P「ハンバーグソムリエPVS春香特製ハンバーグ」春香「!?」(104)

数々のトップアイドルを排出し、いまや業界にその名を知らぬものはいない芸能プロダクション、765プロ!!!!
今日も朝早くから所属アイドルたちが次々と出社してきていた!!!!



春香「おはようございまーす!!」

亜美真美「あ、はるる~ん」

あずさ「おはよう春香ちゃん」

春香「おはようございますあずささん、亜美、真美。あれ、プロデューサーさんは?」

あずさ「もう律子さんといっしょに打ち合わせに出かけたわよ。入れ違いになっちゃったわね~」

真美「いつもの、『おはよう春香!今日も可愛いな!!』とか、『あー朝も早よから春香と結婚したくなってきた!!!!』とかが聞こえないとなんか寂しいねー」

あずさ「うふふ、そうね~」
春香「あはは…」

春香「プロデューサーさん、お昼には帰ってきてくれるかな…」

亜美「あり?はるるんて確か、今日はお仕事午後からじゃなかったっけ?」

春香「え!?えーっと…そ、そうなんだけど…」

あずさ「うふふ、春香ちゃんはプロデューサーさんに会いたかったのよね?」

春香「うぇえっ!?あ、あずささん!!!何を////」

亜美「ええっ!はるるん、それってこれってもしかして!!」

春香「ち、違うんだよ、亜美~///」

真美「え~、気づいてなかったの亜美?はるるんが兄ちゃんのことちょ→大好き☆って、めっちゃバレバレじゃーん」

春香「も、もうっ///真美ってば/////」

亜美「うあうあー!はるるんちょ→顔真っ赤だよ」

あずさ「うふふ、あらあら」

春香「うぅ~/////」

亜美「でもでも、兄ちゃんてなんだか変態っぽいじゃん?あずさお姉ちゃんとかがセクハラされてないか、亜美はいつもめっちゃ心配してるよ」

春香「ちょ…亜美、それはさすがに失礼だよ…」

あずさ「そうよ亜美ちゃん。私はプロデューサーさんにセクハラされたことなんて一度もないもの」

亜美「うーん。じゃあ事務所で、はるるんの目の前で雑誌のグラビアを切り抜いてスクラップしながら、『春香…またちょっとお尻が大きくなったなぁ…素晴らしいなぁ…』とか言うのはセクハラじゃないのかぁ」

春香「…」

あずさ「…」

亜美「セクハラじゃないのかぁ」

真美「めっちゃセクハラだよ」

真美「ねえねえはるるん!はるるんはあんな兄ちゃんのどこを好きになったの?」

春香「あ、あんなって…真美、プロデューサーさんはああ見えていいところたっくさんあるんだからね!」

亜美「ああ見えてって」

真美「わあ、聞きたい聞きたい!はるるんと兄ちゃんの恋バナ聞きたい!!」

春香「こ、恋バナって/////そんなんじゃないってば…まだ//////」

真美「ひゅうひゅ→う」

あずさ「まあ、それなら私も聞きたいわ~//」

春香「も、も~///あずささんまで…」

キャッキャッ



千早「春香…」

そのころ、とあるテレビ局では、スーパー超天使アイドル天海春香他、多数のトップアイドルを担当するプロデューサーと、竜宮小町プロデューサーの秋月律子が、生っすかサンデーの打ち合わせを待っていた!!!!



律子「プロデューサー、番組ディレクターちょっと遅れるそうです」

P「お…春香、腰周りがちょっと細くなってるか…うんうん、レッスンの成果が出てるなぁ…へっへっ」ジョキジョキ

P「む…この水着はやっぱりちょっと派手すぎたか…お父さんゆるしませんよ…」ジョキジョキ

律子「…」

律子「プロデューサー、なんでスタジオで春香の水着グラビアをスクラップしてるんですか…いつもはわざと春香の目の前でやるのに」

P「いやなに…春香は俺がふざけるとちょっぴり傷つくらしいから…春香の前では、な…」ジョキジョキ

律子「はぁ…?」

P「うおおおお!!!春香春香春香ああああああああ!!!!!!」ジョキジョキジョキジョキ

律子「プロデューサー…」

P「おいなにドン引きしてんだよ。お前もアイドルプロデューサーなら、グラビア写真が気持ち悪いファンの手でスクラップされていく光景を見たくらいで動揺するんじゃない」

律子「身内のそれは格が違うでしょうに…でも、どうしたんですか本当に。いつもは春香のいないところでは割と普通なのに」

P「いやぁ…」

律子「あ、もしかして、春香と何かあったんですか?」

P「…まぁ」

律子「とうとう愛想を尽かされましたか」

P「いや、むしろ逆よ」

律子「?」

P「贅沢な悩みよなぁ」ジョキジョキ

律子「で、結局何があったんですか。私に力になれることなら聞きますよ」

P「…なんか、春香な。俺が『可愛い』とか『結婚したい』とか言うと傷つくんだってよ」

律子「は?」

P「春香の気持ちをはぐらかしてるのばれてたんだな…あんなふうに言われたら、もうふざけて『春香の意外と大きいバストからあふれる母性に包まれたい』とか『春香の安産型ヒップマジ安産型』とか言えないよなぁ…」

律子「セクハラですか?お巡りさん呼べばいいんですか?」

P「いやだなぁ律子さん。俺は春香にセクハラしたことなんてただの一度もありませんよわはは」

律子「帰りますね」

P「待ってくれ律子待ってくれ。ていうかこれから打ち合わせだから」

前前スレ
P「春香は絶対いいお嫁さんになると思うわけよ」春香「!?」
前スレ
P「新コーナー『ハルカキッチン♪』始まるよ」春香「!?」
よかったらこっちから見てね!(必死の宣伝)



律子「…」

P「つまりな、春香はその、俺のことがな?」

律子「…春香がプロデューサーに対して特別な感情を持ってることは気づいてました」

P「うん」

律子「それで?」

P「羨ましいだろ!!!!!!」

律子「帰りますね」

P「待ってくれ律子待ってくれ」

律子「…」

P「まぁ要するに、今後春香とどう接して行くかをな、悩んでいるわけだ」

律子「そうですか…」

P「まあ相談してもしょうがないことなんだけどな。俺が答えを出さなきゃ」

律子「…一つだけ、言わせてください」

P「うん」

律子「春香はアイドルで、あなたはプロデューサーです。…私から言えるのは、それだけ」

P「そうだな」

律子「…私、ちょっとディレクターの様子見てきますね」

P「ああ」



P「…」

P「…俺はプロデューサーで、春香はアイドル」

P「そんなことは、最初っからわかってるし、春香にも言い続けてるよ、律子」

P「…」ジョキジョキ

春香「それでね…このペンダントもプロデューサーさんがくれたもので…////」

あずさ「まぁ~////」

真美「おお~////」

あずさ「あら?春香ちゃん、その右手の指輪はもしかして…?」

春香「あ、いえ、これはですね~…」


亜美「うあー…亜美、もうこの話飽きてきたっぽいよー…」

千早「…くっ」ギリッ

亜美「うわあー!?千早お姉ちゃんいたの!?」

千早「春香…春香があんな人と…くっ!」グギギ

亜美「あわわわわわ」

千早「あら、亜美。いたのね」ニコッ

亜美「ち…千早お姉ちゃんの表情が豊かになって、亜美もうれしいっぽいよ…」

千早「そう?ありがとう」

春香「あれ?千早ちゃん!おっはよ!!」ギュゥッ

千早「ひゃっ!?は、春香///急に抱き着かないで…///」

春香「えへへー、はなさないよ~♪」

千早「もうっ…///」

あずさ「あらあら、本当に仲がいいのね~」

亜美「…」

真美「どったの亜美?」

亜美「はるるんの恋路の最大の壁は…千早お姉ちゃんかもしんない…壁だけに」

真美「なにそれ?」

千早「あの、春香…今日のお昼は…?」

春香「あ、ごめんね千早ちゃん。今日はプロデューサーさんと約束してるんだ。…大事な、約束」

千早「…そうなの。ならしかたないわね」

真美「大事な約束って?」

春香「えへへ…秘密」

真美「えー!聞きたい聞きたい!!」

千早「…くっ!」ギリギリ

亜美「あわわ」

あずさ「あら?大事な約束ってお昼からなのかしら?」

春香「そうですけど…?」

あずさ「さっき律子さんから連絡があってね、先方の都合で打ち合わせが長引くみたいなの」

春香「あ…じゃあ、お昼には戻れないかもしれませんね…」

あずさ「でも、まだそうと決まったわけじゃないわ、春香ちゃん」

真美「兄ちゃんがはるるんとの約束すっぽかすのなんて想像つかないもんねー」

春香「そう…かな、あはは…」

千早「…」

千早(プロデューサー…あなたは、いつも春香にこんな顔をさせますね…)

千早(そんなあなたに…春香を…)

亜美「…」

亜美「ねえねえ…千早お姉ちゃん」

千早「…え?なにかしら、亜美」

亜美「あの…千早お姉ちゃんは、兄ちゃんのこと、嫌いなの…?」

千早「な…」

亜美「だって…さっきから、兄ちゃんの話が出ると怖い顔してるっぽいよ…?」

千早「…」

亜美「もしかして、兄ちゃんにセクハラされた?ムネムネのことでなんか言われた?」

千早「どうして胸限定なのかしら…」

亜美「あのね、兄ちゃんあんなだけど、めっちゃおもろいし、亜美たちといつも遊んでくれるしね…」

千早「亜美…」

亜美「だから…嫌いにならないであげてほしいな…セクハラのことなら、亜美が兄ちゃんにきちんとしゃざいとばいしょーをさせるから…」

千早「…平気よ、亜美。プロデューサーがいい人なのは私もわかってるわ。あと、セクハラもされてない」

亜美「…そうなの?」

千早「ええ。私の顔が怖かったのは…えっと…あ、あの日、だからよ」

亜美「あ…ごめんね、千早お姉ちゃん。あの日とは知らずに…」

千早「え、ええ」

亜美「そっかぁ…千早お姉ちゃんはあの日なのか…」

千早「ち、ちょっと亜美…」

亜美「千早お姉ちゃん、あの日のことでなんか困ったら、なんでも亜美に言ってね!」

千早「え、ええ。わかったわ、ありがとう」


千早「…」

千早(わかってる…あの人がとてもいい人だってことは、わかっている)

千早(私をここまで連れて来てくれたことに、感謝もしている)

千早(でも…だからこそ)

千早(春香だけに、あんな悲しそうな顔をさせるあなたを私は…)

千早「私は…」

P「…」イライライライライライラ

律子(あ、あの海のように心が広い(自称)プロデューサーが、すっごいイライラしている…)

P「…律子、ディレクターは?」

律子「え、えっと、なんか急な腹痛でトイレから出られないらしくて…」

P「うんこか。ならしかたない」イライライライライライラ

律子「…あの、これからなにか用事があるなら、私一人でも…」

P「…いや、たいした用じゃない。いや、たいした用なんだけど、生っすかはもっと大事だからな」

P「みんなのためにも、春香のためにも」

律子「そう、ですか」

P「…あ、『たいした用』と『用をたした』って似てるな…」

律子「…」

P「…ごめん」

P「…先に律子には話しておくか」

律子「え?」

P「ハルカキッチン♪のな、料理本とか出したいんだよ」

律子「料理本ですか」

P「ああ。春香の割とガチな料理上手を売っていくうえでな、料理本を出して、新たなファン層の獲得も狙っていく」

P「もともと春香は『誰からも愛されるアイドル』って感じだけど、それも若い層が中心だ。これを主婦層にまで広げる」

律子「『嫁春香計画』ですね」

P「『嫁春香計画』は、春香を『結婚したいアイドルNo.1』にするだけじゃない」

P「春香が年齢的にアイドルでいられなくなった時、そのまま芸能界に居続けるための基盤作りでもある」

律子「アイドルでいられなくなった時…」

P「春香は特に、アイドルそのものへの憧れが強いからな。アイドルでいられなくなった時どうすればいいか、導いてやる必要がある、ってことだ」

律子(プロデューサー…そんなにも春香のことを考えて…)

律子(…プロデューサー、アイドルでいられなくなった後の選択肢は、芸能界に居続けることだけじゃ…)

律子「…」

律子「…私も、竜宮のみんなのこと、考えなきゃですね」

P「ああ…特に…あずささんとかな…」

律子「…」



番組ディレクター「す、すいません!!遅くなりましたっ!!」

真美「もう十二時過ぎだね」

亜美「りっちゃんから連絡ないねー…」

あずさ「春香ちゃん…」

春香「あ、あはは、いいんです!約束っていってもそんな大したものでもなくてっ」

千早「いいえ」

亜美「千早お姉ちゃん…?」

千早「誰にとっても、なんであっても、春香との約束が大したものじゃないはずがないわ」

春香「千早ちゃん…」

千早「私は春香のそんな顔…見たくない」

千早「…ちょっと出てきます」

真美「あ、ち、千早お姉ちゃん!?」

亜美「行っちゃった…」

あずさ「…」

ガチャッ

千早(あんな…春香を傷つけ続けるような人…!春香との約束を守れないような人…!!)

あずさ「千早ちゃん」

千早「っ!あずささん?」

あずさ「どこへ行くの?」

千早「…」

あずさ「プロデューサーさんのところ?」

千早「…」

あずさ「…一昨日の生っすかサンデー」

千早「え?」

あずさ「ハルカキッチン♪の時、貴音ちゃんが言ってたわね」

あずさ「千早ちゃんは誰に向けて、愛情を注いだのか…って」

千早「!!」

あずさ「あれ、春香ちゃんだったのね?」

千早「!!??ちょっ/////なっ//////」

あずさ「びっくりしたわ~///今日、なんだかプロデューサーさんの話しが出ると怖い顔になっていたからティンときたの////ヤキモチだったのね~///」

千早「ちっ、違います!!春香はそんなんじゃありませんっ!!!///」

あずさ「あら?違うの…?」

千早「ど、どうして残念そうなんですか…」

千早「た…確かに…私はあの時、春香に対して、その、感謝を込めてハンバーグを作りました」

あずさ「まぁ~////」

千早「だ、だからっ///最後まで聞いてくださいっ」

千早「実は私…春香に料理を教わっているんです。ハルカキッチン♪の話がくる前からですけど」

あずさ「まあ、そうだったの」

千早「普段あまり食事に気を使わない私を心配して、春香が…おかげで簡単なものなら、いろいろと作れるようになりました」

千早「だから、チャンスだと思ったんです、ハルカキッチン♪が。私が、春香に教わったことをハルカキッチン♪で披露して、春香に感謝を伝えたかった」

千早「春香には、料理のことだけじゃなく、ずっと、たくさん助けられてきたので…まあ、結果緊張し過ぎてうまくいきませんでしたけれど」

あずさ「うふふ、そうだったわね」

あずさ「でも、貴音ちゃんが言うように、千早ちゃんの感謝の気持ちは、しっかりハンバーグに込められていたのね。それはきっと、春香ちゃんに伝わっているわ」

千早「そうだと…うれしいです」

あずさ「千早ちゃんは、本当に春香ちゃんのことが…大好きなのね」

千早「…はい」

千早「だからこそ、私は、プロデューサーのところに行かねばなりません」

千早「私の大好きな春香の気持ちを踏みにじってきた、プロデューサーと話をしなければなりません」

あずさ「千早ちゃん!踏みにじるだなんて…プロデューサーさんは…」

千早「どんな理由があろうと、春香を悲しませるような人はっ…!!」

あずさ「…」

千早「…失礼します」




P「あー!!やっと終わった…!!」

P「あんの糞たれディレクター…後日正式に抗議してやろうか…」

P「いま何時だよ…一時!?」

P「春香の午後の収録が一時半から…くっそ!!」

P「と…とにかくタクシーを」

千早「プロデューサー」

P「うおっ!?千早!?!?なにしてんだこんなところで」

千早「…」

P「ち、千早?」

千早「事務所には、戻らないでください」

P「…なに?」

千早「一時半から収録の春香が、まだ事務所にいると思いますか?」

P「…」

千早「…」

P「…春香との約束だ。昼に間に合わなくても、春香を事務所で待たなきゃならない」

千早「あなたに…その資格があるんですか?」

P「…」

千早「ずっとずっと、春香を傷つけてきて…今日も…」

千早「もう中途半端な態度で、春香を傷つけないでください」

千早「仕事だからしかたないというのはわかります。でもなおさら、できない約束はするべきではありません」

P「…そうだな、確かに今日の予定だと、もともとギリギリだった。軽率だったよ」

千早「…春香は今日のこと、すごく楽しみにしていましたよ。昨日電話をしたんです」

千早「プロデューサーに、ハンバーグを食べてもらうんだって。それで、はっきりと自分の気持ちを伝えるんだ…って」

P「…」

千早「あなたに『可愛い』『結婚したい』と言われるたびに、春香は辛そうな顔をしていました。あなたの意図に気づいていたから」

千早「あなたは、気づかなかったんですね」

P「ああ、気づかなかった。気づけなかった」

P「でも、春香のアイドル活動のためになると信じてやってきたことだ。後悔はしてない」

千早「春香の…ため」

P「…だから今日、結論を出すんだよ」

千早「結論…ですか」

P「俺と春香の関係は、アイドルと、そのプロデューサー。それだけだ、ってな」

千早「!?あなたは…!!」

P「それでいいんだよ。いま以上の関係にならないことが、春香のためになる。俺はいまもそう信じてる」

千早「また…春香を傷つけるんですか」

P「…そうなるな。でも、それで終わりだ」

千早「…」

P「これで最後だ、俺が春香を傷つけるのは」

千早「…最後に一つだけ」

P「ああ」

千早「…プロデューサーは、春香のことを…」


P「…愛してる。男として」


千早「…そう…ですか」




春香「お疲れ様でしたー!!」

春香「はぁー、収録長引いちゃった…わわっ、もうこんな時間…」

春香「事務所戻ったら、誰かいるかな…?」

春香「…プロデューサーさん、結局間に合わなかったな…」

prrrr

春香「あ、電話…千早ちゃんだっ」

春香「もしもし、千早ちゃん?」

千早『春香…収録長引いてるみたいだけど…大丈夫?』

春香「うん、いま終わったよ。千早ちゃんは事務所?…なわけないか、こんな時間だもんね」

千早『…いえ、事務所にいるわ。よかったらいっしょにお夕飯にしましょう。事務所で待ってるから』

春香「ほんと?やった!じゃあすぐ戻るね」

千早『ええ…』

千早「…」

千早(ごめんなさい、春香)

千早(私には、どうなることが春香の最善なのか、わからない)

千早(きっと、それを一番わかっているのは…プロデューサーなのね)

千早(私ではなく…)

千早(春香とプロデューサーの関係に…嫉妬したりもしたけれど…)

千早(春香…あなたが、私がプレゼントしたお揃いの指輪を、右手の薬指にはめてくれているだけで…)

千早(私は幸せよ…)

千早(だから…あなたにも幸せになってほしい)

千早「春香…がんばって」

春香「ただいま帰りましたー!!」

春香「ちーはーやーちゃん…てあれ?いないのかな…」

P「おかえり、春香」

春香「わっ!プロデューサーさん!?どうしてまだ事務所に…」

P「約束…破っちゃったからな」

春香「あ…そんな、あんなの、気にしなくていいのに…」

P「あんなのとはなんだ。俺にとって春香との約束は…」

春香「…」

P「…いまのは、ふざけて言ったんじゃないぞ」

春香「えへへ、わかってますよ」

春香「ところで…千早ちゃんは?」

P「千早?直帰したはずだけど」

春香「千早ちゃん…そっか…」

春香(ありがとう、千早ちゃん)

春香「…プロデューサーさん、晩御飯食べました?」

P「いや。というか昼からなにも食ってない」

春香「ええっ!?だ、だめですよ!体壊しちゃいますっ」

P「いやだって…春香の弁当食べたかったし…」

春香「あぅ…//////」

P「…あ、いまのもふざけてないからな」

春香「も、もうっ、いちいち言わなくてもいいですよぅ/////」

春香「じゃあ…えっと、お弁当、食べてくれますか…?」

P「ああ、もちろん」

春香「えへへ…あ、せっかくだからハンバーグ、チンしてきますねっ」

P「あ、うん」

P「…」

P(チン、してくれるのか!…とは、さすがに言わない紳士な俺)

春香「お、お待たせしました」

P「わっほい」

P「おお…これは…」

春香「ど、どうしました?」

P「いや…ハンバーグはもちろん、弁当としての見た目の完成度がすげーな…」

春香「えへへ…」

P「そしてこの…桜でんぶのハートマーク…露骨に愛情を表現してきたな…」

春香「本気ですからっ」

P「…じゃあ、いただきます」

春香「ど…どうぞ」

P「…」パクッ

P「…」モグモグ

春香「…」ドキドキ

P「…」モグモグ

P「…」ブワッ

春香「!?」

P「おいしいよぉ~…おいしいよぉ~…」ムシャムシャ

春香「ぷ、プロデューサーさん!?」

P「春香が俺のために作ったハンバーグなんか、うまいに決まってるよぉ…」ムシャムシャ

春香「どうして泣いてるんですかっ」

P「だってお前…昨日の夜から、俺がどれだけ春香の弁当を楽しみにしてきたと思ってるんだ…」ムシャムシャ

春香「プロデューサーさん…////」

P「それをよぉ~…あの糞たれのディレクターがよぉ~」ムシャムシャ

春香「…よしよし」ナデナデ

P「…春香のなでなで…マジ最高…」ムシャムシャ

春香「もう…////」

P「…」

春香「…好きです、プロデューサーさん。大好きです」ナデナデ

P「…ごめん」

春香「…」

P「春香の気持ちには答えられないよ」

春香「…」

春香「お…おかしいな…いっぱい、いっぱい愛情込めた、はずなんだけどな…」ウルウル

P「ちゃんと伝わってるぞ、春香の本気の気持ち。このハンバーグは世界一のハンバーグだ…ハンバーグソムリエの俺が言うんだから間違いない」

春香「…なんですか、ハンバーグソムリエって…」グスッ

P「知らん」

春香「ふふ、ふふふ…」グスグス

P「…俺はこうみえてな、嫉妬深いんだ。ファンにちやほやされる春香なんて、本当は見たくない」

春香「…」

P「でも、それがアイドルで、それが春香の夢で、それが春香の、これからのあるべき姿なんだ。だから、俺は春香の恋人にはなれない」

春香「…はい」

P「だから…これからも、春香のプロデューサーでいたい。春香を一番輝かせることができる、プロデューサーでいたい」

春香「…はい」

P「…春香」

春香「…?」

P「…愛してるぞ、春香」

春香「…はいっ」

翌日




P「…」

P「…よし」

ガチャッ

P「おはようございまーす」

亜美真美「兄ちゃんおっはよー!」

P「お、亜美真美。今日はショートパンツか。太ももがせくちーだな」

真美「はっ!?兄ちゃんのセクハラの魔の手がついに真美たちに!?」

亜美「これはりっちゃんにチクるしかないっしょー!」

P「ふはは、もうなにも怖くない」

千早「…プロデューサー」

P「お、千早か。おはよう」

千早「春香から…聞きました」

P「そうか…」

千早「…プロデューサーも、春香と同じ顔をしますね」

P「ん?」

千早「辛いのは…春香だけじゃなかったんですよね…すみません」

P「いやぁ…別に、俺のことなんかいいよ。…春香はなんて?」

千早「泣いてました。ただひたすら」

P「そっかぁ…あー…口聞いてくれなくなったらどうしよう…生きていけない…」

千早「ふふっ…プロデューサーったら…それは無いと思いますよ」

P「え?」

春香「今日もお弁当作ってきました!今日は春香特製から揚げですよ、から揚げ」

P「なにっ…から揚げだと…!?」

春香「はいっ!今回も、愛情たっぷりです!!」

P「お、おいおい春香、その話は昨日…」

春香「プロデューサーさん」

P「はい」

春香「私、あきらめるなんて言ってません」

P「…はい?」

げえええ!順番間違えた!!こっちが先!!!


ガチャッ

春香「おっはようございまーっす!!!!」

P「うおっ…春香」

春香「あ、プロデューサーさん、千早ちゃん!おはようございます!!」

千早「ええ、おはよう」

P「お、おはよう」

春香「プロデューサーさん!!」

P「えっ、なに?」

春香「今日のお昼は空いてますか?」

P「…ん?」

春香「今日もお弁当作ってきました!今日は春香特製から揚げですよ、から揚げ」

P「なにっ…から揚げだと…!?」

春香「はいっ!今回も、愛情たっぷりです!!」

P「お、おいおい春香、その話は昨日…」

春香「プロデューサーさん」

P「はい」

春香「私、あきらめるなんて言ってません」

P「…はい?」

春香「昨日のハンバーグで、やっとプロデューサーさんのほんとの気持ちが聞けたんです。だから、ここで終わりになんてできません」

P「あー…」

春香「だから、これから毎日お弁当を作ります!毎日食べてくれなくてもいいです。私のお弁当が恋しくなったら食べてください」

P「春香…それは卑怯だ…春香の弁当なんて、毎日食いたいに決まってる…」

春香「今までずっと卑怯だったのはプロデューサーさんですっ」

P「そうでした」

春香「だからこれからは、私の番です」

春香「結婚したいアイドルNo.1の実力を、見せてあげますから!」

P「…」

千早「観念したらどうですか、プロデューサー」

P「…」

P「俺は…から揚げにはうるさいぞ…から揚げソムリエ的なところあるからな」

春香「ふふっ、臨むところです」

春香「ハンバーグでもから揚げでも肉じゃがでも、なんでも作っちゃいます」

春香「だからいつか」

春香「本気で『結婚したい』って、言ってくださいね♪」

P(わははちょーかわいーもうだめだー)



ハンバーグソムリエP、陥落



春香「天海春香の、ハルカキッチン♪」

春香「今週も、愛情いっぱいでお送りしちゃいますっ♪」

客席「うおおおおお!!!」

客席「春香ちゃあああん!結婚してくれぇぇ!!!」


P「…」

P「馬鹿どもめ…春香の愛情は俺のもんだ…」

P「…春香、早く、年取れよ」

P「お前がアイドルできなくなるまで俺がそばにいてやる」

P「そっから先…春香がアイドルじゃなくなったら…」

P「俺のプロデュースが終わった、その時は…」

P「毎朝、俺のみそ汁を作ってくれよな」


こうして、ハンバーグソムリエPとスーパー超天使アイドル天海春香の戦いは終わった!!
だが、いつかアイドルでなくなるその日まで!!天海春香の活躍は終わらない!!!
がんばれ春香!!負けるな春香!!!
完!!!!!!!!

読んでくれた人ありがとう
本当の春香さんは腹黒でもキチガイでもないんだぞ!ってことを主張したいがために始めたシリーズでした
満足した

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