まどか「さやかちゃん、あの、バレンタインチョコ……」(84)

―通学路―

ワイワイ

「ねね、誰にチョコ渡すの?」

「えー私は○○君、かな?」

「おい、いくつ貰ったよ?」

「ケッわかってる癖に聞くなよ。ゼロだよゼロ!」

さやか(バレンタインデー、かぁ……)

さやか(はぁ、憂鬱。学校行きたくないなぁ)

さやか「……」トコトコ

さやか(ぁ……)

仁美「か、上条君。おはようございます!」

上条「おはよう。志筑さん」

仁美「あの、チョコ……普段料理なんてしないので、手作りで不格好ですけれど」

上条「あぁ。今日はバレンタインデーか。通りで周りが騒がしかったわけだ」

仁美「受け取って頂けますか?」

上条「勿論。恋人のチョコを受け取らない男はいないよ」

上条「ありがとう志筑さん」ニコッ

さやか「~~っ!」ダッ

タッタッタッ

さやか「はぁ……はぁ……」

さやか(思わず逃げて来ちゃった……)

さやか(今日は、もう学校休もう)

さやか「はは、なにやってんだろ。あたし……」トボトボ

―美樹家―

さやか「ただいまー……って誰もいないよね?」

さやか「とりあえず部屋に戻ろう」

さやか「……何しようかな」

さやか「もう寝ちゃおう! いやーみんな平日で学校行ってる間にシエスタなんてさやかちゃん贅沢!」モフッ

さやか「……」

さやか(眠れない)

さやか(っていうか、あの2人、公衆の面前であんなに見せつけるように……)

さやか(いや、仁美と恭介は何も悪くないよね)

さやか(あたし、嫌な子だ……)ポロ

―学校―

まどか「あ、おはよーほむらちゃん」

ほむら「おはよう。今日は遅かったわね」

まどか「うん、さやかちゃん待ってたんだけど……今日はお休みなのかな?」

ほむら「ふーん。珍しいわね」

まどか「うん……あ、そうだ!」ゴソゴソ

まどか「はい、ほむらちゃん、チョコどうぞ」

ほむら「あら、ありがとう」

ほむら「私も市販ので悪いけど」

ほむら「はい、まどか。受け取ってくれる?」

まどか「もちろん! ありがとうほむらちゃん」

ほむら「あなたのは手作りなのね」

まどか「うん。去年まではパパに手伝って貰ってたけど今年はマミさんに教えてもらって100%わたしの手作りだよ」

ほむら「ふふ、巴さんが一枚噛んでるなら安心して食べられるわ」

まどか「ちょっとひどいよーほむらちゃーん」

>>6
マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」

まどか「ティヒヒ。さやかちゃんにも渡すつもりだったんだけど……」ガサ

ほむら「あら、さやかの分だけ私のより豪華じゃない?」

まどか「えへへ、バレちゃった?」

まどか「さやかちゃん、一時期すごく落ち込んでたでしょ?」

ほむら(上条恭介とのゴタゴタがあった時ね)

まどか「最近はやっとまた元気になってきたけど……」

まどか「わたしも何かさやかちゃんを元気付けられないかなって」

まどか「だから今年の本命はさやかちゃんなの。ごめんねほむらちゃん」

ほむら「……正直私はさやかが苦手だったけど」

ほむら「彼女がしおらしいとこっちまで調子が狂うわ」

まどか「……うん! ありがとうほむらちゃん!」

まどか「でも、さやかちゃん喜んでくれるかな……?」

ほむら「大丈夫よ。彼女ならきっと喜んでくれるわ。まどかの手作りだもの」

まどか「ウェヒヒ。マミさんが一枚噛んだ、ね」

ほむら「も、もう! さっきのは冗談だってば」

―放課後―

まどか「うーん……」パカッカチャンパカッカチャン

ほむら「携帯をじっと眺めてどうしたの?」

まどか「昼休みにさやかちゃんにメールしたんだけど返事来なくて……」

ほむら「よっぽど酷い風邪でもこじらせてるのかしら?」

まどか「うーん、心配だからわたしさやかちゃんのお家行ってみる」

まどか「これも渡したいし」

ほむら「あら、今日は巴さんの家でお茶会じゃなかったかしら?」

ほむら「こういうイベントが大好きだものね。あの先輩は」

まどか「うん。悪いけどほむらちゃんは先行っててくれる?」

まどか「さやかちゃんの様子見て、調子良さそうだったらさやかちゃんも連れて後からわたしも行くから」

ほむら「さやかも巴さんのお茶会と聞いたら体引きずってでも来たがりそうね」

まどか「ティヒヒ。さやかちゃんならありそうだけどそれはさすがに止めるよ」

まどか「でもマミさんのお茶とお菓子は美味しいもんね。わたしの分もちゃんと残しておいてよ?」

ほむら「ええ、勿論。ってこれは巴さんの台詞ね」

まどか「ふふっじゃあわたしさやかちゃん家行ってくるね」

ほむら「巴さんの部屋でまた会いましょう」

まどか「うん、またね!」

―マンション前―

ピンポーン

まどか(さやかちゃん、大丈夫かな……?)
シーン

まどか「……出ない」

ガチャ

まどか(あ……開いてる)

まどか(入っちゃっても、大丈夫かな……?)

まどか(さ、さやかちゃんのお見舞いで来たんだし大丈夫だよね? それにさやかちゃんにもしもの事があるかもしれないし……)

まどか(そう、これは仕方ないことだよ!……だよね?)

カチャ

まどか「お邪魔しまーす……」ソローリ

まどか「はぁー、あったかい」

まどか「ってさやかちゃん家に暖を取りに来たわけじゃないんだから」ブンブン

まどか(リビングには誰もいないし、お部屋にいるのかな?)

―さやかの部屋―

カチャリ

まどか「さやかちゃーん……?」ヒソ

さやか「……すぅ……すぅ……」

まどか(あ、寝てる)

まどか(……)

まどか(さやかちゃん、綺麗な顔してるよね)

まどか(背も高くて、スタイルもいいし、勇気もあって)

まどか(わたしに無いもの全部持ってるみたいで羨ましいな……)

まどか(ま、ちょっと意地っ張りで行き過ぎちゃうのが玉に瑕だけど)

まどか(……ウェヒヒ。いっつもいじられてるし寝顔堪能しちゃうよ!)

まどか「じー……」

さやか「んぅ……」モゾ

まどか(あれ? これ、涙の跡……?)

さやか「んんー……?」パチ

さやか「うわっ!? まどかドアップ!?」

まどか「わわっ!」ドテーン

さやか「ま、まどか大丈夫!?」

まどか「だ、大丈夫……」サスサス

さやか「ていうかなんでいんの……?」

まどか「さやかちゃん、今日学校休んでたから心配で来ちゃった。えへへ」

さやか「家誰もいなかったよね?」

まどか「ピンポン鳴らしても誰も出ないからさやかちゃんにもしもの事があったらって……」

さやか「要するに不法侵入じゃない……」

さやか「あんたって妙な所で行動力あるわよね」

まどか「さやかちゃん、戸締まりはちゃんとしないとダメだよ。わたしだから良かったものの悪い人だったら連れて行かれちゃうかも知れないんだから」

さやか「ぷっ悪い人に連れてかれちゃうって一々発想が可愛いらしいわね」

まどか「それってわたしが子どもっぽいってこと?」

さやか「なんだー自覚あるんじゃん」

まどか「むうぅ」プクー

さやか「あはは、冗談冗談。そんなに怒んないでよ」

さやか「わざわざ様子見に来てくれてありがとね、まどか」

まどか「えへー」ニヘラ

まどか「今日はどうして学校来なかったの?」

さやか「えーっとね、サボっちゃった。なんか気分乗らなくて」

まどか「ちゃんと学校来なきゃダメだよ。ほむらちゃんだって心配してたんだから」

さやか「えー!? あいつがー? うっそだー!?」

まどか「本当だよー。でも、さやかちゃん元気そうで良かった。わたし本当に少し心配してたから……」

さやか「そして心配し過ぎてあたしの寝込みを襲ったと……」

まどか「ち、違うよ!」

さやか「キャーまどかさんコワーイ!」

さやか「もう枕を高くして眠ることは叶わないのね……」オヨヨ

まどか「もう、さやかちゃんったら」

さやか「で、あたしはピンピンしてる訳だけどどうする? 今から何かする?」

まどか「あ、マミさんのお家でお茶会するからさやかちゃんも来ない?」

さやか「お、いいねぇ。ちょうど朝から何も食べてなかったしあんたらのお菓子まであたしが食べちゃっても後悔するなよー!」

まどか「ウェヒヒ。それとね、渡したいものがあるんだけど……」モジモジ

さやか「おっなになに? さやかちゃんは病気以外なら貰える物は全部貰っちゃいますからねー」

まどか「さやかちゃん、あの、バレンタインチョコ……」

さやか「バレン……タイン……?」

さやか「……」

まどか「さ、さやかちゃん?」

さやか「……いらない」

まどか「ぇ……」

さやか「ごめん、まどか。ほんとに、気分、悪くなって来たから」

さやか「お茶会もキャンセル。ちょっと独りにしてくんない?」

まどか「で、でも……」

さやか「いいから、帰ってってば」

まどか「っ!」

まどか「ごめんっ!」バタン ガチャ

タッタッタッ

まどか「はぁっはぁっ」

ツルっ

まどか「わっ!」グシャッ

まどか「今日、転んでばっかりだな……」

まどか「いっつもドジで、迷惑かけて」

まどか「さやかちゃんもこんな子嫌って当然だよね……」ジワ

まどか「ぁ……チョコ、潰れちゃってる……」

まどか「あはは、潰れちゃってても渡す相手がいないと関係ないか」ポロポロ

まどか「……グスッヒック、どうして……」

マミ「鹿目、さん……?」

―巴家―

杏子「……で、泣いてたこいつを拾ってきたってわけか」

マミ「拾ってきたって言い方はどうかしら……?」

まどか「グスッさやかちゃん……」

ほむら「まどか、さやかと何かあったの?」

まどか「さやかちゃんに、チョコいらないって言われちゃった……」

まどか「約束、してたのに……」

ほむら「約束?」

まどか「うん……わたしもね、ここには引っ越して来たの」

まどか「こっちに来て初めてできた友達がさやかちゃんだったの」

まどか「それまでは知らない街に一人ぼっちで凄く寂しかった」

まどか「だから、さやかちゃんがね、毎年チョコ交換しようって」

まどか「これまでのまどかは一人だったかも知れないけどこれからはあたしがずっと一緒にいてあげる、それを毎年確認しよう、って言ってくれたんだよ」

ほむら「それならいったいどうして……?」

まどか「さやかちゃん、今日ちょっと様子おかしかったの」

まどか「わたしの前では元気な振りしてたけど、無理してる感じで……」

まどか「バレンタインって言ったら凄く悲しそうな顔して……」

ほむら「……」(なる程、例の病気がぶり返したのね)

まどか「わたし、何かしちゃったのかな?」

まどか「ドジだから、さやかちゃんに迷惑かけるから、愛想尽かされちゃったのかな?」ポロポロ

マミ「そんな事が……」

杏子「あーめんどくせぇ! 要するにあのボンクラ引っ張ってくりゃいいんだろ?」

杏子「あたしに任せな!」

ほむら「いえ、ここは私が行くわ」

杏子「お・ま・え・がぁ~?」

杏子「寄りによってさやかと一番相性悪いあんたが行って、さやかを逆上させるか完膚無きまでに凹ませてる未来しか見えねーぞ?」

マミ「佐倉さん? 暁美さんに任せてあげてくれないかしら?」

ほむら「巴さん……」

マミ「暁美さん、何やら知ってるみたいだし、ね?」

杏子「はぁー、マミが言うなら仕方ねぇ……」ドカッ

マミ「ふふっ」パチッ

ほむら「……ありがとう、ございます」

ほむら「それとまどか、さやかは貴方のことを嫌ってなどいないわ、決して」

まどか「ほむら、ちゃん?」

ほむら「貴方は自分を卑下し過ぎよ。さやかは貴方を嫌ってない、私を信じて」

ほむら「……仮に私が信じられなくてもさやかを信じなさい」

まどか「ううん、わたし信じるよ。ほむらちゃんも、さやかちゃんも……!」

ほむら「そう。じゃあ行って来るわ」バッ

杏子「絶対失敗するんじゃねぇぞ!」

マミ「行ったわね」

マミ「……ねぇ、鹿目さん?」

     :
     :
     :
タッタッタッ

ほむら「……」

マミ『暁美さん?』

ほむら『……テレパシーで何の用かしら?』

マミ『美樹さんをどうにかしたらそこの公園に向かわせてくれないかしら?』

ほむら『どうして?』

マミ『鹿目さん、そこで美樹さんを待ってるから。仲直りは二人きりのほうがしやすいでしょう?』

ほむら『はぁ……貴方はいつもいつも無駄に場を盛り上げるのが好きなのね』

マミ『ふふっ。私鹿目さんの話聞いてちょっと感動しちゃった』

マミ『あの二人私と会ったときもすっごく仲良かったのよ? それも、ああ、なるほどなって思ったわ』

マミ『それに、あの二人には仲良くして欲しいじゃない?』

ほむら『……それについては、同感だわ』

マミ『こんなこと、佐倉さんには頼めないから良かったわ。まどろっこしいって言われてしまうもの』

ほむら『……はぁー』

マミ『そんなにわざとらしく溜め息つくこと無いじゃない。あと、あんまり手こずると鹿目さん、風邪ひいちゃうかもね? 外、寒いから』

ほむら『……巴さん?』

マミ『ふふ、私は信じてるわよ? あなたも、美樹さんも。よろしくね暁美さん』プツッ

ほむら「……はぁー」

タッタッタッ

―さやかの部屋―

さやか「あたし、何やってんだろ……」

さやか(はは、いつまで引きずってんのよ。あたしは……)

さやか(心配して来てくれたまどかまでつっかえして)

さやか(……でも、あの子には泣いてるあたしの姿、見せたくないよ)ポロポロ

―――それってただの言い訳だよね?

さやか(違う! 私だって、私だって……)

―――全然違わないよ。あんたは自分勝手な感情でまどかを傷付けたんだ

さやか「……さい」

―――そうやってあんたは何時までも悲劇のヒロイン気取ってるんだ。卑怯者

さやか「……うるさい」

   「ねぇ? 不幸ごっこは、楽しいかしら?」

さやか「うるさいうるさいうるさい!!」

ほむら「何時までそうしてるつもりなの? 美樹さやか!」

さやか「え……? ほむら……?」

ほむら「……まどか、泣いてたわよ」

さやか「そっか、あたし泣かせちゃったのか……」

ほむら「……それだけ?」

さやか「だって! あたしはまどかに非道いことしちゃったし……会わせる顔がないよ……」

ほむら「……約束、という言葉に聞き覚えはない?」

さやか「あ……ああぁぁ……」

ほむら「まどかはね、今日貴方を元気付けたいってチョコを用意したのよ」

ほむら「上条恭介のことなんて知らなくても、ね」

さやか「あんた、なんで……?」

ほむら「いいから聞きなさい。まどかは貴方がつい最近まで元気が無くなってたって言ってたわ」

ほむら「私は事情を知っててもそんなことに気がつかなかった」

ほむら「今日だって、あなたの空元気、最初から見破られてたわよ。あの子、貴方のことが大好きなのよ。僅かな変化も感じ取れるくらいに」

さやか「……」

さやか「……ねぇ、ほむら」トン

ほむら「? この手は何かしら」

さやか「あたしの拳、あんたに預けたから」

さやか「殴って、あたしのこと」チョイチョイ

ほむら「……本当にいいのかしら?」

さやか「あたしね、前まどかに言ったんだよ」

さやか「あたしの親友を泣かせる奴は許さないってね」

さやか「だから、殴ってよ。ほむらも本当は怒ってるんでしょ? あたしのこと」

さやか「いや、あたしはほむらじゃないからあんたの本当の気持ちはわからない」

さやか「けど、あたしは怒ってる。あたしの親友を泣かせた大馬鹿者に腑煮えくり返ってんのよ」

さやか「……だから、あたしを殴りなさいほむら。いや、美樹さやか」

ほむら「……ええ。正直言うと私も怒ってるわ、かなり」

ほむら「この右手、貴方だけの拳じゃないから。重いわよ?」

ほむら「行くわよ。さやか!」ブンッ

バキッ

さやか「がぁっ!!」

さやか「かぁーきくぅー!」

さやか「ありがとうね、ほむら!」ガシッ

ほむら「やっと元の貴方に戻ったわね」

さやか「悪いね、手間かけさせちゃって」

さやか「それにしても今日は美樹家に不法侵入が多いなぁ。あんたらあたしん家を喫茶店かなんかだと勘違いしてない?」

ほむら「軽口を叩く余裕があるなら怪我のほうも大丈夫そうね」

ほむら「……まどかは近所の公園で待ってるわ」

さやか「……そっか。じゃあちょっくら行ってくるわ」

さやか「泣いてるあの子は、あたしが笑わせてあげないとね」

さやか「だってあたしはあの子の笑顔が一番好きだから!」

さやか「それじゃ……ってほむらコート取って!」

ほむら「はぁ、こういう時くらい格好付け切りなさいよ」

さやか「あたしのじゃないからっ!」パシッ

ガチャン

ダッダッダッ

ほむら「随分と世話の焼ける……」

ほむら「それにしてもバレンタインの夜に殴り合いとはね……」

ほむら「私も巴さんの浪漫病が移ったかしら……?」クスッ

―公園―

まどか(さやかちゃん、来てくれるかな……?)

まどか(ううん、絶対来てくれるよね。わたしは信じてるから、もう迷ったりしない)

まどか(……)

ハラ   ハラ

まどか「あ……雪……」

タッタッタッタッ

さやか「はぁっ! はぁっ! まどかぁーーー!!」ダッ

まどか「! さやかちゃん!」

さやか「はぁっはぁっ、ほら、まずこれ、コート着なさいゲホッ、風邪ひくと、いけないから」バサッ

まどか「わぷっ! だ、だめだよ、さやかちゃんもあったかくしないと」

さやか「はぁ、はぁ……ふぅーぃ。あたしは大丈夫だからあんたが着なさい。一着しかないんだし」

まどか「それはダメだよ」

さやか「あーもう埒あかない!」

さやか「わかった! こうしよう! デカいあたしが着るからチッコいあんたは中に入る!」

さやか「これでいいでしょ!?」ガシッ

まどか「わっ!?」

さやか「うひゃーあんたの身体冷たっ! ほら、もっとこっち寄りなさい。あっためてあげるから」

まどか「で、でも……」

さやか「いいからいいから」

まどか「あ、さやかちゃん、ほっぺ腫れてる……?」

さやか「えへへ、これはねあたしの"親友"を泣かせた馬鹿への制裁なのよ」

まどか「親友……うん……!」ギュッ

さやか「……」

まどか「……」

さやか「……ねぇ、まどか?」

まどか「なに?」

さやか「……ごめんね」

まどか「……うん」

さやか(あたしにとってまどかの存在ってどういうもの何だろう)

さやか(今までは気のいい妹分みたいなもんで、あたしが守ってやらなくちゃと思ってた)

さやか(でも、あたしは思ってるよりずっとまどかに支えられてるんじゃないか?)

さやか(今だってそうだし、恭介の時だって何も喋らないあたしを詮索もせずにただただ側にいてくれた)

さやか(考えて見ればあたしは何時だってまどかがいるから頑張れた)

さやか(まどかが背後に控えてると思えば勇気が湧いてきたし、辛いことも乗り越えられた)

さやか(だから、あたしは……!)

さやか「まどか」

まどか「うん?」

さやか「あたしね……失恋しちゃったんだ」

まどか「うん……薄々、わかってた」

さやか「……ずっと、好きだった」

さやか「初恋だった。一番長く一緒に過ごしたし実ると思ってた」

さやか「でも駄目だった」

ポタッポタッ

まどか「さやかちゃん……?」

さやか「泣いてない! 泣いてないから、今こっち向いちゃだめだよ……」

さやか「これはもう終わった恋。終わった想い。何時までもウジウジしてられない。あたしは次に進んでく」ポロポロ

さやか「こんな可愛い親友が、いるんだから、みんなが助けてくれるんだから」ポロポロ

さやか「だから、これは涙じゃない、ック、腫れた頬がさ、熱もっちゃって」ポロポロ

さやか「雪溶けるの、止まんないよ」ポロポロ

まどか「……いいよ、全部」

まどか「泣いたって、いいんだよ」

まどか「わたしが全部、受け止めてあげるから」

まどか「わたし、さやかちゃんに出会えて良かった」

まどか「一人ぼっちで灰色だったわたしの世界がさやかちゃんのおかげで色付いた」

まどか「青。突き抜ける空みたいな真っ青。それからは毎日が楽しかった」

まどか「だから、さやかちゃんに出会えて良かった」

まどか「わたしはさやかちゃんの力になりたい。さやかちゃんが辛かったら少しでも和らげてあげたい」

まどか「わたしの前ではさ、泣いてもいいんだよ」

さやか「……ヒック」

さやか「まどかごめんねぇ」ポロポロ

さやか「いっぱい、非道いことして、非道いこと言って」ポロポロ

さやか「迷惑かけて、ごめんねぇ」ポロポロ

まどか「よしよし……」

………………

さやか「……うん、もう大丈夫」

さやか「ねぇまどか。チョコ、ちょうだい」

まどか「あれは、もう潰れちゃった……」

さやか「良いからさ。まどかの手作り、食べたい」

まどか「じゃあ……はい」ゴソ

さやか「ほいほいっと。今開けていい?」

まどか「……うん」

さやか「あちゃーだいぶ派手にひしゃげちゃってるね。どれ」パクッ

まどか「……」

さやか「うん! おいしいよ、まどか! ほんとおいしい……」

さやか「ありがとうね」

まどか「うん……!」

さやか「はは、やっぱりまどかは笑ってるのが一番だよ」

まどか「えへへ、わたしもさやかちゃんの笑ってる顔が一番好きだよ」

さやか「うん、ありがと」

さやか「じゃ、そろそろ帰ろっか? ほら、まどか手」

まどか「えへへ、さやかちゃん」ギュ

    :
    :
    :

杏子「……で、事態は収束したって訳だが」

まどか「さやかちゃーん!」ダキッ

さやか「よしよしまどかは可愛いなぁ!」ナデナデ

杏子「あいつら元からベタベタしてたが輪をかけてイチャついてないか!?」

マミ「ふふ、微笑ましくていいじゃない」

杏子「デキてんじゃねーかもう?」

ほむら「いいえ、それは無いわ」

ほむら「でも、一生涯の友という意味では貴方の言う"デキてる"よりも深い関係と言えるかも知れないわね」

さやか「あ、そうだまどか。はい、チョコ」

さやか「ちょっと遅れちゃったけど、バレンタインの約束守らないといけないから」

まどか「うん、ありがとうさやかちゃん」

さやか「あー……あと、め、メッセージカードも付けといたから」

さやか「じ、じゃあまた!」ピュー

杏子「おい! あれでもか!?」

マミほむ「……」

まどか「えへへ」ガサガサ

ピラッ

――――――――――――

一生、親友でいてくれますか?

        美樹さやか

――――――――――――

まどか「当然だよさやかちゃん!」

―完―

まどか「えへへ」ガサガサ

ピラッ

――――――――――――

一生、一緒にいてくれやー

        美樹どうざん

――――――――――――

まどか「こんなの絶対おかしいよ!」ビリバリバリバリ

まどさやがもっと増えると僕はとても嬉しいです
百合もいいけど友情もいいよね!

一つだけ信じて欲しいのはNGシーンがやりたかっただけではないということです
途中本編オチに使おうと言う誘惑はあったけど

>>64
マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」

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