櫻子「初詣と私と向日葵」(116)


――大室家・元旦――

櫻子「ふあぁ……おはよぉあけおめー」

撫子「おはよう」

花子「だし」

櫻子「……『今年もよろしくー』とか、そういう返事はないのか」

撫子「昨晩日付変わった後にもう言ったし、そもそも櫻子によろしくしてもらうこともないしね」

花子「むしろ櫻子が土下座しながらお願いすべきだし」

撫子「今も元旦だからって寝ぼすけすぎだよ」

花子「いくら年が明ける瞬間まで起きてたからって……」

撫子「それにしても小学生の妹だって同じなのに……花子はちゃんと起きたもんね」

花子「だし!」

櫻子「………………なんで新年早々こんな滅多打ちされてんだよ……」


櫻子「それはそうとねーちゃん」

撫子「……なに」

櫻子「ん」ズイッ

撫子「……なにその手は」

櫻子「お年玉くれ」

撫子「死ね」

櫻子「……ねーちゃんもオブラートというものを学んだほうがいい」


櫻子「まった、く……ん?」

撫子「はい花子、お年玉」

花子「へ!? く、くれるの……!? ありがとうだし……」テレテレ

撫子「ごめんね、少ないけど」

花子「そ、そんな! 気持ちだけでもうれしいし!」

櫻子「……」

撫子「なに櫻子、そんな見つめてきても何も出ないよ」

櫻子「……なんで、わざわざ私が起きてきてから花子にあげた?」

撫子「……さぁね?」


花子「えへへー……」

櫻子「そういえば花子もねーちゃんも今日はずっと家にいるの?」

撫子「たぶんね」

花子「櫻子は、どっかいくの?」

櫻子「あー、うん。向日葵に初詣行こうって誘われた」

撫子「らしいね」

花子「あれ、さっき、撫子お姉ちゃん、ひま子お姉ちゃんのとこに……」

撫子「ん。 それで、櫻子はそのまま行くの?」


櫻子「ん? なにが?」

撫子「その格好。近所のコンビニに買い物にいくんじゃないんだから」

櫻子「あー……着物とか? あるんだっけ?」

撫子「あるよ」

櫻子「でもめんどいなぁ……そもそも着れないし」

撫子「私着付けできるよ」

花子「すごい」

櫻子「……でもいいや! 別に向日葵だし、ちょっと行って帰ってくるだけだし!」

撫子「そう。 ……ひま子も不憫な子だね」


櫻子「? よくわかんないけど……そろそろ行くかなー」

花子「ほんと適当だし……」

撫子「……迷子になるんじゃないよ」

櫻子「はぁ!? んなわけねーし!」

撫子「はいはいフラグフラグ」

櫻子「はぐれるんだったら向日葵のほうだし!」

花子「……二人だけで行ったらどっちがはぐれたかわかんないし」

櫻子「あーあー! せっかく花子にお年玉あげようとしたのになー!」

撫子「……嘘はよくないよ」

櫻子「……すんませんでした」

花子「わかってるから別にいいし……」


櫻子「じゃ、いってきまーす」

撫子「遅くなるなら連絡しなよ」

櫻子「ん」
ガチャ

花子「……花子も着たいな」

撫子「着物?」

花子「へ!? く、口に出てた!?」

撫子「ばっちりね」


花子「……うん」

撫子「……たしか花子でも着れる大きさのが押入れにあったはず」

花子「ほ、ほんと?」

撫子「お下がりだけど、いい?」

花子「うん!」

撫子「じゃあ探しておくから明日それ着て私らも初詣いこうか」

花子「うん!!」


撫子「……ほんともう、せっかく櫻子にぴったりの、ひま子と合う柄の着物があるのに……」



櫻子「さぁ~って」テクテク

櫻子「お~い! 向日葵~~! きたぞーー!」

櫻子「……」

櫻子「勝手に入るぞ~っと」ガチャ

櫻子「あれー、集合時間あってるよな……ん?」

テトテト
楓「えっと、あけましておめでとうなの、櫻子お姉ちゃん」

櫻子「おー、楓。あけましておめ今年もよろしくー」

楓「よろしくなの! それで、お姉ちゃんなんだけど、奥にいるの」

櫻子「んー? そっかー……早く来いよなー」ブツブツ

楓「えへへ……」


櫻子「どした? 楓」

楓「ううん、きっとお姉ちゃんを見たらびっくりするの!」

櫻子「……? アフロヘアーにでもしたのか?」

楓「お姉ちゃんもそろそろ準備できてるとおもうの!」

櫻子「んー? まだ準備してなかったのかー……どんだけ時間かけてるんだよ……」ブツブツ

楓「えへへへ……」


ガチャ
櫻子「おーい向日葵、はや、く、し……?」

向日葵「やっぱりこれ少し苦し……あ、楓! かんざし、こんな感じでいいかし、ら……って」

楓「ばっちり似合ってるの!」

櫻子「ぁ……」

向日葵「ささ、櫻子!? どうしてここに!?」

櫻子「着物……向日葵の……」

楓「えへへ……櫻子お姉ちゃん、やっぱりびっくりしてるの!」

櫻子「―――へ? な、なな、そんなことねーし!」


楓「お姉ちゃんも、約束したんだから櫻子お姉ちゃんが来るのは当たり前なの!」

向日葵「そ、それはそうですけど……」

楓「それに一緒に行くんだからどうせ後で見られるの!」

向日葵「う、うぅ、かといって心の準備というものも……」

櫻子「……」ウズウズ

向日葵「……なんですの櫻子、無言でこっちを見て……」

櫻子「着物、帯……―――へ? べべ、別になんでもねーし!」

楓「櫻子お姉ちゃんテンパって反応がワンパターンなの!」

櫻子「わたしだって、自重するし……」

向日葵「?」


楓「そんなことより、お姉ちゃん感想まってるの!」

櫻子「は?」

向日葵「かか、楓ぇ!?」

櫻子「……えっと」

向日葵「櫻子も! 別に、これはただの気まぐれですわ……!」

櫻子「えっと……」

向日葵「ま、まぁでも? 確かに滅多にないことですし、何か言いたいことでもあるのなら……」

櫻子「それさ、向日葵……」

向日葵「は、はい……」ドキドキ



櫻子「どうやって着たの?」

向日葵「…………はい?」

楓「はぁ……」


向日葵「じゃあ楓、遅くならないうちに帰ってきますから」

楓「ごゆっくりなの!」

櫻子「下駄……歩きにくくない?」

向日葵「……和装にブーツやスニーカーは合わないですわ」

櫻子「ま、そだけどねー」

櫻子「……」テクテク

向日葵「……」カラン、コロン

櫻子「……いいじゃん、それ」

向日葵「へ?」

櫻子「だーかーらー、……まぁいいや」

向日葵「はぁ……?」

櫻子「向日葵、そんなの持ってたんだ」


向日葵「……どれのことですの?」

櫻子「その……着物とか」

向日葵「あぁ……違いますわよ」

櫻子「?」

向日葵「かんざしとか巾着とか、下駄とか……小物はうちにあったものですけれど」

櫻子「ほぉ?」

向日葵「帯も、着物も……借り物ですわ。撫子さんのね?」

櫻子「ねーちゃんの? ……そういえば確かいくつか持ってたかも」

向日葵「なにか日舞とか、習い事やってらしたのでしたっけ」

櫻子「えぇとたしか……土下舞」

向日葵「……どげぶ?」

櫻子「……あぁ、神社まだ着かないなぁ」

向日葵「……えぇ、まだ神社、着きませんわね」


櫻子「ま、……のんびり行くかね」

向日葵「……」

向日葵(そういえば、いつもより歩くのがゆっくりなような?)

向日葵(……まさか、私が下駄なことを気遣って?)

向日葵「……」

向日葵「まさか、ね……」

櫻子「ふんふ~ん」


――七森神社――

櫻子「うわ、すげぇ人……」

向日葵「来る途中もちらほらと人が見えましたけど……まさかこれほどとは」

櫻子「どうする?」

向日葵「まぁ来た以上……でもこれだとはぐれたら危ないですわね」

櫻子「んんー、人が多すぎて先がわからない……!」ピョンピョン

向日葵「そうですわね、まして知人と遭遇とか全くなさそう……」

櫻子「あ」

京子「お~~~! おっぱいちゃんにちっぱいちゃん!」

向日葵「」

結衣「オイコラ」ペチン

京子「いったぁ~……正月から殴るなよなぁ、結衣ぃ~」

結衣「京子が正月から変なこと言うからだろ?」


京子「へへっ、わかってるって、それも結衣にゃんの愛なんだろ?」

結衣「はいはい、お前は急に何を言ってるんだか」

京子「……ぶーぶー」

あかり「えへへ、明けましておめでとうだよぉ、櫻子ちゃん、向日葵ちゃん~」

向日葵「あ、赤座さんがた……、明けましておめでとうですわ」

櫻子「今年もよろしくぅ! ごらく部はみんなで初詣?」

あかり「だよぉ~!」

ちなつ「結衣先輩の愛、わたしにも……!!」ギギギ

向日葵「吉川さん……?」

京子「ちなっちゃ~ん! 私の愛ならいくらでも~!」

結衣「オイ! ごめんね古谷さん、大室さん、新年から騒がしくて」

櫻子「大丈夫ですよ! 元気が一番ですから!」

向日葵「えぇ、それに、櫻子も十分うるさい子ですから」

櫻子「なんだとー!?」


あかり「二人とも、ほんと仲良しさんだねぇ……きゃっ」ドンッ

向日葵「赤座さん、大丈夫ですの!? ……やっぱり少し人が多いですわね」

あかり「えへへ、大丈夫だよぉ……こんなに人が居たら、ちょっとくらいぶつかっても仕方ないもんね」

結衣「そうなんだよね……私たちもはぐれかねないし、どうしようかと」

京子「ふっふっふ~、ここでみんなの京子ちゃんが素敵な解決案を!」

結衣「……一応聞こうか」

京子「穴場神社! 行こうぜぇ!!」グッ



あかり「京子ちゃん、こっちの道でいいの?」

ちなつ「確かに人気は少なくなってきてますけど……」

京子「だぁいじょうぶだって! すぐ着くよ! …………たしか」

結衣「適当だな……二人とも、こっちの神社でよかったの?」

櫻子「もっちろんです!」

結衣「穴場って、それはそれでご利益とかあるのかな……」

ちなつ「わたしは結衣先輩にどこまでもついていきます!!」


結衣「あはは……あ、古谷さんも、まだ歩くみたいだけど大丈夫?」

向日葵「えぇ、お気遣いいただきありがとうございますわ」

櫻子「むっ……」

あかり「向日葵ちゃん、着物姿かわいいね!」

向日葵「そ、そんな……」

ちなつ「わたしたちはみんな私服だしね……あぁ、結衣先輩の振り袖姿、見てみたかったですぅ~!」

結衣「一人じゃなかなか着付けも出来ないからね……古谷さんはそれ自分でやったの?」

向日葵「それができればよいのですが……知り合いの方に着付けていただきましたわ」

櫻子「うちのねーちゃんね」


向日葵「……なんで素っ気ないんですの」

櫻子「べっつにー? ふーんだ」

あかり「ほ、ほら、お正月なんだし仲良く……ねっ、そうだよね結衣ちゃん!」

結衣「そっか、それでその柄……いや、古谷さんのでも面白かったけど」

あかり「あれぇ結衣ちゃん!? あかりの話聞いてなかった!?」

結衣「……え? あ、ごめん、なにかな? あかり」

あかり「大したことじゃないからいいけど……」

櫻子「お正月から喧嘩? だめだよあかりちゃん!」

あかり「んん!? あっれぇ、なんであかりがたしなめられてるのかなぁ!?」

ちなつ「ゆ、結衣先輩が向日葵ちゃんとあかりちゃんに盗られちゃう……!」

京子「ほらー、ちなつちゃーん、もっとこっちおいでよ~」

ちなつ「あぁんもう! 京子先輩さっきからくっつきすぎですよぉ!」

櫻子「うむ! やっぱり元気が一番!」

向日葵「カオスすぎますわ……」



結衣「ちらほらと参拝客らしき人が増えてきたね」

あかり「みんな初詣だね~」

ちなつ「でも七森神社よりも人が少なそうでいいですね!」

京子「だっろ~? ほいでもってこの道を曲がると……!」

向日葵「……あら、こんなところに……」

櫻子「知らなかったです!」

京子「じゃっじゃ~ん!」


――八森神社――

京子「着っいた~!!」クルクル

結衣「はしゃぎすぎだろ……でも着いてよかった」

ちなつ「ですね! 京子先輩のことだから道に迷うとか……」

あかり「あはは、……でも京子ちゃん記憶力いいし、心配することないよぉ」

京子「あかり……! よし、撫でてやろう! ワンと鳴け!」

結衣「なんで上から目線なんだよ……」

あかり「わん!」

結衣「やんのかよ!」

京子「よーしよし!」ナデナデ

あかり「えへへへ……」テレテレ

結衣「めっちゃ喜んでるし!? あぁもういいよ!」


向日葵「……」

櫻子「……おい向日葵」

向日葵「……なんですの」

櫻子「ワンと鳴けぇ!」

向日葵「やりませんわよ!」

向日葵(……はっ! つい否定してしまいましたけど、撫でてもらえ……)


ちなつ「まったく、京子先輩、まわりに他の人もいるんですし、もう少し静かにですね……」

京子「え~、叫んでるのは主に結衣だよ~?」

ちなつ「結衣先輩はいいんです! それに、叫ばせる原因を作ったのは京子先輩なんだから、やっぱり元凶は京子先輩です!」

京子「えぇ~」ブーブー

向日葵「……すー、はー」

結衣「いや、ちなつちゃん、やっぱり悪いのは……」

向日葵「ね、ねぇ、櫻子……そ、その、わ……」

京子「まったく結衣ったら、まわりに迷惑……おんや? あれは……」

向日葵「わ、わ……」

櫻子「ん? 向日葵? どしたの?」


京子「んんんー……やっぱり! おぉ~い! あっやのー!!」

向日葵「ふぅ……。 ……わ―――」

櫻子「あ! ほんとだ! 杉浦せんぱーーい!」

向日葵「―――ん」ガクッ

ちなつ「へ!?」

あかり「ひ、向日葵ちゃん!? 急に崩れ落ちて大丈夫!?」

結衣「着物、汚れちゃうよ!? そんな綺麗な―――」


綾乃「と、とと、としのーきょーこ!? あ、あなた、どうしてここに!?」

京子「えー? 初詣だよー? それはそうとはぴにゅいや!」

千歳「明けましておめでとさんやで~。 ……それにしても、えろう大所帯やな~」

櫻子「明けましておめでとうございます、杉浦先輩、池田先輩! 私と向日葵は、途中で合流したんですよ!」

綾乃「あら、そうだったのね」

京子「おー……綾乃も着物組かー……すっげー似合ってんじゃん!」グッ

綾乃「べべ、べつにとしのーきょーこに褒めてもらいたくて着たわけじゃないわよ!」

千歳「そないなこと言って~、綾乃ちゃん、歳納さんにばったり遭遇できないかそわそわしとったくせに~」

綾乃「そそそそ、そんなことないわよーー!!」

京子「だよねー!」

綾乃「!?」

京子「やっぱりみんな一緒のほうが楽しいもんな!」

綾乃「あ、あはは……そうよね…………はぁ」





<あけおめー!




結衣「千歳たちも、こっち来てたんだ」

綾乃「最初は七森神社に行ったんだけど、あまりの人で……」

千歳「あの人混みじゃ偶然会うだなんて期待でけへんもんな~」

綾乃「だから違うわよ! ……そういえば、古谷さんだけなのね」

千歳「? あぁ、着とるもん? ウチもお婆ちゃんに言えばやってもらえたかもしれんけど」

あかり「せっかくだからやってもらえばよかったですのに!」

千歳「なにかあるわけでもないしな~……綾乃ちゃんと違って」

綾乃「いつまで引っ張るのよ!?」

千歳「うふふ……せやな、綾乃ちゃんが素直になるまで、やな」ボソ

綾乃「!?」ボッ

京子「?」


綾乃「こほん、千歳はともかく、素敵な着物ね」

向日葵「あ、ありがとうございます。 その、杉浦先輩もとてもお似合いで、素敵ですわ」

綾乃「ありがとう。 ……それにしても、あなたたち、ほんと仲がいいわね」

向日葵「へ?」

櫻子「ん?」

結衣「ふふ」

向日葵「……ど、どういうことですか?」

綾乃「あら? 違ったの? ……その着物の柄、きれいな桜の花だから、てっきり」

櫻子「?」

向日葵「へ? ……あ」

あかり「あ」

ちなつ「あー」

櫻子「……………………あ!?」


向日葵「そ、そんなことありませんわ! そもそも、これは、この着物は借り物でして……!」

綾乃「あ、あら、そうだったのね」

櫻子「ぐ、ぐぬぬ……!」

向日葵「……ちょっと櫻子? 脱げと言われてもここじゃそんなことできませんからね?」

櫻子「わかってらい……!」

向日葵「あら、珍しいですわね」

櫻子「お正月だもん。 一年のケーは元旦にあり、だからね」

向日葵「櫻子……」

千歳「これで大室さんがひまわり柄の着物だったら最高やったんけどな~」

櫻子「着ませんから!」


あかり「そっかー、そういうことかぁ」

ちなつ「結衣先輩、よくこまかいところまで見てましたね!」

結衣「いや、私はみんな気付いていなかったことが不思議だよ……本人含め」

京子「だねー」

結衣「……京子はこういうところ目ざといよな」

京子「スーパーオブザーバーだからね!」

結衣「わけわかんねぇよ」


京子「それはさておき、綾乃たちも一緒に初詣行こうぜ!」

綾乃「一緒!? べ、別にどうしてもって言うなら、その、一緒に、行って、あげても……」

千歳「もう神社に着いとるけどな~」

京子「こまかい事はきにしなーい!」

あかり「わぁい! あかり、こんな大勢で来たの初めて!」

ちなつ「私はふたりっきりの方が……」

結衣「こんな全員でだなんて珍しいし、いいね」

ちなつ「ですよね!」

京子「クリスマスの時も、ペアで個別だったしねー」

   あかり「プールの時は、あかりが……」ボソッ

櫻子「あー、向日葵なんかと一緒になったあの時かー」

向日葵「ちょっとどういうことですの!? 私だって櫻子以外だったら誰でもよかったのによりによって……」

千歳「なぁ古谷さん? それはさすがに言い過ぎやで」

櫻子「……」


向日葵「へ? い、池田先輩? ……そうですわね、少し口が過ぎましたわ……」

千歳「そうそう、素直が一番やで! ほんに天の邪鬼さんが多くて大変やわ~」

向日葵「えぇ。それに、一年の『ケー』は元旦にあり、ですものね」

櫻子「……ちょっと、パクんないでよ」

向日葵「パクる、って……ことわざを独り占めでもする気ですの?」

櫻子「ふーんだ! 私が使ったばっかのものを使うなって言ってんの!」

向日葵「引用なのですから、直近のものを使っても何もおかしくないでしょう」

櫻子「うるさーい! いいから使った同じ日に同じ物を使うな! パクり禁止!」

向日葵「……なんですの一体」


綾乃「舌の根も乾かないうちに二人とも……」

あかり「えへへ、杉浦先輩が素直になったところも見たことないですよ!」

綾乃「!?」

京子「ほらみんなー、はやく再開しよーよー」

ちなつ「京子先輩がまともなことを言うのも、すごく珍しいですよね!」

京子「!? ……うぅ、ちなつちゃんがいじめる……」

ちなつ「ちょ、きょ、京子先輩!?」

京子「…………でも、いじめられるのも」

ちなつ「……京子先輩?」

京子「カイカンかも~~~! ちなっちゅーーーん!」

ちなつ「きゃーーー! だ、誰か助けてくださーーい!」

結衣「ちょっとみんな……」

綾乃「ちょっととしのーきょーこ!」


結衣「綾乃……! そうだよ、綾乃の言うとおり」

綾乃「吉川さんも! 私とかわりなさい!」

結衣「綾乃!?」

千歳「そうや、素直とは、そういうことやで綾乃ちゃん……!」ダバー

結衣「千歳まで!? 変なこと言ってないで止めようよ!」

櫻子「向日葵のせいだ!」

向日葵「だから何がですの!」

あかり「えへへ、初詣初詣♪」

結衣「みんな……まとまりがねぇーー!!」

京子「じゃあ賽銭箱までダッシュだ!」

櫻子「向日葵には負けないもんねー!」

向日葵「こちらは下駄ですのよ!? 勝負なんかしませんわ!」

結衣「まとまるつもりがねぇーーー!!!」


――大室家――

花子「ふたりとももう神社着いてるころかな……」

撫子「よっ、と……七森はきっとすごい混んでるからね、どうだろう」

花子「あ、撫子お姉ちゃん。 ……もしかして、それ」

撫子「ん、探してきた。 あったよ、花子が着れそうなの」

花子「あ、ありがと……だし」

撫子「で、柄がいくつかあったんだけど……」

花子「わぁ、どれもきれいだし……あれ、これ」

撫子「そう、ひまわり柄もあるの……ほんとあいつ、これ着ればよかったのに」

花子「ふーん……?」

   ピンポーン
   楓「おじゃまします、なのー……」

花子「!」


撫子「おや、楓」

ガチャ
楓「えへへ……明けましておめでとうございます!」ペコリ

花子「お、おめでとう、だし……」テレテレ

撫子「おめでとう。楓はしっかり者でえらいね」

楓「えへへ! ……あれ、そのお着物……」

撫子「素敵でしょ」

楓「なの! ……でも、せっかくだから、櫻子お姉ちゃんが着たら」

撫子「うむ」

楓「すごくお似合いでぴったりなの……」

花子「んー?」

撫子「あいつ私服でいったからね」

楓「せっかくお姉ちゃんは桜のお花がいっぱいのきれいなお着物だったのに!」

花子「……あー、そういうこと」




「えっと、先にお辞儀するんだっけ……?」

「あかりちゃんあかりちゃん、さっきあっちの看板にやりかた書いてあったよ」

「やっぱりお賽銭はご縁がありますように、で5円やな~」

「へっへー、そんなこともあろうかと家で5円玉かき集めてきた!」ジャラジャラ

「どんだけあんだよ!」

「そ、それだけのご縁があれば私もとしのーきょーこと……」

「それー! いっぱい鳴らしちゃえー!」ガランゴロン

「ちょっと! それ……鈴緒は大切で神聖なものですわよ!」



楓「えへへ! お姉ちゃん、とってもきれいだったの!」

花子「か、楓も、その、着てみたり、する……?」

楓「?」

撫子「……まぁ、楓サイズのも、あったような……」

楓「わーい! あ、でも、苦しいのはきらいなの……」

花子「?」

楓「お姉ちゃん、お胸のところ、苦しそうにしてたの……」

花子「……ひま子お姉ちゃんのも、撫子お姉ちゃんが着付けたんだよね?」

撫子「…………和服は寸胴な体形の方が似合うからね」

花子「……」

撫子「いや、腹にタオルでも入れるってのもあるけど、ひま子の場合すごいおデブさんになるし」

撫子「…………だから別に個人的感情とかまったくないからね、うん」

楓「撫子お姉ちゃん、すっごい活き活きしながらお姉ちゃんに着せてたの……」

花子「……」ジー...


撫子「てへ」

花子「わからなくもないけど、やりすぎだと思うし……」

撫子「そういえばもう神社着いてるかな」

花子「……さっきは『どうだろう』とか言ってたし」

楓「お参り、楓もいってみたいの!」

花子「! な、撫子お姉ちゃん!」

撫子「はいはい。 ……じゃ、明日楓も一緒に行こうか、私らと」

楓「いいの!?」パァー

撫子「ん。私らも行くつもりだったし」

楓「えへへ……! じゃあじゃあ、今のうちにお願い事かんがえておくの!」

花子「は、花子のお願いは……」

撫子「お参りって、そんな俗物的なものじゃないけど……ま、いいか」



撫子「そういえばあいつらは、なんてお祈りするのかね……」




ガランゴロン

パン! パン!





(えっと……えへへ、このままみんな一緒にいられますように……!)

(神社……シュライン……中々いいダジャレが浮かばないわね……ってそうじゃなくって!)

(   【規制されました】   )

(こういうのって何を思い浮かべればいいかよくわかんないんだよなー)

(……ラムレーズン、まだウチにあったよな……)

(あ~、頭の中の妄想を映像化する装置が早く開発されるとええな~)







(――――――)



(――――――)





京子「なぁなぁ! なにお祈りしたんだー!?」

綾乃「べ、べつになんでもいいでしょー!?」

京子「ちぇっ、つれないなぁ、綾乃は」

綾乃「そ、そんな、としのーきょーこに言えるわけないじゃない……」ボソッ

京子「んー? なんか言ったー?」

綾乃「な、なんでもないわ! ……はっ」

綾乃(こ、こんなだから、素直じゃないとか言われちゃうのかしら……)

千歳「……」ツンツン

綾乃「そうよね、もっと……って千歳? なに? ま、まさか見抜かれ」

千歳「綾乃ちゃん」

綾乃「はひっ!」

千歳「お祈り……最初に考えることがあれじゃダメやろ? もっとしっかりせな」

綾乃「」


結衣「そういう京子はどうなんだよ」

ちなつ「そうですよー、言いだしっぺの法則です!」

京子「なんも!」

あかり「なんも?」

京子「いやー、なに考えたらいいのかよくわかんなくてさー、だから皆のを聞こうかと」

ちなつ「好きにしたらいいと思いますけど……そういえば七夕のときも変なこと書いてましたよね」

京子「あ、あれは違うんだよ! ……そういえばあかりはまた出番でも願ったのかー?」

あかり「へ!? ち、ちがうよぉ!」

ちなつ「じゃあなぁに? あかりちゃん」

あかり「ちなつちゃんまで!?」


京子「気になるなぁ~」

ちなつ「気になりますなぁ~」

あかり「え、えぇっと、あかりは、その、このままみんな一緒にいられますように、って……」

結衣「あかり……」ジーン

京子「つまり、一人だけ仲間はずれにされるようなことにはならないで、と……」

結衣「オイ!?」

あかり「……………………そ、そんなことないよぉ!」

結衣「!?」

ちなつ「あかりちゃん、クリスマスデートのクジ引きのときも」

京子「時も?」

ちなつ「えぇ、実は自分だけ番号が書いてなかったらって心配してたとか言ってたもんね……」

あかり「ち、ちなつちゃん!? それ内緒だよぉ!」

結衣「あかり……」


結衣「まったく、ていうか別にわざわざ人に話すようなことじゃないだろ……」

結衣「ね?」

櫻子「……」

向日葵「……」

結衣「……あれ?」


…………。

……。


綾乃「それじゃあ皆また学校で。お正月だからってグータラしてたら罰金バッキンガムよ!」

結衣「ぶほぁ!」

京子「お、新年初笑い」

あかり「またねー!」

ちなつ「結衣せんぱ~い、一緒に帰りましょー!」

千歳「ウチも家で千鶴がまっとるからなぁ~」


向日葵「ではみなさん、また今度」

櫻子「ばいばーい!」



櫻子「……で、また向日葵とふたりか」

向日葵「家が隣なんだから仕方ないでしょう」

櫻子「はいはーい」

向日葵「……むしろみなさんとはたまたま合流できただけでしょうに」

櫻子「まぁいいよ。 ……さて、のんびりいくかね」


向日葵「……」

櫻子「……」


向日葵「ねぇ」

櫻子「……なぁに?」


向日葵「櫻子は、何をお祈りしましたの?」

櫻子「へ? え、えーっと……」


向日葵「まぁ櫻子のことですから、寝て過ごしたいとか楽がしたいとか、そんなんでしょうけど」

櫻子「ち、ちがうし! 向日葵がもっと素直になりますように……はっ!?」

向日葵「何を言ってます、の……えっ、ほんとうに何を言ってますの!?」

櫻子「2回言った!? ちがう、嘘! うそだようそうそ!」

向日葵「一体何を……いやほんと何言ってますの!?」

櫻子「3回目!? だーかーらー! うそっこなんだってー!」

向日葵「……はっ、思わず動転してしまいましたわ……」

櫻子「うぅぅぅ……」

向日葵「こんなに驚いたのは、歳納先輩がよくわからない動物の耳をつけてたとき以来ですわ……」

櫻子「………………なんでそこで、違う人の話を出すかなぁ」ボソッ


向日葵「え?」

櫻子「だからなんでもないって!」

向日葵「なんですの……まったく、船見先輩でも見習って、もう少し落ち着きを……あ」

櫻子「あぁ!?」

向日葵「…………そういえば櫻子あなた」

櫻子「……知らない」

向日葵「……続けますわよ、あなた、船見先輩が私が下駄なのを気遣ってくださったとき」

櫻子「ふん」

向日葵「……妬いてました?」

櫻子「…………べ、別に」

向日葵「…………違いますの、そうじゃないんですの」


櫻子「……何がさ」

向日葵「素直に、答えてほしくて」

櫻子「……なんで」

向日葵「もしそうだったなら、謝りたくて」

櫻子「……どうしてさ」

向日葵「櫻子も、もっと素直になるといいのに」

櫻子「……」

向日葵「あなたも……気遣ってくれていたのでしょう?」





向日葵「行くときも、私に合わせてゆっくり歩いてくれた」

向日葵「今だってそう」

向日葵「でも、気付いていながらそれを伝えられなかったのは……」

向日葵「そうですわね、私が素直じゃないからですわ」




櫻子「……」

向日葵「ありがとう、櫻子」

櫻子「ち、ちげーし」

向日葵「顔、赤いですわよ」

櫻子「冬だからだもん!」

向日葵「ふふ、素直じゃないんですから」

櫻子「うぅぅ……あー、もうすぐいえだなー!」ダダッ

向日葵「もう急に走り出して! ……まったく、照れ隠し、ですわね」


櫻子「ついたー! ただいまー!」

向日葵「平然とウチにきますのね……」

櫻子「いいじゃんいいじゃーん。 ……あれ、楓いないの?」

向日葵「あら? ……櫻子の家かしら?」

櫻子「かもねー、ま、そのうち戻ってくるでしょ」

向日葵「じゃあ私、先に着替えちゃいますから」

櫻子「あ……ちょっと待って向日葵」


向日葵「? なんですの? お茶なら自分でお願いしますわ」

櫻子「いやいやそうじゃなくて……さ、その」

向日葵「歯切れ悪いですわね……」

櫻子「ほら、素直になったほうが、いいんでしょ?」

向日葵「へ? あ、あぁ、まぁ……」

櫻子「じゃあさ、私、やりたかったことがあるんだよね」

向日葵「なんですの?」

櫻子「まぁまぁ、まずは向日葵の部屋に行こうか」ホラホラ

向日葵「ちょっと、押さないでもちゃんと行きますわよ!」


櫻子「さて……」

向日葵「まったく、なんですのいったい」

櫻子「あ、向日葵むこう向いて」

向日葵「えっと、こうですの?」

櫻子「そそ、んで、……帯、こうか、こうか」

向日葵「……?」

櫻子「……よし、こんな感じか」

向日葵「はぁ……」

櫻子「それじゃ、言ってほしいセリフがあるんだけど」

向日葵「なんですの」

櫻子「それは……」



櫻子「『あ~れ~、お代官さま~!』」



向日葵「……は?」

櫻子「ほらほら」

向日葵「え、えっと、あ~れ~―――」

櫻子「おらーーーーーー!!!」グイーーッ

向日葵「きゃあぁぁ!!?」クルクルクルクル

櫻子「よいではないかよいではないかー!!」グイグイーッ

向日葵「さ、さくらこおおおおぉおぉぉ!!」グルグルグルグル

櫻子「まわれまわれーーーー……あ、終わっちゃった」

向日葵「あ、あ……」ペタン

櫻子「……やばいこれすっごいたのしい!!」

向日葵「あぁ、ぁ……」ハァハァ


櫻子「やっぱ素直になるっていいね! うん!」

向日葵「はぁ、はぁ……ふぅ」

櫻子「向日葵も楽しかっ……あれ?」

向日葵「ふぅ。 ……ちょっとあなた!」スクッ

櫻子「あ、ちょ、向日葵、そんな勢いよく立ち上がったら……」

向日葵「え?」

......ハラリ

向日葵「!!」

ポヨヨン

櫻子「!!」

向日葵「さ、さらしが……」

櫻子「このぉ…………おっぱい!! 禁止いいぃいぃぃいいぃぃぃ!!!」バッチコーーーン

向日葵「なんでですのおおぉぉぉおぉぉ!!?」



…………。

……。


櫻子「……」ゲザァ...

向日葵「まったく、もう……」

櫻子「……ふへへ」

向日葵「わかってますの!?」

櫻子「す、すんませんでしたー!」ゲザァ!

向日葵「まったく、素直になるって言うからなにかと思ったら……」

櫻子「だってさー、朝からやりたかったんだよー?」

向日葵「はぁ?」

櫻子「それをさ、出かける前にやっちゃさすがに大変かと自重した私! えらい! さすが!」

向日葵「あぁ……!?」

櫻子「ははーっ!」ゲザゲザ!


向日葵「……まぁいいですわ」

向日葵「ほら、行きますわよ」

櫻子「へ? どこに?」

向日葵「あなたの家ですわよ……着物も返しますし、楓も迎えに行かないと」

櫻子「あー、そっかー」

向日葵「気が抜けた反動でいつも以上におぽんちですの……?」

櫻子「ほら、じゃあいこー!」グイッ

向日葵「手を゛っ!? そ、そんな引っ張らなくても」

櫻子「先は長いからね! 早く行かないと!」グイグイ

向日葵「だからお隣ですわ!」


「初詣と櫻子と向日葵」

素直になれない二人

初詣と

素直な二人


初詣によってかわったもの。
祈ったこと。
叶ったこと。


向日葵(……私は、もっと素直になれるかしら)
向日葵(櫻子の願いは、私がもっと素直になること……)
向日葵(私の願いも、ふたりが、もっと素直でいられること……)

向日葵「……」

向日葵(櫻子は、ツンツンしてるけど、自分に素直に生きている子)
向日葵(やっぱり、素直じゃないのは)

向日葵「わたくし、ですわね……」



櫻子「たっだいまー!」


撫子「お帰りふたりとも。はぐれなかった?」

櫻子「ぜーんぜん!」

向日葵「……さきほど、人としての道をはぐれかけてましたわ」

櫻子「そ、そんなことないし!」

花子「ばか櫻子?」

楓「ちょっとくらい人としてアレでも生きていけるの!」

櫻子「おまえら……」

撫子「どうせ、お代官様ごっこがしたいとかわめいてたんでしょ」

櫻子「ぎく」

花子「なにそれ?」

櫻子「な、なんでもない!」

向日葵「それより撫子さん、本当にクリーニングとかいらないんですの……?」

撫子「いいっていいって」


撫子「それより、着物、お揃いにしてあげられなくてごめんねひま子」

向日葵「!?」

櫻子「ね、ねーちゃん!?」

撫子「お、櫻子も気付いたんだ、ひま子の着物の柄」

花子「にやにや、だし」

楓「にやにや、なの!」

櫻子「ぐぬぬ……!」

向日葵「はぁ……その、たまたま先輩方と会って、それで」

撫子「指摘されたわけね。 ……そりゃ他の人が見ればすぐわかるからね」


撫子「でも櫻子ももっとさ、ひま子のこと見てやりな」

櫻子「……なにそれ」

撫子「今日だって、和装が似合うようにとぎゅっと胸を締め付けて1日過ごしたんだよ?」

楓「思いっきり締め付けたのは撫子お姉ちゃんなの!」

撫子「……それはさておき」

撫子「そういう状態になることをわかってて、着物を選んだんだよ」

撫子「そういう状態でも、櫻子と初詣に行こうと思ったんだよ」

撫子「……きれいな姿で、櫻子と一緒に居たいと思ったんだよ」

向日葵「な、撫子さん……?」

櫻子「……」


撫子「櫻子は、神社で何をお祈りしてきたの?」

向日葵「……」

櫻子「……もっと、素直になれますように」

向日葵「櫻子……」

撫子「ん、櫻子にしては上出来」

花子「へぇー……」

撫子「それじゃあ良くできた櫻子さん。 ……ひま子の願いは、ふたりっきりの時に聞きな」


――櫻子の部屋――

向日葵「……お邪魔します」

櫻子「ん」

向日葵「部屋、あまり汚くありませんのね」

櫻子「大掃除してから、あまり日も経ってないしね」

向日葵「これを維持するんですのよ」

櫻子「うるさいなぁ」

向日葵「……」

櫻子「……」


櫻子「その、さ……」

向日葵「……」

櫻子「別に言いたくなかったらいいんだけど」

向日葵「えぇ」

櫻子「向日葵は、あの時、なに考えてたの……?」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……それは」

櫻子「あーやっぱいいや、……ってのは、ダメかな?」

向日葵「ん」コクリ

櫻子「ごめん、じゃあ、続けて」


向日葵「別に、そんな大それたことじゃありませんわ」

向日葵「ただ、もっと、素直になれますように、って……」

櫻子「……なんだ、同じじゃん」

向日葵「えぇ、同じですのよ」


櫻子「まぁ、そうだよね、同じだよ」

向日葵「ですわ。これからも、同じですわ」

櫻子「ん。 いい一年に、なるといいね」

向日葵「お互いに、ですわね」

櫻子「それじゃ改めて」


―――来年は、二人ともねーちゃんに着付けてもらって、きれいな花を目一杯咲かせていくのも、悪くないのかもしれない。
―――そんなことを、思いながら。 素直な思いを、いつか、自然と、伝えられますように。


「「今年もよろしく!」」

――完――




向日葵「でもお代官様ごっこはもうしませんわよ?」

櫻子「えぇー!? 今度は私にもやっていいからさー!」

向日葵「……」ゴクリ

櫻子「!? め、目がマジだーー!!」


終わりでっす
いやー、正月ですねー

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