防衛省「暁美ほむらさんですね?」 ほむら「」(173)


ほむら「そうよ。それで、あなたは誰かしら」

防衛省「申し遅れました、防衛省対外防衛対策部部長の鈴木と申します。」

防衛省「実は

防衛省「と、いうことになります」

防衛省「ご協力いただけないでしょうか」

ほむら「な、なんですって」

マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの魔法少女全員生存ワルプルギス撃破 誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって

防衛省「こちらからは陸海空自衛隊を結界内に派遣し、ヴァルプルギスの夜の殲滅作戦を行います」

防衛省「場合によっては我々が密かに開発していた核兵器の使用も行います」

防衛省「おっぱいうp」

ほむら「おkwwwww」




終了

マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの魔法少女全員生存ワルプルギス撃破 誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって


防衛省「暁美ほむらさんですね?」

ほむら「そうですけど…」

防衛省「わたくし、こういうものですけど、お話を伺ってもいいですか?」

(防衛省の名刺)

ほむら「!!」

防衛省「わたくし共についてきて頂ければ、色々と手間暇をかけないで済むと思うのですが」

ほむら(私を監視しているような気配は周りにはいない……)

ほむら(とはいえ、本当に防衛省が関わっているとしたらここで断っても無意味よね…)

ほむら(ソウルジェムさえ取られないようにすればそれほど危険はない…?)
 


ほむら「私はこれから学校があるのですけど」

防衛省「それはこちらで手を回せさせて頂きました、
     貴女は心臓病の経歴があるようですから、それを利用して、今日は精密検査に行くという連絡をしています。
     着いて来ていただいてもズル休みにはなりませんよ」

ほむら「そう…(相当手回しがいいようね……)」

防衛省「ともかく、立ち話もなんですから、こちらにどうぞ」


見滝原警察署内の一室


防衛省「喫茶店などでも良かったのですが、わたくし共の素性を信じて頂く必要があると思いまして。
     このような殺風景な所になってしまいましたが、構いませんか?場所を変えることも出来ますが」

ほむら「いいえ、構わないです。……中学生に敬語って疲れませんか?」

防衛省「これも性分でして、止めろと言われれば、変えますがそうでなければこのまま話させて頂きます。
     貴女は疲れるようなら敬語でなくても構いません。出来る限り、本音を話して欲しいですから………」

ほむら「そう…ですか」
 


ほむら「…私に用があるということですが、どういった話なのでしょうか?」

防衛省「貴女に初めから信用して欲しいとは申しません。そうすることもできないでしょうから。
     なので、順序立てて話をさせて頂きます」

防衛省「これは極秘なのですが、数日前、在日米軍基地の○○から大量に武器が紛失しました。
     軽機関銃から果てはミサイルまで……報道されれば前代未聞の規模の大量紛失事件になります」

ほむら「……」

防衛省「量的に見れば小国を滅ぼせるほどです。すぐに管制が敷かれて、この件は極秘事項になりました。
     とはいえ、米軍基地内のことですから、それは大した苦労では無かったようですが」

防衛省「恐らく、上層部からの通達がなければ、日本政府ですら知ることもなかったでしょう。
     ともあれ、日本政府はアメリカより依頼を受けました。武器紛失事件の調査に協力してくれ、と」

防衛省「アメリカより資料を渡された時、我々は驚きました。
     なにせ公式に話されているよりはるかに大量の武器がその米軍基地にはあったのですから。
     日本政府すら知らなかったことを公開せざるを得なかったということは、
     合衆国政府はそれだけ事態を重く見たのでしょう、
     アメリカ相手にアドバンテージが取れたことについては、我々は犯人に感謝しなければいけませんね」

ほむら「……」
 

支援


ほむら「話が見えません。それが私になんの関わりがあるというのでしょうか」

防衛省「わたくしは腹の探り合いが苦手なので、単刀直入に言います。
     貴女はその紛失事件の犯人を知っている。もしくは、深い関わりがある」

ほむら「……」

防衛省「わたくし共は…、いえ、わたくしはともかく、我々組織は馬鹿ではありません。
     もしかしたら、途方も無い愚か者の集団である可能性もありますが、
     少なくとも調査能力については世界有数の力を持つ自信があります。
     ……ああ、これはわたくし個人の感想ですので聞き流してしまって結構です」

防衛省「ともあれ、順を追って説明しなければ貴女も納得されないでしょう。
     なので、もう少しだけわたくし共に耳を傾けていただきたい」

防衛省「まずは状況の説明、出題編とでも申しましょうか。
     基地側から提出された資料によると、その武器の大量紛失事件は全く奇妙でしてね。
     あれだけ大量に紛失したのに、武器を運んだ後が全くない。
     監視カメラにも異常はない……ああ、いえ、一部のカメラでは異常はありました。
     なんと巨大な武器が丸ごといきなり消えてるんです」

ほむら「…どういうことでしょうか?」
 


防衛省「どういうもなにも、丸ごと、いきなりとしか言い様がありません。
     それまで写っていた武器が、次のコマでは丸ごと、綺麗サッパリ無くなっているのですから。
     その場で消滅したとしか言えない。カメラの細工した可能性は…多分無いでしょうね。
     巧妙に隠されていて、しかも監視には複数人が関わるというものらしいですから」

防衛省「こういう場合、まずは身内を怪しむのが慣例らしいです。
     上層部が横流し…なんて、いかにもありそうですからね。そのために、監視部署というところは、
     なるべく上司と繋がりを作らないように細心の注意を払うそうです。
     これがなかなか上手くいかないから組織というものなんですが
     ……貰った資料によるとその線を外していいくらいには薄い可能性のようです。」

防衛省「他に基地内での怪しい点は、基地内には居る筈のない人間の髪や指紋をいくつか見つけたことくらいですかね。
     全く誰のものか分からない以上、そんなものは何の証拠にもならないのですが」

ほむら「……」

防衛省「ここまでが出題編。合衆国政府は……まあ、その中の担当部署なのですが……は、匙を投げたようです。
     そこで俺達には分からないから協力してくれと泣きついてきた。
     実際は国と国との力関係がありますから、泣きつくという表現は不適当かも知れませんね。
     もっと高圧的に『オゥッ!調べろや!』みたいな感じだったかも知れませんが、
     こうしてわたくし共に調査の依頼が来たわけです。」
 

防衛省「では、解答編に行きましょう。
     回答といっても、わたくし共のやることは基本的に単純です。
     とはいえ、門外不出、口外無用、極秘中の極秘……というほどでもないのですかね。
     貴女にこうして話しているわけですし。
     まあそれはともかく、そういった捜査なので、それなりの苦労はしました」

防衛省「まあ、やったことは米軍基地と同じ、カメラのチェックです。
     それも、街中にある防犯カメラからコンビニのカメラから個人のやってるWebカメラから、
     とにかく基地の周りにあるものは何でも調べました。」

防衛省「根拠は……まあ、とにかく何らかの形跡を探さなければいけないというだけですね。
     基地内で武器が消滅、もしくは基地内のどこかに隠したということでなければ、外部犯を疑う他ない。
     外部犯が犯人だとしたら、基地内では一生懸命自分を隠していても、
     その周り、500メートル手前でも、1キロ手前でも構いません。
     そんな所では、ちょっとは油断をしてくれて、姿をあらわすかも知れない、そんな感じの調査です」

防衛省「普段は予算も限定されてしまうので、徹底的な調査というものはなかなか出来ないものですが、
     今回はアメリカ政府直々の依頼だったということもありまして、
     こうして貴女に辿り着くことが出来たのです」
 


防衛省「総ざらいして調べたカメラの中に、まるで米軍基地のカメラが観測した武器と同じように、
     突然、目の前で消えた人間が居たのです。
     それが貴女ですよ、暁美ほむらさん」

ほむら「……」

防衛省「貴女をお呼びした意味はそういうわけです。
     こっそり…というと申し訳ないのですが、貴女のDNAパターンを調べさせて頂きました。
     基地内で発見されたパターンと完全一致!凄いですね。
     事実を発見した研究班は沸きました……かどうかは分からないです。
     わたくしの担当部署では無いですし」

防衛省「暁美ほむらさん、改めて、お話を伺いたいと思います。
     いくつかの質問に答えて頂けると有難いのですが。
     ……こういうことを言うのは大変に心苦しいのですが、貴女にも大切な方が居られますよね?」

ほむら「……」
 


ほむら(迂闊だった……こんなに簡単に私のことが調べられるなんて)

ほむら(私は時間停止以外に魔法をほとんど使えない。
     だから、私が最悪の魔女、ワルプルギスの夜と戦うためには武器をどこかから調達しなければならない。
     そして、米軍基地なんてところから武器を盗めば、当然報復を覚悟しなければならない)

ほむら(正義の軍隊とは言っても規模から言えば大事件だもの。
     その調査に拷問だのなんだの、非合法な方法を使わないとは限らない)

ほむら(だからこそ私は、
     まどかやさやか、巴マミには被害が及ばぬように距離を置いていたのに──
     ワルプルギスの夜を倒したら見滝原を去るつもりだったのに──
     ──こんなに早く見つかるようでは意味が無い。
     ワルプルギスの夜と戦わなければいけないのに。)

ほむら(指紋と髪か……次回こそは)

ほむら(いえ、次回なんて考えるな。
     私は、可能な限り、今の時間軸で出来ることをしなければならない)


ほむら「……何が目的なの?私に要求することは何?」

防衛省「要求すること、か……」
 

ほむら「貴方にも大切な人はいるわね」ファサッ

防衛省「」


防衛省「まずは、答えて欲しいことがあるかな。
     まず、大量に紛失した武器だけど、それは消失して無くなってしまったのではなく、
     取り出して使える状態にある、イエスとノー、どちらかな?」

ほむら(……ここで無くなってしまったと言うことも……いいえ、ここで嘘をついても仕方がない)

ほむら「…ええ、やろうとすれば、使える状態にあるわ」

防衛省「ふむ…、ではもうひとつ、それを売ったり、他人が使うための意図はある?
     それとも、自分の為だけに使おうとしている?」

ほむら「…売るような意図はないわ。人に渡す気もない。自分の為に使う」

防衛省「…なるほど。
     まあ、お金を得たいなら単純に盗めばいいわけだし、君の能力……、
     まあ能力というのかな……を考えるなら、回りくどいことをする必要はないか」

防衛省「ええと、わたくし共が武器紛失事件の犯人を見つけたということで、おとなしく武器を返してくれる気はない?」

ほむら「ないわ、これは私の戦いに対して必要なものなの」

ほむら(彼らが武器を取り戻したがっている…とすれば、使用できる武器を持っているということ自体、
     それらを人質にしているようなものね。ただ、返してあげることはできないけれど。
     ワルプルギスの夜と戦うのに、この火力はどうしても必要だもの)
 


防衛省「…そうなると、わたくし共としては貴女と話す意味はほとんど無くなっているんだよね」

ほむら「ええ、そういうことに………………って、はぁ?」

防衛省「順を追って説明するから、
     イライラせず、落ち着いて聞いてくれると嬉しいかな」

ほむら「落ち着いているわよ…どういうこと?」

防衛省「まず、君の処分……言い方は悪いけど、処分という言葉を使わせてもらうね。
     君自体は自由に行動して良い、が、常に政府の監視下にある状態だと思っていい。
     誰と話していても聞き耳がどこかに付いている、そういう状態だね。
     まあ、そういう監視員を何人も雇うって大変だから、君の努力次第では彼らの目を欺くことは出来るだろう」

ほむら「……」

防衛省「君が持ちだした武器に関してだけど、アメリカ政府はそれはもう戻らないものと諦めている。
     まあ、返してくれるのであればベストだけどね。
     そうでないなら仕方が無い。
     使用用途だけが心配事だったんだ。
     君の言質だけではいまいち不安だけど、アメリカ政府も日本政府に頼っている立場だからね、
     そう強くも出られないだろう。
     むしろ、米軍基地にとってはいい勉強になったんじゃないかな。
     魔法少女に対しても鉄壁だと思っていたセキュリティが、君の前では無力だったのだから」
 

てか話がすげえ早くなるやんw


ほむら「!?」

防衛省「とはいっても、自分の力を過信し過ぎるのは良くないだろう。
     君は撃ち殺されてもおかしくない立場にいる」

防衛省「実際に、もう一度君が同じように基地に侵入したら、多分命は無いんじゃないかな。
     今回の調査依頼の段階で、君の弱点についても調べられているようだ。
     君は比較的人の出入りのある、人物チェックが主体の倉庫にある武器は調達できているようだけれど、
     物理的な障壁の多い倉庫は手付かずで放置しているようだね。
     また、有用な武器でも、量が多くて、取り切れないこともあったようだ。
     君が消えていられる制限時間を察知して、時間稼ぎをさせるように仕組んでくるんじゃないかな。
     他にも調査依頼では上がっていない、弱点もあるかもしれない。
     魔法少女とはいえ、あまり危ない橋を渡ることは勧められない」

ほむら「貴方は魔法少女について……知っているの?」

防衛省「わたくし自身はそれほど詳しいとは言えないな。
     魔法少女ではないし、君を前にして魔法に対抗出来るわけでもない。
     今だって君と話していて腰ががくがくぶるぶる……してないね。
     事前の調査で、君が人をのべつまくなしに攻撃するような人格でないことは調べがついている」
 


防衛省「わたくし共は魔法少女についてある程度の把握はしている。
     全くもって、ある程度に過ぎないんだけどね。
     これについては合衆国政府のほうが進んでいるかも知れない。
     まあ、それでも、いくつかのコンセンサスが政府間で出来ている」

ほむら「……」

防衛省「これが…申し訳ない話なんだが『魔法少女には関わるな』ってことなんだ」

防衛省「今回のような件は例外なんだ…あまりにも君が政府に関わりすぎた。
     君の意識がどうかは知らないけれど、基地から武器を調達するということが
     どれだけ重大か、ということを分かって貰いたいね」

防衛省「わたくし共は魔法少女のことをいくつか知っている。
     ……恐らくは君たちより多くのことを知っている。
     だから、これ以上のことを君に話すのは、いささか迷う。
     実は、大量の武器の紛失事件は、君に会うまでにほとんど終わっているんだ。
     君と接触して、『次はないぞ』と教えたことで完全に終わる。
     うん、それだけでいいんだ、きっと──」

ほむら「キュゥべえのことも、ソウルジェムのことも──」

ほむら「全部知っているんですか?」

ほむら「魔女の正体がなんなのかも──」

防衛省「──」
 


防衛省「──そうだね。君の手口は鮮やか過ぎた。
     君の経歴を確認をするに、どう考えても昔から魔法少女だったとは思えないんだが、
     それでも、多くのことを知っていてもおかしくない。
     そういう予感はあった。
     だからこそ、わたくしが君と話すことになったのだからね。」

防衛省「念のために確認しよう、魔女の正体を答えてくれないか?」

ほむら(もしも、魔法少女が魔女だと知らなかった場合、
     今後恐慌を起こした政府と魔法少女がぶつかる可能性がある)

ほむら(でも、個人で戦う魔法少女と違って、政府は組織。
     もしも政府が長らく魔法少女と関わって来たのなら魔法少女の正体を知ってもおかしくない)

ほむら(ここまで来たのなら魔法少女についてどこまで知っているか、確認をする必要がある。
     そして、目の前の人物が魔法少女についてどんな印象を持っているかも)

ほむら(でも、もしその結果が最悪なものであったなら──)


ほむら「──魔法少女、でしょう?」

防衛省「やはり、知っていたのか…」

防衛省「お互いが正体を知っているつもりになって、
     話して、何人もの魔法少女を魔女に変えてしまったことがあった……
     君みたいな子は本当に少ないんだよ……」
 


ほむら「これは、話をしてくれるためのキーワードだと思っていたのだけれど、
     続けて貰えるということでいいのかしら?」

防衛省「ああ…だけど、わたくしが知っていることだけになる。
     そしてもう一つ、知り過ぎると君の行動にさらに大きな制限がかかる…
     だからそこに抵触しない限りになる、それでいいかな?」

ほむら「了解したわ」

防衛省「まず、君たちの契約者。
     キュゥべえ──インキュベーター。
     わたくし共が、全ての政府が、魔法少女に関わらないと決めたのは彼の存在にある。
     少女を魔法少女へと変える宇宙人。
     君たちにとってはただのマスコット、正体を知った君は別の印象を持っているかも知れないが──
     とにかく、我々が魔法少女に干渉しない理由はそこにある。
     魔法少女の資格を持つものにしか視認することができない、
     宇宙人、キュゥべえ!
     この存在こそが、魔法少女を政府が利用しない、あるいは出来ない理由となっている」
 


防衛省「やはり字面が間抜けかね?」

ほむら「気にすることはないわ、私もあいつを憎たらしいと思うとき、そう思うことがあるもの」

防衛省「では、インキュベーターとしておこうか。
     ともかく、君達はあの宇宙人に対してどういう想像をしているか知らないが、
     わたくし共があの宇宙人という存在をどれだけ恐ろしいと思っているか、
     どれだけ脅威か、分かって貰うことは難しいだろう」

防衛省「遠い星からここまでやってこれる科学力、宇宙の延命という壮大過ぎる計画、
     たかだか月にようやく辿り着いて、それすら予算の関係上満足に続けることが出来ない
     我々大人達──地球人などとは存在自体が違う」

防衛省「彼らは彼らと地球人との関係を差して、人間と家畜との関係に例えることがあるらしいが、
     全くそれは妥当であって、彼らの我々に対する扱いは優し過ぎると言っても過言ではない」

ほむら「なんとなく腹の立つ評価ね」

防衛省「正当な評価だよ。言い方については、わたくしの個人的な見解が入っているがね」
 


防衛省「話を少し組み立てようか。
     各政府が魔法少女の存在をはっきりと認識したのは二度の世界大戦の頃になる」

防衛省「どう考えても勝てる戦いがひっくり返されたり、全滅したと思われる戦いに生き残ったり…、
     それらは『奇跡の現象』として認知された。
     古代や中世の昔であるならばただの伝説で終わってしまうところを、
     情報技術の発展はそれを魔法少女の仕業であると突き止めた」

防衛省「最初は魔法少女を利用しようと考えた。
     魔法少女の願う奇跡は難しい戦局を簡単にひっくり返すことができるし、
     魔法少女の力は近代兵器を持った兵士など比べ物にならないほど強かった」

防衛省「だが、背後にいる存在を各々の政府が認知した時、その計画は頓挫せざるを得なかった」

防衛省「その存在は可能な限り、少女が自由な思考によって魔法少女になるよう行動しているようだった」

防衛省「その存在は政府に対してはっきりとした敵意を持つわけではなかったが、
     魔法少女を政府子飼いとすることに関して、反対をしているように思えた」
 
防衛省「実際のところは未だに分からないが、
     魔法少女の軍団をつくろうとしていた組織は未だに成功を見ていないし、その存在を示す記録もない」
 


防衛省「とにかく、裏でどのような行動をしているかは分からない小国はともかく、
     魔法少女について意思疎通が出来る国の間では、
     魔法少女の行動について、可能な限り妨げないようにしよう、という共通認識が出来た」

防衛省「インキュベーターという存在が魔法少女から伝えられるにつれ、
     その共通認識は高まらざるを得なかったし、魔法少女の奇跡という制御できないものに対して
     その利用の制限は核軍縮と同じく、各政府間によって歓迎された。
     それでも尚利用しようとする政府に対してはインキュベーターが独自に活動し、
     邪魔をしているという情報ももたらされた」

ほむら「私にとっては朗報というべきかしら。
     インキュベーターによって…私達が守られているなんて」

防衛省「どちらか…ということは出来ないね。
     我々も、インキュベーターも、何かを魔法少女に任せているだけで、
     ……何もしていないというだけだからね。
     事実、我々は魔女という脅威に対して魔法少女任せにしているだけで、何の手も打っていない」

ほむら「それでも、きっと私にとっては有益な情報が聞けたわ。ありがとう
     …他にも私が知っていい情報があるのかしら?」
 


防衛省「わたくし共が提供できる情報は以上だね、
     勿論、君から質問があれば、答えられることに限りは答えようと思うけれど、
     何かあるかな?」

ほむら「私からはとくにないわね」

防衛省「ええと、これは言わなければいけないことで、あまり言いたくないことなんだけれど、
     わたくし共が強制するのはNGでも、魔法少女が自分の意志でわたくし共に協力するのは
     インキュベーターも構わないみたいなんだ。
     実際に、何人かの魔法少女が、政府直轄として働いている。
     魔法少女の真実に関しては、知っている娘も、知らない娘も居るんだけどね。
     君のような強い娘は大歓迎だよ。
     これはインキュベーターの台詞じゃないけれど…
     わたくし共と契約して、防衛省の役人になってはくれないかな?」

ほむら「………」

ほむら「ごめんなさい、私にそれは受けかねるわ」

防衛省「君には大きな目的があるんだね?
     君が手に入れた装備はそこいらの魔女と戦うには大き過ぎる。
     かと言って何十何百万人と兵士がいる居る政府を相手にするには小さ過ぎる」

ほむら「…もしも、見滝原市に見滝原全てを破壊するような魔女が現れるとしたら、
     政府は手を貸してくれるかしら?」
 


防衛省「……それが日本を滅ぼすというのならともかく、
     一過性のものであるなら、わたくし共は魔法少女を戦わせるなんてことはしないね。
     魔法少女はあまりにも貴重なんだ。
     魔法少女はあまりにも脆いんだ。
     ソウルジェムはグリーフシードでしか回復できない。
     グリーフシードは魔法少女にしか管理できない、インキュベーターしか処理できない。
     わたくし共にグリーフシードを預けた所でいつの間にか孵化する魔女を止めることができない。
     魔法少女の生命線を管理出来ないわたくし共は魔法少女を死地に投入することはできない。
     そして、魔法少女が戦わなければならない、都市全域を破壊するような何かなんて、
     一過性のたったひとつしか心当たりがない」

ほむら「そう…」

防衛省「不甲斐ない大人でごめんよ……」

ほむら「……」

防衛省「わたくし共は、君たちを守らなくちゃいけないんだ。
     わたくし共は大人で、わたくし共の部署はそのために存在するんだから。
     事情を知った上で魔法少女に守ってもらうことを、本当はものすごく恥ずかしがらなくちゃいけないんだ」

防衛省「政府だからって、宇宙人だからって、
     守るために、守れるところにようやく就職できたはずなのにいざなってみるとそれが出来ない…」

防衛省「わたくしの知り合いも魔法少女だったんだ……」
 


ほむら「…私は、貴方達が敵じゃないかと思っていた。
     そうでなかったことだけでも、私は嬉しい」

防衛省「………」

防衛省「簡単に信じちゃいけないよ、
     わたくし共は『関わらない』だけなのだから。
     それすらもインキュベーターという予防線があるからに過ぎない。
     その予防線がもしも消えたら、政府がどう出るかも分からない」

ほむら「ひとつだけ、約束してくれるかしら。
     ワルプルギスの夜が来る前にはスーパーセルの予兆が現れる。
     その時に起こる避難指示を可能な限り迅速にやってくれないかしら」

防衛省「約束するよ。
     きっと、どんな国にあるどんな部署よりも手早くやってみせる。
     そしてもしも、その夜を越えた後、暁美ほむらの所在が決まってなかったらさ」

防衛省「渡した名刺に連絡を入れてくれないかな。
     防衛省は有能な人材を募集しております。君ならいつでも歓迎だよ!」

ほむら「ふふ…ほんとに…あいつみたい…」

防衛省「そんなに似てたかな?」

ほむら「全然違うわよ…でも、そうね。気が向いたら」
 


ほむら(実際にはワルプルギスの夜を越えたら、力も大幅になくなるし、
     気が向くこともないのでしょうけど、ここで断るのも気が引けるわね…)

ほむら(ここで話せたことは有意義だった。少しでも犠牲が少ないほうがまどかも喜ぶでしょう…)

ほむら(………………………………
     武器庫は短期間内に全回収したほうがいいというのは覚えていたほうがいいのかしら?)


防衛省「良ければ、車で自宅までお送りするけれど?」

ほむら「それには及ばないわ」

防衛省「君への監視は、君の瞬間移動についてほとんど無力だからね。
     有効に活用するといい」

ほむら「ありがとう、有益な話が聞けて嬉しかった」

防衛省「ご武運を」サッ

ほむら「貴方もね、防衛省の役人さん」ファサ


(ほむら、次の瞬間には防衛省の前からいなくなる)


防衛省「……調査中に見た彼女はいつも悲しそうだった。いつか、幸せな人生を彼女が送れますように」
 

 

────
──




「これ以上先に進まれたら、避難所を襲われる…」

「どうにかして…ここで食い止めないと…」

「どうして?…どうしてなの?何度やっても、アイツに勝てない!」

「繰り返せば…それだけまどかの因果が増える。私のやってきたこと、結局…」


「もういい、もういいんだよ、ほむらちゃん──」



────
──

 
  


ビルの屋上から、とある一角を見据える少女


キュゥべえ「ふうん、この警察署の前で、君とその役人が話していたっていうのかい?」

ほむら「ええ、懐かしくなって来てみたけれど防衛省の人は居ないようね」

キュゥべえ「そりゃあそうだよ。
    君の話が正しかったとしても、それは夢物語の中の君が、
    米軍基地に武器を取りに行ったからだろう?
    今の君は自分の力で魔法の弓を出しているんだから、その役人が来るわけないじゃないか」

ほむら「そうね。その役人はお前のことを随分買い被っていたわよ」

キュゥべえ「僕の立場は君の話の中とあまり変わらないね。
    魔法少女の力の大きさは魔法少女の祈りの内容に関わるから、
    あまり関係ない要因に左右されたくないのさ。
    契約について当事者以外が過度に干渉することも知的生命体に対するルール違反だからね」

キュゥべえ「僕達は一国の長やその組織と敵対しているわけじゃない。
    むしろ魔法少女を育ててくれる重要な環境として認識している。
    それでも魔法少女ならばともかく、
    直接元首に対して干渉を行うのは今の僕の立場からするとただの命令になってしまう。
    人間がこの星を離れて、僕達の仲間入りをするのはまだ遠く先のようだからね」
 


キュゥべえ「今夜はつくづく瘴気が濃いね。
    魔獣どもも、次から次へと湧いてくる――幾ら倒してもキリがない。
    暁美ほむら。君はこんな所でのんびりしていていいのかい?」

ほむら「そろそろ行こうと思っていたところよ」


ほむらは白い翼を魔力で展開し、ビルから飛び降りる
湧き出た魔獣達の真ん中に着地する

ほむらは弓をつがえて、魔獣に相対する


ほむら(悲しみと憎しみばかりを繰り返す──そんな救いようもない世界。
     それでも、ここはまどかが、そして大勢の人が守ろうとした世界なんだ──)

ほむら(それを覚えてる、決して忘れたりしない)

ほむら(だから私は、戦い続ける)




おわり
 

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