ほむら「まどかの記憶がヤバイ」 (30)

-1ヶ月後-


まどか「おはよー、ほむらちゃ」

ほむら「えぇ、おは」

まどか「……」ゴゴゴ

ほむら「っ!」ギュー

まどか「ぁ、あれっ?私また何か記憶が変に……」

ほむら(不味い。日を追うごとに記憶が戻る周期が早くなってきてる)

まどか「ふぁっ!どうしたのほむらちゃん!?抱きついたりして!」

ほむら「いや、なんでもないわ。学校へ行きましょう」

まどか「うん、そうだね。学校に」

まどか「……」ゴゴゴ

ほむら「まどか!!」ギュッ

まどか「……あれっ?」

ほむら(もう無理……限界よ……!)

さやか「おはよー」

まどか「さやかちゃんおはよー」

杏子「よぉ、なんかまたゲッソリしてんな。ほむら」

ほむら「……気のせいよ」

ほむら(登校途中に15回も記憶が戻りかけた。学校が終わるまでにあと何回抱きつけばいいのかしら)

ほむら(いや、抱きつけるのは嬉しいのだけど、一時も目を離せないのは流石に不味い気が……)

さやか「そういやさぁ恭介がね」

まどか「うん。恭介くんがどうし」

まどか「……」ゴゴゴ

ほむら「まどか!!」ギュッ

杏子「わぁお大胆」

さやか「ひゅー!熱いね今日も!」

まどか「ぁ、れっ?私、今何かを……」

ほむら「何もないわ。何もないわよ……まどか」ギュー

まどか「やっ!ほむらちゃんまた抱きついて!?」

ほむら「はしたない真似してごめんなさい」

まどか「いやっ、別にはしたないとか、そんなことは……」

ほむら「……」

まどか「……」ゴゴゴ

ほむら「ああもう!」ギュッ

さやか「さて、そろそろ授業だよほむら」

杏子「抱きついたまんまだとまた先生に怒られんぞー」

-放課後-

ほむら「……」ゲッソリ

杏子「やべぇなオイ」

ほむら「気に、しないで」プルプル

杏子「ウィダーインゼリー喰うかい?」

ほむら「飲、む」

ほむら(不味い。本当に不味い……ゼリーは美味しいのだけれど)チュー

ほむら(悪魔になれば何でも出来るなんて思ってたけれど現実は違った)

ほむら(登校から放課後までに記憶が戻りかけた回数は666回。縁起も悪いし何より私の体調が悪すぎる)

ほむら(死ぬ……悪魔なのに、私は死ぬかもしれない……)

杏子「もいっこ喰うかい?」

ほむら「喰、う」プルプル

杏子「ほむら。何か知んねーけどさ、あんた最近おかしくないか?」

ほむら「……どうかしらね」

ほむら「貴女と出会った時から、私はおかしいのだから」

杏子「はぁ?いよいよヤベーぞ言ってること」

ほむら「ふふっ……元からよ。元から」

ほむら(今、もし……杏子の記憶を戻したらどんな反応をするのかしら)

ほむら(仮に大事になったとしても、すぐに記憶を改ざんすれば問題は無いわよね)

杏子「なんだよ?じっとと見つめやがって」

ほむら「……」

ほむら「杏子」パンッ

杏子「え?」

ほむら「目は、醒めたかしら」

杏子「あっ、ぇ……アタシ。は……なんで学校なんかに」

ほむら「醒めたみたいね。お久しぶりと言うべきかしら?」

杏子「っ!?」

ほむら「何もかもを知ってる顔ね」

杏子「ほむら!お前っ……!!」

ほむら「……」

杏子「なんで、お前は」

ほむら「私は何か、悪いことをしたのかしら?」

杏子「悪いことって、まどかを、円環の……っ?」

ほむら「魔法少女は犠牲にならない。私達五人は生きている。誰もが望んだ世界よ」

杏子「……そりゃ、そうだけど…」

ほむら「ねぇ。私は間違っていたのかしら」

杏子「……今の世界でいいのかなんてこと、アタシにはわからない」

ほむら「そうよね。私も最近はわからなくなってるの」

杏子「けどよ、お前は私達の記憶を……いや、まどかの記憶を。か」

杏子「お前がまどかの記憶を改ざんすることは、正しいコトだなんて思えていないんだろ?」

ほむら「……えぇ。偽ることが、辛いなんて思えてきちゃったわ」

ほむら「私が望んだのに。おかしな話よね」

杏子「なんでアタシの記憶を戻した?相談したかったからかい?」

ほむら「なんとなく……ってわけでもないかも」

杏子「だよな」

ほむら「弱音を吐きたくても、まどかだけには言えなかったから。かしら」

杏子「代替かよ。酷ぇなオイ」

ほむら「いいじゃない。記憶が戻ったのだから」

杏子「……他の誰にも、まだ言わないどいてやるよ」

ほむら「なぜ?」

杏子「特にさやかがこのコト思い出したら、またお前ら喧嘩すんだろ」

ほむら「ふふっ。そうね。喧嘩で済むなら可愛いのだけれど」

杏子「ま、アタシは最後くらいゆっくりさせてもらうよ」

ほむら「私の選択なんて、見通してるような発言ね」

杏子「昔のほむらも、今のほむらも、そう変わんないからな」

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