QB「僕が主人公のゲーム?」(519)

立てた

保守

マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの魔法少女全員生存ワルプルギス撃破 誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって

マミ「今日も紅茶が美味しいわ」668からの分岐改変が起きない平行世界
もし改変が起きない平行世界のマミがシャルロッテに死ななかったら OR マミ死亡後にまどかが願いでマミ、QBを蘇生
魔法少女全員生存ワルプルギス撃破 誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって

てとす


白い髪に、紅い目
透き通る程に、美しい肌
整った顔立ち
すらりと伸びた手足
それでいて――あどけなさを残す表情


見る者を魅了し、惑わせるその出で立ちは、まるで――


「娘が世話になったようだね」

「少しお話しをしていただけさ、特に変わったことはしていないよ」


柔和な笑みを浮かべ、まるで往年来の親友が如く少年は応対する


「これ以上、娘を惑わすのはやめてもらおう」

「その反応は理不尽だよ――何せ、一番混乱しているのは君自身なのだから」


心の奥底まで見透かすように、紅い視線が心を抉る


「――悪魔め」


その言葉に、少年はとても人間的な苦笑を浮かべた


「確かに、天使という柄では無いね」


少年は振り返り、少女へと告げる


「杏子、君がどのような選択肢を選ぶかはわからない」

だけど、と付け足す

「僕は君の選択を否定したりしない――これだけは、覚えておいて」


少女は頷き、父へと振り返る


「親父、話があるんだ」



去って行く悪魔を見ながら、父は神を罵った

何故なら神は、皆が私の話を聞かないのは、娘が悪魔に誑かされているからである。そう告げたから

そして同時に、感謝もした

ならば娘を、正しい道へと引き戻してやれば良いのだと
そうすれば、何もかもがうまくいくのだと


―――
――


ゆま「おかえりー!」

キュゥべえ「ただいま」

ゆま「きょうは早かったんだね」

キュゥべえ「うん、用事にひと段落ついたからね」

ゆま「ほんとう? それじゃあ明日からはやく帰ってこれる?」

キュゥべえ「どうだろうね、もう少しかかるかもしれない」

ゆま「そっか……」シュン

キュゥべえ「……悪いね、一人にさせて」

ゆま「ううん、大丈夫。 さみしくないよ」ニコッ

キュゥべえ「えらいえらい」ナデナデ

ゆま「んふふー♪」



ゆま「そうだ、さっきまでマミおねえちゃんが来てたんだよ」

キュゥべえ「マミが?」

ゆま「うん、ばんごはん作ってくれたんだけど……具合が悪いから、って帰っちゃった」

キュゥべえ「そうか……」

ゆま「泊まっていけば良かったのにね」

キュゥべえ(杏子も気になるけど……マミの様子も気になるな)

キュゥべえ「明日また聞けばいいさ、ところでマミは何を作ってくれたんだい?」

ゆま「肉じゃがだよ!」

キュゥべえ「……そうきたか」


―翌日―

どこまで面倒くさい女なのだろう、巴マミという人間は
そう、自分でも思う


「はあ……」


いくら構って欲しいからと言って、熱を出すなんて
体温計に表示された数字を見て、本日何度目かわからないため息をつく


(学校にも連絡はしたし、今日はゆっくり頭を冷やそう)


当然、彼のところにも連絡はしてある
正確には、彼の妹に

風邪を引いただけだから、気にしないで。あと学校にはきちんと行くように、と

彼のことだから、求めれば学校などほっぽりだして私のもとへ来てくれるだろう
そうしないのは、それが嬉しいと思ってしまう自分がちょっぴり悔しいから


「……はあ」

(今日も行くのかな……佐倉さんって人のところ)

それを考えると、胸が締め付けられるような気がして

「そうよ……行っちゃえばいいんだわ、私のことなんかほっといて……」

自分で言った言葉なのに、泣いてしまいそうになる自分が恥ずかしい

「んー……もー!!」

それらを振り払うように、ベッドの上で手足をばたつかせる

「……バカ」


「君は一人で何をしてるんだい?」

「っひゃあ!?」


突然の声に驚き、飛び起きると、見慣れた彼の姿が目に入る


「な、なんで……」

「様子を見にきたら、なんだか騒がしかったからね」

「そうじゃなくて、学校は……」

「残念ながら、そんな些事を君より優先するような鈍い判断力を僕は持ち合わせていないね」

「……ちゃんと行きなさいって、言ったのに……もう」


布団をかぶり、彼と反対側を向く


「そうもいかないよ」


自分の顔が、とてもにやけているのがわかるから


―――
――


キュゥべえ「それで、気分はどうだい?」


下ろしたままの私の髪をいじりながら、彼が問う
その手がこそばくて、気持ちよくて、思わず顔が綻ぶ


マミ「大丈夫よ、あまり熱も高くないし」

キュゥべえ「それはよかった……ちょっと失礼するよ」スッ

マミ「ま、待って!」


身を乗り出し、顔を近づけてくる彼を制する


キュゥべえ「大丈夫さ、熱を測るだけだから」

マミ「ち、違うの……その……あのね」

キュゥべえ「?」

マミ「たぶん、汗臭いと思う、だから……」モジモジ

キュゥべえ「汗臭い、ねえ……」

マミ「今はちょっと……」

キュゥべえ「そうかな……僕は気にしないけれど」ググ

マミ「そ、そういう問題じゃなくて……」グググ


構わず近づいてくる彼を手で押し戻そうとするが、当然力ではかなわずに押し切られてしまう


キュゥべえ「きゅっぷい」ポフン

マミ「ひゃんっ!?」


胸の谷間に顔をうずめ、彼が大きく息を吸い込む


キュゥべえ「……うん」

マミ「な、なな、な……///」

キュゥべえ「大丈夫」ニコッ

マミ「……え?」

キュゥべえ「僕はこの匂い、嫌いじゃないよ」



得意げに話す彼の頬を、力任せに引っぱたいた

マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの魔法少女全員生存ワルプルギス撃破 誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって


―――
――


キュゥべえ「……追い出された」ジンジン

キュゥべえ(さっきの対応……どこを間違ったんだ……)

キュゥべえ「はあ……わけがわからないよ」


このままでは口も聞いてもらえそうにないので、機嫌をとる策について考える


キュゥべえ「あ、そういえばゆまからメモを貰ったんだった」


病人にはお粥だよ!、と言って渡されたメモを見る


キュゥべえ「なるほど……これならできそうだ」


冷蔵庫をのぞき、材料がそろっていることを確認する


キュゥべえ「……卵、それと塩少々……」

キュゥべえ「……」

キュゥべえ「少々?」

キュゥべえ(少々とは具体的に何グラムなんだろうか……)


前に似たような質問をした時、ゆまはこう答えた


『てきとー!』


キュゥべえ(適当……だって? それはつまり風邪で味覚が鈍くなっているマミの舌に合わせた塩の量を今ここで検算しなければならないということか……)

キュゥべえ(いや……そもそも普段のマミがどれほどの塩をお粥の生成に使用しているかもわからない)


脳内でさまざまな計算式を組み立てては壊していく

もしかしたらこの星ではその計算式が確立されていないのかもしれない

そう思い、人間の体では発音不可能なものまで手を伸ばす。 しかし


キュゥべえ(駄目だ……ぜんぜん予測もつかない)


ガクリ、と膝から崩れ落ちる




キュゥべえ「……まさかこんなところで詰むとはね」


メモの裏に『材料がなかったら市販のでもいいと思うよ!』と書いてあったのでコンビニまで買いに行くことにした


―――
――


キュゥべえ「マミ、お粥ができたよ」

マミ「……ん」モゾモゾ

キュゥべえ(……見るからに悪化してる……さっきのはやはり失敗だったか)

キュゥべえ「食べられるかい?」

マミ「……」コクン


キュゥべえ「はい、あーん」

マミ「……熱くない?」

キュゥべえ「はいはい……」フーフー

キュゥべえ「これでいいかな?」

マミ「ん」パクッ

キュゥべえ「どうかな?」

マミ「普通」

キュゥべえ「まあ……だろうね」


キュゥべえ「さて、お粥も食べ終わったことだし……何かして欲しいことはあるかい」

マミ「んー……着替える」

キュゥべえ「はいはい」スッ

マミ「ストップ、自分で取ってくるわ」

キュゥべえ「いいよ、それくらいなら」

マミ「……下着とかも?」

キュゥべえ「僕は気にならないけど……ああ、君が気にするのなら仕方ないね」

マミ「そういうこと。 デリカシーのない男の子は嫌われちゃうぞ」コツン

キュゥべえ「……肝に銘じておくよ」


着替えるために部屋に一人になる
ブラを外し、その上から換えのパジャマを着る


(暑いから、とか言って途中までしかボタンを止めないでおこうかしら)

(……もしかしたら、もしかするかもしれないし)


思わず手にとってしまった、“それ用の”下着と睨めっこをする



「はあ……そんなことあるわけないじゃない」

(何期待しちゃってるのかしら……)


結局、最後までボタンを閉めることにした


「キュゥべえ、もういいわよ」


―――
――


キュゥべえ「まだ何かあるかい?」

マミ「……ねえ」

キュゥべえ「なんだい?」

マミ「さっきの、あれ……本当?」

キュゥべえ「何の話かな?」

マミ「その……匂いがどうのって……」

キュゥべえ「もちろんさ、僕は嘘をつかないからね」

マミ「だったら……はい」


両手を彼に差し出す


キュゥべえ「ん、いきなりなんだい?」


彼が不思議そうにその手を取ったのを見て、思い切り引き寄せる


マミ「どーんっ」

キュゥべえ「っとと」


そのまま彼を下敷きにするように折り重なってベッドに倒れこむ
二人分の体重がかかったベッドが軋み音をあげる


キュゥべえ「……マミ、重いよ」

マミ「むー、女の子に重いは禁物なんだぞー」


覆いかぶさるように、彼の薄い胸板にバストを押し当てる
ブラをはずした乳房が押しつぶされ、形を変える


キュゥべえ「ごめんごめん、悪かったよ」

マミ「だーめ」

キュゥべえ「やれやれ……」


彼の肩に頭を乗せ、手のひらを指でなぞる


マミ「あのね……私、いま熱があるから、変なこと言っちゃうね」

キュゥべえ「……?」

マミ「えっと……昨日は、ごめんなさい……」

キュゥべえ「別にこれといって気にしてないけどね」

マミ「……あなたが、ほかの女の子のところばっかり行くから、寂しくなっちゃって」

キュゥべえ「……君らしいね」クスッ


苦笑する彼と目が合い、顔が急に熱くなる
その紅い視線から逃れるように、彼の胸に顔を埋める


マミ「……うー、やっぱり、今のは聞かなかったことにして……///」

キュゥべえ「それはできない相談だね」

マミ「いじわる……」


ぽん、と彼が頭に手を載せる


マミ「……そんないじわるなキュゥべえに、マミからひとつ命令があります」

キュゥべえ「はいはい、どうぞ」


彼の手が、優しく私の頭を撫でる

私が眠るまで、頭を撫で続ける――そんな無理難題を、彼は嫌な顔一つせずにしてくれる

もっとも、今はその手は止まってしまっているけど


マミ「……先に寝ちゃったらダメじゃない」


そもそも、ここまで無防備な少女を前にこの反応はないと思う
別に、期待してたわけじゃないけれど


穏やかな寝顔を見て、少しばかり悪戯心が湧き上がる


マミ「風邪……うつしちゃうもん」


白い肌に生える彼の唇に、自身の唇をそっと重ねる

こんなことをしたのは――きっと、熱に浮かされたから


◇◆◇

両親を目の前で事故によって失った私
両親を目の前で殺害された妹

二人の人生を背負って、彼が潰れることはないのだろうか
ふと、そう思った

お出掛けしてくる


―――
――


―五日目―

キュゥべえ(さて、昨日は行けなかったけど……杏子はうまくやれたかな?)

マミ「キュゥべえ」

キュゥべえ「マミ、今日も……」

マミ「わかってるわ、もう止めない」

マミ「その代わり、迷惑かけちゃダメよ?」

キュゥべえ「そんなつもりはないよ……それじゃ」

マミ「うん、行ってらっしゃい」


朝起きると、昨日のままの格好で私に添い寝する彼がいた

どうも、私はずっと彼に抱きついて離れなかったらしい

彼にも、いつの間にか泊まりに来ていたゆまちゃんにも本当に迷惑をかけた


マミ(……わがまま、じゃ済まされないかな)

マミ(でも、うれしかった)


だから私は、彼を快く送り出した





――この時引き止めておけば良かったと、後になって後悔することになる





―――
――


―風見野市―


キュゥべえ「……様子がおかしい」

キュゥべえ(ひと気が全くない……どういうことだ)


いつものように掃除をしている杏子も、モモもいない
教会の中からも、声はしない


キュゥべえ「留守かな?」


教会の扉を開き、中へと足を踏み入れる


そこには、神に祈る修道女――すなわち、佐倉杏子がいた

彼女はこちらに気付くと、弱々しい笑顔を浮かべる


杏子「何だよ……もう来ないのかと思ったじゃん」

キュゥべえ「大丈夫かい? 酷くやつれているようだけど……」

杏子「大丈夫……じゃないな」

キュゥべえ「……」


杏子「アタシさ、親父に話したんだよ」

杏子「細かいことは覚えてないけど、とりあえず、もっとアタシたちのことを見てほしいって」

杏子「そしたら親父、何て言ったと思う?」


――自己を犠牲にできない者に、救済など不可能だ


杏子「わけわかんねえよな……それでアタシもブチ切れちゃって、後はただの罵り合い」

杏子「悪魔にそそのかされた魔女だのなんだの……んで、飯抜きで一日中神様に祈ってろってさ」

キュゥべえ(……既に壊れていた、というわけか)

杏子「おふくろはびびって出てこないし……まあ、モモまで巻き込むわけにはいかないから仕方ないけどさ」

杏子「笑えるよな、ホント。 アタシの家族はもう壊れちまってたんだ」


キュゥべえ「……大体、事情は飲み込めたよ」

杏子「なあ……」

キュゥべえ「なんだい?」

杏子「……待ってたんだからな、オマエが来るの」

キュゥべえ「そうか……ごめんね」

杏子「なんで、こうなったんだろ」


杏子が強く抱きつき、潤んだ瞳でこちらを見上げる


杏子「なあ……オマエは悪魔なんかじゃないよな? 信じてもイイんだよな?」

キュゥべえ「もし僕が悪魔なら……君は今頃、魔法でも使えてるんじゃないかな?」

杏子「ふふっ……何だよそれ……バッカみてえ……」


杏子が僕の胸に、顔を埋める


杏子「……待ってたんだぞ、バカ野郎」


その時、お腹の鳴る音が静かな教会内にこだました


キュゥべえ「……それは、食欲的な意味かな?」

杏子「ちっ、ちげーよ! アタシはホントにオマエに会いたかっ……」ハッ

杏子「……そ、そうだよ、食い物が欲しかったからだよ……勘違いすんな、バーカ」カアァァ

キュゥべえ「やれやれ……なら、少し食事にでも行こうか」

杏子「え?……いや、でも……」

キュゥべえ「君らしくないね。 まあ、今回のことは僕にも落ち度はあるしね」

杏子「そんなこと、気にしなくても……」グー

杏子「……い、行くよ///」

キュゥべえ「やれやれ……」


―――
――


さすがに修道服では行けないので、一旦部屋に戻り、服を探す


「……ちくしょう、ロクな服がねえ」

(って、何やってんだアタシは! 飯食いに行くだけだからいつもの格好でいいじゃねえか!)


いつもの短パンを手に取り、履こうとする
だが、どうしても側にあるスカートが気になる


「……に、似合わねーよな……はは……」

「い、いやでも……こう、ギャップ的な……」

「……」

(……考えても始まらねぇ、こうなったら)


「お、おい、キュゥべえ」

「終わったかい?」


扉の向こうから声がする
それだけで、何故だか安心してしまう自分がいる


「あ、あのさ……その……スカートと短パンだったらさ!」

「だったら?」

「ど、どっちが……その………………動きやすいかなー、って」

「そりゃあ、短パンだろう」


即答かよ
いや、聞き方が悪かったのか


「あー……そんじゃあさ、飯……ご飯食べに行くには、どっちのほうが合ってるかなー、って……」

「どっちでもいいと思うよ」


ぐぬぬ……


「ほ、ほら、一応外出るわけだし……うん、まあ、なんだ」

「いつもと違う格好をするのも、新鮮でいいかもしれないね」

「……そっ、そうだよなー! 新鮮でいいよな!」


よし、スカートを履いてみよう


―――
――


杏子「ま、待たせたな……」ガチャ

キュゥべえ「果たし合いじゃないんだから……へえ」

杏子「にゃっ ……なんだよ……」ドキドキ

杏子(あああこれはやっぱり似合ってないとかそんな感じでそんでもううわぁぁぁぁ)

キュゥべえ「いいと思うよ。 じゃ、行こうか」

杏子「……ほ、ホントかよ? 似合わないんなら似合わないで……アタシ、こんな女の子らしい服装したことないし……」

キュゥべえ「君は紛れもなく女の子だよ、似合わない理由がない」

杏子「へっ!? そ、そうか……えへへ///」テレテレ


―――
――


キュゥべえ「とはいえ、僕はこの辺の地理に詳しくないからね」

杏子「それなら、近くにファミレスがあるぞ」

キュゥべえ「なら、そこにしようか」

杏子「お、おう……」


杏子「……」スタスタ

杏子(可愛い服着て、男と二人……)

杏子(これって……あれだよな……デート、的な……)

杏子(いやいやいやいや何考えてんだアタシは単に食い物にありつけるからついて来ただけで特にそんなことは考えてないからこれはあれだよほらあの……うん、あれだ)

キュゥべえ「杏子」

杏子「んにゃっ!?」ビクッ

キュゥべえ「……ここかい?」


<ラッシャーセー

キュゥべえ「そう言えば、他の家族はどうしたんだい?」

杏子「さあな……何か明日の夜まで誰も帰って来ないみたいだ」

キュゥべえ「ふぅん……」

杏子「……」ジー

キュゥべえ「……」

杏子(……パフェとか頼んだら、女子っぽいよな)グー

杏子「……」

キュゥべえ「……」クスッ

杏子「……ミックスグリルCセットライス大」

キュゥべえ「はいはい」

―――
――


杏子「っはー、食った食った」

キュゥべえ「満足かい?」

杏子「まあな……ところで、ホントに良かったの?」

キュゥべえ「まあね、お金はあるし」

杏子「どっから出て来てんのさ、その金」

キュゥべえ「……色々と、ね」フフッ

杏子「お、おう……」


―教会―

杏子「今日は助かったよ、ありがとうな」

キュゥべえ「礼には及ばないよ……ところで、これからどうするんだい」

杏子「さぁな……いざとなったらオマエの家にでも押しかけるさ」ハハッ

キュゥべえ「なるほど、その手もあるね」

杏子「……冗談だよ。 まあ、こっちで何とかするさ」

キュゥべえ「何とかなるのかい?」

杏子「……」

キュゥべえ「……」ハァ


杏子「……あの、さ」

キュゥべえ「?」

杏子「もう、帰るのか?」

キュゥべえ「まあ、もうそろそろ帰るつもりだよ」

杏子「……」

キュゥべえ「……?」

杏子「……やだ」ポツリ


服の裾を、杏子が軽く掴む


杏子「今日、誰も家にいないんだ……だから、泊まってってくれないか」


瞳を真っ直ぐに見据え、震える声でつなぐ


杏子「ひとりぼっちは……寂しいんだ」

キュゥべえ「……」

杏子「……あ、ダメなら、イイんだ……」

キュゥべえ「……」ウーン

杏子「……」

キュゥべえ「……杏子、電話借りるよ」


―――
――


杏子「悪いな……ホント、ごめん」

キュゥべえ「君らしくないね。 それに、僕は好きでやってるんだよ?」

杏子「そっか、ありがとうな……」

杏子「でも……何で、アタシみたいなヤツを気にかけてくれるんだ?」

キュゥべえ「理由が必要かい?」

杏子「無いなら、無いでいいよ、でも……」

杏子「……期待しちゃうだろ」

キュゥべえ「期待? 何を?」

杏子「……何でもない、ばーか」

キュゥべえ(難しいなあ)


杏子「お風呂湧いたぞ」

キュゥべえ「一応、基本的なライフラインは確保されてるんだね……ガスとか電気とか」

キュゥべえ(ライフラインは通じないだろうなあ)

杏子(ライフラインってなんだ?)

杏子「おふくろの稼ぎもあるからな……つーか、ほとんどそればっかだけど」

キュゥべえ「……なるほどね」

杏子「で、どうすんの?」

キュゥべえ「先に入りなよ、一緒に入りたいわけでもないだろう?」

杏子「い、一緒って……」カアァァ

杏子「だ、ダメに決まってるじゃん……そういうのは、けっこんしてからじゃないと……///」モジモジ

キュゥべえ「……いや、そういう問題じゃないと思うんだけれど」


杏子がお風呂に入ってる間に、現状を整理する

本来なら、彼女は僕と契約し、その影響で父親の話を聞く人間が増えるはずだ


キュゥべえ(……そういえば、彼は魔法の存在に気付いた数少ない人物だったね)


そして彼女の父親は激昂し、杏子以外を道連れに自殺する


キュゥべえ(……“ここ”でも結局似たような結末になろうとしている)


問題は、それを良しとするかどうか


キュゥべえ「佐倉杏子を捨てるかどうか、か……」



見捨てれば、佐倉杏子は恐らく死ぬ
つまり、見捨てるにせよ見捨てないにせよ、本来とは違った運命を紡ぐことになる


キュゥべえ「……さて、どうするか」

杏子「何の話だ?」

キュゥべえ「……こっちの話さ」ニコッ

杏子「?……そうか、上がったから、次入ってよ」

キュゥべえ「そうするよ」スッ

杏子(アタシの入った湯に入るのか……)

杏子「……」

杏子(な、なんだか……照れくさいぞ)

―――
――


キュゥべえ「結局、何も手掛かり無し、か」チャプン


魔法も、奇跡も存在しない
あるのは、どうしようもない現実のみ


キュゥべえ(やれやれ、こういう時こそ魔法の出番なんだけどなあ)


常人を遥かに逸したこの体でも、エネルギー回収はおろか契約すらできない

となると、現状はあまり良くはない、そう言える


キュゥべえ「まあ……悪くもない、けどね」


インキュベーターの存在理由である『エネルギー回収』

要はそれを別のものに挿げ替えてしまえばいい

個を持たないあの時ならともかく、今やすでに“個人”として僕は在るのだから



――今のところ、特に決まってはいないけれど



―――
――

好きにしなさい


まとめていない髪をかきわけ、生地の薄いパジャマを羽織る


杏子「……」

キュゥべえ「どうしたんだい?」

杏子「ん……もうあがったんだ……って」

キュゥべえ「ん?」

杏子「う、上何か着ろよ!///」プイッ

キュゥべえ「暑い」

杏子「そうか、なら仕方な……くない!」

キュゥべえ「……しょうがないなあ」シブシブ

杏子「ったく……着替えを用意してないのは、悪いと思うけど……」

キュゥべえ「さすがにそこまで求めないよ」


―――
――


杏子「アタシのベッドでいい、かな?」

杏子「ちょっと、いやかなり狭いけど……」

キュゥべえ「寝られればどこでもいいよ」

杏子「そうか……えっと、ど、どうぞ」

キュゥべえ「ん、失礼するよ」ギシッ

杏子「……」

キュゥべえ「ほら、君も来なよ」

杏子「う、うん」

差し出された手をとり、彼の横へと寝転がる


杏子「……」


同年代の男と密着するという初めての体験

それでも緊張よりは、誰かが隣にいるという安心感が優っていた


杏子「今日は、ありがとう」

キュゥべえ「どういたしまして」

杏子「……」

キュゥべえ「……」

杏子「……どうしよう、これから」

キュゥべえ「……」


杏子「……お父さん、間違ったこと言ってないのに」

杏子「なんで……」

キュゥべえ「……少女から魂を奪い集める悪魔がいたとする」

杏子「……? なに、いきなり」

キュゥべえ「君は彼を悪い奴だと思うかい?」

杏子「そりゃあ……悪いヤツだと思うよ」

キュゥべえ「なら、魂を集めなければ世界が破滅するとしたら?」

杏子「それは……でも、盗られた側からすれば、なあ……」


キュゥべえ「そういうことさ、何が正しいかなんて立場や物の見方によって変わる」

キュゥべえ「個人の善悪の概念なんて、集団からすれば取るに足らない物さ」

杏子「……」

キュゥべえ「もっとも、集団を形成しているのも個人だけどね」

杏子「……むずかしくてわかんないよ」

キュゥべえ「悪かったよ。……まあ、結論としては」

キュゥべえ「――正しい、と一言で済ませられるほど、世界は単純じゃないということさ」

杏子「……そっか、そんなもんか」


父は正しいことを言っている
悪いのは認めてくれない彼らのほうだ

だから、みんなが父を認めてくれれば、あの優しかった時に戻れる



そう思いたかった


「……なあ」

「なんだい?」

「もう、会えないのかな」

「さあ……どうだろうね」

「……やだよ」


彼の首に手を回し、強く抱きつく


「杏子を置いて行かないで……悪魔でも、なんでもいい」

「魔女にだって喜んでなる」

「だから……杏子の側にいてよ」


しばらくの沈黙の後、彼の手が優しく背中をさする


「ごめんね、杏子」

「僕は君に奇跡を授けることはできない――人間、だから」

「だけど、今日は側にいてあげられる」

「……うん」

―――
――


―翌日―

杏子「おーきーろー」ユサユサ

キュゥべえ「……ん、マミ……いや、杏子か」

杏子「……誰だよ、マミって」ムッ

キュゥべえ「ただの幼馴染だよ」

杏子(幼馴染……)


キュゥべえ「んんー……おはよう、杏子」

杏子「……おはよう、じゃねぇよ。 もう昼だぞ」

キュゥべえ「もうそんな時間か……まあ、休日だし問題ないね」

杏子「だからって、寝過ぎなんじゃないか?」

キュゥべえ「起こしてくれれば良かったのに」

杏子「んー、あー……そう、だよな」

杏子(……寝顔見てました、なんて言えないよなあ)

キュゥべえ「?」


いつものように、髪をくくり、修道服へと着替える

優しい夢を見るのは、これで終わり


「また、祈りに行くのかい?」


真っ白な肌に、何もかもを見通すような紅い眼を持つ、この不思議なヤツとも、もう会うことはないかもしれない


「一応、親父の言いつけだからさ」

「ふぅん」


何か考え込んでるらしく、気のない返事をする
もしかしたら、アタシのことかも、なんて下らない期待をしてしまう


(ダメだよな……これ以上コイツに迷惑をかけられない)



短い間だったけど、コイツには本当に世話になった
変なヤツだったけど、アタシを見てくれてるヤツがいる


(それが分かっただけで、十分だ)

「キュゥべえ」

「ん?」


不思議そうにこちらを見つめる彼の髪をかき分け、額に優しく口づけをする


「……なんだい、いきなり」

「お礼、つーか……まあ、そんな感じ」

「……こんなことしかできない、けどさ」

「もし……足りないなら、アタシを……」


微笑を浮かべ、アタシの頭に優しく手を載せる


「十分だよ、ありがとう」


何だかとても恥ずかしくなって、俯いてしまう

本当に、調子が狂う


――ドアの開く音、そして、父の足音


「親父……なんで……」

「貴様……」

「やあ――」

「やはり、現れたか」

「――お邪魔してるよ」

「……悪魔め」

もうすぐ終わりそうだけどちょっと用事


「杏子、言ったはずだ。 もうそれには関わるなと」

杏子「違うんだ、親父、これは……」

「何故杏子の前に現れた、何故杏子を誑かした、理由を答えろ」

キュゥべえ「前者は、まあ……何となく、とでも言っておこうか」

キュゥべえ「後者は……そうだね、少女のお願いを聞くのが、僕の仕事だからさ」

杏子「親父、こいつは悪くないんだ、アタシが――」

父の手が杏子の頬を打ち、彼女の体が地面に倒れ伏す

杏子「っ……あ……」

「目を覚ましなさい、杏子。 お前は騙されている」

杏子「……」


キュゥべえ「やれやれ……父親がこれでは、現実から目を背ける癖がつくのも仕方ないね」

「娘を誑かす悪魔が……何を言う」

キュゥべえ「悪魔……ね。 その認識はある意味では正しいが、ある意味では間違っていると言える」

キュゥべえ「確かに君の視点から見れば、僕は彼女を惑わせたと言えるだろう。 だけど事実は違う」

キュゥべえ「ただ彼女は自らの本心に気付いただけさ、それ以上でも、それ以下でもない」

「本心だと? 杏子は私の娘だ、父親の私が一番理解している」

「娘も妻も、私が正しいことを知っている」

「私達家族は心を一つにして、この不条理な現実をより良い方向へと変えていかねばならんのだ」


キュゥべえ「家族を犠牲にしてもかい?」

「いずれ報われる」

キュゥべえ「少なくとも、生きている内にはそうはならなさそうだけどね」

キュゥべえ「確かに僕も、君の言っていることは正論ではあると思う。 だけど――」

キュゥべえ「――正論を押し付ける行為は、けして正しいことではない」

キュゥべえ「事実を提示することで人がどのような反応をするか、嫌というほど経験してるからこそ言える」

「正しいことを良しとしないか、悪魔め」


杏子の父親が、胸元から銀装飾の施された短剣を取り出す


杏子「親父……?」

キュゥべえ「はあ……僕はただ、事実をあるがまま伝えているだけなのに」

「自分に都合のいい真実しか提示していないではないか」

キュゥべえ「……ふむ、否定はできないね」

キュゥべえ「まあ、現実を自分に都合のいいように曲解する君よりは、随分とましだと思うけどね」

「……知った風な口を……ッ!!」


「私は常に正しい! 間違ってなどいない!」


鞘から短剣を抜き、大きく振りかぶる


「貴様を消し去ることで、それを証明してやる!」

キュゥべえ「その刃は、何も切り開かないよ――現実も、理想もね」

「黙れええええええッッ!!」

杏子「っ、バッカ野郎……っ!!」


少年を庇うように、杏子が割って入る
同時に、短剣が振り下ろされる


「……っ!!」


迸る鮮血

杏子の足から力が抜け、地面へとへたり込む


「――やれやれ」

白い肌から流れ出した紅い血が、床にシミを作る


「急に飛び出して来たら危ないよ、杏子」


右手で刃を握りしめながら、少年は呟く


「こ、の……っ!」

「娘が飛び出したのを認識しながら、君は迷うことなく短剣を振り下ろしたね」

「くっ……」


「……何でだよ、何でこうなるんだよ!?」


杏子の悲痛な叫びが耳を打つ


「アタシはただ、またあの時みたいに、4人でやり直したかっただけなのに」

「……もう、嫌だよ……こんなの……終わりにしてくれよ」


「……佐倉杏子」


少年の声に、杏子が顔をあげる


「――それが、君の願いかい?」


その言葉に、彼女は大きく頷いた


少年が微笑を浮かべ、刃を握りしめたままの右手を振り払う
短剣が地面に転がり落ち、小さな音をたてる


「くっ……」


得物を失った父が後ずさる


「僕はあまり、自分の体に執着しない」

「そして……この行動が、どのような結果を生み出すかもわからない」

「だけど――」


左手を握りしめ、大きく一歩踏み出す


「“人間”として――」


大きく、左腕を振りかぶる


「右手のお礼くらいはさせてもらうよ」


少年の左拳が顔面へと着弾


「がっ……」


骨と骨がぶつかる音がし、杏子の父の意識がはるか彼方へと吹き飛ぶ


「やれやれ……」



「――こういう時は、技名を叫ぶんだったかな?」


杏子「……」

キュゥべえ「まあ、これで一応の終わりかな」

杏子「……」ハッ

杏子「オマエ、右手大丈夫なのかよ!?」

キュゥべえ「見た目ほど酷くはない、と思うよ」

杏子「バカ野郎!! そんな訳ないだろ! そうだ、病院……」

キュゥべえ「いや……できれば大事にするのは……」

杏子「何言ってんだよ! 痛いんだろ、無理するなよ!」

キュゥべえ「大袈裟だなあ……」

杏子「こんなっ、こんな……アタシのせいで……怪我なんて……」

キュゥべえ「はあ……君が泣いてどうするんだい?」

杏子「だって、だって……っ!」

キュゥべえ「やれやれ……」


―――
――



結局、病院で手当てをされるはめになった
あと少しで神経まで到達していたらしく、危うく右手が動かなくなるところだったらしい

なんにせよ、しばらく右手が使えないのは事実だ

それよりも問題は……


マミ「……どういうことですか」

「わ、私に聞かれても……」


病室の前で杏子の母親に詰め寄っている彼女たちである


マミ「聞かれても、って……あの子は怪我をさせられたんですよ!?」

ゆま「マミおねえちゃん、ここは病院だよ」

マミ「っ……そうね……」


ゆま「それで、おにいちゃんはどうしてあんなことになったの?」

「だ、だから……」

ゆま「わからないのなら分かる人を連れて来て、そうでないなら邪魔だから消えて」

モモ「……」オロオロ

杏子「……アタシから話すよ」

マミ「あなたは……」

杏子「アタシは佐倉杏子……アイツを怪我させたヤツの娘だ」

マミ「そう、あなたが……私は、巴マミ」

杏子「なるほどね、アンタが……」

ゆま「……名前なんてどうでもいい、何があったの?」

杏子「それは……」


キュゥべえ「少し説得の仕方を失敗しすぎただけさ」ガラッ

マミ「キュゥべえ……」

ゆま「おにいちゃん!」


抱きつき、心配そうな顔でこちらを見上げるゆまの頭を撫でる


ゆま「……大丈夫?」


キュゥべえ「右手がしばらく使えないだけだよ……みんな大袈裟だなあ」

マミ「大袈裟、って……あなたねえ……」

キュゥべえ(……さて、どうやって誤魔化すかな)

ゆま「おにいちゃん」

キュゥべえ「ん?」

ゆま「ありのまま、洗いざらい話して――誤魔化そうなんて、させないよ」

マミ「それくらいは、わかってるわよね」

キュゥべえ「………………はい」


杏子「……ごめんな」

キュゥべえ「今回のことは、明らかに僕の自業自得だけどね……二人とも、少し彼女と話をしていいかい?」

ゆま「……」

マミ「……」

キュゥべえ「……すぐ終わるよ」


―屋上―

キュゥべえ「やれやれ……後が怖いよ、これじゃあ」

杏子「……ごめん」

キュゥべえ「君のせいじゃないよ。 ところで、これからどうするんだい?」

杏子「ああ……実は寮に入ることになったんだ」

キュゥべえ「寮?」

杏子「うん……おふくろがいろいろやっててくれてたみたいで……そこから学校に通うことになった」

キュゥべえ「へえ……学校付属の寮ってことか」

杏子「うん……それでさ、もう会えなくなるかも知れないから、お礼が言いたくて」

キュゥべえ「なるほどね……ところで、どこの学校だい?」

杏子「なんだっけな……」



杏子「見滝原学園、とか言ってたな」

後少しのレスで終わるのに出掛けなければならないし3Gは規制されてるし

もうやだ

マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの魔法少女全員生存ワルプルギス撃破 誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって

てとす


―翌日―

杏子の一件もとりあえずは収束し、いつものように登校することになる


マミ「本当に大丈夫なの?」

ゆま「無理してない?」

キュゥべえ「いや……心配しすぎだよ」

キュゥべえ(左は使えるんだし……)ガチャ

杏子「……よう」

マミ「あなたは……」

キュゥべえ「杏子……? どうしてここに?」


モモ「モモもいるですよっ!」ギュッ

ゆま「……」ムッ

キュゥべえ「君たち、どうして……っとと」グイッ

ゆま「……」ギュゥ

モモ「……」

キュゥべえ「あの……足にしがみつかられると歩けないんだけど」

杏子「オマエが手に怪我をしたのは、アタシのせいだからな……」


キュゥべえ「気にしなくていいのに」

杏子「だから」


杏子が僕の腕に、その小ぶりな胸をおしつけるように絡みつく


杏子「アタシがアンタの日常生活の世話をするよ」ニコッ

キュゥべえ「……いやいや」

マミ「その必要はありません」グイッ


反対側には、中学生とは思えないほどに育ったマミの胸の感触


マミ「うちのキュゥべえは、私たちで世話をします」


杏子「うちの……?」ピクッ

マミ「ええ、うちの」フフッ


杏子「……」ギュッ

マミ「……」ムニュッ


キュゥべえ「……いや、動けないんだけど……」


ゆま「……」ギュゥ

モモ「……」ギュギュッ


ゆま「……おにいちゃんはゆまのおにいちゃんなんだけど」

モモ「知ってます」

ゆま「じゃあ、なんであなたみたいなのがくっついてるのかな?」

モモ「くっついちゃいけないなんて法律はありませんが」

ゆま「……あ?」

モモ「……ふふ」


キュゥべえ「いや、あの……」


さやか「おおう……これは何というか……」

まどか「……ふーん」

ほむら「……」

キュゥべえ「ああ、ちょうどいいところに……何とかしてくれないかな?」

さやか「いや……どうにもならないでしょ。 ねえ?」

ほむら「……」

キュゥべえ「そう言わずに……」

ほむら「……変態」プイッ

キュゥべえ「いやいや、その反応は理不尽じゃないかい?」

ほむら「しらない」スタスタ


キュゥべえ「はあ……」

まどか「……」

キュゥべえ「まどか、君なら何とか……」

まどか「べーだ」

キュゥべえ「いや、あの……」

まどか「ふんっ」スタスタ

さやか「頑張りなよ、色男」スタスタ

キュゥべえ「……えっと…………」


杏子「……」ギュゥギュゥ

マミ「……」ムニュムニュ

モモ「……」ムギュッ

ゆま「……」ググッ


キュゥべえ「………………わけがわからないよ」


結局その日は、仲良く遅刻するはめになった

ハーレムすぎる


そして、昼休み

杏子「キュゥべえ、あー「佐倉さん」」

マミ「あまりキュゥべえを甘やかさないでね……」ニコリ

杏子「そういうアンタこそ、ソイツの口元にやろうとしてる手は何なんだい?」

マミ「私はいいのよ、昔から彼の世話をしてきたから」エッヘン

キュゥべえ「……」

マミ「はい、キュゥべえ、あー「はむっ」」

マミ「……」

杏子「いやー、あまりにうまそうだったから食べちゃったよー」


マミ「……ええ、キュゥべえのために用意したものですから」ニコッ

杏子「へー、じゃあたまには休んでもイイんじゃないかな?」ニコッ

仁美(ほう、これはこれは……)

マミ「……ふ、ふふふ、面白いことを言うのね」

杏子「……はは、よく言われるよ」

キュゥべえ(……左手でも食べられるんだけどなあ)

QBのやってるゲームについてはちゃんと明かされるのか


ほむら「……」チョイチョイ

キュゥべえ「ん?」

ほむら「……これ」

キュゥべえ「君まで……」

さやか「ほほう、ほむらさん一歩リードかな?」

ほむら「!」ビクッ

マミあん「「!」」

ほむら「っ……」ヒョイパク

キュゥべえ「……」

ほむら「な、何もしてませんよ……」アハハ

さやか「なんだー」

ほむら(こいつ……)

仁美(ちょっと参加してみたい……)

わかめェ…


まどか「きゅーべー」クイクイ

キュゥべえ「なんだい? ま「ほいっと」むぐっ」

キュゥべえ「……」モシャモシャ

あんまみほむ「「「!?」」」

さやか「さすが我が嫁、やりおる」

まどか「ふふん」フンス

キュゥべえ「……きゅっぷい」ゴクン


マミ「……」

杏子「……」

ほむら「……」

マミ「きゅーべー」

杏子「ほらほらー」

ほむら「ご飯だよー」

キュゥべえ「……君達は僕をなんだと思ってるんだい?」


さやか「ほむらさんも参戦とな?」

マミ「……へえ」

ほむら「……じょ、冗談ですよ」アハハ

さやか「なんだ、残念」

ほむら(この青いの……活け造りにしてやろうかしら)

仁美(空気ですわー)モシャモシャ


キリカ「何だ、餌付け大会でもしてるのかい?」

織莉子「……何なのこの男女比率」

さやか「あれ、白黒生徒会コンビじゃないっすか」

織莉子「その呼称はどうにかならないのかしら……」

キリカ「キュゥべえ、君は男の友達はいないのか?」

キュゥべえ「いないよ」

キリカ「私と同じだな!」

織莉子「やめなさいキリカ」


◇◆◇


中沢「おい………………どういうことだよ」ガタッ

恭介「これもきっと今後の伏線……」

中沢「えっ……もしかして俺ルート……?」キュン

恭介「中沢……」

中沢「上條……」

恭介「ずっと待ってんだろ? 他の誰でもなく、他の何者でもなく、お前自身が主人公になれるルートを!」

中沢「ああ!」

恭介「だったらそれは、始まらねえ!」バキッ

中沢「ごはぁっ!?」

恭介「……まあ、友情を深めるイベントがあるんだろう」

中沢「なんで殴ったの? ねえなんで殴ったの?」


◆◇◆

>中沢「えっ……もしかして俺ルート……?」キュン
ねーよ


織莉子「まったく……転校生二人も加えて、ハーレムでも作る気なのかしら」ハァ

マミ「まさか……ねえ?」

杏子「男なんだから、そういう願望があってもいいと思うけどね」

キリカ「織莉子がハーレムに入るなら私も喜んで参加するぞ」

織莉子「どうしてそうなるのかしら……」

キリカ「私も織莉子も彼には世話になっているからね」

織莉子「私は妾や愛人になる気なんてさらさらないわよ」


さやか「正妻なら?」

織莉子「あら、それは巴さんの役割だと思うけど?」

杏子「……」

マミ「……そっ、そうね、うん、そうよ」

キュゥべえ「別に僕はマミとそう言った約束を……」

マミ「ふぅん……」

キュゥべえ「……いや、なんでもない」

杏子「おい……どういうことだよ」

ほむら「でも巴さんとキュゥべえって、どっちかというと姉弟って感じですよね」ニコッ

仁美(牽制してる……)

キリカ「たとえ血の繋がった家族でも、愛さえあれば何とかなる!」

織莉子「ならないわよ……子孫も残しにくいし」


杏子(子孫……ねえ)

杏子「……なあ、キュゥべえって性欲あるのか?」

マミほむまど「「「!」」」

さやか(確かに……)

仁美「あら……///」

キュゥべえ「あるに決まってるじゃないか、一応僕も人間だよ?」

ほむら「変態だもんね」

キュゥべえ「えっ」

キュゥべえ(ほむらを怒らせるようなことをしたっけな……)

>>451
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」668からの分岐改変が起きない平行世界
もし改変が起きない平行世界のマミがシャルロッテに死ななかったら OR マミ死亡後にまどかが願いでマミ、QBを蘇生
魔法少女全員生存ワルプルギス撃破 誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって



杏子「……そ、そっ、か」

マミ「じゃ、じゃあ、あの時も……その……」

キュゥべえ「あの時?」

マミ「私が風邪を引いた時よ……あの時、その、ずっと抱いててくれたでしょ?」

さやか「なんという爆弾発言」

織莉子「風紀が……」クラッ

>>455
マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの魔法少女全員生存ワルプルギス撃破書いてくれたらそれはとってもうれしいなって



キュゥべえ「風邪で寝込んでいる君を襲う程、理性がないわけではないよ」

マミ「そ、そっか……その、反応しなかったわけじゃないのよね?」

キュゥべえ「………………まあ、ね」

仁美「……ある意味では羞恥プレイですわね」

まどか(マミさんなら……仕方ない、うん)

杏子「……」

マミ「そっか……えへへ///」

マミ「も、もしキュゥべえが良かったら……今度は……」ゴニョゴニョ


杏子「それじゃあ、アタシの体じゃ反応しなかったってわけだ」

キュゥべえ「……君達は僕に何か恨みでもあるのかい?」

杏子「いいから答えろ」ムスッ

キュゥべえ「いや、それは……」

まどか「ストップ、どうして杏子ちゃんまで?」ムッ

杏子「こいつと寝たからに決まってるじゃん」

マミ「……ふぅん」


さやか「せいとかいちょー、とてつもない爆弾発言してるよー


織莉子「私は何も聞いてない、聞いてないのよ」


まどか「……ずるい」

仁美「……まあ、少し羨ましくもありますね」

ほむら(……全然羨ましくないもん)

まどか「ずるいずるいずるい! マミさんはともかく、何で杏子ちゃんなの!?」

キュゥべえ「いや、色々と理由があるんだよ」

まどか「わたしもキュゥべえになでなでされながらぎゅっとしてもらってぐっすり眠りたい!」ブンブン

ほむら(なでなで……ぎゅー……)


キリカ「うん、抱き心地はよさそうだな」

織莉子「もうやだ……」


キュゥべえ「……わかったよ、また今度ね」ハァ

まどか「やったー♪」

杏子「……むう」

仁美「わ、私も……」

マミ「志筑さん……?」ニコッ

仁美「じょ、冗談ですわ……」

ほむら「……」

ほむら(……べ、別に期待してないもん)


さやか「ところで、白黒生徒会コンビは何しに来たの?」

織莉子「やっとまともな話ができるみたいね」ハァ

キリカ「ああ、そうだった」ガサゴソ

キリカ「これを見よっ!!」バッ

杏子「なんだその……ちらし?」

キュゥべえ「見滝原バーニングナイト……わけがわからないよ」

マミ「三週間後に行われる学園祭のこと? でもなんでこんな名前に……」

織莉子「キリカが、ね……」ハァ


キリカ「ふふふ、よくぞ聞いてくれた。 今日はこの学園祭についてじっくりと説明しようと思ってね」

キリカ「実はこの学園祭は恋愛を成就させる効力があるのだ!」

さやか「なんだってー」

織莉子「……という設定にして盛り上げよう、というわけよ」

キリカ「愛は無限に、有限に! 激しく燃え上がるもの! 」

マミ「ああ……それで」

な、なんだってー(棒)


キュゥべえ「それで、結局何が言いたいんだい?」

キリカ「愛は無限に「はいはい」」

キリカ「割り込むなー!」ウガー

織莉子「キュゥべえ、あなたがその実行委員に選ばれたのよ」

キュゥべえ「遠慮しとくよ、そういうことに興味はないし」

織莉子「強制よ」

キュゥべえ「……わけがわからないよ」



キリカ「頭脳明晰容姿端麗運動神経抜群、推薦しない手はないじゃないか」

織莉子「……実際は、素行の悪い女たらしの不良少年の監視をしておけ、ということよ」

キュゥべえ「心外だね。 監視されるようなことはしてないと思うんだけど」

織莉子「毎日女子とっかえひっかえ校内で行為に及んでいるとか、実は裏社会の関係者だとか、変な噂が多数あるのよ。 あなたには」

キュゥべえ「…………わけがわからないよ」

マミ「……これを機に、態度を改めたほうがいいと思うわ」

キュゥべえ「……」

さやか(敬語使ってるの見たことないしなあ)


織莉子「そしてついでに、あなたが誰か特定の子とくっついてくれれば、万々歳というわけよ」

マミ「……」

杏子「……」

まどか「……」

ほむら「……」

さやか「死者が出ないことを祈るよ」

仁美(ちなみに私のルートもありますわよね)

キュゥべえ「ますますわけがわからないよ」


キュゥべえ「後三週間で、誰かと恋仲になれだなんて……」

安定のさやか


攻略可能ルート

>巴マミ
>佐倉杏子
>暁美ほむら
>鹿目まどか
>志筑仁美
>千歳ゆま
>美国織莉子
>呉キリカ

これ以上書くことがないのでこれで終わり
長くかけてすまんかった

要はこのSS自体が実は恋愛ゲームのデモみたいなもんだったんだぜ!っていうこと
ぶっちゃけ元は安価スレだったんだぜ!っていうこと
これ以降はどう考えてもR18(G)な展開だということ
頭がティロティロが最近流行りつつあれということ


織莉子ちゃんが何でいるのかとかは製品版でどうぞ

※製品版の発売は未定でさ

>>488
おい…
おい

なにはともあれ乙

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