藤木「永沢くん…僕のブルーアイズ返してくれないかい…?」(172)

永沢「…藤木くん、君は僕を疑ってるのかい?」

藤木「そ、そんな訳じゃないさ…」

永沢「君の今の瞳は人を疑っている眼だよ」

藤木(くっ……)

永沢「…藤木くん、これでも喰らえよ」

藤木「うひぃぃ!あぽぺへひひくへとほほぉぉぉぉぉおおおおおおお」

藤木「でも、君に渡してから無くなったんだ…」

永沢「それで僕が盗ったとでも言うのかい?」

藤木「うっ」

永沢「大体、君のデッキにブルーアイズなんて似合わないんじゃないか」

藤木「どういう意味だい…?」

永沢「ほとんどノーマルカードで使えないものばっかり」

永沢「オマケに全部拾ってきたカード」

永沢「そんなデッキにブルーアイズなんて似合わないさ」

藤木「……」

永沢「君はデュエリストとして失格だよ」

藤木「僕のデッキをバカにしないでよ…」ぷるぷるっ

永沢「怒ってる?」

藤木「拾ったカードとは言え、君にバカにされたくないさ…!!!」

永沢「じゃあ、デュエルで僕に勝ってみろよ」

藤木「…!!」

永沢「そうすれば道は開かれるはずさ」

藤木「今39枚だけど…いいよ」

永沢「じゃ、デュエルを始めようか」

ウィーン!!

ガシャンガチャンッ

『デュエルッッッ!!!!』

藤木「それじゃあ…僕はバーバリアン1号を攻撃表示で召喚」

☆5//攻1550/守1800

藤木「僕はターンエンド」

永沢「伏せカードも無いのかい?」

藤木「バーバリアンは僕の最強カードだよ…!!」

永沢「つくづく君はバカなデュエリストだ」

藤木「…え?」

永沢「このデュエルはLP2000」

藤木「そんな!?初期のLPなの!?」

永沢「LPだけは初期ルールなのさ…」

藤木「き、聞いてないよそんな話!!」

永沢「君は言い訳をするのがホントに好きだね…」

永沢「君、僕のデッキに寄生虫パラノイヤをいれたな・・・・・・」

永沢「この卑怯者ーッ」

永沢「僕は手札のサイバードラゴンを3体融合」

藤木「!?」

永沢「サイバーエンドドラゴンを融合召喚」

藤木「さ…サイバーエンドドラゴン……?」

永沢「初期カードしか持たない君には珍しいカードだよ」

☆10/攻4000/守2800

藤木「こ、攻撃力4000!?」

永沢「終わりだ…サイバーエンドドラゴンでバーバリアンに攻撃!!」

永沢「エターナル・エヴォリューション・バースト!!!!」

藤木「うわあああああああああ!!!」

ズッドーーーーン!!

キートン「藤木ここでLP0」

永沢「君の負けさ」

藤木「うっぅっぁ……」

永沢「いつまでも初期の状態だと僕には勝てないよ」

藤木「クッ…!!」

永沢「あばよ、卑怯者」

永沢は藤木の顔をローファーで踏みつける

これ以上にない屈辱を受けた藤木

後に「藤木の屈辱」と呼ばれる程大きな事件となった

藤木(どうして…僕は負けたんだ…!!)

キートン「そんなデッキを使ってるからである」

藤木「ただいま」

藤木父「遅かったな」

藤木「ちょっと、デュエルしてたら遅くなったんだ」

藤木父「そんなカードゲームはもうやめなさい!!」

ドンッ!!

父は机をひっくり返した

藤木「……」

藤木父「お前は良い高校に入って、エリート企業に就職できればそれでいい!」

藤木「ぼ…僕、高校はデュエルアカデミアに進学するよ…」

藤木父「バカが!」

パチンッ!

藤木「いたっ」

藤木父「そんな将来の役にも立たない学校に進学するのは止めろ!!」

藤木父「それと、お前の勉強机にあったパズル…捨てておいたぞ」

藤木「えっ!?」

藤木父「あんなもので遊ぶ前に、まずは勉強をしろ」

藤木「ひどいや父さん!!」

タッタッタ

藤木父「コラ…!待ちなさい!!」


藤木「はぁはぁ…あのパズルは笹山さんにもらった物なのに…!!」

藤木「笹山さんがエジプトで見つけてくれてきた、大切な物なんだ!!」

家の前に、パズルは捨てられていた

藤木「あった!良かった…まだ捨てられてなかった」

藤木「もう完成しかけだったのに…」

藤木は無意識の内にパズルのピースをはめていく

カチッカチッ

藤木(もうすぐ完成だ…)

カチッ

藤木「で、出来た!!やっと完成だ!!!!」

藤木「ふぅ…完成した時の喜びは表現出来ないや…」

藤木「明日からこのパズルを皆に見せびらかしたら、僕人気者だろうな…」

キートン「次の日」

まる子「あれぇ?藤木その首にかけてるものなにさ?」

たまえ「ネックレスじゃないよね…」

藤木「千年アイテムだよ」

まる子「千年アイテム?聞いたことないねぇ~」

藤木「笹山さんにもらったパズルの完成形なんだ」

たまえ「へぇーあのパズル完成させたんだ?」

藤木「昨日やっと完成したんだ…」

永沢「おはよう、藤木くん」

藤木「ビクッ」

まる子「あ、永沢~」

永沢「朝から妙にテンションが高いじゃないか」

藤木「せ…千年アイテムだよ」

永沢「ふぅ~ん、あのパズル完成させたみたいだね」

藤木「うん……」

永沢「君のことだから、その千年アイテムも偽者だろうね」

藤木「ち、違うよ!!」

たまえ「ひどいよ永沢!」

永沢「チッ、うるさい♀豚共だ…」

キーンコーンカーンコーン

はまじ「やべぇ!チャイム鳴っちまった!」

ぶー太郎「早く座らないと怒られるブー!」

ガラガラッ

戸川先生「皆さん、おはようございます」

一同「おはよーございまーす」

戸川先生「それでは出席を取りますので、元気良く挨拶してくださいね」

はまじ「はーい!!」

藤木(あれ…笹山さん、今日は来てないや…風邪かな?)

永沢(……)

戸川先生「えー皆さんに連絡が1つだけあります」

まる子「何だろうねぇ」

たまえ「さぁ…?」

戸川先生「最近、この学校でカードの盗難が頻繁に起きています」

戸川先生「皆さんも知っていると思いますが、デュエルモンスターズです」

はまじ「そういや俺のコケが昨日盗られたんだよ!」

ぶー太郎「オイラのデスコアラも盗られたブー!」

戸川先生「このまま盗難が続けば、カードゲーム自体禁止なるかもしれません」

はまじ「えーー!?」

戸川先生「ですから、皆さんも盗難には十分気をつけてくださいね」

ざわざわ

先生が教室を出てから、クラスメイトは驚きを隠せなかった

城ヶ崎「永沢が盗ったんじゃないの?」

永沢「ふん、いつも体育の時間戸締りをしているのにな」

城ヶ崎「な…なによ!」

藤木(僕も永沢くんに1票…)

丸尾「皆さん!喧嘩はいけませんよ!!」

まる子「丸尾の言う通りだよ」

はまじ「大体、俺達のクラスに盗ったりするような奴はいないぜ!!」

丸尾「ずばり!犯人は相当卑劣な人間でしょう!」

永沢「藤木くん」

藤木「なに?」

永沢「君はどうせ僕が犯人とでも思ってるんだろ?」

藤木「ち、違うよ…」

永沢「ブルーアイズ事件の犯人も僕だと思っているのにな」

藤木「永沢くんは僕の親友だよ!!」

ぎゅっ

永沢「は、離れろよ!」

ドンッ

藤木「あぁん」

関口「お前等ホモかよーーー!!」

キートン「新たな扉を開けそうになった2人である」

丸尾「それでは、皆さん犯人だと思う人に1票お願いします!」

たまえ「丸尾…犯人探しなんて止めなよ…」

丸尾「いいえ!盗難する人間はずばり!裁かれるべきなのです!」

まる子「とは言っても何の情報も無いのに決められないよ」

永沢「ふん、どうせ時間が経てば見つかるさ」

丸尾「どういう意味ですか?」

永沢「どけよ」

ドスッ

丸尾「ひゃあああ」

突き飛ばされる丸尾

机の角に右ひじをぶつけてしまい有り得ない角度に曲がってしまう

丸尾「ズバリ!非常に危険な状態でしょう!」

キートン「暢気に説明している場合ではない」

関口「おいたかし!お前が盗ったんだろ!」

たかし「ち、違うよ…僕はしてないよ……」

関口「嘘つけ!お前みたいにウジウジしてる奴が怪しいんだよ!」

たかし君の顔に雑巾を押し付ける関口

まる子(またたかし君をいじめてる…)

たまえ「関口ひどいよね…完全にいじめだよ…」

関口「おらっ!この腐った牛乳も飲めよ!」

たかし「ぼ、僕牛乳はのめな……」

関口「いいから流し込めよ!」

グビグビッ

たかし「んっ…!」

たかし「ゴホゴホッ…!!」

まる子「腐った牛乳なんて飲んだらお腹壊しちゃうよ!」

小杉「別に3ヶ月程度放置した牛乳なら大丈夫だろ」

たまえ「有り得ないよ3ヶ月なんて」

関口「うるせぇ!コイツ見てるとイライラするんだよ!」

まる子「関口っ!あんたいい加減にしなよ!」

たかし「まるちゃん…」

関口「チッ…お前もたかしと同じ目に遭いたいのかよ!?」

たかし「もういいよ!僕が耐えれば済むんだから!」

まる子「たかしくん…」

佐々木「よーしじゃあ次はカビの生えた黄粉パン食わせようぜ」

関口「佐々木!押さえてろ!」

佐々木「あいよ」

ガッ

たかし「……うっ」

藤木(僕はあくまで見ていないっていう状態を貫き通さないと)

永沢「くだらないな」

たまえ「あ、永沢授業始まるよ!?」

永沢「エスケープするよ」

ガラガラッ

丸尾「ずばり、クラス崩壊でしょう…」

佐々木「よーしじゃあ次はカビの生えた黄粉パン食わせようぜ」

関口「佐々木!押さえてろ!」

佐々木「あいよ」

ガッ

たかし「……うっ」

藤木(僕はあくまで見ていないっていう状態を貫き通さないと)

永沢「くだらないな」

たまえ「どこ行くの?もう1時間目始まるよ?」

永沢「エスケープさ」

ガラガラッ

丸尾「ずばり!クラス崩壊でしょう!」

たかし「パクパク…うっ」

関口「なに嫌そうな顔してんだよ!!」

佐々木「ご飯が食べられない人だっているんだぞ!」

たかし「うぅぅうう…」

たまえ「カビの生えたパンなんて…拷問すぎるよ……」

まる子「ホントにたかしくんが死んじゃうよ!!」

関口「黙って見てろ!」

たかし「ああああああ!!お腹が痛い!!」

佐々木「まだ食えるだろ!!ほら!」

たかし「パクパク…ごくごくっ……」

藤木(他クラスのフリをしておかないと)

藤木(…可哀想に、助けてあげたいけど僕にそんな力は…)

ヴヴヴヴヴヴ!!

藤木「!?」

藤木の千年アイテムが金色の光に包まれた

ヴァァァン!!!

藤木「ウあああああああああああああ!!!」

はまじ「どうしたんだよ?」

闇藤木「ああ…悪い、ちょっと仮眠を取ってただけさ」

ドンッ

はまじ(なんだこの藤木…いつもと雰囲気が違う……)

闇藤木「弱い者いじめはそこまでにしとけよ」

佐々木「あぁ!?」

関口「藤木の癖につっかかってくんじゃねぇよ!」

まる子「藤木…あんた……」

たかし「藤木くん……」

佐々木「お前もたかしみたいにしてやるよ!」

闇藤木「ふんっ、随分とデカイ口を叩くんだな」

関口「な、なんだと!!」

まる子「あんた見直したよ藤木…今のあんたは卑怯者じゃないさ」

闇藤木「この事は先生にはチクらない」

闇藤木「だから、俺には一切危害を加えないでくれ」

まる子「!?」

たまえ「いつも以上に卑怯だよ藤木!!」

永沢(やっぱりいつも通りの藤木くんだね)

関口「へっ、分かってんじゃねーか」

結局、たかしくんはいじめられ続けた

藤木の所為でまる子達は止めることも出来ない

関口「今日はこの辺にしといてやるよ!」

佐々木「今度カード盗ったら許さねぇからな!」

たかし「ひっく…ひっく……」

まる子「たかしくん!あんたよく耐えたよ…!」

たかしの傍に駆け寄るまる子

たまえ「…!ひどい…肋骨が折れてるみたいだよ」

まる子「たまちゃんそんなの分かるの?」

たまえ「うん、前にパソコンで調べたことあるんだ」

たかし「ごほっごほっ…痛いよぉ……」

はまじ「おい!!先生きたぞ!」

ガラガラッ

戸川先生「おや?西村くんどうしたんですか?」

関口(チッ…タイミング悪いな…)

たかし「うっあ」

闇藤木「先生、たかしくんは転んで肋骨を折ったみたいです」

まる子「!!」

戸川先生「それは本当ですか?」

NOとは言えないたかしくんは、首を縦に振った

戸川先生「それは大変ですね…誰か保健室に連れて行ってあげてください」

関口「せんせー!」

佐々木「俺達が連れて行きますよ」

たまえ(あの2人だと…またたかしくんが…)

戸川「それでは、関口くん佐々木くんお願いしますね」

まる子(そ…そんなぁ…)

闇藤木「これで一件落着だな」

キートン「そして昼休み」

藤木(ふぅ…さっきの光は何だったんだろう…)

闇藤木(相棒、よくこのパズルを完成させてくれたな)

藤木(え…?誰!?)

闇藤木(今お前の心に語りかけているのは、もう1人のお前さ)

藤木(もう1人の…僕…?)

闇藤木(ああ、信じられないと思うがな)

藤木(じゃあさっきの事件を解決したのは…君なの!?)

闇藤木(そうさ…あんないじめっ子は俺が退治してやったぜ!)

藤木(君、名前は何て言うの?)

闇藤木(俺は記憶が無い…だからお前の名前を借りさせてもらうぜ)

藤木(じゃあ普段の生活は僕でいいよね?)

闇藤木(困った時になれば、すぐに俺に代わってくれ)

藤木(うん!)


まる子「ちょっと藤木!」

藤木「え?」

たまえ「どうして先生に嘘なんてついたの!?」

藤木「僕…嘘なんてついてないよ……」

まる子「あんたの所為でたかしくんが傷だらけになっちゃったんだよ!」

永沢「卑怯者の彼に何を言っても無駄さ」

藤木「永沢くん…」

まる子「たかしくんに謝んなよ!!」

藤木「どうして僕なのさ!!」

ガラガラッ

たかし「…」

まる子「たかしくん!」

丸尾「ずばり!怪我は大したことなかったでしょう!」

関口「おい、たかし」

佐々木「皆に心配かけたから土下座して謝れよ」

たかし「……」

まる子「そ、そんなのする必要ないよ!」

たまえ「そうだよ!たかしくんは何も悪くないんだから!」

藤木(たかしくんを助けないと…!!)

ヴヴヴヴヴヴ!!

闇藤木「ふぅ…」

関口「さっさとしろよ!!」

グイッ

たかし「うっ…」

闇藤木「待てよ」

関口「ふ、藤木!テメェさっきからうぜぇんだよ!」

まる子「藤木は引っ込んでて!」

闇藤木「なに勘違いしてんだ?」

たまえ「え?」

闇藤木「この圧倒的ピンチを打開する策が見つかったのによ…」

まる子「策……?藤木、あんた助けてくれるの?」

たかし「藤木くん……」

闇藤木「たかし、頭が高いんだよ」

グリグリ

闇藤木はたかしの頭を踏みつける

関口「ひゃははは!コイツ助けるとか言って踏みつけてやがる!」

佐々木「あははははは!!」

まる子「藤木!!あんたやっぱりクズだよ!!」

たかし「うぐぐぐ」

闇藤木「俺がたかしを踏みつけてるのに免じてこの辺で許してくれないか?」

関口「分かったよ…今日はもうこの辺にしといてやるよ!」

闇藤木「良かったなたかし」

たかし(ひどいひどい…)

キートン「そして放課後」

まる子「たかしくん!一緒に帰ろう!」

たかし「まるちゃん…」

たまえ「そうだ!3人で遊ぼうよ!」

まる子「あ、ナイスアイディアだねぇ~」

たかし「何して遊ぶの?」

たまえ「デュエルモンスターズだよ」

たかし「僕も最近始めたんだ!」

まる子「あたしゃ最近の遊びにはついていけないさ」

キートン「あんた一体いくつだ」

たかし「じゃあ、早く行こうよ!」

まる子(たかしくん…久し振りに笑顔見せてくれたよ…)

関口「けっ、たかしの奴…仲良く女子とデュエルモンスターズかよ」

佐々木「それより…盗難って誰がしてるんだ?」

関口「さぁな…俺も実際の所犯人は知らねぇし…」

佐々木「噂では丸尾が怪しいって聞いたぞ」

関口「そういや、最近遅刻が多いよな丸尾のやつ……」

佐々木「今度たかしと一緒に詰めようぜ」

関口「へへっ!いいなそれ!」


藤木「僕も帰ろうかな」

永沢「一緒に帰ろうか」

藤木「うっ…永沢くん……」

永沢「嫌そうな顔だね、僕と帰らないと君は1人だよ?」

藤木(クッ……)

永沢「帰りにカードショップに寄ろうと思ってね」

藤木「カードショップ?」

永沢「学校の近くに新しく出来たみたいなんだ」

藤木「へぇー僕も行ってみたいや」

永沢「じゃあ、紹介料として1パック奢ってくれるよな」

藤木「え……」

永沢「断るなら別にいいけど、君だけ初期デッキで終わるね」

藤木「わ、分かったよ!1パック奢るから!」

永沢「交渉成立だね」

藤木(何て卑怯な男なんだ……)

―公園―

たかし「よし!僕はブラックマジシャンを召喚!!」

まる子「うわぁ~すごいキラキラに光ってるねぇ」

たまえ「これがウルトラレアなんだ…」

たかし「えへへ…お母さんが単品で買ってくれたんだ!」

まる子「単品で?」

たまえ「カードショップとかでバラ売りされてるんだ」

たまえ「ウルトラレアだと1枚2000円以上はするよ」

まる子「えぇー?こんな紙切れ1枚にそんなにするの~?」

たかし「ブラックマジシャンは5200円だよ」

たまえ「!!」

たまえ「あ、デュエル中だったね」

たかし「たまちゃんの番だよ!」

たまえ「私はヴィジャ盤全部揃ったから、勝ちだよ」

たかし「そ…そんな……」

まる子「あんた変なデッキなんだねぇ」

たまえ「相手を呪って倒すのって魅力的だからね」

キートン「あんたそんな趣味があったのか」

たかし「でも、ブラックマジシャンが出せたからいいや!」

まる子「たかし君のエースカードなんだね」

たまえ「初期カードとしてはレアなカードだよ」

たかし「お母さん…ホントは家が貧乏なのに買ってくれたんだ……」

―カードショップ―

店員「いらっしゃさぁせぇ」

藤木「すごいや!中はこんなに広いんだね!」

永沢「この街では最大のカードショップだからね」

永沢「お金さえ払えば店員とデュエルだって出来るのさ」

藤木「まさかそのデュエル料って…」

永沢「君が払うに決まってるだろ?」

藤木「そ、そんな…パックも奢ってそれも奢るなんて…」

永沢「藤木くんはケチな男だな」

藤木「…」

永沢「女子から最も嫌われる男だよそれは」

藤木「じょ、女子から…?それなら払うよ……」

永沢「今一瞬君がかっこよく見えたさ」

藤木「あれ?単品でも売ってるんだ」

永沢「ガラスケースに保存されてるカードはどれも高価だよ」

永沢「このクリアファイルに入ってるのはレアだけど安物さ」

ペラペラ

藤木「えぇ?僕のバーバリアンが10円!?」

永沢「10円でも高いぐらいだよ」

藤木「そ…そんなぁ……地元では最強のカードとして慕われてきたのに」

永沢「初期のレアカード達も安物扱いだね」

藤木「ブルーアイズは150円……ブラックマジシャンは50円か」

永沢「時代の流れを感じる」

たまえ「5200円って大金だもんね」

たかし「お母さん、毎日夜遅くまで働いてるんだ」

まる子「お母さん働いてるの?」

たかし「うん…スーパーでいっつも働いてるよ」

たまえ「毎日働いてたら、たかし君1人で寂しくないの?」

たかし「お母さんが飼ってくれた犬もいるし大丈夫だよ!」

まる子「全くうちのお母さんも見習って欲しいもんだよ~」

キートン「何様だ」

たかし「今度の日曜日、お母さんとデパートに行くんだ!」

たまえ「へぇー良かったね!」

たかし「1ヶ月に1度だけデパートに連れて行ってくれるんだ」

藤木「デュエル広場で誰かしてるよ!」

永沢「入場料の500円を2人分出してくれないかい」

藤木「う、うん…」

スッ

永沢「毎度あり」

店員「それでは中へどうぞー」

藤木「あれ?思った以上に人は少ないね」

永沢「平日の昼間はまだ少ないさ、夕方になれば高校生や社会人も来るよ」

藤木「へぇー」

永沢「あそこでデュエルしてるのって…」


戸川先生「いきますよ?私は手札からスカイスクレーパーを発動します」

子供「ぎぇぇぇぇ」

藤木「先生!?」

戸川先生「さぁ舞台は整いました」

子供「クッ…でも俺のアンティークギアゴーレムの攻撃力は3000!」

戸川先生「スカイスクレーパーのフィールド魔法により」

戸川先生「私のフレイムウィングマンは3100となります!」

子供「!!」

戸川先生「スカイスクレーパーシューートーォォォ!!!」

子供「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!!」

戸川先生「ゴーレムの攻撃力分のダメージを受けてもらいますよ」

子供「クソッ…また負けた…」

戸川先生「貴方のデッキは少しヘビーな感じがしますね」

戸川先生「もう少し低コストのカードを入れてみてはどうですか?」

子供「そうするよ…」

藤木(すごい、先生があんなに強いなんて)

戸川先生「それでは、私はこれで失礼します」

永沢「先生」

戸川先生「どけっ!!」

ドスッ

永沢「うっ…」

先生は逃げるように店を出て行った

藤木(先生ナイス)

永沢「ふ、ふん…見られたくない場面を見られたからってあんな態度を取らなくてもいいじゃないか」

藤木「皆には黙っておこうよ」

永沢「うん」

藤木「相手もいないし、公園で遊ぼうよ」

永沢「まぁ、無駄な出費をしたのは君だからいいけど」

藤木「……」

まる子「このエースカードってどこで手に入れたのさ?」

たかし「お母さんはオークションで落としたって言ってたよ」

たまえ「オークションなら古いカードも出品されてるからね」

まる子「たまちゃん詳しいんだねぇ~あたしゃ関心しちゃうよ」

たまえ「よくパソコン使ってオークションするからね!」

スタスタ

藤木「あれ、さくら達…」

永沢「こんな所でデュエルモンスターズかい?」

まる子「あんた達こそ何の用なのさ!」

永沢「僕達はカードショップに寄ったついでだよ」

たかし「カードショップ?」

藤木「新しく出来たんだ!カードもいっぱい売ってて!」

たかし「へぇー僕のカードも売ってるかな?」

永沢「ブラックマジシャンかい…?」

たかし「うん!お母さんが5200円で買ってくれたんだ」

藤木「そのカード50円で売ってたよ」

まる子「えぇ!?たかしくんボラれたねぇ~!」

たかし「うそだ…このカードがそんな安い訳ない!!」

たまえ「もしかすると、お母さんがオークションで騙されたのかも…」

まる子「詐欺なんてあるの?」

たまえ「よくあるケースだよ…結局は本人の見極めが重要になってくるし…」

永沢「君の家貧しいのに、余計な出費をしたね」

たかし「ひっくひっく……」

藤木(何だろう…今のたかしくんを見て笑いが止まらないや…)

藤木(50円なのに5200円って…ぷっ…)

たかし「僕……お母さんに謝ってくる…」

まる子「たかしくん…」

スタスタ

関口「よぉ、たかし」

佐々木「探したぜ」

たかし「ヒッ…」

たまえ「関口に!佐々木!」

関口「ヒッ…ヒッ…」

まる子(2人の様子がおかしい…?)

佐々木「今無性に気持ちいんだよ!だからお前をいじめにきたんだよ!!」

たかし「え…」

まる子「意味わかんないよ!今度はあたしが護るよ!」

永沢「…」

藤木「永沢くん帰ろうよ、さくら達がしてることは偽善に過ぎないよ」

永沢「卑怯者は帰ればいいさ」

藤木「うっ」

佐々木「あ?なんだタマネギ!!」

永沢「デュエリストなら…デュエルで勝負しろよな…!」

関口「テメェ……」

たかし「永沢くん…」

永沢「僕が相手するよ」

関口「ヒッ…テメェが精神を保っていられたらな」

永沢「何だと…?」

ズズッ

佐々木「俺達とするデュエルは普通のデュエルじゃねぇぞ」

たまえ「もしかして…闇のデュエル!?」

関口「ヒッヒッ…その通りだ……」

公園全体が黒い闇に包まれる

永沢「…こ、これは…」

佐々木「普通の人間じゃ意識すら保ってらねぇよ…」

永沢(クッ!!身体が苦しい…!!)

まる子「何これ……意識が…」

永沢「ぐぁっ!!」

バタッ

永沢は思わずその場でうずくまった

佐々木「どうやらお前じゃデュエルできねぇな…」

まる子「苦しい…」

たかし「あうっぁあああ」

佐々木「さぁ、どうすんだ?」

関口「俺達2人と戦う奴はよ」

たかし「ぼ……僕が戦う……!」

関口「へぇ、そんな状態で戦うなんて偉いな」

藤木(たかしくん…!そんな状態で戦うなんて無謀すぎる!)

……ヴヴヴヴヴ!

藤木「!!」

闇藤木(相棒……俺の時間だぜ…!!)

闇藤木「俺も参加するぜ、そのデュエル」

ドンッ

関口「何だと?」

佐々木「だったら、関口1人に任せるぜ」

関口「フッ…じゃあ俺とたかし、藤木の3人でトライアングルデュエルだ!!」

闇藤木「ふん、面白いから受け立つぜ」

たまえ(これは実質2対1のようなもの…!関口は不利だね!)

たかし「じゃあ……ぼ、僕もそうするよ」

関口「ヒャハハハ!!ライフ0は死を意味するぜ!!」

たかし「!!」

闇藤木「…やっぱ死ぬのは嫌だから、闇のゲーム止めないか?」

佐々木「今更止めれる訳ねぇだろ!!」

闇藤木「チッ」

関口「誰か1人でもLP0になれば終了だ!」

闇藤木「関口…お前から消し飛ばしてやるぜ」

関口「へっ、ほざいてろよ」

たかし「藤木くん…!一緒に協力して倒そう!」

闇藤木「ああ!あのクズ野郎を抹殺してやろうぜ!」

関口「ヒャハハハ!それは俺に勝ってから言え!」

キートン「デュエルスタンバイ」

関口→たかし→藤木

関口「この順番でいくぞ!!」

たまえ「ゴクリ…いよいよ闇のデュエルが始まる…」

関口「俺のターンドロー!!」

関口「ククッ…俺は岩石の巨兵を守備表示で召喚」

守備力2000

関口「カードを2枚伏せてターンエンドだ」

関口 LP2000 手札3枚

モンスター/岩石の巨兵(守備表示)

魔法、罠/【1】【2】

たかし「じゃあ僕のターン…」

闇藤木(ドローですら弱々しいな…)

たかし「…僕はホーリーエルフを守備表示で召喚」

守備力2000

たかし「カードを1枚伏せてターンエンド」

たかし LP2000 手札4枚

モンスター/ホーリーエルフ(守備表示)

魔法、罠/【1】【2】

たかし「ターン終了だよ」

闇藤木「よし、俺のターンだ」

闇藤木「ドロー!!」

たまえ(ドローの仕方まで卑怯になってる…)

闇藤木(よし、デッキを仕組んだお陰で最高の引きだぜ)

闇藤木「俺は格闘戦士アルティメーターを召喚!」

☆3/攻700/守1000

闇藤木「おっと!守備表示だぜ!」

闇藤木「ターンエンドだ」

たかし(な、何も伏せないの…?)

闇藤木 LP2000 手札5枚

モンスター/格闘戦士(守備表示)

魔法、罠/なし

関口「はっ!コイツがバカなデュエリストで助かったぜ!」

関口「俺のターンだ!いくぞ!」

関口「クハハハハハッ!」

たかし「ゴクリ…」

関口「そして、手札から守備封じを発動!!」

闇藤木「そ、そいつは!」

関口「直接攻撃が出来ないこのルールでは重宝されるカードだぜ」

関口「藤木の格闘戦士を守備から攻撃表示に変更させる!」

闇藤木「なに!?」

たかし(マズイ…これで藤木くんに攻撃が加われば…)

たかし(藤木くんが負ける…!!)

関口「ようし、これでテメェの負けだ!いけブルーアイズ!!」

たかし「…待ったァ!速攻魔法…ディメンションマジックを発動するよ!」

関口「なにぃ……?」

たかし「このカードは自分の場にいる魔法使いモンスターを一体リリースし…」

たかし「手札から新たな魔法使いモンスターを場に特殊召喚する!」

関口「けっ…それを出した所で何の意味が…」

たかし「僕はホーリーエルフをリリースし、ブラックマジシャンを召喚!」

たまえ「出た!50円カード!」

たかし「そして…ディメンションマジックのもう1つの効果は…モンスターを1体破壊することができる」

関口「なんだと」

たかし「僕が破壊するのは…ブルーアイズだ!」

ドガンッ!!

関口「くっ…たかしテメェ…!!」

闇藤木「ナイスだたかし!」

たかし「へへっ///」

関口「チッ…俺はターン終了だ」

関口 LP2000 手札3枚

モンスター/岩石の巨兵(守備表示)

魔法、罠/【1】【2】

たかし「僕のターン!」

たかし(次の藤木くんのターンで関口くんを倒してもらいたい…)

たかし「僕はブラックマジシャンで岩石の巨兵を攻撃!」

関口「バカが!!伏せカードオープン!聖なるバリアミラーフォース!!」

たかし「!?」

関口「テメェの場に存在する表側表示モンスターは破壊してもらうぜ」

たかし「ブラックマジシャン!!」

たかし「でも、まだ僕は通常召喚が残ってる!」

関口「へっ」

たかし「エルフの剣士を攻撃表示で召喚!」

攻撃力1400

たかし「僕はターンエンド…」

たかし LP2000

モンスター/エルフの剣士(攻撃表示)

魔法、罠/【1】

たかし(次の藤木くんのターンに託すしかない…)

闇藤木「たかし…お前の気持ちは受け取ったぜ!!ドロー!!」

闇藤木「……」

たかし「関口くんのモンスターを頼んだよ!」

闇藤木「ああ…行くぜ」

闇藤木「手札から昼夜の大火事を3枚発動!!!」

たかし「!!」

たまえ「あのカードは相手のLPを800削るカード!」

たかし「これなら関口君を倒せる…!!」

関口「クソッ…!」

闇藤木「ダメージを食らってもらうのは、お前だたかし」

たかし「…………え」

関口「ヒャハハハ!裏切られたなたかし!」

闇藤木「…すまん」

たかし LP0

たかし「そ…んな……」

闇藤木「それと、まだ俺はターンを続けなければならない」

たかし「え?」

闇藤木「手札から速攻魔法…バーサーカーソウルを発動してしまってるからな」

たまえ「や・・やめて藤木!!」

闇藤木「手札を全て捨て…効果発動!!」

闇藤木「この効果により俺の場にいる1500以下の格闘戦士は」

闇藤木「俺が何枚もドローし、モンスターが出る度に追加攻撃を行える!」

たかし「え…え……」

闇藤木「まず1枚目!!!」

闇藤木「モンスターカード!!」

グシャッ

たかし「うあああああああ!!」

闇藤木「2枚目…モンスターカード!!!」

たかし「ぐああああああ」

たまえ(藤木のデッキは魔法カードは3枚だけであとは残りモンスターカード…!)

たまえ(バーサーカーソウルはモンスターが出続ける限り攻撃は行わないといけない!)

闇藤木「3枚目!!モンスターカード!!」

たかし「ぐあああああああああ!!」

関口「けけけっ…ざまぁみろだぜ」

佐々木「いい光景だな」

キートン「1時間後」

闇藤木「29枚目!!!モンスターカード!!」

グシャッ

たかし「ウッァ……」

たまえ「藤木もう止めなよ!!!」

闇藤木「ハァハァ………」

たまえ「たかしくんはもう死にかけてるんだよ!?」

闇藤木「悪い、熱くなりすぎだ…」

キートン「こうして闇のデュエルは終わりを告げた」

たかし(お母さん…お母さん………)

関口「罰ゲームだ!お前のブラックマジシャンは頂くぜ!」

たかし「あ…!!」

佐々木「関口…そのカード大切みたいだぜ」

関口「へぇ~じゃあこうしてやろっか」

ビリビリッ

関口はブラックマジシャンを真っ二つに破る

たまえ「!!」

たかし「………」

たかし「お母さんが買ってくれた…カード!!!」

たかしは初めて関口に反抗をした

関口「うるせぇよ!!」

ドスッ

ハイキックを浴びせられるたかし

たかし「うあああああああああ!!」

闇藤木「たかし…そんな50円カードもういいだろ」

たかし「僕…僕にとったら……お金で買えないぐらいの価値があるカードなんだよ……!!!」

キートン「たかしの回想シーン」

たかし母「…こほっこほっ」

たかし「お母さん風邪?」

たかし母「あら風邪なんかじゃないわよ」

たかし「でも…今咳してたし……」

たかし母「お母さんは大丈夫よ、それよりこれ…」

スッ

たかし「これって…」

たかし母「オークションでだけど、落札出来たのよ」

たかし「ブラックマジシャン……」

たかし母「これで、たかしも仲間外れにされないでしょ?」

たかし「お母さん……これ高かったんじゃないの?」

たかし母「お金の心配はいいのよ!たかしの笑顔を見せてくれるだけでいいんだから!」

たかしの母は給料では買えない分

朝と昼のご飯を抜き、節約しお金を貯めていたのであった

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