな」

黛「え…あの子って!」

モバP「……!!」

輝子「フ,フヒ……」


古美門「なぁんだ、あのいかにも根暗そうな小娘は」

黛「星輝子ちゃんですよ!モバPさんの担当の!」


検事「では星さん、お願いします」


輝子「フヒ……えーとその……はい…」

輝子「私……フヒ……深夜にプロデューサーさんが事務所から出てくるのを見ました…です、はい…」


黛「!!?」

モバP「んな…っ!!」

古美門「………」


検事「それは、確かですか?」

輝子「フヒ……はい……夜中に女子寮から事務所までキノコ…忘れ物をとりにいったとき…フ,フヒ…」



検事「それは何時ですか?」

輝子「フヒ…正確にはわからないけど…深夜2時くらいだった…です、はい……」

古美門「異議あり!正確にはわからないということはもしかしたら1時だったりしたんじゃないですか?」

輝子「さ、さすがに…それないです……2時くらいだったのは確か…フヒ…」



裁判長「被告人、確かですか?」

古美門「言ってやりなさいモバPさん、そんな事実はないとお前の妄想だと」ボソボソ



モバP「………確か…です…!!」ギリリリ…!


古美門「」

古美門「」

古美門「」


検事「裁判長もう充分でしょう?」

検事「検察側は被告人に懲役38年を求刑します」


裁判長「弁護側、最終陳述はありますか?」


古美門「」

古美門「」

黛「ちょっと先生!!先生!!」ユサユサ

モバP「くぅぅぅ……くぅぅぅぅぅ………!!!」ポロポロ


裁判長「被告人モバPを懲役38年に処する」

裁判長「これにて閉廷とします」

カンカンッ





ー面会室ー

古美門「一体どういうことだこれはぁ!!」

黛「モバPさん!どうして本当に事務所にいっていた事を隠していたんですか!?」

モバP「…そ、それは…!!」

黛「担当のアイドルにまで信用されずに悔しくないんですか!?」

黛「あの時間!事務所で何をしていたんですか!?教えてください!」

モバP「それは…言えない…!」

古美門「…なんだと?」

モバP「それをいってしまえば…僕は幸子を裏切ることになってしまうんだ…!だから僕は言えない…!」

黛「まさか…本当に貴方がやったのでは…?」

モバP「それは違う!僕はやってない!!無実なのは確かだ!」

モバP「でも…幸子を裏切ることになるくらいなら冤罪でここにいたほうがマシだ!!」


古美門「お前が本当にやったのかどうかなど微塵の興味もなぁい!!私が許せないのはお前がここに冤罪でぶちこまれることよりも私自信の無敗記録にストップがかかることだ!それが何よりも許せん!例えお前がやってようが私はお前を無罪にする!お前がこの暗くて臭いブタ箱に自ら入りたがるドMなんだったら私の関係ない場所で罪を犯して入ればいい、さっさと事務所に深夜までいた理由を吐いて上告しろ!二審で逆転してやる!」バンバンッ

黛「先生!!そんな言い方ないですよ!モバPさんは何かの理由があってアイドルを守ろうと…」

古美門「黙れ朝ドラァ!守るもくそもすでに襲われているだろうが!!現に輿水幸子はいまだに目をさまさないでいるんだ、事件はこれから起きるのではなくもうすでに起こってしまった後だ!下らない正義感を振りかざしたいならもっと早くに貴様は対処すべきだったんだ、もう今から遅い後 の 祭 り な ん だ よ !!このポンコツプロデューサー!どうせ貴様のようなポンコツにプロデュースされたアイドルなど貴様同様にポンコツに決まっている、ポンコツがプロデュースしたポンコツアイドルが襲われたポンコツ事件で私の経歴までポンコツにするつもりかぁぁ?」

黛「ちょっと先生いくらなんでも……」


バンッ!!!!

黛「!!?」


モバP「幸子は……俺のアイドルはポンコツなんかじゃない!!!!!」





警察「おい何をしている貴様!!」バッ

モバP「いいか横わけ!!!あんたがどういおうが俺のアイドルは皆光かがやく宝石なんだ!!皆素晴らしいアイドルなんだ!!」ジタバタ

警察「暴れるな!!面会はもう終了だ!!」

黛「モバPさん落ち着いて!!」

モバP「誰が二審なんか行くもんか!!あんたの手を借りるくらいなら死刑にでもなったほうがマシなんだよ!!!」ジタバタ

警察「おとなしくしろ!!」


古美門「貴様がどういおうが上告はしてもらう!私の経歴に泥を塗るわけにはいかんのでな、貴様が上告したがるまで何度でも私はここまで来てやるからな、覚悟しておけこのポンコツプロデューサーがっっ!」

モバP「やれるもんならやってみろよこの変態横わけニヤケ顔野郎が!!」ジタバタ

警察「いい加減にしろ!!さっさと来い!!」

古美門「なっ…!これはハニーフェイスですぅぅぅぅ!ニヤケ顔じゃありませんーー!!なんと言われてもハニーフェイスですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

黛「先生もこれ以上挑発しないでください!!めんどくさいなもう!!」


モバP、古美門『覚えておけよこの野郎ッッ!!!』


ガチャッ














ー古美門事務所ー

黛「もう!依頼人を怒らせてどうするんですか!?」

古美門「アイツがさっさと理由を吐かんから悪いんだ、全くなぜあんな奴がやり手のプロデューサーとして活躍しているのかまったく理解に苦しみますな服部さん」

服部「いえ…案外そういう熱い心を持っているからこそ、話せない理由があるのではないでしょうか?」

黛「話せない理由…?」

服部「お話によれば彼は『裏切ることになるくらいなら』とおっしゃっていたと聞きましたが……それほどアイドルとして重大な話なのでしょうな」

黛「アイドルとして…重大な話…」

古美門「どうせたいした事ではないに決まっている」


ガララッ

ランマル「ちーすっ!」

黛「ランマル君!」

ランマル「いやー、せんせー今回はだいぶ骨が折れる仕事だったすよー」

ランマル「あの娘、なーかなか了承してくれなくって…あー、腹減った」

服部「おやおや、すぐに夕飯の準備をしてきます」


古美門「それで協力はしてくれそうなのか?」

ランマル「バッチリっす!モバPの名前だしてなんとか説得できたんで、これとりあえずあの娘の証言のまとめっす」サッ

古美門「ほう…」ペラッ…














古美門「おいポンコツ1号、明日またポンコツ2号のところへいくぞ」

黛「ポンコツ1号…?2号…?」

古美門「貴様とモバPのことだそのくらいわかれ」

黛「でも…今日あれだけ揉めたのに話きいてくれるんでしょうか?」

古美門「そのためのコイツのまとめだ」ペラッ


服部「お待たせいたしました」コトッ

ランマル「うまっ!」モグモグ



ー面会室ー

モバP「…上告はしないって言ったでしょう」

黛「まぁそういわずに…考え直してみてくださいよ!」

モバP「何度言えばわかる、俺は担当アイドルを裏切りたくないんだ」

古美門「貴様こそ何度上告しろと言わせるつもりだ?ここは法廷じゃない、貴様に拒否権も黙秘権も与えられてはいない」バサッ

モバP「…なんですか、この資料」

黛「貴方のもう一人の担当アイドルの証言です」

モバP「…!」

古美門「苦労させられたよ性格が性格だからな、この証言をとるのに何日もかかってしまった後で別途料金をとるぞ覚悟しておけ」

モバP「アイツが…でも…俺は幸子を…」

黛「モバPさん、貴方の担当アイドルは幸子ちゃんだけですか?」

モバP「そんなことは…」

黛「でしたら、この証言を出してくれた彼女の気持ちに答えなければそれは担当アイドルを裏切ることになるんですよ?」

モバP「……だが………」


古美門「モバP、貴様と輿水幸子の関係はなんだ?」

モバP「そんなのアイドルとプロデューサーに決まっているだろう!」

古美門「ならば何をためらう必要がある?彼女も貴様の大切な大切なアイドルだろう?どちらかだけを優先するのか?」

モバP「俺は……」

黛「…モバPさん」

黛「上告をして…幸子ちゃんとの秘密を明かすのは確かに裏切りかもしれません、ですが…無実の罪で逮捕され彼女が目覚めた時貴方がいなければそれはもっと重大な裏切りだと思いませんか?」

モバP「………」


古美門「ポンコツ2号、もう一度だけ言ってやるぞよく聞け」

古美門「上告しろ、二審でけりをつけてやる」


モバP「……勝てるのか?俺は」

古美門「私を誰だと思っている?」




ー裁判所【第二審】ー


古美門「星さん、貴方は深夜2時頃に事務所から出てくるモバPさんを見たとおっしゃいましたよね?」

輝子「フ,フヒ……はい…そうです……」

ーーーーー

古美門「そして千川さん、貴方は2時頃は佐久間まゆさんの部屋にいたと言ってましたよね?」

ちひろ「はい、その通りです」


古美門「なるほど…わかりましたお二人を信じましょう!」

黛「先生!!?」

モバP「んなっ…!?」

古美門「やはり人間とは信頼関係を築いていかねばなりませんからねー、私もそろそろ疑うのはやめにしようと思いましてね」

古美門「そうだ!信頼関係といえばお二人はモバPさんとさぞ仲が良かったと思うのですが…実際はいかがでしたか?」

検事「異議あり、質問の意図が不明です」

裁判長「異議を認めます、弁護側は早急に本題へと入るように」

古美門「失礼しました、それでは本題へ…千川さん、貴方はモバPさんに恋愛感情を抱いていますか?」

ちひろ「…は、はい?」





検事「異議あり!答える必要はありません!」

裁判長「異議を認めます」

古美門「黙ってていただきたい!これは大事なことなのでね」

古美門「それで、千川さんどうですか?」

ちひろ「それは…全くないと言えば嘘になりますけど…」

古美門「なるほど、では貴方以外にも彼に恋愛感情を抱いているアイドルはいましたか?」

ちひろ「まぁ年頃の女の子ですから…いると思いますよ」


古美門「そうですよね!!年頃の女の子だ!そりゃ身近にいる男性に恋をしてしまうのも無理はなぁい!ましてやアイドル!禁じられた恋だからこそさらに燃え上がるというものだ」

古美門「そしてそれは輿水幸子さんも例外ではないと言うことですっっ!!」

検事「異議あり!」

裁判長「却下します」


古美門「続けます、彼女、輿水幸子はプロデューサーに許されない恋をしてしまった!!だがこの思いを伝えるわけにはいかない!!でも伝えたい…彼を自分だけの物にしたい…そう思うのは当然であり自然の摂理!」

古美門「新たに得た証言でも『輿水幸子から頻繁に恋愛相談を受けていた』とあり、そしてこの相談を受けていた彼女は輿水幸子へこう言ったのです、『夜に事務所に呼び出して告白すればいい』とね!!!」

古美門「そして輿水幸子は行動へとうつした…ですが彼と彼女はアイドルとプロデューサーです、それに彼女はまだ中学生だ、モバPさんは断ってしまったのです!!」

古美門「失意にかれる輿水幸子…ですが彼女は皆様も知ってのとおり自信家な少女!泣いている姿を彼に見せたくはないと彼を事務所から帰らせた、星さんが見たのはその時でしょう星さんは深夜に出歩けば怒られると彼を見かけた後に思ってすぐ帰宅し、なので事務所にいたまだ体は無傷だった彼女を目撃出来なかった!!」

検事「異議あり!!全て空想であり根拠がありません!だいたいいくら相談で言われたと言って本当に実行するとは限らない!」

検事「それに千川さんの証言によれば彼は普段より遅くに出勤し、両手にはまだ期日がある書類を抱えていた!これは第一発見者となって疑われるのを恐れ出勤時間を千川さんと同じにして、両手がふさがっているのを理由にドアを千川さんに開けさせて指紋をつけさせるためだろう!」

古美門「それは大きな勘違いだ、いつもより遅くに出勤したのはもし朝から輿水幸子がいたら心苦しいからであり、そして両手に書類を抱えていたのは輿水幸子との会話を避けるためだと考えられます!誰だって振った翌日に会話をしたくはないでしょう?私だってそんなのは耐えられなーい、よってこの2つも全て納得いただけるかと」

検事「納得できるかぁ!!証拠をだせ!告白したという証拠を!!」



古美門「証拠…わかりました、ではご入場いただきます」

検事「…なに?」

モバP(…まさか…来たのか!?アイツが…!?)



ガチャッ

黛「はい、足元に気をつけてくださいね」

乃々「うぅ…むぅーりー…やっぱり帰りますぅ……」


古美門「新たな証言を提供してくれたご本人、証人の森久保乃々さんです」

乃々「むぅーりー…」

モバP「乃々!!」

乃々「うぅ…プロデューサーさん……」



古美門「森久保さん、証言をお願いします」

乃々「えっとぉ…そのぉ…」ブルブルブル…

黛「頑張って!」

乃々「えっと…えっとぉ…」ガタガタガタ…


乃々「森久保は…私は…幸子ちゃんが襲われた時に事務所にいましたけどぉ……」ガタガタガタ…


検事「なっ!!?」

古美門「…」ニヤリ

乃々「お昼に事務所で幸子ちゃんの相談を三人で受けてぇ…それで……その…深夜に呼び出して告白すればって…」

乃々「それで…夜になって幸子ちゃんに不安だから一緒にいてほしいって言われたから…机の下に隠れてましたぁ……」

乃々「それで……幸子ちゃんがフラれて…すぐに誰か入ってきて…プロデューサーが帰ってきたんだと思ってまだ隠れてたら……それでその…あの……幸子ちゃんが……殴られて…!」ガタガタガタ

古美門「なるほど、ありがとうございます」


検事「そんな…そんなものは証拠になりえない!!だいたい本当に告白されていたのであれば一審の時になぜ被告はそれを言わなかった!?」

古美門「そんなこともわからないのか前時代いや石器時代の検事はぁ!!」

古美門「彼は輿水幸子を守ろうとしたのです!!アイドルが男に告白したなど言ってしまえば彼女の人気は地に落ちてしまう、だから彼は自分が不利になったとしてもそれを言わなかった、それはひとえに自分の担当アイドルを愛しているからだ!」

古美門「自分の自由をなげうってまで担当アイドルを守る…まさしく彼は本当の名プロデューサーだと言えるでしょう!そんな彼が自分の担当アイドルを襲うと思いますか?私はそうは思えませんねぇ!そして彼女森久保乃々さん!彼女は本当はここに来たくはなかった!彼女はとても臆病なのです、見てくださいこの今にも泣き出しそうな顔を!」






古美門「そして彼女はもうひとつ恐れていた…それは事務所の崩壊です!」

古美門「なぜなら彼女が目撃した真犯人は事務所内部の人間であり彼女達が信頼を置いていた人物だったからです、自分が本当のことを話せばあの人は捕まってしまう…でも話さなければプロデューサーが捕まってしまう…そんな彼女が真実を語る勇気を持ったのですそうプロデューサーのために!!友達である輿水幸子のために!」


古美門「さぁ教えてください森久保さん」貴方がお昼に一緒に恋愛相談を受けていたのは誰ですか?」

乃々「うぅぅ……えっとぉ……えっとぉ………!」

乃々「ち、ちひろさんです……!」


検事「!!?」

黛「え!?」

モバP「そんな…!」


古美門「もうひとつ教えてください、貴方が目撃した輿水幸子暴行事件の真犯人は…どなたですか?」

乃々「うぅ…うぅぅぅ…」ポロポロポロ…




乃々「ち……ち……ちひろさんですっ……!」ポロポロポロ…


ちひろ「…………」



古美門「以上です」ニコッ


ーシンデレラ事務所ー

モバP「本当に…お世話になりました古美門先生」

古美門「私が勝つのは当然のことです、今回の勝利も楽勝でした」ハッハッハッハッハッハハッ!!!

黛「でも、良かったです!幸子ちゃんも回復してくれましたしね!」

幸子「ふふふ、僕のプロデューサーさんを救うなんてやるじゃないですかおじさん、特別にこの僕が誉めてあげてもいいんですよっ」フフーン


古美門「なるほど殴りたくなる気持ちもわかる」ボソッ

黛「結局千川さんの犯行理由も幸子ちゃんへの嫉妬でしたし…モテモテですねモバPさん!」

モバP「いえいえ…僕も好かれるのはうれしいですけど、またこうならないように注意します!」

古美門「それにしても貴方達の告白を事務所のロッカーに隠れて見ていたなんて怖い女もいるものだ、厄介払いが出来て良かったと考えたいものですなおっと払い…といえば報酬額の話をするのを私としたことがすっかり忘れてしまっていたようだ」

モバP「古美門先生は高いとお聞きしたので…少し怖いですね、ハハハ」

古美門「そうだな…後払い料もいれて1000万といったところか、払えないとは言わせんぞこっちは無罪にしてやったのだから……」

モバP「え!?それだけでいいんですか!!?」

古美門、黛『は?』


モバP「いやー、高いって聞いてたんで覚悟してましたけどこれまでちひろさんに払ってきたガチャ代やドリンク代に比べたら安いもんですよ!はい、一千万即金でお支払します」ドンッ

黛「ジェ…ジェラルミンケース……」

モバP「それでは申し訳ないんですが仕事もそろそろ再開といきたいので…また後日お礼をいたしますので!ありがとうございました!」



ー古美門事務所ー

古美門「なんというかあの女…」

黛「本当におそろしい女でしたね…」



おしまい

リーガルハイは二期から見たんですが一期をレンタルして何回も見てしまうくらい面白いです

リーガルハイに影響されて逆転裁判も購入したんですが難しすぎてすぐに詰みました助けてください

裁判には何回か傍聴しにいったこともあるんで流れは間違ってないと思いますが古美門やら黛やらのこれじゃない感はあると思いますが頑張ったんで許してくださいお願いします誰か逆転裁判を攻略してくださいお願いします


過去作

モバP「島村卯月の飼い方」シリーズ

まゆ「プラトニック・ラブ」シリーズ

のあ「眠れないわ」シリーズ


それではまた

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