アニ「ここは?」ハンジ「地下牢とだけ言っておこう」 (198)

ライナーとベルトルトへの追撃、エレン奪還から数日後。技工科の努力により、捕獲から一週間目でアニの閉じこもった水晶体は割られたのだった。今後のプランを話し合う。

ハンジ「うーん、やっぱり巨人化は怖いよねぇ。いくら地下20mの牢だからって、その中で巨人化されたらたまらない」

ハンジ「天井が崩れて完全に埋まる可能性を考えたら普通やらないと思うんだけど、追い詰められて自殺を考えるなら話は別だ」

アルミン「ハンジさん、提案が…」

ハンジ「ん…どーぞどーぞ」

アルミン「…今まで、失った四肢が巨人化により一瞬で元に戻るということは幾度と無くありました。しかし人間体で傷口から蒸気を吹き出しながら巨人化した例はありません」

ハンジ「…!…続けて」

アルミン「つまり…心臓や他の重要な臓器など、直ちに修復が必要な部位を絶え間なく傷つけて、人間体での修復を続けざるをえなくすれば…」

ハンジ「巨人化出来ない、ということか。試す価値はあるね。最初の一刺しで巨人化されておじゃんの可能性もあるけど」

ハンジ「やるしかない、か」


地下牢の一方の壁は全面鉄格子で通路からこちらが見える。その牢の中で椅子に縛り付けられているアニ。裸に剥かれ、腕は背中にまわされ拘束されている。

格子についているドアを開けて、ハンジが入ってくる。恐怖を押し殺し、努めていつもの無関心そうな顔を保つ。

ハンジ「こんにちわ、よろしくね。こんなちっちゃな巨人に挨拶するのは初めてだよ。縛られてる手足、痛くない?裸で寒くなーい?」

アニ(なにこの女…臭い)

ハンジ「私は調査兵団で分隊長をやってるハンジ・ゾエ。君と同じ104期のアルミンとは仲良くしてるんだ。君とも仲良くなれるといいね」

アニ「……どうも(むしろこういう友好的な風を装ってる奴が一番怖いよ)」

ハンジ「早速だけど、基本的な質問からいくね。さすがに問題無いと思うけど…一応巨人と接する時の手順だから。こんにちわ、言葉はわかるよね」

アニ「……………ばかげてる」

ハンジ「あっはっは、もちろん分かるよね。でもまあ儀式みたいなものだから」

ハンジ「じゃあ、君の名前は?ないなら素敵な名前を付けちゃうよ?」

アニ「私の情報を知らないはずがないだろ?まったく、か弱い乙女を裸で縛り付けて何をするかと思えばくだらな(ドスッ)…!?ああッ!!」

ハンジ「質問には答えた方がいいよ~~ほら、心臓に刺さってる……この槍はねぇ、今まで付き合ったみんなに突き刺してきた愛用の槍でね…」

情人であれば致命傷、激痛に体を震わせるアニ。たまらず再生を発動する。

ハンジ「あー、すごいねぇ。本当に傷口から巨人の蒸気が吹き出してるよ…ああそうそう。アニ、大事な質問なんだ。生死に関わるね」

アニ「う……ック………な、何を…っ!?」

ハンジ「これだけはどうしても教えて欲しい。どこまでやったら死ぬのかってことを…こちらとしてもころっと死なれたら困る。君も困るだろ?死ぬの」

アニ「あ…!…っく!…さ……さあ…?別に…うぅ!…困らな…い…ね…っ!!(あ…!…槍が、心臓…中…ッ!…鼓動のたびに…いた…っっ!!)」

ハンジ「ん~~痛いよねぇ…ごめんねぇ…でもこれも必要なことだから…答えてくれるまでひどいことしなきゃならないんだよぉ~、ほらこうやってかき回したりさぁ(グリグリグチチ)」

アニ「…ッッッ!!??…がああああああああああああああああああああああ!!!!」

ズボぉっ!びちゃびちゃびちゃびちゃ…

アニ「うぐぅ…あ…っく…(出血はひどいけど、大丈夫…っう!…な…なんとかなる…!…心臓も修復できた…でも最初からこんな無茶な…!)」シュウ…

ハンジ「うわあ、すごい出血だねぇ。君たちはそれだけ質量を失ってもどうやってかそれを取り戻してるみたいだけど…私たちの科学では理解できないなあ。教えてもらってもいい?」

アニ「…………………………ハァ……ハァ(血…止まった…拷問にしたって人間相手のやり方じゃない…人間扱いされてない…当然かもしれないけど…)」シュウウウ…

ハンジ「…仕方ない、直接触って確かめるしかないなぁ。まずは皮膚の上から触らせてもらうよ…(ムニュ)うん、控えめだけどいい胸だ。羨ましい」

アニ「……ッ!?…(こいつ…何触ってるんだ)……別になんとも思わないけれど…やめてもらいない?同じ女とは言え不躾にすぎるから」

ハンジ「あはは、心臓に槍刺されたばかりなのにまだ強気でいるのは流石だねえ。心臓くらいどうなっても平常心なのかな?そうだろうねぇ…巨人なんだから」

アニ「…………………ああ、こんなこと無意味さ。どんなことをしても私たちには効果なんてない。拷問なんて無意味だよ」

ハンジ「へえ、そう。じゃ、こんなことしても平気かな?」

ハンジが取り出した刃物がまっすぐアニの腹に向かう。ピトリ、とアニの腹に突き立てられる。そしてまるで家畜の腹でも裂くように無造作に、乱暴に…

アニ「(ドス!ズチュチュ…)……っ!?あ…ぎぃ!?」ビチビチチ

皮膚、筋肉、腹膜…逆手に持たれたナイフが乱雑にアニの肉を切断していく。温かい血が流れだし、臓物が顔を出し、生臭い臭気と湯気が立ち上る。

アニ「あ………あがぁ!…………っう………(なんでもない……!これくらい……!!)(グチチ)ッギャあ!?」

ハンジ「痛いぃ?痛いよねえ…大丈夫、私の心も痛いから。安心して…ね?」

アニ「んぐううううううっ!!」ガタガタガタ

皮膚がたわんでなかなか切れないので、鋸のようにギコギコと刃を往復させるハンジ。腹筋がブチブチと断たれていく。

経験のない痛みに椅子の上でのたうつアニ。うめき声が地下牢にこだまする。縛られた身ながらも精一杯身をよじる。白い肌を玉の汗が伝い、小振りな胸は荒い呼吸に上下する。

アニ「ぐう…………んはあっ、はあ、はあ、はあ(あたしのお腹……どうなっ…て…)」

ハンジ「ふう???…これでまあ十分広がったかな?あ、じゃ、触診しまーす」ズボッ!!グチョチョ

開腹した裂け目からパンチを打つかのような勢いで、アニの体内へと腕が滑り込んでいった。

アニ「ごはッ!!!!むううううう!?(ブルブル)…ぎ…いい…ッ!?(あ………わかる………っ!お腹の中…手が…進んでくのが…き、気持ち悪…おえ……っ!)」

ハンジ「顔色悪いよ?大丈夫?……出血のしすぎかなあ。ま、とりあえず上の方から行こうか…これが…胃かな?」ギュウ!

アニ「がっはあ!!ごべえ!!おげあああ!!」ビチャビチャ…

ハンジ「あはは、ごめんごめん。こんなとこ握っちゃったらそうなっちゃうよね。吐瀉物が私の顔にもかかっちゃった(ぺろ)じゃ、今度は手前の方へ…」グチュ

アニ「げほげほ!………う………ああ(こいつ、無茶苦茶だ…あ………そ、そこは…)」ドクン…

ハンジ「ドクドク脈打ってるからすぐにわかったよ。アニ。これが心臓だね?この冷たくて可愛い胸の内側に……こんな熱いものが」ガシ!

アニ「あ…あ…や…やめ…(それを握りつぶされたら…あ、あたし…し、死ぬ?再生があっても…わからないけど確実に意識を失う…!そのあともう目覚めないかも…っ!)」

ハンジ「ふふ…初めて怯えた表情をしたね。そうかそうか。心臓に穴が空いたり中を傷つけられたりは何とかできるけど握り潰されるのは堪らないか」

アニ「………!!(こうやって私の体の情報をつかんで行く気…あそばれてる気分だ)…さ、さあね?やってみれば?平気だかr」グシュ!

アニ「………?…………!?ぎゃあああああああああああああああ!!」バタバタバタ!!

アニ「がはあっ!!がああッ!!うぐうううううう!!!」バタッ!バタタ!

激痛に体をうねらせる。激しい呼吸で胸を上下するたびに胸、胸骨の内側に入り込んだ他人の腕という異物を意識せざるを得ない。

アニ「はぁ!はあ!はああ………はぁ、はぁ(シュウウ)(気絶…しない?おかしい…心臓が全部握りつぶされたら数秒で脳が虚血状態になって意識を失うはず…)」

ハンジ「蒸気も出てるし無事そうだね、アニ。まさか本当に潰すわけないじゃない。ちょっと強めに握っただけだよ~」

アニ「…ッ!!……(こいつ…!屈辱だ…ッ!こんな風に弄ばれつづけるのか…!)」

ハンジ「それにしても体内ってあったかくて、気持ちいいね。こんなヌルヌルの中に突っ込んで…男が女の中に挿入するのってこんな気分なのかな」ぐちゅ

アニ「んんぐ…!!………ハァ………ハァ………く、狂ってる…うぐ!……変態にしても、ど、度を越してるよ、あんた…ッ!!」

ハンジ「よく言われるよ。ねぇ、アニ。心臓がやっぱり急所なんだろう?その怖がり様を見るに。人間の姿の時ならここを破壊すれば仕留められるわけだ」

アニ「ハア…ハア……だったら…どうだって言う…の?さっさと潰すなり潰しなりなんなりやっちまいなよ…ッ!」

心中悲鳴を上げていた。もう巨人になってすべてを終わらせたかったが…正直なところそうやって死ぬのも怖かった。

自分はこの任務に向いていなかったんだなあ…何度も頭をよぎったが認めたくなかった考えを不思議なほど冷静に反芻していた。

ハンジ「まあまあ、これからじゃないか。長~く付き合って行けるといいね、アニ」ずるるる!

アニ「うぎい…ッ!?」

ハンジの腕が胸から腹まで後退する。急に体内に感じる圧迫感が変化し強烈な不快感に襲われる。

ハンジ「私が関わった巨人はみんな死んじゃうんだぁ、君はそうじゃないだろ?こっちもあんまり無茶はしないから…まあ実験は別だけどね。心臓、殴りま~す」ボグ!

アニ「んぐううううううううう!!??ああああああああ!!!」ズドン!ズドグチャ!

ハンジ「あっはは、腹から胸の心臓まで一直線に拳を突き上げたんだ…心臓が打撃にどれくらい耐えられるか検証したいからね…よいっしょ!」ボグ!

経験したことのない異様な苦しみだった。自分の胸の内側すぐを行き来する他人の腕。鳩尾から喉へ向けて突き上げる衝撃。胸部に収まる臓腑を押し分けながら。

アニ「げぼぉ!ぐぼ!カッ…………はあああ!!がはあああああ!」ガクガクビクビク

ハンジが拳を突き上げるたびに胃が撫でられ、吐き気を催した。肺の間を通過するたびに呼吸が阻害され、息が漏れた。心臓に直撃するたび、激痛に悶えた。

グニュ!

アニ「おげッ…っは!!」ダラダラ

胃が胸骨との間に挟まれ胃液を漏らしたがもはや吐き出すだけの内容物などなかった。拳が胸部の中で上下するたびに小ぶりな乳房が跳ね汗が空中を舞う。

ハンジ「うふふ…そんなに反応してくれるなんてね。嬉しいよ。私で感じてくれてるんだ…」グド、グポ!

アニ「ううううう……………うぶううううううう」

アニにはこれが実験だとは思えなかった。悪趣味な拷問にしか思えなかった。だとすれば終わりもなく、堪え難いものに思えた。自決も現実的選択肢に思えた。

アニ「まだ……あ………が………(まだ、初日じゃないか…耐えろ、耐えるんだ……!!)

ハンジ「あ、ごめーん、今日は君の安全限界を見定めるだけのつもりだったのについはしゃいじゃったよ…痛めつけて…ごめんね?」

ハンジ「年甲斐もなく興奮しちゃったなー。なんせ君みたいな巨人は初めてで…今までとは別の興奮が…じゃ、実験をもっと進めようか」

アニ「フウ…………フウ………(……………やっぱり、もういいかな……諦めても………でも…………帰りたいなぁ…)」

ハンジ「じゃ、今から心臓がよく見えるように胸部を切開しま~す。わ~パチパチ」

アニ「フゥ……フゥ……(腹部の出血、臓器の損傷は治った…切開された腹部を塞ごうか…いや、また切り開かれたら体力の無駄だ。でも、このまま胸まで開かれたら…」

がちゃりと音を立てて椅子の背もたれが倒される。脚も上げられる。手術代のような形に椅子が組み直された。腹の傷が引き伸ばされ軽く呻くアニ。

ハンジ「ふふ…横になってやっと少しは楽になれたね?気分はどう?アニ」

アニ「フゥ……フゥ……今すぐ巨人化して……フゥ…道連れにして…あげよ……か?」

ハンジ「あ、そうそう。これから胸を開くけど…胸骨を切り開くのに適切な道具の持ち合わせがなくってね~…このちっちゃなニッパーでいい?」カチン!カチン!

それは爪切りに使うような小さな道具だった。

アニ「……え?(何それ…それじゃ無理でしょ?それしかないなら…中止…だよね…)」

ハンジ「まあバカとニッパーは使い様!って言うしね。これでやっていくよ。腹の傷を上に広げていこう」ググ…メキ…ブチン!

アニ「ウグ!?」ビク!

鳩尾まで達していた腹部の切れ目はさらに上に進行し始めた。胸骨も切り砕きながら…だが用いられる道具はあまりに非力で…そのことこそアニにとっての不幸だった。

アニ(な…!?本気…?そんなので………ッ!…一体どれだけやれば……どれだけの回数この痛みを…!!)

ハンジ「うーん、医学書によるとここが胸骨体の下、剣状突起で…ここを一気に真っ二つにするつもりがあんまり切れなかったなあ…」

ハンジ「この道具じゃさすがに無理なのかな~。…まあいいや。ちゃんと骨をはさんで潰し切ろう。ふん!!」ミキミキミキミキ…

アニ「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」ビクビクビク

やがて刃は途中で摩耗し、ニッパーはペンチと変わらなくなった。それでも一時間をかけアニの胸骨は丹念に砕かれ、ちぎられ、挟み潰された。最後には声さえ上げられず…

アニ「…………ふ…ッ!ぶ…ッ!……うっ!!……ぐ…あ…ッッ!………は………」ブルブルブルブル

生きるために激痛と格闘しながら呼吸を続けていたのだった。胸骨がめちゃめちゃに切り開かれては肺を膨らませることができず、呼吸するだけのことが困難を極めた。

ハンジ「ああ、こんな粗末なもので手術してしまって……かわいそうなアニ。余計に苦しませて…ごめんよ?」

アニ「あ………ば…………は………(苦しい…ッ!息が………肺があまり膨らまな…)」ピク…ピク

既に心臓は露わになっていた。

ハンジ「苦しそうだね、アニ。でももうすぐ終わりだ。実験の本番はここから。でもそんな難しいものじゃない」

アニ「…ひゅ………ひゅう……う…………もう…………や…………め………っ!!」シュウウ

胸骨が再生を始める。

ハンジ「あ、せっかく開いたのに閉じちゃダメだ、でも…実験にはちょうどいいけどね。実験一。右肺、針を刺突」プス、ぷしゅう~~~~…

アニ「い!?………は…………は……………あぁ」シュウ…

ハンジ「胸骨再生の停止を確認。追って肺の傷の治癒を確認。治癒完了。胸骨再生の再開…実験二。心臓、針を刺突」プス

アニ「いぃっ!!…………ぐ」シュウ…

ハンジ「胸骨再生の停止を確認。追って心臓の傷の治癒を確認。治癒完了。胸骨再生の再開…実験三。心臓と肺の刺突」プス、プス

アニ「っく……………っ!!(これは………なんの意味が…!)」

ハンジ(よし、欲しいデータは取れた。やはり再生順序は心臓が最優先だ)

アニ「あ………ふう、ふう、ふう………(終わった…の?)」

胸骨が元に戻り、再生は腹の方に取り掛かっている。呼吸に問題がなくなりアニは落ち着きを取り戻した。

アニ「………ハァ……ハァ(これには…何の意味が…尋問すらされない…私達の再生能力の検証?)」

ハンジ「よし、これで今日の実験は終わり!アニ、よく頑張ったねえ…お姉さんうれしいよ…それからごべんねぇ」ポロポロ

アニ「…………う…(なにこいつ…なに泣いてんの…?)」

ハンジ「グス…アニ、今日は君にいっぱい酷いことしちゃったよ…でも、必要なことだから…ね?こっちも苦しいから…ね?」

アニ「………あんたさぁ、人から…よく……狂ってるって…ハァ…ハァ…言われるでしょ?…ハァ…ハァ……軽く引いたよ」

ハンジ「私を恨んでくれていい…これから長い付き合いになるけど一緒に頑張ろうね!それじゃ!」ギィ、バタン!!

アニ(あんなやつと……これから…長い付き合い?今日みたいのを……)

傷は完治したが、先のことを思うと絶望で目の前が真っ暗になった。唯一の希望は脱出の機会を探ることだが、その意志が長続きしないであろうことも感じていたのだった。

ハンジ「昨日のデータから推察するに、心臓ならたとえほんの小さな傷でも治さずにいられないことがわかった。最優先でだ」

ハンジ「傷から異物が取り除かれない限り傷が治癒できないことも」

ハンジ「重要臓器や四肢の重大な損傷の修復中は巨人化不可能なこともかなりの信頼性がある情報と言えるだろう」

ハンジ「プランはこうだ。心臓に鋲を打ち込む。この細工が生命活動に影響しないように気をつけてだ」

ハンジ「心臓に打ち込まれた鋲は重要臓器の損傷として再生系に認識され、巨人化より優先すべき事項として優先順位の最上位に位置することになる」

ハンジ「しかし鋲で傷が塞がれ治すことが出来ず、重要臓器の損傷はそのまま放置される」

ハンジ「重要臓器の治癒が完了していないので巨人化は出来ない。被験体はその状態で維持される限り永遠に巨人になれない」

ハンジ「…こんなところかな?」

アルミン「え…っと…僕はそれで問題ないと思います。今まで巨人化されなかったわけですし…実際にはアニの意思で、でしょうが」

ハンジ「そうだね…本当に巨人化を阻害できていたのか、敢えてしなかったかの判別は不能だ…でも結局巨人化を防げていることは確かだし」

ハンジ「そして修復中の痛みの鈍麻だけど、傷を負った瞬間の痛みまでは消せないことは明らかだ。」

ハンジ「だから絶え間なく傷つけて修復させてというプロセスをハイペースでやれば痛みを与え続けられる…はず!」

ハンジ「おはよー!アニぃ!よく眠れたかい!?…ん?」

アニ「…………………………っく」

昨日の実験終了後も背もたれの倒された椅子に縛り付けられたままだったアニ。当然催しても処理できるはずもなく…

ハンジ「あ…あっはっは!ごめんごめーん、普通の巨人ばかり相手してたからサア、そう言うの気づかなくってwwwごめんごめんwww」

アニ「………うぅ…ッ!(これは…昨日のより何倍もつらいかもしれない…!)」

ハンジ「はいはい、そんな泣きそうな顔しないで。こっちだって怪我して動けない同僚の下の世話なんかいくらだってしてるんだから。気にしない気にしない」

アニ「…………(ああ、ここまで死にたいと強く思ったのは初めてだよ。こいつが男だったら今すぐ舌でも噛み切って巨人になって死んでただろうね…)」

ハンジ「おしっこもウンチも全部垂れ流しか。よほど我慢したんだろうね。苦しかったろう?オムツをさせてあげるんだった」

アニ「(それはそれで拷問だ)………もういい。さっさと実験でも拷問でもすれば?」

ハンジ「投げやりになっちゃダメだよ。ほら、拭いてあげるから(ぬちゃ…)ふふ…子供がいたらこんな風にしてあげたんだろうね…私が接した巨人は私の子供も同じ…」

アニ「~~~~ッ!頭おかしい…あんたなんかとこれ以上空間を共有するのならこのまま自決したほうがマシだって…んッ!?」

二人の唇が触れ合う。お互いの息が肌で感じられる距離でアニを見つめるハンジ。優しいまなざし。

ハンジ「アニ…昨日はごめん。色々酷いことをしたね。まあこれからもするんだけど…でもアニには壊れて欲しくなんか無い」

ハンジ「そりゃ、ちょっとやりすぎちゃうこともあるさ。でも、これは愛ゆえ…愛してるよ、巨人のアニ…」ちゅ

アニ「………………………狂ってる………」

汚物の処理が終わり、アニは改めて椅子の形に戻された器具の上で最初と変わらぬ姿勢で拘束されていた。

ハンジ「じゃ、またお胸を開きましょ~ね~。心臓に用があるんだ、アニ」

アニ「………今度はちゃんとした道具を忘れなかったろうね?いや、き、昨日のでもいいけど…」

ハンジ「はっはっは。その無理した余裕がうれしいよ。ま、さっさと行こう。じゃ~~~ん、今日使う道具はこれです!」カチカチ

ペンチだった。ごつい、さびた。

アニ「はぁ……そんなことだろうと思ってたけど、昨日より酷くない?(あれを…どうするって?)」

ハンジ「こうするんだ」ガシ…ブチュ!

アニ「……………?……ぎッッ!!!」

左乳首が潰れていた。錆だらけの鋼の爪に挟まれ紙のように薄くはさみ潰されていた。血が数滴はじけて飛びちった。

アニ「あぎゃあっっ!!?っぐうう!!!」ガクガク…

ハンジ「うわあ、痛そう。でも本番はこれからだからね。我慢してね」ブチッ!

乳首がちぎられた。

アニ「うっ…っくうう…」

潰されて耐え難い痛みを放っていた部位が取り除かれ、ジクジクというそれよりはマシな痛みに変わる。

ハンジ「じゃ、これ続けていくよ。反対の乳首行こうか」

アニ「あ…こ…こんなこと、何の意味があるって言うんだ…っ!ただ…痛めつけたいだけじゃないか!胸を開くんならさっさとやってよ…!」

ハンジ「意味?意味ならあるよ。今日はこうやって心臓まで切り進む…いや、千切り進む」

アニ「…え?」

ハンジ「いやだから、このまま皮膚や胸の脂肪をこのペンチでちぎりとって、肋骨も砕き取り除くんだ。刃物は奪われたときのリスクが大きいからね」

アニ「あ…あ…あ…ほ、本気じゃないよね…?(今の痛みを…一体何回…ッ)」カタカタカタ…

ハンジ「じゃあ反対の乳首ね(グニュ…)力こめるよ?いーい?アニ…」

アニ「や…やめ…(ぐちゅ!)んぎいいい!!」ビクビクビクビク!

ハンジ「ふふ。ちぎらずにこのままにしておこうか。おっぱいの皮膚もそうしていこう。後で一気にちぎるんだ(グニ…グチュ!グチュ!)」

アニ「ぎゃあああ!!いや!!いやあああ~~~ッッ!!ああああああああ!!」

美しい乳房に干しぶどうに色も形もそっくりの座滅痕が出現していく。一箇所皮膚が潰されるたびにアニの体が椅子の上で踊った。跳ねた。震えた。

血が滴ることはなかった。ただ汗だけが皮膚を伝い、白い皮膚をぬらぬらと妖艶に彩り、紫に染まっていく乳房に染みる痛みを与えた。

アニ「うぎゃああああああああ~~~~~~~!!」バタン!バタン!

ハンジ「ほら!ほら!暴れない…よし、隙間なくきもちわるいことになったぞ!ねえみてよアニ、これが人間の胸?潰れたぶどうの房だねまるで」

アニ「ゼエ…ゼエ……ハァ…ハァ…ハァ(なにこの…物体…この物体が…痛い?感覚がある?え…?私の…一部?)

ハンジ「揉んでみよっか(グジュ)」 アニ「があッ!!??んああああああああああああッッッ!!!!」

ハンジ「ふふ、ごめんごめん。遊び過ぎたね。じゃあ、このぶどうを一個ずつむしっていくよ。干しぶどうだけど」

アニ「も…もういい…こ…ころ…(殺せ…………ま、まてあたし…大丈夫、まだ…耐えられる…よね?)

ハンジ「指でもむしれそうだ。両手で二つの乳房のぶどうを一個ずつつまんで~…ちぎる!(ぶち!ぶち!)」

アニ「いぎ!?いぎぃッ!!」がたがた…

そうやって何度も何度も座滅した乳房の皮膚はちぎられていき、ついに乳房全面が皮膚を剥ぎ取られ、真っ赤なグラデーションの汁の滴る果実のようになった。

ハンジ「…いよ~し。だいたい全部もいでしまったよ?うわあ…皮膚が無い乳房って赤かったり黄色かったりでグロイね…私のもこうなってるのかな?」

アニ「はああ…はああ…ハア…(ま…まずい…頭がチカチカ…ボーっとしてきた…気持ち悪い…息が苦しい…)

ハンジ「あれれー?顔色が悪いよ?んー疲れちゃったのかな…じゃあ、早めに実験進めようか。肉色おっぱいをペンチじゃなくて手でむしってあげるよ、ふん!!!」グジュ

アニ「ん~~~~~~~あああああああああああああッッ!!!」ガクガクガクガク

わしづかみにされた両乳房からブチブチと痛ましい音がする。立体機動を操る女性らしからぬ握力に押され、指の間から真っ赤な鮮血と白と黄色の脂肪が流れ出て行く。

アニ「もう…い…も…こ………ろ…(言うな!言うな!屈服するな!!帰るんだ!!お父さんのところに!!)…………………ころし…て」

ハンジ「んん?あっはは…殺しなんかしないよ。間違っても殺さない。間違って巨人を実験中に殺してしまったときにもうしないって決めたんだ」

ハンジ「(チュ)ああ、アニ。こうして乳房を握りながらキスをするともう最高だね。なんだか変な性癖に目覚めそうだよ…よい、しょ!」

ブチィ!!ブチィ!!

アニ「あがあああああああああころして!!!!ころしてええええええええええええええええ!!!!」

ハンジ「…いよし、障害排除完了!もう肋骨があらわだ。昨日の反省を踏まえて胸骨周りの軟骨を…」

アニ「うぅ…っうっうっぅ…ううう…」ぽろぽろぽろ…

アニはもう涙が出るのを止められなかった。無理も無い。肉をはがされた痛み。それよりも、死を懇願するほど屈服してしまった屈辱と、好き勝手になぶられる理不尽。

そして自分が女として、密かに誇りにしていた小ぶりだが白く美しい形のいい乳房への陵辱が…耐えられなかったのだ。

アニの本質は16歳の、自分を乙女と信じる女の子である。したことがしたこととはいえ、自分はこれほどまでの責め苦を受けなければいけないのか…

アニはここへ閉じ込められて以来、そのことばかりを自問していた。時たま父の元へ帰ることよりも、死の方が甘美に思えた。償い…

アニ「…うう……あんたさあ、何でこんなことできんの?ヒッゥ…乙女を痛めつけて…凌辱して……ヒッゥ」

ハンジ「………それ、君たちに聞きたいんだけど。何であんなことができたの?調査兵団としてはまあ通常の戦闘の犠牲だけど」

ハンジ「君たちは人類全部を抹殺しようとしてたろ?それなのにこの程度の仕打ちが妥当じゃないとでも言うつもりかい?」

アニ「ハンジ…さん。ヒグッ…あたしがしたことは…ここまでされるようなことなの…?いや、わかってる。当然だ…でも…もう…」ぽろぽろ

ハンジ「………………」

ハンジは無言でアニを抱きしめた。兵団服が開いた胸に当たり、アニは少し痛みを感じた。

ハンジ「私の同僚の間にもね、アニをとことん苦しめて殺すべきだという空気があるんだ。口に出しこそしないけどね」

ハンジ「でもそんなことはさせない。アニのすべては私だけのものだ。これまでだって巨人の管理は私だけの仕事だった。じゃ、続きいくよ」

アニ「うぅ…あんたもうそれやってるんじゃ……もういやだ…もういやだ…(べき!)いぎいいいい!!!」ビクビク!

ハンジ「とりあえず肋骨を折って肋軟骨から10cm以上外側の部分まで摘出するよ」べき…ブチブチブチ

アニ「いぐぅッ!?…(べきブチッ)いいいいいいいいいぃぃぃぃ~~~~!!!!」

ハンジ「昨日みたいに段々息が吸えなくなっていくだろうな。苦しいだろうから早めに終わらせてあげるよ。心臓が出てくるまで待って」ブチ!メキミシ…

アニ「があああああああああああああああ!!!!」

右胸の第六肋骨と第五肋骨が完全に断裂しており、軟骨で繋がるのみだった。間の肉がつままれ引っ張り出され、ちぎられた。

ハンジ「中落ちってこんな感じなんだろうな~…アニ?どう思う?君の故郷では肉はよく食べるの?…あ、大分イっちゃってるね、もう」

アニ「あ…ガブ…グ………あ…あ…」ガタガタガタガタ

ハンジ「ア~ニ~、返事して~…ああ、意識失っちゃってるかな?ん?」

シャ~~~~~…チョロチョロチョロ…

ハンジ「おっほおおおおおおおおおお!聖水きたああああああああああ!!んぐっ、がぼがぼ、んごく…ごく…」

アニ「あ…」

アニは朦朧とする意識の中、股間にしゃぶりつくハンジを見た。

膀胱が空になってもぴちゃぴちゃと女陰を舐めるその姿に、おぞましさも恐怖も感じずただただ無感動だった。感じていたのは痛みとそれに伴うめまいだけだった。

ハンジ「ふう~~。おいしかったぁ~。人間みたいに排泄するのも君のいいところだよ、アニ。普通の巨人と違ってね」

心臓が露出した。呼吸は既に意識を保てるギリギリまで絞られていた。

アニ「ふっ、ふっ、ふ……ぶ…ぎゅ……っは…ッ!!」

目の焦点は定まらず朦朧とした意識でぐらぐらと頭を揺らすアニ。

ハンジ「ごめんよぉ、苦しいよね!?これで終わりだからねぇ」プス

アニ「んぐ!?(ビク!)…はぁ…っふ…ぐ…」

その時のアニの朦朧とした意識では、自分の心臓に施された処置を認識することが出来なかった。すぐに目の前が暗くなり、失神。再生の蒸気が上がっていく

ハンジ「眠れ…アニ。これで本当に巨人になれなくなるのなら…もっと愛してあげられるよ」


次の日、ハンジは処置の効果の検証の意味も込め、あるものの開催をを認可した。

ハンジ「ひっさしぶりの外、どうだい?」

アニ「…………は?」

アニは困惑していた。裸のまま、手錠だけで地下通路を歩かされ、付いた先は地上。もう自分で脱出する以外陽の光を見ることは出来ないと思っていたのに…

アニ「…どんな意図があるのか知らないけど。うかつにもほどがあるんじゃ?私がここで手を噛めばあんたは爆風で死ぬよ。猿轡すらしないなんて」

ハンジ「…これから君は衆人環視の中で陵辱されることになる。痛みもそうだけど…これまでで一番精神的にきついと思うよ。でも大丈夫だから」ぎゅ!

アニを抱きしめるハンジ。恋人がそうするようにやさしく、力強く…

アニ「…っ!?はなせ…ッ!………はぁ…あんたあれ?同性愛なの?今まで散々変なことして…女同士とはいえ乙女にそんなこと…していいと思ってんの?」

股間を舐められた記憶は意識混濁ゆえ曖昧だったが現実のものという実感も伴っており、敢えて思い出したくもないので考えないようにしていた。

ハンジ「大丈夫、心配しないで…私は巨人が好きなだけだから」

アニ「………」

モブリット「分隊長…ちょっとよろしいですか?」

ハンジ「うん。じゃ、そろそろはじまるだろうから…覚悟は決めておいてね」

アニ(……え?私を放置…?チャ、チャンスだけど…さすがにここまで都合がいいと警戒してしまう…)

それでもアニは左手親指の付け根を口へ持っていった

モブリット「分隊長、いくらなんでもろくに検証もせずに外へ出すなんて…!」

ハンジ「それは分ってる。でも遺族会の突き上げがね…なぜ怨敵を捕らえているのに何もしないのかって」

ハンジ「何もしてないわけないのにねぇ。それでも彼らは納得しなかった。遺族会の長がこさえた舞台があれさ」

青空の下、広場には木組みの粗末なステージがあるだけだった。

ハンジ「そう焦ってすることもないんだけどね。でも彼女を急にこの状況に投げ入れれば…何か分ると思わないか?」


アニ「~~~~~~~~っっ!!!!」ガブゥッ!

必死で手に喰らい付くアニ。既に何度も噛み跡がつき、手も顔も無残に血に塗れていた。

アニ「あ…なんで……もう、完璧に制御できるはずなのに…っ!目的意識…故郷に…帰る!」ガチ!

アニは自分がいかにその力に頼り、敵地での心のより所にしていたかを思い知った。この力は大嫌いだったのに…

父の意思ですらない巨人化能力の付加は、工作員としての押し付けられた任務、過酷な運命…その象徴だった。皮膚のない醜い体、人間らしさを失っていく自分…

出来ることなら普通の女の子に戻りたい。毎夜そう思っていた時期もあった。それが…

いざその力を発動できなくなったとき、こんなにも心乱されるとは…

アニ「あ…あぁ…嘘、嘘、いやぁ…た、たすけて…!」

アニ「いや…帰る!帰るぅ!こいつらぶっ殺して…お父さんのところへ!!」

ハンジ「それが君の本心って事かい?アニ君…」

アニ「…!」

モブリット「こいつ…っ!まだ我々を殺す気で…罪悪感はないのか!!」

しまった、という気と、どうでもいい、という気持ちが混在していた。どうせもう何を言ってもこいつらの興味と嗜虐心を満たす為だけに痛めつけられるのだろう。

ハンジ「アニ…本当に、殺すことをなんとも思ってないの?…罪悪感とか……そしてそれは大義のためにではなく、任務を終えて帰還したいから?」

モブリット「ふざけてる…」

アニはへたり込んだ。仮面は剥がれ、本音しか言えない素の自分…

アニ「あ…あはは…それで何が悪いのさ…あ、いや…あんた達には悪いとは思ってる…でも…もう…逃げたい…ごめんなさい…」

ハンジ「……」

モブリット「……それは出来ない相談だ」

ハンジ「まあ、そんな怖い顔しないであげてよ。目の前にいるのは16歳の女の子なんだよ?まあこれからすることで少しは改心するさ」

アニ「………(…女の子?巨人だと思ってるんじゃ…)」

ハンジ「はい~~~~!お集まりの皆さん!調査兵団分隊長のハンジです!!」

調査兵団遺族「……」

アニ「……」

アニはステージのまんなかでX字に磔にされていた。脚を90度に広げられ、手首と足首の部分で縄で拘束されていた。胴体部分を身じろぎさせることしか出来ない。

多数の人間に純白の裸体をさらす恥辱は、アニには耐えがたかった。赤面するが、すぐに青ざめることになる。

ペトラ父「さっさと始めましょうよ。御託はいいから」

遺族会の代表が急かす。

ハンジ「…では、本日の演目を御照覧下さい!!これがアニ君の初めての相手です!!」

モブリットが台車を押してきた。その上には火熾し器。中には燃え盛る石炭と、それに熱せられ赤く焼けた鉄棒が数本突っ込まれていた。

アニ「~っ!!」

台車は縛られているアニの傍らで止まった。顔は自由に動かせたのでアニはそれを凝視する。鉄棒の先端部は完全に赤熱しており、炭の上げる熱気が体を覆った、

アニ(あ…あ…あ…これで…肌を焼く気…ッ……え?初めてって…どういう…?)

初心なアニの知らないことがこの世にはまだまだ沢山あった。しかしもう…乙女としてそれに触れることは出来ないのであった。

皮の手袋をはめたハンジが一本の鉄棒を持ってアニの傍らに立つ。その鉄棒は人間の腕より一周り細く、当然、赤く光を放っていた。

ハンジ「じゃ勿体つけずに挿れますよ~~」

遺族連「やれーーーーーーーー!!!やっちまええええええええ!!」

青空の下、観衆の怒号と熱狂が渦巻いていた。

ハンジのもつ鉄棒がおもむろにアニの足のあいだに向かう。アニは内腿で熱を感じ…より敏感な部分がさらに熱を強く感知する。

アニ「う…っ!!(いれる…?どこに……お尻の穴?…いや、そうじゃない、まさか…まさか!)

ジュ

アニ「!?うんんんんんんんんんんがああああっっ……はあああああああ!!」ガクガクガクン!ガクン!

跳ね回るアニの胴体とともに磔台が音を立てたが、ステージに据え付けられている台座は微動だにしなかった。胸も一緒に跳ね回る。

ぶわっと吹き出した汗があたりに跳ね飛ぶ。アニの純潔の膣腔は鉄棒を受け入れるのには少々手狭だったが、挿入は不可能ではなかった。

焼け焦げた肉の匂いが立ち登り、アニの愛らしくも意志の強そうな印象の鷲鼻に届く。最悪の処女喪失はこの匂いとともに記憶されるのだ。

ジュジュ……

アニ「んいぃぃぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」ビクビク!!ガクンガクン!!

狂ったように頭部を揺らすアニ。無理もない。熱がもたらす痛み、大きめの侵入物に膣肉が裂ける痛み。どちらかだけでも理性を崩壊させるに十分だ。

アニ「いぎ!!いぎぃ!!ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいああああああああああああああ!!!!」

さらに鉄棒は押し込まれていく。まだまだ冷えず、肉を焼いて癒着させてはハンジが捻り、それを引き剥がす。処女膜などとうに突破していた。

アニ「いぃぃぃい!?ひあ、ひあ、いぐああああああああああああ!!!!」

ペトラ父「うはは!!いい気味だぜ!!……だがなあ、俺の娘は悲鳴を上げるまもなく死んでったんだぞ!!!人間らしく痛がってんじゃねええ!!」

遺族連「さらなる制裁を!!!さらなる制裁を!!さらなる制裁を!!!さらなる制裁を!!」

ハンジ「はいはい、大丈夫ですよ~このままもっと突き入れますからね~…あれ?入らなくなってきたな…」グッグッ

アニ「あ…が……ぐが…ぎいいいい…」ピクピクピク

太すぎた侵入物は摩擦抵抗でそのままではもう入らなくなっていた。アニは陰部の猛烈な痛みと下腹部全体に広がる熱を感じていた。

ハンジはアニの中へ入っているのとは反対の先端をブーツでコツコツと軽く叩いた。

ハンジ「アニ?………ねえ、何か言ってごらん?彼らへの謝罪の言葉でも吐けばこのあとの責めもちょっとは加減して…」

アニ「…そ………りゃ………ぐぎ…い……気の毒………く…っふ………うんん…!?………気の毒だとッ!!おもって…る…けど……!」

ハンジ「なに…他人事みたいに言ってんの?ほかにないの?」

アニ「あ…………これ…は…に、任務で…私だって………罪悪感と……!戦って……」

ペトラ父「ふざけんなああああああ!!!おらあ!!やってくれええ!!!」

ハンジは鉄棒を思いっ切り蹴り上げた。かーん、と鉄の音がした。流石にハンジも足に痛みを覚えた。

アニ「かっッッっ………ばあああああああ!!!!!!!」ガク!ガク!ガク!

押し込まれた鉄棒は子宮口を擦り、焼き、膣道の奥を破って体内へ侵入した。溢れ出た血を煮立てて。アニはもう限界だった。

アニ「あ……あ……」

再生の制御を解放し下腹部の傷を治癒、痛覚を鈍麻…できなかった。

アニ「あ…れ…あ…え…?(再生…しない?あ…さっきも巨人化できなかった…!…え?え?)」

ハンジ「アニ…実はね、方法は明かせないけど再生や巨人化を抑制する措置を施したんだ」

ハンジ「ああ安心して。巨人化は絶対できないけど再生はできるから」

ハンジ「致命傷になるものだけはね」

アニ「え…?致命…って…こ、これは…」

下腹部の、普通人であれば絶望的な、今アニの中でできているだろう傷を皮膚越しに想像する。これでも致命傷ではないというのか…

ハンジ「さあね。これでも発動しないんだってのにはちょっと驚いたけど君の体は再生する必要ないと判断したんじゃないかな?(心臓の鋲とくらべて)」

ハンジ「じゃ、次行くよ。このアニに突っ込まれた鉄棒を下から熱するよ~~、やっぱりモノは熱いほうがいいよね?」

アニ「いや、いや、いやああああああああああああああああ!!!」

新たな炉が持ち込まれ、アニの真下にセットされる。もちろん棒の下部先端を火の中に突っ込んで。立ち上る熱気にアニはむせた。

熱伝導率と上がる熱気により、思いのほか早くアニは体内の熱の高まりを感じた。もともと鉄棒が持っていた熱は腹を突き破り血をかぶることで冷えていたが、

再度熱を復活させ、アニの血を沸騰させ、腸を炙り、骨を焦がした。

アニ「あぎいいいいいいいいいいいいああああああああああああああああああああああああごがああああああああああああ!!!!!」バタバタバタバタ

もはや恥も何もあったものではない。全力で声を上げ、全力で胴体を暴れさせ、全力で手を握った。

女の子らしい薄い爪は割れ、故郷と壁内の訓練で厚くなった手のひらを突き破り、血が滴った。涙と涎で顔はぐちゃぐちゃになり、ピクピクと痙攣していた。

しかし端正な顔立ちが苦痛に歪み狂う様には、独特の崇高な美しさがあった。観衆は獣じみた叫びにエクスタシーを感じていた。

遺族連「ざまあみろ!!もっと苦しめ!!!」

ペトラ父「だははははははは!!!」

ハンジ(本当は…こんな衆目に晒すなど、反対だったんだ。でも遺族側に満足な補償もできない以上、言いなりになる他…)

アニ「んぎいいいいいいい!!!んぎいいい!!ごっがあああああああああああああああああああ!!!」がたがたがた!

技術で戦ってきたアニはもともと非力ではあったが、もはや手足を引きちぎらんばかりで体を動揺させていた。実際右肩は暴れすぎで脱臼していた。

その脱臼の痛みすら、今現在も温度を上昇させ続ける鉄棒の責め苦の前では意識に登らないほどであった。

沸騰した血液から生じた蒸気が、胃も、肺も、心臓も、燻製にせんばかりの勢いであった。肝臓と小腸は熱で白と黒に変色していた。

アニ「げが!?ぎい!?が…は…」…ガクリ、シュウウウウウ…

ハンジ「お?」

脳に多大な負担をかける痛みと苦しみのストレス、多臓器不全寸前の損傷、やっと再生系は心臓以外の部分の再生を心臓の再生と同順位のものと評価した。

つまり、アニの不死身に近かった体は、死ぬほどの責め苦を通り抜けなければ、決して再生できぬものへと変貌したのだ。

ハンジ「あ、アニ?起きた?鉄棒、抜いてあげたよ。もうすごいんだ、グチョグチョに肉が癒着していて引き出すのにモブリットに手伝ってもらったくらい」

ハンジ「引っ張り出したらずるっと膣壁も子宮も全部引き出されちゃってね。さすがの血に飢えた観衆もうわあ、とか言ってたよ」

ハンジ「そんで引き出し終わったらものすごい量の血が湯気を立てながら流れ出てきて…」

アニ「おげえええええええええ………っぷ」びちゃびちゃびちゃ…

ハンジ「…………あのさあ、アニ。吐くのなんてもうどうでもいいけど、さっきの発言だよ問題は。君の心について」

アニ「げっ、げっ………うぷ………はあ、はあ、はあ……あ、あたしの……心?」

ハンジ「うん。遺族のみなさんと話してみようか、ラルさーん!」

ペトラ父「………はい」

ハンジ「遺族代表のあなたに聞きます。この巨人をどうしたいんですか!?」

ペトラ父「………殺す。できるだけ苦しませて。あの娘の億倍の苦しみを味合わせて」

アニ「………っ!」

モブリット「自分は聞きました!こいつが未だに謝罪の意思もなく、我々を殺して逃げたいと言っているのを!!」

遺族連「!?」

ペトラ父「………………はあああああああああああ??????」

アニ(もう…いいかな……ここで死んで償って…あはは)

ペトラ父「あのよお、巨人さん。今もそう思ってんの?」

アニ(………………もういい。何も思いつかない。正直に言おう)

アニ「……………ああ、そうだね。任務だから………でも……道徳的なもの以上の私に過度の責任を追求するのは…承服できない」

アニ「そもそもこの任務は………ある種、緊急避難的なもので……私たちの生存権が……もちろんなん交渉もなく始めたのは問題だけど…」

ペトラ父「あっそ。決まりだな。分隊長さん、いいね?」

ハンジ「ええ、言われたとおり用意してあります」

広場で立ち見していた遺族たちが整然と列をなしてステージに上がって行く。彼らが作った舞台だ。勝手はわかっていた。

そもそもこのショーで調査兵団側が用意したのは焼き鉄責めとこの演目での道具だけだ。ステージに上がった遺族は順に兵団関係者から金属の束を受け取って行く。

ハンジ「あ、脳や脊椎はアウトなんでそこだけ」

アニはもうすでに何をされるのは把握していた。バツ字で手足を広げているので身体のどこにでもそれを施すことができた。

アニ「う……!」

アニはこれからされることへの恐怖と、自分がしたことの結果に戦慄した。こんな普通の人が自分を殺したいほどの敵意を…

老婆「あたしが最初だね。巨人さん。天罰だよ」プス…ズズズ

アニ「か………っは………!!アグ!」

鈍く光る金属の針がアニの肩口に突き立てられ、差し込まれて行く。

体は完全に再生して体調は六分だが、当然乙女の柔肌も、鍛えて筋の出たしなやかで強靭な筋肉も、それを防ぐことはできない。

切っ先が骨に当たり、先へ進まぬことにイラついた老婆はガリガリとそれを引っ掻いて通り抜けられそうな箇所を探した

アニ「ん………っふ!………んううう!!っふ!」プルプル…

先ほどよりかなりましとはいえ、骨を傷つけられる別種の痛みにアニは呻いた。それでも傷の広がりを恐れ、体は意識して動かさず、小刻みに震えるだけ。

アニ「ふ、ん……っ!?」ズブ

ついに先端が向こうへ抜けた。長い針なのでまだまだ余裕があったが、後ろの、アニをはりつけている磔台にそれ以上の侵攻を阻まれた。

その針は三角筋を貫き、それでも十分な痛みをアニに与えたが、偶然神経を傷つけ、圧迫し、鈍い、押し潰されたような持続的な痛みを与え続けた。

アニ「う…ぐう!」

老婆「一本で終わりじゃないからね。また順番が来たらね」

老婆はアニの体に針を残したまま、その場を去り、列の最後尾へ。

アニ(ま……まさかこれだけの人数が持ってる針を全て……っ!)

40人が何回ローテーションすればゴールなのか…アニは気が遠くなる感じを覚えた。

アニ「い…ぐぅ…いいい……ッッ!!!」プルプル

アニの手足を総数40本の針が貫通していた。そこには一回目の周回は手足に限るという暗黙のルールがあった。

いろいろな方向に針が飛び出たその手足はまるでサボテンであった。この世界の人間がサボテンを思い浮かべることはないのだが。

その先端はアニの筋肉の痙攣とともに僅かに震えており、その振幅こそアニの感じている苦痛を表しているかのようであった。時折揺れがビクッと大きくなる。

老婆「また会ったわね、お嬢ちゃん…痛い?」

アニ「っは、っは、っは…う…い…痛い……です…ッ!」

アニの心は本日の限界を迎えようとしていた。実験(拷問)初日から与え続けられる責め苦はその日その日に用意できる正気の量を少しずつ削っていった。

アニ「あ……あの…う!……あ、あたしがしたことの重さはわかっているつもり…だっ……た…!…でも…こ…ここまでされるほどの…ことだったな…」ブス!

アニ「あいいいい!??」ビク!

老婆「そんなの当たり前じゃないか!!!!お前はグンタを…よくも!!!!薄汚い巨人があああああ!!!」グリグリ

針は腹に刺さっていた。骨盤の上あたりに無造作に突き入れられたそれは腎臓を刺すか刺さないかのあたりをえぐり、内蔵損傷特有の不快感と痛みをもたらした。

アニ「ぐうううううううう!!!!」ピクピクピク

老婆「まだ終わらないからね…この悪魔が…!」

アニ(悪魔…)

アニは故郷で何度も聞いたその言葉が自分に向けられたものであることに実感が持てないでいた。

ペトラ父「で?どーよ気分は?」

アニ「ひ…ひぐ!…が…ヴ…」

三周目。針は100本の大台に達そうとしていた。一週目は手足限定。二週目は腹部、といっても控えめな、生命活動に無害そうな部分。

三週目の今回はどこに刺そうか迷うものが多かった。お茶を濁すように手足に刺して四週目を待つものが多かった。マンネリ化していた。

アニ「あ……っ!あたし…は…本当に……申し訳ないことを…!」カタカタ

半分本心、半分追い詰められてであった。アニはなんの危害も加えられない状態でなら自分はどうだったろうかと考えた。

先程までのような自己弁護する自分?罪悪感を吐露する自分?憲兵団同期に長々と持論を展開して理解を求めた自分?

あれだけのことをして、かかわらないようにしていたのに結局仲間意識を抱いてしまった自分、殺戮のあと巨人の体で泣いた自分…人格の分裂…もう何がなんだかわからない

アニ(あたしは何がしたかったんだろう…)

罪悪感は自分を破滅させるほど抱いていた。それは確かなのに… 欺き続けなければならなかったから…

その葛藤と向き合いたくないがために故郷をがむしゃらに目指した。壁内の人間と、自分の心からの逃避…戦士の運命を早く脱ぎ捨てようと…

だがそれは叶わなかった。いまやすべてのツケが回ってきた。そんな思いだった。自分が虫のいいことを考えていた、恥ずべき人間のように思えた。

アニ(そうだよ…実際…そうなんだ)

ペトラ父「ほーん、謝罪の気持ちがあるんだ。で?どうやって詫びんの?死ぬの?」

アニ「…………はい………っ!!死んで……詫びます…っ!!」

アニ(ごめんなさい、お父さん、あたしは流されてるだけだよねえ……まだ人間のつもりだけど…クズで……馬鹿で…虫がよくて)

ペトラ父「……………は?」ペシン

アニ「~~~~~~~~~ッッ!!??」

刺された無数の針を軽くはたいただけ。こちら側の針の先端をなでるように。内蔵が掻き回され、痛みにアニはうめいた。

ペトラ父「あのさ、死ぬのなんて既定路線なんだわ。それ以上のさ、一生あなたたちの肉便器になりますとかさ。ないの?」

アニ「あ…え…にく…?」

知らない言葉だった。

ペトラ父「は~~~~~~~っ、もうええわ。おーい、みんな来い。全員で今のやろうぜ」

遺族連(ドタドタドタ)

アニ「あ…ああ…」

必ず来るとわかっている痛みを覚悟する…もうそれもおぼつかなかった。恐怖や嫌だという思いばかりが膨らんでいった。

ペし!ずぶぶ、グリグリ

アニ「ぎゃっ!!!やめっ!!いぎいい!!!」ガク!ブルブル!

磔にされたアニの前に集まった数人が既に刺された100本弱の針を叩き、抜き差しし、ぐりぐりとそれで内部をかき回した。

手足は内出血で赤く晴れ上がり、内蔵はずたずたになり、消化器官の内壁は血液に塗れた。

グリ…ヌチチ…ブチ!ガリガリ…

アニ「ぎゃあッ!!いや、いや、もうダメ、もうダメ、もうダメ…ああああああああああああああああ!!!」

アニは泣きじゃくった。叫びを上げた。そこにいたのはごく普通の16歳の女の子だった。戦士を目指すための虚飾は剥げ落ち、クールぶった仮面も剥げ、

ただむき出しの反応がそこにあった。初日から随分叫んでいたが…ここまで崩れることはなかった。

アニ「いやああああああ!!!おとうさーーーーーーん!!!いやあ!!!助け、たすけてえええええ!!!」

「この世のすべてを敵に回したっていい」
「この世のすべてからお前が恨まれることになっても・・・」
「父さんだけはお前の味方だ」

アニ「いやああ!!!痛い痛い痛いいいいいいい!!!あああああああああ!!!!」バタバタ

ペトラ父「なんだよ人間のガキみてえに騒ぎやがって…どうした?お前ら。手が止まってんぞ!!」

遺族連「いや…なんか…」

老婆「…もうあたしは満足ですよ、会長。最後の処刑まで、この件はもういいんです。みんなもそうだろう?」

遺族A「…まあ」

遺族連「………ヒソ……なんだか……ヒソ……かわいそ…だか………見たくな……」

ペトラ父「あッッッそ!!!!!!!!じゃあ、俺ひとりでやりますから!!!勝手に帰れ帰れ!!」ガ!グリリブチブチ

アニ「あぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!」ガクガクガクガク…かくっ…シュウウ

腹に刺さる数本を束にしてつかみ、力を込めてねじる。皮膚が裂け、血が滴った。アニは失神し、重要臓器が損傷したせいか再生が始まる。

ペトラ父「ぎゃはは!い~い声で鳴くぜこの巨人!今日だけは自由にしていいって話なんだ!まだまだやらせてもらうぜ!!はっはあ!!」

ハンジ「あのお…みなさん帰っちゃいましたよ?我々がアニへの接触を許したのは遺族会であって代表のあなた個人ではないんですが…」

ペトラ父「………あぁ?」

ハンジ「お引き取りください。今日はもう終わりです…(大事な大事なアニが壊れるかもしれないからね…まずは休息だ。ラルさんには地下で活躍してもらおう)」

地下室に戻され、鎮静剤を打たれたアニ。だいぶ理性がもどっている。裸のままで、手錠がはめられ力なく横たわっている。

ハンジ「気分はどう?アニ」

アニ「………ねえ。最悪以外の何があるっていうの?頼むからもうほっといてよ…今日はさすがにもう終わりだろ?」

ハンジ「ああ、拷問や実験はまた明日。それより…今日はさすがにきつかったんじゃない?みんなからああされて…今までにない素のアニが見れた気がしたよ」

自分の狂態を思い出せる限り思い出す。恥…ではない。痛烈な敗北感…父に助けを求めたこと…簡単にコンプレックスを振り切って…あれほど素直になれなかったのに。

そんなことはどうでもいい。自分はこいつらに敗北したのだ。いや、情報を吐き出す最悪の負けではないが、それでもアニは屈辱を感じた。

アニ「あんなこと…乙女にする?…いくら憎いからって…あんた、それとあの男…本当に悪魔なんじゃないの?みんな引いて帰ってたよ?」

ハンジ「まだ自分のしたことがわかってないのかなあ…あの人は君が殺したペトラ・ラルの父親…娘を無残に殺されたらああなるさ」

アニ「…………!」

父親…娘……初めて自分がしたことがリアルに感じられ始めた。自分がこいつらに無残に殺されたら…いやこのように恥ずかしめを受けるだけで十分。

そうされたなら父さんはああいうふうに激昂するだろう……抽象的だった罪悪感が初めて色と形を持って、アニの心に重くのしかかった。

ハンジ「ねえ、乙女って…おまんこにあんなものぶち込まれて乙女とは…あっはっはっはっは」

アニ「………~~~ッ!(あたし…汚れされた?…)」

ハンジ「ああ、実感が持てないならいいよ?持てるようにしてあげるから…ラルさーん!」

ペトラ父(ギイ…バタン)「…」  アニ「え…」

ハンジ「じゃ、あとはお楽しみってことで…」ギィ…バタン…

…長い沈黙が二人の間に流れた。アニは今更ながら裸に恥じらいを感じ、もぞもぞ身をよじった。乳房、陰毛、陰部…手が後ろに回されてるせいもあり、どうやっても隠せるのは一つか二つだった。

ペトラ父「照れてんのか。憎たらしい。まあ平然としていられる方が憎たらしいけどよ…おまえ…俺を恨んでいるか?」

アニ「………そんな資格あたしにはないよ………ないです…ありません。さっき兵団の人から聞きました。ペトラさん…金髪の若い女性…覚えています、その…」

ペトラ父「どうやって殺したか」

アニ「………はい………こんなこと…聞きたく…ないですよね?」

ペトラ父「まあな……他に言いたいことは?正直お前と言葉交わしてるだけで耐えられないけどよ、聞くだけ聞きたいんだわ」

アニ「………あたしにも、父がいて、あたしを愛してくれました。私もそれに応えようと……私が死んだら父はどんなにか苦しむこ(ボグ!)うごっ…!?」

ペトラ父「どうでもいいからそんなこと…唯一の家族を失った俺が…単純な謝意で満足するとでも?」

アニ「………」

ペトラ父「……精々泣き叫んで俺を喜ばせろよ。俺の娘もそうやっていたぶり殺したんだろ?」

アニ「え…あ…違…」

アニは自分の右足で押しつぶした若き女性兵士の最後の表情を思い出し、その心情を想像した。

命を晒しつつ無敵モードで雑魚的を蹴散らすような矛盾した状況…コンバットハイ…エレンを奪還されるその瞬間まで殺しの実感はなかった。

流した涙は罪悪感?後悔?故郷への道が遠のいたことへの自分への憐れみ?……自分はもう永遠にこの世界から憎まれることになると知ったことへの悲しみ…

ペトラ父「よいしょっと」

全裸の男が自分の足を押し広げて間に身をねじ込む。後ろに回された腕が圧迫され、背中には金属製の手錠のリングが食い込み、両方とも鈍く痛んだ。

抵抗は簡単だった。アニの技術を持ってすれば、この状況でも難なく足を使った絞め技でこの男を締め落とせただろう。

だができない…そのあと脱出する算段がないのもあるが、それより大きいのは罰を受け入れる気持ち…

女性であれば全力で抵抗する以外にないこの状況で、アニは静かでいられた。いやそれは諦観だった。泣きそうな表情だけは隠すことができなかった。

ペトラ父「ククク…なっさけねえ顔するじゃねえか。いいぜえ、もっと俺を楽しませろぉ…じゃ、挿れるぞ?」

アニ「………っく!?あ…ああああああ……あ……」


男が去ったあと、部屋には饐えたような匂いが充満していた。アニに加えられた陵辱…正規の手続きを踏まずに処女喪失した上破壊された膣は再生。元の清い狭いままの姿だった。

しかしそれももはや過去のこと。中年男の肉茎に幾度も掘り返され、臭いの強い濃縮した精を放たれた秘所…もはや処女膜は再生せず、アニはもう純潔ではないのだった。

アニ(……………もう……こうなっちまったら終り………もう…いやだ……お父さんに合わせる顔も…)

舌を噛みちぎって自決しようとする。しかし気を失うと同時に舌の傷が修復され失敗。長期に渡って心臓から修復要請の信号が送られ続けることで制御は不安定になっていた。

アニ「…………………あははははははははははははははははははは…こんな、こんな有様になっても死ぬことさえ許されないの…?」

アニ「うぅ………お父さん…あたしはどうしたら…帰りたい…ッ!…帰りたいよぉ………」

ハンジ「ん?アルミン?…言いたいことがあるんだね。うん、察しはついてるけど…言ってみて」

アルミン「………ハンジさんの調査兵団への功績は知っています。これまでの経歴も…モブリットさんから聞きました。本当に尊敬できる方だと思っています」

アルミン「しかし…その…いくらなんでもなんて言うとアレですけど…その…同期だった人間に対して…こういうのは…僕も提案しましたけど、少し……」

ハンジ「言いたいことはわかるよ…うん。なかなか受け止められないよね。こんな…一番残酷な形で人間性を捨てることを要求されてるんだから」

ハンジ「でも君の本当の気持ちもわかってる。これから兵団を引っ張って行く立場なら、情も捨てなきゃならない」

ハンジ「わかってるんだろう?やらなくちゃいけないってこと。私にそういうこと言うのは気持ちの整理が付いてないだけで…違うかい?」

アルミン「……………そう、ですね。正直受け止めきれなかっただけなんです。あの…アニに…こんなことを…」

ハンジ「………アルミン。君はまだ若い。迷うのは当然だ。それでも間違いがあるとすれば、甘えたことを言った相手が私だというところ」

ハンジ「いや私だって相談には乗れるよ?でもねぇ、世代の差は大きいんだ。ことこんな平均寿命が狂った組織ではね」

ハンジ「君の同期で、そういう相談をできる相手を作りなさい。私はリヴァイとよくそういう話をするよ。やっぱり理解し合えるのは立場が近しい仲でだよ」

アルミン「…………そうですか…そうかも知れません。葛藤は上の立場になるほど心中に秘めなければならない…それでも話すなら精一杯甘えられる仲間に…」

ハンジ「そ!そういうこと!さっすがアルミン、飲み込みが早いね!」

ケイジ「アルレルトォ!こっち手伝え!さっきから呼んでんだぞ!」

アルミン「あ、はい!それじゃ、どうも、未熟なことを言ってすみませんでした、それと、ありがとうございます!」タッ…

ハンジ「……………………これが親心ってやつかな。嬉しいような寂しいような…死んでも安心できそうと感じるのは初めてだな」

ハンジ「今度は巨人としてではなく人間様のための実験だ~、医学データの実験台になってもらうよ~」

アニ「……………あらゆることに利用するってわけ」

ハンジ「まあ、安心してよ。君には科学的・政治的な利用価値がある…大切に扱うよ」

アニ「………………ニクベンキってやつにもするんだ」

ハンジ「ん~、あれは悪いと思ってるよ~、ああしなくっちゃラルさん納得しなくてね~」

アニ「……………もういい。巨人化もできない、死のうとしても死ねない…後はいいように利用されるだけ。なんでだろうね…これでもまだ狂えないよ」

ハンジ「うふふ~、今日のは多分今までで一番ぶっ飛べると思うよ!大いに狂ってね!」

ハンジ「実験でーーーーす!!消化管、膣道の耐久試験んんんんん~~~~~~!!!」

道具を取りに行ったハンジ。アニを自由にさせたいための拘束具は手錠と壁につながる足錠だけだったが、アニは脱走の工作をする気力が萎えてしまっていた。

アニ「……………(もう何をされてもどうでも良くなってきてる。お父さんに会うには、逃げる算段を……でも…少し…休みたい…もう、私は…)」

ハンジが重そうな木箱を抱えてきて、そーっと地面に置く。箱の中にはピンポン球より一周り大きい程度の鉄球が數十個入っていた。幾つかは赤く色がつけられている。

ハンジ「ふう、全部で十数キロあるからね、重かったよ」

アニ「なんだいそれ…あたしにぶつけて遊ぶの?」

ハンジ「ははっ。違う違う。さっき言ったろ?体の中の耐久試験だって……」

アニ「……………?……………っ!!」

何をされるかようやく得心がいった。ハンジがアニの頭を抱えて…

アニ「オゴ!?ご…っ!………おべ……」

アニの口に赤い鉄球を詰め込んでいく。アニは喉を閉めて抵抗するも、鼻を摘ままれ息ができなくなったところを無理やり押し込まれる。

アニ「ごえ!!ごげっがはっ!!ご…」ジタバタ…

やる気のない抵抗。既に胃袋には何個かの赤玉が入り、身をよじるたびぶっつかりあってカチカチと音を立てる。アニは胃の中のぶつかり合う鉄球の振動を感じていた。

アニ「ごげ!かはっ!…んはあ、はあ……んギ………ッ~~~~~!?」

喉を通過する時、食堂が張り裂けそうになり、痛みに呻き声をあげようとするが、喉の異物に阻まれる。これでそれも四回目である。

ハンジ「いよし、胃はこれでいいかな…じゃ、次は逆側から入れようか」

アニを四つん這いにさせる。少し体に力を入れて抗うものの、弱っているのか投げやりになっているのか、もはやされるがママだ。

ジャラジャラと足に着いた鎖が音を立てる。四つん這いになると、腹に入った計一キロ弱の鉄球が下がって、胃を重力のなすがまま引っ張った。

アニ「ぐ…ぎ…(これを………あと何キロ分……っ!!)」

ハンジ「ふふ…素直に四つん這いになったじゃないか。とうとう屈服したのかな?」

アニ「はぁ…はぁ…あ……あんらに真っ向から抗っても…体力の無駄だからね…!」

そう言ってもアニは嘘だなあと思った。もはや自分は真剣に脱出を考えていないのではないか?そんな疑念を強く感じていた。

ハンジ「あはは、じゃあがんばって脱出の機会を見つけてよ。じゃ、行くよ?」ツプ…

アニ「ひっ」

冷たいものが肛門の入り口に当たったのを感じた。思わず情けない声が上がる。膣は破壊の限りを尽くされたが、肛門への加虐は初だった。

むしろ、肛門にあてがわれたそれからはまだ痛みがないせいか、おぞましさの裏に淫靡な気持ち良さすら…

ヌプ……グイグイ

アニ「グギ………っ!」

しかしそれも一瞬のこと。肛門で受け入れるには大きすぎるものが入って…

アニ「………え?(鉄球が入ってこない?)」

ハンジ「浣腸だよ、浣腸。ガラス製だから暴れないで、危ないよ……まずはお腹の中を綺麗にしないとね」

ちゅ~~~……

アニ「う、う、う………あぁ~~………!」

今までの拷問のような実験とは全く違う、不快な感覚がアニの尻を襲った。今になってやっと逃げたくなる。しかしハンジによってがっちりと腰がホールドされていた。

ハンジ「ほら、だんだん入っていくよ~。大便が体内にあふれて大変なことにならないように完璧に綺麗にするからね」ちゅー…

アニ「あ…あ……やめ…あぁ…っ」ピク…ビク!

アニは液体薬剤で大腸が冷えていくのを感じた。白く濁った液体は腸を蠕動させ、排便を促す。肛門をキュッと締めてそれに抗う。ハンジはアニの肛門の可愛い動きを見て微笑む。

既に腸にどのくらい入ったかアニにはわからなかったが、冷えが下腹部にじんわり広がり、尋常でない量が流し込まれていることはわかった。

アニ「う…ぐ……気持ち悪い…(けど…あれ?意外と大丈夫…?)」

浣腸がどういうものかは知っていたが、実際にされたことはなかった。液体を入れられたばかりのアニの腸はまだ悲鳴を上げない。しかし…

ハンジ「はい、一本目終了!抜くね」チュぽ

アニ「ぁ…ンっ……………?……うぐ!?」ぎゅるるる

抜かれた瞬間、猛烈な便意がやってきた。肛門を締める力に全力を傾けるしかない、なんとか大丈夫…だがいつまで耐えられるだろう?

注射器が抜かれる時に気色悪い声を上げてしまった失敗など気にならないほどの急激な変化だった。

アニ「あ…あの……これ…トイレ…っ!」

ハンジ「ええ?あはは、トイレなんてここに来てから使ってないじゃないか、みーんな垂れ流しで私に処理してもらってただろ?」

それは事実だった。いつも拘束具があり、排便を受け止める物もなく、垂れ流してはハンジが清拭していた。もうそのことに感じる恥辱もだいぶ薄れていたが…

目の前で漏らすのを見られたことはなかった。

アニ「あ、あぐ…ぎ…(ぎゅるるろろろ…)うんっ…ふん…!」ゆら、ゆら

四つん這いで必死に決壊を防ぎ、耐える。尻が揺れてしまうのは止められなかった…だがそれはとても扇情的な動きで…

ハンジ「ふふふ、私が男だったら、たまらなかっただろうね…さ、もう一本行くよ。どこまで耐えられるかな…入れてる最中に漏らすのはダメだよ、興ざめだから」ぷすプ…ちゅう

アニ「いやああ、やめ!…っぐぅ…!やめ…て!!」ビクビク!

注射器が肛門を抜けた瞬間と、薬液が注入され始めた瞬間と…

ちゅぴ…

アニ「んあっ!!!!」ピク…ピク…

薬液を注入し終え、注射器が抜かれる瞬間と…三つの山を乗り切ったアニ。しかし達成感はない。これからまた地獄がやってくることは確実だった。それでも細い希望にすがる。

アニ「おね……がい…………です……ト、トイレに…お願い……します…!(こんなに哀願するなんて…で、でも、ここで大変なことになるよりは…)」ぶるぶるぶる…

ハンジ「え?トイレぇ?…アニぃ…この施設のトイレは地上にしかないんだよ?地上まで行く?巨人家の能力の使えない今の君なら地上までなんの許可もなく連れて行けるけど…」

アニ「あ…お、お願いします!地上へ…逃げたりしません、お願い…あぁ…!」

ハンジ「じゃ、もう一本耐えられたらね!」

アニ「え…」

アニ「………は、はい…耐えます!だから…」

ハンジ「……」プス…ちゅうう~…

アニ「ふう…ふう…(大丈夫、耐えられ…耐え…ん!???)あああああああああ!!!!」ビクビク!ビクビクびく!!


数分後、アニは脂汗を流しながら地下室の石の階段を裸足で登っていた。腹は少し膨れており、手を添えなければ居られなかった。まるで孕んだ子を大事に守るように…

アニ「ふう、ふう、ふう…(ダ…ダメかも…)」

ハンジ「さあ、アニ。早くしないと漏れちゃうよ」

なんとか地獄浣腸の責め苦を耐え切ったアニ。だが三本目は…香辛料入りだった。猛烈な腹部の痛み、焼け付くような痛さ、排便せずにはいられないかゆみ…

すべてがアニの大腸を刺激した。一歩一歩がもはや拷問だった。階段を上りきり、外へのドアを開けてもらう…夕刻だった。

アニ「はあ、はあ、はあ、ト…トイレは…?どっち…(夕方…兵舎に誰もいない…誰にも見られずになんとか…もうこの際誰に見られてもいまさらだけど…)」

ハンジ「ああ、もう少し。あと百メートルもない…あ!いいところに…おーいアルミーン!ちょっと手伝ってあげて~!」

アニ「!!!!!」

アルミン「はーいなんですかー…………ッ!?」

アニ「あ………」

アニはアルミンの声がした方を向くことができなかった。お腹をかばい、前かがみになった姿勢で硬直していた。

その声は右方向から聞こえていたから、尻は晒すことはなかったが…もはや恥ずかしいというレベルではない。

アニは…アルミン…いや、自分の意志で行動できる人間みんなが好きだった。憧れていた。戦士かどうかではなく、運命を覚悟の元引き受けたり、切り開いていける人間。

それがアニがなりたいもの、好きになった人だった。エレンや…マルロは青臭いと思っていたが…特定の誰かが好きなんじゃない、そうなりたいとただ、思っていた。

アルミンへの思慕もまた、そういう類のものだった。しかし…

アルミン「…アニ?…なの?い、いや、ご、ごめんなさい、僕は…」

アルミンはまずった、と思った。知らんふりして立ち去ればよかったと。しかしフランクな人物といえど上官の呼びつけを無視してどこかに行く訳にもいかなかった。

だが少なくとももっと平静を装って何も言わずに黙っている方が彼女を傷つけなかったのではないか…と。

アニ「うげ…ぐ!?」

アニは吐き気を催した。しかし収縮した胃は内部の鉄球の動きに負け、胃液を送り出すことなく、アニに苦痛を与えるのみだった。まだ幸いだっただろうか。

ハンジ「アニ君がねえ、どうしてもトイレに行きたいって言うから…でも歩けないくらい具合悪いらしいんだ、肩貸してあげて。背も比較的近いしさ」

アルミン「………………あの………は、はあ…では…」ガシ

兵団服とアルミンの髪の匂いをアニは感じた。

アニ(あたし…こいつのこと……ホントは……他のやつよりも好いて…)

アルミン(こんな…女の子に…同期に……むごい…裸に剥くなんて…)

アニ「………」

「アニって……優しいね」………壁の中で、初めて、自分を見つけてくれた気がした…アルミン。殺せなかった…そのせいでこんなことに…憎い…けれど…

どうしようもなく悲しかった。敵どうしであるという運命が…仲間だったのに…抱いてはいけない仲間意識だったが。

しかしその絶望よりも喫緊の課題は腹痛が極地に達したことだった。

アニ「(ぐきゅるるる!!!ぎゅっるる!!)あ…ぐ!(き…聞かれたかな…?)」プルプル…

アルミン「アニ?震えてるよ?大丈夫…?」

ハンジ「アルミン!そいつはもう仲間じゃないんだよ!分別はつけないと!巨人なんだよ!そいつは…」

アルミン「あ…は、はい!」

アルミンはもう人間性を捨てる道を歩んでいるつもりだった…しかしこのていたらくだ。見知った女性の裸に面食らったというのもある…しかしハンジの目的はわかった。

アルミン(ハンジさんなりのレッスンなんだな…僕を…次の段階へ進ませる……悪趣味過ぎて引くけど。本気でアニを巨人だとでも…?)

アニ「ぐうう…(ぎゅるる)」

ハンジ「アルミン、苦しそうだよ…お腹、さすってあげてよ」

アルミン「………」

アルミンには大体分かっていた…何をすべきかも。

アニ「ック…ぐうう…!!(キュル…キュルウルルル)」

アルミン「アニ…」

アニ「…?」

真っ直ぐな眼差しがアニの顔を見つめていた。脂汗で濡れ、下腹部に力を入れ続けて唇が紅潮し、髪が頬に何本か張り付いた…何かが壊れる前のそのハッとするような美しさを…

ただ非情になるだけが成長ではない。当然だ。だがここで発揮するべきはおそらく、非情さなのだろう…アルミンはやりすぎだと思うことをあえてする事でそれを実現しようとした…

アルミン「アニ…本当はこんなことしたくないかそういう嘘くさいことことは言わない。ただ何も言わず為すべきことをなすべきなんだ」

アルミン「こうして言葉を交わすも最後だ…(アニ、ごめん…でもこうすることが……僕のいざっていう時の反応に…)」

アニ「あ……あ…い…」フルフル…

受け入れたくなかった。拒否の意思を示しても何の意味なかった。それで受け入れたくない現実踵を返して遠のいてくれるとでもいうのか…

グッ……

2リットルの薬液を溜め込んだ腹が、アルミンの手で圧迫された。

ブチャアアアアアアアアアアアアアアビチビチビチ

アニ「い…いや、いやああああああああああ…イヤアアアアアアアアアアアア!!!!」

それからは散々だった。悲鳴を聞いて集まってきた兵団関係者に肛門から汚水が流れ出るのを見られた。

ぶりぶりと放屁のような音と共に吐き出されるそれを見て、あるものは顔をしかめ、あるものは怪訝そうに見つめ…それが件の捕虜だと気づくとハンジに詰め寄る者もいた。

流石に上官であるハンジに語気を荒げることはなかったが。アルミンは傍らで素知らぬ顔をしつつ、汚い水溜りにへたりこんでさめざめ涙を流す少女を見つめていた。

ハンジ「じゃ!お腹の中をきれいにする作業、続けまーす、浣腸器よこして!」

ラシャド「分隊長…いくらなんでもこれは…!」

ラウダ「そうです!相手は女の子ですよ!…いや、巨人だし仲間の敵だけど…こんなのひどすぎます!」

ハンジ「じゃ、まーた浣腸イキマース!」

モブリット「(過剰にハイになってる!巨人の実験を野外でやるといつもこれだ!!)分隊長!やりすぎです!!もう私らがやりますから!!」

ハンジ「いや、いいんだいいんだ、これは私の仕事だから…浣腸器貸してね…はい、尻上げて!(ドカ!)ぷすっと!!」ニュプ…ブププ…ちゅううう…

アニ「ひい!いいいぃあ~~~~~~!!」

半ば放心していたアニ。背中を蹴飛ばされてびしゃ!と汚水の中に顔を突っ込んでしまう。上がった尻を掴んでそこに大型注射器をブチ込む。

ハンジ「はははははははは!(ちゅう…ぴゅぴゅぴゅ!だらだらだら…)ほ~~~ら!いれてる時に出しちゃダメじゃない??」ぺちんぺちん!

アニ「ひいいいい!!あ、あ、あ、あ~~~~~~ん……!!」

女兵士「何アレ~、感じてるんじゃないの?薄汚い悪魔め…」 男兵士「ああ…淫乱なビッチだ(やべ…勃ってきちゃった)」

通りかかるエレンとミカサ、人だかりに目を止める。喧騒の中にアルミンがいることに気づき、近づく。

エレン「ん?なんだあれ…おい、アルミン、何やってんだ?」

アルミン「…ああ、エレン。ちょっと巨人をね」

ミカサ「…?……ッ!?」

エレン「なんだそりゃ…一体…え?………ア…」

四つん這いになったアニと目があった。エレンは硬直した。驚きと絶望に歪んだ今まで見たことのない表情の端正な顔、汚物にまみれた美しい金髪、重力に引かれ強調される白い乳房…

数瞬、目が合ったまま…我に返るとエレンはパッと顔をそらす。かつての同期の痛ましい有様か、女の裸か…一体何に見てはいけないという感覚を抱いたのだろう。自分でもわからなかった。

ミカサ「エレン!…ここにいるべきじゃない。戻ろう…アルミンも…」

アルミン「僕はここにいるよ」


アニ「あは…あはははははははあはははははははははははははははははは!!!!!!!!!!」ぶ!ぶぴゅぴゅ!!

ハンジ「おわ!?いきなり勢いよく出さないでよ~、顔にかかったじゃん…もうほとんど入れた分しか出てないけど」

アニ(あ…あたしは…もう…)

狂った笑い声に驚いてエレンとミカサは一瞬そちらを見、すぐに目をそらす…もうここには一秒もいたくなかった。

エレン「何言ってんだよアルミン…あれか?アニを…助けたいのか?気持ちはわかるけど…もう…事態は俺らの手が届くところにはないんだよ…」

エレン「俺だって未だに信じられねえよ。ライナーやベルトルトの時は驚きはしたけど憎さが先に立って、ある種すんなり受け入れられた」

エレン「でも俺は今だに…アニが…人間の姿の時は……こんなの、あまりにむごいって…こんなやり方異常だ…でも…」

エレン「それでもやらなくっちゃいけな…い?いや、やっぱ納得できねえけど…なあ、アルミン…お前が一番わかってるもんだと…今まではお前が俺たちを納得させてくれてたじゃねえか」

アルミン「やだなあ……だからやるべきことをやってるんじゃないか」

エレン「…?」

ミカサ「……アルミン?どうしたいの?」

アルミン「見てみなよ、アニの狂態を。これがぼくたちと同じ人間に見える?…巨人とはこういうもの、そういう認識には大いに価値があるよ」


アニ「あぶ…ぐふうう……ぐ…うえ~~~~~ん、うえ~~~~~~~~ん、お父さ~~~~~~~ん!」ポロポロ

ハンジ「いよっし、だいたい綺麗になった…ほらほら、もうおっきいんだから泣かない泣かない…よーしよーし」ナデナデ…

アニの精神はもう限界に近かった。憧れていた人間に裏切られ、痴態を見られ…そして、最初に彼らを失望させたのは自分なんだと思い出した。

そう…これは正当な罰であり、受難なんだ……地下室へ担がれ戻っていくアニを最後まで見つめていたのは、アルミンだけだった。

ハンジ「さて…懐かしの地下牢ですよ~アニ君♪」

アニ「………………」

もうどんな陵辱・暴力も、あきらめの極地のような、やけくそのような、そんな今までとは違った心地で受け止められるような気がした。

先程のできごとのショックは大きかった。今はむしろ、痛み苦しみでそのことから目を背けられるならと…

ハンジ「じゃ、やってきましょうね~はい、四つん這いにね!」

アニは言われるまでもないと言う風にその姿勢をとった。従順さや屈服することへの嫌悪よりも、これから来るモノへの覚悟…受難を耐えること…それに…酔っていた。

アニ「さあ、もうなんでもやっちまいなよ…私はもう…何されてもうめき声ひとつ上げないだろうけどね…ほら?好きなようにしなよ。なんなら男の相手もしてやっていいよ」

今回の恥辱でもう壁内への思いは断ち切れているように感じた。今すぐ同期を含む全員を殺して逃げることも…精神的には問題なさそうに思えた。

投げやりで自暴自棄な心境もなんだというのだろう?もう自分は乙女じゃない。あれほどの有様を衆目に晒して…もう何を守ればいいんだろう?

アニは父親の姿を思い浮かべた。万一帰れたとして…どんな顔をして会えばいいんだろう?多分、全てを知ったとしても、父は受け入れてくれる。

簡単だ。その胸に飛び込んで精一杯甘えて見せればいいのだ。お父さん、お父さん、お父さん…

アニ「…!?」つ…

いつの間にか、泣いていた。

ハンジ「いいねえ~、私は知ってるよ?アニが本当はか弱い女の子だってこと。もう強がらなくていいんだ…」ぎゅ

悪臭を放つ女が優しい手つきでアニの頭を抱いた。

ハンジ「じゃ、はじめるよ~~!これまでと比べるとかなりましだろうけどまあ気を抜かないで頑張ってね!」ピト…

アニ「…んっ!」

アニの肛門に冷えた鉄球があてがわれる。それだけでニンフォマニアのように喘いでみせる。もうアニの頭には過剰に振舞って強がることしかないのだった。

アニ「は…はは…どんどんやりなよ。もうこうなっちまたからにはいくらでも喜ばせてあげるよ、ほら、鳴けばいいんだろ?…あん…あ、あん…」

ぎこちない嬌声。

ハンジ「あははははははは!自然体でいいんだよアニぃ。いくよ?」ヌププ…

アニ「ん…っ!」

すんなり受け入れられる直径5~7センチほどの鉄球。度重なる浣腸でゆるくなった肛門はフィストとは行かないまでもアナルセックスすらたやすく受け入れるだろう。

ハンジ「いいねえ、献身的だよ…そうやって、生きている人体の消化管がどれだけ可能性を秘めているか教えてくれ!」

アニ「ハア…ハァ……ああ、平気だよ、もっと入れな…楽勝だよこんなの」

受難を受け入れるということを開き直るという行動で達成しようとするアニ。

アニ「もっと、もっとぉ~~、あはは、平気…なんとも思わないよあたしは。むしろ嬉しい、嬉しいんだ、もっといれてーっ!ああぁぁ…」

演技もエスカレートしてまんざらでもないというか、演技に酔ってくるアニだった。しかしそれは…それゆえに破局的結果が…

コニー「……あれが…アニなのか?」

アニ「……!!!!」

四つん這いで腰まで振ってハンジを挑発していたアニだったが、再度の104期の仲間の来訪は想定外だった。いや、アルミン・エレン・ミカサがいた事から推測できて然るべきだった?

迂闊だったとかそういう後悔の念などなかった。ただただ頭が真っ白になる

(そう、これが本当のあたし、あたしは巨人なんだよ!あんたたちの仲間を殺した巨人!淫乱なビッチだったのさ!!さあ苦しめて殺せよ、あはははははははは)

そんな人格は演じられるはずもなかった。今さっきのことも全て、嘘になる。もはやアニには…取り繕いもなにも…

アニ「あ…い、いや…もういや…ごめんなさい、ごめんなさいぃ…もうしませんから…ひっく…お願い…助けて、助けてよぉ……っ!うっうっうぅ…」

四つん這いで突っ張った腕が力なく折れ、床に突っ伏してえんえん鳴く。高く上がった尻ははしたなかったが、もう構う気持ちも起こらなかった。幸い地下牢の格子の向こうからは陰部は見えない位置だった。

サシャ「アニ…!」

クリスタ「こんな…こんなことってっ!ハンジさん!これは一体なんなんです!おかしいですよこんなの!!」

ハンジ「やあ、ヒストリア。調子はどう?ニックからなにか聞けた?」ニュプ…

アニ「はあうぅ!?」ビク!

格子の外側を向きながらハンジがアニの肛門に鉄球を押し込んでいく。アニは泣き疲れた駄々っ子のように、外界の一切を遮断し、与えられた刺激にのみ反応していた。

それはご主人様から加虐のご褒美を待ちわびるマゾ奴隷のようでもあった。肛門から侵入してくるボールで淫靡な声を上げるメス豚…

コニー「こんな…」

ミカサ「……」

彼らはモブリットを介してハンジに呼び出されていた。ハンジが巨人を狂った様子で「実験」するというのは知っていたが…元仲間に対してそれをするなど、想像だにしなかった。

コニー、サシャ、クリスタ、ミカサ…少なくとも理解するべきはここに呼ばれた理由だが…それも想像できなかった。ミカサだけが先ほどのアルミンの言葉を心中で思い浮かべていた。

コニー「助けてって…言ったのか?アニ…いいぞ?俺はお前に一回命を救われた!だから…だから…!」

サシャ「コニー!何言ってるんですか!まずいですよ…っ!」

コニー「……ハンジ分隊長、ただの平の兵士に口出しできるもんでもないんでしょうが…この不必要な虐待はどうなんでしょうか?バカにもわかるように説明してください!」

クリスタ「そう、そうだよ!お願いします、ハンジさん!こんなこと、どうして…!どうしてアニにこんなこと、どうして私たちを呼んだんですか!?」

ハンジ「ああ、それね。見てればわかるよ。きっとね。ねえ~アニ、そうだろ?」

アニ「うぅぐぅ…ひっく…ひっく…」

四人の目の前、鉄格子の向こうで異様な拷問?変態プレイ?が行われている…もっと面食らってもいいところであるが、アニの悲痛な叫びが異様さを覆い隠していた。

ミカサ「もういい、こいつは私たちの敵、それで十分…ハンジさん?続けてくれますか」

サシャ「ミカサ!?」

クリスタ「…そんな…!」

コニー「わかんねえ…おれにはわかんねえよ…!」

ハンジ「はぁ~~い、じゃあお尻の様子をみんなに見てもらおっか!」

アニ「!?」グイ!

ハンジがアニの腰を担いでむりやり尻を鉄格子の方に向ける。もっとも、もうアニの体には力がほとんど入っておらず、何の抵抗も受けなかったのだが。

アニにホンの少し残った恥じらいが、手足をちょっぴりヒクつかせるという形で現れたが、もう本気で抵抗できる精神力はなかった。どうにでもなれ…

コニー「う!?」

クリスタ「あ…見ないであげて!!特にコニー!」

サシャ「うあ…」

ミカサ「…」

ミカサだけが平然としていた。この中のだれも、まじまじと他人の肛門を見たことのあるものなどいなかった。

アニのそれは可愛らしい、なんの黒ずみもない肌色のそれだったが、今日のたび重なる肛虐で少しピンクに赤らんでいた。そこまで見てとったのはミカサだけであるが。

コニー「ホントに…やめ…やめてあげてください!!お願いします!!」

コニーが目をつぶり、手を前に向けながら言った。クリスタは手で顔を覆って向こうを向く。サシャは何もできず釘づけになっていた。ミカサはいつもどおり無表情で見つめていた。

ハンジ「ほら、アニ。みんなに産卵の様子を見てもらいな、ほら」ギュウウウウ

アニ「うぐ!?…あひっ!」

腹部を圧迫される。そんなことをされれば当然………………ぷりぷり……と、卑猥な音を立てて鉄球が再び体外に戻ってきた。

アニ「あっは!?はあああ…あああああ…!!」ぷりぷり…ぷちょ、カーンカンカンカンカンカンカンカンコロロ…

見てはいけないという気持ちをようやく思い出し、目を背けるサシャ。子供ならトラウマになるであろうその光景、世間知らずでウブなサシャにもそれは大きなダメージがあった。

目を閉じても…見知った人間が尻からボールをひり出す光景がリフレインていた。

コニー「ほんとに…何やってんですか、分隊長さん…普通じゃない」

ハンジ「よく言われるよ。あ、上官だからって遠慮せずに好き勝手言いな~、こっちはそういうの慣れてるし、言われても仕方ないことしてるしね」

クリスタ「わかってて…やってるんですか…うう…なんで…なんで…」

コニーが目をつむったまま、クリスタが顔を覆ったまま言った。クリスタは泣いているだろうか?

ミカサ「…不潔」

ハンジ「ああ、せっかく入れたのにちょっとした圧迫で出しちゃうなんて~、ほら、お尻がよく見えるように」すっ

ハンジが肩に担いでいたアニを優しく下ろす。また四つん這いにされるアニ。今度は最も恥ずかしい部分を元仲間の方に向けて…

アニ「ああぅ…ぅぅ…」

もうアニには自分が何を考えているかも定かではなかった。頭の中がぐるぐるしていた。生きて帰りたいとか死にたいとかもなかった。ただ消え去りたかった。

……………ああ、そうか。簡単だ。自分以外が消えれば…!

悪魔的考えがアニの真っ白な頭の中に、黒いシミのように現れでた。

アニ「あんたら…全員………(殺してやる)」

言えなかった。良心?仲間意識?…いや、もはやこれ以上罪の意識を重ねたら、崩壊するのが必至だったからだ。

ハンジ「え!?なんだって!?殺してやるだって!!?」 アニ「!?」

コニー・クリスタ・サシャ「っ!?」

ハンジ「よく言えたね!?そんなことよく言えたねえ!?あれだけ私たちの仲間や人類を殺しておいて!!よく言えたね!!??」

コニー「…そんな」

クリスタ「うう…うぅ~」ポロポロポロ

サシャ「本心じゃないですよね!?アニ、ちゃんとあなたの言葉で言ってくださいよお!!」

ミカサ「そんなのいらない。不毛。コイツは有害な獣。たまたま人と姿形が似てただけ。駆除しても問題ない…いやそうするべきなの」

クリスタ「そんなぁ!…ひどいよミカサ!私がユミルと逃げてた時だって、すごく怖かったよ!?なんか…おかしいよ!ミカサ!!」

アニ(ああ…どうでもいい。いいよもう…あたしを悪者にして…殺しなよぉ)

途端にコニー・サシャ・クリスタには目の前のアニが唾棄すべき汚らしい存在に思えてきた。協調性のない無口な同期…助けあった記憶も、明確に思い出せるのは補給所で命を救われたコニーだけ…

証明の炎が当たる通路側に自分たちがいて、鉄格子の向こうの暗い牢屋でアニが肛門をこちらに見せつけている…格子の向こうのアニは全く別の存在に思えた。アニへの共感は今や風前の灯だ。

クリスタ「ねえ、アニ。大丈夫だよ!アニがどうなっても、私は受け止められるよ!したことはもう取り返しがつかないかもしれないけど、仲直りする可能せ…」

アニ「うるさい!!!!!!!」

場がしーんと静まり返った。ニヤニヤするハンジとずっと無表情のミカサ以外は驚いた表情を浮かべている。

アニは立ち上がった。重たそうに重量物の入った腹を抱えながら…泣きそうな、怒ったような、笑いだしそうな、複雑な顔で格子の外の四人を睨む。

アニ「ほんっと…やめてよね?これ以上壁の中のあんたらとの兵士ごっこに付き合うのはうんざりさ。もう話しかけないでよ…」

アニ「あたしの故郷であんたらなんて呼ばれてるか知ってる?「悪魔」だよ…「悪魔の末裔」。それが…!」

アニ「ほんと!そのとおりならどれだけ良かったか!!なんで…なんでそうじゃなかったの!?」

アニ「みんな…優しかった。自分のことしか考えないクズや悪人でも。同じ人間だと思えた。これから殺す相手なのに!!」

アニ「…それで……ミーナの…本当にミーナのかわからないけど…遺体を見たとき…もう…あ…やだ、もうやだぁ…あ~~~~~…ううううぅ」ポロポロポロ

顔を抑えて経たり込む。子供のように泣きじゃくるアニ。アニのこんな姿――もうさっきから十分あられもない姿を見てきたが――をみて面食らう104期。

同期としての共感は既に潰えてしまっていた。しかし目の前のただの苦しみ悲しむ女の子への哀れみはもはや抗えぬレベルに…

ミカサ「…ハンジさん、手が止まってますよ。これ以上はしないんですか?」

コニー・クリスタ・サシャ「っ!?」

ハンジ「ああ、ごめんごめん。続きをしようね、ほらっ!」ズダン!

アニ「ぎゃっ!」ぶちゅっ…コロコロ

腕を掴んでうつ伏せに地面に張り倒す。膨らみつつある腹がその衝撃で押され、肛門からまたひとつ産み落としてしまう。また四つん這いの姿勢をとるアニ。もはや自ずから…

サシャ「…う~~~…!」ガリガリガリ

サシャはもう一刻も早くここから逃げ出したかった。頭をかきむしる。

コニー「…何言ってんだミカサお前…ッ!仲間な…だったんだぞ!?そりゃあ憎い敵かもしれないけどよー、それでもこんなのはないだろ!?」

ミカサ「何言ってるの?コイツは人類の希望エレンを奪おうとした人類の宿敵女型の巨人……どうしてみんなはそんなに及び腰なの?」

アニ「ぎゃふうぅッ!?」ヌポ…ヌポ…

ハンジ「ど~んどん入ってくよ~、こんなにボールを簡単に受け入れちゃうなんてもうアニは立派な淫乱メス豚だ~」グ…ヌプ

肛門から球が入り、中で擦れ合い、鉄球の列はどんどん奥へと入っていく。

直腸を通過するたびにアニは痛みとなんだかよくわからない快感を覚え、自然に口が半開きになり、涎が一筋垂れ、背はエビぞりに曲がった。

尻をかつての仲間の方に向け、体をくねらせ白い肌を高調させるそのさまはまさに淫売そのもの。アニは精神崩壊と自暴自棄の極地こそが最高のエクスタシーなのだと知った。

もはやそこには誇り高き戦士も、16歳のか弱い乙女もいない。理性を捨ててしまった一匹のメスがいるだけだった。しかし快感にも終わりは来る…大腸は既にいっぱいだった。

ハンジ「あれ~?入らなくなってきたなあ…」ギュム、ギュム

アニ「ふう…ふうう~、あ…////(あぁ…なんだろこれ、全部かなぐり捨てるって気持ちいい…あ…あ…)」

コニーとクリスタはアニの堕ちていく様をなんとも形容し難い顔で見つめていた。おぞましいものを見るような、ショックを受けたような…サシャはもう目と耳を塞いで震えているだけだった。

ミカサ「これでわかった?コイツはもちろん兵士でもなければこいつらの言う戦士でもない…おぞましい一匹の家畜。たまたま人と似ているだけ。ので、こうしても問題ない」

コニー「………うぷ」

サシャ「いや…もう、帰りたいぃ~!」

クリスタ「ふぅ~~…(つらいよ、何この状況…倒れそう…ユミルならどうしただろう?)」

なんの経験もない子供にこのような女の狂態は刺激が強すぎた。

ハンジ「ねえ…これ…なんだと思う?この生き物…人間なのかな?ちがうよね?こんな恥じらいを捨てた生き物が人間のわけがない。コイツは巨人さ。私だけは可愛く思うけどね~」

そう言いながら今入れようとしていたが入らなかった鉄球を取り出し代わりに指を入れる。あれだけ鉄球を入れても、肛門括約筋は無事で、指一本入れてもグイグイ締め付けてくる。

ハンジは肛門に第二関節を完全に埋没させるほど入り込ませた指を曲げたり伸ばしたりした。ミミズのようにゆっくりのたくらせて…

アニ「あぁ…っふ…んん!…あ………はぁ…////」

もはやアニは理性を投げ捨てたように見えた。だが104期の面々には死角だったが、その目は涙を浮かべていた。今日初めて作った淫乱な仮面…それは自分自身を傷つける。

コツコツ…ハンジが指をさらに押し込むと、爪が鉄球に当たる感触を得た。

ハンジ「う~ん…ちょっと普通の方法ではもう入らないよねえ」

ミカサ「ハンジ分隊長、ご提案が」

アニ(お腹…いたい……あはは)

アニ(………………………何やってんだろあたし…いくら精神が限界だったからってここまで誇りを捨てる?普通…いや、今はそうするしかなかったんだ、もう仕方ない)

アニ(もういい、もう大丈夫。頑張んなよあたし…帰りたいんだろ?お父さんのところに…!)

アニ(もういいよ、こいつらは。何されたってもう構わない。巨人化を止めている仕掛けを暴いて、全員殺して…………逃げ………)

アニ(そんなんで生きて…お父さんにあって……それでどうなるんだろう?お父さんは許してくれる、でも、あたしは?あたしはあたしを許せるの?…多分無理。そうなっちまったら…もう、おしまい)

アニ(これ以上そういうことを考えるのはよそう。もうたくさん殺してきた…殺しすぎるほど…実際あたしはよくやったよ。それで十分。何も考えず…帰ることだけを…)


ハンジ「そ、そんな方法が…?う、う~ん、多分腸は破れるだろうけど、死にはしないし大丈夫だと思うな…よし、やろう!ささ、なかにはいって…みんなもどうぞ?」キィ…

ミカサ「採用していただき、ありがとうございます」

…ドサッ

クリスタが昏倒した

コニー「お、おい、クリ…ヒストリア!大丈夫かお前!?おいミカサ…コイツが倒れるのもわかるよ…!さっきアニが悪魔だとか言ってたがお前こそ悪魔だよ!!」

サシャ「…あ…だ、大丈夫です…か…?………ミ、ミカサ…どうしてそんなことが思いつけるんですか…?つ、ついていけない…もう…」

サシャももうだいぶまいっていた。かつての仲間の痴態も、現在の仲間が提案する暴力も、耐え難かった

ミカサ「…戦わなければ勝てない。あなたはそんなんでエレンを守れるの?」

サシャ「そ、そりゃあ…今の兵団の目的はエレンの警護みたいなもんですけど…私たちはミカサとは違う…!任務ならそうしますけど…私たちはあなたの駒じゃない…!」

コニー「…………もういい。付き合ってらんねえよ。分隊長、おれバカなんで…ここにいる意味もわかりません。帰ります。命令違反ですか?これ」

もはや104期にとってアニは元仲間でもなんでもない、「別」だった。そう思わなかったらこの陵辱とスパイの事実を受け入れられなかった。

コニーは恩人を見捨てた。クリスタをおぶり、泣きながら振り返ることなく足早に地上への階段を上った。サシャはミカサを振り返りつつ、それに従った。

恩人を助けられなかった…そう思うのはコニーにはとてもつらいことだった…きっといつまでも納得できずに悩み続けるのであろう。

三人がこの件に関わることは二度となかった。


ハンジ「これでトロスト区104期は全員、吹っ切れたかな?」

ハンジ「あ、ジャンは昇格と引継ぎの会合でいなかったか…まあいいや。じゃ、ミカサ。やろっか」

ミカサ「はい…」

アニ「はあ…はあ…(抜け出すチャンスを…待つんだ…さっき、漏らしながらでもいいから逃げればよかったんだ…っ!)

ミカサ「エレンを呼んできます。部屋で落ち込んでいたけど、あんなではこの先、生き残れない。この作業に参加させる意義はあるかと…(さっきは過保護すぎた。アルミンは正しい)」

ハンジ「ん?はは、ミカサはほんっとエレン思いだねえ…じゃ、これ押し込んだらいってきてよ。道具はこの空のガスボンベでいい?」

ミカサ「適当かと」

ハンジ「よし、じゃあ私アニを抑えてるからさ、これ押し込んだら呼んできていいよ?」ガシ、ピト…

アニ「!?」

ミカサによって巨大なものがアニの肛門の前に据えられた。立体起動装置のボンベである。ボンベとしてはそれほど大きくないにしても、アニの足首ほどの太さはある。

アニ「あ…な、何…?何するの…?(もう…快楽に逃げられるレベルじゃない…!あ、あんなの…あんなの…ッッ!!)」

腸の圧力で鉄球は規則正しく一列に押し込まれていた。それを力ずくでずらして列を崩し、より深くに押し込んで余裕を作ろうというのだった。

おもむろにミカサがアニに近づいていく。

ツカツカツカ……………………ス~~~~~ハ~~~~~~~…………シュッ、ズンッ!!!

分厚いブーツがタンクの重心を正確に居抜き、蹴られた分だけボンベは体内に侵攻していった。

ゴリッ!!ミキミキミチブチチ…

アニ「あぎゃっっはぁあっ!!!!!」ガクビク!!

瞬間、アニは雷に打たれたように飛び跳ねた。汗が飛び散りミカサとハンジの顔にかかる。背中が限界まで反り、ビクビクと小刻みに痙攣する。

衝撃で球同士の位置がずれ、一列だった並びが崩される。腸の内蔵金がプチプチとちぎれ、腸壁は内出血で膨らむ。たまらず四つん這いの姿勢から横に倒れる…

アニ「ひぎ、いぎぎ、い…あ……ぎぐ……」ピク…ピク…

地獄の苦しみだった。最も持続的で重い苦痛を感じる内蔵…そのうちの大腸、直腸があらかた内部の鉄球によって引き伸ばされていた。

内臓筋は引き伸ばされ、ズタズタになり、腸壁の一部は裂け、内蔵出血を起こしている。

鉄球はまだ消化管の中にとどまっていたが、これ以上押し込まれれば裂けた腸から飛び出て内臓同士の間に転がり込むのは明らかだった。

アニ「ひっ、ひっ、ひっ…っぐぅ!?……ひっ、ひっ(し、死ぬ、死んじゃう、いた、痛みで、死ぬ……ッ!!)」

ハンジ「ふふ…可愛いアニ…こぉんなに苦しんじゃって…セクシーだよ…」つつつ…

ハンジの指が純白の柔肌を滑って行く。痛みから来る冷や汗で冷え切り、震えが直に伝わってくる。触れるか触れないかのところで撫で続ける。

首筋、うなじ、背中でくるくるサークルを描いて、ゆっくり、お腹の方へ…そこを鷲掴み

グニュウッ!

アニ「っぎゃああああああああっっっ!!!!!」

ハンジ「あはは、喜んでくれたんだ、嬉しいよ私も」

ミカサ「連れてきました」

エレン「…………………」

エレン「…………………ミカサ、お前もこれ、やったのか…?」

アニは彼を見上げる。最大限の苦痛――すでに肛門からは内臓の傷からの出血が大量に――のなか必死で顔を上げる。ゆっくりと、しかできない。

アニ「……………あ……エ………レ……ン………っ!」

エレン「!」

アニ「あ…あたしは………あんたにも、この人類にも…ひどいことをした……謝っても許されないことを…」

アニ「でも、もし、少しでも……この……これが、妥当じゃないと思ってるなら………お願いだよ…………………殺して…!」

ミカサ「………エレン、あなたが決める必要はない。あなたが背負うべき業じゃない。ただ、見て。こんな無様な家畜ならどうなってもなんとも思わないでしょ?敵はみんなこう…」

ミカサは木箱から鉄球を一つ取ると、アニの……肛門ではなく、秘所にねじ込んだ。存外にすんなり入って行った。

エレン「な、何やってんだミカサ!!」

アニ「はううっ!?い…あ……」ゾクゾクっ!

苦痛の中、極限のストレスにさらされ、アニの脳は自己防衛を講じた。ランナーズハイの数倍の脳内麻薬が分泌され、その刺激は快感で変わった。

ミカサ「仕方ないでしょう?世界は残酷なんだから。かつての仲間だろうがなんだろうが断つべき情は断たないと…」グッ!ヌプ…

アニ「あん…っ!?あ、あ、あ………あ…あはは、あはは、あは、あはは………は………」

もう何度目かわからない、アニはまた理性の手綱を放す。

エレン「ミカサ…!お前、自分が何してるのかわかってんのか…!?」

ミカサの手元…アニの隠したい部分から努めて目をそらしながら問う。そうしているあいだにも、ミカサは機械のように滞りなく鉄球をアニの中へ投入していく。

ヌポ、ヌポ…

アニ「ああ……あああ…あ…は……は」ピク…

当然だが膣の方は早くに限界が来た。グイグイとそれでも押し込もうとするミカサ。突然エレンが思い出したようにその手を引っつかむ。

エレン「やめろって言ってんだろ!!!!!」グ…!

ビリビリ…!

エレンの顔に巨人化痕が浮き上がり、蒸気が上がる。アニは頭の中に電撃が走るのを感じたが、すでに心底どうでもよかった。座標がどうとかもう…

ミカサ「痛…ッ!」

エレン「……………アニはその…何倍も痛いだろ。終わらせてやれよ…いいですよね、ハンジさん?」

アニ「う……………うぅ…」ポロポロ…

アニは尻を高く上げたまま、頭を床に伏せて、泣いた。やっと終わらせてくれるのか…でも、生きたい…もうどうしようもなかったが…気持ちもまた押しとどめようがなかった。

ハンジ「ああ、終わらせるんだ。はい、ハンマー」

エレン「え…?」

エレン「ハ、ハンジさん、ハンマーって…どういうことですか?何のために…」

ハンジ「だ・か・ら、アニの苦しみを終わらせるためだろ?ここには安楽死用の薬なんてないんだ。それで脳を破壊すれば終わりだよ?さ、どうぞ。もう彼女に利用価値ないんだ」

それはウソだった。そういう薬ももちろんあれば、アニから聞き出すべきこともまだあった。しかしハンジは半ばできないだろうとタカをくくって、もう半分はそれでエレンが成長できるならと…

ミカサ「………エレン?どうするの…?」

エレン「………………………………………」

エレンはアニの頭の方にまわった。顔を見る。あの怖い顔をした格闘の天才アニはもはや見る影もなく…陵辱に疲れ果てた16歳の女の子の泣きはらした顔があるだけだった。

エレンには同期であって、一歳歳上であることなど意識したことはなかったが、自分より落ち着いていた人間がここまで崩れるものかと少しだけショックだった。

いや、全部フリではなかったか。そもそも周りと関わろうとしない態度は子供っぽいといえば子供っぽかった。しかしそれも嬢を移すまいとしての行動なら納得も行く。

エレンは自分の先輩班員を殺したこの女のことを、心底哀れだと思った。できることなら巨人であることなどなかったことにして、気持ちよく別れたかった。

そのための現状唯一の手段を、ハンジから受け取った。

ハンジ「(にやあ)そうか、やるんだ~。いいよ、エレン。やりな…責任は私が持つ」

ミカサ「エレン、私が…」

エレン「…黙ってろ!ミカサ!………アニ……その……最後に言いたいことは…?」

アニ「…………………………………あ」

アニは、ようやくこれから自分の身に起きることを理解したような気分だった。終わりたく……なかった。でも………もう、いい…

アニ「(もういいや……)…………ごめん…なさい……こんなことしたくなかったとか…そんなこと言えない…ただただ…悲しい…いい、いいよ…殺しても…」

それだけ口にして、もうアニは心身の全エネルギーを吐き出したようだった。自然、目を閉じる。もう開くことはないだろうと思いながら。

エレン「…………(おれに……できるのか?)」

振りかぶる…そして……

ガラン!カラン…

ハンマーを取り落とした。

エレン「……………できるわけねぇよ。ミカサ、行くぞ……(後でこいつを叱らなきゃ…でも、アニはこれからどうなる?…いや、もう無理だ。俺にはもう手に余る…すまん…すまん)」

ミカサ「…うん」

ハンジ「ははははっははははあは、そっちを選ぶか、いーよ、いーよ、殺してもよかったんだよ!?あ~あ、これじゃアニの苦痛が長引いちゃうな~!」

アニ(いい、いいんだ……気持ちは受け取った………ありがとう………エレンあたしは…どっちでも…いや、甘ったれてるんだ…死にたくない、死にたくないぃ…ああああああ)

ハンジ「エレン…こいつは巨人!わかるぅ!!?巨人なのお!!おーけい??だから気にすることなんかぜーんせんないんだよお!?」

鉄格子の扉を開けて出ていく二人に、ハンジは狂気じみた声を浴びせた。エレンは果たして自分の選択はこれでよかったのか、ずっと悩むことになる。ミカサは理解してくれないだろう。

ハンジ「とにかくこれで…お前を愛しているのはこの世で私一人ってわけだ…ねえ?アニ…」

アニ「…………殺してよ。それとも死にたい?この腹の中のものがなかったら…殺してやるよ、人間体のままでも一瞬で…っ!(死にたくない…どうすれば…)」

ハンジ「あっはは、調子が戻ってきた?ま、そう言わずに…もっといれてあげるから。そら、おとなしくして(グッ!)ほらお尻の穴に入りま~す」つぷぷ…

アニ「んぎぃっ!あはッ!?」ブルブルブ…

ハンジ「あはは、絶対喜んでるよね!?それ…」


ハンジ「結局全部詰め込めたね。苦しい?アニ

アニ「ひっひっひ、ふう…ふっふふ…ふう~…ぎ…くるし…」

妊婦さながらの腹(凸凹しているが)を手で抱え、苦しそうにアニは呻く。抱えていないと鉄球の重さで腹が垂れ下がりそうだった。

エルヴィン「(ガチャ)ハンジ…」

ハンジ「ああ、エルヴィン…あ…腕、もう大丈夫なの?傷がふさがってないならこんな不潔なところに来ない方が…」

アニ「…………(…誰?…う!?ちょっと立とうとしただけで…ッ!!ぐうう!)」

エルヴィン「私のことはいい…それより提案がある。アニ・レオンハートだ。彼女は歩けるか?」

ハンジ「へ?それってどういう…」

翌日。アニはストヘス区にいた。復興はまだ完了していない…というかほとんどまだ手つかずで、がれきも撤去しきっていない。行方不明者の捜索打ち切りもまだだ。

ストヘス区長「準備は出来たようだな…この女か?気色悪い腹だな…」

エルヴィン「区長。これでいいんですね?」

ストへス区の受けた被害は甚大…区長は関係各所への説明におわれていた。区民の不満も膨れ上がっていた。

そこで考えたのが…巨人の市中引き回しであった。調査兵団も、追求がエレンに及ぶことだけは避けたかった。

アニは最高のスケープゴートだった。


マラソン行事のように大通りの両側に群がる民衆。その間、メインストリートの真ん中を裸で、首輪をはめられ、膨らんだ腹を晒しながら歩くのは、アニだった。

アニ「はあ、はあ、はあ、はあ」トボ…トボ…

ストヘス区憲兵団員「オラア!キビキビ歩け!その箱を少しでも傾けたら鞭が飛ぶぞ!!」ビシィ!!

アニ「ぐう!?っくぅ…ッ!!」ガクガクッ!ガク…

痛みと荷の重さで膝が笑う。アニは思い木箱を担がされていた。これを落としたら最初からやり直しという「約束」で…

ストヘス区住民「死ねやあああああああああ悪魔あああああああ!!!!」ブン!ビュッ!

アニ「(ガツン!)くあっ!?(ビシィ!!)ぎっ!!」

投石でアニが傾くたび、後ろをぴったり歩く憲兵団員がムチを飛ばした。

もう、どれくらい歩いただろう。群衆はまだ途切れない。街に散らばるがれき…それが飛んできた。

アニは既に顔や手足に青あざを作っている。腹にヒットしていないのがまだ救いだった。そうなれば…

時折子供が走り寄ってきては、一歩一歩生命を削るように歩くアニにいたずらをした。肌がむき出しの足をつねったり、石で叩いたり…ボコボコに出っ張った腹をなでてはきもいと呟く。

それを止める兵士も、住民も、いなかった。子供達ですらその異様な雰囲気の奴隷であり駒のようなものだった。

アニ「はあ、はあ、はあ、はあ、うううう~~~~、ううううう~~~~~…」

アニは泣きたいが、泣けなかった。重荷のもたらす苦痛、腹の痛み、住民たちから受ける辱め…胸や頭に栓が詰まったような感じがあり、過大なストレスで頭がグワングワン痛んだ。

アニ(生きたい…生きて…ここを出て…お父さん……あ………暖かい場所へ…ここは寒い…寒すぎるよ…死にそう…た、助けて…ッ!)

その様子を慄然と見守るジャン。その横に無表情のアルミン。

ジャン「な…何だ…こりゃ…お前とハンジ分隊長が言うから来てみりゃこれは…」

ジャン「なあ…ここまで…する必要があるのか?……これが人類の勝利に繋がるのか?いやそもそも、これで勝ったとして…」

アルミン「ストヘス区の住民はあの一件で甚大な被害を被ってる。あの巨人の正体の一人がエレンだとは紐付けられていないけど…」

アルミン「それが明らかになれば非難は当然調査兵団に向かう。ここでアニを引き回すのは燻製ニシンとして有用だ。人が巨人になれるという秘密をばらしてでもね」

ジャン「だけどこれは……っ!!……あんまりだろ…」

アルミン「そりゃアニには悪いと思うよ?僕も気持ちの整理がつかない…本当に女型なんだろうかとすら今も思う…でもこの光景は冷めた頭で見られる」

アルミン「人類の結束のために必要だからだ。ジャンの気持ちもわかるよ?君は彼らに憎しみをぶつけられても情を断ち切れたわけじゃない。まっとうな人だ」

ジャン「…………………」

その時、腹をかばって丸まった白い背中(もう紫と赤に染まっていたが)にばかり当たっていた石がついに腹に当たる。

アニ「(ボコ、ガッ!)グウウ!?あ……あああ(ギュルル)(ダメ…!限界…で、出ちゃう………)ああああ!」ニュプ…ボト

群衆A「おっしゃあ!俺だ!俺の投げたやつだ!!」

アニ「うううう………もう………いやあ………」ガク!……ヌププ…ボトボトト

羞恥と腹痛と荷の重さに耐えきれず膝をついたアニ。尻穴と膣から鉄球がひりだされていく。沸き踊る観衆。一個がコロコロとジャンたちの元へ。ヌラヌラ光り、ゴミに塗れている。

ジャン「う…………!?」

アルミン「でも、それでいいと思う。人間性を極限まで切り詰めるのが僕の役目なら、ジャンは敵にも共感できる弱い心を持ったままでいい」

アルミン「それがジャンの………兵団での役目だと思うから」

ジャン「……なら俺はここから立ち去ってもいいな?お前は好きなだけこれ見てろ。いくらなんだって悪趣味にもほどがある…ちくしょう…」

アルミン「うん。でもジャンはずっとそれでいてね。僕みたいのばかりじゃみんな着いて来ないから…」

ジャン「言われなくても……いくらなんだって捨てていい部分と悪い部分の分別くらい俺にだってわかるっての…」

すでに兵団関係者は警備のための最低限を残してこの場を離れていた。早々に去ったものの中には兵舎で吐いたものもいた。

群衆はまばらになりもせず、自分が陣取っていたところを主賓が通り過ぎると先回りし、何度も投石するものすらいた。

シガンシナ区104期はアルミンが残るのみとなった。

群衆「だはは!!いいぞメスガキ!巨人の卵ひりだし続けろ!おら、どうした!立て!歩け!」

アニ「うううぐううう…うううう」ググ…

アルミン「アニ………」

アルミン(アニが僕に好感を持ってくれていたのは知ってた。捕獲作戦の時にはそれを利用した…心はざわめいても頭は冷静でいられる。昨日まであんなに動揺してたのに)

アルミン(好いてくれた人がこんな目にあっても、こんな風でいられるものだろうか。今は心すら穏やかだ。ハンジさんに談判に行ったくらいなのに)

アルミン(ハンジさんはああ言ってくれた。それを僕なりに取り入れて、僕はジャンに心の内を話して…あれで良かったのかな?)

アルミン(汚れ役って案外楽なものなのかもしれない。もっと大変な部分をジャンに託して…これでも甘えられたっていうのかな)

アルミン(………ともかく、今は情を捨てられる。ここでアニの苦しむ様を見届ければ、さらにそうなれる。そう思うんだ。ねえ、アニ…僕を軽蔑するだろうね)

アニ「はあ、はあ、はあ、う…っぶ…ううう(こんな仕打ち… 死にたいよ今すぐ…お父さん…いいよね?約即破るけど…あたし、がんばったよね?)」

地下牢への帰還。いくらかは鉄球を吐き出せたものの、大半はまだ彼女の体内に納まったままだ。

ハンジ「アニ…だいじょうぶだったかい?こういうことは出来るだけ避けられるよう尽力したんだけど…うん、衆目に晒すのは私の趣味じゃないんだ」

アニ「……………………………ふざけるな、悪魔が」

ハンジ「まあいいや。ところで苦しくなあい?お腹。行く前よりはだいぶ楽だろうけど」

アニ「………もういい。もういいよ。どうせもうなにしたってもう責任なんかとれやしないんだ。実際悪いと思ってるよ?でも……」

アニ「………誰かが…………しなくちゃ…………何で私…あたしなのって……」

ハンジ「…………………………お腹のもの、自分でとっていいからさ。ほら、道具はこれ。今日は拘束しないからゆっくりして」

ハンジから渡された道具とは…

アニ「え……?バター……ナイフ?」

ハンジ「…うん。自由な状態の君に普通の刃物なんかわたせるわけないだろ?それで何とかしてよ…きついと思うけど」

アニ「こんなの…………自分で取るわけないじゃないか。いいよ。一生鉄球入りの妊婦腹でも」

ハンジ「それじゃご飯が食べられないよ。あ、そうそう、最初に入れた赤鉄球、爆弾だから。明日の朝までに取らないとやばいよ?じゃ」ギイ、バタン!

アニ「……………………………………………え?」

アニ「はあ!はあ!はあ!死にたくない、死にたくない……ッ!」ガリ!ガリ!ガリ!

アニは自分の動揺ぶりに狼狽していた。先程までの投げやりな気持ちは何処かに消え失せてしまい、今は一心不乱に生きるために足掻いていた。

石壁でバターナイフを研ぎ、まともな刃物に仕立てようと必死だった。動くたびに腹の中のものが擦れ合い膣道と消化管に痛みを齎した。指でほじくり出そうという試みは失敗に終わっていた。

アニ(い、いや、落ち着けあたし!全部普通の方法で出せればいいんだ!!)

四つん這いになる。いわゆるウンコ座りは誰も見ていないとは言え、アニには女の子のする格好とは思えなかった。

アニ「はあ、はあ、ふんッ………んはあ、はあ、ふう、ふ……ふん!(ニュ…ニュ…)(出てくれない…ううう、切るしかない………っ!?)

ふと、あのマッドサイエンティストの言ったことはみんな嘘で、自分は担がれているのではないかという気がしてきた。

この狂態をどこかの覗き穴から見てほくそ笑んでるのではないかと…

アニ(い、いや…考えないようにしよう…もう私には被験体としての価値も人質価値もないんだ…殺されてもおかしくない…理不尽に)

アニ(あいつのシナリオだとしてももう素直に従おう…生きる……生きてお父さんに………!!)

アニ「うんン…ッ!ふ…ん!」ニュポ…ボトボト

幾つかが体内から産み落とされたが、それ以上どう力んでも残りの鉄球が出てくる気配はなかった。

最初に入れられた幾つかの鉄球…これは内部に薬品式の破裂機構を備えていた。内部容器が侵食されていない間は衝撃でも作動しないが…

アニ「この…出て、出て、出ろッ!あ…お腹を叩けば…っ!石が当たっても破裂しなかったんだ、大丈夫…(ポム…パアアアアアン!!)ギャアアアアアアアア!!」

溶けかけた容器が既にボロボロで、少々の衝撃でも爆発する個体が存在していた。そもそもこの方式で正確に起爆時間を指定するのは不可能だった。

アニにとって幸運だったのは、この破裂で連鎖的な起爆が起きなかったことと、吹き飛んだのが胃と腸の間の数センチだけであり、命に別状がなかったことだった。

特別に早く侵食が進んだ個体が破裂したのだった。しかしこの爆発で他の鉄球内部の容器は崩壊が進み、薬剤の混合による反応の瞬間は確実に早まったのであった。

アニ「はぁ……ッ!!グウ………ゲェッは!………が………あ………ッ!」

胃の破裂…地獄の苦しみだった。口から血と蒸気を吐き出しながら緩慢に転げ回り、のたうち回るアニ。精神の限界が近づいていた。

アニ「あは…は…は………も、もういい、もう…いいい!!やってやる……ッ!!やって………やるううッッ!!」

アニは改めて荒く研がれたバターナイフを握ると床に擦り付けて刃物として仕上げる。爪に押し当て、ほんの少し食い込むのを確認すると、腹筋の筋にあてがった。

本当は鋭い切っ先をこさえて少しでもこの狂った手術をやりやすいものにしたかったが、もはや精神的にも時間的にも余裕はない。アニはどうしようもない焦りに支配されていた。

アニ「はぁ、はぁ、はぁ……はっ、はっ、はっ、お、お父さん…あたしに…力を!!(ズ…)ひんっ!!!」ぞぶ……

アニ「ん……んんんんんんん!!!!」ズグ………グチグチ

筋肉は極力傷つけないように切開するも、激痛は消せなかった。初日にハンジに乱暴に切開された痛みを思えば、まだマシであった。

アニ「あ…………………………ああああああ……………もう、やだぁ……助けて…お父さん…」ポロポロ…

膨らんだ腹の皮膚を五センチ切って、傷口を見て、ああまだこれしか切れていないのかと絶望する。

ギリ…ザク、ザク

アニ「~~~~~~~~~~~ッッッ!!!!!」ビクビク!ビクビク!

意を決して再度腹を切り進む。上から下へ。声にならない叫びが喉から絞り出される。激痛と自分の肉体を傷つけるストレスに体が跳ねる。

アニ「んん!?…くぁ…!ひゅー、ひゅー、ひゅー…」

激痛に意識が飛びそうになり手が止まる。どのくらい切り進めたか、体を折り曲げて確認するのもきつかった。出血の量からすればそれなりには…

アニ「あ…やば…」

そう、出血である。急がなければまずい。ただでさえ再生を制御できなくなっているのだから下手をすると失血死もあり得た。

アニ「あ…あ…あ……は、早く…!ふぅ、スハスハスハスハ、フウウ~~~~~~…あ、ああああ!!」ザク!ザク!ザク!!

アニ「いぎぃああ~~~~~~~~~~!!!!ぐううううう~~~~~~~~~!!!」ブツ…

腹には十分な大きさの穴ができた…ここからてを突っ込んで、鉄球を取り出す…できるのか?

体を傾けるとコロコロと鉄球が二三出てくる。消化管から飛び出て内蔵の間に埋もれていたものだ。目標は胃…その中の赤玉…それさえ取り除けば苦しみは終わる…

アニ「はっ、はっ、はっ、は、ふう、ふう、ふう、あとすこし…あと少し…っ!!」

しかしここからが問題なのだ。誰が麻酔なしで自分の胃を切り開けるというのだろう?だがまず胃の位置を把握しないと始まらない。アニは自分の腹に手を突っ込んだ

アニ「(ぬちゃ)ふぐ!?…んんんん…(ぬちゃ…ぬちゃちゃ)(なにこれ…あったかい…)」

初日のハンジと同じ感想を抱くアニ。しかしそんなことを考えている場合ではない。出血は刻一刻と深刻なレベルに向かっているのだ。

アニ「(ぐちゅ)ふ、~~~~~~ッ!!(すごい…不快感…お父さんとの組手で前蹴りがたまたま…腹にクリーンヒットして…えぐった時のような…!!それより持続的で…っぐ!!)」

ちょっとなでただけの手触りだけではどれかわからない。アニは…意を決して握ってみる。中の鉄球を捉えればそれが消化管だ。

…………グニュ

アニ「がっっっはあああ!!!!」げぼ…

口から液が滴る。死ぬほど辛い…だがやらねばならなかった。生きるため…生きて帰るため…アニの手は柔らかな肉壁の下に確かに硬いものを感じた

アニ「ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ、ふう、ふう、ふう、ふう、あ、あ、あ、あと、すこ、しぃ、ふう、ふう」スッ…

アニは自分で削り研ぎ、刃をこさえたバターナイフを顔の前に持ってきた。切れ味は落ちていないだろうか?いや、もはや体をかがめて壁や床でとぎなおす精神力もない。

このままやるしかなかった。

アニ「は…はは…で、きるわけ…これで?……あ…はは」

自分の胃を切り開く…胃を刺激される痛み、苦しみは知っている。何度も食らい、食らわせた…みぞおちへの一撃。それを、刃物で直接?…アニは恐怖で気が狂いそうだった。

アニ「あ…」

アニは自分の中に必死に勇気を奮い立たせる理由を探す。もちろんそれは、たった一つなのだが…

アニ「お父さん……会いたい…この世でただひとり、あたしを許してくれる人…!会って、抱きしめてもらって、その言葉を聞くまで…この人生は、絶対…終わらせない!!」

プス…

アニ「ひいッッッ!!??ごはああッッ!!!!」がくがくびくびく…

経験したことのない、耐え難い痛みであった。初日にハンジに胸の中を陵辱された際もこうはならなかった。それくらい、内蔵の損傷というのは苦しいものであった。

鋭い痛みとは違う、叫び声を上げることもできない重い苦しみがアニを苦しめた。

アニ(こ…これを…!き、切り開いて…む、むり…だっ!)

こつん、と、胃に差し込んでいるメス、もといただの研いだバターナイフが鉄球に当たる。そう、これを取り出すまで終わらないのだ。

アニ(ふうううう、ふううううう、ふううううううう、あたし…ふうう、ふうう、強く…なれた…よね?)

現実逃避か、新たな心的エネルギーを取り出すためのプロセスか、アニはそんなことを考え始める。

アニ(この世界に来て…いろいろあった…本当に、故郷に閉じこもっていたら考えられないようないろいろなことが…)

アニ(感情移入しないと誓っていた、でもできなかった…こんな、非人間的な…どうして、あたしなんかにこんな仕事を…)

アニ(ああ、女の子らしく振る舞えないのは苦しかったなあ…でも、もう終わり。これが終わったら、本気で逃げることを考えよう。巨人になれなくてもなんとか…)

パアン!!

アニ「ぐは!!!げは!!!!がああああああ!!!!!」ビチャ!ゴロゴロ、ゴロゴロ、ドタバタ!

破裂の時間も迫っていたのだ。また一個、気の早い個体が四散する。破裂箇所は、胃。苦しみは比でなかった。たまらず血を吐きながら転げまわる。

アニ「いぎいいいいいい!!!!いたいいたいいたいいいいいい!!!!」バタバタ!…コロコロ

誰も見ていないせいか痛い痛い、とこれまでより素直に泣き叫ぶ。胃が破裂した穴から鉄球がいくつも転がりでる…赤かった。

アニ「あ…」

苦しみと引換の戦果。しかも自分でそれを為すという労なしに。コロコロと飛び出た赤鉄球に目が釘づけになるアニ。

アニ(…もしかして、胃が…裂けた?これで…それなら!)

体を起こして四つん這いになる。それなら自然、重力に引かれて球は裂け目から転がり出ていくはずである。痛みに耐えそのポーズをとる。破れた腹の皮が垂れ下がる。

アニ「ック…!」

ポト、ポト、カラコロ、コロコロコロコロ…

アニ(や、やった!)

赤玉がいくつも転がりでる。アニは口から自分の体に入れられた赤玉の数を記憶していた。これで全部…!終わったのだ。あとは失血を何とかし、ほかの無害な鉄球はそのあとで…

アニ「お…おわ…った…」ばたん

とりあえず仰向けの大の字になって一息、それから止血を考えよう。

アニ「あはは…やったよ、お父さん…悪魔に負けるかったよ…」

悪魔、とは壁の中の人間のことであるが、その悪魔に同期は含まれているのだろうか?アニにもわからない。極限の疲労ゆえ、そのまま気絶してしまう。

どれくらい経っただろうか。

パン!パンパン!!パアン!パアン!!…ビクッ!?

赤い鉄球が破裂する。その音で驚き覚醒するアニ。大の字に寝ている腹は再生しておらず無残に切り裂かれたままだ。

赤鉄球は体外で破裂していた。胃から転がり出たものすべてがただの破片となった。その破裂は弱々しく、飛び散る破片で怪我はしなかった。体内でこうなれば話は別だが。

はあ、はあ、と荒い息をあげ、心臓がドキドキするのを感じる。出血はだいぶおさまっていた。なんとかなる…破裂の驚異ももうない…自らの安全と、この拷問への勝利を実感する。

アニ「…ざまあみな…勝ってやった…あたしは生きる…生きて…故郷へ…」

…パァン!!!!

アニ「…!!!????っぁあああ!?」

腹部に内部出血の熱い感覚が広がっていく。いくらなんでももう失血死寸前である。しかしそれよりも…

アニ(ま、まだ赤い玉が残って…ぐうう!?)

パアン!!

アニ「あぎいい!!こ、こんなに残ってる…!?」

腹腔の中の色つきの鉄球を全ては取り除けなかったのだろうか…しかし、その認識は次の破裂で改まることになる。アニは下腹部…へその下にビキビキとした振動を感じた。

………パアン!!すぽっ!コロコロコロ

アニ「っきゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」バタン!バタン!

アニの膣の奥で鉄球が破裂した。衝撃で入り口近くに入っていた数個が飛び出て転がる。これではっきりわかった。膣に入れられるところを見ていないので確証はないが…

ミカサが入れた膣の鉄球は、何も色が塗られていない鉄球が入っていた箱から取り出されていたはず…それが意味するところはひとつだった。

アニ「ぜ…ぜんぶ…が…」

アニは力なく床に寝そべった。もうどうでもよかった。膣の破裂は膣道を崩壊させ、恥骨を傷つけたが、皮膚を突き破りはしなかった。それほど奥の傷だった。膣口からも血が流れ出る。

出血で低くなった体温は更に冷えていく。破裂が起こるたびに裂けた腹をくねらせながら痛みに踊らざるを得ない、痛覚刺激だけでショック死寸前…

アニ「あ、あはは、あはははははははははあははははあはははははははははははははははは!!!!もういい!!死ねば??あああああああああああ」ジタバタ!!!

今度の精神崩壊からは…立ち直れる気がしなかった。だがそんな事情も内部のものは考慮してくれない。

パァン!!パァン!!パパァン!!!

アニ「あぎいいいいいいいいいいいいあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」ビクビクビクビク

びちゃ…ぼちゃ

アニの肉があたりに散らばっていく。

アニ「は………っく……あが…(パン!)…ぶ…んげえ…」ピク…

もはや反応もうつろであった。死が迫っているのを感じた。事ここに至っては生存よりも死の方がずっと安逸を期待できそうだった。

走馬灯として去来する父との思い出…子供とも言えないほど大きくなった。だが任務のせいで父子分離の期間はなかったアニ…それゆえに父に撫でてもらうことはずっと前から変わらずアニの密かな楽しみだった。

家に帰ってそうしてもらう…それを思うだけで巨人になっての凄惨な殺戮も、「仲間」をあざむく罪悪感も、耐えて来れた。父こそがアニの精神の生命線…

それを天秤にかけてなお、アニは死による開放を選んだのだった。

アニ「あ…し、死なせて…(パンパン!)ぎいぃぃぃぃぃぃ~……」

もう体をよじって痛みをごまかそうにもそうするための腹の筋肉はごっそり吹き飛んでいた。人体解剖図よりもぐちゃぐちゃな、モツを抜きそこねた家畜の死体がそこにあった。

もう死ぬ…その時だった。

シュウウ…

アニ「………?…………!?けはッ…!くふ、はあ、はあ、はあ…あれ?死んで…ない?」

やっと、再生系は心臓の鋲のの傷より出血の方を問題だと認めたのだった。再生する箇所から痛みが引き、血液はとある方法により別の質量から補填され…

パアアアン!!!

アニ「ぎゃあああ!!いや、いや、再生やめてえええ!!死ぬ、死にたいのぉ、死なせてえええ、痛いのいやあああああ(パンパン!)ぐぅあああああああああ!!!!!」ビクビク!

それからたっぷり三時間、腹の中の爆発物が全て破裂し終わるまで、アニはのたうち回ることになった。破裂の波が収まり、再生速度の方が上回り、腹が閉じ、ホッとする。

そしてまた破裂の連鎖が起き始め、せっかく閉じた腹をかきむしって苦しむ。一度などはあまりの苦痛に狂乱し、バターナイフで再度腹を裂いて鉄球を取り出そうとした。

破裂寸前に反応が進んだ鉄球は、バターナイフが当たっただけで破裂し、逆効果だったのだが。もうアニにはどうしたらいいのかわからず、泣き喚き、立ち上がって動き回り、

壁に体当りして鉄球全てを一気に破裂させて苦しみを早く終わらそうとした。一個ずつ破裂させるのが精一杯だった。やがてもう何をしても無駄だと悟り、うずくまって泣く。

それから何度破裂しても歯を食いしばって耐える。だが腎臓が破片でぐちゃぐちゃに切り裂かれた時だけは声にならない叫びで喉を潰した。

厄介で耐え難かったのが膣奥のそれである。一度破裂していくつか飛び出ていった時点で膣内には二個しか残されていなかったが、それは小康状態のさなかの絶妙なタイミングで起爆した。

その二個の破裂の時ばかりはアニも完全に狂った。指で自分の目をくりぬいたり、バターナイフで自らの端正な顔をえぐって痛みを紛らわそうとさえした。

あれほど嫌だった、人外の証の再生能力にたよってでも楽になりたかったのだ。再生が制御できなくなっている以上、頚動脈を切っても死ねない、心臓にさしても死ねない、脳を破壊するしかない。

そうおもって頭を壁に何度も打ち付け、額からの出血で血だらけになる。頭がぐわんぐわんしてああ、死ねるかなという時に限って、また腹の中でぱん、と音が…のたうちまわって全てが振り出し。

ついに最後の破裂がやって来る。腸内深くにとどまったどれもこれも破裂寸前の五、六個の鉄球。それが一度に破裂したのだ。最後のグループだった。これまでに比べればその破裂音は大砲だった。

アニの腹は再び開き、あらゆる臓器がスクランブルエッグの状態で飛び散る。16歳の女の子にはあまりにも酷い拷問…アニには無限の時間の中に囚われたように思えた。


それでも、どんな夜にも朝は来る。耐えたのか、いつの間にか過ぎ去ったのか、わからないがとにかくハンジが部屋にやってきた。

ハンジ「どう?生きてる?別に死んでてもいいけど…」

アニ「………フゥ………フゥ」

アニの体幹は背骨だけで下半身とつながっている状態だった。虚ろな目で牢に入ってきたハンジを見つめる。再生の蒸気が立ち篭め、空気穴から入ってくる風に押されて鉄格子の方へなびいていた。

折れたアバラがごきごきとつながっていく。失血死寸前、再生機能はなんとかアニの命をつないでいた。もう破裂していない鉄球もない。終わるのが少し遅ければ精神の方が先に壊れていたかもしれない。

アニはまたなんとか、正気の淵にたどり着いていた。しかしその顔からは生気が失せ、亡者のようであった。

ハンジ「ほらほーら、そんな顔しないで~…せっかくの美人が台無しだよ?」

アニ「…………………………………………………………………………殺しなよ……………………ひと思いに…」

アニの希望はボロボロであった。あれほど目標にしていた故郷への帰還も、帰れたらいいなあ程度に摩耗していた。体幹部の筋肉があらかた吹き飛んでいるので身じろぎすらできない。

ハンジ「そんなことしないって…あ、死んでもいいって、本気にしちゃった?そんなわけないじゃないの~、体の情報はいいとしてソフト情報は全然取れてないのに…」

アニ「…」

つまり…秘密を喋れば楽になれる…?いや、そんな考えは唾棄すべきものだ、絶対ダメだ…アニはそう思えるくらいにはまだ戦士だった。

ハンジ「あ、ちょうどいいからご飯はそこらに散らばってる君の肉ね。好きなだけ食べていいよ。肉は貴重だから、捕虜の意味には上げられないしね。それじゃ」ギイ、バタン


アニは傷が治ると這いつくばったまま自分の肉のところへ移動し、それをよく見た。青白い皮膚と、こびりついた真っ赤な肉。自分の皮膚と見比べ、すぐに後悔して比べるのをやめる。

アニ「う…おげえええ…っえ」

昨日鉄球を入れられてから今日の今まで何も食べさせて貰っていない。体力的に限界だ。頭では食べるしかないのは分かっていた。しかし…

それでもそれを口に含む。鉄の味…唇を噛むような食感…この環境は廃人や狂人を作るのに最適なんだろうな。そう思ったあとアニは肉を噛み千切り、腹に収め、吐き、また食べた。

次の日。この日は薬物耐久実験であった。何種類かの薬物を服用させ、反応を見る。巨人の研究というより、医学探求であった。アニの精神状態はやや不安定になる。

アニ「あんた…自分が殺してきた巨人ってのがなんなのかわかってる?いや、もう察しはついてるんだろ?」

ハンジ「…へ?」

いつもと比べてアニは饒舌…尋問される立場の人間としては最悪な精神状態となった。ペラペラと秘密を喋らずにはいられなくなる。偶然の薬理反応がこれを引き出した。

アニ「あ…あたしたちが殺人者なのは確かだけど…あんたらがそうじゃないとは…いい?巨人ってのは…元は…」

ライナーもユミルも隠したがった重要な秘密が飛び出ていった。


ハンジ「そっか…そうか…そういうことだったのか…やっとわかったよ。君たちの目的、覚悟が…」

アニ「え…あ…え?あたし…何をッ!?」

ハンジ「座標ってのがどういうものなのか。もうわかっちゃったよ。ありがと、教えてくれて…君たちの悲壮な運命もね」

アニ「あ…え…え?」

アニは今度こそ故郷に帰れなくなったと思った。自分は両勢力からの紛れもない裏切り者だった。心底自分が嫌になる…

アニ「……………………………………………」

アニにはもう何もない。父はこれもきっと許してくれるだろう。だがほかの仲間は?ライナーは?ベルトルトは?…クールぶって関わりを絶ってきたアニにはわからなかった。

だが裏切り者のレッテルを貼られることだけは…確信していた。

アニ「もう…いいだろ?さ…さっさと殺してよ。こんな殺人鬼…故郷まで裏切って…希望を持つ資格もない…!」

ハンジ「うん、うん、気持ちはわかるよでもね…それと実験は別だから…可愛そうだけどね。わあああ!!!わたしもつらいんだよおおおおおお!!??またイタイイタイだからねえぇぇ!!??」

ハンジ「っこれからもいーろいろ実験あるからああああああ!!!!!がんばろおおおおおおおおねええええええええ!!??私も、私も心は痛いからああああああああああああ!!!!」

アニ(この人…狂ってる)

ハンジ「アハハ……………………アハ、アハ、アハハハハハハハハ(少し……疲れたかな?)」

ハンジ自室

ハンジ「……………………………」

(コンコン)

ハンジ「!……はあい、どうぞ」ガチャ、ギィ…

モブリット「…分隊長…」

ハンジ「あれ、どうかした?モブリット…こんな時間に私の部屋に来るなんて」

モブリット「今日はとくにお悩みのようでしたので…巨人の実験のあとはいつもそうでしたが」

ハンジ「はは…部下に心配されてたなんてショックだなぁ。リヴァイみたく、感情を押し殺して毅然と振舞って、それでも部下は察してくれて」

ハンジ「そして隊のみんなが一つになれる。そんなのを目指してたんだけどね。ああ、こんな巨人キチガイ、もともと分隊長失格か、こんな人間みんな嫌がるし」

モブリット「…いえ、みんな…隊のみんなは、あなたのことを理解していますよ。あなたの中に巨人への憎しみの心が今もあることを…」

モブリット「あなたは誰よりも部下を愛し、それを奪った巨人を憎んでいる。それでも巨人への探究心とその義務も共に持ってしまった。」

モブリット「その狭間で出来上がったのが巨人に狂喜するハンジ・ゾエなんでしょう。心を押し殺して義務を果たしてもますます誰からも理解されなくなって行く」

モブリット「我々ハンジ分隊のものは皆あなたの運命を憂い、この道を共にする覚悟です。どうかそれをお忘れなく…」

ハンジ「…ありがとう。こんな素晴らしい部下を持てて、私は幸せ者だ」

モブリット「それで…ハンジ分隊長。今宵は特に憂鬱そうでした。憂鬱な時はそれに反比例して狂喜の態度が過剰になりますから、わかるんです」

ハンジ「そうだったかな?まあ、うん。そうだ、確かに憂鬱だ。巨人でなく、人間を痛めつけるのは」

モブリット「人間…ですか」

ハンジ「そう。私もね、最初はアニは巨人だと自分に言い聞かせてきた。過剰な虐待をしてでもね。でも、語られる情報を知ったらその自己暗示に無理が出てきてね」

ハンジ「実際辛いよ。こんなことするのは…できれば他の分隊長…もういないんだった、じゃエルヴィンあたりに…」

モブリット「ハンジ分隊長!!!!」

ハンジ(ビク!)

モブリット「…ハンジ分隊長…弱気にならないでください。あなたが団長と違って人間性を捨てられない人なのは知ってます」

モブリット「しかし他に適任がいないことも…知っています。でしたら我々にできるのはあなたと同じ罪を背負うことぐらいです」

モブリット「私たちが直接の尋問を執り行います、あなたは大まかな方針だけでt…」

ハンジ「いや…いいんだ、これは私の業だ。それにあの娘とももっと二人きりでわかり合いたいし。いや絆されてるわけじゃないんだよ。」

ハンジ「自分の目で彼女の語る真実を見極めたい。勝手だけどこれが私の義務であり、願いであり、苦しみだ。余分な弱音を吐いた。申し出ありがとう。忘れないよ」

モブリット「…わかりました。私たちはいつでも味方ですからね」

ハンジ「アニへの同情…今更だよね。あそこまでひどいことして…どうしてあんなことができたんだろう…」

ハンジは日ごろから仮面をつけることに慣れすぎていた。実のところ心はもうとっくに壊れてしまっていたのかもしれない。巨人への態度が好例だ。

巨人を憎みつつ、それを探求する。巨人フリークを装いながら。矛盾?少なくとも背反した感情を同時に持つ…

病んでいるのであった。極限状況でのみ、冷静で的確な指示を出す分隊長ハンジに戻れるのであった。

それなら、今は?アニ…巨人能力者、スパイ、若き格闘家…中身は年齢相応の子供…それをあれだけ痛めつけて…ひどいこともした。

狂ったふりをする常識人、ハンジは磨り減っていたのだった。


ハンジはアニの前に立った。手には立体機動のスナップブレードが握られている。

ハンジ「…………」

アニ「…………?」

アニは困惑していた。いつもの狂気が感じられない。自分にあれだけ凄惨な拷問をしてきた憎いその人物の顔にはおぞましい狂喜ではなく、慈愛の眼差しがあった。

すんなり理解できた。ああ、ここでおわるんだ、と。同時にフツフツと湧き上がる、生への渇望…逃げられる?幸い最近の自分の腑抜けぶりに油断したのか今は拘束されていない…

ハンジ「言い残すことは?」

アニ「……………あんたら、もうおしまいだよ。座標があの死に急ぎ野郎の手に渡ったらどうなるか…この世界も、あたしたちの世界も…」

ハンジ「それはもう聞いた。えっとね、アニ…もう用済みの君だけど…兵団に出資してくれてる貴族がさ、買いたいって言うんだよ。断りきれなくてねー…」

アニ「………………」

ハンジ「私個人としては君をそんな目に合わせたくない。どの口がいうって感じだけどね。それでも、君が話してくれた事情は、もう私に狂気の仮面をかぶらせてはくれない」

ハンジ「ここで君を解放できるんだ。……残念ながら、帰すことはできないけど…今以上に辛い運命からは解き放てる」

アニには実感がわかなかった。死ぬ…?ここで…惨めに…いや、最低限の尊厳は保証してくれるようだ。…あれだけそれを剥ぎ取った上でよく言う。

今だと思った。

アニ「ふッ!!」ダッ!

イチかバチか、素っ裸で鋭利な剣で武装した人間に挑みかかる…愚の骨頂。しかしこうする以外になかった。いきなりの上段蹴りで気勢を削いで…


アニは骨まで達する首の怪我に喘いでいた。これまでのパターンからおそらく失血が危険なレベルに達するまで再生は行われないだろう。

アニ「う…ううう、う~~~」

必死で首を抑えるアニ。筋肉も大半が切断されているので支えるので精一杯だ。たまらず膝をつく。

ハンジ「……脳を狙ったんだけどね。まあいいや。これで素直に遺言が言えるだろう?抱きしめてあげるから、言ってご覧?」ぎゅ

その抱擁は首の傷を広げ、再生をさせないためのものだった。頭を抱き、傷のある左側が伸びるよう、アニの右側へ首を倒す。

アニ「ぐううう~~~!?うううう~~~~~(や、やばい、これだとすぐに傷を塞げない…っ!死ぬ、今度こそ!)」

アニ「は…はなして…!うっ…し…死にたくないぃ…!!」

ハンジ「……………………」ぎゅうう…!

アニは、終わりが来たのを悟った。死を受け入れる気持ちが遠きくなってくるのを感じた。だが、やはり本当の本当は、父の元へ…

アニ「………あたし…………普通の女の子になりたかった…お父さんと暮らして…みんなと笑って………………ああ…あは、あ、うう~~~~う」ポロポロポロ

アニ「ああ…お父さん…最後に、最後に一目だけでも…ううう…ううう…死にたくない………死にたくないよおお…!」

ハンジ「………………!」ぎゅ…


ついに、調査兵団員100人弱を直接、人類数十万人を間接的に殺めた「悪魔」の心臓が、停止した。それを見下ろすハンジ…

ハンジ「敵兵とは言え年端もいかない女の子を捕らえ、拷問し、猟奇的に殺す…巨人愛好者とかいう生易しいもんじゃない。私はもうただの殺人鬼だな」

ハンジ「……………………初めて、人を殺した」

ハンジ「こんな女の子を………それに、こんな若者…いや子供にこんなことをさせる彼らって…」

ハンジ「いや、それは私たちも同じだ。巨人たちの正体を知れば、私たちも彼らと同じであるということを知るだろう」

ハンジ「私たちも十代の子供達に人殺しと同義の所業をさせて…」

ハンジ「この世界は…地獄だ。私たちは生きるためにどれほどの返り血に手を汚しているんだろう…」

ハンジ「あの新入りのみんななら、どう感じるだろうか…」

ハンジ「さて、後の世代に難題を押し付けるわけにもいかないな、私もそれを背負っていこう。仲間が多ければ多いほど責任も、罪の意識も分散できる」

ハンジ「さ!クレイジーな巨人フリーク・ハンジ、営業再開!…」

おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月31日 (月) 21:40:37   ID: 8CUt6Pxg

疲れた

2 :  SS好きの774さん   2014年06月11日 (水) 16:42:14   ID: ArvF7_5i

これのリヴァイ兵長バージョンが見たいです。

3 :  SS好きの774さん   2014年06月11日 (水) 16:42:14   ID: ArvF7_5i

これのリヴァイ兵長バージョンが見たいです。

4 :  アニ好きクラブ   2014年10月31日 (金) 20:17:36   ID: zCarA63g

怖い

5 :  SS好きの774さん   2014年12月27日 (土) 16:07:49   ID: yx_tMnfD

こわい

6 :  SS好きの774さん   2014年12月27日 (土) 16:08:55   ID: yx_tMnfD

かわいそうなアニちゃんよしよし

7 :  SS好きの774さん   2015年03月29日 (日) 16:28:17   ID: uKGBkAMZ

これ子供にはきついわ
私中一なんだけど、トラウマになったかもしれん。
今でも、胸の辺りがむず痒い。

8 :  SS好きの774さん   2017年01月13日 (金) 09:52:53   ID: zYBQy4Eh

よし、ペトラ父を今すぐ誘拐して
地獄すら生温い拷問を与えてやろう。
もし本当にこんな事があったら少なくともエレンがブチ切れて皆殺しにするんじゃないかな? ベルトルトやライナー、ジークも加担して血祭り地獄の始まりだろ。

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