エレン「アルミンの」 ミカサ「誕生日」(86)

844年・秋

エレン「ミカサに問題。明日は何の日だ?」

ミカサ「…?分からない。明日は11月3日…じゅういちがつみっか…みかんの日?」

エレン「おいおい、何だよそれ。いいか、明日はな…」

ミカサ「うん」

エレン「明日は、アルミンの誕生日なんだよ」

ミカサ「そうなの?」

エレン「ああ。ミカサにとっちゃ初めてだよな」

ミカサ「アルミンは、何をあげたら喜ぶのだろう。本?」

エレン「あいつ、本読むの大好きだもんな。でもさぁ…」

エレン「去年も一昨年もあいつの誕生日には小遣いで買った本をあげてたんだよ。
その度に目をキラキラと輝かせて喜んでくれて…今年も、本をあげたら同じように喜んでくれるだろうな」

ミカサ「なら、今年も本をあげればいい。私も、アルミンの喜んだ顔が見てみたい」

エレン「まあ待てよ、三年連続で本とかありきたりすぎるだろ?
それに、今年はお前もいるんだからもっと派手に祝ってやりたいんだ」

ミカサ「例えば?」

エレン「それを今から考えるんだよ!アルミンの誕生日は明日だし、時間は十分だろ?」

エレン「アルミンに気付かれないようにこっそり準備してさ…あいつの喜ぶ顔が目に浮かぶよ」

ミカサ「ええ。きっととても喜んでくれると思う」

エレン「あとさ、一つ思いついたんだけどよ…」

ミカサ「ん」

エレン「…いや、なんでもねえ」

エレン(これを言ったらまず反対されるだろうからな…)

ミカサ「本当に?エレン、隠し事は良くない」

エレン「な、なんでもねえって言ってるだろ!」

ミカサ「…エレン」ジーッ

エレン「なんだよ…」

ミカサ「耳が赤い」

エレン「……」ガバッ

ミカサ「今更耳を隠しても無駄。エレン、何を隠しているの?」

エレン「べ、別に大したことじゃねえから気にすんなって!んなことよりさっさと準備しようぜ、外行くぞ!」スタスタ

ミカサ「エレン…」スタスタ

―――
――

ミカサ「あ」

エレン「なんだ?」

ミカサ「サザンカが咲いている」

ミカサ「サザンカは、11月3日…アルミンの誕生日の誕生花」

エレン「へえ、詳しいんだな」

ミカサ「昔、母さんに花について沢山のことを教えてもらったから。
私がいた家の周りには、季節ごとに沢山の花が咲いていた。とても綺麗だった」

エレン「…何か悪いこと聞いちまったな」

ミカサ「気にしないで。それよりエレン、サザンカを摘んでいきたいから手伝って」ブチブチ

エレン「アルミンにあげるのか?花なんて枯れちまうだろ」

ミカサ「これも母さんに教えて貰ったのだけれど、押し花と言って、花を乾燥させて保存する技術がある。
アルミンは本を読むのが好きだから、この押し花を作って栞を作ろうと思っている」ブチブチ

ミカサ「あとは、花冠も…」ブチブチ

エレン「栞はともかく、あいつは男なんだから花冠なんて喜ばないと思うぞ」

ミカサ「でも、きっと似合うと思う」ブチブチ

ミカサ「ほら、エレンも手伝って」ブチブチ

エレン「はいはい…」ブチブチ

ミカサ「うん、これぐらいあれば十分」

エレン「一回家に置いてこようぜ、邪魔になりそうだしよ」

ミカサ「ええ」

―――
――

エレン&ミカサ「ただいま」ドサッ

カルラ「おかえり、二人とも。…その花はどうしたんだい?」

ミカサ「明日はアルミンの誕生日だから、押し花と花冠にしてプレゼントしようと思って」

カルラ「そういえば、もうそんな季節だったね。よし、明日はアルミンを家に呼んでおいで。特製のパイを作ってあげるよ」

エレン「本当!?じゃあ母さんとミカサは料理する係で、オレとアルミンは食べる係な!」キラキラ

ミカサ「エレンも手伝うべき」グニー

エレン「いでで!わかったよ、手伝うからほっぺ引っ張るなって!お前力強いんだよ!」

カルラ「こらこら。…ミカサはともかく、エレンには危なっかしくて任せられないよ。
折角の誕生日なんだし、明日は料理は私に任せてアルミンと三人で遊んでな」

ミカサ「ありがとう、おばさん。明日がとても楽しみ」

エレン「だよなぁ!…よし、ミカサ。明日の準備の続きをするぞ!」

ミカサ「ええ」

カルラ「気をつけて行ってくるんだよ!」

―――
――

ミカサ「エレン、どこに行くの?」スタスタ

エレン「アルミンのとこ」スタスタ

ミカサ「アルミンには内緒にしておくんじゃなかったの?」

エレン「ちょっと考えがあるんだよ。いつもはここら辺にいるんだけど…」キョロキョロ

アルミン「…」カリカリ

エレン「お、いたいた。よし、ミカサはちょっとここで待ってろ」

ミカサ「エレン…何をする気なの?」

エレン「まあ見てろって。おーい、アルミーン!」タタッ

アルミン「やあ、エレン。ミカサはどうしたんだい?」

エレン「ちょっと用事があるってあっちの方にいるよ。それよりアルミン、何してるんだ?」

アルミン「数式を書いてたんだ。紙は高いからね、こうやって枝で地面に書いてるんだよ、何回でも書き直せるしね」

エレン「うりゃ!」ゴシゴシ

アルミン「エレン!?何するんだよ、折角書いたのに…」

エレン「アルミンのバカ!アホ!マヌケ!」ベーッ

アルミン「エレン…君がこんなことをするなんて何かあったのかい?」

アルミン「そしてそれはミカサやカルラおばさんにも話せないようなことなの?なら僕でよければ相談に乗るよ」ニコッ

エレン「うっ…」

エレン(流石アルミン…手強いな…でも)

アルミン「…エレン?聞いてる?」

エレン(そういえば、オレって嘘をつくと耳が赤くなる癖があるんだよな、隠しとくか)ガバッ

アルミン「エレン?どうして耳を隠してるの?」

エレン「お、お前の話なんか…き、聞きたくねーんだよ!」クワッ

アルミン「え?」

エレン「これでも食らえ!」デコピン

アルミン「あうっ」ペチン

エレン「どうだ、参ったか」

アルミン「…エレン、流石に今のは痛かったかな…」ジワ

アルミン「…う゛ぅ……」

アルミン「うわぁぁぁぁぁ」ダッ

エレン(やべえ、やり過ぎたかも…そしてあっちはミカサがいる方角…)ダラダラ

アルミン「うわぁぁぁん」ダッ

ミカサ「アルミン!?どうしたの!?」

ミカサ(恐らく聞こえなかったのだろうけど…行ってしまった)シュン

エレン「」スタスタ

ミカサ「エレン…アルミンはどうしたの?」

エレン「…昔読んだ絵本にさ、誕生日の前に冷たく接して当日に盛大に祝って驚かせるって話があったんだよ…」

ミカサ「…それで、エレンはアルミンに何をしたの?」

エレン「…まずあいつが地面に書いてた数式を足で消して、バカとかアホとか言ったんだけど、逆に心配されちまってさ…」

ミカサ「アルミンは頭がいいから…本心でないことなんてすぐ分かる。それに、エレンは嘘をつくと耳が赤くなるから」

エレン「うん、だから耳を隠してさ、お前の話なんて聞きたくねえって言ってデコピンしたら…」ズーン

ミカサ「エレン…それは流石にアルミンが可哀想」

エレン「…明日、誕生日を祝ってから謝ろうと思ってたんだけど、やっぱ今謝るべきか?」

ミカサ「そうしたほうがいいと思う」

エレン「よし、アルミンを探すぞ」

ミカサ「私もついて行く」

―――
――

ハンネス(今日も相変わらず平和だな、まあ変わらない日常が一番なんだけどよ…)

ハンネス「…ん?」

ハンネス(あそこにいるのはアルミンじゃねえか、またいじめられたのか?ちょっくら声でもかけてやるか)スタスタ

アルミン「うぅ…」グスグス

ハンネス「よう、アルミン」

アルミン「…ハンネスさん」

ハンネス「どうした?またいじめられたのか?」

アルミン「…違う」

ハンネス「いつも一緒にいるエレンとミカサはどうしたんだ?」

アルミン「……」

ハンネス「ははは、さては喧嘩しただろ」

アルミン「喧嘩というか…僕、エレンを怒らせたのかも…」

アルミン「思い当たる節はないんだけど…もう少し、エレンの言い分も聞くべきだったのかな…
僕、つい走り去っちゃって…途中、ミカサが声をかけてくれたけど、
ミカサに心配はかけさせたくないから、聞こえないふりをして…最低だ…」ポロポロ

ハンネス「…エレンの奴は、急に冷たくなったのか?」

アルミン「うん…昨日までは普通だったのに、今日になってからいきなり…地面に書いた数式を消されたり、デコピンされたり…」

ハンネス(今日になってから、なあ…そういえば、明日はアルミンの誕生日か。
先週、エレンが言ってたもんな。急に冷たくなったっていうのも明日を盛り上げるためだろうが…
少しやり過ぎたな、エレン…お前の思惑については触れないようにしておくが…)

アルミン「僕が、エレンに何か悪いことをしたのなら謝りたいんだけど、本当に何でエレンが怒ったのか心当たりがないんだ…」

ハンネス「エレンの事情は俺にも分からん。エレン本人にしか分からないだろうよ」

アルミン「うん」

ハンネス「お前とエレンは男同士。これから喧嘩もいっぱいするだろうよ」

アルミン「…うん」

ハンネス「でも、酷い目にあってもエレンのことを気遣えるお前に、
例え相手が何人だろうとお前がいじめられているのを見つけるとすぐに立ち向かったエレン」

ハンネス「こんなにも互いに信頼しあってるんだ、お前らならすぐに仲直りできるさ

アルミン「…もし、仲直りできなかったら?」

ハンネス「大丈夫だって、万一できなかったら俺が仲裁してやるよ」ワシャワシャ

アルミン「か、髪がくしゃくしゃになるからやめてよ、ハンネスさん」

ハンネス「悪い悪い。…少し落ち着いたか?」

アルミン「うん」

ハンネス「泣いて走ってて疲れただろ、ほらこれ食え。酒のつまみの焼き菓子だが、味は悪くないはずだぜ。
疲れた時には甘いものを食うのが一番いいって言うだろ?」グイッ

アルミン「むがっ」

ハンネス「…うまいか?」

アルミン「…おいしい」ニコッ

ハンネス「だろ?エレンにミカサと…三人で食えばもっとうまいだろうな」

ハンネス「ほら、サービスだ。この袋の中身、全部やるよ」

アルミン「いいの?」

ハンネス「ああ。その代わり、ちゃんと三人で分け合って食えよ?」ナデナデ

アルミン「ありがとう、ハンネスさん!」ニコッ

ハンネス「仲直りできたら明日三人で俺のところまで来いよ」ニッ

アルミン「…?分かった。じゃあ僕、エレンとミカサのことを探してくるから。本当にありがとう、ハンネスさん!」ダッ

ハンネス「いいってこった。頑張れよ、アルミン!」フリフリ

―――
――

エレン「アルミン!アルミーン!」

ミカサ「エレン、あっちの方にはいなかった」

エレン「こっちにもいねえ…もう家に帰っちまったのかな」

ミカサ「…」キョロキョロ

ミカサ「…いた」

エレン「どこだ!?」

ミカサ「…あそこ。あの水色の服は間違いなくアルミンの」

エレン「よし、行くぞ!」タタッ

ミカサ「了解」タタッ

とりあえずここまで…前日の話の方が長くなりそうっていう
11月3日中に終わらせたい

―――
――

アルミン(エレンとミカサはどこだろう…あまり遠くには行ってないと思うけど)キョロキョロ

 ドンッ

アルミン「わあっ!すみません、少しよそ見してて…」

悪ガキA「よう、異端者」

悪ガキB「良い物持ってんじゃねーか」ニヤニヤ

悪ガキC「わざわざ俺達のところに持ってきてくれるだなんて良い奴だな」バッ

アルミン「や、やめろよ!」

悪ガキA「やーだね。お前ら、さっさと食っちまおうぜ」ゴソゴソ

悪ガキB「おお、うまそうだな」ジュルリ

アルミン「あ…ああぁ…」

アルミン(このまま…ハンネスさんから貰ったお菓子、全部食べられちゃうのかな…
…いや…今回ばかりはあいつらと同レベルになってもいい。例え奪い返せなくても…抗ってやる!)

アルミン「……」スゥー

悪ガキC「うめえうめえ」ムシャムシャ

アルミン「…返せよっ!」ダッ

悪ガキA「…異端者の癖に生意気だぞ」スッ

アルミン「うわぁ!」ズデン

悪ガキA「足払いに引っかかるなんて情けねえ奴」ニヤニヤ

悪ガキB「おい、覚悟はできてるんだろうな?」ニヤニヤ

悪ガキC「邪魔しやがって、ボコボコにしてやるよ」ニヤニヤ

アルミン「…殴りたければ殴ればいいさ。暴力でしか物事を解決しない君達の方が、僕から見れば異端者だよ」

悪ガキA「…この―!」ブンッ

エレン「やめろーッ!」

悪ガキB「エレンだ!今日こそボコボコにして泣かせてやる!」

ミカサ「…私もいる」

悪ガキC「うわぁ!ミカサだ!」

 ギャーギャー ワーワー

悪ガキ達「」チーン

エレン「ったく…相変わらず卑怯な奴らだ」

ミカサ「…アルミン、大丈夫?怪我はない?一人で立てる?」

アルミン「うん…ありがとう、二人とも」

エレン「…アルミン」

アルミン「エレン」

エレン「……さっきはごめんな…」

アルミン「…いいよ。それより、エレン。本当に何があったの?さっきからずっと気がかりだったんだ」

エレン「そ、それは…明日になったら教えてやるよ」

アルミン「そっか。それじゃあ、明日を楽しみにしておくよ。あと、二人とも…」

アルミン「ハンネスさんから、三人で食べろって焼き菓子を貰ったんだけどさ…
あいつらに殆ど食べられちゃって、二個しか残ってないんだ。だから、エレンとミカサで二人で分けて食べてほしい」

ミカサ「どうして?ハンネスさんの言うように、三人で分け合って食べればいい」

エレン「ああ、ミカサの言うとおりだ。三人で食べようぜ」

アルミン「でも、そうするとエレンとミカサの分が少なくなるし…」

エレン「これはオレの分、これはミカサの分、これはアルミンの分な」スッ

ミカサ「ありがとう、エレン。…アルミン、何も遠慮することはない」

アルミン「じゃ、じゃあ…ありがとう、エレン」

エレン「腹減ったしさっさと食おうぜ。…うめえ!ハンネスさん、良い物食ってるじゃねえか」ムシャムシャ

アルミン「ね。ハンネスさんも言ってたけど、三人だからよりおいしく感じてるんだと思う」

ミカサ「三人寄れば…もっと楽しい」

アルミン「あはは、それを言うなら文殊の知恵だよ。…でも、ミカサの言うとおりだ」ニコッ

―――
――

エレン「ふぅ、うまかったな」

アルミン「うん…二人はこれからどうするの?」

エレン「えっと…オレはこれからちょっと用事があるから今日はここでお別れな!」

ミカサ「私も、エレンと一緒に用事がある」

アルミン「そっか、それじゃあまた明日」

エレン「おう!」

ミカサ「アルミン…今日はありがとう」

アルミン「こちらこそありがとう!またね!」フリフリ


―――
――

エレン「ミカサ、本屋に行こうぜ」スタスタ

ミカサ「今年は本をやめるんじゃなかったの?」スタスタ

エレン「いや、やっぱりありきたりでもいいんだ。好きな物をあげるのが一番だろ」

ミカサ「アルミンは、どんな本をあげたら喜ぶのだろう」

エレン「あいつのことだから、どんな本でも喜ぶと思う。まあ実際に入って見てから決めようぜ」

ミカサ「ええ」

―――
――

エレン「お、この一軒の家が表紙の本とかどうだ?」

ミカサ「どんな内容だろう」

エレン「あらすじがあるな…やんちゃな兄と、口うるさい妹と、臆病な弟が一軒の家から旅立ち広い世界を見る話だってよ」

エレン「この三人兄弟、オレ達みたいだよな。やんちゃな奴はオレで、口うるさい奴はミカサで、臆病な奴はアルミン」

ミカサ「そう?私は口うるさくないし、アルミンも勇気があると思う。それに、エレンが兄で私が妹じゃなくて私が姉でエレンとアルミンが弟の方がしっくりくる」

エレン「いや、オレが兄でいいだろ!」

ミカサ「私のほうが背が高いから私が二人の姉でいい。…話を戻すけれど、私もこの本がいいと思う。挿絵も綺麗だし」

エレン「だよな。…ミカサ、今いくら持ってる?オレはこれぐらいだけど」ジャラジャラ

ミカサ「私はこれぐらい。二人で合わせれば、十分に足りる値段」ジャラジャラ

エレン「じゃあ、これにしとくか」

飯…ので、一旦中断

エレン「よし、そろそろ帰るか」スタスタ

ミカサ「ええ」スタスタ

―――
――

エレン&ミカサ「ただいま」

カルラ「おかえり、二人とも」

ミカサ「カルラおばさん、押し花を作るからナイフを貸して」

カルラ「手を切らないようにして使うんだよ」

ミカサ「大丈夫」

エレン「ナイフなんて何に使うんだよ」

ミカサ「見れば分かる、部屋に行こう」

―――
――

ミカサ「押し花を作る時は散らかるから…この布を敷こう」

エレン「おう」

ミカサ「まずは下準備から」

ミカサ「…」ザクザク

エレン「おい、ミカサ!なんで花を切ってるんだよ!」

ミカサ「サザンカは大きい花だから、一度処理をしないとうまく押し花にできない」

ミカサ「まずは、こうして花びらのうち厚いものを切り落とす。厚いものは、縮んでしまうから」

ミカサ「葉っぱも切るのだけれど…この葉っぱも後で使うから捨てずに置いておこう」

ミカサ「花びらは私がやるから、エレンは葉っぱを取って。葉で手を切らないようにね」

エレン「わかった」ブチブチ

ミカサ「…」ザクザク

エレン「……うわっ!」ビクッ

ミカサ「エレン、どうしたの?指を切ってしまった?」

エレン「…いや、芋虫がいてさ」

ミカサ「殺したら可哀想だから、葉っぱごと外に出してあげよう」

エレン「お、おう…」

ミカサ「3つ。これだけあれば十分」

エレン「次は何をすればいいんだ?」

ミカサ「花びらと葉っぱを千切れないようにこの本の上に置いて」

エレン「任せとけ」

ミカサ「その間に、私は残りの花で冠を作る」

ミカサ「サザンカには茎がないから、根本の部分に穴を開けて糸を通して行く」ブスブス

エレン「それ、大変だろ…手伝おうか?」

ミカサ「大丈夫。…エレン、置き終わったらその上に本を置いて。重いものを載せることで水分が少しずつ抜けて完成するから」

エレン「父さんの部屋から何冊か取ってくるよ」スタスタ

エレン「こんだけありゃ十分だろ」ドサッ

ミカサ「ええ。あとはこのまましばらく置いておけば完成」

ミカサ「そして、花冠も完成した」

エレン「おお、すげえ!赤くて…花なのに、なんかかっこいいな」

ミカサ「これなら、男の子が着けてもあまり恥ずかしくないと思う。…それにしても」

ミカサ「大分、花が余ってしまった」

エレン「カゴいっぱいに採ってきたからな…飾り付けに使うとかどうだ?
昔、父さんが内地から買ってきた綺麗な紐や飾りなんかも使ってさ」

ミカサ「ええ、とても素敵なものになると思う」

エレン「場所はオレ達の部屋でいいな、始めるぞ」

夕方―

エレン「こんなもんでいいだろ」

ミカサ「色とりどりの飾りにサザンカの花…とても綺麗。まるで、花畑にいるみたい」

エレン「あいつの驚いた顔が目に浮かぶよ、なあミカサ」

ミカサ「ええ」

エレン「あとよ、片付けをしてる時にこれを見つけたんだ」スッ

ミカサ「…凄く綺麗な石」

エレン「だろ?ずっと前…オレがアルミンと会う前に拾ったんだけど、
失くしちまって結構探してたんだ。まさか、今日になって出てくるだなんて」

エレン「でさ、この石の色見てみろよ」

ミカサ「黄色。アルミンの髪と同じ」

エレン「だろ?折角だからさ、これも明日アルミンにあげようと思うんだ」

ミカサ「そのままあげるのもなんだし、折角だからペンダントにしよう。
紐で小さな網を作って、中にその石を入れれば完成する」

エレン「ミカサ、それオレにやらせてくれないか?」

ミカサ「構わないけど…作り方は分かる?」

エレン「…分からねえ」

ミカサ「じゃあ私が作り方を教えるから、エレンはそれを聞いて作って」

エレン「おう」

ミカサ「まずはこれぐらいの長さの紐を四本用意して」

エレン「さっきの飾り付けで余った分があるな。…これでいいか?」

ミカサ「ええ。次に紐の中心…ここに平結びを一回」

エレン「平結びってなんだよ」

ミカサ「平結びというのは…」カクカクシカジカ

ミカサ「あとは中に石を入れて、外れないように上を固く結んで…これで完成」

エレン「よっしゃあ!」

ミカサ「大変だったでしょう。エレンはよく頑張った」

エレン「ああ、凄く大変だった。けどよ…どうしてもオレの手で作りたかったんだ」

ミカサ「アルミン、凄く喜んでくれると思う。明日が楽しみ」

エレン「オレもだよ、ミカサ」

ミカサ「…そろそろ夕飯の時間。エレン、行こう」

エレン「あぁ!」

―――
――



エレン「寝る前に、明日のことについて話したいんだけどよ」

ミカサ「うん」

エレン「まず、朝になったらオレ達でアルミンを迎えにいくだろ?」

ミカサ「うん」

エレン「それでアルミンを家の前まで連れてきたら目を瞑らせてさ、この部屋まで歩かせようぜ」

ミカサ「…危なくない?」

エレン「転ばないように、手を繋げば大丈夫だろ」

ミカサ「それはとても名案だと思う」

エレン「だろ?じゃあ明日に備えてそろそろ寝るぞ、おやすみ」

ミカサ「おやすみ、エレン」

―――
――

ジジミン「アルミン」

アルミン「何?」

ジジミン「明日はお前の誕生日じゃのう」

アルミン「すっかり忘れてたよ…」

ジジミン「お前ももう9歳か…時が経つのは早いのう」

ジジミン「顔と性格は母に似て、聡明で本が好きなところは父に似て…立派に育ったものじゃ」

アルミン「…うん、ありがとう」

ジジミン「アルミン、明日何かほしい物やしてほしいことはあるか?」

アルミン「うーん…」

ジジミン「少しは欲張ってもいいんだぞ?」

アルミン「…じゃあ」

アルミン「…爺ちゃんに、長生きしてほしいかな」

ジジミン「……」

ジジミン「アルミンが、一人前になるまでは死ねんよ」

アルミン「うん、約束だよ」ニコ

ジジミン「ああ、約束じゃ」

ジジミン(…見ておるか?アルミンはこんなにもいい子に育ったぞ……)

アルミン「それじゃあ爺ちゃん、もう寝るよ。明日はエレンとミカサが来るらしいから、早めに寝るんだ」

ジジミン「良かったのう。ゆっくり休むんじゃぞ」

アルミン「うん、おやすみ爺ちゃん」

ジジミン「おやすみ」

ジジミン(友達も二人もできて…神様、ありがとうございます。…娘と娘婿が生きておったら、凄く喜んでいたのだろうな…)

とりあえずここまで
前日編なんとか間に合った…明日中に終わるはず

―朝

ミカサ「エレン、起きて」

エレン「ふぁああ…おはよう」

ミカサ「おはよう、エレン」

エレン「さっさと飯食って、アルミンを迎えにいこうぜ」

ミカサ「待って、その前に栞の仕上げをしよう」ゴソゴソ

エレン「すげえ、ペラペラになってるじゃん」

ミカサ「花を厚めの台紙に貼り付けて、その上からこの薄い紙で貼り付ければ完成」ペタッ

エレン「…いいな。ミカサ、よかったら今度オレにも作ってくれよ」

ミカサ「構わないけれど、その代わりに沢山使ってほしい」

エレン「わ、わかったよ!」

―――
――

カルラ「おはよう、二人とも」

エレン&ミカサ「おはよう」

エレン「お、いい匂いがする」スンスン

カルラ「昨日言った通り、パイを焼いているんだよ」

ミカサ「この匂いはりんご?」

カルラ「そう。楽しみにしていてね」

エレン「あぁ!」

ミカサ「エレン、朝ごはんを食べたらアルミンを迎えにいこう」

エレン「そうだな」


ミカサ「ごちそうさま」

エレン「よし、行くか」

ミカサ「ええ」

エレン「母さん、アルミンを迎えに行ってくる」

カルラ「気をつけて行ってくるんだよ」

―――
――

エレン「おーいアルミン!迎えに来たぞ!」

アルミン「じいちゃん!エレン達が来たからいってくるね」

ジジミン「楽しんでくるのじゃぞ」

アルミン「うん、行ってきます」

―――
――

アルミン「ねえ、二人とも」

エレン「どうした?」

アルミン「ハンネスさんのところに寄って行ってもいいかな?昨日来いよって言われたんだ」

ミカサ「ええ、構わない」

エレン「オレもいいぜ」

アルミン「ありがとう、それじゃあ行こう」

―――
――

アルミン「ハンネスさーん!」

ハンネス「よう、来たか」

ミカサ「どうも」

エレン「ハンネスさん、今日もサボりかよ。他の奴らも仕事してないし、まるでサボり兵団じゃねえか」

ハンネス「いざって時にはちゃんと働くから安心しろって。俺達が忙しくないってことは平和の証でもあるんだぞ」

ハンネス「それより、アルミン」ゴソゴソ

アルミン「ん?」

ハンネス「ほら、これ。お前へのプレゼントだ、誕生日おめでとう」

アルミン「僕とエレンとミカサの絵だ、ハンネスさんが描いてくれたの?」

ハンネス「そうだよ、一日で描き上げたんだぜ」

ミカサ「凄い…三人ともそっくり」

エレン「ハンネスさんって、絵が上手だったんだな…」

アルミン「ありがとう、ハンネスさん。僕の部屋に飾るよ」

ハンネス「喜んで貰えたようでよかったぜ、この絵みたいにお前らも仲良くしろよ」ニッ

エレン「当たり前だろ!な、二人とも」

アルミン「うん!」

ミカサ「勿論」コクッ

ハンネス「ははっ、安心だな!そうそう、酒もあるんだが飲んでくか?折角の誕生日なんだしよ」

アルミン「あはは…それはいいかな…」

エレン「ハンネスさん、それ犯罪だぞ!」プクー

ハンネス「一口ぐらいならばれねえって。まあお前らも大人になれば俺の気持ちもよーく分かるだろうよ」ハハハ

ハンネス「それよりお前ら、誕生日パーティーに向かう途中だったんだろ?」

エレン「なんで分かるんだよ」

ハンネス「伊達にお前らのことを見てないからな、何をしようとしてるかなんてお見通しってこった」

ハンネス「ほら、さっさと行ってこい。楽しんでこいよ、主役さん!」バシンバシン

アルミン「痛っ!…うん、楽しんでくるよ!」

エレン「ハンネスさん、オレ達が行った後酒飲むなよ!」

ミカサ「そう、昼からお酒は身体に悪い」

ハンネス「おうよ」

アルミン「ハンネスさん、またね」フリフリ

ハンネス「おう!」


ハンネス(行っちまったか…よし)プシュッ

ハンネス(アルミンの誕生日の記念に、一杯やっとくか)ゴクゴク

―――
――

エレン「よし、着いたぞ」

アルミン「う、うん」

アルミン(なんか、ドキドキするなぁ…)

エレン「アルミン、目瞑ってろ」

アルミン「エレン、目瞑って歩いたら危ないよ…」

エレン「大丈夫だって、オレが手を繋いでやるから」

ミカサ「私も、エレンが繋いでいない方の手を繋ぐ」

エレン「じゃあオレは右手を繋ぐから、ミカサは左手を頼むぞ」ギュッ

ミカサ「分かった」ギュウッ

アルミン「わっ」

アルミン(ミカサの力、強いな…ちょっと痛いかも。
女の子に力強いねなんて言ったら失礼だから言わないけど… でも、ミカサの手、柔らかいなぁ)

エレン「ほら、行くぞ。アルミン、ちゃんと目瞑っとけよ」 スタスタ

アルミン「分かったよ」ギュッ

ミカサ「大丈夫、私もエレンもいるから前が見えなくても転ぶことはないし、転ばせない」スタスタ

エレン「よし、入るぞ」ガラッ

アルミン「…まだ目を開けちゃダメかな?」

ミカサ「もう少しだけ歩いてから」

エレン「よし、着いた。アルミン、目を開けていいぞ」

アルミン「う、うん…」ドキドキ

ミカサ「どう?アルミン」

アルミン「え?えぇ?」

アルミン「…すごい。すごいよ!これ全部、二人で飾りつけたの?」

エレン「そうだよ。昨日、家に帰ってからミカサと頑張ったんだ」

ミカサ「喜んで貰えたようで、凄く嬉しい。…アルミン、これは私から」ポフッ

アルミン「…花の、冠?」

ミカサ「そう。サザンカの花で作った。アルミンは金髪だから、赤がよく似合う」

エレン「だな、似合ってるぜ。あと、作ったのはミカサだけどオレも手伝ったんだからな!」ニッ

アルミン「二人ともありがとう」ニコッ

アルミン(花の似合う…男としてそれはどうなんだろう…でも二人の気持ちが凄く嬉しい…)

ミカサ「…アルミン、これも私から。アルミンは本が好きだから、押し花にして栞も作った。良かったら使ってほしい」スッ

アルミン「ありがとうミカサ、大切に使わせて貰うよ」ニコッ

ミカサ「…赤のサザンカの花言葉は、理性。頭のいいアルミンにはぴったり」

エレン「おお、すげーしっくり来るな」

アルミン「そ、そんなことないよ…」テレテレ

エレン「そんなことあるって、いつもお前はオレ達にいろいろなことを教えてくれるしな」

アルミン「僕だって二人から色々なことを教えてもらってるよ。今だって、ミカサから花言葉を教えて貰ったしね」

ミカサ「アルミン。赤のサザンカの花言葉には、謙遜というものもある。これも、アルミンにはぴったり」

アルミン「そうかな?」

ミカサ「ええ。…アルミンは、大人にだって負けない知識があるんだから、もっと自信を持ってもいい」ニコッ

アルミン「うん…ありがとう、ミカサ」

エレン「次はオレからだ!ミカサに教えて貰いながら作ったんだぜ」

アルミン「黄色に輝く石…本で見たことがある。これ、シトリンじゃ…えぇ!?これどうしたの?こんなに高価なもの受け取れないよ!」アセアセ

ミカサ「アルミン…エレンは、何度も私に作り方を聞き返しながら一生懸命にこれを作ってくれた。受け取ってくれたら凄く喜ぶと思う」

エレン「この石、そんな凄いもんなのか?まあ受け取れよ。昔拾ったんだけどなくしちまってよ、ずっと探してたんだけど見当たらなくてさ。
それが昨日になって見つかったんだ」

エレン「んでお前の髪もこの石も黄色だし…その、きっとお前に似合うと思うんだ…」

アルミン「エレン…それ、女の子に向かって言う台詞だよ」クスクス

アルミン「でも、ありがとう。大事にするね」ニコッ

アルミン「…早速、着けてみよう。…どう?」

エレン「おお、似合ってるな!」

ミカサ「アルミン…とてもかわいらしい」

アルミン「あ、ありがとう…」

アルミン(僕も一応男の子なんだから、かっこいいって言ってくれた方がいいんだけど…
でも、やっぱり褒められると嬉しいな…)

エレン「最後に、オレとミカサで金を出しあってかった―」

 コンコン

エレン「お、母さんかな?入っていいぞ」

ガラッ

カルラ「ちょっと入るよ」

アルミン「どうも、お邪魔しております」ペコリ

カルラ「そう畏まらなくても大丈夫だよ。ところでアルミン、りんごは好きかい?」

アルミン「大好きです!」キリッ

カルラ「良かった。ほら、今日のためにりんごのパイを作ったの。三人で仲良く分けるんだよ」

アルミン「今日のために…ありがとうございます」ペコッ

エレン「母さんの作るパイはうまいんだぜ!」

ミカサ「ええ。アルミンも、食べたら驚くと思う」

アルミン「そんなに美味しいんだ」

カルラ「ほら、一口食べてみて」

アルミン「じゃあ…いただきます」パク

アルミン「…!」

カルラ「どう?」

アルミン「凄くおいしいです!」パァァ

エレン「な、言ったとおりだろ?」

カルラ「喜んで貰えたようで何よりだよ。じゃあ、私はここで。三人とも、楽しみなよ」

アルミン「はい、どうもありがとうございました!」

中断、今日中に終わらせます

―――
――

エレン「ふぅ、うまかったな」

アルミン「僕もうお腹いっぱいだよ」

ミカサ「アルミンの分だけ、少し大きく切り分けたから」

アルミン「そうなんだ…ありがとう、ミカサ」

ミカサ「アルミンは身体が小さいから、少しでも食べないと」

アルミン「これから成長期なんだから、もっと大きくなるよ…多分」

エレン「そうそう、これからだよ」

エレン「…で、アルミン。さっき渡せなかったプレゼントだけど…」ゴソゴソ

アルミン「うん」ドキドキ

ミカサ「エレン、私も一緒に渡す」

エレン「おう、せーので行くぞ」

エレン「せーの…」

エレン&ミカサ「アルミン、お誕生日おめでとう!」

アルミン「…ありがとう、二人とも!」ニコッ

エレン「ほら、開けてみろ」

アルミン「じゃあ早速…」ドキドキ

アルミン「…これ、僕が読みたかったやつだ。
前からずっとほしかったんだけど、高くて買えないから店で眺めてるしかなくて…」

ミカサ「エレンも言ってたけれど、二人でお金を出し合って買った。
だから、これは私達二人からのプレゼント」

アルミン「ありがとう…後で、皆でじっくり読ませてもらうよ」

エレン「今読まなくていいのか?」

アルミン「なんだか、胸がいっぱいで…」

エレン「そうか、じゃあ今度三人揃った時にでも読もうぜ」

アルミン「うん」

ミカサ「…アルミン」

アルミン「ん?」

ミカサ「誕生日の歌を歌ってあげる」

エレン「ミカサ、歌がうまいんだぜ」

アルミン「わぁ…楽しみだな」

ミカサ「では…」スゥ~

ミカサ「Happy birthday to you,Happy birthday to you」

アルミン(…懐かしいな。昔、母さんも歌ってくれたっけ)

アルミン(……母さん…父さん…)ジワ

エレン(オレも歌おう)

エレン&ミカサ「Happy birthday, dear Armin,Happy birthday to you」

ミカサ「…おめでとう」パチパチ

エレン「おめでとう、アルミン!」パチパチ

アルミン「二人とも、ありが…と」

ミカサ「アルミン…泣いてるの?」

エレン「大丈夫か?どこか痛いのか!?」

アルミン「ううん…昔、母さんも歌ってくれたから…思い出したんだ…」ポロポロ

ミカサ「アルミン…」

エレン「お前は…変わらねえなぁ、初めて友達になってから泣き虫でよ」ナデナデ

エレン「…オレ達は、お前の両親の代わりはできない。
けど、こうやってお前の母さんがやってたみたいに泣いているアルミンを撫でることならできるぜ」

ミカサ「そして、こうして一緒にいることもできる」

エレン「ミカサの言うとおりだ。オレは、ずっと一緒だ」

アルミン「うん…」

エレン「いつか必ずアルミンの両親が目指した外の世界に行って、
炎の水、氷の大地、砂の雪原や海を見に行こう。
壁の中の狭い世界じゃなくて、壁の外にある本当の世界を…」

ミカサ「ええ。いつか必ず、三人で…」

アルミン「ありがとう…僕、二人と友達で良かった…」ポロポロ

アルミン「…エレンもミカサも…僕と、友達になってくれて、ありが…ううっ」

アルミン「うわぁぁぁぁ…」

エレン「おいアルミン大丈夫かよ!?」

ミカサ「エレン…私まで涙が…」ポロポロ

エレン「…なんだよ、ミカサまで…」

エレン「…あれ?」ポロポロ

―――
――

ミカサ「…アルミン、落ち着いた?」

アルミン「…うん。エレンとミカサは?」

ミカサ「私は大丈夫」

エレン「…オレも。でもちょっと眠くなってきたや…」フワァ

アルミン「…僕も、ちょっと疲れたかな」

ミカサ「久々に、三人で寝よう。アルミンが真ん中で、私とエレンは両隣で」

エレン「だな」

アルミン「ミカサ…ミカサはエレンと隣じゃなくてもいいのかい」

ミカサ「大丈夫。それに、今日はアルミンが主役だから」

エレン「主役が真ん中じゃないなんておかしいだろ?」

アルミン「あはは、言われてみればそうだね。じゃあ…」ゴロン

エレン「おう」ゴロン

ミカサ「ええ」ゴロン

三人「おやすみ」


アルミン(ああ、暖かいなあ…僕は、この二人が友達で、こんなに祝って貰えて)

アルミン(母さん、父さん…見てる?僕は今―)

アルミン(―こんなにも幸せだよ)

―――
――

カルラ(三人とも、今何をしてるんだろう。少し覗いてみよう)

 コンコン

カルラ「ちょっと入るよ!」

 ガラッ

カルラ「…ん?」

エレン「…ぐがー」Zzz

アルミン「…」スヤスヤ

ミカサ「…」スゥスゥ

カルラ(三人とも、はしゃぎすぎて疲れて寝ちゃったのかね)

カルラ(…さっきは花冠をよく見れなかったけど、これはサザンカの花で作ったものか)

カルラ(花言葉は、困難に打ち勝つ、だっけ?
虐められてるアルミンを助けるため、相手が何人いても立ち向かっては怪我をして帰ってきたエレンに、
身体能力の高いミカサ、そして賢いアルミン。 …この三人の力が合わされば、きっとどんな困難でも立ち向かえるだろうね)

カルラ(それにしても…もう秋なんだから、このままだときっと風邪を引いてしまうね。毛布を掛けてあげよう)クスクス

 バサッ

カルラ(よし、これで大丈夫だね。…三人とも、いい夢を見るんだよ)

 ―完―

終わりです。ギリギリで間に合ってよかった
アルミン、お誕生日おめでとう!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年09月23日 (水) 08:25:50   ID: xvAXC859

泣けた…

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