さやか「バイオリン仮面・・・一体何者なの?」【後編】変身形態の物語 (249)


このスレはさやか「バイオリン仮面・・・一体何者なの?」【前編】タキシードの物語
さやか「バイオリン仮面・・・一体何者なの?」【前編】タキシードの物語 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379748631/)
の後編の物語です

前編を見て合わないと感じた方はお戻りください。


一応旧バイオリン仮面に比べて追加シーンあり。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383227872

やべえwトリバレしたwww
なりすましが出現したらそれから考えるからとりあえず放置

~避難所~

恭介「さやかと向き合いたくないんだ・・・もう僕には・・・
さやかを笑顔にできる演奏は出来ないのに・・・」


恭介「でも・・・さやかと一緒にいると弾かなきゃって思ってしまう・・・
さやかが僕を好きになってくれたのは・・・バイオリンがきっかけだったから・・・」


仁美「私は・・・押し付けませんわ。あなたにバイオリンを・・・」

仁美「さやかさんと違って・・・あなたを好きになったきっかけはバイオリンではありませんもの」


恭介「志筑さん・・・」

仁美「もしも・・・私を選んでくださるのなら・・・手を握ってください」

仁美「でも忘れないで・・・私たちはさやかさんを裏切って・・・
もう二度と後戻りできなくなることに・・・」


恭介「もう僕は・・・弾かなくていいのかな・・」

仁美「はい・・・楽になさってください」


恭介「志筑さ・・・いや・・・」


恭介「仁美さん・・・」


仁美「恭介さん・・・///」

仁美「・・・?固い感触?きょ・・・恭介さん・・・ナニを握らせてるんでしょうか・・・」

仁美「い・・・意外に大胆な方でしたのね・・・恭介さん・・・」


仁美「!!」




???「恭介のナニでは無い!!」



バイオリン仮面「それは・・・私の社会の窓だ!!」


駄馬アアアアアアアン!!



仁美「きゃあああああああああああああああああああ!?」



恭介「うわあああああああああああああああ!!な・・・なんだお前は!?」



バイオリン仮面「私の名は・・・バイオリン仮面!!たった一人の少女を救うため
手段を選ばない悪の怪人!!」


恭介「バイオリン仮面!?どこかで聞いたような・・・それよりも・・・悪の怪人!?」


仁美「へ・・・変質者・・・!!」

仁美「け・・・警察・・・いえ・・・病院に連絡ですわ・・・!」

仁美「この暴風で来てくれるかどうかわかりませんですけど・・・」


仁美「もしもし?」


カッチコッチカッチコッチ


仁美「お・・・押し間違いでしょうか・・・119を押したのに・・・時報が・・・」

仁美「そもそも時報はこんな秒読み音でしたでしょうか・・・」


バイオリン仮面「君の電話ではない!」


バイオリン仮面「それは・・・私の股間から出したメトロノームだ!」


仁美「!!」


メトロノーム「カッチコッチカッチコッチ」


ほかほか


バイオリン仮面「生暖かいだろう?」



仁美「いやあああああああああ!!不潔ううううううううう!!」


バシン!

バイオリン仮面「恭介・・・仁美さんは私が頂く」バッ

恭介「!?」

仁美「ちょ・・ちょっと何腕を回してるんですか!?人を呼びますわよ!!」





バイオリン仮面「仁美さんを取り返したくは私と勝負だ!!」

杏子「さやかが・・・さやかが魔女になっちまったっていうのか!?」

ほむら「間違いないわ」

マミ「そんな・・・」


杏子「くっ・・・」

ほむら「どこへ行くの?」


杏子「決まってるだろ。さやかの所さ」

杏子「魔女になったヤツはどうやっても元に戻せない。
それがあんたの経験してきた現実だとおもうけどな・・・」


杏子「あたしは・・・やってもみないうちから諦めるなんてしたくない」


ほむら「・・・」


ワルプルギス「アハハ・・・ウフフ・・・」ボロボロ・・・


ほむら「ワルプルギスの夜を倒す絶好の機会を逃すのよ!?」

杏子「わかってる!それでも・・・アタシはあいつの友達だから・・・」

ほむら「だからこそ問うのよ!!あなたはとどめをさせなくても後悔しないのね?」

ほむら「私には・・・その覚悟があるわ・・・友達を・・・
さやかを救うために・・・ワルプルギスを見逃す覚悟が」


杏子「・・・ほむら・・・あんた・・・」


ほむら「いまここでワルプルギスへの攻撃を止めれば・・・やつは自己修復して
この町を跡形もなく吹き飛ばすかもしれない」

ほむら「この町の人々全てを犠牲にしてでもさやかを助けたい者だけ着いてきなさい。
私は・・・そうするから・・・」


杏子「今更・・・ナニ言ってんだよ・・・ほむら・・・」


杏子「とっくに結論は出てるだろ?あいつを救えなくて後悔するくらいなら・・・
悪にだってなる。世界を敵に回してもいい」


杏子「あたしは・・・ほむらを含めてもう・・・誰一人欠けても嫌だから・・・な
この中の誰が魔女になったとしても同じことをしてるぜ」


ほむら「杏子・・・」


マミ「私も同じよ・・・正義の魔法少女なんて・・・こっちから願い下げよ」


マミ「あの子をひとりぼっちにするくらいなら・・・ワルプルギスが世界を滅ぼす方を選ぶわ」


ほむら「二人とも・・・ありがとう・・・」

まどか「まって!わたしもついていくよ!」


ほむら「まどか・・・」


まどか「着いてくるななんて・・・言わせないんだから・・・
さやかちゃんは・・・私の・・大切な友達なんだから・・・」


ほむら「いいえ・・・むしろ着いてくるべきだわ・・・」


ほむら「今までの時間軸で何度もやって駄目だったけど・・・呼びかけるしかないから・・・」


ほむら「私たち全員で届けるのよ・・・さやかへの気持ちを・・・」


ほむら「それが無駄だとか正しいからとかじゃない・・・さやかを助けたいからそうする。ただそれだけなのよ」

ほむら「もしかしたら全員無駄死にするかもしれないけど・・・さやかを見捨て生きるより・・・マシだから・・・」



ほむら「さやかを助けるために・・・死ねるかしら?」

杏子「当たり前だ」

マミ「正義よりも世界よりも・・・大事なものが出来ちゃったから」

まどか「うん!わたしも・・・もう何が正しいかなんて関係ない!さやかちゃんを助けたい!」


ほむら「行きましょう。さやかの・・・私たちの大切な友達の下へ・・・」

ほむら「世界中の誰もが彼女を見捨てても・・・私たちだけは彼女の傍に居ましょう」

OP:ヴァイオリン版【ルミナス】

http://www.nicovideo.jp/watch/sm19650889?ref=search_key_video

OPエンド

テロップ:九曲!!バイオリン仮面【後編】変身形態の物語


キュゥべえ「以上が美樹さやかを魔女にした理由及び経緯だ」

杏子「テメェ・・・」ガシッ


ほむら「杏子、そいつに時間を割いては駄目。はやくさやかの結界へ行きましょう」

まどか「待って!キュゥべえも連れて行って!
どうしても駄目な場合は・・・わたしがさやかちゃんを元に戻す願いをするから!」


ほむら「まどか・・・」


まどか「もう・・・契約させないなんて・・・言わないよね?」

まどか「ほむらちゃんにとっても・・・さやかちゃんが大事な友達なら・・・わかるでしょ?」


ほむら「・・・」


ほむら「ええ。解ったわ。でも・・・私たちは全てのグリーフシードが
無くなるまで諦めないつもりだから・・・」

ほむら「あなたが契約するのは全てを出し切ったその後の最終手段と約束してくれるかしら?」


まどか「うん!」

ほむら「何も心配しなくていいわ・・・もし契約してしまっても・・20歳までわたしが必ず守るから・・・」


マミ「ここね・・・」


~人魚の魔女結界~


マミ「キャンデロロ・・・結界中和」


ほむら「ホムリリー・・・結界侵食」


まどか「わっ!?結界の風景が変わっていくよ!?」

ほむら「私の魔女結界でさやかの魔女結界を上書きしたの」


ほむら「この空間での8時間は外の世界でも1時間にしかならないから・・・」

ほむら「できるならワルプルギスが修復してるうちに、さやかを取り戻したい。そしてもう一度ワルプルギスに向かう」

ほむら(事実は・・・いくら時間が合っても絶望的だろうけど・・・)


さやか(誰・・・誰なの・・・?)

さやか(あたしたちの演奏を邪魔しないで・・・!折角・・・恭介が立ち直りかけてるのに・・・!!)


杏子「気付かれた!」


杏子「来るぞ!!」



人魚の魔女「グアアアアアアアアア!!」


Oktavia_Von_Seckendorff デェン!(魔女文字)

さやか(こいつらが・・・あたしの結界を上書きしたやつら・・・)

さやか(許せない・・・恭介を元気付けるために作った楽団員を・・・消しやがって・・!!)


メキッ


ほむら「!?」


マミ「きゃああっ!」

杏子「さやか!思い出せ!そいつはマミだぞ!!」


ほむら「・・・従来のさやかの魔女より・・・攻撃が強力になっている!?」


キュゥべえ「強い魔法少女からは強い魔女が生まれる。当然だよね」

キュゥべえ「君達の特訓はさやかを魔女としても完成させてしまったのさ」

キュゥべえ「殺すつもりでやっても勝てるかどうかわからない相手に・・・
せいぜい説得をこころみて自滅するがいい」


まどか「さやかちゃん!恭介君のところへ戻るんでしょ!お願い!目を覚まして!」


さやか(なんだかひときわ小さいのにひときわうるさい奴がいるね・・・)

さやか(こいつを先に・・・握りつぶそうか・・・)


グググ・・・


まどか「さ・・・さやかちゃん・・・」


ほむら「さやか!!」

ボゴォン!

ほむら「あなた・・・何をやっているの!?自分がなにをやっているかわかってるの!?」

ほむら「あなた・・・まどかとの出会いを話してくれたわよね・・・」

ほむら「いじめられてるまどかを・・・助けたって・・・そのまどかを今度はあなたが殺そうとしたのよ!」


ほむら「お願い・・・悔しいけど・・・まどかが失って一番悲しむ友人はあなたなのよ・・・
私は・・・まどかの一番大切な友人にはなれなかったから・・・」

ほむら「私がいくらまどかへの愛を募らせても・・・昔からの友人にはなれなかった・・・
あなたに嫉妬していたの。だから・・・これからも嫉妬させなさい。
私の方がまどかを思っていると・・・自覚していたいから・・・」


ほむら「戻ってきてさやか!!いつもあなたは・・・まどかを悲しませてばかりだったけど・・・
もう・・・そんなの構わないの・・・」



ほむら「あなたは・・・私にとっても大切な友達・・・また・・・まどかと
一緒に・・・登校しましょう・・・ループ中は気にも留めてなかった他愛の無い話が・・・
あなたが盛り上げてくれる話が・・・私は・・・嫌いじゃなかった・・・」


ほむら「一番最初の時間で・・・勉強についていけなかった私に・・・ノートを貸してくれたよね・・・」


ほむら「お礼くらい・・・言わせて・・・お願い・・・帰ってきて・・・まどかのヒーローであるあなたに・・」


ほむら「さやか!!」


さやか(腕・・・壊れちゃった・・・)

さやか(恭介と同じになれた・・・ははは・・・嬉しい)


さやか(と思ったら・・・生えてきた)


杏子「さ・・再生しやがった!!」

マミ「私たちが美樹さんを強くしたから・・・回復力が再構築レベルまで強化されているの?」


まどか「さやかちゃん!」

まどか「わたし・・・さやかちゃんに守られてばかりで・・
いつの間にかさやかちゃんの悩みを聞いてあげること・・・忘れてたよ・・」

まどか「ごめんね・・・わたしが頼りなかったから・・・恭介君と喧嘩していたこと・・・
わたしに話せなかったんだよね・・・ゴメンね・・・」


まどか「わたし・・・本当の意味でさやかちゃんと友達になりたい!これからもずっと!大切な友達でいたい!」

まどか「だから・・・わたしに話して・・!!これからは助けられた分だけ・・・さやかちゃんの悩みを聞いてあげたい!」


まどか「お願いさやかちゃん!正気に戻って!また・・・学校行こうよ・・・お泊り会しようよ・・・」

まどか「仁美ちゃんも・・・恭介くんも・・・パパもママもタツヤも・・・いつも元気をくれる笑顔のさやかちゃんが
大好きなんだよ!」

まどか「もう自分の事を無力だなんて思わない!さやかちゃんと嬉しいことも悲しいことも・・全部分け合いたい」


まどか「さやかちゃん!!」

マミ「頼りないというのなら・・・私は先輩失格だわ・・」

マミ「私・・・無理してカッコつけてた・・・お姉さんぶってた・・・
本当は・・・恋なんて頭の中でしかしたことなかった子供だったのに・・・」


マミ「氷室さんのこと・・・気になるって言ったら・・・恋の先輩としてアドバイスしてくれたのは貴方だったわ」


マミ「私はじめから・・・魔法少女の使命のせいにして・・・他人に心を開くのを恐れていた・・・
もっと友達だったり・・・恋人だったり・・・使命なんて放っておいて外と関わっていたら・・・
あなたの支えになれたかもしれないのに・・・」


マミ「だって今ハッキリわかったんだもの・・・魔法少女の使命より・・・あなたが・・・貴方達が大切だって・・・」


マミ「ごめんなさい・・・頼りない先輩で・・・ごめんなさい・・・」

マミ「だから貴方が・・・先輩というよりは私の事は友達だって言ってくれたときすごい嬉しかったの・・・」


マミ「これからも・・・頼りないところみせちゃうと思うけど・・・叱ったり叱られたり・・・対等な関係で居ましょう」

マミ「あなたを見習っていたい。氷室さんが好きになるのもわかる程に・・・あなたは眩しかった」

マミ「そこにはもう・・・先輩後輩なんてない・・・」


マミ「留年だってなんだってしてあげるわ・・・私の親友として・・・あなたに戻ってきてほしいの・・・」


マミ「美樹さん!」

杏子「よく聞けよさやか!!あたしはな・・・あたしはな・・・」



杏子「恭介の事が好きだ!!好きになっちまった!!」


杏子「惚れた相手に先に恋人がいようが構わないのがあたしの主義だ・・・」

杏子「だけどアイツは・・・アイツはなさやか・・・動かなくなった手さえ・・・
さやかと自分を繋ぐ絆だっていってくれたんだぞ・・・」


杏子「あんたが素直に願いが間違いだったって認めれば・・・またアイツはあんたの傍に来てくれる!
もうバイオリンを休めって言ってしまえば・・・アイツはアンタを守ることだけに生きてくれるはずさ!!」


杏子「あたしが・・・あたしが認めたんだ・・・恭介はな・・・恭介はな・・・
あんたが弱音を吐いたからってあんたの事嫌いになるような・・・そんな根性無しじゃねー!!」

杏子「この利己的なあたしが・・・初めて欲しい物を諦められたんだ・・・あんた達を見守っていたいって・・・
本気で思えたんだ・・・!!」

杏子「頼むよ・・・あいつの心意気に応えてやれよ・・・
バイオリンなんか関係無しに・・・好きだともう一度伝えてやれよ・・・」


杏子「あんたが恭介を諦めるってのなら・・・あたしも一緒にフラれてやる!」

杏子「だから戻って来い・・・友達だから・・・同じ男にフラれるのも悪くないって思ってるから・・・」


杏子「さやか!!」

さやか(うるさい・・・うるさい・・・あたしの楽団を返せ・・・)


さやか(恭介に聞かせるんだ・・・かつての恭介が追い求めていた音楽を・・・)

さやか(今は落ち込んでるけど・・・恭介はまた・・・弾いてくれる・・・)


さやか(だから・・・聞かせるんだ・・・!!)



さやか(そのためにも・・・こいつらを先に斬り捨てなきゃ・・・)


ドウッ


マミ「きゃあああ!!」

ほむら「あ・・ぐっ・・・」


杏子「マミ!ほむら!!」


まどか「さ・・・さやかちゃん・・・」


ほむら「諦めない・・・諦めない・・・諦めない・・・そして、もう繰り返さない・・・!!」

ほむら「この時間を生きていくって決めたの・・・」

ほむら「かつての私なら・・・美樹さやかと馴れあうなんて考えられなかった・・」


ほむら「でも・・・もう違う・・・!ここで出会ったさやかは・・・あなただけ・・・だから諦めない」

ほむら「今まで散々やって無駄だとしっている・・・でも・・・諦めたくない・・・」


ほむら「さやか・・・あなたは親友よ。あなたのこと・・・嫌いじゃないから・・・」


杏子「ほむら!まどかを守りながら休め!!」

マミ「鹿目さんを守る者と呼びかける者とで役割を分担しましょう!!」

~避難所~

恭介「しょ・・・勝負だって!?」

バイオリン仮面「君はさやかを裏切って仁美さんを選ぶんだろう?しかし私が先に頂くといっている」


バイオリン仮面「同じ女を取り合う男・・・これは勝負して決めるしかないだろう」

恭介「ナニをすればいいんだ・・・」


バイオリン仮面「決まっている。バイオリン対決さ」

恭介「!!」

恭介「冗談はよしてくれ・・・僕はもう・・・バイオリンを弾きたくない・・・」

バイオリン仮面「だが君はやるしかない」

バイオリン仮面「何故なら私が悪の怪人だからだ。このまま勝負を放棄することは
仁美さんを私の好きにさせることにつながる」


バイオリン仮面「さぁ仁美さん・・・私の社会の窓に手を入れてみて・・・
あったかくしてあげるよ・・・」


仁美「きゃあああああ!!!」

恭介「仁美さん!!」


恭介「くっ・・・他の大人を呼びに言ってる間に・・・仁美さんがナニかされてしまう・・・」

バイオリン仮面「大人がどうのこうのじゃない。自分の意思でどうするべきか決めろ」

恭介「いいよ・・・弾いてあげるよ・・・!!一度は挫折したけど・・・
そこらへんの大人に・・・氷室さんの曲を聞いてきた僕が負けるはずが無い!!」


バイオリン仮面「そうだ。それでいい。お互いにオリジナル曲を弾きあって勝敗を決める。いいね?」

恭介「優劣はどうやって決めるんだ?」


バイオリン仮面「ここは避難所だろう?審査員は腐るほどいるさ」

バイオリン仮面「3曲勝負だ。先に2曲より多くの観衆の心を掴んだものが勝ち。」

恭介「・・・構わないよ。はやくやろう」


バイオリン仮面「他の大人に助けを求めるようなら、仁美さんの一番大切なものが奪われると思ってくれたまえ」

恭介「卑劣な・・・」

~舞台裏~


仁美「離して下さい!離して!!」

バイオリン仮面「仁美さん・・・君と恭介が一緒になることが悪いんじゃない・・・」

バイオリン仮面「今のタイミングで君たちが結ばれると・・・きっとお互い後悔する。
傷つけあいながら生きていく。それが解っているから・・・」


仁美「わかっている!?なんでそんな事断言できるんですか!?」

バイオリン仮面「未来からやってきたんだ私は・・
さやか達より一足先に・・・君に私の素顔を見せよう」


仁美「あ・・あなたは・・・!!」


バイオリン仮面「これで納得してくれるかい・・・」

仁美「ええ・・・信じられませんけど・・・「あなた」なら納得ですわ・・・」


バイオリン仮面「最終的に恭介が君を選ぶことになっても構わない・・・」

バイオリン仮面「でも・・・その前にアイツに大切なものを思い出して欲しいから・・・」


バイオリン仮面「人質のフリをして・・・協力してくれ」


仁美「わかり・・・ましたわ・・・」

ホール


バイオリン仮面「えー・・・避難された皆様・・・退屈しのぎに・・・バイオリン対決を見ていってはいかがでしょうか?」


モブ「なんだなんだ・・?」

モブ「バイオリン対決!?」


タツヤ「あはは・・・!変なお面!」


バイオリン仮面「ルールは簡単。私とそこの少年が交互に弾きあいますので、より良い演奏をした者に
拍手をしてください。」

バイオリン仮面「拍手が多い方が勝ち。
5分程度の曲を3曲やらせていただきます。先に2曲先取した者の勝利」


バイオリン仮面「勝者にはそちらのお嬢様からキスのプレゼントが贈られます」


仁美「あはは・・・」


恭介「仁美さん?なぜ逃げないで・・・協力的に振舞ってるんだ!?」


仁美母「仁美・・・あんなところで何しているの?」



バイオリン仮面「では私から弾かせていただきます。」


♪~♪~♪


恭介「!?ちょっとまて・・・これは・・・氷室さんの曲じゃないか・・・!!」

恭介「・・・!?弾けている・・・!?現代のバイオリンの先生達が・・・本人以外演奏不可能と
言われた曲を・・・弾いている・・・!?」


恭介「まさか・・・この怪人の正体は・・・」


バイオリン仮面「ふぅ・・・」


モブ「す・・・すげええええええっ!!」


パチパチパチパチ!!

仁美「こ・・・これは・・・悲しい曲なのに・・圧巻ですわ・・・」


仁美「バイオリン奏者とは・・・こういうものでしたのね・・・」


恭介「お前・・・氷室さんと同じ・・・未来人だな?」


恭介「氷室さんがまだ曲を発表して無い過去にさかのぼって・・・自分がオリジナルだと
嘘をついて名声を得るために・・・」

バイオリン仮面「だとしたら?」


恭介「氷室さんの名誉のためにも・・・僕はもう一度弾く!」


バイオリン仮面「軽いね・・・それが君の弾く理由か?」

バイオリン仮面「大切なものを思い出さない限り私には勝てない」


恭介「黙れ!!」

♪~♪~♪


モブ「あれ・・・?また悲しい曲だぜ・・・」

モブ「仮面の男と似た感じの曲だな・・・」


モブ「うーん・・・可もなく不可もなくって感じだな・・・」


モブ「やっぱり子供とオトナの差なんてこんなもんじゃねーの?」


仁美「恭介さん・・・バイオリンに詳しくない私でもわかりますわ。
バイオリン仮面の演奏のほうが素敵です・・・」


パチパチパチ・・・・


恭介「な・・・!?」


バイオリン仮面「まずは私が一本先取だな」


恭介「なんで・・・怪人の演奏だって・・・人真似なのに・・・なんで・・・」


バイオリン仮面「さて・・・この時点でもう仁美さんの心は私に傾きかけているけど・・・」

バイオリン仮面「まだやるかい?また氷室の影を追った二番膳じの曲を弾くのかい?」


恭介「お前には関係ない・・・」

恭介「氷室さんに学んだこと全てぶつけてお前に勝つんだ・・・」


恭介「今度こそ観衆も仁美さんもわかってくれれるさ・・・完全な真似のお前より・・・
僕の曲のほうが氷室さんの意思に近いと・・・」


バイオリン仮面「やれやれ・・・我ながらここまでバカだったとはね・・」

♪~♪~♪

恭介「また・・・氷室さんの曲・・・」

パチパチパチパチパチ!!!


恭介「みんな騙されるな!あいつは・・・氷室さんが作った曲をそのままトレースしてるだけだ!」


恭介「・・・僕の実力が伴うか解らないけど・・・やるしかない・・・」

恭介「あいつと同じように・・・氷室さんの曲を・・・完全にそのまま弾く!」


♪~♪~♪


バイオリン仮面「・・・」

バイオリン仮面「ここまで自分が嫌いになりそうなのは初めてだよ・・・」


パチパチパチ・・・


恭介「!?」


恭介「・・・・」ずーん



バイオリン仮面「さ・・・仁美さん。私にキスの祝福を。もちろんほっぺたで構わない」



仁美「え・・・ええ///」


ちゅっ


恭介「仁美さん・・・」


モブ「・・・結局仮面の男のほうが二本ストレート取って終わりか」

モブ「もうちょっと粘ると思ったんだけど・・・まぁこんなもんだよな・・・」


モブ「あ~あ。彼女も取られちゃって・・・かわいそうに・・・」

モブ「まぁ、弾く理由が女の前でかっこつけたかったからじゃ、しょうがないよな」

恭介「違う・・・」


バイオリン仮面「恭介・・・今の君には負ける気がしないよ」

バイオリン仮面「私が弾く曲は・・・全て大切な人へと捧げるレクイエムだ」


バイオリン仮面「その人のためなら私は魂も肉体もなにもかも差し出せる。」

バイオリン仮面「観客や仁美さんや氷室の目ばかり気にしながら弾いてる君に勝ち目なんてあるはずない」

バイオリン仮面「大切なものなど・・・何一つない君に負けるはずがない」


恭介「違う!!」


恭介「僕にだって・・・僕にだって大切なものがある・・・!!」


恭介「観客や仁美さんや氷室さんのためなんかじゃない!!」


恭介「僕が・・・僕がバイオリンを弾いてきた理由は・・・!!」

恭介「・・・」スッ


♪~♪~♪


モブ「!?勝敗がもうついてるのに・・・弾き始めた・・・!?」

モブ「悲しい曲調じゃなくなったし・・・技量に合わせたペースの曲に変わってる!?」


仁美「恭介さん・・・そこまで・・・」

仁美「それほどまでに・・・」


モブ「仮面の男よりも腕が劣るし・・・曲の内容も詰めこんではいないけど・・・」


モブ「なにかが伝わる・・・一生懸命なにか大切なもののために必死で戦う・・・男の心意気が・・・」



恭介「はぁっ・・・はぁっ・・・はあっ・・・」


恭介「どうだ!バイオリン仮面!!僕は・・・僕はまだやれるぞ・・・!!」

恭介「観客も仁美さんも氷室さんの後釜も・・・全部お前にくれてやるよ・・!!」


恭介「でも・・・僕に大切なものが何一つ無いと言ったことだけは取り消させてもらう!」


恭介「誰のために根性を見せるか・・・思い出した・・・僕は・・・僕は・・・」


バイオリン仮面「・・・」

パチパチパチ・・・

恭介「!?敵から拍手が・・・」


仁美「・・・」

パチパチパチ


パチパチパチパチ!!


モブ「すげえええ!!すげーぞボウズ!!よく頑張った!!最高に元気が出る曲だったぜ!」

モブ「勝負に負けたけど気にするな!!最後に根性見せたな!!」


モブ「近い将来絶対プロになれよ!おれ、絶対見に行くから!!」

恭介「・・・これは・・・」


仁美「おみごとですわ。恭介さん」

バイオリン仮面「そうだ。それでいい。」



恭介「そっか・・・ただそれだけで良かったんだ・・・」

恭介「・・・バイオリン仮面・・・ありがとう・・・」


恭介「僕は・・・もう一度弾くよ・・・弾き続けるよ・・・」

恭介「そして・・・」

恭介「ごめん・・・「志筑さん」・・・僕・・・行かなきゃ・・・」

恭介「さやかに・・・謝らなくちゃいけないんだ・・・」


仁美「ええ。貴方が最後の曲を弾いたとき・・・わかってしまいましたから。」


バイオリン仮面「恭介・・・今さやかはとても大変な目にあっている」

バイオリン仮面「さやかがどんな状態だろうと・・・どんな姿だろうと・・・ちゃんと向き合う覚悟はあるか?」


恭介「あなたは・・・さやかが今どこにいるか知っているんですね・・・」

恭介「連れて行ってください。
謝るだけじゃない・・・今度は僕からも・・・伝えなきゃいけないことがありますから・・」


バイオリン仮面「よし、着いて来い。さやかの心に声を届けられるのは・・・君だけだから」


恭介父「恭介・・・」

恭介母「こんなに風が強いのに・・・どこへ行こうとしてるの?」


恭介「行かなきゃいけない所があるんだ・・・伝えなきゃいけない言葉があるんだ・・・
守らなくちゃいけない人がいるんだ・・・」


恭介「父さん母さん・・・ゴメン・・・僕は・・・行くよ・・・」

恭介「僕は・・・僕の家族を・・取り戻す!!」

恭介父「行って来い」



恭介父「義娘を・・・私たちの家族を・・・取り返して来い・・・!!」

恭介母「大人の顔つきになったわね恭介・・・」

恭介母「私たちが出来ることはもう・・・そっと背中を押してあげるだけだから・・・」





仁美「二度・・・あなたに惚れてしまいました」

仁美「あなたがなにかを決心して・・大人の顔になった時・・・不覚にも惚れ直してしまいました」

仁美「そして・・・二度失恋しました・・・」


仁美「その表情を向ける相手が・・・私じゃないって解ってしまったとき・・・
二度目の失恋をハッキリと感じてしまいました・・・」


仁美「さようなら・・・恭介さん・・・大好きでしたよ・・・」


仁美「うっ・・・うっ・・・」

仁美「うううううう!!うわあああああああん!!!」ポロポロポロ・・・・



~さやか魔女地点~


杏子「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・」


マミ「グリーフシード・・・全て使ってしまったわね・・・」


ほむら「・・・結局・・・こうなるのね・・・魔女になった者を救う手立ては・・・無いのね・・・」


ほむら「4時間(外の世界では30分)ぶっ続けで説得しても・・・無駄だった・・・」


人魚の魔女「GAAAAAA!!!」


まどか「さやかちゃん・・・」


まどか「キュゥべえ・・・わたし・・・魔法少女になる・・・」


ほむら「さやかを元に戻すため・・・契約するのね・・・もう止めないわ」

ほむら「さやかもあなたも・・・絶対大人になるまで守るから・・・」


ほむら「人間のままとか・・・魔法少女であるとか・・・もう関係ないわ・・・」

ほむら「私はあなたに・・・まどかにそばにいて欲しいのだから・・・」


まどか「ごめんほむらちゃん・・・今から言う願いは・・・さやかちゃんのためだけじゃないよ・・・」


ほむら「!?」

まどか「氷室さんが来た未来の状況を聞いて・・・魔法少女が人間に戻れる可能性を持った
希望がある世界だとわたしは思った・・・」


まどか「でも・・・魔女が生まれる世界であることには・・・変わりないから・・・」


まどか「わたしは・・・魔法少女に最後まで笑顔で居て欲しい・・・だから・・・」




まどか「全ての魔女を・・・生まれる前に・・・消し去る!」


マミ「!?」


杏子「な・・・!?」


ほむら「まどか・・・!?やめて!!」


まどか「これが私の願い。さぁかなえてよ・・・!!インキュベ・・・」

ドカッ


まどか「ほむらちゃん・・・どうして・・・」

ほむら「そんな願いをすれば・・・あなたは・・・あなたという個体を保てなくなるわ・・・」


ほむら「お願いだから・・・それだけは・・・やめて・・・」

ほむら「魔法少女になってもいい・・・その理由が・・・さやかでも構わない・・・!!」


ほむら「でも・・・嫌・・・あなたが消えてしまう事だけは・・・絶対嫌だから・・・」


ドサッ



ほむら「ホムリリー・・・結界よ・・・まどかを守って・・」

シュウ・・・(結界に取り込まれるまどか)


じゅわ~

マミ「ホムリリーが鹿目さんを守っているから・・・美樹さんを覆っていた
結界が解除されていくわ・・・」

マミ「そして・・美樹さんの結界はキャンデロロが中和しているから・・・
結界ではなく外の世界がむき出しになったわけね・・・」


杏子「ワルプルギスの夜は・・・?」


ほむら「幸い・・・まだ修復中のようね・・・」


ほむら「さやかを諦めて・・ワルプルギスにとどめを刺すのなら・・・これが最後のチャンスよ」


ほむら「さやかを殺すつもりでやれば・・・まだチャンスはあるから・・」


杏子「だとしたら・・・その役割は・・・あたしだな・・」


ほむマミ「え?」

杏子「オフィーリア!結界侵食!!さやかとあたしを覆って、マミとほむらをはじき出せ!!」


バシッ


マミ「きゃっ!?」


ほむら「杏子!!」



杏子「悪いな・・・マミ、約束守れなくて・・・こっちで中和も侵食もやるから・・・
あんたの結界も解除させてもらったよ」


杏子「こいつだけは・・・あたしが片をつけなきゃいけない気がする・・・
同じように他人のために願ったこいつを・・・今でも間違い続けるこいつを・・・
放っておけない・・・」


マミ「佐倉さん!佐倉さん!?お願い!やめて!!私たちを・・・中に入れて!!」


杏子「あたしがさやかを倒したら・・・あんた達はワルプルギスの夜にとどめを刺してくれ」


杏子「まどかは怒るかもしれないけど・・・あたしにはもうあんた達しか・・・守るものが無いから・・・」


マミ「佐倉さん・・・やめて・・・私の傍に居てくれるって言ったじゃない・・・」


マミ「杏子・・・」

さやか(また・・・誰かが私の結界を上書きした・・・なんなのよ・・このスクリーンは・・・)


さやか(これは・・・恭介と・・・あたし・・・?)


さやか(・・・そっか・・・あたし・・やっと恭介と幸せな未来を・・・掴んだんだ・・・)


杏子「見えるかい?さやか・・・それがあたしの結界の効果さ」

杏子「せめて幸せな幻惑(ゆめ)を見させたまま・・・逝かせてやるよ・・・なぁに・・大丈夫さ」


杏子「一人ぼっちは・・・さみしいもんな・・・」



さやか(恭介・・・今あたし・・・最高に幸せだよ・・・)


杏子「数多くの幻に・・・あんたと恭介の幸せな未来を写してやる・・・」

杏子「だからさ・・・その中に一つくらい・・・あたしのわがままも紛れ込ませて欲しい」


杏子「勝手だよな・・・笑っちまうよな・・・あたしと恭介が・・・一緒にいる幻の未来なんて・・・」


杏子「あたしだけは・・・いつまでも一緒だ・・・さやか・・・」


杏子「・・・命を燃やしてあんたを連れて行くよ・・・贖罪の大火・・・!」



???「君は本当に・・・不肖の弟子だね・・・杏子・・・!!」


マミほむ「!?」

???「結界展開!!杏子の結界を解除せよ!!」


しゅう・・・


マミ「佐倉さんの結界が無効化されて・・・美樹さん本来の結界が・・・展開していく・・・」


杏子「お前は・・・!!」



ほむら「バイオリン仮面!!」

マミ「氷室さん!?」


バイオリン仮面「命を粗末にするなと・・・教えたはずだ・・・杏子・・!!」




人魚の魔女「GAAAAAAA!!」



恭介「・・・あれが・・さやかなんだね・・・」



杏子「恭介!?」

恭介「バイオリン仮面に全て聞いたよ・・・魔法少女のこと・・・さやかが願った奇跡も・・・」


恭介「僕が情けないばかりに・・・さやかを魔女にしてしまったんだね・・・」


バイオリン仮面「出て来い、インキュベーター!!」


キュゥべえ「やれやれ・・・」


キュゥべえ「確かに条件は揃った。僕の力が必要なのかい?」

杏子「なにをするつもりだ・・・?」


キュゥべえ「話したはずだよ。君たちを人間に戻す条件は・・・20歳を迎える他に・・・
もう一つあるとね・・・」

キュゥべえ「その条件がいまここに揃った。そしてそれは・・・例外的に魔女になった後でも有効だ」

キュゥべえ「バイオリン仮面がこの時代にいる限り未来の措置と同じ事をさせてもらう。
その約束も有効だし・・・」

杏子「!!さやかを・・・元に戻せるのか!?」


杏子「教えろキュゥべえ!ナニをどうすれば、さやかを元に戻せるんだ!?」



キュゥべえ「君たち人間の取引でもありえる事さ」



キュゥべえ「すなわち・・・奇跡の返品・・・・クーリングオフ」



マミほむ杏「!!」





キュゥべえ「一週間以内に返品してくれればさやかを元に戻してあげるよ」

杏子「てめぇは・・・どこまで・・・どこまで腐ってやがるんだ・・・」

杏子「さやかが・・・さやかがそんな事望むはず無いだろ・・・
恭介の腕を・・・もう一度使えなくするって事だろ・・・」


恭介「キュゥべえが見えない僕に説明してくれ・・・どうすればさやかを救いだせるんだ・・・?」


バイオイリン仮面「恭介・・・さやかが起こした奇跡を・・・さやかへ返すんだ・・・」

恭介「!!」

バイオリン仮面「もちろんそれは・・・君がまた演奏できなくなる事を意味する」


バイオリン仮面「できるかい?君はもう一度弾く理由を見つけ、そして勃ちあがった」


バイオリン仮面「バイオリンを弾く喜び、他人にそれが伝わる喜びを思い出したはずだ」

バイオリン仮面「それでもさやかを助けられるか!?バイオリンを捨てて、さやかを選べるか!?」


バイオリン仮面「下手をすれば返品手数料を取られて・・・10年後も手術不可能になるほど
左手がボロボロになるかもしれない」



恭介「さやか・・・」




人魚の魔女「GYAAAAA!!」



恭介「この腕が・・・二度と動かなくなる・・・・二度とバイオリンを弾けなくなる・・」


バイオリン仮面「そうだ」

恭介「なんだ・・・「たったそれだけ」で・・・さやかを救い出せるんだね・・・」


マミ杏ほむ「!?」


恭介「魂を差し出すだとか・・・そういう物だとしても僕は選んださ」


恭介「いいよ・・・やってくれ・・・バイオイリン仮面・・・キュゥべえ・・・」


恭介「さやかを救い出す。この左手で済むなら安すぎる取引さ」


杏子「・・・恭介・・・」

キュゥべえ「他人のために願った奇跡の場合・・・返品は両者の合意が必要だ」

キュゥべえ「上条恭介の意思は得られた。次は美樹さやかの意思だけど・・・」


キュゥべえ「魔女になってしまった者の意思は人間のそれとは違う。
同意を求めるのは・・・難しそうだね・・・」


杏子「ふざけんな!!」

杏子「だったら最初から魔女になったヤツが奇跡を返品するなんて無理じゃねーか!!」


杏子「てめぇはどこまで・・どこまで人を追い詰めれば気が済むんだ・・・」



バイオリン仮面「焦るな杏子・・・だから私がここに来た・・・これが・・・私の最後の演奏だ」


♪~♪~♪


人魚の魔女「GAAAAAAAAA!?・・・・」ピタッ


マミ「美樹さんの魔女の動きが・・・止まった!?」

ほむら「こ・・・これは・・・!?」

バイオリン仮面「8曲!「エンゲージ」!!」


バイオリン仮面「魔女になってしまった者の・・・精神世界(アンダーワールド)への扉を開く演奏!!」

バイオリン仮面「この8曲が・・・この私バイオリン仮面の最後の能力・・・!」


人魚の魔女「・・・」


くぱぁ・・・



恭介「さやかへの穴が・・・開いた!?」


バイオリン仮面「そうだ。その先に・・・魔女ではない・・・さやかの純粋な意思がある・・・」

バイオリン仮面「恭介・・・お前が入れ・・・そして・・・さやかを説得するんだ・・・」


バイオリン仮面「二人の合意の下返品がされたとき・・・さやかは元に戻る」


恭介「さやか・・・」


バイオリン仮面「もう一度確認するぞ、インキュベーター!!」

キュゥべえ「なんだい?」

バイオリン仮面「両者合意の下、美樹さやかに「上条恭介」が「一週間以内」に奇跡を返品すれば
たとえ魔女になった後でもさやかを元に戻す・・・そういう事だな!?」

キュゥべえ「そうだよ」


バイオリン仮面「それで・・・間違いないな・・・」

キュゥべえ「くどいね・・・二言は無いよ」


バイオリン仮面「この「一週間」とは・・・ほむらさんの結界内での時間を含まず・・・
いまこの地球での時間の数え方で・・・美樹さやかが契約してからの24×7時間以内という事で
間違いないな!?」


キュゥべえ「その解釈で間違ってない。でなければボクも「条件が揃った」とは言わない」


キュゥべえ「さやかの精神を説得するなら早くしたほうがいい。一週間ちょうどまで差し迫っているからね」


恭介「行ってくるよバイオリン仮面・・・この奥に・・・さやかがいるんだろ・・・?」






恭介「これがさやかの中・・・なんて・・・なんて暖かいんだ・・・」

恭介「この心象風景は・・・何かと似ている・・・」

恭介「そうだ・・・これは・・・さやかが連れて行ってくれた水族館じゃないか」


恭介「・・・あの頃の僕は・・・さやかの本当の気持ちを知らずに・・・甘えて・・・」

恭介「さやかは・・・バイオリンばかりに気を取られていた僕を息抜きに誘ってくれたっけ」


恭介「・・・向こうの扉から・・・演奏が聞こえる」


恭介「さやか・・・!!」



ガチャッ



恭介「!!」

さやかの使い魔(Holger)「・・・」OTL

さやか「ほら恭介!大丈夫だって!恭介のためにこれだけの人たちが演奏してくれてるの!
恭介だって立ち直れるよ!」


恭介「なんだこれは・・・」

恭介「さやかがはげましている・・・僕によく似た影・・・」


恭介「まさかさやかは・・・あいつを僕だと思い込んでるのか!?」



恭介「さやか!!」


さやか「えっ!?」







さやか「・・・あなた・・・誰!?」






恭介「!?」

恭介「きょうすけだよ!!さやか!僕がわからないのかい!?」

さやか「恭介!?まっさかー!!冗談はやめてよ!恭介は「ここ」にいるんだから!!」


さやか「その手に持っているのは・・・バイオリン?そっかあなたは恭介のバイオリン仲間なんだね!」

恭介「さ・・・や・・・か・・・?」



さやか「あなたも「きょうすけ」って名前なんだね!奇遇じゃん」

さやか「でも・・・いくら恭介の友達だからって友達の彼女をいきなり呼び捨ては良くないぞー」

さやか「とりあえず・・・美樹さんって呼んでくれるかな?アタシもあんたのこと
まずは苗字に君付けで呼ばせて」



恭介「違う・・・」

恭介「上条恭介は僕だ!!その影じゃない!!」


さやか「あらま!同姓同名!?すっげー偶然」

さやか「なら上条君って呼ばせてね!」


さやか「上条君も恭介の友達なら恭介がどれだけすごいやつだったか知ってるでしょ?
お願い!あなたも楽団に入って演奏してあげて」


さやか「今は挫折しているけど・・・きっと大好きな音楽を聴かせてあげれば・・・立ち直るから」



恭介「!!」

さやか「ほら恭介!!たまには顔上げてよ。上条君が励ましに来てくれたよ!」

使い魔「・・・」



恭介「さ・・・や・・・か・・・!?」


恭介「腕が治らなかった時も・・・そうだった」

恭介「落ち込んでる時の僕に・・・音楽を聴かせるのは・・・逆効果なのに・・・」



恭介「もうやめてくれさやか!!そいつは僕じゃない!!
僕は・・・僕は・・・ここにいる!!」



恭介「ふざけた幻想に惑わされないでくれ!!僕は僕はここにいるんだ!!」

恭介「弾けるようになった!!さやかのおかげで弾けるようになったんだ!!だからもういいんだ!!」



さやか「上条君・・・!?」

がしっ


恭介「さやか!」

さやか「きゃあっ!?離して!!」



ドンッ


恭介「さ・・・や・・・か・・・」


さやか「人の彼女の肩をいきなり抱くってどういう事!?無神経すぎ!!」

さやか「恭介の友達だから大目に見てきたけどもう限界だよ!!
上条君、「ここ」から出て行って!!」



使い魔「・・・」


使い魔から伸びていく影がさやかを侵食する


さやか「恭介・・・///」

さやか「もうっ!人前で・・・大胆なんだから・・・」



恭介「!!」


さやか「いいよ・・・あたしの全部・・・恭介にあげる」


影が完全にさやかを飲み込む


さやか「アハハハ!!一緒だよ!!恭介!!あたしたちは・・・ずっと一緒!!」



次第にさやかと混じりあった「影」は再び人魚の魔女を形成する


人魚の魔女「いつまでも・・・アタシハ・・・恭すケを・・・ハゲマシつヅけるからネ・・・」





恭介「さやか・・・!!」

マミ「もう・・・救いはないのね・・・」

ほむら「さやか・・・」



杏子「恭介!!もう逃げろ!!あんたまでさやかに取り込まれる!!」

杏子「絶対あっちゃいけない!!さやか自身の手であんたを殺すようなことは!!」

杏子「さやかは助けられないけどあんただけでも逃げろ!!さやかのためにも!!」





恭介「さやかは・・・もう・・・助からないだって・・・!?」




恭介「ふざける・・・な」



ドックン・・・




恭介「さやかを・・・」




恭介「さやかを・・・」






恭介「さやかを・・・返せ!!」

ピカアアアツ


恭介「うおおおおおお!!!」


ぐちょっ



杏子「!?恭介が光り輝いてバイオリンで・・・さやかの魔女を殴った!?」

マミ「無茶よ・・・普通の人間が・・・魔女に立ち向かうなんて!」


ほむら「いえ・・・あの風景はさやかの精神世界・・・肉体的な強さより・・・精神的な強さが反映される」


ほむら「さやかが生み出した絶望より・・・恭介の気持ちが勝っていれば・・・恭介だって戦えるわ!」



恭介「うわああ!!!うわああああああ!!!」


バキッボキッぐちょっめちょっ



杏子「恭介のバイオリンが・・・打撃に耐えられず壊れていく!!」

杏子「やめろ恭介!!そいつは・・・そいつはアンタにとって大事なものだったはずだ!!」




恭介「バイオリンがどうなろうと・・・世界がどうなろうと関係ない!!」




恭介「さやかだけは・・・さやかだけは絶対助ける!!」

杏子「・・・」

杏子「そうか・・・そうだよな・・・」


杏子「だったら・・・行けよ!!恭介!!」

ほむら「かつて私たちが・・・願いを・・・奇跡を祈ったように・・・」


マミ「他の誰でもない・・・自分自身の祈りを叶えるために!!」




人魚の魔女「GYAAAAAA!!」



人魚の魔女の中

寄り添うさやかと使い魔


さやか「ずっと一緒だよ・・・恭介・・・」

使い魔「・・・」


がしっ(使い魔の首を両手で締め上げる恭介)


さやか「!?」

恭介「うおおおおおおおおお!!」



ぐぐぐぐ・・・


使い魔「・・・」プルプルプル・・・



パァァァアアン!!(液状に四散する使い魔)



恭介「さやか!!」


さやか「恭介・・・!?」



恭介「来い!僕の左手を握るんだ!!」

さやか「今更・・・!!今更!!何しに来たのさ!!」



恭介「スランプを抜け出したんだ・・・バイオリンが弾けるようになった!!」

さやか「そっか・・・良かったじゃん恭介・・・」


さやか「これで・・・あたしは迷いなく消えられるね。恭介・・・仁美と幸せにね!」


恭介「さやか!!」

さやか「魔女になって・・・みんなを傷つけたこと・・・はっきり自覚できたよ・・・」

さやか「あたしはもう・・・みんなの下に戻れないんだね・・・」


恭介「戻れるさ!戻れるんだよさやか!!」

恭介「僕が君に・・・君がくれた奇跡を返す。それだけで、君は戻ってこれるんだ!!」


さやか「駄目!それだけは駄目!」

さやか「せっかくバイオリンが弾けるようになったのに・・・また弾けなくなるなんて駄目!」


さやか「あたしの願いを無駄にしないで!!恭介は・・・恭介はこれから先
何人も幸せに出来る演奏が出来るの!」


さやか「恭介を想って・・・消えるの。恭介の幸せを想って消えるの。
あたし一人の犠牲で・・・恭介のバイオリンが聞ける人が増えるのなら・・・それでいいの」


さやか「素敵でしょ?あたし・・・人魚姫になれたんだよ・・・王子様の幸せのために・・泡になるの」


恭介「さやかなら・・・強情張ってそう言うと思ってたよ・・・」


恭介「いいよ・・・さやかが自分の事を人魚姫だと思っているのなら・・・」







恭介「まずは・・・そのふざけた幻想をぶち壊す!!」

恭介「さやか!!」


さやか「なによ!?大声出さないで!」


恭介「そもそも、お姫様って柄じゃないよね?さやかは」


さやか「は!?」

恭介「どちらかという王子様だって何回も言ったはずだ」

さやか「ふっざけんな!!乙女が好きな人を想いながら消える瞬間に・・・
なんて無神経な事言ってんのよアンタは!!」


恭介「いつも男子を屈服させてたじゃないか」

恭介「王子様じゃないのなら姉御だ」


恭介「誰彼かまわず尻を叩いてきたじゃないか」


さやか「それは・・・恭介に守られてた園児時代からの反動っていうか・・・
まあ、やりすぎたってのは否めないけど・・・」


恭介「そうだよ。人魚姫なんかじゃない。これからも頼れる人として・・・
誰かを励まし続けるさやかでいてくれなきゃ」


恭介「元気をくれる元気なさやかが一番さ。
お姫様って柄じゃない」



恭介「お姫様ってそれ、どちらかというと志筑さんのイメージだし」




さやか「うぉい!?」


さやか「いや、それで合ってるよ!人魚姫はあたしで王子様を寝取る隣国のお姫様は仁美!!
その配役で間違いないよ!」


恭介「お姫様にも人魚姫にもなれないよさやかは」


恭介「あの世界観で言ったら、城の女剣士じゃないかな。
ベルセルクという作品を知ってるのならそれのキャスカだ」



さやか「それはそれでかっこいいけど!!せめて消える瞬間は夢を見させてよ!」

さやか「あんたがあたしの事どう思おうが勝手だけどさ・・・バイオリン弾けるようになったんでしょ?」

さやか「だったら・・・続けなきゃ・・・」


恭介「僕がもう一度弾く理由・・・それも結局はさやかがいなきゃ意味が無い!!」


さやか「え・・・?」


恭介「言っただろ?幼稚園の頃からずっとさやかを気になってたって・・・
あの時泣いてたさやかの笑顔を取り戻すために・・・僕は弾いてきたんだ」


恭介「さやかが聞いてくれないのなら・・・弾く意味なんて無いんだ!!」



恭介「どれだけ大勢の観客から拍手をもらっても・・・その中に・・・さやかがいない!!」

恭介「そんなのは嫌だ!!僕は多くの観衆よりさやか一人に聞いて欲しいんだ!!」



さやか「!!」

恭介「だから・・・手を取ってよさやか・・・君が帰ってこないのなら・・・
左手なんていくら動いても・・・意味が無いんだ!!」


さやか「ありがとう恭介・・・すごく嬉しいよ・・・」

さやか「だからこそ・・・さよならだよ・・・
恭介のその気持ちだけで・・・あたしは何もかも差し出せるから・・・」


さやか「似合う似合わないの問題じゃないよ・・・あたしは・・・人魚姫になる」

さやか「恭介は・・・弾きつづけて・・・大丈夫だよ・・・きっと・・・
天国だろうと地獄だろうと・・・あたしの心にそれは届くよ・・・」


恭介「まだ・・・わかってないのか君は・・・・」


さやか「わからないのは恭介の方だよ!なんで・・・なんでバイオリンを捨てようとするのさ!!
もっと大勢の人に聞いてもらいたい!王子様の夢の後押しをしてあげたい!その女心がなんでわからないの!!」








恭介「僕だって素敵な王子様なんかじゃない!!」

さやか「きょ・・・きょうすけ・・・!?」


恭介「さやかの下着に!!さやかの家に入ったあの日に!!さやかの胸や尻や太ももに欲情していた
ただの一般男子中学生なんだよ僕は!!」


さやか「なななな・・・ナニ言ってんのよ!!身体が目当てだから戻って来いって言いたいの!!
最低ねアンタ!!仁美にヤらせてもらえば済む話じゃない!!」


恭介「そうさ!さやかがいたのに!ついさっきまで志筑さんに告白されてデレデレしてた最低野郎だよ僕は!!」


恭介「でもそれでも!!尚さやかの方がスタイルいいと断言できる!!」


恭介「バイオリン一筋だった僕を男として目覚めさせたさやかしか・・・僕を満足させることは出来ない!!」


さやか「だったらさっさと一線越えちゃえば良かったでしょ!部屋に呼んだあの日だって!!
キスだけで帰るなんてこの根性無し!!そのくせ頭の中エロイことばっかりだったなんて!!」


さやか「あんたなんて王子様でもなんでも無いわよ!エロいくせにヘタレの根性無し!
さっさとバイオリンと結婚してろ!!」


恭介「そうだよ!僕は・・・僕は王子様なんかじゃない!!」









恭介「だからさやか!!君だって人魚姫になる必要なんか無い!!」





さやか「!!」

さやか「!!」


さやか「恭介・・・」ポロ・・・



ぐにゃ・・・


マミ「!?美樹さんの魔女が苦しんでいるわ・・・」


キュゥべえ「一週間の期限が迫っているのさ。はやく精神世界を抜けないと・・
上条恭介は完全に美樹さやかの魔女に取り込まれてしまう」


杏子「さやかのヤツが・・・返品を拒否してるのか・・・!?」

ほむら「さやか・・・」


ゴゴゴゴゴゴ・・・・・


恭介「精神世界が崩れ始めた・・・早く・・・早く左手を握ってくれさやか!!」


さやか「恭介・・・あたし・・・あたし・・・」

さやか「人魚姫じゃないのなら・・・あたしは一体・・・」


恭介「まだ意地を張っているのかい・・・さやか・・・」


恭介「動く左手でも・・・さやかに触れられないのなら・・・意味が無いんだ・・・」


恭介「もっとハッキリ言ってあげる・・・今僕が触れたいのはバイオリンじゃない・・・
さやかの胸中だ!!心情という意味と!!身体的な意味も含めて!」


さやか「恭介・・・あたし・・・あたし・・・」ピキピキ・・・


恭介「僕が王子様で無いのなら・・・君だって人魚姫になる必要なんか無い」



さやか「あなたは一体・・・何者なの?そして・・・あたし自身も・・・」

恭介「君を神話や・・・アニメの登場人物になんかにさせやしない!!」







恭介「ただ僕一人の!上条恭介にとって一人だけの!!」








恭介「ただの・・・平凡な奥さんでいてくれ!!」

さやか「恭介!!」ポロポロポロ・・・


恭介「今聞きたいのは・・・バイオリンの音色じゃない!さやかの本音だ!!」


恭介「目指しているのは栄光のある未来じゃない!!どんなに困難でも二人より添える未来だ!」


恭介「さやか!僕の願いは・・・君だけだ!!さやかが欲しい!それだけだ!」




恭介「左手もバイオリンもいらない!!僕はさやかを・・・」


恭介「僕にとっての全てだ!!・・・だから救いたい!!」





恭介「これが僕の祈り!僕の願い!!」


恭介「こんな僕でもまだ好きでいてくれるのなら・・・応えてよ!!」








恭介「さやか!!」

さやか「きょ・・・恭介・・・」ポロポロポロ・・・


さやか「あたしは・・・あたしは・・・あたしも・・・」


さやか「恭介が欲しい!!たくさん子供が欲しい!!恭介と一緒に・・・家庭を築きたい!!」


さやか「バイオリンなんて関係ない・・・あたしは・・・あたしは・・・」




さやか「恭介が好き!!」



さやか「仁美にも誰にも渡したくない!!これからも・・・ずっとずっと一緒にいたい!!」



恭介「さやか!!」



さやか「恭介!!」



ガシッ




外部


ピカアアアアアッ


ほむら「さやかの魔女が・・・光を!?」


キュゥべえ「返品が完了したんだ。まもなく美樹さやかは人間に戻る」


杏子「やった・・・やったぞ・・・やっぱりお前・・・根性あるよ・・・恭介・・・」


マミ「美樹さん・・・」




恭介「さやか!!」


さやか「恭介!!」


????「恭介の左手と思った?」

バイオリン仮面「残念!!それは、私の左腕だ!!」


さやか「!?バ・・・バイオリン仮面!?」


バイオリン仮面「よく叫んだな恭介!!僕は・・・僕は嬉しいよ・・・」


バイオリン仮面「左手なんかいらない、さやかを助けたい」


バイオリン仮面「僕は・・・僕はその一言を聞くためだけに・・・」


バイオリン仮面「この時代にやってきたのかもしれない・・・」



グゴゴゴゴゴ・・・


恭介「マ・・・マスクがやぶれて・・・さやかのパンティが!?」


恭介「さらにその下の素顔は・・・ひ・・・氷室さん!?」



さやか「いや・・・違う・・・そんな・・・あなたは・・・あなたは・・・」


恭介「君のその顔は・・・」





さやか恭介「「恭介!?」」




未来恭介「その通り。20年後の未来からきた上条恭介・・・それが・・・
バイオリン仮面氷室の正体だ・・・」


未来恭介「20年間・・・君がくれた奇跡を・・・返すときが来たんだよ。さやか・・・」



さやか「恭介!そんな・・・バイオリン仮面が・・・恭介・・・!?」


恭介「氷室さんも・・・君だったのか・・・」


未来恭介「今こそ話そう。20年間かけて初めて気付いた・・・僕の素直な気持ちを・・・
鈍感すぎる男が・・・30を越えて初めて愛の告白をするんだ・・・」

さやか「水族館、楽しかったね!今日は来てくれてありがとうね、恭介!」

恭介「僕こそ、いい息抜きになったよ。誘ってくれてありがとう」


さやか「・・・またこうして・・・どこかに誘ってもいいかな?」

恭介「ナニを遠慮しているんだい?さやかからの誘いだったら出来るだけ応えるよ。僕は」

さやか「でも・・・恭介最近バイオリンすごく頑張ってるじゃん・・・」


恭介「そうだね・・・だからこそ、さやかには助けてもらってると実感できるよ」

恭介「上手な発散の仕方を知らないからね僕は。何よりさやかと一緒だと楽しいし・・・」


さやか「バッ・・・バカ!///ナニ言ってんのよもう・・!」


恭介「じゃあねさやか。また明日学校で会おう」

さやか「あっ・・・う、うん・・・・」

さやか「あの・・・恭介・・・・」


恭介「なんだい?」

さやか「ううん・・・なんでもない!今日もこれからまた自宅練習でしょ?」

さやか「頑張って恭介!じゃあね!」


恭介「あ・・・うん・・・・」


~~~
さやか「勢いに任せて言っちゃえば良かったのかな・・・」

さやか「本当の気持ちだったり・・・恭介の家行っていい?みたいな事を・・・」

さやか「でも今は恭介にとって大事な時期だし・・・邪魔しちゃ駄目だよね・・・」


さやか「はぁ・・・駄目だな~あたし・・・」


恭介「・・・」

恭介「本当にさやかには世話になりっぱなしだし・・・
お礼の意味で久しぶりに家に呼んであげたほうが良かったかな・・・」


恭介「でも・・・昔ならまだしもさやかももう年頃の女の子だしね。
僕と変な噂を立てられても困るだけだろうからね・・・」

後輩女子「付き合ってください!上条先輩!!」


恭介「・・・」

恭介「悪いけど・・・」


後輩女子「そうですよね・・・やっぱり・・・美樹先輩とお付き合いをしているんですよね?」


恭介「いや・・・そういう訳では・・」


~~~

恭介「ふぅ・・・」

中沢「久しぶりにアレ来たな!」

恭介「からかうなよ」

中沢「それで・・・返事は?」


恭介「断ったよ」

中沢「なんでかな~?良さそうな子だったじゃん~?」

中沢「お前・・・ひょっとして美樹のこと・・・」


恭介「あまりお互い知らない人とってのはちょっとね・・・
それに、なんとなく雰囲気に流されて告白しただけってのは解るし」

中沢「あっ・・・はい(素)」


中沢「だったら、ある程度お互いを知ってるクラスメイトの女子ならどうする?」


恭介「ちゃんと考えた上でちゃんとした返事を出すよ」

中沢「ほほう・・・だったら美樹にもチャンスはあるわけだ」


恭介「なんでみんなこういう話題になるとさやかの名前を出すのかな・・・」

中沢「だって傍から見てたら、お前ら付き合ってるように見えるもん」

恭介「ただの幼馴染だよ。好きか嫌いかで言われれば好きだけど・・・」

恭介「距離が近すぎる異性の友人なんてあんな物だと思うけど」


恭介「なにより、そんな噂たてられたらさやかだって迷惑じゃないか」


中沢「ヘタレ」


中沢「じゃあ美樹に彼氏が出来たらどうする?他の男にとられても構わないのか?」

恭介「取られる取られない以前に僕のものじゃないし・・・」

恭介「それはそれでええんか?(レ)と聞かれたら仕方ないね(レ)。と答えるしかないよ。
僕みたいなひよわな男はさやかの好みじゃないし」


恭介「あの子は昔からたくましい仮面のヒーローとか好きだったし」


中沢「それを本気で言ってるのなら、超ヘタレ」


恭介「なんでだよ!!」

中沢「まぁいいや、後悔するなよ?
実は美樹は男子に人気なんだぞ」

中沢「上条がモタついてたらそいつらも行動を起こすかもな。
みんな、お前と美樹が付き合ってるものだと思ってるから」


恭介「それは・・・意外?いや、わかるよ。さやかはとても優しい子だし。面倒見がいいし・・」


恭介「だとしたらなおさら僕の出る幕は無いんじゃないかな?
お互いにとって良い人を見つけるまでだよ」



中沢「うわあああああああああああああ!!!
アルティメットヘタレだあああああああ!!!!」




中沢「みなさーん!ヘタレ注意報ですよーーー!!
移らないうちに逃げてええええ!!!」



恭介「な・・・!?おい中沢!やめろ」



さやか「むしろあんたのバカが恭介に移るのよ!」


ボカッ




中沢「ありがとうございます!」

さやか「恭介。今度の土日、どっちか空いて無い?」

中沢「おっ。仲を否定しつつもデートのお誘いかよ!」


さやか「だ・か・ら!そんなんじゃ無いってぇの!!」

ギリギリ・・・

中沢「み・・・美樹・・・その・・・当たってる///」


恭介「!!」


恭介「今すぐさやかから離れろ!」ガバッ

さやか「きょ・・きょうすけ?///」


中沢「妬いてるじゃん・・・それでなんでもないって・・・わけわかんね」


恭介「それで・・・土日だったよね・・・ごめん今週は休み無くレッスンなんだ」

恭介「休日も・・・海外からわざわざ有名な先生が見てくれるから・・・今週だけは
ちょっと空きそうに無いな」


女子生徒「今週「は」って・・・」

女子生徒「やっぱり毎週デートしてるのね」


仁美「・・・」


さやか「ちょっとだけでも会えない?渡したい物があるんだよね」

恭介「?学校でいいんじゃないかな」

さやか「執筆中なんだ」

恭介「手紙?」


ざわざわ・・・


女子生徒「もろラブレターじゃん」

仁美「・・・」


まどか「仁美ちゃん?大丈夫?顔色悪いよ・・・保健室行く?」

仁美「いいえ・・・大丈夫ですわ・・・」


恭介「わかった。さやかの頼みだからね。少し時間を空けて会いに行くよ」

さやか「やったー!ありがと、恭介!」



仁美「・・・まどかさん・・・やはり保健室へ・・」フラッ


まどか「仁美ちゃん!?」

恭介「ところで・・・なんの手紙なんだい?直接口に出せないこと?」

さやか「教えてあげなーい」

恭介「ははっ。さやかのいじわるー」



女子生徒「ラブラブじゃん」

仁美「おぅふ・・・」

ドサッ


まどか「仁美ちゃん!?」


まどか「誰か!誰か!!」


まどか「仁美ちゃんが息して無い!運ぶの手伝ってよ!!」

~休日~

恭介「ふと思うんだ。さやかと僕との関係って一体なんだろうってね」

恭介「周りの人達は茶化すけど、絶対そんなのじゃないと思う」

恭介「何より、さやかの僕に対する気持ちは
「頼りない弟を放っておけない」みたいな感情に近いと思うし・・・」


恭介「僕もさやかの事を姉や妹のように大切な存在だと思ってる」


恭介「だからこそいつまでもさやかの優しさに甘えてられないよね。
僕にも彼女とか出来たらさやかも一人前と認めてくれるのかな」


恭介「なんて、中学生のうちから考えるのは早いよね。
なにより目先のコンクールのために今はバイオリンに集中しなくちゃ」





恭介「え・・・?」





ドンッ

~待ち合わせ場所~

さやか「恭介・・・」


さやか「待たせるなんて・・・やるじゃん」


さやか「手紙・・・」


さやか「恭介はいつ時間取れるかわからないから・・・
こういう古風なのもいいよね・・・」



さやか「騒がしいな・・・なにか事故でもあったのかな」


交通事故だーっ

バイオリンを持った少年が轢かれたぞーっ


さやか「!?」





さやか「恭介!?ま・・まさか・・・そんな・・・」

恭介「次に目が覚めたとき・・・そこは地獄のようにも思えた」



恭介「ここは・・・?」

恭介「起き上がれない・・・まともに動くのは・・・右手だけか・・・」


恭介「夢じゃ・・・夢じゃなかったんだ・・・」



さやか「恭介!!」ガチャッ


恭介「さ・・・や・・か・・」


さやか「ごめん・・・ごめんね・・・あたしが・・・待ち合わせなんてしなければ・・・」


恭介「それは違うよ・・・」

恭介「あの道は・・・レッスンの帰り道だったんだ・・・だから・・・さやかのせいじゃない」


さやか「でも・・・でも・・・!!」


さやか「ごめんね・・・ごめんね・・・」


~~~

医師「命に別状はありません。足もリハビリすれば元通り動くでしょう」


恭介父「ほっ・・・」


さやか「良かった・・・良かった・・・きょうすけえ・・」ポロポロ・・・



医師「ただし・・・」

恭介「全てが真っ暗になった気がした・・・」


さやか「恭介・・・」


恭介「やぁ、さやか・・・」

恭介「左手だけはまだ・・・治るかどうかわからないみたいなんだ・・・」


恭介「今回のコンクールは・・・かなり気合を入れてたのに・・・残念だ」

さやか「入院中はさ・・・あたしに出来ることならなんでもするからさ!」


恭介「ん?」


恭介「特に無いよ・・・お見舞いに来てくれるだけで嬉しい」

恭介「とりあえずリハビリできる体力を取り戻すまでは・・・まったく動けないし・・・」


さやか「わかった!じゃあ毎日来てあげるから!」


~~~


恭介「・・・本当に・・・何故僕なんだろう・・・」


ガチャッ


恭介「さやかかい?」


後輩女子「あの・・・上条先輩・・・私の事覚えてますか?」


恭介「え?」

後輩女子「あの・・・上条先輩のバイオリン聞きに言ったことあるんですよ私!」

恭介「そう・・・」

後輩女子「絶対に治してくださいね!私、また聞きに行きますから!」


中沢「上条!」


恭介「その後も色々な人が僕のお見舞いに来てくれた」

恭介「一週間もすればしだいに人数も落ち着いてきた。」


恭介「一ヶ月経てばお見舞いに来てくれる人はほとんどいなかったと思う」

恭介「僕を好きだといったはずのあの娘も一回きりだった。その程度の感情だったのだろう」


恭介「それでも・・・さやかだけは毎日のように来てくれた」


さやか「恭介!CD持ってきたよ」

恭介「わざわざありがとう。この人の演奏は本当に素晴らしくてね・・・
さやかも聞くかい?」


さやか「いいのかな・・・///」


~~~

さやか「恭介・・・泣いてたな・・・」


さやか「手紙・・・渡しそびれちゃった・・・でも・・・
それどころじゃ無くなっちゃったからね・・・」


さやか「今は・・・恭介の怪我を治す事のが先だよね」

恭介「あの頃の事は良く覚えてる。忘れちゃいけない」


医師「残念ですが・・・今の時代の医学では・・・」

恭介父「そうですか・・・」


恭介「そんな・・・」


看護士「上条さん、面会ですけど・・・」

恭介「お断りしてください」



恭介「なんで僕なんだ・・・!!なんで・・・足じゃなく手なんだ・・!!」

恭介「くそ・・・くそう・・!!」


恭介「しばらく日が経って落ち着いた時にさやかが来た」



さやか「何聞いてるの・・・?」

恭介「亜麻色の髪の乙女」



恭介「さやかは・・・僕をいじめているのかい?」



さやか「え・・・?」




恭介「もう聞きたく無いんだよ!自分で弾けもしない曲なんて!!」


恭介「僕の腕は二度と動かない・・・!奇跡か魔法でも無い限り・・・!!」



さやか「あるよ・・・!奇跡も魔法もあるんだよ!!」






恭介「その時・・・さやかは何かを思いつめたような表情をしていた」

恭介「・・・!?」


恭介「左手が・・・動く・・!?」



~~~

さやか「恭介自身にはどこか変なところとか無い?」

恭介「無さ過ぎて怖いよ・・・あんな事故にあったのが・・・夢だと思えるくらいに・・」


恭介「さやかには・・・ひどい事をしちゃったよね・・・」


恭介(さやかの顔をまともに見れない)


恭介(あんな事・・・無かったことにしてしまいたい)



恭介「その後さやかは僕の車椅子を押して屋上へと連れて行ってくれた」


恭介「ふと振り返れば・・・君は優しく微笑んでくれたね・・・」


恭介「だからこそ・・・罪悪感をより強く感じてしまったんだ」



♪~♪~♪


恭介「動く・・・」

恭介「完全に・・・事故にあう前と同じように・・・弾ける・・!!」



恭介「その頃の僕は・・・ただそれを神様がくれた奇跡だと思っていた」



恭介父「さやかちゃんに・・・退院のこと連絡しなくていいのかい?」

恭介「どうせすぐに学校で会うから・・・僕から説明するよ」


恭介(さやかは気にして無いと言ってくれたけど・・・さやかにひどい事をしてしまったのは変わらない)

恭介(謝る意味でも・・・早くバイオリンの練習をしなくちゃと思った)


恭介(大丈夫。僕が彼女のために曲を弾く・・・きっと仲直りできる)


恭介(なんなら、知らせないくらいのが丁度いい。きっと驚いてくれる。喜んでくれるはずさ)



???「坊やの手も足も二度と使えないようにしてやんな。そうすれば坊やはアンタの物さ」

さやか「お前だけは・・・絶対に許さない!」



恭介「・・・?さやかの声?」





恭介「それから二度と・・・さやかと言葉を交わすことは無かった」

恭介「数日後僕は・・・杖をついて学校に登校した。さやかに知らせなかったのは・・・
後ろめたさと・・・まだ仲直りのための曲ができてなかったから・・・」


恭介「さやかから話かけてくれればちゃんと受け答えしたと思う。だけど・・・
君はもうあの時・・・」


恭介「その翌日・・・」



仁美「私・・・以前から上条恭介君の事をお慕いしてましたの」


恭介「!!」



恭介「いままで僕に告白してきた後輩の子と違った」


恭介「きっとこの告白に至るまで何度も悩んできた事が伝わってきた」


恭介「仁美さんは本気で僕のことが好きなんだ。そう思えた」



恭介「正直・・・嬉しかった」


恭介「断る理由なんて無いと思っていた」



恭介「ありがとう志筑さん。僕も・・・志筑さんの気持ちに応えたい」

仁美「!!で・・・では私とお付き合いしてくださいますのね?」

恭介「もちろんだよ。志筑さんみたいな素敵な人なら」


恭介「そう・・・志筑さんみたいな素敵な人なら・・・」


恭介(さやかもきっと僕を一人前と認めてくれる)


恭介「そう・・・思っていた」



恭介「でも、本格的に付き合うのは待ってくれないか?今は少しでも練習していたいんだ」

恭介(さやかと志筑さんを・・・僕の家に呼ぼう。そして曲を聞かせて・・・報告して・・・あの事を謝るんだ)


恭介(さやかは親友だ。きっと僕たちを祝福してくれるさ・・・)



恭介「その気持ちが・・・さやかを傷つけているとも知らずに」




恭介父「・・・恭介・・・落ち着いて聞くんだ」










恭介「さやかが・・・遺体で見つかったって・・・?」

~美樹さやか告別式~


ニュース「行方がわからなくなっていた私立見滝原中学美樹さやかさんが
ホテルの一室で遺体となって発見されました」


恭介「・・・」


恭介「なんで・・・涙が出ないのかな・・・」


まどか「・・・」

恭介「鹿目さん・・・君もかい?」


まどか「なんだか全然実感なくて・・・」

まどか「今でも遠い場所の・・・同姓同名の人が死んだだけって思えてくるの」


恭介「僕もだよ・・・」

恭介「ここで死んださやかは同姓同名で・・・」


恭介「きっと僕たちの知っているさやかは新しい土地で・・・新しい友達と今を生きている・・・
そうとしか思えない」


恭介「薄情なのかな・・・僕は・・・」


まどか「今はその事より・・・仁美ちゃんの傍に居てあげてくれないかな?」





仁美「さやかさん!さやかさん・・・!!う・・・うわあああああ!!」


恭介「仁美さん・・・落ち着いて・・・」


仁美「私が・・・私がさやかさんを・・・追い詰めてしまったんです・・・私が・・・!!」

仁美「私が・・・私のせいでさやかさんは・・・!!」


恭介「それだけは絶対違う!」

恭介「僕が・・・さやかから逃げていたから・・・」


恭介「さやかは・・・僕に優しくしてくれたのに・・・僕が・・・逃げてたんだ・・・」


恭介「親友だったのに・・・さやかが何かに追い詰められてたのはなんとなく解っていたのに・・・」

恭介「さやかの悩みを・・・解ってあげようとは思わなかった」



恭介「さやかを殺したのは・・・僕だ・・・」



~~

中沢「上条・・・隣、いいか?」


恭介「中沢・・・」

恭介「・・・」

中沢「・・・」


中沢「泣かないんだな・・・」

恭介「あまりにも・・・自分が情けないからかな」


中沢「・・・ゆっくりでいいと思う。けど・・・いつかは美樹のために泣いてやれよ」

中沢「お前はずっと否定し続けたけど・・・美樹はお前の事好きだったと思うから・・・」


恭介「それが本当なら・・・なお情け無いよ・・・」


恭介「中沢・・・僕を殴ってくれないか?」

恭介「さやかのために・・・泣いてやることも出来ない僕を」


中沢「断る」






中沢「絶対殴られる程度で済まさない」



中沢「俺はお前を許さない。涙を流すその時まで」




中沢「俺、美樹の事好きだったから」






中沢「泣けないことに罪悪感があるのならなおさら殴ってやら無い」



中沢「殴られることが罪滅ぼしと思ってるうちは絶対殴ってやらねーよ」



中沢「自分で答えを見つけろよ・・・きっとそれが美樹にとっても嬉しいことだから」




恭介「・・・そうか・・・僕は誰かに叱られる事にまた・・・逃げを求めていたんだね・・・」




恭介「最低だ・・・」

恭介「その後すぐに異常気象がやってきて・・・」


恭介「しばらくしてから学校が再開した」



恭介「僕の身体はすっかり元通り動くようになった」

恭介「だけど・・・バイオリンを弾く気にはなれなかった」


恭介「・・・」

仁美「・・・」


仁美「まだ・・・復帰なさる気は無いんですの?」

恭介「・・・さやかの事・・・思い出して辛いんだ・・・」


仁美「そうですよね・・・」

恭介「こんな所・・・さやかに見られたらきっと怒られるだろうな・・・しっかりしろって」

恭介「あの子は僕のバイオリンが好きだったから」


仁美「私は・・・弾けとはいいませんわ」


仁美「でも・・・ゆっくりでいいですから・・・いつかさやかさんに聞かせてあげてください」


仁美「きっとさやかさんは・・・それを望んでいます」


仁美「さやかさんのために私たちが出来ることと言えばもう・・・それくらいしか残されて無いですから・・・」


恭介「仁美さん・・・ありがとう・・・でも僕は・・・」



不良生徒A「あれ~お二人さん、お熱いねぇ!!」


不良生徒B「これから放課後ホテルに直行ですか~?」

仁美「!?な・・・なんなんですか?あなた達は・・・!?」

恭介「・・・どこの学校にもこういうのはいるんだね・・・」


不良A「俺達も混ぜてくれよ~」

不良B「最近溜まっちゃってさあ~」


仁美「それ以上近づかないでください!こう見えても、最低限の護身術は習ってますのよ」

仁美「腹の中のもの全部ぶちまけたい方からかかってきなさい」


不良A「本気にしちゃった?ウソウソ!気にすんなって!」

不良B「彼氏の分だけちゃんと処理してやりな。ウケケケケ・・・」


仁美「ぐっ・・・!」


恭介「仁美さん・・行こう・・・こいつらはまだ手を出したわけじゃない。
殴るだけ仁美さんが不利になるだけだ」


恭介「相手にしちゃいけない。さ、早く」


不良A「なんだ・・・彼女の前でもやらねーのか。根性無しが」

不良B「そういやホテルといえば・・・例の2年の女子が発見された場所もホテルだったよな」




恭介「・・・」ピクッ

不良A「ナニがあってあんな場所にいたんでしょうねぇ・・・」

不良B「そりゃお前ナニでしょう!」


不良AB「「援交!」」



恭介「・・・」


仁美「恭介さん・・・?」


不良A「くっそ汚いオヤジの相手してたんじゃねぇの?」

不良B「金のためにか?つーか画像くれよ。その2年」


不良A「こいつだよ。たしか美樹って言ったかな」

不良B「もしかして美樹さやか?二年の割りにエロい身体してたな~」


不良A「なんだ、金でやれる女だったのかよ。俺も一発頼めばよかったな~」







プチン




~~~







不良A「ひいっ・・・ひい・・ひいいいい!?」




仁美「恭介さん・・・!?」


恭介「・・・・はっ!?」









恭介「気付いたらそいつが鼻血まみれで転がっていた」







恭介「拳になにかをヘシ折った嫌な感触が残っていた」

不良B「こ・・・こいつ・・・!?」

ガッ

不良A「離せよ・・・!」


恭介「謝れ」



恭介「さやかに・・・謝れ!!」




バチィン



仁美「恭介さん!!」



バキッボキッ


不良B「お・・おい・・・やめろ・・!」


不良A「ひぃいい・・・ひぃいいい・・」ボタボタ・・・


恭介「なんだ・・・良い子ちゃん中学で不良してるやつなんて・・こんなもんだったんだね・・・」


仁美「もうやめて恭介さん!」



恭介「謝らないなら・・・叫べよ!」

恭介「さやかのいる天国まで!悲鳴を響かせろおおお!!」


バギィン



不良A「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・もう・・・アンタに、逆らわねーから・・・」



恭介「僕にじゃない!!さやかに謝れって言っただろ!!」





仁美「やめて!!」



ガシッ





恭介「仁美さん・・・」



不良A「ひいぃいい・・ひぃいいい・・」

仁美「殴られなきゃいけないのは・・・私の方なんです・・・」


仁美「あの時・・・さやかさんの抱えてるものが何か・・・
ちゃんと聞いてあげられる余裕があったら・・・」


仁美「恭介さん・・・私が殴られます・・・だから・・やめて・・・」

仁美「あなたの腕は・・・こんな人達のために汚れていいものじゃない・・・
さやかさんも・・・そんな事望んでない・・・」




恭介「違う・・・」


恭介「僕が・・・僕が本当に殴りたかったのは・・・・!!」



早乙女「上条君!何をやっているの!?」



不良A「先生・・・助けて!」




恭介「都合のいいときだけまじめな生徒面するなよなああっ!!」


ボギィッ



不良A「ひぃいいいい・・・」




早乙女「上条君!?」



恭介「さやかは・・・さやかは・・・もっと痛かったはずなんだ!!」




早乙女「お願い上条君!やめて!!」


仁美「誰か!誰か!!恭介さんを止めて!!」


中沢「何やってんだ上条!!その先輩は・・・やばい奴だよ!!」



恭介「離せ・・・!コイツは・・・まださやかに謝ってない!!」




恭介「さやか・・・・」





恭介「うわああああああああ!!!!」

恭介「・・・あの不良が・・・PTA会長の息子?」

恭介父「そうだ、そして・・・示談では済まさないと言っている」

恭介「なんでまた・・・不良の真似なんかしてたんだ・・・」


仁美「ドラ息子なのでしょう。志筑家に取り入ろうとする方々にも、そういったご子息はいました」


早乙女「上条君・・・さやかちゃんのこと悪く言われて怒るのは解るけど・・・
手を出してしまえば負けなのよ・・・」


早乙女「出来る限り私もフォローするから・・・上条君は彼の事まだ許せないでしょうけど・・・
反省したフリだけでもいい。誠意を見せてくれないかしら・・・」


恭介「はい・・・」



~~


恭介父「ですから、治療費と正式な慰謝料はきちんとお支払いすると言っているんです」


仁美「それでも足りなければ、志筑家の方でも負担いたします」


不良Aの母「いいえ!お金の問題ではございません!これは立派な暴力事件です!
ちゃんと事件にさせていただきます。お宅の息子さんには当分、少年院にでも入っていただきます」


早乙女「お母さん、わかってあげてください。上条君は大切な友人を亡くしたんです。
その人を悪く言われたら・・・怒る気持ちも解ってあげてください」


不良Aの母「亡くした?ああ、そういえば例の援助交際の女子・・・
あの子も早乙女先生のクラスでしたわよね?」


恭介「・・・」



恭介「おい・・・」




仁美「恭介さん!駄目!」ぎゅっ




不良Aの母「早乙女先生も大変ですわよね。こんな問題ばかり起こす生徒たちの担任なんてやらされたら・・・」


不良Aの母「汚らわしいのよ!美樹とかいう生徒も・・・上条さんとこの息子も・・・
うちの息子が悪く言ったとしてもそれは正当な反応よ」


不良Aの母「他の生徒にも悪影響なのよ。さっさとここから出て行きなさい」



不良Aの母「それとも・・・早乙女先生が責任を感じて辞職してくださるかしら?
出来ませんよね~?あくまで悪いのは生徒ですよね~」




恭介「こいつ・・・!」



ペシン!!

不良Aの母「な・・・!?」


恭介「早乙女・・・先生・・・!?」


早乙女「なめんな・・・」


早乙女「私はね・・・自分達の教え子が・・・問題を起こしても・・・
大変だと思っても・・・汚らわしいと思ったことは一度も無いのよ・・・!」



早乙女「私のクビが示談の条件っていうのならいくらでもあげるわ」


早乙女「ただね・・・私の生徒達を汚らわしいって言ったことだけは取り消しなさい・・・」


ぐっ


不良Aの母「ひっ・・・」


早乙女(メガネ無し睨み)「取り消しなさいって言ってるのよ・・・」


仁美「早乙女先生!!やめて!あなたまで・・」


早乙女「いいかモンスター・・・点数稼ぎたい教師と違って・・
私は・・・教え子を守るためだったら・・・なんでもやれる・・・」


早乙女「さやかちゃんは・・・さやかちゃんは・・・素晴らしい子だった・・・
だから・・・お迎えが早く来たのよ・・・」


早乙女「今でも天使になって私達を見守ってくれてるの・・・
そんな子の事を悪く言うのなら・・・絶対許さない」


早乙女「さやかちゃんだけじゃない・・・上条君も仁美ちゃんも・・・
受け持った子全員が私にとって大切な宝物よ」


早乙女「そんな天使のような子が・・・幸せになって欲しいと願った相手が・・・上条君だったのよ・・・」


早乙女「上条君には未来がある・・・それを・・・汚させやしないわ・・・」



早乙女「もちろん、上条君の行為も許されるものじゃない・・・だから・・・
きっちり反省はさせる」



早乙女「これでもまだ上条君を連れて行こうとするのなら・・・戦わせてもらうわ」


早乙女「今まで学校側に口封じさせたあんたのバカガキの行動を全部暴露させてもらう」


早乙女「もちろんそんな事すれば睨まれるでしょうけどね・・・
どうせ辞めるから関係ないのよ・・・もう・・!」



仁美「わたくしも使用が許されている財力、権力をもって迎え撃ちます」



不良Aの母「ぐっ・・・」

不良Aの母「約束は守りなさい。辞職していただきますよ、早乙女先生・・・それと示談金で手を打ちましょう」

不良A「ママ!なんで!?」

恭介「早乙女先生・・・仁美さん・・」


恭介父「早乙女先生・・・あなた・・・」


早乙女(以下和子)「やっちゃったー♪でも、大切なものを守れたからよしとするかなっ」

仁美「和子先生・・・」


和子「詢子とツルんでやんちゃしてた頃のノリになっちゃった」


恭介「鹿目さんの・・お母さん?」

和子「そう、その詢子」


和子「要領悪いのお互い様だよね・・・上条君を見捨てれば・・・まだ教師を続けられたのに・・・」


恭介「早乙女先生・・・僕なんかのために・・・なんで辞めるなんて・・・」


和子「先生は知ってますよ?上条君が・・・今はさやかちゃんを亡くしたショックで
荒れてるだけだって。本当はちょこっと臆病だけど・・・さやかちゃんの事だれよりも大切にしていた
勇気ある生徒だってことを」


和子「いつかきっと・・・恭介君の気持ちも・・・さやかちゃんの気持ちもお互い通じ合える日が来る。
その時のために・・・先生一人が犠牲になるのなら・・・安いものよ」


恭介父「いや・・・私の気がすみません。再就職の世話くらいさせてください!」

仁美「私も!家の者に頼んで・・・」



和子「いいえ・・・その気持ちだけで十分です」

和子「実は縁談の話が来てて・・・教師を辞めて実家に戻らないかって言われているのよ」

恭介「え・・・」


和子「結婚するかもしれないのよ私」


和子「もちろん、相手のこと良く知らないから・・・お見合い結婚って事になるけどね」

和子「ずっと恋愛結婚に憧れてたけど・・・いつまでも両親を心配させちゃいけないから・・・
これはこれで幸せなの」


恭介「早乙女先生・・・」


恭介「ごめんなさい・・・早乙女先生・・・仁美さん・・・父さん・・・」


恭介「みんなが僕を庇ってくれたのに・・・バイオリンが弾けないんだ・・
答えが・・・見つから無いんだ・・・」


恭介「あの時さやかに何が出来たか・・・これからさやかに何をしてあげられるか・・・
その答えが・・・」



和子「焦らないで上条君・・・メールや電話でよければ相談に乗るから」


恭介父「出来ることから積み重ねていこう。きっとさやかちゃんも待っててくれるさ」



仁美「恭介さん・・・」

恭介「そんな優しさに包まれながらも・・・僕はまだ迷ってばかりの意気地なしだった」


恭介「だから・・・」



ほむら「話って何かしら?上条君」


恭介「暁美さん・・・僕と付き合ってくれませんか?」

ほむら「志筑さんへのプレゼントでも買いに出かけるのかしら?それならまどかの方が適任よ」


恭介「じゃなくて・・・」


恭介「恋人同士として、これからお付き合いしてくれませんか?って意味だよ」


ほむら「・・・」


ほむら「貴方は・・・私の事が好きなの?」


恭介「美人だなとは思うけど・・・正直よく知らない人だしわからないや」


ほむら「なら何故私に・・・?あなたは志筑さんと付き合っているわけではないの?」


恭介「仁美さんは・・・僕と同じなんだ・・・さやかを失って・・・傷ついている」


恭介「きっとこれからも・・・さやかを思い出すたび・・・お互い傷ついて・・・傷つけあうことは
目に見えているんだ・・・だから・・・別れてもらった」


ほむら「それだと志筑さんと別れる理由にはなっても私を選ぶ理由にはなって無いわよ」





恭介「憶測だけど・・・君といると気が楽になると思うんだ」








恭介「だって・・・クラスメイトの中で君だけがさやかの死を悲しんでないから」







ほむら「・・・」

ほむら「到底女を口説く言葉には聞こえないわね・・・無神経すぎるわ」


恭介「よく言われる」


ほむら「・・・」


ほむら「無様ね・・・上条恭介・・・」


ほむら「美樹さやかの幻影から逃れるために私に擦り寄ろうとしているのね」


恭介「そうだよ・・・何がいけないんだよ・・・」

恭介「みんなさやかが大好きだったんだ・・・!そんな人達に関わるたびに・・・さやかの事思い出して辛いんだ!」


恭介「辛いことから逃げ出して何が悪いんだよ・・・君は・・・表情一つ変えなかったじゃないか」


恭介「さやかの事なんとも思って無い人の方が気楽なんだ・・・もう・・・傷つきたくないんだ・・・」



ほむら「これが美樹さやかの惚れた男なら・・・彼女も浮かばれないわね」

恭介「!?君が・・・さやかの何を知っているんだよ・・・」


ほむら「知っているわよ。美樹さやかのあなたへの想いを・・・だからこそ彼女は
苦悩して・・・この世を去らなければならなくなったの」


恭介「絶対勘違いだよそれは・・・さやかにとっての僕は・・・いつまでも情けない男のままさ・・・
今も昔も・・・」


ほむら「上条恭介・・・ハッキリ言って、ダサイ」



恭介「う・・ぐ・・・」


ほむら「あなたがこのままどんどんダサイ男になる事は・・・
同時に美樹さやかを女として下げてる事に気付いてないのね・・・」


恭介「・・・なんだい?この住所が書かれた紙は?」




ほむら「美樹さやかのご両親の・・・現住所よ」




恭介「!!」





ほむら「一度訪れてみなさい。そこであなたが何かを取り戻して、いい男になるのなら考えてあげるわ」

美樹ハウス(引越し後の住所)


チーン


恭介「さやか・・・」


さやか母「ありがとね・・・来てくれて・・・きっとあの子も喜んでくれてるよ・・・」

さやか母「あたしも辛いんだ・・・あの子が走り回った見滝原の風景を見るたび・・・
どこかに今でもいるんじゃないかって思えてきて・・・だから引っ越した」


さやか母「でも・・・あたし達はハッキリ見たんだ・・・さやかの・・・さやかの
死に顔を・・・」


さやか母「さやか・・・さやか・・・・」ポロポロ・・・


恭介「おばさん・・・」



さやか母「恭介君に・・・貰って欲しい物があるんだ」


ゴソッ


恭介「さやかの・・・衣服?そんな物貰っても・・・」

さやか母「頼むよ・・・受け取ってよ・・・もちろん今日もって帰れって訳じゃない。
ちゃんと後日送るからさ・・・」


さやか母「きっとあの子も・・アンタと一緒の方が喜ぶと思うから・・・」




さやか母「それと・・・こっちは今見て欲しい」



恭介「2通の・・・手紙?」



さやか母「ラブレターだよ・・・アンタ宛の」




恭介「!!」



さやか母「ちょっと変わっててさ・・・2通どちらが欠けてもラブレターとして成立しない手紙なんだ」



さやか母「一つは幼稚園の頃書いた物・・・というか「しょうらいのゆめ」の作文を
恭介君の名前出すなってあたしが書き直させる前の物なんだけどさ・・・」



さやか母「もう一通は・・・事故があったあの日・・・本当ならアンタに渡すはずだった手紙なんだ」


さやか母「恭介君が色々あって・・・結局渡せなかったらしい」



恭介「さやかが・・・僕に・・・」


恭介「読ませて・・・頂きますね・・・」

恭介「・・・」


~幼稚園の頃書いた物~


「しょうらいのゆめ」


みき さやか


 あたしのしょうらいのゆめは、きょうすけくんのおよめさんになることです。

はじめてこんくーるにいったあのとき、ひいてくれたきょくがすごいすてきでした。

あたしはずっと、きょうすけくんのバイオリンをきいていたい。


 きょうすけくんのきょくに38てんをつけたけど、
これは100てんよりもうえのすうじだとおかあさんがおしえてくれました


 38(さや)っていみがあるから、みもこころも「さやか」のぜんぶ
あげられるひとにそのすうじをおくってあげてとおかあさんはいいました。


 あたしはきょうすけくんのためならみもこころもぜんぶあげられます。
だから・・・きょうすけくんのきょくはいつまでも38てんなんです。

 でもきょうすけくんは38てんというたびにむきになって
れんしゅうをがんばろうとします。

 いつかほんとうのことをおしえなくちゃとおもったので、いまここでかきました!!






恭介「ははは・・・園児らしいや。見も心もって・・・意味を解って言ってるのかな・・・」


恭介「そっか・・・そういう事もあったよね・・・38点ってそういう意味だったんだ・・・」

恭介「この年頃は身近な男の子は全員お婿さん候補だからね・・・さやかにも
こういう時期があったんだね・・・」



恭介母「いいから・・・次は事故の日に渡そうと書いたほうを読んであげなよ」




恭介「はい・・・」




恭介「!!」








恭介「これは・・・」 

親愛なる恭介へ

 可愛い女の子からの手紙だと思った?残念!さやかちゃんからでした!

そして、ラブレターかと期待しちゃった?残念!友達として書いた手紙でした!!


恭介最近がんばってるよね。だから邪魔しちゃいけないと思って・・・
恭介が時間を取れるときに少しずつ読み進めて欲しいからこんな古風な方法にしてみたの

あたし達もう大分長い間縁があるように思えるけど、最近ふと思うんだ
きっと恭介の行く道はバイオリン一直線で、昔みたいにあたしと一緒にいる時間が減っていくんだろうなって


でもあたし、恭介の弾くバイオリンが大好きだから・・・きっと背中を押してあげるんだろうなって

恭介はそれでいいと思う。いつまでもまっすぐ自分が決めた道を進んで欲しい。


ふと立ち止まりたい時は・・・あたしがいつでも傍にいてあげるから。


一度恭介の練習が落ち着いたら、振り返ってみるのも悪くないと思うんだよね。

きっと学校で会う友達だったり・・・家族だったり・・・恭介の演奏を聴きに着てくれる人だったり・・・
いろいろな人が、恭介を応援してくれてると思うから。


その人達の中でもあたしは、いつまでも恭介を支えられる自分でいたい。

それがどんな形の関係であっても・・・あたしは恭介の味方でいたいって思った。


恭介はあたしに息抜きに付き合ってもらってるって感謝してくれたよね。
あの時・・・すごく嬉しかったんだ。


だから・・・恭介さえ良ければこれからは普通の学生らしい事もしてみようよ。
中沢みたいなヤツのバカに付き合ったり、またどこかに出かけたり


彼女が欲しいとか考えてみたり・・・・


きっとそれはそれですごい楽しいと思うんだ。


恭介はきっと・・・いつかもっと上手くなるために海外でもどこでも行っちゃうんだろうけど
あたしは・・・恭介と友達で居られる今を大事にしていたいから・・・


恭介がどこか行っちゃう前に・・・普通の学生として同じ場所に居れる今が・・・愛おしいと思ったから・・・


きっと大丈夫だよ!恭介にもあたしにも・・・これから嬉しいことも辛いこともあると思うけど・・・
辛さは折半してあげる。そして喜びは・・・もっと盛り上げてあげるから。


一区切り着いたらさ、次に進む前にあたしの事待っててくれないかな?


また背中を押してあげる前に伝えなきゃいけないことがあるんだ。
それは・・・あたしが幼稚園の頃初めて恭介の演奏を聞いてから、ずっと変わらなかったあたしの秘密。

この手紙でいえないのは・・・恭介の邪魔しちゃいけないと思うからなんだよね。
多分動揺するだろうから・・・


だからこれは「親友として」恭介にしてあげられる最後の応援の手紙。


大好きだよ。これからもよろしくね。


恭介を情けないと思ったことなんて一度も無い。恭介はあたしの最高に自慢の友達だから・・・




まだしばらく・・・恭介の傍に居てもいいかな?

恭介「・・・」



がくっ




恭介「さ・・・や・・か・・・」

恭介(そう呟けば・・・さやかが「なに、恭介?」と優しく微笑んでくれる気がしていた)


恭介「さやか・・・」ポロポロ・・・

恭介(きっと新しい土地で、新しい友達と今を生きているさやかがどこかにいると信じていた)


恭介「さやか!!」

恭介(でも違った。この時僕ははっきりと気付いたんだ)



恭介「さやか!そんな・・嫌だよ・・・!!さやか!さやか!!」

恭介(さやかを失ったことに・・・)


恭介「今までずっと一緒だったじゃ無いか・・・僕を置いていかないでよ!!さやか!!」


恭介(失った後も・・・さやかを裏切り続けてきたことに)



恭介「さやか!!さやか!!さやか!!」


恭介(もう二度と戻らないその人の名前を叫ばずにはいられない)




恭介「うあああああ・・・・」










恭介「さやか!!なんでだよ!!さやか!!」




恭介「うわああああああああああああああああ!!!」







恭介(その日・・・僕はさやかが死んでから初めて泣いた)









恭介(気がついたら・・・辛いはずなのにバイオリンをもう一度手にしていたんだ)

上条邸

恭介「・・・君は・・・僕より先にさやかのご両親の新しい家に行って、線香をくれたんだね・・・」

ほむら「ええそうよ・・・とは言っても・・・まどかの付き添いとしてだけど・・・」


恭介「ごめん・・・さやかの事・・・君は悲しんで無いみたいな事を言って・・・」


ほむら「別に、間違って無いわ。その認識で」

ほむら「彼女には散々冷たい態度を取ってきたもの。だから・・・あなたに咎められても仕方ない」


ほむら「でもこれだけは傷ついたわ。私はさやかが嫌いなわけでは無いから・・・」

ほむら「初めて出会ったときは友達だった時もあった・・・次第にズレていく気持ちの中で・・・
彼女との確執が致命的なものになってしまっただけなの・・・」


ほむら「力があるのなら彼女も救ってやりたかった。それだけは本音よ」


恭介「本当に・・・ごめんなさい!!」


仁美「遅れました・・・暁美さんは・・・もう来てらっしゃいますのね・・・」


恭介「やぁ仁美さん・・・来てくれたんだね・・・後は、鹿目さんだけど・・・」


ほむら「まどかは・・・来れないわ・・・」


恭介「じゃあ始めようか・・・迷惑をかけた二人に・・・お詫びを兼ねた
僕の復帰第一回目のコンサートを」



恭介「バイオリンを弾き続けると決めたから・・・
さやかに伝えるにはそれしかないって・・・気付いたから・・・」



ほむら「いい顔をするようになったわね上条恭介・・あの話・・・
考えてあげてもいいわよ?」


仁美「あの話とは?」

ほむら「私と付き合って欲しいと言ったのよ。彼」

仁美「ちょ・・・ちょっと恭介さん!?なぜ元彼女の私には何の相談も無かったのです!?」


仁美「今でも私、あなたの事が好きです!それはこれからも絶対変わらないのに・・・」


ほむら「ハッキリなさい恭介。あなたは私と志筑さんどっちが好きなのかを」


ほむら「私たちどちらを選んでも良い返事が出せると思うから・・・」



恭介「ありがとう二人とも・・・でも・・・僕は自分の本当の気持ちに気付けたから・・・」




恭介「僕は・・・さやかが好きだ」




恭介「だから・・・弾き続けるよ。きっと僕の想いがさやかのいる場所まで
どんなに遠くても届く日が来ると信じているから・・・」





恭介「心だけでも・・・さやかに捧げるんだ。それが・・・僕が
さやかの気持ちに応えらるただ一つの決意だから」





仁美「そう・・・ですか・・・」


ほむら「・・・本当に・・・いい男になったわね・・・」



恭介「この曲は・・・本当はさやかと仲直りするために書いた曲なんだ」

恭介「もし僕がもっと早くさやかに聞かせられてたらって思ったら・・・さやかを救えたのかなって・・・」


仁美「恭介さん・・・」



恭介「ご、ごめん!始めるよ!!」


♪~♪~♪


ほむら(この音色が・・・美樹さやかが願った奇跡・・・)


ほむら(確かに安らぐわね・・・私・・・あの娘を失ったばかりで・・・悲しいはずなのに・・・)


ほむら(まどか・・・さやか・・・あなた達もきっとどこかで聞いているわよね・・)


仁美(さやかさん・・・私のためじゃなく・・・これはあなただけの曲なのですよ・・)

仁美(最初から・・・あなたに敵う余地なんか・・・ありませんでしたのね・・・・)

恭介「ふぅ・・・」


ほむら「・・・」パチパチパチパチ

仁美「・・・」パチパチパチパチ


パチパチパチパチパチ



恭介「え・・・?」


ほむら「流石ね。まったくブランクを感じさせないわ」

仁美「お見事です。恭介さん」



恭介「今・・・」



恭介「拍手が・・・一人分多くなかったかい!?」


ほむら仁美「「!?」」



恭介「さ・・やか・・・」



恭介「そうか・・・そうだったんだね・・・」

恭介「絶対に治らないと言われた左手・・・何故奇跡が起こったか・・今わかった・・・」



恭介「もう二度と会えないと思ったのに・・・」


恭介「君は・・・こんなに近くにいたんだね・・・」


恭介「さやか・・・」



ぎゅっ




恭介「僕の左手に・・・君がいるんだね・・・」


恭介「さやか・・・!!」


恭介「弾き続ける事が・・・君と会う方法だったなんて・・・」


恭介「もう絶対離れ離れになったりしないから・・・」



恭介「これからは・・・ずっと一緒だよ・・・」



恭介「ありがとうさやか・・・ありがとう・・・」


仁美「恭介さん・・・」

ほむら「恭介・・・」

駅のホーム

鹿目詢子「見送りが一人だけってのも味気ないね・・・なんで生徒にはしらせなかったのさ?」

和子「いいわよ・・・余計に別れが辛くなるだけだから・・・」


和子「まどかちゃんまで失って・・・私たちこれからどうすればいいの・・・」


詢子「私たちにはまだタツヤがいる。それに・・・まどかが愛した者がいる」


詢子「ほむらちゃんが全て話してくれたんだ・・・まだ信じられない事ばかりだけど・・・
アイツは最後の瞬間・・・一番大切なものに気付けて逝けたんだ」


詢子「だからあたし達は生きていくんだ・・・ほむらちゃんを・・・タツヤを・・・
アイツが守りたかった物を守り通す。それがアイツにしてやれる事だから・・・」


詢子「だから、アンタはアンタで・・・きちんと幸せを掴むんだよ、和子」

和子「詢子・・・ありがとう・・・」



中沢「おい!まだ電車来て無いぞ!はやく!みんな早く来い!!」


和子「中沢君・・・?」


クラスメイト達「早乙女先生!」



和子「みんな・・・」

電車「やあ」


恭介「もう電車来ちゃったよ!ドラマみたいに電車が来る前に合唱したかったのに!」

恭介「もちろん・・・演奏は僕で」


和子「上条君・・・?」

和子「そっか・・・バイオリン・・・弾けるようになったのね・・・」


恭介「はい。さやかと・・・先生のおかげです」

恭介「だからこれを。」


和子「CD・・・?」


恭介「本当はこの場で聞かせるはずだった歌を・・・
先生のために僕が作曲して・・・みんなが歌った歌が入ってます」


恭介「他にも書き下ろしの曲を何点か」


和子「みんな・・・」ポロポロ


恭介「これからはさやかのためにだけ弾き続けると決めたけど・・・
先生のためだけに今作った曲達がそれなんです」



恭介「歳の差なんて関係ありません。
さやかがいなかったら・・・僕は先生に惚れてたかもしれないほどに・・・
僕を庇ってくれた先生はかっこよかった」



和子「上条君・・・」


中沢「美樹や鹿目さんを失った俺たちですけど・・・絶対2人の分まで
立派な大人になるって決めましたから!」


仁美「和子先生から、お金で買えない物をいっぱい頂きました」

仁美「和子先生と過ごした毎日が・・・私たちにとっての宝物です」


仁美「私たち絶対先生のこと忘れません。いつかきっとまた会いに行きます」


クラス全員「今までありがとうございました!お元気で!そして幸せになってください!!」



クラス全員「僕たち私たちは、早乙女先生が大好きです!」



和子「ありがとう・・・ありがとう・・・あなた達を受け持って・・・本当に良かった・・・」



詢子「和子・・・」


和子「詢子・・・」

詢子「行って来い親友!離れ離れになっても、それだけはずっと変わらないよ!」


和子「ありがとう・・・ありがとう詢子・・・」



和子「まどかちゃんもさやかちゃんも・・・今ここにいるのね・・・感じるよ・・・」




和子「本当にみんな・・・ありがとう・・」

恭介「しばらくして世界は大幅な変動期に入った」


恭介「魔法少女の事が知れ渡り、人類はインキュベーターと交渉を交わすようになる」



恭介「仁美さんとは今でもコンサートの招待券を送る間柄だ」


恭介「そしてこの頃からほむらさんとばかり話していた気がする」



恭介「さやかは・・・魔法少女だったんだね」

ほむら「そうよ。あなたのために奇跡を願った」


恭介「僕は弾きつづけた。さやかのために」


恭介「ほむらさんが経験してきたこと全てを話してもらった」

恭介「気付いたらかつてさやかがいた親友という空席をほむらさんが埋めていた」


恭介「僕がさやかを想う気持ち以上の感情をほむらさんは鹿目さんに持っていたのかも知れない」


恭介「大切な人を失った者同士通じるものがあったのだろう」




恭介「そして10年余りが過ぎようとしている時・・・」





恭介「さやかの気配が・・・もう感じられないんだ」



ほむら「そう・・・」

ほむら「恐らくあなたにもう他の人と幸せになって欲しいと願ってるからじゃないかしら?」


ほむら「仁美もまだ貴方のこと真剣に好きみたいよ」


ほむら「24歳現在までまったく彼女を作ろうとしなかった貴方が心配で身を引いたのよ」

ほむら「このままだとあなた・・・魔法使いになるわよ?」


恭介「だったら是非ほむらさんにお願いしたいのだけれど」


ほむら「本気じゃないくせによく言えたものね・・・本気なら残念だけど一足遅いわ」


ほむら「プロポーズされたのよ彼に」


恭介「例の10歳年下の彼氏?本気だったのかい?」


ほむら「本気よ。私たちはいずれ一緒になるわ」


ほむら「あなたも仁美と落ち着くか新しい誰かを探すなりしなさい。
さやかもそれを望んでいると思うから」


恭介「申し訳ないけどさやか以外の誰かを好きになれそうにないよ」



恭介「僕が新しい恋に進めるとしたらそれは・・・」



ほむら「それは?」



恭介「・・・ねえ・・・ほむらさん」

恭介「君が繰り返してきた時間の中に・・・僕とさやかが結ばれた未来は無かったのかい?」


ほむら「私の知る限り無いわね」


ほむら「貴方達はすれ違ってばかりだった」

ほむら「それに・・・」


ほむら「結ばれた世界でも・・・ワルプルギスが強制的にリセットしてしまっていたから・・・」


恭介「どういう事だい?」


ほむら「魔法少女になるならない関係なく、さやかとあなたが結ばれた世界では
強力なワルプルギスに当たる可能性が高かった」

ほむら「だから結ばれても・・・ワルプルギスの攻撃で二人とも死亡することが多かった」


ほむら「偶然と切り捨てるだけの統計しか出てないのだけれども・・・
もしかしたらワルプルギスはあなた達の仲に嫉妬しているんじゃないかって思ったこともあったわ」


恭介「ははは・・・まさか」


~6年後~


キュゥべえ「契約は成立だ。さぁ上条恭介・・・君は今から魔法使いだ」


恭介「これが・・・僕のソウルジェム・・・」



キュゥべえ「ただし、変身するには女性ものの使用済みパンティが必要だ」

恭介「なんだそれ!?」


恭介「まてよ・・・さやかのお母さんがくれた遺品の中に・・・」ゴソゴソ


恭介「あった!さやかのパンティ!!あの日のさやかのままのぬくもりだ!」

恭介「10年のあいだに時空トランクが開発されたよかった!
これで残りのさやパンも新鮮な状態のまま保存できる」


キュゥべえ「なんでそんなに説明口調なんだい?」

魔法少女「きゃあ!!」ドサッ


触手の魔女「GUHEHEHEHE・・・」


魔法少女「誰か・・・誰か助けて!!」



バイオリン仮面「とうっ!!」


バイオリン仮面「バイオリン仮面、参上!!」


魔法少女「あ・・・あなたは・・・魔法使いの・・・バイオリン仮面様・・・」ポッ




~4年後~

TVレポーター「これが、日本で初めて完成したタイムマシンです。」


TVレポーター「完成記念パーティには首相をはじめ、日本が代表する
世界的な著名人が参加しています」


TVレポーター「あ、あちらにいるのは世界的バイオリニストの上条恭介さんですね!
コメントを頂きましょう!」


TVレポーター「上条恭介さ~ん!」

恭介「さやか・・・僕は今でも・・・君が好きだ」


恭介「君を救い出すためなら・・・僕は世界も正義も裏切ってみせる」


「タ・・・タイムマシンが無い!!」



恭介「さやか・・・僕がもしも新しい恋に歩みだせるとしたら・・・」


~20年前~


さやか「えええええ!?あなたがバイオリン仮面!?」


「変身前の僕をバイオリン仮面と呼ぶのはいただけないね」


恭介「僕が別の人と結ばれるとしたら・・・それは・・・」


恭介「もう一つの未来で・・・どこかの時間軸で君と僕とが・・・
友達同士だとしても、恋人同士だとしても・・・」



恭介「二人寄り添っている世界があると認識できる時だから・・・」


恭介「そのためならば・・・僕はたとえ本当の名前を名乗れなくなったとしても・・・構わない!!」








氷室「そうだ氷室!僕の名前は氷室って呼んでよ!!」

挿入歌:バイオリン版「コネクト」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm14560983?ref=search_key_video

さやか母「これもあんたに返さなきゃね・・・」

さやか母「アンタが幼稚園のころさやかに描いてあげた絵本・・・アイツ、大好きだったから・・・」


恭介「これは・・・」


(園児の語彙力は修正)

~バイオリン仮面~
作・絵:かみじょうきょうすけ

人魚姫の気持ちに気付いた王子様はもう一度だけ
同じ時間をやり直しました。


王子様は王様と后様がきめたお姫様ではなく、
人魚姫と結婚するといいました

当然、王様は怒りました。王子様は国から永久追放されてしまいました。

王子様は国を捨てて一人の男として人魚姫の思いに応えたのです。


人魚姫を殺せば王子様は国に戻ってきてくれると考えた王様は
次々と刺客を送りました。

国の刺客と戦うとき、王子様はバイオリン仮面に変身するのです。


王子様は国から送られてくる兵隊を次々に倒していきました

やがて王様は諦め、王子様の一人立ちを許したのです


人魚姫も一人の平凡な奥さんとして・・・
王子様だった男のバイオリンをいつまでも二人一緒に聞いているのです。


贅沢な暮らしは出来ませんでしたが二人は幸せに暮らしました。





恭介「バイオリン仮面・・・思い出した・・」

さやか「恭介が・・・あたしのために書いてくれた絵本の・・・主人公・・・」


恭介「恭介・・・君は・・・未来からさかのぼってさやかのために・・・
本当にバイオリン仮面になったんだね・・・」



未来恭介「さあ!条件は全て揃ったぞインキュベーター!!」


未来恭介「間違いなく「上条恭介」が「一週間以内」に「美樹さやかが起こした奇跡」を返した!」



未来恭介「戻してもらう!さやかを人間に!!」




キュゥべえ「やられたよ・・・氷室・・・いや・・・上条恭介・・・」



ピカーッ

杏子「さやか!」

ほむら「さやか!」

マミ「美樹さん!」

シュウウ・・・・


ドサッ


ドサッ


ドサッ



恭介「さやか・・・」


さやか「恭介・・・?」


恭介「良かった・・・さやかが・・・さやかが戻ってきてくれて・・・」

さやか「恭介、恭介は・・・?」


未来恭介「う・・う・・・」



恭介「恭介!」さやか「恭介!」



ガバッ


さやか「恭介!恭介!!しっかりしてよ・・・恭介!」

恭介「恭介・・・」



未来恭介「や・・・やあ・・・さやか・・・」


未来恭介「バイオリン仮面や・・・氷室としては何度も顔を合わせたのに・・・
なんだかこの時代に来て・・・やっと君に再会できた気がする・・・」


未来恭介「左手・・・もう動かないや・・・でも・・・でも・・・」


未来恭介「お帰り・・・さやか。僕は・・・やっと君を取り戻せたんだね・・・」



さやか「バカ!バカ!!恭介のバカ!!なんて無茶するのよ!!バカ!!」

恭介「恭介・・・本当にバカだよ君は・・・なんで僕の代わりに・・・・」


恭介「君も恭介なら・・・バイオリンがどれだけ大事か解るんだ・・・
なんで・・身代わりになろうとしたんだ・・・」




未来恭介「さやかを失うことより・・・怖いことがあったから・・・」

未来恭介「元々僕が負っていた怪我も・・・魔法少女が魔女になる問題も・・・
20年後では救いがある未来になっている・・・」


未来恭介「その時ふと思ったんだ・・・もしかして・・・ありとあらゆる問題は・・・
時間さえかければ解決するのかなって・・・」


未来恭介「そう気付いたら・・・さやかを失った悲しみが少しずつ癒されていく自分がいたんだ・・・」


未来恭介「それが怖かった・・・さやかの事をいつか忘れてしまうのが怖かった・・・
たとえ悲しい思い出でも・・・忘れるなんて絶対嫌だって思った・・・」


未来恭介「だから・・・この時代にやってきたんだ・・・」



未来恭介「なにより怖いと感じたのは・・・もしかしたらあの時の僕は
さやかよりバイオリンを・・・左手を選んだクズ野郎だったんじゃ無いかって疑念だった・・・」


未来恭介「でも・・・自分に裏切られないで良かった・・・よく叫んだな・・・恭介・・・嬉しいよ・・」


恭介「恭介・・・」


未来恭介「だから勝手に身体が動いたんだ・・・もう怖いものは何も無いと感じたとき・・・
自然に身体が動いたんだ・・・」



未来恭介「恭介のために犠牲になろうとしたわけじゃない・・・この役割だけは・・・
絶対譲れないって思った・・・」



未来恭介「だって「左手なんかいらない、さやかを助けたい」・・・20年間・・・
僕がさやかに伝えたかった言葉そのものだったから・・・」



恭介「恭介・・・君は・・・君は・・・」



未来恭介「そんな悲しい目でみないでくれよ恭介・・・」


未来恭介「たとえこの時間でさやかを助けても・・・
自分がさやかと結ばれないとわかっていても・・・それでも助けたいと思ったから・・・」


未来恭介「自分自身の手で・・・さやかを救えたのが・・・嬉しいんだ・・・」



未来恭介「それにね・・・恭介・・・」



未来恭介「さやかを救う・・・それと同じくらいやりたかった事は・・・たとえ
右腕一本だけでも・・・叶う望みだから・・・!!」


恭介「!!」




バチィン!!




恭介「が・・・はぁっ・・・・!!」

さやか「恭介が・・・恭介を!?」

ドサッ


さやか「恭介!!」


未来恭介「・・・」



未来恭介「バカ野郎・・・」


未来恭介「どうしてあの時・・・さやかに一言だけでも声をかけてやれなかったんだ・・・!」

未来恭介「この・・・大バカ野郎・・・・!!」ポロポロ・・・


恭介「恭介・・・?」


未来恭介「わかってる・・・わかってるんだ・・・ここまで歴史がズレてしまえば・・・
もはや僕と君とは・・・赤の他人なんだって・・・」


未来恭介「でも・・・殴らずにはいられなかった・・・あの時・・・その気持ちが
たとえ友情でも愛情でも・・・さやかに優しくできなかった自分が許せなくて・・・」


未来恭介「せめて一発・・・あの時の自分を殴ってやりたかった・・・!!」



未来恭介「うっ・・・うっ・・・」ポロ・・・


未来恭介「う・・・うあああ・・・うわああああああ!!!」ポロポロポロ・・・・



未来恭介「嫌だ!!嫌だ!!僕も・・・僕もさやかの傍にいたい!なのになんで・・・」


未来恭介「自分の事を・・・絶対好きにならないさやかを・・・救ってしまったんだ・・・!!」

未来恭介「左手なんかいらない!さやかと寄り添っていたい!その気持ちに嘘は無いのに!!」


未来恭介「さやか!!さやか!!やっと会えたのに・・・他の誰でもない・・・自分自身に取られるなんて・・
そんなの嫌だ!!」ポロポロ・・・


未来恭介「う・・・あああ・・・さやか・・・さやかあ・・・」ボロボロ・・・


恭介「恭介・・・」


さやか「恭介・・・」



未来恭介「違うよ・・・氷室だ・・・バイオリン仮面なんだ・・・」

未来恭介「恭介と・・・呼ばないでくれ・・・僕が・・・辛くなるだけなんだ・・・」





恭介「違う・・・」



恭介「バイオリン仮面は・・・僕だ・・・」

恭介「さやかが僕のバイオリンを好きだったから・・・
いつしかそれだけでしか・・・バイオリンでしかさやかと接する事が出来ないと思ってたのは僕だ」


恭介「ありのままの自分で接する事をどこかで怯えてたんだ・・・バイオリンの仮面を被り続けてた・・・」

恭介「だからさやかを傷つけて・・・魔女にしてしまった・・・」


恭介「恭介・・・君は・・・仮面を被りながらも自分が救いたいものに正直に生きてきたじゃないか・・・」


恭介「君がさやかと結ばれるべきなんだ・・!!僕じゃない!!」




未来恭介「だったらさやか本人に・・・選んでもらうさ・・・」



さやか「え・・・?」



未来恭介「さやか・・・最後に少しだけ・・・僕のことを恭介と呼んでくれるかい?」


さやか「う・・・うん・・・」


未来恭介「それが終わったら・・・僕のことはまた氷室と呼ぶ。約束できるかい?」


さやか「・・・わかったよ・・・なんとなく・・・やろうとしてる事が」



未来恭介「君が選ぶまでも無く・・・君が愛すべき恭介はそこに居ると言っておく・・・」



未来恭介「それでも僕は・・・君の口から答えを聞かないと・・・未練が残るだろう・・・」

恭介「恭介!?君は何を・・!?」


未来恭介「さぁ聞かせてくれさやか・・・君が今好きなのは誰だい?」


未来恭介「僕と同じ名前でありながら・・・僕とまったく違う人間の名前・・・
その名前を聞かせてよ・・・」




さやか「ごめんね・・・恭介・・・」



さやか「あたし・・・恭介の気持ちに応えられない・・・恭介の事が・・・好きだから・・・・」

さやか「恭介みたいに・・・オトナの対応ができるヤツじゃなくて無神経なヤツでも・・・」

さやか「恭介みたいに・・・マミさんの気持ちを気付くようなカッコイイやつじゃなくて鈍感なヤツでも・・・」



さやか「あたしは・・・恭介じゃなくて・・・恭介が好きなんだ・・・」




さやか「動かない左手を・・・絆だと言ってくれた恭介が好き」


さやか「人魚姫でも魔法少女でもないあたし自身を好きだと言ってくれた恭介が好き」




さやか「そんな気持ちに気付かず勝手に契約した奇跡を・・・
なんの戸惑いも見せずに手放して・・・あたしを救おうとしてくれた・・・」






さやか「そんな恭介が大好き」




さやか「だから・・・恭介とは一緒になれない・・・」




さやか「ゴメンね・・・ゴメンね・・・恭介・・・・」




恭介「さ・・・やか・・・」



未来恭介「うん・・・知ってたよ・・・」





未来恭介「これで・・・やっと諦められる・・・さやか・・・恭介といつまでも・・・幸せにな」


未来恭介「これで良かったんだ・・・どんな時間軸でも・・・さやかは僕にフラれたと思って
絶望していた・・・だから・・・一人くらいさやかにこっぴどくフラれる恭介がいて良いんだ・・・」



さやか「でも!でも!!」




さやか「恭介が生きてきた未来のあたしは・・・間違いなく恭介の事が好きだったよ!!」


未来恭介「!?」



未来恭介「ま・・・まさか・・・さやか・・・君に・・」

さやか「そうだよ・・・未来のあたしは・・・恭介の傍から消えたわけじゃなかったんだ・・・」


さやか「重なり合う心と心は・・いつしか完全に一つの物になってて・・・」

さやか「未来のあたしが想う事・・・未来の恭介が想う事・・・それが
まったく同じ気持ちだったから・・・声が聞こえなくなっただけなんだ・・・」


さやか「恭介が・・・左手を差し出したとき全部わかったんだ・・・
恭介の未来を生きてきたさやかの気持ちが・・・あたしに流れてきた・・!!」


さやか「恭介が失ったさやかが・・・あたしの中にいるの・・・!
恭介が好きだったさやかが・・・」



未来恭介「そんな・・・そんな事が・・・」



さやか「だから・・・あたしが代わりに・・・そのさやかの言葉を言ってあげるね・・・」

さやか「まず最初に「バカ」、「無茶しすぎ」これは共通だね」



未来恭介「う・・ぐ・・」グサッ

さやか「だけど・・・20年間楽しかったって。頑張ったねって。」


未来恭介「・・・」



さやか「もう・・・休んでいいよって・・・」



未来恭介「さやか・・・」



さやか「そして最後に・・・」





さやか「ありがとう。」






さやか「恭介の事、大好きだったよ」

未来恭介「さ・・や・・・か・・・」


未来恭介「そうか・・・そうだったんだ・・・」


未来恭介「今・・・やっとわかった・・・」

未来恭介「もう一度だけ・・・さやかの声を聞きたかった・・・それが・・・
僕の本当の願いだったんだ・・・」


未来恭介「さやか・・・今も君の中に・・・さやかはいるのかい・・?」


さやか「もうすぐ消えるよ」


未来恭介「伝えてくれ・・・もう僕の事は大丈夫だからって・・・」

未来恭介「ちゃんと新しい人を見つけるって・・・」

未来恭介「ありがとう・・・僕も楽しかった・・・」



未来恭介「僕も大好きだったよ・・・」




未来恭介「たくさんの思い出をありがとう・・・」



未来恭介「そして・・・」









未来恭介「さようなら」

さやか「うん・・・うん・・・」ポロポロ・・・


しゅうう・・・


恭介「さやか・・・さやかは?」

さやか「もう・・・いないよ・・・」


未来恭介「さようなら・・・僕の一番大切な人・・・今度こそ・・・お別れだね・・・」



未来恭介「忘れることなんて・・・絶対無い・・・絶対出来ないから・・・」


恭介「恭介・・・」

恭介「絶対に・・・僕はさやかを手放したりしないから・・・」


未来恭介「ああ」


恭介「君は僕の親友だ・・・さやかの大切さを・・・教えてくれた」


未来恭介「そうだね・・・」


恭介「今度は君の幻影に追われたりしない・・・上条恭介として・・・君を越えてみせる」


未来恭介「それでいい・・・僕だってバイオリンが弾けなくなったけど・・・
君に負けない生き様を見せるつもりだ」



未来恭介「改めて・・・恭介と呼ぶのはこれっきりにしてくれないか?」


未来恭介「僕は・・・氷室だ。これからは・・・それでいい」


氷室「氷室としての人生を・・・全うする・・・それが二人のさやかを救い出せた僕の・・・
新しい目標だから・・・」


恭介「わかった・・・これからも・・・親友として・・・ライバルとして・・・師匠として・・・」

恭介「よろしくお願いします!氷室さん!」


さやか「あたしも・・・いつまでも親友だから!氷室さん!」



氷室「ありがとう・・・ありがとう・・・恭介・・・さやか・・・」

ほむら「氷室・・・」

杏子「氷室・・・」

マミ「氷室さん・・・」


氷室「やぁ・・・」


氷室「ごめんね・・・今まで正体を黙ってて・・・」


氷室「できることなら・・・さやかが契約しないまま事を終えるのが・・・
理想だったから・・・」



ほむら「何のことかしら?」

杏子「あたし達は親友を迎えに来ただけだぜ?」

マミ「それが偽名だとしても・・・関係ない・・・
私たちにとってのあなたは・・・氷室さんよ」



ほむら「氷室・・・さやかを救ってくれて・・・ありがとう・・・」


さやか「みんな・・・」


さやか「みんな・・・ごめんね・・・あたし・・・呼びかけてくれたみんなを・・・
傷つけて・・・」


杏子「それは違うぞさやか」


マミ「ごめんなさいよりも、言うべき言葉があるでしょう?」




さやか「・・・」





さやか「ただいま・・・」






ほむらマミ杏子「お帰りなさい」

グゴゴゴゴゴ・・・・・



ワルプルギス「ウフ・・・アハハハ・・・ウフフフ・・・・」



杏子「完全にダメージを修復してやがる・・・」

ほむら「再会を喜んでる暇はなさそうね・・・」


マミ「せっかく取り戻せた美樹さんを・・・もう壊させはしないわ」


杏子「ヤツの能力は・・・魔法少女2.5人分って言ったよな・・・ほむら・・・」

ほむら「言ったわね・・・でもその数字の「1」はあくまで十分なグリーフシードがある場合よ」


ほむら「そして・・・一人の魔法少女が命を燃やして引き出す魔力の「1」でもあるわ・・・」


マミ「グリーフシードが無くなった今でも・・・命がけでやればなんとか倒せるのね・・・」


さやか「!?みんな・・・何を考えてるの!?」


杏子「さやか・・・最初の約束と違うけど・・・あたし達の誰かが・・・もしくは全員が欠ける事を
許して欲しい」

ほむら「まどかとあなたを守るため・・・命を燃やして最後の一撃を放つわ」


さやか「!?」



さやか「やめて!!みんな!」



マミ「いいえ・・・やらせて・・・」



杏子「さやか・・・あんたもまどかも・・・魔法少女の事を知らなければ・・・
あたし達と出会っても無かったさ」


杏子「あんたは・・・恭介やまどかと・・・平凡な日常に戻る・・・
魔法少女の事を知らなかったあの時に戻るだけなんだ・・・」



ほむら「まどかの事・・・よろしくね・・・さやか・・・」

さやか「嫌だ・・・そんなの絶対嫌!!」

さやか「みんなを・・・失いたくない・・・!!」


さやか「キュゥべえ!!もう一度あたし契約するよ!!」


さやか「今度はみんなのために・・・あたしをソウルジェムを浄化できる能力を持った魔法少女にして!!」



キュゥべえ「残念だけど・・・」






キュゥべえ「一度奇跡を返品・・・つまりは契約破棄した人間と再び契約することは許されて無いんだ」


さやか「そ・・・そんな・・・」



恭介「さやか・・・」ぎゅっ


恭介「暁美さん達の決意を・・・無駄にしちゃいけない・・・
そして僕のためにも・・・帰ろう・・・あの日常へ・・・」


恭介「ありがとう・・・佐倉さん・・・巴さん・・・暁美さん・・
あなた達の事・・・絶対忘れないから・・・」


杏子「へへへ・・・これで安心だな・・・これから先・・・
さやかがどれだけ追い詰められても・・・契約自体が出来ないなら、魔法少女になる心配も無い」


マミ「行くわよみんな・・・」

ほむら「!?ワルプルギスの様子が・・・!?」



ワルプルギス「アハハハ・・・ウフフフ・・・?」チラッ


恭介さやか「・・・?」(抱き合ってる)



ワルプルギス「アハッ!ウフフ!!」イラッ


▽←ワルプルギスの体制



グゴゴゴゴゴゴ・・・・




マミ「きゃああああああ!!!」



ほむら「そ・・・そんな馬鹿な・・・あれは・・・あれは・・・」


杏子「ワルプルギスが体制を反転させて・・・魔力をさらに強力に高めている!?」




ぐるん!!


バァアアアアアアアアン!!


△←ワルプルギスの体制

ほむら「反転ワルプルギス・・・!!」



ほむら「100ループに一度しか現れない・・・超強力なワルプルギス・・・!!」



ほむら「そんな・・・今まで両者は別物だとおもっていた・・・
時間遡行における・・・世界線のズレくらいにしか思ってなかったのに・・・」


ほむら「同一の物だったなんて・・・今まで戦ってきたワルプルギスも・・・
単純に本気を出してなかっただけだったのね・・・」


ほむら「!!」



ほむら「あまりにもバカバカしい推測を・・・認めなくちゃいけないのね・・・・」



マミ「どういう事?暁美さん!?」

杏子「あんた、まだ言って無いことがあったのかよ!!」



ほむら「ワルプルギスのループごとの能力の強さは・・・・力を出してるかどうかの違いでしかなかったの」

ほむら「そしてそのバラつきのある強さは・・・」



ほむら「さやかと恭介の仲の良さに比例して強くなっていた・・・」


さやか「は?」

恭介「え?」




ほむら「わかりやすく言えば・・・やきもち」








ほむら「ワルプルギスは・・・さやかと恭介の仲に嫉妬すればするほど・・・強くなる!!」
ダバァーン!!

さやか「えええええええええええええ!?」


恭介「な・・・なんだってー!?」



杏子「なんだよそりゃ・・・そんなフザけた理由で・・・
町一つ二つ破壊する力をコントロールしてるのかよ!?」

マミ「ワルプルギスも・・・女の子という事かしら・・・」



ほむら「なぜまどか☆マギカポータブルのお茶会エンドで・・・
さやかだけが失恋から立ち直るというビターエンドを迎えなきゃいけないのか・・・
今わかったわ・・・」


杏子「ちょっとまて!あのゲーム・・・マミ死亡、まどかさやか未契約で
さやかが恭介とくっついてあたしとほむらでワルプルギスも倒せるルートもあるじゃねーか!!
それはどう説明するんだ!?」



ほむら「おそらくあの時間軸だけに存在したアメリカの医師の関係ね」

ほむら「本格的にイチャつき始める前に恭介が治療のためアメリカに行ったから、
ワルプルギスの嫉妬を買うことも無くクリアできたのだわ」


ほむら「そして本編では・・・私と杏子の二人だけでも
ワルプルギスを倒せるという描写があった・・・それはおそらく・・・
あの時さやかと恭介が致命的にすれ違っていたからなのよ!!」



さやか「そんな・・・」

恭介「僕には姿も見えないけど・・・ワルプルギスの夜を越えるために・・・
僕とさやかが別れなきゃいけないなんて・・・」


氷室「今までの時間軸で・・・すれ違う確率が高かったのも・・・
ワルプルギスが嫉妬の因果を撒き散らしていたから・・・なのか・・・?」



ほむら「ありえるかもしれないわ・・・」





ゴオオオオッ(暴風)


さやか「きゃあっ!恭介!あたし怖い!!」ぎゅっ


恭介「さ・・・さやか・・・///」




ワルプルギス「ムッカーッ!!」


ボォン!(爆発の波動)



一同「うわあああああああ!!!」

杏子「く・・くそっ・・やっぱり強くなってる!!」


氷室「恭介、さやか!大丈夫かい?」


ほむら「さやか!!恭介!!」


ほむら「たのむから・・・喧嘩して!!」


さやか恭介「え!?」


ほむら「あなた達が仲違いすればワルプルギスの力も低下する!
ワルプルギスに勝つために・・・喧嘩するのよ!!」


恭介「いや・・・そんな・・・」


さやか「いきなり喧嘩しろといわれましても・・・」



ほむら「だったら恭介!あなたがさやかを怒らせなさい!!」

ほむら「今まで散々さやかを傷つけてきたんだもの!それくらいできるでしょ!!」



恭介「えっと・・・」


恭介(女の子を・・・一瞬で怒らせる行動・・・)

恭介(考え付く限り・・・アレしかない!!でも・・・出来るのか・・・!?)

恭介(やらなくちゃ・・・さやかと過ごす未来を手に入れるために・・・!!)



恭介「さやか!!ゴメン!!」




さやか「恭介!?」









ムニュッ








ほむら杏子マミ氷室「!!」

もみもみ・・・

さやか「・・・」


恭介「ど・・・どうださやか!ぼ・・・僕が左手を治して・・・まっさきに
やりたかった事は・・・両方の手のひらでさやかのおっぱいを揉むことだったんだ!!」


恭介「でも君は空気を読まずにバイオリンを弾けと言ってきた!」

恭介「その頃から・・・ずっと悶々としてきた僕の気持ちが解るかい!?」


恭介「すごい・・・やわらかいよさやか・・・あぁ・・・
このためだけに・・・左手を治してよかったとさえ思える・・・」


恭介「さやか・・・君は・・・バイオリンを弾けなんて言わないで・・・
おっぱいに触れさせるために左手を治したのよ。と言ってくれるだけで良かったのさ!」


もみもみ・・・


恭介「けしからん!けしからんぞさやか!!」

恭介「バイオリンなんていらない!この手はさやかのおっぱいを触るためだけに使うんだ!!」



マミ「上条君・・・演技なの・・それとも・・・本心?」

杏子「多分・・・その両方だ」

氷室「男としての本能と演技の半々を口にしている・・・」



ほむら「でも・・・不意をついた冴えた手だわ!!これでさやかがビンタの一つでもかませば・・・!!」



さやか「恭介・・・」









さやか「・・・いいよ///」ポッ







一同「!?」

さやか「恭介を嫌いになるなんて・・・今のあたしには出来ない・・・」


さやか「たとえそれが・・・恭介とあたしが結ばれる世界が・・・
ワルプルギスに全て壊される結末だとしても・・・恭介と離れ離れになるなんて嫌」


さやか「だから・・・どうせ死んじゃうのならさ・・・恭介・・・」




さやか「今ここで・・・する?」



恭介「!!」



恭介「さ・・・さやか・・・そ、それはいくらなんでも大胆すぎるんじゃ・・・」



マミ「な・・・ナニが始まるっていうの!?」

杏子「さやかと恭介の・・・」ゴクリ



ほむら「ナニをよそ見しているの!?バカ師弟!!」


さやか「時間が惜しいよ恭介・・・はやく・・はやく来て・・・」



ほむら「イチャつくなって言ってるのよさやか!あなたバカなの!?」


ワルプルギス「ウフフ・・・」ぷっちーん




ほむら「キレたああああああっ!?」





ボッゴォォォン(さっきよりも強力な爆発の波動、
ただしさやか達ではなく周辺に火柱を立てている)

杏子「これは・・・勝てないわ・・・」

マミ「そうね・・・命を燃やした一撃をするだけ無駄よ・・・」


ほむら「そうよね・・・出来るはずも無かったんだわ・・・私たちは・・・」


ほむら「自分の大切なもののためなら・・・正義を裏切れる・・そう気付いたあの時から・・もうすでに・・・」

ほむら「たとえワルプルギスに滅ぼされる結末だとしても・・・それを手放せるなんて・・・
出来やしなかったんだわ・・・」


ドサッ


ほむら「完敗よ・・・ワルプルギス・・・殺しなさい・・・」

杏子「敗因は・・・さやかを諦めきらなかったあたし達の甘さ・・・か・・・」


マミ「でも・・・美樹さんを取り戻せたわ・・・」


氷室「むしろ・・・勝ったさ・・・これは・・・敗北ではなく・・・勝ち逃げさ・・・」


氷室「人の人生が幸せだったかどうかなんて・・・死ぬ瞬間までわかりやしない・・・」

氷室「そういう意味では・・・僕たちは幸せだったさ・・・だって大切なものが何か・・・
気付けたから・・・叶えたい願いが・・・見つかったんだから・・・」


マミ「少し早く・・・お迎えが来ただけなのよ・・・」


杏子「さやかを見捨ててれば・・・ワルプルギスに勝てたのにな・・・」

マミ「世界よりも・・・大事なものがあるんだもの・・・しょうがないわ」



ほむら「あなた達・・・バカよ!!本当のバカよ!!」


ほむら「私も含めて・・・みんなバカ!!私たちってホント、バカ・・・!!」



ほむら「でも・・・でも・・・そんなあなた達が・・・そんなあなた達のことが・・・」




杏子「嫌いじゃないってか?」





ほむら「いいえ」






ほむら「大好き」






ほむら「あなた達と一緒に逝けるのなら・・・こんな幸せは無いわ・・・!!」


ほむら「絶対に・・・巻き戻してあげないんだから・・・ここが私の・・・終着点でも構わない・・・!!」

さやか「じれったいなぁ恭介・・・もしかしてあたしにリードして欲しいのかな?」

恭介「えっ・・・!?いや・・・その・・・あの・・・///」

恭介「さやかは・・こんな大胆な子だったかな・・・」


さやか「いまのあたしは、氷室さんの未来のさやかちゃんの分まで・・・
つまりいつもの2倍欲求不満なのだ!」

恭介「そのさやかはさっき成仏したよね!?」


さやか「覚悟してよ恭介・・・はしたない女の子だって後から気付いても・・・遅いんだから・・・」

さやか「恭介があたしのイヤらしさに幻滅するまで・・・離さないから・・・」


恭介「幻滅なんてしないよ!」


恭介「さやかは・・・さやかだ!!どんな事があっても嫌いになんてなれない!!」


さやか「じゃあ・・・するんだ・・・・」

恭介「あ・ああああ・・・・あああああ当たり前じゃないか!!」


恭介「でも出来れば・・・その・・・」



恭介「さやかに主導権握られてるほうが・・・興奮するかな・・・///」



さやか「うん。良く言えたね。えらいよ恭介・・・」


さやか「じゃあ改めて・・・色々してあげるね・・・恭介・・・」


さやか「恭介はあたしの・・・」






さやか「恭介はあたしの・・・お婿さんになるのだあ~!!」

ガバッ




杏子「うおっ!?」


マミ「すごい・・・」ドキドキ


ほむら「ま・・・まだナニも始まっていないわ!そんなので興奮するなんて、二人とも子供ね!」チラッチラッ



まどか「まだ早いんじゃないかな・・・」


氷室「そうだね・・・僕もまだなのに・・・中学生でこういう事するのは本当は早いよね」

氷室「でも・・・今死ぬかもしれない命だから・・・さやか達の好きにさせてあげようよ」


まどか「そうじゃなくて・・・」

まどか「諦めるのはまだ早いって意味だよ・・・」

恭介さやか杏子マミほむら氷室「!?」

ほむら「って・・・なんでまどかが!?」


まどか「ほむらちゃん・・・みんなに大好きって言ったとき、相当気が緩んでたでしょ?」

まどか「その気の緩みが結界にも影響を与えたみたいなの、だから・・・出てこられた」


ほむら「問題はそこじゃないわ!私はまどかが・・・4時間は眠るように手刀を打ち込んだつもりなのに・・・」

ほむら「まさか・・・まどかが相手だったから私が無意識のうちに手加減を・・・」


まどか「ちゃんとぐっすり寝たよ」

まどか「ほむらちゃん・・・自分の結界の効果忘れてない?」


ほむら「!!」


ほむら「魔女結界ホムリリー・・・結界の中での8時間が・・・外の世界の1時間にしか
ならない空間・・・・」


ほむら「外の世界でとっくに30分は過ぎていた・・・まどかは・・・4時間ちゃんとぐっすり眠った上で・・・
きちんとおっきしたのね・・・」



まどか「そうだよ・・・そして・・・考える時間も十分あった・・・」


ほむら「考える・・・時間・・・?」



まどか「わたしが本当に・・・叶えたい願い・・・・」



まどか「わたし・・・魔法少女になる!」




ほむら「!!」

まどか「気絶する瞬間に・・・キュゥべえに頼んだの・・・
外の状況を・・・テレパシーで送って欲しいって・・・」


ほむら「インキュベーター!!」キッ


キュゥべえ「僕には拒否権が無いと何度も説明したはずだよ」

ほむら「なぜまどかとテレパシーを送り合ってたことを黙っていたの!?」


キュゥべえ「聞かれて無い質問には答えることが出来ないとも何度も説明した」


まどか「それで・・・未来の上条君・・・氷室さんの話を聞いて・・・思ったの・・・」


まどか「やっぱり・・・魔法少女の皆には・・・笑顔で居て欲しいって・・・」



ほむら「!?まどか・・・やはりあなたは・・・全ての魔女の消失を願ってるの!?」


ほむら「やめて・・・そんな願いかなえたらあなたは・・・あなたは・・・」


まどか「ううん・・・魔女を消す願いは・・・あくまでその方法の一つでしかないの・・・」



恭介「・・・」

さやか「・・・」


ワルプルギス「・・・」


杏子「恭介とさやかがいかがわしい行為をやめたらワルプルギスの夜も止まった!?」


マミ「本当に・・・リンクしているのね・・・何故だか知らないけど・・・」

まどか「確かに魔女の消失を願えば・・・笑顔になれる魔法少女が増えるかもしれない・・・
誰も呪わずに・・・やすらかに消えられるかもしれない・・・」


まどか「わたしね・・・すごい才能があるって言われてから・・・ずっとその願いを考えてて・・・
それでも、それが本当に叶えたい願いかどうかわからなくて・・・でも・・さっき思った・・・」


まどか「本当に怖いのは・・・魔女になる事や死ぬ事じゃなくて・・・忘れ去られたり・・・
知ってもらえない事だと・・・気付いたの・・・」


まどか「氷室さんの世界でさやかちゃんは・・・氷室さん・・・つまりその世界の上条君
に・・・自分が上条君のために願った事を知ってもらえずに・・・消えてしまった・・・」


まどか「きっと最初から・・・さやかちゃんが願った奇跡が・・・上条君に伝わっていれば・・・
すれ違いなんて起こさずにすんだの・・・」


まどか「わたしとほむらちゃんだってそうだよ!!
氷室さんの世界のわたしも・・・ほむらちゃんが繰り返した時間で守られてきた「まどか」を
知りたかったし・・・ほむらちゃんだって・・・伝えたかったはずなんだ・・・」


まどか「きっと魔女が生まれる世界でも・・・自分が願った奇跡や・・・覚悟を
知ってくれる誰かがいる・・・もしそうならば・・・魔法少女達は笑顔を取り戻せるかもしれないって・・・」


ほむら「まどか!!まさか・・・あなたは・・・・」


まどか「人知れずに・・・魔女から町を救うヒーローなんて必要ない・・・」


まどか「たとえ絶望が生まれる世界でも・・・魔法少女の・・・思いを・・・
みんなが知っていて欲しい・・・彼女達の孤独を・・・みんなに解って欲しい・・・」


まどか「きっと・・・すごい辛い思いしたり・・・させたりすると思うけど・・・
それでも、世界中のみんなに知って欲しい・・・」



まどか「それが…正しいかどうかじゃなくて・・・私も・・・魔法少女のひとりとして・・・
叶えたい願いが・・・それなんだ・・・!!」


ピカッ



ほむら「まどか!!」

さやか「まどか!」

恭介「鹿目さん」

マミ「鹿目さん!」

杏子「まどか!!」


氷室「鹿目さん・・・!?」


キュゥべえ「鹿目まどか・・・君は・・・」

まどか「わたしは・・・氷室さんのいた未来・・・魔法少女が・・・人間に戻れる可能性を
持った未来に・・・一日でも早く・・・近づきたい・・・」


まどか「たとえ魔女が生まれる世界でも・・・
ふと隣にいる魔法少女に・・・誰かが手を差し伸べてあげられる世界にしたい・・・」


まどか「わたしは・・・ほむらちゃん達と・・・手を繋いで・・・未来を生きたい・・・」


まどか「だから・・・魔女の消失なんて願わない!!」


まどか「みんなに・・・その存在を知らせたい!!」


まどか「女神になんてならなくてもいい・・・自分ひとりだけの力で何もかも
受け止めることもしない・・・!!」



まどか「魔法少女が・・・そうでない普通の人々と・・・手を取って困難に立ち向かえる・・・
一人一人の力で・・・みんなの力で・・・未来を掴みたい・・・!!」




まどか「だからわたしは・・・魔法少女の祈りを・・・覚悟を・・・苦悩を・・・孤独を・・・」


まどか「魔女を・・・ワルプルギスの夜を・・・この戦いを・・・」





まどか「インキュベーターが・・・この世界に持ち込んだもの全てを・・・!!
これから生まれる新しいシステム全てを!!」








まどか「世界中の人々・・・これから生まれてくる人々に!!」










まどか「“認識”させる!!」







ほむらさやか恭介杏子マミ氷室「!!!!」




まどか「これが・・・わたしの・・・「魔法少女としての」祈り!「魔法少女としての」願い!!」







まどか「さぁ!叶えてよ!!インキュベーター!!」

カッ!!


ほむら「まどかぁーッ!!」




~~~


まどか「・・・」

まどか「ここは・・・?」


女神まどか「こんにちは!」


まどか「わっ!?誰!?・・・わ・・・わたしなの!?」


女神まどか「うん、そうだよ」

女神まどか「ただし・・・わたしは・・・魔女の消失を願った世界のまどか・・・」


女神まどか「わたしがその気になれば・・・この時間軸さえも
法則を書き換えることが可能なんだけど・・・ちょっとだけ何が起こるか待ってみたの・・・」


女神まどか「そしたら驚いちゃった!あなたは・・・わたしとまったく逆の祈りを願うんだね!」


女神まどか「魔女を消滅させる願いじゃなくて・・・みんなに認識させる・・・思いつかなかったよ」


女神まどか「あなたは・・・みんなの希望になる願いじゃなくて・・・みんなと希望を掴む道を選んだんだね」


まどか「あなたは・・・自分が叶えた願いに後悔とか無いの・・・?」

女神まどか「無いって言ったら嘘になるよ・・・」


女神まどか「平凡な少女として・・・みんなの傍にいたいと思ったこともある・・・」

女神まどか「でも、どんな願いにも・・・得るものと失うもの・・・両方があるから・・・」


女神まどか「今のわたしになったから・・・ほむらちゃんの愛がわかったの・・・」

女神まどか「ほむらちゃんにこんなにも愛されてるのがわかっていたのなら・・・
ほむらちゃんだけは絶対一人にしない願いをしたと思う」



女神まどか「でも・・・魔女が生まれない世界で・・・みんなを救えたの
一番大事な人には認識されないけど・・・これはこれで幸せだから・・・」



まどか「だったらわたしは・・・順序が逆になったんだね・・・」


まどか「ほむらちゃんに・・・愛されてるからこそ・・・わたしはそれに応えようと思ったの」

まどか「ほむらちゃんと・・・みんなの傍にいつまでも居たい・・・だから・・・
全てを救う願いなんていらないって思った・・・魔女が生まれる世界のまま・・・立ち向かっていこうと思った」



まどか「それでも・・・少しだけわたしがみんなのために・・・幸せを分けてあげられるとしたら
この願いかなって・・・」


女神まどか「うん!とっても素敵な願い事だと思う!」


まどか「あなたもね。わたしは・・・あなたがもたらした世界も・・・とっても素敵だと思うから・・・」

まどか「お互いがんばろうね!得る物と失う物・・・きっとこれからも・・・あると思う」


女神まどか「そうだね!その両方に折り合いをつけられた時・・・人は本当の意味で大人になれると思うから・・・」


まどか「わたしはみんなと一緒に・・・」

女神まどか「わたしは・・・みんなの・・・」


まどか「希望を掴む!」

女神まどか「希望になる!」



カッ



~~~


ゴゴゴゴゴ・・・





まどか(魔法少女)「・・・」




ほむら「まどか!!」


マミ「鹿目さん・・・魔法少女に・・・」


杏子「これが・・・本来なら全ての魔女を消し去る力を持つ・・・まどかの魔翌力なのか!?」


さやか「すごい・・・」


氷室「反転したワルプルギスと同等か・・・それ以上・・・」


恭介「僕にも見えるようになった・・・あれが・・あれがワルプルギスの夜なんだね・・・」




見滝原市民「な・・・なんだあれ(ワルプルギスの夜)は・・・!?」


市民「化け物!?怪獣!?」


市民「悪夢だ・・・この世の終わりだ・・・」





ほむら「駄目・・・まどか・・・駄目・・・」

ほむら「そんな大きな願いをかなえてしまったら・・・いくらワルプルギスに勝てても・・・
あなたは一撃で魔翌力を使い果たしてしまう・・・魔女に・・・なってしまう・・・」


ほむら「お願い・・・私の傍から・・・消えないで・・・」


まどか「わたしは・・・どこにもいかないよほむらちゃん・・・」


まどか「魔女にも女神にもならない・・・ほむらちゃんといつまでも手を繋いでいたいって気持ちは本当だから・・・」

まどか「だから・・・本当に手を繋ごう!ほむらちゃん!」


ほむら「ま・・・ど・・・か・・?」


まどか「私の強すぎる魔力を・・・ほむらちゃんがセーブするの」


まどか「きっとほむらちゃんじゃなきゃ駄目・・・このコントロールができるのは・・・
ほむらちゃんだけだと思うから・・・」


まどか「わたしと一緒に・・・戦って・・・ほむらちゃん・・・」



まどか「手を絶対・・・離さないでくれるかな?」



ほむら「!!」



まどか「わたしはどこにも行かないよ・・・ほむらちゃんが手を握ってくれるなら・・・
魔女にも女神にもならない・・・」



ほむら「もちろんよ!絶対・・・絶対離さないわ!!」


ほむら「まどかの傍に居る!ずっと手を繋いでいたい!
これからも・・・ずっとずっと一緒にいたい!!」


ガシッ



まどか「行くよ!ほむらちゃん!!」


ほむら「ええ!!」



バッ



ワルプルギス「ウフフフ・・・アハハハ・・・」

ワルプルギス「フフッ・・・」

ズズズ・・・


杏子「使い魔を・・・召喚しようとしてる!?」


マミ「いいえ・・・違うわ・・・あれは・・・」


さやか「魔女!?」


2体の魔女「ギャーハハハハハ!!」

氷室「これが反転したワルプルギスの・・・真の力・・・!?
使い魔ではなく・・・魔女をも使役する・・・圧倒的魔力・・・!!」



杏子「なぁマミ・・・ワルプルギスの正体って・・・なんなんだろうな・・・」

マミ「きっと・・・暁美さんと同じように様々な平行世界を旅して・・・
色々な魔女を取り込んだ存在なんだと思うわ・・」


杏子「それなら納得がいく・・・今目の前にいる魔女は・・・」


マミ「絶対に・・・勝たなきゃいけない相手だわ・・・」






Candeloro  デェン!

Ophelia デェン!

~避難所~

市民「おい!見てみろ!なんだよアレ!?」

市民「怪獣だ・・・!!」


市民「いや違う・・あれは・・・魔女だ・・・」

市民「ワルプルギスの夜・・・だ!!」


市民「あれ・・・?でもなんで俺たち・・・そんな事知っているんだ?」

市民「まるで頭に流れ込んでくる・・・今この町でナニが起きているかを・・・」


市民「魔女に立ち向かう戦士達の名前を・・・俺たちは知っている!?」



マミのクラスメイト「巴さん・・・」

幼女「キョーコ・・・」

和子「暁美さん・・・!」

知久ジュンコタツヤ「まどか・・!!」


仁美「さ・・・や・・・か・・・さん!?」


市民「未来のために・・・今災厄と立ち向かおうとしている・・・5人の少女達を・・・
俺たちは知っている・・・!?」


市民「彼女達は・・・彼女達は・・・」





見滝原市民全員「魔法少女!!」

市民「小さな女の子が戦っているのに・・・俺たちは・・・」


市民「行こうぜ!俺たちでも何かできることがあるんだ!!」


マミのクラスメイト「巴さん・・・ずっと・・・ずっと私たちを守り続けてきたんだ・・・」

クラスメイト男子「行こう!もう巴さんをひとりぼっちにさせやしない!今度は俺たちが・・・
巴さんを救う番だ!!」


ゆま「お爺ちゃん!おばあちゃん!今・・・わたしを助けてくれたお姉ちゃんが戦ってるの!」

ゆま「連れて行って!キョーコに・・・キョーコにあの時のお礼を言うんだ!!」


和子「教え子達だけを、戦わせはしない・・・!!」


ジュンコ「あのバカ・・・!!無茶しやがって!!」


中沢「志筑さん!」

仁美「中沢くん・・・」


中沢「美樹が・・・鹿目さんが・・・暁美さんが・・・そして・・・上条が・・・戦ってる・・・」

中沢「行こう!君も美樹のライバルなら・・・美樹に守られてばかりじゃ悔しいだろ?」


仁美「もちろんですわ・・・さやかさんに・・・さやかさんだけには・・・負けたくありません!!」

さやか「足音が・・・声が・・・聞こえる・・・!?」

恭介「町中の・・・いや・・・世界中から声が聞こえる・・・」


氷室「この星すべての人々の気持ちが・・・いまここに集まってきているんだ・・・」



ゆま「おねえちゃん!!」


杏子「ゆま!?ナニしにきやがった!!」


ゆま「わたし・・・わたしキョーコにあの時のお礼を言いに来たの!!」


ゆま「最後に・・・最後に優しいママの夢を見させてくれてありがとうって!!」


杏子「!!」



杏子「気付いてたのか・・・・」

ゆま「キョーコが抱きしめてくれたとき、あの場所だけ
ライトが壊れてなかったの・・・」


ゆま「抱きしめてるのはママのはずなのに・・・
照らし出された影が違ったから・・・ママじゃないって気付いたよ」



杏子「すまねぇ・・・あの時は嘘吐いて・・・お前の母さんは・・・」


ゆま「知ってるよ!魔法少女なんでしょ!」


杏子「!?」

ゆま「あの時のママは幻だったけど・・・キョーコはママに会ったことがあるんだよね?」


ゆま「今もどこかで・・・ママは魔女と戦ってる・・・それだけは嘘じゃないって気がするよ!」


杏子「ああ・・・」




杏子「そうさ、ゆま!お前の・・・お前の母さんは・・・あたしの槍の師匠だ!!」


バシュッ


武担の魔女「GAAAAA!」


杏子「あの時の母さんはあたしだった、だけどなゆま!あの人の姿を借りてお前に伝えた言葉は嘘じゃない!」


杏子「あの人はいつも・・・あんたの心配をしていた!あんたに会いたがってた!」


杏子「いつでも大好きだった言ってた!」


杏子「だから・・・信じ続けろ!あの人はいつか帰ってくる!いつか再会できる日がきっと来る!!」


ゆま「うん!わたし信じるよ!ママが戻ってくるときまで・・・ずっといい子にしてるよ!!」



クラスメイト女子達「巴さん!」

男子達「巴さん!」



マミ「クラスのみんな!?」

女子「ごめんね・・・私たちに相談できずに・・・ずっと一人ぼっちで抱えこんできたんだね・・・」

男子「死と隣り合わせ・・・戦ってきたんだろ?」


女子「卒業まで時間が無いけど・・・私たち・・・巴さんの力になりたい!友達になりたい!!」

男子「応援することしか出来ないけど・・・巴さんを支えたい!!」


マミ「みんな・・・」



マミ「ありがとう・・・ありがとう・・・」


男子「帰ろう!日常へ帰ろう!!きっとこれからは・・・普通の中学生としての幸せも・・つかめるよ!」


女子「私たちに出来ることなら・・・何でも言ってよ!」



マミ「そう・・・早速だけど・・一つたのまれてくれるかしら・・・」


マミ「皆で・・・叫んでくれるかな・・・?必殺技の名前を・・・」



マミ「ティロ!!」



クラスメイト達「フィナーレ!!」




ドゴゴッゴ・・・・




おめかしの魔女「NOOOOOO!!」





仁美「さやかさん!恭介さん!」

中沢「美樹!上条!!」


さやか「仁美・・・」

恭介「中沢・・・」

仁美「バカ!バカ!!バカバカバカ!!なんで・・・私に何も言ってくれなかったんですか!!」

仁美「さやかさん・・・あなたは・・・恭介さんのためなら・・・魂を差し出せる・・・」

仁美「でも・・・私には魔法少女の素質が無くて・・・それが出来ない・・・」


仁美「自慢してるんですか・・・?最初から私に勝ち目が無いと・・・おっしゃりたいのですか!?」


さやか「違う・・・違うよ仁美・・・」

さやか「でも確かに・・・黙ってたのは謝るよ・・・仁美は・・・
あたしのライバルであり・・・親友でもあったのに・・・」



さやか「でも仁美・・・あんたはあたしみたいになる必要なんて無いんだ・・・」

さやか「仁美にも仁美の戦い方がある・・・あたしだって・・・仁美に敵わないと思ったことがいっぱいある」


さやか「帰るよ仁美!!きっと競い合えたり・・・支えあえたり・・・そんな関係がこれからのあたし達だから!!」

仁美「ええ!きっと・・・私たちもっともっと素晴らしい友達になれるはずですわ・・・」



中沢「上条・・・」


恭介「中沢・・・」


バキィッ


中沢「・・・美樹を泣かせるな。もう二度とな」

恭介「うん・・・解ってる・・・わかってるよ・・・」


恭介「さやかもバイオリンも・・・絶対諦めない!!きっと幸せにしてみせる!!」





市民「まどか!!ほむら!!まどか!!ほむら!!」


ほむら「すごい・・・町中の人々が・・・私たちの名前を呼んでいる・・・」


まどか「絶対勝たなきゃ・・・ほむらちゃん!少し魔力の解放を強くして!!」


ほむら「ギリギリだわ・・・でも・・・やってみせる・・・」



バシュッ



ワルプルギス「ウフフ・・・アハハ」しゅうう・・・・



氷室「反転ワルプルギスに・・・ダメージが通ってる・・・だけど・・・致命傷じゃない・・・」

氷室「やはり・・・ワルプルギスを倒すには・・・鹿目さんの全魔力解放・・・
すなわち・・・鹿目さんが・・・犠牲になるしか無いのか・・・!?」


氷室「別の町から魔法少女が駆けつけてくれるかもしれないけど・・・
その前にワルプルギスは鹿目さんとほむらさんを倒すだろう・・・どうすれば・・・どうすれば・・」


恭介「・・・町中から・・・世界中から・・・声が届いているのに・・・
僕は・・・何も出来ないのか・・・」



恭介「「声」・・・!?」


さやか「恭介・・・?」


恭介「そうか・・・僕は・・・肝心な物の「声」を聞くことを・・・忘れていた・・・」


恭介「聞こえる・・・聞こえるぞ・・!スランプ中には聞こえなかった・・・バイオリンの「声」が!!」


恭介「そして・・・あれの「声」も・・・!!」



さやか「恭介・・・ナニを・・・ナニを言っているの?」


恭介「さやか・・・僕は・・・バイオリンの仮面を被り続けたと言ったよね・・・」


恭介「若い頃は何者にだってなれる・・・何者にだろうと目指せる・・・」



恭介「時としてその道の多さが・・・人を迷わせたり・・・後押ししたりするけども・・・」



恭介「今・・・この瞬間だけは・・・何のために・・・何者になるべきか・・・はっきりわかった・・・」

恭介「僕はさやかを守るために・・・さやかと寄り添える未来を勝ち取るために・・・」


恭介「僕は・・・僕は・・・!!」






恭介「バイオリン仮面に・・・僕はなる!!」





さやか「恭介・・・!」






恭介「だから・・・だから・・・さやか!!」
















恭介「君のパンティを・・・僕にくれ!!」

恭介「バイオリンは・・・再び弾けと言って来た・・・」

恭介「そして僕がさやかを好きだという気持ちに気付いたきっかけ・・・」


恭介「下着のトラップの時と同じように・・・さやかのパンティからも「声」を聞いた・・・」


恭介「「あたしを被って」・・・さやかのパンティは確かにそう囁いたんだ・・・」


恭介「その二つの啓示が意味するもの・・・それは・・・」


恭介「僕は・・・バイオリン仮面に・・・なる!!」


恭介「だからさやか、君のパンティを・・・僕にくれ!」


さやか「きょきょきょきょ・・・恭介!?」


氷室「恭介・・・」



恭介「まさかさやか・・・パンティを渡すぐらいで・・・
今更恥ずかしがってるわけじゃないだろうね?」

恭介「さっきまで・・・僕たちはお互いの身体を許しあう一歩直前まで来てたじゃないか・・・」


さやか「そうじゃなくて!魔法使いっていうのは30歳以上男子じゃないと変身できないんだよ!!」

さやか「恭介の決意はよくわかった!だけど・・・だけど・・・恭介がパンティを被ってもバイオリン仮面には・・・」



氷室「いや・・・変身・・・出来るかもしれない・・・」


さやか「!?」


氷室「僕たち魔法使いと魔法少女の身体はすでに死体だ」

氷室「魔力でもってその死体を操ったり・・・変身したりしている・・・」


氷室「つまり・・・死体を維持したり操ったりしてる魔法と・・・
変身する魔法は別物なんだ」



氷室「恭介が僕のソウルジェムを身につければ・・・」


氷室「変身・・・できるかもしれない・・・何故なら僕のソウルジェムが変身者として認識しているのは・・・」


氷室「元々は同じ時間軸上の・・・「上条恭介」なんだから・・・」


恭介「答えろ!インキュベーター!!僕は変身できるのか!?」


キュゥべえ「前例は無いね」

キュゥべえ「やれるだけやってみるがいいさ。それで変身できなかったとき再び絶望を味わうのも君の自由だ」


恭介「試すしかないのか・・・」


氷室「恭介・・・僕のソウルジェムを・・・お前に託す・・・」



恭介「後はさやかのパンティだ・・・さぁ!早く脱いでくれ!さやか!」

さやか「えっ・・・いや・・その・・・」


さやか「わかったわよ・・・あたしのパンティ・・・恭介に託すよ・・・」

さやか「でも・・・あげるわけじゃないから・・・」

恭介「そ・・・そんなぁ・・・」


さやか「ちゃんと返しに来て!って言う意味だよ!!」


さやか「絶対生きて・・・あたしにパンティを返す!約束できないのなら・・・パンティは渡せないよ・・・」

恭介「・・・」

恭介「わかった・・・絶対返すよ・・・」


さやか「じゃあ・・・あっち・・・向いててくれるかな・・・」


恭介「ああ・・うん・・・」


ゴソゴソ・・・



さやか「はい・・・コレ・・・///」


恭介「こ・・・これは・・・!!」









恭介「青と白の・・・縞パン!!これは・・・これは・・・!!」






さやか「あまり・・・ジロジロ見ないで・・・」


恭介「さやか・・・君は・・・僕の一番好きな縞々の組み合わせの下着を・・・履いてくれてたんだね・・・!!」

さやか「うん・・・」


恭介「いつから・・・」

さやか「恭介と・・・付き合ってからずっと・・・」



さやか「喧嘩してたときもだよ・・・」

さやか「いざとなれば・・・パンティを見せてでも・・・恭介と仲直りしたかったから・・・」



恭介「さやか・・・・!!」


恭介「ありがとう・・・僕・・・すごく嬉しいよ・・」

恭介「もしかしたら・・・もう一度挫折を味わうかもしれない・・・」

恭介「だけど・・・可能性があるのなら・・・賭けるしかない・・・」


恭介「勃ちあがらなければ男じゃない!」


氷室「恭介!」

さやか「恭介・・・」



恭介「被るよ・・・さやか・・・」


さやか「う・・・うん・・・///」



ガバッ




恭介「・・・・」


さやか「恭介・・・?」



氷室「ナニも起きない・・・やはり・・・変身できないのか・・・?」


ドックン・・・ドックン・・・ドックン・・・





恭介「フ・・・」

さやか「フ・・・?」






恭介「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」







ピカーッ

ゴゴゴゴ・・・・


恭介(バイオリン仮面)「・・・」


デェン!デェン!デェン!(新たに追加された金色の装飾)



さやか「恭介・・・!!あんたバイオリン仮面に・・・バイオリン仮面に変身してるよ!!」


さやか「でも・・・今までのバイオリン仮面のタキシードじゃない・・・
ところどころに・・・金色の装飾が・・・」


氷室「さやか・・・僕の世界のさやかは・・・僕が縞パン好きだと言う事を知らずに
この世から去ってしまった・・・」


氷室「だけど・・・君は・・・恭介の思いに応えて・・・縞パンを履いてきた・・・」

氷室「加えて・・・この時代の僕はまだ10代・・・さやかの・・・一番好きな女性の・・・
一番好きな柄の下着を身につけたとき・・・そのエクスタシーは計り知れない・・・」


氷室「はっきり言おう・・・今ここにいるバイオリン仮面は・・・僕が変身したものより強い!!」


氷室「僕と違って・・・体が死体であるわけじゃない・・・そして・・・
さやかに・・・絶対生きて帰ると誓ったそれは・・・もはやただのバイオリン仮面じゃない・・・」



氷室「生き残るという意味の・・・サバイブ!名づけよう・・・・!!恭介・・・君は・・・
バイオリン仮面サバイブ!!」



バイオリン仮面(恭介)「バイオリン仮面・・・サバイブ!!」


バイオリン仮面「僕が・・・2代目バイオリン仮面・・・!!」


氷室「ただし・・・生きている体だからこその弱点もある・・・」

氷室「君は・・・痛みを感じればすぐに折れてしまう・・・人間の身体のまま変身しているんだ・・・」


氷室「ワルプルギスの攻撃・・・その余波でも即死クラスの痛みを感じるだろう・・・」



氷室「それでも・・・戦うんだね・・・?」


バイオリン仮面「うん・・・」


氷室「行け!バイオリン仮面!!僕の・・・僕の魂は・・・たしかにお前に預けた!!」


氷室「お前は人間のまま・・・生きている身体のまま・・・上条恭介のまま・・・」


氷室「その魂を輝かせろ!!」



バイオリン仮面「氷室さん・・・いや・・・もう一度だけ・・・」

バイオリン仮面「ありがとう恭介・・・君の魂は・・・僕が・・・僕が引き継ぐ!!」

バイオリン仮面「何故なら僕もまた・・・恭介だから!!」

バッ

氷室「さやか・・・僕を・・・恭介のそばに・・・」

さやか「無茶だよ!危険すぎるよ!」

氷室「違うんだ・・・恭介にジェムを預けてるから、100メートル以上離れてはいけない・・・」


氷室「僕の意思が切れたら・・・恭介の方を変身させろという指示も途切れてしまう・・・」

氷室「僕も恭介から離れてはいけない・・・まったく不便な変身だよ・・・」


さやか「でも・・・もう人間に戻ったあたしの力じゃ氷室さんを運べない・・・」


仁美「さやかさん!」

中沢「美樹!」


さやか「仁美・・・中沢・・・」


中沢「なんだかよくわからないけど・・・その人をバイオリン仮面の近くまで運べばいいんだろ?」

仁美「手伝いますわ・・・そのお方は・・・私たちにとっても大事な友人ですから・・・」


氷室「仁美さん・・・中沢・・・」

中沢「もうお前をヘタレなんて呼ばないよ・・・」


中沢「よく・・・頑張ったな恭介!肩ぐらい・・・貸させろよ・・・」

氷室「ありがとう・・・ありがとう・・・友康・・・」


さやか「友康?」

仁美「中沢君の下の名前ですわ」


仁美「氷室恭介に、友康(ともやす)・・・元ネタはご存知ですか?」


氷室「今時の中学生だから・・・クラシックだけでなく、ロックも聞こう」

中沢「公式設定じゃないから、鵜呑みにするなよ。」

ワルプルギスの使い魔「キャハハハ・・!!」ゾロゾロ・・・


市民「来るな!来るなーっ!!」


バイオリン仮面「氷室さんのソウルジェムから知識が流れてくる・・・!!」

バイオリン仮面「弾ける!!今の僕なら!!どんな困難な曲さえも!!」


バイオリン仮面「いけ!!僕の使い魔!!6曲!!クラリッサ!!」


♪~♪~♪


バイオリン仮面の使い魔「オホホホ・・・!!」ゾロゾロ・・・


使い魔軍団VS使い魔軍団


バキッドカッバキッ




氷室「すごい!!本来結界の中でしか召喚できないクラリッサを・・・!!」

仁美「どことなく私に似てますわね、あの使い魔・・・まさか・・・
恭介さんが私の事を意識して・・・」


さやか「あー悪い仁美、アレ元々あたしの使い魔なんだわ」



屈強な男達「戦える男は前に出て来い!!使い魔くらいは俺たちで倒すんだ!!」


バイオリン仮面「支援するよ!2曲!!イニシャル:SM!!」


バイオリン仮面「ワルプルギスの使い魔にM体質を!!
戦える男達にはS体質を与える!!」


♪~♪~♪


ワルプルギスの使い魔「う・・・ふぅ・・・」ペタン

屈強な男達「使い魔がへたりこんだぞ!!今だ!やれーっ!!」



氷室「!!男相手にしか通用しないSMを・・・
使い魔と一般市民とで効果を使い分けた!?」


自衛隊「射撃命令を!!」

上司「駄目だ・・・!まだ許可がおりていない!」


バイオリン仮面「素直になれ!!3曲!「萌えか?そこが萌えなのか?」」


♪~♪~♪


上司「後の責任は私が全て取る!!魔法少女を支援しろ!撃てーッ!!」



ドドドドド・・・・

氷室「すごい・・・すごいよ恭介・・・」

氷室「ナニがすごいって言うと・・・演奏を止めても効果が持続しているところなんだ・・・」


氷室「音がいつまでも生き残る意味でもサバイブなんだね・・・」


マミ、杏子地点


杏子「な・・・なんだアイツは!?バイオリン仮面!?」

マミ「でも・・氷室さんはあそこにいるわ!!」


杏子「誰なんだアイツは!?」

杏子「って・・・答えはわかってるか・・・」


マミ「氷室さんより小さい・・・いや、若い!」

マミ「あのお方こそ・・・昔私が空想した・・・魔法少年!?」



杏子「くそっ・・・惚れちまうよな・・・根性あるよ・・・恭介!」



バイオリン仮面「うおおおおお!!!」

ドドドドド・・


ワルプルギス地点手前


バイオリン仮面「鹿目さん!暁美さん!!」


ほむら「!?」


まどか「バ・・・バイオリン仮面!?」


バイオリン仮面「今支援する!聞いてくれ!僕の・・・演奏!!」


ワルプルギス「アハ?」チラッ


ワルプルギス「アハハハハ!」

ゴウッ(火炎放射)



バイオリン仮面「!?」

さやか「恭介!!」


バイオリン仮面(・・・目の前に・・・炎のうずが・・・)


バイオリン仮面(終わった・・・よけたとしても・・・余波熱で・・・身体が使い物にならなくなる・・・)


バイオリン仮面(短かったな・・・僕の・・・変身・・・さよなら・・・さやか・・・)



さやか「恭介・・・」


さやか「いやだよ・・・!!」



さやか「恭介ええええええ!!!」

くぱぁん!!



バイオリン仮面「!?」


ギュルルルル・・・


バイオリン仮面「いきなり目の前に次元の裂け目が現れて、炎を飲み込んだ!?」


さやか「その裂け目は・・・まさか・・・」



さやか「あたしの・・・魔女結界!?い、一体どうなってるの!?」

さやか「自分の中の魔女を認識した魔法少女は・・・魔女結界を操作できるようになる・・・
氷室さんが言っていた・・・一つ上の領域の魔法少女の能力・・」

さやか「あたし・・・確かにさっきまで魔女だったから・・・使えてもおかしくないけど・・・」


さやか「それは、魔法少女である事が前提条件なはず・・・あたし、もう普通の人間に戻っちゃったのに・・・」

さやか「キュゥべえも・・・もう二度と契約できないって言ってたのに・・・」


氷室「さやか!?その淡い青い光は!?」


さやか「これは・・・魔法力!?そんな・・・なんで・・・?」



さやか「・・・」



さやか「そういう事か・・・」



氷室「さやか?」



さやか「氷室さんの左手に宿ってたさやかが・・・残してくれた物だよ・・・この魔力は・・・」

さやか「もしかしたら・・・あと何回かだけ・・・変身できるかもしれない・・・」



氷室「まさかさやか!?君は・・・戦場に戻ろうとしているのか!?」



さやか「もちろんだよ・・・だってあたし・・・守られるばかりのお姫様じゃないもん・・・」


さやか「氷室さん・・・氷室さんとあたしの恭介の違いは・・・あたしを人魚姫やお姫様として
扱わないところだよ・・・こっちの世界の恭介は・・・淡い夢さえも見させてくれない無神経なお子様なの」


さやか「だけど・・・しょうがないよね。そんな無神経な恭介が・・・愛しくてたまらないんだ・・・」


さやか「女剣士で構わない・・・
お姫様かどうかが重要なんじゃない・・・恭介と寄り添えてるかどうかが重要なんだ」



さやか「恭介・・・言ってくれたの。あたしが魔法少女なら・・・仮面をつけて一緒に戦うって・・・」

さやか「約束を守って・・・恭介はバイオリン仮面に変身してくれた・・・」



さやか「だからあたしも変身するよ・・・!!」



さやか「恭介がバイオリン仮面ならあたしもまた・・・」




さやか「あたしもまた・・・!!魔法少女・・・だから!!」



シャキィン!!

さやか「今のあたしは・・・おしとやかなお姫様なんかじゃない!!」


さやか「恭介にすごいうるさい奴って言われても構わない!おせっかいだと思われても構わない!!」


さやか「それでもあたしは!恭介に何回でも思いを伝えるんだ!!」


さやか「より強い音、フォルテッシモ!名乗るよ!あたしは、ff(フォルテッシモ)さやか!!」


ジャキィン!(ffアクセ実体化)



さやか「恭介!!演奏に集中して!!恭介への攻撃は・・・全部あたしの魔女結界に吸い込ませてあげるから!!」


バイオリン仮面「さやか!!」


バイオリン仮面「ありがとうさやか!僕・・・弾き続けるよ!」



ワルプルギス「アハハハ!」


ゴウッ(火炎放射)


さやか「させるか!開いて!オクタヴィア!!」




魔女結界「くぱぁ」


魔女結界「炎ごっくん」

バイオリン仮面「魔女の動きを止めるには・・・一曲!!人魚姫の祈り!!」


♪~♪~♪


まどか「悲しい旋律・・・」

ほむら「失恋の曲・・・しまった!私たち魔法少女にも影響が・・・!!」


さやか「でも・・・ワルプルギスだって動きを止めるはず!!」



ワルプルギス「ウフフ・・・」イラッ



ゴゴゴゴ・・・ドカーン



ほむら「キレたぁ!?」

まどか「むしろ強くなってるよ!さやかちゃんと上条くんに嫉妬したときといい・・」


まどか「ワルプルギスは・・・失恋経験者なの!?」



氷室「また、同じ過ちを繰り返す気か!?恭介!!」


バイオリン仮面「!!氷室さん!?」

氷室「何度も言ったはずだ!!恭介!絶対お前は「僕」になるなと!!」


氷室「今までの曲が通用しないなら、九曲目を作ればいい!!氷室じゃなくて、恭介としての曲を弾けばいい!!」


氷室「いいか恭介!!悲しい曲を作り出せる才能なんて・・・本当は無いほうがいいんだ!!」


氷室「僕が何故第九曲目を作れなかったか!君ならわかるはずだ!!」

氷室「忘れるな!恭介、
お前の弾くバイオリンは・・・人魚姫になって・・・消えたさやかに贈るレクイエムじゃない!」


氷室「今ここにいる・・・生きているさやかに贈る決意の曲だ!!
いつまでも一緒にいると・・・支え合うと誓った覚悟の曲だ!!」


氷室「恭介・・・君の手で・・・他の誰でもない君自身の手で!!」


氷室「第九・・・歓喜の曲を・・・弾いてくれ!!」



バイオリン仮面「恭介・・・」


バイオリン仮面「ありがとう・・・何を弾くべきか・・・解ったよ・・・」



♪~♪~♪

さやか「この曲は・・・また人魚姫の祈り・・・?」

さやか「でも・・・氷室さんのように悲しい旋律じゃない・・・」


さやか「病院の屋上で弾いてくれた・・・幼稚園の頃あたしの前で始めて弾いてくれた歓喜の曲・・・」



さやか「恭介自身の・・・人魚姫の祈り!!」




ワルプルギス「・・・」


おめかしの魔女「・・・」


武担の魔女「・・・」



使い魔たち「・・・」



杏子「ワルプルギスと・・・魔女と使い魔の動きが鈍くなった!?」


マミ「そして・・・私たち、わずかに力が漲ってるみたい!」



まどか「今のうちに・・・」


まどか「ほむらちゃん!防御に集中して!!」

ほむら「まどか?何を・・・?」


まどか「わたしの願いは認識させること・・・それなら固有魔法もまた、認識すること!」


まどか「ワルプルギスの弱点・・・本体を・・・核(コア)がどこにあるか・・・スキャンするよ!」



ほむら「わかったわ!防御は任せて、認識することに集中して!!」

まどか「少し覗かせてね・・・ワルプルギス・・・あなたの・・・心を・・・」



カッ


~~~



謎の魔法少女「あははは!うふふふ!!」

女神まどか「こんにちは!!」


謎の魔法少女「わっ!?あなた誰?」


女神まどか「違う世界からやってきた・・・女神様かな・・・」

女神まどか「この時間軸でのわたしの役目はね・・・この時間軸のまどかに・・・
まどかが知りたがっているあなたを伝える事なんだ」



謎の魔法少女「そんなこといっても・・・わたし、自分でも自分の事がわからないんだよ?」

謎の魔法少女「ここはどこなの・・・?わたしは一体・・・何者なの・・・?」


女神まどか「あなたの事は・・・みんなワルプルギスの夜って呼んでるよ」

女神まどか「少しずつ思い出していこう」



女神まどか「まず、あなたは・・・何を願って魔法少女になったの?」


謎の魔法少女「わたしが・・・願った奇跡は・・・」

魔法少女「他人のいい所を、いっぱい吸収したい!だったんだ」


女神まどか「・・・それは・・・自分のために・・・」

魔法少女「ううん・・違うよ。」


魔法少女「わたし・・・その時好きな人がいたの・・・
さやかちゃんと恭介くんみたいに・・・昔からの友達でもあった人だけど・・・
でも・・・自分が地味で・・・自信がもてなかったから・・・」


魔法少女「契約してからは・・・何もかもうまくいったよ!
他人のいい所を真似て、明るい性格に変わってから、友達もいっぱいできた」


魔法少女「それで・・・今なら大丈夫だと思って告白したの・・・」


女神まどか「結果は?」


魔法少女「駄目だった」

魔法少女「好きな人がいるって、その人が戻ってくるのを待ってるって・・・」


魔法少女「その人が・・・変わっちゃう前の私だと知ったのは後になってからだったよ・・・」



女神まどか「それが・・・彼にフラれた事が・・・あなたの絶望?」


魔法少女「違うよ・・・フラれた後しばらくしてからそれは訪れたんだ・・・」

魔法少女「彼・・・舞台を目指してたんだけど・・・自分の演技に苦悩して・・・」

魔法少女「他人の演技が気になって仕方が無いって落ち込んで・・・最後は・・・」


魔法少女「私は・・・新しく出来た友達と一緒で忙しくて・・・彼とは疎遠になって・・・」


魔法少女「言えなかった・・・わたしがそうだったから・・・他人のことは気にするなって、
あなたはあなたのペースでいいのよって言えなかった・・・」


魔法少女「友達としても・・・失格だったんだ・・・わたし・・・」


魔法少女「新しく友達がいっぱいできたはずなのに・・・彼を失って初めて気付いたの」


魔法少女「わたしは・・・彼だけを助けられればそれでよかったのに・・・」

魔法少女「他人のいいところをどんどん吸収して・・・力と呼べるものは全て手に入れたつもりだったのに・・・」


魔法少女「力が無かった頃の・・・ありのままの自分が思い出せない・・・戻れない・・・」

魔法少女「彼が心を許した・・・彼の支えになっていたわたしはもういないって気付いたとき・・・」


魔法少女「ありあまる力を持ってるはずのわたしが・・・無力だったの・・・」


魔法少女「無力が・・・わたしの性質・・・絶望・・・」


女神まどか「その時に魔女になったんだね・・・」

魔法少女「魔女になった後も・・・他者を取り込む力は変わっていなかった・・・
他の魔女を喰らって・・・わたしはどんどん強大になった」


魔法少女「その過程で・・・瞬間移動能力をもつ魔女とほむらちゃんのように
時間軸移動できる魔女を取り込んだの・・・それからのわたしは・・・
どこの時間軸・・・どこの国にでも出現できる能力を身につけたわ」


魔法少女「ほむらちゃんは気付いて無いけど・・・彼女が繰り返した
色々な時間軸のわたしは・・・すべて同一人物・・・わたしなのよ」



女神まどか「色々な世界でさやかちゃんと上条君がすれ違いを起こしていたのも・・・
あなたがもたらした因果なの?」


魔法少女「そうだよ・・・それが・・・ワルプルギスとして目覚めたわたしの・・・
発散方法の一つだった」


ワルプルギス「何も邪魔がなければ・・・あの二人はいつか通じ合って・・・ありのままの自分同士
いつまでも仲良く過ごしていけるの」

ワルプルギス「ありのままの自分を無くしたわたしには・・・
それがねたましくてたまらなかったの」


ワルプルギス「だからちょっと因果を操作して・・・すれ違いが起こるようにしたの
仁美ちゃんがこの町で生まれるように仕組んだのもわたし」

ワルプルギス「あの二人だけじゃなくて・・・この世にある三角関係の
いくつかは・・・わたしがもたらした因果だよ」


女神まどか「三角関係をもたらす力・・・それが魔女になったあなたの姿にも反映されたんだね・・・」


女神まどか「さやかちゃんと上条君が結ばれないように・・・呪いを振りまいてたんだね・・・」


女神まどか「だから、二人がくっついた時間軸では怒りのまま本気で暴れてなにもかもリセットした・・・」


ワルプルギス「そうだよ・・・でも・・・あの二人にはそれ以上の因縁があったの」


女神まどか「それ以上の因縁?」


ワルプルギス「人々が・・・人魚姫と呼んでるあの物語だよ・・・」


ワルプルギス「あの物語の元となった史実では・・・人魚姫っていうのは王子様のために契約した魔法少女だったんだ」


女神まどか「!?そ、そんなことが」


ワルプルギス「女神様なのに何も知らないの?」

女神まどか「あくまでここにいるのはこの時間軸にいるまどかの支援のための精神体だからね・・・」

女神まどか「わたしに女神の力と知識が全て備わってるわけじゃないよ」

ワルプルギス「正確には・・・王子様のお城に仕えてた女剣士が・・・船から王子様が投げ出された日に
王子様を助けるために後に人魚と呼ばれるようになる姿と力を望んだの」


ワルプルギス「その後、王子様が隣国のお姫様と結婚して失恋したっていうところは物語通りだけどね」

ワルプルギス「その女剣士は・・・海に身投げして消えたわけじゃなくて・・・」


ワルプルギス「敵対関係にあった国との戦争に狩りだされて・・・戦争には勝ったけど・・・戦死したの」


ワルプルギス「彼女の魂も取り込もうと、彼女に話しかけたとき・・・なんて言ったと思う?」


ワルプルギス「自分を好きになってくれない薄情な王子様なんて、呪っちゃえって・・・
わたしの一部になろうよって言ったら・・・」


ワルプルギス「その娘は・・・王子様をまた助けられて良かったって・・・そう言ったのよ」


ワルプルギス「生まれ変わるのなら・・・
その時は王子様ほど遠い人じゃなくて・・・身近な誰かを好きになりたいって」

ワルプルギス「その時また・・・わたしは無力を感じたの・・・
その娘を絶望させる事が・・・できなかったから・・・また妬ましさが溜まっていった」


ワルプルギス「だから・・・その娘が生まれ変わる時・・・誰かを好きになるときは全力で邪魔してやろうと
思った・・・絶対他人のために祈ったことを後悔させてやろうと思ったの・・・」


女神まどか「まさかその剣士が・・・さやかちゃんの前世なの!?」


ワルプルギス「確証は持てないよ、ただ・・・似たような事例をすべて潰していきたいだけ」


ワルプルギス「さやかちゃんもその剣士と似ていたから・・・生まれ変わりの可能性が高かったから・・・」


ワルプルギス「恭介君とくっつけないように・・・さやかちゃんが
自分の願いを後悔するように・・・因果を操作したの」


女神まどか「・・・」


ワルプルギス「やっぱり・・・わたしの事・・・怒ってるよね・・・?」

女神まどか「ううん・・・怒ってないよ」


女神まどか「むしろ、仁美ちゃんと友達になれて嬉しかったって
この時間軸のさやかちゃんなら言いそうだけどね」


ワルプルギス「恭介君を取られちゃうかもしれないのに?」


女神まどか「きっと、本当に仲の良い友達になれたから・・・勝者はどっちでもいいと思えて来るんだよ」

女神まどか「上条君が最終的にどちらを選んでも後悔しない。
さやかちゃんと仁美ちゃんがそういう絆で結ばれた世界なんだよ。ここは」


ワルプルギス「いいなぁ・・そういう友達・・・わたしも・・・
ありのままのわたしで・・・飾らないままのわたしなら・・・そういう友達もできたのかな・・・」


ワルプルギス「大好きな彼の・・・支えになれたのかな・・・」


ワルプルギス「それを祈ることすら・・・いけないのかな・・・」


ワルプルギス「命を・・・吸い続けたわたしは・・・今更・・・希望を求めちゃいけないよね・・・」



女神まどか「ううん・・・そんなこと無い!」

女神まどか「それが叶うかどうかじゃなくて・・・望むくらい・・・誰にだって許されるよ・・・」ポロポロ


ワルプルギス「女神様は・・・泣いてくれるの・・・?化け物に・・・魔女になったわたしのために・・・」


ワルプルギス「数え切れない・・・罪の無い人達を殺してきたわたしも・・・願ってもいいの?」


女神まどか「いいんだよ・・・だってほら・・・聞こえるでしょ・・・バイオリンの音が・・・」

女神まどか「これから彼らが掴もうとしてる世界では・・・魔法少女は魔女になる前に元に戻れるの・・・」


女神まどか「どんな願いにも歪みがある・・・悔しいけどキュゥべえの言葉を認めるよ・・・」


女神まどか「もちろんそれだけが全てじゃない・・・綺麗なところもちゃんと残ってる・・・
でも自分の願いの・・・間違ってる部分を認めたとき・・・・大人になれたとき・・・」


女神まどか「願いをかなえることによって得るものと失うものを認めたとき・・・」

女神まどか「魔法少女は・・・魔女にならずに普通の女の子に戻れる・・・そんな素敵な未来が待ってるの・・・」


ワルプルギス「わたしもそこに行きたいって思っちゃ駄目かな?」


女神まどか「思うのは自由だよ・・・だから・・・あなたの本当の願いを教えて・・・」

女神まどか「魔法少女として叶えた願いじゃなくて・・・あなた自身の願いを・・・」


ワルプルギス「わたしの願いは・・・」

ワルプルギス「もしもう一度だけ願いが叶うのなら・・・」

ワルプルギス「願いじゃなくて・・・おまじないでも構わない」


ワルプルギス「大好きな人や・・・友達の前で・・・素直に・・・ありのままの自分でいたいと願うよ・・・」


女神まどか「うん・・・うん・・・叶えようよ・・・きっとあなたも・・・許される・・・
未来へ・・・いけるから・・・」


♪~♪~♪


ワルプルギス「素敵な音色・・・」

ワルプルギス「そうか・・・そうだよね・・・」

ワルプルギス「わたし・・・もう誰も呪わなくていいんだ・・・妬まなくてもいいんだ・・・」


ワルプルギス「こんなわたしでも・・・願ってもいいんだ・・・そう思えるよ・・・」


ワルプルギス「だって魔女になった後も・・・たくさんの命を踏みにじった後も・・・」


ワルプルギス「この暖かい光は・・・いつでも傍にあった・・・いてくれた・・・」


ワルプルギス「知ってるよ・・・この純粋な気持ち・・・その名前は・・・」


~~~


バイオリン仮面「バイオリン仮面九曲・・・」


バイオリン仮面「そして・・・上条恭介にとっての・・・究曲・・・」

バイオリン仮面「さやかは・・・人魚姫じゃない・・・だから・・・この曲も・・・もう人魚姫の祈りじゃない
さやか一人だけの・・・祈りじゃない・・・」



バイオリン仮面「正義も悪も関係ない・・・全ての人々が・・・純粋に持ちえる感情・・・」


ワルプルギス「この暖かい光の名は・・・」



バイオリン仮面「“祈り”」

~現実~

ワルプルギス「ア・ハハハ・・」


ワルプルギス「ウ・・ウウウ・・」


ワルプルギス「ウ・・ウオオン・・ウワアアアン・・・」


ほむら「最強の魔女ワルプルギスが・・・動きを止めた!?」


ほむら「そして・・・泣いているの・・・!?」


まどか「最強・・・なんかじゃない・・・」ポロポロ・・・

ほむら「まどか!?」


まどか「誰よりも無力だよ・・・あの子は・・・」

まどか「願った奇跡も・・・魔女になった理由も・・・」


まどか「誰よりも女の子らしい・・・弱い子なんだよ・・・」


ほむら「まどか・・・あなたはワルプルギスの何を・・・?」



まどか「“認識”終了したよ・・・」



まどか「ワルプルギスの本体は・・・あの歯車・・・」

まどか「人形部分を破壊して・・・歯車を露出させたら、一気にわたしの魔力を放出する」


まどか「それでワルプルギスは・・・完全に倒せる!!」

バイオリン仮面「佐倉さんと巴さんは魔女の相手に手間取ってる・・・
僕が・・・僕が人形部分を破壊する!!」


バイオリン仮面「君たちは魔力を溜めてくれ・・・最高の一撃で、
ワルプルギスを倒すんだ!」


ほむら「!!」

まどか「バイオリン仮面!!」


バイオリン仮面「さやかのパンティ!力を貸してくれ!!」


バイオリン仮面「トレース!スパークエッジ!!」



ズンッ


まどか「さやかちゃんの剣が!」


バイオリン仮面「いくぞワルプルギス!!って・・・重い!!」フラッ


さやか「恭介!」ガシッ


バイオリン仮面「さやか・・・!?」

さやか「恭介の剣・・・あたしと恭介で支えるよ!!」


バイオリン仮面「さやか!来てくれたんだね!そして・・・それがさやかの魔法少女の衣装」

さやか「どう・・・かな?」


バイオリン仮面「予想以上だよ!さやか可愛いよ!完璧だよ、素敵だよ!!」

さやか「ありがとう・・・それじゃあ、行くよ!」バッ


ペラッ


まどか「!!・・・///」

ほむら「さやか・・・あなた・・・!」



バイオリン仮面「セクシーなのはいいけど・・スカート短すぎるよね・・・見えないかい?」

バイオリン仮面「ってか・・・さやかのパンティを被ってるのは僕じゃないか!!」


バイオリン仮面「ということはさやかは今・・・ノーパン!?」




チラッ



バイオリン仮面「フォオオオオオオオオオオオ!!」


さやか「わっ!?ちょっと!?恭介!?」

ズズズズズズズズズ!!


杏子「バイオリン仮面とさやかが握っている剣が・・・!!」


マミ「太く、大きく、たくましくなっていくわ!!」


ほむら「そして・・・黒く!硬く!」


まどか「これなら・・・・ワルプルギスの人形部分を破壊できる!!」




バイオリン仮面「さやか・・・」


さやか「なに?恭介・・・」

バイオリン仮面「10年ほど早い・・・共同作業だけど・・・手伝ってくれるかい?」


さやか「恭介・・・///」

さやか「もちろんだよ!!あたしと恭介はいつでも一緒だよ!10年後もこうして・・・
寄り添って生きていくの!!」


バイオリン仮面「ありがとうさやか・・・それじゃあ・・・振り下ろすよ!!」



さやか「さやかちゃんと・・・恭介の初めての共同作業!!」


バイオリン仮面「入刀!!」






バイオリン仮面さやか「「ウェディング・スパークエッジ!!」」







ズバァアアアン!!






ワルプルギス「ウ・・フフ・・・」ボロボロボロ・・・




まどか「ワルプルギスの人形部分が真っ二つに裂かれた!今だよ!ほむらちゃん!!」



ほむら「これが・・・残された魔力での・・・最後の・・・」



ほむら「時間停止!世界よ!私とまどかの二人きりにして!!」



カチッ

シーン・・・


ほむら「いよいよ・・・終わるのね・・・まどか・・・」

まどか「うん・・・」


ほむら「長かった・・・ただ・・・長かった・・・」

ほむら「あなたと寄り添える・・・未来・・・懐かしい未来へと・・・」


ほむら「さ・・早く魔力を込めてまどか・・・未来を・・・掴みましょう・・・」


まどか「・・・」


まどか「ほむらちゃん・・・ごめんね・・」


パッ




ほむら「まどか!?手を離して何を・・・!?」


ほむら「!?」グググ・・・・ピタッ

ほむら「こ・・れ・・は・・・!?」


ほむら(身体が動かない・・・・時間は・・・止まったまま・・・)

ほむら(私は・・・止まった世界を認識できているのに・・・何故・・・)


まどか「わたしが時を止めたの。ほむらちゃんより強力な魔力で」

ほむら「!?」


まどか「わたしの魔法は“認識”すること・・・
だから・・・ほむらちゃんの手を握ったとき、時間の止め方を認識できたよ・・・」

まどか「魔力のコントロール方法も・・・そして・・・」


ほむら『待ってまどか!なぜ・・・なぜ手を離したの!?』


ほむら『魔力のコントロールなら・・・私も手を握っていたほうが安全で確実なのに・・』


まどか「だからだよ・・・ほむらちゃん・・・」


まどか「ワルプルギスを完全に消滅させるには・・・わたしの魔力の99.99%まで解放しないといけないの」

まどか「0.01%の精度までのコントロールはやっぱり、本人じゃないと出来ないし・・・
魔女化寸前までの力の解放は・・・ほむらちゃんが許さないでしょ?」


ほむら『待って・・・もし精度が少しでもズレたら・・・あなたは・・・』


まどか「そうだよ・・・魔女になる」

まどか「その時はまた・・・「あの時」みたいにソウルジェムを砕いてくれるかな?」


ほむら『嫌・・・そんなの嫌・・・そうなるのなら・・・せめて一緒に死なせて・・・』

ほむら『傍に居て・・・まどか・・・』


ほむら『!?』


ほむら『「あの時」・・・!?』



まどか「ほむらちゃんは・・・さやかちゃんみたいにわたしと昔からの友達になりたいって言ったけど」

まどか「出会ったばかりの友達だからこそ・・・大事にしたい感情も有るよ」


まどか「それが・・・・わたしの、魔法少女としてじゃなくてまどかとして叶えたい願いだったんだ」

まどか「ほむらちゃんと手を繋いだとき、わたしの願い・・・叶ったよ・・・だから・・・怖くないの」



まどか「もしわたしが失敗したらその時は・・・」

まどか「お泊まり会をしてほむらちゃんといっぱいおしゃべりしたことや・・・」

まどか「キスまでしちゃった事とかも・・・」


まどか「ほむらちゃんとわたしだけの・・・二人だけの大切な秘密にしていたいから・・・」

ほむら『待ってまどか!あなた・・・まさか・・・』



まどか「クラスの皆には・・・ナイショだよっ☆」

ほむら『待ってまどか!行かないで!!』


ほむら『私の願い・・・叶ったの!!やっと叶えられたの!!だから・・行かないで!!』

ほむら『せっかく通じ合えたのに・・・これが最初で最後なんて嫌!!』


まどか「わたしの願いは・・・認識させること・・・だから固有魔法も・・・認識すること・・・」


まどか「だからわかったの。ほむらちゃんと手を繋いだとき・・・
ほむらちゃんがいくつもの世界で・・・わたしを助けようと何度も泣いてきた事を・・・」



まどか「ほむらちゃんが出会った全ての『まどか』の思い出が・・・わたしに流れてきた・・・
そして・・・ほむらちゃんの・・・『まどか』への思いも・・・」


まどか「わたしの願い・・・叶ったんだよ・・・」



まどか「だってわたしの・・・鹿目まどかとしての願いは・・・」











まどか『ほむらちゃんの事、もっと知りたいな』











まどか「あなたの魂も、絶対未来へ連れて行く!!」

まどか「だからわたしも・・・覚悟を決める!」

まどか「もう休んでいいよワルプルギス・・・これがわたしの・・・99.99%全力全開!!」






まどか「シューティング☆スターッ!!」




バシュッ





まどか「そして・・・世界(とき)は・・・動き出す」

まどか「絶望は残るけど・・・希望にあふれた・・・懐かしい未来へ・・」


まどか「時間停止解除一秒前・・・」



まどか「・・・ゼロ!」




パキィィイイン


シュバババババババババ


ワルプルギス「ア・・ハ・・・」


しゅわしゅわ~




ほむら「桃色の・・・モーニングシャワー・・・」


さやか「空が・・・晴れていく・・・」


杏子「魔女も使い魔も・・・消えていく・・・」


マミ「消滅というには・・・あまりにも優しい光・・・」


氷室「きっと・・・彼女達が行く先は・・・」


恭介「懐かしい・・・未来・・・」



ワルプルギス「フ・・・」



しゅぅ・・・





キュゥべえ「ワルプルギスが・・・完全に消える・・・」

キュゥべえ「ならボクが取るべき行動は・・・」



ほむら「まどか!!」


まどか「ほ・・・むら・・・ちゃん・・・」フラッ

まどか「できたよ・・・魔力のコントロール・・・魔女になって無いよ・・・」

ソウルジェム侵食率99.99%


ほむら「バカッ!」


パシン!


ほむら「バカ!バカ!!バカ!!バカ!!まどかのバカ!!」


パシンパシンパシン


ほむら「絶対許さない・・・まどかの・・・ばか・・・」


ほむら「もう二度と・・・こんな事しないで・・・手を離さないで・・・」


まどか「これが最初で最後だよ・・・ほむらちゃんと喧嘩するのは・・・」

まどか「お互い分かり合って・・・喧嘩して・・・」



まどか「これで・・・本当の友達になれたね・・・」



ほむら「まどか・・・」ぎゅっ






杏子「安心するのは早い!はやく・・・はやくまどかのジェムの浄化を!!」

杏子「ワルプルギスのグリーフシードを使え!早く!!」


マミ「グリーフシードを落とさない魔女もいる・・・お願い、グリーフシード・・・落ちてきて!」


キラッ


ほむら「!!」

さやか「グリーフシード!落ちてくるよ!!」


ギュルギュルギュル・・・・



キラッ



まどか「一瞬で・・・穢れが・・」

恭介「これが・・・ワルプルギスのグリーフシードの力・・・」


マミ「私たちのソウルジェムも・・・元通りだわ」

杏子「すげぇ・・・」



ドックン・・ドックン・・・



ほむら「!!穢れで・・・満たされたグリーフシードから・・・またワルプルギスが孵化する!?」



杏子「キュゥべえ!はやく処理しろ!!」

恭介「!?インキュベーターが・・・いない!?」




ピキピキ・・・


氷室「再び・・・ワルプルギスが・・・生まれてしまう!!」



氷室「!!」




氷室「僕の手元に!戻れソウルジェム!!」




ギュイーン




恭介(変身解除)「氷室さん!?何を!?」

氷室「部分的変身!タキシードの下!」


キュイン


氷室「そして・・・チャックを下ろせば・・・そこは四次元空間!」

ジーッ↓


氷室「Welcome!(ようこそ)ワルプルギス!!」



キュイーン・・・


ほむら「氷室!?ナニをしているの!?」



氷室「僕の社会の窓で・・・ワルプルギスのグリーフシードを吸引する!!」


一同「!!」



杏子「無茶だ!そんなことすればお前は・・・」




氷室「うおおおおおおお!!!」



スポン!



ジーッ↑



氷室「変身・・・解除・・・!!」フラッ


恭介「氷室さん!?」


さやか「氷室さんの・・・ソウルジェムが・・・!!」



氷室のソウルジェム「真っ黒」



氷室「ワルプルギスのグリーフシードが吸った穢れが・・・僕のソウルジェムに移ったんだ・・・」



氷室「みんな早く!早く僕のソウルジェムを砕いてくれ!!僕は・・・魔導帝になりたいくない!!」



ほむら「氷室!?」


さやか「嫌だ!!氷室さん・・・恭介がいなくなるなんて嫌だ!!」

さやか「氷室さんは・・・恭介とあたしが恋人同士になれたからこそ失ってしまった・・・
親友としての恭介なんだ!!絶対死なせない!!」


さやか「あたしの・・・あたしのブラで浄化するよ!待ってて!」

恭介「僕も・・・さやかの縞パンを氷室さんのために使うよ!!」


氷室「無駄だよ・・・もう・・・一枚や二枚では・・・どうしようもないほど溜まっている・・・」


氷室「さやか・・・ノーパンノーブラ魔法少女なんてはしたないことはやめて・・・
恭介のために・・・平凡な奥さんになってやってくれ・・・」


氷室「これで良かったんだ・・・僕もようやく・・・僕のさやかに会いにいける・・・」

氷室「その時こそ・・・今度こそ二人で寄り添って・・・」


恭介「縞パンが一瞬で真っ黒に!!浄化が・・・浄化が追いつかない!!」

さやか「まって恭介!あたしもブラを・・・」



氷室「もう・・・遅い・・・」

氷室「目を閉じると・・・魔導帝になった自分の姿が・・・見えるんだ・・・」



氷室「ふふっ・・・それが・・・怪物になった僕の名前かい?」



氷室「光栄だな・・・そんな名前をつけてくれるんだ・・・」








氷室「僕に・・魔王の素質が・・あったのかな・・・」






Schubert(シューベルト)  デェン!(魔女文字)

~~~

恭介(氷室)「ここは・・・」


恭介「天国的な場所だろうな・・・だってこの世のものとは思えない・・・綺麗な虹が見えるから・・・」


恭介「さやかに会いに行かなきゃ・・・」



さやか(氷室の時間軸)「恭介!」

恭介「さやか!会いに来てくれたんだね!」


恭介「ごめんね・・・ロマンチックな別れ方をしたのに・・こんなに早い再会で・・・」


さやか「・・・」

恭介「さぁ連れて行ってくれさやか・・・これからはずっと一緒だ」




さやか「あたしの心が・・・いつまでも恭介の物だと思った?」


恭介「え!?」



さやか「残念!天国に来てもうすでに何人からか告白されちゃいました!!」





恭介「は!?」

さやか「なんかあたしが成仏する前から狙ってた男子が結構いたみたいなんだ」

さやか「恭介とあたしが恋人同士になれた時間軸が出来たって思うと安心しちゃってさ。
なんか冷めたっていうかー・・・ま、友達としてはまだ好きだけどさー」



さやか「その男子達に恭介の事忘れてあげるって言っちゃった☆」



恭介「なんだって!?ふざけないでよ、さやか!!」

恭介「こっちは変態の真似事までして!守りたくも無い貞操を守り通して!左手をまた失ってでも
さやかを助けたいと思ったのに!!」



恭介「さやかのために仁美さんやほむらさんをフった僕はどうなるんだ!!考え直してよさやか!!」



さやか「そもそも住む世界が違うんだよ恭介・・・あんたまだ死んで無いんだ」

恭介「まさか!?なら・・・この情景は!?この素晴らしい虹はなんなんだ!?」


恭介「なぜさやかは僕に会いに来てくれたんだ!?」



さやか「その虹は現実の情景だよ恭介」

さやか「あたしが声をかけにきたのは好きな人としてじゃなくて・・・親友として色気の無い
普通の日常会話をしにきたんだ」



恭介「普通の・・・会話!?」


さやか「ねぇ恭介・・・」






さやか「そんなところで寝てると・・・風邪ひいちゃうよ?」





カッ



~~~



氷室「・・・生きてる・・・?僕は・・・魔導帝にもならず・・・生きているのか・・・」


氷室「目の前の虹が・・・あの虹が見える・・・」





氷室「・・・!!違う!!これは・・・これは虹じゃない!!」

マミ「アルコバレーノ・レッジセーニ!!」(ブラジャーの虹)


氷室「7色の・・・ブラジャー・・・」


氷室「7つのブラが・・・僕のソウルジェムの穢れを吸ってくれてるのか・・!?」


氷室「青のブラ・・・さやか・・・」

さやか「・・・これで・・ノーパンとノーブラの合わせ技だよ・・」


氷室「赤のブラ・・・杏子・・・」

杏子「・・・見るな見るな、恥ずかしい」


氷室「黄色のブラ・・・巴さん・・・さすがに大きい・・・」

マミ「それでも・・・一枚では穢れを吸いきれなかったわ」


氷室「桃色のブラ・・・鹿目さん・・・」

まどか「これが本当の・・・女神のブラだねっ☆」


氷室「紫の・・・??・・・ほむらさん・・・」

ほむら「ブラよ!これはブラよ!必要ないみたいな疑問の顔をしないで!!」

ほむら「あなたの親友の鹿目ほむらならこうするのでしょう?
だから私もこうするの・・・理由なんてないわ!!」



氷室「緑のブラ・・・仁美さん・・・」

仁美「あなたも恭介さんだというのなら・・・絶対死なせません・・・」



氷室「そして・・・そして・・・」



氷室「オレンジの女性のブラ・・・を」




氷室「何故か持っている・・・中沢・・・」


中沢「呼んだか?親友?」







氷室「君には・・・小一時間ばかり話を聞かせてもらわないとね・・・」

中沢「俺を女性の下着を持ち歩いてる変態だと思ってるのなら訂正してもらう」

中沢「美樹のパンティを被って変身するお前と一緒にするなと言っておく」


氷室「なら・・・!このブラはどこから・・・!?」



中沢「早乙女先生のだよ」



氷室「!!」


中沢「教え子が危ないって言ったら・・・何も聞かずにブラを渡してくれたんだ」




氷室「そうか・・・」




氷室「時間軸を越えて・・・僕はあの人に・・・2度助けられたのか・・・」


氷室「ありがとうみんな・・・僕のためにブラジャーを・・・」


氷室「ありがとう・・・早乙女先生・・・」




しゅうう・・・キラッ



恭介「氷室さん!」


杏子「氷室のソウルジェムは浄化できたが・・・今度はあたし達の下着が!!」

仁美「ま・・・真っ黒ですわ・・・///」


マミ「早く・・・キュゥべえに食べさせないと・・でもさっきは呼んでも来なかったし・・」



キュゥべえ「今度はここにいるよ」ぴょん♪





一同「!?」

杏子「てめぇ!さっきはどこ行ってやがった!?」

ほむら「杏子!今は黒ブラ回収が最優先事項よ!」


キュゥべえ「黒ブラの処理にボクが必要みたいだね、さぁ早くこっちに持ってきなよ」



恭介氷室中沢「・・・」



マミ「男性の前で・・・ノーブラのまま歩くのは・・・ちょっと・・・」

仁美「揺れてしまいますし・・・///擦れてしまいますし・・・先端が・・・」


さやか「あたしは下もガードしなきゃだし・・・」


杏子「実はあたしも・・・最近成長してきて・・・」


まどか「ほむらちゃん!出番だよ!!」





ほむら「ほむっ!?」

まどか「ほむらちゃんがみんなの黒ブラをキュゥべえに持っていくの!
ほむらちゃんにしかできないよ!!」

ほむら「ふざけないで!私だって・・・ノーブラなら揺れてしまうわ!」


まどか「揺るがないよ・・・それがほむらちゃんだから・・・!!」

ほむら「!!」


まどか「わたしも少しずつ揺らいでるの。中学生だから・・・悩み多い年頃だから・・」

まどか「成長期だから・・・」ぼそっ


ほむら「ま・・ど・・か・・・」


まどか「絶対に揺るぎようがない信念を・・・ほむらちゃんから教わったから・・・
ほむらちゃんにしか任せられないから・・・」


まどか「お願い・・・ほむらちゃん・・・揺らいでしまうわたしたちを・・・許して・・・」






ほむら「ぬぐううううううううううううううううううう!!」




バッ(全員のブラをボール状にまとめて走り出す)







ほむら「絶対に・・・未来を変えてみせる!!」

ほむら「今の私と変わってしまうのも・・・それはそれでいい!!」


ほむら「だって揺れやすい年頃なんだもの!中学生なんだもの!成長期なんだもの!」


ほむら「変わってしまってもいい!揺らいでしまう自分を・・・手に入れる!!」


ほむら「だからこれが・・・!!胸が弱かった私への決別の意味の・・・」




ほむら「ホラムダンク!!喰らいなさい!インキュベータアアアアアアアアッ!!」




キュゥべえ「あーん」



ガコォォン!!




キュゥべえ「う、ぐぅ・・・」もしゃもしゃ


ごっくん


キュゥべえ「きゅっぷい!」

ほむら「ところで・・・さっき姿を消していたのは何故かしら・・・?」


キュゥべえ「正真正銘最後の切り札を切るため・・・資料を集めていた」

ほむら「最後の・・・切り札!?」


キュゥべえ「ワルプルギスは倒された・・・そして、ボクや魔法少女のシステムがまどかの
願いによって「世界」に認識された。これから先どうなるかわかるかい?」

ほむら「人類があなた達インキュベーターに接触を試みる。交渉を交わして
まだ平等とはいえなくとも魔法少女が人間に戻れる可能性を持った・・・」


ほむら「氷室がかつていた未来に少し早く近づける、それだけよ」


ほむら「この星だけじゃない。まどかの願いでお前の正体も企みもすべて知れ渡った」

ほむら「きっと宇宙中の魔法少女に・・・希望が見出せるはずだわ」



キュゥべえ「やっぱり・・・そういう認識だと思ってるのか・・・」

まどか「・・・」



キュゥべえ「まどかがもたらした「認識」の範囲・・・「世界」とは「宇宙」のことじゃない・・・
「地球」という人類が存在する幾千もの星のうちの一つに過ぎないんだ」


ほむら「!!」



キュゥべえ「ボクたちと少しでも対等な関係になることが君たちの「救い」というのなら・・・
まどかの願いによって「救われた」のは・・・「地球」だけだ。「宇宙」じゃない」



ほむら「なんですって・・・!?」



杏子「どういう事だよ・・・おい・・・」

キュゥべえ「「世界」というくくり方は「地球」か「宇宙全体」かどちらともとれる言い方だよね?」

キュゥべえ「もちろん、特に追随する条件がなければボクも「宇宙全体」にインキュベーターを認識させる
願いを叶えてあげただろう。事実そこまでに素質はあった・・・しかしまどかにはもう一つの願いがあった。」


キュゥべえ「すなわち・・・「鹿目まどか」という個体を保つこと・・・これが願いの範囲をこの星だけに留めさせた」


キュゥべえ「仮に宇宙全体に認識させる願いを叶えていたのなら・・・まどかは神になっていただろうね」

キュゥべえ「未来永劫・・・ボクたちが宇宙に持ち込んだ物を認識させる概念として、
この宇宙に固定されていただろう」


キュゥべえ「この先誰からも・・・認識される事無くね・・・」

キュゥべえ「もちろん、地球という星全体にボクたちの存在を認識させるだけでも、
すさまじい因果を持っていることになるけど、まどかはそれ以上のことが出来たんだ」


キュゥべえ「女神なんてなれないままわたしは生きる」


キュゥべえ「まどかが掲げたもう一つの命題(テーゼ)がそれだった。ゆえに範囲は絞られた」


キュゥべえ「はっきり言おう。
救えたはずの宇宙全体の魔法少女を犠牲にして・・・地球だけが助かったんだ」



キュゥべえ「君たちに見せてあげるよ。君たちの言うところの
宇宙の中で未だに「騙され」続ける・・・魔法少女達の絶望する姿を・・・」


ほむら「!!」




ピカッ



キュゥべえ「先ほど集めていた資料がコレだ。」

キュゥべえ「君たち人類と同じ姿の者が住む星の・・・システムを知らずに魔女化する魔法少女達の映像だ」

ほむら「まどか!見ては駄目!!アイツの言葉に惑わされないで!」

ほむら「何を考えてるのインキュベーター!このビジョンを・・・止めなさい!!」


異星人魔法少女「嘘よ・・・魔法少女が魔女になるなんて・・・」

異星人魔法少女「なんで・・・誰も教えてくれなかったの・・・」


異星人魔法少女「きゃあああああああ!!!」


ゴゴゴゴゴ・・・


異星人魔法少女「わたしの・・・ソウルジェムが・・・・グリーフシードに・・・」



まどか「・・・」


キュゥべえ「確かに・・・ボクはこの星からいつまでもエネルギーを独占したいと言った。」

キュゥべえ「でもそんなのは、まどかが魔女化すれば解決する問題なんだ」

キュゥべえ「結果、まどかの魔女がこの星を滅ぼしたとしても、まどか一人が
魔女化するエネルギーさえ持ち帰ればノルマは達成できるからね」


キュゥべえ「ワルプルギスによるリセットでも、さやかを魔女化させて足を引っ張らせる事でも無い」

キュゥべえ「ボクの最後の切り札は・・・まどかを魔女化させるために動くことだったんだ」


キュゥべえ「君達もついでに魔女になるのなら歓迎するよ」


キュゥべえ「こういう事に嫌悪を感じるのだろう?君たち少女の年代によくある正義感で」



(異星人魔法少女達の絶望の声)



キュゥべえ「この事実に目をそむけて・・・彼女達を犠牲にして、君たちだけが助かるつもりかい?」


キュゥべえ「そんなのはボクが君たちを家畜扱いしてきた事実となんら変わり無いじゃないか」

キュゥべえ「彼女達が魔女化するエネルギーが無ければ・・・
将来君達が人間に戻るためのエネルギーも生まれないんだよ?」


キュゥべえ「平等に交渉してる星よりも・・・一方的に搾取されている星が多くなければ
人間に戻るためのエネルギーの余裕も生まれない」




キュゥべえ「自分達のためだけに・・・異星の彼女達を搾取しようとしているのは・・・」







キュゥべえ「他の誰でもない・・・君自身じゃないかな?まどか」







まどか「・・・」

アアアアアアア!!(異星人魔法少女の断末魔)


ほむら「そんな事・・・あなた達が作り出したシステムの搾取側の黒い面を
まどかに押し付けようとしているだけじゃない!!」


ほむら「この星だけでも・・・私だけでも救われた!!だから・・・まどかは悪くない!」


ほむら「お願いまどか!自分の願いに自信を持って!仮に宇宙全体を犠牲にして・・・
私たちの傍に一緒に居てくれるというのなら・・・」


ほむら「私もその思いに応える!!まどかを非難する者が相手なら・・・
今度は世界じゃなくて宇宙と戦ってみせる!!」




さやか「まどかを・・・その願いを・・・否定させやしない・・・」

さやか「まどかの願いには・・・氷室さんのさやかの想いも込められてるんだ!」


さやか「ただ知って欲しい!その願いが・・・正義から来るものでも悪から来るものでも・・・」

さやか「それを・・・非難できるヤツなんて誰も居ない!」


さやか「あたしだって・・・恭介とともに生きる未来のためなら・・・宇宙を犠牲にするかもしれない」

さやか「だから・・・まどかの選択は間違っていない!
まどかを悪だというのなら・・・あたしだって悪になってやる!!」



さやか「正義に憧れてた少女時代は・・・もう終わりだよ」

さやか「まどかを・・・ほむら達を・・・そして恭介を守るために・・・」


さやか「あたしは・・・その事実を受け入れた上で・・それでも自分の幸せのために・・・戦い続ける!」

マミ「私も・・・正義の味方じゃなくて良かったと思った・・・
クラスメイトが・・・私が戦い続けてくれたことを知ってくれたとき・・・こんなにも嬉しいことは無いと思った」


マミ「自分の幸せを押し殺して戦うヒーローを・・・もうカッコイイとは思わない!」


マミ「私は生きていくわ・・・あなた達と・・・クラスのみんなと一緒にこれからも・・・」

マミ「地球だけが救われたのだというのなら・・・まずは地球の人達を繋ぎたい・・・絆になりたい・・・」


マミ「宇宙の事を考える前に・・・地球の人達の思いをを一つにしてみせるわ・・・!」


マミ「それが私の・・・新しい願いよ・・・」



杏子「あたしから言わせりゃそんな真実は無い。目をそむけちまえって話だけどな」

杏子「家族で考えた場合、家族の誰かを助けるためなら・・・それより多くの命に
目をつむるかもしれない」


杏子「地球だけが助かった。これから魔法少女と普通の人間が手を取り合う
その絆を家族と呼べるくらい強い物だとしたら・・・」



杏子「他の星を助けられなかったとしても・・・家族さえ無事ならどうでもいい。そう思った」


杏子「地球だけでも助かって・・・みんなが家族になれる未来が待っているのなら・・・
とりあえずはそれでいい」



ほむら「まどか・・・」

さやか「まどか!」

マミ「鹿目さん!」

杏子「まどか!」




さやか「それが正しいかどうかじゃない!まどかは・・・自分の願いを叶えただけだ!」

ほむら「お願い・・・あなたが見ず知らずの他人の不幸に心を痛めてしまうほど優しい人だと知っている・・・
だけど・・・絶望しないで・・・」

杏子「キュゥべえが見せた映像がニセモノって可能性もあるだろ!そもそも人間がいる星が地球だけなのに
キュゥべえが他の星にも文明があるって見せかけてる可能性も!!」

マミ「地球を救うだけでも、誰にも出来ることじゃないわ!!お願い、自分を無力だと思わないで!」




まどか「・・・」







まどか「全部・・・知ってたよ・・・」






4人「!?」

まどか「きっとこういう願い方をすれば・・・救われるのは宇宙じゃなくて地球だけなんだろうなって・・・
はじめから予測できてた・・」


まどか「知った上で・・・わたしは願いを叶えたんだ・・・だから後悔は無いよ」


キュゥべえ「意外だな・・・君の性格なら絶対見ず知らずの他人も放っておかないと思ったんだが・・・」


まどか「一方的に圧倒的な力で救いを与えるのが正しいとは限らないよ」

まどか「どんな願いにも歪みがある。わたしはそれを受け入れたの」


まどか「他の星の人達が・・・わたしが出した結論で救われるとは限らないし」

まどか「だから・・・他人も自分も幸せにできる願い方をした上で・・・
願いを叶えた後に訪れる歪みに立ち向かえるとしたら・・・」


まどか「それは・・・わたしも消えないでみんなの傍にいる未来だと思ったから・・・」



まどか「それにね・・・信じてるの」


まどか「きっと他の星の魔法少女も・・・自分達の力で絶望から立ち上がるって・・・」


まどか「氷室さんは・・・わたし達少女が一生懸命悩んで出した結論は何にも勝る宝物だと言ってくれた」

まどか「それは他の星の人達にも言えることだと思ったの」

まどか「きっと・・・他の星の魔法少女達も・・・答えが出ていないだけ・・・まだ悩んでるだけなんだって」


まどか「彼女達もいつか・・・答えを出すよ・・・」

まどか「だから・・・わたしが干渉するべきじゃないって思った・・・」



まどか「わたしの願いがもたらしたこの星だって・・・幸せになるとは限らない・・・」

まどか「普通の人達にもすごい辛い思いしたりさせたりすると思うから・・・」



まどか「認識する魔法で・・・今のわたしには魔女になった自分も認識できるの」


まどか「全てを救えると思い込んだ迷惑な魔女・・・それを知っていたから・・・」



まどか「女神なんてならない・・・自分の手の届く範囲の人たちだけでも助けたい。そう思ったから」



まどか「わたしが守った人・・・ほむらちゃんが・・・さやかちゃん達が傍に居てくれると
言ってくれるから・・・!!」



ゴゴゴゴ・・・


まどか「だから、わたしは絶対・・・自分の願いに絶望したりしない!!」



バァーン!!(濁り一つ無いソウルジェム)



キュゥべえ「今の話で・・・濁り一つ生みださないなんて・・・」

キュゥべえ「完敗だよ・・・鹿目まどか・・・しばらく君からは手を引こう」

(魔法少女達と恭介と氷室の背中を見ているキュゥべえ)


キュゥべえ「報告するよ・・・母星のボクたち・・」


キュゥべえ「以上が・・・地球という星で起こったイレギュラーな事例であり・・・
そこで戦い続けた魔法少女の真実である」

キュゥべえ「彼女達はもう・・・正義の味方では・・・無い」

キュゥべえ「彼女達を突き動かしたのは・・・純粋な願いである」


~~

杏子「そういえば氷室、あんたなんで戻ってこれたんだ?」

ほむら「時空管理局の尋問というのは・・・そんなに優しいものなの?」


氷室「もちろん、抜け出してきたのさ。無断でね」


さやか「うん。だろうね。さやかが無茶しすぎって言ってたから」


氷室「そして・・・脱走ができたのは・・・鹿目ほむらさんが融通をきかせてくれたからなんだ」



氷室「ほむらさんのおっぱいのおかげで・・・僕は戻ってこられた」



ほむら「は!?」

~~~回想~~~

氷室「ほ・・・ほむらさん!?」

鹿目「なにかしら?」ぼい~ん


氷室「胸に・・・何をつめているんだい?」

鹿目「少女の夢と希望を叶えるものよ」


氷室「確かに女性からすれば巨乳は夢と希望だけど・・・」

鹿目「見すぎよ恭介。いくら親友のあなたでも胸を触らせるわけにはいかないわ」


鹿目「ところで先ほど報告があったわ。あの時間軸で・・・さやかが契約した」

氷室「!!」


鹿目「管理局の見解では十中八九魔女化すると結論が出たわ」

氷室「いけない・・・それだけはいけない・・・」


氷室「ほむらさん!ここから出してくれ!さやかを助けに行かせてくれ!!」

鹿目「残念だけど、私にそんな権限無いわ」

鹿目「あなたが・・・脱走するのなら話は別だけど・・・」


氷室「!!」

鹿目「あなたのソウルジェムはここよ。脱走できたとしても・・・100メートルまでだし、
バイオリン仮面に変身できなければ部下に勝てないわ」

鹿目「さやかのパンティも・・・すべて押収したし」


鹿目「それにしても・・・巨乳だと下乳が蒸れるわね。ハンカチは無いかしら」

鹿目「あ・・・これはハンカチかと思ったらさやかのパンティね」


氷室「ほ・・む・・・らさん・・・?」


鹿目「あ・・・手が滑ったわ。牢屋の中にパンティを落としてしまったわ」

鹿目「でも・・・パンティだけでは変身は出来ないわね。安心だわ。だってソウルジェムはここにあるから」


ぼいーん


鹿目「しまった!巨乳の弾力がソウルジェムをはじいてしまったわ!!」


カランコロン(氷室のそばに転がるジェム)



氷室「!!」


鹿目「パンティとジェムが揃ってしまった!脱獄されてしまう!これも・・・私が巨乳なせいよ!!」


鹿目「さあ、どうかしら氷室恭介!!あなたの親友・・・鹿目ほむらは・・・」



氷室「ああ!昔からの巨乳美人だよ!!」

ガバッ

氷室「フォオオオオオオオオオオ!!!」ピカッ

「脱走だーっ!!」

「上条恭介が脱走したぞーっ!!」


「ソウルジェムが奪取されてる!戦闘力の低い兵は退避!」


部下A「脱走なんてできるものか!鹿目副長がついているんだ!」

部下B「鹿目副長!追いましょう!あんなヤツ、クロックアップさえあれば楽勝・・・」


ボインボイン・・・


鹿目「胸が重くて思うように前に進めないわ」トロトロ・・・






部下「なにやってるんすかああああーッ!?鹿目さん!!」




~~~


氷室「以上だ」



マミ「突然巨乳になった未来の暁美さん・・・彼女に一体なにが!?」


ほむら「わかったわ!きっと過去の私が未来を変えてやると決意したからよ!」

ほむら「私のこれからの積み重ねで・・・未来は変わるんだわ!」



鹿目「時間軸が違うから関係ないわ」



さやか「鹿目ほむら!いつの間に!!」



杏子「そして・・・」




ぼい~ん




杏子「誰だお前は!?」

鹿目「前にあったでしょう?20年後の未来の・・・暁美ほむらよ」

まどか「この前出会ったときと全然違うよ・・・すごく大きい・・」

さやか「別人だろ、お前!」


ほむら「事実よ。受け入れなさい」

ほむら「自分に裏切られないで・・・本当に良かった!ありがとう・・・ありがとう!!」


鹿目「やってくれたわね・・・上条恭介・・・いや・・・氷室と呼んだほうがいいかしら」

鹿目「審問期間中の脱走は重罪よ・・・おまけに・・・今度は管理局のタイムマシンまで奪った」


鹿目「この時間軸も・・・予測も出来ないほどにズレが大きくなっている・・・」


鹿目「重犯罪者として・・・あなたに判決を言い渡しに来たわ」



一同「!!」


さやか「氷室さんが・・・重犯罪者・・・!?」

恭介「い・・・一体どんな判決が下るというんだ・・・」



鹿目「時間犯罪者の中でも・・・かなり重い刑よ」

鹿目「時空管理局というのはね・・・地球の組織では無いの・・・」

鹿目「ありとあらゆる宇宙・・・ありとあらゆる時間軸から・・・時間法の保護のために集まった
警察と裁判所が一体化した精鋭組織」


鹿目「ゆえに・・・氷室に下す処置は・・・」


鹿目「自分が生きてきた時間軸とはまったく異なる世界への追放・・・」

鹿目「数千億と存在する平行世界と数千億と存在する人間が住む星」


鹿目「その組み合わせをコンピューターが無作為に選んだ世界へと永久追放される」


ほむら「な・・んですって・・・」


杏子「ど・・・どういう事かわかりやすく説明しろ・・・」

マミ「氷室さんは・・・自分の事を何もしらないかもしれない人々が住む星・・・
時間軸に飛ばされてしまうのよ・・・!」


まどか「氷室さんは・・・永久に孤独になるって事!?」


さやか「ふざけるな!そんな事・・・許されてたまるか!」


氷室「いいんだみんな・・・僕はどんな刑でも受けるよ・・・」

恭介「嫌だ!氷室さんを・・・一人にさせはしない!!」


まどか「もう一度戦うよみんな・・・氷室さんを守るために・・・
また正義を裏切れる?」

ほむら「もちろんよ・・・」


鹿目「・・・」


キュイン!キュイン!キュイン!


杏子「!?なんだ!?空間の裂け目から、人間が!!」

マミ「武装している!?敵!?」


部下A「アンチマジックフィールドオープン!」

部下B「魔法(インキュベーター製)の発動を制限します!!」


鹿目「ごくろう」


まどか「変身が・・・出来ない・・!!」

ほむら「変身後に出現する盾も無いから・・・武器が出せない!」


鹿目「抵抗すれば叛逆とみなすわ。おとなしくして」

鹿目「といっても・・・魔法を封じられたらあなた達は普通の女子中学生だから、抵抗のしようがないでしょうけど」


杏子「離せ!離せ!!氷室を・・・氷室を連れて行かせやしねーぞ!」




鹿目「氷室・・・あなたの追放先はすでに決定している。これから判決を言い渡すわ」

鹿目「追放先の惑星の名前は・・・地球」


恭介「え!?」

さやか「は!?」


鹿目「時間軸は・・・本来暁美ほむらが相打ちでワルプルギスを倒す世界が・・・
バイオリン仮面と名乗る男によって改変され・・・別の時間軸になってしまった世界」



鹿目「すなわち・・・今のこの場所よ・・・」


マミ「!!」

杏子「鹿目・・・お前・・」


まどか「ほむらちゃん・・・」

ほむら「ほむら・・・」


氷室「ほむらさん・・・?」




部下A「!?」

部下B「えっ?えっ!?」


ざわざわ・・・



鹿目「刑はすでに執行されました。二度と覆りません」


鹿目「数千億×数千億の組み合わせをコンピューターで選びだした・・・ここがあなたの牢獄よ。」


鹿目「せいぜい・・・生き抜いて見せることね」ファサッ



恭介「・・・」



さやか「やった・・・」



恭介さやか「「やったあああああああ!!」」



氷室「僕は・・・」



氷室「僕は・・・ここにいてもいいのか・・・」

氷室「さやかが生きている・・・そして・・・恭介と共に歩むこの世界に・・・」


氷室「僕は・・・僕はまだ・・・彼らを見守っていても・・・いいのか・・・」


部下A「か・・・鹿目副長!?何を・・・」

部下B「ふ・・・不正だ!何千億×何千億分の一で
自分の都合のいい平行世界を引き当てられるはずがない!」


鹿目「でも0%では無いわ」

鹿目「すでに刑は執行されました。二度と覆りません」


部下C「ふ・・・不正の証拠が後から出ればあなたもただでは済みませんぞ!」

鹿目「それでもすでに執行された刑は覆りません」


部下D「鹿目副長・・・あなたを連行する!これは明らかな職権濫用だ」


鹿目「連行されて・・・審問を受けて・・・私はどうなるのかしら」


部下A「それは・・・最悪辞職・・・」


鹿目「ならば今・・・辞めましょう」


部下「!!」



うねうね


ほむら「鹿目の胸が!うごめいてる!?」




すぽっ




キュゥべえ「やあ」




一同「インキュベーター!!」





氷室「少女の夢と希望を叶える存在・・・!」

氷室「ほむらさんの胸に詰まっていたのは本物の乳ではない!インキュベーターだったんだ!」


氷室「しかも・・・この時間軸のではなく・・・僕たちがきた未来の個体!?」




鹿目「インキュベーター!私を・・・「引退」させて肉体を人間に戻しなさい!」


部下達「しまっ・・・」


カッ!

しゅうう・・・

鹿目「これで・・・元通りだわ」


ほむら「あ・・あ・・・」


スラーッ↓


ほむら「嘘よ・・・元通りだなんて・・嘘よ・・・」

鹿目「いいえ。元通り(人間の身体)よ」


部下A「か・・・鹿目副長!!あなたは・・・何を・・・」



鹿目「武装はとっくに解除している。そして私はもう魔法少女では無くなった」

鹿目「これでも私を拘束するというのなら・・・問題になるのは管理局側だわ」


部下B「そんな・・・あなたという優秀な人材を・・・管理局を本当に辞めるつもりなのか・・・!?」

部下C「なぜ・・・」





鹿目「もうウンザリなのよ!!あなた達の子守は!!」




部下達「!!」


まどか達「!?」

鹿目「まどかを・・・愛する者を失った私は・・・それを忘れるため
戦いのためだけに肉体を結界の中で・・・若いまま維持し続けて・・・」


鹿目「・・・この肉体は・・・24歳のままで・・・」


鹿目「でもまどかの・・・守りたかったものを・・・守るという・・・願いができた・・・」

鹿目「私は・・・今一度まどかが守りたかった・・・彼の元に帰るわ・・・」

鹿目「歳の差が無くなったちょうど今が・・・頃合なの・・・」

鹿目「2年間・・・頑張ってきたけど・・・子宝を授かることは無かった・・」


鹿目「もう・・・正義なんかどうでもいい・・・普通の妻として・・・彼の傍にいるの・・」

鹿目「私が守りたいのは・・・無能な部下じゃないわ・・・これから生まれる・・・新しい命よ・・・」



まどか「!!未来のほむらちゃん!まさか・・・あなたの旦那さんって・・・」



鹿目「・・・あなた達・・・もう下がりなさい・・・これが上司として最後の命令です」

部下達「・・・」


鹿目「私のクビを掛けて全権を行使します。下がりなさいと言っているのです。」


鹿目「彼女達に・・・氷室に触れることは許しません」



鹿目「最後に・・・彼らと話がしたいだけです・・・」




ほむら「ほむら・・・」

鹿目「暁美ほむら・・・氷室恭介・・・美樹さやか・・・上条恭介・・・
巴マミ・・・佐倉杏子・・・おめでとう・・・」


鹿目「誰一人欠ける事無く・・・あなた達は・・・これから寄り添える未来を・・・勝ち取ったのね・・・」



鹿目「そして・・・」

まどか「ほむら・・・ちゃん・・・」


鹿目「ま・・ど・・・か・・・!」ポロポロ・・・


ぎゅっ

鹿目「まどか!!」


鹿目「生きてる・・・まどか・・・あなた・・・生きているのね・・・」


鹿目「暖かい・・・ちゃんと生きているのね・・・まどか!」

鹿目「う・・・うあああ・・・うわああああ・・・」ポロポロ・・・

まどか「ほむらちゃん・・・ずっと・・・ずっと・・・戦い続けてきたんだね・・・」


鹿目「まどか・・・まどか・・・!!」

鹿目「ごめんね・・・本当だったら・・・私が助けに行きたかったのに・・・!!」

鹿目「ごめんね・・・まどか・・・!!私・・・あなたがいなくなった世界で・・・
あなたより大切な人が・・・出来たから・・・」


鹿目「彼を守るために・・・あなたと同じ世界にいることが出来ないから・・・」

鹿目「せめてこの瞬間だけ・・・こうして・・抱きしめさせて・・・」



鹿目「また・・・ほむらちゃんって・・・呼んでくれる?」


まどか「うん・・・うん・・・あなたも・・・紛れも無く・・・ほむらちゃんだよ・・・」


まどか「ありがとう・・・ほむらちゃんは・・・わたしがいなくなった後・・・
ずっとずっと・・・わたしの家族を守り続けてきたんだね・・・」


まどか「これからも・・・わたしの家族を・・・守り続けていくんだね・・・」


鹿目「ええ・・そうよ・・・それが・・・あなたを失った私の・・・新しい決意だったから・・・」


鹿目「ほむら・・・」


ほむら「・・・ほむら・・・?」


鹿目「まどかを・・・絶対離さないで・・・」




鹿目「幸せにしてあげて・・・未来へと・・・連れて行って!!」



ほむら「もちろんよ・・・!」


ほむら「絶対手を離さないわ・・・まどかは・・・まどかはいつまでも傍に居てくれるから・・・」

~~~

鹿目「それじゃあ・・・ここでお別れね」

氷室「僕は手続きがあるんだ。この時間軸で過ごすため、戸籍を作らなきゃいけないし」

氷室「しばらくは管理局やほむらさんと行動しなくちゃいけない」


鹿目「その手配は管理局がなんとかするわ。私の最後の仕事になるかもね」



さやか「いっそ鹿目ほむらの旦那ごとこっちに引っ越せばいいのに」

鹿目「大人の世界には色々ややこしい事情があるのよ」

鹿目「氷室一人をこの時間軸に最初からいた事にするのにも相当裏技を使わなきゃいけないし」


まどか「また・・・会えるよね・・・ほむらちゃん・・・」


鹿目「そうね・・・この世界の住人としてではなく・・・時間旅行者としてなら、
また会えるわ」


鹿目「あと10年もすれば私たちの時間軸でも、タイムマシンが一般家庭に浸透すると思うから」


鹿目「その時はきっと・・・私たちの宝物を・・・見せてあげられるわ」


さやか「じゃあ決まり!ほむら!絶対10年後に再会だよ!」

鹿目「ええ・・・約束しましょう・・・」


氷室「さやか・・・」

さやか「何?氷室さん」


氷室「最後に・・・これだけは言わせて欲しい・・・僕にとってさやかは・・・」

氷室「僕の時代のさやかと・・・この時代のさやかも含めて・・・僕にとってのさやかは・・・」




氷室「・・・」



さやか(そんなところで寝てると、風邪引いちゃうよ)






氷室「さやかは・・・僕の、最高の友達・・・」



氷室「だから・・・進むよ・・・僕も・・・新しい未来へ・・・」



さやか「そうだね・・・」






さやか「頑張って、恭介!!親友としてのさやかなら、いつでも応援してるから!!」

恭介「行っちゃったね・・・」

さやか「氷室さん・・・きっといい人を見つけるよ」


杏子「どうでもいいけど・・・腹減ったな・・・」

マミ「私の家で祝賀パーティといきましょう。実はハッピーエンドを想定して
食材の仕込みは完璧なの」


まどか「じゃあわたし、家族に連絡しなきゃ!
勝手に抜け出してきたのに、勝手にマミさん家に行ったら怒られちゃう!」

さやか「なんだかあたし達・・・普通の女子中学生みたいだね・・・
さっきまであれだけ戦ってたのに・・・」


ほむら「普通の中学生よ・・・今までも・・・そしてこれからも・・・」



マミ「ところで・・・あの時現れた二人目のバイオリン仮面・・・彼は一体何者かしら?」


恭介「!!」

さやか「マ、マミさん!?それマジで言ってるの!?あの状況でバイオリン弾けるやつって
言ったら・・・」


杏子「それは憶測でしかねーよ・・・あたし達はそいつが変身した所を目の前で見たわけじゃないからな」


杏子「二代目バイオリン仮面の正体について、とやかく言えるやつがいるとすれば・・・
それは実際に目の前で変身を見たやつだけだ」


まどか「そうだね・・・本当に・・・」

ほむら「どこの誰かしらね・・・?」ニヤニヤ


恭介「あの・・・その・・・」

さやか「そ、そうなの!?知らないんだー・・・あ、あたし変身するところみたよ!」


さやか「バイオリン仮面の正体はねー」


恭介「さやか!!」がばっ


ちゅっ



さやか「!!」


ほむまど杏マミ「・・・!!///」




恭介「しゃべりすぎだよ・・・さやか・・・」

恭介「僕たち二人だけが知ってる・・・素敵な秘密でいいじゃないか・・・」





さやか「う・・・うん・・・///」

さやか「恭介・・・どんどん大胆になっていくね・・」


さやか「えへへ・・・」

マミ「じゃあ、上条君と美樹さんは・・・私の家に呼ばずに二人きりにしてあげましょうか?」

恭介さやか「「え!?」」


杏子「そんなノロケの空間を持ち込まれたらたまらねーっつーの。
今日は二人で過ごしな」

さやか「いやでも・・・あたし・・・まだ魔女から戻してくれたこと・・・皆に御礼言って無いよ」

恭介「後日・・・改めて妻を挨拶に向かわせます」


さやか「きょきょきょきょ・・・きょうすけぇ!?」

恭介「今日のところは・・・夫婦水入らずで過ごしたいな。いいだろ?さやか?」


まどか「あぅ・・・///」ぷしゅ~


ほむら「すこしは恥らいなさい・・・恭介・・・」


恭介「もちろん・・・来てくれるよね?」

さやか「は・・・はい!!」



~~~


上条邸



恭介「親はいるから・・・安心していいよ、さやか・・・」

さやか「むしろいないほうが良かったかも・・・」


恭介「それだと・・・僕の方が抑制効かなくなっちゃうよ」


恭介「わかったんだ。僕は王子様じゃなくてただの男子中学生だって・・・
二人きりになって・・・一皮剥ければ・・・さやかを傷つけてしまう野獣なんだって」


恭介「だから・・・中学生のうちは親に監視されてるくらいで丁度いい」


さやか「きょうすけ・・・///」



恭介「それじゃあもう一度弾くよ・・・今度はバイオリン仮面としてじゃなくて・・・
上条恭介として・・・さやかだけに贈る“祈り”だ」


♪~♪~♪


さやか「恭介・・・」



さやか「色々な事・・・思い出すよ恭介・・・幼稚園の頃・・・小学生の頃・・・」



さやか「あれ・・・?これは・・・それより前の思い出・・・?」



♪~♪~♪


恭介「さ・・や・・か?」

さやか「涙が・・・止まらない・・!?」

恭介「さやか!何故泣いているんだい?僕・・・また無神経なこと言っちゃったかな?」


さやか「違う・・・違うよ恭介・・・」

さやか「今・・・はっきりわかったんだ・・・」


さやか「恭介は王子様なんかじゃない・・・」

さやか「無神経で鈍感でヘタレで・・・バイオリン馬鹿で・・・最近はえっちな事にも興味を持っちゃった
どうしようもないヤツだけど・・・」


恭介「うぐ・・・」



さやか「あたしね・・・そんな恭介を好きになって良かった・・・
王子様じゃなくて・・・身近な人を好きになってよかった・・・」


さやか「何故だかそう思えてくるの・・・まるで・・・生まれる前から
募らせてきた思いが・・・遂げられたかのように・・・涙が止まらないの・・・」


さやか「あたしの願い・・あたしが生まれる前から抱いてた願いが・・・叶ったような気がして・・・」


さやか「これからも・・・恭介の傍に居ていいかな?」


さやか「人魚姫なんかに・・ならない・・・平凡な奥さんとして・・・恭介の傍にいたい・・・」



恭介「さやか・・・僕のほうから・・・言うつもりだったのに・・・君はつくづく
男心がわかってないね・・・」



さやか「え?」


恭介「これからも・・・僕の・・・一番近い場所で・・・」


恭介「僕のバイオリンを・・・聞いてくれますか?」


さやか「恭介・・・」


恭介「才能に敗れたとしても・・・たとえプロになれなかったとしても・・・
僕は弾き続けるから・・・」


恭介「いつまでも・・・2人寄り添って・・・」



恭介「僕と・・・僕と婚約して・・・///」




恭介「上条さやかになってよ!!」



さやか「・・・!!・・・」






さやか「・・・はい・・・・」

さやか「まどかの叶えた願いで世界はすぐに魔法少女の存在を知り・・・
インキュベーターと交渉を交わすようになりました」


さやか「20歳以上の魔法少女が引退できるシステムは18歳に引き下げられました」

さやか「魔法使いのシステムも一年以内にこの星に実装されるようです」


さやか「ただしまどかの願いによって・・・失うものもありました・・・」



TVニュース「あすなろ市の魔法少女・・・和紗ミチルが昨日未明・・魔女化し、
同じくあすなろ市の魔法少女数名が・・・これの討伐にあたりました」


まどか「悲しいニュース・・・増えたよね・・・」

ほむら「世間に知ってもらえるだけ幸せよ。
普通の人間の行方不明者なら・・・詳細もわからないままなんて事もあるのだから・・」


ほむら「自信を持ちなさいまどか・・・あなたの願いは・・・誰よりも優しい物だから・・・」



さやか「あたしたちがワルプルギスと戦ったあのストーリーは
小説になり・・・映画になりました。」


さやか「小説を書いたのもあたし達と同じ魔法少女だとか。
天才中学生作家御崎海香先生によるノベライズだとか」



さやか「映画!始まるよ!はやくはやく!」

恭介「最初はマナーCMなんだからもう少し遅くても良かったじゃないかな・・・」

参照:http://www.nicovideo.jp/watch/1364622796


マミ「あれ?電波悪いわね・・・もしもし!?もしもし!?」

バイオリン仮面「それは私の、バイオリンだ」


バイオリン仮面「劇場内での携帯電話の使用は禁止だ!」


ほむら「まどか・・・はぁはぁ・・」

ほむら「あれ!?カメラの映像が真っ白に・・・」


バイオリン仮面「それは私の、楽譜だ」


バイオリン仮面「劇場内での録音、録画は禁止だ!」



杏子「よっこらせっと」ドサッ


バイオリン仮面「前の席に足を乗せるのは禁止だ!」


バイオリン仮面「フン!」


ぴとっ


杏子「・・・・」



バイオリン仮面「成敗!!」



バイオリン仮面「劇場内ではルールを守って映画を楽しもう!」


ブブーッ

劇場内でチャックは全開は禁止です

劇場内ではパンティもブルマも被らないでください


劇場内で魔女や使い魔が発生した場合は
周りに魔法少女が居ないかまず問いかけて冷静に対処しましょう


HM 叛逆の物語

10月26日全国ロードショー

さやか「学校でも劇的な変化が有りました」


和子「副担任の吉野家先生が・・・け・っ・こ・ん!!されて寿退社したため!
新しく!副担任になる先生を紹介します!!」


さやか「荒れてるね~和子先生・・・」

まどか「先を越されて悔しいんだってさ」


和子「氷室先生、いらっしゃ~い」


まどかさやかほむら恭介仁美中沢「!?」



女子生徒「えっ・・・なになに男の先生!?」

女子生徒「超かっこいいんですけど・・・」



氷室「氷室杏介(ひむろきょうすけ)です。担当科目は音楽です。どうぞよろしくお願いします」


さやか「氷室さん!」

まどか「きょうすけ・・・同じ名前・・・」


恭介「でも・・・髪の色が赤いよ」

ほむら「同じきょうすけでも・・・杏子の「杏」を使ってる・・・まさか・・・」



和子「それとよろこべ男子!女子の転校生が来てるぞ~!」

男子生徒「そっちが後回しかよ!!」


男子生徒「はやく・・・はやく俺たちに新しい希望を!!」




杏子「佐倉・・・杏子です・・・///よ・・よろしくおねがいします!」



さやか「杏子!!」



男子生徒たち「フォオオオオオオオオオオ!!!」

氷室「僕は杏子の・・・母方の親戚という事で・・・表向きは
養父としての立場にある」


氷室「だから杏子の行方不明も取り消して学校に通わせることも出来た」


氷室「もちろん、杏子本人の希望で僕の家じゃなくて
巴さんと同居させてあげてるけどね」


杏子「マミが一人だと寂しいからそうしただけだ。余計なこと言うな!」


まどか「そうなんだ・・・これから楽しくなりそうだね!」


マミ仁美「「氷室先生!!」」


さやか「仁美?マミさん?」



マミ「私たちあれからずっと考えてました!」

仁美「でも・・・やっぱり恭介さんほど素敵な人はいないって気付いて・・・」


マミ「歳の差なんて関係ありません!」

仁美「わたしたちのどちらか選んで・・・お付き合いしてください!!」



氷室「・・・」



氷室「嬉しいよ・・・ありがとう・・・」




氷室「でも・・・僕には今好きな人が居るから・・・」




仁美「まさか・・・まださやかさんが好きですの!?」


氷室「違うよ、さやかじゃない」


さやか「わかった!元々いた未来の仁美だ!」

氷室「26歳くらいのとき愛想つかされて君達も知ってる意外な人物とくっついたさ」



氷室「二度も助けられた人が居るんだ・・・今度は僕が・・・彼女に何かしてあげたい・・・」



ほむら「誰かしら・・・」

和子「実家からメールが来てる・・・」

和子「縁談か・・・気が進まないな・・・」


和子「どこかにいい男転がってないかな・・・氷室先生は・・・年下だし・・・」

氷室「いえ、同い年ですよ?」


和子「氷室先生!?聞いてたの!?」

和子「同い年!?それは無いわ!わたしも若作りしてるようで・・・30超えてるのよ」


氷室「僕もですよ。なぜか女性には縁が無くて・・・34歳現在まで独身で・・・」


和子「34!?独身!?」


氷室「そして・・・早乙女先生は覚えてないかもしれませんが・・・
僕はあなたに助けられたことがあるんです」

和子「あなたと私・・・どこかであったことがあるの・・・?」


氷室「ええ。とってもよく知ってますよ」

和子(私が学生時代・・・ジュンコと不良を叩きのめした時に助けた子かしら?)


氷室「お互い年齢的に最後の恋愛結婚のチャンスを賭けてみる気はありませんか?」

氷室「結婚を前提として僕と付き合って欲しい」


和子「ちょ・・・氷室先生!?気持ちは嬉しいんですけど・・・出会ったばかりでそんな・・・」

氷室「あなたは・・・とても生徒思いで思い切りがある素晴らしい先生だと知っているんです」


氷室「きっと暴力事件に生徒が巻き込まれたら・・・自分のクビをかけてでも教え子を守る。
そんな人だと僕は知っているんです」


和子「それは・・・買い被りすぎでは・・・
第一私この仕事に就いてまだ一度もそんな事件に巻き込まれたことは・・・」


氷室「いいえ。勇気のあるすばらしい方ですよ。早乙女先生は」



和子「そ・・・そうですね・・・そこまで言われたのなら・・・悪い気はしませんね・・・」


和子「お付き合い・・・いたしましょう・・・」


放課後デートタイム

恭介さやか「「えへへ・・・」」


ゆま「さやかお姉ちゃん!」


さやか「ゆまちゃん!」

ゆま「ありがとう!わたしのやけどの跡・・・さやかおねえちゃんの魔法ですっかり治ったよ!」


さやか「ゆまちゃんみたいな美人をいつまでも傷物にしたくないだけだよ、あたしは!」


ゆま「わっ・・かっこいい人・・・この人が・・・さやかねえちゃんの王子様?」


さやか「うーん・・・王子様じゃないかなー」

ゆま「えー・・・違うの?そんなに仲良さそうなのに・・・」


さやか「ごく一般的な夫婦だよ!あたし達!恭介はー恭介はあたしの平凡な旦那様!」


ゆま「きゃあっ!かえって大胆になってる気がするよ!」


恭介「さ・・・さやか・・・人が多いところで・・・恥ずかしいよ・・・」



さやか「恭介は・・・王子様じゃない・・・でもあえてそういう言い方をするのなら・・・」


恭介「さやか・・・?」





さやか「そう・・・バイオリン仮面・・・」

さやか「でも・・・そう言っていいのは・・・恭介があの時
たった一度だけ・・・あたしを守るために変身してくれたことを・・・
知っているあたしだけなんだ・・・」




~~~

鹿目「・・・」


鹿目の夫「それはなんだい?ほむら」

鹿目「恭介がくれた・・・まどかのハンカチよ」

夫「!!姉さんの・・・」


鹿目「それもまどかが生きている時間軸の物だから・・・香りが残ってるわ」


鹿目「こうして・・・鼻に近づけると・・・まるであの子が傍に居てくれるような・・・」

鹿目「あれ・・・?鼻に・・・顔に・・・吸い付いて・・・」


夫「ほむら!それハンカチやない!パンティや!!」


ガバッ


鹿目「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

さやか「あたしは・・・知っている・・・あの日・・・
一度だけ現れた・・・二代目バイオリン仮面の正体を・・・」


さやか「まどかが認識させるようにもたらした世界でも・・・誰も知ることはない。
魔法使いの概念が認識され・・・広まるにはまだ時間がかかるから・・・
あの時点では存在し得ない魔法使いを・・・世界は詳細が解らないまま放棄するだろう」


さやか「あの日現れた魔法使いの正体を・・・世界の中でただ一人・・・あたしだけが知っている」




さやか「それを・・・ずっと恭介とあたしだけの秘密にしていたい・・・」



さやか「だから・・・あたしは・・・いつまでも・・・こう・・・とぼけるんだ・・・」
















さやか「バイオリン仮面・・・一体何者なの?」


~さやか達がワルプルギスの夜を倒してから10年後~


さやか「明日、日本に帰るんだね」

恭介「2年ぶりだね」


さやか「そして・・・結婚式か・・・」


恭介「ごめんねさやか・・・色々待たせちゃって・・・」

恭介「本当なら18歳になった時、さやかと一緒になることだけを考えればよかったのに」


恭介「僕が・・・バイオリンよりもさやかを大事にしていれば・・・」


さやか「大切にしてもらってたよ!音楽はあたしが後押ししたかったからしただけなの!気にしないで!」

さやか「その証拠に・・・」

恭介「さやか・・・?」


さやか「ううん!なんでもない!結婚式当日のサプライズにしよう!」




さやか「大学卒業後、恭介は※ジュリアード音楽院の院生として渡米しました」


※実際のものとは設定を変えてます。
大学院みたいな物だと思ってくれれば


さやか「一度恭介が留学したときの寂しさをしってるあたしは無理を言って
着いていきました」


さやか「院での二年間を終え、あたし達は明日、日本に戻ります」

さやか「すでに日本から多数のオファーが来ている恭介は
日本が世界に誇るプロバイオリニストとして活躍するでしょう」



~見滝原空港~



まどか「さやかちゃん!恭介くん!」

ほむら「さやか、恭介・・・」

杏子「おっ、来た来た」

マミ(サングラス)「美樹さん・・ではなくこれからは上条さやかさんと呼んだほうがいいかしらね」


仁美「お待ちしてましたわ」

中沢「上条!」


さやか「10年前のあの時・・・一緒に戦ってくれたクラスメイト達」


さやか「そして・・・」



氷室「恭介、さやか・・・お帰り」

和子「髪・・・伸ばしたのね。とっても素敵よさやかちゃん」


さつき「さやかさん!」

さやか「この子は氷室さんと和子先生との間に生まれた娘・・・さつきちゃん」


さやか「氷室さんと和子先生は出会って一年もしないうちに結婚し、子宝に恵まれた」

さやか「正確にはできちゃった結婚だけど・・・あの時の2人は色々若かった気がする」


さやか「名付け親はまどか。みんなが考えた名前から決めかねた氷室さんは
くじ引きを行い、まどかが考えたこの名前に決まったのだ」


さやか「まどかの意図は・・・ワルプルギスの夜の本来の意味・・・五月祭から
五月=皐=さつき
いつかワルプルギスの魂さえも救われる未来を作りたいという事からこの名前を考えた」


さやか「時々まどかとさつきちゃんはおかしな会話をする。
なんでも・・・さつきちゃんは生まれる前からまどかの事を知っていたらしく、
わたしをお父さんとお母さんの子にしてくれた・・・未来へと命を運んでくれた女神様と言っていた」


さやか「まどかに聞いても「わたしとさつきちゃんだけの素敵な秘密!
わたし達は生まれる前から出会ってた秘密の友達なの!」としか教えてくれなかった」


~~~

さやか「あれ~、この前会ったときは「さやかおねえちゃん」って言ってべったりだったのに・・・
「さやかさん」って・・・オトナになっちゃったのかなさつきちゃん・・・お姉ちゃんは悲しいぞ~」


すりすり

さつき「ちょっと!さやかさん!この前会ったときは7歳でしょ!わたしもう9歳だよ!子ども扱いしないで!」


さやか「プチ反抗期か!可愛いやつめ!このこの~」



タツヤ「さやかさん!そして皆さん、お久しぶりです!」


まどか「タツヤ!」


さやか「おおっタっくん!元気にしてたか!」

タツヤ「さやかさんも恭介さんも・・・ますます美男美女に磨きがかかって・・・」

タツヤ「そして・・・ほむらさんも・・・相変わらず美しい・・・///」

ほむら「あら、ありがとう」


ゆま「タ~ツ~ヤー!!あんた相変わらずほむらさんにデレデレして!」

むぎゅっ


タツヤ「いたっ!乱暴しないでよ、ゆまさん!ちょっと!!」




さやか「みんな出迎えありがとう!」


さやか「結婚式にはもっと人を呼ぶけど、一日目はとりあえず中学時代の知人と過ごすって決めたから」

恭介「そうだね・・・マスコミが来ないうちに実家に行こう」


マミ(サングラス)「お互い・・・有名になるのって辛いわね」



さやか「マミさんはワルプルギスとの戦いの後素性が割れて、芸能プロダクション数社からアイドルとして
スカウトを受けた。元々町で見かけてから狙っていたプロダクションがあったらしい」


さやか「マミさんは今は家族・・・すなわち杏子が大事だからと言ってすべて断ったが・・・
杏子が18歳になり一人立ちする時を機にデビューした。元々裏でレッスンは続けていたらしく、
それから6年経った今、本格的な実力派歌手として日本が誇るトップアーティストの一人になった」


さやか「氷室さんが提供した曲を歌うこともある。かつて氷室さんを好きだったマミさんにとって
それが氷室さんとの絆になったのだろう」


さやか「ファンが騒ぐから彼氏が作れないのが悩みだとか言ってたっけ」




恭介「巴さんには、色々先を越されたって感じがしますね」

マミ「何言ってるのよ・・あなたはこれからの人でしょ?」

マミ「頑張って!舞台は違っても私たちには音楽で人を幸せに出来る力があるのだから!」






鹿目「盛り上がってるところお邪魔するわよ。私も挨拶させてもらえるかしら?」



ほむら「!!鹿目!」


さやか「未来のほむら!!」


タツヤ「え・・・!?あれ・・・!?ほむらさんが・・・2人!?」

鹿目夫「僕は初めましてだね!こっちのほむらの夫で娘のまどか」


ロリまどか「みなさん、初めまして!鹿目まどか、9歳です!」


タツヤ「姉さんと・・・同じ名前?」


鹿目「待たせたわね・・・この娘が・・・あなたを失った世界だからこそ得た・・・
私の宝よ・・・」


まどか「ほむらさん・・・」

鹿目「あなたの名前をつけさせてもらったけど・・・迷惑だったかしら?」


まどか「ううん!すっごく嬉しいよ!」

まどか「わたしもまどかだよ!よろしくね、まどかちゃん!」


ロリまどか「はい、まどかさん!」


さやか「未来ほむらはほむらさんだね。その旦那さんは鹿目さんって呼ぶよ」


タツヤ「僕は・・・どちらも鹿目さんって呼ぶべきかな・・・未来のほむらさんは僕の親戚と結婚したんだね」



鹿目「管理局をやめて・・・私はその経験や知識を活かしてお義母さんの会社を拡大させたわ」

鹿目「夫には家庭に入ってもらったわ。相変わらず忙しいけど・・・管理局をやってた頃よりは
人間らしく生きているの」



氷室「そっか・・・君も落ち着ける場所を見つけたんだね・・・」



鹿目「恭介・・・いや・・・氷室・・・」

鹿目「お互い・・・幸せになれたのかしら・・ね・・・」



和子「杏介?こちらのお方は?」

鹿目「元カノです」



氷室「うぉい!!」

和子「へぇ~・・・それは・・・どういう事かしら・・杏介・・・」



さつき「ママ?」

和子「さつきちゃん・・・ちょっと待っててね・・・ママ・・パパと大事なお話があるから・・・」



氷室「くそ・・・全部否定できるほど間違ってないのがややこしい・・・覚えてろよ!ほむらさん!」


さやか「10年前胸にキュゥべえを詰め込んだときといい・・・あっちのほむらはちょっと
おどけた性格なのかな・・・」


ほむら「同じ人間でも時間軸が違えば違う性格になるのは面白いわ」


ほむら「きっと・・・幸せに見えるこの時間軸にだって・・・失うものがあるかもしれないから・・・」

さやか「失うもの・・か・・・」


~~~
さやか「あの時・・・氷室さんが言ったように・・・あたしの恭介と暁美ほむらは
氷室さんと鹿目ほむらのように特別な友情で結ばれるということは無かった」


さやか「今でも・・・恭介の中での暁美ほむらはさやかの友人程度なのだろう」


さやか「本来の時間軸なら現れるはずのほむらにプロポーズする10歳年下の彼氏もまだ現れていない」

さやか「きっと・・・まどかとほむらの絆がより強いものになった影響だろう」


さやか「それは・・・みんなが生きているこの世界だからこそ失ってしまった友情や絆・・・
少しだけ寂しさと愛しさを感じます・・・」

~~~


さやか「そういえばほむらさん、こっちにはいつまでいれるの?」

鹿目「帰りのタイムマシンの到着時刻を出発してから一分後にセットしてるから法さえなければいつまでも
いいのだけれどね・・・」


鹿目「ビザが一ヶ月でなくなるから、それまでよ」


さやか「じゃあ、結婚式に招待するよ!あたしと恭介、来週結婚するんだ!!」


鹿目「ええ、知ってるわよ。だからこそこのタイミングでこの時代に来たのよ」

園児「あ!きょーこ先生だ!」

園児「きょーこせんせー!」



杏子「悪い、あたしとこの園児だ。ちょっと話して来る」

杏子「しんのすけ、奇遇だな。これから家族旅行か?」


~~~

さやか「杏子は幼稚園の先生になりました」

さやか「10年前のあの日ゆまちゃんとの触れ合いが杏子の夢を決めたんだと思う」


さやか「杏子がお父さんの跡を継ぐことはないだろう。でも・・・きっと
杏子の家族もいつまでも見守っている。」


~~~

さやか「まどかはどう?締め切りに追われてたりしない?」


まどか「ばっちりだよ!今日も2週間分の描きためしてから来たんだから」


~~~

さやか「まどかは・・・漫画家になった」

さやか「絵を良く描く子だったので高校卒業後やまぶき美術大学に入学。
魔法少女時代の「認識する」魔法で得た知識をフル活用して
ストーリーも自分で考えて漫画を描いている」


さやか「印税が目的ではなく、「まだまだこんなにも世界は綺麗なんだよ」と
世間に「認識」してもらうのが一番の喜びだとか」

さやか「まどかの事だ。ありあまる資産はきっと恵まれない人々の下に届けられるだろう」


さやか「ちなみに連載しているのは専用雇用で有名な某少年漫画雑誌だ」

さやか「・・・にも関わらずまどかは同人の場でも活動を広げている」


さやか「自分の作品の男キャラ同士の絡みを描くときまどかの名義は「Y.AOI」になる」


まどか「少年ジャ○プ編集部には、ナイショだよっ☆」


~~~



さやか「あれ?ほむらは?」


まどか「身体検査で麻薬を持ってた乗客がいたらしくて、仕事モードに切り替えだって」


さやか「座薬?」

まどか「まやく」

~~~

さやか「ほむらが選んだ仕事は刑事」

さやか「魔法少女と魔法使いの存在が広く知れ渡った現在、
事件が起こるたび魔法が関係しているものかどうかをまず調査する必要が出来た」


さやか「暴力団の中にもその力を悪用する者もいる」


さやか「そういう意味でほむらの知識と経験は今の警察になくてはならないものになりつつある。
いずれは警視総監まで上り詰めるかもしれない」


さやか「未来ほむらのように途中でブチ切れなきゃいいけど・・・」



さやか「もちろんみんな18歳になったらすぐに魔法少女を引退した。
世界政府直属の魔法少女へのスカウトがあったがみんな断った。
普通の幸せが手に入るのならそれに越したことはないから・・・」

~~~

さやか「どうだった?」


ほむら「魔法は関係してなかったわ。一般の事件よ・・・
あとは現場のものにまかせたわ」


恭介「じゃ、行こうか」



中沢仁美(雑談中)



氷室「こっちはこっちでこの時間軸でも時間がかかりそうだな」



~~~


~上条邸~


恭介「父さん母さん、ただいま」

さやか「ただいま」


恭介父「お帰り」

恭介母「お帰り」

さやか父「お帰り」

さやか母「お帰りなさい」


~~~

恭介「・・・」


♪~♪~♪



氷室「うん・・・もう僕から教えることは何も無いね・・・」

氷室「式当日は僕が君たちに新曲を弾くよ。楽しみにしてくれ」

~結婚式当日~

佐倉杏会



杏子「わざわざこんなボロ教会でやる必要は無いんだけどなー」

さやか「だって氷室さんと和子先生の時もここだったじゃん。身内の結婚式全部ここでするって決めたじゃん?」


恭介「そうだね・・・豪華な式場にも憧れるけど・・・色々な思い出が詰まった場所も大事だと思うから」


仁美「一応それなりに整備してますわ。佐倉さんの意思を尊重して改装することはありませんでしたけど・・・」


杏子「貸し切り料とっとくべきだったかな・・・」




キュゥべえ「あれからもう10年も経つんだね」



さやか「キュゥべえ!あんた来てたの!?」

キュゥべえ「色々懐かしくなってね。」

キュゥべえ「僕も参加させてもらっていいかい?」

恭介「そうだね・・・今の地球の状況からすればもうインキュベーターは敵とはいえなくなったし・・・」


恭介「なにより僕の今があるのはさやかの契約があったからというのも事実だし・・・
いいよ。積もる話もあるだろうから入りなよ」


さやか「まぁ・・・恭介が言うのなら・・・あたしもいいよ」


キュゥべえ「感謝するよ。上条恭介・・・上条さやか・・・」


さやか「上条さやかか・・・」


さやか「えへへ・・・」



~~~

さやか「10年前あたし達と攻防を繰り広げてきたインキュベーターだけど・・・今は積極的に魔法少女や魔法使いを
魔女(魔導帝および魔女の総称)にする様子は無い」


さやか「人類側が積極的にインキュベーターに接触し、絶望以外の感情エネルギーからも代替物を
生成することに成功した。」


さやか「その結果少なくなった魔女の穴を埋めるように
魔獣とよばれる人間の感情から発生する生命体が生まれたけど・・・」


さやか「いずれ・・・魔法少女や魔法使い全てが絶望から救われる道ができれば・・・
あたしたち人類の敵は魔獣のみとなるかも」


~~~

さやか「ってか懐かしい!?あんた感情あるんじゃない!?」


キュゥべえ「無いよ。僕が他者を特別扱いしてるとしたら・・・それは10年前
全力でぶつかりあった君たちだけだ」

さやか「本当の身内だけで行われる結婚式・・・だけどそれでいい」


中沢「進行役は私、一人身24年間、中沢友康!それでは新郎新婦ご入場~」


中沢「演奏はかつての恩師氷室先生!10年前和子先生と結ばれた場所もここ!それではお願いします!」


氷室「和子・・・頼むよ」

和子「ええ・・・」



さやか「和子先生が・・・氷室先生の左手となり寄り添いながら・・これが・・・左手を再び失った氷室先生の
新しい演奏方法」


さやか「氷室さんが・・・左手を再び治すことは無かった。」


さやか「10年前恭介が・・・治らない左手はあたしとの絆だと言ってくれた事・・・
氷室さんは同じ状況になっていたとしてもそういう考え方が出来てたかどうかわからないと言った」


さやか「だから、治さないと決めたのだ。それを・・・さやかとの絆にしたいから・・・」

さやか「恭介には負けたくない・・・それが氷室さんの生き様だから・・・そして・・・」


さやか「きっと・・・今氷室さんと和子さんが寄り添っているその姿は・・・」


さやか「左手を治さないままでも・・・2人より添え合えるその未来は・・・
あたしと恭介との間に訪れたかもしれない未来だったから・・・」



~10年前~

和子「最初はとまどったわ・・・杏介の子を宿して・・・結婚が決まってから
聞いた・・・彼の全てを・・・」


和子「でも・・・なんとなく納得できたの。きっと上条君なら・・・さやかちゃんを
助けるために無茶をするだろうって。さやかちゃんを失ったら、きっと自分が結ばれなくても取り戻すって」


和子「ねぇさやかちゃん・・・上条君に聞いてみたら?」



さやか「恭介・・・」

恭介「なんだい?」


さやか「もしもだよ・・・もしも・・・恭介が・・・今の恭介じゃなくて・・・氷室さんと同じ立場だとしたら・・・」


さやか「それでも、あたしを助けるために・・・過去に戻ってこれる?」

さやか「自分が好きだったさやかとは別人だとしても・・・そのさやかが自分の事を好きにならないとしても」

さやか「それでも・・・左手を差し出して・・・あたしを助けに来てくれる?」


恭介「出来るよ」


恭介「だってそれは・・・氷室さんの世界のさやかが・・・してくれたことだから・・・」


恭介「さやかの気持ちに気付けない僕なんかのために・・・魂を差し出してくれたから・・・」

恭介「僕が上条ではなく氷室の方の恭介だとしても・・・同じ事をする」

まどか「わあ!さやかちゃん綺麗!本当にお姫様みたい!」

ほむら「この日のためだけに髪を伸ばしたのね」


さやか「どうかな?恭介?」

恭介「うん・・・紛れも無くお姫様だよ・・・さやか」



中沢「それでは巴さんに歌っていただきます。「恋のティロ・フィナーレ!」」


マミ「♪~♪~♪」


~外~

一般人「おい・・・あの教会から巴マミの歌声が聞こえてこないか?」


一般人「まさか・・・本人が歌ってるのか?」

一般人「トップアイドルの巴マミが一般の結婚式に参加するわけ無いだろ、CDだよCD」




中沢「それでは・・・ケーキ入刀!」


ズシン!


杏子「ケーキでかっ!」

仁美「こういうところにはお金をかけますわ。しかもデザインのモチーフは・・・」


さやか「ワルプルギスの・・・夜だね・・・」


中沢「それでは巴さん、このケーキに名前をつけてやってください」



マミ「えっ!?いきなりそんな事いわれても・・・・」




マミ「ワルプルギスの・・・初夜?」ボソッ




中沢「おっと!彼氏が作りにくい職業で欲求不満なのか、頭の中はピンク色だーッ!!」


さやか「あの時と同じだね」

恭介「うん・・・また必殺技を叫ぼうか?」


恭介さやか「ウェディング・スパークエッジ!!」



サクッ




中沢「続いて、中学時代の文化祭でのフィルムを再生いたします」

さやか「ちょっと!こんなの誰が撮ってたのよ!」

ほむら「私よ」

中沢「これは、新郎新婦が「ロミオとジュリエット」を演じたときの映像ですね」


一同「わははははは」



杏子「ぎゃははは・・いつ見ても腹いたい・・・ジュ・・ジュリエット可愛すぎ・・・」


さやか「ちょっと杏子!」

恭介「・・・若かったね・・・この頃の僕たちは・・」



中沢「このジュリエットが僕にとって本当の初恋だったのかもしれない」

恭介「おいやめろ、中沢」



中沢「続いて・・・これはたった一度だけ新郎が新婦にフラれた瞬間の映像ですね」



パァン(平手打ち)


さやか(過去の映像)「そんな情けない恭介なんて・・・大っ嫌い!」

恭介(過去の映像)「さ・・や・・か・・・?」


さやか「わかる?この瞬間・・・アンタはフラれたんだよ・・・」


さやか「どうしてもあたしを諦めきらないのなら・・・もっといい男になってもう一度告白しなさい・・・」



~~上映終了~~

中沢「この一年後・・・新郎は新婦に再度愛の告白をします」

中沢「結果は・・・今日のこの瞬間を見ていただければお分かりですよね?」



さやか「あわわわ・・・///」

恭介「こんな所まで・・・撮られてたなんて・・・」





中沢「さてと・・しばしご歓談を・・・懐かしい仲間たちと積もる話を」


ざわざわ・・・

まどか「ほむらさん、ちょっと話せる?」


鹿目「まどか・・・」

夫「姉さん・・・」


まどか「あ・・・やっぱりあなたは・・・」

夫「ウソウソ!今のなし!まどかさん!」


まどか「ごまかさなくていいよ、うすうす解ってたことだから。
それじゃあ、ほむらちゃんを借りていくね?」


鹿目「そうね・・・あなた、まどか(娘)を見ていてくれるかしら?」


夫「うん、わかった」

まどか「わたし、大丈夫だよ。さつきちゃんとおしゃべりしてるね!」

夫「あんまり離れないでくれよ」



~~~

まどか「ほむらさんの生きてきた未来を・・・もう少しだけ詳しく聞かせてくれないかなって」


鹿目「そうね・・・10年経った今なら、構わないかもね」

鹿目「あなたを失って・・・しばらくは諦めきれずにこの教会へ遺体を安置したの。
魔力を保存に使いながら・・・」


鹿目「何度もおしゃべりしたわ・・・本当にあなたの返す声が聞こえた気がしたのよ」

鹿目「でも・・・その幻が囁いたの。もういいよって・・・」


~~~

ほむら(鹿目)「まどか・・・」


ほむら「そうね・・・もう・・・あなたは戻らない人・・・」

ほむら「あなたが私のために魔法少女になった時からわかっていた結末だったもの・・・」


ほむら「私も前へ進みましょう・・・あなたが守りたかった人達を、守るために・・・」



鹿目家


ほむら「詢子さん・・・大事なお話があります・・・」


~佐倉杏会~

詢子「まどか・・・」


詢子「そっか・・・そんな事があったんだね・・・」


詢子「魔法少女か・・・」

ほむら「私が・・・もっとしっかりしていれば・・・ごめんなさい・・・」


ほむら「ごめんなさい・・」


詢子「あいつ・・・楽しそうだったよ」


ほむら「え?」

詢子「ほむらちゃんと一緒にいて嬉しいって、いつもそればっかり言ってた」


詢子「辛い事だってたくさんあったのに・・・今はほむらちゃんが傍に居てくれるからくじけないって」


詢子「ありがとな・・・最後の瞬間まで・・・あいつの傍に居てくれて・・・」


ほむら「詢子さん・・・」


詢子「これからは・・・なんでも頼ってくれ・・・」


詢子「ほむらちゃんがまどかの最高の友達なら・・・ほむらちゃんもあたしの娘みたいなもんだからさ!」



鹿目「その後も・・・詢子さん達は本当に良くしてくれたの・・・まどかを助けられなかった私なんかのために

詢子「高校はどこ行くの?」

ほむら「仁美や恭介と同じ、見滝原高校です。」

ほむら「・・・本当だったら・・・まどかや美樹さんも受験するはずだった・・・ですね」


詢子「そっか・・・」

詢子「親御さん・・・まだこっちに来れないのかい?」


ほむら「ええ・・・仕事の都合で・・・都から離れられないんです」


詢子「よし、決めた!」


詢子「ほむらちゃん、うちに来い!」


ほむら「え・・・?」



鹿目「それからあなたの家族との同居が始まったわ」

鹿目「本当に楽しかった・・・」



鹿目「高校卒業間近の18歳のとき・・・私は時空管理局に勤めることに決めたの」

鹿目「それ以来・・・本当に必要な時以外は結界※の中に肉体を保管して若さを保ったわ」


※結界魔法ホムリリー

鹿目ほむら(未来ほむら)の魔女結界。同名の物を暁美ほむら(現代ほむら)も使用するが
性質は真逆。結界内での1時間が外の世界の8時間に相当するので、この結果に長く居る者は
世界が目まぐるしく加速している事になる




鹿目「出来るだけ永く戦い続けること・・・それがあなたを救えなかった私の贖罪だと思っていた」


鹿目「大学卒業後・・・管理局の2年間の研修が終わって私はまた鹿目家に挨拶に行ったの」


詢子「時空管理局・・・就職決まったんだね。おめでとう」


ほむら「ありがとうございます」



タツヤ「・・・」

ほむら(明日・・・恭介にも報告に行きましょう)

ほむら(このまま行けば・・・私は恭介と一緒になるのかしら・・・)


ほむら(それも悪くないかもね・・・彼がさやかの事を忘れられたら、の話だけど・・・)

ほむら(仁美にとっても・・・最後の区切りになるでしょうね・・・
ここで恭介が動かなければ、仁美も新しい道へ進むでしょうし)


タツヤ「ほむらさん・・・」


ほむら「なに?」


タツヤ「ほむらさんは・・・もしかして恭介さんの所に行こうとしてるの?」

ほむら「ええ、恭介にも色々世話になったから・・・報告はしないとね」


タツヤ「そうじゃなくて・・・恭介さんと一緒になろうとしてるでしょ・・・」





ガシッ






ほむら「タツヤ?」


タツヤ「嫌だ!ほむらさんを恭介に渡さない!」



タツヤ「僕は・・・ずっとほむらさんが好きだったんだ!」



タツヤ「今は頼りない子供かもしれない・・・だけどこの気持ちは真剣なんだ!」



タツヤ「ほむらさん、僕と・・・僕と・・・結婚してください!」





ほむら「!!」

ほむら「・・・」


タツヤ「それとも・・・やっぱり僕みたいな子供は・・・駄目ですか・・・?」


ほむら「違うわ・・・」

ほむら「違うのよ・・・タツヤ・・・」


ぎゅっ



タツヤ「ほほほ・・・ほむらさん!?///」


ほむら「私も・・・タツヤが好きよ・・・」


ほむら「でも・・・私は・・・まどかを・・・あなたの姉さんを・・・奪った人でもあるのよ・・・」


ほむら「私は・・・あなたに許されてるの・・・?」



タツヤ「それは違うよ・・・ほむらさん・・・」


タツヤ「姉さんが好きになった人だから・・・きっと素敵な人なんだろうなってずっと思ってて・・・
その通りで・・・」


タツヤ「一緒に暮らしてみて思ったんだ」

タツヤ「・・・この人と家族になれたら・・・それはとっても嬉しいなって・・・素晴らしいことだなって」


タツヤ「姉さんの友達でいてくれて・・・今までもい続けてくれて・・・ありがとうって言いたくて・・・」


タツヤ「ほむらさんに・・・感謝の気持ちを返したくて・・・幸せにしてあげたくて・・・
それを他の誰でもない僕自身がしてあげたいって思ったら」


タツヤ「気付いたら・・・好きになってた」


タツヤ「待っててください・・・僕が大人になるまで・・・」


タツヤ「絶対ほむらさんを・・・迎えに行きますから・・・」



ほむら「わかったわ・・・待っててあげる・・・」



ちゅっ



タツヤ「ほむらさん!?」


ほむら「心配しなくても・・・たまにはここに帰って来るわ」

ほむら「その時は・・・この続きをしましょう・・・」



タツヤ「こここここ・・・この続きって・・・///」しゅう・・・


タツヤ「あぅ・・・」ドサッ

鹿目「そこから先は・・・あなた達に話した通りよ」

鹿目「結婚して2年後、管理局をやめて今に至るわ」


まどか「やっぱり・・・タッくんだったんだね・・・」


鹿目「結婚式の日なのに・・・少し湿っぽい話になっちゃったかしら?」

まどか「ううん!とっても素敵な話だったよ!」




さやか「お金のかからない結婚式で良かったわ~。時間を気にしないでこうやって駄弁れるって最高~」

杏子「教会を無償で貸してくれる知人が必須条件だけどな。それだけで大半の人間は縁がない話だよ」

恭介「さやか・・・せっかく髪を伸ばしてもくつろぎすぎるとおばさんに見えてしまうよ」



さやか「そういえば・・・仁美はいつ恭介を諦めたの?」

仁美「うっ・・・!」

恭介「さやか!何を無神経な質問を・・・!?」


杏子「いや、あんたに似てきたんだろ」



仁美「・・・多分・・・中学二年生の文化祭期間中でしょうか?」

仁美「最後まで諦めないとお2人の前で宣言したつもりでしたけど・・・あの頃は
私よりも積極的なアプローチを杏子さんがされてて・・・」


仁美「さやかさん以前に・・・杏子さんにも勝てないと思ったら自然に身を引きました」


恭介「アプローチ・・・?ってあの時佐倉さん・・・本気だったの!?」

杏子「あ?今更何驚いてるんだよ?ってか本気にされてなかったのかよ!」


恭介「佐倉さんは色々読めない人だと思ってたから・・・本心じゃなくててっきりそういうネタかと・・・」


杏子「芸人か!あたしは!」


さやか「あたしもあの時は3人でいいやって思っちゃってた。杏子が本気でも冗談でも
恭介と杏子2人あたしの傍に居てくれたほうが楽しいって思ってしばらくそのままにしちゃった☆」


杏子「危なっかしいなお前!アタシがもうちょっとズルかったら、取られてたぞ!」


杏子「はぁ・・・苦労しそうだな・・・お前ら・・・いや・・・そんな感じなら、楽観的に乗り越えられるか」



さやか「ところで・・・仁美が今気になってるヤツって誰?あたし達も知ってる人?」


仁美「そちらの方は・・・まだまだ時間がかかりそうですわね・・・」

仁美「色々デートに誘ってみたりもするのですけれども・・・彼にはそういう自覚が無くて・・・」

仁美「友達として誘われてると勘違いしてるらしいですわ」


さやか「多分、今までそんなにモテたことない人なんじゃない?」

さやか「自分が仁美みたいな人と釣り合う分けないとか思い込んでそう。
そういうのはズバッと伝えたほうがハッキリしていいんだけどな~」


恭介「それすらも冗談とか戯れに思われたらどうしようも無いさ。
他人がどうのこうの言わずに本人達のペースに任せてみようよ」

~~

中沢「今だから聞けますけど一時期・・・先生が俺ばかり当てるから
噂されてましたけど、あの時の先生の本心はどうだったんですか?」


和子「どうでしょうね・・・年下に手を出してしまおうという気が・・・全く無かったとは
言いがたいですね・・・」


和子「杏介があのタイミングで現れなければ・・・放課後の教室で2人きりなんて
状況を用意したかもしれません」


和子「あなたと上条君は受け持った生徒の中でも特にお気に入りでしたし・・・」


中沢「たたた・・・助かった!氷室さん、ありがとう!!」

中沢「あれ・・・?でも今までモテ期が来なかった俺からすれば・・・
たとえ一度きりの過ちでも貴重な体験をするチャンスを逃したことにもなるのか・・・?」


中沢「あ~、俺も早く彼女とか欲しいな・・・結婚以前にまずそれだな」




マミ「氷室さん、話せますか?」

氷室「いいよ巴さん、なんだい?」

マミ「10年前、氷室さんを好きだと言った気持ちは、多分・・・」

マミ「私が・・・ずっと孤独で・・・魔法少年のストーリーを書いてきたことがきっかけだったと思います」


マミ「似ていたんです・・・あの時お菓子の魔女から助けてくれたときの状況が・・・
私がずっと思い描いてきたそれに」


マミ「氷室さんが未来の上条君だと知って・・・さやかさんを助けるために
なにもかも投げ出して・・・」


マミ「その気持ちが私に向けられたらどんなに嬉しいだろうって思って・・・」


マミ「今は魔法少女でも・・・孤独でも無くなったけど・・・相変わらず
氷室さんほど素敵な人には会えないでいるの」


マミ「出会えたとしても・・・もう少し年齢的にも人気的にも落ち着いてから
交際することになりそうですけどね」


氷室「焦らなくていいさ・・・きっと出会える。君は今日本で一番注目されてる人だと言っても
過言ではないからね」



氷室「あの時の君の願い・・・世界の人々を結ぶこと」


氷室「君の歌ならそれができる。僕も微力ながら手伝わせてもらうよ」

氷室「また君の新曲のオファーが来たんだ。候補の曲を何十曲も送らせてもらったよ」






ほむら「まどか・・・ほむらと話していたのね」


まどか「ほむらちゃん!」

鹿目「ほむら・・・」

鹿目「ほむら・・・まどかとの同居生活は順調かしら?」


ほむら「ええ。とっても順風満帆よ」

ほむら「お互いに浮いた話が無いのが少し寂しいけどね」


まどか「うそばっかり、ほむらちゃん未だに色々なところから告白されてるのに」

ほむら「あなたが先に嫁ぐまでそんな物は無いも同然よ。だってまどかが心配だもの」

ほむら「まどかの漫画作品のファンでまどかの可愛さに悶えてる人はいるけど・・・
どう考えてもちゃんとした縁談にはなりそうにないし」


ほむら「まどかは原作者萌えというジャンルの第一人者よ。これからメディアの露出を増やして
しっかりした男性がまどかを好きになってくれることを祈るわ」


ほむら「もっとも、私の眼鏡にかなう者じゃなければ認めないけどね」


鹿目「まどかの夫になる人は苦労しそうね・・・」


ほむら「変わってしまったわね、私も・・・その形が友情だとしても愛情だとしても・・・」


ほむら「まどかさえいてくれれば良いって思ってたけど、今は
まどかが男の人と付き合うのも悪くないと思うし」

ほむら「私自身も人並みに男の人と結婚して命を紡ぐのも悪くないと思ってるわ」


鹿目「揺れて当然よ。あの時のあなたはまだ中学生だったのだから」


まどか「そういえば・・・ほむらちゃんは揺れるようになったの?」

ほむら「相変わらずだけど・・・必死に抵抗してきたから・・・」もみもみ


ほむら「少なくとも鹿目ほむらさんよりはあるんじゃないかしら?」ドヤ

鹿目「・・・」


鹿目「上等ね・・・脱ぎなさいほむら」


鹿目「どっちが上かはっきりさせてあげるわ。私も10年間何もしてこなかったわけじゃないのよ」





タツヤ「・・・ふ・・ふたりのほむらさんが・・・おっぱい勝負!?」ゴクリ

ゆま「きゃあああああ!!見ちゃ駄目!!」




さつき「わたしも今気になってる男子がいるんだけど・・・どうにも彼の前で素直になれなくて・・・」

まどか(娘)「そうなんだ・・・ごめんね・・・わたしそういうのまだ解らないから、力になれないかも」

さつき「ううん!聞いてくれるだけでもすっごい心強いよ!」



恭介「色々なところで友情や愛情が芽生えようとしているね」


さやか「これだけでも、無駄に規模を大きくしなくて良かったと思うわ~」



恭介「それじゃさやか、そろそろ・・・」

杏子(シスターコス)「~中略~誓いますか?」

恭介さやか「誓います!」


杏子「それでは・・・誓いの口付けを・・・」


ちゅっ


杏子「むああああ!!祝福していいのか怒り狂えばいいのかわかんねー!!」

杏子「とりあえず、悔しさとか妬みとか全部無しにして言ってやる!絶対、絶対幸せになるんだぞ!!」


杏子「特に恭介、あんたは10年前さやかを泣かせたんだからな。もう一度泣かせたら
絶対ゆるさねーから、誓えよ」


恭介「え?」


杏子「二度とさやかを泣かせませんってあたしに誓うんだよ!ほら、早くしろよ」


恭介「ちっ・・・誓います!」


恭介「さやかを悲しませない!喧嘩しそうになったら絶対僕のほうから謝るから・・・」

恭介「そして・・・」


恭介「世界中の誰もが・・・僕のバイオリンを見放したとしても・・・」

恭介「僕は・・・さやかの傍で弾き続けるから・・・」


さやか「恭介・・・」


恭介「何度でも名前を呼ぶから・・・不確かな未来だとしても・・・」


恭介「誓えるよ」


恭介「僕は・・・僕は・・・さやかの悲しみの涙を二度と見たくない・・・だから・・・人魚姫にさせない!」

恭介「ここにいるから・・・さやかとずっと・・・寄り添って生きていくから・・・」


恭介「帰ろうさやか・・・きっと僕たちが・・・幼い頃から思い描いてきた明日に・・・
懐かしい昨日に・・」






さやか「・・・」








さやか「うん!」

パチパチパチパチパチ!!



さつき「さやかさん・・・本当に幸せそう・・・」

まどか(娘)「今よりも子供の頃夢見た・・・古の・・・
不思議の国の本の・・・どのお姫様よりも・・・綺麗・・・」



キュゥべえ「!!」


キュゥべえ「こ・・・この気配は!?」



~式場外~


さやか「ブーケ、もう投げちゃおっか?」

恭介「そうだね」



さやか「それっ!」






ぽすっ

さつき「!!」


さやか「ブーケを受け取ったのは・・・さつきちゃんか!」


まどか(娘)「わあ!さつきちゃん、おめでとう!次はさつきちゃんに幸せが訪れるよ!」


氷室「とはいっても・・・さつきはまだ9歳だから・・・
結婚とか考えるのはちょっと早いんじゃないかな(父親並の感想)」


さつき「そうでもないよパパ・・・」

さつき「さやかさん!」


さやか「なぁに?」


さつき「わたしに・・・おまじないをしてくれませんか?」

さつき「わたし・・・目の前にその人がいると・・・何故か素直になれない人がいるんだ・・・」


さつき「でも本当は・・・その人の事が嫌いじゃないのに・・・着飾った態度をとっちゃうんだ・・・」

さつき「だから・・・着飾らないで・・・ありのままで・・・素直なままの自分で・・・
その人に接したいの・・・優しくしてあげたい・・・」


さやか「うんうん、解るよ~その年頃特有のツンモードってやつなんだよね、それ」

さやか「あたしもそれくらいの歳には恭介に「あんたの事なんか好きじゃないんだから!」って言ってたっけ」


恭介「あれはあれですごく可愛かったけどね」


さやか「きょ・・・きょうすけ・・・///」


杏子「あああああ、ウッゼー!!さっさと進めろよ!ノロケるのはこれからいくらでも出来るだろ!」



さやか「そうだね・・・じゃあさつきちゃん、こっちに来な。おまじないしてあげるから」


さつき「うん!」

さやか「う・・ん・・」

ポッ・・・


恭介「!?」

恭介「かすかな光!?まさか・・・」


さやか「おまじないは完了だよ、さつきちゃん!」

さつき「ありがとうさやかさん!」


さつき「わたし・・・ありのままの自分で・・いつかアイツに思いを伝えるから!」

氷室「アイツ!?誰なんださつき!?パパは認めないぞ!!18歳になるまでそういうのは・・・
恋愛なんて認めないぞ!!」

氷室「和子!なにを落ち着いているんだい!?ま、まさか君は知っていたのかい!?
知っていて止めないなんて・・・一体何を考えてるんだ!?」




和子「杏介って、ほんと親バカ・・・」



さつき「まどかさんも・・・女神様もありがとう!!」

まどか「さつきちゃん・・・」


さつき「今のわたしになれたから・・・パパとママの子供に生まれたから・・・
わたしの本当の願い・・・今度こそ叶いそうだよ!」


さつき「本当に・・・本当にありがとう!!」

まどか「うん。おめでとう・・・さつきちゃん!」



まどか(あの頃・・・呪いを振りまいてた彼女の姿は・・・もうどこにもない)

まどか(もともとの自分が誰であったか覚えていなくても・・・その願いだけは強く残り続けたんだ・・・)


まどか(さつきちゃんは・・・これからも願いを叶えていくだろう・・・
奇跡や魔法に頼らない・・・自分自身の祈りの力で・・・)




さやか「さて・・・ここいらが本当に本当の終幕になるね・・・」

恭介「そうだね・・・」


さやか「みんな最後の最後に聞いて!!恭介にも伝えてなかった重大発表があるの!!」


一同「!?」

恭介「さやか!?」


さやか「あたし、あたし実は・・・・」











和子「きゃあああああああああ!?さつき!さつき!!」

鹿目「まどか!!まどか!!」







まどか(娘)「いや・・・いやああああ!!」

さつき「助けて!!助けて!ママ!パパ!!」






使い魔「ウケケケケケケ!!」



ズズズ・・・


さやか恭介「!?」


マミ「使い魔!!」



杏子「さつきとチビまどかが、結界に取り込まれる!!」

ズッポン・・・・


ほむら「完全に・・・取り込まれた!!」


まどか「そんな・・・さつきちゃん・・・まどかちゃん・・・」


和子「誰か!誰か!!」

和子「この中に・・・魔法少女(魔法使い及び魔法少女の略称)の方はいませんか!?誰か!!」


和子「さつきを・・・助けて!!誰かああーッ!!」


鹿目「こんな時に・・・こんな時に・・・魔法少女を引退しているなんて・・・」がくっ


マミ「私達も・・・18とは言わずにもう少し引退が遅くても良かったのに・・・」



恭介「さやか!魔法少女センターに通報しよう!!」


さやか「それじゃ・・・遅いよ恭介・・・使い魔は倒せても・・・二人は助からない」

恭介「それじゃあ、どうすれば!?」


さやか「・・・」



さやか「恭介・・・」




恭介「え・・・?」



さやか「ごめんね・・・」




恭介「さや・・か・・・?」



さやか「やっぱりあたし・・・」








さやか「お姫様になんて、なれないみたい」



ジョキッ





恭介「!!」

さやか「・・・」


パラパラ・・・



まどか「さやか・・・ちゃん・・・!?」

マミ「後ろ髪を・・・バッサリ切り落として・・・」

ほむら「しかも・・・切り落とした獲物は・・・」

杏子「魔法少女時代の・・・剣!?」



恭介「さやか・・・まさか君は・・・!」



さやか「うん、動きやすい!やっぱりこっちの方が性に合ってるね!」


さやか「10年前・・・氷室さんの左手からあたしに宿った別の世界のさやかの魔力は・・・
あたしに何度も奇跡を起こしてくれた」


さやか「一人のさやかが恭介を想う心をf(フォルテ)とするならば・・・
氷室さんの世界のさやかの想いも受け継いだあたしは・・・ff(フォルテシモ)さやかなんだ」


さやか「それは・・・あたしを回数限定の魔法少女へと・・・あの頃の
バイオリン仮面サバイブと同じように・・・生身で魔法少女へと変身できる奇跡を起こしてくれた」


さやか「傷つきやすい身体も・・・あたしの元々の固有魔法「回復」があれば気にならなかったし・・・」


さやか「18歳になってまどか達が引退するまでにも・・・何回か変身して事件を一緒に解決したっけ・・・」



さやか「本当はもっと後にとって置きたかったけど・・・あと一回だけ変身する魔力が残ってたんだ」



恭介「さやか!君は・・・」




シュイン!(変身の光)






さやか「そうだよ・・・あたしは魔法少女・・・そしてこれが正真正銘・・・最後の変身!」






さやか「魔法少女さやか☆マギカ!」

~結界内~


まどか(娘)「いや・・いや・・・」

さつき「誰か・・・誰か助けて!!」


キュゥべえ「第三者の救助が間に合う可能性は非常に低い。君たちが自分自身を守るには・・・」

キュゥべえ「ボクと契約して魔法少女になるしかないね・・・」


さつき「キュゥべえ!?どうしてここに!?」


キュゥべえ「使い魔の気配は前もってわかっていた。どこに結界が発生するかもね」

キュゥべえ「君たちが取り込まれたとき、契約を取るチャンスだと思って一緒に飛び込んだのさ」

キュゥべえ「地球人類がエネルギー開発に協力的になって、無茶してでも魔女化に頼る必要は無くなった」

キュゥべえ「だけど自然放置で魔女になってくれる者達・・・魔法少女を増やすのは別に
僕達に不利にはならないしね」


まどか(娘)「前もってわかっていたのなら・・・何故教えてくれなかったの?」


キュゥべえ「聞かれなかったからさ」




キュゥべえ「さあ、まどか、さつき・・・命には代えられないだろう?願い事を決めるんだ」



キュゥべえ「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

さやか『キュゥべえ!状況は?今どこに居るの!?』


キュゥべえ『こ・・・このテレパシーは・・・さやか!?』

キュゥべえ『君はまだ・・・引退していなかったのかい・・・そういえば僕も覚えがない』


キュゥべえ『まどかとさつきと一緒さ。2人とも無事だ』


さやか『あんたが傍に居るのは・・・契約を取ろうとしたからなんだね・・・
こういう時のあんたのブレなさはむかつくけど・・・時折すっごい役に立つよ』

さやか『中継してあたしのテレパシーを2人に!』


キュゥべえ『やれやれ・・・こういう時に拒否権が無いのもマニュアル星人インキュベーターの悪い所だね・・・』


さやか『まどかちゃん!さつきちゃん!』


2人「さやかさん!?」


さやか『今からすぐ結界に突入するから!ギリギリまで逃げ回って!』

さやか『キュゥべえと安易に契約しちゃ駄目だよ。どうしてもせざるを得ないときは・・・』


さやか『2人が・・・精一杯悩んで本当の・・・自分だけの答えを見つけた時だから!』


さつき『さやかさん・・・』

まどか(娘)『うん!わたし・・・契約しないよ・・・ママが何度もリスクを教えてくれたし・・・』



さやか『いい子ね。待ってて!すぐ助けるから!』



さやか「結界の・・・入り口はここか・・・」



さやか「幼い2人の未来を・・・誰にも壊させはしない!」

さやか「そして・・・そして・・・」



さやか「これから生まれる新しい命を・・・絶対2人に会わせたいから!」



恭介「さやか・・・まさか・・・」


さやか「これからは・・・恭介って呼ぶ事も減っちゃうよね・・・」


さやか「でも・・・新しい幸せに進むとき・・・得るものと失うものはどうしてもあるから・・・」



恭介「今日はなんて・・・なんて素晴らしい日なんだ・・・!!」



さやか「頑張ったね。パパ・・・」



恭介「フォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」

氷室「恭介!使え!これで・・・さつきを助けてくれ!」


恭介「氷室さん!これは・・・バイオリンと・・・サングラスとマント!?」


氷室「簡易的な変装さ。僕もとっくに魔法使いを卒業した身だから・・・
あの時みたいにソウルジェムを渡すことも出来ない」


氷室「だけど、君は約束したんだろ?さやかが魔法少女なら・・・君は・・・」



恭介「そうだ・・・約束した・・・」


恭介「さやかが魔法少女なら・・・僕もまた・・・」



恭介「僕もまた・・・バイオリン仮面だから!」



恭介「・・・」(サングラス装備)


(マント装備)


(バイオリン装備)



まどか「バ、バイオリン仮面ー(棒読み)」

マミ「そんな、氷室さんはとっくに魔法使いを卒業したのにー(棒読み)」

杏子「氷室よりも若いぞー(棒読み)」

ほむら「一体何者なのー(棒読み)」




簡易バイオリン仮面「行こうさやか!私が君の補助をする!」

さやか「バ、バイオリン仮面様ー(棒読み)」




~結界内~

使い魔「ウケケケ!!」


まどかさつき「来ないで・・・来ないで・・・」



まどかさつき「いやああああああああ!!!」

メシァッ


使い魔「ぴぎゃああああああ!!」



まどか(娘)「使い魔が・・・吹っ飛ばされて・・・」

さつき「さ・・や・・か・・さん・・・!?」



さやか「長い髪が美しい・・・おしとやかなお姫様かと思った?」


さやか「残念!女剣士さやかちゃんでした!!」


バイオリン仮面「そして、魔法少女を支える者・・・バイオリン仮面参上!」


さつき「さやかさん!」

まどか(娘)「こっちは恭介さんだよね・・・?何やってるの?」



さやか「夢を壊しちゃってゴメンね・・・やっぱあたし、お姫様って柄じゃないみたい」

さやか「・・・幻滅したかな?」


さつき「ううん!すごい、すごいかっこいいよ!」

まどか(娘)「契約はちょっと怖いけど・・・魔法少女に憧れちゃう!」


さやか「憧れるのは最初で最後にしときな!あたしはこれを最後に普通のお母さんになるからね!」

さやか「バイオリン仮面、頼んだよ!あまり激しく動けないから、敵の動きを止める曲を!」



バイオリン仮面「究曲!“祈り”!!」

♪~♪~♪





さやか「フォオオオオオオオ・・・・」



使い魔「ウケケーッ」バアッ





さやか「スパーク・エッジ!!」


ED:オーケストラ「ひかりふる」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm19165291?ref=search_key_video


「完」

ここからの続き
「休息!!バイオリン仮面」
さやか「休息!!バイオリン仮面」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379724248/)


それでは依頼を出します

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