友「女になるらしい」(214)

男「なんだよそれ」

友「いや、だから、俺が女になるらしいんだよ。海外のニュースとか見なかったか?男が女に変態したってやつさ」

男「あー…見たことある」

友「この前病院いったらさ」

男「何で急に病院なんていったんだよ」

友「ん?ああ、何か最近ココの調子が悪くてさ泌尿器科に行ったんだよ」

男「お…おお…そうだったのか」

友「そしたら何か精密検査受けることになって、デカい病院に行ってさ」

男「それでわかったということか」

友「そういうこと」

男「女になるってのに大したことなさそうな感じだな、お前」

友「別に、女になるだけだろ?」

男「結構大変なことだと思うんだけどな」

友「そうか?」

男「俺がお前の立場だったら、もっと焦ってると思うぞ」

友「そうだな。それなら面白そうだったな」

男「いや、面白い面白くないの問題じゃないだろ」

友「そういうことで、またしばらく休むことになるから」

男「今度学校に来るときは、もう女になってるってことか」

友「なんでも、前例だと性格や考え方まで女っぽくなるらしいが、そうなってもよろしく頼むわ」

男「ああ、わかったよ」

友「じゃあ、またな」

男「おう、またな」

男「さて、あいつが帰ってくるまであと一週間か……」

友「おはよっ」

男「………お、おはよう。予定より帰ってくるの早かったな」

友「ん?一発でわかかったのか。なんかつまらないな」

男「何年の付き合いだと思ってんだよ。それに男子制服着た女子なんて、この学校にいないからな」

友「あー、そこでバレたのか。でもスカートははきたくなかったからな」

男「だろうな。流石のお前でもいきなりは抵抗あるだろ」

友「いや、寒いだろ」

男「夏だっだったらスカートだったってのかよ」

友「かもな」

男「予定では学校来るの一週間後じゃなかったか?体は大丈夫なのか?」

友「ん、ああ、この一週間は準備期間みたいなものだったからな。それに家にいたくなかったし」

男「ああ…お前の兄さん受験生だったしな」

友「試験は終わったぞ」

男「あれ?でもまだ……」

友「もう3月だぞ。何言ってんだ、お前」

友「でだ、お前もよく知ってる通り、家は面倒臭い家庭なんだよ」

男「お前んとこの親はお前の兄貴の勉強に力いれてたもんな」

友「そうそう、兄貴も親父達の期待に応えるべく頭おかしくなりそうな位してたしな」

男「でも受験は終わったんだろ?一段落ついたことだし、居づらいってことはないだろ」

友「俺に構ってくるんだよ……前まではほぼ野放し状態だった俺に執拗にさ……」

男「いいじゃん。お前の一大事なんだし」

友「受験終わったから、兄貴まで俺にまとわりついてくるわけ……」

男「何が駄目なんだよ」

友「苦手なんだよー…そういうの…」

友「あーあーあー、声も完全に女になってるな」

コンコン

友「ん?」

ガチャッ

兄「お…おっす、どうだ調子は?」

友「別に問題ないな」

兄「何か欲しいものとかないか?俺これからバイトしようと思うんだけどさ」

友「バイト……?親父達がよく許したな」

兄「勉強さえしっかりするならいいってさ」

友「でも急になんでだよ」

兄「いや…今まで構ってやれなかったからさ………」

________


友「てな感じで気持ち悪いんだよ」

男「いや、だから何が駄目なんだよ」

友「いや、他にもあるんだよ」

男「他にも?」

友「お兄ちゃんって呼んでくれとかさ」

男「別に呼んでやればいいじゃん」

友「嫌だよ。あとは、もっと女の子らしく話しなさいとか」

男「あー………ってそういえば、お前」

友「なんだ?」

男「女になったら性格も女っぽくなるんじゃなかったのか?」

友「あー、うん、それな」

友「なんか前例だと、体が女になったら自然と性格も変わるらしいんだけど」

男「お前、変わってないじゃん」

友「難しい話でよくわからなかったんだけど、女の体で男の心だと普通の人はストレス感じるらしいんだってさ。
それで、そのストレスから心を守るために自然と女っぽくなるとか」

男「お前はストレスを感じなかったと」

友「それは知らんが、どうでもいいとは思ってるな」

友「だから言っただろ。面白くならないって」

男「面白い面白くないは別として、お前はお前ままだってことなんだな。安心したわ」

友「そう簡単には変わらないって」

男「身体は変わってるだろ」

友「そうだったな……しかし、学校に来たらもっと周りから絡まれると思ったんだが、意外と皆大人しいな」

男「先生方の教育のおかげだ。今お前はとても精神が不安定な時期らしいから、あまり騒ぎ立ててやるなだってよ」

友「そうか。まぁ、絡まれるのは嫌いだから、結果よかったけどな」

男「皆内心、お前と話たくてウズウズしてるだろうな」

友「うわー…それは嫌だな…」

男「で、どうだったんだ?女になるときって」

友「グロかったな」

男「グロかった?どういう意味だ」

友「肉片が飛び散ったよ」

男「え?お、おい!大丈夫なのか?」

友「大丈夫大丈夫。痛かったけど」

男「本当に大丈夫か?」

友「大丈夫だって言ってるだろ。この通り身長が縮んでるだろ?物理的にそのぶんが無くなったんだよ」

男「……そうか、女になるって大変なんだな」

友「飛び散った肉片なんかはさ看護士さん達が金属のトレイみたいなのにのせてってさ」

男「わー、そういう生々しいの聞きたくない」

友「そうか?まぁいいや」

男「その後の話聞かせてくれよ」

友「その後?その後は普通に寝てただけだよ。ああ、病室は豪華な個室だったな」

男「マジで?」

友「なんか、国が全面的にお金だしてくれてさ。ほら、日本で女になったのって俺が初めてだろ」

男「なんか凄いな……」

友「この制服や新しく買ったものも国から貰った金だし」

20分

男「話だいぶ変わるが、言葉使いは変えたほうがいいんじゃないか?」

友「お前まで兄貴みたいなこと言うのか…」

男「いや、だってずっとその性別なんだろ?ずっと俺のままってわけにはいかないだろ」

友「……そうだな。まぁ、社会に出れば目上の人は俺とか言えないだろうし、一人称くらい変えてみるかな」

男「そうだな」

友「じゃあ、これからも私をよろしく」

男「お……おう」

友「照れたのか今」

男「う………うん」

友「さて、結局今日はお前以外の奴とは会話しなかったわけだ」

男「皆、何て声かけたらいいかわかんないんだよ」

友「普段から話し合う中でもないしな」

男「そう寂しいこと言うなよ」

友「私にはお前しかいないよ」

男「………」

友「そう照れてくれると、狙ってやったかいがあったってもんだよ」

男「……変わんねえな、お前」

友「ははっ、とりあえず今日は久しぶりにお前の家に遊びにいくことにするよ」

男「え……来るの?」

友「何で嫌がるんだよ」

男「女の子なんて家にあげるの初めてなんだよ」

友「………はぁ?」

男「俺はお前と違って繊細なんだよ。今だってなんとかいつもの感じで話しているけど、内心ドッキドッキだから」

友「そうか」ペタッ

ドキッドキッドキッドキッドキッ

友「本当だ。はちきれん勢いだな」

男「………だからさ、そういうボディタッチやめてくんないかな?」

友「面白いな」

男「…真面目にやめて」

友「私はいたって平常心なわけだけど」

男「凄いよ……素直に感心するよ」

友「確かめてみる?手で」ポンポン

男「いやいやいやいや」

友「急拵えだからたいして大きくないが、一応形はしっかりしてるから」

男「だから、触らないって」

男「で……本当に来るの?」

友「だってさ、家に居たくないんだよ。家族がしつこいから」

男「愛されてるってことだろ」

友「女になったとたんに何だぜ。それまで放っておかれていた身としては納得できない」

男「寂しかったんだろ?素直に家族愛を感じに帰れよ」

友「いや、寂しくはなかったぞ。自由にやれて楽だったし」

男「知ってるよ………ただ今は家に来てほしくないからそう言ったんだよ」

友「なによそれ!私とあなたの友情はそんなものだったの!?」

男「え?なに?」

友「やっぱり、男と女の間になんて友情なんてあり得なかったのね!」クルッ

男「……なにこれ」

友「………」

男「………」

クルッ

友「…引・き・止・め・ろ・よー。友情ポイントマイナス1な」

男「なんだよ、今の小芝居」

男「はぁ…結局部屋にあげてしまったよ……」

友「面白いな。お前の母さん」

男「面白くねえよ…」

友「お前の家では、私はお前の恋人になってるみたいだな」

男「小学校前からの付き合いだからってな……」

友「元男ってところは気にしないんだな」

男「なんであの家族の中で俺だけこんな損な性格なんだろうな……」

友「決めたよ。女子制服にチャレンジしてみる」

男「急にどうした」

友「お前の反応が面白くてな」

男「そんな理由なら止めてくれよ……寒いんだろ?」

友「まだ寒いが、もうすぐ春だ。それよりお前の反応を楽しみたい」

男「やめろよ………ただでさえ可愛いんだから」

友「……今なんて言った?」

男「……何も」

友「俄然やる気が出てきた。頑張ってお目かしするぞ」

男「聞こえてただろ」

友「当たり前だろ」

次の日

友「どやっ」

男「あー…可愛い可愛い…似合ってんぞ」

友「可愛いって言われると案外気分がいいもんだな。女子が必要以上におめかしするのもわかる気がするよ」

女「あのー…」

友「何か用?」

女「女の子になってみた感想とか聞いていいかな?」

友「昨日まではどうとも思わなかったけど、案外いい気分だよ」

女「もう一つ聞きたいんだけど……あ、これは二人ともにね」

男「ん?俺にも?」

女「二人は付き合ってるんだよね?」

男「………は?」

友「恋人関係かということなら違うな?」

女「で、でも…仲良いし…」

友「友達だからな」

男「親友だし」

友「むしろ心の友だな」

女「…えー、そんなことないでしょ?」

友「この子は何がしたいんだ?」

男「俺達が付き合ってるってことにしたいんだろ」

女「じゃあさ、まだ友達以上恋人未満ってこと?」

友「ん?友達ってのは恋人より下なのか?」

男「俺はそうは思わないけどな」

女「じゃあ二人はどういう関係なの!」

男「世界で一番大切な友達」

友「多分一生来の友達かな。恋人なんてのは場合によっては数週間すら保たないもんだろ?それとは違うよ」

女「じゃ、じゃあ、相手に恋人ができたらどう思う?」

友「わからんな。互いに恋人いたことないし」

男「今のお前は可愛いからすぐ恋人くらい出来るんじゃないか」

友「へへへ、そんな褒めるなよ」

女「ほ、ほら、そうやってイチャついてるじゃない!」

男「まぁ、イチャついてる感じは俺もするよ」

友「まぁ、それなりに狙ってやってるからな」

女「お互いに好きなんでしょ!そうなんでしょ!」

男「なんでそんなに必死なんだよ……」

友「はいはい大好き大好き」ムギュッ

男「あふっ……」

女「ほら抱きついた!ほら!皆見てほら!」

男「…こ…こういうのはまだ馴れないな」

女「なにやってんの!抱き返してあげないと!ほらっ!」グイグイ

男(……なにこれ)

ギュー ギュー

友「おお……これは幸せかもしれん……あれだな、女脳と女神経のおかげか」

男「…お前は恥ずかしいとか思わんのか」

男(……女というのは他人の色恋沙汰が大好きなんだな)

友(まぁ、いいじゃん。楽しいし幸せだし、友達のままでいてくれるのなら恋人も悪くはない)

男(アイコンタクトでここまで意思が伝わるとは……)

友(お前が不愉快でないなら、しばらくこのままでいたい)

ギュー…………

パチパチパチパチ

男「おい、この拍手何なんだよ!」

男「さて、教室に居づらくなってしまったな」

友「本当に神経質だな」

男「お前がノー天気すぎるんだよ」

友「さて、今日もお前の家に行くとしようか」

男「駄目だな」

友「なんでだよ」

男「今日はお前の家だ」

友「えー………」

男「もう兄貴の受験も終わったんだろ?別にいいだろ」

友「苦手なんだよ、あいつら」

男「何時までも苦手じゃ駄目だろ。それに」

友「それに?」

男「昔はこういう風に、俺の家で遊んだら次はお前の家だったろ?」

友「あー…昔からインドア派だったな私達…」

男「そういうことはあまり言うな」

友「たまには外で遊ぼうか」

男「そんな金ないだろ俺もお前も」

友「今日は家に帰りたくないの……」

男「そんなに嫌なのか?」

友「おい、今の演技はスルーか」

男「嫌なのか?」

友「嫌っていうよりは馴れないんだよ」

友の部屋

友「お前、女の部屋に入るの初めてだろ」

男「そうなんだよ。緊張してんだよ」

友「まぁ…部屋に関してはほぼ変わってないけどな」

男「でも、お前の部屋きたの久しぶりだよ。前にきたのいつだったかな」

友「兄貴が勉強漬けになる前だからなぁ」

コンコン

兄「入っていいかい」

友「噂をしてたら、きたか……」

男「お前の兄貴に会うのも久しぶりだな。なんか緊張してきた」

兄「ははっ、久しぶりだね」

男「あ、はい。お久しぶりですね」

兄「何を話したらいいんだろうか……」

友「話すことないのに入ってくるとはな」

男「いや、別にいいだろ。兄弟なんだし」

兄「いいんだよ。しばらく自分のことで手一杯だったし……兄っぽいことなんてしばらくやってないし」

男(おい、可哀想だろ。なんとかしてやれよ)

友(嫌だよ…第一何をすれば……)

男(だから…ここはお前が…)

友(……マジで?そんなことしなくちゃいけんの?)

男(お前、小芝居得意だろ)

兄「うん、じゃあ俺は出てくよ」

友「待ってお兄ちゃん」

兄「何かな?……………え?今……」

友「お兄ちゃん…今まで勉強大変だったでしょ?」

兄「いや、別に…それより、お兄ちゃんて……」

友「お疲れ様。やっと一段落ついたね。大学に入っても勉強大変だろうけど頑張ってね」

兄「う、うん。頑張るよ」

男(さぁ、兄貴の胸に飛び込んでこい)

友(……はぁ?嫌だよ)

男(幸せを抱きしめて来いよ。抱きしめられるの幸せだって言ってたじゃん)ポンッ

友(……お前、覚えとけよ)

友「お兄ちゃん!」ガバッ

兄「えっ?」

ギュー

友「お兄ちゃんのこと大好きだよ…」

兄「……う…うん、ありがとう。俺も大好きだよ」ポンポン

男(ほら、幸せそうな顔してんじゃん)

友(………はぁ?)

男(お前、昔はお兄ちゃんっ子だったしな)

友(昔のことだよ)

兄「さてと、なんか恥ずかしいとこ見せちゃったね」ナデナデ

友(恥ずかしいと思うなら頭を撫でるな)

男「いや、なんか家族愛っていいなって思いました。自分一人っ子なんで」

兄「なに、すぐに俺の弟になるんだし」

男「あ…はい?」

友「……はぁ」

兄「え?そういうのじゃないの?」

兄「いや、でもさ、君なら信頼できるし、大切な妹も任せられるし」

男「まだそういう関係じゃないんです」

友「……面倒くさいなこいつ」

兄「あ、あれか、恋人未満友達以上とかいうアレかい?」

男「なんて言うんでしょうかね?妹さんのことは大切に思ってます。友達として」

友「恋人以上の友達だってことだ馬鹿」

兄「よくわからないこど……君に妹のことを任せておけば間違いないってことだね。安心したよ」

友「はぁ…これから家に益々居づらくなる」

男「お前が落ち込んでるとは珍しいな」

友「これも女になったせいなのか?」

男「関係ないだろうな」

友「で、これから私達はどうなるんだ?兄貴から親に話はいくだろうし、あの親共なら喜んでお前を迎えるだろうし」

男「両家公認カップルになってしまったな……」

友「クラス公認でもあるしな」

友「もう…結婚しよっか…」

男「……話飛びすぎじゃないか?」

友「じゃあまずは友達から」

男「もう友達だろ」

友「掛け替えのない?」

男「唯一無二の」

友「絶対無敵の?」

男「それは何か違う。にしても、俺達気持ち悪いくらいに友達だな」

友「付き合っても、結婚しても友達だろうな」

男「それはそれでいいんじゃないか?」

友「あ、駄目だ」

男「何がだよ」

友「セックスしたらセフレになるじゃん」

男「おまっ、おいっ……」

友「セフレは駄目だろ。体だけの関係っぽいから心の繋がりが感じられない」

男「け、結婚したら問題ないだろ。友達夫婦とか言うし」

友「それは友達っぽい夫婦じゃなくて、夫か妻の友人の夫婦って意味じゃないのか?」

男「まぁ、いいじゃん。お前可愛いし」

友「ははっ、今それ関係ないじゃん」

男「まぁ取りあえず。いつまでたっても俺とお前は友達だってこと」

友「流石だな。男同士だったころはホモ疑惑が立っただけはある」

男「よし、取りあえずこれからのことを考えよう」

友「これから?」

お前の兄貴に勉強教えてもらってだな。

嫌だよ。

一緒にいい大学入ろうぜ。

そうだな、夫にはいい会社はいってもらわんと。

安定するまで共働きな。

おーおー、任せろ任せろ。

友情エンド

逆パターン

友「女になるらしいって言われても実感ないな。まぁ、あいつが女になろうと俺は変わらず友達だと思ってやれるし」

ブーン ブーン

友「メールだ。あいつからか……」

件名 本当に女になった

本文 本当に女になってしまった。頭の中がごちゃごちゃで何をしたらいいかわからない。

助けて。

友「……親友が助けを求めているな。助けるしかないだろこれは」

男の家

元男「………」

友「随分とかわいらしくなったな」

元「どうしよう……」

友「オスからメスになる際に優れたメスになるってのは生存競争的には正解なんだろうな」

元「私…本当に女になっちゃった……」

友「なんか口調おかしくないか?」

元「そうなの……気持ち悪いでしょ……」

友「いや、あざとすぎず丁度いいと思うよ」

元「私…これからどうしたら……」

友「とりあえず、気持ちの整理をする期間はあるんだ。場合によってはもっと休めるだろうしね。
落ち着いてから学校に来ればいいよ」

元「うん……」

友「俺も毎日来てやる」

元「ありがとう」

友「何言ってんだ。友達だろ?」

友「でだ、女になってみた感想は?」

元「落ち着かない」

友「そういうもんなんだ」

元「だって……無くなるし……有るし…」

友「何が?」

元「それは……」ゴニョゴニョゴニョ

友「聞こえない」

元「………馬鹿」

友「………ヤバいなんかやりづらい、この子」

元「………」

友「機嫌直してよ。むしろこんぐらいで機嫌悪くしないで」

元「……そうだね。友達だもんね」

友「じゃあさ、女になるときってどんな感じだった?」

元「なる時?……………ウプッ」

友「どうしたの?口元おさえて?顔色も悪いよ」

元「………」フルフルフル

友「ああ、思い出したくないんだ」

元「………」コクコクコク

友「悪かったね。そんなに嫌なことだったとは思わなかったよ」

友「じゃあ、なった後、その後のこと教えて」

元「………」

友「ごめん。まだ、気分悪いみたいだな。吐きたいなら吐いたほうがいいよ」スリスリ

元「……大丈夫。なんとか。なった後は大したことはなかったよ。」

友「そうか」

元「あ、病室が凄い豪華だったのは覚えてる。ちょっと嬉しかった」

友「よかったな」

友「(俺が)女になるらしい」
友「(男が)女になるらしい」

友「身の回りのものとか買った?」

元「うん、国から助成金だとかいうのが出てるらしくて、それで色々と」

友「学校の制服とか衣類も?」

元「うん、スカートはくの初めてだからドキドキする」

友「じゃあ下着も女物の買ったんだ」

元「…う…うん、初めてスリーサイズ計ったよ」

友「生理用品も忘れてないよな?」

元「………」

友「人によって重い軽いがあるらしいね。軽いといいね」

元「………」

友「え?なんで怒ってるの?何か変なこと言った?」

元「あのね……私もなったばかりで、こんなこと言うのもなんだけど………」

友「あ、はい」

元「あ、違う。多分私が男のままでいたとしてもおかしいと思うよ、今の発言は」

友「……今の発言って?」

元「女の子に下着の話とかしちゃダメ。生理用品の話とかも」

友「でも、大事なことだろ?」

元「…わかってる。あなたがそういう人だってのは昔からわかってるけど」

友「うん」

元「……なんて言ったらいいの?」

友「わかった。わかったから泣きそうになるな親友」

友「今、お前が大変な状態だってのは理解した。俺こんな性格だけどさ、親友のためなら直せるとこは直すよ」

元「……ありがとう」

友「ほら、泣くなよ。可愛いんだから」

元「…あ……うん…」

友「なんか顔赤いな。熱あるのか?」

元「え?ちがっ、違うよ」

友「青くなったり赤くなったり信号機みたいだな」

イエローモンキー

友「というわけだ兄貴。俺はどうしたらいいんだ」

兄「うーん…取りあえずデリカシー無さ過ぎじゃないかい?」

友「デリカシーねぇ」

兄「あの子にとって今一番頼れる存在は友達である君なんだから、しっかりしてやらないと」

友「しっかりと言っても具体的に何をしたらいいんだよ」

兄「人の気持ちを理解してあげないと」

友「……あいつが男のときだったら、何を考えてるかだいたいわかったんだけどな」

兄「今は女の子なんだ。仕方ないね」

友「難しいもんだな」

兄「それはそれと、昔みたいにお兄ちゃんって呼んではくれないのかな?」

友「兄貴に相談したけど駄目だったわ。頼りにならんよあいつ」

元「でも、お兄さんと仲直りできてよかったね」

友「別に仲が悪かったわけじゃない。ただあいつが自分のことで手一杯だっただけだしな」

元「いいなー…私もお兄さん欲しかったなぁ」

友「別にそんな良いものじゃないって」

友「そういえば、だいぶ落ち着いてきた感じがするな」

元「流石に馴れてきたよ。この体にもね」

友「風呂とかトイレとかも、もう大丈夫ってことか」

元「もう………相変わらずだね。私の友達は」

友「ごめん、つい」

元「そんなに気になるの?私がお風呂やトイレに入るときの様子が」

友「興味はある」

元「……お風呂とかはもう普通に入れるよ」

友「そうやって周りのことに馴れていけば大丈夫」

元「ひとつ……気になることはあるけど……」

友「何?」

元「お風呂に入ると嫌でも気になっちゃうの……ちっちゃいのが……」

友「えーっと………わかった。胸の発育具合が気になるんだな」

元「……やっぱりちっちゃいと思う?」

友「気になるもんなのか?」

元「わかんない……私が元男だったからかもしれないけど」

友「まぁ、最初の変態のときは時間的にもその位の大きさまでにしかならないんだってよ。
そこからちゃんと成長するから安心しとけ」

元「そうなんだ。詳しいね」

友「色々調べたからな。何か役にたつかもと思って」

友「他に気になることは?前例数件だけど色々調べたから力になれると思うよ」

元「もうないよ……」

友「ほんとに?」

元「う……うん」

友「ならいいや」

元(言えないよ……なんで私の胸の鼓動がこんなに高鳴ってるのかなんて……)
ドキッドキッドキッドキッドキッ

元(なんでなの?だって……友達なのに……女になったせい?)

友「ついにあいつが登校してくる日か……」

チョンチョン

友「ん?」

元「……おはよっ」

友「おはよっ」

元「どうかな?変じゃないかな?女子制服………」

友「間違いなく似合ってる」

元(…う…うれしい)

元「………」キョロキョロ

友「どうした?」

元「周りが静かだなって……私、こんなことになったし、物珍しさで騒ぎになるんじゃないかって……」

友「何でだろ?」

元「何か知らないの?」

友「なんかホームルームのときそういう話してた気がするけど、話を聞いてなかったから」

元「先生の話はちゃんと聞かなきゃダメでしょ」

友「トイレとか着替えはどうするんだ?」

元「……どっちも職員用のを使うことになってます」

友「あ、丁度トイレに行きたくなってきた……」

元「行けばいいでしょ……」

友「でもさ、学校生活不安なんだろ?そばにいてあげたいし……」

元「トイレくらいの間大丈夫だから……早く行ってきて」

友「大だよ。時間かかるよ」

元「わかったから………」

ポンポン

女「お久しぶり」

元「あ、はい…お久しぶりです」

女「あなた今恋してるでしょ?」

元「………え?あ、ああ、わ、わかりますか?」

女「恋する乙女の目をしてるもん」(キリッ

元(わかるものなんだ………すごいな本物の女の子って)

元「あ…あの…どうしたらいいのでしょうか?」

女「え?どうしたらって………」

元「恋を実らせるにはどうしたらいいのでしょうか」

女「………どうしたらいいんだろうねえ?」

元「……え?」

女「ごめんね……私にもわかんない」

元「そうなんですか……」

女「あの、何で敬語なの?」

元「恋愛の先生だと思ったから……」

女「素直に気持ちを伝えてみたらいいんじゃないかな?」

元「今の関係が崩れたりしないかな…」

女「崩れちゃう?現状脆そうな関係の人?」

元「ううん、そんなことないけど」

女「じゃあ想いを伝えてみたら?」

元「そ…そうしようかな……」

友「すっきりした」

元「好きっ!」

女(タイミング……どういうタイミングなのコレ…)

友「ん?すっきりしたって俺は言ったんだけど」

元「私は好きって言った」

友「何が好きなの?」

元「あなたのこと」

友「俺も好きだよ」

元「本とうに……?」

女(成功!?すごいじゃない!?)

友「好きだよ。だって友達だろ?」

元「え……あ…うん…」

元「あの…私の好きは…異性として」

友「俺にとっても一番好きな異性だけど」

元「…でも、友達なんでしょ?」

友「うん。世界で一番好き。なによりも」

元「い…一番かぁ……」

友「どうした?」

元「一番ならいいや」

女(………これは、成功なの?失敗なの?)

元「ありがと。なんだかよくわからない結果になったけど満足してる」

女「お…おめでとう」

元「私…世界で一番だって……」

女(幸せそうだしこれでいっか)

元「私ね、あなたといるとドキドキするんだけどね」

友「俺はね、君といるとすっごい穏やかな気持ちになれるよ」

元「本当だ…こうやって耳をあてるとあなたの心臓の音がきこえる……ゆっくりゆっくりときこえる」

友「じゃあ交代」

元「交代!?」

友「今度はそっちの心臓の音を聴かせてよ」

元「い…いいよ」

友「うわぁ…速い速い速い速い…」

元「何でこんなことで悩んでたんだろ……」

友「ん?」

元「大好きな気持ちは変わってなんかなかった……ただ単に私が男から女になっただけ」

友「友達だからな」

元「じゃあ親愛なる友人さん」

友「なんだい信愛なる友人」

元「ギュって抱きしめて下さい」

友「お安いごようで」

ギュッ

元「じゃ…じゃあ、次はききき、キッシュを……」

友「いっておくけどな」

元「は、はい」

友「流石に男のままだったらこんなことないからな」


本当に終わり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom