伊織「アンタにはこの本命チョコで十分なんだからっっ///」(137)


伊織「え?今なんて…」

その言葉はあまりに唐突だった。

律子「竜宮小町は…解散…解散するの…」

伊織「何言ってるのよ…律子…ねぇ!」

伊織「亜美もあずさも何で黙ってるのよ!何か…何か言いなさいよ!」

亜美「いおりん…もう駄目なんだよ」

あずさ「伊織ちゃん、社長との約束だったのよ。IAもしくはIUどちらか取れなければ活動終了…そういう約束」

伊織「何よそれ!亜美!アンタは納得してるの?」

私は絶対納得できない!今すぐにでも社長に抗議してやりたい気持ちだった

亜美「…」

伊織「何よ…」

亜美「…知ってた…」グスッ

亜美「亜美も…うっ…約束知ってた…」グス…

伊織「なん…ですって…じゃあ、私だけ…なん…で」

分からない…分かりたくない!考えたくない!!

伊織「律子…アンタは何を考えて…」

律子「…悔しい…悔しいわよ…竜宮小町は完璧だった」

律子「そう思ったのよ…ずっと…ずっと…でも!!違ったの」

律子「ごめんなさい…ごめんなさい…悪いのは私、私に力が足りないばっかりに…」

律子「うっ…うう…ごめん…なさい…」グス…グス

あずさ「律子さん…大丈夫。律子さんはしっかり私たちのプロデューサーとして活躍されてましたから」

律子「あずさ…さん…」

私は…私達はどこで間違って…これからどうすればいいんだろう…私には分からない…

律子「とりあえず…解散は決定事項なの…」グス

亜美「りっちゃん…亜美たちこれからどうすればいいの…」

律子「しばらくは休業よ…そしたらまたソロでって…」

律子「それで………あずささんと亜美は引き続き私が担当しろって社長が…」

伊織「!?」

伊織「ちょっ  あずさ「伊織ちゃんはどうなるんですか!!!!!!!!!!!!!!!!!」

伊織「あ、あずさ…」

正直、あずさのこんな真剣な顔を見たのは初めてだった。
本当に私のことを心配してくれている、うれしいことだと思う。

律子「伊織は…私の実力じゃ…プロデュースできない…貴女は凄いわ…本当に…」

伊織「なっ…」

律子が私のことをそんな風に認めてくれていたなんて…しらなかった…。

でも…そんなこといったらあずさの実力は認めたくないけど私以上だ。
私は口では自分が1番と言ってはいるものの心の中ではいつだってあずさに勝てるきがしない。

いつだって…

伊織「そう…私の担当は…いないってことかしらね」

亜美・あずさ「!!」

律子「ごめんなさい…ごめんなさい…」

伊織「律子…もういいのよ…謝らないで」ニコ

伊織「亜美、あずさ!今度こそ頑張んなさい!律子!頼んだわよ!」

そうだ…せめていつも通り…いつも通り振舞おう。
仮面をつけて、素直じゃなく、強がって、私…らしく



それからどのくらいたっただろうか…最近頻繁にあずさをテレビで見かけるようになった。

伊織「もう冬ね…」

さびしい独り言。以前なら亜美あたりが反応してくれたものだと思う。

765プロのスケジュールはびっしり数か月前とは大違いだ…

伊織「また…私だけね…」

私は…今日もオーディションに落ちた

?「おや、いおりん?ただいまぁー!!」

?「うっうー!おつかれさまですぁ!!」

伊織「ん?あっ…お疲れ真美、やよい」

やよいと真美はデュオで活動している。アイツのプロデュースは悔しいけど上手い。

真美「いおりん!今日どうだった?」

伊織「駄目ね!あの審査員、伊織ちゃんの魅力を半分も分かってないわ」

また強がって…馬鹿ね…自己嫌悪。

やよい「うー…ざんねんです…伊織ちゃんと早くいっしょにお仕事したいなぁって最近ずーっと考えてるんだよぉ?」

伊織「そう?ありがとやよい。じゃあ私もがんばらなくっちゃね」

ごめんね…やよい…その願い叶わないかもしれないわ…

伊織「とりあえず今日は疲れちゃった…もう帰るわね」

うそつき…ホントはアイドルやって輝いてるみんなが見たくないだけのくせに…

ホント馬鹿よ…


さらにひと月ほどたっただろうか。ますます冷え込む季節になった。
私はあれから何か変われただろうか…
以前はみんなで借りて使っていたレッスンスタジオも今では私専用となりつつある。

そういえば最近亜美が再デビューした。私にとって一番うれしいニュース。

もちろん嫉妬もした。そんな自分が一番

伊織「大嫌い…大嫌いよ…」

伊織「あっ…」コケッ

伊織「うっ…」ゴロン

ザマァない…こんななにもないところで転ぶなんて今日日春香でもやりゃしない
底辺の私らしい。こうやって地べたを這いずり回って…

悔しい…

悔しい…

伊織「くや…しい…よぉ…」

泣くな!泣くな!駄目だ!

伊織「誰か…だれかぁ…うわ…うぅ…」

もう駄目だ…

私しかいないレッスンスタジオで…泣いた…
いや…「私」もそこにはいなかった…

いたのは強がりの仮面を失った馬鹿な女

そう水瀬伊織…本当の「私」

誰かに見てほしい「本当の私」

?「レッスンの途中じゃなかったのか?」

伊織「もう…いいわよぉ…わだじには…アイドルなんて…」

?「諦めるのか?」

だって無理だった…

解散が決まってから今まで以上にレッスンだって増やした。
周りに目をやって流行や環境に馴染もうと頑張った。

それでも!!

伊織「諦めたいわけ…ない…」



伊織「わたしだって…私だって…アイドルやりたい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」













P「よし!じゃあまずは鼻をふけ!!!!」










私が再びアイドルになった瞬間だった。
私はこの台詞を思い出すたび顔から火が出そうだった。

とりあえずいつか死なす。そう心に決めて…

伊織「馬鹿………んだわよ…」

P「ん?」

伊織「頼んだって言ってるのよ」

伊織「プ・ロ・デュ・-・サー!!!!!!!」

P「ああ!ほら!立って」

悔しいけど…手を差し伸べられた瞬間、胸がキュウって締め付けられるみたいだった。馬鹿な私でもわかる「恋」したんだって…

そこから数週間…アイツは他のアイドルに目もくれず私につきっきりで指導してくれた。
私的にはその…う、嬉しい?けど美希あたり知られたら私は刺されるんじゃないかとドキドキした。

伊織「あのねプロデューサー?」

P「んー?」

伊織「この過密スケジュール…私を殺す気かしら?」

P「うはは!伊織はそのくらいで死ぬタマじゃないよ」

コイツ…優秀っていうより鬼…

そこから数日して私は名実ともにアイドルへと戻った。
久しぶりのオーディション合格…こんなにうれしかったっけ?今まで失っていた感覚。
ゾクゾクした。

伊織「ぷ、プロデューサー…わ、私…」

うわ…私泣きそう…またコイツの前で泣き顔を晒そうというのか私は。

P「うおおおん!!!いおりいいいおべでどーーー!!」

………泣いてた…あの時の私より酷い泣き顔で…

その時私はなんていったけな?たしかこう?










伊織「きったないわね!!!アンタほらちーん!ってしなさい!はい!チーン!」











俺も眠たい…


酒飲んだせいだ…

しょうがないから少し早足でいくお!

事務所に帰るとみんな忙しいはずなのにそろって出迎えてくれた。

亜美とあずさと律子がすでに泣いていたのには少し驚いたけれど…

伊織「まぁ!この伊織ちゃんならこんなものよ!でも…なんというか…」

伊織「…ありがとっ!…ふ、フン!」

相変わらず素直じゃないなーってお前だお前!もう!駄目ね…この性格変わりそうにないわ…

やよい「いおりちゃん!おめでとー!一緒にがんばろー!」

伊織「ええ。よろしくねやよい先輩」

やよい「えへへぇ…先輩なんて照れちゃうからやめてよぉ///」

やよい…いつかした約束、必ず守るから…待っててね?

あっという間に年が明けた。
久しぶりにみんな揃ったニューイヤーライブももちろん大成功。

にひひ!伊織ちゃんのファンも下手したら竜宮小町時代より多いかもしれない!
そうそう!ニューイヤーライブで特別復活!竜宮小町をやったらこれもまた大成功したわ!

けど竜宮小町はもう終わったもの…あくまで思い出として…特別に…ね?

伊織「プロデューサー?あれ?プロデューサー?」

いない…アイツが近くにいないなんて珍しい。いつもは着替えてる途中の更衣室にだって乱入してくる男だというのに…

伊織「あ…いた!」

ん?誰かと話してるみたいね…あれは…美希?

美希「あのね…ニーはどんな…が…なの?」

P「……は……だと…」

くそ!遠すぎて聞こえないわね!ってなんで私こんな盗み聞きみたいなことを…
でも美希、かまずいわね…

P「ん?どうした?伊織」

伊織「うわ!?」

びっくりした!完全に自分の世界に入ってたわ…いつの間にか隣にいるとか…

P「んー?まぁいいや!仕事いくぞぉ」

伊織「ってちょっと引っ張らないで…や…」

なによ今日はえらい強引じゃない。どうしたっていうの?原因はまさか…美希なの?

………


美希「ハニー……」



………

2月に入った…入試…卒業、決算。世間が慌ただしくなってきた時期。
私にはそんなこと関係なかった。ただ…一つのイベントを除いて…

春香「もうすぐバレンタインかぁ」

真「ははは…僕は憂鬱だよ」

雪歩「真ちゃん!私も作ってくるね!」

千早「春香。あの…私もチョコ…作ってみたいんだけど…」

春香「え!!!千早ちゃんが?」

千早「春香。今の「え!!!」の理由…聞かせてもらえるのよね?」

春香「のワの」

バレンタイン…か…

伊織「アイツに作ってあげたら…喜ぶかしら…なぁんて…」

やよい「誰にあげるんですかぁ?」

伊織「はぇ?」

しまった。声に出てたの!なんという初歩的なミス!伊織ちゃんらしくない!ってそうじゃなくて!!

伊織「や、やよいや765プロのみんなよー(棒)」

さ…流石にごまかせないか?

やよい「ホント!じゃあ私もつくって…あ…でもお金が…」

やよい…あんた最近テレビ出まくってるのにいったいどこへ消えているというの…

春香「やーよい!一緒にチョコ作らない?」

やよい「え?…でも…」

春香「千早ちゃんがチョコ作り教えてほしいって、講師は多いほうがいいしさ」

春香「失敗を想定して材料は多めに用意しまーす!だからやよいもおいで!」

やよい「春香さん…」

千早「春香…失敗を想定してってどういうこと?」

春香「のワの」

やよい…よかったわね…

ってそうでもなくて!私、そういえばチョコの作り方しらないし!

春香「あ!伊織はどうする?」

え?私!も、もちろん…

伊織「この伊織ちゃんがわざわざチョコ作りを教わるわけないじゃない?そうね…当日楽しみにしてなさい!!」

決まった…違う…終わった…さて、今日は本屋へ寄る用事ができたわ!

バレンタイン当日。フフフ…アイツはどこ?どこにいるわけ?
血眼になってアイツを探す私。周りから見たら飢えた野獣にでも見えるのだろうか?
でも今はなりふり構っていられない。アイツは意外にモテるのだ……ギルティィィィ…

伊織「ホントにどこいったのかしら?」

ホント忍者か雲かアイツは掴みどころがなさすぎる。
ま、まぁそこがアイツのいいところなんだけど…これってのろけかしら…

伊織「あ……」

いた…以前に見た光景…似たシチュエーション…

アイツと…美希、頬を染めた…美希…

そうか…あの時美希は…

伊織「い…や…」

いやだ…いやだ…やだよ…やだ…

やだやだやだやだ…

アイツは私が…あれ?アイツは私のことどう思ってるんだろ?
考えたこともなかった…

滑稽ね…私って…ここまで来て…
結局私は変われてない…馬鹿な私のままだ…

アイツを失ってたら私はどうなるの?あれ私ってなんだっけ?





そうか……私の中のアイツの存在ってこんなに大きくて…


あったかいんだ…




気づいてしまった。私の恋は…

私の「好き」は「大好き」に変わってたって…私…あの頃から変わってたんだ…って
そしたらもう…抑えきれるはずない…よね?


伊織「いやだ!」










伊織「受け取るなああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!ばかああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」





















美希・P「!?」








P「い、伊織?」

美希「デコちゃん…」








伊織「ぷ、プロデューサー…ああああああ、アンタにはこの本命チョコで十分なんだからっっ///」



伊織「だからそのチョコ…受け取るなああああああああああああああ!!!!!」

P[お…おいまて伊織」

P「くそ!アイツ…」


美希「いっちゃった…へへへ…」

春香「み、美希?大丈夫?」

美希「うん…美希ねハニーがデコちゃんのこと好きって知ってたから」

美希「これでだめなら最後にしようって…」ウル

春香「美希…」

美希「ところで春香こそその本命チョコどうするの?」

春香「うぇぇぇぇ!!??なんで…はぁ…」

美希「春香?やけ食いなら付き合うの!」

春香「ははは…」

逃げてきてしまった。なぜ逃げた…私

伊織「これからどうしよう…」

戻って告白しなおすのか…ないわね…恥でしかないわ…
追ってくるのを待つ?いや追ってくるはずない。ありえない。追ってくるなん…て…

伊織「え?」

P「伊織ーーーーー!!!!!ちょっと!待ってくれよ!!!」ゼェゼェゼェゼェ

追ってきた馬鹿がそこにいた。

P「あーあ…髪がぼさぼさだぁ…」

伊織「なん…で…?」

P「んー?」

伊織「なんで追ってきたの?」

P「ん?あぁ!チョコ!これ!もらっていいの!」

伊織「え…ええ…」

何コイツ…

伊織「ぷっ…あはははは!」

P「?」

悩んでるのが馬鹿みたいだ…コイツ…いやこの人は本当に…

伊織「食べてもいいけどそれ?本命よ?」

P「ん!さっき聞いた!だから…遠慮せず食う!」

伊織「…そ、そう!!」

嬉しい!嬉しい!嬉しい!!あと何回言えばいいかしら…

なんというか嬉しい!!

P「うん…うまい…そうだ、伊織」ムシャムシャ

伊織「なによ…」

P「俺、お前のこと好きだから…」ムシャムシャ

伊織「………」

P「………」ムシャムシャ

このばかああああああああああああああああああああああああああああ。タイミングがおかしいわよおおおおおおおおおおおおおおお。

伊織「そ、そう…」

P「あとあれだ他の人から一生チョコ受け取れないなら伊織…お前と一生一緒にいるしかないな」









伊織「うん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」






























終わり









皆様よいバレンタインを…



もし次起きてスレあったら番外書きます…

ふぇぇ紳士はあくまでも紳士!

エロ書かない!

おは

書くお

番外編…千早ちゃんとお料理教室

春香「ちっはやちゃーん!!」

千早「いらっしゃい春香」

やよい「おはようございます千早さん!」

千早「ええおはよう高槻さん。さぁ…上がって」

今日は春香と高槻さんにチョコ作りを教えてもらう日だ。
この約束を取り付けたのは私。そう…今年こそ「あの人」に振り向いてもらいたい。

歌だけだった私。感情のない歌うだけのロボット…ウォークマン…いえ壊れたラジカセみたいだった私にこのあたたかな感情をくれた…あの人に

春香「そうだ!千早ちゃん材料ちゃんと買ってこれた?」

千早「ええ…準備したわ」

私だって買い物くらい出来る。春香…まさかそこまで私を見くびっているの?

フフ…見なさい。私だって買い物くらい出来るのだ!

やよい「うわーすごいですぁ…チョコの山です…」

春香「……いくら使ったの?」

千早「2万だけど?」

ま…まさかこれでも足りないというの…恐るべし…チョコ作り…

恐るべし…バレンタイン…

春香「…千早ちゃん、材料はこんなに要りません」

千早「なん…ですって!!!」

ま…まさか…いや春香がいうのだからそうなのだろう。私なんてあと1万分くらいは必要かもと本気で思っていたのに…

やよい「こーんなに一杯だったらチョコのお家が作れちゃうかも!」

千早「そ、そうチョコの家を作るつもりだったのよ!」

春香「千早ちゃん…」

千早「ごめんなさい」

くっ!謝るしかない…今日の春香の迫力は逆らうことさえできないわ…

やよい「えへへ…こんなに一杯チョコがあったら弟たちもすっごく喜んでくれるかも!」

あぁ…純粋な高槻さん。高槻さんが私の癒しだわ。

可愛い!可愛い!可愛い!!あと何回言えばいいかしら…

可愛いいいいいいい…っと少し落ち着きましょう…ふぅ…

千早「高槻さん、どうせ一人では使いきれないし一杯持って帰っていいわよ?」

やよい「うっうー!ほんとですかぁ!千早さんありがとうございます!」

まぁ喜ぶ高槻さんが見れただけでこの失敗はよしとしよう

そこからは無我夢中でチョコとのにらめっこ。
チョコケーキを作るためにチョコの塊を練っていたら春香に拳骨された。

チョコケーキってチョコレートだけで出来ているんじゃないのね…

二人の表情はあくまで真剣で何て言うか正に女の子って感じだった…

うらましかった…

千早「でき…た…」

出来た…このチョコを…「あの人」に…

喜んでくれるかしら…



    アノヒト
ねぇ?「春香」

春香「ん?どうしたの?私の顔チョコでもついてる?」

千早「ううん?何でもないわよ…春香…」



終わり

頭の中にあった構想を即興でぶちまけたのでこれで終了です…

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