幼馴染「何よぉ、私とあんたの仲でしょ?」男「……」(199)

兄「俺とお前の仲だろ?」

幼馴染「お、お兄さん……」

男「……」

うーむ

男「あ?兄貴に彼女がいるか教えろだ?」

幼「そうそう、知ってんならさっさと教えて?」

男「……いや知らねーし。第一なんでそんな」

幼「何よぉ、私とあんたの仲でしょ?」

幼「ケチケチしないで聞いてくるなりしてよ」

男「兄貴とだって知らない仲じゃないんだから、自分で聞きゃ万事丸く収まるじゃねーか」

幼「だってぇ、直接聞くのって恥ずかしいじゃん」

男「あー……分かった分かった。今晩にでも聞いてやっから今日は帰れ」

幼「さっすが、話がわかる!」

幼「じゃ、よろしくね?」




男「つーわけで、兄貴って彼女いんの?」

兄「いたけど二ヶ月前に別れた……ってなんだ急に張っ倒すぞ」

男「いや、聞いてくれっていう子がいてさ」

男「ま、いねーんならいいや。多分喜ぶよ」

兄「ほーう、そりゃ嬉しいね」

兄「で?どんな子だよ?可愛いか?俺の知ってる奴か?」

男「……兄貴も知ってる奴だよ、可愛いは可愛いかな」

兄「じゃあその内告白とかしてきてくれそうなわけか、楽しみだ」

男「ま、精々楽しみにしてなよ」




翌日
幼「で?どうだったの?」

男「あー、いないってよ」

幼「マジ?あんなカッコいいのに?」

男「マジだよ、二ヶ月前に別れてフリーなんだと」

幼「そっかそっか……へへ、ありがとね」

男「ま、頑張んな。多分うまくいくよ」

男(兄貴女好きで取っ替え引っ替えしてるしな)


兄「お前が言ってた子ってアレか、幼馴染ちゃんか」

男「なんでまた……って早速行動に移したのか?」


男「わざわざぼかしてやった意味ねーじゃんか」

兄「いやー、意外だったわ。あの子はてっきりお前のことが好きなもんだと」

男「……兄貴が女の気持ちを読み違えるなんて珍しいな」

兄「そこはほら、割とちっさい時から知ってたからな。目も曇ろうってこった」

兄「それに……だ。お前も好きだったんじゃねーのか」

男「俺も兄貴を好きとか気色わりいよ」

兄「茶化すなよ。ま、違うんならいいわ」

兄「さすがの俺でも弟の好きな女には手を出しづらいからな」

男「そんな気の回し方されるとなんか怖いな、明日槍でも降りそうだ」

男「なんにせよ気にすることねーよ、ただの幼馴染みだから」

兄「そうか、それじゃあ遠慮なく頂いちゃおうかね」

兄「あんな可愛い子と労せず付き合えるなんて役得だしな」

男「大事にしてやってくれよ、嫌いってわけじゃないんだから」



自室
男(……とまぁ思いっ切り橋渡ししちゃったわけだが)

男(正直幼馴染のことは好きだったわけで)

男(だからって幼馴染に嘘ついてもすぐバレただろうし)

男(どうしようもなかったよなぁ)

男(……うわー、ピエロ過ぎるな俺)

翌朝男宅玄関
幼「おはようございまーす!男まだですかー?」

兄「あ、幼馴染ちゃん?ごめんねー愚弟はまだベッドの中みたいだわ」

幼「あ……お兄さん……」

幼「いえ!いいんです!先に行ってるって伝えてもらえますか?」

兄「お安い御用だよ、それじゃあいってらっしゃい」

幼「はい!……あの、日曜日、よろしくお願いします!」

兄「俺も楽しみにしてる」

幼「嬉しいです……じゃあ、行ってきます」



男(あんまり聞きたくないやりとりが聞こえる)

男(おーおー進展の早いこって)

男(そりゃそうか、元から仲が悪いわけじゃなし)

男(兄貴は手が早いし幼馴染は行動力あるし)

男「……はぁ。ウジウジしてても仕方ねぇや」

男「さっさと仕度しねーと」

学校
友「ほー、幼さんが先に着いてら。今日は珍しく一緒に来なかったんだな」

男「そりゃあな、四六時中一緒ってのも変だろ」

友「いやだってお前ら毎朝欠かさず……」

男「俺が寝坊しただけだって」

友「部屋まで起こしに来るとか言ってたじゃん」

友「なんだ?夫婦喧嘩でもしたのか?ん?」

友「犬も食わないとは言うが相談には乗るぜ?」

男「別に付き合ってたわけじゃないんだから、今までが変だったんだって」

男「……それにここだけの話、幼は好きな奴出来たみたいだしな」

友「……えっ?いやいや……えっ?」

友「なに?ノロケ?俺に惚れてんだぜ?とでも言いたいの?」

男「……ここまでの話でなんでその結論に至ったんだ」

友「えぇー……ないわー……お前らないわー……」

男「なんで落胆してんだよ」

友「微笑ましいカップルだなーって思ってたのに!なんもなかったのかよ!このヘタレ!」

男「……いや、そんなハッスルされても困る」

男(ヘタレは否定できないけど)

男(今までなんもしてこなかったわけだしなぁ)

友「気持ちを取り返そうという気概はないのか!」

男「……まず前提がおかしいんだよ。俺も幼馴染も好きってわけじゃなかったんだから」

乗っ取りなんかするから書くの遅すぎんだろ死ね

男「第一お前がどうこう言う話でもないじゃねぇか」

友「俺も幼さんのこと可愛いなって思ってたのに!」

友「お前だから遠慮してたんだぞ!死ね!」

男「そんなん言われてもなぁ……」

友「で?幼さんは好きな奴と上手くいってんの?どうせ相談されたりしてんだろ?」

男「……まぁ、うまくいってるんじゃないかな。少なくともデートにはこぎつけたみたいだし」

友「チクショウ!俺の知らないところでどんどん話が進んでんのか!死ね!」

男「あー……なんか、すまん」

放課後
幼「男ー、一緒に帰ろ?」

男「……今日はパス、友とゲーセン行く約束しちゃったしな」

幼「ふーん、そうなんだ」

男「つーか兄貴狙ってんなら俺と帰ろうとすんなよ」

幼「……だって、家に寄ってお兄さんに会う口実に」

男「この時間に兄貴いるかも分かんねーだろ」

幼「いやメアド知ってるし」

男「なぁ……もう俺を餌にする必要ないだろそれ」

男「今更俺の家族に遠慮するような間柄じゃないわけだしな」

幼「そっか……そうだね!」

皿とか風呂とか洗う

今から書く

月曜日夕方
幼「ねー男ー聞いてよー」

男「兄貴の部屋なら隣だぞ、いねーけど」

幼「それは知ってるよ、そうじゃなくってさー」

幼「兄さんったらひどいんだよ?」

幼「昨日は折角の初デートだったのに遅刻してきちゃってさぁ」

幼「でもでも、そのあとの映画はお詫びっておごってくれたんだけどね?」

幼「全然謝ってくれないからちょっとむくれてたら手を繋いでくれて!」

幼「なんかそれまでのイライラ全部吹き飛んじゃった!えへへ」

男(愚痴を聞かされると思ってたらいつの間にかノロケ話になっていた)

幼「──でね?……って男聞いてる?」

男「へいへい聞いてますよ、要は大成功して幸せ一杯なんだろ?」

幼「もーうそうなのよー!やっぱり兄さんは素敵だわー」

男「そりゃよござんしたね。こちとら腹一杯だよ」

幼「男も早くいい人見つけなよ!楽しいよ?」

男「……俺はしばらくはそういうのはいいかな」

幼「なんでよ?探せばきっといい出会いがあるよ?」

男「今は友と馬鹿やってる方が楽しいしさ、別に好きな人がいるわけでもなし」

男「慌ててどうこうするもんじゃないだろ」

幼「うわ、出たよ恋愛より友情が楽しいとか言っちゃって」

幼「そんなんだから彼女いない歴イコール年齢なんだよ?」

男「うるせぇな、ついこの間まで彼氏いない歴イコール年齢だったくせしやがって」

幼「へへーん!今は幸せだから別にいいんだよ!」




男(正直な話、多少ウザったいな)

男(これから先悩み相談とか受けさせられたりしねーだろうな)

一ヶ月後
幼「男、久々に一緒に帰ろうよ」

男「で、またノロケ話聞かされんのか?勘弁してくれよ」

幼「んっとね……そうじゃなくてさ、ちょっと兄さんのことで相談したいことがあるんだよね」

男「いや……そんなん俺じゃなく彼氏持ちの女友達にでも相談しろよ」

男「内容は知らんけどその方が共感もされるし、ためになる答えが出んだろ」

幼「そんなのもうしてるよ……その、男の人のさ、意見が聞きたくて」

男「それなら友あたりにでもしてくれ」

男「友もきっと真剣に答えてくれるって」

幼「でも、私たちのことをよく知ってる男の方が……」

男「近すぎて公平な意見を出せないってのもあるだろ?」

幼「あっ!やっ、兄さん……ダメですよ……」

幼「待って下さい……私達まだ付き合ったばかんっ!んぐんぐっ」

幼「そんな……やだ、隣の部屋、男が……ああんっ」

幼「ああっ!……だめぇ、聞こえちゃうよ……」

幼「……最近、なんか冷たいよね」

幼「嫌われるようなことしちゃった……のかな」

男「別にそういうんじゃねぇよ」

男「たださ、なんつーか……距離感ってのは大事だろ?」

男「彼氏持ち、しかもその彼氏が兄貴な奴とあんまり深く関わりたくないだけで」

幼「……そっか。ごめん。無理言った」

男「いや、こっちこそ相談に乗れなくて悪いな」




友「いやー幼さんに色々相談されちった!」

男「ふーん」

友「なんかこう……悩みに付き合ってる間にいい感じになったりしちゃったりして!」

男「ほー」

友「何を相談されたかって?それは言えないなぁ!」

男「別に聞いてねーよ」

友「まったまたー!気になんだろ?んん?」

男「いや、どうせたいしたことじゃないんだろ?」

男「そこまでお気楽に振る舞えるくらいなんだから」

友「いや、食いついてくれるかなーって思ってさ」

マジでごめん飯

乗っ取りで飯とかマジで死ねばいいのに

ふへへ

友「で、さ。ぶっちゃけた話、相談されたのはお前のことなわけ。死ねよ」

男「……は?」

友「やれ男が前より冷たいだ相談に乗ってくれないだそんなん言われても困るわ悩みの種になってるお前死ね」

男「」

友「というわけで幼さんに構ってあげなさいさもなくば死ね」
男「……え、えぇー……」

友「俺なんかに相談してくれたヒャッホウっていう喜びを返せ」

男「友に相談しろとは言ったけどさー」

幼「うん」

男「お前が変な相談したせいで俺がなじられたわ死ね」

幼「だってさぁ、最近はもう愚痴とかノロケ聞いてくれるの男だけなんだもん」

幼「友達はみんな聞き飽きたーって言うし」

幼「深刻な振りしたら少しは聞いてくれるかと思ったらシリアスぶってスルーするし」

男「あのなぁ……」

幼「で、ね。相談なんだけど」

幼「兄さんってかっこいいじゃない?」

幼「私なんかよりいい女の人に目が行っちゃわないか不安で不安で」

男(どうしろってんだ)

幼「でもそうやって不安がってると愛してるのはお前だけとか言ってくれちゃってもうたまんないわけ!」

男(しちめんどくせーなこいつ)

この幼馴染超めんどくさいな

更に一ヶ月後
幼「もー聞いてよ!」

男「あー」

幼「ちょっとデート間隔空いてね、久々のデートだったのに!」

男「おー」

幼「他の女の人チラチラ見てるってひどくない!?」

男「へー」

幼「確かに私よりスタイルいい人だったけどさー」

男「ふーん」

幼「やっぱり私を見て欲しいわけ!」

男「そうだなー」

男(なんとなくあしらい方が分かってきた)

男(適当に相槌打って同意してればその内満足して帰っていく)

男(なんで好きだったのか分からなくなってきたな……)

友「なんか最近男が適当だからなんとかしてくれって言われたぞ死ね」

男「いや……だって……なぁ?」

男(適当すぎたのかめんどくせーなもう)

友「そんなしょうもないお願いされる俺の身にもなってみろよ!」

友「つーか直接言え!なんで俺を通すんだよ!」

男「俺に直接言えって幼に直接言ったらいいんじゃね?」

友「……それもそうだな」

幼「それで男が適当でー」

兄「そうなんだ」

幼「ひどくないですか?兄さんからもなんか言ってくださいよ」

兄「そんなに頻繁に行ってたらやっぱりちょっと嫌がるんじゃないかな?」

幼「でもやっぱり幸せは誰かに見てもらわないと中々実感できなくて……」

兄「俺だけじゃ不満なんだ?傷つくなー」

幼「そんなわけないじゃないですか!」

兄(大事にしろって言われたから色々頑張ってきたが)

兄(二ヶ月でもう潮時か)

兄(弟のことを憎からず思ってるみたいだし)

兄(なんとか押し付けられないものか……)

兄「なぁ」

男「なんだよ兄貴」

兄「最近さー、幼ちゃんお前のことばっかり話すわけ」

男「んなこと言われてもなぁ、俺は聞き役に徹してるだけだし」

兄「お前さー、別に幼ちゃん嫌いじゃないだろ?」

男「……」

男(え、いや待てよこの展開は色々まずい気が)

兄「俺がそれとなく促すからさ、幼ちゃんと付き合ってみ?」

男「はっはっは、嫌だなぁ兄さんの女を寝取るなんてそんな真似できるわけないじゃないか」
兄(チッ)

兄「気持ち悪い呼び方すんな」

兄「寝取るんじゃない、紹介されろと言ってるんだ」

押し付け合いワロタ
幼馴染は兄といる時は弟の愚痴、弟といる時は兄の愚痴言ってるとかどうしようもないな

男「ってことは振るんだろ?」

男「振られてすぐに他の男とくっつけるような人はちょっとなぁ」

兄「なぁに、昔から知ってる幼ちゃんじゃないか、問題ないって」

兄「大丈夫、お前ならうまくやれるって!」

兄(というか振られたら弟にべったりだろうしな!)

男(振られたら俺のところに愚痴りに来る予感しかしない!)

男(今面倒でもいい、なんとか兄貴とくっつけたままにしたいと!)

ジャンル変わってきたw

幼「こんにちはー!兄さんいますかー?」

幼「……家の中から声は聞こえるけど返事はないなぁ」

幼「勝手知ったるなんとやら、お邪魔しちゃおっと」

兄「俺とお前の仲だろ?」

幼(あ、兄さん……)

男「……」

兄「頼むよ、幼ちゃんが正直ちょっと面倒になってきたんだ」

幼(えっ)

男「俺だって面倒だよ!兄貴と恋愛を始めたらあんなスイーツ脳になるなんて思ってなかったし!」

幼(えっ)

兄「俺としては女の子になるべく傷ついて欲しくないんだよ!」

兄「だから悪いがお前が犠牲になってくれ!」

男「処理に困ったからって俺に押し付けんなよ!」

男「友達としてはよかったけどあんなになるなんて思ってなかったし!」

幼(えっなにこれひどい)

自業自得www

幼「あ、あの……」

兄「えっ」

男「えっ」

幼「二人ともひどい!そんなふうに私を見てたなんて!」

幼「私は私なりに兄さんのことを思ってたし!」

幼「男も恋愛に興味を持ってくれればなって思ってたのに!」

兄「……あー」

男「……いや、まぁ確かにひどいけど」

幼「この馬鹿兄弟!死ね!」

兄男(まぁ……うん、別にどうでもいいわ)

友「なんか幼さんが俺のところに泣きついてきたどうにかしてくれ」

男「俺達兄弟は思いっ切り嫌われたろうしなー」

友「どっちか追って来てくれると思ったのに!とか言ってたぞ」

男「いや、もう付き合いきれんし」

友「なんで中継役だった俺のところに来るんだよ!」

男「良かったじゃん、俺に遠慮してたんだろ?」

男「しがらみなくなったんだし付き合っちゃえよ」

友「今までの話を聞くにどう考えても地雷じゃねーか!死ね!みんな死ね!」



おしまい

>幼「でもやっぱり幸せは誰かに見てもらわないと中々実感できなくて……」
>幼「男も恋愛に興味を持ってくれればなって思ってたのに!」
言ってること違うやん…

トキメキがなかった

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