男「…………………」(106)

DQN「おらおらww」

羽交い締めにされる男

男「……………っ!」

DQN2「しねっ」

ボカボカッ ドゴッ

腹や顔を殴られる男

男「ぶふっ!げほっげほっ」

DQN「早く金出せよ!」

ボカボカッ

男「うぅっ…」バサッ

男は財布を床に放った

DQN3「はじめからこうしろよなーww」

DQN達「ギャアアアアアアアアッ!!」

DQN達は財布に吸い込まれてしまった!

男「ちくしょう…また犠牲者が…」

女達「クスクス」「かわいそーww」「泣きそうじゃんwwww」

DQN「おらぁ!」

ドゴッ

DQNの拳が男の鳩尾に突き刺さる

男「うげぇ!…っ……」

男は口を膨らまし必死に逆流してきた胃液をこらえる

DQN3「かんちょー!」

とDQN3が男の肛門に蹴りを入れた
すると男はこらえていたモノを一気に吐き出してしまった

DQN2「きたねーwwww」

男「グスッグスッ」

DQN「あーあ泣きやがった」

DQN2「きめぇーww」

女達「きもーいww」

男「うぅっ…」

先生「授業始めるぞー」

DQN「お、センコーきやがった」

DQN2「じゃあな男ww片付けとけよなwww」

DQN3「うわくっせ~」

先生「ん?なんだこの臭いは」

DQN「男が吐きましたー」

先生「あぁ? チッ…」ズカズカ

先生は男に向かって歩いてきた

男「…?」プルプル

先生「おいこら」ガシッ

そう言うと先生は男の襟を掴みゲロの方へ放り投げた

男「がぁっ!」ビチャッ

男は自らが吐いたゲロの上に倒れた

先生「綺麗な教室を汚しやがって
早く掃除しろ 舐められるくらいにな」

男「うぅっ…はぁ…はぁ…」

先生「おい…なんだその目は?」

男「いえっ…」ビクッ

男「なんでも…ありません…」

先生「チッ」

先生「授業を始める―――」




男「……………………」キュッキュッ

キーンコーンカーンコーン


DQN「いぇーい昼休みだぜww」

DQN2「おい男 パン買ってこいよ」

DQN3「焼きそばパン3つなww」

DQN「もち奢りでwwww」

男「……………………」

DQN「ちっ」

DQN「早く行けやぁ!!!」

男「!」ビクッ

男「………………」タタタタッ

DQN「ちっ」

食堂のおばちゃん「はいはいメロンパン一人一個までだよー!」

男「あ…メロンパン食べたいな…」そ~

男はそーっとメロンパンを取ろうとした
しかし、

おばちゃん「ちょっと!汚い手で触らないでよね!
あんたが食べるのだけならいいけど他のパンにも手つけないでよね!」

男「そんな…僕はただメロンパンを…」


男子生徒「きたねぇんだよ!早く買ってどっか行けよ!」

女子生徒「ホントだよー」「てかあいつアレじゃない?ほら3組の…」「ああ…生ゴミねww」「あははははww」



男「…………………」トボトボ

先輩「おっ、お前DQNんとこの生ゴミじゃねーかよww」

先輩2「おーwwwwうぇーいwww」

男「あ、ども…」

先輩「なにそれ?メロンパン?ww焼きそばパン?wwくれよwwww」

先輩2「たまには奢れって!wwな?ww」

男「あ、ちょっと…それDQN達の分…」

先輩「あ?また買ってくりゃいいだろ」モグモグ

男「もうそれが最後で…」

先輩2「知るかよ」

先輩「ごちそーさんwwww」

男「うぅっ」

男「どうしよう…」




DQN「あぁ?なんだよこれ」

DQN3「くるみぱん?」

DQN2「なめてンのか?」

男「いや…売り切れで…」

DQN「はぁ!!?」

男「ひぃっ…!」



ドゴッ バキッ ドゴッ

教室は真ん中で殴られている男と、殴っているDQNを取り囲むようにクラスメート達が集まっていた

DQN「死ねよ!死ねよこらぁ!」

ドゴッ ドカッ

男「…………ぁ………っ………」

DQN「死ねってんだよ!!」

ドゴッ ドゴッ バキッ

男「…ぁ…っ……ぁ……」

ガラッ

先輩「まあその辺で許してやれよww」

DQN「あ、ちぃーすww」

DQN3「ういっすww」

先輩2「お前らのゆー通りこいつから焼きそばパン取りあげてやったんだから俺にもやらせろwwww」

男「…!?」

DQN「いやぁおかげでいいストレス解消になりましたわwww」

DQN2「どうぞwwもうガンガンにやっちゃって下さいwww」

先輩「おーおーwwwそんじゃ遠慮なくww」

先輩「おらぁ!!」

ドゴッ! ミチッ

男「ぐぅ!?おぇぇぇっ!」ビチャチャチャチャ

DQN「さすが空手黒帯wwww蹴りはんぱないっせねww」

先輩「まあ今のは60%だけどなwww」

DQN2「マジすかwwンじゃ本気出したらどうなっちゃうンですかwww」

先輩「死ぬわなwww」

先輩2「んじゃ次俺いくわwww」



それは昼休み中続いた
男の体をひたすらいたぶり続けて疲れたDQNや先輩達は、午後はサボると言って帰ってしまった

男「………ヒュー……ヒュー……ガフッ…」

女子「あっ授業始まるね」「次科学じゃーん やだなー」「マジだるーい」

ざわざわ ざわざわ

先生「えーこの時ー」



男「…ヒュー…………ヒュー………」

男の席は冷たいタイルの床だった
横になった科学の授業を受け終えた


女子「そういうばあの先輩達かっこよかったよねー」「あの二人うちの学校で一番かっこいんじゃない?」「言えてるーww」

男子「ちっ いつまでも寝てんじゃねーよ」「邪魔なんだよ」


男「……ヒュー…………ヒュー………」


男はゆっくり立ち上がる
ふらふらとした足取りで男は保健室へ向かう



―――――保健室

保険医「あら…また怪我したの?」

男「………………」

保険医「もう転校しちゃいなさいよ…あなたこれ以上やられたらホントに死ぬわよ?」

男「いやです…」

保険医「はぁ…今までので歯は6本折れたし、心臓も何度か止められたこともあったし…」

保険医「それにあなたの…その…タマタマはもう1つしかないのよ?
これ以上文字通り体を壊されたらあなたは…」

男「ご心配、ありがとうございます」

男「けど、ここで逃げたら負けな気がするんです…
俺はなんとしても学校を卒業してみせます
たとえ死にかけても…金玉を潰されようと…
俺のことを心配してくれているたった一人の人の…ために…!」

保険医「………………」

保険医「意志は固いようね…」

保険医「そう…なら私はあなたを応援し続けるわ
がんばって…!」

男「はい その…ちゃんと卒業できたら一緒に写真撮ってもらってもいいでしょうか…」

保険医「あら…お安い御用よ」

男「ありがとうございます」

男「それでは、失礼します」



男「もう…家か」

ガチャッ

父「ぶははははははは!!!!」

母「あらやぁね~」

妹「マジウケるーww」

妹「あ、ゴキブリ帰ってきた」

父「チッ ったく人がいい気持ちで呑んでる時に…」

母「男、ご飯はどっかで食べてきてちょうだい」

男「でも金が…(DQN達にかつあげされたからないよ…)」

父「あぁ!?お前俺の小遣いが足りないってのか!?」

男「いやっ…そういうわけじゃ…」

父「ちょっとこっちこい」

男「…………………」ガチガチガチ


        バキッ


男の前歯が飛んだ


男「ああ゙っ!」どさっ

妹「www」

父「ったく養ってもらってる分際で生意気いうのも大概にしろよな!!」

母「反省しなさい、男」

男「……………………は、はい」

母「さ、わかったら早く出てってちょうだい」

男「…………………」スタスタスタ


妹「wwwwwwww」

父「ぶははははははは!!!害虫退治wwww」

母「おほほほほほ」


男「………………………」

男「ガブガブガブ」


男(公園の水で腹膨らませるの何回目だろう…
数えたくもないや)



男「星が綺麗だなぁ」

男「星が…綺麗だなぁ」

男「星が…きれいだなぁ」

男「ほしが…きれいだなぁ」

男「ほしが…ほし、が…ほ、しが………」



男「星は綺麗だなぁ」

男「ZZZZZ…」


男「はっ!」

男「もう10時かな…家に帰ろう」


ガチャッ

父「んがー」

父が廊下に大の字に寝ていた

男「…ゴクリ」

父「んごごごごご」

父は無防備だった

男「……うぅっ………」スタスタスタ


男は早足で部屋に入り、閉じ籠った

男「おやすみ、保健の先生」



男「はぁはぁ 電車が遅れてたからこれは遅刻かな…」


<ホントよねー

男「保健の先生の声?誰と話してるんだろう…」

男は保健室のドアに近づき耳を立てると、信じられない言葉が聞こえてきた


保健「まったくいい加減にしてほしいわ あの不細工
男君だっけ?名前
ホントに気持ち悪くて目の前に座ってるだけで、悪寒と吐き気と頭痛を同時に催すわww
あいつが座った椅子はちゃんと次の子のために、熱湯消毒までしてあげてるんだからねww」


男「ウソだ――――――」

男(ウソだウソだウソだ―――――!!!!
あの人は唯一僕のことを理解してくれて、助けてくれようとしている良い人だ
世界でたった一人の僕の理解者だ
それがあんなこと―――――――――)


男「…………………」ダッ

男は走り出した

あてもなく ただ走り続けた

男「はぁはぁ…はぁはぁ…」


男は思いの外体力がなかった すぐにバテた

町に出た男はただフラフラと歩く
虚ろな瞳で前を見つめながら


男「どうして―――」

男「どうして僕だけこんな目に……」

男「神様は残酷だ いや、きっと神様なんていないんだ」


男はつぶやきながら歩き続けた

ふと前を見ると町の不良少年達がたまっていた


不良「おい、なに見てんだよ」

不良2「その目ムカつくっぺなぁ」

不良3「殺される前にどっか行けよ」

男「……………………」

男は虚ろな瞳で不良少年達を見る

不良「シカトしてんじゃねぇぞくらぁ!」

バキッ ドカッドカッ ボゴッ ボキッ バキッ ドカッ


いつものように男の体は鈍い音をたて殴られ続ける



       どさっ


男「ははっ…」


不良「な、なに笑ってんだこいつ…」

不良2「き、気持ちわりぃー!」

不良3「不気味だ…」

不良「い、行くぞ!」ダダッ


不良少年達は不気味に薄ら笑う男に背を向け走って行った


男「ははは…」

ごろん、と男が仰向けになる


男「神様ぁ…恨むよぉ…なんだよこの人生…」

男「中学まではまあ普通な感じだったのになぁ…」

男「もう…やだよぉ…」

男「まるで世界で一番不幸な男だよ…」

?「世界で一番不幸、か的を得ているな」

男「うん…」

男「て、誰だ!」

?「俺か?俺は天からの使い、天使だ」

男「て、天使?」

天使「まさか貴様が『世界一不幸な男候補』だということに気づくとは思わなんだ」

男「な、なにを…」

天使「いかにも、貴様がその真意に気づくことがなければ、俺の姿は見えていなかったであろう」

男「ま、ままま、待てよ」

天使「なんだ」

男「どういうことだよ!『世界一不幸な男候補』って!」

天使「ふん、説明してやろう
単刀直入に言えば今、天界はとても暇だ」

男「は?」

天使「天界、つまり俺がいた場所だ
他の天使達もそこにいる」

天使「そして暇をもて余した俺たち天使は暇つぶしを始めた
それが異常気象だ」

男「…?」

天使「俺たちは局所的に大雨を降らしたり、逆にまったく降らせなかったり日照りを続けたりをして遊んでいたんだ」

男「…………?」

天使「しかしその遊びが大天使様の耳に入ってしまった
最初は大目玉かと思ったが、なんと大天使様も遊びに乗ってしまったのだ
それがこの『世界一不幸な男決定戦』だ」

天使「俺たちが使える力なんぞ、天候を操る程度だが大天使様は違う
あの方が本気になれば地球など10秒も持たない
しかし過度に自然のバランスを崩すと先代様からおしおきだ」

天使「だからあの方は自然界のバランスには無縁の、しかしとても面白い遊びを考えついたんだ
あの方は今対象の人間の周囲の環境やらをコントロールし、世界最高の不幸男を作ろうとしているんだ」

男「……………………」

天使「ふぅ…長々説明させやがって 疲れたぜ」

男「お前らのせいで僕はこんな目にあったんだな…」

天使「ん?まあそうだな」

男「なにが不幸ってお前らに目つけられた時点でもう、世界でもトップクラスの不幸ってことだよな…」

天使「む…予想とは反応が違うな
もっと怒り狂って俺を殺そうとするのかと」

男「はぁ どうせ僕じゃお前らには叶わないんだろ…」

天使「それはそうだ
俺が本気を出せば小国ならば、1日足らずで陥落させられるな」

男「ははは そんな奴にケンカ売るかっつの…」

天使「…ふむ ならばどうする?」

男「さあ 不幸男から直してくれって言ったところで、なにもしてくれないんでしょ」

天使「そりゃ無理だな
大天使様しかそれは無理だ」

男「じゃあ僕が自殺したらどうなるのかな」

天使「それは無理だろうな
世界一不幸な男は自分で死ぬこともできないだろうからな」


男「でも、なんだかなぁ…こうしてまともに話すのは久しぶりだ
なんだか心が暖まるよ…相手は人間じゃないけど」

天使「ふっ 悪かったな」

男「お互い様ってことで」

天使「世界一不幸にさせられたかもしれないのに、ずいぶんと簡単に許してくれるをだな」

男「もっとも辛いことは孤独だと思うからさ…」

天使「そうか」

男「少し…寝よう…」

男「ぐー」


天使「ものの2秒で寝てしまったか…」

天使「ん?これは…大天使様からの集合の合図?」



――――天使

大天使「よくぞきたな、皆の衆
わしは嬉しいぞ、うむ」

天使一同「はっ」

大天使「さて、ここにみなを呼んだのは他でもない
『人間界一不幸な男決定戦』についての話だ」

天使「…?」

大天使「ようやく…出揃ったのでな」

大天使「みなは下界に行ったのは初めてであろう
ほとんどの者が知らなかったであろう」

大天使「我々天使の姿は人間には見えない
しかしここに集いしみなはすべからず人間に姿を見られた


なぜか

それは本来見えない天使の姿は、人間のある強い感情によって彼らの目にも、写るようになってしまうのだ」

天使「強い感情?」

大天使「それは絶望――」

天使♀「………………」

大天使「これでわかったであろう
わしの真の目的がみなにも!」

堕天使「どういうことだ?」

大天使「ふふふふ…」

大天使「ここに集いし者はわしがこの『遊び』を始める以前はなにをしていた者達かな…?」

天使「まさか…」

鬼天使「大天使様…やっぱり怒ってたんだ…」


大天使「当たり前じゃぁ!!勝手に下界のバランスを崩し兼ねんことをしおって!!
よってみなには罰を与える!
みなの姿を視認できるようになった人間をそれぞれのパートナーとし、最後の一人になるまで戦いぬくのだ!」


天使一同「!?」

大天使「天使界のルールは知っておるな…?
罰を逃れるのは最後に残った一人だけとす!!」

大天使「いざ、天使決戦開戦じゃぁ!!」

大天使(ぬふふ これで良い暇つぶしが出来たわ)

大天使「ちなみに敗北の判定はパートナーの死亡とす!」



天使「…つまり大天使様は適当に選んだ人間に我々を監視と称しつけさせ、我々を視認できるように彼らの絶望を強めるため酷く不幸な目に合わせた、と…」

大天使「わかっておるではないか!
さあ!早く散るがよい!パートナーの死亡が敗北の証!つまり先手は必勝じゃぞ!!」

天使一同「」ビクッ


天使達はまず各々のパートナーの人間のところへ戻っていった

男・天使「はぁ…」

男「なんでお前もため息ついてんだよ…」

天使「貴様に俺の気持ちがわかるか…」

男「その話聞く限りじゃ殺されんの僕じゃん
もー 更に不幸になった…」

天使「なにをよまい言を…貴様が殺されば俺も死んだも同様」

男「ん?」

天使「天界のルールでは俺たちのやったことは極刑に値するんだよ…」

男「じゃあなんでそんなこと…」

天使「いや、堕天使の奴がやろうって」

男「アホなんだな、お前ら」

天使「言うな」

天使「つまりあの方は始めから怒ってたんだよ
怒ってないふりして俺たちを、面白いから観察してこいとか言って人間につけさせて視認させた
つまり俺達は始めからあの方の手の上で転がされてただけだったんだー!!」

男「まあ…元気だしなよ 僕も嘆きたいし」

天使「そういえばお前はすごいな…
同じような立場になってやっとお前のすごさを知ったよ
こんなことになっているのに一言も嘆かないなんて」

男「なんてゆーか…その大天使がお前を視認させるために、僕を散々不幸にしたせいで感覚が狂っちゃってさ、」

天使「そ、そうか…それは悪かった
というかそれ俺たちのせいだな…本当にすまない」

男「お?天使にも罪悪感はあるんだな」

天使「しょせん天使も人間と大差ないものさ」

男「へぇーなんか意外だなー」

天使「!」

男「ん?」

天使「気をつけろ…」

男「へ?」

天使「あの電柱の上…見てみろ」

男「あ、あれは…?」

見慣れた町の見慣れた電柱のてっぺんには見慣れない影が一つあった

天使「どうやら男、お前を狙っているぞ」

男「ひぃっ」

天使「奴は黒天使…俺たちとは違う『遊び』をしていた連中だ」

『黒天使』は天使と違い翼が黒色をしており、髪も黒く肩よりも長いようだ
かなり細身だが顔や風貌は男性的に見える


男「違う遊び…って、敵はどんだけいるんだよ!?」

天使「さあな…ざっと30はいるかもしれん…」

男「さ、さんじゅう?!僕の命30個あっても足りないのか…」クラー

天使「バカもん!貴様が死んだら俺も死ぬんだ!
簡単に殺させてたまるか!」


黒天使「ッチ」

黒天使「ずいぶんとやる気のねぇパートナーだなぁおい?」

天使「まあな で、お前のパートナーはどこへ行った?」

天使がそう言うと黒天使はニヤリ、と笑い

黒天使「なにも同行する必要はねぇ
殺されなければ構わねぇんだ…よ!」

と言い切り、電柱のてっぺんから天使めがけて猛スピードで突進してきた

天使「くっ!!下がれ!」

男「ひいっ!」

ガキィン!

天使は黒天使の突進を翼で受け止めた

黒天使「くくく…」

天使「ぐうっ…」 ギギギ

天使「く…ある程度までならどんな人間だろうと逆探知できるんだぞ…」

ギギギ

天使の翼の縦を黒天使の爪が押す

黒天使「あぁ まあな
だからこそ、だ まあその理由を知りたくなったらぶっこみにこいよ…
相手してやっから…よぉ!」

バキッ!

黒天使の爪が天使を翼越しに吹き飛ばす

天使「ぐはっ!」


黒天使「おめぇもついてなかったなぁ 人間」

男「ひぃぃっ」

黒天使は男の方を向いてニヤリと笑い牙を剥き出す

黒天使「さあ終りだな人間、そして天使よ」

男「はぁ…はぁ…」

黒天使「しゃーっ!!」


黒天使が男に飛びかかった瞬間、天使が猛スピードで黒天使を横から自身の腕を突き刺した


黒天使「ごふっ…」

黒天使「ばかな…早すぎる…」


どさっ

黒天使「くそっ…!」バサッ

すると黒天使は空高く飛び上がった

男「逃げる気か…?」

天使「いや…」

黒天使「はぁぁぁぁぁ…」

天使「伏せろ!」

男「え?」

黒天使「消え失せろぉ!」

瞬間、

黒天使の構えた左手から光線のようなものが、男達の方へと向かってきた
男は反応できない いや、もはや反応できるスピードではなかった


      パァン!

なにかが弾けるような音がした
見上げると、黒天使の光線を天使の右手から光線が打ち消していた
正確には4:6程の力量差で天使が押している感じだった

二人の手から出ている光線で押し合っているという、とつもこの世のものとは思えない光景を目の当たりにした男は、ただただポカンとしていた

男「……………」

黒天使「くっそぉ…
お前のほうが強いってのか…ふざけやがって!
うおおおおおおおおおおお!!!」

天使「無駄だ やめておけ
貴様は腹に風穴が空いているんだ
力めば力むだけ力は抜けるぞ」

黒天使「ぐぅぅ…がはっ…」シュン

黒天使の光線が消えた

黒天使「はっ!しまっ…」

黒天使「ピギャッ!!」

黒天使の光線と拮抗していた天使の光線は、黒天使めがけ飛んで行き、黒天使を焼き焦がした


天使「油断したな」

男「…………………」ポカーン

男「こ、これなら負ける気がしない…」

天使「いや…」

男「え…?」

天使「こいつはたまたま油断しただけだ」

男「けど…」

天使「実は俺…貴様に結構偉そうなこと言ってたけど、天使の中では強さとかは中の下程度なんだ…」

男「えっ」

天使「え、まあけして弱いわけじゃないし!」

男「死にたくない…」

天使「ただ…一つ俺だけの力があるとすればそれは…」

男「ん?」

天使「これは俺の能力なんだが…
いつの間にか目指めていた能力なんだが」

男「も、もったいぶるなよ!」

天使「なぜこの戦いが俺たちにとって、ただのケンカよりもはるかにやりづらいかというと、それはパートナーという足枷にある」

男「うんうん」

天使「つまりパートナーもある程度まで戦うことができれば…」

天使「天使同士では実力で劣っていてもニ対一なら…」

男「?」

天使「俺だけの能力、俺の力を貴様に分け与えることができる」

男「……?」

天使「俺の力を貴様に少し与えることで、貴様が狙われても死ぬ確率は低くなるはずだ」

男「つまり僕にも戦えと…」

天使「実力差を埋めるにはそれしかないな」

男「…ゴクリ」

男「僕だって思ってたよずっと
僕をいじめてくる奴らをぶっ飛ばす力が欲しい、強くなりたい…と
ずっと思ってた」

天使「………………」

男「その話、乗るよ」

天使「よし、じゃあさっそく行くぞ」





男「これが…天使の力…」

天使「体が多少身軽になった程度だろうがな」

男「俺の力…」

天使「俺…?」

男「ん?」

天使「いや、」

天使「だがこの戦いが終わればその力は返してもらうからな」

男「わかってる」


男(なんでもできそうな気がするぜ…)

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