妹「私たち、少し距離を置きましょう」(396)

兄「え?」

妹「この間、友達にからかわれました」

兄「ふーん、なんて」

妹「妹ちゃんってブラコンだねって」

兄「何を根拠に」

妹「一般に兄妹は十代半ばになるとあまり話をしなくなるようです」

兄「へぇ……ってそれだけかよ」

妹「私たち、よく休みの日に一緒に出掛けたりするじゃないですか」

兄「お互い暇ならな」

妹「そういうこともあんまり世間ではしないようです」

兄「ふむ」

妹「だから、距離をとりましょう」

兄「えーと……具体的にどうすれば」

妹「まず会話は必要最低限に。休みの日も基本的に別行動にしましょう」

兄「うんうん、あとは?」

妹「兄さんに弁当を作ったりするのも止めます」

兄「えー……楽しみにしてるのに」

妹「学校も別々に通いましょうか」

兄「方向一緒じゃないか。わざわざバラけていくのか?」

妹「これも兄さんの自立を促すためですよ。朝も一人で起きてください」

兄「わかったわかった」

妹「じゃあそういうことですが、ご協力よろしくお願いします」ペコリ

兄「礼儀正しいやつめ」

妹「性分ですから」

兄「で、それはいつから始めるの?」

妹「えっと……なるべく早いほうがいいですよね」

兄「俺はお前に任せるよ」

妹「じゃ、今からスタートします」

兄「仲が良すぎるかぁ……考えたこともなかったな」

妹「……」

兄「……」

妹「……」

兄「……」

妹「……」

兄「あのさ」

妹「はい?」

兄「何で喋らないの」

妹「会話は必要最低限にしようと」

兄「ただ無愛想なだけじゃないか」

妹「世間では妹はこういうものです」

兄「はぁ……」

妹「とはいえ、無言で座ってるのも気まずいです」

兄「自分の部屋に戻る選択肢はないのか」

妹「あ、そういう発想はなかったです」

兄「なんでだよ」

妹「眠くなるまで兄さんの部屋にいるのが習慣になってましたから」

兄「そんなんじゃ兄離れできないぞ」

妹「わ、私は別に。あくまでもお互いの自立のためですよ」

兄「はいはい……ていうかずいぶん喋ってるけど」

妹「そ、そうですね。もう部屋に戻りますから」ガチャ バタン

兄「ふぅ……いきなり変な事を言い出しやがって」

♪ピピピピピピピピ

兄「うーん眠い……」

兄「……」ムク

兄「ふぁあああっと……ちゃんと一人で起きれたな」

兄「自立のためとか言われたけど、案外正しいかもなぁ」

妹「兄さん兄さん、朝ですよ」コンコン

兄「あれれ」

妹「兄さん、いつまで寝てるんですか」ガチャ

兄「こらこら」

妹「……起きてるんですか?」

兄「お前が朝起こさないって言うから目覚ましかけたんだよ……てかお前」

妹「あ……わ、忘れてました」

兄「先が思いやられるな」

妹「明日からは気をつけますから……それよりはやく着替えて歯を磨いて下さい。あ、寝癖がついてます」ナデナデ

兄「だめだこいつ」

妹「ちょっぴり失敗しましたね……」

兄「スタートダッシュでこけてるのに完走する気か」

妹「あきらめたらそこで試合終了ですよ」

兄「それよか喋りすぎじゃない?俺たち」

妹「あ……」

兄「……」

妹「……」クイクイ

兄「指差して何だよ」

妹「(ご飯できてますから台所に)」クイクイ

兄「と言ってるような気が」

妹「(要は話さなければいいんです)」

兄「身振り手振りだと疲れないか?」

妹「……」モグモグ

兄「……」モグモグ

父「ハハッ!今日は皆元気がないじゃないか。パパ困っちゃうぞ」

妹「……」モグモグ

兄「……」モグモグ

父「ちょ、君たち何かあった?」

妹「(何も無いですよ)」

父「ジェスチャー?」

兄「親父とは普通に喋ればいいんじゃね?」

父「まぁいいや。パパは会社に行かなくては」ガタ

妹「お弁当忘れないでくださいね」

父「あれ、2つしかないけど……」

妹「2つしか作ってないんです」

父「なんだなんだ、ケンカでもしたのか?」

妹「してないですけど、今日は2つなんです」

兄「という事で余計な詮索はしてくれるな。ちゃんとパン代はもらってる」

父「よくわからんが……二人が仲良くしてるならパパはそれでいい」

妹「……」

兄「じゃ、先に学校行ってるぞー」

妹「え……」

兄「お前が言ったんだろ」

妹「……」

兄「はは、寂しいのか」

妹「(そんな事ないですから)」モグモグ

兄「口パクするくらいなら普通に喋ってくれよな」

妹「(……どうぞお先に)」パクパク

兄「コミュニケーションとってることには変わらん気がする」

~昼休み~

兄「たまにはパンも悪くないなぁ」モグモグ

兄友「なんだ、今日は購買のパン?」モグモグ

兄「うんまぁ」モグモグ

兄友「いつも妹ちゃんが弁当作ってるのに」モグモグ

兄「ちょっとな」モグモグ

兄友「さてはケンカでもしたな?」

兄「してないってば」

女「おっすおっすー」

兄「よぉ」モグモグ

兄友「うるさいのがきたな」モグモグ

女「なによ、あんたこそうっさい」

兄「はは……」モグモグ

女「なぁに、今日はパンなの?」

兄「そんなにパンが珍しいかよ」モグモグ

女「妹ちゃんとケンカでもしたんでしょ、どうせ」

兄「だんだんその質問に答えるのも面倒になってきた」

兄「まぁ、お互いに少し距離をおく時期になったって事だな」

兄友「ふーん」

女「へぇ……でもパンだけじゃ栄養偏るよ」

兄「三食焼きそばパンだけ食うわけじゃないから問題ない」モグモグ

女「私の少し食べなよ。ほらほら」ヒョイヒョイ

兄「あ、ありがとう」

女「べ、別にキミのために作ったわけじゃないんだからねっ!」

兄「当たり前だろ」

兄友「ベタすぎ、失格」

女「むー……」

女「私も一緒に食べていい?」

兄「別にいいけど」モグモグ

女「良かったぁ。女友ちゃんが休みだったからさ」

兄友「便所飯と言う選択肢もあるぜ」

女「うっさいなぁ、あんなに惨めなのはイヤ」

兄「やったことあんの?」

女「私はないけど、漫画で読んだことはあるよ?」

兄友「どんな漫画www」

女「ごちそーさま」

兄友「お前はまだ残ってんのか」

兄「あぁ、つーか箸がないんだって」

女「あ、気が付かなくてごめんね……ハイ」

兄「ハ、ハイってお前の箸じゃん」

女「あ……やっぱり嫌だよね。洗ってくる」

兄「……別に俺は嫌じゃないけど、お前が嫌だろ?」

女「んーん、あんま気にしないし」

兄友「じゃ、俺が使ってやろう」

女「それは嫌、絶対嫌」

兄友「お前結構いい性格してんな」

女「今ごろ気がついた?」

兄「じゃ……借りようかな。いただきます」モグモグ

兄「ただいまー」

妹「……」

兄「お帰りなさい位いっても問題ないと思うぞ」

妹「……」キュッキュッ

兄「何書いてるんだ」

妹『お帰りなさい、兄さん』

兄「筆談!?」

妹「……」キュッキュッ

兄「まどろっこしいなぁ」

妹『私は部屋にいますけど、用事がある時以外は出入り無用です』

兄「はいはい」

兄「ふぅ……」ガチャ

兄「さてと、何しようかなぁ」

兄「よくよく考えると、自分一人で過ごすことってあんまり無かったな……」

兄「友達がいる時以外は結構、妹といることが多かったし」

兄「……」

♪ピロリロリロ

兄「お、メール……妹から?」

兄「『…………』ってなんだこりゃ……」

兄「退屈なのか、と。送信」ピ

♪ピロリロリロ

兄「『………』中途半端に徹底してやがる」

兄「駄目だぞ、お互い自立するんだろ……と。送信」ピ

♪ピロリロリロ

兄「『………』いいやもう、わかんないから無視しよう」

兄「……ふぅ」

兄「確かにあいつの自立は必要かもしれん。ちょっと依存されてるような気もするし」

兄「ちょっとばかり思惑に乗ってやるか」

妹「兄さん兄さん」コンコン

兄「なんだ、筆談はもうやめたのか」

妹「労力の無駄だと気がつきました」

兄「お前学校の成績はいいけどちょっとぬけてるよな」

妹「そ、そんなことはどうでもいいです」

兄「なんか用事?」

妹「はい」

兄「どした」

妹「退屈だからお話でもしましょう」

兄「ズコー」

妹「図工がどうかしましたか?」

兄「あのな、まだお前が何とか言い出してから24時間もたってないぞ」

妹「で、でも」

兄「友達とかと遊べばいいだろ。暇潰しの第一選択肢が兄貴ってどうなんだよ」

妹「兄さんが一番近くにいるからです」

兄「それはまぁそうだけど、ブラコンって言われるの嫌なんだろ?」

妹「うぅ……それは、その」

兄「もう少し頑張って見ろよ。あきらめたらそこで試合終了なんだろ」

妹「……はい」

兄「俺がこの家にいるからだめなんだな」

妹「ま、まさか家を出るとか?」

兄「うん、そのつもり」

妹「だめですっ!」

兄「いや、ちょっと散歩しにいくだけだから」

妹「あ……そうですか」

兄「コンビニで飲み物買ってくるだけだよ……だから」

妹「私も一緒に行っていいですか?」

兄「だめ」

~コンビニ~

兄「さてと、ジュースを買って」

兄「あいつには……アイスでも買ってってやるか」

兄「それとも肉まんのほうがいいかな?うーん……」

兄「両方買えば万事解決だな、うんうん」

妹友「あ、お兄さんだー」

兄「この声は妹友ちゃん」

妹友「何してるんですかー?」

兄「ちょっと買い物を」

妹友「たくさん買うんですね」

兄「コンビニで1000円以上使いたくないんだけどさ、二人ぶんだとしかたない」

妹友「あ、妹ちゃんのぶん?」

兄「そそ」

妹友「相変わらず優しいですね」

兄「そうかなぁ、普通だと思うぞ」

妹友「絶対普通より優しいですよっ」

妹友「で、妹ちゃんは?」

兄「家にいるけど」

妹友「えーっ、ケンカでもしたんですか?」

兄「もう四回目か、その質問は」

妹友「だって、いつも一緒にいるから」

兄「……」

妹友「しかも、アイスはハーゲンダッツだし」

兄「はは……あいつこれが好きだから」

妹友「ふーん」

兄「そーいや、妹友ちゃんが原因だったな」

妹友「何々?私何かした?」

兄「何かブラコンとか言われて、気にしてたよ」

妹友「えぇーっ!」

兄「それでちょっと二人の距離感を調整中というか」

妹友「ちょっと冗談で言っただけなのにー」

兄「多分、思い当たるフシがあったんでしょ。俺もあるし」

妹友「……何か、悪いことしちゃったかなぁ」

兄「んー、そうでもないでしょ」

妹友「ほんとはですね、ちょっぴり羨ましかっただけなんですよー」

兄「うん?」

妹友「私にもお兄ちゃんいるんだけど……」

兄「そりゃ初耳だったな」

妹友「うちは二人みたいにあんまり仲良くないから」

兄「会話は最低限で、朝起こしたりもしない。必要以上に干渉しない」

妹友「うん」

兄「なるほどな……」

妹友「ま、どこもそんなもんだと思いますけどー」

妹友「ま、パンツ盗まれたりするよりはいいんでいいですけどー」

兄「そ、そんな兄貴がいるわけないよ」

妹友「いるんですよ、世の中には妹をそういう目で見る人が」

兄「そうなのか……」

妹友「お兄さんはそういうことしないんですか?」

兄「し、しないから」

妹友「あはは、ですよねー」

兄「……」

妹友「わざわざ盗まなくても、妹ちゃんなら頼めばパンツくらいくれそうですし」

兄「こらこら」

妹友「私の言ったことが原因なら、明日にでも撤回しときますよー」

兄「いや……いいよ、何も言わなくても」

妹友「いいんですか?」

兄「あいつがわりと依存的なのは事実だし」

妹友「わりとじゃないっすよー。いつも兄さん兄さん言ってます」

兄「そ、そっか……」

妹友「まぁ、お兄さんが標準よりいいお兄さんなのも本当ですからねー」

兄「どこで平均をとるの?」

妹友「勘っす」

兄「勘って」

妹友「女の勘は当たるんですよ」

兄「いけね、ずいぶん話こんじゃったな」

妹友「そうですね。妹ちゃんによろしくー」

兄「あぁ……」

妹友「あとですねー妹ちゃん」

兄「うん?」

妹友「スライムまん食べたがってましたよー」

兄「肉まん買う前に言ってくれ!」

妹友「あはは、さよならー」

兄「ちっ……スライムまんか……」

兄「すいませーん……その青いの下さい」

兄「ただいま」

妹「……」プイ

兄「何か怒ってる!?」

妹「……」キュッキュッ

兄「また筆談かよ……」

妹「『コンビニにしてはずいぶんと遅かったんじゃないですか?』」

兄「ちょっと知り合いに会って遅くなっただけだよ」

妹「……」キュッキュッ

兄「……」

妹「……」キュッキュッキュッ

兄「……」

妹「『ふーん、私は兄さんが帰ってこないからご飯も食べずに待ってたのにいい気なもんですね』」

兄「待ち時間長い上にさほど意味ねぇ……」

兄「まぁそう怒るなよ」

妹「……」キュッキュッ

兄「お腹が空いたってんだろ、ほら」

妹「あ、これは」

兄「普通の兄貴でもこれくらいはするだろ」

妹「……ハーゲンダッツとスライムまん」

兄「スライムまんは半分こだぞ。俺も食べてみたい」

兄「じゃいただきまーす」

妹「どうぞ」

兄「お前はそれでいいのか?肉まんとスライムまん半分で」

妹「ハーゲンダッツもありますから」

兄「ふむ」

妹「余ったご飯はお父さんが食べるでしょう」

兄「だろうな」モグモグ

兄「うまいか?そのスライム」

妹「美味しいです」モグモグ

兄「そりゃ良かった。全く食欲をそそらないビジュアルだけど……」

妹「ところで、知り合いって誰に会ったんですか?」

兄「あぁ、お前の友達だよ」

妹「妹友ちゃん……?」

兄「その子にお前がそれを食べたがってるって聞いたから」

妹「そうだったんですね」

兄「食いたいなら買えば良かったのに」

妹「なんとなく買うのが恥ずかしくて」

兄「なにそれ」

妹「吉野家に1人で入れないのと同じ心理です」

兄「よくわかんないなぁ」

兄「あと聞いたぞ。向こうの兄貴のこと」

妹「へっ」

兄「妹友ちゃんにもお兄さんいるんだろ?」

妹「は、はい」

兄「あんまり仲良くないみたいなこと言ってたけど」

妹「私には、あまりお互いに興味が無いと話してましたね」

兄「それもちょっと寂しいな……」

妹「そうですね……」

兄「……」

妹「何ですか?」

兄「いや、余計なことも思い出した」

妹「?」

妹「余計なことと言うのは?」

兄「気にしないでくれ」

妹「途中でやめられると気になりますから言って下さい」

兄「パ、パンツが……」

妹「パンツ?」

兄「やっぱり何でもない!これでおしまい」

妹「はぁ……全然わかりません」

兄「(妹のパンツかぁ……あんまり気にしたこともなかったけど)」

妹「?」

兄「……チラ」

妹「私の足に何かついてますか?」

兄「指かな」

妹「つまらないですよ兄さん」

兄「別にギャグじゃないからいいよ……」

妹「?」

兄「…う…うんこ」

妹「は???」

兄「だから…うんこ…」

妹「何子供みたいなこと言ってるんですか…」

兄「別にギャグじゃないから。ほんとに付いてる…」

妹「え…」

妹ぱんつを覗く仕草

兄「見えた!!!!!!!」

妹「えっ?」

兄「えっ?」

兄「で、でだ。これをいつまで続けるつもりなんだ」

妹「うーん……もう1日くらい頑張ってみようと思います」

兄「1日かぁ」

妹「もう1日頑張って、前の方が良いと思ったら止めます」

兄「自分がブラコンだと認めるわけか」

妹「不本意ながら、仕方ないです。そういう自分を受け入れて生きていきます」

兄「理屈ぽい奴だ」

妹「別に私達が仲良くても誰にも迷惑かけないし、それなら毎日楽しいほうがいいです」

兄「迷惑……」

兄「今はいいけど、将来は困るんじゃないかな」

妹「どうしてですか?」

兄「だってほら、俺たちずっと一緒に暮らせる訳じゃないし」

妹「え」

兄「えってお前な……お互い恋人が出来たり、結婚したりしたら一緒には住めないだろ」

妹「二世帯住宅にすれば平気だと思います」

兄「こりゃ重症だな……」

妹「それに、私に恋人ができるなんて想像もつかないです」

兄「同級生でいい奴とかいないの?」

妹「あまり男子には興味ないですね」

兄「華の十代をひとりぼっちで過ごす気か?」

妹「別に、好きでもない人と付き合ってもしかたないですから」

兄「ちょっといいなと思うやつ位いるだろ?」

妹「うーん……考えてみますね」

兄「そうだそうだ、自分が恋人と並んで座ってるところを想像してごらん。イマジンゼア」

妹「むむむ……クラスの男の子と並んで座ってみましたけど」

兄「どうだった?」

妹「違和感がものすごいです……」

兄「あ、そう」

妹「兄さんだと結構しっくりくるんですけど」

兄「おいおい……」

兄「その想像はまずいぞ……即刻やめなさい」

妹「でも……」

兄「お前のブラコンが相当重症なのはわかった」

妹「」ムカ

兄「怒るなよ」

妹「そんなこと言うなら兄さんもちょっと想像してみて下さいっ」

兄「ええー!」

妹「私と並んで座って……私の肩に手を置いて下さい」

兄「う……」

兄「……」

妹「……どうですか?違和感ありましたか?」

兄「え、えっと……正直あんまり感じなかった」

妹「と言うことはつまり、兄さんはシスコンということですね」

兄「くぅう、おかしいな」

妹「ふふふ、似た者同士仲良くやりましょうね」

兄「待て待て、お前と一緒にするな」

妹「どうしてですかっ」

兄「この妄想はおかしい。あり得ない」

妹「でも違和感ないんですよね」

兄「お、俺は……まさか……」

兄「……ちょっと実験して見るか」

妹「いいですけど……」

兄「手を出して」

妹「手を?」

兄「握るぞ」

妹「え……あ、はい……」スッ

兄「……」ギュ

妹「あ……」

兄「……」ギュ

妹「に、兄さん……」モジモジ

兄「モ、モジモジするなっ!」

妹「だって、少し恥ずかしいです」

妹「こ、この実験で何がわかるんですか……」モジモジ

兄「俺たちが一体どこで違和感を感じるか知りたい」

妹「はぁ……」

兄「お前の手、小さいな」

妹「兄さんの手が、大きいんです……」ギュ

兄「今のところ、違和感は無いな」ギュ

妹「ちょっとドキドキしますけど……兄妹なら手くらい繋ぎますよね?」

兄「うん……多分」

妹「指を絡ませてみてもいいですか?」

兄「う、うん。いいけど」

妹「……」キュッ

妹「両方、繋いでみませんか?」

兄「こうかな……」キュッ

妹「うふふ、暖かいです」キュッ

兄「気持ち悪くないか?」

妹「むしろ気持ちいいです、こうして手を繋いでると」

兄「そ、そっか」

妹「兄さんは気持ち悪いですか?私と手を繋いでみて」

兄「いや……なんか落ち着く」

妹「良かったです」

兄「じゃ、じゃあ次は……こっちに。俺の隣に座ってくれ」

妹「はい」トス

兄「……これもやっぱり違和感無いな」

妹「さっきの妄想の再現ですね」コト

兄「おい、肩に頭をのせろとは言ってない」

妹「なんとなく、こうするのが自然な気がします」

兄「兄貴の肩だぞ」

妹「でも、全然違和感ないですよ」

兄「そうか……」

妹「私の肩も抱いて見てください」

兄「やってみる……」ギュ

妹「あ……」

妹「……」

兄「……」

妹「どうして何も喋らないんですか?」

兄「えーと、その……」

妹「妹の肩を抱いても違和感ありませんか?」

兄「くぅう……何故だ」

妹「……くっついてると安心しますね」ピト

兄「うん……」

妹「でも、海外ならこれくらいは普通です」

兄「そ、そうなの!?」

妹「ですよ。兄さんは考えすぎです」

兄「ふぅ……」

妹「……じゃ、ハグして見ませんか?」

兄「ハ、ハグ?」

妹「ハグして違和感がなければ、多分私たちは相当だと思いますよ」

兄「なんか自虐的だな」

妹「ほら兄さん、私たちの境界線を見極めましょう」

兄「なんで両手を広げてるんだよ」

妹「一応、ハグされる体勢をとってるんです」

兄「境界線、かぁ」

妹「……実験ですから遠慮しないで来て下さい」

兄「い、行くよ」

妹「どうぞ……」

兄「……ん」ギュ

妹「あぁ……兄さん……」ギュ

兄「へ、変な声出すなって」

妹「に、兄さんがやましい事を考えてるからそう聞こえるんですっ!」

兄「う、うるさいな……これは気持ち悪くないか?」

妹「ん……とっても気持ちいい」ギュ

兄「そうか……」

妹「兄さんは?」

兄「気持ちいい」

妹「妹を抱き締めて気持ちいいんですか?」

兄「事実確認はやめてくれ……」

妹「これ、私たちの日課にしてもいいですね……」ギュ

兄「毎日、お前とこうするのか?」

妹「アメリカなら、ハーイとか言いながらやってそうですから」

兄「兄妹でもアリなのかな?」

妹「社交ダンスは、皆こんな感じじゃないですか……気に病む事はないと思いますよ」

兄「でも……」

妹「それに、兄さんとこうするの、全然嫌じゃないです」

兄「不思議だな……」

妹「不思議ですね……」

兄「……」

妹「……」

兄「あ、あのさ……もう1つ試したい」

妹「……何ですか?まだ実験ですか?」

兄「えっと、お前が嫌じゃなければだけど……」

妹「私が嫌がることをするんですね」

兄「それはわからないけど」

妹「兄さんは、それ、嫌ですか?」

兄「したこと無いけど多分、嫌じゃないと思う」

妹「じゃあ私も多分、嫌じゃないですね」

兄「してみないとわからないぞ」

妹「じゃあ、してみましょう……」

兄「うん」

妹「……」

兄「顔上げてくれる?」

妹「昨日顔パックするの忘れたからちょっと恥ずかしいんです」ギュ

兄「大丈夫だよ、ほら」

妹「もう、仕方ない兄さんですね」

兄「目は閉じるもんかな?」

妹「命中しなかったら格好悪いですよ」

兄「だなぁ……」

妹「私は、目を閉じます……はいっ」

兄「……」ゴク

妹「ん……兄さんはやく……」

兄「い、行くぞ」

父「ただいまー」ガララ

兄妹「!?」

父「いやーパパ仕事で疲れちゃった」ドスドス

兄妹「!?」

父「あれ、何してんの君たち」

兄「こ、これは……」

妹「えっと、社交ダンスの練習ですよ」

父「なるほど、ウリナリかぁ」

妹「ですです」

父「つーか、ふたりケンカしてたんじゃなかったの?」

兄「してねーよ……」

妹「私たちは、いつでも仲良しですよ」

父「そっか、そりゃ良かった」

父「いやーお腹すいた」

妹「ご、ご飯なら出来てますから」

父「そう?じゃ着替えてくるかな」スタスタ

兄「……」

妹「……」

兄「はぁ……ヤバかった」

妹「ですね。今日は終わりですか?」

兄「だなぁ……」

妹「兄さん兄さん」

兄「ん?」

妹「しなかったですけど、私全然嫌じゃなかったですよ」

兄「……そうか」

妹「また、今度ですね」

俺「テラワロスwww うんこくくえくえけうえううううう」
妹「兄さん酸欠症に掛かって……・」
俺「おー我がいとしの妹よ、おれのウンコ食え(^^)
妹「ああ兄さんのうんちが食べられるなんて私幸せです!!!/

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