士郎「セイバー?!セイバーじゃ……ないな……」オルタ「あん?」(290)

通学路

士郎「すいません。人違いでした」

オルタ「……まて」

士郎「え?」

オルタ「私に声をかけたということは、少なくとも気があるということであろう?」

士郎「あ、いや、知り合いに似てただけで……」

オルタ「よし。私は今、都合よく空腹を覚えている。そなたの誘いに乗ってやろう」

士郎「今から学校で……」

オルタ「……用事があるのに私に声をかけたのか?なんとも計画性のない奴だ」

士郎「すいません」

オルタ「いってよい。二度と私の前に姿を現すな」

学校

士郎「セイバーに似てはいたけど……あんなフリフリの服は絶対に着なかったしな……」

凛「衛宮くん、おはよう」

士郎「遠坂、おはよう」

凛「なにかあった?」

士郎「え?」

凛「そういう顔、してたわよ?」

士郎「流石だな」

凛「話せることかしら?」

士郎「実はセイバーにそっくりな人を今朝、みかけて」

凛「……それ、黒い服きてなかった?」

士郎「知ってるのか?」

凛「むこう」

士郎「え?」

オルタ「……」キョロキョロ

オルタ「おい。そこの二人」

凛「なにかしら?」

士郎「あ……」

オルタ「なんだ。お前、ここの生徒か」

士郎「ああ。君こそ……どうしてここに?」

オルタ「今日からここで働くことになっている」

士郎「働く!?」

オルタ「なにかおかしいか?」

士郎「い、いや……」

凛「教師ってこと?」

オルタ「英語の非常勤講師として呼ばれた」

士郎「そ、そうですか……」

オルタ「職員室に案内せよ」

凛「え?」

オルタ「早くしろ。私は急いでいる」

職員室

士郎「藤ね―――藤村先生」

大河「なにー?」トテトテ

士郎「あの……」

オルタ「……」

大河「セイバーさん!?」

オルタ「誰だ、それは?私はオルタという。セイバーなどという名ではない」

大河「あ……貴方が今日からここで……」

オルタ「英語を担当する者だ」

大河「ああ、なるほどー……似てるわ……」

オルタ「で、私の席はどこだ?」

大河「えっと……あの端の……」

オルタ「承知した」ズンズン

大河「士郎……セイバーさんじゃ、ないわよね?」

士郎「いや、全然違うだろ。色々と。外見はそっくりだけど……雰囲気がまるで別人だ」

教室

オルタ「―――というわけで、今日から英語を教えるオルタ・アルトリアだ」

士郎「ぶっ!?」

オルタ「そこ。立て」

士郎「え……」

オルタ「立て!」

士郎「は、はい!!」ガタッ

オルタ「私は非常勤という立場だが、決してお前たちに甘い顔など見せるつもりは無い」

士郎「……」

オルタ「そのつもりで授業に望むように」

一成(なんだが怖い人だ……)

士郎(あれ……俺、立たされただけ……?)

オルタ「では、授業を始める。テキストの54ページを開け」

オルタ「よし。出席番号5番、このページの最初から最後まで読め」

「え!?」

昼休み

士郎「はぁ……」

一成「衛宮、災難だったな」

士郎「うるさいな……」

凛「衛宮君」

一成「……失礼する」

士郎「ああ、悪いな」

凛「……」

一成「ふん……」

凛「(べーっだ)」

士郎「遠坂、行こうか」

凛「ええ。ところで、オルタ先生はどうだったの?」

士郎「あの人、アルトリアって言ってたぞ」

凛「アルトリア?」

士郎「セイバーとなんか関係あるのかな?」

屋上

凛「そっくりさんにしては色々と似すぎてはいるかもね」

士郎「だよな……」

凛「やっぱり、元マスターとしては気になるところかしら?」

士郎「そりゃ、気にならないって言ったら嘘になる」

凛「じゃ、もう一度アタックしてみるの?」

士郎「よせよ」

凛「そう……」モグモグ

士郎「でも……なんなんだろうな……」

凛「さあね。セイバーの子孫とかじゃないの?」

士郎「セイバーそのもの……ってことはないのか?」

凛「可能性としてはゼロじゃない」

士郎「え?」

凛「ほら、気にしてる」

士郎「ひ、卑怯だぞ、遠坂!」

廊下

士郎「……」スタスタ

オルタ「……お」

士郎「あ、どうも」

オルタ「エミヤシロウだったな?」

士郎「は、はい」

オルタ「タイガ教諭から聞いた。私はそなたの知り合いに酷似しているらしいな」

士郎「え、ええ」

オルタ「それで今朝、声をかけたのだな?」

士郎「そうです」

オルタ「ふむ……」

士郎「……なんですか?」

オルタ「お前とそのセイバーとやらはどのような関係だったのだ?」

士郎「えっと……なんて言えばいいか……」

オルタ「恋人か?」

士郎「……そうかもしれません」

オルタ「なるほどな……」

士郎「それが?」

オルタ「シロウ」

士郎「え……」

オルタ「今、恋人はいるのか?」

士郎「い、いませんけど……」

オルタ「そうか。ならば都合がいい」

士郎「は……?」

オルタ「……耳をかせ」

士郎「はいはい」

オルタ「(今晩、私に付き合え)」

士郎「なんでさっ!?」

オルタ「それではな。五時半に正門のところにいろ」

士郎「ちょ……!!!」

放課後

一成「衛宮、帰らないのか?」

士郎「今日はちょっと」

一成「遠坂か……あまり深入りするな。身包みを剥がされるぞ」

士郎「気をつける」

一成「ではな」

士郎「ああ」

士郎「ふー……」

士郎(一体、どういうつもりだ……)

士郎「……」

士郎「時間あるし……桜のところにでもいくか」

弓道場

桜「先輩!!」テテテッ

士郎「よ。少し見学させてくれないか?」

桜「どうぞどうぞ!!」

士郎「悪いな」

美綴「衛宮。ついに復帰する気になったか?」

士郎「いや、差し入れを持ってきただけだ」

美綴「あんたが戻ってきてくれれば、全国も楽勝なんだけどなぁ」

士郎「何言ってる。美綴と桜がいれば余裕だろ」

美綴「嫌味か」

士郎「本音だ」

桜「せんぱーい」テテテッ

士郎「ん?」

桜「どうぞ、弓です」

士郎「いや、いいから。気にせず練習しててくれ」

正門

士郎「そろそろか……」

オルタ「シロウ、いたか」

士郎「どうも」

オルタ「まさか、本当にいるとはな」

士郎「頼まれたら断れない性質なんです」

オルタ「ほう……面白い性質だな。人生、損をするタイプと見た」

士郎「返す言葉はありません」

オルタ「ふん。では、行こうか」

士郎「えっと……どこに?」

オルタ「私は空腹だ」

士郎「え?」

オルタ「となれば……行き先はひとつだけであろう?」

士郎「あの……もしかして……」

オルタ「ついてこい」

ファーストフード店

オルタ「バリューセットで」

「かしこまりました」

士郎「……」

オルタ「会計はまかせた」

士郎「なんでさ!?」

オルタ「そのためにそなたを誘ったのだ」

士郎「俺は財布か!?」

オルタ「……あの窓際が空いているな。もってきてくれ」

士郎「おい!!」

オルタ「……」ズンズン

士郎「……」

「650円になります」

士郎「……これで」

「700円からお預かりします」

オルタ「……」モッキュモッキュ

士郎「……」

オルタ「なんふぁ?やらんふぉ?」

士郎「食べながら話すな」

オルタ「ふむ……」モッキュモッキュ

士郎(やっぱりセイバーじゃないんだな……)

オルタ「……シロウ?」

士郎「なんだ?」

オルタ「授業中の私語は慎むようにな」

士郎「あれは驚いただけで……」

オルタ「生徒を立たせたくは無い」

士郎「……」

オルタ「……」モッキュモッキュ

士郎「はいはい。気をつけます」

オルタ「ふぉーふぃてふれ」モッキュモッキュ

オルタ「……」チュー

士郎「美味しかったか?」

オルタ「うむ。シロウ、少しだけオレンジジュースを分けてやろう」

士郎「いらない」

オルタ「そういうな」

士郎「やめろ」

オルタ「なんだ、いらないのか?」

士郎「ああ」

オルタ「そうか……」チュー

士郎「……」

蒔寺「でさぁ―――」

士郎「!?」

氷室「眉唾だな」

三枝「そうだね」

士郎(や、やばい……!!)

オルタ「そうそう。どうしてそなたを誘ったかというと―――」

士郎「顔を伏せてくれ!!」ガバッ

オルタ「こ、こら!!なにをする!?」

士郎「いいから!!」

オルタ「やめろ!!教師にむかっ―――むぐぅ!?」

士郎「……」ググッ

オルタ「むぐぅー!!ぐぅー!!!」

蒔寺「ゆきっち、みてみろよ。あそこ」

三枝「え……?うわ……彼女さんを抱きしめてる……いいなぁ」

氷室「男性はうちの生徒のようだな」

蒔寺「誰だろうなぁ。あんな砂糖も溶け出すような甘いことしてるの」

氷室「邪魔はしないほうがいい。私たちは奥のテーブル席を使おう」

三枝「うん」

士郎「……いったか」

オルタ「ぷはぁ!!こ、こら!!シロウ!!教師と生徒がこういうことをしてはいけない!!」

士郎「あんたが誘ったからこうなるんだ!!」

オルタ「私の所為か?」

士郎「そうだ」

オルタ「しかし、ほいほい付いて来たのはそなたのほうであろう?」

士郎「なんだと……?!」

オルタ「ふん……」

士郎「そろそろ帰る」

オルタ「そうか」チュー

士郎「食い終わったそれはちゃんとゴミ箱に捨てておけよ」

オルタ「私は小学生か」

士郎「じゃあな」

オルタ「うむ。また明日な」

士郎「……」スタスタ

オルタ「……」チュー

オルタ「……」ズゴゴゴ

衛宮邸

士郎「ただいま」

イリヤ「おかえりー!!」タタタタッ

士郎「うわぁ!!」

イリヤ「おにーちゃーん」ギュゥゥ

士郎「イリヤ、来てたのか!?」

イリヤ「うん!」

セラ「お嬢様、はしたない!!離れてください!!」

士郎「セラ!?」

リズ「シロウ。グーテンターク」

士郎「グーテンターク」

リズ「ふふ……」

イリヤ「シロウ、待ってたの。ほら、早く!」

士郎「はいはい……」

セラ「お嬢様!!そんな汚らわしい衛宮の手など握らないでください!!」

居間

イリヤ「はい。紅茶よ」

士郎「ありがとう」

イリヤ「ねえねえ」

士郎「ん?」

イリヤ「そろそろ、私のモノにならない?」

士郎「イリヤ、それはプロポーズか?」

イリヤ「いいえ、命令よ」

士郎「怖いな。でも、イリヤのモノにはならない」

イリヤ「ぶー」

士郎「そのかわり、イリヤが遊びにきてくれたら大概のお願いは聞いてやる」

イリヤ「ほんとー!?じゃあじゃあ、一緒にお風呂に入って、く れ る?」

士郎「よし、いくか―――」

セラ「……死ぬ覚悟はありますね?」

士郎「……冗談だから、包丁を投げようとするな」

士郎「そうだ、イリヤ」

イリヤ「なにー?」

士郎「えっと……例えばの話なんだけど」

イリヤ「そういう切り出し方ってことは、例えばじゃないんでしょ?」

士郎「鋭いな」

イリヤ「いいわ。聞いてあげる」

士郎「生まれ変わり……ってありえるのか?」

イリヤ「どういうこと?」

士郎「昔の人と姿形がそっくりで現世に生をうけるとか……そういうのってありえるのか?」

イリヤ「確率は低いけど、あるんじゃないかしら?」

士郎「そうか……」

イリヤ「それがどうかしたの?」

士郎「いや。なんでもない」

イリヤ「ふーん。ちなみに魂が同じっていうのはありえないわ。それこそ魔法でも使わないとね」

士郎「……」

イリヤ「さーてと、シロウ」

士郎「なんだ?」

イリヤ「おふろー!!」ギュゥゥ

士郎「うわぁ!!」

セラ「衛宮士郎!!!」

士郎「イリヤに言ってくれ!!」

リズ「イリヤ」

イリヤ「なによ?」

リズ「私も入る」

士郎「ぶぅ!?」

セラ「リーゼリット!!!」

リズ「セラもはいる?」

セラ「は、はいりません!!!」

リズ「じゃあ、私とイリヤとシロウで3P……」

セラ「どこでそんな言葉を覚えてくるのですか!!!」

夜 自室

士郎「―――つかれた」

士郎「イリヤに家の鍵を持たせたのは失敗だったな……」

士郎「……」

士郎「オルタ……か」

士郎「……セイバーに似ているだけで、他は明らかに別人」

士郎「ただのそっくりさん……」

士郎「……」

士郎「もう寝るか……」


セイバー『私は貴方を、愛しています―――』


士郎「……俺もだ、セイバー」

                     /    |    |    |
                 |     |    |    |
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           /⌒ヽ   |    |   l     l
           l   l    |    |  |  0   |
            |   l   | ー-  |  l⌒) - l
             |  -‐|    |    |   | 丿   |    /⌒ヽ
           |   |    |    |  |ノ     l   |    ヽ
             l    _!   |    !__,! ‐  一 |   l     ヽ、
         /⌒ヽ l ‐ \  |, ノ⌒) ()     l    〉-‐  l
         l〉   )ヽ、   ヽノ (ノO (ノ  (つ ヽ、 | ノ)  |
        /  人 ヽ、        (⌒)      ヽノ (ノ  |
          l     ヽ、\,        )丿 / ノ/ o     l
        ヽ  ノ \,/     /  (ノ       () ヽ  l
         \    /        /     (⌒ヽ    |
          ヽ、       /  /   l      しノ      |
           ヽ、  /   /     |           l
            ヽ、          l          /

             ヽ、            |          /
              ヽ          l        /

翌日 学校

オルタ「―――起立」

オルタ「礼、着席」

オルタ「では、出席をとる」

士郎「ふわぁ……」

オルタ「―――シロウ」

士郎「あ、はい?」

オルタ「もう授業は始まっている。欠伸をするというのは私に対しての宣戦布告と解釈してもいいのだな?」

士郎「なんでさ!?」

オルタ「……立て」

士郎「横暴だ!!」

オルタ「……では、真面目に受けるように」

士郎「はい……」

一成「なんだか目の敵にされていなか?」

士郎「そうかもな……」

昼休み

凛「衛宮くん?」

士郎「ああ。弁当、もってきたぞ」

凛「ありがとー!たすかるー。今月もピンチなのよねー」

士郎「名家の遠坂も大変だな」

凛「財政難なのよ」

オルタ「……シロウ」

士郎「え?」

オルタ「ほう?弁当か?」

士郎「そうですけど……?」

オルタ「タイガ教諭にも作っているそうだな」

士郎「ええ、まあ」

オルタ「少し、見せてくれ」

士郎「ど、どうぞ」

オルタ「ほうほう……あむ……」モッキュモッキュ

士郎「あ!?」

凛「ちょっと!!」

オルタ「ふむ……まずい」

士郎「な……!?」

オルタ「タイガ教諭がシロウの味を褒めているのでどのようなものかと思ったが……大したことはないな」

士郎「食べておいてなんてことを……!!」

オルタ「私は牛丼やハンバーガー、ホットドックのようなものが好みだ」

士郎「は……?」

凛「……」

オルタ「それではな」ズンズン

士郎「な、なんだ……?」

凛「……作ってこいってことじゃないの?」

士郎「え?」

凛「モテるわね、士郎?」

士郎「な、なんでそんな冷たい目を向けるんだよ……」

夜 衛宮邸

士郎「さてと……明日の仕込みでも……」

士郎「ハンバーガーぐらいなら……」

士郎「いやいや。そこまでする義理は無いな」

桜「先輩、そろそろ帰りますね」

大河「戸締りはちゃんとするのよー」

士郎「ああ」

士郎「……」

士郎「よし」

凛「なにつくるの?」

士郎「うわぁ!!!」

凛「ちょっと、そこまで驚くこともないでしょ?」

士郎「遠坂……部屋にいたんじゃないのか?」

凛「暇だからこっちに来ただけよ。で、何をつくるの?」

士郎「まだ決めてない。思案中だ」

凛「ふーん……」

士郎「なんだよ?」

凛「てっきりひき肉でも用意するのかと思ったわ」

士郎「おい」

凛「士郎、あれ」

士郎「はいはい。ホットミルクにするか?」

凛「そのままでいいわ」

士郎「わかった」

凛「……そういえば」

士郎「風呂ならいつでも入れるぞ」

凛「そう」

士郎「はい」

凛「ありがとう」

士郎「……」

凛(士郎ってこの状況をどうも思ってないのかしら……?二人だけなのに……)

翌日 学校 昼休み

オルタ「シロウ」

士郎「はい」

オルタ「ん」

士郎「なんですか、その差し出された手は?」

オルタ「よこせ」

士郎「……」

オルタ「はやくしろ」

士郎「なんのことですか?」

オルタ「おい……まさか……」

士郎「え?」

オルタ「きさま……!!」ガシッ

士郎「な、なんですか?!」

オルタ「今日は昼食を用意していない!!どうしてくれる!!」

士郎「し、しらない!!」

オルタ「くっ……!!」ガクッ

士郎「あ、あの……」

オルタ「お腹……すいた……」

士郎「えっと……じゃあ、購買にいけば……」

オルタ「お金……ない」

士郎「なんでさ!?500円くらい……!!」

オルタ「宵越しの金などもたん!!」

士郎「うわー……」

オルタ「……」

士郎「……」

オルタ「おなか……すいた……」グゥ~

士郎「わ、わかりました。購買にいきましょう」

オルタ「まことか?!」

士郎「ハンバーガーぐらいなら奢ります」

オルタ「そうか。ダブルバーガーとオレンジジュースで頼むぞ」

購買部

士郎「どうぞ」

オルタ「うむ」

士郎「これから500円ぐらいはもって宵を越してください」

オルタ「ふぉーふる」モッキュモッキュ

士郎「はぁ……」

オルタ「うん……美味だ……♪」

士郎「……」

オルタ「なんふぁ?やらんふぉ?」モッキュモッキュ

士郎「いらない」

オルタ「ふぉうか」

士郎「俺に……昼食を作って欲しいんですか?」

オルタ「うん」

士郎「……」

オルタ「……」モッキュモッキュ

放課後 商店街

士郎「うーん……」

リズ「シロウ」トテトテ

士郎「お、リズ。どうした?」

リズ「かいもの」

士郎「そうか。一緒にいくか?」

リズ「うん」ギュゥ

士郎「なんで腕に抱きつくんだ?」

リズ「うふ」

士郎「なんだよ、それ」

リズ「シロウとデート」

士郎「イリヤが怒るぞ?」

リズ「大丈夫。イリヤはお城。ばれない」

士郎「そうか……あ、ちょっと肉屋によっていくから」

リズ「うん」

衛宮邸

士郎「悪いな、荷物を持ってもらって」

リズ「大丈夫。私、シロウの荷物なら喜んでもつ」

士郎「そうだ。お茶でも飲んでいくか?」

リズ「嬉しいけど……」

士郎「え?」

リズ「今日は早く帰らないといけない」

士郎「そうか」

リズ「ごめんなさい、シロウ」

士郎「気にするな。またな」

リズ「うん」

士郎「……リズ!」

リズ「なに?」

士郎「飴玉。荷物もってくれたお礼にしては安いけど」

リズ「うれしい……大事に食べる」

夜 キッチン

士郎「……」コネコネ

凛「……なにしているの?」

士郎「タネ作り」

凛「ハンバーグ?」

士郎「そう」

凛「このパンはなにかしら?」

士郎「買ってきたパンだ」

凛「このマスタードは?」

士郎「普通のマスタードだ」

凛「……ねえ」

士郎「んー?」

凛「もしかしてハンバーガーでも作ろうとしてる?」

士郎「そうだけど?なんか問題でもあるか?」

凛「べ、べつにないけど……」

翌日 学校 昼休み

オルタ「……」スタスタ

士郎「先生」

オルタ「ん?」

士郎「はい」

オルタ「おぉ!?」

士郎「トリプルバーガーにしてみた」

オルタ「ほうほう……ほー?」

士郎「顎が外れないようにな」

オルタ「ほうほう……うむ……なるほどー……オレンジジュースは?」

士郎「それはないですけど……」

オルタ「では買って来い。500円で足りるな?」

士郎「何本買ってくるんですか……」

オルタ「ほうほう……トリプルか……いいではないかぁ……」ジュルリ

士郎「か、買ってきます……」

士郎「買ってきました」

オルタ「おふぁえり」モッキュモッキュ

士郎「もう食べてる……」

オルタ「ふぉふぉにおいてふぉけ」モッキュモッキュ

士郎「はい」

オルタ「……」モッキュモッキュ

士郎「どうですか?」

オルタ「うん、美味だぞ」

士郎「……」

オルタ「……」モッキュモッキュ

士郎(少し複雑だけど、嬉しそうだしいいか)

オルタ「……しふぉう」

士郎「なんですか?」

オルタ「ありがとう」

士郎「お、おう……それじゃあ、失礼します……」

放課後

士郎「さてと……今日はバイトだな……」

凛「衛宮くん」

士郎「どうした?」

凛「今日は自宅に帰るから、用があったら電話してね」

士郎「そうか。じゃあ、遠坂の分の夕飯はいらないんだな」

凛「そういうことね」

士郎「明日の朝食は?」

凛「用意してくれるなら、いくわ」

士郎「よし」

凛「それじゃあね」

士郎「ああ」

凛「それと……」

士郎「なんだ?」

凛「明日のお弁当はハンバーガーでも、いいわよ?」

ごめんかなり遅めの夕飯にする

ごちそうさまでした

夜 コペンハーゲン

音子「えみやん、またね」

士郎「おつかれさまでした」

士郎「ふぅ……」

士郎「今日は何を作ろうかな……」

士郎(オルタ先生……)

士郎(変な感じだな……)

士郎「セイバー……」

オルタ「……」ヨロヨロ

士郎「!?」

オルタ「ん?」

士郎「先生!?」

オルタ「なんだ、シロウか」

士郎「なにやってるんですか……酒くさっ!?」

オルタ「あー?ちょっと飲んだだけだ。臭くなどない」

士郎「大丈夫か?」

オルタ「平気だが?」

士郎「でも、足が覚束ない感じだけど……」

オルタ「どこが?ちゃんと歩ける」

士郎「……やってみろ」

オルタ「……」ヨロヨロ

士郎「……」

オルタ「……地面が蛇行してるのだ」

士郎「はいはい。肩に掴まってくれ」

オルタ「ひとりであるけるっ!!」

士郎「無理だろ」

オルタ「あるける!」

士郎「もういいから」

オルタ「やめろー」ジタバタ

士郎「あばれんな」

士郎「とりあえず、そこに座ってろ」

オルタ「どこに行く気だ?ホテルか?」

士郎「あのなぁ……」

オルタ「冗談だ」

士郎「タクシーを捕まえるから」

オルタ「金が無い」

士郎「……」

オルタ「ふわぁぁ」

士郎「あ、こら!!」

オルタ「わたしはねむぃ……」

士郎「だめだ!!おきろ!!」ユサユサ

オルタ「ふふ……つぎのといをしろうがこたえろぉ……」

士郎「くそ……」

士郎「はぁ……どうしよう……」

オルタ「すぅ……すぅ……」

衛宮邸

士郎「よっと」

オルタ「ふぅ……すぅ……すぅ……」

士郎「……藤ねえに電話してもいいけど」

士郎「変な勘違いされそうだしな……」

大河『しろー!!!!不純異性交遊!!!!!』

士郎「とりあえず、一日だけならいいだろう」

オルタ「すぅ……すぅ……」

士郎「……これでよし」

士郎「俺も飯食べて寝るか」

士郎「……」

オルタ「……」

士郎「……おやすみ」

深夜

オルタ「……」モゾモゾ

オルタ「トイレ……」

オルタ「ん……どこだ、ここは?」

オルタ「……」フラフラ

オルタ「トイレはどこだ……」

オルタ「……おい……どこだ、ここは……?」

オルタ「……」キョロキョロ

オルタ「もれるではないか……」モジモジ

オルタ「……」

オルタ「まさか……私、誘拐でもされたか……?」

オルタ「……でも、それにしては衣服に乱れはないな」

オルタ「……」

オルタ「まずはトイレを探さなくては……」モジモジ

オルタ「……ここか?」ガラッ

士郎「すぅ……すぅ……」

オルタ「?!」

オルタ「シロウ……」

オルタ「そうか。ここはシロウの家か……」

オルタ「シロウ……シロウ……」ユサユサ

士郎「え……?」

オルタ「おしっこ」

士郎「は……?」

オルタ「もれる」

士郎「あ、ああ。そうか。案内する」

オルタ「早くしろ……」モジモジ

士郎「こっちだ」

オルタ「かけあしでだ!!」

士郎「はいはい……」

オルタ「ふー、スッキリした」

士郎「よかったな」

オルタ「で、どうして私をここに連れ込んだ?」

士郎「アンタが寝ちゃったからだ」

オルタ「起こせばいいだろう」

士郎「起きなかったんだ」

オルタ「変なことはしていないだろうな?」

士郎「してない」

オルタ「そうか。ならいい」

士郎「なんだよ。随分信頼してくれてるんだな」

オルタ「うん」

士郎「……」

オルタ「さて、就寝しよう。明日の朝、風呂に入るとする。着替えも用意してくれているとありがたい」

士郎「着替えって……」

オルタ「頼むぞ、シロウ?」

てめぇ何様だよ!

>>109
王様

翌朝 居間

凛「士郎ー、きたわ―――」

オルタ「シロウ、もっと温めてくれ」

士郎「ホットミルクはこれぐらいがいいんだ」

オルタ「私が熱々がいい」

士郎「わかったよ。口の中でも火傷しちまえ」

オルタ「私の口内はそんなに柔じゃ―――」

凛「ちょっと……先生?」ピキピキ

オルタ「ん?」

士郎「遠坂?」

凛「それ……私の服、ですよね?」

オルタ「すこしサイズは大きいがな。ちなみ下着も拝借した。いい生地の下着だ」

凛「バーゲン品ですけど」

オルタ「そうか」

士郎「あ、遠坂。これにはわけが……」

凛「泥酔した女性をお持ち帰りしたのね?」

士郎「言い方が悪いぞ!!」

オルタ「だが的は射ている」

士郎「先生!!」

凛「士郎、その節操のなさもいい加減にしなさいよね」

士郎「悪い……」

オルタ「で、リンもよくここへは来るのか?」

凛「いいえ。私はここに住んでいます」

オルタ「同棲か?」

凛「そうですね」

士郎「遠坂!!」

オルタ「ふーん……シロウ?」

士郎「な、なんだ?」

オルタ「リンとは交際しているのか?」

士郎「い、いや!!そういう関係じゃない!!ちょっと色々あって……」

オルタ「色々か……複雑なようだな」

凛「ええ。複雑なんです。先生が入り込めないほどに」

士郎「おい」

オルタ「怒っているのか?」

凛「別に……」

オルタ「……」

士郎「そ、それじゃあ朝食でも食べるか」

オルタ「はやくしろ」

士郎「はいはい」

凛「……」

オルタ「なんだ?」

凛「なんでもありません」

オルタ「そうか」

士郎「ふんふふーん……」

凛(なによ……士郎ったら……嬉しそうな顔しちゃって……)

通学路

オルタ「シロウ、今日の昼食は?」

士郎「ああ、ちゃんとあるぞ」

オルタ「そうか」

凛「私の分は?」

士郎「あるよ」

凛「そう……」

オルタ「今日は何バーガーだ?」

士郎「ううん。今日はこれだ」

オルタ「弁当箱だな」

士郎「嗅いでみろ」

オルタ「くんくん……おぉ!!この香ばしく鼻腔に吸い付くような匂いは……!!牛丼か!?」

士郎「そう。冷めても大丈夫なように味付けはすこし変えてあるけどな」

オルタ「流石だ、シロウ!!うむ、昼が待ちどうしいな!!」

凛「……ハンバーガーだけじゃないのかよ」

凛の嫉妬は微笑ましいな。
蟲ビッチのは見苦しいけど

>>127
ちょっと蟲蔵いこうか

昼休み 職員室 

オルタ「いただきます」

大河「あら、オルタ先生。牛丼ですか?」

オルタ「ふぁい」モッキュモッキュ

大河「お手製?」

オルタ「いいふぇ。しふぉうにつくってふぇもらいふぁしふぁ」モッキュモッキュ

大河「士郎に?へー」

オルタ「……」モッキュモッキュ

大河「やっぱり……まだ失恋から立ち直ってないのかしらね……」

オルタ「しふふぇん?」モッキュモッキュ

大河「……まあ、少し前にね」

オルタ「ふぉーん……」モッキュモッキュ

大河「ごめんなさい。食事中に」

オルタ「いえいえ……」

オルタ(セイバーとやらか……)

放課後

士郎「じゃあな」

一成「ああ」

士郎「……」スタスタ

オルタ「シロウ」

士郎「どうしたんですか?」

オルタ「五時半に正門でまっていろ」

士郎「なんでさ?」

オルタ「いいな」

士郎「あ……」

士郎「……全く」

士郎(でも、断れないんだよな……)

士郎「―――おーい!!一成!!」

一成「どうした?」

士郎「気が変わったんだ。今日は一成の手伝いをすることにした」

正門

士郎「……」

オルタ「シロウ」ズンズン

士郎「先生」

オルタ「行くぞ」

士郎「えっと……またファーストフードか?」

オルタ「そこ以外にどこがある?」

士郎「なんで誘ったんだ?」

オルタ「ああ……そういえば言いそびれていたな」

士郎「え?」

オルタ「先日も誘ったであろう?」

士郎「え、ええ……」

オルタ「そなたに興味があるのだ」

士郎「興味……?」

オルタ「立ち話もなんだ。店に行こう」

ファーストフード店

オルタ「しふぉうもたべるふぁ?」モッキュモッキュ

士郎「いい」

オルタ「そうふぁ……」モッキュモッキュ

士郎「それで……興味ってどういうことだ?」

オルタ「うむ。セイバーの話をタイガ教諭から聞いてな」

士郎「藤ねえ……」

オルタ「私と似ているらしいな」

士郎「でも、性格とかは違う」

オルタ「そうか」

士郎「それが?」

オルタ「では、私がそのセイバーの代わりになり得るか?」

士郎「は?」

オルタ「どうだ?」

士郎「何言ってる。なるわけない」

オルタ「ほう?」

士郎「セイバーはセイバーで、先生は先生だ」

オルタ「なるほど」

士郎「……変な冗談はやめてくれ」

オルタ「すまなかった。気を悪くするな」

士郎「……」

オルタ「ところで、今度の休日は暇か?」

士郎「なんでさ?」

オルタ「でーふぉをしふぉう」モッキュモッキュ

士郎「なんだって?」

オルタ「だから、でーふぉをしふぉうでふぁないふぁ」モッキュモッキュ

士郎「食べながら話すな。聞き取れない」

オルタ「……デートをしようといったのだ。勿論、シロウもちでな」

士郎「断ったら?」

オルタ「泣く」

士郎「なんでデートなんて……」

オルタ「よいではないか」

士郎「……」

オルタ「……」チュー

士郎「分かった」

オルタ「よし」

士郎「何時に待ち合わせだ?」

オルタ「好きにしていいぞ」

士郎「じゃあ……10時に駅前で」

オルタ「うむ」チュー

士郎「俺とデートしたかったんですか?」

オルタ「うん」

士郎「どうして……」

オルタ「シロウが気になるからだ」

士郎「そ、そうですか……」

オルタ「うむ、満腹だ」ポンポン

士郎「よく食うな……」

オルタ「まあな」

士郎「……」

桜「あれ?先輩?」

士郎「桜!?」

オルタ「誰だ?」

士郎「あ、えっと俺の後輩で……」

桜「確か……オルタ先生?」

オルタ「うむ」

桜「……」

士郎「桜、これはあの……」

オルタ「飯を奢ってくれただけだ。そなたが考えているような甘い展開はない」

桜「先輩?」

士郎「ほ、ほんとうだ!!なにもないぞ!!まだな……」

衛宮邸

桜「先生とは本当に……何も無いんですね?」

士郎「うん……」

桜「先輩……もしかして……セイバーさんのこと……」

士郎「桜……やめてくれ」

桜「すいません……」

士郎「オルタ先生はセイバーじゃない。そんなこと分かってる」

桜「……」

士郎「じゃ、ご飯でも作るか」

桜「はい」

士郎「今日は何にするかなー」

桜「あの、先輩?」

士郎「んー?」

桜「辛いことがあればいつでも私に……」

士郎「桜を頼るほどまだ困ってない。安心しろ」

深夜 道場

士郎「ふっ……んっ……!」

士郎「ふぅ……今日はここまででいいか」

士郎「……」

士郎「いや、もう1セットしとくか」

士郎「ふっ……ふっ……」

士郎「体は鍛えておかないとな……!!」

士郎「ふっ……ふっ……」

士郎「―――よし」

士郎「……」


セイバー『シロウには鍛練が必要です。魔術師を目指すのならもっと―――』


士郎「……セイバー」

士郎「風呂にいくか」

数日後 日曜日 新都

士郎「……」

オルタ「―――シロウー」ズンズン

士郎「おい!!もっと急げ!!」

オルタ「なんでだ?」

士郎「約束の時間覚えてないのか?!」

オルタ「覚えているが?」

士郎「時計を見ろ!!もう20分も待ったぞ!!」

オルタ「なんだ。それぐらい」

士郎「……」

オルタ「さ、行くぞ」

士郎「どこに?」

オルタ「どこでもよい。シロウと一緒ならな」

士郎「くっ……それは、反則だろ……」

オルタ「ん?どうかしたか?」

オルタ「シロウ、こっちだ」テテテッ

士郎「どうしたんだ?」

オルタ「大判焼きだ」

士郎「……」

オルタ「一個もらおう」

「はいよ」

士郎「お金は……?」

オルタ「ん」ビシッ

士郎「人を指差すな」

オルタ「頼むぞ」

「どうぞ、お嬢さん」

オルタ「うむ」モッキュモッキュ

「200円ね」

士郎「はい」

オルタ「悪くないが……ハンバーガーのほうがマシだな」モッキュモッキュ

オルタ「服をみてもいいか?」

士郎「いいけど」

オルタ「うむ」テテテッ

士郎「……」

士郎(何がしたいんだ……)

オルタ「シロウ、みてくれ」

士郎「ん?」

オルタ「こっちとこっち、どちらが似合うだろうか?」

士郎「先生なら―――」

オルタ「こら」

士郎「え?」

オルタ「オルタでよい」

士郎「な……」

オルタ「で、どちらがいい?」

士郎「オ、オルタなら……右じゃないか?色的にも……」

オルタ「よし。いい買い物をしたぞ」

士郎「俺が払ったんだけどな」

オルタ「器量が狭いぞ、シロウ?」

士郎「あのなぁ……」

オルタ「楽しいか?」

士郎「……」

オルタ「私は楽しいぞ?」

士郎「……ああ。楽しい」

オルタ「それはよかったな」

士郎(調子狂うな……)

オルタ「次だ。あそこだ!!」

士郎「あ……ってフランクフルトか……」

オルタ「早くしろ!」

士郎「はいはい……」

オルタ「店主よ、その太いソーセージをもらおうではないか」

オルタ「もがもご……」

士郎「いっきに頬張るな」

オルタ「うふぁいふぉ」

士郎「よかったな」

オルタ「うん」

士郎「……」

イリヤ「あれ?シロウ?」

士郎「あ……イリヤ」

セラ「そちらにいるのは……」

イリヤ「……」

オルタ「ふぉうも」

イリヤ「どうも」

士郎「こっちは―――」

イリヤ「いいわ。説明なんて。それじゃあね」

士郎「あ、イリヤ……」

夕方

オルタ「うぷ……」

士郎「おい」

オルタ「お腹……苦しい……」

士郎「あれだけ食べればな……」

オルタ「シロウ?」

士郎「なんだ?」

オルタ「楽しかったぞ」

士郎「そうか……」

オルタ「ではな」

士郎「おい」

オルタ「なんだ?」

士郎「俺も楽しかった」

オルタ「ああ。それは良かった」

士郎「……」

衛宮邸

士郎「ただいま」

凛「おかえり」

桜「……」

士郎「なんだ……?」

凛「イリヤからきいたわよ。オルタ先生とデートしてたってね」

桜「……」

士郎「いや……」

凛「おい……ついに教師にまで手を染めたな?」

士郎「まて……!!」

桜「信じてたのに……」

士郎「桜!!」

凛「いい加減に……しなさいよ……」

桜「先輩……その根性……直してあげます……」

士郎「なんでさー!!」

深夜 自室

士郎「いつつ……」

士郎「ったく、遠坂め……」

トントン

士郎「はい?」

桜「失礼します」

士郎「どうした?」

桜「あの……」

士郎「ん?」

桜「先輩……先生のこと本当になんとも思っていないんですか?」

士郎「勿論、意識しているところはある」

桜「やっぱり……」

士郎「でも、それだけだ」

桜「……」

士郎「セイバーはもういないからな」

翌日 学校

オルタ「シロウ、ん」

士郎「はいはい。今日はホットドックな」

オルタ「よし。褒めてやろう」

士郎「どうも」

オルタ「……」

士郎「ん?」

オルタ「なんでもない。それではな」

士郎「……?」

凛「衛宮くん」

士郎「どうした?」

凛「私の分はあるんでしょうね?」

士郎「あるよ。はい」

凛「あまり、オルタ先生ばかりに気を向けないでね……」

士郎「向けてるつもりはないけど」

凛「嘘よ」

士郎「嘘じゃない」

凛「セイバーに似てるから……優しくしてるんでしょ?」

士郎「遠坂……?」

凛「毎日、そうやって昼食まで用意して……」

士郎「それは……」

凛「なによ。割り切ったなんてかっこいいこと言ってたくせに……未練たらたらじゃない」

士郎「おい」

「なんだ?」

「喧嘩か?」

凛「……」

士郎「遠坂……ここはまずい、屋上にいこう」

凛「離してよ!!ここでいいわよ!!」

士郎「俺はいいけど、遠坂にはイメージがあるだろ」

凛「……」

屋上

士郎「……」

凛「……それで、あんたはオルタのことどう思ってるの?」

士郎「どうって……」

凛「セイバーのこと思い出してるんでしょ?」

士郎「それは……まぁ」

凛「だから、デートもしちゃうのよね」

士郎「遠坂、なんか変だぞ?」

凛「……事実を言ったまでよ」

士郎「……確かにオルタのことは気になってる。でも、それは好きとかそういうことじゃない」

凛「一緒よ……」

士郎「……」

凛「このまま付き合っちゃえば?あの人もまんざらじゃないみたいだし」

士郎「遠坂」

凛「もういい……それじゃあね」

オルタ「おー、シロウ、ここにいた―――」

凛「……」タタタッ

オルタ「リン?」

凛「……なんですか?」

オルタ「そなた……泣いて……」

凛「……」タタタッ

オルタ「……?」

士郎「オルタ……先生、どうしたんですか?」

オルタ「普通でよい」

士郎「そうか」

オルタ「はい。これ、弁当箱だ」

士郎「もう食べたのか。早いな」

オルタ「まぁな」

士郎「美味しかったか?」

オルタ「うむ。大変美味だった」

オルタ「にしてもシロウ。感心しないな」

士郎「え?」

オルタ「リンが泣いていたぞ」

士郎「え……」

オルタ「何を言ったか知らんが、泣かすな。授業で当てにくくなる」

士郎「それは、ごめん」

オルタ「もしや、振ったか?」

士郎「なんで心なしか嬉しそうなんだよ」

オルタ「そうか?」

士郎「……別にそういう話はしてない」

オルタ「ふーん……」

士郎「……」

オルタ「シロウ……聞きたいことがあるのだが」

士郎「なんだ?」

オルタ「お前はまだセイバーを愛しているのか?」

士郎「な、なんでさ!?」

オルタ「答えろ。大事なことだ」

士郎「関係ないだろ……」

オルタ「ある」

士郎「……どうして?」

オルタ「お前を好きになってしまった」

士郎「!?」

オルタ「だが、もし亡くした相手のことをまだ想っているならこのままこの気持ちは胸にしまっておく」

士郎「しまってないぞ……」

オルタ「どうなのだ?」

士郎「……」

オルタ「その沈黙は肯定でいいのか?」

士郎「俺は……まだ……信じてるから」

オルタ「……」

士郎「いつか……セイバーに会えるのを……」

オルタ「そうか……」

士郎「だから、俺はセイバーを一番好きでいたい。これからもずっと」

オルタ「他の者がお前の愛情を欲しても尚、その気持ちを貫く……ということか?」

士郎「はい」

オルタ「……そうか」

士郎「ごめん……」

オルタ「いや。よい。気にするな」

士郎「……」

オルタ「これからは500円を持参する。シロウ、もう昼の賄いは必要ないぞ」

士郎「なんでさ!!」

オルタ「愛する者に酷似した女に施しなど、気が滅入るであろう?」

士郎「そんなこと……!!」

オルタ「もうよい。それではな」ズンズン

士郎「……」

士郎「これでいい……これで……」

数日後 教室

オルタ「次、読め」

「は、はい!!」

士郎「……」

士郎(あれから……本当に話さなくなったな)

士郎(元々、ご飯を渡すときぐらいしか話してなかったけど……)

オルタ「よし。座れ」

「ふー」

オルタ「次は……」

士郎「……」

オルタ「エミヤ、立て」

士郎「は、はい」

オルタ「続きから読め」

士郎「はい……」

オルタ「……」

衛宮邸

士郎「……」トントン

桜「先輩?」

士郎「え?」

桜「それ、切り過ぎてます」

士郎「ああ。本当だ」

桜「ここ最近、変ですね」

士郎「そんなことないだろ」

桜「だって……よく呆けてますし……」

士郎「気のせいだって」

桜「……」

士郎「これ、炒めてくれ」

桜「はい……」

士郎「はぁ……」

桜「……先輩」

翌日 昼休み 屋上

凛「衛宮くん?」

士郎「ん?」

凛「どうしたの?」

士郎「別に」

凛「オルタ先生のことかしら?」

士郎「違う」

凛「……」

士郎「……なんだよ」

凛「今日のお弁当、美味しくないわね」

士郎「そうか」

凛「……ばか」

士郎「なんでさ」

凛「別に……。そうそう、今日はシチューがいいわ。よろしくね」

士郎「ああ。わかった。買い物にいっとく」

商店街

士郎「……えーっと」

イリヤ「シロウ」

士郎「イリヤ……」

イリヤ「話があるわ」

士郎「どうしたんだ?」

イリヤ「……」

リズ「シロウ……とても辛い話する。大丈夫?」

士郎「辛い話……?」

イリヤ「オルタ・アルトリアのことよ」

士郎「……」

イリヤ「公園で待ってるから。買い物が終わったら来て」

士郎「すぐいく」

イリヤ「そう」

士郎「……」

公園

イリヤ「セイバーによく似てるわね」

士郎「そうだな」

イリヤ「シロウ……よく聞いてね」

士郎「ああ……」

イリヤ「オルタとセイバーは……同一人物よ」

士郎「どういうことだ……?」

イリヤ「オルタはセイバーのときの記憶を失っているだけなの」

士郎「まて……聖杯なしにそんなことは……」

イリヤ「私の所為……」

士郎「え?」

イリヤ「私が生きてるから……」

士郎「聖杯が……起動したのか?」

イリヤ「きっと……聖杯の残滓がセイバーの願いを一時的に叶えてしまった……」

イリヤ「―――シロウともっと生きていたいという願いを」

士郎「まて!!セイバーはそんなこと願ってない!!」

イリヤ「ううん。口にした願いが本当の願いとは限らない」

士郎「……」

イリヤ「シロウ?」

士郎「大丈夫……聞こえてる……」

イリヤ「不完全な形で魂を形成し直したから、セイバーは記憶をなくし、そして性格も変わってしまった」

士郎「……」

イリヤ「ごめんなさい……私が死ねば……」

士郎「やめろ」

イリヤ「だけど……」

士郎「……」

イリヤ「シロウは苦しくないの?」

士郎「……それは……」

イリヤ「ごめんね……私の所為で……」

士郎「イリヤは何も悪くないだろ。誰も悪くない……」

J( 'ー`)し「コラコラコラコラ~ッ!
話聞いてたら、弱気なコメントばっかりやなぁ(`ヘ´)
もう一度、センター前の目標を振り返ってみよう!
『最低でも旧帝大』やろ?
違うか(`o´)?(ものいいのモノマネちゃうで…。)」

士郎「でも……オルタは……」

イリヤ「……こちらの世界で生を受けたことになっている。そういう世界に書き換えられたのよ」

士郎「……」

イリヤ「……」

士郎「ありがとう」

イリヤ「え……?」

士郎「あれがセイバーなのは分かった。だけど……やっぱり、セイバーじゃない」

イリヤ「シロウ?」

士郎「俺の知っているセイバーじゃない。なら……嬉しくない」

イリヤ「そうなんだ……」

士郎「セイバーもきっと苦しんでると思う。自分じゃない自分が生きているなんて」

士郎「あいつ、すごい生真面目だからな」

イリヤ「うん」

士郎「イリヤ、行って来る」

イリヤ「うん……いってらっしゃい」

学校

オルタ「さてと……」

士郎「オルタ」

オルタ「……エミヤか」

士郎「……」

オルタ「何のようだ?どけ」

士郎「来てくれ」

オルタ「おい……なにをする」

士郎「いいから」

オルタ「なんだ……?」

士郎「……」

屋上

オルタ「どういうことだ?」

士郎「……好きだ」

オルタ「な……」

士郎「俺は生涯、お前を愛する」

オルタ「な、なにをいっているんだ……おい……」

士郎「……」

オルタ「し、ろう……?」

士郎「トレース・オン」

オルタ「!?」

士郎「見覚え、あるか?」

オルタ「な、ない……そんな禍々しいナイフなど……」

士郎「だろうな……」

オルタ「……何が言いたい?」

士郎「これ、ルール・ブレイカーって言うんだ」

オルタ「なに……?」

士郎「形を変えても俺と一緒にいたいって思ってくれたのは嬉しいよ、セイバー?」

オルタ「シロウ……やめろ……近づくな……」

士郎「だけど、俺の好きなセイバーはもっと強かった」

オルタ「くるな……」

士郎「きっと……一瞬だけ迷ったんだろ?」

オルタ「いや……」

士郎「セイバー……」

オルタ「シロウ……」

士郎「待っててくれ」

オルタ「なにを……いって……」

士郎「絶対に見つける。探し出す。何年かかっても。爺さんになっても。俺はセイバーを迎えにいくから」

オルタ「シロウ……?」

士郎「だから、あのままのセイバーでいてくれ……頼む……」

オルタ「やめて……シロウ……」

          彡(゚)(゚ ) うるせー!!       
       γ⌒´‐ - ⌒ヽ
        〉ン、_ `{ __(   )
       (´∧ミ キ )(  ノ
         ( ノミ~ γ .ノ ≡パンッ!パンッ!
    ≡( ´;ω; ` )⌒mレ´))≡
     ≡∪∪ーイ ノ≡  | ≡
       \ィしし´ \  ).

        i_      |, ̄/
               ヽ二)

士郎「勝手なことを言って……悪い……」

オルタ「私は……ここにいたい……」

士郎「でも、俺の知っているセイバーじゃない……」

オルタ「私はセイバーじゃない……」

士郎「……」

オルタ「やめろ……お願いだから……」

士郎「……」ウルウル

オルタ「ゆるして……シロウ……やめてくれ……」

士郎「くっ!!」ガッ

オルタ「うっ!!」

士郎「……」グッ

オルタ「離せ……!!やめろ……!!!」

士郎「……」

オルタ「……やめ……て……」

士郎「……うぅ……セイバー……」

オルタ「はぁ……はぁ……」

士郎「くそ……なんで……できないんだ……これを刺せば……俺は……!!」

オルタ「シロウ……」

士郎「はぁ……はぁ……刺せば……俺もセイバーも……!!」ウルウル

オルタ「……」

士郎「……セイバー!!!」

オルタ「うっ―――」

凛「……」パシッ

士郎「!?」

凛「なにしてるの?とっくに下校時間は過ぎているわよ」

士郎「遠坂……」ウルウル

オルタ「リン……か……」

凛「士郎、本当にいいの?」

士郎「……」

凛「ここで刺せば、もう永久にセイバーとは会えなくなるかもしれないのよ?いいの?」

士郎「だけど……」

凛「……」

オルタ「はぁ……はぁ……」

凛「先生?」

オルタ「な、なんだ……?」

凛「話してもわからないと思いますが、貴方はかつて衛宮くんが愛した女性なのです」

オルタ「え?」

凛「性格は違うし、きっとそんな記憶もないのでしょうけど、貴方は衛宮くんに愛され、また衛宮くんを愛していた女性なんです」

オルタ「……」

士郎「お前……」

凛「日曜日にイリヤから話は全部聞いていたわ。イリヤが自分から話すまで黙っててほしいって言われたけど」

士郎「遠坂……」

凛「好きなんでしょ?セイバーのこと?」

士郎「あ、当たり前だ……」

凛「ならこのままでいいじゃない。そんな物騒な物、早くしまってよ」

オルタ「私がセイバー……だと……?」

凛「ええ」

オルタ「……シロウが愛した女性か」

凛「そうです」

オルタ「……」

凛「士郎。オルタは第二の人生を歩んだセイバーと思えばいい。違う?」

凛「消すことは無い。このままオルタと一緒に過ごせばいいじゃない」

士郎「だけど……」

凛「だけど、なに?」

士郎「あの戦争を潜り抜けた記憶も、一緒に出かけた記憶も、俺と鍛練をした記憶も、夜を明かした記憶もない……」

オルタ「……」

士郎「……それが辛いんだ」

凛「心に贅肉がつきすぎてるわね。いい?セイバーと貴方がこうしてもう一度再会を果たしたことが既に奇跡なの。それ以上のものを望むっていうの?」

士郎「……」

凛「バカじゃないの……。ここでセイバーを消して、果てのない年月をかけてまで理想を追うなんて……本当にバカよ」

士郎「……」

凛「確かに刺せば、ジレンマから解放されてアンタは楽になるでしょうね」

凛「でも……所詮はただの自己満足でしょ?」

士郎「……そうだな」

凛「ふん……」

士郎「全部俺の都合だ……。悪い、オルタ」

オルタ「……」

士郎「オルタ?」

オルタ「シロウ、それでも生涯愛するのはセイバー……なのだろう?」

士郎「え……」

凛「ちょっと!!それ!!」

オルタ「これはどこに刺せばいい?」

士郎「な……!!いつのまに……!!」

凛「バカな真似はやめて!!」

オルタ「私はセイバーではない。オルタだ。だから、シロウには永遠に愛してもらえない……そうだな?」

士郎「それは……」

オルタ「シロウ……私がお前を愛したのはそこだ」

士郎「え?」

オルタ「亡くした者に心から愛情を注いでいるそなたの目が……私は好きだった」

士郎「オルタ……」

凛「やめ―――」

オルタ「くるな」

凛「うっ……」

オルタ「私は……本当にセイバーなのだな?」

士郎「ああ……」

オルタ「愛して……くれるな?」

士郎「もちろん」

凛「やめて!!」

オルタ「では……何も思い残すことない。どうやら私は知らない間に、過ちを犯していたようだ」

オルタ「シロウ……必ず迎えにこい。必ずだ」

(´;ω;`)

>>251
          彡(゚)(゚ )        
       γ⌒´‐ - ⌒ヽ
        〉ン、_ `{ __(   )
       (´∧ミ キ )(  ノ
         ( ノミ~ γ .ノ ≡パンッ!パンッ!
    ≡( ´;ω; ` )⌒mレ´))≡
     ≡∪∪ーイ ノ≡  | ≡
       \ィしし´ \  ).

        i_      |, ̄/
               ヽ二)

凛「もう出会えなくなってもいいの?!」

士郎「オルタ……俺にやらせてくれ」

オルタ「いいのか?」

士郎「俺の役目だ」

凛「士郎!!!聞いてるの!!」

士郎「俺は……セイバーを救う。そして絶対にセイバーを迎えに行く」

凛「やめて……そんなの士郎が苦しむだけ……やめて……やめてよ……」

士郎「いくぞ……」

オルタ「優しく頼む……」

凛「やめて……撃つわよ……」

士郎「好きにしてくれ」

凛「士郎!!!私はそんな士郎を見たくない!!」

士郎「……遠坂」

オルタ「……」

凛「やめてよぉ……おねがぃ……だから……」

オルタ「シロウ」

士郎「なんだ?」

オルタ「またな……」

士郎「うん……」

凛「だめ―――!!」

―――サクッ

オルタ「ぐっ……!!」

士郎「待っていてくれ……セイバー」

セイバー「はい……待っています……シロウが来るまで、私はいつまでも待ちます」

士郎「セイバー!!一つだけ、言っておく!!!」

セイバー「なんでしょう……?」

士郎「お前を愛してる!!」

セイバー「はい―――」

凛「……あぁ……」

士郎「……セイバー、また会おうな……」

士郎「……帰るか」

凛「バカ!!!」

士郎「……」

凛「もう会えるわけ無いでしょ!!!」

士郎「……そうかもな」

凛「なんで……なんで……」

士郎「でも、信じていればきっと叶う。俺はそう思うから」

凛「……もう、勝手にしたらいいわ」

士郎「ごめんな、遠坂」

凛「……」

士郎「でも、俺はセイバーのこと……」

凛「もういいっていってるでしょ!!!」

士郎「うん」

凛「……バカ……ほんとに……バカ……」

士郎「……ごめん」

翌日 学校

一成「衛宮、聞いたか?」

士郎「ん?」

一成「オルタ先生が急に辞めたらしい」

士郎「そうか」

一成「そうかって……」

士郎「そういうこともあるだろ。人間だし」

一成「……達観しているな」

士郎「そうか?いつも通りだ」

一成「ならいいが……」

士郎「……」

士郎(ま、かなり強引だったし……混乱するのは仕方ないか)

士郎(セイバー……)

数ヵ月後 衛宮邸

凛「……時計塔にいくのね?」

士郎「ああ」

凛「そう」

士郎「……色々お世話になる」

凛「セイバーのため?」

士郎「それもあるけど、当面は正義の味方になるためだな」

凛「……あ、そ」

士郎「頼む」

凛「はいはい。こっちとしてもあんたが一緒だと色々と利益があるしね」

士郎「ありがとう、遠坂」

凛「言っとくけど……私は厳しいからね?」

士郎「それは十分に分かってるって」

凛「ふん……」

士郎「……わるいな」

―――草原

士郎「ここは……」

士郎「……まだ、諦めるわけには……」

少女「シロウ?」

士郎「あ……」

少女「待っていました……ずっと……ずっと……」ポロポロ

士郎「セイバー……?」

少女「はい……」ポロポロ

士郎「変わらないな……セイバー……」ナデナデ

少女「シロウも……あの日のままです……」

士郎「嘘付け……」

少女「シロウ?」

士郎「なんだ?」


少女「……お腹がすきました、ご飯にしましょう……」

END

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月06日 (水) 21:24:03   ID: EoxRW08D

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