シロ「…………」 (1)

一段踏み出すごとにベコベコと鳴る階段を上りながら、これから言う言葉を頭の中で繰り返した。
安普請のボロアパート、その2階の角部屋前にたどり着くと、カバンのポケットを探りながらチャイムを押す。


「いいよー」


中からはいつものように間延びした声が聞こえる。
ちょうど取り出した鍵でドアを開け、一応挨拶をする。


塞「お邪魔しまーす」

白望「……おはよう」

塞「まったく……おはようじゃないでしょ! これで1限単位取れないの確定じゃん!」


腹の中に溜め込んでいた言葉が一気に飛び出した。
こうならないように様々な策を巡らせたのが、全て無駄になってしまった不満の分語調も強くなる。

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