上条「バレンタインデーか」(210)


7:00 【上条の部屋】


禁書「とうま、とうま! 今日はバレンタインデーなんだよ!」

上条「不幸だ……」

禁書「いきなりテンション低いんだよ」ハァ

上条「この日はいい思い出がなくてな。ったく、何でこんな日があるんだよ……」

禁書「昔々、ローマでは戦争に集中するために結婚が禁止されてね。そんな中でも、兵士達をこっそり結婚させてあげたバレンタインっていうキリスト教司祭がいたんだよ。
   その人は見つかって処刑されちゃったんだけど、それが今日で恋人達の日として祝うようになったんだよ。処刑の日が2/14っていうのも、女神ユノの……」

上条「ほー、へー」

禁書「むぅ。まぁいいや、はい」スッ

上条「……その手は何でせう?」

禁書「何って、もちろんお菓子とかが欲しいんだよ! 別に恋人じゃなくても、親しい人にもあげたりするものかも! あ、日本だとチョコレートなんだっけ?」

上条「あのな、一応ここでは女の子が男にあげる日なんです」

禁書「逆チョコっていうのもあるみたいだよ?」

上条「お前意外と流行乗っかってんだな!?」


禁書「とうまー、とうまー」

上条「ダメダメ、上条家の家計にはチョコ一つの余裕もありませんー!」

禁書「ええー!!」

上条「上条さんの真心込めた朝食で我慢しなさい」

禁書「やったー!!」

上条「単純過ぎる……」


7:40 【上条の寮付近】


舞夏「おー、上条当麻ー」

上条「よ、舞夏か」

舞夏「ふふふー、これをありがたく受け取るがいいー!!」スッ

上条「な、何ですかこの小綺麗な包装紙に包まれたものは……」

舞夏「もちろんチョコだぞー」

上条「マジで!? なんかすっげー高級っぽいけどいいのか!?」


舞夏「もちろん。結構自信作だから感想頼むぞー」

上条「手作り!? 嘘だ、これは夢ですか!?」ガクブル

舞夏「いくら何でも動揺しすぎだろー」ハァ



上条「絶対何かある……俺に限ってこんな事は…………」ブツブツ

白井「朝から辛気臭い顔してますのね」

上条「ん、白井か。こんな時間に会うなんて珍しいな」

白井「当たり前ですの、わたくしから会いに来たのですから」

上条「へ? 俺に何か用か?」

白井「こちらを差し上げますわ」スッ

上条「……おいまさかこれって」

白井「この日にこのシチュエーションで、チョコレート以外だと思いますの?」

上条「さ、サンキュ……」

白井「……? 何をおどおどしていますの?」


上条「い、いや、まさかお前がチョコくれるとは思わなかったから……」

白井「これも淑女の嗜みですの。では、お早めにお召し上がり下さいな」ヒュン


8:10  【昇降口】


上条(まさか早くも2つとは……。もしかしたら下駄箱の中にもっていうベタな展開も!!)ワクワク


ガキッ!!


上条「ガキッ?」

上条「――――って開かねえじゃねえかこれ!!!」ガチャガチャ!!


男子A「はっはっは!! どうだ上条!!!」


上条「なっ、これお前らの仕業かよ!?」

男子B「当たり前だ!! お前がそこを開けた瞬間、チョコに埋まるなんて漫画みたいなモン、俺達は見たくねえんだよ!!!」

上条「そんな事あるわけねえだろ!」

詠矢空希「チョコ貰えなかったなー…色んな世界回ったのによ…」

詠夜ミソラ「兄ちゃん、そんな欲しいならあげたのに…」

空希「いや妹から貰ってもねぇ」

ミソラ「そっかーいらないのかぁー」

空希「いや…欲しい…けど」


男子C「どの口がそれを言うか!!!」

上条「ったく、けどこれじゃ誰もチョコなんて入れらんねえだろ。いいからもう開けてくれよ」

男子D「ん、まぁそれもそうか」


ガチャン


上条「ほら、空っぽじゃねえか」

男子A「空っぽ……だよな」

男子B「いや、まだ油断はできないぞ! もしかしたら光学操作系能力者が見えなくしてるだけという可能性も……!!」

上条「んなわけあるか!! ほら、何もねえ!!」ガサゴソ

男子C「は、はは……」


男子「「よっしゃあああああああああああああああああああああ!!!」」


男子D「勝ったぞ!! 上条のフラグメイカーに、俺達は勝ったんだ!!!」

男子A「うぅ……頑張ったかいがあったな……!! 昨日は細工してるとこを災誤に見つかってどうなる事かと……」


上条「何やってんだお前ら……」ハァ

男子B「ふっふっふ、これで俺らは同士だ、上条!!」ガシッ

上条「はいはい。そんじゃ早く教室に……」


男子C「――おい待て、その鞄から見えてるのは何だ」


上条「いっ!?」バッ

上条(しまった、閉め忘れた!!!)

男子「「………………」」

上条「え、えーと、これはだな……」


男子A「おい、もしかしなくてもさっき見えたのはチョ」

男子B「待て、全部言うな!! 俺らがもたない!!!」

男子C「……まぁ何にせよ、俺達の取るべき行動は一つ」

男子D「安心しろよ、“それ”に手を出したりはしない。だが――――」


男子「「お前はコロス!!!!!」」


上条「結局こうなるのかよォォおおおおおおおおおおおおお!!!!!」ダダッ!!

男子「「待てコラァァあああああああああああああああああああああ!!!!!」」ダダッ!!


8:20 【教室】


ドドドドドドドドドドドドド!!!!!


男子E「上条が来たぞおおおおおおおおおおお!!!」

女子「「!!!」」ソワソワ

吹寄「まったく、朝から騒がしい奴ね」ハァ



ガラッ!!


上条「はぁはぁ……一体何なんだよ!!」

男子E「捕らえろおおおおおおおおおおおおおお!!!」

上条「なっ、ここも敵だらけ!?」ギョッ


ドガガガガガガガガガガ!!!!!


上条「いててててて!!! おい離せって!!」ジタバタ

男子E「お前が追われてる原因として考えられる理由は一つ! それは下駄箱封鎖組の作戦が失敗してお前がチョコを受け取ってしまったという事だ!!!」

上条「お前らもグルかよ!?」

男子F「報告!! 上条の鞄の中からチョコ2つ発見!!!」

男子E「ご苦労。さぁ、これで証拠も挙がったな……?」ギロ

上条「ま、待てって!!」



ガラッ!!


男子A「上条はどこだあああああああああああ!!! アイツ、やっぱチョコを……!!!」

男子E「確認済みだ!! 今から処刑する!!!」

上条「おい待て落ち着けって!!!」


土御門「んー、何だか賑やかだにゃー」

青ピ「朝から面白そうやねー」


男子B「来た、新戦力だ!!」

男子C「おいお前ら!! やっぱり上条がチョコ貰ってるぞ!!!」

男子D「今からやっちまうけど、お前らも混ざるよな!?」

青ピ「チョコって…………」


青ピ「別にそれくらいいいやん」ニヤニヤ

土御門「まぁそこまで怒ることじゃないにゃー」ニヤニヤ



男子「」


男子E「お、お前らまさか……!!」プルプル

青ピ「そのまさかやでー」スッ

男子F「そ、それはチョ」

男子G「待て言うな!!! 言わないでくれ!!!」

土御門「ふっふっふ。やっぱり義妹からのチョコというのが最高なんだぜい」ニヤ


青ピ・上条「「え?」」





土御門「ん? 二人共どうしたんだにゃー?」キョトン

上条「いや、舞夏からなら俺も貰ったんだけど」

青ピ「せや、ボクも」

土御門「………………」

上条「………………」

青ピ「………………」


土御門「ブチ殺し確定だにゃァァああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」ブチッ


上条「ちょ、おい土御門――へぶっ!!!」バキッ

青ピ「ま、待った待った――ほがっ!!!」バキッ

土御門「血祭りにあげてやるにゃァァあああああああああああああああああああああああ!!!!!」ゴォォ!!!

男子A「おいテメェら負け組無視してんじゃねェェえええええええええええええええええええええええええ!!!!!」


ゴンガンドンバンガンギンドンガングシャ!!!!!!



小萌「はいはい、皆さんHR始めますよー……ってぎゃあ!? クラスが男達の戦場になっているのです!!!」

吹寄「すみません、今すぐ黙らせますので」


8:50 【教室】


上条「いてて、吹寄は手加減がねえな……」ズキズキ

吹寄「貴様らが悪い!!」

上条「俺は被害者だと思うのですが……って机の中が塞がれてる!?」

男子I「ふふ、俺の能力だ!! こっそり机の中に、という方法もあるからな!!」

上条「そげぶ!!!」バキン!!

男子I「なにいいいいいいいいいいいいい!?」

上条「ったく、ホント色んな事しやがって……」

女子A「(ねぇ、いつ渡す?)」ヒソヒソ

女子B「(じゃ、じゃあお昼休みくらいに……)」ヒソヒソ

女子C「(抜け駆けは禁止だからね!)」ヒソヒソ


男子「「………………」」ビキビキ

上条「何か寒気が……ってお前もだよ土御門」

土御門「お前ら覚えておけにゃー」グヌヌ

青ピ「まぁまぁ、良い妹さんやないかー」

土御門「黙れええええええええ!!!」

吹寄「うるさい」ギロ

デルタフォース「「すみません」」


上条「こえーこえー、とりあえず次の授業はっと……あれ?」ゴソゴソ

上条(やべ、白井のチョコが無い!? おいおい、これ鉄矢で串刺しにされるんじゃ……)

青ピ「……お? おおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

上条(たぶん学校内だ。昇降口からここまで走ってきた時か、それかさっき大暴れした時に何かのはずみで……)

青ピ「チョ、チョコや!! なんやボクの鞄の中に新しいチョコがあったんやけど!!!」


上条(たぶん学校内だ。昇降口からここまで走ってきた時か、それかさっき大暴れした時に何かのはずみで……)

青ピ「チョ、チョコや!! なんやボクの鞄の中に新しいチョコがあったんやけど!!!」

土御門「青ピにチョコ? ていうか今まで気付かなかったのかにゃー?」

上条(くっそ、せっかく貰ったチョコを無くすとか最悪じゃねえか。何とか見つけねえと)

青ピ「たぶんさっきの大騒ぎの時に、どさくさに紛れて誰か入れたんや! そうやろ!? 恥ずかしがらなくてもいいんやで!!」キョロキョロ

女子D「(なんかこっちの方見てない?)」ヒソヒソ

女子E「(構っちゃダメよ)」ヒソヒソ

土御門「ふーん、珍しい事もあるもんですたい。なぁ、カミやん?」

上条「……へ? 悪い、ちょっと考え事してた」

土御門「なんか青ピがチョコ貰ったみたいだぜい」

上条「舞夏以外から?」

土御門「」ビキッ

上条「あー、いや何でもない。でも、一体誰の…………って、はぁ!?」ギョッ

青ピ「なんやごっつ高級そうや! よっし、せっかくだし今から食べるでー!!」アーン


男子A「くそ、青ピの奴……!!」ギリッ

男子B「何であんな変態が……!!」ビキビキ

上条「待て青ピ!! それは白井の……ッ!!!」


パクッ!!


上条「あ」

青ピ「うんまあああああああああああ!!! なんやこの庶民には馴染みのない味は!!!」

土御門「まー、舞夏には敵わないだろうけどにゃー」

青ピ「あれ、カミやん? どないしたん、そない固まって」

上条「最低だ、俺って……」ガクッ

青ピ「エヴァネタ?」



ギュルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!!!


青ピ「はうっ!?」

土御門「急にどうしたんぜよ? 顔が真っ青だぜい?」

青ピ「は、腹がァァ……ッ!!!」プルプル

上条「え?」


青ピ「も、漏れるうううううううううううううううううううううううう!!!!!」ダダッ!!


ドドドドドドドドドドドドド!!!!!


男子B「どうしたんだ、アイツ?」

男子C「さぁ」

上条「………………」


9:10 【1限目・化学】


小萌「遅れて申し訳ないのですー! ちょっと大変な事が……」

土御門「大変な事?」

上条「ていうか、青ピの奴がどっか行っちまってんですけど」

小萌「それなのです。青髪ちゃんは尋常じゃない腹痛で病院へ向かったのです……」

クラスメイト「「え!?」」

小萌「一体何を食べたらあんなになるのか分からないのですよ……まるで毒でも盛られたかのように…………」

上条「」

土御門「(な、なぁ、あれって確かカミやんの……)」コソコソ

上条(し、白井の奴……。許せ、青ピ)ナム


12:00 【昼休み】


土御門「俺は購買行くけど、カミやんは弁当かにゃー?」

上条「あぁ、こっちのほうが安くつくしな」ガサゴソ



女子A「か、上条君!」


上条「はい?」

女子B「えっと、これ、良かったら受け取ってください!」スッ

女子C「その、一生懸命作ったから!」スッ

女子D「わ、私だって!」スッ

姫神「……私も」スッ

上条「お、おう! みんなサンキューな!!」

上条(何だこれドッキリか!?)

女子E「えっと、じゃあ後で感想聞かせてね!」


タッタッタ……


男子「「………………」」ゴゴゴゴゴゴゴゴ



上条「なんかすげえ怨念が……」

吹寄「貴様が節操ないからでしょ」スタスタ

上条「吹寄、また今日も味気なさそうなパン食ってんなー」

吹寄「うっさいわね、美味しいわよ!」

上条「そういや、吹寄はチョコとかあげたりしないのか?」

吹寄「あげたわよ」

上条「マジで!?」ギョッ

男子「「ッ!!!」」ガタッ

吹寄「どんだけ驚いてんのよ。普通に失礼よそれ」フン

上条「いや、意外でさ……。で、誰にあげたんだ?」

吹寄「クラスの女子」

上条「はい?」

吹寄「友チョコってやつよ」

上条「……そっかそっか! だよなー!!」アハハ

男子「「ほっ」」


吹寄「何だかその反応はカチンとくるものがあるわね……」

上条「いやいや、吹寄らしくて安心したってことだよ」

吹寄「……じゃあ貴様にもあげようかしら、チョコ」

上条「え!?」

男子「「はぁ!?」」

吹寄「何かこのままだと負けた気がすんのよ!」

上条「どういう理論ですか!? つかそれはマズイっての!」

吹寄「なっ、なんですって!! チョコくらいちゃんと作れるわよ!!」

上条「いや、そういう意味じゃなくて……」


男子A「上条……コロス…………」ブツブツ

男子B「まさか吹寄までもが……」ブツブツ

男子C「おい、発火能力者呼んでこいよ」ブツブツ


吹寄「……何となく分かったわ」

上条「理解が早くて助かります」


15:30 【HR】


小萌「――と、連絡事項はこれくらいですねー。ではでは、最後に先生からチョコをプレゼントなのですよー!」

男子「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」

小萌「女の子にももちろんありますよー。でも、食べるのはお家に帰ってからにしてほしいのですー」


小萌「それでは、また明日なのですー!」

生徒「「さよならー!」」

土御門「さっすが小萌先生だにゃー」

上条「あぁ、あの人らしいな……って、お前らチョコは帰ってから食えって言ってたじゃねえかよ……」

男子A「黙れ裏切り者!! 俺ら非モテはすぐにでもこの幸せを味わいたいんだよ!」

男子B「その余裕が憎い!!」

上条「わ、分かった分かった。じゃあ俺も食ってみようかな、すっげーうまそうだし」ガサガサ


男子「「…………え?」」


上条「ん、どうしたんだよ?」

土御門「カミやんのチョコ、微妙に形が歪じゃね?」

上条「そういや、言われてみれば……」

男子C「ば、バカな……それは紛れも無く…………!!!」ガクガク


男子「「手作りの証拠!!!!!」」


上条「……は?」

男子D「俺達のは明らかに市販品なのに…………」

土御門「あの先生もやるぜい」

上条「お、落ち着け。たぶんこれは何かの間違いで……」ダラダラ


男子「「問答無用!!!」」ゴォ!!!


上条「う、うおおおおおおおおおおおおおおおお!?」ダダッ!!

男子E「逃げんなコラァァああああああああああああああああああああああ!!!」ダダッ!!

男子F「マジで見境なしかテメェェええええええええええええええええええええええ!!!」ダダッ!!


ドドドドドドドドドドドドド!!!!!


【職員室】


黄泉川「いやー、クラス全員にチョコなんて、さすが月詠先生じゃん」

小萌「大事な大事な生徒さん達です。当然なのですー」ニコ

黄泉川「で、本命はどこの誰にあげるつもりじゃん?」ニヤニヤ

小萌「ふふふー、もうあげたのですよ///」

黄泉川「おぉ、やるじゃん!」

小萌「黄泉川先生はどなたかにあげないのですかー?」

黄泉川「うーん、私はそういう柄じゃないからなー。まぁ生意気な居候くらいにはあげようかね」


16:00 【上条の部屋】


上条「つ、疲れた……。アイツら本気で追っかけてきやがって……」ゼェゼェ

上条「……あれ? なんか書き置きがあるな」


―――――――――――――
こもえの家に行ってくるんだよ!
―――――――――――――



上条「はは、チョコでも食いに行ったか」


ピンポーン!


上条「はいはいー」ガチャ

神裂「こ、こんにちは……///」モジモジ

五和「あ、あの……///」モジモジ

上条「」


バタン


上条「オーケー、今のはただの幻覚だ」フゥ


ドガァァァァァァァァァ!!!!!


上条「ひい!?」


神裂「何も言わずに閉めないでください!! どれだけこの格好が恥ずかしいの思っているのですか!!」

上条「じゃあ止めればいいんじゃないでしょうか!! ドア開けて堕天使と大精霊がいたら、そりゃビビるわ!!」

五和「そ、そうですよね、似合わないですよね、アハハ……」ショボン

上条「いやいやいや、そういう意味ではなくてですね!! というか個人的にはかなりキテるっていうか……!!」アセアセ

神裂「と、とにかく!! これを受け取ってください!!」スッ

五和「わ、私のもお願いします!!」スッ

上条「さ、サンキュー。でも出来ればいつもの格好で来てくれたほうが助かる、主に上条さんの精神的な意味で」

神裂「私だって望んでこんな格好をしているわけではありません!! それもこれも土御門が……」


パシャッ!!


土御門「いい表情だぜい、ねーちん! 天下の聖人のこんな写真はかなりレアだにゃー」

神裂「……土御門。やはりあなたには一度唯閃を使ったほうが良さそうですね」ギラッ

土御門「あ、あれ? もしかしてマジギレ?」ダラダラ


五和「ぷ、女教皇(プリエステス)! 落ち着いてください!!」

上条「ちょ、神裂さん、ここで大暴れは……!!!」

神裂「救われぬ者に救いの手を(Salvare000)」


ドガァァァァァァァァァ!!!!!


土御門「にゃー!!! ねーちん、魔法名の意味が微妙に変わってる気がするぜい!!!」

神裂「そうでしょうか、何も変わっていませんよ」ギロ

土御門「か、カミやん、助けてくれにゃー!!」

上条「ふ、ふざけんな!! 俺を巻き込むんじゃ……」


ドガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


土御門「いぎゃああああああ!!! と、とにかく逃げるぜい、カミやん!!!」ダダッ!!

上条「な、何で俺までこんな事になってんだよ!!!」ダダッ!!

神裂「逃がしませんよ」ビュン!!



五和「あわ、あわわわわわわわわわわわわ」

建宮「何やってるのよな五和! ここで追わなければ、いつまでも女教皇には勝てないのよな!!」

五和「そ、そうですよね!!! とにかく真剣白刃取りを成功させないと、建宮さんのメンツが……!!」

建宮「いつの話をしてんの!? と、とりあえず落ち着くのよな、五和!!!」

香焼「はい、真剣」スッ

建宮「だからお前もそのアシストやめろおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

五和「い、いきますよ……!!!」チャキ

建宮「ちょ、まっ、ホントに逝っちゃうよ俺!?」


ザン!!!


16:30 【上条の部屋】


上条「はぁ……酷い目にあった…………」ガクッ


ピンポーン!


上条「今度は誰ですか……?」ガチャ

レッサー「どうも、愛しのレッサーですよ!!」


バタン


上条「よし、今日はもう寝よう」


ドガァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!


レッサー「イギリスからはるばる来たのに、この仕打ちはあんまりです!!」

上条「ああもう、いちいちドアぶっ壊すんじゃねえよ!!!」

レッサー「何か感想とかないんですか!!」


上条「もうどこから突っ込めばいいのか分かんねえよ!! まず何だよその格好は!!!」

レッサー「ふっふっふ、小悪魔エロメイドです。どうです、こうムラムラしてきたでしょう?」ニヤニヤ

上条「もはやメイド要素ないよなそれ!! 舞夏が知ったらブチギレるぞ!!」

レッサー「まぁ、メイドとは言えませんが、そこは大した問題ではありません。要はエロイかどうかです!!」ビシッ

上条「バッサリ言い切りやがったコイツ……」

レッサー「というわけで、できれば中に入れてもらえませんかね? あ、今の台詞は性的な意味で捉えてもらっても構いません」

上条「後半の台詞で一気に入れたくなくなったよ!!!」

レッサー「まぁまぁ、見た目通り結構寒いんですよ、この格好」

上条「だろうな。ったく、ほら入れよ」

レッサー「………………」ジー

上条「何だよ?」

レッサー「いえいえ、ついに私の純血もここまでか……と感慨深くなりまして」

上条「やっぱ出てけお前」

レッサー「あはは、冗談ですよ。100分の1くらいは」

上条「99%本気じゃねえか!!!!!」



レッサー「おおう、このコタツというものは素晴らしいですね。もう二度と出たくないという魔力があります」ヌクヌク

上条「確かにな。けど、ここで寝たりはするなよ、普通に風邪ひくから。ほら茶」コト

レッサー「ありがとうございます。大丈夫ですよ、寝る時はそこのベッドを使わせてもらいますから」

上条「つーか寝る事前提で話してんじゃねえ!!!」

レッサー「それはそうと上条さん。愛人のインデックスはどこへ?」

上条「知り合いの家だよ。つーか愛人でもねえ」

レッサー「ほう、つまり本妻がいないということは、正真正銘愛人と二人っきりの密室空間!!」

上条「アイツは本妻でもねえし、テメェも愛人じゃねえ!!!!!」

レッサー「ではこれはこのタイミングで出すしかありませんね!」


ポンッ!


上条「うおっ、なんだこれバケツ……?」

レッサー「中身はチョコレートです!」

上条「あのな、インデックスでもあるまいし、こんな量のチョコ食えるわけねえだろ」


レッサー「いえいえ、これはまだ固まってませんよ?」

上条「は? じゃあどう食う…………って何脱ぎ始めてんのオマエ!?」

レッサー「ふふ、なんとこれはチョコを体に塗りたくって食べてもらうという、画期的な……」ニヤッ

上条「よし、帰れ。今すぐ帰れお前」ガシッ

レッサー「な、何するんですか!! ここで襲わないでいつ襲うんですかヤリ条さん!!!」ジタバタ

上条「人をとてつもなく不潔な奴みたいに言うな!!!」

レッサー「失礼、噛みました」

上条「違う、わざとだ……」

レッサー「噛みまん」

上条「言わせねえよ!?」

レッサー「むぅ、なぜ女がここまでしているのに、そこまで無反応なんですか!? それでも男子高校生ですか!?」

上条「これでも男子高校生だ!!! つか男子高校生は全員発情期の猿みてえに言ってんじゃねえ!!!」

レッサー「何が違うんですか?」

上条「色々違う!!! 少なくとも俺は違う!!!」


レッサー「いいえ、そんなはずはありませんね! 原作で描写されていないだけで、本当はインデックスに隠れてコソコソしごいてるんでしょう!?」

上条「やめて!! そういうリアルな想像ラノベに働かせないで!!!」

レッサー「さぁ、分かったら早く覚悟を決めてください!! あなたなら、チョコで黒く染めた私の体を真っ白にする事だってできるはずです!!!」

上条「お前最悪なこと言ってるの分かってる!? つかいい加減出てけっつーの!!」グイグイ

レッサー「い・や・で・すー!!! もし外に出したら、半脱ぎ状態でドアの前で泣き叫びますよ!? あ、今の外に出したらというのは、どうしても中に欲しいという性的な欲求ではなくてですね……」

上条「もうお前本当に何なの!?」


17:00 【第七学区】


上条「……はぁ、結局俺が飛び出すはめになっちまった」

10032「浮かない顔ですね、とミサカは心配してみます」

上条「ん、御坂妹か……。いや、やっぱり今日はいつも以上に不幸でな……」

10032「そうですか……それではミサカのチョコレートを受け取る気分ではないですか、とミサカはしょんぼりしてみます」ショボン

上条「え、俺にくれるのか?」

10032「はい。今日はバレンタインデーですので、チョコレート会社の思惑に少し乗っかってみる事にしました、とミサカは懇切丁寧に説明します」

上条「そ、その言い方は何かアレだな……。けど、俺なんかにくれるなら、ありがたくもらうよ」ニカッ


10032「それでは……と、ミサカは内心ドキドキしながら手作りチョコを取り出します」スッ

上条「おぉ、手作りか!」

10032「経験はありませんが、あなたの好みに合うように頑張りました。できればこの場で食べてみてはもらえないでしょうか? とミサカはお願いしてみます」

上条「おう、もちろん!」


10032「それではどうぞ、とミサカは丹精込めて焦がしたチョコレートを差し出します」パカッ


上条「」

10032「どうしました? とミサカは顔を覗き込んでみます」

上条「い、いや、今焦がしたって……」

10032「はい、チョコを溶かす時に強火で炙って焦がしました、とミサカは懇切丁寧に説明します」

上条「な、なんで……?」

10032「あなたはボロボロに焦がしたクッキーが好みだと聞きました。つまり、コゲ味が好みなのだとミサカは判断しました」

上条「………………」

10032「どうしました? 食べないのですか、とミサカは上目遣いで催促してみます」ジッ


上条「うっ……」タジッ

10032「じー」

上条「た、食べる! 食べるぞ!!」バクッ


バリッ!!


上条「うぐ……!!」

上条(炭の味しかしねえ……!!)

10032「やはり美味しくないでしょうか、とミサカは心配してみます」

上条「いやいや、そんな事はないぞ!! うまいうまい!!」

10032「良かった、とミサカは安堵してみます。さぁ、まだ残っていますので、好きなだけ味わってください、とミサカは促します」

上条「んぐ……!!」バリッ

10039「抜け駆けとはいい度胸です、とミサカは苛立ちを露わにしてみます」スタスタ

13577「ネックレスの件といい、10032号は少々自重すべきだ、とミサカは意見します」スタスタ

19090「み、ミサカも少しずるいと思います」スタスタ

10032「ちっ、バレましたか、とミサカは舌打ちします」


上条「ふ、増えた!?」

10039「さぁ、そんな中途半端なコゲチョコよりも、この10039号のものの方がずっと焦げてますよ、とミサカは自信作を差し出します」スッ

13577「この13577号のチョコはもうどのくらい火を通したのかも分かりません。これこそが真のコゲというものです、とミサカも会心の一品を差し出します」スッ

19090「えっと、19090号は本物の炭をチョコに混ぜました。これこそがキングオブコゲチョコだと思います、とミサカはおずおずと差し出します」スッ

上条「」


17:30 【第七学区】


上条「けほっ、けほっ!! 厄日だ……」トボトボ

上条「……ん? あれはバレンタインセールか。そういやアイツ……」

『逆チョコっていうのもあるみたいだよ?』

上条「………………」

上条「ダメだダメだ。さすがに甘やかせすぎ……」ブンブン

上条「………………」

上条「――ったく、しゃあねえな」スタスタ


【店内】

上条「チョコっつっても、やっぱいろんな種類あるんだな」キョロキョロ

上条「アイツは苦いのとか酒入ったのはダメっぽいし、とりあえず無難なのを……」

上条(それにしても、なんかこの日に男一人でチョコ買うのはアレだな)


浜面「あれ、大将じゃん」

一方「なンでオマエがここに……」


上条「一方通行に浜面? お前らこそどうしたんだよ」

一方「あのガキが逆チョコ逆チョコうるせェから買いに来たンだよ」チッ

浜面「俺も滝壺が欲しいって言ってな」

上条「俺もインデックスが……ってみんな似たようなモンなのか」

浜面「しっかし、逆チョコなんて知らなかったぜ。ホワイトデーはどうすんのかね」

一方「元々ホワイトデーなンてモンがあるのも東アジアくらいだしなァ」

浜面「それにしても……ぶふっ」プルプル

一方「あ? なンだよ」


浜面「くくっ……いや、お前がこんなとこにチョコ買いに来るって……へぶしっ!!!」バキッ

一方「よォし、オマエはチョコみてェにドロドロにしてやるから覚悟しやがれ」ゴゴゴゴゴ

浜面「ひい!!!」

上条「お、おい、ストップストップ!! こんなとこで暴れんじゃねえよ!!」

一方「ちっ……」

浜面「そ、そうだ! みなさんバレンタインの収穫はどんなもんよ?」

上条「えっと、舞夏にクラスの子に小萌先生に神裂に五和に妹達に白井……ってあれはカウントしていいのか……?」

浜面「さすがだぜ師匠……!!」

上条「何だよ師匠って。一方通行は?」

一方「結標」

浜面「確か霧ケ丘の子だっけ? おいおい、浮気ですかい親御さん」ニヤニヤ

一方「オマエはよっぽど肉塊になりたいよォだなァ?」ギロ

浜面「す、すいません、調子乗りました!!!」

一方「……あァ、そォいえばオマエも結標のチョコを受け取る可能性はあるな。一つ忠告しといてやる」

上条「忠告? 俺に?」


一方「あァ、何があっても“アレ”は食うな」

上条「え…………」ゾッ

浜面「お、大袈裟じゃねえか? たかがチョコだろ?」アハハ

一方「俺は二度、本気で生死の境を彷徨った。一度は天井のクソ野郎の銃撃を頭に受けた時」


一方「――――もう一つが、アイツのチョコを食った時だ」


上条・浜面「「………………」」ゾゾッ

一方「あれは食いモンじゃねェ。薄れ行く意識の中で、能力を使わなかったら恐らく死ンでた」

上条「毒だろそれ!!!」

一方「本人は盛るつもりなンざなかったンだと。何よりアイツ自身が一番ビビってたからな」

浜面「それってもう一種の能力なんじゃねえの……。なんかそんな話聞いちまうと、麦野のわさび99%チョコも可愛く思えるな……」

上条「お前それは色と匂いで気付けよ」

浜面「無理矢理口にぶち込まれたんだよ!!!」

一方「俺なら能力でどォにでもやりようはあるが、オマエはヤバイだろォなァそれ」


浜面「たぶん、人生で一番泣いたぞ。何が悲しくて恋人がいるのにバレンタインに号泣しなきゃいけねえんだよ。しかも1000倍返しとか言ってくるしな」

上条「はは、それならホワイトデーにやり返せばいいじゃねえか」

浜面「いや、絶対死ぬだろ俺」

一方「色々苦労してンだな、オマエらも」


18:00 【アイテム隠れ家】


浜面「ただいまー、ほら滝壺、逆チョコ」スッ

滝壺「ありがとう、はまづら。私からも、はい」スッ

絹旗「相変わらず見せつけてくれますねー。私は別に超平気ですけど、麦野はそれなりに堪えるんじゃないですかね?」

麦野「おい絹旗、ぶっといのやろうか?」

絹旗「いえいえ、遠慮しておきますよ」

浜面「いやー、しかし彼女から貰うチョコってのもいいもんだよなー」

麦野「そういえばフレメアからも貰ってたよな。デレデレと鼻の下伸ばして」

滝壺「……はまづら?」


浜面「そ、そんな顔してねえだろ!!」

絹旗「他にも、あの郭という浴衣の子からは、かなり際どい渡され方をしてましたね。超絶エロ面でした」

浜面「何でお前がそれ知ってんだよ!!!」

絹旗「え、本気でそんな事があったんですか? 超ドン引きです……」

浜面(コイツ、カマかけやがったああああああああああああああ)

滝壺「はまづらぁ……!!!」ゴゴゴゴゴ

浜面「ひ、ひいいいいいいいいいいい!!!」


18:00 【黄泉川のマンション】


打止「わーい、逆チョコ逆チョコ!! ってミサカはミサカは飛び跳ねてみたり!!」

一方「騒ぎ過ぎだ、鬱陶しい」チッ

番外「ちょいと甘やかし過ぎではないですかい、親御さん」ニヤニヤ

黄泉川「へぇ、随分と丸くなってきたじゃんか。よし、それじゃ私からもご褒美のチョコじゃん」スッ

一方「あァ? ったく、そンなモン用意してンなら、俺が買い物行く前に言いやがれ」

黄泉川「はっはっは、いいじゃんいいじゃん。私は大人だ、別に逆チョコは要らないじゃん」


芳川「ごめんなさいね、私はこのソファーから動きたくない病のせいで何も用意してないわ」フフフ

一方「オマエには何も期待してねェよクソニート」

打止「じゃあミサカからもチョコレートだよ! ってミサカはミサカは満面の笑みで差し出してみたり!」スッ

一方「あめェのは勘弁だかンな」

打止「大丈夫、甘さ皆無の特性ビターチョコレートだよ! ってミサカはミサカはできる女をアピールしてみたり!」グッ

芳川「あら、どこ行くの番外個体(ミサカワースト)?」

番外「ちょっと外に散歩。ここにいると甘すぎる雰囲気に頭クラクラしちゃうよ」ニヤ


バタン


打止「ねぇねぇ、早速食べてみて! ってミサカはミサカはお願いしてみる!」ニコ

黄泉川「良く味わってやるじゃん。打ち止めはずっと前から一生懸命練習してたんだぞ」

一方「ふゥン」


パクッ


一方「………………」モグモグ


打止「ど、どうかな? ってミサカはミサカは恐る恐る聞いてみたり」

一方「…………悪くねェよ」

打止「ほ、ほんと!? ってミサカはミサカは確認をとってみる!!」

一方「うっせェな、ガキでこれならマシって事だ」チッ

黄泉川「ホント素直じゃないじゃん」ニヤニヤ

芳川「ツンデレ乙ね」

打止「でも良かった! ってミサカはミサカは喜んでみたり」ニコ

一方「そォかよ…………ン?」

打止「どうしたの? ってミサカはミサカは尋ねてみる」キョトン

一方「ったく、なンか髪の毛入ってたぞ。オマエな、料理する時は頭は何か被ったり巻いたりするなりして……」

芳川「まぁまぁ、それくらいのミスなら可愛いものじゃない」

打止「ううん、それはわざとだよ、ってミサカはミサカは首を振ってみる」ブンブン

一方「は?」


打止「だって、バレンタインってチョコレートの中に自分の髪の毛入れるものなんでしょ? ってミサカはミサカは確認してみる」キョトン

黄泉川「いやいや、どんな情報じゃん」

一方「……誰から聞いた?」

打止「番外個体、ってミサカはミサカは答えてみる」


一方「番外個体ォォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ゴォ!!!


ドドドドドドドドドドドドド!!!!!



18:00 【第七学区】


ブブブブブブブブブ


上条「ん、メールか?」パカッ


――――――――――――――――――――
from:御坂美琴
――――――――――――――――――――
sub:覚悟しやがれ!!
――――――――――――――――――――
今から例の自販機前まで来なさい!
少しでも遅れたらビリビリだから!!





――――――――――――――――――――


上条「果たし状かよ」

上条「とりあえず『また今度でいいですか?』、と」カチカチ


ブブブブブブブブブ


――――――――――――――――――――
ふざけんじゃないわよ!!今日じゃないとダメ!!
てか察しなさいよクソバカ!!!





――――――――――――――――――――


上条「何でこんなにキレられてんだ俺……まぁとにかく行ってみるか」ハァ



6:00 【常盤台中学女子寮208号室】



美琴「つ、ついにこの日が来てしまった……」

美琴(ど、どうしよう、まだ何もまとまってない……!!)

白井(ぐぬぬぬぬ!! 何ですのあの乙女顔は!!!)

白井(……まぁいいですの。この日のために作戦は練りに練ってきましたの!)


白井「ぐふふ、あの類人猿はこの特性チョコで……」

美琴「黒子? 何か言った?」

白井(ッ!!!)ビクッ

白井「くー、くー」スヤスヤ

美琴「……何だ、空耳か。こりゃそうとうテンパってるわね私」ハァ


7:30


美琴「ねぇ、黒子ー。さすがにこれは多すぎじゃない?」

黒子「何を言ってますの! 常盤台のエースたる者、お返しのチョコはこれでも足りないくらいですの!」

美琴「でも、さすがにこんなに貰えるかしら」

黒子「当然ですの。それより、他にもいくつか別にチョコを作っていたようでしたが……」

美琴「あー、アンタとか初春さんとか佐天さん、それに婚后さん達や固法先輩とか……お世話になった人のためにね」

黒子「はうっ!!! く、黒子は感激ですのおおおおおおおおおお!!!」ガバッ

美琴「ええい、朝から飛びついてくるな鬱陶しい!!」バキッ

黒子「ぶげっ!! つれないですのー。そういえば、上条さんに渡すチョコは完成しましたの?」


美琴「えっ!! う、うん、一応は……///」モジモジ

黒子「……そうですの」

美琴「……?」

美琴(あれ、もっと突っかかってくると思ってたけど……)

黒子(ぐっふっふ、残念ながらあの類人猿は今日一日ダウンですわよ)


12:00 【常盤台中学・教室】


女子A「宜しければ受け取ってください!」スッ

美琴「ありがとー。私からもはい」スッ

女子A「あ、ありがとうございます!!」ジーン

タッタッタ……

美琴(ま、まさか、午前中だけで三桁いくとは……!!)

美琴「やっばいわねー、黒子の言う通りもっと作っておくべきだったわ」ハァ


食蜂「あらぁ、モテモテで羨ましいわぁ」ニヤニヤ


美琴「……はぁ。アンタもチョコくれるってわけ?」

食蜂「欲しいならあげるわよぉ?」

美琴「いらないわ。何入ってるか分かったもんじゃないし」

食蜂「ひっどーい」グスッ

美琴「で、何しに来たのよ。自分の貰ったチョコの数自慢とか?」

食蜂「それだと御坂さんに勝ち目ないじゃなぁい。そんなつまらない事しないわよぉ」

美琴「じゃあ何しに来たのよ」

食蜂「べっつにー☆ 御坂さんモテ力凄いし、色んな人にチョコ渡してるけど、本当に渡したい人には渡せるのかなーって」ニヤニヤ

美琴「な、何が言いたいのよ!!」

食蜂「そんなに怒んないでぇー、私は御坂さんの役に立ちたいのよぉ」

美琴「胡散臭い事この上ないわね」

食蜂「上条さんの好みのタイプ、聞きたくなぁい?」

美琴「ッ!! 何でアンタがそんな事知ってんのよ!」

食蜂「私の能力があればこのくらいの情報力は当たり前よぉ」

美琴「……言ってみなさいよ」


食蜂「寮の管理人の“お姉さん”」

美琴「え……」

食蜂「つまりぃ、年上好きってわけぇ。残念でしたぁ。じゃあね☆」テヘペロ

タッタッタ……

美琴「そ、そんな…………」


16:00 【ファミレス】


佐天「チョコ渡すの止めるうううううううううううううううううううう!?」ガタッ

美琴「ちょ、佐天さん声大きいって!!」シー

初春「どうしてそんな急に……」

白井(ぐふふ、当たり前ですの。類人猿は今頃腹痛で悶え苦しんで……)

美琴「じ、実は、アイツの好みって年上みたいで……」

白井「へ?」キョトン

初春「うっ、そうなんですか……」

佐天「そ、そんなの関係無いですよ! それだけで諦めるなんて!!」


美琴「で、でも……」

佐天「そんなの御坂さんらしくないですって! 頑張ってみましょうよ!!」

初春「はい、私も御坂さんならきっと大丈夫だと思います!」

美琴「だってアイツ、今までも明らかに私のことそういう風には見てなかったのよ。きっと子供だって思われてるんだ」

佐天「そ、それは……」

初春「(し、白井さん! 何か言ってあげてくださいよ!)」ヒソヒソ

白井「………………」

美琴「それに、アイツの周りにはもっと大人っぽい人も居る……きっと私なんかより…………」


白井「年上好きがなんですの」


佐天・初春「「え?」」

美琴「黒子……?」

白井「年上好きだから自分には絶対に振り向かない。お姉様はそう考えていますの?」

美琴「だって!」

白井「黒子の憧れるお姉様は、どんなに困難な壁でも正面から立ち向かっていく方ですの」


美琴「っ……」

白井「年上好きがなんですの! それを上回る程の魅力を付ければいいだけの話ですわ!!」

白井「周りに大人っぽい人が居るからなんですの! 他の様々な方面からその方達を上回ればいいだけですわ!!」

白井「子供っぽさの問題でしたって、歳は誤魔化せなくてもなるべく大人っぽく振舞うなど、やりようはいくらでもありますの!!」

美琴「でも、私そういう経験はほとんどないから……」

白井「最初から経験豊富な人などおりませんわ。大丈夫ですの」

美琴「え……?」

白井「黒子の尊敬するお姉様は、きっとこの壁だって乗り越えられますの」ニコ

美琴「………………」

佐天「おおう……これは素晴らしい熱弁……って初春何アンタ泣いてんの!?」

初春「ふえええええええええええええええん!!! だって、だって、白井さんが珍しく良い事言ってるので……!!!」グスッ

白井「珍しくは余計ですわよ!!!」キィー


美琴「黒子」

白井「は、はい?」


美琴「ありがとう、私頑張ってみる」ニコ


白井「ふふ、それでこそお姉様ですわ」

佐天「よっし、御坂さんも復活したという事で、メッセージカードの文面を考えましょー!!」

初春「おー!!!」

白井「…………はっ!!!」

白井(そ、そういえば何故わたくしはあの類人猿との恋を応援していますの!?)

書き溜めしゅーりょー。こっからは直書きするわ


17:30 【第七学区】


佐天「うんうん、やっぱり告白といえばストレートに『好き』ですよねー!」ニヤニヤ

美琴「や、やばい、本気でドキドキしてきた……!!」

初春「大丈夫ですよ、御坂さん! それ、ヒッヒッフー!」

白井「初春、それは色々と違いますの」

美琴「……はっ!! も、もうその練習しておくべきかしら!?」

佐天「その練習って?」

美琴「ヒッヒッフー」

白井「ぶっ飛び過ぎですのおおおおおおおおおおおお!!!!!」

佐天「あ、あはは、それはとりあえず告白が成功してからですねー」

初春「それにしても御坂さん、白井さん。こんな高級そうなチョコ、本当にいいんですか?」

佐天「あたし達のなんて、思いっきり安物なのに……」

美琴「ふふ、値段なんて関係ないわよ。ありがとね」ニコ

白井「お姉様、何度も言いますが、わたくしのチョコは二人の時に……」


美琴「そうだ、その事すっかり忘れてたわ」

白井「はい?」

美琴「なんかアンタ、異様にチョコは二人きりの時に食べるようにって念押してくるわよね?」ジト

白井「ッ!!!」ギクッ

初春「あー、言われてみれば確かに」

佐天「あはは、いいムードの時に感想を貰いたいとかって事なんじゃないですか?」

白井「そ、そうですの!! 佐天さんの言う通りですわ!!!」

美琴「……まぁ、それもあると思うけど、アンタの場合どう考えてもそれで終わらないと思うのよね」ジー

白井「ッ!!!」ギクギクッ!!

初春「んー、確かに白井さんの異常性癖を考えると……」

白井「し、失礼にも程がありますわ!! わたくしはお姉様とは健全なご関係を……」

美琴「えぇ、私もそれを望んでるわ。でもアンタがそれをぶち壊しにくるんじゃない」

白井「お、お姉様ぁ……」

佐天「でも、白井さんがそこまで二人きりにこだわる理由って何なんですか?」

美琴「――――たぶん、このチョコに何か入ってるわ」


白井「ななななななななな何を仰っていますのやら。ほほほほほほほほほほほほ」ダラダラ

初春「し、白井さん……」

佐天(怪しすぎる……)

美琴「その反応、どうやらビンゴみたいね」バチバチ

白井「しょ、証拠がありませんのよ~」ヒューヒュー

佐天「………………」

初春「すいません、正直ドン引きなんですけど……」

白井「正直すぎますの!!」

美琴「ふーん、あくまでアンタは何も入れてないって言い張るわけね?」ジー

白井「も、もちろんですの~」

美琴「じゃあいいわ。ちょっと寄り道するわよ」


【とある病院】


カエル「うん、これには法律ギリギリの超強力媚薬が含まれてるね?」

美琴「そうですかー♪」

それを上条さんにあげるわけか


初春「はぁ……白井さん、これは下手したらしょっぴかれてもおかしくないですよ……ってあれ?」

佐天「あれ、白井さんは?」

美琴「逃げたわね」バチッ

カエル「何でもいいけど、電撃は外で頼むよ?」


【病院外】


初春「さすがに相手がテレポーターだと追うのも難しいですね……」

佐天「ていうかあたしはどう頑張っても白井さんに追いつける気がしないよ」

美琴「追いつく必要なんて無いわよ」

初春・佐天「「え?」」


美琴「黒子ー! 出てきなさい、近くに居るんでしょー?」


初春「ほ、本当ですか?」キョロキョロ

美琴「えぇ、黒子は遠くにトンズラしたりはしないわよ」

佐天「でも、出てくるんですかね?」

美琴「うーん、そこはやってみないと……」


美琴「黒子ー、出てこないと仲直りもできないじゃないー!」


ガサガサ


初春「(……今あの茂みに何か居ましたよね?)」ヒソヒソ

佐天「(本当に近くに居たみたいだね)」ヒソヒソ

美琴(もう一押しかしら)


美琴「まずは出てきて話し合いましょー。いつまでもこんな状態でいるわけにはいかないでしょー?」


ガサガサ


美琴「ねぇ、ルームメイトでしょー? 私にとっても黒子は大切な後輩だし、仲直りしたいのよ」


白井「……ごめんなさいですの」ヒュン

佐天(あ、出てきた)

初春(案外あっさりでしたね)


美琴「ったく、さっさと出てこいっつの。ほら、握手」スッ

白井「え、そ、その……お怒りになってらっしゃらないのですか?」

美琴「えぇ、怒ってるわよ。でもアンタとは仲直りしたい。大切な後輩だしね」ニコ

白井「お、お姉様ぁ……!!」


ガシッ


白井「黒子は黒子は――――お姉様?」

美琴「んー、なーに?」ニコニコ

白井「あ、あの、何かお体からバチバチと青白いものがほとばしってらっしゃるような……」ダラダラ

美琴「えー、そうかなー、気のせいよあははー」バチバチ

白井「お、お姉様? く、黒子とは仲直りしたいと先程……」ダラダラ

美琴「うん、黒子とは仲直りしたいわよー?」


美琴「でもその前に一辺痛い目見とけやゴラァァあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」バチバチバチィ!!!


白井「あばばばばばばばばばばばばばばばば」ビリビリ!!


まっ黒子「」プスプス

美琴「ったく!!」

佐天「え、えーと、大丈夫なんですか白井さん」

初春「ビターチョコみたいに真っ黒ですけど……」

美琴「大丈夫、大丈夫。雷耐性ついてるはずだから」

佐天「RPGですか……」

初春「あっ、でも気付いたらこんな時間ですよ!!」

美琴「えっ、う、うわ、もう六時じゃない! 日も落ちてるし!!」

佐天「い、今更過ぎますよ……。でもまだ呼べば何とかなるんじゃないですか?」

美琴「そ、そうよね。じゃ、じゃあいいい今からよよよよ呼ぶわ」ガタガタ

初春「震えすぎですって御坂さん! すっごくブレてます!!」

佐天「呼び出す文面はどうします?」

美琴「わ、私で考えるわ! いつまでも手伝ってもらってばかりじゃダメだし!」

初春「おぉ、その意気です!!」


佐天「では、あたし達の役目もここまでですかね!」

初春「頑張ってください、御坂さん!!」

美琴「うん、ありがとう二人共!!」


スタスタ……


美琴「よっし、気合入れろ私!!」パン!!

美琴「まず文面よね。なるべくツンツンしないように……」カチカチ


美琴「こ、これでいいわよね? ビリビリっていう表現も使ってるし、いつもよりはツンツンしてないはずっ!!」ピッ


ハナテ!! ココロニキザンダユメヲ~♪


美琴「き、来た!! アイツにしては返信が早い!!」

美琴「って、今度にしろですって!? ふ、ふざけんなああああああああああああああ!!!!!」ピッ


美琴「あっ、ヤバイ、ついキレたメール送っちゃった!!!」

美琴「返信なかったらどうしよう…………」


ハナテ!!

美琴「ッ!!!」バッ

美琴「……はぁ~、良かった。何とか来てくれるみたいね。思わずキルア並の超速反応しちゃったじゃないのよ」

美琴「とにかく、後はこのチョコをあげるだけ!!!」


18:10 【とある自販機前】


上条「えっと、ここだよな……いたいた」

美琴「ッ!!!」ビクッ

上条「な、何だよ?」

美琴「にゃんでもないわよ!!!」バチバチ

上条「何でいきなりキレてるの!?」

美琴「キレてない!!!」バチバチ

上条「いやいやいや、雷神様の怒りみたいになってますから!!!!!」



|∧∧
|・ω・`) そ~~・・・
|o o
|―u'  ④


| ∧∧
|(´・ω・`)
|o   ヾ
|―u' ④



| ミ  ピャッ!
| 


美琴「~~~!! もう、これ!!!」スッ

上条「え、これって……」オドオド

美琴「チョコ以外に何があんのよ!!!///」

上条「チョ、チョコ!? お前チョコ渡そうとしてたの!?」

美琴「何だと思ったのよ!」

上条「いや、シメられるんじゃないかと……」

美琴「やっぱりアンタ私にケンカ売ってるでしょ!!!」バチバチ

上条「売ってんのはお前だっつの!!!」

美琴「と、とにかく、それはあげるから!! それだけ!!!」

上条「お、おう……なぁ御坂」

美琴「何よ、まだ何か文句でもあんの!?」

上条「――――その、ありがとな」ニコ

美琴「ッ!!?///」ボンッ

美琴「べべべべべ別に感謝なんていいわよ!! わ、私はアンタがどうせ一つも貰えないと思って、仕方なく……///」

上条「はは、気遣いどーも」


美琴「……カード」ボソッ

上条「カード?」

美琴「そ、その、メッセージカード……入ってるから。読みなさいよ///」

上条「メッセージカードぉ!? お前が!?」

美琴「何よ、悪い!?」

上条「い、いや、お前って言いたいこと全部面と向かって言ってるイメージあるからさ……」

美琴「……言えたら苦労しないわよ」ボソッ

上条「へ?」

美琴「何でもない!!! とにかく読んだら連絡すること!! いいわね!?」

上条「わ、分かった分かった」

美琴「じゃ、じゃあそれだけだから!!!///」ダダッ

上条「あっ、おい待てよ、送ってくぞ?」

美琴「ッ!? い、いいいいわよ!!! 子供扱いしないでよね!!!///」

上条「ん、そっか。じゃあ気をつけてな」

美琴(私のバカァァあああああああああああああああああああ!!!!! つかアンタもすんなり引き過ぎでしょ!!!)


18:30 【上条の部屋前】


上条「ふー、今日はマジで色々あったなー」

上条「つか、御坂のチョコ、なんかメチャクチャ熱くねえか? まぁあんだけビリビリしてたら当たり前か」


禁書「あ、とうま!」


上条「おう、今帰りか。チョコは沢山食えたか?」ニヤ

禁書「むっ、別にチョコを貪りに行ったわけじゃないんだよ!!」

上条「はっはっは、別に強がんなくてもいいんですよー」

禁書「むむむ~!!!」

上条「……にしても、ドアも随分とボロボロになっちまったな。これバレたらヤバイんじゃねえの」

禁書「とうまの使い方が荒いんだよ」

上条「大方、魔術(そっち)の連中のせいだ!!!」


ガチャ


禁書「とうま、電気ー!!」

上条「ったく、お前もいい加減電灯のスイッチの場所くらい覚えろっての」パチッ


レッサー「………………」スースー


上条「」

禁書「……とうま」

上条「待て、インデックス。まず落ち着こう」

禁書「うん、落ち着いてるよ。それで、何でこの子があられもない格好でベッドに眠っているのかな?」ニコ

上条「そ、それはだな、どうやらそいつは俺にチョコを届けに来てくれたらしくてな」ダラダラ

禁書「うん、それで?」ニコ

上条「そ、そのチョコっていうのが、その、なんだ…………」


レッサー「う、ん……? あぁ、やっと帰ってきましたか……では続きといきましょうか…………」ゴシゴシ


上条「」


禁書「と・う・ま?」ニコ

上条「違う違う違う!!! 激しく勘違いしてるぞインデックス!!! コイツとはただ話を……」

レッサー「何を言っているんですか!! あなたとは熱く性衝動について……」

上条「お前わざとだろ!? わざとやってるよね!?」

レッサー「?」キョトン

禁書「とうま、私はイギリス清教のシスターです。懺悔なら今の内に聞いてあげるかもぐるるるるるるるるるるるる!!!!!」

上条「語尾が既にシスターではないですよ!?」


ガブッ


上条「いぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!」




レッサー「では今日はこの辺で勘弁してあげましょう。中々面白かったですよ」

上条「おう、もう二度と来んなちくしょうめ」ボロボロ

レッサー「ふふ、それは聞けないですね。私はしつこい女ですよ」

禁書「むむっ、あんまりとうまを誘惑するのは止めてほしいんだよ! ただでさえフラフラしてるのに!」

上条「おい」

レッサー「それならしっかりと繋ぎ止めておくことです。ではでは」ニヤ


【数分後】


禁書「うーん、やっぱりコタツは最高なんだよー」ホクホク

上条「そりゃ良うござんした」スタスタ

禁書「あっ、とうま、ご飯できた!?」

上条「もうちょい、後は煮こむだけ。にしても、この時期は水仕事がキツくてなー」

禁書「……あ、あのね、それなら…………」


上条「あ、そういえば御坂のチョコは早い内に食った方がいいか。連絡ほしいって言ってたし」

禁書「……むぅ」

上条「ん、どうしたインデックス?」

禁書「何でもないんだよ」プイッ

上条「……? まぁとりあえずチョコを……ってやっぱこれドロドロに溶けてんじゃねえか!!」ドロッ

禁書「とうま、さすがにこれは酷いんだよ」

上条「違うって、初めからやたら熱かったんだよ! 主にビリビリのせいで」

禁書「これはとりあえずもう一度冷やした方がいいんじゃないかな」

上条「ああ、そうだな……うっわ、チョコが漏れ出てメッセージカードってのもダメだなこりゃ」

禁書「メッセージカード?」ピクッ

上条「あぁ、御坂にしては珍しくな」

禁書「ふーん」ジトー

上条「まぁでもこれじゃ読めねえし……とりあえず連絡だけはしとくか」

プルルルルルルルルルルルルル……

上条「……あれ、出ねえぞ?」


18:50 【常盤台中学女子寮208号室】

白井「酷いですの、お姉様!! わたくしを放置なんて!!!」

美琴「ご、ごめんごめん!! 私もテンパっててすっかり忘れてたの!!」

白井「もう……それで、どうでしたの?」

美琴「う、うん。一応渡せた///」

白井「ぐああああああああああああああああああああ」ゴンゴン!!

美琴「ちょ、アンタ何やって――――」


ハナテ!! ココロニキザンダユメヲ~♪


美琴「!!!??」ビクッ

白井「お電話ですが……も、もしやこれは…………!!!」

美琴「アイツからだ……!!」

白井「なっ、こんなの切ってしまえばいいんですのー!!」ガバッ

美琴「やめい!!!」バチッ

白井「あふんっ!!!」ビリッ


美琴(落ち着け落ち着け落ち着け!!!)スーハー

美琴「も、もしもし!!!!!」ピッ

上条『うおおっ!? お、お前いきなり大声出すなよ!!』

美琴「ご、ごめん!!」

上条『へ……? な、何か悪いモンでも食ったか?』

美琴「え、何で?」

上条『いや、御坂が素直に謝るなんて珍しいからさ』

美琴「あ、アンタはいちいち嫌味言わなきゃ気が済まないわけ!?」

上条『わ、分かった分かった!! それならいつも通りだよ!!』

美琴(それじゃダメなのよ!!)

上条『えっとな、さっきチョコに入ってたメッセージカード見たんだけど……』

美琴「ま、待って!!!」

上条『はい?』

美琴「………………」スーハー

上条『おーい』


美琴「………………」スーハー

上条『もしもーし』

美琴「………………」スーハー

上条『御坂さーん?』

美琴「………………」スーハー

上条『美琴さーん?』

美琴「ぶっ!!!」

上条『うおっ!!! お前どんな音出してんの!?』

美琴「アンタがいきなり変なこと言うからじゃない!!! せっかく落ち着いてきてたのに台無しよ!!!」

上条『どこにそんな慌てる要素があるんだよ!?』

美琴「は、はぁ!? 当たり前じゃない!!! だ、だって、あのカードには……///」


上条『何て書いてあったんだ?』


美琴「……は?」

上条「いやー、どうやらお前のビリビリで中のチョコが溶けてたみたいでさー。カードの文字が読めねえんだよ」


美琴「なっ……なっ…………!!!」パクパク

上条『お前のその様子だと何か大事な事が書いてあったんじゃねえか?』

美琴「そ、それは……!!!///」

美琴(どうすんの!? どうすんのよこれ!?)

上条『だから何かわりーけど、今ここで言ってくれないか? 俺も気になるしさ』

美琴「なっ……えっ…………!!!」

美琴(今ここで『好き』って言えって事!? ちょ、こ、心の準備ってもんが……!!///)

上条『ん? おーい、御坂ー?』

美琴「………………」ブツブツ

上条『もしもーし! なんか回線わりーのか? おーい、聞こえてるかー?』

美琴「………………」ブツブツ

上条『ゲコ太大好き、意外と少女趣味の御坂美琴さーん。聞こえてんなら……』

美琴「ああもう、うっさいわね!!!!! カードには『1000倍返し』って書いてあったのよコラァァ!!!!!」

上条『は、はぁぁ!?』

美琴(何言ってんだ私いいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!)


上条『せ、1000倍って、100円のものでも10万で返せってことですか!?』

美琴「い、いや、その、ちがっ!!!」アセアセ

上条『……はぁ、あのですね、レベル5とレベル0の間には絶望的な財力の差があってな』

美琴「ま、待って!! あのねっ!!」

上条『そこの所考えてくれたら上条さんは嬉しいです、はい』

美琴「コラ聞け!! 聞けっつの!!!」

上条『んな怒んなって……。じゃあ、お返しはちゃんとするけど、さすがに諭吉さん以上は勘弁してくれよ? じゃな』ピッ

美琴「あっ……!!!」


ツーツー


美琴「………………」

美琴「ふふ、ふふふふふふふ…………終わった」

白井「お、お姉様?」

美琴「なに?」ジト

白井(目が死んでますの!!!)


白井(……はっ、ですがここでお姉様を慰めれば好感度急上昇!!! そのまま……ぐへへへへへへへへへへ)

白井「お姉様……その悲しみ、黒子が癒してあげますのおおおおおおおおおお!!!!!」バッ

美琴「もう、何でこんなにも上手くいかないのよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」バチバチバチィ!!!

白井「あばばばばばばばばばばばばばばばば!!!!!」ビリビリ

美琴「何が1000倍返しよ!? バカか私はァァああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


ガチャ


寮監「ほう、珍しく意見が合いそうだな、御坂」


ゴキッ!!!

       _ __                       _
     .'´ , , `ヽ                           ヽ
    | ノソレノノノ}                             、\
   ,.イ l ll(|. ┃| _ヽノし'/                    ヽ\
    'ソ州从i、_ノ  ,ィ ⌒ヾィ,___________ - ─二  ヾ 、
    ,く{¨¨ ̄{__]二..ヲ   ‐--÷÷÷≠≒≠≒≠≒≠二  ④ ) )
   (_ノ }______i_{  ,ゝ、,,ノ(゚~ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄─二_彡"
'⌒ ヽ<んムム〉  /`Y'Yヾ`                  ≡= ̄′
.     ,/__/ |__|、       ⌒ヽ                二  ̄ '´
;;;⌒`(___/ {____)   . _、,、,、 ゝ,._  ,、 、。;、゛;,. ,゚'.,;:`:;,.,"ノ´
,,;;;⌒`)⌒)     `~~~'''"''"'"~``゙~`゙`゙`~'''"¨゙'"~~゙;;:'".;'゛


19:00 【上条の部屋】


上条「はぁ、1000倍返しとか言ってること麦野と一緒じゃねえか……レベル5ってどっか似てんのか……?」ガクッ

禁書「あ、あはは、元気だすんだよとうま。ほらナデナデー」

上条「うふふ、何か逆に虚しくなる…………あ、そうだ。そういやお前、逆チョコ欲しいって言ってたな」ガサゴソ

禁書「え、も、もしかして……」

上条「ほら、市販品で悪いけどさ。一応、バレンタインデー専用チョコっぽいぞ」スッ

禁書「と、とうま……!」

上条「まぁ飯前だけど、このくらいなら食べてもいいだろ。忘れないうちにな」ポリポリ

禁書「…………ありがとう!」ニコ

上条「はは、どういたしまして」

上条(まぁ、この顔見れただけで値段以上の価値はあるか)

禁書「私からもあるんだよ」

上条「……え? 何が?」

禁書「何がって、チョコレートに決まってるんだよ!」


上条「え、チョコレート!? お前が!? ダークマターじゃなくて!?」

禁書「そこはかとなくバカにしてるね!? もう、早くこっち来るんだよ!!」

上条「こっちって……そこに俺が座ると物凄く密着する、よな? てかわざわざコタツの一辺を二人で使わなくても……」

禁書「ふ、雰囲気ってやつなんだよ! いいから早く!///」

上条「お、おう」


ゴソッ


上条「お、お邪魔します」

禁書「とうま、何だか全体的にイヤラシイ。私はシスターさんなんだよ」

上条「お前さらっと相当酷い事言うな!?」

禁書「も、もう、とにかく一旦黙って! 雰囲気も何もないんだよ!!」

上条「お、おう…………」

禁書「………………」

上条「………………」

禁書「何だかこれはこれで気まずいかも」


上条「どうすりゃいいんだよ!?」

禁書「じゃ、じゃあそのままでいい! えっとね……」コホン

禁書「とうま、いつもありがとうね。普段は中々言えないけど、とっても感謝してるんだよ」

上条「……それならお風呂洗いくらいはできるようになってほしいものですが」

禁書「も、もう、分かったよう! えっと、それでね……」


禁書「と、とうまの事は、そ、その、大好きなんだよ///」


上条「……インデックスさん、何か体の内側がムズムズします」

禁書「私も同じなんだよ! で、でも、私はシスターさんだから、この身は主と繋がっているんだよ! だ、だから好きって言っても、そういう意味ではないかも!」

上条「ツンデレ……だよなそれ?」

禁書「何で短髪には突っ込まないで私に突っ込むんだよう!!!///」

上条「は、はい??」

禁書「も、もういいんだよ! はい、チョコレート!!」スッ

上条「お、おぉ、サンキュ……」

上条(さぁ……問題はここからだ…………)


上条「開けていいよな……?」

禁書「うん!」

上条(さぁ……何が出てくる!!!)


パカッ


上条「……チョコレートだ」

禁書「だから最初から言ってるかも」

上条「見た目は……普通のチョコレートじゃねえか…………ッ!!!」ガクブル

禁書「驚き過ぎなんだよ!!! どう考えても失礼かも!!!」

上条「わ、悪い悪い。で、味……は」

禁書「………………」ソワソワ


『俺は二度死にかけた』


上条(こ、このタイミングで一方通行の言葉が頭にいいいいいい!!!)ゾクッ

禁書「………………」ソワソワ


上条(……くっ、けどここで止めることなんてできねえ!!! それでインデックスを悲しませる事なんてできねえ!!!)


パクッ


禁書「……ど、どうかな?」ドキドキ

上条「………………」

禁書「とうま?」


上条「う、うまい…………!?」ガクブル


禁書「ホント!?」

上条「あぁ、うまい!! 味もちゃんとチョコレートじゃねえかこれ!!!」

禁書「何だかとてつもなく引っかかる言い方だけど、良かったんだよ!」ニコ

上条「お前、本当にこれどうしたんだよ!? フィアンマの奇跡でも利用したのか!?」

禁書「だから失礼だって言ってるかも!!!!! 普通にこもえに教えてもらったんだよ!!!」

上条「小萌先生に……? だからお前出かけるって……!」

禁書「もう、その分だと本当にチョコを貪りに行ったと思ってたみたいだね」ジトー

上条当麻は三度目の死を迎えた


上条「そっかそっか……!! 頑張ったなぁインデックス!!」ナデナデ

禁書「もう、大袈裟すぎるかも」

禁書(た、確かに数えきれないほど失敗したけど……)


【小萌のアパート】


小萌「結標ちゃん、今度先生と一緒に検査に行きましょう。たぶんそれは能力なのです」

結標「何でよ!! 何でチョコレート一つまともに作れないのよおおおおおおおおおお!!!」

小萌(それにしてもシスターちゃん、本当に良く頑張ったのですよー)

小萌「まぁ、先生の部屋は危険物だらけになっちゃいましたけど」

結標「こ、小萌! このチョコ爆発したわよ!?」

小萌「何をどうしたらそうなるんですか!?」

【上条の部屋】


禁書「やっぱりね、とうまに頼りっきりっていうのは良くないと思ったんだよ」

上条「インデックス……」

禁書「だからね、これからは、その、お料理とかも教えてほしいんだよ。最初は失敗ばかりすると思うけど、私頑張るから」ニコ

禁書「他にもお洗濯とか、洗い物とか……ね?」

上条「…………うっ」ジワッ

禁書「と、とうま?」

上条「インデックスゥゥうううううううう!!!」ギュッ

禁書「わっ、わわっ!?///」

上条「お前ホントに成長したんだなああああ!!! 上条さんはこれ以上ないほど嬉しいです!!!」グスッ

禁書(や、やっぱり、今までが酷すぎたのかな私)アセアセ

禁書「と、とうま、分かったから、その、いつまでも抱きしめられてると……///」

上条「ん? お前もたまにやるじゃん」

禁書「私がやるのはいいけど、とうまがやるのはダメなの!! セクハラなんだよ!!///」

上条「そうなの!?」


禁書「……もう、仕方ないからもう少しこのままで許してあげるかも」

上条「の割には、顔が緩んでいますが?」ニヤ

禁書「そ、そんな事ないもん!」

上条「……なぁ」

禁書「んー?」

上条「お前は主と結ばれてるって言ってたけどさ」

禁書「そ、それがどうかしたのかな!?///」

上条「お前がシスターじゃなくなっちまえば、そんな事もないよな」

禁書「……そうだけど///」

上条「そっかそっか」

禁書「も、もう、何が言いたいのかな!?」

上条「べっつにー」

禁書「とうまズルい!!!」

上条「何がだよ」

禁書「とにかくズルいの!!」


上条「そういえば、ホワイトデーもちゃんとお返ししないとな」

禁書「どうせとうまは沢山貰ったんだろうし、大変だね~」

上条「……妬いてる?」

禁書「とうまキャラ違うんだよ!! ここは『何怒ってんだ?』っていう所かも!!///」

上条「いや、こうして近くに居ると何となく分かんだよ」

禁書「……そうなんだ」

上条「そうなんです」

禁書「えっとね、私もとうまから沢山貰ったから、ホワイトデーもちゃんとお返しするんだよ」

上条「おう、楽しみにしとく」

上条「にしても、御坂のお返しどうすっかなー」ハァ

禁書「むっ」

上条「……分かったよ、まずはお前のお返し考える」

禁書「う、うん///」


禁書「あ、そうだ。ホワイトデーのお返しなんだけど……」

上条「おっ、何かご希望でも? 姫」

禁書「焼肉食べ放題がいいかも」

上条「色々と台無しだよ」



24:00 【とある病院】



青ピ「み、見えるで……!!! 沢山のチョコレートが見えるでえええええ!!!」

カエル「それは幻覚だし、バレンタインデーはもう終わったよ?」



おしまい

予想してたより遥かに長くなった……ここまで読んでくれた人はホントにありがとう!


姫神可愛いよね

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