京子「綾乃、今月の恋人料金まだー?」(205)

綾乃「今月はちょっとお金が…」

京子「恋人やめちゃおっかな~」

綾乃「っ!ご、ごめん…明日には払うからっ!私を見捨てないで…お願い…」

京子「滞納は罰金バッキンガムだぞーぅwww」

綾乃「うぅっ…」





京子「はい、結衣…お金」

結衣「京子、毎月助かるよ」

京子「うん…」

結衣「ほら、ご褒美」チュッ

京子「えへへ…」テレッ

櫻子「やいおっぱい!今日の恋人料!」
向日葵「まったくもう・・・・・・ちゅ」
櫻子「えへへ///」

結衣「あ、綾乃、あの、今月のお金……」

綾乃「遅いわよ、船見さん……次に滞納したら、船見さんが歳納京子の机の角でオナニーしてた写真、バラまくから」

結衣「や、やめてよ、それだけは止めてよ……」

綾乃「まったく、船見さんって本当に性欲の権化よね」

結衣「う、ううっ……」

綾乃「こ、今月もお願いできないかしら?」

結衣「はぁ、しょうがないなぁ…」

綾乃「ありがとう、船見さん」

結衣「それじゃ、靴下脱ぐから床に這いつくばって足舐めて」





綾乃「はい、今月の恋人料よ!」

京子「わぁ~、綾乃大好きぃ!!」ギュ~ッ

綾乃「べ、別にこの瞬間の為になら何でもしていいとかっ」

綾乃「ぜ、全然そういうこと考えて無いんだからねぇーーっ!?///」

綾乃「と、歳納京子、あの、恋人だったら、キス、してもいいわよね?」

京子「えー、キスは別料金だよ?」

綾乃「構わないわ、歳納京子とキスする為なら、幾らだって払うわよ」

京子「毎度あり~♪」

綾乃「じゃ、い、いいわよね、歳納京子」ズイッ

京子「うん」

綾乃「……」ドキドキ

京子「えっと、私の方からする?」

綾乃「い、いや、私から、するわ」

京子「ん」

綾乃「……」チュッ

京子(綾乃の唇、柔らかいな)

綾乃「……」レロッ

京子(うわ、舌入ってきた……追加料金貰わないと)

綾乃「……」レロッニュルッ

京子(な、なにか、凄く、気持ちいいな……追加料金は、いらないっか)

綾乃「……」チュプジュルッ

京子(うわっうわっ、唾液がいっぱい吸われてるっ)

綾乃「……」ハムッ

京子(わ、私の舌、甘噛みされちゃってるよ……)

綾乃「……ぷはっ」

京子「あっ……」

綾乃「ご、ごめんなさい、ちょっと長過ぎたかしら」

京子「い、いいよ別に、特別サービス///」

京子「結衣~臨時ボーナス入ったよ~」

結衣「え、今月の恋人料金はもう貰ってたはずだろ?」

京子「うん、綾乃にキス料金貰ったんだ」

結衣「……京子、綾乃とキスしたの?」

京子「うん、したよ?だからお金貰ったんじゃん」

結衣「……」イラッ

京子「結衣?」

結衣「京子、なんでキスなんてするの?」

京子「え、ええー、料金表決めたの、結衣じゃん……」

結衣「確かに決めたけど、やっていいかどうかの確認は私にとるべきだろ、携帯なりなんなりで」

京子「ゆ、結衣、怒ってるの?」オドオド

京子「ご、ごめん、結衣、勝手な事してごめん、お金、返してくるから、綾乃に返してくるから」ビクビク

結衣「お金返しても京子のキスは帰ってこないだろ!」ドンッ

京子「ひゃっ!」ビクッ

結衣「……」

京子「ゆ、ゆいぃ、許して、ごめん、許してよぉっ」ウルッ

結衣「……京子、こっちきて」

京子「え……」

結衣「いいからっ」グイッ

京子「ゆ、ゆい?」

結衣「……」チュッ

京子「あっ///」

結衣「私のキスで綾乃のキスのこと、忘れさせてあげる」チュッ

京子(あ、あれ……結衣にキスされてるのに、何時もみたいにドキドキしない)

結衣「京子……だから、もう綾乃とはしないで」チュッ

京子(どうしてだろ……あ、そっか、綾乃の方がキス、上手かったからだ)

京子「う、うん、判ったよ、結衣……」

結衣「ん、じゃあ、許してあげる」スッ

京子「あ……」

結衣「ん?どうしたの京子」

京子「……なんでも、ないよ」

京子(今気付いたけど、結衣のキスって、凄くあっさりしてるって言うか、物足りないっていうか……)

京子(綾乃のキスは、私の事を好きって事が凄く伝わってきて、気持ち良かったのになあ)

綾乃「船見さん」

結衣「え、な、なに、綾乃」

綾乃「実はちょっと、臨時の出費があったの……それで、ちょっとお金に困ってるのよね」

結衣「そんな事言われても……今月の分は、もう渡したじゃないか……」

綾乃「私は別にお金が欲しいって言ってるわけじゃないのよ、ただ、お金に困ってるって伝えてるだけ」

綾乃「じゃ、私は生徒会室に戻るわね、あそこならパソコンもあるし、例の写真をプリントアウトする事も簡単だしね」

結衣「ま、待って、待ってよ綾乃っ」グイッ

綾乃「どうしたの?船見さん」

結衣「……お金に、困ってるんだよね、なら、あげるから……」

綾乃「そんな、友達からお金なんて貰えないわよ、借りるのならともかく」

結衣「……貸すよ、貸すから」

綾乃「ありがとう、船見さん、いつか返すから、安心してね?」

結衣(うう、手元のお金が0になっちゃった……)

綾乃「ほら、船見さんそんなショボンとしないで、ジュースくらいならおごってあげるから」

結衣「は、はは、ありがと、綾乃」

京子「おーい、結衣~綾乃~」トテトテ

綾乃「と、歳納京子///」

結衣「京子!」

京子「珍しいね、2人でお話ししてるなんて」

綾乃「え、ええ、船見さんにジュースをおごってあげようとしてたところなのっ///」

結衣「う、うん、そうなんだよ、京子」

京子(結衣、昨日お金渡したのに、綾乃からジュースおごって貰うつもりなんだ)

京子(そこまでしてお金貯めたいのかなあ……)

綾乃「ほら、船見さん、プカリでいいわよね?」

結衣「う、うん、ありがと、綾乃」

京子(それに比べて、綾乃は優しいよね……あれだけ私にお金払ってるのに、結衣におごってあげるなんて)

京子(なんだろ、綾乃を見てると、凄くドキドキしてくるや)

綾乃「歳納京子……あの、今日もキスしてほしいんだけど……」

京子「あ、ごめん、あのサービスはもう休止になりました!」

綾乃「え……?」

京子「だから、もうお金はもらえないよ」

綾乃「そう……なの」

京子「その代わり、他の事なら……って、あ、あやの?」

綾乃「おかね、いらないんだ……」スッ

京子「ちょ、綾乃、顔近いよ///」

綾乃「歳納京子……」


チュッ


京子(あ、されちゃった、キスされちゃった……ゆ、結衣に怒られちゃうっ)

綾乃「お金いらないなら、幾らしてもいいわよね……」チュッチュッ

京子「ちょ、ち、違っ///」

綾乃「歳納京子……すき」チュプッチュプッ

京子(だ、だめ、凄く気持ち良くて、拒絶できないっ///)

綾乃「……」チュルルッ

京子「あ、あやのおっ///」

綾乃「歳納京子、涎、垂れてるわよ……」ペロッ

京子「んんっ///」

綾乃「いっぱい、いっぱいキスしようね、歳納京子……」

京子(ど、どうしよう、結衣に止められてるのに……け、けど、お金貰わないなら、バレないよね///)

綾乃「歳納京子は、気持ちいいキス、したくない?したくないなら止めるわ……」

京子「し、したいよ!綾乃、したいからっ///」

京子(あ、言っちゃった……したいって、言っちゃったっ)

綾乃「歳納京子……!ほんとに?ほんとに私とキスしたい?」

京子(も、もうどうにでもなれっ///)

京子「し、したいよ、綾乃、いっぱい私の事、愛してくれてるし、凄くそれが嬉しいのっ///」

綾乃「と、歳納京子……私も、嬉しい、歳納京子が私を求めてくれて、凄く嬉しいわ///」

京子「あやの……」

綾乃「じゃ、いっぱいしてあげるわね///」


≪キス祭り開催≫

京子「んんっ///」」

綾乃「ぷはっ……はぁ……はぁ……」

京子「はぁ……はぁ……」トロン

綾乃「歳納京子、気持ち良かった?」

京子「う、うん、凄く、気持ち良かったよ、綾乃、結衣のキスより……」トロン

綾乃「……やっぱり、歳納京子、船見さんとキスしてたんだ」

京子「うん……してたよ、けど、結衣、私の事があんまり好きじゃないのかも」トロン

京子「キスも何時も、すぐ終わっちゃうし、本当に唇合わせるだけだし……」トロン

綾乃「そうなの……歳納京子、可哀そうに」ナデナデ

京子「あ///」

京子(綾乃、頭撫でてくれた、凄く嬉しい///)

綾乃「歳納京子は、船見さんのこと、好きなの?」

京子「え、あ……それは……」

綾乃「私の事は、気にしなくていいから、正直に聞かせて?」ナデナデ

京子「う、うん……子供の頃から、結衣には守って貰ってたし……」

京子「私の王子様だと思ってたから……好きだよ」

綾乃「そう……」ナデナデ

京子「けど、私の方から幾ら結衣に好きって言っても、結衣の方からはちゃんと言ってくれないんだ」

京子「キスは、してくれるけど……」

綾乃「そういうの、辛いわよね」ナデナデ

京子「綾乃、判ってくれるの……?」

綾乃「ええ、歳納京子の事だもの、判る……とは言えないけど、判ってあげたいとは思うわ」

京子「あ、あやの……」グスン

京子「綾乃の気持ちは、わたし、判るよ、凄く伝わってくるもん……」

綾乃「そ、そう?ありがとう」

京子「わ、私の事、嫌いじゃないよ?」

綾乃「嬉しいわ、歳納京子」

京子「……あ、あの、恋人料金の事なんだけど……」

綾乃「なに?」

京子「も、もう、来月から、いらないから……というか、今月のお金も、今までもらったお金も、返すよ……」

綾乃「歳納京子……?」

京子「私、ちゃんと自分の気持ちと向かい直したいから……だから……」

綾乃「……そう」

京子「わ、私の事、きらいじゃないよ?」



京子「わ、私、綾乃の事、きらいじゃないよ?」

綾乃「じゃ、私との恋人契約は解消って言う事ね」

京子「うん……ごめん……」

綾乃「いいのよ、私、楽しかったから、歳納京子と恋人でいられて、楽しかったから」ニコ

京子「綾乃……」

綾乃「歳納京子、最後に、もう一度だけ、キス、いいかしら」

京子「……うん」

綾乃「ありがとう、歳納京子」


チュッ


綾乃「……」スッ

京子(綾乃のキス、凄く簡単に終わった……けど、綾乃の気持ち、凄く伝わってくる……)

京子(ごめんね、綾乃、悲しませて、ごめんね……)

京子「ただいま……」

結衣「おかえり、京子、遅かったじゃない」

京子「うん……」

結衣「……京子、どうしたの?」

京子「え?」

結衣「何か、元気ないみたいだけど……」

京子「あ、うん……何でも無いよ」

結衣「そ、そっか……何かあったら、すぐに言うんだぞ?」

京子(結衣……)

京子「何時も私の事を見守ってくれて、守ってくれるよね、結衣……」

結衣「ど、どうしたのさ、京子、いきなり」

京子「ありがとう……結衣、私、感謝してる」

結衣「……うん」

京子「結衣は、どうして私を守ってくれるの?」

結衣「え?」

京子「どうして、こうやって、毎日家に泊めてくれるの?」

結衣「それは……」

結衣(京子、どうしたんだろ、凄く真剣だ……)

結衣(私が京子を守る理由なんて、好きだからに決まってるだろ)

結衣(……けど、流石にそれを直接言うのは、恥ずかしいよ///)

京子「結衣?どうして?」

結衣「そ、そりゃ、幼馴染で腐れ縁だからね」

京子「……!」

結衣「そんな事より、京子、今日の晩御飯は……」

京子「そんな……こと?」

結衣「どうしたの、京子、怖い顔して」

京子「結衣……私にキスしてくれてたの、あれは?」

結衣「え?」

京子「あれも、幼馴染だったからなの?」

結衣「///」

結衣(そ、そんなの好きだからに決まってるだろ///)

結衣(あ、さては私をからかうつもりだな……)

結衣(京子がそのつもりなら……)

結衣「幼馴染だからキスするって言うのなら、私はあかりともキスしなくちゃならなくなるよ」

京子「……!」

京子「じゃ、じゃあ、結衣、結衣は私の事を!」

結衣「そうだね、私は京子の事を可愛い……」

京子「か、かわいい!?」

結衣「ペットみたいに思ってるんだよ」

京子「……は?」

結衣「ほら、可愛いベットにキスしたりするだろ?あんなノリ」

京子「……」

結衣(よし、勝った、流石に京子もこの対応には困るだろ)

結衣(京子の冗談は何時もキツめだからなあ、たまには私が反撃してもバチは当たらないよね)

京子「……帰る」

結衣「え?」

京子「……」ゴソゴソ

結衣「ちょ、京子?そんなに拗ねないでよ、ほら、今日の晩御飯は京子の好きな……」

京子「私、綾乃との恋人契約解消したから」

結衣「京子の好きな、オムライス、なんだけど……え?」

京子「綾乃から貰った恋人料金、全部、返すつもり」

結衣「きょ、京子?」

京子「だから、結衣も私から受け取ったお金、全部返して」

結衣「……あの、京子、どうしたの?」

京子「……お金」

結衣「あ、いや、あの、無いよ……」

京子「……そう、じゃあ、もういい」

京子「私も、悪かったんだよ、綾乃の好意につけこんで深く考えずにお金を貰ってたんだから」

結衣「京子……」

京子「安心して、結衣、私が一人で全部返すから」

京子「だから、結衣は貯め込んだお金を大切にしてね」

結衣「きょうこ、ちょ、待って、話が、判んないよ、どうして突然」

京子「……ばいばい、結衣」カチャッ

結衣「きょうこ?どうして、どうして出て行っちゃうの?オムライス、出来てるよ?」


バタンッ


結衣「冷凍庫の中には、ラムレーズンもあるよ?」

結衣「きょうこ?」

京子「綾乃!」

綾乃「あ、あら、歳納京子、おはよう」

京子「お、おはよう……」

綾乃「……歳納京子の通学路はここじゃなかったと思うんだけど、どうしたの?」

京子「うん、綾乃を待ってたんだ……」

綾乃「私を?」

京子「あの……ごめん!」

綾乃「え?」

京子「謝っても許して貰えないかもしれないけど……恋人契約とか言い出して、綾乃の気持ち踏みにじって、ごめん!」

綾乃「歳納京子……」

京子「昨日、言ってたよね、お金全部返すって……けど、あの、昨日、手持ちのゲームとか全部売ったんだけど」

京子「1割分くらいしか用意できなかったんだ……」

京子「ぜ、絶対全部返すから、お金作って、返すから……」

綾乃「い、いいわよ、そんなの何時でも……」

京子「……勿論、それで綾乃に許して貰えるとは思わない」

京子「けど、もし償いが終わったら……あの、あのっ」ワタワタ

綾乃「歳納京子、落ち着いて……」ギュッ

京子「あ……」

綾乃「大丈夫、誰も貴女を責めてないから、だから、落ち着いて?」ナデナデ

京子「あやの……あやのお」グスン

京子「わたし、わたし、契約とか、そういうの抜きにして、綾乃の恋人になりたいよっ」ヒック

綾乃「……!」

京子「綾乃の気持ちを踏みにじった私に、そんな資格があるとは思えないけど、けど」ヒック

京子「どうしても抑えられなくて……」グスン

綾乃「歳納京子……」

京子「綾乃、わたし、いっぱい償うから、綾乃にいっぱい償うからっ」

京子「それまでは、自分の気持ち、抑えるから、だからっ」

京子「だから、わたしのこと、嫌わないでっ」グスン

綾乃「……嫌いになんて、ならないわよ」

京子「綾乃?」

綾乃「償いも、お金も、何も要らないわ、ただ……」

京子「ただ……?」

綾乃「ただ、歳納京子が傍にいてくれれば、それでいいの」ギュッ

京子「綾乃……」

綾乃「だから、恋人契約する前みたいに、もう一度告白するわね」

京子「……」ドキドキ

綾乃「歳納京子、私と、恋人になって下さい」

京子「……!」

綾乃「駄目、かしら、やっぱり契約しないといけない?」

京子「そ、そんな事、ない、わたし、わたし、綾乃の恋人になるっ」グスン

京子「お金とかそういうの関係ない、ちゃんとした恋人になるっ」

綾乃「ありがとう、歳納京子……」

京子「綾乃、好き、大好き……」

結衣(京子、どうしたんだろ、昨日は凄く様子が変だった……携帯に電話しても出てくれないし……)

結衣「あ、きょ、京子!」タッタッタッ

京子「綾乃ー♪」

綾乃「歳納京子ー♪」

結衣「……え」

京子「あ、結衣、おはよ」

綾乃「船見さん、おはよ」

結衣「う、うん、おはよう……」

結衣(なんだ、京子、まだ綾乃と恋人契約続けてるじゃん)

結衣(昨日の解約したっていうのは、嘘だったのかな)

綾乃「あ、ごめんなさい、歳納京子、ちょっと先に行っててくれるかしら」

京子「えー、綾乃と離れたくないよ……」

結衣(……何だろ、何時もの恋人ごっこなのに、凄くイライラする)

綾乃「すぐに終わるから、ね?」ナデナデ

京子「えへへ、綾乃の言う事には逆らえないよ///」

綾乃「ん、いい子ね、歳納京子……」チュッ

京子「んっ♪」チュッ

結衣「……!」

結衣(きょ、京子にキスした……京子、約束したのに、キスしないって約束したのに)

綾乃「……船見さん」

結衣「……!」ビクッ

綾乃「私、歳納京子とちゃんと恋人になる事にしたの」

結衣「……は?」

綾乃「歳納京子から、私に告白してくれたの、今までの事はごめんなさい、恋人になりたい……って」

結衣「そ、そんな訳ないだろ!」

結衣「あ、綾乃、騙されてるんだよ!まだ恋人契約は継続中なのを勘違いしてるだけだよ!」

綾乃「……やっぱり、そうなのね」

結衣「え……?」

綾乃「やっぱり、恋人契約の事とか、全部知ってたのね」

結衣「……!」

結衣(し、しまった……)

綾乃「半分くらいは判ってたけど……残りの半分では船見さんを信じたいって気持もあったの」

綾乃「けど、そんな気持ちは無駄だったみたいね……歳納京子に恋人契約の指示を出してたのは、船見さんだったんだもの」

結衣「……」

綾乃「私も、無実かもしれない船見さんを脅迫してお金貰ってたから、同じ穴のむじなだけどね……」

綾乃「けど、そんなややこしいお金の循環も、もうおしまい」

結衣「……」

綾乃「はい、これ、返すわ」スッ

結衣「これ……は?」

綾乃「貴女を脅迫するのに使ってた写真と、お金よ」

結衣「お、お金?」

綾乃「船見さんからもらったお金は、ちゃんと保管してたのよ……返しておくわね」

綾乃「その代わり、もう二度と歳納京子に近づかないで」

結衣「な、何言ってるんだよ、綾乃、京子は私の恋人なんだぞ?本妻なんだぞ?」

結衣「仮に私が近づかなかったとしても、京子は毎日私の部屋に泊りに来るんだ」

綾乃「……船見さん」

結衣「な、なに」

綾乃「歳納京子は、貴女から、一度も好きだって言われた事ないって言ってたわよ」

結衣「……は?そんな訳ないだろ、毎日のようにキスしてたんだから」

綾乃「キスだけじゃ、伝わらないわよ……ちゃんと言葉にしてあげないと」

結衣「そんな事ない、私と京子の間に、言葉なんて不要なんだ!」

綾乃「……そう思って、幼馴染の立場に胡坐をかいてたのね」

結衣「……!」

綾乃「歳納京子が貴女の事を好きだったのは、確かよ」

結衣「あ、当たり前だよ、そんなの」

綾乃「けど、今は私の方が好きなの」

結衣「そんな訳ない!」

綾乃「……可哀そうな人」

結衣「……お、おまえに、私の何が判るんだよ!」

綾乃「ええ、判らないわ、歳納京子の事を悲しませる貴女の気持ちなんて判るはずないわよ」

結衣「きょ、京子が……悲しんでた?」

綾乃「凄く悲しんでたわ、貴女のせいで」

結衣「京子が……京子が、私のせいで……」

綾乃「兎に角、しばらくは歳納京子に近づかないで」

綾乃「近づけば、貴女が傷つくだけよ」

結衣「……そんな、そんな……」

綾乃「……じゃ、歳納京子が待ってるから、わたし、行くわね」

結衣「……」ポカン

結衣(私、私、京子を傷つけてたのかな……)

結衣(電話しても繋がらないし、京子と深く話そうとすると、避けられるし)

結衣(わたし、わたし、どうしたらいいんだろ……)

あかり「結衣ちゃん」

結衣「……あかり」

あかり「探しちゃったよ、結衣ちゃん、屋上にいるとは思わなくって」

結衣「……何の用?」

あかり「京子ちゃんから、頼まれちゃって……結衣ちゃんを助けてあげてほしいって」

結衣「きょ、京子が……?」

あかり「あかり、だいたいの事情は聞いてるよ」

結衣「……あかりも、私の事を責めに来たの?」

あかり「……結衣ちゃん」

結衣「もう、いいよ、私は、一人で生きて行くから……助けて貰わなくても」

あかり「……あのね、結衣ちゃん」

あかり「結衣ちゃんが望む未来を、ちょっと思い浮かべてみて?」

結衣「私が、望む、未来……?」

あかり「うん、本当は結衣ちゃんがどうしたかったか」

結衣「私が、望んでた事……それは……」


京子が笑っていて

私は京子の事が好きだけど、それを上手く表現できなくて

綾乃も京子の事が好きだけど、不器用で伝えられなくて

けど、綾乃とは仲が悪いわけじゃなくて

ちゃんとしたライバルの関係で

三人で仲良く

ずっと仲良く

過ごして行きたかった

結衣「それが……それが、私の、望んだことだったの……」

あかり「それが、結衣ちゃんの望んだ事なんだ……」

結衣「うん……」グスン

あかり「……結衣ちゃん、あのね」

結衣「……なに」

あかり「一度しか言わないから、良く聞いてね」

結衣「うん……」




あかり「その望みは、もう絶対に叶わないよ」



結衣「……え」

あかり「結衣ちゃん、京子ちゃんを傷つけたんでしょ?」

あかり「あかり、京子ちゃんを傷つける人、絶対許せないから」

あかり「結衣ちゃんがもし京子ちゃんに許しをこうたとしても、あかりが邪魔するよ」

あかり「だから、結衣ちゃんが幸せな未来を得る事は、絶対にないの」

結衣「はは、あはははは……」

結衣「こ、こんなの、夢だよ、夢に決まってる」

結衣「こんな事、起こるはずない」

結衣「きっと眼をさませば、京子が隣に寝てて」

結衣「朝だよって起こしてあげて、一緒に朝ご飯を食べて」

結衣「登校して、綾乃と朝の挨拶をして、そういう日常が……戻ってくるはずだよ」

あかり「うん、そうだよ、結衣ちゃん、これは夢なの」

結衣「あかり……?」

あかり「結衣ちゃんはね、この夢の世界に捕らわれちゃった可哀そうな子なの」

あかり「あかりは、結衣ちゃんを迎えに来たの」

結衣「そ、そうなの?」

あかり「うん……ごめんね、結衣ちゃんがこの夢に固執してたら目覚めさせることが出来ないから、酷い事言っちゃった」

結衣「あ、あかり……あ、あはは、そうだよね、あかりがあんな事、言うはずないし」

結衣「京子や綾乃が私を嫌うはずないよね」

結衣「あはははは」

あかり「そうだよ、結衣ちゃん、眼をさませば京子ちゃん達が待ててくれるから」

あかり「早く、眼を覚まそう?」

結衣「うん、早く、眼をさましたい、どうすればいいの、あかり」

あかり「簡単だよ、結衣ちゃん、ほら、あの夕陽を見て?」

結衣「うん、綺麗な夕日だね」

あかり「ここから、あの夕陽に向けて、ジャンプすれば、それでいいんだよ」

結衣「そっか、そんな簡単な事で、この嫌な夢から目覚める事ができるのか……」

あかり「うん、結衣ちゃん、頑張って」

結衣「あかり、ありがとうね……」

結衣「私、このままだったら、この夢の世界で絶望しながら暮らすことになる所だった」

あかり「あかりは京子ちゃんからたのまれて結衣ちゃんを助けに来たんだから、当然の事だよ」

結衣「ん、早く、京子に会いたいな……」

あかり「結衣ちゃんは、本当に京子ちゃんが好きだよね」クスクス

結衣「うん、大好き、愛してるよ、京子を」

あかり「そっか」

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        ヽ/:/´::::::/:i::::l::::::::l ヽ::ヽ:::ハ::::l'ノ//
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        ヘ::l;::ノ  ///  、         ,l     ./:::/::l
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---‐‐‐‐ ´   ,,..==、`、ゝ、,    `ゝ‐--- '´  , ィ'´/´:i,::/ l,/   .l、
         l、_l_ i二二二,`ゝ- , ,,,,,,,...  ィ.''´,、::::ノ.l:/  ’  -〈,`〉-
    ,.........,_  ,___`ニi/////l lllllllll|||-!    ./l|||||lllllliiiiiiiiiiiiiiii;;;,,     'l'
,アィチ.´l .l///‐ l´V l//////l .llllllllllllll    ,illlllllllllllllllllllllllllllllll!ヽ

     l l/////l .l .l/////,l .llllllllllllllll    ,illlllllllllllllllllllllllllll!"  ヽ
.     l l////ィ-i‐.、.__///l .llllllllllllllllill|||lliiilllllllllllllllllllllllllll!"/  ヽ
.     !=/´/´i-ヽヽ、`ヽ,llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!゙/    l'

      ,//ィ‐l.、`、 \ .lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll!゙/     ./
      l ´ ==ヘヘ     l ゙'!llllllllllllllllllllllllllllll!!゙' /ィ´     〈
      l   i-、l     l、  ゙゙'!!lllllllllll!!゙゙    l´_________.   i
      (ヽ   'l !、    ィ!ヽ  r' ̄、I     lllll|||||||||||||||lllliil

結衣「あー……夢の中とは言え、屋上は高いなあ」

あかり「平気だよ、所詮夢だし」

結衣「そうだよな」

結衣「じゃ、あかり、私は帰るけど、あかりはどうするの?」

あかり「あかりはもう少し、ここに居るよ」

結衣「そっか……あかりも、早く帰ってくるんだぞ?」

結衣「あかりがいないと、京子が悲しむからな」

あかり「うん……」

結衣「……じゃ、そろそろ行くよ、あかり」


スッ


あかり「さよなら、結衣ちゃん」

結衣(『さよなら』じゃなくて『またね』だろ、あかり)

結衣(本当にあかりはおっちょこちょいだなあ)


ヒューーーッ






グシャッ

結衣(あ、れ、何だろ、身体が凄く熱いや)

結衣(これで、本当に夢から眼を覚ませるのかな)

結衣(あかり、どうなの?)

結衣(……あ、あかりが屋上から、こっちを見降ろしてる)

結衣(……いや、あれ本当にあかりか?)

結衣(あんな笑い方してるあかり、今まで見た事もない……)

結衣(あ……意識が遠くなってきた……)

結衣(もうすぐ、眼が覚めるんだ……)

結衣(待っててね、京子……)

結衣(眼が覚めたら、告白、するから……)

結衣(ずっと、好きでしたって……)

結衣(京子……)

………

……





あははははははははははは


あははははははははははははははははははははははは


あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは






あかり「夢な訳ないじゃない」



あかり「杉浦先輩……」

綾乃「あ、赤座さん……」

あかり「京子ちゃんは……?」

綾乃「ショックで、寝てるわ……私だけでも、船見さんのお葬式に出席しようかなって……」

あかり「駄目ですよ、杉浦先輩、今の京子ちゃんを支えてあげられるのは、杉浦先輩だけなんですし……」

綾乃「赤座さん……」

あかり「ここは、あかりに任せて、お願いします、京子ちゃんの傍にいてあげてください……」

綾乃「ごめんなさい、赤座さん、貴女も辛いでしょうに……」

あかり「あかりは、平気です」ニコ

綾乃「……じゃ、私は、歳納京子の傍に居るわ」

あかり「はい……京子ちゃんを傷付けないであげてくださいね」

綾乃「ええ、当たり前よ」

あかり「もし傷つけたら……」

綾乃「え?」

あかり「なんでもありません」ニコ

杉浦先輩がいれば、きっと京子ちゃんは立ちなおるだろう

もし、杉浦先輩に無理なら、先輩の代わりを探さないといけない


大丈夫だよ、京子ちゃん


絶対に、京子ちゃんには幸せになって貰うから


絶対に



京子ちゃんも結衣ちゃんも綾乃ちゃんもだいしゅき!

邪推じゃないよ

首を吊る事って不幸とは言い切れないよね

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