一夏「千冬姉は毎朝一回はキスしないと不機嫌になる」(233)

はい

チリリリリリーン

千冬「朝…か」

一夏「おはよう千冬姉。スーツは机においてあるから。」

千冬「そうか。いつもすまないな」

一夏「何水臭いこといってるんだよ?と、ところでさ、千冬姉」

千冬「ん…な、なんだ?」

一夏「今日のキスは?ないのか?」

千冬「なっ///あのなぁ一夏!前々から言っているように姉弟でそのような破廉恥なことはだなっ!」

一夏「な、ないんだ…そっか…」ムスッ

千冬(しまった。また不機嫌に…しかしムスッとした一夏も可愛いな…」

一夏「千冬姉は毎朝一回はキスしないと不機嫌になるんだ」

シャル「え!?」

セシリア「一夏さん、ご姉弟でキスしてますの!?」

千冬「ふう……たまにはバーでグラスを傾けるというのも悪くない」

女性客A「ねえ、キスの経験っていつからだった?」

女性客B「うーん、実は15で……初恋の人と」

女性客A「それくらいかあ。私は1年遅かったけど、相手は今何してるんだろうね」

女性客B「何って……私と結婚の準備進めてるけど……」

女性客A「はあ!?今まで続いて、しかも結婚の相手なわけ!?超レアケースじゃん」

千冬(隣客が騒がしいな)

千冬(しかも15でキス、だと……)

女性客B「私たち、小さな島の出身でね。お年寄りばっかりで子どももあんまりいなくてさ」

女性客A「ふんふん」

女性客B「街の子どもより物を知らない分素直だったからかな。お互いに遠慮しなかったし、向こうもこっちを想ってくれてて……」

千冬(ふむふむ)

女性客A「そういうのいいなあ。私は今まで何人かと付き合ってきたけど、ほとんど思い返さないもん」

千冬(見た目は25前後だが、もう何人かと……)

女性客B「で、Aのファーストキスは?」

女性客A「学校の先輩と。卒業式の後で体育館裏でね」

女性客B「Aの方がロマンチックじゃない」

女性客A「うーん……でも、なんか演技してる気分だった。『こういうのが理想ですよ』っていう刷り込みをなぞってるだけっていうか」

千冬(……まったく心境が理解できん)

女性客B「でも、初めては忘れないものよね!」

女性客A「うん!」

千冬(………)

千冬「マスター。勘定だ」

千冬「今夜は特に冷えるな」

千冬(……キス、か。やはり良いものなのだろうな。長い歴史を持つのだからな)

千冬(好きな相手とのキス……)キュン

千冬(!?私はなにを生娘のようなことを……)

ガチャ…

千冬「帰ったぞ」

一夏「おかえり千冬姉。遅かったな」

千冬「ああ、心配掛けたな」

一夏「顔赤いぞ。酒飲んできたんだな」

千冬「うむ……もう休む……」フラッ

一夏「!危ない」ガバッ

ドサァ!

千冬「!」

一夏(!千冬姉と唇が触れ合って……)

千冬「す、すまん!酔っていたようだ」ドキドキ

一夏「あ、ああ!大事なくて良かったな!」ドキドキ

千冬「シャ、シャワーを浴びてくる」

【シャワールーム】

シャアアァァァ

千冬(……まさか……初めての相手が一夏とは………)ドキドキ

千冬(バーで話を聞いてしまったのが原因だ!下らん妄念が湧いてきたから、忘れようと更に酒を飲んでしまった)ドキドキ

千冬(しかし……胸の高鳴りが収まらないのはなぜだ?)ドキドキドキドキ

千冬(鏡を除いても、まったく上気した顔が戻っていない。酒のせいか、それとも……)ドキドキ


一夏「千冬姉、長風呂だな……ダメだ、俺もまだドキドキいってる。水飲もう」ドキドキ


千冬(今こんな真っ赤な顔を一夏に見られたら、どう思われるか……)

千冬(引いてくれ、頬の赤み!……こんな顔じゃ出られない!)

――――――

―――



一夏「あ、千冬姉上がったんだ。ずいぶん長かったな」

千冬「ああ」

一夏「………」

千冬「………」

一夏千冬(沈黙が痛い)

一夏(俺と同じように、千冬姉もさっきのキスのことをどう折り合い付けようか悩んでるんだ)

千冬(一夏もさっきの事故のことが頭から離れないようだな、分かってしまう……)

一夏「俺もシャワー浴びようかな!千冬姉おやすみ!」ソソクサ

千冬「ああ」

千冬「……明日あいつとまともに顔を合わせられるだろうか?」

千冬「もう寝てしまおう。まだ心臓が落ち着かんが、横になれば平常時に戻るはずだ」

~朝~

一夏「お、おはよう、千冬姉」

千冬「うむ、おはよう……」

一夏「朝飯作っといたぜ。なんか早起きしちゃったからさ」

千冬「……一夏よ、昨日は悪かったな」

一夏「!いや、気にしてないって!千冬姉もすぐ忘れろよ」

千冬「それと、済まんがもう一度キスしてくれないか」

一夏「あんなのノーカンだよ。ただのハプニング……って、え!?」

千冬「何を言っているのかと思うだろうが、本当の頼みだ……」ドキドキ

一夏(顔が赤くなってる……)

千冬「私も、まあ一応女性だ。だが、こういった行為の意味するところを人並に考えて来なかった」

一夏「う、うん(顔赤くしてうつむいてる……可愛い)」

千冬「しかし、昨日おまえとその……あの……キス、をしたあとに妙に心臓が高鳴ってな」

一夏「それで?」

千冬「この脈拍の速度上昇がキスという行為によるものなのかどうか、確かめたいんだ」

一夏「な、なんでそんなことをする必要が……」

千冬「本心を打ち明けさせて貰うならば、私は女性的な魅力に欠けているのではないかと思っていてな」

一夏「全然そんなことねえよ!」

千冬「女の癖に女心が分からんのではないかと、常々思っていてな。IS学園の教師がそれではいかんだろう」

千冬「高校位の年の娘は、どの国も同じ傾向を備えている。だから、せめて女心を理解していなくては正しい指導もできんだろう」

一夏「……つまり、キスしたときの気持ちがどれいったものか知ることは、生徒の気持ちを理解することに繋がる、って言いたいんだな」

千冬「そうだ……頼まれてくれるか?」

一夏「うん、良いよ。千冬姉は俺を育てるのに大変で、そういったことには縁がなかったんだし」

一夏「だからそれくらいのことはしなくちゃな。俺のせいで生徒の相談に乗ることができなかった、ってことが起きたら嫌だし」

千冬「そうか!じゃ、じゃあいくぞ」

一夏「うん」

千冬「……っん」チュ

一夏「……ぅむ」

一夏(………柔らけえ……あったかいし……)

千冬「……ぅん……んっ……」

一夏(……もっと……こうしていたい)

千冬(キス……事情はどうあれ……実の弟と……)

千冬「……ぅん!?」キュゥゥゥン

一夏(千冬姉ぇ!)ギュウ!

千冬「!?……ぅうぅん!……ゅぅん!」ドキドキドキドキ

一夏(離したくねえ!!)ギュウゥゥ

千冬「ふぱぁっ……!」バッ

一夏「あっ!!」

千冬「はぁ……はぁ……」フルフル

一夏「あ………」

千冬「ふう……はぁ……」チラッ

一夏「!」

千冬「……!」プイッ

一夏(最低だ俺……今千冬姉に何しようとしたんだ)

一夏(信頼して協力を求めてきたのに、あんなことを……家追い出されるな)

千冬「……おい」

一夏「!」ビクッ

千冬「協力してもらって済まんな。今から私は少し出掛けてくる……」

一夏「お、おう」

バタン

一夏「てっきり怒鳴られるかと……意外だ」

一夏「でもさっきの千冬姉、また顔が真っ赤になってたな……」


千冬(……まずい。気持ちを整理するんだ。息を整えろ)ドキドキドキドキ

千冬(ここまで心臓が震えるのは未体験だ。どうしてあれだけのことで)

箒「あ、千冬さん。こんにちわ」

千冬「!ああ、おまえか。そうか、いつの間にか神社まで歩いてきたんだな私は」

箒「どうかされたのですか?お顔が真っ赤なのですが」

箒(付け加えるならより色っぽい……)

千冬「そ、そうか?寒い風が吹きつけてくるからそのせいだろうな」

千冬(まずい。傍目から見ても分かってしまうほど紅潮しているのか)

箒「ところで、一夏は今家にいるのでしょうか?」

千冬「私が出るときにはいたが、今はどうかな」

箒「そうですか………はっ」

箒(こんなあからさまに一夏のことを聞いては、またなじられてしまう!)

千冬「わ、私はもう行く。おまえも風邪をひかぬよう用心しろ」

箒「はい!(あれ?いつもなら余裕を持ってからかってくるのに……)」

千冬(だめだ、まだ頬が熱い。どう処置したらいいんだ)

千冬(気持ちを整理してみよう。私は一夏とキスをしたら心音が高まった)

千冬「……!」ドキドキ

千冬(ダメだダメだ!思い出したらまた鼓動が速くなってくる)

千冬(大体、キスという行為そのものに対しては昨日ほど興奮しなかったんだ)

千冬(だが……相手が血の繋がった実弟だと意識した途端、急に心臓が締め付けられ、背中がゾクゾクして……うぅ!)


サラリーマン(色っぽい人だなあ。顔真っ赤にして……痴女かな?)

千冬(あのときの感覚はなんだったんだ?『こんなことはしてはいけない!』と心の底から声がして……)

千冬(良心の呵責か……?でもそれであんな気持ち――いや、身体への反応が引き出されるものか?)

千冬(分からん……それで、そのあとあいつに強く抱きしめられてっ……)ゾクゾクッ

千冬(このまま行っては確実に何かが壊れると感じて、思わず振り払ったが……認めなくてはならないな)

千冬(私は抱かれたとき、あのまま続くことを求めていたのだと……)カァァァ


サラリーマン(確実に痴女だな)

千冬姉の服装はスーツか?

千冬(あのときの感覚……何かが壊れると分かっているが、甘美で引き込まれそうになる……)

千冬(こんな危険なこと、続けていてはダメだ……今回限りで止めにしないと。だが……)

千冬「一夏っ……!」

千冬(切ないっ……キスの効果を確かめようとしただけなのに、どうしてこんなことになるんだ)

一夏「千冬姉遅いなあ……もう日が暮れるぞ」

一夏(もしかして、もう家に戻るつもりはないのかも……)

一夏(俺が……あんなことしたからだ……怒るよりも怯えてたんだ、あの千冬姉が)

一夏(探しに行こう!そんで、許されるかどうか分からないけど土下座しよう!)

♪アテモーナク オチテイクホシノー 

一夏(こんなときに着信か)

一夏「はいもしもし」

山田「あ、織村君ですか?今、先生が酔いつぶれてですね!」

一夏「はい!場所はどこですか?」

――――――

―――



【織斑宅】

一夏「よいしょっと……山田先生、ご迷惑をお掛けしました」

山田「いえいえ。でも、先生のことを気遣ってあげてくださいね。何か悩んでる風でしたから」

一夏「すいません。こんな時間から付き合わせちゃって申し訳ありません」

山田「はい。では失礼しますね」


千冬「……ううぅ」

一夏「千冬姉、ごめんな……俺のせいだよな」



>>72
私服です

一夏「毛布を掛けて……と。起きたときにまた改めて謝らないとな」

千冬「一夏か……?」

一夏「!おう、俺だよ。どうしたの?」

千冬「……私とのキスは嫌じゃなかったか……?」

一夏「え?」

千冬「私は、あの後ずいぶん悩んでな……高々あれだけのことで、どうしようもなくなってしまってなあ」

千冬「ひょっとして、私が巻き込んだキスのことで、おまえも思いつめてるかも知れんと思ってなあ」ポロポロ

一夏「千冬姉、泣くなよ。俺は、悩んでない……って言ったら嘘だけど、嫌だったわけではないぞ!」

千冬「そうか。そう言ってくれるか」

一夏「俺こそ、途中で抱きしめてごめん。怖がらせちゃったよな」

千冬「いや……私は嬉しかったぞ?ふふふ」

一夏(酔ってるのかな……?)

一夏「ち、千冬姉。一回寝たら?疲れてるだろ、精神的に」

一夏「テーブルの上に夕食用意してるからさ。夜中に起きたら食ってくれよ」

千冬「ぅむ……」

一夏「じゃあな……」

――――――

―――



~夜3時~

千冬「うむ……ん?いつの間に家に戻っていたんだ」

千冬「!そうだった、一夏に運ばれた記憶があるぞ」

千冬(そう言えば余計なことを口走ったような……明日からどう接すればいいんだ!?)カァァァ

千冬(ひょっとしたら一夏に嫌われたか……)

千冬(……!)チクリ

千冬(なんだ……今の胸を刺すような痛みは?あいつとキスしたときのものともまた違う……)

千冬(分からん……私は分からないことだらけだったんだ……)

~朝~

一夏「あ、おはよう。千冬姉」

千冬「……」チラッ

一夏(やっぱり、昨日のことでまだ怒ってるのかなあ)

千冬(良かった……一夏から声を掛けてくれた……まだ元通りにできそうだ)

一夏「あのさ、俺昨日寝る前に考えたんだけどさ」

千冬「う、うむ。何をだ?」

一夏「自分の本心は何なんだろうかってさ。昨日いきなり抱きしめたことを謝ろうと思ったのがきっかけなんだけど」

一夏「じゃあなんで俺はあんなことをしたんだろうってもう一回振り返ってみてさ。答えは凄くシンプルだったんだよ」

千冬「……」

一夏「俺はさ、千冬姉のことが好きなんだよ。女として」

千冬「……!おまえ、何を言っているのか理解しているのか!?」ドクンッ…ドクンッ……

千冬(!また、慣れない妙な気持ちに…………)

一夏「うん。とんでもないこと口走ってるのは分かってる。でも、正直に言わなきゃ千冬姉に悪いと思ってさ」

一夏「理由も分からず抱きしめましたって訳じゃないことを、分かってほしかったんだ」

千冬(一夏が精いっぱい思いを伝えてくれている……嬉しい……!)

一夏「千冬姉、ごめんな。びっくりしたと思うし、気持ち悪いと感じてると思う。でもどうしても言いたかったんだ」

一夏「俺、もう同じ場所には住めないよな。今日から寮に戻って、それっきりこの家には足を踏み入れないよ」

千冬「一夏……!」

一夏「学校ではお世話になるけど、極力迷惑かけないように頑張るよ」

千冬(………こんなことになるとは……どうすれば……)

千冬(!『答えは凄くシンプルだったんだよ』)

千冬「待ってくれ、私はおまえに出ていって欲しくない!」

一夏「!!」

千冬「……私も本当のことを言おう。私は、おまえにキスして貰いたかったんだ」

一夏「え!?」

千冬「私は、小賢しくもより良い教育のために必要な行為だと説明した。が―――」

千冬「本当は、好きな男とキスしたいと願っていただけだったんだ。しかしその気持ちを押し込めて、ご立派な建前で自分を納得させた」

一夏「千冬姉……」

千冬「一昨日事故でキスしたあとずっと心臓の高鳴りが止まなかった」

千冬「かなり戸惑ったが……それはキスという行為そのものではなく、おまえが相手だったからだと今は思っている」

千冬「でも、分からん!この二日というもの、初めての気持ちになることが多すぎたんだ」

千冬「昨日おまえと再び口付けを交わし、心音が高まった。しかしそれがなぜなのかも測りかねている」

千冬「弟という関係だったからか?それとも―――おまえという一人の男が好きだからか?」

一夏「……」

千冬「昨日、自分の気持ちを整理したときは前者だと思った。しかし、思い返してみれば別の気持ちも存在していた」

一夏「別の気持ち?」

千冬「昨日初めて唇が触れ合ったときだ。心臓が締め付けられるのでもなく、鼓動が速くなるのでもなく……とても安らかで温かい気持ちになったことを」

千冬「もう、どちらかは判断がつかない……」スッ

一夏「!」

千冬「頼む!もう一度…………」

千冬「もう一度っ!その、キスを……んむっ!?」

一夏「ん……ぅう……むぅ」

千冬(一夏ぁ!!)

一夏「はっ……んぅ……(千冬姉……凄く愛しい)」ギュウ…

千冬「んんっ……ぅぅん……ぅむぅ……」ギュウ

一夏「はっ………千冬姉、どうだ……どっちか分かった?」

千冬「ん……穏やかな気持ちだ……興奮は確かにしているが……それより胸を充たすものがある……」

一夏「そっか……んっ!?……」

千冬「うん……ぅうん…………」

一夏(千冬姉の方から……)






突然だが私用で抜ける
落とすなり残すなりしてくれ、
もし10時ごろまで残ってたら続き書く

千冬「んむ………んン……」ギュウウウゥ

一夏(千冬姉が強く抱いてくれてる……俺も……)ギュウゥゥ

千冬「っはぁ……はぁはぁ……一夏、頬が火照っているぞ」

一夏「千冬姉こそ顔真っ赤だぜ。色っぽくて、可愛いぞ」

千冬「馬鹿者!姉をからかうなっ!大体おまえは―――んむっ…」

千冬「……ぅんっ!?(舌が入って……?)」

一夏(ちょっと黙らせようか)

ピチャ ヌチュ プチャ…

千冬(なんだこれはっ!?舌同士が絡まって……)

一夏「………」

千冬(水音に脳が焼かれるようだ……だが……息が……)

千冬「ぅうん……んんぅっ!!」トントン!

一夏(おっと!)バッ

千冬「はぁっ……!ぜぇ……はぁはぁ……」

一夏(可愛いなあ。服も乱れて来てるし、身体全体がうっすら汗かいてるし)

一夏(もっと…愛したい……)スッ

千冬「や……やめろっ……」フルフル

一夏「え?……嫌なのか」

千冬「………最初の内は良かった……息が苦しくなる前に止めてくれたしな」

千冬「だが舌を入れてきたときは、こちらのペースを考えなくなって……急におまえが捕食者のように感じてしまったんだ」

千冬「正直、さっきはおまえが怖くなったぞ。さっきのまま続けるなら私は……嫌だっ!」フルフル

一夏「!」

一夏「ごめんっ!千冬姉!俺が馬鹿だった。もうしないよ……」

千冬「……そうか……じゃあ、私のことを考えながら進めると約束してくれるか?」

一夏「ああ!」

千冬「良かった。私もおまえのことを気遣うと約束しよう。お互いに尊重し合ったほうが幸せだろう」

一夏「じゃあ、さっきのお詫びで千冬姉のリクエスト聞くよ!」

千冬「そうか!じゃ、じゃあ、ベッドに寝てそこでキスしてくれないか?昔の映画でそういうのを見て、印象に残ってるんだ」

一夏「うん!」

千冬(そのシーンでキスしたのは、田舎出身の『恋人同士』だったな……)ドキドキ

一夏(千冬姉、なんか子どもみたいに目を輝かせてるな……ラウラと似てる)

一夏「俺のベッドでいいのか?」

千冬「ああ」

一夏「よし……」

トス パサッ

一夏「ほい、千冬姉。入りなよ」ポンポン

千冬(布団を持ちあげてスペースを作り、軽く手で叩いて誘導……エスコートを任せても大丈夫そうだな)

千冬「ああ……失礼するぞ」モゾモゾ

一夏「……千冬姉。さっきはごめんな」

千冬「ふふ。そう思っているなら行動で示して貰いたいな」

一夏「よし……じゃあ、目をつむってくれよ」

千冬「?ああ」

一夏(よし……)スッ

一夏「……好きだよ」ボソッ

千冬「ひゃんっ!?(耳元でささやきだと?)」

一夏「びっくりしちゃったかな?ごめん」

千冬「うむむ……」ポ~

一夏(耳まで赤くなってら)

一夏「じゃあ、キスしよっか」

千冬「うむ……んっ」チュ

一夏「………」スッ キュウッ

千冬(一夏の奴、抱きしめるのではなく腕で包み込むように……)

一夏「はっ……へへ」ニコッ

千冬「はあっ……はっ」フフッ

千冬(憧れの映画のシーンにそっくり……感動だ)ポロッ

一夏「あっ……俺、またどうかしたかな?」

千冬「いや、この涙は違う。嬉しくて泣いているんだ」

一夏「そうだったか!」ホッ

千冬(ああ……嬉しい。どんどん喜びが内から湧いてくるようだ)

一夏「にしても暑いな。火照ってきたからかな」

千冬「……一夏、さっきはああ言ったが……心の内に優しさを持ってくれれば、多少強引にしてくれても構わんぞ」

一夏「え?」

千冬「……確かに暑いな。すまないが上を脱がせてもらうぞ」ガバッ

一夏「!!」

千冬「それと……さっきの優しく包み込むような抱き方への礼だ」ギュウッ

一夏(千冬姉……胸が当たって………)

千冬(見かけによらず、厚めの胸板だな……心臓の音が聞こえるぞ)

千冬(早く気付いてくれっ……ヒントは出したぞ)

一夏(千冬姉の胸……きめ細かい白できれいな形だ……)ギュウ

千冬「んっ!!」

一夏「ダメだ。千冬姉が可愛いから仕方ない」モミモミ

千冬「んっ……!あんっ……」

一夏「痛くないかな?」

千冬「大丈夫だっ……続けてくれっ」ニコリ

一夏「千冬姉……!ううう」ガバッ

千冬「んん!うん……ぅぅうううぅん!」ギュッ

一夏(キスしながら千冬姉の身体触ってたらもう収まりきらない……)

千冬姉「あっ……ん!!」

千冬「いっ……一夏ぁ……!」

一夏(!!そうだ……こういうときこそ千冬姉のことを考えなくちゃな)

千冬「はぁ……はぁ……」

一夏「千冬姉。もっと、先に進んでいいかな?」

千冬「……その前にキスしてくれ」

一夏「よし、分かった……んっ」チュ

千冬「………」ギュウゥゥゥ

一夏「はっ……千冬姉……(ズボンいらねえ)」ヌギヌギ

千冬「その……優しく頼むぞ……」

一夏「分かってる。じゃあ……」

ピンポーン

一夏千冬(!!)

箒「留守なのか?だが明りは付いているし……」

箒「一夏か千冬さん、どちらか居られますか?」コンコン


一夏(居留守使おう!)

千冬(ああ。止むを得ん)


箒「出ないか……昨日姉さんから

【しばらく前からいっくんとちーちゃんの生活ウォッチしてまーす!まとまったらいっしょに見よーね♪】

 こんな内容のメールが送られてきたから、注意を与えようと思ったんだが……仕方ない、出直そう」

一夏「……行ったみたいだな」

千冬「ああ」

束「敵は去りなん、だね♪」

一夏「ふう……」

千冬「こんなこと知られたら……」

束「姉弟揃って学級追放もさもありなん、だね♪」

一夏千冬「……何いぃぃぃぃいいい!!??」

束「お邪魔してまーす!いっくんの布団ってばあったかいね♪」

千冬「貴様……何をしている!!」

一夏「た……束さん……いつの間に」

束「いやー………箒ちゃんのために情報か仕入れてあげようと思ってウォッチしてたら、予想以上のものを見せていただきました♪」

千冬「……………」ガタガタ

束「まさかねえ……この束さんが口をあんぐり開けちゃったんだよ!すごいことだよ、人類史に残るよ」

一夏(終わった……完全に………)

千冬(……万事休す、か)

束「お二人はこの束さんに重大なことを教えてくれました!」

束「だから、今まで二人の生活を撮ってきたビデオ装置は……こうだ!」ガシャン!!

一夏「ん?」

束「ありがとね、いーくん、ちーちゃん!大切なことに気づけたよ!お礼が言いたくてこの私がわざわざ姿を現したんだよ!」

束「誇っていいよ!じゃあねーアデュー!!」スタコラサッサ

一夏「え?……え?」

千冬「やつの気まぐれに助けられたか………」

一夏「……寒いな、ズボン履こう」

千冬「私も上を外していたんだった」

一夏「……そろそろ夕食作ろう」

――――――

―――



一夏(数日経って、俺たちは普段通りの生活を続けていた。)

一夏(俺も千冬姉も……積極的に身体を求めあうこともないが、あの日を境にお互いを違った目で見るようになったと感じる)

一夏(俺は家事をし、千冬姉は仕事へ行く。俺はたまに勉強し、千冬姉はたまに飲んで帰ってくる。この夏休みのパターンに、ある工程が差し込まれた以外は普段通りと言って良かった)

一夏(その工程とは……)

千冬「一夏。それじゃあ行ってくる」

一夏「おう……ちょっと待ってくれ」タタ

千冬「うむ……じゃあ、頼む……んっ」

一夏「よし………」チュ

千冬「ん……ぅん……」

一夏「む……ん」

千冬「はぁ……も、もう一回」チュ

一夏「んっ」

千冬「ふう、じゃあ行ってくる」

一夏「気をつけて」

一夏(あの日の翌日、千冬姉が仕事へ行く前にもじもじしていたから、想いを汲み取ってキスしたのがスタートだ)

一夏(その日以来、朝に千冬姉とキスすることが日課になった)

一夏(一日だけすっぽかしてしまった日もあって、その日はずっと不機嫌そうだった)

一夏(俺自身千冬姉とキスするのは好きだ。お互いに嬉しさを分け合える気がするからだ)

一夏(身体を求めることがないのは、愛を確かめるにはこの行為一つで十分だと俺たちは考えているからかも知れない)

一夏(そう。俺と千冬姉は、恋人同士と言える仲まで変化したのかも知れない)

一夏「今日は筋トレでもやるかな……ん?」

ガチャ

箒「はぁはぁはぁ……すまん一夏、かくまってくれっ!!」

一夏「え?」

束「箒ちゃーん!!どこかなーー!?むむっ!箒ちゃんの匂い!こんなところに隠れてやがったかあ!」ガチャ

箒「ひいっ!!」

一夏「うわっ!!」

束「キースキスキス!箒ちゃん!姉妹の絆を確かめ合おうよーー!!」

箒「一夏助けてくれぇ!!」

一夏「ちょっと落ち着いて……うわぁ!!」

一夏(束さんのこの変化を生み出したことを考えると、俺は少しあの日のことを後悔するのだ)

〈 終 わ り 〉

見てくれた皆、ありがとう
途中で抜けたとき保守してくれた方々、感謝します

ヨネさんは千冬のドッペル出てくるSSでも応援してくれたね
ありがと

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