ルッキーニ「あっ……♪」ブルルッ バルクホルン「おい。風呂の中で何をした?」 (166)

~501基地 大浴場~

バルクホルン「……」

バルクホルン(最初はどうかと思ったが、少佐が提案し導入した風呂は決して悪くない)

バルクホルン(今では一日の終わりには湯に浸かることが日課となっているぐらいだしな)

バルクホルン(あとはあの問題が解決してくれたのなら、言うことなしなんだが)

ルッキーニ「おっふろー!!おっふろー!!」

芳佳「わーいっ。おふろーっ」

バルクホルン「待て!!!お前たち!!!」バッ!!

ルッキーニ「うにゃ!?」

芳佳「あ、バルクホルンさん。どうしたんですか?」

バルクホルン「こっちにこい!!」グイッ

ルッキーニ「あにゃー!?」

芳佳「あ、あの!!な、なんですか!?」

バルクホルン「湯に浸かる前に汚れを落とせ!!少佐が決めたマナー一覧にも記載されているだろう!!!」ゴシゴシ!!!

ルッキーニ「うぅぇ……だってぇ……」

バルクホルン「目を閉じていろ!!泡が目に入るぞ!!」

ルッキーニ「ぁぃ」

芳佳「あ、あの……」

バルクホルン「宮藤も宮藤だ!!扶桑での慣わしではかけ湯というものがあるのだろう!?何故、それをしない!!!」ゴシゴシ

ルッキーニ「左がかゆい」

バルクホルン「こっちか」

芳佳「すいません……」

バルクホルン「皆が使うのだから、多少汚れてしまうのは仕方ない。だが、気を遣うことぐらいはしろ」

芳佳「すいません」

バルクホルン「ルッキーニ、湯をかけるぞ!!」バシャッ

ルッキーニ「あにゃ」

バルクホルン「ルッキーニは、入ってもいい」

ルッキーニ「あうー」

バルクホルン「次は宮藤だ」

芳佳「あの、自分でしますからぁ」

バルクホルン「上官命令だ。こっちにこい」

芳佳「……はい」

バルクホルン「全く。訓練後なのだから、垢なども溜まっているだろう。それを流さないで湯船に浸かればどうなるか、少し考えればわかるはずだ」

芳佳「ごめんなさい」

バルクホルン「まぁ、お前たちだけではないがな」ゴシゴシ

芳佳「他に誰かいるんですか?」

バルクホルン「ハルトマンやエイラだ。あと見たことはないがサーニャもそうらしい」

芳佳「そうなんですか」

ルッキーニ「はぁー!!さいこぉー!!きっもちいぃー!!」パチャパチャ

バルクホルン「宮藤もそういう者を見かけたら注意ぐらいするんだぞ?わかったか?」ゴシゴシ

芳佳「えぇ?でも、私は新人ですし……」

バルクホルン「関係はない。違反者を取り締まるのに上も下もあるか」

芳佳「わかりました。できるだけ、がんばります。あと、右側が少しかゆいです」

バルクホルン「こっちか」

ルッキーニ「うにゃぁぁ……ん?」ブルッ

バルクホルン「洗い流すぞ」

芳佳「あ、はい。お願いします」

バルクホルン「……」バシャ

芳佳「はぁー。ありがとうございます!」

バルクホルン「では、宮藤も入ってもいい」

芳佳「わーいっ」テテテッ

バルクホルン「どうして私がこんな当たり前のことを言わなければなら――」

ルッキーニ「あっ……♪」ブルルッ

芳佳「おっふろー!!」

バルクホルン「まて」ギュッ

芳佳「ぅわぁ!?な、なんですか!?」

バルクホルン「……」

芳佳「あ、あの……胸が当たってます……」

ルッキーニ「はぁー」

バルクホルン「おい、ルッキーニ少尉」

ルッキーニ「なに?」

バルクホルン「今、風呂の中で何をした?」

ルッキーニ「え?」

バルクホルン「とぼけるな」

ルッキーニ「なにもしてないよ?」

バルクホルン「……」

芳佳「あ、あの、バルクホルンさん……胸が……胸が……」

バルクホルン「今、恍惚とした表情をしただろう?」

ルッキーニ「そうなの?」

バルクホルン「おい!!!!」

芳佳「ど、どうしたんですか!?急に!?」

バルクホルン「宮藤!!見ていなかったのか!!!今、ルッキーニは明らかに重罪を犯したのだぞ!!!」

芳佳「じゅ、重罪ですか……?」

バルクホルン「この私の目の前で、堂々とだ!!!」

芳佳「ル、ルッキーニちゃん、何かしたの?」

ルッキーニ「なにも」

芳佳「だ、そうですけど」

バルクホルン「いや!!私の目はごまかせないぞ!!!フランチェスカ・ルッキーニ少尉!!!」

ルッキーニ「あたしが何をしたっていうの?」

バルクホルン「オシッコだ」

芳佳「えぇぇぇ!?」

ルッキーニ「そ、そんなことしてないもん!!」

バルクホルン「いーや!!した!!」

ルッキーニ「してないぃー!!シャーリーだってこのお風呂使うんだよ?あたしがそんなことするわけないじゃん」

芳佳「だ、だよね。ルッキーニちゃんでもそれは流石に……くちゅん!」

ルッキーニ「あ、芳佳。早く入らないと風邪ひくよ?」

芳佳「うん、そうだね」

バルクホルン「待て!!宮藤!!」ギュッ

芳佳「バ、バルクホルンさん……」

バルクホルン「あの湯に入るな」

芳佳「でも、体が冷えてきましたし」

バルクホルン「だが、既にあの湯船は魔窟と化している」

ルッキーニ「だからしてないってばぁ」

芳佳「そうですよ!!バルクホルンさん!!ルッキーニちゃんはそんなことしません!!」

バルクホルン「し、しかしだな……」

芳佳「信じられないんですか!?仲間なのに!!」

バルクホルン「それは言われると……」

芳佳「ルッキーニちゃーん!!」ドボーン!!!

ルッキーニ「よしかぁー!!」

芳佳「はぁー。きもちいいねー」

ルッキーニ「だよねぇー?」

バルクホルン「……宮藤が入ったのなら、もういいか。私も入ろう」

ルッキーニ「にゃはぁー」

芳佳「つかれがとれるー」

バルクホルン「ルッキーニ少尉。この際だから聞いておこう。風呂の中で排泄行為に及んだ経験はないな?」

ルッキーニ「ないです」

芳佳「バルクホルンさんっ」

バルクホルン「分かっている。確認しただけだ。もう訊かない」

ルッキーニ「よかった」

芳佳「あ、でも、聞かない話ではないですよね。お風呂の中でしちゃったのって」

ルッキーニ「やっぱりみんなもしてるの?」

芳佳「する人は癖になっているなんてことも聞いたことあるかな」

ルッキーニ「そうなんだ」

バルクホルン「個人の所有物ならまだしも、公共の風呂でそんなことをする輩がいるのか。困ったものだな」

芳佳「あはは」

ルッキーニ「でもでもぉ。一人がオシッコしちゃったからって、問題ないよね?こんなに広いならわかんないし」

バルクホルン「何を言っている!!!他のものが気持ちよく入浴できないだろうが!!!」

ルッキーニ「えー?気になるなら出た後に洗えばいいしぃ」

バルクホルン「そういう問題ではない!!!」

芳佳「バルクホルンさん、落ち着いてください。このお風呂は大丈夫ですから」

バルクホルン「……そうであることを願うしかないが」

ルッキーニ「この話はおしまいにしてぇ。芳佳、およごっ!」

芳佳「うんっ」

バルクホルン「マナー違反だ。風呂で泳ぐな」

~翌日 大浴場~

バルクホルン「ふぅー……」

シャーリー「今日もつかれたぁー」

ペリーヌ「そうですわね」

バルクホルン「……」

ペリーヌ「少佐とご一緒したいですわ」ゴシゴシ

シャーリー「よっと」チャプ

バルクホルン「何をしている?」

シャーリー「あ?なんだ、いたのか?」

バルクホルン「ペリーヌを見習え」

シャーリー「なにが?」

ペリーヌ「はい?誰か呼びましたか?」

バルクホルン「お前がそういうことをするから、ルッキーニは汚れの一つも落とさずに風呂に入るのだぞ。わかっているのか?」

シャーリー「しらないよ。ルッキーニの自由だろ、そんなの。はぁー、きもちいいなぁー」

バルクホルン「あのなぁ!!!」

ペリーヌ「さてと」チャプ

バルクホルン「いいか!?この風呂は全員で共有しているものだ!!全員が入ればそれなりの不純物も目に付くだろう!!だが、一人一人が――」

シャーリー「その話、長くなる?」

バルクホルン「真面目にきけぇ!!!」

シャーリー「はいはい。シャワーをしてきたらいいんだろ?」

バルクホルン「その通りだ!!」

シャーリー「バルクホルンと一緒になると、これだからなぁ」

バルクホルン「お前は規範となるべき立場なのだぞ!!お前の階級はなんだ!!言ってみろ!!」

シャーリー「もー。わかったってー」

バルクホルン「そもそもどうしてこんな当然のことを言わせるんだ」

ペリーヌ「……あ」

バルクホルン「少しはペリーヌをだな――」

ペリーヌ「んっ……」ブルルッ

バルクホルン「……」

ペリーヌ「はぁ、きもちいい……」

シャーリー「ひとりじゃなきそうな~ふんふふーんっ」ゴシゴシ

バルクホルン「……」

シャーリー「お?どうした?一緒にシャワーあびるか?」

バルクホルン「……」ガシッ

シャーリー「な、なんだよ?顔が近いぞ」

バルクホルン「リベリアン。お前はどうなんだ?」

シャーリー「な、なにが?」

バルクホルン「風呂の中で、排泄行為に及んだことはあるのか?」

シャーリー「はぁ?あるわけないだろ。ここはどう見てもトイレじゃない」

バルクホルン「そうだな。私は間違っていないな」

シャーリー「なんだよ?」

バルクホルン「クロステルマン中尉!!!」

ペリーヌ「は、はい!!!」

バルクホルン「立て!!!」

ペリーヌ「な、なんでしょうか!?」

バルクホルン「正直に言ってみろ。今、風呂の中で何をした?」

ペリーヌ「え……?」

バルクホルン「言え」

ペリーヌ「あ、あの……その……」

シャーリー「おいおい。やめてやれよ。怯えてるだろ?」

バルクホルン「黙っていろ」

シャーリー「ペリーヌが何したっていうんだ?」

ペリーヌ「……」

バルクホルン「答えろ。今、何をした?」

ペリーヌ「その……すこし……あの……」

バルクホルン「なんだ?」

ペリーヌ「も、も……よ……ぉ……」

バルクホルン「はっきりと言え」

ペリーヌ「も、も……よおして……しまい……その……そのまま……お風呂の中で……」

シャーリー「出しちゃったのか?」

バルクホルン「……」

ペリーヌ「でも、あの……これは……」

バルクホルン「ペリーヌがそんなことするとは。失望した」

ペリーヌ「えぇ……」

シャーリー「まぁまぁ。中でしちゃいけないとは少佐が出したマナー表には書いてなかったし、いいんじゃない?」

バルクホルン「そんなこと書かなくてもわかるだろう!!!マナー以前の問題だ!!!」

シャーリー「出しちゃったもんは仕方ないだろ?」

バルクホルン「それで済まされる問題か!?」

シャーリー「そこまで深刻になることはないだろ?なぁ?」

ペリーヌ「……」

バルクホルン「シャーリー?」

シャーリー「なんだ?」

バルクホルン「お前、しているのか?」

シャーリー「な、なにを?」

バルクホルン「ペリーヌの行為はどう考えても問題行為だ。それをそこまで擁護するとは……」

ペリーヌ「え?」

シャーリー「……」

バルクホルン「言え」

シャーリー「……うん」

バルクホルン「もういい!!少佐に報告させてもらう!!!」

シャーリー「あ、おい」

ペリーヌ「た、大尉!!」

シャーリー「はぁ……。でも、まぁ、あたしだけじゃなくてほっとした」

ペリーヌ「シャーリー大尉も経験があったとは……」

シャーリー「油断したときにね。こう、ちょろっと」

ペリーヌ「気持ちよすぎるのが問題ですわよね?」

シャーリー「ああ、それはあるな」

ペリーヌ「わたくしも我慢しようと努力はしているのですが……」

シャーリー「まぁ、中でするのはよくない。あたしは主に排水溝のところで――」

~翌日 大浴場~

バルクホルン(今日からマナーも強化されたし、もう大丈夫だろう)

バルクホルン(これで風呂の平穏は保たれる)

ルッキーニ「うにゃー」テテテッ

バルクホルン「……」ピクッ

美緒「こら、ルッキーニ」

ルッキーニ「え?」

ミーナ「洗ってから入りなさい」

ルッキーニ「あーい……」

美緒「洗ってやろうか?」

ルッキーニ「いいのー?」

ミーナ「美緒は疲れているでしょう?私が洗うわ」

美緒「いや、それはミーナもだろう?私がやる」

ミーナ「いいえ。私がルッキーニさんを洗うから。美緒はゆっくりして」

ルッキーニ「どっちでもいいからあらってぇ」

ミーナ「じっとしてね」

ルッキーニ「にひぃ、りょうかいっ」

バルクホルン「……」

美緒「――バルクホルン。すまなかったな。不快な思いをさせてしまったようで」

バルクホルン「少佐の所為ではない」

美緒「最初は反発も多かったからな。こんなことで風呂から離れられては悲しい」

バルクホルン「心配はない。私はもう気に入っている」

美緒「しかし、入浴中に排泄行為を行っていた者だが、今のところシャーリーからの自己申告しかないのだが」

バルクホルン「ペリーヌも自白した」

美緒「シャーリーはそのような事実がないと言っていたぞ」

バルクホルン「なっ……」

美緒「まぁ、シャーリーだけだったとしても湯船の中では看過できないからな」

バルクホルン「当然だ」

美緒「するなら外でやってもらわないとな」

バルクホルン「その通りだ。ん?少佐、それはトイレでしろという意味でいいんだな?」

美緒「いや。湯船の中でなければいいという意味だが」

バルクホルン「な、なにを言っている!!」

美緒「そんなものを体を洗っているときに一緒に流してしまえばいいだけだろう。はっはっはっはっは」

バルクホルン「少佐……」

美緒「私も風呂ではよく催してしまってな。はっはっはっは」

バルクホルン「……まぁ、外でするのは百歩譲っていいだろう」

美緒「バルクホルンはそういうことはしないのか?」

バルクホルン「私は動物ではない。決められた場所でする」

美緒「そこまで頑なになる必要もなかろう。風呂は清掃班が掃除してくれるのだからな」

バルクホルン「だからといって風呂でしていいことではない」

美緒「まぁ、そうだが」

ミーナ「はい。もういいわよ」

ルッキーニ「わーい。とぉ!!」ドボーン!!!

美緒「ルッキーニ。静かに入れ」

バルクホルン「はぁ……。私は気持ちよく入浴できればそれでいいんだ。それだけで」

ルッキーニ「ふんふーん」チャプチャプ

ミーナ「でも、実際かなり多そうね。この中でしてしまった人は」

バルクホルン「ミーナもあるのか?」

ミーナ「あ、あるわけないでしょう!?」

美緒「とはいえバルクホルンの気持ちはよくわかる。マナーについては徹底させよう」

バルクホルン「頼む」

ミーナ「ふぅー……」

ルッキーニ「うにゃにゃー……おっ」ブルッ

美緒「こうしていると全身が弛緩してしまうからな。我慢しろというのも酷な話ではあるが」

バルクホルン「少佐。いくら裸の場とはいえ、最低限守られるべきことはあるはずだ」

ルッキーニ「おぉぉ……」ブルルッ

ミーナ「そうねぇ。いくらみんなのものとは言え、気分はよくないわね」

美緒「行為に及んでしまう危険性がある者は他に誰がいる?」

バルクホルン「ハルトマンだろうな。間違いなく」

ルッキーニ「はぁー、さいこー」

~翌日 大浴場~

バルクホルン「いいか、お前たち。よく聞け。昨日から入浴時におけるマナーは厳しくなった。守れないようなら、罰則規定も設けることになるだろう」

エーリカ「えぇぇ……。お風呂ぐらい自由にさせてよぉ」

バルクホルン「24時間自由にしているお前が言っていい台詞ではない」

エーリカ「そんな私を自由人みたいにいうなよぉ」

リーネ「ねえねえ、芳佳ちゃん。本当なの?その……お風呂の中でって……」

芳佳「私が聞いたのはシャーリーさんが時々してたってことぐらいだけど」

エーリカ「シャーリーだけにダメっていっておけばいいじゃん」

バルクホルン「全体の規律が乱れるときは一人の違反者からと決まっている。私も含め、全員が守ってこそのマナー、規律だ」

エーリカ「宮藤とリーネはしたことあるのか?」

芳佳「な、ないですよ」

リーネ「わたしもありません」

エーリカ「だって。私もないし、自由にさせろー」

バルクホルン「したことがないのなら、今までと同じように入浴を楽しめばいいだけだ。なのに自由にさせろとはどういう意味だ、ハルトマン?」

エーリカ「……はいはい。体から洗えばいいんだろー?」

リーネ「んしょ……んしょ……」ゴシゴシ

芳佳「リーネちゃん、相変わらずすごいねー」

リーネ「え?なにが?」

エーリカ「よし!完璧!!さー、はいろー」

バルクホルン「待て。どこを洗ったんだ」

エーリカ「シャワーでこうささっと」

バルクホルン「いい加減なことをするな!!!」ゴシゴシ!!!

エーリカ「うわぁぁぁ……」

バルクホルン「こうやって体の隅々まで洗え!!!」

エーリカ「やめてっ!トゥルーデぇ!!そこはダメだから!!」

バルクホルン「ダメなところなどない!!!」

エーリカ「ホントだめ!!あぁー!!もれちゃうって!!」

バルクホルン「我慢しろ!!!」

リーネ「わぁ……」

芳佳「す、すごいね……。さ、先に入ろっか、リーネちゃん」

リーネ「扶桑ではよくあるの?お風呂で……しちゃうって」

芳佳「あははは。まぁ、その、耳にはするよね」

リーネ「ちょっと信じられないなぁ」

芳佳「普段とは違うところでするのが良いって思う人もいるみたいだけどね」

リーネ「みんな、してることなんだよね?」

芳佳「え?あぁ、どうなんだろう。みんなってことはないんじゃないかな?バルクホルンさんみたいな人だっているだろうし」

リーネ「全体の割合で言えば、する人のほうが多いんじゃないのかな?」

芳佳「え?リーネちゃん……」

リーネ「あ、あの、ただの興味本位で知りたくて……」

芳佳「あ、そっかそっか」

バルクホルン「全体の1割もいれば問題だな」

エーリカ「あぁー、酷い目にあったぁ」

バルクホルン「外では許すが、中ではするな。いいな?」

エーリカ「もう出ないよ」

芳佳「全体の1割ですか……。でも、もっといるような気がします」

エーリカ「501の中だけでも相当多いだろ」

リーネ「……」

バルクホルン「だから困っているだろう!!いいか!!他人の排泄物が混じった風呂など、気持ち悪いだろう!?」

エーリカ「私は別に」

バルクホルン「お前に一般論は通じないのか」

芳佳「あ、あの。私、海の中でなら……何度か……」

バルクホルン「海だと?」

芳佳「訓練のときとか、もう下半身に力が入らないんで……そのまま……えへへ」

バルクホルン「えへへではない」

エーリカ「あるあるー。私もするするー」

芳佳「で、ですよね!!よかったぁ!!」

バルクホルン「海の中はどうでもいい。風呂の中でするなといっている」

エーリカ「でもさ、海の中でしちゃうなら、こう条件反射でしちゃっても不思議じゃないよね」

リーネ「……」ブルルッ

バルクホルン「何が条件反射だ!!風呂と海を一緒にするな!!!場を弁えろ!!!公共の施設でそんなことをするなど恥ずかしいとは思わないのか!!!」

リーネ「思います」

バルクホルン「リーネもこういっている!!」

芳佳「そうですね。私も気をつけないと。お風呂に入る前は必ずトイレへ行きましょう」

バルクホルン「今、宮藤がいいことを言った。風呂のマナーとして追加だな」

エーリカ「どんどん堅苦しいものになるなぁ。お風呂でストレス溜めるなんておかしーよ」

バルクホルン「おかしくない。共同生活をしていることを忘れるな」

エーリカ「はいはい」

芳佳「あの、バルクホルンさん」

バルクホルン「なんだ?」

芳佳「実際はシャーリーさんしかしていないんですよね?」

バルクホルン「過去に経験があるものは多いだろうがな」

芳佳「なら、バルクホルンさんがそこまで気にすることはないですよ。事故は別にして、みんな分かっているはずですから」

エーリカ「そうだそうだー。とやかくいうなー」

リーネ「けど、やっぱりいけないことはいけないことですから……」

バルクホルン「リーネの言うとおりだ。ハルトマン、リーネを規範にでもしろ。全く」

~翌日 大浴場~

エイラ「ん?なんだ、この貼り紙?」

サーニャ「注意事項だって」

エイラ「風呂の中ではオシッコ禁止?」

サーニャ「風呂に入る前はトイレに行こう」

エイラ「なんでだ?」

サーニャ「さぁ……」

シャーリー「よぉー、お二人さん。今から風呂か?」

サーニャ「ああ、そうだ」

バルクホルン「昨日まではサウナを利用してたのか?」

サーニャ「はい。この貼り紙はなんですか?」

シャーリー「新しくできたマナーさ。守らないとこの鬼大尉に叱られるぞ?」

バルクホルン「列挙されているのは常識の範囲だ。これを守れない者がいることのほうが問題だろうに」

エイラ「お風呂の中でオシッコしてるやつがいたのか?サイテーだな」

サーニャ「……ごめんなさい」

エイラ「うぇ!?サーニャ!?」

シャーリー「正直だな……」

サーニャ「すいません。どうしても温かいお湯につかると、したくなって……」

バルクホルン「……」

サーニャ「だから、いつもはサウナに……」

エイラ「そうだったのか!?」

サーニャ「でも、あの、清掃が始まる直前でしかそういうことはしていませんから。バルクホルンさんやシャーリーさんの体を穢すようなことは……」

シャーリー「いや。あたしはいいんだけど」

バルクホルン「サーニャ……」

サーニャ「我慢できるときはしていました。でも、できないときもあったんです。信じてください」

エイラ「私も!!私もお風呂の中でオシッコしてた!!もう量でいえば、半身浴できるぐらいには出してた!!」

サーニャ「エイラ、嘘はダメよ」

エイラ「嘘じゃないぞ!!私もお風呂でするのは日課だ!!というか、サウナでもしてたぐらいだ!!」

シャーリー「それはまずいだろ!!」

バルクホルン「風呂に入るのなら入れ。私たちも入る」

バルクホルン「サーニャ、浸かっても大丈夫か?」

サーニャ「はい。もう平気です。済ませました」チャプ

エイラ「信じてくれ。サーニャだけじゃないんだ。なぁ、シャーリー」

シャーリー「分かった、分かったから」

バルクホルン「これで記録上はシャーリー、サーニャ、エイラが浴槽内での排泄を行っていたことになるのか」

シャーリー「おいおい。まだあたしだけだろ?」

バルクホルン「ペリーヌの件も隠しているそうだが、ペリーヌのためにはならないぞ?」

シャーリー「ペリーヌがしていたって証拠はないだろ?」

バルクホルン「シャーリー……」

エイラ「なぁ、大尉?別にいいだろ?風呂の中でするのなんて、みんなしてるって。見逃してくれ、サーニャだけでも」

サーニャ「エイラ、やめて」

エイラ「でも、サーニャも努力してたんだし、罪はないだろ。気持ちいいからってしてたわけじゃないんだろ?」

サーニャ「……」

バルクホルン「遡及するつもりはないが、今後は何かしらのペナルティがあったもよさそうだな。これだけ多いと他の入浴者に迷惑だ」

シャーリー「おいおい。サーニャも反省してるし、いいんじゃないか?そこまで厳しくしなくてもさぁ」

バルクホルン「そうはいかない。私や宮藤、リーネ、ミーナといった規則を遵守し、純粋に入浴を楽しんでいるものもいる」

シャーリー「そんなに規則で縛ったら、かわいそうだろって言ってるんだ」

バルクホルン「風呂の中でする行為ではない。それを取り締まって何がいけない?」

エイラ「待て待て。喧嘩するなら外でしろ」

バルクホルン「オシッコもな」

サーニャ「はい」

シャーリー「バルクホルン、お前は殆どがしているっていいたいんだな?」

バルクホルン「少なくとも今言った4人以外は可能性が高い。というよりも日常化しているとも考えられる」

エイラ「うぇぇ……」

サーニャ「エイラ、今のうちに嘘だっていったほうがいいわ」

エイラ「い、いや。私もサーニャと一緒にしてた。してたんだ」

サーニャ「エイラ……」

シャーリー「わかった。なら、ペナルティは風呂掃除でいいんじゃないか?」

バルクホルン「それは良い考えだな」

シャーリー「ただし、バルクホルンにもそれなりのリスクを負ってもらうぞ。仲間を信用できてないみたいだからな」

バルクホルン「なにを言ってる。これは――」

シャーリー「みんなはしてないって言ってるのに、お前だけがしていると言い張っているんだ。それぐらいあってもいいだろ?」

バルクホルン「お前な……」

シャーリー「そうだな。一ヶ月間、違反者が出なかったら、お前が風呂掃除一週間っていうのはどうだ?」

バルクホルン「面白い。ならば、違反者が出た場合、その違反者と共にお前にも風呂掃除をしてもらうぞ!!」

シャーリー「ふんっ。臨むところだ」

バルクホルン「その言葉、絶対に忘れるな?」

シャーリー「おう。いいとも」

サーニャ「うぅ……」ブルルッ

エイラ「でもさ、どうやって違反者を調べるんだ?自己申告以外にないんじゃないか?」

バルクホルン「考えはある」

シャーリー「どうするんだ?」

バルクホルン「言えるわけないだろう」

シャーリー「ケチっ!」

サーニャ「ふぅ……。大変なことになってきたわ……」

~数日後 大浴場~

ペリーヌ「少佐!!ご一緒してもよろしいですか!?」

美緒「ああ。構わんぞ」

ペリーヌ「では、失礼して……」チャプ

美緒「ペリーヌ。体を洗って来い」

ペリーヌ「あぁ!!申し訳ありません!!」テテテッ

美緒「そういえば、今日は全員で風呂に入ろうとミーナが言っていたが……」

ペリーヌ「ええ。もう既に皆さん来ていますわ」

美緒「全員で風呂に入るなんて今までになかったからな。ミーナも粋なことをしてくれる」

ペリーヌ「わ、わたくしは……少佐と二人きりがいいのですが……」

ルッキーニ「うにゃー!!おっふっろー!!」テテテッ

シャーリー「こらぁ!まずは洗ってからだ!」

ルッキーニ「えぇぇ?」

シャーリー「じゃないと、怒られるぞ?」

ルッキーニ「なら、シャーリーがあらってぇ」

シャーリー「はいはい。こっちこい」

ルッキーニ「にひぃ」

エイラ「なんで、全員で風呂なんだよぉ」

エーリカ「いーじゃん、たのしいし!」

エイラ「そうかぁ?って、リーネ。お前、すごいな」

リーネ「え?な、なにがですか?」

エイラ「これに決まってんだろぉ?」モミモミ

リーネ「あぁ!!やめて!!やめてぇ!!」

芳佳「ほぉぉ……」

エイラ「これはすごいなぁ。まだまだ大きくなりそうだし」

リーネ「だめぇ!!それ以上はぁ!!」

サーニャ「エイラ、なにしてるの?」

エイラ「え……」

サーニャ「……ごめんね。エイラ」

エイラ「あ、謝らなくていいからぁ!!」

ミーナ「はい、みなさん。マナーを守ってね」

バルクホルン「……」

ミーナ「トゥルーデ、これでいいのね?」

バルクホルン「ああ。もし常態化しているのならば、誰かが……」

ミーナ「でも、どんな結果になっても誰かが傷つくことになるわよ?」

バルクホルン「そんなことは分かっている。それも計算に入っている」

ミーナ「トゥルーデ、何を考えて……」

リーネ「あ、危なかった……もう少しで、出ちゃうところだった」

芳佳「リーネちゃん、体洗って早く温まろうよ」

リーネ「う、うん!」

美緒「はっはっはっは。賑やかでいいな」

バルクホルン「地獄絵図に変わらないことを祈るばかりだがな」

美緒「……もう、この中には?」

バルクホルン「仕込んである」

美緒「そうか……」

ルッキーニ「シャーリー、はいろー!!」

シャーリー「おー」

ルッキーニ「うにゃぁー!!!」ドボーン!!!

美緒「静かに入らんか」

芳佳「わーい!!」ドボーン!!!

シャーリー「あははは。言っても聞かない連中ばっかりだな」

美緒「本当にな」

ルッキーニ「うにゃにゃー」

芳佳「リーネちゃんもおいでよー」

リーネ「う、うん!」

エーリカ「いやっほー」ドボーン!!!

ルッキーニ「うにゃー!!」

エーリカ「あぁー、きもちい~」

エイラ「サーニャ、ほら、入ろう。静かにな」

サーニャ「ええ」チャプ

ペリーヌ「……ん?」

シャーリー「なっ……!!おい!!ルッキーニ!!それなんだ!?」

ルッキーニ「んにゃ?おぉぉ!?にゃにこれー!?真っ赤だー!!」

芳佳「ルッキーニちゃん!?どうしたの!?出血!?」

ミーナ「あぁ……」

エーリカ「サーニャもだ」

エイラ「え?ぅわぁ!!」

サーニャ「なにこれ……」

エイラ「サーニャ!!大丈夫か!?」

エーリカ「これって……」

バルクホルン「動くな」

シャーリー「お前の仕業か……!!」

バルクホルン「察しはついているだろう。もう言い逃れはできないぞ、ルッキーニ、サーニャ」

ルッキーニ「……」

リーネ「これって……あっ」ブルルッ

芳佳「リーネちゃん!?」

リーネ「あ……あ……芳佳ちゃん……」

美緒「三人か……」

エーリカ「いや、四人だね」

美緒「なに?」

エーリカ「私ももれたし。ほら」

バルクホルン「おい!!!ハルトマン!!!」

エイラ「私も今からするから!!五人だ!!」

サーニャ「ダメよ、エイラ」

エイラ「待ってろ。すぐに出すから」

サーニャ「エイラはお風呂に入る前に、トイレにいったじゃない。無理よ」

エイラ「出す!!出すから!!」

芳佳「お風呂が真っ赤にぃ……!!」

ミーナ「みなさん!!一度、あがって!!はやく!!」

エイラ「ま、待ってくれ!!私、まだ出してないんだ!!」

バルクホルン「――これで分かったか。どれだけ、この風呂が汚れていたのか」

美緒「まさかここまで多かったとは驚きだな」

シャーリー「おい。これはたまたま……」

バルクホルン「そのような言い訳が通じる事態ではない」

シャーリー「くっ……」

ルッキーニ「うじゅ……ついにバレた……」

バルクホルン「最初から気づいていたがな」

美緒「我慢できなかったのか?」

ルッキーニ「うんとね……最初はちゃんと排水溝に流れていくようにしてたんだよ?」

バルクホルン「前提が間違っているが、続けろ」

ルッキーニ「でね、前にサーニャと一緒にお風呂にはいったときにね、お風呂の中ですると気持ち良いよって言われて……」

エイラ「サーニャ……」

サーニャ「すいません。でも、そのときは丁度清掃時間の直前だったので」

美緒「サーニャはいつから始めていた?」

サーニャ「私もごく最近です」

ペリーヌ「……」

エイラ「サーニャも誰かから教わったんだろ?そうダナ?」

サーニャ「それは……」

美緒「サーニャを唆した者がいるのか?」

バルクホルン「言え、サーニャ」

サーニャ「これは私が始めたこ――」

エーリカ「わたしだよ。わたしがサーニャに教えた。気持ちいいオシッコの仕方ってやつをね」キリッ

バルクホルン「……」

エーリカ「トゥルーデもやってみなって。はまるよ」

バルクホルン「嘘はいい」

エーリカ「え?」

バルクホルン「お前が自分から名乗り出るときは決まって誰かを庇っているときだ。正直に答えろ。誰が考案したんだ?」

エーリカ「トゥルーデ、だから私が」

ペリーヌ「わたくしです……」

リーネ「わ、わたしもです」

芳佳「えぇぇぇ!?」

バルクホルン「リーネ……」

リーネ「私はその……ペリーヌさんから……色々と話をきいて……」

ミーナ「話って?」

ペリーヌ「お風呂ではその……する人が多いと……みんなもしていると……聞いたものですから……」

バルクホルン「誰からだ?」

リーネ「坂本少佐……から」

バルクホルン「少佐?」

美緒「風呂の中でしていいとは言った覚えはないが」

ペリーヌ「リーネさんと色んな場所で試していくうちに、ここが一番だということに気が付きまして……」

リーネ「それで……その……」

芳佳「リーネちゃん……」

エイラ「ツンツン眼鏡が諸悪の根源か。なんてことするんだ。サーニャに余計なこと吹き込みやがってぇ」

ペリーヌ「ち、違います!!わたくしとリーネさんの行為に気が付いたハルトマン中尉が、サーニャさんに伝達したのですわ!」

エーリカ「そのとおりだー」

バルクホルン「ハルトマン……!!!お前……!!!」

シャーリー「毎回か?」

エーリカ「ほぼね」

バルクホルン「情状酌量の余地はないな。シャーリー、約束は覚えているな?」

シャーリー「分かってるよ。あたしも掃除する」

芳佳「リーネちゃん、いつもしてたの?」

リーネ「ごめんね」

芳佳「どうして隠してたの?言ってくれたら、私も……」

リーネ「芳佳ちゃんを巻き込みたくなかったから」

芳佳「そんな気遣いはいらないのに!!」

美緒「……お前たち」

ペリーヌ「す、すいません」

リーネ「ごめんなさい。癖になってしまって」

サーニャ「反省してます」

ルッキーニ「でも、きもちいいんだよぉ?」

ルッキーニ「うぇぇぇぇん!!!ぶたれたぁぁぁぁぁ!!!」

シャーリー「自業自得だけどな」ナデナデ

美緒「清掃班には伝えておこう。一週間、風呂掃除はしなくていいとな」

ミーナ「お願いね」

エイラ「サーニャがそんなことしてたなんて……」

サーニャ「ごめんね、エイラ。エイラが隣にいるときも……実は……」

エイラ「やめてくれ……興奮しちゃうダロ?」

サーニャ「ごめんね……」

バルクホルン「今後、このようなことは絶対にするな!!!いいな!!!」

ペリーヌ「は、はい!!誓います!!」

エーリカ「はぁーい」

バルクホルン「ハルトマン。わかっているのか?」

エーリカ「わかってるよぉ。もうやらないって」

バルクホルン「次やったら、営倉行きだからな!!!」

エーリカ「はいはい」

~翌日 大浴場~

シャーリー「ほらー、しっかり磨けよー」

ペリーヌ「は、はい!!」

リーネ「がんばります!!」

エーリカ「ルッキーニ、どこいくんだぁ?」

ルッキーニ「ひにゃ!?」

シャーリー「サボるな」

ルッキーニ「サーニャだって、サボってるのにぃ」

サーニャ「すぅ……すぅ……」

エーリカ「起きたらやってくれるよ」

ルッキーニ「うじゅぅ……」

シャーリー「しっかし、そんなに気持ちいいのか?あたしも漏らしちゃったことはあるけど、焦りのほうが勝ったぞ?」

エーリカ「普段とは違う場所。それもみんなが体を浸からせる場所でわざとするっていう背徳感が、癖になっちゃうんだよね」

シャーリー「ほーん。全然、わからん」

リーネ「分かるほうが、ダメなんです。きっと」

バルクホルン「――しっかりやっているか?」

シャーリー「みればわかるだろぉー」

サーニャ「すぅ……すぅ……」

バルクホルン「サーニャが寝ているようだが?」

エーリカ「夜間哨戒明けだからいいって言ったんだけど、やるって聞かなくて」

シャーリー「可哀相だから連れて帰ってくれよ」

バルクホルン「分かった。その前に、シャーリー」

シャーリー「ん?」

バルクホルン「聞き出せたか?」

シャーリー「何を?」

バルクホルン「お前が私にペナルティを負えと言ってきたのは、こうなることを見越してのことだろう?」

シャーリー「……」

バルクホルン「お前はかなり早い段階で悟っていたからこそ、こうして――」

シャーリー「考えすぎだ。で、何を聞きたいんだ?」

バルクホルン「何故、皆が毎度行為に及んでいたかだ。聞き出せていないということはないだろう?」

~翌日 大浴場~

芳佳「はぁ……」

ルッキーニ「芳佳、どうしたの?」

芳佳「今日もリーネちゃんとお話できなくて」

ルッキーニ「なんでー?」

芳佳「きっとこのまえのことでリーネちゃんも悩んでるんだと思う……」

ルッキーニ「そうなんだ」

バルクホルン「……」

芳佳「失礼します」チャプ

ルッキーニ「――よーし!!準備完了!!!とお!!」ドボーン!!!

芳佳「はぁー……きもちいい」

ルッキーニ「またあとでリーネとお話したらいいじゃん!!」

芳佳「うん。そうしてみる」

バルクホルン「……あがれ、二人とも」

芳佳「え?な、なんでですか?」

バルクホルン「いいから、あがれ。今から、洗ってやる」

ルッキーニ「体、洗ったよ?」

バルクホルン「こっちにこい!!」

芳佳「あ、あの……」

バルクホルン「まずはルッキーニからだ!!」

ルッキーニ「うにゃぁ!?」

バルクホルン「くっ……!!何が背徳感だ……!!罪悪感しか生まれないぞ……!!!」ゴシゴシ

ルッキーニ「大尉……?」

芳佳「どうしちゃったんですか?」

バルクホルン「すまない……すまない……」ゴシゴシ

ルッキーニ「くすぐったぁいぃ!!」

バルクホルン「しっかり洗ってやる……大丈夫だ……心配するな……」

芳佳「バルクホルンさん……?」

バルクホルン「私が間違っていた……興味を抱いてはいけなかったんだ……!!!」

ルッキーニ「どったの?泣いてるの……?」

~翌日 大浴場~

バルクホルン「……」ゴシゴシ

シャーリー「なんで、バルクホルンが掃除してるんだ?」

ペリーヌ「なんでも、してしまったそうです」

エーリカ「どんなものか興味はあったんだってさ」

シャーリー「……あいつも苦労してんだなぁ。自分を抑えるのに」

リーネ「バルクホルンさん……」

ルッキーニ「よしかっ。ほら、リーネいるよ」

芳佳「リーネちゃん」

リーネ「え……?あ、ど、どうしたの……?」

芳佳「昨日、私も試してみたんだ」

リーネ「……」

芳佳「リーネちゃんが毎回していたわけが少しだけ分かったよ」

リーネ「芳佳ちゃん……私のために……」

シャーリー「おまえら、なんで広がっていってるんだよ」

ルッキーニ「にひぃ。もうみんなでやればいいのにぃー」

エーリカ「いいね。そしたら罰とかなくなるじゃん」

ルッキーニ「だよね、だよね」

シャーリー「あのな……。いや、そうか。そういう手もあるのか」

リーネ「気持ちよかった?」

芳佳「うん」

ペリーヌ「宮藤さんまでこちら側に来るとは……」

サーニャ「いらっしゃい、芳佳ちゃん」

バルクホルン「……」ゴシゴシ

ルッキーニ「たいいー」

バルクホルン「なんだ?真剣にやっているだろう」

ルッキーニ「シャーリーが名案思いついたって」

バルクホルン「名案?」

シャーリー「通るかどうかはわかんないけど、もう専用の場所でも設けたらどうだ?みんながしちゃうんじゃ、抑えても悪化するだけだろうし」

バルクホルン「専用の風呂を作るのか……?」

美緒「お前たち、本気か?」

ミーナ「常識で考えて」

シャーリー「でも」

バルクホルン「無茶なことを言っているのは承知している。無理なら無理で構わない」

美緒「だが、確かに悪化していくだけでは困るな」

ルッキーニ「もうね、芳佳もしちゃってるんだよ?」

ミーナ「坂本少佐、どうするの?」

美緒「リラックスできる空間であるべきだからな。規則で縛るのは間違っているとは思うぞ。しかしだな、排泄可の風呂を設けるというのはどうだ?」

ミーナ「清掃班のことも考えなさい」

シャーリー「そんなのは分かってる。だけど、少佐や中佐だって疑心暗鬼になりながら風呂に入るのは嫌だろ?」

美緒「む……」

バルクホルン「無理に抑えても無駄だということは身に染みて分かった。考えてみてくれ」

ルッキーニ「おねがいっ」

美緒「発端は私がペリーヌに余計な話をしたところからだしな。それに風呂を提案したのも私だ……。責任は私にもあるか」

ミーナ「つ、作るつもりなの?専用のお風呂を……」

~数週間後 大浴場~

エイラ「これが新しくできた風呂か?」

ルッキーニ「ここでならやりたい放題だよー……あっ」ブルルッ

エイラ「うぇ。心なしかお湯が黄ばんで見えるゾ」

ルッキーニ「つかってよし、だしてよしっ」

エイラ「つかりたくねえ」

サーニャ「……」チャプ

エイラ「サーニャ!?」

サーニャ「エイラも入る?」

エイラ「……」

サーニャ「いっぱい、でそう」モジモジ

エイラ「サーニャー!!」ドボーン!!!

サーニャ「うふふ」

ミーナ「……よかったの?」

美緒「はっはっはっは。清掃班からも許可が出たんだ。いいだろう。それにああして自由にさせておけばいつかは飽きてやめるだろうしな」

シャーリー「するときは専用の浴槽ですること、か」

芳佳「やっと認められたんですね」

リーネ「長かったね」

シャーリー「しかし、英断にもほどがあるというか。頼んだのはあたしだけど」

バルクホルン「少佐には少佐の考えがあるようだからな」

シャーリー「ま、いっか。これでルッキーニやペリーヌが悪者にされることはないしね」

バルクホルン「専用の風呂以外でしない限りはな」

シャーリー「怖いこというなよ」

ペリーヌ「シャーリー大尉、バルクホルン大尉。ありがとうございます」

バルクハルン「礼を言われても困る」

シャーリー「こんなことじゃあ、素直に喜べないというか」

ルッキーニ「シャーリー!!こっちこっちー!!!」

シャーリー「お前、そこに入るのはいいけど、出たら体洗えよー」

ルッキーニ「うんっ!!!」

バルクホルン(宮藤が入ったら、入ってみるか……)

~数週間後 大浴場~

芳佳「わーいっ。おふろー!!」ドボーン!!!

ルッキーニ「うにゃぁー!!」ドボーン!!!

バルクホルン「……あの風呂、宮藤はもう利用していないのか?」

芳佳「はい、最後にリーネちゃんと浸かってからもう何日も経ってますね」

ルッキーニ「あたしももうつかってなーい。でも、昨日中佐が入ってたよ?」

バルクホルン「そうか。だが、この分だと無用のものになりそうだな」

芳佳「折角作ってもらったのに、なんだが申し訳ないです」

バルクホルン「いや、これでいいんだ。私たちが異常だったのだからな」

バルクホルン(宮藤が入らないのでは、私も入る理由がない……。あの風呂は使われなくなりそうだな……。ようやく風呂に平穏が訪れた……)

ルッキーニ「今はお風呂の中よりもサウナのほうだしね」

バルクホルン「……おい。サウナの中で何をしているんだ、ルッキーニ少尉?」

ルッキーニ「何って、エイラから教えてもらったんだけどぉ。あの中でするともうすごい臭いがするんだよ!それが癖になる臭いでね」

バルクホルン「くぅぅ……!!!またか!!!サウナが使い物にならなくなる前に対処せねば!!宮藤!!様子を見に行くぞ!!!急げ!!!」

芳佳「は、はい!!」
               END

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