いちご「3月15日……?」あおい「アレ……?」 (27)





――――3月某日:スターライト学園:あおいの部屋にて



あおい「なんだかこうやって電話で話すのも久しぶり……」


いちご『だね~中々スケジュール合わなかったし……他の皆とも、なかなかお話出来てない……』


あおい「メールではやりとりしてるんでしょ?」


いちご『うん……でも、やっぱり声を聞きたいな~』


あおい「そうだね……あ、そういえばいちご、15日のことなんだけど……」


いちご『15日……?何か有ったっけ?』


あおい「あ――ううん。何でもないっ!」


いちご『そう?あ、じゃあもうそろそろ寝る時間だから。またね~』


あおい「う、うん……」


ピッ、ツー、ツー


あおい「……穏やかじゃないわね」


あおい(いちごったら、完全に忘れてるわ…………自分の誕生日のこと)





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――――同日深夜:スターライト学園:レッスン室にて



あおい「みんな、忙しい中集まってくれてありがとう……」


さくら「いえ、いちご様のためですから……」


かえで「前回私は参加できなかったし、頑張らないとね!」


おとめ「おとめもらぶゆーパワー全開で行きます!!」


ユリカ「フフフ……このユリカ様を本気にさせるとはね……」


あおい「じゃあまずは、現状確認から始めましょうか!」


おとめ・ゆりか・さくら・かえで「「了解!!」」


蘭「……なんだ?この雰囲気」


しおん「ついていけないわ……」




あおい「どうしたの?蘭、しおんちゃん。ノリが悪いけど……」


蘭「ノリって……で、私達は何で集まったんだっけ……?」


あおい「もう!忘れたの?いちごの誕生日が近いから、どうやってお祝いしようかって話じゃない」


蘭「それは知ってるが……何でこんな物々しい雰囲気なんだ?」


あおい「……雰囲気を出すために?」テヘッ


蘭「はぁ……ま、お祝いをするのはやぶさかじゃないがな……」




かえで「それで、肝心の本人の様子はどうなの?あおい」


あおい「うん、それがね……どうやら今年もすっかり自分の誕生日のこと忘れてるみたいで……」


しおん「今年もって……」ガクッ


蘭「そうそう自分の誕生日を忘れるか?普通……」


あおい「うん……らいちとりんごさんに聞いてみたんだけれど、昔からそうみたい。毎年何か他のことに夢中になっちゃうせいで、こっちから言わないとわからないんだとか……」


さくら「3月は年度の変わり目も近いですし、何かと移り変わりの多い季節ですから……」


かえで「特に今はアメリカでのアイカツに忙しいだろうからね~」


ユリカ「まぁ祝う側からしたら、サプライズはしやすいのだけれどね……」


おとめ「そんないちごたんも、らぶゆ~ですぅ」




あおい「――ま、というわけで。誕生日のプレゼントはどんなものがいいのかというのを、私達の他、クラスの皆や各種関係者に書いてもらい……」


ドンッ


あおい「まとめたのものがこの――ランダムBOXに入っています!」


蘭「用意がいいな……」


あおい「この中から何枚か引いて、どんなプレゼントにするかを話し合おうと思うのだけれど……どうかな?」


しおん「……話し合うってことは、引いたものが絶対ってわけじゃないのね?」


あおい「うん。まぁあくまで参考にってことで……」


ユリカ「いいんじゃないかしら?」


おとめ「おとめも賛成ですぅ~」


さくら「でも、私達だけで選んでしまっていいのでしょうか……?」


かえで「そこはまぁ、ストロベリーと親しいからこそ代表として選ばれたわけだし……美月が居ないのが残念だけど……」


ユリカ「突然の休業から半年……未だにどこで何をしているのか不明ですものね……」




蘭「……まぁ、美月さんの分も含めて、私達が責任をもってお祝いしてあげないとな」


あおい「そうだね……じゃ、早速引くね~」ガサゴソ


『あま~いスイーツ』


おとめ「あ、おとめが書いたやつです!」


しおん「甘いスイーツって……具体的には?」


おとめ「あま~いものならなんでもOKで~す!」


ユリカ「自分の貰いたい物を書いても仕方ないでしょうに……」


あおい「はいはい、次引くよ~」ガサゴソ




『私は気の利いたものは思いつきませんでしたが、プレゼントの包みにも華をあしらうなどして、凝ったものをお送りできればと思います』


さくら「私の書いたものですね……」


かえで「うん、いいかもね!私もきれいな包み紙なんかは綺麗にとっておいたりするし!」


あおい「なんだかここにいる人の紙ばかり出てきちゃってるけど……次引くよ~」ガサゴソ


『ワカメ』




一同「「「…………」」」


蘭「……何故私を見る……?」


あおい「えぇっと……まとめると……」


さくら「包みに華などをあしらった……」


おとめ「とってもあま~い……」


ユリカ「ワカメ……」


一同「「「…………」」」


蘭「い、いや、私じゃないぞ!?断じて!!大体、普通誕生日プレゼントにワカメなんて書かないだろうっ!?」


あおい「でも去年の蘭の誕生日に高級ワカメの詰め合わせをプレゼントした時は喜んでたじゃない?」


蘭「そ、それは――と言うかこの字、あおいが書いたやつだろうっ!?」


あおい「しまった!?筆跡変えるの忘れてた!」ガーン




蘭「――ったく……しおん、悪いがあおいの代わりに引いてくれないか?」


しおん「わかったわ」


あおい「ああ、他にも幾つか仕込んでたのに~」ガクッ


しおん「はいはい……じゃあ引くね」ガサゴソ


『あおい姐さんの写真』


一同「「「…………」」」




あおい「わ……私の写真かぁ~やれやれ、どこで撮影しよっか~?」


しおん「ええっ、やる気なの!?」


あおい「い、いやぁさすがに冗談だけどさ……誰だろ?こんなの書いたの……」


蘭(らいちだろうな……多分……)


かえで「はいはい、次引いてみよ~」





――――一時間後



しおん「……中々決まらないね」


かえで「ん~『コレ』っていう意見が出てこないしね……」


ユリカ「もうっ他には何か無いの?」ガサゴソ


さくら「あ、ユリカ様、そんなに乱暴にしては……」


ドサッ、ザザザァ~


おとめ「ああっ箱の中身が」


ユリカ「ご、ごめんなさい……」


蘭「まったく……しかし、すごい数だな……」




しおん「よくこれだけの意見を集めたわね、あおいちゃん……」


あおい「頼む人みんな快く引き受けてくれたから、ついつい張り切っちゃって……そうだっ!はいはいは~い!!」


蘭「……はい、霧矢くん」


あおい「うん、あのね――」





――――3月15日:スターライト学園:あおいの部屋にて



プルルルル、ピッ


あおい「あ、もしもしいちご、今大丈夫?」


いちご『あおい……?うん。大丈夫だよ?』


あおい「うん、あのね……せーのっ!」


一同「「「お誕生日おめでとう!!」」」


いちご『へっ!?ああっ、ありがとう――もしかしてみんなそこにいるの?』


あおい「うんっ!今代わるね~」




蘭「蘭だ。おめでとう、いちご」


おとめ「いちごた~ん。おとめで~す!お誕生日おめでとうございま~す!」


ユリカ「ユリカ様よ!吸血鬼の末裔であるこの私が祝ってあげなくもないわ!光栄に思いなさい!!」


さくら「いちご様、さくらです。此度のお誕生日、心よりお祝い申し上げます……」


かえで「かえでだよ!ストロベリー!Happy Birthday!!」


しおん「いちごちゃん……おめでとう。相変わらず元気そうで何よりだわ」


いちご『みんな……』





あおい「それでね、皆からプレゼントがあるの!いまデータ送ったから見てくれる?」


いちご『う、うん……あ、キタキタ。この映像ファイル?』


あおい「そう!開いてみて」


いちご『うん――わっ、すご~い!!』





蘭「いちごためのバースデースペシャルステージ?」


あおい「そ!、バックでみんなが歌うお祝いの歌を流して、私達がステージに立つの!!」


ユリカ「みんなって……誰?」


あおい「みんなはみんな、このアンケートを書いてくれた人全員!!」


さくら「全員……ですか?」


あおい「まぁ、さすがに限度はあるだろうけどさ、可能な限り多くの人に声をかけて録音したいと思う」


蘭「大変な作業になるぞ……」


あおい「うん、分かってる……でもね、この意見の山を見て思ったんだ……『いちごはこんなにもたくさんの人に想われてるんだな』って……」


おとめ「あおいたん……」




あおい「あの笑顔を見ていると……なんだかこっちまで元気になってきちゃうのよね……皆もそうでしょ?いちごの笑顔に勇気づけられたり、励まされたり……もちろん私もその内の一人なんだけどね」////


ユリカ「……そうよね、そのとおりだわ」


カッ


しおん「あ、北大路劇場……」


さくら「不安ばかりを抱えて始まったアイドル活動ぉ~。家族と離れて一人となったさくらを救ったのは、先達の優しい一言ぉ~」


さくら「あおい様の言うとおりです。いちご様は、私に勇気をくれました……」


あおい「うん……だからね、その恩返しに、皆でいちごに最高のステージを届けたいと思って……ダメかな?」


蘭「……ダメなわけ――ないだろ?」


おとめ「おとめ達も頑張るですぅ」フンスッ


かえで「最高のステージにしなきゃね!」


しおん「私にできることだったら何でも言って、頑張るから」


あおい「皆……ありがとう!そうと決まったら……バースデースペシャルステージ、頑張るぞ~!」


一同「「「おーっ!!!」」」





いちご『…………』


あおい「――どう……だったかな?」


いちご『す――』


あおい「す――?」


いちご『凄いっ!私、こんなに沢山の人にお祝いしてもらったの初めて!!この歌も、ステージも、全部私のために!?』


あおい「もちろん!」


蘭「頑張ったからな」


おとめ「あい!いちごたんのためにラブをいっぱい詰め込みました」





ユリカ「ま、ユリカ様が本気を出せばこんなものよ!」


さくら「いちご様に喜んでいただけたのなら何よりです……」


かえで「最っ高の思い出になったかな?」


しおん「これからも頑張ってアイカツしていってね。応援してる」


いちご『あおい……みんな、ありがとう……でも――』


あおい「でも……?」


いちご『私の誕生日……明日だよ?』





いちご以外「「「…………」」」


蘭「なん……だと……?」


いちご『だって、今日はまだ14日だよ?』


しおん「今……何時だっけ?」


さくら「15日、夕方の5時過ぎです……」


あおい「おかしい……今なら例え西海岸でも15日になっているはず――はっ!?いちご、今どこにいるの!?」


いちご『え……明日の撮影のためにハワイに前泊してるけど……』


かえで「ハワイだと……今は14日の夜10時くらいだね……」


あおい「しまった――っ!?てっきり私……ご、ごめんねいちご!!」




いちご『ううん、謝らないであおい。アメリカから離れてることを言ってなかった私も悪いんだし……』


しおん(ハワイもアメリカだけどね……)


いちご『それにね、皆にお祝いしてもらったおかげで、こっちに来てから抱えてた不安が全部吹き飛んじゃった!こうして皆の姿を見ていると、すっごく安心しちゃう……』


あおい「いちご……」


いちご『だから本当にありがとう!これで私も、もっともっとアイカツ出来る気がする!』


あおい「そっか……いちごが喜んでくれたなら、なによりね!」





あおい「さて、こうして皆で話せる機会もそうそう無いし、今度は来月のさくらちゃんの誕生日祝いの会議でもしましょうか?」


いちご『賛成――っ!』


さくら「あ、ありがとうございます」


蘭「いいのか……本人いる前で……」


ユリカ「まぁサプライズってわけじゃないんだし……」


しおん「うん、それにほら……」




いちご『う~ん、一時帰国は出来ないと思うから、今日みたいにTV電話をつないでもらって――』


おとめ「おとめはぽわプリのリーダーとして、さくらたんにおっきなケーキを用意するですっ!」


かえで「ぽわプリといえば最近は勢いにノッてるよね~」


いちご『そうなの!?すごーいっ!!』


あおい「後で最近のステージ映像まとめて送るね。もちろん他の皆の分も」


いちご『わーい!』


しおん「皆あんなに楽しそうな顔してるんだし、いいんじゃないかな?」


蘭「それもそうだな……」


いちご『あ、蘭達はなにかいい案はない?』


蘭「そうだな……例えば――」



おわり




以上です。


初めてリクエストいただきまして作成させていただきました。


アイカツ2年目も進み、ドリアカ組にも愛着が湧いてきましたので、そろそろドリアカ組も絡めて一本書いていきたいなと思いますね~。

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