淡「新設校に入学…?」[淡マイナーカプ] (445)

注意

このスレは以下のように進行致します。

・基本的に百合の話

・エロシーンが有る場合があります(その場合該当シーンは酉を変更します)

・大星淡が新設校に入学し、何故かその学校にいるヒロインとイチャイチャするIF物

・毎話ヒロインを変更するオムニバス形式(一話十レス弱程度の予定)

・一つ一つの話は全て別次元での物語

・そのためマイナーカプが多くなります

・麻雀描写はフレーバー程度、闘牌は書けません

・地の文有り

・更新は週一で行う予定

・雑談はご自由に

>>1が飽きたら終わり

とりあえず初回なので導入と2話とおまけを投下いたします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383391411

[導入]
淡「え?入学する高校変わるの?」

父親から急に突きつけられた事態に淡はしどろもどろしている。

淡「転校先はとある県とある高校?」

聞いたこともない学校名にさらに理解が追いつかないようだ。

淡「白糸台高校に合格したと思ったらまた受験しないといけないの?」

いわゆる転入試験のことだろう。しかし受験免除かつ学費免除の特待生での入学の話しが来ていることが告げられる。

淡「なんで私が?」

友人のツテで頼られた旨を告げられる。

淡「仕方ないなぁ…」

淡「ま、王者への挑戦者ってのも悪くないかもね」

少し獰猛な笑みを浮かべながら荷造りを始めるのであった。

さてさて、大星淡にはどのような高校生活が待ち受けているのでしょうか。

[小瀬川白望の場合]
白望「ダル…」

授業終了のチャイムの音を聞き、一気に力が抜けたように両手足を投げ出し、思いっきり背もたれに体重をかける。

その光景にクラスメイトは微笑ましい目線を向けている。もはや見慣れたいつもの光景であるからだ。

小瀬川白望にとってだらける時間は至福の時間であり、かけがえの無いものであった。

少し前までは気が済むまでだらけられた。

しかしとある時期からだらける時間は短くなっていった。

淡「白望ー!」

大星淡に目をつけられたからだ。

勢い良く開けられたクラスの扉にクラスの視線は集まるが、淡の姿を確認するとまたか…といった様子で視線をそらす。

白望「淡、いつも言ってるけど、ダルいからもう少しゆっくり静かに来て…」

と、首だけ淡に向け言い放つ。

淡「えー、いーじゃん」

淡「そのほうが白望も元気になるし!」

不満気に言う。改めるつもりがないことは明らかだろう。

白望(厄介なのに目を付けられたなぁ)

事の発端は麻雀部で淡と打った時に遡る。

強い1年生が入部したと話があり、その1年生と1軍メンバー数人と打つことになった。

白望(すぐに噂になるくらいの腕か…ダル)

軽くその1年生の牌譜を見てみるが多少運がいいかなと思うがそれだけだった。

白望(まあ打って見ればわかるかな…)

部室のソファでくつろいでいると、その1年生を連れてきたようだ。

モブ「大星さん連れてきたよー」

1軍A(以下A)「ご苦労様、邪魔しちゃって悪いわね、それと大星さんよろしくね」

淡は品定めするような目で周りを見渡す。

淡「ふーん、この程度なら一気に私が部内ランキング1位になりそうですね」

挑発的な言葉に皆眉を寄せる。

1軍B(以下B)「口は周るみたいね、でもビッグマウスは後で恥をかくわよ」

唇をひきつらせながら答えると、淡は歪んだ笑みを浮かべ、

淡「それなら早速始めましょうよ先輩?」

A「じゃあメンツは私とBと…」

そして辺りを少し見渡し、

A「シロお願いしていい?」

白望「ダル…」

そう言いつつもソファを立ち、雀卓に座る。

淡「先輩そんなんで大丈夫?最初から負けムードじゃん」

淡の中では白望の纏う雰囲気は負けムードのようだった。

B「これでもシロはうちのエースだよ、甘く見ちゃいけないよ」

無駄に先輩風を吹かせようとしているBに淡は顔を顰める。

少し口の悪い後輩だなと思っていた空気は対局が始まると同時に吹き飛んだ。

淡の連荘が止まらない。

淡「ロン!ザンクの3本場で4800ね」

B「…はい……」

白望(ダル…こういうタイプか…)

白望は淡を相手の配牌を五向聴にする力だと判断した。

そして淡自身は普通に早上がりを狙って打っているだけだと。

白望(ん…ならなんとかなるかも)

次の局白望が動く。

4巡目、

白望(んーここでマヨイガが見えたか…)

8巡目、淡がツモり、待ち牌がこなかったのか少し表情を歪ませ牌を切ると、

白望「ロン、7700」

8巡目くらいならまだ余裕があるとどこか油断していたのだろう。淡が振り込む。

淡「ふーん、少しは打てるのもいるじゃん」

その後東場は白望の独壇場だった。

淡「やるじゃん!いけてんじゃん先輩!」

淡いは目をキラキラさせながら白望を見つめる。

白望「小瀬川白望、シロでいいよ、みんなそう呼ぶし」

淡から攻撃的なオーラを感じたのか白望は少し辛そうな顔をする。

A,Bはもはやついてこれないのか、カタカタと恐怖に震える。

淡「こんなに早く本気を出すつもりなかったけどしょうがないよね」

淡の髪がぶわりと巻き上がり、辺りを支配するオーラを発する。

白望「ダルいけどこっちも本気で当たる」

その対局の結果、白望は淡に懐かれた。

結果として安息を約束された白望のだらけ時間は失われた。

白望「ダルイ…部室までおぶって」

無茶を言えば少しは離れると思ってこのような無茶を頼むと淡は甲斐甲斐しく受け入れてくれた。

淡「えー、白望は仕方ないなぁ」

淡が背中を白望に向け腰を低くして白望を待つ。

白望は淡の好意に甘えて淡の背におぶさる。

部室への道すがら、淡は今日授業であったことや、昼食が美味しかったなど話しかける。

白望は最低限の相槌しか打たないが、これもいつもの光景だった。

しかし今日は少し思うところがある白望から話を振る。

白望「なんで淡はこんなに私を甘やかせてくれるの?」

淡「好きになったから」

少し笑いながら間髪入れずに淡が答える。

白望「えっ?」

淡「あっ!?」

思いがけない言葉に驚いた白望と、思わず口を滑らせた淡が固まる。

ハッとした白望は思わず淡の背から降りてしまう。

その行動に淡の目に涙がたまる。

淡「こんなの気持ち悪いだけだよね…」

淡「ごめん今日は部活休む」

そのまま淡は走っていってしまう。

白望「待って!」

その言葉は虚しく廊下に響き渡り反響していく。

[淡視点]
あーあ言っちゃった。

ずっと秘密にするつもりだったんだけどなぁ。

最初はライバルになって欲しかっただけだったのに…

私生活がダルダルの白望を見て、シャンとして欲しかった。

私のライバルになるなら、ちゃんとしていないと私のプライドが許さなかった。

だから無茶ぶりに答えて、頑張った。

…でもそれがだんだん楽しくなってきた。

一緒にいる時間が増えて、白望を見るとドキドキするようになってきた。

だらけている時、麻雀を打つ時、一緒に登下校する時、ずっと一緒にいて見てたから…

これが恋心だと自覚したのはつい最近だけど、多分本気だと思う。

でもでも、女の子同士なんておかしいよね…

白望があんなに機敏に動いたのは初めて見たし、警戒されたってことだよね…

やだやだネガティブになるなんて私らしくないや。

あーでも次会った時どんな顔すれば良いいんだろう…

風、気持ちいいな…

[白望視点]
やってしまった。こんなことしたらこうなるに決まってる。

淡はどこへ行ったのだろうか…?

とにかく謝らなければ。

でも謝ってどうするんだろう?

いきなり告白されたんだよね?

自分の頬が熱くなるのがわかる。

落ち着こう、まず自分の気持ちを確かめてみようか…

大星淡、とある高校麻雀部1年生。

オカルトじみた能力を使う雀士でとても強い。

私のお世話をよくしてくれる後輩で、最近ではそれに甘えきっている。

ルックスは抜群によく、スタイルは…スレンダーで綺麗だと思う。

私をおぶったりしているせいか、筋肉ついてきたかもと愚痴ってたっけ。

でもなんだかんだで、最近は淡とばかり一緒にいるね。

ん…ちょっとタンマ

ああ、迷う必要すらなかったじゃん。

私の選ぶ道は…

ガタンと屋上の扉が開かれる。

淡「よくここがわかりましたね、シロ先輩?」

目を赤くした淡が他人のように言い放つ。

白望はここまで走ってきたのか息を切らせている。

淡「先輩がここまで頑張るなんて珍しいですね」

白望「言いたいことがある」

淡が両手で耳を塞ぐ。

淡「あー聞きたくないです」

淡「放っておいてください」

白望はゆっくりと淡に近づき、両腕を握る。

淡「聞きたくないんだってば!」

淡はその手を振りほどこうと暴れるが予想以上に白望の力は強い。

白望「淡と一緒にいるのはダルくない」

その答えの意味を測りかねているのか淡はポカーンとしている。

淡「んっと…意味わかんないよ」

白望「つまり私も淡と同じ気持ってこと」

照れたように頬をかきながらも白望は淡を見つめる。

淡「おかしくない?女の子同士だよ?」

白望の言葉に涙を流しながら答える。

白望「ん…男とか女とか関係ない、私は淡が好きだ」

夕陽が照らす屋上には2つの影、その2つの影は重なり合い、そのまましばらく離れることはなかった。

それからというもの白望と淡はいままで以上にベッタリとくっついていた。

朝は一緒に登校し、部活には白望をおぶってやってっきて、部活が終わると手を繋いで下校する姿が目撃されている。

めんどくさがりでだらけやの白望は淡のアパートに入り浸るようになる。淡の家に置いてある私服も段々と増えてきている。

そんなとある週末。

外に出たがらない白望はもっぱら家デートだ。

しかし淡も嫌がらない。二人でいるこの緩やかな空気が好きだから。

白望「ところで淡」

淡「どしたの白望ー」

白望「初めから私を名前で読んだのはなんで?」

当初から感じていた疑問を口にする。

淡「んーみんながシロって呼ぶんでしょ?だから少しでも私を意識して欲しくて…」

消え入りそうな声で答えると、

白望「ん、おいで」

と手招きし、太ももの上に座らせるとおもむろに頭を撫で始める。

淡も気持ちよさそうにし、時折ふきゅーと声を漏らしている。

淡「どうしたの急に?」

白望「淡が可愛いのが悪い」

淡「エヘッそっか私がかわいいかー」

淡「んじゃあかわいいついでにちゅーしよー」

白望「ダル…くないや」

二人の唇が重なる。

潤んだ目で見つめ合う。

幸せな時間を過ごす休日、二人の思いはもう消えることはないだろう。
[終わり]

こんな感じで1話完結の話を書いていく予定です。

シリアスで厨二ばかり書いてたから、イチャラブを書くのが楽しいです。

なんだかんだで、淡は気に入った人になら尽くすタイプだと思います。

それでは2話目をどうぞ。

[東横桃子の場合]
午前中の授業の終了のチャイムが鳴る。学食へ行こうと大星淡は教室を飛び出す。

道すがら前方の黒髪の少女が財布を落としたのを目撃する。

淡(学食急ぎたいけど見ちゃったならしょうがないよねー)

淡は財布を拾い上げながら声をかける。

淡「ちょっとー財布落としたよー」

前方の少女は振り返りもしない

淡(あれ?聞こえてないのかな?)

淡(もう、あんまり手間かけさせないでよー)

淡は仕方なく黒髪の少女の肩を叩く。

黒髪の少女「ヒャッ」

黒髪の少女は驚いたのか素っ頓狂な声をあげる。

その声に周囲も驚いていた。ただし声に、ではなくそこに急に人が現れて驚いた様子ではあった。

驚いたのも束の間、すぐに見失ったようにスタスタと歩き出していた。

淡「あの…落としましたよ?」

淡は財布を差し出すと、黒髪の少女は驚いたように目を丸く見開きながら淡の目を見つめる。

黒髪の少女「変なこと聞きますけど、私が見えてるっす?」

淡(電波さんかな?なにそれ超おもしろそうじゃん)

内心ちょっとウキウキしながら返答する。

淡「はぁ、普通に見えてますけど」

淡「もしかして幽霊!?」

黒髪の少女「いやいや、足あるっすよ、もしかして足だけ見えない超常現象っすか!?」

淡「んー全身ちゃんと見えてるよ、影が薄そうだなぁとは思うけどねー」

そう言い、もう一度財布を差し出した。

黒髪の少女「あ、ありがとうっす」

桃子「私1-Bの東横桃子っす、お礼にお昼おごるっすよ」

淡「へー、隣のクラスじゃん!私は1-Aの大星淡だよ」

淡「じゃあ学食へレッツゴー」

学食に着いた二人は日替わり定食を注文し、席に着く。

淡「それで、モモが見えないってどういうこと?」

桃子「えっと、モモって私のことっすか?」

淡「んー?嫌だった?」

桃子「いやいやとんでもないっす、今まで渾名なんてつけてもらったことなんてないんで感動っす」

目を少しうるませながら淡を見つめる。

その興奮具合に淡は少し引き気味だ。

桃子「えっと私が見えるかってことっすよね」

咳払いをして桃子が切り出す。

桃子「私って体質で人よりも影が薄いっす」

桃子「それでより人と関わらなくなって、更にその体質が悪化して今では私から何か仕掛けないとほとんど人に見つからなくなったっす」

淡「んーでも私からはしっかり見えてるんだよね」

淡はサラダを食べながら不思議そうに答える。

桃子「そこっすよね、今までそんなことはなかったっす」

そこに淡の友人らしき娘が話しかけてくる。

モブA「大星さん今日は一人?珍しいねー」

淡が桃子に目配せすると桃子は少し俯いていた。

桃子「大星さんは友達と食べるといいっすよ」

消え入りそうな声で桃子は答える。

淡(そんな事言われたら無理に決まってるじゃん!)

淡(まぁ言われるまでもなく今日はモモと食べるって決めてるもんね)

淡「今日はここで食べたい気分なの」

モブA「んー?変なのー、いつでもこっちに来ていいからね」

といって別の友人のもとに行ってしまった。

桃子「いいんすか?誘われてたっすよ」

淡「そんなの気にしないでよ」

淡「今日はモモとの日なの」

とにっこり笑う。

桃子「今日が初対面っすよ?」

淡「それがどうしたの?」

桃子「お互いのこと全然知らないっすよ?」

淡「だから、それがどうしたの?」

首をかしげながら不思議そうに答える。

淡「だってもうモモは友達でしょ?」

その言葉にモモの目が潤む。

淡「えっ?なに?泣かないでよモモ、どうしちゃったの?」

桃子「友達が…グスン…できるのなんて…グス思ってなかったっす」

淡(やっぱりモモって超面白いじゃん)

淡(周りが普通の奴らばっかりで退屈だったんだよねー)

淡「なら私が友達第一号だね、特別にあわあわと呼ばせてあげよう」

冗談めかしながら偉そうにすると。

桃子「うれしいっすあわあわ!」

その言葉に淡は羞恥のためか顔を赤く染める。

桃子(本当に言われるとは思ってなくて恥ずかしがってるっすね)

桃子「どうしたっすかあわあわ?」

桃子「あわあわ?」

桃子「あわ」

淡「あー!今のなしで!普通に名前で読んで!」

遮るように淡は叫ぶ。

桃子「分かったすよあわあわ」

淡「フンッ」

と首を横に向けると桃子は慌てて、

桃子「ごめんっす」

と少ししょぼくれて謝罪する。

淡「淡!」

桃子は不思議そうに首を傾げる。

淡「名前で呼んで」

桃子「了解っすよ、淡」

そう言うと淡は嬉しそうに食事の続きにとりかかる。

[桃子視点]
今日はとっても嬉しい事があったっす。

なんと私に友達が出来たっす。

入学式から今までできなかった私が急に出来たっすよ!天変地異っす!

なんとその人は私が普通に見えるらしいっすよ。驚天動地っす!

なんか気分もいいし今日はネトマでにっくきアイツに勝てる気がするっす。恐悦至極ってこれはちょっと違うっすね。

PCを起動し、お気に入りから全国的に普及しているネトマのサイトにアクセスする。

メッセージ:peachさんが入室しました

peach:こんにちはっす

bigstar:今日もやられにきたんだね

peach:今日は負けないっすよ

bigstar:いいよ、適当な卓に入ってよ

…いつもの通り私は惨敗したっす。

良かった気分が一気に冷めたっすよ…

bigstar:今日も私の勝ちだね、バイバイ

メッセージ:bigstarさんが退室しました

ああ、もう悔しいっす。

淡も麻雀部らしいっすから淡に教えてもらったほうがいいっすかねぇ…

それにしても友達かぁ…

ベットに飛び込み枕に顔を埋め淡の事を思い耽る。

ああ、金髪が綺麗で、ちっこくて、ちょっと偉そうで、でもそんなところがからかいやすくて…

もう、淡のことばっかり考えちゃってるっす。

しかたないっすよね、うん開き直ることにするっす。

変になってしまったわけじゃないっすよね?

その後交流を重ねた二人は家に遊びに行く程度には仲が良くなった。

今日は淡が桃子の家に遊びに来ていた。

淡「結構綺麗じゃん!」

部屋に入るやいなや部屋を見渡しながら淡は呟いた。

前日に必死になって部屋掃除をしたのは言うまでもない。

桃子「そんなにジロジロみても面白いものなんてないっすよ」

ジュースを運んできながら桃子は答える。

淡「んー面白いよーそれにモモの匂いがするー」

桃子「えっ?わたしそんなに臭うっすか…」

淡は桃子のベットに飛び込み、、

淡「んーんいい匂いだよー」

桃子「そんなこと言われると照れるっすよ…」

淡「もーモモは可愛いんだからもっと自身持ったほうがいいよ」

桃子「か、可愛い…」

淡(やっぱ褒められ慣れてないなぁ)

淡(コロコロ表情変えて楽しいなー、ってん?)

淡はつけっぱなしのPCに目を向ける。

そこにはネットマージャンのサイトが開かれていた。

淡(あ、あれ?このプレイヤーネームpeachって…)

淡(やばいやばい、私がいつも煽ってるやつじゃん…)

淡(きまずー)

淡(今度から少し手を抜いてあげよう…)

桃子「PCがどうしたっす?」

桃子「やっぱり麻雀部としては麻雀に興味津々っすかね?」

桃子「そんなに強くないから成績見られるのは恥ずかしいっすよ」

淡(いやいや強くないって、私以外には余裕で勝ててるじゃん!)

桃子「それにこのbigstarってやつにいつも負けるんっすよ…」

淡「へ、へ~そんなことより何かしようよ」

露骨な話題転換に桃子は少し首を傾げるが、

桃子「そうっすねー…」

別の日淡の家に桃子がやってきた。

桃子「淡いらしい部屋っすねー」

淡「可愛いでしょー」

と自信満々に淡は答える。

桃子「うん可愛いところがいっぱいっす!」

桃子「友達の家に来るなんて初めてなんで嬉しいっす」

淡(地雷っぽいからそんな話題振らないでよー)

淡「ちょ、ちょっと飲み物取ってくるね」

淡がキッチンまで行っている間に、

桃子「よし、部屋探索っす!」

桃子「現代っ子なら見られたくないものはPCにあるっすよねー」

とスタンバイ状態のPCを起動させる。

桃子に目に入ったのはいつも見ているネトマのページ。

プレイヤー名は当然bigstarだ。

桃子(えっ?)

桃子(淡がbigstar?嘘っすよね)

桃子(って直訳で大星じゃないっすか…なんでいままで気づかなかったんすかね…)

ログを辿るとpeachとの対戦履歴もあれば、チャットの履歴も残っている。

桃子(淡がうちに来てからたまに勝てるようになったのってそういうことっすね)

そこまで考えると淡が帰ってくる。

淡「お待たせー…はぁっ!?」

予想外の事態に声が漏れる。

淡(見られた?)

桃子「淡、お願いがあるっす」

淡「ごめん、あやまる」

桃子「なんで謝るっす?」

淡「だってチャットでひどいこと言っちゃったし…」

桃子「関係ないっすよ?」

桃子は首を傾げる。

桃子「ネトマでは手を抜かないで欲しいっす」

淡「怒らない?」

桃子「ネットで態度が変わるなんてよくあることっす」

桃子「淡がそのパターンでも怒ったりしないっすよ?」

桃子「むしろ意外な一面が見れてうれしいっす!」

桃子「でも手を抜かれるのは嫌っす」

淡は少し涙目だったが、

淡「わかった、次から本気でやる」

と気持ちを強く持ち、涙は流さなかった。

淡「でもこんな私でも軽蔑したりしない?」

桃子「もう、何度も言わせないで欲しいっすよ」

桃子「私と淡は友達じゃないっすか」

淡「モモ…」

桃子「これからもいっぱい楽しいことするっすよ」

桃子は考えるようにし、

桃子「夏にはプールに行くっす!」

これからの予定を考える。

桃子「秋には山に行くってのもいいっすね」

あっけに取られていた淡だったが、

淡「えー山は疲れるからやだー」

桃子の将来設計に乗ることにしたようだ。

桃子「たまには運動もいいっすよ?」

淡「秋なら焼き芋でもしようよー」

桃子「おっ、いいっすね」

桃子はさらに加えるように、

桃子「冬には温泉にもいくっすよ!」

淡は少しポーズをとり、

淡「私のナイスバデーで悩殺されるんじゃない?」

桃子「いやいや、スタイルなら負けないっすよ」

そんな事を話していた二人はこれからも仲を深めるだろう。

いずれは親友と呼べる存在となるだろう。

…ちなみにその日の将来設計は日が暮れるまで続いたそうだ。
[終わり]

桃子は愛情ルートに行くより友情ルートが似合う気がします。

愛情を持つと途端にストーカーする未来しか見えない…

でもまあ、おまけとして恋愛ルート。

[桃子恋愛ルート>>19から分岐]

桃子「だって私は淡が好きだから」

淡「はへ?」

急な事に淡は変な声をあげる。

淡「一応聞くけどそれってどういう意味での好き?」

桃子「もちろん付き合いたいって意味の好きっす」

桃子は頬を染めるが、自信満々に言い放つ。

淡「んー…」

淡は少し考えるようにしたが、食いつくように

淡「私のどこ好きになったの?」

桃子「全部っす!」

淡「即答かーやっぱモモっておもしろいね」

淡「うん今決めた」

淡は満足そうに頷き、

淡「私のパートナーはモモしかいない!」

桃子は衝撃を受けたように、

桃子「えっそれって…」

淡「付きあおうよモモ」

桃子は耐え切れなくなったのか、涙をながす。

桃子「う゛、嬉しいっす!!」

淡「これからもよろしくね、モモ」

少し時間が立ち、桃子が落ち着くと、

桃子「まだ淡から、好きって言葉聞いてないっす」

と少し恨めしそうに目を向けて話す。

淡「もう、わかってるからいいじゃん」

と照れながら答える。好きという言葉は恥ずかしいのだろう。

桃子「嫌っす、聞きたいっす」

淡「はずい!」

桃子「そんなことないっす」

キラキラした目で淡を見つめ続けると。

淡「そんな目して…一回だけだからね」

桃子は変わらず見つめ続ける。

淡「好きだよモモ」

桃子「私も大好きっす」

と言って淡に抱きついた。

相性のいい二人だこれからも仲睦まじくあり続けるだろう。
[終わり]

モモ編は以上です。

こっからもおまけです。

R-18のですので苦手な方はこの酉をNGにしてください。

白望との情事のシーンです。

[白望さんとの性事情]

白望は淡の家に泊まりに来ていた。既に淡の家にパジャマはもちろん色々なものを運び込んでおり、同棲と変わりがなかった。

そして、淡と毎日一緒に寝ていると性欲が溜まってくる。

白望(やっぱり淡が可愛すぎるのが悪い)

淡「白望ーお風呂空いたよー」

バスタオルを体に巻いた淡がお風呂から出てきたようだ。

そのまま化粧台に座り、淡は髪を乾かし始める。

白望「手伝うよ」

白望は淡の後ろで髪を梳きながらドライヤーを当てる。

白望(ああ、いい匂い…)

大分乾かしきった時に白望の動きが止まる。

淡「どしたの?」

何も言わずに白望は淡に後ろから抱きつく。

淡「もーお風呂入った後だよー」

白望「ごめん我慢できない」

強引に淡を振り向かせ、白望の唇が淡の唇に重なる。

一度目は軽く触れる程度。

二度目も軽く触れる。

我慢できなくなったのか、三度目は淡の方から口をつける。

ねだるように舌で白望の唇を撫でる。

淡の期待に答えるように白望も舌で淡の舌を絡める。

ピチャピチャと音を鳴らしながらお互いの唇を、舌を貪る。

淡「ン…ア…ハァハア」

息が苦しくなったのか一度顔を離す。お互いの唇から見えるつながった糸がアーチを描くように伸びる。

少し息を整えるとどちらからともなく再び唇を合わせる。

再び絡み合う舌と舌に白望は満足気に頬を染める。

唇周りをお互いの唾液で濡らしながら、顔を離す。

白望「淡、好きだよ」

淡は恥ずかしそうに顔をうつむかせ、ベットを指さす。

白望「ん…わかってる」

淡をベットに運ぶとバスタオルを脱がし、産まれたままの姿の淡を見つめる。

白望「やっぱり淡は可愛い」

淡は少し不満そうに、

淡「どうせスタイルは白望よりわるいですよ」

淡はそう言って白望の胸を揉み始める。

白望「ン…気持ちいいけどちょっとタンマ」

白望「服、脱ぐから」

淡は少し悪そうな笑みを浮かべ、

淡「脱がせてやるー」

勢い良く服をまくり上げる。白望の黒のブラジャーが顕になる。

淡「あ、そのブラって」

白望「淡が似合うって言ってくれたから…」

淡は少し鼻息を荒くし、

淡「ん、じゃあ下もー」

そう言ってスカートのホックに手をかけて外すとストンとスカートが床に落ちる。

淡「やっぱり似合ってるよそのセット」

白望の黒色のパンティーを目に淡は褒めちぎる。

ひとしきりその姿を堪能した淡は下着を脱がせ始める。

淡「んふふ、これでお揃いだね」

白望「ん…」

そのままの姿で二人は抱き合い、そのままベットに倒れこむ。

そのままキスを交わす。

白望「淡、あったかいね」

淡「そりゃお風呂あがりだし…ン」

白望が淡の胸に唇をつける。

淡「ン…アッ…ンン」

白望「気持ちいい?」

淡「ン…いい」

気持よさそうに淡は答える。白望の攻めの手は止まない両手で淡の胸を揉みながら、首筋にキスをする。

淡「白望…ア…好き」

白望「私も好きだよ、淡」

淡の体を撫でまわし、舌を這わせ、どんどんと刺激していく。

しかし性器には手をつけずにじらしていた。

白望「淡、可愛い」

淡「白望も…ン…綺麗…アン…だよ」

白望は淡の手を取り、自分の性器に当てる。

白望「淡が可愛すぎてこうなった」

白望の性器はしっとりと濡れており、手にした淡のてからは愛液の糸が引いているのが見えた。

淡は手を自分の口元に持って行き、指を一本一本丁寧になめとる。

淡「ン…白望のいい」

まるで打ち合わせでもしていたかのように、淡はゆっくりと動き白望と位置を入れ替える。

そして、淡の乳房と白望の乳房をこすり合わせる。

淡「アア…ン……ン」

白望「ン……いい」

そして淡は白望の性器に顔を近づける。

白望「ヒャッ」

舌でペロッと舐めあげるとらしくない嬌声をあげる。

淡「白望のいつ見ても綺麗」

白望「アア…イイ…ッ…」

白望「もっとぉ…ン」

淡「わかってるよ白望」

陰核に舌を這わせると白望の喘ぎ声がいっそうと大きくなる。

なめたまま、指を這わせる。

指を曲げ膣内にも刺激を与える。

白望はもはや切羽詰まったようにシーツを掴み大きな喘ぎ声をあげる

白望「ウウ、アァ…ハァ…イイ」

淡は一心不乱に手と舌を動かしていると、

白望「ダメ…アァ…イク…」

白望の性器が痙攣し多様にピクピクと動き、淡の指を締め付けあげ潮が吹き出て、淡の顔を濡らす。

淡「もうイッちゃったの?」

白望「淡ぃ…」

フフッと余裕ぶって淡は笑い、白望と再び口付けを交わす。

白望「淡も気持ちよくなって」

そう言うと白望も淡の性器に口をつける。

淡「ウゥ…ア、アア…負けないもん」

直接的な刺激をようやく受け、淡はビンカンになっている様子だ。

いわゆるシックスナインの体勢となり、淡も再び白望の性器に口をつける。

舌を愛液で濡らし、クリトリスを舐めあげ、ビラビラした部分も優しくこすり、膣内を刺激する。

淡「アァン…ンア…ン、ン、いいよ白望もっともっと」

白望「ウァ…アァ、もっと」

お互いに高まりあった体を求めるように、体勢を変え、お互いの性器をこすり合わせる。

白望「淡の、気持…ア…ちいいぃ」

淡「白望を、ン…感じるよぉ」

クリトリスが擦り合わされるたびに気持よさそうな声が高まる。

やがて、

淡「ア…イキソ…ンンンン…アアァ…イクッ…アアアア…ダメ…、白望ぃ一緒にぃ」

白望「ン…アン…私もイクッ」

お互いに絶頂を迎える。

上がった息を整えるている間、裸の二人は抱き合い、隙を見て唇を重ねあわせていた.

場所は変わってお風呂場、

淡「んもー白望はいつも強引なんだからー」

白望の背中を洗いながら愚痴る。

白望「ごめん」

淡に背を洗ってもらい、心地よさそうにしながら、また多少の罪悪感もあるのか白望は謝罪する。

淡「でもそんな白望が好きなんだけどねー」

白望「淡はそうやってすぐに恥ずかしいこと言うね」

淡「そんな淡ちゃんはダルイ?」

白望「ん…そんなのはない」

白望「淡といればダルくないよ」

淡「白望、だーい好き」

白望「淡、好き」

精神的にも肉体的にも支えあう二人はきっと最高のコンビであり、道に迷うこともなくなるだろう。

本日は以上となります。

基本的に投下は週に一回の予定です。

遅筆で申し訳ありませんがこれからよろしくお願いします。

おっと最後酉変えてなかった。

本日は以上となります。

基本的に投下は週に一回の予定です。

遅筆で申し訳ありませんがこれからよろしくお願いします。


あわいい

こんにちは今週分投下いたします。

今回のお相手は三尋木プロこと咏ちゃんです。

>>32-33 ありがとうございます。
マイナーカプで百合スレなんで、レスなんてつかないだろうなと思ってました。もし少しでも気に入っていただけたのならこれからもよろしくお願い致します。

[三尋木咏の場合]
清潔な空間に牌を打つ音が響く。

ここは雀荘、とある学校のそばにあるお店でノーレートで健全な店だ。

その雀荘に最近とても強い女子高生雀士が入り浸っていると噂が流れる。

その噂を聞きつけたテレビ局がその雀士にインタビューするところからこの物語は始まる。

えり「ここがその噂の雀荘です、情報によると本日例女子高生雀士がいるとの話です」

カメラが回り、台本通りの台詞を読み上げる。

えり「本日は私針生えりと、アドバイザーとして三尋木咏プロにお越しいただきました」

咏「どーもー、今日はよろしくねん」

着物を見事に着こなし、扇子を片手に持ちながらカメラ目線に挨拶をする。

いきなりの砕けた口調に呆れ顔のえりであったが、

えり「では早速入店してみましょう」

雀荘の扉をくぐる。

咏「おぉ、最近の雀荘は綺麗だねー」

カウンターにいる店主に挨拶をすると店主は親指でとある雀卓を指し示す。

えり「どうやらあの卓に噂の雀士がいるようですね」

えり「早速対局を拝見してみましょう」

その卓にカメラを向けると金髪の女子高生-大星淡-が振り返る。

えり「こんにちは、○○TVの針生えりです、インタビューをさせていただきたいのですが、対局を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」

淡「んー?私もテレビに取り上げられるくらい有名になっちゃったかー」

嬉しそうにニヤニヤとした笑みを浮かべている。

満更ではなさそうだ。

淡「もちろんオッケーだよ」

対局をしている人も頷く。

淡「テレビに映るのなら最初から本気でいこうかな」

対局が始まる。

淡「リーチ」

東1局、いきなり淡のダブルリーチから幕が開ける。

咏「すっげーいきなりダブリーだよ、まじっすかー」

咏は扇子をパタパタとさせながら無邪気に笑う。

えり「ダブルリーチとは珍しいですね」

咏「でもあの娘にとってはそうでもないみたいだねー」

咏は淡の表情からダブルリーチをし慣れていることを察したみたいだ。

えり「どういうことですか?」

咏「んーわっかんねー」

そう答えるとえりは顔を顰めるが、咏は意外と真剣に対局を見ていた。

淡「カン」

えり「ここでカンですか?」

咏「ドラに期待するなら有りだねぃ、それ以前に自分があがる自信があるんだろうねぇ、知らんけど」

淡「ツモ」

順調にあがり牌を引き入れ、ツモで上がる。

えり「ダブリーのみですよね、まあ十分でしょうか」

咏「それで終わるのかな、知らんけど」

えり「えっ?」

淡は裏ドラをめくる。

咏「うっひゃーモロ乗りだよ」

えり「一気に打点があがりましたね」

次局、

淡「リーチ!」

えり「またダブリー!?」

咏「わっかんねー」

その後他家が飛び、淡がえりの方に向かって歩いてくる。

えり「お、お疲れ様です」

咏「おっつかれー」

淡「ンフフーすごいでしょう私の実力」

えり「え、えっと噂の女子高生雀士の大星淡さんにインタビューを始めたいと思います」

淡「ドンドン質問してくださいね」

淡は調子に乗りながらえりに答える。

えり「まずはこの雀荘によく来ているということでしたが、どうしてでしょうか?」

淡「んー部活のみんなじゃ相手にならないから相手を探してからかなー」

淡「それに学校から近いし、綺麗だからね」

咏「確かに大星ちゃんの実力じゃあ相手を探すのはなかなか難しいかな、知らんけど」

咏の言葉に違和感を感じるのか、えりは少し首を傾げるが仕事を優先したようで、

えり「では次に…」

しばらくインタビューを続けた後に、対局についての話になる。

えり「毎局ダブルリーチを掛けていましたが、よくあることなんでしょうか?」

淡「私が本気を出したら毎局だよ」

淡「なんてったって私の実力は高校100年生級だからね、これくらいわけないんだよね」

咏「毎局とかすっげー」

咏は扇子をいじりながら笑って答えるが、淡はその目が少しも笑っていないことに気づく。

淡(なんか感じ悪いなぁ…)

淡(私何かしたかな?んー分かんない)

その後の咏のコメントはテレビ用の飾ったコメントをしているのだと淡は感じた。

えり「それでは、本日はありがとうございました」

カメラも録画を終え、撤収準備を始めた。

淡「三尋木プロ!ちょっといいですか?」

咏「んーまあいっか」

そう言いテレビ局の人達に向かい、お疲れーと気軽に挨拶をした後に淡と向き合い、

咏「ここじゃちょっと話しづらいだろ?せっかくだし夕飯でもどうだい?おごるぜぃ」

淡はすぐに話しがしたいのか少し眉を寄せたが、

淡「わかりました、でも絶対話しを聞いてもらいますからね」

咏「女子高生に言い寄られるなんて私もまだまだ捨てたもんじゃないねぇ」

咏はとても楽しそうには見えるが、どこか影を感じる。

そして、咏に連れられて中華料理屋にやってきた。

適当に注文を済ませると咏の方から切り出した。

咏「私に話があるんだろう?」

淡「三尋木プロの本音が聞かせてもらえないですか?」

咏「さっきのインタビューの時話したのが本音だぜぃ?」

淡「嘘だ…じゃなくて嘘ですよね」

咏「話しづらいなら敬語はいらないよ」

淡「さっきの全然目が笑ってなかったもん」

淡「むしろ何か言いたいことが有りそうな感じだったよ」

咏は少し驚いた様子だったが、また楽しそうに笑い、

咏「結構観察力有るんだねー、さっすが高校100年生」

咏「そんじゃあご要望に応えて、本音で話させてもらうよ」

咏「なんでそんな舐めた麻雀打ってるんだい?」

その言葉が癪に触ったのか、テーブルを叩きながら、

淡「私が麻雀舐めてる?」

淡「私は麻雀だけはいつだって真剣に向き合ってる!」

咏「ごめんごめん言葉が悪かったかねぇ、知らんけど」

言葉では謝罪しているが悪びれる様子はなさそうだ。

咏「大星ちゃんの力で配牌で聴牌するのは私も素直にすげーって思うよ」

さらに言えば、相手の手配を五向聴にしている。

咏「でもねぃ、手配をそこまで支配できるならなんで天和とか地和しないんだぃ?」

あがり牌は山の角の向こう側に置いておく。

咏「私…というかプロから見たら舐めてるようにしか見えないぜ」

淡「だって、だって…」

淡は俯いていたが、しっかりと咏の目を見て。

淡「そんなの楽しくないじゃん!」

咏は目を丸くする。

咏「楽しい?ああそっかそういうことか懐かしいねぇ」

咏は一人納得するように頷く。

咏「そこが私との考えの差か…、知らんけど」

咏「プロは勝つ為に麻雀を打つ、大星ちゃんは楽しんで、楽しませるために打つ」

咏「そういうことだったんだね」

どこか遠い目をしながら呟く。

咏「わるかったねぃ嫌な気分にさせちゃってさ」

口調は軽いがしっかりと頭を下げる。

淡「あわわ、そんな、えっと、頭上げてよ」

突然の行動に淡は慌てるが、心配そうな視線を咏に向ける。

淡「なんかよくわかんないけど、なにかあった?」

咏「あったちゃあったけど、高校生に愚痴ることじゃない」

淡「やだ」

頬ふくらませながら、プイッと首を振る。

咏「いやいや、やだって子供じゃないんだから」

淡「子供じゃないなら愚痴ってもいいじゃん、そんで大人じゃないっていうならわがまま言うよ」

咏は扇子を額に当て、考えるようにしていたが、

咏「いやー参った参った」

少し寂しそうに笑いながら答える。

咏「最近ちょーっと調子が悪くてねぇ」

咏の話をまとめると、近頃麻雀を打つと思ったように打てなくてイライラしていたらしい。

プロの世界は甘い世界ではなく、勝つために自らを殺し対策を練る。

咏「それでも勝ちを無理やりにでも取りに行く打ち方にイライラしちまったのさ」

淡「でもよく見ないとわかんないからテレビじゃわかんないと思うよ」

咏「そこは、プロだからねぃ」

私情は出来るだけ押し殺すよと付け加える。

そして咏は扇子をテーブルに置く。

淡「ねぇ、三尋木プロは麻雀やってて楽しい?」

咏「今は楽しくないね」

咏は即答する。

淡「昔は楽しかったんでしょ?」

咏「そうだねぇ」

咏「初めて役満あがった時とか、嬉しかったなぁ」

淡「きっともっと前だよ」

咏「わっかんねー、どういうことだい?」

淡「初めて打った時だよ」

咏「初めて?」

淡「打ち始めるきっかけがあったはずだよね、のめり込むきっかけがあったはずだよね」

淡「麻雀を好きになった理由があるはずだよね」

熱くなってきたのか口調が高まる。

淡「今は楽しくなくても好きじゃなきゃ続けられるはずないもん!」

懐かしむように、思いを馳せる。

咏「…そっか、私は麻雀が好きなんだ」

咏「わっかんねー、どうして当たり前のことをわかってなかったのかわっかんねー」

頭をくしゃくしゃとしながら咏は頭を抱える。

淡はとびっきりの笑顔で続ける。

淡「好きな事なら楽しくやろうよ」

淡「その過程で勝ったり負けたりするのは当たり前なんだからさ」

咏「勝って当たり前じゃなくて、楽しむか…」

咏「久しく感じてないことだよ」

咏「ありがと、大星ちゃん」

淡「ンフフ、もっと私を頼ってもいいんだよ」

咏「いい場面でしまんないねぇ」

そして呟くように、

咏「また頼らせてもらうかもね」

淡には聞こえなかったのか、首をかしげている。

淡「何か言った三尋木プロ?」

咏「いんやー、それと私の事は咏でいいぜぃ」

数年後

アナ「決着!!!!」

解説「三尋木プロは倍満を1位の○○プロに直撃させて見事世界戦への切符を獲得いたしました」

アナ「三尋木プロは一時期調子が低迷していましたが見事に復活を果たしましたね」

解説「ええ、でも昔の調子のいい時と今では顔つきが違います」

アナ「と、いいますと?」

解説「以前は勝ちに貪欲でしたが、今では麻雀を楽しんで打っているように見えます」

その時解説席に中継が入る。

えり「えー解説席、解説席、優勝者の三尋木プロにお越しいただきました」

優勝の興奮冷めやらぬ会場で針生えりが三尋木咏に対し勝利者インタビューが始まった。

えり「最後は見事なあがりでした、今はどのようなお気持ちですか?」

咏「いやー楽しかったし嬉しいよん」

えり「世界戦の切符を掛けた緊張感のある試合でしたが緊張とかはありましたか?」

咏「んー私は麻雀を楽しんでるだけだぜぃ、世界戦の切符はその副産物でしかないよ」

咏「贅沢言えば対局者の3人も楽しかったって言ってもらえると嬉しいね」

えり「では最後に今後の意気込みについて一言お願いします」

咏「私の麻雀を世界に魅せつけてやるぜぃ」

えり「以上三尋木プロでした、ありがとうございます」

純粋な気持ちで麻雀に挑む咏ならば世界の壁を超えられるだろう。それが語られるのはまた別の話。

控室に入ると淡が咏に飛び込んで来た。

淡「咏ー優勝おめでとー」

咏「おっ、淡ー来てたんだ」

淡「そりゃ咏の大舞台だしねー来ないわけ無いじゃん」

淡の言葉に咏は嬉しそうではあるが、照れ隠しのように、

咏「でも私のせいで単位落としたとか言ったらだめだかんね」

淡「う゛っ」

咏「うひゃー留年とかまじっすかー、留年だよ留年ー」

淡「ま、まだギリギリ大丈夫だもん」

と冗談めかしく答えるが、実際単位は余裕だったりする。

咏「ねー淡ー」

淡「なに?」

咏「頑張った私にご褒美とかないの?」

淡「フフフ、そう来ると思って準備してたよ」

淡は鞄の中から小奇麗に梱包された小さな箱を取り出す。

咏「えっ?マジで?」

思ってもなかった展開に思わず素に戻る咏であった。

淡「開けてみて」

咏が頷いて、丁寧に梱包を解くと淡い金色の髪留めが入っていた。

淡「咏の髪留め傷んできてるみたいだったからね」

淡「淡ちゃんの髪と同じ色の髪留めだよ」

淡「世界戦までは応援に行けないかもだからせめて、私の代わりに連れて行って欲しいな」

咏「…」

咏の目に涙が溜まっていく。

淡「あわわわ、泣くほど嫌だった?えっと、どうしよう」

咏は涙声で、

咏「わっかんねー、嬉しいのになんで涙が出るのかわっかんねー」

淡「そっか」

親愛を重ねた二人にもう言葉はいらないだろう。これからも親友としての時間を重ねていくことだろう。

余談ではあるが、雰囲気のせいで控室に入るに入れないアナウンサーの姿があったとかなかったとか。

咏ちゃんわっかんねーかわいいです

咏ちゃんも恋愛ルートというより、友情を育む方が似合ってると思います。

でもおまけとして恋愛ルート書きました。

この世界では同性婚が認められてるってことでお願いします。

[>>44から分岐]
淡「ん、じゃあご褒美」

と言って、淡は咏の頬にキスをする。

相談したり、遊んだりと二人の時間を重ねるうちに恋人と呼び合う仲に発展していた。

そんな咏だが、不満そうな顔を浮かべる。

咏「こんだけかい?」

淡は反論をしようとするが、咏は淡を手繰り寄せ、

淡「ン…ンン…ジュル…プハッ」

淡の唇に自らの唇を重ねていた。

咏「ごちそうさまー」

と扇子で口元を抑え、頬を赤らめながら答える。

咏「まあ、ご褒美とかなくても世界戦の切符を掴んだら私から伝えたいことがあったんだよね」

淡も顔を赤くしながら、首を傾げる。

咏は鞄から小箱を取り出す。

その箱を開けるとその中に指輪が入っていた。

おそらくは淡の左手の薬指に丁度のサイズだろう。

咏「ここまでこれたのは淡のおかげだよ、感謝してる」

咏「わ、私はいろんなことがわっかんねーけど」

咏「淡への好きって気持ちが本物だってのはわかる」

咏「結婚しよう淡」

緊張のためか、少し咏の手が震える。

淡の目から涙が溢れる。

そしてゆっくりと指輪を受け取り、自らの指にはめる。どの指かは言うまでもないだろう。

淡「うん、結婚する!」

そしてそのまま、抱擁を交わし合う。

しばらくそうしているとノックの音が響く。

咏「どうぞー」

淡は少し距離を取り咏と離れる。

えり「失礼します」

そう言って、ツカツカと淡の方へ歩み寄ってくる。

咏「どうしたの?えりちゃん」

咏の言葉には応えずに淡と向き合う。

えり「淡さん、三尋木プロのことよろしくお願いします」

えり「二人でお幸せになってください」

咏「うっそ…聞いてたんだねぃ」

咏は少し驚いていた。

淡「うん、約束する」

えり「ならよかったです」

険しい顔つきだったえりの顔に笑顔が戻る。

えり「三尋木プロ、改めて優勝おめでとうございます」

えり「…それと結婚式には呼んでくださいね」

えり「…では失礼します」

えりが退室した後気まずい空気が流れる。

その空気を払拭するように咏は話し始める。

咏「えりちゃんとはね、昔付き合ってたんだ」

咏「それで例の荒れてた件で一方的に振ったんだよね…」

咏「えりちゃんには悪いことしちゃったかな」

淡「大丈夫だよ、咏」

淡「えりさんにも分けてあげられるくらい幸せになればいいんだよ」

淡「それくらい大事にしてくれるよね?」

咏はキョトンとしたが、

咏「フフ…今夜は寝かさないぜぃ」

パタパタと扇子を振りながら答える咏に、それにつられて笑う淡。

二人の世界はここから始まる。その旅路はきっと幸福が詰まっていることだろう。

以上になります。こんな感じで週に一本書き溜めて投下していきます。

来週は奈良に行く予定があるので、阿知賀の誰かになると思います。

まったりとよろしくお願いします。

かわええなぁ、乙!

乙~
マイナーカプものは接点のなさそうなキャラ同士がどう接近するのかっていう楽しみがあるね

乙乙
荒れてるけど気にすんなよ!!

マイナーカプも時々見るとすごくいいよね

しずー

乙!
がんばれ

期待

こんにちは今週分投下いたします。

今回のお相手は松実宥さんです。

>>49 ありがとうございます

>>50 それが楽しくて書いてます。

>>101-102 ありがとうございます。ジャンルや題材的に荒れるのは覚悟の上でスレ立てたのでご心配なさらずに。

>>101 マイナーカプの需要は少ないかもしれないですが、細々とやっていきます。

>>103 あわしずは果たしてマイナーなのか…?

>>104 ありがとうございます。細々と頑張ります。

>>105 ありがとうございます。ご期待に応えられるかどうかはわかりませんがチマチマやっていきます

[松実宥の場合]
ゆさゆさと体を揺らされ、大星淡は目を覚ます。

担任「よう、よく眠れたか大星」

そこにはこめかみ辺りに血管を浮かべる担任の姿があった。

淡「アハハ…おはようございます…」

淡はその姿に冷や汗を浮かべながら愛想笑いを浮かべる。

担任「部活が大変なのはわかるが、授業はちゃんと受けなさい」

担任「それとお前さっきのLHRで環境委員になったから今日の委員会にはでろよ」

淡「ハーイ…」

返事を受けた担任は満足したのかそのまま踵を返す。

淡(面倒くさいなー、サボっちゃおうかな)

そう考えていた淡だが、担任に説教されるビジョンが容易に浮かんできたので素直に指示に従うことにした。

淡(ええっと環境委員の場所は…)

放課後、委員会が開かれる教室へ向かうと淡が一番乗りだった。

淡(んー待つの退屈ー)

そんなことを考えていると大きなあくびをする。

淡(昨日遅くまでネトマしてたから眠いなー)

淡(始まるまで時間有るだろうしもう一眠りしようっと)

適当な席に座り机に突っ伏すとそのまま寝息を立て始める。高い位置に有る太陽が眠気を誘うようだ。

ゆさゆさと体をゆらされ、大星淡は目を覚ます。

この光景に身に覚えがある淡はとっさに意識が覚醒し、

淡「ひぃ、ごめんなさい」

とっさに謝罪していた。

そこにいたのは担任の姿ではなく。

淡「マフラー!?」

室内だというのに厚着をしている少女の姿だった。

宥「ええっ?」

少し大きな驚きの声を聞き、淡は首を傾げ、

淡「マフラーが喋った!?」

淡(ん?でもこの声って?)

淡の視界にはどうやらマフラーしか映っていなかったようだ。

宥「人間だよ~」

マフラーを少しずらし、顔を大きくのぞかせる。少し体を震えさせ、寒そうだ。

淡「おっとすみません先輩」

タイの色から上の学年の生徒だと理解した。

宥「んーん、大丈夫だよ」

そう言ってマフラーをもとの位置に戻す。

宥「私、松実宥」

淡「大星淡だよー」

宥は微笑みながら、意味ありげな視線を淡いに向ける。

その視線に気づかない淡は外を見て首をひねる。

淡「ってあれ?もう夕方…」

陽はもう沈み始め室内をオレンジ色に染めていた。

淡「委員会は!?っていうかまた先生に怒られるー」

淡は頭を抱えていた。

宥「大丈夫一つ係を決めないといけなくて、空いてた所に入れられただけだから」

宥「それでね、温室係私と一緒に決まったの」

宥「よろしくね淡ちゃん」

淡「温室係?なにそれ?」

頭の上に?マークを浮かべながら尋ねる。

宥「学校裏にある温室のお花のお世話をする係だよ」

淡「お花!?楽しそう!」

宥「お仕事も教えるから案内するよ」

おっとりとした口調で答え、教室の扉へと足を運ぶ。

宥「ついてきて」

少し歩き、温室にて、

淡「わーすっごい」

興奮した様子の淡が温室の中ではしゃぐ。

宥「あったかーい」

こちらも恍惚の表情でいた。

淡「でも少し暑いかもー」

少し不満気になる。

宥「そうかな、私はあったかくて気持ちいいよ」

淡「それは宥先輩が寒がりだからですよー」

宥「そうだよね…」

少し伏し目がちになる。

淡「でもでも、それって個性的でいいと思いますよ」

宥「そ、そうかな?」

淡に褒められて少し顔を赤くする。

宥は一度咳払いをし、

宥「じゃあお仕事の説明するね」

温室係の仕事は基本的にお昼休みと放課後に植物に水をあげること、汚れが目立つようなら軽く掃除をすることだ。

淡「すっごい簡単!」

宥「それで当番なんだけど…」

宥の言葉を遮るように淡が口をはさむ。

淡「せっかくだし一緒にやろーよ、宥先輩?」

上目遣いで淡が尋ねる。

温室の気温のせいか、それとも他に原因があるのか宥の顔が赤く染まる。

宥「あったかいよぉ」

宥の呟きに淡はよくわからずにポカーンとしている。

宥「淡ちゃんが大変じゃなかったら私はいいよ」

淡「マジで!?じゃあよろしくお願いしまーす」

宥は淡を見つめながら優しく微笑みを浮かべていた。

淡「せっかくだし、宥先輩のオススメのお花教えて欲しいなって」

宥「うん、じゃあまずね…」

そのまま温室の植物の説明を始めた。

聞く方の淡も話す宥もとても楽しそうだ。

その中で淡を見つめる宥の目は温かいというより熱い視線を送っていた。

大星淡と松実宥はこの日が初コンタクトではあったが、松実宥は一方的に大星淡の事を知っていた。

麻雀部の次期エース、インハイ活躍の立役者ではなく一人の少女として。

そのエピソードは少し前に遡る。

休日に松実宥が散歩をしていると路地の裏から怒鳴り声が聞こえた。

宥が気になって路地を除くとそこには一人のチャラチャラした男が女子二人を脅迫しているような現場であった。

宥(あったかくない…)

クズ男「おい金髪、邪魔すんなよ、俺はこっちの娘に話してんだよ!」

一色触発の事態になっていた。

金髪の少女-大星淡が-一人の少女をかばうように立っていた。

淡「もっと誠実にやる方法があるんじゃないの」

淡「こんな所に連れ込んで乱暴するとかありえないよ!」

少し震えているが真正面から男を睨みつける。

クズ男「俺はちーっとその娘に付き合ってもらいたいだけなんだよね」

その言葉にもう一人の少女はビクッと体を震わせ縮こまる。

少女「ヤダヤダ」

クズ男「あぁん!ヤダじゃねえぞ糞が!」

淡「もう諦めてよ!」

クズ男「てめぇもいい加減うぜぇんだよ、かんけーねー奴は引っ込んでろ!」

淡「はぁ!?関係なくないし、この娘私の友達だもん」

クズ男「ああ、もううぜぇ」

男が一気に激昂し、拳を振り上げると、

宥「おまわりさんこっちです!!!」

人生で一番大きな声を出したであろう松実宥の声が響き渡る。

その声に男は少し狼狽えたる。

その隙を見逃さなかった淡の髪が少し逆立つ。

合間から宇宙が覗かれるようだ。

淡「ダブル、リーチ!」

謎の掛け声とともに淡は男の股間を蹴りあげる。

股間を両手で抑えながら男はうずくまる。

淡「こっち!」

そう言って少女の手を取り、大通りの方へ走っていった。

男は痛みから立ち直ったようだが、怒りが抑えられていない。

クズ男「誰だ!邪魔しやがった奴は!」

この後に男の背後から姿を表した執事服の男性がクズの男を懲らしめるエピソードがあるのだが、ここは割愛させてもらおう。

松実宥は大声を出した後別の方向へ逃げて行っていた。

息を荒くし、家に着いた宥は床に座り込んだ。

宥(こ、怖かった)

落ち着いたせいか恐怖が急に襲ってくる。

宥(さ、寒い)

年中稼働しているこたつに体を入れるが一向に暖かくならない。

自らが体験したわけではないが、凶暴そうな男の行動に涙が溢れる。

しかしその中に大星淡の姿が思い出される。

宥(あの娘あったかい)

安全圏から見ていた宥でさえ、これほどの恐怖を覚えているというのにそれに対峙していた淡はどれほどの恐怖をもっていたのであろうか。

宥(かっこよかったなぁ)

大星淡の姿を脳裏に浮かべるとそれだけで心があたたまるのを感じる。

宥(なんだろうこの気持ち…)

いつの間にか宥が感じていた恐怖がなくなっているのを感じた。

宥(あったかーい)

その後も宥は学校で淡を見かける度に遠くから目で追っていた。

自分の気持ちがよくわからない宥は友人に相談していた。

宥「それでね、その人のこと考えると心があったかくなるの」

宥「見かけるとずっと目で追っちゃうの」

宥「なんでだと思う?」

その言葉に友人は笑った。

友人「アハハ、なんだなんだ宥にも遂に春がきたのかー」

その発言に宥はよくわかっていないようで、

宥「どういうこと?」

友人「その気持はね’好き’って気持ちだよ」

友人「宥はその人に恋しちゃってるんだろうね」

はっきりとした物言いに宥の顔が赤くなる。

宥「で、でも…」

あの人は女の子だよ…という言葉が喉までかかって、霧散していった。

同性で恋なんておかしい、そんなこと言うおかしい自分を友人にさらけ出せない。

友人「でも?」

そんな勇気のない宥は切り出せない。

宥「ううん、なんでもない私はその人が好きなのかも」

友人「そっか、付き合うことになったら教えてねー」

何かを察したのか、友人は席を離れる。

その日の夜

宥(私はあの人のことが好きなの?)

自問自答をしてみる。

宥(あの格好良さ、あの目、そして何よりあったかい気持ち)

宥(うん、やっぱり私あの人、大星淡ちゃんが好き)

自分の気持ちを確認した宥はその思いに身を悶えさせる。

その気持ちを胸に抱き大事にするように自らの胸に手を当て、

宥(この気持ち大事にしよう)

日本で同性での恋愛なんてしていたら嫌な視線にさらされることだろう。

だからこそ、絶対にかなわない初恋を大事にしようと思った。

叶うことはないけれど、思うことくらいは許されるだろう。

宥(あったかーい)

温かい思いを胸に宥は就寝する。

委員会の日、環境委員に立候補した(温室に仕事として入り浸れるから)宥は委員会の開かれる扉を開く。

そこに淡がいることに驚いた。

その他にはまだ誰もきていないようだ。

教室の外をキョロキョロ見て、まだ誰も委員会に向かってきていないことを確認すると。

淡の横に陣取り、その寝顔を眺める。

宥(こうしてみると、普通の女の子)

宥(綺麗だなー)

顔を淡の近くまで近づける。

その刹那、他の委員の人が教室に入ってくる。

咄嗟に体を離す、入ってきた娘がうん?と首を傾げるが、

モブ「ああ、宥さんも環境委員なんだーよろしくねー」

宥「う、うんよろしく」

モブ「顔赤いよ?大丈夫」

宥「だだだ、大丈夫なんともないよ」

そのまま次々と委員が入って来て会議が始まった。

会議が進み、係の仕事を決める段階になる。

宥「はい、温室係がやりたいです」

そういった宥に周りは

モブs(そうだろうなぁ)

といった共通の思いがあったとかなかったとか。

委員長「他にやりたい人もいないだろうし、隣の寝てる人にもう一人の係をやってもらいましょうか」

宥(えっ?やったぁ淡ちゃんと一緒だ♪)

季節は一気に冬まで飛ぶ。

淡「やっぱりここはあったかいねー」

もはや日課となっている温室での水やりをこなしつつ宥に話しかける。

宥「うん、学校でここが一番好きかな」

淡「私も好きだよここ、宥先輩とも会えるしね」

宥(もぅ、なんでそんなに勘違いさせるようなこと言うんだろう…)

宥「私と会って楽しい?」

淡は少し伏し目がちにし、

淡(……気……伝…………ど、………わ…………ぉ)

淡「そんなこという宥先輩とは楽しくないかなぁ」

淡「でもいつも通りの宥先輩と会うのはめっちゃくちゃ楽しいよ!」

宥(先輩として慕ってくれるってことかなぁ?)

淡は少し遠くを見つめ、

淡「もうすぐ宥先輩も卒業なんだよね」

宥「う、うん」

淡「卒業したらどうするの?」

宥「実家の旅館を継ぐ事になると思うから、大学で経営の勉強をするつもりだよ」

淡「そっか、遠くにいっちゃうんだ」

淡(ヤダヤダ…の……ち…伝……に……た…………)

宥(なんでそんなに悲しい顔するの…あったかくない)

宥「残り時間は短いかもだけど、その分あったかい時間を過ごそう」

淡は目を輝かせ、

淡「うん!そうする!」

さらに時間は飛び卒業式。

卒業式の後宥は淡を温室に呼び出していた。

先に来ていた淡が宥に、

淡「宥先輩、卒業おめでとうございます」

宥「ありがとう淡ちゃん」

卒業式で感極まったのか少し目元を赤くしていた。

淡「それで、用事ってなんですか?」

宥「え、えっとね」

宥(最後だし、好きだって伝えようって決意したけど…)

宥(やっぱり無理だよぉ)

淡「大丈夫ですか?」

淡(こ…で………に……ん……、思……ぶ………………い……?)

宥(やっぱり私には淡ちゃんみたいな勇気はないみたい…)

淡(…………私……………み………知恵………………)

宥「えっとね、ここのお花たちを任せたいなって」

宥(これでいいの…)

宥(この気持は大事にとっておくものだから)

淡「う、うん!宥先輩のこと思って大事にお世話するよ」

宥「それから、向こうに言ってもメールとかするから」

宥「ずっと仲良くしてください」

深々と頭を下げる。

淡「うん、毎日メールするし、電話もするよ」

淡「大学でも頑張ってね宥先輩!」

宥「それじゃあまたね」

淡「…またね」

恋は甘酸っぱいとはよく言ったもので、ここで’二人’の初恋は酸っぱいまま始まる前に終わってしまった。

だがこのほんのりとほろ苦く涙の味がする経験も思い出として刻まれていくだろう。

青春の1ページとして……

というわけで片思いのまま気持ちをしまってしまうエンドでした。

宥姉は意思は強いですが、踏ん切りをつけるのが苦手だと思います。

もう少し同性での恋愛の葛藤があったほうがよかったかなっとか思ってます。

二人の初恋ってのは恋愛ルートでわかると思います。

ではいつも通り恋愛ルートも投下致します。

[>>118から分岐]
淡はかつてのことを思い出す。

宥「私h」

(あの時を思い出すと今でも怖くなる)

淡「ちょっと待った!!!!」

(もっとうまくできたんじゃないかって後悔もする)

宥の勇気を出そうとした発言を遮ると、

淡「その前に一つだけ聞きたいことが有ります」

(他の人に頼るなんて選択肢思い浮かびもしなかった)

宥は黙って頷く。

淡「去年に乱暴な男に襲われてる友達を救ったことがあるんだけど」

(そんな私は馬鹿だから、あの声の人物に憧れた)

淡「その時警察の人を呼んでくれた人がいるんです」

(それが私の初恋)

淡「それって宥先輩ですよね?」

宥「うんそうだよ」

宥「私は勇気がなかったから助けに入ることはできなかった」
淡「私は知恵がなかったから助けを呼ぶことができなかった」

宥「そんな勇気がある人を私は好きになりました」
淡「そんな知恵がある人を私は好きになりました」

宥「淡ちゃん」
淡「宥先輩」

『好きです』

4年後

宥(淡ちゃんと付き合い始めてもう4年か)

宥(淡ちゃんが高校卒業してからあんまりあえなくて疎遠気味…あったかくない)

宥(就職したみたいななのにどこに決まったか教えてくれないし…)

宥(これが倦怠期なのかなぁ)

と深くため息をつきながら、実家である旅館の扉を開く。

玄「お姉ちゃんおかえりー、荷物持つよー」

宥「うんありがとう玄ちゃん」

部屋に荷物を置き、一休みしようとしたのも束の間、

玄「お姉ちゃんに紹介したい仲居さんがいるのです」

宥「うん?従業員の方はみんな顔見知りだと思うけど?」

玄「いいからいいから」

玄はニヤニヤしながら宥を引っ張っていく。

玄はゆっくりと襖を開けるとそこには金髪の女性が着物を来て待っていった。

淡「おかえりなさい宥先輩」

宥「淡ちゃん…なんで…」

嬉しさのあまり宥の目から大粒のナミダが溢れる。

玄「ムフフ、あとは若いお二人におまかせです」

そう言って襖を閉じ行ってしまった。

宥は玄の行動に驚き、泣くどころではなくなり、

宥「玄ちゃーん!!!!」

追いかけようとする宥は後ろから抱きとめられる。

淡「この部屋今日は私達が使っていい事になってるから…」

淡「最近会ってなかった心の隙間埋めよ?」

足りない部分を補い合う二人。

これから世間の風にはさらされることになるかもしれないが、二人なら乗り切ってみせるだろう。

実った初恋はきっと永遠になるから。

…ちなみにこの部屋の電気は朝まで消えることはなかったそうだ。

宥「あったかーい」
[END]

とりあえず今週分の投下は以上となります。

宥の片思いに見せかけた実は両思いってシチュエーションでした。

ちなみに>>117の淡は
淡(……気……伝…………ど、………わ…………ぉ)
→淡(さり気なく伝えたいけど、全然伝わらないよぉ)

淡(ヤダヤダ…の……ち…伝……に……た…………)
→淡(ヤダヤダ私の気持ちを伝えずに別れたくないよ)

>>119

淡(こ…で………に……ん……、思……ぶ………………い……?)
→淡(これでお別れになるんだし、思いをぶちまけてもいいかな?)

淡(…………私……………み………知恵………………)
→淡(やっぱり私には宥先輩みたいな知恵はないみたい)

というような内容になってます。淡いの気持ちがおぼろげに見えるような演出にできていればと思います。

とりあえず三話目投下したんでまとめ表

[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

>>103で穏乃の名前出てるし、今日は時間があるから即興で1話書いてみます。

小話ってことで新設校ではなく、阿知賀が舞台にします。

ちょっとプロット書いてくる。

なんとなくプロット公開
[穏乃小話プロット]
舞台は阿知賀に淡が転校してくるところから始まる。
転校理由:インハイの準決勝で100回倒すと誓ったのでそれを達成するためで、しかも偶然親がたまたま奈良に転勤になった(ご都合主義)
インハイ決勝では咲さんにより全員プラマイゼロにされるという意味不明な行為をされているので引き分け扱い。この描写いるかな?
100勝したら白糸台に帰るつもり。何度も転校できるかって?こまけーことは(ry
結末はラブラブではなくほのぼの仲良しルート。

話の流れ
穏乃のクラスに転校
    ↓
当然麻雀部で穏乃と対局
    ↓
穏乃は仲良くしたいけど淡は意地張ってしまう
    ↓
無理やり山に誘い遊ぶ
    ↓
それがきっかけで部員とも遊ぶようになる
    ↓
90勝くらいした後に淡が手を抜き始める
    ↓
それに気づいた穏乃は淡を問いただす
    ↓
淡の回想:阿知賀のみんなといるのが楽しくなり白糸台に帰りたくない
    ↓
穏乃に説得され、本気で打ち100勝
    ↓
淡阿知賀に残ることを決意
    ↓
ED

入れたいセリフ
淡「高鴨穏乃お前を100回倒しに来た」
穏乃「大星さんと遊ぶんだ!」
淡「なんで私がこんな泥臭いことしないといけないのー」
穏乃「大星さん山っていいよね」
淡「白糸台に帰りたくないよ…」
憧「だったらあんたの答えは決まってんじゃん」
淡「穏乃は私に残って欲しくないんだね、わかった本気で潰す」
淡「だって阿知賀のみんなは私を見てくれるんだもん」

[穏乃小話]
担任「本日は転校生を紹介します」

突然の転校生の知らせにクラスは沸き立つ。

当然高鴨穏乃もその一人だ。

担任「ご両親の都合でこっちに引っ越してきたみたいなのでみんなで面倒見てあげてください」

担任「では大星さん入ってきてください」

穏乃(大星…?大星淡!?)

淡「白糸台高校から転校してきました大星淡です」

淡「インハイで見たことあるかもしれないですけどよろしくお願いします」

お辞儀をして顔を上げると穏乃と目が合う。

淡は少し頬を釣り上げ、

淡「アハッ一緒のクラスだったんだ」

淡「高鴨穏乃!あんたは100回倒す!」

穏乃(え~困ったなぁ…)

淡の人柄のおかげか、一日でクラスに打ち解けていた。

穏乃を除いて…

穏乃が話しかけようとすると敵対的な視線で睨みつけていた。

穏乃(せっかく同じクラスなら仲良くしたいのになぁ)

淡「高鴨穏乃、麻雀部の部室案内してもらえる?」

穏乃(おお、大星さんから話しかけられた!)

穏乃「うん、こっちだよ!」

と穏乃は淡の手を取り走り出す。

淡「ちょ、ちょっとそんなに急がなくても!」

穏乃「善は急がば回れだよ!」

淡「混ざってる、混ざってるよ」

その勢いのまま部室に飛び込んだ。

穏乃「ついたよ、大星さん!」

淡「もーサイアク!なんで私がこんな目に」

と肩で息をしながら淡いは愚痴る。

憧「ちょっとしずー、もっと静かに来れないの?」

玄「あれ穏乃ちゃんの後ろにいる人って?」

灼「白糸台の大星淡…」

少し息を落ち着かせた淡は、

淡「えっと、白糸台から転校してみた大星です」

淡「よろしくお願いします」

穏乃「ちょ、ちょっとなんで私だけ邪険に扱って、みんなには普通なのさ」

淡「決まってんじゃん、あんたは倒す敵だもん」

玄「もう二人は仲良しさんなんだねー」

淡「誰が!」

穏乃(私は仲良くしたいんだけどなぁ…)

淡「さあ、打つよ」

淡「高鴨穏乃はと私は固定ね」

穏乃(うーんまあいっか、これから仲良くなろう)

麻雀描写は省略

淡「まずは1勝!!」

穏乃は麻雀卓に突っ伏していた。

穏乃「ま、負けた。徹底的にやられた」

玄「やっぱり淡いちゃんは強いねー」

淡「ンフフーでしょう伊達に白糸台の大将やってなかったもんね」

憧「しず、大丈夫?」

穏乃「今日はもうダメかも」

淡「それなら私はもう帰ろうかな、お疲れー」

そのまま荷物をまとめ淡は帰路につく。

穏乃「なんで大星さんは私を目の敵にするんだろう」

灼「準決勝で捲れなかったこと相当根に持ってる」

憧「私達には普通だし、どうしようもないわね」

玄「フッフッフ、そこはこの松実玄にお任せあれ」

穏乃は目をキラキラさせて玄を見つめる。

穏乃「本当ですか玄さん!」

玄「簡単なのです」

玄「大星さんを遊びに誘うのです」

冷たい空気が流れる。今は来ていないがどこかの旅館で厚着の少女が寒そうにしていることだろう。

憧「私たちならともかくしずがいるなら無理でしょ?」

穏乃「ううん、そんなことない」

穏乃「大星さんと遊ぶんだ!」

次の休日、チャイムの音が淡の睡眠を妨害する。

淡「んー誰ー」

両親は休日出勤で仕事に出かけていた。

淡「居留守居留守」

しかしチャイムは鳴り止まない。

その行為に頭にきたのか、思いっきり玄関の扉を開く。

淡「朝からうるさい!」

淡「って高鴨穏乃!?」

穏乃はいつもの格好で淡の前にたっていた。

穏乃「大星さん、山に行こう!」

淡「ハァ?なんで私があんたと馴れ合わないといけないの」

穏乃「いいからいいから」

淡「行かないからね」

穏乃「なら私もここどかないよ」

と玄関前に座り込み持久戦の構えを取る。

淡(なんなのこいつ?)

淡「仕方ないなぁ少しだけだからね」

淡「準備してくるからちょっと待ってて」

とりあえずしたくを整え、ジャージを着て淡が出てきた。

穏乃「おー、ジャージ姿も似合うねー」

淡「当たり前でしょ、私は何着ても似合うんだよー」

そして穏乃に連れられ、吉野の山へ向かった。

結果として穏乃に振り回される結果となった淡であった。

淡「なんで私がこんな泥臭いことしないといけないのー」

と愚痴ったところで時すでに遅し、穏乃の案内なしではもう帰ることもできないだろう。

淡「高鴨!ちょっと待ってよ」

慣れない登山に息も絶え絶えだ。

穏乃「ん?あーごめんなさい」

穏乃「ちょっと行くと川がありますからそこで休憩にしましょう」

そして川に到着する。

淡「へー悪くないじゃん」

穏乃「エヘヘ、でしょ?」

淡は気になるのか足元を捲り上げ、靴と靴下を脱ぎ、川に入る。

淡「冷たいけど気持ちいー」

穏乃「奥に行くと結構深いから気をつけてねー」

淡「え?なんて?」

刹那淡は足を滑らせる。

パニックしているうちに少し流され、もはや足もつかない

必死にもがくが、パニックに陥っている淡はどうしようもない。

登山の疲れもたたってか、だんだんと力も弱くなっていく。

穏乃「大星さん!!!」

そのまま川に飛び込む。

そのまま潜ると、淡の下の方から支えるとそのまま岸まで引っ張る。

穏乃「大星さん大丈夫ですか!?しっかりしてください」

穏乃「あーどうしよう」

穏乃「そ、そうだ人工呼吸」

穏乃が淡の口から人工呼吸を始める。

穏乃(キスとか言ってられない)

何度目かの人工呼吸で、淡は咳き込むと同時に水を吐き出す。

穏乃「よかった…」

穏乃「あとは体を冷やさないように」

服を脱がせ、日向に当たるようにする。

穏乃は荷物を持っていなかったが、淡の荷物の中に長袖のジャージとタオルが入っていたので丁寧に淡いの水滴を拭き取り、ジャージを着せた。

数十分後淡は目を覚ます。

淡「う、うーん?」

淡「ここ、どこ?」

穏乃は大泣きしながら、

穏乃「大星さんよかったー」

淡(んーと川で足を滑らせて…)

淡「そっか助けてくれたんだ、ありがとう」

穏乃「ううん、ごめんなさい」

穏乃「こんなことになるなら…」

淡「別にいいよ、私の不注意なわけだし」

淡「それに悪くない経験だよ」

穏乃「でも、でも…」

淡「なら明日お昼おごってよそれでチャラにしてあげるから」

穏乃「そ、それだけじゃ」

淡「私がいいって言うならいいの!」

淡「これでこの話は終わり!」

かなり強い口調で言い放つと、

穏乃「う、うんわかった」

穏乃「でも今日はもう山降りよう」

淡「ん、そーだね」

淡「…次は頂上まで連れてってね」

その言葉に穏乃は目を丸くする。

穏乃(気に入ってくれた!)

穏乃「任せてください!」

淡「その敬語もどきも禁止!あと淡って呼ぶこと」

穏乃「わかった、淡!」

淡はなんとなく満足そうだ。

淡(こんな感覚白糸台にいたときはなかったなぁ)

それからというもの、淡はほかのみんなとも積極的に遊ぶようになった。

憧「しずと山に行ったんでしょ?じゃあ次は私とショッピングの番ね」

憧とショッピングに行ったり、

灼「うちボウリング場だから、割引するよ?」

灼とボウリングをしたり、

玄「うちには温泉あるよ?淡ちゃんのおもちを堪能させてもらうのです」

玄に関しては触れないでおこう。

穏乃「今日も山に行こう」

穏乃とは何度も山に登った。

穏乃「山っていいよね」

淡「麻雀の次くらいにはいいかもね」

淡「今は私の90勝80敗だからね」

穏乃「うわっ数えてたんだ」

淡「100回倒すって決めてたからね」

淡(でも100回倒したらどうなるんだろう)

淡(穏乃との絆が消えちゃうよぅ)

淡の回想

淡『100回リベンジ果たしたら白糸台にかえっていい?』

淡父『残るなり帰るなり好きなようにするといい、私は淡の意見を尊重するよ』

淡『なら近いうちに白糸台に帰ることになるね』

部室にて、

淡「ろ、ロン」

淡(99勝しちゃった…)

淡「きょ、今日は私の勝ちだね、これで99勝」

淡「リーチだよ」

覇気のない声で淡が言い放つ。

穏乃「淡、本気でやってくれない?」

穏乃「手を抜かれるのは正直嫌なんだけど」

少し低い声色で淡を問いただす。

淡「な、なんのことかわかんないよ」

穏乃「ふざけないでよ!」

淡の胸ぐらを掴むとそこに顔を押し付ける。

穏乃「気づかないわけないよ、だって私達友達だもん」

淡「………」

淡「100勝したら白糸台に帰るって言ったら?」

穏乃は驚くが、淡を掴む手を離さない。

穏乃「そんなことくらいで私たちの絆は壊れない!」

穏乃「距離があっても私は構わない」

穏乃「それよりも気を使われる方が嫌だ!」

淡「穏乃は私に残って欲しくないんだね、いいよ全力で潰してあげる」

再び淡の回想

照『淡の’麻雀’は素質があるね』

菫『お前の’麻雀’は強いな、それでこそ白糸台のエースだ』

誠子『私は大星の’麻雀’がうらやましいよ』

尭深『淡ちゃんの’麻雀’はすごい』

憧『淡っておしゃれだよねー』

灼『淡がいると楽しい』

玄『淡ちゃんのおもちもなかなかなのです』

淡『白糸代のみんなは私を見てくれない』

淡『結局私の麻雀だけが必要だったんだ』

淡『阿知賀のみんなは私を見てくれた』

淡『私白糸台に戻りたくないよ』

憧「だったらあんたの答えは決まってんでしょ」

淡「ツモ、天和」

淡の支配が強まった。

淡「これで私の100勝目」

淡「これで私は白糸台に帰るよ」

穏乃「嫌だ!!」

穏乃「やだよぅ、別れたくないよ」

穏乃「さっきはああ言ったけどやだよ」

穏乃の目から涙が溢れる。

憧「ハイハイ茶番はそこまで」

憧が手を鳴らしながら言い放つ。

憧「淡もしずの気持ちを確認できたし満足でしょ」

淡「アハッ憧にはバレてたんだ」

憧「そりゃ、帰りたくないって相談されちゃあ察しぐらいつくわよ」

穏乃「えっ?どういうこと」

灼「本当は帰るかどうかはどっちでも良かったって話」

玄「それと穏乃ちゃんの気持ちを確かめたかったんだよね」

淡「ジャンジャンバラバラ人の気持ちを見透かさないでよ」

淡「100回倒すって関係はなくなったけど私は阿知賀に残るよ」

淡「穏乃が好きだからね」

淡「もちろん穏乃だけじゃなくてほかのみんなもね」

その言葉に皆ほっこりとした表情になる。

憧「淡」

灼「淡」

玄「淡ちゃん」

穏乃「淡!!」

淡「皆、私自身を見てくれてありがとう!」

これから阿知賀の大星淡として名を馳せていくだろう。きっとそこには多くの友達に囲まれていることだろう。
[おわり]

とまあ小話でした。

今日は以上です。

もう少し話を練りたいと思うような展開だったような気がします。

ではまた来週。次は大阪にいる誰かかなぁとか思ってます。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

乙乙

こんばんは今週分投下致します。今回は愛宕絹恵さんです。

今回は淡が積極的になる話です。

>>140-141 ありがとうございます。レスをいただくとやる気が出てきます。

[愛宕絹恵の場合]
淡「ロン、12000で飛びだねー」

麻雀部に入部して、数ヶ月になる。

インターハイでの淡の活躍は華やかであった。ただし部内では圧倒的な実力を恐れられている。

個人戦第四位、宮永照、荒川憩、辻垣内智葉には及ばなかったが1年生にしては大健闘したと言っていいだろう。

一方で団体戦は2回戦敗退。典型的な淡のワンマンチームであったが為にに対策を取られあっという間に敗退した。

それ故に淡は部内で恐れられ排斥された。

現に今回の淡の対局相手もカタカタと震えている。

淡(これでも手は抜いてあげてるんだけどなぁ)

淡(これで挫けずに挑んでくるくらいの気概がないと伸びるものも伸びないと思うんだけどなぁ)

部内ではまた大星がやらかしたのかといった、気まずい空気が流れる。

淡「用事があるのでこれで失礼しますね」

その空気の中にいるのが居た堪れないのか淡は有りもしない用事で部活を抜けた。

なんとなくそのまま帰る気になれない淡はボーっとグラウンドを見つめていた。

野球部やサッカー部やソフトボール部等が所狭しと活動している。

淡(泥だらけになってまで、馬鹿みたい…)

泥まみれになりながら白球を追うものや、スライディングでジャージを汚すもの外でのスポーツで汚れはつきものだ。

淡はそれが気に入らない。

ふとサッカーゴールに目を向ける。

すると女子サッカー部のキーパーが練習をしていた。

水色の髪をした少女だ。

絹恵「もう一本お願いします!」

息を切らせながらキーパーの練習をしている少女が目に止まった。

淡(あんなに頑張っちゃってどうするんだろうね)

淡(あ、防いだ)

なんとなくその少女から目を離せないでいた。

ちらっと少女が淡を見た気がした。

淡(あの顔どこかで見た気がするけどどこだったかなぁ…)

日が暮れて辺りが暗くなっても淡はそこにいた。

部活動をしているものはもはや誰も居ないというのに。

淡(あーなんかもうやる気でないな)

淡(でも、そろそろ帰んないとなー)

絹恵「そんなところでなにしてるん?」

不意に掛けられた声に淡はビクッとする。

淡「んー何もしてないよ」

淡「強いて言うなら世間の厳しさを目の当たりにして途方に暮れてるって感じかなー」

意味がわからないのか絹恵が首を傾げるが、

絹恵「あんた、うちらが部活してる時も見てた娘やよね」

絹恵「もしかしてサッカーに興味あったりせーへん?」

淡は即座に首を振り。

淡「ないない、全く興味ないよ」

少し残念そうな表情になるが、

絹恵「だったらなんでずっと見てたん?」

淡は考えこむように唸るが、

淡「なんでだろう?」

絹恵「いや、うちに聞かれても困るわ」

淡「よくわかんないし、また見に来ていいかな?」

絹恵「いいんちゃう?誰に迷惑かけるわけでもあらへんし」

絹恵「うちは愛宕絹恵、見てたとおりサッカー部のキーパーで2年生」

と言って右手を差し出した。

淡(愛宕?やっぱりどこかで聞いたような?)

淡「大星淡だよ、麻雀部の1年生です」

と言って右手を差し出して握手を交わす。

麻雀部と言った時に絹恵の顔が一瞬歪んだ気がした。

翌日も淡は麻雀部で一局打ち、そのままグラウンドを見に来ていた。

ボーっと見ていると絹恵と目があった。

絹恵も気づいたのかこちらに小さく手を振ってくる。

淡もそれに答えるように振り返す。

それが目についたのかコーチらしき人に怒られていた。

少し気まずそうな表情を浮かべるが、こちらに愛想笑いを向けてきた。

そして日が暮れ部活が終わる。

帰り支度をした絹恵が淡の下へやってきて、ポンっと淡の頭に手をおく。

絹恵「まだおったんか」

淡「なんとなくもう少しで何を考えてるかわかりそうなんですよね」

淡「あとこれ差し入れー」

すっとドリンクボトルを差し出す。

絹恵「えっ?ほんまに?おおきにー、喉カラカラやったんよ」

遠慮無くドリンクボトルに口をつける。

絹恵「薄!!」

中身はスポーツドリンクであった、ただし水で薄められていたが。

淡「スポーツドリンクは原液のまま呑むのはあんまり良くないらしいからねー」

絹恵「えっそうなん?」

淡は得意気に絹恵を見つめる。

淡「ンフフー、私に感謝するんだね」

絹恵「ハハー大星様ですわー」

淡「あわわわ、本当にやるんだ」

そう言うと絹恵は不満そうに、

絹恵「そこは、ホンマにやるんかいってもっとはっちゃけて突っ込むところやで」

淡「ムムム…本場の人は厳しいね」

そう言ってお互いに笑っていた。

そんな暮らしがしばらく続いた。

絹恵がいつものように淡の頭に手を置く。

淡「ん、おつかれさまー」

そう言ってドリンクボトルを差し出す。

絹恵「いつもわるいなー」

そう言いつつも手渡されたドリンクを飲む。

淡「今日で最後だよ」

そう言って淡は立ち上がる。

絹恵「答えって奴が見つかったんか?」

淡「答えは絶対に見つからないってことが見つかったんだよ」

淡「ここで練習してるのは普通の人しかいないみたいだから」

淡「だから多分それに憧れたんだと思う」

絹恵「なんかよくわからへんな」

淡はそのまま後ろを向き、

淡「わかんないならわかんないほうがいいよ」

淡「言い方は悪いけど持つものと持たざるものの違いってやつだからね」

絹恵「なんやそれ、ちょっと感じ悪いなぁ」

淡「ここには持たざるものしかいないから居心地が良さそうに見えただけ…」

淡「でも私は外からしか見ることしか出来ない、だから答えは見つからない」

絹恵「部活で居場所ないんか?」

後ろ姿の淡の表情は読み取れないが、

淡「そうだよ、みんな弱っちぃから私だけが浮いちゃうの」

淡「せめて絹恵みたいにそれでも立ち向かってくるやる気があればこっちもやりやすいんだけどね」

絹恵「うちは麻雀はやらへん!」

絹恵がそんな反応をすると淡は驚いて振り向く。その目は少し赤みがかっている。

絹恵「えっと、すいません」

淡「絹恵は麻雀が嫌いなの?」

絹恵「えっと聞かへんでくれるとありがたいかも」

淡「そっか、私だけ悩みが有るわけじゃないもんね」

その顔に少し罪悪感を覚えたのか、

絹恵「そうだ今度の週末お互い愚痴りあわへんか?」

淡「ん、いいですよ」

週末駅前で待ち合わせの時間が5分ほど過ぎた時、待っている大星の頭に手を置く

絹恵「大星ー待ったか?」

淡「んー待つのには慣れてるよー」

絹恵「遅れたこと怒ってる?」

恐る恐る聞くと、

淡「奢ってくれたら怒らないかな」

絹恵は肩を落とし、

絹恵「今月のお小遣い残り少ないんやけどなぁ」

淡「フフ、冗談だよ、行こっ」

そのまま絹恵に案内され、喫茶店に入店する。

絹恵「ここの紅茶がおいしいんよ」

淡「うん、楽しみ!」

飲み物が定員により運ばれ、絹恵が切り出す。

絹恵「そんじゃあ大星の話聞かせてもらえる?」

淡「うん、まずはね…」

そこから大星の愚痴が始まる。

インターハイで活躍した後に部活での居場所がなくなったこと。

無視されるならまだいいが、恐れられること。

これじゃあ指導しようにもできないこと。

それでなんとなく時間を潰すためにグランドの部活動を見ていたこと。

グラウンドでの部活動は平凡な人たちが頑張っている姿が羨ましかったこと。

でももし淡のような才能ある人が一人入れば瓦解するだろうこと。

憧れは憧れのまま終わってしまったこと。

淡「才能ない方が良かったのかなぁ…」

話しきったのか淡は紅茶を一口啜る。

淡「あっおいしい」

絹恵「才能かーうちからは遠い言葉やからなんとも言えへんかな」

少し不機嫌そうな顔をした絹恵が答える。

ここでタイミングが悪いことに淡は思い出す。

淡(あー思い出した、絹恵ってもしかして姫松高校の愛宕洋榎の妹か!)

淡「あーちょっと話し変わるんだけど、絹恵ってお姉さんいる?姫松高校らへんに」

絹恵はテーブルを強く叩き立ち上がる。

絹恵「あんたもなんか大星!麻雀麻雀言うから、おかしいと思っとったんや」

絹恵「うちは麻雀なんてもうやらんって言うとるやろ」

絹恵「大星なんてもう知らん、放っておいて」

そして千円札をテーブルに置いて出て行ってしまった。

淡は放心していたが、ハッっと正気に戻り、

淡(えっ?なに?)

正気に戻っても何があったのかよくわからなかった。

淡(そういえば麻雀の話するとすこしムッとしてた気がする)

淡(んー?今度学校でもう一度聞いてみようかな?)

放課後学校にて、

絹恵「うち放っておいてって言うたよね?」

淡「あれだけじゃ何がなんだかわかんないから聞きにきたんだよ」

淡「何があったか教えてよ」

絹恵「麻雀に関わってるあんたじゃ話にもならへん」

絹恵はそのまま走って行ってしまった。

鍛えている絹恵の足の早さに淡は追いつけもしない。

淡「なんなの、わっけわかんない」

淡(でも、多分家族が関係してる…)

淡(ならなんとかなるかも?)

翌日淡は麻雀部に顔をだす。

淡「お願いみんな、力を貸して!」

そう言って淡は頭を下げる。

最初はみんな恐る恐るでがあったが、話を聞いてくれた。

部活での立ち位置で絹恵に相談していたこと、そして家族の話題で怒らせてしまったが原因が不明であること。

淡がそんなに悩んでいることを思ってもいなかったのか、部員は淡に謝罪を始める。

淡「謝んないでよ…私も何も言わなかったのも悪いんだし…」

淡「そんなことより、誰か姫松の愛宕さんの連絡先知ってる人いない!?」

辺りを見渡すが、誰も返事をしない。

そんな静寂の中麻雀部の部長が、

部長「千里山の監督って確か愛宕さんの母親じゃなかったっけ?」

部長「それなら先生経由で連絡先わかるかも」

そういって部長は職員室へ走って行ってしまった。

数分後部室のドアが開く。

そして親指を立てて淡に合図をする。

淡「さっすが部長!」

部長「面倒見れなかった分これくらいしないとね」

そう言って電話番号が書かれた紙を淡に渡す。

部長「それと今は勤務時間だと思うから夜に電話かけたほうがいいって先生が言ってたよ」

既に携帯電話を取り出していた淡の出鼻はくじかれてしまったようだ。

部長「部活の時間でも有るんだし、今までの分大星さんに打ってもらおうか」

淡「そっか…どこからでもかかってきていいよ!」

知らず知らずのうちに淡の問題は解決してしまったようだ。

その日の夜淡は電話をかける。

1コール目…2コール目…3コール目…

4コール目にして通話にでた。

淡「もしもし、大星と言いますが、愛宕雅枝さんの電話でいいでしょうか」

初対面の人との電話対応を少し調べていたようだがところどころ敬語が不自然である。

雅枝「せやけどなんの用や?」

淡「えっと突然のお電話で申し訳ないんですが…」

雅枝「前口上はいいから要件を言いな」

淡「えっと、私とある高校の1年生なんですが」

雅枝「とあるの大星つったらあの金髪の娘か」

雅枝は納得したのかハッハと笑う。

淡「それで、愛宕絹恵さんと仲良くさせてもらってたんですけど」

雅枝「絹と?」

淡「それで、雅枝さんは絹恵さんのお母さんでいいんですよね?」

雅枝「せやで、今の話しぶりだと絹と何かあったんやろ?詳しくはなしぃや」

淡は今までにあったことを手短に話した。

雅枝「そっか…絹はまだそんなこと思ってるんやな」

雅枝「あんまりおもしろい話やないけど聞いてくれるか?」

淡「はい、聞かせてくださいこのまま意味もわからなく終わりなんて嫌です」

雅枝「まずはうちら愛宕家についてや」

雅枝「愛宕家は結構由緒正しい麻雀一家でな、うちも娘の洋も麻雀の才能があったんよ」

まあ洋は大星ちゃんにボコボコにされたみたいやけどなと笑って茶化す。

淡「でも絹恵には才能がなかった?」

雅枝「完全に無かったとは言えへんのやけど…」

雅枝「でも絹はサッカーの方が気に入ったみたいでな」

雅枝「うちは好きなことしたらいいって言うて好きにさせとったんやけど」

雅枝「そんなこと思ってもいない別の親族がな、やれ麻雀せいとか、やれサッカーなんぞに現抜かすなとか、やれ宝の持ち腐れやら言うてうるさいんや」

雅枝「それが切欠で、麻雀の話に過敏に反応するようになったり、うちら愛宕家の血筋を憎んでるんよ」

あんなにかわいかった絹がなぁ…と本音が漏れる。

雅枝「本当ならうちらが解決すべき問題なんやけど…」

雅枝「恥を偲んで頼むわ大星ちゃん、あの娘を何とかしてくれへんか」

淡「…私でなんとかなるかわわかんないです」

淡「でも、絹恵と仲直りする切欠は出来たと思います」

雅枝「そっか、またなにかあったらかけてきてくれな」

淡「はい、助かりましたありがとうございます」

翌日放課後にて、

絹恵「しつこいで、大星」

淡「ねえ絹恵、そんなに麻雀が嫌い?」

絹恵は眉をひくつかせる。

淡「そんなに家族が嫌い?」

絹恵「誰に聞いたんやそんなこと」

絹恵「おかんか!?それともおねーちゃんか!?」

淡「そんなのどうでもいいでしょ?」

その言葉を無視して、

絹恵「そうや!うちは麻雀も愛宕家も嫌いや」

絹恵「何やっても麻雀やれだのお前には麻雀の才能があるだのうるさいんや!」

淡「サッカーの才能なんてない?」

絹恵「そんなんうちにはわからへん、でも誰も認めてはくれへん」

淡「ならなんでサッカーなんかやってるの?」

絹恵「そんなん決まってるやろ!!」

淡「楽しいからだよね、麻雀なんか打つよりサッカーをやってた方が楽しい」

絹恵「そうや、わかっとるやん…」

淡「なら、自信持ちなよ」

絹恵「はぁ?」

淡「そうやってウジウジと麻雀が嫌いだとか言うのは自分に、ううん自分のやってるサッカーに自信がないからだよ」

淡「自信がないのを麻雀のせいにして逃げないでよ」

淡「周りに認められたくてやってるの?違うでしょ?」

淡「泥臭くても楽しくて楽しくてしょうがないやってるんでしょ?ならもっと自分に自信を持ってよ!」

淡「麻雀よりうちのやってることは楽しいんやって自信持って言ってよ!」

淡「それでも誰かに認められたいって言うなら、私が絹恵を支えてあげるから!」

淡「だってサッカーやってる絹恵はキラキラしてかっこいいんだもん!」

絹恵「うちは、うちは…」

そのまま地面にへたり込みポロポロと涙を流す。

淡はそんな絹恵の頭に手を置き頭を撫でる。

しばらくして落ち着いたのか絹恵が話しだす。

絹恵「聞いてるかもしれんけどうちの家系って麻雀ばっかりやってるんや」

淡は黙って聞く。

絹恵「それでサッカーばっかりやってるうちに叔父さんとかがな、文句言ってくんねん」

絹恵「愛宕の血があるなら麻雀せーやって」

絹恵「そんなんが続いてな…嫌気が差したんや…」

絹恵「麻雀もな少しは打ってたんや…」

絹恵「でもおねーちゃんに比べてもうちに才能があるとは思えなかった」

絹恵「だからうちは逃げたんや麻雀からも愛宕の家からも」

淡「そっか、辛かったんだね」

絹恵は黙って頷く。

淡「じゃあもうどうするかわかってるよね」

絹恵「うん、今週末にでも実家に帰って謝ってくる」

その言葉に淡はむすっとする。

淡「むーそうやって話を先延ばしにされたくないかな」

絹恵「なら今すぐ帰れ言うんか!?」

淡「できることくらいあるでしょ?」

淡は携帯電話を取り出し電話をかける。

数コール後に、

雅枝「雅枝やでーどうした大星ちゃん?」

淡「雅枝さん、連日すいません、絹恵に変わるんでちょっと待っててもらっていいですか」

そう言って携帯電話を絹恵に差し出す。

絹恵の手は震えていた。

淡はもう片方の手を握り絹恵を見つめる。

その目を見て覚悟を決めたのか、

絹恵「もしもし、おかんか?」

絹恵「今ままでほんまにゴメン」

絹恵「うん…でもうちはサッカーが好きやから」

絹恵「うん…うん…」

絹恵「えっほんま?」

絹恵「うん、今週末一回そっちに帰るから詳しくはそんときに」

絹恵「ほな、また」

そう言って通話を切り、携帯電話を淡に返す。

淡「これにて一件落着かな」

数週間後、淡と絹恵はすっかり仲良くなっていた。

お互いの見られたくない部分を見せ合った仲だ自然な流れだろう。

今日は休日、先日来た喫茶店に再び来ていた。

絹恵「大星のお陰で色々吹っ切れたわ」

絹恵「改めてありがとうね」

淡「私も麻雀部では仲良く出来るようになったしお互い様だよ」

絹恵「ところで大星」

淡「ん?」

絹恵「あの時言ってたな、うちを支えてくれるって台詞さ、よくよく考えると告白みたいに思えるんやけど…」

淡「…」

淡は黙って絹恵を見つめる。

絹恵もそれに答えるように淡を見つめる。

淡「初めてグラウンドを眺めてた時みんなで頑張ってるのは馬鹿くさいとか思ってたけど…」

淡「それでも絹恵は輝いて見えたんだよ」

淡「素直にかっこいいって思った」

淡「それからもサッカーやってる絹恵は素敵でかっこよかったよ」

淡「絹恵の事を考えると胸の奥がキュンキュンするんだ」

淡「この気持が好きって気持ちなのか、ただの憧れなのかは自分でもよくわかんない…」

淡の顔は赤く、絹恵の顔も羞恥のため赤くなっている。

絹恵「あーそんなこと言われるとうちも抑えきかんで」

絹恵「最初はただの意味わからん後輩やと思っとったけど」

絹恵「うちの為にいろいろ頑張ってくれたこと、それに説得してくれたこと」

絹恵「そんなのになんていうかグッっときたんや」

絹恵「うちの気持ちは多分好きってやつや」

絹恵「淡の気持ちがわからんくてもうちと付き合って、その気持ち確かめへんか?」

絹恵「答えってやつ今度はうちと二人で探さへんか?」

二人の顔はもう真っ赤だ。

淡「よ、よろしくお願いします」

声が上擦りながら淡は答える。

絹恵「うん、よろしくな」

きっと淡の気持ちの答えはすぐにでも見つかるだろう。

その時きっと二人は笑顔を浮かべていることだろう。
[終わり]

というわけで絹恵さんでした。

親族に関してはオリジナル要素でしたが、絹恵はおねーちゃんとか母親が麻雀強いから結構プレッシャーを感じてると思います。

今回はそれが行き過ぎて麻雀を投げ出したというお話でした。

大体告白で終わりにしていますが、その後のイチャイチャするところも書いたほうがいいんですかね?

でもイチャイチャシーン書くとすぐネタ切れする気がする。

今回はいきなり恋愛ルートにいったんでルート分岐はありません。でもおまけは少し有ります。

[おまけ:愛宕一家と大星淡]
絹恵「ただいまー」

淡「おっじゃまっしまーす」

雅枝「大星ちゃんいらっしゃい、長旅おつかれさまやな」

雅枝「ほれ、とりあえず荷物置いてきや」

『はーい』

そう言って絹恵の部屋に荷物を置きにいった。

リビングに戻ると絹恵と洋榎が待っていた。

雅枝「まずは、お礼を言わせてもらうわ」

雅枝「ありがとうな大星ちゃん」

そう言って深々と頭を下げた。

淡「あわわ、私は絹恵と仲直りしたかっただけですから…」

雅枝「理由はどうあれ、大星ちゃんのお陰でうちらの仲が治ったのも事実や」

洋榎「ありがとう、大星」

洋榎「お陰で絹とまた仲良く出来るわ」

そう言っていきなり態度を崩し、

洋榎「でもインハイでボッコボコにされた借りは絶対返すからな!」

雅枝「こら洋!」

洋榎の頭をげんこつしたようだ。

洋榎「いった!何するんや」

雅枝「何するもあらへんいきなりお客さんに変なこと言うなや」

絹恵「アハハ…ゴメンな変な家族で…」

淡「ううん楽しいよ」

と偽りのない笑顔で答える。

雅枝が咳払いして聞く、

雅枝「それで、絹と大星ちゃんの距離がちょっと近すぎる気がするんやけど、どういうことか教えてもらえるか?」

淡「えっとこれは…その…」

淡がしどろもどろしていると、

絹恵「もう、まどろっこしいな」

そう言って絹恵は淡の唇にキスをする。

その姿に雅枝も洋榎も目を丸くする。

絹恵「こういうことやから」

洋榎「うそや、絹がうちより先に恋人作るなんて…」

洋榎「やっぱり胸か?胸がでかいほうがええんか!?」

絹恵「おねーちゃん…」

淡「えっとその、絹恵とは仲良くさせてもらってます」

雅枝「絹を幸せにしてくれるか?」

淡「それは間違いなく」

そう言うと年甲斐もなく雅枝が泣き出して洋榎に抱きつく。

雅枝「ウワーン、絹が取られたー」

雅枝「文句つけようにも大星ちゃんに文句なんてつけようがあらへん」

雅枝「もう絹のおもちを堪能できへんなんてうそやー」

洋榎「おかんはうちに喧嘩売っとんのか!」

この日愛宕家では乱痴気騒ぎが繰り広げられたとか。
[おまけ終わり]

関西弁って難しいです。

絹恵って言うか愛宕家が動かしていて面白いですね、そのうち姫松で長編とか書いても面白いかもしれないです。

それでは今週は以上ですありがとうございました。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話



一歩違っていたらこうなったいたかもしれない絹恵か
お姉ちゃん子の印象が強いから、家族嫌いと言う台詞は衝撃が強いね
積極的な淡も良かった



…でも、似た境遇の者同士で傷を舐め合う敗残者カップルとか堕ちた関係みたいなのも見たいです

おつおつ

>>159 ご要望いただきありがとうございます。基本的に純愛路線でいこうかなぁと思っていましたが、
ダークな路線も需要があるなら少し書いてみようかと思います。

そこでお暇な方がいらっしゃったら、ちょっとした質問にお答えいただけたないでしょうか。

質問1:ダークな路線(ヤンデレ、NTR、堕ち等)に需要があるか

質問2:需要がある場合エンディングは救いを残すべきか(後味が良い感じにするか後味が悪い感じにするか)

その他何か要望やリクエストがあったらお気軽にどうぞ。

では失礼しました。

個人的には
質問1:大いに結構。むしろ定期的にいれてくれた方が色々楽しめて好き
質問2:どちらでも。強いて言うなら後味は悪ければ悪いほど好みではある

質問2の方はマルチ√にして複数書いたりすれば問題解決するけど大変かな……

いつも応援してるんで頑張ってください

問一 需要あり
問ニ どんな境遇に陥っても本人達が幸せに感じているのなら

こんなすばらしいスレがあったとは…、応援します

個人的にはどんな話も好きだから>>1の書きたいSSを書けばいいと思う
鬱物には注意書き付けとけばいいんじゃないか

こんにちは、今週分投下いたします。

今週は福路美穂子さんです。ダークな路線での話を考えてみた時に思い浮かんだのがこの美穂子さんと竹井久さんでした。
長野って魔境ですね。

今回はドロドロした話です。テーマとしては度を越した共依存。

それとごめんなさい。

>>160 ありがとうございます。レスをいただけるととても嬉しいです。

>>162-164 質問にお答えいただきありがとうございました。

>>162 ルート分岐は入れないと色々と文句を言われる未来しか見えないので分岐は有りますよ。
それ以前に罪悪感がマッハなのでハッピーエンドは必ず入れます。

>>163 客観的に見たら不幸でも、本人たちの主観から見たら幸福って感じですね。私もBADエンドはそれくらいが好きです。

>>164 ありがとうございます。注意書き付けたいと思います。

注意:今回の話はドロドロした話です。鬱、ヤンデレ、NTR、死亡END、堕ち、いじめ等のいずれかが含まれますご注意下さい。

また性的な描写が含まれますので合わせてご注意ください。

興味のない方はこの酉をNGにしてください。

[福路美穂子の堕落]
※この世界の公式戦では十三不塔が役満扱いされる設定です。

県大会決勝卓、とある高校は2位の高校に一万点差で大将の大星淡にバトンを繋いだ。

美穂子「ごめんなさいあまり稼げなかったわ」

大将戦へ向かう道すがら大星淡は副将であった美穂子とすれ違う。

淡「大将は私ですよ?安心して見ててくださいね」

大言壮語を吐く淡に対して美穂子は不安そうだ。

美穂子「油断だけはしちゃダメよ」

淡「部長は心配症ですね」

そう言って歩いて行ってしまった。

美穂子の伸ばそうとした手は何も掴めなかった。

でしゃばっていいのかと思い少し躊躇してしまった。

嗚呼、この時に一言呼び止めていたらこんな結末にはならなかっただろうに。

大口を叩いた通り大星淡はそのままリードを作り出す。

ただ淡は本気を出していないのか、絶対安全圏のみを展開している。

全力を出さない様子に控室ではチームメンバーがハラハラしている。

美穂子(でもこれだけ点差があるなら…)

思惑通りそのままオーラスを迎える。

2位チームの高校が親である。解説がついていたならこれが最後のチャンスとなるか!とかなんとかと囃し立てる場面だろう。

淡(2位との差は6万3900点差、この点差なら万が一なんて起きないよね)

淡(私の絶対安全圏は全員に効いてるみたいだし役満ツモか3倍満直撃なんて無理だって)

何が起こるかわからないのが麻雀である。

2位高校「つ、ツモです」

世界が凍りつく。

2位高校「し、十三不塔、16000オールです」

これにて逆転。

淡の絶対安全圏、これは対局者の配牌を五向聴以下にする力だ。十三不塔がでる確立も必然的に上がるだろう。

淡がカタカタと震える。

淡「えっ?」

淡「嘘だよね…?」

2位高校の手配は十三不塔であることを如実に示している。

淡「私が負けた?」

放心したままの淡は挨拶もなしにそのまま立ち上がり、控室に歩いて行った。

扉を開けるとそこには敵意の視線が大量に降り注いだ。

ヒソヒソと話し声が聞こえる。

本気で打たなかったくせに負けてやんの…

あんたのせいで最後の夏に挑めないんだけど…

なんなの…?

意味分かんないんだけど…

エトセトラエトセトラ

悪意ある言葉が弱っている淡の心に突き刺さる。

淡の目から生気が消えていく。

淡にはこの言葉に耐えられずに壊れていく。

もはや立ってすらいられないのか、床にペタリとと座り込む。

淡「ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…」

壊れた機械のように延々と謝罪の言葉を紡ぐ。

ヒソヒソと話し声が聞こえる。

そんなので許されると思ってるの?

謝るくらいなら最初からやんなよ。

ふざけんなよ。

もう死んでしまえ。

等の呪詛のように紡がれる言葉に両手を広げ福路美穂子が立ちふさがる。

美穂子「…」

美穂子にも多少思うことがあるのか、無言で立ちはだかる。

もっとも美穂子の思うことは淡への悪意ではなく、自分が助言できなかったことへの罪悪感ではあるが。

その間も淡は謝罪の言葉を垂れ流し続ける。

部員たちと美穂子は無言の睨み合いが続く。

誰かの舌打ちが聞こえると次第に部員たちが控室から抜け出していく。

あとに残ったのは淡と美穂子のみ。

美穂子は誰もいなくなったことを確認すると淡を抱きしめる。

淡はその間もブツブツと何かを呟いている。

美穂子「ごめんなさい、私のせいだわ」

美穂子「私がためらったりしなければ」

美穂子「許してもらおうとは思わないわ、でも償いとして貴女の為ならなんでもしてあげるわ」

淡の目に少しだけ生気が戻る。

淡「部長?ううん美穂子のせい?」

壊れた人形のようにケタケタと笑い始める。

弱っている淡はこの気持ちを美穂子に全て押し付けることで心を保とうとする。

結果として淡は壊れなかったが壊れかけたままだった。

淡「そっかそうだよねあたりまえだよね」

淡「わたしがわるいわけないよねぜんぶみほこのせいだったんだ」

淡「わたしはわるくなかった」

美穂子「そうよ、私が悪かったの淡のせいじゃないわ」

淡「なんでもしてくれるんでしょ?じゃあみほこはきょうからわたしのものだよ」

その日は淡を家に送り届け解散した。

美穂子(あの娘大丈夫かしら…?)

翌日、美穂子は心配なのか淡の家にまで迎えに来た。

チャイムを鳴らすと物音一つ聞こえない…

嫌な予感がした美穂子はドアノブに手を伸ばす。

美穂子(鍵がかかっていない?)

美穂子「淡!」

分厚いカーテンは閉めきっており、その上からガムテープが貼られ日差しが入る隙間が全くない。

電気をつけるためにスイッチを探し出し、電気を点灯する。

光りに照らされた部屋は元は可愛らしい部屋だっただろう。ピンク色の装飾はボロボロに引き裂かれ、

可愛らしいクマのぬいぐるみは腹から綿が飛び出ている。

そしてベッドの上に淡が座っていた。

いつからそうして座っていたのであろうか。着ている制服はクシャクシャにシワが付いている。

淡自身は自暴自棄になっていたのか手がボロボロで、目元にはクマが目立つ。

淡「あっみほこだーおそいよー」

美穂子「えっと淡、学校行ける?」

淡「がっこう?学校…?学…校」

淡の様子がおかしくなる。

淡「あ゛ああああああああああああああああ」

頭を抱えながら叫びだす。

淡の頭のなかには部員から浴びせられた呪詛の言葉が延々と繰り返されていることだろう。

美穂子(学校とか部活関連は禁句かな…)

落ち着くように淡を抱きしめながら頭を撫でる。

多少落ち着いてきたのを確認すると、淡が汚れているのに気づく。

美穂子「淡お風呂は?」

淡「めんどくさい」

少しため息を付き、美穂子はお風呂を入れ始める。

美穂子「お風呂入れてから朝ごはん作っておくわね」

淡「ん」

それが当然とばかりとぶっきらぼうに返事をする。

しばらくして準備を終え淡をお風呂に入れる。

淡は扉も開きっぱなしのままで服を着たままバスルームに入ろうとする。

美穂子「ちょっとなにやってるのよ」

淡「みほこがふくぬがせないのがわるいんじゃん」

淡「わたしのせいじゃないよ」

仕方なしに淡の服を脱がせると淡はそのままバスルームに入る。

その扉越しに、

美穂子「夕方まで出かけるからお留守番しててね、ご飯は冷蔵庫に入れておくからね」

淡「…」

そして美穂子は学校へ登校する。

クラスへ向かう道すがら悪意ある視線を感じる。

視線や気配に敏感な美穂子は不快そうに眉を顰める。

美穂子(なんなのかしら…?)

美穂子「おはようございます」

そう言ってクラスの扉を開く。

それまでザワザワ話し声が聞こえたクラスの話し声がヒソヒソ話になる。

大星のことかばったんだってー

うっそどう考えても大星が悪いのにねー

誰もいない部屋で抱きあってるの見たって人もいるらしいよ

マジ?福路さんってレズだったんだキモッ

えっマジ?うわぁないわぁ

ありもしないうわさ話が聞こえてくる。

クラスメイトに話しかけることも話しかけられることもないままそのまま放課後を迎えた。

美穂子(私の陰口…)

美穂子(淡のせい?いいえ、違うわ全部私の責任よ)

嗚呼ここですべてを淡に擦り付けられれは、最悪は回避できただろうに…

帰り際、淡のアパートに寄っていく。

ドアを開けると真夏のような熱風が飛び出してくる。

美穂子「淡!大丈夫!?」

床はビショビショに濡れており、暖房が全開になっている。ダイニングでは美穂子が用意したご飯が食い散らかされていた。

何より異彩を放っていたのは、髪がしっとりと濡れている全裸の大星淡がベッドの上に座っていたことだ。

美穂子「どうしたの!?」

淡は不思議そうに首を傾げる。

淡「みほこがわたしのからだをふいてくれなかった」

淡「みほこがわたしのふくをきせてくれなかった」

淡「みほこがごはんたべさせてくれなかった」

淡「わたしはべつにわるくないよ?」

納得してはいけない場面ではあるが納得してしまう。

この時点で美穂子も壊れ始めていた。

美穂子「そうね、ごめんなさい」

美穂子「私が淡をお世話しないといけないのだものね」

そうだと、手を叩いて、

美穂子「私もこの家で暮らしてもいいかしら?」

淡「いいけどゆかでねてね」

美穂子「それくらいは当然よね」

翌日淡の世話をしてから学校に登校する。

なんとか説得して美穂子が指示したことは実行してもらえるようにした。

学校で美穂子への陰口は止まない。

うわ…今日も来てるよ…

恥ずかしくないのかな…

私だったら自殺してるレベルなんですけどぉ

美穂子はそれが気に入らないのか、陰口を叩いている人に話しかけようとする。

うわ…なんか来た…

レズが伝染るからこっち来ないでよ!!

怒鳴られながら拒絶された。

そしてまたヒソヒソと

最悪…

キモッ

早くいなくなんないかな…

美穂子(ハァ…)

最早学校に居場所などなかった。

それからも学校での悪口は止まらず、それにはとどまらず、いじめまで始まった。

上履きは毎日隠されるようになり、席をたったらカバンの中身を荒らされるのは日常茶飯事。

ゴミを投げつけられたり、わざと肩をぶつけられたりと滅茶苦茶だった。

一方家では淡の世話をせっせと焼いていた。

美穂子の思考が学校生活を淡を半々に考えていたのが淡よりの考えに傾いていく。

学校では常に携帯電話を握りしめ、淡にメールを送り続けた。

元々機械を使うのが苦手な美穂子であったが、淡の為にと必死にメールの打ち方を覚えた。

始めはあれやれこれやれと指示のメールを出すだけだったが、次第にメールの分量が増え始める。

現在ではメールの使用可能文字全てを使う程度のメールを30分置きに淡に送っていた。

淡からはメールが帰ってくること自体珍しく、帰ってきたとしても一文字か二文字程度だった。

美穂子はそんなこと気にならない。淡の世話を焼いているいう事実が重要なのだ。

美穂子(フフッ淡ったら照れちゃって)

淡からうるさいと返されたメールを見て美穂子はニヤける。

授業中も休み時間も美穂子はメールを打ち続ける。

ヒソヒソと話し声が聞こえるがもう美穂子には気にならない。

美穂子(淡がいればもうなんでもいいわ)

やがて美穂子が学校に行かなくなるのも必然であった。

淡「みほこきょうはでかけないの?」

美穂子「フフッ、おかしな事聞くのね、淡以上に大事なことなんて有るわけないじゃない」

淡「ふーん」

淡「じゃあずっといっしょにいるんだね」

美穂子「当たり前じゃない、淡は私がいないとだめんなんだもんね」

それを聞くと淡は携帯電はを取り出し、真っ二つにへし折る。

そして興味がなくなったと言わんばかりにゴミ箱に放り投げる。

美穂子「どうしたの?」

その行為に驚かずに尋ねる。淡の奇行には慣れ始めているようだ。

淡はケタケタと怪しく笑いながら。

淡「いっしょにいるならこんなものいらないよ」

美穂子も釣られてにっこりと笑みを浮かべ、

美穂子「それもそうね」

そういって美穂子も携帯電話をサバ折りにしてゴミ箱に投げ入れる。

その様子に淡はケタケタ笑い満足げだ。

美穂子「最近知らないアドレスからチェーンメールが多くて困ってたのよね」

元々の友人からの安否を気遣うメールもあったろうに、美穂子はそんなものは開いてすらいない。

淡と美穂子の堕落した暮らしは続く。

美穂子は朝5時に目を覚ます。

そして淡の為に豪華な朝食を用意する。

自分の朝食は食パン一枚だ。

朝七時に淡は目を覚ます。

あいも変わらず目には生気がこもっていない。

美穂子「おはよう淡」

淡が食卓に着くとテーブルに淡の料理を並べる。

淡「ん」

淡は座ったまま口をだらしなく開ける。

それが当たり前のように美穂子は淡の口に料理を運ぶ。

美穂子「はい、あーんしてね」

美穂子「じゃあモグモグしてね」

数回口を動かしたのを見て、

美穂子「飲み込んでね」

咀嚼する様子が見て取れた。

淡「くちうごかすのめんどくさい、みほこがかんでわたしにたべさせて」

美穂子「わかったわ」

ここで叱ることなんてできない。そんなことして万が一にでも淡が正常になったら美穂子の生きる意味がなくなってしまうからだ。

美穂子は自分で料理を口に含み何度か噛むと、淡の口に唇をつけそのまま料理を流し込む。

淡「うわっ、きすされた」

淡「みほこはれずだったんだ」

淡「まあいいやめんどくさいし」

淡「はやくもっとたべさせて」

料理の半分くらいを食べ終わったくらいに淡は立ち上がりベッドに歩いて行く。

ごちそうさまの挨拶などするはずもない。

残った料理をそのまま生ごみにし、美穂子は自分の分の食パンを急いで食べる。

残った料理を食べないのは、

美穂子(淡の為の料理ですもの私が食べていいわけないじゃない)

と言った具合だ。

淡はもはや美穂子がそこにいるのが当たり前の存在となり、他人という垣根を超えていた。

だからどんな痴態を晒してもなんとも思わない。

美穂子ももうなんとも思わない。

淡「みほこおしっこ」

美穂子「はいはい」

と淡をおぶってトイレに運ぶ。

そして便器に座らせると淡の下着を降ろすと、

美穂子「はいシーシーしてね」

とトイレの外に出ることすらしない。

最後まで排泄するのを見届けると、

淡「ふいて」

美穂子「わかってますよ」

トイレットペーパーを巻き取り淡の秘所に当てて付いている尿を拭き取る。

そして下着を元の位置に戻すと淡はそのままベッドまで歩いて行った。

美穂子はトイレを流し、手を洗い淡の側に戻る。

なにもない時間なにをしているかというと淡は本当になにもしない。

座ったまま虚空を見つめ時々ケタケタと笑い出すか、悲鳴をあげるだけだ。

美穂子は生真面目な性格のせいか、教科書を取り出し勉強をしている。

だが優先順位は淡が上なので淡のためならすぐに放り出すだろう。

淡「ねえみほこ、みほこってれずでしょ」

珍しく淡が美穂子に話しかける。

美穂子は別に同性愛者ではない。

しかし淡に言われたのなら、

美穂子「そうだよ」

と笑顔で答える。

淡はおもむろに下着を脱ぎ出す。

美穂子「何をやればいい?」

淡は秘所をむき出しにし、

淡「きもちよくして」

美穂子「うんもちろん」

淡もムラムラ来たのであろうか、それともただの好奇心であろうか。

美穂子は指を巧みに動かし淡の陰核を刺激する。

美穂子「失礼しますね」

と言って淡の上着を脱がし胸を露わにする。

そのまま乳房に口をつけ吸い上げる。

淡「うわっそこまでするんだ」

淡「れずってきもいね」

吸っていた乳房から口を離し、

美穂子「ごめんね気持ち悪くて…」

と本気で申し訳なさそうにしょげる。

淡「しゃべってないでてうごかしてよ」

美穂子「うん」

そのまま手を動かし口を動かす。

次第に淡の膣腔からネバネバした蜜が溢れ出てくる。

気持ちが高ぶってきたのか淡の口から吐息がもれだしてくる。

淡「ア…ン…ン」

そしてそのまま淡いがビクンとする。

美穂子はそれでも手を動かす。

淡「いったのみえたでしょこれいじょうさわるな」

美穂子はそのまま離れ、

淡「そのきたないてでうちのものさわんないでね」

美穂子「はいはい、わかってますよ」

この堕落しきった生活がいったいどれほど続いたのであろうか。

急にこの生活は終わる。

最悪の形で。

朝美穂子が目を覚ますと珍しいことに淡が起きていた。

美穂子「ごめんなさいちょっと寝坊しちゃったみたいね」

淡は生気を取り戻した目で、

淡「ううんいいの、今までありがとね」

美穂子「え!?」

美穂子は衝撃を受けた様子だった。

美穂子「私はもういらないの!?私には淡しかいないのに!?」

美穂子「ドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウドウシヨウ」

淡「心配しなくてもいいよ」

そう言って淡は綺麗に笑った。この笑顔を見るのはきっと大会の前日以来であろう。

淡「ずっと言ってなかったんだけどね」

淡「部長…ううん美穂子、好き’だった’よ」

その言葉に美穂子も悟ったかのように、

美穂子「私も初めて会った時から好き’だった’わ」

涙を流しながら答えた。

ところで諸君はご存知であろうか。

花火が消える直前に一層燃え上がることに、蝋燭が消えるときに火が大きくなるということに。

命ですら最後の瞬間には大きく燃え上がるということに。

淡が正気を取り戻したのは命の最後の煌きだということに。

淡「私わかったんだ、私はもちろん美穂子も悪くない」

淡と美穂子の垣根がなくなっていくことで、悪いのは美穂子ではないという結論を得た。

淡「間違ってたのは世界の方なんだ」

淡「だからこんな世界からお別れしようよ」

早起きして準備された、天井から吊るされた2本のロープにそれぞれ首を入れるにはちょうどいい大きさの輪がついていた。

美穂子は素直に頷く。

その二人が最後に見た光景は荒れ果てた部屋。

二人はいったいなにを感じていたのであろうか。

はたして一つの間違いから産まれたこの悲劇は幕を閉じた。別の世界線では二人に幸あらんことを…。
[終わり]

ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…
ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…







とまあ冗談はともかく、いかがでしたでしょうか?

美穂子がいなければ何も出来ないほどに壊れてしまった淡と、淡の世話をすることでアイデンティティを保つ美穂子の共依存の話でした。

書いている時はノリノリだったのですが、読み返してみると罪悪感が半端ないです…。

一応マルチルートなのでそっちは救いがちゃんと有ります。というかいつもの感じの純愛ルートです。

分岐地点は最初です。

[福路美穂子の場合]
[>>167から分岐]
美穂子「ごめんなさいあまり稼げなかったわ」

大将戦へ向かう道すがら大星淡は副将であった美穂子とすれ違う。

淡「大将は私ですよ?安心して見ててくださいね」

大言壮語を吐く淡に対して美穂子は不安そうだ。

美穂子「油断だけはしちゃダメよ」

淡「部長は心配症ですね」

そう言って歩いて行ってしまった。

美穂子の伸ばそうとした手は何も掴めなかった。

と思ったが、淡が立ち止まる。

淡「えっと…なにか嫌な予感がするので、簡単にアドバイスもらえないですか?」

美穂子も感じていた不安を淡も感じていたようだ。

不安を拭うように、

美穂子「最初から全力で当たって頂戴、二位高校には悪いけどね」

淡「いいんですか?」

美穂子「多分そうすることが唯一の道だから」

全力を出した淡に敵はなかった。

控室でもその様子に安心しながら眺めている。

淡「ロン!12000で飛び終了ですね」

淡のロン宣言と共に控室では歓声があがる。

やったね

淡ちゃん流石すぎるー

大星ちゃんサイコー

全国だよ全国!!

美穂子(やったわね)

淡「ありがとうございました」

そう言って控室に向かって走りだした。

その途中に待っていた美穂子を見つける。

淡「部長!やったよー!」

そう言って嬉しそうに美穂子の胸の中に飛び込む。

美穂子「頑張ったわね、淡」

美穂子が淡の髪を撫でると、淡は気持ちよさそうに美穂子の胸に頬ずりする。

美穂子は顔を赤くし、

美穂子「もう、淡ったら」

美穂子(私の自慢後輩よ)

美穂子(そんなところも…好き)

そして淡を連れて控室に戻ると拍手でお出迎えをされた。

淡は少し照れくさそうにしながら、祝福の言葉と御礼の言葉が送られる。

私の分も巻き返してくれてありがとう

全国もこの調子で頑張ろうね

私達の夏はまだおわらないんだね

もみくちゃにされた淡だが、その表情は幸せそうだ。

淡「全国も私に任せなさーい」

その発言に口笛や拍手などで囃し立てられる。

しばらく騒いでから、顧問から解散しろと言われしぶしぶと解散する。

美穂子(みんなの勢いに押されて淡とお話出来なかったわ)

そう思いながら帰路につくと、駅のホームのベンチに座っている淡が見えた。

淡もそれに気づいたようで、

淡「部長、お疲れ様です!」

元気そうにそう言った。

美穂子「お疲れ様、どうしたの?こんなところで」

淡「部長を待ってたの」

美穂子「二人っきりの時は美穂子でいいわよ」

そう言って優しく微笑みかける。

美穂子「私になにかな?」

と小さい子に話しかけるように尋ねる。

淡「うん、美穂子に宣言しようと思ってね」

淡「全国で優勝したら美穂子に告白するから!」

淡「それだけ!」

そう言うと駅のホームから走って出て行く。

美穂子(えっ?両思い…だったの?)

不意の宣言に美穂子の頬が赤く染まる。

全国大会の決勝まで淡は普段通りに接してきた。

告白宣言などなかったかのように。

そして舞台は全国大会の決勝卓に移る。

決勝の舞台でオーラス、淡は親で四位。

1位の白糸台との点差は6万点。

2位の阿知賀女子とは4万点差

3位の清澄とは3万5千点差

もちろん淡は全力で勝負していた。この点差も元は10万点以上開いていた。

控室では絶望なムードだった。

だが誰もが淡を応援していた。

淡ならやってくれると信じていた。

美穂子も神に祈るように手を握る。

淡はブツブツと呟くように、

淡「山の支配とか」

淡「嶺上の支配とか」

淡「連続和了の支配とか」

淡「よくもまぁ化物達が揃ったもんだよね」

穏乃「いや、大星さんも人のこと言えないよね」

咲と照が頷く。

淡「ううん、私はその上をいく!」

手牌を取っていく前に。

淡の支配力が強まる。

それに答えるように対局者の支配力が強まる。

淡「引っかかったね」

淡は今まで向けていた対局者ではなく自分自身に支配力を使っていた。

気づいたのは宮永照のみ。

照「まずい」

と冷や汗が流れる。

淡「正直コレは賭けだったんだけどね」

最後の牌をツモルと、

穏乃「さあ最後だよ」

淡「いいや、賭けは私の勝ちだよ」

穏乃は気付かなかったが、咲はこの瞬間気づいた。

淡は牌を切らない。

その代わり手牌を倒し、

淡「ツモ、十三不塔」

淡「16000オール」

そう言ってニヤリと笑った。

淡の賭けは絶対安全圏を自分に向けること。

他の支配に邪魔されることなく発揮される力。

だが十三不塔が出るかは賭けだった。

淡「私には負けられない理由がある」

淡「ありがとうございました」

ワッと歓声が上がる。

全国大会の舞台で役満での逆転劇。

控室でのボルテージも最高潮だ。

興奮のあまり叫び出すもの

淡ちゃん大好き愛してる

感極まって涙するもの

大星ちゃん…

様々な感情入り乱れる室内に舞台の立役者が帰還する。

淡「みんな!優勝したよ!」

入室した淡が皆にもみくちゃにされる。

そして興奮冷めやらぬ中表彰式やインタビューを済ませる。

美穂子は淡から話しかけられるのを待つが、淡からそのアプローチはない。

数日後個人戦を終え、東京から地元へ帰還する。

美穂子は告白されるとドキドキしていたが、淡からアプローチはなかった。

肩を落としながら、いつもの駅のホームに行くと、淡がベンチに座っていた。

淡「美穂子、待ってたよ」

美穂子は嬉しいのか涙を滲ませる。

淡「美穂子、私は貴女が好きです!大好きです!私と付き合ってください」

興奮しているように、淡は美穂子に告げる。

美穂子「はい、喜んで」

涙をポロポロと流しながら、淡の手をとる。

淡「美穂子、私の事好き?」

美穂子「うん、大好き」

淡「そっか、これからもよろしくね」

そういってニコッと綺麗な笑みを浮かべると、ホームにいた人達から盛大な拍手が贈られる。

人々から祝福されたこのカップルはこの先幸せになるだろう。

周りの人の支えと言うものは存外重要なものなのだから。
[終わり]

以上です。結構文量多くなっちゃいましたね。1話でメモ帳で20KB超えるとは思わなかったです。

要は手を抜いてると痛い目にあうけど、全力を出したら報われるって話。

現実ではこう上手くはいかないことが多いですけどね…。

それではまた次回。

次回は永水女子か新道寺かなとか思ってます。といっても次回は普通の路線でいきます。ダークな感じは4,5回に1回くらいでいいよね…。

目次貼り忘れた
目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

乙ー
ダーク系は変わり種としてたまに混ざるぐらいで丁度いいんじゃない?
元のスレのコンセプトはラブラブハッピーだったんだし
どっちの系統も好きだけど

おつー
淡の壊れ方が少し現実味が薄いような

……でも絶対の自信のなか役満で捲られたらあぁなるのかなぁ……

乙!
質問1 たまになら
質問2 後味はいいほうがいいかな

こんばんは、今週分投下いたします。

今回はすばら先輩こと花田煌さんです。

>>192 そうですね、気が向いたら混ぜるくらいにしようと思います。
ラブラブハッピーっていい響きですね。

>>193 絶対的な自信が砕かれると少なくとも心が弱ると思います。そこにとどめを刺されたって感じですね。
あとsageていただけるとありがたいです。

>>194 質問にお答えいただきありがとうございます。
たまにスパイス的な感じで入れるのがいいみたいですね。

[花田煌の場合]
タンッと牌をツモル音が響き渡る。

淡「ツモ、3000、6000」

煌「すばらっ!」

一緒に卓に入っていた一人が飛んで終了した。

淡「また花田先輩飛ばせなかったかー」

煌「毎回大差つけておいてその言い方は…」

煌(でも本心から言ってるのがわかる分怒るに怒れないですね)

淡「でも花田先輩いいんですか?」

煌は首を傾げて淡の次の言葉を促す。

淡「部内戦だよ部内戦」

ここで、部内戦の説明をしておこう。

部内戦では全員と少なくとも3局以上対局すること。

それ以上は誰と打っても可。

最終的に得失点の平均が自分の得点となり、それが順位に直結する。

淡は煌を除く部内の全員を平等に飛ばしていた。

淡(私のせいで順位がおかしくなるのは避けたいしね)

しかし、煌は淡に何度も挑戦していた。自分の得点が低くなるのを承知の上だ。

それを疑問に思った淡は疑問をぶつけたのであった。

煌「私はまだ2年だから、もっと力をつけることを優先しているのですよ」

淡「私と打てばもっとうまくなれると思ったの?」

煌「有り体に言ってしまえばそうなりますね」

淡「フーン」

淡「まあ、でもこれで私は全員と3局打ったからもう部内戦はしないよ、安心してね」

煌「すばら!」

しばらくして、大会のメンバーの発表が行われた。

監督「では部内戦の結果を考慮してメンバーを発表する」

監督「まずは先鋒、花田」

煌「えっ?」

突然抜擢されたことで、嬉しさというより戸惑いが全面に出る。

煌「お言葉ですが監督、成績を誰かとお間違えじゃないですか?」

誰よりも煌自身が成績が芳しくないことを理解している。

監督「俺には俺の考えがある、先鋒はお前で間違いない」

監督「では次…」

煌(一体全体どういうことでしょうか)

煌(監督の考えはよくわかりませんが、せっかく選ばれたのです頑張りましょう!)

予想外の事態であったが、顔がにやけていた。

監督「大将は大星頼んだぞ」

淡「はーい」

監督「ベンチのメンバーは…」

淡(花田先輩やったじゃん!)

淡(一緒の舞台に立てるなんて超楽しそう)

淡「花田せーんぱい♪一緒に帰りましょ」

煌「すばらです!」

肯定の言葉を受け取り、淡は満足そうだ。

淡の家と煌の家とは徒歩数分の距離であり、それほど遠くはなかった。

時間が合う時はよく二人で下校しているのであった。

煌「今日は気分がいいからあの場所によって行きましょうか」

淡「ん?ああそっか天気もいいですし、行きましょー」

あの場所というのは小さな帰り道にある小さな橋の上である。

今では使われていないが、日当たりがよく、小さなベンチも有り煌のお気に入りの場所であった。

そしてベンチまで移動すると、

淡「花田先輩、メンバー選抜おめでとうございます」

と小さく拍手しながら淡は祝いの言葉を送る。

煌は照れながら、

煌「選ばれるなんて思ってもいなかったから、非常にすばらです」

そしてそのまま雑談をしていると遠くから、他のメンバーが下校してくるのが見えた。

驚かそうとしたのか二人は黙って身を隠していた。

その二人の会話が聞こえてくる。

遮蔽物のない開けた場所だ、声もよく聞こえてきた。

H「インハイのレギュラーなんで花田が先鋒なんですかね?」

M「先鋒は捨てるんやってさ…」

M「監督の考えで、魑魅魍魎が跋扈する先鋒は捨ててエースの大星を大将でぶつけて逆転狙いやて」

M「前の学校で先鋒にエースを据えて戦ってたらしいんやけど、エースが打ち負けることが多かったんやって」

M「それ故の方針転換」

H「ならなんで順位の5位のTじゃないんですか?」

M「花田の成績覚えとる?」

H「はい」

M「あの部内戦で大星相手にハコにならなかったのはただ一人」

M「花田だけやった」

H「えっ?一人だけ大星ちゃんと何度も打ってましたよね?」

M「そうや、それでも一度も点棒をなくしたことはないって言うてた」

M「あいつは飛ばん」

H「だから捨て駒的に先鋒に選ばれたってわけですか」

H「花田が聞いたらマジ凹むんだろうなぁ」

H「戸惑ってはいたけどすげー喜んでたし…」

M「せやからうちらの勝負は後の4人で持っていく」

煌「…」

淡「…」

煌「聞いてしまった…」

煌「わーショックゥー」

そのままため息をつく。

淡も知らなかったのか、掛ける言葉が見つからない。

煌「なーんてことはないですよ」

煌「だからそんなに悲しい顔したらダメですよ、淡」

淡「花田先輩は今の聞いて何も思わないの?」

少し上目遣いで淡はおずおずと尋ねる。

煌「私に誰かに必要とされる力がある」

煌「それは淡みたいにエースになれる力じゃないけど…」

煌「必要とされる、そんなすばらなことはない」

煌は立ち上がり、

煌「捨て駒、任されましたぁ!」

淡は少し俯いている。髪に隠れてその評定は窺い知れない。

淡は呟くように、

淡「そんなの嘘だよ…」

淡「私には無理してるようにしか見えないよ」

煌「無理なんかしてませんよ、私の心からの思いです」

淡「そうだとしたら悲しすぎるよ…」

淡「私達まだ高校生だよ、もっとわがままになろうよ」

淡「だって今の花田先輩はいい人じゃなくて、ただの都合のいい人だよ」

煌「淡は私と一緒にインハイに行くのが嬉しくないですか?」

淡「嬉しいよ!!!」

淡「花田先輩と一緒に全国に挑めるって考えただけで滅茶苦茶嬉しかったに決まってるよ」

淡「だからこそこのままじゃダメだよ!」

煌「私は幸せものですね」

煌「だってこんなにも私を思ってくれる後輩がいるのですもの」

淡「ずるいよ煌は…」

煌は少し笑みを浮かべて、

煌「久しぶりに名前で呼んでくれましたね、すばらです」

淡「あっ、ごめん…」

煌「いいんですよ、淡」

淡「決めた」

煌「なにをです?」

淡「花田先輩!特訓しましょう!」

淡「花田先輩がレギュラーに選んでよかったと思われるように今から特訓しましょう」

淡「私もなんだって手伝います!」

淡「インターハイを勝ち進めたら多分先鋒で白糸台の宮永照と当たるから、私が対策考えてあげます!」

煌「その提案はすばらなのですが、淡には無理してほしくないですよ」

猪突猛進な性格を知っている煌はこのような淡の提案に不安を覚える。

淡「私が無理しなかったら、花田先輩は自分に正直に生きてくれますか?」

下から覗き込むように煌を見つめる。

煌「ハァ…もうなんだって来いですよ」

淡「ンフフ、それじゃあ明日を楽しみにしててね」

淡が浮かべた笑顔は覚悟に裏打ちされた、綺麗なものであった。

翌日、煌が部活に顔を出すと淡が既に雀卓に座っていた。

淡「あー花田先輩遅いよー」

煌「お早いですね、すばらっ!」

だが煌は以上に気がつく。

淡の目元に隈が非常に色濃く出ていた。

煌「淡、寝てないのですか?」

淡「私のことはどうでもいいよ」

淡「それより宮永照対策だよ」

淡「昨日帰ってから宮永照の打ち方研究したんだ」

淡「インハイチャンプだけあって資料はたくさんあったからね」

煌「ぜ、全部見たのですか…?」

淡は首を振る。

淡「ちょっと多すぎて昨日一晩かけても時間が足りなかったよ」

煌「いつ寝たのですか?」

淡「だから私の事はいいって」

淡「それより早く打とうよ」

これ以上言っても無駄だと悟ったのか煌は仕方なく雀卓につく。

淡「じゃあM先輩とH先輩お相手お願いします」

そう言って対局が始まった。

淡が打ち始める。

煌「今日はダブルリーチはなしですか?舐められたものですねぇ」

淡「それはどうかな?」

2順目、

淡「ツモ、300,500」

次局

淡「リーチ」

煌「今度はダブルリーチですか!?」

3順目

淡「ロン、ダブリーのみ」

煌「この打ち方は…」

次局

淡の腕に竜巻を纏いながらツモる。

淡「ツモ、ダブリー、一発」

煌「宮永照の打ち筋」

淡「まだ真似してるだけだけどね、対策思い浮かばなかったから私で打ち慣れて欲しいんだよ」

淡「ギギギってやつはどうしても真似出来そうになかったけどね」

淡「ただ連続和了なら私にも出来るよ」

淡「だって私も魔物だからね」

淡「さあ連荘だよ!」

結局Hが飛び、対局は終了した。

煌は0点にはなったが飛ばなかった。

淡「ハァハァ…まだまだ完璧には程遠いかな」

煌「淡、無理しすぎです、もういいでしょう」

淡は照の能力を真似するだけで体力を著しく消耗していた。

それほどまで宮永照の力の強大さを表しているだろう。

淡「私を心配するな!」

淡は敢えて挑発をする。

煌「人が心配してるのにその言い方はないんじゃないんですか」

淡「だったら私を超えてみせてよ」

淡「その時まで私と煌は敵だ!」

淡(煌はすごいんだって皆に魅せつけてよ)

見ているだけで痛々しい。

煌(これは何言っても無駄ですかね…)

煌「わかりました」

煌「すぐにでも淡に勝って仲間にしてみせますよ」

煌(かと言って私に何が出来るのでしょうか…)

数週間後、淡との関係は修復できずにいた。

対局しても飛び間際まで持って行かれ、勝つどころか+収支で終えることすら出来ない。

煌(まったくもってすばらくない…)

煌(連続和了を我が物とし始めている淡に付け入る隙が全く見えないです…)

煌(他の対局者を利用して和了自体は止められるようになってきましたが勝てないですね)

煌(ですが、自分が飛ばないという感覚はわかってきた気がします)

淡『私にはもう答えが出てるよ』

さらに濃くなった隈が淡の痛々しさを強調している。

淡『でもこれには煌の覚悟が必要だからね』

淡『自分で気づかないといけないことだよ』

煌(私の覚悟が必要ですか…)

淡『自分では気づいてないかもしれないけど飛ばないってのは飛ばないってことなんだよ』

煌(多分私に必要なのは攻めることです)

淡『必要なのは自分への自信と思い込みだよ』

煌(淡は攻撃型だからすぐにそこに気がついた)

煌「なら見せてあげましょう」

煌「防御は最大の攻撃です!」

その数日後、

煌「ロン!7700」

煌「淡の飛びで終了ですね」

淡は嬉しそうに笑いながら煌に飛びつく。

淡「やったね花田先輩!」

煌「フフッ、こちらこそありがとうございます」

そう言うが淡は返事をしない。

煌「淡?」

淡は煌の胸の中でスースーと寝息をたてていた。

煌「本当に無理させてしまいましたね」

煌「今はゆっくり寝ていてください」

煌は淡の髪を撫でながら感傷に浸っていた。

煌が行ったことは非常に簡単だ。

自分の持ち点が常に0点だと思いこむこと。

もし相手がツモ狙いなら自分で上がるしかない。

つまり煌の飛ばない能力で自分で上がるしかなくなる。

差し込みが出来ない以上他家は連続和了より早く上がらないといけなくなるがそんなこと期待できないので自分が頼りになる。

他家へのロンは防げないが、いずれツモアガリの番が来る。そこを狙い打つ。

自分へ思い込みは淡と何度も対局し、何度も0点付近になることで感覚を覚えた。

この感覚を我がものとした煌は新たな魔物となることだろう。

淡が目を覚ます。

淡(柔らかい、気持ちいいな)

淡(んっと…無理しすぎたかな?)

淡「もしかしてここは天国?」

そう言うと淡の頭にチョップが飛んでくる。

煌「なーに馬鹿なこと言ってるんですか」

淡「煌の太もも柔らかいね、気持いいや」

淡は煌に膝枕されていたようだ。

煌「懐かしいですね、この感覚」

淡「私が貧血で倒れた時だよね」

淡「あの時もこうやって看病してくれたっけね」

淡(でも知ってるんだ、煌もあの時体調が悪かったってこと)

煌「あの時から名前で呼ばなくなりましたよね」

淡は話し始める。

淡「私なりのけじめだよ」

淡「あの時思ったんだよ、この先輩は自分を犠牲にしても他人を助ける人なんだって」

淡「だからせめて私くらいは花田先輩を支えるって決めたんだ」

煌はハァと溜息をつき、

煌「自分が無理をしてもですか?」

淡「私ぐらいは煌に無理してあげないとね」

淡「煌は他の人には無理するんだもん」

淡は笑う。煌も釣られて笑う。

煌「これからは淡には本音で話をすることにしますよ」

煌「見放してもいいですよ」

煌「初めてですよこんな気持ちになったのは」

煌「非常にすばらなことです」

淡「?」

不思議そうに淡は首を傾げる。

煌「淡が好きですよ」

淡「私も煌が好きだよ?」

煌は笑う。淡も笑う。

煌は愛情。淡は親愛。

煌「両思いですね、すばら!」

そういって茶化す。

淡「プッそうだね」

ツボにはまったのか淡は笑いながら答えた。

そして、淡は煌の膝から頭をあげ、立ち上がる。

淡「よし!じゃあインハイに向けて頑張ろう!」

煌「せめて夜は寝てくださいね…」

ジト目で淡を見つめる。

淡「アハハ、徹夜は流石に懲りたよ」

これから二人は共に数多の苦難を乗り越えていくだろう。

紆余曲折はあるかもしれないがきっと最後には笑顔で終えることだろう。

淡「あっちなみに連続和了と絶対安全圏とダブリー両立出来るようになったから」

煌「すばらっ!?」
[終わり]

今週は以上です。今週は忙しかったのと愛情ルートが思い浮かばなかったので今回はなしです。

そのため若干ストーリーが練り不足感が否めない…申し訳ない。

出会いとか、看病されたとことか、他の人に無理してでも手伝ってる描写とか入れたほうが良かったかもです。

でもそうすると中編くらいの分量になりますね。

そして若干ネタ切れ感も有ります。何かネタをいただけたらそれはとっても嬉しいです。

ちなみに煌さんが聖人過ぎてプロット通りに動いてくれなかったのは内緒。

プロット段階では『捨て駒任されました』→『嘘だ!』→『そんなの当り前じゃないですか!、私がどんな思いをしてると思ってるんですか!』

ってな感じで煌に逆ギレしてもらう予定だったのですが、書いてる段階でどうしても煌さんが切れている様子が思い浮かばなかったのとこのネタ絹恵とかぶるなと思い今の感じに変更しました。

ではまた来週。次回は永水女子の誰かの予定です。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

りっつのブログで誕生日と身長がまとめられたみたいですね。

そして淡のプロフィールを見ると

大星 淡 おおほし あわい 白糸台高校1年 12/15 156

誕生日12/15!?

来週の日曜ですな。これは次回は白糸台での誕生日ネタやるしかありませんな。

>>212
おお誕生日ネタやるんですか
楽しみにしてます

なんかあわあわ強すぎぃ
そんなあわいいですな

おつ

こんばんは予定通り誕生日ネタ投下いたします。

ありがちな話の展開をありがちに綴った話です。テンプレっていいよね。

>>213 ご期待にいただきありがとうございます。その声にお答えできるものが書けていれば良いのですが。

>>214 ネタとして受け取って頂ければと思います。淡ちゃんあわいいよあわあわ。

>>215 ありがとうございます。気に入っていただけたのならこれからもよろしくお願いします。

[淡誕生日ネタ]
※12月なのに3年生組が部活にいたりしますがそこはスルーしてください。
※舞台は新設校ではなく白糸台です。
※特定のカップリングもなくほのぼの路線のつもりです。

淡「おっはよー」

元気な声と共に大星淡が虎姫の部屋に入ってくる。

照「おはよう、淡」

宮永照は読んでいる本に目を落としながら答える。

淡「んー、まだテルだけなんだー」

照は本をパタンと閉じ立ち上がり、冷蔵庫の方に歩いていく。

そのドアを開けると眉をひそめながら淡の方を向く。

照「ねぇ、私のプリン知らない?」

淡はムーっと考えると、ポンッと手を打ち。

淡「あれテルのだったの?名前書いてなかったから食べちゃった」

照「○○堂の限定プリン…」

淡「ごめんねテルー」

照「プリン…」

落ち込んでいると、部長である弘世菫が入ってくる。

菫「おはよう」

淡「おっはよー」

照「プリン…」

落ち込んでいる照を見逃せないのか、淡に向かって、

菫「何かあったのか?」

淡が答える前に照が涙目で、

照「淡にプリン食べられた…」

菫はやれやれといった様子で、

菫「またか、淡」

淡は少し不機嫌そうに、

淡「そんなに大事なものなら名前ぐらい書いてよー」

菫「自分で持ってきたものでなければ普通食べないだろ」

淡「プリンが食べて欲しそうにこっちを見てきたんだもん」

菫がまたかと言ったように淡が傍若無人に振る舞うのはこれに始まったことではない。

例えば、同じ虎姫である亦野誠子場合。

淡「なにこれ、たのしー」

淡は机に放置されていた釣り糸を伸ばしていた。

淡のクラスの解散が早く、いち早く部室に来ていたためほかに誰もいない。

淡「おっ?おー」

淡「わっ、絡まってきた」

釣り糸は細く長いので絡まりやすい。扱い慣れていない淡が絡ませてしまうのは仕方がないだろう。

誠子「おはようございます!」

部室に入って来た誠子が真っ先に淡に目を向ける。

淡「わわ、亦野先輩助けてください」

誠子「何やってるんだか…ってそれ私のやつじゃん」

なんとか絡まっている糸を解いてやると。

淡「ありがとうございます、亦野先輩」

誠子「ありがとうじゃないよ全く…」

誠子「人のもの勝手にいじってダメにするなんて…」

誠子「まっ、大星に何言ってももうダメか」

最後の一言は淡に聞こえないようにボソッと呟いた。

淡(聞こえてるんだけどね…)

例えば渋谷尭深の場合。

尭深がお茶を啜る。

飲みなれたいつもの味に少し違う苦味を感じる。

首を捻りつつもう一口啜るが味は変わらない。

淡「どうしたんですか?たかみ先輩」

尭深「いつもの味と違う気がする」

淡「あっ…この前いろんな茶葉合わせて入れて遊んでた時に取りすぎた分戻す場所間違えたかも?」

その言葉にムッとしながら。

尭深「お茶は淹れてあげるから、あんまり触らないでって言ったよね」

淡「ごめんなさい」

としょんぼりしながら答える。

尭深はため息をつきつつ、

尭深(淡ちゃんにも困ったなぁ)

淡(とか考えてるんだろうな)

その日の部活が終わり、

淡「それじゃあお疲れ様でしたー」

照「お疲れ」

照はまだプリンのことを根に持っているのか、少しムスッとしている。

菫「ああ、お疲れ様」

菫はチラッと淡を横目に見てから答えた。

亦野「お疲れ様さまー」

対局の疲れか、少しぐったりしながら誠子は答えた。

尭深「またね、淡ちゃん」

尭深はマイペースにお茶を啜っている。

部室のドアを閉めると淡は自己嫌悪に陥る。

淡(またやっちゃったな…)

ドア越しに声が聞こえる。

照「プリン食べたかったな…」

菫「淡の行いには困ったものだな」

尭深「でも悪気があるわけじゃ」

誠子「悪気がないから怒れないんですよね」

菫「まあここで言っても仕方ないことだ、それより明日のことなんだが」

淡(明日は私の誕生日なんだけど、そんなこと誰にも言ってないし祝われるわけないよね)

淡(ひどいこといろいろしちゃったし、私にそんな資格なんてないよ)

そのまま足音を出さないように静かに歩いていってしまった。

誠子「それにしても予定が狂っちゃいましたね」

照「淡のことだから自分の誕生日をアピールしてくるものだと思ってた」

菫「それに便乗して誕生日パーティーを開くって流れにする予定だったんだがな」

尭深「さりげなく話を振ったりしたけど、誤魔化された」

菫「仕方ないな、プランBでいこう」

誠子「なんですかプランBって?」

照「ないよ、そんなもの」

尭深「行き当たりばったり」

菫「し、仕方ないだろ、こんなことになるなんて思ってなかったんだから」

淡は暗い自室に一人座っていた。

海外で暮らしている両親から誕生日を祝うメールが来ていたのが唯一の救いだ。

メールの内容を要約すると、

誕生日おめでとう淡

少し多く仕送りを入れておくからケーキ買うなり、好きにつかってね

といった内容だった。

淡(時差間違ってるよ…あと1時間あるし)

そう言って一人笑う。その笑みは乾いていた。

淡(仕方ないよね)

淡(私は迷惑ばっかりかけてるから)

淡(それなのに自分の誕生日は祝ってーなんて都合が良すぎるよね)

淡(これ以上皆に負担かけたくないしね)

淡(あれ?やだな)

淡(なんで私泣いてるの?)

淡「顔、洗お」

独り言を呟き洗面台で顔を洗う。

しかしタオルで拭っても拭っても水分が取れない。

目から涙が止まらない。

淡「おかしいな、なんでだろ」

拭っても拭っても。

淡「あああああああああああああ」

耐え切れなくなったのかそのまま悲鳴のような鳴き声をあげる。

淡(なんで?どうして?)

『また淡か』

淡の脳内に声が響く。

淡(どうしてこうなったの?)

『大星に何を言ってもダメか』

淡(私はみんなと仲良くしたかっただけなのに)

『淡ちゃんにも困ったな』

淡(私が何かするたびにみんなの顰蹙を買っちゃう)

『プリン…』

淡(だから迷惑かけても自分を貫くって決めた)

淡(その代わり私のことは話さない)

淡(一線以上は踏み込ませない)

改めてそう決心すると涙は止まっていた。

それはきっと悲しい虚しい決心であったろう。

このまま終われば彼女の独りよがりの結末であったろう。

だがこんなにも健気で可愛く精神的に逞しい彼女がこんな惨めなまま終わっていいだろうか。

いやそんなことはないだろう。

好き勝手振舞う一面もあっただろうが、それ以上に彼女は愛されていた。

口には出さないが皆彼女が好きだった。

宮永照の場合、

淡『ねえテルー何読んでるの?』

照『小説』

淡『むー、それだけじゃわかんないってもっと会話しようよー』

淡にとっては暇を潰すための自分勝手な振る舞い。

しかし、照にとっては本のことを話せるあまりない機会であった。

照『私の好きな作家の恋愛小説だよ』

淡『テルー、恋愛小説なんて読むんだー』

照『SFから自伝、恋愛小説までなんでも読むよ』

照『気になるなら貸してあげるけど?』

淡『んーじゃあ今テルが読んでるのが読みたい』

照は少し迷ったが、本を差し出し、

照『何回か読んだからいいよ、よかったら感想聞かせて欲しい』

淡『いいよー』

翌日、目元にうっすらとくまを浮かべ、少し赤い目をした淡が照に本を差し出す。

淡『テルーすっごい感動したよー』

照『よかった、私のおすすめだったからその気持ちを分かってくれてて嬉しい』

照の浮かべた笑顔は、心のそこからの笑みであり、なかなか見れるものでもなかっただろう。

弘瀬菫の場合、

菫『まったく、部長会議は退屈だな』

淡『あっ菫先輩お疲れ様でーす』

菫『なんだ、淡だけか』

淡『時間も時間ですしねー』

菫『そうかもうこんな時間だったか』

部活動の時間はとっくに過ぎており、もう完全下校時間だ。

菫『淡はこんな時間まで何やっていたんだ?』

淡『んー暇だったんで部長ごっこしてました!』

淡『菫先輩も来たし、私は帰りますねーお疲れ様でーす』

淡『鍵お願いしますねー』

そう言ってそそくさと帰ってしまった。

菫は意味不明と首を傾げるが、

菫(まあ淡の予想外の行動は今更か)

菫が机に目を向けると普段自分がつけていた部日誌を見つける。

そこには淡が書いたであろう本日の日誌が書かれていた。

淡にとってはいたずらのつもりで書いたのであろうが、その完成度は予想以上に高かった。

菫(淡…)

根は真面目で思いやりのある淡だ。悪戯であっても、失敗であっても、誰かを思ってのことだった。

例えば、冷蔵庫にあったプリンの賞味期限がギリギリだったのを目にしたので食した。

例えば、お茶の葉はいつもお茶を入れてくれる尭深へ御礼のつもりで練習していただけだ。

例えば、釣り糸は放置されていた物をしまおうとして絡まっただけだ。

空回りし続けただけだった。

その結果として今の淡がある。

でも大丈夫、空回っていたとしても思いは、想いは必ず伝わるから。

12時を回るか回らないかの時間にピンポーンとインターホンがなる。

淡(こんな時間に誰?)

淡(迷惑だなー)

淡がインターフォンの映像に目を向けると、

淡(みんな!?)

虎姫の面々が扉の前にいた。

カメラの前には菫が堂々と大きく写っている。

照はいつもと変わらず飄々と佇んでいる。

誠子は少しそわそわしている。

尭深はお茶を啜っていた。

それを目にした淡は急いで玄関に向かう。

淡(住所なんて教えた覚えないんだけどなぁ)

そしてドアを開ける。

淡「どうしたんですかこんな時間に?っていうかなんで家の場所知っt」

菫「あー、言いたいことはあるだろうがまずこちらの話を聞いてくれ」

菫「淡」

照「淡」

誠子「大星」

尭深「淡ちゃん」





『誕生日おめでとう!』




[終わり]

あわあわ誕生日おめでとうございます!!!!

ここから先の展開は脳内補完でよろしくお願いします。

ちなみに住所とか誕生日を知っていたのは入部届けに書いてあったから知っていただけです。

日をまたいだ時に『誕生日おめでとう!』をやりたかっただけです。

今度こそ次回は永水というか姫様書きます。ではまた来週。

-------ここからどうでもいい雑談というかネタメモ------------
いちゃラブ分を補給したせいか厨二成分を補給したくて仕方ないです。

このスレでは書く予定はないのですが、ネタという名の脳内妄想がたまってきたのでメモがわりに晒させてください。

咲キャラで安価もどき:精神世界で戦闘(厨二成分多め)を行い失った感情を取り戻す、ストーリー仕立てな話。

漫画にある対局を戦闘風味にする:アニメに出てくるイメージの戦闘をガチで書いてみる小ネタ。

咲とは全く関係ないが、魔王勇者もの:ファンタジーの世界だが、通信手段が発達し勇者TVとかいう番組が一般人の娯楽になってる世界の話。

和気あいあいとした雰囲気で締まって素敵でした!
あわあわ誕生日おめでとう!

厨二淡も面白そう

おつ

すっかり忘れてたいつもの
目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

乙乙

穏乃の話良かった
でも憧ちゃんは残念だったね

こんにちは今回は特にイベントもないので平常運行です。
ここ数回イチャラブ分が足りない気がしたので少し(当社比)甘めにしたつもりです。甘い感じが伝わればいいなぁ。
ということで姫様回です。

>>230 正直前半が淡disっぽくなったので最後にその分挽回できてるか不安でしたが、和気あいあいと感じていただけたのでしたら非常に嬉しいです。
厨二が面白そうだと…それなら年末は大分暇なんでそこら辺にちょっと書こうかな

>>231,>>233 ありがとうございます。スレを更新した時に乙とレスがあると、これ以上幸せなことはないです。

>>234 ご感想ありがとうございます。穏乃の話は即興で書いたのもあって個人的に練り足りない感じがしたので、良かったと言っていただけると嬉しいです。
憧に関しては仲良しエンドだからチャンスはあるんじゃないんですかね。
でもアコチャーは自分の思いを心に閉まって淡を応援するんじゃないですかね?っていうかその話で1本書けそうですね。

[神代小蒔の場合]
ここはとある高校麻雀部の部室。新入部員の自己紹介を行っている。

淡「1年A組、大星淡です」

淡「私が入部するからには目指すところは優勝だけです」

部長「うん、元気があってよろしい」

淡「ところで、さっきからそちらで船こいでる先輩はなんなんですか?」

淡の視線の先には胸の大きな2年生の先輩-神代小蒔-がいた。

部長「小蒔ちゃんはあんまり気にしないであげてね、そういう人だから」

淡(んー?なんかよくわからないけど私と同じ力を感じる気がする)

淡(実際打ってみないとわかんなそうだけど、楽しそう!)

小蒔は隣に立っていた友人であろう人に揺すられて目を覚ます。

小蒔「ハッすいませんまた寝ちゃってました…」

部長「いいよいいよ、新入生の紹介は終わったし」

小蒔「ガーン聞けなかったです」

小蒔は少し涙目だ。

淡(自分でガーンなんていう人はじめて見たよ、あざといけど普通にカワイイじゃん!)

淡(ところで、さっきの力の感覚どこいっちゃたんだろう?)

小蒔(なんだろうあの金髪の娘、ずっと私の方見てる…)

部長「じゃあ今日は上級生は新入生の相手してあげてね」

部長が手を叩くと、散り散りと卓についていく。

小蒔「あの…さっきからこっち見てたけどどうしたの?」

淡の方に歩み寄りながら、小蒔は尋ねた。

淡(やば、気づかれてたか…、適当に言い訳しとこ)

淡「こんな可愛い先輩なら一度打ってみたいなって思ったんです」

小蒔「か、可愛い!?そんな私なんてえっとその…」

しどろもどろになって先輩の威厳など感じられない。

淡(なにこの先輩チョロイ!!っていうか褒められることに免疫ないんだろうね)

淡「なので、小蒔先輩打ちましょう」

小蒔「かわいい…ハッわかりましたお相手お願いします」

小さくガッツポーズをしながら、小蒔は意気揚々と答える。

小蒔(いいところ見せないと!)

淡「私、大星淡です」

淡「自己紹介中寝てたから聞いてなかったんですよね」

と淡は少し笑みを浮かべながら伝える。

小蒔「あうあうー」

小蒔は出鼻をくじかれもうタジタジだ。

部長「メンツが足りなそうだから私とAが入るよ」

3局目、淡は様子見のため絶対安全圏のみを発動していたが、

淡(やっぱり私の見当違いだったかなぁ)

小蒔は良くも悪くも普通だった。

部長「ソイヤッリーチ」

淡「あっ部長それロンです」

部長「マジで!?」

淡「あっはい」

点棒をもらった刹那、強力な力を感じる。

淡「!?」

部長「ありゃりゃお姫様も寝ちゃったか、もう店じまいして失点減らすしかないかな」

淡(これ、やっぱり私と同じ力だ)

世界が停止する。そこで動くのは淡と小蒔だけだ。

淡『小蒔先輩が四本柱の一柱でしたか』

小蒔?『お主はもうそこまで力を制御しているのか、ふむおもしろい』

淡『小蒔先輩はまだ力を制御できないから貴方を降ろしていると?』

小蒔?『降ろすのは私だけではないがな』

小蒔?『コヤツの力は強すぎる、これぐらいがちょうどいいのかもしれん』

淡『アハッ神様の知り合いができたなんて面白すぎるよ』

小蒔?『私も久しぶりに現世の娘と話ができて嬉しいぞ』

小蒔?『では鎬を削り合おうか小娘よ』

淡『絶対負けないから』

そう言うと淡の力が開放され行く。

世界が動き出す。

部長「大星、お前もか」

部長と対局者のAは非常に辛そうだ。

淡「んーッ」

対局後淡は背伸びをし、おもいっきり背もたれに体重をかける。

淡「久しぶりに本気で麻雀したー」

部長「姫が最後まで寝とっただと…」

そして席を立つと、未だに動かない小蒔を、お姫様抱っこをしてソファーまで運ぶ。

辺りからオーッと歓声があがる。

淡(んー意外と軽いかな)

そうして自分も座り小蒔の頭を自分の太ももの上に乗せる。

淡『いい勝負だったね』

小蒔?『うむ、これから楽しくなりそうだ』

小蒔は一度目を瞑ると、今度はパチッと両目を開いた。

小蒔「あれ?また私」

小蒔「それになにか柔らかいです」

小蒔は頭をグリグリと動かすと、

淡「ィヤン、小蒔は先輩って意外と積極的なんですね」

小蒔がゆっくりと声のする方へ顔を向けると、淡は小さく手を振る。

小蒔「な、なななんで大星さんが!?」

淡「なんでって私がしたかったからだよ」

小蒔「私を可愛いって言ったり膝枕したりからかってるんですか!?」

と言って頬を膨らませるが、顔をあげる様子はなさそうだ。

淡「小蒔先輩気持ちいいですか?」

小蒔「はい、ってそうじゃなく!」

モブs(なんだこの空気…)

淡(なんだろうこの感覚?)

小蒔(はうぅ…恥ずかしいけど悪い気は全然しません)

その日の淡の自室にて、

淡(神代、神代小蒔、小蒔先輩)

ベッドに横になりながら今日知り合った先輩について思考する。

淡(神を自らに降ろし、力を制御する…か)

淡(私と対等に麻雀を打てる人か)

淡(この高校来てよかったな)

淡(魅力的な先輩だったし…)

淡(部長もいい人っぽいし)

淡(ってちょっと待て私!)

淡(魅力的な先輩ってなに?確かに麻雀打ってて楽しいのは魅力的だけど)

淡(魅力的な先輩?)

淡(確かに、おもちは大きくてちょっと触った感じも柔らかくて気持ちよかったよ?)

淡(でも一日でしかも同性に惚れる?)

淡(いやいやいや)

淡(まずなんで膝枕なんてしたんだ私)

淡(無意識にアピールしてたの?)

淡(私のほうがチョロイじゃん)

淡(落ち着けー落ち着け私)

淡(ひとまず同性ってのは置いておこう)

淡(ダー置いておける問題でもないー)

淡(もういいわっけわかんない寝る)

淡(…小蒔先輩…好き…)

思考を放棄し目とを閉じると、スヤスヤと寝息を立て始めた。

翌日の部活動の時間

淡「おっはよーございまーす」

部長「おはよっさん」

淡は辺りをキョロキョロと見渡す。

淡「小蒔先輩は?」

部長「おっ?気になっちゃう?」

淡「そりゃあ気になりますよあんなに麻雀強いんですし」

部長「ありゃりゃそういう意味か」

淡(一応本当のことだもん)

小蒔「すいません遅れました」

小蒔が入室してくると淡の目が輝く。

それと同時にトテトテと近寄って行き、

淡「小蒔せーんぱい、今日は一杯打ちましょうね、ね?」

小蒔「は、はい」

小蒔「あの、大星ちゃんちょっと近くないかな?」

淡は小蒔とあと少しで触れ合えそうなほど近寄っていた。

淡「んーこれくらい普通ですよ」

淡「それとも、私じゃ嫌ですか…?」

俯きがちに尋ねると、

小蒔「え、えっと別に嫌ってわけでは…」

小蒔(よくわからないけど、懐いてくれたってことかな?)

小蒔(なら先輩として優しくしてあげよう)

淡「ヤッタ」

淡が嬉しそうにニコニコする。

だがこれが淡の限界であった。これ以上踏み込むには少し勇気はなかった。

それから淡はというと少し過剰な、かと言って常識の範囲内のスキンシップを行っていた。

今は部活の休憩時間。

2人で部室のソファに座りながら駄弁っている。

もちろん隣り合って座っている。

淡「小蒔せーんぱい」

小蒔「どうしたの?淡ちゃん」

いつの間にか名前で呼ぶようになっていた。

淡「んーん、呼んでみたかっただけ」

小蒔「もう、淡ちゃんったら」

淡「今日もいっぱいおしゃべりしましょうね」

小蒔「淡ちゃんったら甘えん坊さんですね」

そう言いながら淡はそっと小蒔の手の上に自らの手を重ねる。

小蒔がそっと淡をみつめると、淡は恥ずかしそうにそっぽを向く。

小蒔はクスッと笑うと重ねられた手の上に逆の手を重ねる。

淡は驚きいきなり振り向くと、

小蒔「淡ちゃんの手はあったかいですね」

淡は赤くなりながら、

淡「小蒔先輩の手はちっちゃくて可愛いくて、なんだか安心できます」

小蒔も赤くなりながら俯き、

小蒔「ま、また淡ちゃんは恥ずかしいこと言って…」

部員(おい、このピンクな雰囲気何とかしろよ…)

部長「なあ姫さん」

小蒔「なんでしょうか部長」

しばらくして、珍しく家の用事で淡が休んでいる時に部長が小蒔と話をしていた。

部長「姫さんは淡と付き合ってるのか?」

小蒔「つ、付き合うなんてとんでもない」

満更でもない様子であるが、手を振りながら答えた。

部長「それにしては、あんなに仲良さそうにしてるじゃんか」

小蒔「よくわからないんですけど、懐かれたのでそれに合わせてあげようと思いまして…」

部長「それにしては結構満喫してるようだけど?」

小蒔「そ、それは」

小蒔は返答に困っているようだ。

小蒔「あうー」

部長「ま、無理には聞かないけどね」

部長「自分の気持ちに素直になるってのは大事なんじゃないの?しらんけどね」

小蒔「自分の気持ちに、ですか…」

小蒔は居候している、分家の神社に帰宅する。

小蒔は本家の人間として経験を積むため、他県の神社に3年間修行する習わしがあったためだ。

居候先の母「小蒔ちゃん、おかえりなさい」

小蒔「おばさま、ただいま帰りました」

裏門から家に入った小蒔であったが、表から鈴の鳴る音が聞こえる。

小蒔「この時期に参拝ですか?珍しいですね」

居候先の母「またあの子かな?」

小蒔「あの子?」

居候先の母「最近よく来る娘なんだけどね、なにか必死にお願いしてるみたいなの」

居候先の母「話しかけてものらりくらりかわされちゃってねー」

小蒔「なら私が、話を伺ってきましょうか?」

居候先の母「年が近いほうが話しやすいのかな?」

居候先の母「それじゃあお願いしちゃおっかな」

小蒔「任せてください」

小さくガッツポーズを見せ、巫女服に着替え、表に出る。

そこに待ち受けていたのは…

そのタイミングで小蒔がうつらうつらし始める。

時は少し巻き戻る。

神社の階段を上ってくる金髪の少女が一人。

淡(今日も来ちゃった…)

淡(自分で勇気が出ないからって神頼みとは情けないなー)

水くみ場で、手と口を洗い、

淡(神様の知り合いならいるのにね、なーんちゃって)

鈴を鳴らす。

淡(かと言ってあの神様に頼むわけにはいかないしねー)

二礼二拍手一礼をし、

淡(小蒔先輩ともっと仲良くなれますように、もっともっとおしゃべりできますように)

淡(小蒔先輩と両思いになれますように)

淡(それからそれから、小蒔先輩と一緒にインハイでがんばれますように)

淡(それとそれと…)

そう願っていると淡は頭をこづかれる。

小蒔?「欲張りすぎですよ大星さん」

淡は一瞬驚いたが、冷静さを取り戻し、

淡「なーんだ神様のほうか」

小蒔?『はっはっは、よくわかったな』

淡『だって小蒔先輩は私のこと淡ちゃんって呼ぶもん』

小蒔?『それにしてもお主がこやつに懸想を抱いておるとわのー』

淡『べ、別にいいでしょ、好きになったんだから』

小蒔?『わしとお主の仲じゃ、その思いに至ったきっかけを話してくれんか?』

淡『貴方に話したら小蒔先輩に伝わるじゃん』

小蒔?『心配する必要はないぞ’今は’こやつは眠っておる』

小蒔?『それにわしらも退屈でのー、人の恋煩いの話は好物なんじゃよ』

淡『仕方ないなー』

淡は仕方なく話そうとする。

それを確認した小蒔は一度目をつぶり、パチッ目を開く。

淡「はじめはねー人の自己紹介中寝てる失礼な感じかなーって思ってたんだよね」

淡「でもその寝顔がね、女の私から見ても可愛いのなんのって」

淡「その時は意識してないつもりだったんだけど、無意識に意識してたんだろうね」

淡「軽口で小蒔先輩可愛いとか言っちゃったもん」

淡「それから一度麻雀打ってさ、これ貴方も覚えてるんじゃない?」

淡「その時はいい勝負して、久しぶりに全力で打てて柄にもなく興奮しちゃったんだよね」

淡「全力出したのなんてもしからしたら初めてかもしれないしさ」

淡「それでまだ小蒔先輩は寝たままだったからさ、ついムラッっときて膝枕までしちゃった?」

淡「今になって思えばこれが一番激しいアプローチだよねー」

淡「それで小蒔先輩を意識し始めてのはさ、その日家に帰ってからなんだよね」

淡「なんか小蒔先輩のこと考えててたらわかったんだ」

淡「小蒔先輩好きになっちゃったってさ」

淡「一目惚れってやつだったのかな?」

淡「私にはこの人しかいないんだーってやつでさ」

淡「それから、少し大胆にアピールしてみたけど」

淡「小蒔先輩は私のこと仲のいい後輩ってしか見てくれなさそうだからねー」

淡「そこから先にはなかなか踏み出せなくて神頼みってやつ始めてさ」

淡「小蒔先輩と両思いになりたい」

淡「黒髪が綺麗な小蒔先輩が好き」

淡「クリクリした目が素敵な小蒔先輩が好き」

淡「瑞々しい唇の小蒔先輩が好き」

淡「時々見えるうなじが可憐な小蒔先輩が好き」

淡「大きなおもちが柔らかい小蒔先輩が好き」

淡「ちっちゃくていつまでも握っていたい手の小蒔先輩が好き」

淡「麻雀が強い小蒔先輩が好き」

淡「悪いことをしたらちゃんと叱ってくれる小蒔先輩が好き」

淡「みんなから好かれている小蒔先輩が好き」

淡「そしてなにより」




淡「私のことを大事にしてくれる小蒔先輩が大好き」






小蒔「私も淡ちゃんのこと、好きだよ」


[終わり]

[おまけ]
淡が小蒔を見つめると湯気が出てもおかしくないくらい真っ赤にしていた。

淡「えっと、どこから聞いてました?」

小蒔「ごめんなさい最初から…」

淡「えっと、今言ったことはあの、なんといいますか」

小蒔「嬉しいです」

淡「えっ?」

小蒔「淡ちゃんの素直な気持ちを知れて私は嬉しいです」

優しげな笑みを浮かべながら小蒔は淡を見つめる。

小蒔「それにもう返事はしたんですから」

淡「えっ?」

小蒔「私と淡ちゃんはもう両思いですよ?」

淡「えっとえっと」

あまりの事態に現実を受け止められない淡は

淡「わ、私でいいんですか?」

小蒔「淡ちゃんがいいの」

小蒔「淡ちゃん以外考えられない」

淡「あの、あの…」

淡「じゃあじゃあ、いままで妄想でしかなかったこともできるの?」

淡「今まで以上に踏み込んでいいの?」

小蒔が淡を抱きとめる。

小蒔「いいですよ、私も全力をもってお応えします」

淡はうるうるした目で小蒔を見つめる。

そして強めに小蒔を抱きしめる。

小蒔「淡ちゃんちょっと痛いですよ」

淡「ごめんなさい、でもこうしとかないと不安で」

小蒔「もう、淡ちゃんったら本当に甘えん坊さんですね」

小蒔は有無を言わさず、淡の唇に唇を重ねる。

小蒔「ン…」

淡「ンン…プハッ」

淡「きききききき」

小蒔「き、キスですよ」

淡「あわわわわ」

淡「本当にキスしちゃった」

そして落ち着くように何度か深呼吸をすると。

淡「ねぇ小蒔先輩」

小蒔「なーに、淡ちゃん」

淡は恥ずかしそうに唇を指差す。

淡「たーりーなーいー」

小蒔「もう仕方ないですね」

再び二人の唇が重なる。

神が見守る二人の仲だ。たとえ世界が拒絶しようとも、この二人を邪魔することなどもはやできないだろう。

[おわり]

今週は以上です。

なんか甘々させすぎて砂糖吐きそう。

次回はどこの高校にしようかまだ決まっていません。誰と絡んでる淡が見たいとかリクエストしてもいいのよ?

ではまた来週。

-----------ここからどうでもいい雑談-------------
ひっそりと咲×?スレに咏ちゃんとの絡みを投下したりしてました。こんな雑なSSでも乙貰ったり反応貰ったりで嬉しい限りです。

まあ、それで何が言いたいかというと、これを読んでいる方もSS書こう。理系の私でも書けるし、更新ペースがこんなんでもやっていけるのだから、きっと誰でも書けるはず。

以上雑談でした。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

[神代小蒔の場合]>>236-251内容:神様と知り合いになりつつイチャイチャする話

姫さまチョロいと思ったらだだ甘シュガーだったw

透華との絡みとか見てみたい気が

こういう甘いやつは俺のバイブルだわ
乙乙

こんにちは今週分投下いたします。

前回姫様と甘々したので少し甘さ控えめとなっているかもしれません。

今回は龍門渕透華さんです。

>>254 たまにめちゃくちゃ甘いものが欲しい時って有りますよね。SSでもそんな感じです。
そしてリクエストありがとうございます。透華はキャラ立ちがしっかりしているので書きやすかったつもりです。違和感なくかけていれば良いのですが…。

>>255 バイブルとまで言っていただけるとは…お褒めいただきありがとうございます。
ですが甘いものは一度書くとしばらくはいいやって気持ちになるので次に甘々になるのは少し先かもしれません。

[龍門渕透華の場合]
桜の花咲く春、父親の都合で計画が狂いはしたが大星淡はとある高校に入学した。

そんな入学式、

淡(入学式ってやっぱり退屈ー)

壇上では校長先生が入学生に対する祝辞を述べていた。

淡(なんで年寄りって話が長いのかなぁ)

司会「続いて生徒会長の挨拶です」

校長の長い祝辞が終わり次のプログラムに進行する。

淡(はぁ、まだ終わらないのか…)

壇上に登る生徒会長を見て、淡は驚く。

淡(金髪の生徒会長!!)

淡(なにそれ!おもしろっ!)

生徒会長「入学生のみなさんまずはご入学おめでとうございます」

透華「私は生徒会長の2年A組の龍門渕透華ですわ」

透華「2年生の若輩の身ですが生徒会長という役職をやらせてもらっておりますわ」

淡(生徒会長って普通3年生っぽいしねー)

淡(っていうか、いいところのお嬢さんって感じかー)

淡(んー金か地位にでも物言わせて生徒会長にでもなったのかな?)

透華「ーであるからして、本校では実力があれば1年生でも生徒会役員になれ…」

淡(金持ちの道楽か…予想外の展開だけど面白い展開ってわけじゃないなー)

淡(生徒会長自体は悪くわないんだけどねー)

その日の放課後、

淡(私と言ったらやっぱり麻雀!!)

麻雀部と書かれた部室の扉を開く。

透華「あら、どちらさまかしら」

淡「生徒会長!?」

予想外の人物が中にいたことに驚きを隠せずにいた。

透華「貴方は確か1年A組大星淡さんですわね」

名前を言い当てられたことに対し淡は少し緊張感を持つ。

淡「どうして私の名前を?」

透華「生徒会長たるもの、入学してくる生徒の名前くらい当然覚えておりますわ」

淡「全員の名前を?」

透華「そう言っておりますの」

透華「これくらいしないとインパクトが足りなくてよ」

理解は出来ないが納得はした様子で、

淡「ふーん、まあいいや、私麻雀やりたい!」

透華「残念ですが、本日は麻雀部はお休みでしてよ」

淡「なら生徒会長はなんでここに?」

透華「私は麻雀部の部長も兼任しておりますの」

透華「貴方のような入部希望者がいたら逐一説明するためにここにいるんですのよ」

淡「んじゃあ生徒会長は…」

透華「役職で呼ばれるのは好きではありませんわ、透華と呼んで下さいませ」

淡「そう?じゃあよろしくね透華ー」

透華「呼んでもいいと言いましたが、年上に対してタメ口…」

透華はハァッとため息をつき、

透華「まあ構いませんわ、私の懐は宇宙より広いですからね」

淡は聞こえていなかったのか、首を捻り透華を見つめる。

淡「今日は帰るけど、麻雀部には入るからよろしくねー」

第一印象では丁寧な人だと思った淡であったが、日常の透華を見ているとその印象が変わっていった。

よく言って自己主張の強い人、悪く言えばわがままを押し通す人だ。

例えば、こんなエピソード。

透華「部内での対局だけではマンネリ化が防げませんわね」

と透華がボソッと呟いた。

部員の皆がビクッとっする。

淡(?)

新入部員の淡を含む1年生はよくわからずに、様子を見守っている。

対局をしていた先輩がこっそりと淡に教えてくれる。

先輩「…部長の悪い癖だよ」

淡「癖ですか?」

先輩「そっ、自分の思いつきを決行しちゃうの」

その時、透華が一旦対局の中止するように指示を出す。

透華「皆さん、聞いてくださいな」

透華「部内での対局も悪くはありませんが、やはり学外に出て活躍するに限りますわ!」

透華「目立ってなんぼですわ」

透華「ですので、練習試合を行います」

淡(これが悪い癖?別に普通じゃないの?)

淡「透華ーいつやるのー?」

透華は不思議そうに首をひねる。

透華「おかしな事を聞きますわね、当然今からに決まっておりますわ」

淡「へ?」

先輩たちはアチャーッといった様子で頭を抱える。

結局その日は他校に殴りこみも同然で訪問し、練習試合を行った。

淡(結局は楽しかったけど、急すぎる…疲れた)

例えば別のエピソード。

放送のチャイムが鳴る。

高笑いとともに放送口から生徒会長龍門渕透華の声が響き渡る。

透華「みなさんお元気ですか?生徒会長の龍門渕透華です」

透華「近頃の暖かい陽気で体を持て余している方も多いのではないでしょうか」

透華「ということで、本日は午後の授業を中止して、臨時のスポーツ大会を行いますわ!」

淡「は?」

放送を聞いていた淡が思わず声をだす。

透華「午後の授業開始のベルが鳴るまでに全校生徒は校庭に集合してくださるかしら」

背後から教師であろう人の抗議の声が、聞こえるが、

透華「ルール等は決めてありますので、是非とも楽しんでください」

淡(これも悪い癖ってやつかな?確かに少し迷惑かも?)

結局その日の授業はスポーツ大会になり、なんだかんだで皆楽しんで過ごした。

その後に、潰れた分の授業の大量の課題が出たのはご愛嬌。

淡(んーなんだかんだで楽しいのが悔しい…)

とある放課後、透華と淡は二人で話をしていた。

透華が紅茶が飲みたいと思ったので、近くにいた淡が誘われた形である。

透華「どうですか淡、うちのお茶は」

淡「どこが違うとかはよくわかんないけど、おいしい!」

透華はフフッと笑い、淡を見つめる。

その視線はまるで我が娘を見守る母のようだった。

淡「それにしても透華はすごいよね」

透華「どういうことですの?」

淡「ほら自分の思いつきを即実行したりさ」

透華「兵は神速を尊ぶといいますもの、早ければ早いだけ価値があるんですのよ」

淡「でもずっこいよね、透華だからって理由で許されるんだもん」

淡「私が同じことしようとしても、ついてくる人なんていないし」

透華「淡がそう言ったら私が全力でサポートしますわよ?」

淡「そうなると結局『透華がー』ってなるじゃん」

思考するように透華が少し俯くと、畳み掛けるように、

淡「そんな透華が羨ましいよ」

透華「それに関しては当然と言わざるを得ませんわね」

透華「羨ましがられるのが私の義務ですもの」

淡「なにそれ、私はあらゆるものを持ってますって嫌味?」

透華「そう受け取られるのも仕方ありませんわね」

透華はそう思うならご自由にどうぞと、冷たい視線を送る。

ここは透華が譲れないライン。

淡は文句を言うのをグッと我慢し、

淡「どういうことか説明してもらってもいいですか?」

その我慢した様子に少し感心した透華は、

透華「私は将来龍門渕グループのトップとなりますわ」

透華「上に立つものの責務として、羨ましく思われ、私を目指してもらって努力してもらう必要がありますの」

透華「そのために私は努力してきましたわ」

透華「その努力の結晶が今の私といったところでしょうか」

淡「それじゃあ、思いついたように行動するのは、その鬱憤を晴らすための我儘だったりするの?」

透華「私は自分の我儘を他人に押し付けたことはありませんわ」

冷静を保っていた透華の声が少しだけ上擦る。

透華「それは貴方達の役割ですもの」

淡「だったら、この前の急に練習試合をしたのはなんで?自分が部内戦に飽きたからじゃないの?」

透華「練習試合は前々から予定されていたものでしたわ」

透華「それに数名から、対局が楽しくないと相談を受けておりましたの」

透華「ですので、部内の空気を変えるための策でしたわ」

透華「部内のみんなにはサプライズとして、その日に言いましたけれど相手校には1周間前から打ち合わせはしておりましたわよ?」

淡「で、でも急にいう事無いじゃん」

透華「相談を受けた相手に必要以上に恩を得る必要はありませんわ」

透華「ですので、私の発案ということにさせてもらいましたわ」

淡「透華なら何をしても『またか…』で済まされるから…?」

透華は黙って頷く。

ついでに言うのならば、淡の実力を対外試合で試すための予行演習であったりする。

淡「じゃあ、じゃあ、この前のスポーツ大会だって…」

透華「実は、元々数年前に廃止されたスポーツ大会がありましたの」

透華「復活させようにも、教師たちの体裁的に大々的に復活することが出来ませんでしたわ」

放送の背後で抗議をしていたのはスポーツ大会を廃止させた反対派の教師であろう。

淡「だから自分をダシにして、小規模に復活させた?」

透華「更に言うのならば、来年はこれを言い訳に大々的やりますわよ!」

透華「無能な教師のお陰で私の実績がドンドンと増えていきますわ」

シリアスになりすぎている空気を察したのか、透華は高笑いをしながら少しふざけた態度を取る。

この話を聞く前なら、

淡(透華らしいなー)

とでも思っただろう。

だがそんな話を聞いた後ではとても本心から言っているとは思えない。

淡「それなら透華はどこにいるの?」

少しだけ踏み込む。透華の敷いたラインの中に。

透華「私はここにおりますわよ?」

淡「練習試合もスポーツ大会も、我儘でやってたと思ってたよ!」

淡「それに関してはゴメンナサイ!それになんだかんだで楽しかったです、ありがとうございます!」

淡「それなら透華の本音はどこに有るの!?」

淡「今までの透華を考えると透華の意思が感じられない」

淡「透華の本心の在処がわからないよ」

悲しんでいるような、怒っているような、戸惑っているような様子で淡は狼狽する。

透華「少し話しすぎましたわね」

透華「今日のところはお引取りをおねがい致しますわ」

淡(ここで素直に従ったらダメ!)

淡「ヤダ」

淡(考えなきゃ…)

透華「我儘を言うのは貴方達の役割と言いましたが、分別をつけてくださいまし」

淡(確かにそう言ってた)

淡(でもそれまで淡々と喋ってた透華の声が少しだけテンポを崩してたっけ)

淡(それだけ、なにか思い入れがあった?)

淡(それにお茶に誘われたからにはなにか理由があったはず)

淡「ねぇ、透華はさ」

淡(これでダメなら私にはわかんない)








淡「私のことが羨ましいの?」

透華は更に声を冷たくし、

透華「帰ってくださらない」

淡「透華!」

淡は叫ぶ。

その声の火は透華の氷を溶かすには十分であった。

呟くように、

透華「…当たり前ですわ」

これは溶かし出された透華の本音。

透華「自分のないものに憧れて何が悪いのでしょうか?」

今まで決して外に出なかった我儘。

透華「私だってやりたいことぐらい死ぬほど有りますわよ」

一瞬だけ淡が溶かした氷だ。次の日にはまた凍ってしまうだろう。

淡「だったらさ、私が透華の荷物の半分を持ってあげる」

淡「透華の持つ氷と私の炎…」

淡「溶けた水が私に混ざって淡になるから、それが私になるから」

淡「せめて私だけは頼りにして!」

透華は憑き物が落ちたように少し笑い、

透華「お引き取りください」

淡(ダメだったのかな…)

淡「うん…」

翌日、淡は気を重くしながら登校していた。

淡(透華のことが気になってあんまり寝れなかったし…)

淡(だからと言って解決策も見つからない)

淡(完全に詰んだ)

この日は全校集会が有り、淡はその時間にでも寝ようと思っていた。

体育館に全校生徒が集まると、

壇上には金髪の少女…龍門渕透華が登っていた。

透華「本日は規律の話をする予定でしたが、少し私の我儘を聞いてもらいますわ」

淡(透華が我儘?)

他の生徒はまたかと言った様子で呆れていたが、淡だけは違う。

透華「1年A組大星淡さん、壇上に来ていただけませんか」


淡(へ?)

とっさに立ってしまう。

まずはクラスが淡に注目する。

次に学年の目線が、上級生の目線が、最後に教師の目線が淡に刺さる。

透華「先日思うことが有りまして、自分の気持ちを見つめなおすいい機会でしたわ」

淡(透華はいつもこんな視線の前に立ってたの?)

透華「それで思いましたの」

淡(でも、透華の横に立つにはこの程度)

透華「私の生涯のパートナーはこの大星淡さんしかいないと!」

緊張が溶けないのか機械的な動きで、淡は壇上に登る。

透華「淡、私の事をこれから支えてくれますわね?」

淡「パフォーマンスじゃないよね?」

透華「私はパフォーマンスで一人のために贔屓出来るほど器用じゃありませんわ」

淡「ん、ならいいよ」

淡「これからどんな困難があっても、病気の時でも、何もなくても、透華と私はパートナーだよ」

淡は笑みを浮かべる。

透華も顔には出してはいないが内心は照れているだろう。

透華「辛い道になりますわよ」

淡「このまま退屈に生きるよりなんぼもマシだよ」

透華「なら少し目をつむってくださいまし」

淡が目を瞑ると、淡の唇に柔らかい何かが触れる。

朝会に集まっている生徒達から拍手と囃し立てる声が響く。

淡が目を開くと目の前に透華の顔があり、

その唇には自分の唇が触れていた。

その唇が離れると、

淡「パートナーってそういう!?」

透華「あらイヤでしたの?」

淡「…嫌じゃないです」

透華「なら全く問題ありませんわ」

声がやまない体育館で、共に生きることを誓った二人はこれから先幾千幾万の苦難を抱えるだろう。

一人では押しつぶされようとも、二人ならば必ず超えて見せるだろう。

なんせ二人は人生のパートナーなのだから。

[おわり]

今回は以上となります。

要はお互い無い物ねだりしてたって話。テーマとしてはまんまですが羨望ですかね。

次回は年末で帰省をするので結構書き溜めができるので何本か書く予定です。

予定としては甘いもの1本、ダーク路線1本、なにか思いついたもの1本ですかね。
---------どうでもいい雑談---------
咲12巻とシノハユと咲日和3巻買いました。

12巻ではガイトさんがかっこよかったです。有珠山は可愛い娘が多いのですがイマイチキャラが掴めません。
どう考えても臨海のキャラに押しつぶされてると思います。

シノハユはまだはやりん可愛いしか言えないですね。

咲日和は池田の回が多すぎる気がします。もっと淡を出して欲しい。でもカメレオンがちゃんと見れてよかった。
あと哩さんの部活発表の最後に目がグルグルしている様子を見て、催眠か洗脳堕ち物を想像したのは私だけじゃないはず。
方言がうまくかければ一番書きたいキャラなのですが、方言の壁がネックですね。

以上雑談でした。ではまた次回。良いお年を

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

[神代小蒔の場合]>>236-251内容:神様と知り合いになりつつイチャイチャする話

[龍門渕透華の場合]>>257-268内容:住む世界が違うと望むものも違う話

乙ー
透華が透華していていいですね!

成香と淡のカップリングに誓子が絡む三角関係というか、
保護者な誓子に淡が「成香を私にください!」なお話もできたらいつか…

あけおめ!

皆様あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

皆様年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか。私は39度の熱を出してしまいずっと寝てました。

なのでぜんぜん書きだめ出来なかったです。

寝ながら構想は固まっているのですが、書く時間が取れないですね。

本日は天江衣さんのお話を一つ。

>>271 お褒めいただきありがとうございます。
成香と誓子なのですが、成香はともかく、誓子のキャラが掴めていないのでちょっと難しいかもしれないです。
有珠山の娘達が臨海に押しつぶされてる感は異常。
というかそこまで構想があるならスレタテはよ。もしくはこのスレに投下でもいいのよ?

>>272あけおめです。今年も細々とよろしくお願いします。

[天江衣の場合]
※ゲストとして透華が電話越しに幼馴染として出てきますが絡みは電話対応だけです。

※今回はイチィチャというよりビターな感じです。苦手な方はご注意ください。

淡「こんにちはー麻雀部に入りにきましたー」

入学式を済ませた後に淡いは麻雀部の部室に足を運んでいた。

部長「おおよく来たねー、んじゃさっそくこっちで打ってみようか」

早速卓に入り、一局打つ。

数十分後下家が飛び、淡が軽々と勝利していた。

淡(こんなもんか…まあ新設校だし有名選手もいないんじゃ仕方ないかな)

淡(なら私が引っ張って全国制覇とかしたらかっこいいじゃん!)

淡(私いけてんじゃん)

とキラキラした思考をしながらふと部室を見渡すと、

淡「小学生!?」

小学生のように小さい体の金髪の少女がソファに座っていた。

その発言に気づいたのか少ししかめっ面をしながらこちらにトテトテと歩いてきて、

衣「小学生などではない衣だ」

淡「子供?」

衣「馬鹿にしてるのか、子供じゃなくて衣だと」

淡「一応先輩なの?」

リボンの色はひとつ上の学年の色を示している。

衣「一応とは何だ、衣は立派なお姉さんだぞ」

淡「エヘッ、すいません衣お姉ちゃん」

一人っ子の淡にとって姉妹の感覚などわからなかったが、姉と呼ぶことは悪く無いと感じていた。

淡(それに衣ちゃんカワイイ、ずっとナデナデしてたいなー)

衣「うむ、それでよい」

淡(それに私に近い力もあるみたいだし、本当に姉妹みたい)

淡「んー、じゃあお姉ちゃん一緒に麻雀打とうよ」

衣「う…それは…」

先ほどまで自信満々だった衣は顔を背ける。

部長「衣ちゃん、せっかくの新入部員なんだから打ってみようよ」

衣「わかった、部長がそういうなら打たせてもらおう」

淡(なんなんだろう?)

淡(お姉ちゃんはどう見ても力隠しきれてないから、強いってのはバレバレなんだけどな…)

部長「衣ちゃんはあんまり強くないから少しは手加減してあげてね」

淡「!?」

淡は驚いて衣に視線を向ける。

衣はその視線を受けられない。直ぐに目を逸らしてしまう。

実際に対局が始まる。

あっさりと淡が勝ち、衣が最下位であった。

衣「凄いな、淡は麻雀が強いな」

衣「衣も負けてられないな」

にっこりと笑いながら淡いに尊敬の眼差しのようなものを向ける。

淡にはそれ偽物であることに気づく。

ここまで制御している、自分の力に気づかないわけがない。

部長「相変わらず衣ちゃんは勝てないねぇ」

衣「う、うむ、周りが強いのが悪いんだぞ…」

淡(意味わかんない)

淡(つまんないつまんない、つまんない!!)

淡(ちょっと相談してみようかなー)

淡「…ということがあったんだけどどうしたらいいと思う?」

電話越しに淡が尋ねると、

透華「…その子もしかして天江衣という名前ではありませんか?」

淡「知ってるの透華ちゃん?」

透華「以前うちで保護していたのですが、いろいろとやりすぎて追い出された子ですわ」

透華「私は最後まで反対したのですが…」

淡「やりすぎって何があったの?」

透華「麻雀で人を壊しすぎたのですわ」

透華「衣自身は楽しんで打ってるつもりでしたが、衣の力の前に次々と…」

壊れていきました…。と次の言葉が紡がれることはなかった。

淡「そっかそれで手を抜くように?」

透華「断定はできませんが十中八九そうなりますわね」

透華「今でもどうにか引き止められなかったものかと夢に見ますわ…」

淡「それって私が透華ちゃんと会う前の話?」

透華「そうなりますわね」

透華「勝手な頼みですが…」

透華「淡、衣を頼みますわ」

淡「透華の頼みなら仕方ないなぁと言いたい所だけど」

淡「言われるまでもなく何とかする気だったよ」

淡「フフッ、私は甲斐甲斐しい妹だからね」

淡は笑みを浮かべながら答えた。

透華「淡を犠牲にする選択肢はなしでしてよ?」

淡「アハッ、またね透華」

透華「ちょっと待t…」

ブツッという音と共に電話が切れる。

淡は答えなかった。

淡(これから3年間詰まんない馴れ合いするより、今の最高の一局をってね)

淡(とはいってもお姉ちゃんが私の手を取ってくれればいいんだけどなー)

淡(私だって魔物の一人、力を使いつつ一般人と仲良くする方法だって知っている)

淡(明日どうなるかによるかな?)

淡(それにしても透華の鋭すぎる所って大嫌い)

翌日の放課後淡は衣に話しかけていた。

淡「ねぇお姉ちゃん、麻雀打ってて楽しい?」

衣「ど、どうしてそんなことを聞くんだ?」

動揺気味の衣は誤魔化そうとする。

淡「大事なことなの、誤魔化さないで欲しいかな」

衣「あまり勝てないが、楽しいぞ」

衣「うん、衣は麻雀が楽しい」

淡にではなく自分に言い聞かせているように感じた。

淡「手抜いて負けて、それで楽しいの?」

衣は淡の言葉に俯いてしまう。

淡の力や姉呼ばわりされることに思うところがあるのか、衣から本音が漏れ出す。

衣「もうあんな惨めな気持ちにはなりたくない」

衣「もう居場所を失いたくない」

衣「お前も同類なのだろう、なら衣の気持ちがわかるはずだ」

淡は衣の手を引き、

淡「打とうかお姉ちゃん」

衣「やめろ!衣は今のままでいい!」

衣「お願いだ、衣の世界を壊さないでくれ」

淡「嫌だね」

淡「私が楽しく打つために、お姉ちゃんは本気になってもらわないと困るんだから」

無理やり衣を卓につかせ、始まった第一局。

衣(なんだこれは?)

配牌で既に聴牌している。

淡の打つ第一打は衣の当たり牌であった。

淡の少し歪んだ愛情表現。

ここで、力の片鱗を見せ、徐々に部活に馴染んで欲しいと思っての行動だった。

淡「牌倒してよ?」

淡「私の愛を受け入れてよ?」

衣がカタカタと震える。どうすればいいのか迷っているのだろう。

淡「どうしたの、お姉ちゃん?」

衣「こ、衣は何を言っているのかわからないぞ」

そう言ってツモ牌を引きそのままツモ切りを行う。その牌は先ほど淡が切った牌と同様の牌であった。

淡「そうやっていつまで逃げるつもりなの?」

衣「逃げではないこれは共生だ」

衣「衣は弱いから、他人の庇護が必要なのだ」

淡「ならそれは虚構で、演技で、詐欺で、そしてただの独りよがりだよ」

衣「知ったふうな口をきくな!!」

衣「衣がどんな思いをしていたかわからないからそんなことが言えるんだ!」

衣「衣が打つだけで人は離れていく!」

衣「でも衣には麻雀しかないから」

衣「その果てにこうしてようやく居場所を見つけたんだ」

衣「それを奪うのはやめてくれ…」

淡「アハッ、そこまでヘタれてたんだ」

淡は邪気のない笑みを浮かべる。

屈託のない笑顔だからこその恐怖を衣は感じる。

淡「なら力尽くだ」

淡「お姉ちゃんにもう本気で打てなんて言わないよ」

淡「本気で打たざるを得ない状況を作ってやる」

淡「そのためなら」



  



淡「私の居場所くらいくれてやる」





衣「な、何を言っているんだ淡は」

淡「何を言っているのかって?」

淡「宣戦布告だよ?」

淡「衣お姉ちゃんを縛り付けている枷をぶっ壊してあげるんだよ」

衣は堪え切れずに怒鳴り声をあげる。

衣「衣はそんなこと頼んでいない!余計なお世話だ!」

淡「大丈夫だよお姉ちゃん」

淡「そんなに大事なら自分の手で守りなよ」

淡「その弱々しい手でね」

淡「衣お姉ちゃんの挑戦いつでも待ってまーす♪」

翌日の部活で淡は宣言する。

淡「今の慣れ合いの部活に飽きちゃったんでこれからは常に全力で打たせて貰いますね」

淡「皆さん壊れないでください♪」

最初は何を言っているのかわからずに。

部長「かー、今まで手抜かれてたのかー」

部長「んじゃあ本気の淡様と対局といきますか」

衣「よせっ部長、今の淡はヤバイ」

部長「ん?衣ちゃん口調変わった?」

部長「まあいいや、でも大丈夫だよ、たかだか麻雀なんだし」

衣(そうではないのに…今の衣では伝わらないのか…)

淡「それじゃあ最初の犠牲者のごしょうたーい」

部長「ずいぶんと調子に乗るんだね」

多少の暴言は大目に見ていた部長だが、眉間にシワが寄り始める。

淡「アハハハハッ、それだけ余裕がありますからね」

対局の様子は描写する必要すらないだろう。

淡が圧倒的な力で捻じ伏せた。

たった一行で表されるが、これが全てだ。

部長「こ、こんなの麻雀じゃない」

全身カタカタと震わせ、怯えながら淡を見る。

淡「さあ、次の相手は誰かな?」

一度壊したものには興味はないと言った様子の淡は次の対局者を求める。

そして、次々と部活のメンバーを壊していく。

衣はその様子を黙って見守ることしかできない。

淡「さあ、次の相手は誰かな?」

もはや機械的に相手を求めていた。

淡「つまんないの、本当に雑魚しかいないんだね」

ほぼ全てのメンバーを壊し、残りのメンバーも空気に呑まれてもはや戦意などない。

意を決した衣が淡の前に立つ。

淡にとってはちっぽけな決意に見えるかもしれないが、衣にとっては一大決心だ。

衣「衣を倒さずに勝った気でいるなど笑止千万」

衣「幸い今宵は満月だ」

衣「六文銭は持ったか、石積みの支度は済んだか、地獄菩薩の化身に舌を抜かれる心の準備は万全か?」

衣「さあ、黄泉の門を開こうではないか」

淡「遅かったなー、やっとやる気になったんだ」

淡「さあ、クライマックスだ!」

対局はお互いの削り合いとなったが、結局衣に軍配が上がった。

衣「ハァハァ…衣の勝ちだな」

淡「そうだね、楽しかったよお姉ちゃん♪」

淡「やっぱりこのまま本気のお姉ちゃんと打てないよりは100倍は良かったよ」

淡はそのまま立ち上がり、部室のドアへと向かう。

衣「どこへ行く気だ?」

淡「敗者はただ去るのみだよ」

そしてわざと声を大きくし、

淡「あーあつまんないの、こんな部活二度と来ないよ」

その声を皮切りに、部員からブーイングが始まる。

そして淡が出て行くと、皆衣に駆け寄ってくる。

部長「衣ちゃん本当は強かったんだね」

部員「強い衣ちゃん格好良かったよー」

衣「衣が怖くないのか?」

部長「そんな、衣ちゃんが怖いなんて事あるわけ無いじゃん!」

衣は遠くを見ながら、

衣「そうか、これはいいものだな淡」

部長「ん?なにか言った?」

衣「いいや、少し用を足してくる。少し待っていてくれ」

そうして部室のドアを堂々と潜り、誰の目にもつかなくなると、走って昇降口に向かう。

衣「待て、青鬼」

淡「どうしたの?泣き虫な赤鬼さん」

青鬼が里を襲い、赤鬼がそれを撃退し、赤鬼が里に受け入れられると言う童話の話だ。

衣「なぜ、衣にそんなことをした」

衣「確かに居心地は良くなりそうだ」

衣「だが、そこに淡がいなければ…」

淡はポンッと衣の頭を撫でると、

淡「私には部活以外にも居場所くらい有るの」

淡「だからそんなちっぽけな場所、お姉ちゃんにくれてやる」

そのまま後ろを向くと、淡の表情は窺い知れない。

衣「そ、そうだ今からでも事情を説明して…」

淡「それだけはダメ」

淡「青鬼は最後に置き手紙を置いて二度と赤鬼には合わなかった」

淡「私は嫌われ者の大星淡で構わない」

淡「そうやって生きてきたし、これからもそうやって生きていく」

淡「でも私には本心を知ってくれている友達がいるから大丈夫なの」

淡「もちろん、お姉ちゃんもいるしね」

衣「衣に、衣にできることはないのか?」

衣「衣は淡のためならなんだってしよう」

衣「それくらいのことはしてもらったんだ」

衣「跪けと言われれば跪くし、体を差し出せというならそうしよう」

淡「なにそれ、ばっかみたい」

淡「でもせっかくだし、ひとつだけ」

淡「姉妹になってよ」

予想外の言葉に固まってしまう。

淡「嫌だった?」

衣「衣なんかでいいのか?というかそれは衣にとって褒美でしかないぞ」

淡「部活の居場所をくれてやったんだ」

淡「それ以外の時間を私に頂戴」

衣「もちろんだとも」

その日から固い絆で結ばれた二人は、しばらくして龍門渕に引き取られ一生仲睦まじく暮らしたそうだ。

[おわり]って書き忘れた…。

以上になります。ちょっと短かったかもしれないです。

今回のテーマは作中でも言っていたように泣いた赤鬼の話をモチーフにしてます。

皆様風邪やインフルエンザには十分注意してくださいませ。

それではまた来週。
-----------どうでもいい雑談-------------
結構短編を書いたので、そろそろ長編が書きたいところですね。

主人公に淡を据えて5人位のヒロインとイチャイチャしたり、シリアスしたり、問題解決したりする話とか考えてます。

このスレを400か500くらいまで埋まったらHTML依頼して長編に移ろうかなぁとか思ってます。

それとも残しておいて、たまに書きに来るとかでもいいのかなぁ?

以上雑談でした。また来週。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

[神代小蒔の場合]>>236-251内容:神様と知り合いになりつつイチャイチャする話

[龍門渕透華の場合]>>257-268内容:住む世界が違うと望むものも違う話

[天江衣の場合]>> 274-285 内容:部内の居場所を作ってあげる話

貼りミス
目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

[神代小蒔の場合]>>236-251内容:神様と知り合いになりつつイチャイチャする話

[龍門渕透華の場合]>>257-268内容:住む世界が違うと望むものも違う話

[天江衣の場合]>>274-285 内容:部内の居場所を作ってあげる話

乙乙

乙っす!
加治木や辻垣内や塞なんかの、なんとなく面倒見が良さそうな相手との絡みもぜひ


長編ちょー期待だよー
>面倒見が良さそう
便乗して是非クロチャーを!ドラマCDのしっかり者な感じ好きなんでどうですかね

レスありがとうございます。

面倒見がいい相手との相性のいい絡み方を考えるとぱっと思いつく限り、
しっかり者に甘えるあわあわ、お世話されるけどツンデレっぽくなるあわあわ、世話されることに依存するあわあわとかですかね?

依存の話は美穂子でやったので、その2つのどっちかかなー。

ちなみにクロチャーはアホの娘のイメージが強いです。

というわけで次回は辻垣内さんになると思います。

その次にクロチャーになると思います。ではまた次回

やったあ
ガイトさんだ

亀レスだがここは残しておいて欲しいな

安価スレで荒れる心のオアシスなんだ(KONAMI

こんにちは>>293で言った通り本日は辻垣内智葉さん。

実はリクエストがなくても今回は臨海の誰かにしようとしていたのは内緒。

今回はちょっと時間がとれたので長編に向けてのリハビリを兼ねてのドラマティックなストーリー仕立てで若干長いです。
サクッと読めなくて申し訳ない。

>>289-290 ありがとうございます。レスがつくと嬉しいです。

>>291 しっかり者のストーリーを立てるのはキャラの書き分けがうまくいかなくてちょっと苦手だったりします。

>>292 長編は天照組を姉妹設定にして、+1で幼なじみ枠を入れてほのぼのシリアスかなーとか考えてますが予定は未定。
前レスでも書いた通りクロチャーはアホの娘の印象が強いです。あと一週間練ってみます。

>>294 ガイトさんめちゃくちゃ格好良いですよね。今回の話も格好良く書けていればよいのですが。

>>295 亀でも何でもレスしてくれるのは嬉しいです。それじゃあ残しておいてかなり不定期に投下って形にしようか。
ちなみに安価スレ書いてる方なら宣伝していってもいいんだぜ?時間が合えば参加させて頂きますよー。

[辻垣内智葉の場合]
アナウンス「3番線に参りますのは〇〇経由、とある行きー」

アナウンス「12時20分発、2番線に東京行きの電車が参ります」

現在は12時15分、??駅のホームで3番線の電車に乗り、2番線の東京行きの電車を遠目に見る。

淡(白糸台に行くんだったら2番線の電車だったんだなー)

淡(まあ、私ならどこでも大丈夫でしょー)

淡(なんてったって中学100年生級の私が高校に入るんだもん、すぐに高校100年生くらいになっちゃったりしてー)

とある高校に引っ越す為に、大星淡は移動の最中だ。

淡(どんなところだろーなー)

淡(聞いた話じゃ自然が綺麗で住みやすいところって言ってたけど)

淡(それって田舎ってことだよね)

淡(田舎って聞くとちょっとださいけど、都会がいいかって聞かれると微妙だよねー)

淡(ま、要は住めば都ってことで!)

淡(私の高校生ライフはこれからだ!)

淡(大星先生の次回作高校100年生編へご期待ください)

淡「ハァ…」

淡(なんだこの変なノリ…)

淡(我ながら馬鹿臭い…)

淡(確かに中学校では色々あったけど、急に高校変えられるような悪いことはしてないつもりだったんだけどな…)

淡は不意に中学生の時に香港を旅行した事を思い出していた。

回想

香港で屋台の料理を楽しんでいると急に目元のホクロが特徴的な老人に声をかけられる。

爺「そこのお嬢さん、麻雀は打てますかな?」

知らない人に話しかけられたことで警戒しながら、

淡「打てますけどそれがどうしたんですか?」

爺は快活に笑い、

爺「それはよかった、メンツが一人足りなくなってのぅ、数合わせを探していたんじゃ」

爺「ちょっと頼まれてくれんかのぅ」

爺「もちろん報酬も払おう」

普通は断らなければいけない場面だが、この時の淡は中学生。怖いもの知らずで、疑いつつも、

淡「強い人と打てるなら報酬とかいらない」

爺「フォッフォッフォ、元気がいいのぅ」

爺「もちろん打ち手は選りすぐりの強者じゃ」

淡「それと、日本ルールで5半荘までが条件」

爺「いいじゃろう、自動卓じゃしサマもできんし、通しも儂がさせんよ」

その言葉に淡は、

淡(サマとか通しって…、ちょっとまずかったかな?)

爺「こっちじゃ」

そう言って案内された先は少し小汚い雀荘であった。

相手は厳つい男達であった。

爺の言った通り対局相手はそこそこの打ち手であり、淡も本気を出さざるを得ない相手であった。

そのおかげか、1度だけ2着になったが、その時も収支は+であったし残りは1着であった。

爺「ハッハッハ、お嬢ちゃん本当に強いのぅ」

爺「例の件はお嬢ちゃんのスコアを使うことにしよう」

爺「そうじゃのぅ、31542の前前後前後といったところか」

淡はよくわからずに首をかしげるが、

淡「よくわかんないけど、牌譜取ってたら欲しいんだけどない?」

爺は後ろにいる部下を睨みつけ、

爺「おい」

そう言うとすぐさま何枚かの紙が淡に渡される。

爺は淡を孫を見るような目で見ながら、

爺「それとお嬢ちゃん、おいそれと知らない人に付いて行ってはいかんぞ」

淡「おじいちゃん優しそうだったもん、大丈夫だよ!」

爺は驚いたように、

爺「儂が優しいか…ハッハッハ」

爺「これ以上儂達と関わらんほうがよい」

淡「…そっか、でも今日は楽しかったよ」

淡「私大星淡だよ」

淡「バイバイおじいちゃん」

そう言って淡は部下らしき人に案内され、自分の泊まるホテルに帰っていった。

ちなみに淡の半荘5回のスコアは初回から、+15、+43、+28、+68、+39であった。

回想終わり

淡(んー)

電車内で眠っていた淡が目を覚ます。目を擦りながら、

淡(寝ちゃってたか)

淡(それにしても懐かしい夢だったなー)

淡(あのおじいちゃん元気かなー?)

そう考えながら携帯電話を取り出し、開くと画面内にニュースが流れてくる。

12時20分??駅始発、東京行きの電車が脱線したという内容のニュースが目に入る。

淡(は?)

淡(私が白糸台に行ってたらこの電車に乗ってたんだよね?)

そう考えた淡の背筋がゾクッとする。

淡(嘘だよね?)

淡(やばいって、シャレになんないくらいヤバイって)

淡(神様こっちの電車にしてくれてありがとー)

普段はこれっぽっちも神様なんか信じない淡であったが、この時ばかりは神に感謝していた。

淡がニュースサイトで続報を見ていると、死者は幸いにも0であり、軽症者が若干名いる程度らしい。

淡(だとしても、怖すぎるって…)

この'事故'がこの先とある少女との出会いの序章で有ることに淡に気づく術はなかった。

アナウンス「とある、とある駅でございます、お降りのお客様はお忘れ物のないようにお気をつけ下さい」

窓から見える景色が減速していき、やがて停止し駅についたことを伝える。

淡(もうついたんだ)

淡は手荷物を持ち駅に降りる。

淡(んっと改札、改札っと)

切符を改札に通し、淡は歩きだす。

外にでると、とりあえず背伸びをし、

淡(ンーッ、空気が美味しい)

淡(思ってたほど田舎田舎してないし、いいとこじゃん!)

淡「プハッ」

電車で座っていた凝りをほぐすように首と肩をグルッと回し、一息つくと、黒髪で長髪の少女から話しかけられる。

黒髪の少女「大星淡だな」

淡「誰!?」

淡(ってこの急に話しかけられる感じ香港の時の旅行みたい♪)

淡(ってあれ?この人何処かで見た気がする?去年のインハイのテレビ中継の個人戦でー)

淡は思い出し、

淡「えっ!?辻垣内智葉!!」

淡の言葉遣いに少しムッとし、

智葉「初対面な上に私は年上だぞ」

淡「す、すいません、辻垣内さん」

納得したのか、智葉は淡を見つめ、

淡「あの、急に話しかけられる覚えがないのですが?」

智葉「話がある、着いて来い」

と言って、黒のリムジンに乗せられる。

連れて来られた先はとある料亭であった。

車内では会話の一つもなかった。というのもSPの黒服の人が周りを固めていたからだ。

黒服「お嬢、我々は外で…」

智葉「世話をかけるな」

黒服「いえ、お嬢のためなら我々は…」

智葉「私にはもったいないくらいの言葉だ」

一礼して黒服は外で見張りをしに出て行ったようだ。

淡は急に連れて来られた非日常に固まっている。

淡(ほえー、高そうなお店ー)

智葉「無理やり連れてきて悪かったな、まずは謝罪する」

淡「えっと、なにがなにやら全くもってわかんないんですけど…」

智葉はその言葉から淡の人間性を垣間見たのか、

智葉「単刀直入に言おう、大星淡」

智葉「君は命を狙われている」

そう言われると淡は急に笑い出す。

淡「アハハ、急に何言ってるんですか」

そしてキョロキョロと辺りを見渡し、

淡「それともドッキリかなにかですか?」

智葉「今日の脱線事故を知っているだろう?あれは君を狙ったものだ」

智葉「君をこちらの高校に入学するように誘導したのはこちらの策だ」

智葉「望まない高校へ入学させるようにしてしまい、申し訳ない」

真剣な態度を崩さない智葉に淡の表情が凍りついていく。

淡「…マジなんですか?」

智葉「信じられないかもしれないが大マジだ」

淡「命を狙われるなんてことに見に覚えが全くないんですけど…」

智葉「私の組の捜査では香港のマフィアが絡んでいると聞いている」

智葉「ちょっとわけありの連中でな、私の組とちょっとした因縁があってね」

智葉「それで君の暗殺計画を耳にしたわけだ」

智葉「それで、君を保護することに決めた」

智葉「日本でまで奴らの好きにはさせんよ」

智葉「大星を狙う理由は残念ながら掴めていない」

淡「あわわわ…」

淡(嘘、嘘うそ!)

淡(ちょっと意味分かんない)

淡(高校生活とか色々洒落なんない)

淡の顔が青ざめているのに気づいた智葉は、

智葉「安心しろ、何があっても私達が君を守る」

智葉「少しだけ窮屈な思いをさせてしまうかもしれないが、我慢して欲しい」

智葉の言葉に少しだけ安堵する。今は藁にも縋りたい気持ちだった。

智葉「それで、君は一度香港に旅行をしている記録を確認している」

智葉「その時、何かなかったか?」

淡「えっと旅行で行って、ホテルに泊まって、屋台でご飯食べて…」

智葉(やはりそれらしい情報は出てこないか)

淡「あと関係あるかわかんないけど、知らないおじいちゃんに頼まれて麻雀打ったよ」

智葉「なに?詳しく聞かせてもらおう」

知らないおじいちゃんに頼まれて数合わせとして打った事を話した。

智葉「その老人はこんな顔ではなかったか?」

智葉が写真を取り出すと淡に見せる。

淡「少し若いけどこの目元のホクロ、多分この人だと思います」

智葉「その時になにか言っていなかったか?」

淡「んーと、ちょっと待って下さい思い出します」

爺『例の件はお嬢ちゃんのスコアを使うことにしよう』

この言葉を思い出し、智葉に伝えると。

智葉「例の件か、順当にいけば遺産相続のなにかだな」

智葉(数字ということはパスワード関連か?)

淡「えっ…あのおじいちゃん死んじゃったの?」

智葉「ああ、去年の12月頃だな」

智葉「気に食わないが大往生だったらしい」

その言葉に聞き捨てならないと言った様子で、

淡「辻垣内さんがどう思ってるかは知らないですけど、あのおじいちゃんそんなに悪い人じゃないです」

智葉「そうか…気分を害したのなら悪かったな」

そして咳払いをし、

智葉「これで現状の説明は終わりだ」

智葉「何か聞きたいことは?」

淡は少し考え、

淡「私は何をすればいいの?」

智葉「基本的に普通の生活をしてもらって構わない」

智葉「ただ、落ち着くまでは私と一緒に生活してもらう」

智葉の爆弾発言に淡らしからぬ声が出る。

淡「え゛?」

智葉「不服か?」

淡「いやいや急に会った人と同棲なんて…」

智葉「私が無理だと、さっきの黒服の誰かになるが?」

淡「辻垣内さん、お願いします」

即答であった。

料亭の裏口から外に出る。

淡「さっきの車は使わないんですか?」

智葉「少しでも情報を隠したいのでな、さっきの車はダミーとして別の場所にむかってもらっている」

智葉「心配するな、15分も歩けばアパートに着く」

淡「はーい」

歩くこと数分、少し見通しの悪い路地を曲がろうとしたその刹那、淡の視界が暗く染まる。

直後少し離れたところでゴンッという鈍い音が聞こえる。

そして体の平衡感覚から自身が押し倒されたことを自覚した。

淡「へ?」

急なことに実感がわかない淡が素っ頓狂な声をあげる。

智葉「怪我はないか大星!」

倒れこむように淡を押し倒していた智葉は俊敏に体勢を整える。

懐に手を伸ばし、音のした方を警戒しながら、

智葉「大星はそのままの体勢でいろ」

智葉は懐からドスを取り出す。

智葉「まさかもうこちらの位置を掴んでいるとは思わなかったよ」

そして虚ろな目のハンマーを持った男の手首を峰で打ち付ける。

メキッっとした骨の軋む音と共に男が手にしたハンマーを取り落とす。

一連の動作はまるで舞を舞うかのようで淡はその動きに見惚れていた。

男の絶叫が響き渡るが、駆けつけた黒服によって猿轡を噛まされそのまま連れ去っていった。

ドスを懐にしまい、淡の方に手を伸ばしながら、

智葉「君を守るだなんて大口叩いたのに…すまない」

自分が狙われたことに実感が湧いてきた淡は顔を真っ青にし、体を震わせている。

淡「わ、わ、わ」

智葉「落ち着け」

そう言うと淡の手を両手で覆う。

不安な時、人はぬくもりを求める。安心してもらうための智葉の行動であった。

淡「手」

智葉「うん?」

淡「手離さないでください、お、お願いします」

体の震えは治まってきたが、手の震えがなくなることはなかった。

そして30分ほど時間をかけ、智葉に案内されたのは何の変哲もないアパートであった。

智葉「もっといいところを準備したかったのだがな」

智葉「なるべくつきっきりで護衛をした方がいいのでな、ここで我慢してくれ」

淡「は、はい…」

周りを警戒しつつ、キョロキョロ見渡している。

どこから何が来るか不安なのだろう。

智葉「あまり緊張しない方がいい、気疲れで倒れるぞ」

淡「そう言われてもあんな事の後じゃ…」

智葉「…しばらくの我慢だ」

アパートの中に入ると、すでに家具などが準備されており、別の住所に送ったはずの淡の私物が届いていた。

淡「えっと1DK?」

智葉「…そうなるな」

智葉は少し気まずそうに答えた。

智葉は携帯電話を取り出し、電話をかけ始める。

智葉「私だ、今アパートに着いた」

智葉「ここを抑えたのは誰だ?」

智葉「何故二部屋ある場所にしなかった?」

智葉「何?…確かにそうは言ったが」

智葉「ハァ…、準備してしまったものはしょうがない」

智葉「ああ、また頼む」

電話を切ると、淡は不安そうに智葉を見つめていた。

淡「私は、一緒の部屋でも大丈夫だよ?」

智葉「わるいな」

智葉「風呂の準備はしてある、今日は風呂に入ってさっさと寝るといい」

淡は目をウルウルさせながら智葉を見上げ、

淡「あの、一緒に入って貰っていいですか?」

今にも泣きそうな目で淡は智葉を見つめる。

智葉「不安なのは仕方ない、今日だけだからな」

淡「ありがとうございます」

お風呂からあがり、少し落ち着いたのか、

淡「辻垣内さんって結構お胸大きいんですね」

智葉「何を馬鹿なことを言っている」

とは言ったが、軽口を叩く淡に少し安堵した様子だ。

淡「でもサラシで潰しちゃって苦しくないんですか?」

智葉「苦しいっちゃ苦しいが、慣れたな」

淡「というかサラシなんて巻かなくても普通にブラつければいいじゃないですか」

智葉「あまり女であることを強調することは良くないんだ」

智葉「私としては、胸なんてない方が便利なのだがな」

淡「えーっ、もったいないですよー」

淡「辻垣内さん美人なんですからー」

その言葉には慣れているのか、

智葉「大丈夫、淡の方が美人さんだ」

少し頬を染め、

淡「私的には美人系より、かわいい系で褒めて欲しいなー」

智葉「はいはい、大星は可愛いぞ」

淡「えへへー」

智葉「満足したなら今日は寝るぞ」

淡「ハーイ、おやすみなさーい」

智葉「ああ、おやすみだ」

消灯して数十分経つと、淡が智葉のベッドに入り込む。

淡の寝息を聞いてから寝付く予定だった智葉は、

智葉「どうした大星?」

背を向けながら尋ねる。

淡「きょ、今日だけでいいんで一緒に寝てください」

淡「目閉じたら、急に怖くなっちゃって…」

智葉「ああ、構わない」

智葉は寝返りを打つように振り返り、大星を抱きとめる。

智葉「安心しろ大星は私が守る」

智葉「お前は何も心配する必要はない」

智葉「だから今日は休め」

淡は智葉の体温を感じ安心したのか、ウトウトしながら、

淡「ありがとう、智葉…」

淡の寝息を聞き届けると、智葉も目を閉じる。

智葉(智葉か…家族以外に名前で呼ばれたのはいつ以来かな?)

智葉(まあいい、大星から情報も手に入った)

智葉(明日から忙しくなりそうだ)

智葉「おやすみ、淡」

翌日、キッチンから聞こえる何かが焼ける音と、いい匂いで淡は目を覚ます。

目を擦りながら、

淡(どこ、ここ?)

寝ぼけ頭で考えていると、

淡(そっか、智葉と一緒に…)

淡(智葉はどこ!?)

一緒に寝ていたはずの智葉の姿が見えずに、不安になる。

淡が寝室のドアを開けると、

智葉「起きたか、おはよう淡」

猫の柄のエプロンをした智葉が朝食を作っていた。

淡は胸を撫で下ろし、

淡「おはようございます、さ…辻垣内さん」

智葉「名前で呼びたいのなら別に構わないぞ」

淡は嬉しそうに、

淡「うん、おはよう智葉!」

智葉「出来るまでもう少し時間がかかる、先に顔でも洗って来い」

淡「そう?じゃあそうするー」

智葉(なんだ、ちゃんと笑えるじゃないか)

智葉「大したものじゃないが、召し上がれ」

淡「いただきまーす」

本日の朝食のメニューはご飯、豆腐とわかめの味噌汁に目玉焼きに、焼いたハムが数切れにサラダとなっている。

淡「んー♪おいしいですよー」

智葉「そうか、それは良かった」

まんざらでもない様子で智葉は答えた。

淡「智葉はさ、猫好きなの?」

エプロンの柄の事を言っているのだろう。

智葉「あ、あれは貰い物で、べ、別に私の趣味ってわけではなくてだな」

智葉「あれだ、せっかくの貰い物だから使わないのももったいないってやつだ」

淡「ん?そんなに必死に否定しなくてもいいんじゃない?」

智葉「別に必死ではない」

淡(んーまあいっか)

智葉「そんなことより冷めてしまう前に食べてしまえ」

淡「はーい」

智葉「うむ、良い返事だ」

数時間後淡と智葉はショッピングモールに来ていた。

というのも、

淡『智葉ーショッピング行きたいー』

智葉『今の状況わかっているのか?』

淡『守ってくれるんでしょ?それに解決した後お店の場所もわかんないーってなったら嫌だし』

智葉『…仕方ないな、ただし私の側から絶対にはなれないことが条件だ』

淡『むしろ願ったりかなったりだったりしてー』

智葉『なんだそれは…』

淡『えへへ、内緒♪』

智葉(吊り橋効果か?それともストックホルム症候群というやつだろうか?)

そんな会話がなされていたからだ。

淡「智葉ー見て見てー」

淡は黄色のワンピースを手に取り自分の体に当てて鏡の前に立つ。

智葉「淡にはよく似合いそうなデザインだな」

淡「本当に?」

智葉「ああ、もっと可愛くなるよ」

淡「やった、褒められたー」

ニコニコと笑顔を浮かべながら智葉を見つめる。

智葉「いくらだ?」

淡「え?いいですよ自分のなんですから自分で払いますよ」

智葉「色々と迷惑かけてるからな、そのお詫びだ」

そういうと淡は頬をふくらませ、

淡「そんな固い理由じゃちっとも嬉しくないです」

智葉「そうか?ならどう言えば受け取ってもらえる?」

淡「可愛い可愛い淡ちゃんへのプレゼントだよって言ってくれれば考えなくもないかなー」

智葉はフッと笑い、

智葉「淡、君へのプレゼントだ、きっとよく似合うよ」

淡「アハハ、ありがとー智葉」

体全体で喜びを表現しながら智葉に抱きついていた。

智葉「近いぞ、淡」

淡「えー離れちゃダメなんでしょー」

智葉「そうは言ったが…ハァ仕方ないな」

淡「そういうところ好きだよ智葉」

智葉「えっ?」

淡は智葉の驚愕を無視し、智葉の腕に抱きつく。

淡「これでずっと一緒だよー」

とあるファンシーショップまで来て、

淡「智葉、見てみてー超カワイイー」

クマのぬいぐるみを手に取り智葉に見せつけてくる。

智葉「うーむ、どうもそういうのは私にはわからないな」

そうは言っているが、智葉の頬が少し赤い。

見る人が見れば若干の興奮状態であることが分かるだろう。

淡(やっぱり可愛い物好きなんじゃん)

淡(でも隠したいみたいだから、付き合ってあげるかー)

淡(淡ちゃんマジいい女!)

淡(でも口実作ってプレゼントのお返ししようかな)

淡「あっ、これも可愛いなー」

そう言って淡が取り出したのは猫のストラップであったか。

智葉「猫か、淡にはぴったりじゃないか」

智葉の目に多少潤いが増す。見惚れているのだろうか。

淡「せっかくだし、お揃いの買いましょーよ」

智葉「いや、私は…」

淡「さっきのワンピースのお返し!」

淡「エプロンはプレゼントで受け取るのに私のストラップはダメなの?」

智葉「わかったわかった」

智葉「ありがたくいただこうじゃないか」

そしてお会計を済ませ、淡が小走りで智葉に駆け寄ってくる。

淡「格好良い智葉にプレゼントだよー」

とわざとらしく淡は智葉にプレゼントを渡す。

智葉「ああ、ありがとう」

そしてポケットにしまおうとするが、

淡「だめー、携帯に付けなきゃダメですー」

智葉は困った顔をしたが、携帯電話を取り出しストラップをつける。

智葉「これでいいか?」

淡「うん!おそろだよおそろ」

淡はとても幸せそうで、智葉も心なしか優しい笑みを浮かべていた。

その足で二人は近くの雀荘にやってきた。

智葉「お勤めご苦労」

もちろん智葉の組が経営している店だ。

受付「お嬢、お疲れ様です」

智葉「ああ、卓は空いているか?護衛対象の娘が打ちたいと言ってきたのでな」

淡「私と言えば麻雀だもんねー、それに全国三位の智葉とも打ってみたい」

智葉「手加減出来るほど私は器用ではないぞ?」

淡「上等ですよ、私も強いよ?」

受付「お嬢、3番の卓が空きましたんでお入りください」

智葉「ああ」

そして雀卓に着きさっそく対局を始める。

淡の出親から始まる。

淡「智葉ー見てみて」

そう言うと、淡は牌を回転させながら横向きに滑らせる。

淡「270度リーチ」

丁度270度の位置で牌が止まる。

智葉「ふざけているのか?」

淡「ううん?本当にリーチだよ智葉」

智葉「そうか、疑って悪かったな」

智葉「綺麗に270度で止まるんだな」

淡「そうでしょーかっこいいでしょー」

淡「私のダブリーはたとえ智葉でも止めさせないからね♪」

淡「負けたー」

淡は雀卓に倒れ付す。

智葉「ギリギリだったよ」

智葉「本当に淡は強いな」

黒服「すげぇ、あのお譲と渡り合うなんて並大抵の実力じゃない…」

淡「次は負けないからね」

淡「100回倒すもん」

智葉「なら私はその前に淡を1000回倒そう」

拗ねたように智葉を見つめる淡と、挑発するように淡を見つめる智葉。

どちらからともなくプッと吹き出す。

淡「アハハ、負けず嫌いなんだね」

智葉「ハハ、当然だ勝負は勝つからこそ面白いんだ」

淡「智葉と本気の勝負ができるなら勝てなくても面白いよー」

智葉「フッ、そんな弱い気持ちじゃ私を倒すことなんて出来ないぞ」

淡「大丈夫、私は大丈夫だよ」

淡(智葉も笑うんだ)

淡(笑顔の智葉も素敵だなー)

そんな生活が数週間続いた。

智葉「わるいな大星、ちょっと組の方に顔を出さなければならない用事ができた」

淡「え、行っちゃうの?」

今まで智葉にベッタリだった淡だ急に離れるのは不安だろう。

智葉「夕方には戻ってくるから心配するな」

淡「う、うんわかった」

智葉「何かあったら外にいる黒服に頼め、それから今日は外出しないように」

淡「うん」

智葉「いい娘だ」

そう言って智葉は淡の頭を撫でる。

淡はされるがままで、気持ちよさそうだ。

淡「いってらっしゃい、智葉」

智葉が出て行ってから数十分後。

暇を持て余した淡は、外にいる黒服に話しかける。

淡「ねーねー黒服さん」

黒服「なんでしょうか」

淡「ぶー華の女子高生が話しかけてるのに素っ気ないー」

黒服「はあ、すいません、用事がないなら私はこれで」

淡「待って待って、ちょっとお買い物頼みたいんだけどー」

黒服「買い物ですか?わかりました、何を買ってきましょうか」

淡「このメモにあるやつよろしくー」

淡「なるはやでー」

黒服「わかりました」

淡が頼んだのは食材であり、今日は夕飯を作ってあげようと思いたってのことであった。

淡だって女の子だ、それなりに料理は出来る。

夕方、智葉が帰宅する。

玄関先で、

智葉「変わったことはなかったか?」

黒服「問題ありません、彼女に買い出しを一度頼まれたくらいです」

智葉「買い出し?特に必要な物はなかったはずだが?」

黒服「それは中で彼女に直接聞いてあげてください」

智葉「よくわからんが、わかったと言っておこう」

そして玄関を潜り、

智葉「淡、帰ったぞ」

淡「あ、おかえりー」

トテトテと淡が小走りで智葉を出迎える。

智葉「な、なんだ、その格好は」

少し声が上擦りながら智葉が問いただす。

智葉からみた淡は裸の上にエプロンだけをつけているように見えた。

淡「ねえ、あなたご飯にする?」

淡「お風呂にする?」

淡「そ・れ・と・も」

そう言うと淡はエプロンの肩紐に手をかけ、パサっとエプロンを脱ぎ捨てる。

淡「ジャーン、中身はワンピースでしたー」

先日購入したワンピースを着た淡の姿が現れた。

淡「期待しちゃった?」

智葉「ば、馬鹿なことを言うな」

智葉(ただの淡の悪ふざけだ、本気になるな)

智葉(だが、残念に思う気持ちも確かに存在する)

智葉(なんだ、この気持ちは…)

淡「やっぱり怒られちゃうか」

そう言って残念そうに笑う。

淡(智葉になら本気になられても全然良かったんだけどなー)

淡「そうそう、夕飯は本気で作ってあるよ」

智葉「そうか、わるいな」

淡「そういう時は謝罪じゃなくて感謝でしょ?」

智葉「ああ、ありがとう淡」

淡「こちらこそ、いつも美味しいご飯ありがと、智葉」

淡が作った夕飯はカレーとサラダであった。

昼間からコトコト煮込みながら自分でブレンドした香辛料を入れながら作った本格的なカレーだ。

食後に淡と智葉は会話を交わす。

淡「それでね、ガラムマサラをさー…」

淡は作ってる様子を楽しそうに智葉に話す。

智葉「ああ、大変だったな」

淡「それでそれで、美味しかった?」

智葉「美味しかったよ、今まで食べたカレーの中で一番うまかったかもしれないな」

淡「本当に?作ったかいがあった!」

智葉の言葉は嘘偽りのないものであった。

だがそのやりとりに若干の寂しさを覚えた。

そして意を決するように、





智葉「淡、君の問題は解決された」



淡「えっ?」

智葉「今日組に顔を出したのはそれが理由でな」

淡「じゃ、じゃあこの生活も終わりになるの?」

智葉も思うところがないわけではないが、頷きながら突き放すように、

智葉「良かったじゃないか、これでなんの制限もなく表を歩けるぞ」

その態度に淡は不安そうに、

淡「智葉は私と一緒にいて楽しくなかった?」

智葉は奥歯を噛みしめながら、

智葉(楽しかったに決まっている、だが淡みたいな娘はこれ以上私と関わっていちゃダメだ)

智葉「ああ、ガキの世話は大変だったよ」

智葉(こんなにいい娘で、可愛くて、私をさり気なく気遣ってくれて…)

智葉「いちいち智葉、智葉ってうるさいことこの上なかった」

智葉(懐かれて悪い気などするはずないだろう)

智葉「これで終わりだと思うと清々しい気分だ」

智葉(もっと一緒に居たかったな)

智葉「なぜなら私は淡のことが大嫌いだったからな」

智葉(私は淡のことが大好きだったよ)

淡は涙を目に溜めながら外に飛び出していく。

智葉「…」

智葉「私の荷物をまとめておいてくれ」

黒服「いいんですか、あんな事言って」

黒服「お嬢はあの娘のk」

智葉「うるさい」

視線で人を殺せるとしたら、今の智葉は大量殺人鬼になっているだろう。

そんな目つきをしていた。

黒服B「お嬢!大変です!」

黒服B「もう一人だけあのお嬢ちゃんを狙ってる奴が潜んでいます!」

智葉は聞くや否や、外に飛び出す。

智葉(間に合えぇ!!)

大星淡は人通りの少ない路地に座り込んで泣いていた。

奇しくもそこは以前淡が命を狙われた場所であった。

淡(智葉が嘘ついてるってのはよく分かる)

淡(それが分かるくらいには一緒にいたつもりだよ)

淡(でも直接言われると、かなり堪えるなぁ)

淡(涙、とまんない)

淡「ああああああああ」

淡は泣き声を我慢できずに漏らしてしまう。

そこに怪しい男が現れ。笑顔でこう言う。

刺客「み~つけた」

手に持っているのは黒く光る鉄の塊。

淡の思考が急に回転し始める。

淡(こ、ここ、日本だよ)

どこからともなく駆ける音が聞こえる。

淡(なんで拳銃なんて持ってるの!)

足音はだんだん大きくなり、

淡(それに、解決したって…)

路地に足音が響く。

刺客「死ね」

轟音と共に弾が射出される。

弾けるように鮮血が飛び散る。

血を流しているのは淡ではなく淡を庇った智葉あった。

脇腹の当たりから血が滴る。

淡「さ、智葉!!!!」

智葉「下がれ、淡!」

智葉はそのまま刺客の方へ走りだす。

距離は約10m

淡(これって!?)

智葉は淡を庇った時に唯一の武器であるドスを落としてしまったらしい。

急いでいたのもあって、留めヒモが緩くなっていたのであろう。

淡は抜身のドスを拾い上げる。

智葉はと言うと刺客の目に、手に、指先に全神経を集中させている。

拳銃の打たれるタイミングを図っているのだ。

距離は後5m

一発二発、三発とマズルフラッシュと轟音と共に智葉に向け打ち込まれる。

智葉は知っていたとばかりに既に回避行動を終えていた。

当然当たらない。

距離は後3m

そこで智葉は懐にドスがないことに気づく。

淡「智葉!」

淡は掛け声とともに、抜身のドスを投げつける。

淡「270度!!!!」

智葉は気合共に、

智葉「ここだー!!!」

ドスの柄をしっかりと握り、そのまま刺客の手を切り飛ばす。

クルクルと回転しながら刺客の手首から先が飛んでいく。

直後刺客の男の悲鳴が当たりにこだまする。

その声は智葉の部下にも届いたようで、すぐさま黒服たちが駆けつけ男を捕まえる。

淡「智葉!大丈夫!?」

智葉「ああ、なんとかな」

淡「でもでも、打たれてたし」

智葉「私にはどうやら幸運の女神がついていたようだ」

と智葉は懐に閉まっていた携帯電話を取り出す。

丁度ストラップに当たり、ほんの少しだけ軌道がずれたようで、

智葉「こいつのおかげでかすり傷ですんだよ」

智葉「ありがとうな淡」

淡は大泣きしながら、智葉を抱きしめる。

淡「智葉ー智葉ー」

智葉「さっきは心にもないことを言って悪かった」

智葉「淡には助けられてばかりだな」

淡「ウウ、智葉ー」

そう言われて淡の力が強くなる。

智葉「かすり傷とはいえ私は打たれたんだぞ?もう少しいたわってくれ」

淡「ご、ごめんなさい、痛いよね」

淡「黒服さん救急パック!」

黒服「わかっております」

黒服「お嬢、失礼します」

淡「ダメー、私がやる!」

智葉は急な大声に顔を顰める。

淡「智葉も男の人に簡単に肌晒しちゃダメだよ!」

智葉「わかったから早くしてくれ」

淡「うん!」

淡は思ったよりもテキパキと智葉を治療していく。

智葉「慣れているのか?」

淡「暇な時に黒服さんにやり方聞いておいたんだー」

そして包帯を巻き終わり、

淡「残りはお医者さんに見てもらおうね」

智葉「ああ、わかっている」

智葉が病院で数日入院し、治療を終えアパートに再び帰宅した。

智葉「向こうの組織に動きも見られないし、本当に解決したと言っていいだろう」

淡「そう、だね」

智葉「寂しくなるな」

淡は決意するように顔を引き締め、

淡「最後だし本音で語らせてもらいます」

智葉「聞き届けよう」

淡「私が言いたいことはたった一つだけ」

淡「辻垣内智葉さん、貴女のことが好きです」

智葉「ありがとう、だが私と淡は住む世界が違いすぎる」

淡「違わない!私達はこの地球で、一緒に生きてる」

淡「現にこうして一緒に生活することも出来た!」

淡「自分の家柄を言い訳にしないで」

淡「智葉の気持ちを聞かせて!」

智葉「私もす、す」

そこまで言うと智葉の携帯電話に電話がかかってくる。

淡「…でなよ」

智葉「わるいな」

智葉「もしもし私です」

智葉「はい、報告した通りです」

智葉「はい、確かに思い入れのありますが…」

なにか智葉の琴線に触れたのか智葉が激昂する。

智葉「情婦にするだって!?ふざけるな!!」

智葉「彼女は…」

智葉「大星淡は」



智葉「私の嫁に迎える!」

そう言い切って智葉は携帯を切る。

淡「智葉、今のって…」

智葉「聞いての通りだ!淡、私とともに地獄の果てまで付き合って欲しい」

淡「アハッ、素敵じゃん」

淡「智葉と一緒なら地獄もきっと天国だよ」

淡「私を離しちゃダメだよ?」

智葉「当然だ、淡はもうわたしのものだ」

智葉「誰にだって譲るものか」

吹っ切れたのか、自信満々に答える。

淡「やっぱり智葉は格好良いや」

淡「これからもよろしくね、智葉」

智葉「ああ、一生離さないぞ、淡」

こうして二人は結ばれた。はてさて住む世界が違う二人はこれからどんな運命が待ち受けていることでしょう。

それはまた別の機会があれば語ることも有るでしょう。

今はこの二人の末永い幸せを願いこの物語は終焉とさせてもらおう。

淡「智葉、だーいすき」
[おわり]

以上です。なんで咲SSで戦闘シーン書いてるのか途中で違和感を覚えました。

はてさて長めの話でしたがいかがでしたでしょうか?

智葉さんは咲では希少な格好良いキャラクターなので、格好良い感じが伝われば嬉しいです。それと淡が甘えている感じも同時に伝わっていればと思います。

ちなみにマフィアのパスワードは2815936834です。

次回は松実玄さんになる予定です。ではまた次回。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

[神代小蒔の場合]>>236-251内容:神様と知り合いになりつつイチャイチャする話

[龍門渕透華の場合]>>257-268内容:住む世界が違うと望むものも違う話

[天江衣の場合]>>274-285 内容:部内の居場所を作ってあげる話

[辻垣内智葉の場合]>>297-325 内容:命を狙われるが助けられる話※30レス程度でちょっと長めです。

乙乙

戦闘は確かに違和感だけどたまには悪くないで

乙ー
ガイトさんは黒社会の住人臭が凄いから、
戦闘シーンが混入するのも仕方ないっすね
これで、実は老舗の豆腐屋の三女でした!なんて原作で言及されたらどうしようw

こんにちは、自分の書いたのを見なおしてみるとシリアスばっかりだなと、思ってしまいます。

今週と来週はちょっと論文書くことに一杯一杯になってきたのでお休みさせてください。

玄のプロットと暇つぶしに書いてた次回作の予告があるのでそれで今週と来週分の投下の変わりということでお願いします。

>>328 悪く無いと言っていただけて幸いです。実は戦闘シーンは書くのが大好きです。以前書いたまどマギのSSでも戦闘シーンバンバン書きましたしね。

>>329 豆腐屋がドス取り出すわけ無いだろいい加減にしろ。という冗談はおいておいて、豆腐屋はそれはそれでありですね。
家業が大好きだけど、地味だから表には出したくない的な感じで悩みを抱える話になるんじゃないんですかね。
智葉「ほら、私も高校生なわけだし、豆腐作りが好きなんて言っても盛り下がるだけじゃないか…」
淡「そんなの智葉らしくないよ、好きなら自信を持つべきだよ!だってこの豆腐いつも食べてるけど美味しいもん!」
智葉「ハハ…お前はお気楽な考えで羨ましいよ、だがたまにはその考えに乗っかるのも悪くないな」
的な感じですかね

[松実玄の場合プロット]
時間軸は入学後、麻雀部が見当たらない淡が教員に尋ねるところから開始。

部員は玄のみなので実質廃部状態。

気まぐれで淡がすでに使われていない麻雀部の部室に行く。

夕焼けの後光?が差す中松実玄を見る淡。

淡「龍?」

玄から龍の気配を感じる。

玄は掃除中。毎週当番の日に掃除に来ている(阿知賀の設定を使わせてもらう)

玄は淡を見て不審に思うが、麻雀部に入りたいことを知り喜ぶ。

淡はその様子に少し子供っぽいかなぁと思う。

しかし、その後の言動は少し大人っぽく感じる。(入部申請の手際の良さや、掃除の手順等)

そのチグハグさに違和感を感じる。素の玄は子供っぽい感じで、無理して大人っぽく演じてる。

その後淡と玄とで新入部員獲得のためビラ配りを開始。

当然部活の勧誘は終わっているので、部員は増えない。

玄少し思いつめる。

淡は無意識のうちに部活の勧誘を中止し、地雷回避。地雷は母親の死に際にしっかりした娘でいて欲しいと言われてそれを愚直に守っていること。

一度ほのぼのイベント。しっかり者の玄を印象づける。ショッピングか公園に散歩か、家に遊びに行くかのどれか。
→家に遊びに行くイベント。玄の家に行きお泊り。

少し神経質すぎる事に気づく淡。

メインイベント

************
見せられないヨ。
************

その後、仲直り。玄も正常化。

恋仲に発展するかな?わからんからその場のノリで決める。

[長編予告]
世界には不思議が満ちている。

この物語は神に力を与えられた4人の少女の物語である。

幼??「私達の名前から位置文字ずつとってー」

幼??「天照大神!!」

神の名を付けてしまったからこそ起きた不思議。

天照「我が名は天照大神、我が名を冠するからには相応の覚悟ができているのであろう」

与えられたのは力。

天照「ならば力を授けよう、だが代わりに…」

奪われたのは一つの感情。

??「どうせ勝つんだし、勝つことが嬉しいっておかしくない?」

??「それより過程を楽しむことが大事だよ」

喜を失った少女は結果より過程を求めた。

??「どうして貴方は怒っていらっしゃるのでしょうか?」

??「全てを受け入れればそんな感情は浮かんでこないはずですよ」

怒を失った少女は聖女として持て囃され、崇められる。

??「なあ、??は非情な存在か?」

??「仲が良くなかったとはいえ、親が死んだのに涙すら浮かばない」

??「??が愛されていなかったからなのか…?」

哀を失った少女はひたすらに愛を求めた。

??「麻雀が楽しい?ありえない」

??「でも勝ったら嬉しいと感じる、いい感覚だ」

??「麻雀はそのための作業だよ」

楽を失った少女はひたすらに勝利を求めた。

最後の鍵を開くために、一人の少女が助っ人を頼むことになる。

??「お姉ちゃん、麻雀って楽しいよね」

全てを受け入れた天照大神を冠する少女たちは最後の戦いに挑む。

??「皆には感謝しかない」

??「ありがとう淡」

??「ありがとう小蒔」

??「ありがとう衣」

??「ありがとう咲」

??「これで最後だ」

??「ツモ、ダブルリーチ、海底摸月、清一色、ドラ4」

??「楽しい対局だった…」

??「これで終わりだ、天照大神」

はてさて、この不思議の迎える結末とは一体どうなってしまうのか。

淡「天照大神の姉妹?」Coming soon

これしかなくて申し訳ない。

ではまた次回。

乙乙、次回以降の更新が楽しみです

プロットの書き方、参考になります

あわあわ支援

論文終わったやったー。

とか言う私情はどうでもよく、お久しぶりです。

ようやく落ち着いてきたので投下いたします。予告通り玄ちゃんです。

>>334 そう言っていただけるととても力になります。ありがとうございます。

>>335 このプロットは最終的なプロットなのでいきなりこんな感じで書くのはオススメしません。
まずはブレインストーミングでネタを並べてから書きたい場面を選んで、それを時系列に並べて最終プロットとなるように書いています。

>>336 ご支援いただき有り難うございます。一言レスをいただけると本当にやる気が出てきます。

[松実玄の場合]
淡「えー、麻雀部は去年に廃部になったんですか?」

頬を膨らませた淡が文句を言う。

教師「去年はギリギリ部員がいたんだがな」

教師「2年生の部員は一応残っているんだがな、部活動は停止と伝えてあるらしいから活動はしていないだろうな」

淡「ハァ…じゃあ個人戦くらいしか出れないかー」

教師「ここの近隣では??高校が強いからなー」

淡「こればっかりはどうしようもないですよね」

教師「何か力になれればいいんだが、俺はもう別の部の顧問やってるからなぁ」

淡「いえいえ、話を聞いていただけでもありがとうございました」

教師「元部員は2年A組の松実ってやつだから、何かあったら尋ねるといい」

淡「はーい」

教師「それじゃあ俺は仕事に戻るからな」

淡「失礼しましたー」

淡(まあ、弱い奴らと組んであっという間に負けるよりはいいのかな?)

淡(適当に雀荘探して打ちたいときに打つかー)

チャイムの音が校内に鳴り響く。

授業が終わり放課後になった合図だ。

淡が麻雀部の存在がないことを知ってから既に3週間が経過していた。

淡は座ったまま背伸びをし、机に突っ伏す。

淡(今日も退屈だったなー)

モブ「淡ちゃんまたねー」

とクラスメイト達は口々に淡に挨拶をして行く。

淡「また明日ー」

突っ伏したまま手を振り挨拶を返す。

クラスには馴染んでいた淡であったが、ゆったりとした日々に退屈していた。

淡(いい感じの雀荘もないしつまんなーい)

淡(牌を摘む感覚も忘れちゃいそうだよ)

淡(元麻雀部の部室なら牌くらいあるかな?)

せめて自分の感覚だけでも忘れないようにと思いたち、校内の探索にでる。

淡(んーどこだろー?)

部室棟を探索しているが中々目当ての場所が見つからない。

既に日も暮れかかっている。夕陽に照らされながら歩き続けると一番奥に今は使われていなさそうな部屋を見つけた。

淡(おっこれはもしかして?)

そこには間違いなく麻雀部と書かれたプレートが吊るされていた。

淡「しっつれいしまーす」

扉を開くと夕陽の明るさに目が眩む。

?「わわ、どちら様でしょうか?」

少し目が慣れてきたのか薄っすらと目を開けると、

淡「龍?」

?「ん?」

淡は少女の後ろに龍の姿が見えたような気がした。

その龍は慈愛に満ち溢れていた雰囲気ではあったが、どこか悲しそうだった。

淡「そっか、私とは違う力みたいだね」

?「ん?ん?」

黒髪の少女はよくわからないようで頭に?マークを浮かべていた。

淡「私、大星淡です」

淡「よろしくお願いします松実玄先輩!」

玄「あれ?どこかで会ったこと有る?」

淡「いいえ、元部員がいるって先生に聞いてたんですよ」

淡「それで玄先輩は廃部になった部室で何をしてるんですか?」

玄「敬語とかくすぐったいから要らないよ?」

淡「じゃあ私のことも淡って呼んでねー」

玄は頷き話を続ける。

玄「それと、火曜日は私が掃除当番だったのです」

淡「でもそれって去年までの話でしょー?」

玄「大事な場所だから…」

その言葉だけで十分だった。

その言葉を最後に静寂に包まれた。

感傷に耽っていたが、先に沈黙を破ったのは玄だった。

咳払いをし、

玄「それで、淡ちゃんはどうしてここに?」

淡「麻雀部なら牌位あるかなーって思ってねー」

玄「淡ちゃん、麻雀打てるの!?」

玄「良かったら二人で麻雀部を復活させない?」

淡はいきなりの提案に少し悩む素振りを見せる。

そうしていると玄の目が潤み始める。

淡「いいよ、退屈してたし」

玄「本当に!?」

淡「マジだよマジ」

玄「やったのです!」

ピョンピョンと小さく飛びながら玄は全身で喜びを表す。

数秒後自分のはしゃぎっぷりに気づいたのか、顔を赤くして俯く。

淡(表情コロコロ変わりすぎ、可愛いなー)

淡(それに子供っぽい人なのかな?)

玄「み、見なかったことに」

淡「しないよー」

玄は肩を落としながら、

玄「コホン、じゃあ入部届を書いて貰っていいかな?」

気を取り直すように玄が提案する。

淡「りょうかーいです」

そう言って鞄から筆箱を取り出そうとするが、

玄「あっ、いいよ、ペンと申請書はここにあるから」

淡「準備いいねー」

玄はニコニコしながら、

玄「そんなことないよ、これくらい普通のことだよ」

玄「じゃあ私は掃除の残りをしておくから少し埃っぽくなるかもしれないけど書いておいてね」

そう言って、途中だった掃除を再開する。

ささっと書類を書いた淡は玄の掃除を観察する。

淡(慣れてるせいかな、めっちゃ手際いいなー)

淡(さっきの喜び方と、今の世話焼き、本当の貴女はどっち?)

玄は書き終わった淡の様子に気づくと、書類に目を通す。

玄「あっ、ここ間違ってるよー」

玄「直しておくね」

そう言ってさらさらと書類を書き直す。

淡「ありがとう、玄」

玄「ふっふっふ、松実玄におまかせあれ」

淡「フフッ、なにそれー」

淡「玄はしっかり者なんだね」

淡は先ほどの子供っぽさは気が緩んだせいで出た何かの間違いだと結論づけた。

それが間違いだとはこの時点で知る由もなかった。

玄「そ、そうなのです」

玄「私は'しっかりしないと'いけないのです」

淡(しっかりしないといけない?どういうことだろ?)

淡「まあいいや、これからよろしくね」

玄「よーし、一緒に頑張ろー」

淡「おー!」

翌日の放課後、淡と玄は部室に集まっていた。

玄「第一回麻雀部再興会議ー!!」

淡「わーわー」

拍手をしながら玄を盛り上げていく。

淡「ところで再興って何?」

再興[名](スル)いったん衰えたものが、勢いを盛り返すこと。また、もう一度盛んにすること。

玄「ということなのです」

淡「へー玄って難しい言葉知ってるねー」

玄「淡ちゃん本当に高校生?」

ジトっとした目で淡を見つめる。

淡「ぶー、国語なんて出来なくても生きていけるしー」

むくれながら文句を垂れ流す。

玄「淡ちゃんの学力は置いておいて」

不満そうな顔の淡だったが、玄は無視しつつ話を続ける。

玄「麻雀部を復活させるのに意見をどうぞ」

淡「部室は有るんだしあとは部員だけじゃん」

玄「そうだね」

淡「なら明日の朝にでもビラ配りしよう!」

玄「ふっふっふ、そう来ると思って既に用意しておいたのです」

玄のと思われるロッカーから玄はチラシを取り出す。

丁寧に色付けされていて麻雀部の宣伝もきちんとされている、非の打ち所がないくらいの出来であった。

淡「えっ?いくらなんでも準備良すぎじゃない?」

淡「もし私がポスター作ろうって言ったらどうするつもりだったの?」

玄「えっ、それなら当然こっちを取り出したに決まっているよ」

そう言うと鞄の中から丸めてあった少し大きめのポスターを取り出した。

その柄は先程のチラシとは違う絵が書いてあったが完成度はどちらも同じでとても良く出来ていた。

淡「つ、作り置きしてたんだよね?」

玄「ん?昨日作っただけだけど?」

淡が玄を見つめると、うまく隠しているが目元にクマが浮かんでいるのが見えた。

淡「夜更かしは美容の敵だよー」

玄「これくらいどうってことないから大丈夫だよ」

淡「んー、まあいっか」

淡「ありがとうね玄」

玄「んふー、これくらい当然なのです」

淡「でも今日はしっかり寝てよね」

玄「う、わかったのです」

淡「麻雀部復活しまーす」

玄「よろしくお願いしまーす」

翌朝印刷したビラを投稿する生徒に手渡していく。

しかし部活の勧誘の期間はとっくに過ぎていて、手応えは少なかった。逆に、

美術部員「絵うまいねー、そんなことやめて美術部に来ない?」

などと話しかけられる始末だ。

淡「あっ、ねえねえ麻雀部入らない?」

モブ「ごめんねーもう吹奏楽部入っちゃったからさ」

淡「そうなんだ、ごめんね」

モブ「ううん、出来ることなら協力するからなんでも言ってね」

淡「うん、何かあったら頼らせてもらうー」

モブ「オッケー、それじゃあ頑張ってね」

淡「うん、頑張る」

そんな会話もありつつ勧誘は一週間続いたが、なんの成果も得られなかった。

翌週、部室にて

淡「ダメだー」

机に突っ伏しながら来ない新入部員を待ち続ける。

淡「やっぱり時期的にもう無理かなー」

淡「ねえ玄?」

玄の方を向くと少し俯きながら、

玄「私………か………ない………まく……ない、もっとし………………いと」

淡「玄?」

玄「えっ?何かな淡ちゃん?」

淡(よくわかんないけどいい傾向じゃないかなー)

淡「だからーもう新入部員はいいから二人で活動続けよ?」

淡「同好会くらいなら先生たちも認めてくれるでしょ」

玄「でもいいの?大会出れないよ?」

淡「団体戦が出れないだけじゃん、個人戦で頑張ればいいんだよ」

淡「目指せインハイワンツーフィニッシュ!」

淡「あっ、もちろん一位は私ね」

俯いていた玄は顔をあげ、少し笑いながら、

玄「淡ちゃんがそう言うならそうしよっか」

淡「んじゃあ同好会ってことでめっちゃ遊ぼう!」

玄「えーっ!麻雀はー?」

淡「麻雀も含めて遊ぼう!」

玄「もう、淡ちゃんは仕方ないなー」

文句を言う玄だったがとても嬉しそうだった。

玄「ねえ、淡ちゃん」

淡「何ー」

玄「どうして私の提案に乗ってくれたの?」

淡「んー?麻雀部立て直すってやつ?」

玄「そうそう」

淡「楽しそうだったからかな?」

玄「いや、こっちに疑問で返されても困るのです」

淡「強いて言うならなんとなくかな」

玄「そ、そうなのですか」

淡「でも後悔はしてないよ」

玄は小首を傾げる。

淡「だって玄のこと好きになれたし」

玄の顔に少し赤みがさす。

玄「な、な、な、なにを言って」

淡「もちろん友達としてだけどねー」

淡「あれれー玄、いけない方向に考えちゃったー?」

淡はニヤニヤしながら玄を見る。

玄「し、知らないのです」

玄は腕を組み顔を背け、

玄「淡ちゃんなんて知らない」

淡「そっか」

としょんぼりとしながら俯く。

玄「あーーー今のなしなし嘘、嘘だからね」

玄が淡の機嫌をとりなおそうと淡の顔をのぞき込むと淡はニヤニヤしたままだった。

玄「もう、淡ちゃんったら」

淡「ごめんごめん、もうしないよ」

淡(やっぱり時折子供っぽい一面見せるなー)

淡(ま、そんなところも好きなんだけどね)

遊ぼうと宣言した通り、淡は玄の家に遊びに来ていた。

玄「何もない部屋ですがどうぞ」

淡「そんない畏まらなくてもいいって」

笑いながら淡は答える。

淡「ここが玄の部屋かー」

玄「寮だから淡ちゃんの部屋と変わらないでしょ」

淡「そんなことないよー」

淡「ほら、玄っぽい良い匂いだもん」

玄「私がいい匂い…」

玄「えへへー嬉しいのです」

淡は部屋を見渡すと、

淡「それにしても綺麗にしてるねー」

玄「旅館の娘だからねそれくらい'しっかりしないと'だめなのです」

淡(またそれ?)

淡が再び部屋を見渡すと気づいたことがある。

気持ち悪いくらいに整理整頓が行き届いている。

机はピカピカに拭かれており、床にはゴミひとつ落ちていない。きっとベッドの下にも埃一つ落ちていないだろう。

窓はもはやそこになにもないのではと疑うほどの外の景色を写している。

かと言って生活感が全くないわけではない。

一切の妥協もなく、完璧に、'しっかりと'生活していることが伺えた。

淡(な、なにこれ、神経質ってレベルじゃない)

淡(ちょっと、いやかなり気持ち悪い)

淡「ごめん、ちょっとあれな日が来たみたいだから今日はちょっとごめん」

玄「えっ?淡ちゃんの周期って…」

玄「ああ、ごめんなさいなのです、ここは淡ちゃんの気持ちを察しないといけない場面だよね」

玄「しっかりしなければ…」

玄「ゆっくり体を休めてねー」

淡「ごめんね、玄」

淡が立ち去った後に、

玄「また友達が一人減ってしまったのです」

玄「でも私はもっとしっかりしないと…」

玄「これでいいんだよね、お母さん」

玄の背後で一匹の龍が涙を流した気がした。

松実玄の回想

幼玄「お母さんお話ってなーに?」

玄母「玄、あなたはいい娘に育ったわ」

玄母「わがままもあまり言わないし、家の手伝いもしてくれる」

玄母「宥はあの体質だからね」

玄母「だから玄あなたがみんなを支えてあげて」

玄母「これはお母さんからのお願い」

玄母「'しっかりした'人になってね玄」

幼玄「よくわかんないけど、しっかりすればいいんだね?」

玄母「そうよ、そうしてみんなを支えてあげて」

幼玄「おまかせあれ!」

玄母「ああ、安心したわ」

回想終わり

翌日の放課後、

玄(はぁ、淡ちゃんきっと来ないだろうなー)

玄が部室の扉を開けると金髪の少女が座っていた。

玄「えっ?」

淡「もう、玄、おーそーいー」

玄「えっ?えっ?」

淡「私達友達でしょ、あれくらいじゃどうってことないって」

淡「むしろ私の方こそごめん」

淡「あんな反応したら傷つくよね、本当にごめん」

しょんぼりしながら頭を下げる。

玄は涙目になりながら、

玄「これからも私の友達でいてくれるの?」

淡「もちろん!」

玄「淡゛ちゃーん」

玄は泣きながら淡に抱きつく。

淡は抱き返しながら玄の長い髪の感触を楽しむ。

淡「ふぃや!」

素っ頓狂な声をあげる。

というのも玄が淡の胸をもんでいたからだ。

淡「アン…ちょっと玄くすぐったいよ」

玄「淡ちゃんも大きくはないですが中々形の良いおもちを持っているのですね」

玄「これは松実玄の目をしてもわからなかったのです」

と、玄が冗談を零す。玄にしてみれば本気だったのかもしれないが…。

そして淡は禁断の言葉を口にしてしまう。

淡にしてみれば玄の冗談に乗っかっただけのつもりだった。





淡「もう、'しっかりして'よね、クロー」



瞬間世界が凍る。

玄「…そ、そうだね」

玄「そっかまだしっかりしてなかったんだ…」

玄「私がしっかりしないと…しっかりしないと…」

淡「どうしたの玄?」

玄「ごめんね淡ちゃん」

玄「私がしっかりしないとダメだよね」

歪な笑みを浮かべながら玄は夢遊病のようにふらふらと何処かへ行ってしまった。

淡「な、なにが起こったの?」

淡「待ってよクロー」

我に返り玄を追いかけたが、既にどこに行ったかわからなくなってしまっていた。

淡「仕方ないか…諦めて今日は帰ろう」

翌日登校してきた淡が学校に違和感を覚える。

淡(学校ってこんなに綺麗だっけ?)

違和感を抱いたまま教室に行くと違和感が確信に変わる。

淡「玄の家と同じだ…」

完璧なまでにしっかりを体現した教室に淡は絶句する。

モブ「淡ちゃんも驚くよねー」

モブ「誰だろうねこんなしっかり掃除したの?」

淡は鞄を取り落とし、そのまま麻雀部の部室まで走りだす。

モブ「ちょっと淡ちゃーん!?」

一直線に麻雀部の部室まで走りきり、扉を開けると。

そこには、マスクにエプロンに三角巾をしてはたきと雑巾を持っている玄が掃除をしていた。

きっとあの時からずっと学校中を掃除していたのだろう。

淡(玄…)

玄「淡ちゃん?どうしたのこんな時間に?」

淡「玄だよね、学校中掃除したの」

玄は照れたように、

玄「まだ中途半端だからあんまり見ないで欲しいのです」

淡「そういう問題じゃないよ」

淡「何が玄にそうさせてるの!?」

玄「んっと、淡ちゃんの言ってる意味がわからないんだけど?」

淡(だめだ、多分話にならない)

淡「玄、携帯かして」

玄「ん?はい、あんまり変なことしないでね」

そういって自分の携帯を差し出す。

玄「私はまだ掃除が残ってるから、使い終わったら鞄の中入れておいてー」

そうしてまたフラフラと掃除をし始める。

淡は電話帳からま行を見て、番号がないことを確認するとあ行を見る。

淡(あった、お姉ちゃん)

宥「もしもし、玄ちゃん?」

宥「今から学校でしょ?変な用事だったら怒るよ?」

淡「もしもし松実宥さんですか?」

宥「その声あわ…どちら様ですか?」

淡「私は大星淡です、玄さんと仲良くさせてもらってます」

宥「そう、玄ちゃんの電話からってことは何かあったんですか?」

淡は玄のことを話し始める。

宥「そっか…」

宥「玄ちゃん、死んじゃったお母さんと別れ際に約束したの」

宥「しっかり者になってみんなを支えて欲しいって」

淡「えっ…」

宥「それを素直に演じ続けてるの」

宥「本当は辛いはずなのに…」

宥「私は何度も止めさせようとしたんだけど…」

宥「私じゃだめだった」

宥「だからあわ…大星さん」

宥「玄ちゃんを止められるのは多分今しかないから」

宥「玄ちゃんを、昔みたいな素直で純粋な玄ちゃんを取り戻してください」

宥「お願いします」

淡「ふっふっふ、この大星淡におまかせあれ!」

宥「ぷっ、それって玄ちゃんの真似?」

淡「あはは、やっぱり似てないよね」

宥「フフッ、結構似てたよ」

笑いながら答える。

宥「ねえ、温室のお花たちは元気?」

淡「…」

宥「ううん、なんでもない」

宥「ごめんね変なこと言って」

淡は少しトーンを落とし、

淡「毎日お世話してるから元気だよ」

淡「私もあのお花好きだから…」

淡「じゃあね、頭の良い宥先輩」

プツッと電話が切れる。

宥「またね、格好いい淡ちゃん」

少し思い出にひたるように通話修了ボタンを押した淡は玄の方を向く。

玄「ん?通話終わった?」

玄「ダメだよー携帯電話忘れちゃー」

玄の中では携帯を忘れたから貸して欲しいと結論づけたのだろう。

淡「玄、お母さんとの約束は大事だよ」

玄「あれ?お母さんのこと淡ちゃんに話したっけ?」

淡「だけど今の玄をお母さんは褒めてくれないよ」

玄「…どうして?」

玄「ああ、そっか私がまだ全然しっかりしてないからだよね」

淡「違うよ」

玄「違わないよ!!」

玄「私がしっかりし続けないとお母さんとの絆がなくなっちゃうじゃん!!」

その言葉で淡は確信した。

玄は自分の異常性に気づいている。

でもお母さんが好きだから。

お母さんとの絆を失いたくないから。

しっかり者を演じ続ければお母さんとの約束を忘れないから。

玄「気持ち悪いでしょ?どっかいってよ」

淡「気持ち悪くないよ」

玄「嘘だよ!!」

玄「私の部屋を見た時気持ち悪いって思ったから帰ったんでしょ」

玄「わかってるんだよ?」

淡「確かに最初はそう思ったけどね」

玄「ほらやっぱr」

淡「でもね、今はそんなことないよ」

玄「淡ちゃんは何が目的なの?」

淡「今の玄に用はないよ」

淡「用があるのは玄の後ろにいる龍だよ」

玄「はあ?何言ってるの?」

玄「淡ちゃんもおかしくなっちゃったの?」

淡の髪が風もないのにぶわりと広がり始める。

淡は確かに玄の後ろを見つめる。

玄「な…なに、なんなの?」

淡「とりあえず玄は黙ってて」

淡「はじめまして」

淡「いいえ、貴女はずっと玄を見てたんなら私も知ってますよね」

淡「玄のお母さん」

『どうして私が見えるのですか?』

『いいえ、今そのことを問うのは愚問でしょう』

『私の声が届くのでしたら玄にお伝え下さい』

『玄のやり方は間違っていると』

『いつまでも私との約束を守る必要はないと』

『そうお伝え下さい』



淡「えっ?やだよ」

『えっ?』

淡「そういうのは自分で伝えなきゃ意味ないって」

淡「ほら私が力を貸してあげるからさ」

『おやめなさい、死者を現世に戻そうとするなんて』

『何が起きるかわかりませんよ』

玄「さっきから何をブツブツ言ってるの?」

淡「玄のお母さんとちょっとお話をね」

淡「玄を救うためだよ」

淡「なんだってくれてやる」

淡は両手を広げ、淡の力で玄の母親を受け入れる。

そして、玄の両手を握りしめる。

淡の力が循環し始める。

そうしていると玄の視界にぼんやりと龍が見え始める。

その龍は慈愛に満ち溢れていて、慈しむように玄を見ていた。

玄はその視線に覚えがある。

玄「お、お母さん」

玄の目からツーッと涙が流れる。

淡?「玄、聞こえますね」

玄「聞こえるよ、お母さん」

淡?「そのまま何も言わずにお聞きなさい」

淡?「本来なら死者がこうして話すことは許されないことなのですから」

淡?「玄、貴方は本当によくやっています」

淡?「ですが、やり過ぎる癖が治っていないようですね」

淡?「だから新しく私と約束してちょうだい」

淡?「ほどほどにしっかり者でいてちょうだい」

淡?「子供らしくていいのよ、我儘も言っていいのよ」

龍の姿が揺らぎはじめる。

淡?「時間ね」

淡?「さようなら玄、いつでも私は玄を見ている」

淡?「愛しているわ玄」

そう言い残すと淡から龍の気配が飛び去る。

玄「分かったよ、お母さん」

玄「もう無理しなくていいんだよね」

玄は涙を流していた。

淡「ああああああああああああああああああああああ」

淡は激痛で意識を取り戻し悲鳴をあげる。

玄「淡ちゃんどうしたの!?」

淡「痛い痛い痛い!!!!!!!!」

淡の右目を抑えながら辛そうに叫び声をあげる。

玄「淡ちゃんちょっと見せて!」

淡の手を無理やりどけると、

玄「龍の眼?」

淡の目が変化しており、体全体を侵食しようとしていた。

死者を現世に戻した代償だ。

玄「押さえつけないと」

龍と親和性の高い玄だからこそできる芸当。

玄は淡の両手を握ると、淡の痛みは少しだけ安らいだようだった。

だがしかしまだ痛みを感じているようだった。

玄「どうすればいいの、お母さん…」

『ドラを大事にしなさい』

玄「そうだ抑えるんじゃなくて大事にするんだ」

玄は意を決したように手を握りながら淡の顔に自らの顔を近づける。

そしてそのまま淡の唇と玄の唇が触れ合う。

その瞬間部室内に力が溢れかえる。

淡「ありがと、玄」

そこには平常を取り戻した淡の姿があった。

ただ、目だけは元に戻らなかったようで、右目には龍のような紋章が浮かんでいた。

玄「私はちょっとだけお手伝いをしただけなのです」

玄「こちらこそ、私の為に無理させちゃってごめんなさいなのです」

淡「私がやりたかっただけだからいいの」

玄「でも…」

淡「玄が好きなの」

玄「えっ?」

淡「もう、言わせないでよね」

玄「友達としてってやつでしょまたー」

淡は首を横にふる。

淡「残念、今度は本気だよ」

今度は淡から玄の唇にキスをする。

淡「気持ち悪い?」

玄「ううん、もっと…お願い」

淡「うんもっとだね」

囁くように語り合うと、今度はどちらからともなく唇を合わせる。

お互いを離さないようにしたいのか、今度は舌を絡め合わせている。

玄「クチュ…プハッ…」

お互いの唇に唾液のアーチが描かれており、官能的である。

玄「淡ちゃん、順番が逆だだったけど、一緒になろ?」

淡「うん…玄のこともっと深くまで知りたい…」

頬を朱に染めながら手を握る。

『あらあら、まだ高校生なのにおませさんねー』

その声は誰にも届かずに消えていったが、その言葉の通りだろう。

しっかり者を演じる必要もなくなった玄と淡ならこれからも、楽しい人生になるだろう。

淡「これからももっと遊ぼうね、玄」

玄「もちろんなのです!」

そう言うと玄は初めて会った時のようにピョンピョン跳ねながら喜びを表していた。
[おわり]

以上です。今回は意図せずに少し長くなってしまいましたね。もう少し短くまとめる努力をしなければ。

しっかり者の玄が行き過ぎたと言う話でした。

次回は[〇〇の場合]の展開じゃなく、白糸台での淡菫のバレンタインネタを書きたいなーとか思ってます。

それ以降はまだ未定ですがまだ誰も書いていない千里山の誰かにするつもりです。

ではまた次回。

---------どうでもいい雑談-------------
最後の不思議展開は厨二成分が不足していたのでネジ込みました。厨二大好きです。

それと宥が伏線っぽいこと言ってますが、このスレの最後のネタの為の準備ってことで(完全に後付ですけどね)。

でもしばらくは続けるつもりではいるのでこの設定は忘れてるかもしれません。予定は未定です。

話は変わって、頂いたレスを見返したいたのですが、好意的な意見ばかりで嬉しい限りです。

ですが、否定的な意見がなくちょっと怖く思えたりしたりしなかったりしてます。

荒らしや罵倒はともかく否定的な意見というものは参考になることが多かったりしますからね。

それでは今回もありがとうございました。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

[神代小蒔の場合]>>236-251内容:神様と知り合いになりつつイチャイチャする話

[龍門渕透華の場合]>>257-268内容:住む世界が違うと望むものも違う話

[天江衣の場合]>>274-285 内容:部内の居場所を作ってあげる話

[辻垣内智葉の場合]>>297-325 内容:命を狙われるが助けられる話※30レス程度でちょっと長めです。

[松実玄の場合]>>338-359 内容:お母さんとの約束を行き過ぎるくらい守り続けた話。※20レス程度でちょっと長めです。

龍の紋章開眼した淡ちゃん画像はよ

病み玄、ちょっときついw
でもこういうのもありかな

次千里山なら一年同士の淡泉が見たいっす

>>1 です。他に何もなかったら泉さんにしようかね。

でも前に書いたように次回は淡菫のバレンタインイベなんで次々回になります。

展開はそんなに変わんないと思うけど、淡にボコボコにされてへこむ話と淡にボコボコにされるけど普通に仲良くなる話のどっちがいいかな?

ちなみに千里山の話ですと、竜怜NTR展開に見せかけた淡セーラの話を温めてたりします。

淡菫期待!

…全国編アニメでエイスリンさんの泣き顔がたまらなくそそられたので、
麻雀対局で調子に乗ってエイスリンさんを泣かせてしまい慌てるあわあわ見たい

全部書いてしまえ

淡にボコボコにされて淡に追いつこうとしていくうちに、淡の強者ゆえの孤独心を知っていろんな感情が芽生えてくる、ってのどう?

乙乙

エイスリンとのカプ欲しい(KONAMI

こんにちは、本日は白糸台淡菫バレンタインネタです。

>>362 私も欲しいです。

>>363 私の中ではそれほど病ませたつもりではなかったです。ちょっと思い詰めてるかな?くらいの感覚でした。
ですが、ダークものなので注意書き入れるべきでしたね申し訳ありません。

>>364 >>365の通りですねー

>>366 ご期待いただきありがとうございます。エイちゃんですね、次々回に書きたいと思います。リクエスト頂きありがとうございます。

>>367-369 途中の派生イベントをどう分岐するかの違いなんで全部は書かないです。というか連投でIDって変わるってどういう事なんでしょうね?

>>370-371 採用!別の話になると思いますが、強者の孤独って単語で熱血物の話とか考えてみようかなと思いました。

>>372 エイちゃん人気ですね。やっりアニメ化って凄いって思いました。

[淡バレンタインネタ]
本日は2月13日。世の女子達が騒ぎ出す季節である。

しかしここ白糸台高校麻雀部では今日も今日とて麻雀の練習をしていた。

淡「ロン!」

淡「亦野先輩の飛び終了ですね」

誠子「うぐっ、あ、ありがとうございました」

誠子が落ち込みながら本日最後の対局が終わった。

菫「亦野の課題はやはり防御面だな」

菫「今日の反省を是非活かしてくれよ?」

誠子「はい…」

菫「それにしても淡は絶好調だな」

菫「私では中々手が届かなくなってしまったな」

淡「当然!だって次の大会ではサキーと穏乃にリベンジしないといけないからね」

淡は胸を張って自信満々に答える。

淡「でもここまで頑張ってこれたのは菫先輩のおかげだよ」

淡「ありがとうね菫先輩!」

菫はこっ恥ずかしそうに頬を掻きながら、

菫「あ、ああ」

淡「どうしたんですか?」

菫「真正面からそんなこと言われると照れるな…」

淡「中々言い出せないですけどみんなそう思ってますよ」

誠子「そうですよ」

尭深も頷き、賛同は得られたようだ。

菫は空気を変えるように、

菫「と、ところで淡、指に絆創膏なんて付けて怪我でもしたのか?」

淡は少し恥ずかしそうに、指を隠す。

淡「えへへ、チョコレートって湯煎する前に細かくするじゃないですか」

淡「その時ちょっとザクっていっちゃいまして」

誠子「いたたたた」

菫「…そうか明日は14日か」

菫「それほどまで気合入れているんだ、本命がいるのか?」

淡「ん?気になっちゃいますかー?」

菫「言いたくないなら別に」

少しだけ菫から戸惑いが感じられる様子であった。

淡「…そうですか」

淡「でも元々言うつもりもなかったりしてー」

と朗らかに笑いながら答えた。

菫(淡の場合いないならいないと断言するだろう)

菫(ぼかすということはやはり…)

菫(いや、何を考えているんだ私は)

菫(淡はただの後輩で、私とは…)

照「どうしたの菫?」

黙って本を読んでいた照が菫に声をかけると、

菫「なんでもない、なんでもないぞ!」

照はよくわからないように首を傾げる。

照「私も」

菫「うん?」

照「私も菫には感謝してる」

照「私は教えるの得意じゃないから」

照「菫に頼りっぱなし」

菫「せっかく私が空気を変えようとしたのに、その話題を引っ張りだすなよ」

再び始まった感謝攻撃に菫は慌て気味だ。

照「慌ててる菫は中々見れないからね」

照は薄っすらと笑みを浮かべ、

照「茶化したけど感謝してるのは本当」

菫「全くお前というやつは…」

そう言うと菫は照の頭に手を置く。

菫「お前がそういう奴だって言うのはよくわかってるよ」

菫「だから存分に私を頼りにしろ」

照は撫でられた頭を気持ちよさそうにしながら、

照「ありがとう」

その様子を淡は羨ましそうに眺めていた。

菫「なんだ淡、その目は」

淡「照ばっかりずるいー」

淡は頭を菫に向け、

淡「私もなーでーてー」

菫「はいはい」

そう言うと淡の頭を撫で始める。

照はやれやれと言った様子で肩を竦めるが温かい目を淡に向けていた。

淡「えへへー」

菫「もういいだろ?」

淡「うん、ありがと菫先輩!」

と言いつつも若干名残惜しそうに目を向ける。

菫「それじゃあいい時間だし解散としようか」

『お疲れ様でした』

菫は淡いを撫でた手のぬくもりを確認するようにギュッと手を握りしめていた。

淡は帰宅すると、すぐに台所へ移動する。

淡「よし始めよー」

気合を入れると、買ってきたチョコを刻み始める。

淡「菫に心配させちゃったしね、慎重に慎重にー」

淡「それにしても菫は目ざといなー」

淡「でもそれだけ私のこと見てくれてるってことだよね」

少し頬を赤くしながら、

淡「本当にそうだったら嬉しいな」

淡「それに今日は頭撫でてもらえたし」

淡「菫の手暖かくて優しい感じだったな」

刻み終わったチョコに沸騰直前まで加熱していた生クリームを注ぎ混ぜ合わせる。

淡「愛情ちゅーにゅー」

淡「美味しく出来ますように」

チョコと混ぜ終わるとたまに混ぜながら少し冷ます。

淡「よいしょ、よいしょ」

もったりするくらいの硬さになったらまな板の上にシートを引いて並べる、

淡「やりすぎないようほどほどにー」

更に冷蔵庫で少し冷やしておく。

淡「その間にー湯煎しなきゃね」

その間に残っているチョコレートを湯煎にかけて溶かしておくことを忘れない。

淡「手を冷やして体温で溶かさないようにしながらー」

冷蔵庫で少し冷やしたチョコをお団子状に丸める。

淡「コロコロー♪」

そして湯煎したチョコをコーティングし、表面にココアパウダーをつけたら、

淡「トリュフチョコの完成!」

淡「あとは綺麗にラッピングしてー」

菫色の袋に黄色のリボンを付ける。

淡「あとは渡すだけー」

淡「菫喜んでくれるかな?」

翌日の放課後、

この日の淡の授業態度がいつも以上に悪かったのは言うまでもないだろう。

そして部室に駆け込みながら、

淡「菫いるー?」

照「今日は日直だったから遅れてくるよ」

淡「そうなの?照ありがとー」

照「いいよ、それより菫にチョコ渡すの?」

淡「えっ!?なんで知ってるの照ってエスパー?」

照「バレバレだよ?菫は鈍感だから気づいてないみたいだけど」

照(菫が淡を意識してるのもバレバレだけどね)

淡「そっかー」

淡は少し恥ずかしそうに顔をそむける。

照「私は応援してるよ」

淡「本当に!やったー!」

照「ねえ、菫のどんな所に惹かれたの?」

淡「うんとね、優しくて、包容力があるとこ!」

淡「なにより私をよくわかってくれるところ!」

照「そっか、軽い気持ちじゃないんだね」

淡「ムフー、当然!」

そんな話をしていると、菫が部室に入ってくる。

菫「すまない遅くなった」

菫の手にはいつも使っている鞄と、少し大きめだがパンパンになった紙袋があった。

淡は気になったようで、

淡「なんですかその紙袋?」

淡は菫に見えないようにチョコレートを後出に持ち菫に近づく。

照(淡頑張って)

菫「ああ、今日はバレンタインだろ?」

菫「何故か昔からチョコを貰うことが多くてな」

淡「ふ、ふーんそうなんだ」

菫「お返しもしなけりゃならないし、全く迷惑な話だよ」

菫(淡の物でなければ意味がないしな)

菫(って私は何を考えているんだ…)

淡「そ、そっか…チョコレート迷惑なんだね…」

照「菫!」

珍しく照が荒げた声をあげる。

菫「な、なんだよ急に」

淡は鼻をすすりながら、

淡「いいの照」

淡「菫先輩ゴメンナサイ、今日はちょっと帰らさせてもらいます」

そして自分の鞄をひったくるように抱えて走って行く。

しかし涙だけは流さなかった。

菫「淡!?」

誠子「お疲れ様さまでーす」

尭深「こんにちは」

絶妙なタイミングで2年生組がやってきた。

誠子「大星が走って行っちゃったんですけど何かあったんですか?」

尭深「ひどい顔してた」

菫「私には何がなんだか…」

照「あのね…」

照は今あったことを話した。

尭深「弘世先輩…」

誠子「流石にこれはちょっとフォローできないです」

菫「な、なんだ私が悪いのか?」

照「本当は自分で気づいて欲しいけど時間がないから教える」

照「淡は菫が好きでチョコレートあげようと思ってたのに菫があんなこと言うから…」

菫「あの淡がか?冗談もh」

尭深「気づいてないのは弘世先輩だけ」

誠子「ほら、こんなとこで立ち止まってないで大星を追って下さい」

照「行ってあげて、多分河原のベンチで座ってるから」

菫「わかった」

そう言って走って行ってしまった。

誠子「宮永先輩なんで大星がいる場所を?」

照「さっき淡と話してる時に鏡でみた」

尭深「不可解…」

大星淡は宮永照の予言通り河原のベンチに座りながら、菫に渡すはずだったチョコレートを自分で食べていた。

淡「あーあ、変なやつだって思われただろうな」

淡「このチョコちょっと苦いな」

淡「でも、渡す前にわかってよかったな」

淡「頑張ってきたよ、あの時からずっと」

淡「弱いところは見せちゃダメだと」

淡「そうじゃなきゃ申し訳がたたないから」

淡の回想

アナ「決着ーーー!!」

アナ「なんと常勝白糸台を下し優勝は清澄高校です!」

清澄高校と阿知賀女子に僅差で負けてしまった淡は控室へ向か廊下を歩いていた。

淡「嘘っ…」

淡「ううん、だめ、私は全力だった」

淡「全力を出してこの結果だったんだ」

淡「胸を張るくらいじゃなきゃダメだよね」

悔しい自分の気持ちを必死に押さえつけ、淡は自然体を装う。

淡は控室の扉を開ける。

照「おかえり、淡」

菫「あの状況からよく頑張ったな」

淡を励ましていたが、淡はそれを聞きながら話を切り出す。

淡「宮永先輩、弘世先輩」

淡「逆転できなくてごめんなさい」

深々と頭を下げる。

淡「亦野先輩、渋谷先輩」

淡「来年こそはリベンジするんでご指導よろしくお願いします」

またしても頭を下げる。

菫「どうした淡、そんなキャラじゃないだろ?」

菫「むしろ強がっt」

照「菫、今は好きにさせてあげよう」

淡「ありがとテルー」

淡「菫先輩も気にしてくれてありがと」

淡「全力でやったんだよ、その結果は受け入れます」

菫「大丈夫だみんなわかってるよ」

菫「この最高のメンバーでこの結果だったんだ、私はこの結果が誇らしいよ」

菫「でも来年は是非リベンジを果たしてくれ」

その時からであろうか、菫を特に気にし始めたのは。

強がっている淡に無理をさせたくなかったのであろう。

そんな菫に淡が惹かれたのも無理は無いだろう。

菫「淡!!」

今にも泣き出しそうだった淡は、涙を堪え、

淡「どうしたんですか?菫先輩」

淡は冷静を演じる。

淡の変わらない様子に菫は少し戸惑ったが、

菫「さっきは悪かったな」

淡「なんのことですか?私にはよくわかんないですよ」

菫は淡の座っていたベンチを見ると、菫色のラッピングの上にチョコレートが有るのを見つける。

全てを察した菫はチョコを一粒取り口に放り込む。

菫「うまいよ」

菫「なかなかよく出来てるじゃないか」

淡「菫先輩、チョコなんてもらっても迷惑って…」

菫「淡からのプレゼントなら特別に決まってる、迷惑になるわけ無いだろ」

そして菫は淡を優しく抱きとめる。

菫「なにも言わなくていい、もう強がるな」

菫「インハイからだな、お前が強がりを始めたのは」

菫「泣き言を言わなくなったし、練習にもまじめに取り組むようになった」

菫「ただ私はその前の本当の淡をよく知っている」

菫「せめて私の前だけでは本当を見せてくれ」

淡は菫の胸に顔をうずめながら静かに涙を流す。

淡「ありがとう、菫」

菫「そう呼ばれるのも懐かしいな」

淡「でももうちょっと胸貸してね…」

菫「ああ、私の胸はお前専用だよ」

そう言って数分間、この半年分の思いをぶつけ、思い切り泣いた。

菫「なあ淡、お前のチョコ私にくれるか?」

淡「もちろん!」

その後瓦のベンチで二人はチョコレートを食べあった。

そのチョコレートの味は先ほど感じた苦味は感じず、とても甘い味だったらしい。
[おわり]

以上です。

バレンタインギリギリセーフかな?

次回は泉さんにする予定です。その次はエイちゃんですかね。

ではまた次回。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

[神代小蒔の場合]>>236-251内容:神様と知り合いになりつつイチャイチャする話

[龍門渕透華の場合]>>257-268内容:住む世界が違うと望むものも違う話

[天江衣の場合]>>274-285 内容:部内の居場所を作ってあげる話

[辻垣内智葉の場合]>>297-325 内容:命を狙われるが助けられる話※30レス程度でちょっと長めです。

[松実玄の場合]>>338-359 内容:お母さんとの約束を行き過ぎるくらい守り続けた話。※20レス程度でちょっと長めです。

[淡バレンタインデーネタ]>>374-383 内容:バレンタインデーに菫とチョコを食べる話。

バレンタインデー?ヴァン・アレン帯の誕生日のことですか?

いい淡菫、というかいい白糸台でした、乙!

こんにちは>>1です。

やっと鯖復活したようですね。

いつも通りに週末に投下する予定です。

よろしくお願いします。

期待

あわあわ~

あわあわにビンタされたい

こんにちは今回は二条泉さんです。

キャラがなかなか掴めなかったのは内緒。
先輩相手には敬語な大阪弁ってキャラ付けから引っ張ってこれるのですが、同級生相手だったので手こずりました。
違和感がなければ良いのですが…。

>>386 チョコレート渡す習慣なんて日本だけです!別に貰わなくたって…。
なんやかんやで白糸台は動かしやすくていいですね。

>>388-390 ありがとうございます。鯖落ちの関係でかなりモチベーションが下がっていたのでかなり励みになりました。
というか意外と見てる人いるんですね。嬉しい限りです。

>>391 あわあわ~

>>392 何かの弾みで怒ってビンタするけど、急に我に返って慌てながら心配してくてるあわあわまで妄想した。

[二条泉の場合]

※今回はBADEND→HAPPYENDの順番になります。BADEND苦手な人は注意してください。

入学式から時間が経ち、新生活にも慣れてきて友達作りも落ち着いてきたそんなある日の放課後。

大星淡はクラスの友達とだべっていた。

淡「それでね、その後なんて行ったと思う?」

モブ「えーなにわかんなーい」

淡「『それは僕のワイフなんだ』だって」

モブ「あはははは、なにそれおっかしー」

聞きかじったようなアメリカンジョークを披露していた。

大星淡はクラスの中心だった。

その輪の中には二条泉の姿も見て取れた。

泉「なんやそれおもろいなー」

そしてふっと時計を見ると、部活開始時刻が間近に迫っていた。

泉「そろそろ部活の時間やから行ってくるなー」

淡「んー?もうそんな時間かー泉ちゃんいってらー」

泉「ほなまた明日な」

淡「おつー」

淡やモブ達は口々に挨拶し、泉は急ぎ足で部室に向かっていった。

部活無所属、得意なことは無駄話。そしてなによりクラスの中心、それが大星淡だった。

泉は淡が作るクラスの雰囲気が好きであった。

自信がクラスの中心になることも多少夢見たが、現実味がないと思い諦めていた。

それだけ淡は特別な存在だと思っていたし、淡自身も今の境遇を楽しんでいるのだと思っていた。

大星淡の本心がどこに有るかなど知らずに。

泉「おはようございますー」

部室の扉を開き、部員に挨拶する。

麻雀部員もそれに答えるように挨拶を返す。

泉「あっ、この卓入りますねー」

と一人欠けた卓に泉が入り対局が始まった。

しばらくの間、牌を打つ音が部室内に響き渡った。

1時間が経過すると、

泉「ロン、3900です」

先輩A「うわちゃー捲くられちゃったか」

泉「ありがとうございます」

先輩B「流石去年のインハイの決勝卓に残っただけはあるねー」

泉「一応高校一年では最強を自負してるつもりです」

先輩C「原村とかいう巨乳に負けたのにか」

泉「そこは言わんといてくださいよー」

『あはははは』

インターミドルの結果は、泉がいじられる時のお決まりのパターンと言えた。

先輩A「ところで泉のクラスに大星ってやついる?」

泉「大星?淡ちゃんのことですか?」

先輩A「名前まではわかんないけど、金髪で長い髪してるやつ」

泉「私のクラスメイトですけど、どないしたんですか?」

先輩A「この前雀荘で無双してたって話を聞いてね、うまくうちに引き抜けないかなってさ」

先輩A「泉は知らない?」

泉は考えるように淡の話を思い出していたが、麻雀の話題を出していないことに思い至った。

むしろ笑い話か、今の流行ぐらいの中身のない話ばかりしていたことに気づいた。

泉「クラスでそんな話はした事無いですね」

先輩B「そうだったら明日にでもその大星さん連れてきてもらっていい?」

先輩C「噂の真相を暴く」

泉「わかりました、話してみます」

その翌日の放課後クラスにて、

泉「なあなあ、淡ちゃんちょっとええか?」

淡「どしたの?泉ちゃん」

あどけない表情で淡は泉に微笑みかける。

誰にでも変わらないその笑顔を向けるからこそ、淡は人気があった。

同時にその笑顔を独占したいと思う輩も少なく無いだろう。

それこそ、男女問わずに。

もちろん泉もそこに含まれていた。

淡「珍しいね、私個人に話しかけるなんてね」

泉「このまえ雀荘で無双しとったって噂を聞いたんやけど、ほんまなん?」

その言葉に淡の顔が固まる。

淡「おっかしいなぁ、うちの生徒がいないのは確認したと思ったんだけど…」

ブツブツと呟いたが、幸いにも泉には伝わらなかったようで首を傾げる。

泉「それでな、部活の先輩がよかったらちょっと部活に顔出して欲しいって」

淡「うーん」

淡は露骨に嫌そうな顔をする。

淡の表情に、クラス中から泉に批判の視線が投げかけられる。

泉「無理にとは言われてへんから、嫌なら…」

クラスの雰囲気に日和った泉の口調は弱々しい。

淡「いいよ」

再び浮かべた笑顔に重苦しい雰囲気が緩和される。

泉「ほんまか!?」

泉「おおきにな淡ちゃん」

淡はただし、と指を突きつけ、今までとは一味違う邪悪な笑みを浮かべ、

淡「壊れないでね」

その結果は語るまでもないだろう。

むしろ大星淡と二条泉の戦力の差を考えると善戦したとさえ言える結果だった。

最終的には部員対大星淡となったが、淡はそれすら気にもとめない圧勝っぷりだった。

そして部室は重苦しい空気に支配された。

大星淡を見る視線はみなこの世の物を見るような視線ではなかったし、淡もそれを当然のことと受け入れている様子だった。

その中、唯一淡を尊敬の眼差しで見る視線が存在した。

淡「約束守ってくれたんだね」

そう言って淡は先ほどと同じように泉に指を突きつけた。

そして本心からにっこりと笑って、

淡「でも、バイバイ」

そう言って卓を離れ、鞄を持ち去っていった。

取り残された泉はというと。

淡の笑顔を前に頬を染めていた。

部室の空気を戻すために、

部長「おお、泉は大星にホの字かー」

急に話しかけられた泉は、慌ててぶんぶんと首を横に振り、

泉「そ、そ、そんなんちゃいます!」

部長「そんなに慌てちゃって怪しいねぇ」

そう言って笑うと部室の雰囲気も多少緩和されたようだ。

部長は泉に耳打ちするように、

部長「でも大星淡はやめときな」

急に真剣な表情に泉は俯き、

泉「なんでですか?」

と、呟くように答える。

部長「あんなの人間じゃない」

話はそれまでだと言わんばかりに部長は泉から離れ、

部長「これで、泉の高一最強は崩れ去ったな」

そう言って笑うといつも通りの日常の部活の風景が帰って来たようだ。

泉(淡ちゃんは人間だ)

泉(私が今よりもっと強くなってそれを証明してみせる!)

泉「部長!」

立ち上がり、泉は宣言する。

泉「私、もっともっと強くなります」

泉「そんで本当に高一最強になります」

部長「おお、青春だなー」

部長「私達もサポートするから、やるからには全力な」

泉「はい!!」

淡(ちょっとやり過ぎちゃったかなー)

淡(今回はそんなに強い人いないから部活に入らなかったのが裏目にでたかなー?)

淡(でも泉ちゃんがあんなにガッツがあるとは思はなかったなー)

淡(それにあの視線、悪くないかな)

泉「淡ちゃん!!!」

帰り道、泉が淡に追いつく。

どうやら走って追いかけてきたようだ。

淡「どうしたの?今更恨み言でも言いに来た?」

淡「それともむしゃくしゃしちゃったから八つ当たり?」

淡は両手を広げ、

淡「どうぞ、何かしたいならご自由に」

泉「そんなんちゃうよ」

淡は首を傾げ、

淡「それじゃあなに?」

泉「淡ちゃんに告白しようと思ってな」

淡「こ、こく…」

泉は顔を赤く染め、

泉「ちゃうちゃう!!愛の告白ちゃうくて、えっとえっと」

泉「そう、宣誓?宣言?そんな感じのやつ!」

淡は上目遣いをしながら呟くように、

淡「聞かせてよ」

泉「私は、淡ちゃんより強くなるから」

泉「あんな空気にはさせない」

淡の顔が凍りつく。

淡「それは受け入れられない」

泉は自分の境遇に酔っているのか決め付けるように、

泉「私は勝手にやるから」

それじゃあと言って手を振って学校の方向にまた走っていった。

ヒロイズムに溺れているのであろう。淡を助けだしてヒーローになりたいという願望が見えた気がした。

淡(ばっかじゃないの?)

淡(ううん馬鹿だ)

淡(おもいっきり悪い意味で馬鹿だ)

淡(私を目標にして私の力に近づいても、私と同じ立場になるだけなのに)

淡(泉ちゃんは知らないだろう)

淡(力は孤独を産み、孤独は堕落を産む)

淡(そうならないように私は立ちまわってるのに…)

淡(ま、でも面白くなりそうだから何も言わないけどね)

淡(私より強くなるならそれでよし)

淡(力に溺れたらそれはそれで私が助けてあげよう)

淡(うーん淡ちゃんマジヒーロー)

淡(諦めるようなら、私と同じ場所まで堕ちてもらおうかな)

淡(人の警告聞かなかった罰だからねー)

淡(頑張れ泉ちゃん)

淡(せめて私にダブリー使わせるくらいには成長してね)

流石に一朝一夕で力が身につくわけがなく、それから1年間麻雀部と大星淡に接点はなかった。

意外なことに淡も泉もクラスでは麻雀の話題は出さなかったし、泉と淡が二人で邂逅することもなかった。

泉は単身淡を目標に力を磨き続けた。他の物を一切顧みずに。

そして淡に近い力を得ていた。

泉「あっ、この卓入りますねー」

と一人欠けた卓に泉が入ろうとするが、対局者は嫌そうな顔をする。

泉は驚いたように苦い顔をすると、

先輩A「泉が入るとどうせ泉が勝っちゃうから」

先輩B「そうそう、今日は楽しみたい気分だしさ」

先輩C「そうだよ」

泉「あ、そうですかすいません」

そう言って他の卓につこうとしても、

先輩D「泉はちょっと…」

同級生A「泉ちゃんって強すぎてねー」

同級生※「そうそう打つ意味ないよねー」

同※生※「勝手に一人でやってればいいのにね」

先※※「大会でだけ結果出してくれればいいや」

※※※「言えてるー」

※※『あはははは』

※『こっちはガチでやってるわけじゃないのにね』

『空気よめないよねー』

『高一最強だから仕方ないよ』

『今は高二最強だっけ?』

『マジうけるわー』

泉(な…に…?)

泉「…今日は…失礼しますね」

部室のドアを開くとそこには金髪の少女が腕を組んで待っていた。

淡「おめでとう、これで泉もこっちの世界の住人だ」

泉「あ、淡ちゃん?」

淡「まだ続ける気力があるなら呼び捨てでいいよ、泉」

淡「力を身につけた気分はどう?」

淡「これで私を救える?」

淡「これで私が作り出す空気を変えられる?」

淡「これで満足?」

淡は怪しくフフッと笑い、

淡「ごめんごめん怖かったかな?」

淡「結局予想通りのつまんない結末だったみたいだね」

泉「…」

淡「泉はね、もう麻雀なんかやらないで私のために生きていけばいいの」

淡「だからここまで堕ちちゃえ」

淡はニヤッと意地の悪い笑みを浮かべていた。

結局力をつけた泉は大星淡を救い出すどころか、並び立つ事すら叶わなかった。

当然である。淡と同じベクトルの力を身につけようとしたところで、淡に勝つことなんて不可能である。

それに淡と同じ境遇に陥るのは自然の摂理である。

泉はそのまま流れで部活を辞め、淡と同じ立場で生きることを決めた。

泉「なあなあ、淡'ちゃん'今日はどこで遊ぶ?」

淡「そうだねー今日は※ちゃんと※※ちゃんとクレープでもいこっか」

泉「甘いもんばっか食べてると太るでー」

淡「私太らない体質だから大丈夫だよ」

泉「ほんま、羨ましい体質やわ」

淡「ねえ、泉'ちゃん'これで本当に良かったの?」

泉「いいよ、これはこれで新しい人生は楽しいし」

淡「フフッ、これからもよろしくね」

泉「こちらこそ」

こうして歩みを止めた両者はただただひたすらに緩く生きていくだろう。

本人たちはそれで幸せかもしれないが、いずれ刺激が足りずに退屈な日々となるだろう。

淡(みんな同じ表情ばっかりでつまんない)
[BADEND]

>>400 から分岐
淡(ちょっとやり過ぎちゃったかなー)

淡(今回はそんなに強い人いないから部活に入らなかったのが裏目にでたかなー?)

淡(でも泉ちゃんがあんなにガッツがあるとは思はなかったなー)

淡(それにあの視線、悪くないかな)

泉「淡ちゃん!!!」

帰りの道すがら、泉が淡に追いつく。

どうやら走って追いかけてきたようだ。

淡「どうしたの?今更恨み言でも言いに来た?」

淡「それともむしゃくしゃしちゃったから八つ当たり?」

淡は両手を広げ、

淡「どうぞ、何かしたいならご自由に」

泉「そんなんちゃうよ」

淡は首を傾げ、

淡「それじゃあなに?」

泉「淡ちゃんに告白しようと思ってな」

淡「こ、こく…」

泉は顔を赤く染め、

泉「ちゃうちゃう!!愛の告白ちゃうくて、えっとえっと」

泉「そう、宣誓?宣言?そんな感じのやつ!」

淡は上目遣いをしながら呟くように、

淡「聞かせてよ」

泉「私は、淡ちゃんより強くなるから」

泉「あんな空気にはさせない」

淡の顔が凍りつく。

淡「それは受け入れられない」

泉はその意見を突っぱねようとは思ったが、少し疑問を覚え、

泉「理由を聞かせてもらってもええか?」

淡「理由一つ目、私と同じような力を得たら私と同じ境遇になる」

淡「当然だよね、私の劣化した分身が出来るようなもんだもん」

泉は考えていなかったのか、黙って俯く。

淡「理由二つ目、練習ばっかりに力入れて人間関係を疎かになる」

淡「ただでさえ、怖がられるんだから帰る場所くらい確保しとかなきゃね」

淡「私はそれが出来なかったから今こんなんだけどね」

泉は辛そうに頷く。

淡「大きな理由はその二つかな」

淡「だから、私とは別のベクトルの力を、帰る場所を確保しながら得る」

淡「やるならそうして欲しいかな」

淡「私も協力できるしね」

泉「わかった、その案もらうわ」

泉「おおきに、淡」

淡はその覚悟を決めた泉の顔にドキッときたようで、

淡(なんだ、そんないい顔も出来るんじゃん)

淡「それなら泉は私の特別だね」

淡「頑張れ泉」

泉「任せとき!」

それから'2'年間麻雀部と大星淡に接点はなかった。

ただ'麻雀部'として接点がなかっただけで個人的には色々と相談をしていた

帰る場所として、クラスの人とも真剣に向かい合った。

今では泉派と淡派の派閥に分かれるくらいだ。

泉「なあ淡」

真剣な顔で淡に話しかける。

淡「遅いよ泉」

淡は待ちくたびれたと言わんばかりに小さくあくびをするふりをする。

泉「ようやく目標達成ってところや」

淡「本当に出来るかは半信半疑だったけどねー」

泉「部活では私を怖がる人なんておらんし、友達づきあいも良好や」

泉「多分やけど淡にも対抗できるくらいの力も身につけてるつもりや」

泉「だから淡、私と一緒に来てくれるか?」

淡はニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべ、

淡「それはどういう意味でかなー?」

泉「部員として、そして個人的にもや」

淡は表情を崩さず、

淡「私馬鹿だから直接行ってくれないとわかんないなー」

泉「恥ずかしいやっちゃな」

泉「ひとつひとついくで」

淡「ドーンときなさい!」

泉「まず私らの力でインハイ勝つで」

淡「おまかせあれ」

そう言うとゴミでも入ったのか、淡は少し右目を抑える。

泉「それから、私は淡のことが好きや」

泉「だから私と付き合って一緒の道を歩いて欲しい」

淡はいつか見せたあの笑顔を浮かべ、指を突きつけ、

淡「喜んで」

時間はかかったが、こうして二人の絆は紡がれた。

淡の弱い部分を知っている泉は淡を支える事を苦としないだろう。

泉の強い部分を知っている淡は泉と歩む事に喜びを覚えるだろう。

そして二人は仲良く笑顔を浮かべていた。
[HAPPYEND]

以上になります。

次回はエイちゃんになる予定です。

ですがなにか小ネタでもはさみたい気分です。ひとつ淡穏で挟みたい小ネタがあるのですが、なかなか形に出来てないです。

それではこれからもよろしくお願いします。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

[神代小蒔の場合]>>236-251内容:神様と知り合いになりつつイチャイチャする話

[龍門渕透華の場合]>>257-268内容:住む世界が違うと望むものも違う話

[天江衣の場合]>>274-285 内容:部内の居場所を作ってあげる話

[辻垣内智葉の場合]>>297-325 内容:命を狙われるが助けられる話※30レス程度でちょっと長めです。

[松実玄の場合]>>338-359 内容:お母さんとの約束を行き過ぎるくらい守り続けた話。※20レス程度でちょっと長めです。

[淡バレンタインデーネタ]>>374-383 内容:バレンタインデーに菫とチョコを食べる話。

[二条泉の場合]>>394-407 内容:力の使い方を知る話。※BADEND有り


同じ笑顔オチは一緒なのね

乙乙~
一粒で二度美味しいというか、
ペヤング 超大盛やきそば ハーフ&ハーフ激辛みたいな

保守

ご無沙汰しております>>1です。

私的な用事や引っ越し等が重なりましてスレを放置してしまい申し訳ありません。

現在の状況としまして書き溜めはほぼなく、インターネット回線がeモバと携帯くらいしかないので、ネット開通まで1レス完結の小ネタを様子を見ながらやっていこうかなと思います。

新生活で忙しくはなりますが今後ともよろしくお願いします。

復活おつー

乙ー
ゆっくり進めてください

[淡穏小ネタ、イラッとする話]
あの子と出会ってからもうしばらく経つが、ふとしたあの子の行動にイラッとくることがある。

あの子の麻雀の打ち方にイラッとくる。私を邪魔するためだけの能力なんじゃないかと今も思うことがある。

遊びに誘うときはほとんど山に連れて行かれることにイラッとくる。たまにはおしゃれでもしたらいいのに。

ご飯に誘うとよくラーメン食べたいと言うことにイラッとくる。よくラーメン食べてるのに全然太らないのにもイラッとくる。

…家に遊びに来るとき、必ずお菓子を持ってくることにイラッとする。私の好物は把握してると言わんばかりのチョイスにも…イラッとくる。

軽い気持ちで相談したら本気で悩んでくれた様子にイラッとする。私のために本気で悩むなんて意味わかんない。

通学路でわざわざ私を待っていることにイラッとする。悔しいけどあの子と一緒に登校するのは楽しい。

麻雀合宿で必死に私に食らいついてくることにイラッとする。もうあの子には負けたくない。

恋バナをしようと思ったのに、さっさと寝てしまうあの子にイラッとする。でも憧がライバルだということが分かった。

…憧と楽しそうに話している様子にイラッとする。そんな単純な嫉妬心を抱いている自分には呆れ果てそう。

私の気持ちを知らないくせにベタベタしてくるのにイラッとする。そんなことされたら我慢きかないじゃん。

私の一世一代の告白に対して顔真っ赤にしながら俯いて返事をしないことにイラッとする。

…何が食べたいか尋ねると私の料理ならなんでも美味しいと言ってくることにイラッとする。メニュー決めるの大変なんだぞ。

あの子が料理をすると必ず私の好きなものが出てくることにイラッとする。美味しくてついついいっぱい食べちゃう私にもイラッとする。

…ウェディングドレスが私より似合っていることにイラッとする。

…娘にかまけて私に構ってくれないことにイラッとする。もっと私をかーまーえー。

娘が私よりあの子に懐いていることにイラッとする。その怒りを麻雀にぶつけたらサキーに勝っちゃった。

淡「この私の日記を見てニヤニヤしながら私を見てくる穏乃にイラッとする」
[終わり]

ネット開通が月末なのでそれまでこんな小ネタをちょいちょい投下していく予定です。なんで連投できないんですかね?
淡意外もいれるかもしれないのでご了承ください

乙です!
なんか速報、重いですね

[中二病を患った淡]
I am the bone of my stars
体は星で出来ている

nothing is my body, and everything is my blood.
血潮は全て、心には無

I have created over a thousand loser.
幾度の対局を超え不敗

Unkown to Death.
ただ一度の放銃もなく

Nor known to life.
ただの一度も理解されない

Have withstood pain to create many loser.
彼女は独り牌の上で勝利を笑う

Yet,those hands will never hold anythingfg.
故に、彼女は孤独であり

So as I play, UNLIMITED GALAXYS.
その体はきっと銀河で出来ていた。

淡「って必殺技使ったらかっこよくない?」

菫「却下だ、ばかもの」

連投テスト

あれ?投下できてる。eモバイル回線の規制なくなったのかな?

連投できるのなら淡エイの書き溜め始めようかな。

まっ照

おお!?期待してます

連投出来なかったか…
ネット環境が整うのをワクテカして待ってます

こんにちは本日分投下いたします。

本編(?)を投下するのは久しぶりですね、お待たせしてしまって本当に申し訳ありません。

>>410 同じ行動でも意味が変わっているって話は大好きです。

>>411 BADENDだけでもいいのですが、幸せにならないと面白くないですよね。

>>412 ご心配をかけてしまい申し訳ない保守嬉しかったです。

>>414 ありがとうございます。

>>415 ありがとうございます。細々まったりやらせていただきます。

>>418 ありがとうございます。速報は時折重いですよね。

>>422 お待たせいたしました。だが照さんではないんだ。

>>423 ご期待に添えるかわかりませんがよろしくお願いします。

>>424 なかなか生活のペースが掴めず書ききれなかっただけです。お待たせしてしまって申し訳ない。

[エイスリン・ウィッシュアートの場合]
桜ももう散ってしまい、大型連休も過ぎ去ったそんな第一週。

淡「えっ?この学校麻雀部なんてあったの?」

淡「部活紹介でそんなこと言ってなかったじゃん」

頬をプクーッと膨らませ、文句を垂れる淡であったが、

モブ「紹介の準備が間に合わなくて次の日放送で紹介してたけど聞いてなかった?」

淡「次の日?」

ウーンと唸りながら考えていると、

淡「あっ!?外でお昼ご飯食べた日!!」

淡「そういえば放送でなんか言ってたかもー」

外で食べていたのであまり放送内容が聞こえなかったのであろう。

淡「まあいいや、ちょっとスタートダッシュ切れなかったぐらいでへこたれる淡ちゃんじゃないよ!」

モブ「よっ!さっすが淡」

淡「ンフフー、もっと褒めてもいいんだよ?」

モブ「調子乗るな」

と脳天に軽くチョップされて、

淡「あいたっ、暴力はんたーい」

オーバーなリアクションをとりつつ笑いあう、そんな昼休みがあったそうだ。

淡「たのもー」

知らなかったものは干渉できないが、知ってしまえば干渉できる。

そこに待ち構えていたのは淡と同じ金髪の少女であった。

??「…?ダレ?」

淡「ん?私にそれ聞いちゃう?」

淡「麻雀界に突如現れた超期待の新星」

淡「大星淡だー」

すると淡の前にいた金髪の少女は自らを指差し、

エイスリン「Aislinn Wishart」

淡は首を傾げたが、納得したように、

淡「エイスリンさんって言うの?」

エイスリン「ウン」

エイスリンは自らの髪を指差し、

エイスリン「アワイ、カミノイロオナジ!」

淡「んーそう言われればそうだねー」

淡「言っておくけど自毛だから不良ってわけじゃないからね」

エイスリンはニコニコしながら自らのキャンバスに絵を書き始める。

そして淡に差し出された絵は、二人の金髪の少女が仲睦まじく手を繋いでいる絵であった。

淡「なにこれ?」

エイスリンは淡と自らを指差し、

エイスリン「ナカヨシ!」

その様子に淡もニヘッと笑い、

淡「いいね、そういうの」

エイスリンが不思議そうに淡になにかを尋ねようとすると、

部員「エイちゃんだれか来てるの?」

と奥の方から麻雀部の部員が声をかけてくる。

淡「あっ、こんにちは」

淡「私1-Aの大星と申しますけど、麻雀部に入部したいんですけど」

部員「こんな時期に?珍しいねぇ」

エイスリン「アワイ、ナカマ?」

淡「仲間で、ライバル?」

エイスリン「ワタシ、ツヨイヨ」

少し誇らしげに胸を張りながらエイスリンは淡を見つめる。

部員「入部届けとかは後で書いてもらうとして、今はちょっと打ってもらおうか」

そう言うと、淡はコソコソと対応してくれた部員に尋ねる。

淡「エイスリンさんが強いって本当ですか?」

部員「ん?エイちゃんは強いよー、なんせちょっと前まで初心者だったのが今じゃうちのエースだもんね」

エイスリンがボードを持ち上げると四人が麻雀をしていてエイスリンらしき人物の上に王冠が乗っている絵であった。

淡「最近までルールも知らなかったのが今のエースか…」

淡「どこかで折れちゃう前に私が指導してあげないとね」

淡「エイスリンさん、先に言っておくけど、上には上がいるってこと教えてあ・げ・る」

エイスリンはまたしても絵を書くと、金髪の少女の鼻が長くなっている絵を見せてきた。

淡は一笑に付したが、果たして天狗になっていたのはどこの誰であるかは自明だろう。

第一局、

淡「リーチッ」

エイスリン「!?」

エイスリンは気を落ち着かせるように、自分の理想の牌譜を描こうとする。

エイスリン「…?」

確かに自分の理想の牌譜と淡以外の牌譜は見えたが、淡の牌譜が見えない。

淡「どう?自分の力が及ばない気分は?」

エイスリン「…ッ」

淡「そんなに睨まないでくださいよー」

淡「さあ、切ってくださいよ」

淡「エイスリンさんの番ですよ」

エイスリンは少し悩むが、一枚の牌を選び、切る。

淡「ロン、Wリーチ一発裏3で12000」

淡「いやー運がなかったですねエイスリンさん」

エイスリンは振ったショックからか目尻に涙を浮かべるが、ブンブンと首を振り気持ちを切り替えようとする。

第二局

淡「…」

今度はリーチをせずにそのまま牌を切る。

エイスリンもほっとしたのか、再び自分の理想を描きだす。

エイスリン「…ヨシ」

配牌五向聴であることは運が悪いで片付けることができるが、10順目にあがれる目処が立った。

エイスリンが牌を切ると、

淡「ポン」

エイスリン「…ェ?」

淡「ポンですよポン」

淡にとって必要としない鳴き、

エイスリン『ナニコレ…』

数順が経過し、

淡「あっエイスリンさんそれロンです」

淡「タンヤオ、三色、ドラが一個で3900でお願いします」

エイスリンが理想を描ききる前に淡はあがってしまった。

第三局

淡「力がある娘がいきなり麻雀はじめてさ」

エイスリンは涙目で淡を見る。

淡「その力に頼りっぱなしで基礎が疎かになるってよくあることなんだよね」

淡「本来ならどこかで挫折して自分で気づくべきことなんだよ?」

淡「エイスリンさんはもっと基礎を磨くべきだった」

淡「そうじゃないとナカヨクなれないよ?」

淡「だから今は折れてね?」

そう言って邪気のない邪悪な笑みを浮かべる。

その表情にエイスリンの鼓動が高まる。

エイスリン「イミ…ワカンナイ」

エイスリンの目に闘気が戻る。

淡「いいね、その目」

淡「これだけで私がここに来た意味があるよね」

淡「でも今日ばかりは手加減なしだよ」

エイスリンが目を閉じると先ほどまでは見えなかった淡の牌譜まで見えるようになっていた。

淡「ああ、遂に覗かれちゃったか」

淡「守りはそれほど得意じゃなかったし、私だけの力ならこんなもんか」

エイスリンが描いた牌譜では淡が最善手を取り続ければ淡が1順早く上がる。

しかしその為には自風の東のトイツを早い段階で切らないと成り立たない手だ。

エイスリン(アリエナイ)

淡はそれすら嘲笑うように一打目は東を切った

エイスリン「ウソッ!?」

淡は先ほどとは違う邪悪な笑みを浮かべると、

エイスリン「…?」

淡「その力自分だけの物だと思わない方がいいよ」

数巡後

淡「ツモ、12000オール」

淡が牌を倒した瞬間

エイスリンが椅子から立ち上がり走り去る。

目元には大量の涙の粒が見て取れた。

その様子に慌てた様子で、部員が淡を睨む。

部員「あれだけ煽ってたんだから、フォローもも・ち・ろ・ん考えてるよね?」

その言葉に冷や汗をかきながら、

淡(マズイ…こんな展開は予想外…)

淡(ここは、エイスリン『アワイステキ!』ってなるところじゃないの?)

そういうところは淡の常識がない部分であろう。

淡「ももも、も、もちろんです」

淡「とりあえずフォロー行ってきます」

とりあえずその場から逃げるように早足で立ち去っていった。

エイスリンは麻雀部の休憩室にいた。

一人床に座りながら足を抱えている。

淡の事、自分のこと、麻雀のこと、淡のこと。

思考がぐるぐるとループする。

エイスリン(Surely it is resposibility of the Awai)

エイスリン(she was me thinking that my…my)

エイスリン(I don't know how I feel)

エイスリン(Awai…Awai…アワイ…)

どれくらい時間が経ったのであろうか。

エイスリン(Is she looking for me now?)

どこか期待していた。そして同時に恐れていた。

逃げた自分を戒めるのではないか。

罵るのではないか、失望するのではないか。

ネガティブな思考が脳内を駆け巡る前にガチャリと音がして、部屋のドアが開いた。

淡「…」

淡は何を話すか、どう励ますか、どう立ち直らせるかを考えていた。

そして淡の得た結論は…

そっとエイスリンの横に腰をおろす。

エイスリン「…?」

エイスリンが目を丸くするが何も言わずにそっと肩を寄せた。

淡は何もせずそばにいることを選んだ。

励ましの言葉はきっとイヤミの言葉となるだろう。

激励の言葉はきっと見下しの言葉となるだろう。

謝罪の言葉はきっと侮辱の言葉となるだろう。

共闘の言葉はきっと嘲りの言葉となるだろう。

だからこそ、何もしないことを選んだ。

きっとわかってくれるから。

淡はそっと肩を抱き寄せ、目を瞑る。

淡「…ハッ、寝ちゃった!?」

外を見ると太陽がほとんど地平線に沈んでおり、とても長い影が一つ部屋に伸びていた。

淡(あーあ、振られちゃったかな)

淡(同じ髪の色出し、相性いいかなーなんて思ったんだけどねー)

立ち上がろうとすると紙が一枚落ちていることに気づいた。

淡(…?)

そこにはエイスリンが先ほど書いた金髪の少女二人…淡とエイスリンが手を繋いでいる絵であった。

ただし少し書き加えられており、

二人は大きはハートマークで囲われていた。

淡「これって?」

どこかに隠れていたのであろうか、エイスリンは入口からヒョコッと顔をだし、

エイスリン「アワイ、ワタシノキモチウケトッテ!」

エイスリン「I love you」

淡「うん」

淡「私も好きです」

エイスリンは頬を染め、

エイスリン「ズットイッショ!」

淡もハニカミながら、

淡「二人ならなんでもできるよ」

エイスリン「ワタシノクニ、ケッコンデキルヨ?」

淡「ふぇっ!?」

淡「ケケケ結婚はまだははは早いんじゃないかなー?」

エイスリン「フフッ、ジョーダンダヨ」

からかってきたことにちょっと反撃しようと思ったのか、

淡「でも近いうちに冗談じゃなくしようね」

エイスリン「アワイ!!!」

エイスリンの手元から一枚の紙が落ちる。

そこには白い大きな家に金髪の女性が二人、そして二人の子供が描いてあったそうだ。

淡「…ハッ、寝ちゃった!?」

外を見ると太陽がほとんど地平線に沈んでおり、とても長い影が一つ部屋に伸びていた。

淡(あーあ、振られちゃったかな)

淡(同じ髪の色出し、相性いいかなーなんて思ったんだけどねー)

立ち上がろうとすると紙が一枚落ちていることに気づいた。

淡(…?)

そこにはエイスリンが先ほど書いた金髪の少女二人…淡とエイスリンが手を繋いでいる絵であった。

ただし少し書き加えられており、

二人は大きはハートマークで囲われていた。

淡「これって?」

どこかに隠れていたのであろうか、エイスリンは入口からヒョコッと顔をだし、

エイスリン「アワイ、ワタシノキモチウケトッテ!」

エイスリン「I love you」

淡「うん」

淡「私も好きです」

エイスリンは頬を染め、

エイスリン「ズットイッショ!」

淡もハニカミながら、

淡「二人ならなんでもできるよ」

エイスリン「ワタシノクニ、ケッコンデキルヨ?」

淡「ふぇっ!?」

淡「ケケケ結婚はまだははは早いんじゃないかなー?」

エイスリン「フフッ、ジョーダンダヨ」

からかってきたことにちょっと反撃しようと思ったのか、

淡「でも近いうちに冗談じゃなくしようね」

エイスリン「アワイ!!!」

エイスリンの手元から一枚の紙が落ちる。

そこには白い大きな家に金髪の女性が二人、そして二人の子供が描いてあったそうだ。

以上です。

次回はまだ未定ですが、清澄から咲以外の誰かにしようかと考えてます。

よろしくお願いします。

-------どうでもいい雑談------
最近咲×?のスレが結構活発で嬉しい限りです。咲関連のネタが思い浮かんだら私も支援しに行く予定です。

あと速報でおすすめの百合SSあったら教えていただけたら嬉しいです。

目次
[小瀬川白望の場合]>>3-10 内容:シロに献身するうちに惚れる話

[東横桃子の場合]>>12-23 内容:モモの姿が見える為惚れられる話

[小瀬川白望の性情事]>>25-29 内容:(R-18のため注意)シロとラブラブH

[三尋木咏の場合]>>35-47 内容:高校生に愚痴って解決される話

[松実宥の場合]>>107-122 内容:片思いと思ったら実は…の話

[穏乃小話]>>127-137 内容:阿知賀に転校してきた淡の話

[愛宕絹恵の場合]>>143-157 内容:相談したら地雷踏んだけど結果的に両者とも解決した話

[福路美穂子の堕落]>>166-181内容:(ドロドロした内容のため注意)舐めプしたら共依存が始まった話。

[福路美穂子の場合]>>183-189内容:全力を出したら結果が出た話。

[花田煌の場合]>>196-209 内容:聖人である煌と特訓する話

[淡誕生日ネタ]>>217-228内容:白糸台のメンバーが誕生日を祝いに行く話

[神代小蒔の場合]>>236-251内容:神様と知り合いになりつつイチャイチャする話

[龍門渕透華の場合]>>257-268内容:住む世界が違うと望むものも違う話

[天江衣の場合]>>274-285 内容:部内の居場所を作ってあげる話

[辻垣内智葉の場合]>>297-325 内容:命を狙われるが助けられる話※30レス程度でちょっと長めです。

[松実玄の場合]>>338-359 内容:お母さんとの約束を行き過ぎるくらい守り続けた話。※20レス程度でちょっと長めです。

[淡バレンタインデーネタ]>>374-383 内容:バレンタインデーに菫とチョコを食べる話。

[二条泉の場合]>>394-407 内容:力の使い方を知る話。※BADEND有り

[エイスリン・ウィッシュアートの場合]>>426-436 内容:ちょっと調子にのってやりすぎちゃう話。

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