雪ノ下「比企谷君、誕生日プレゼントをあげるわ」 (144)

八幡「え」

雪ノ下「なにかしら。せっかくのプレゼントを、まさか受けとれないとでも言うつもり?」

八幡「いや、意外だっただけだ」

八幡「ありがとな」

雪ノ下「どういたしまして。早速開けてみて欲しいのだけど」

八幡「ああ」

八幡(大した包みじゃないし、小物か?)

八幡「……これは?」

雪ノ下「私の部屋の鍵よ」

八幡「お前の部屋の鍵、えっ?」

雪ノ下「比企谷君でもさすがに鍵の使い方は判るわね?」

八幡「そりゃわかるがって…」

雪ノ下「そう、主夫を目指すために私の部屋で花婿修行するという趣旨も理解してもらえた様で幸いかしら」

八幡「」

雪ノ下「池の鯉みたいに口をパクパクとさせて何のマネ?鯉のマネなのは判るのだけれど」

八幡「…ちょっと待ってくれ、落ち着いて1から状況を確認していこう」

雪ノ下「いちいち説明が必要なことかしら?」

八幡「おい、その何でこんなこともわからないの?馬鹿じゃないのみたいな首の傾げ方はやめろ、傷つくし本当に理解の範疇をこえているんだ」

雪ノ下「仕方ないわね、貴方のペースにあわせて上げましょう」

八幡「……」

雪ノ下「どうしたの、気になることがあったら早く言いなさい?」

八幡「…ま、まず…どうして俺が主夫を目指すために花婿修行をするんだ?」

雪ノ下「比企谷君、目だけでもなく脳みそまで腐ってしまったのかしら」

八幡「腐ってるかもな、じゃなくて」

雪ノ下「主夫希望といったのは貴方自信だったとおもうのだけれど?」

八幡「そうだな、それは間違っていない」

雪ノ下「それにここは奉仕部で、そして生徒の悩み解決の手助けもすると」

八幡「あぁ、だからそれがどうして」

雪ノ下「もちろん貴方もその対象であるわ、だから私としては貴方が立派な主夫業につけるように手伝ってあげようというのだけれど」

八幡「……それとお前の鍵との関連性は…」

雪ノ下「本当にわからない?」

八幡「…わからんな、むしろ判ってはいけないような気がする」

雪ノ下「貴方は主夫になりたいのよね?であれば女性である伴侶は仕事をして稼げるような人間ではなくてはいけないとおもうの」

八幡「確かにそうなるな、だからといって」

雪ノ下「そして奉仕部は私と由比ヶ浜さんとにぶ企谷君の3人」

八幡「おい、今なんていった」

雪ノ下「つまり、私か由比ヶ浜さんの二人で貴方の手助けをすることになるとなれば、あとはわかるかしら?」

八幡「……だったら由比ヶ浜でもいいってことになるよな?別に由比ヶ浜がいいってわけでもお前がいやというわけでもないが」

雪ノ下「…本気でいっているのかしら?」

八幡「すまんが、理解できかねるのでな」

雪ノ下「考えてもみなさい、由比ヶ浜さんは確かに容姿はいいし、社交的で他人受けもいいでしょう就職もできるとおもうわ」

八幡「あぁ、そうだな」

雪ノ下「でも、たぶん比企谷君を養っていくまで稼ぐような仕事に就くのは不可能だとおもうの」

八幡「…」

雪ノ下「私ならばもしも比企谷君を養うような最低な将来が待っていたとしてもそれを乗り越えるだけの力がある、わかるわね」

八幡「」

雪ノ下「もうその物まねは飽きてきたのだけれど」

いいね

雪ノ下「そして、私は一人暮らしつまり練習相手としては最適と考えられるわ」

八幡「……」

雪ノ下「だから、私が苦渋の選択を……貴方にこの苦悩が理解できるかしら?たぶんできないわね」

八幡「雪ノ下、無理に俺の夢を実現しようとしなくてもいいんだぞ…」

雪ノ下「…それに私が貴方がほかの女性と一緒に生活するなんて協力できるわけないじゃないの」ポツリ

八幡「ん…?」

雪ノ下「なんでもないわ、とにかく今日の放課後から私の部屋で生活それでいいかしら?」

八幡「いやいやいやいや、根本的におかしいぞ」

雪ノ下「あっ…」

八幡「気がついたか?だよな雪ノ下さんともあろうかたが根本的な問題に気がつかないわけが」

雪ノ下「わ、私の部屋で生活といってもベッドは別よ?」

八幡「」

雪ノ下「き、協力はするといったのだけれども…そ、そこまで許したわけではないということだけは理解してほしいかしら…?」

八幡「」

雪ノ下「可能性はないとも……なんでもないわ忘れなさい」

八幡「……れ、冷静になれいいな?」

雪ノ下「大丈夫私は冷静よ」

八幡「いいか、そもそも俺とお前の関係は?」

雪ノ下「同級生」

八幡「okok、そして俺は男、お前は」

雪ノ下「女性、何がいいたいのかしら?」

八幡「…そして、こんな言葉を俺の口からいうとはおもってもいなかったが…思春期真っ盛りの年頃の男女」

雪ノ下「それがどうしたのかしら?」

八幡「まずいだろ?姉弟もしくは兄妹でもない年頃の男女が一緒で生活するなんて」

雪ノ下「同棲くらい、私は気にしないのだけれども」

八幡「言った?言っちゃったよ!俺があえて避けているその言葉を!」

雪ノ下「私が他人の評価や意見を気にするような正確ではないのはしっているのでしょう?」

八幡「…とかいいながらすげー気にしてたよな…」

雪ノ下「何か言ったかしら?」

八幡「……」

八幡「それにうちだってきっと反対するにきまってる…」

雪ノ下「それなら小町さんを通してご両親に了解はとってあるわ」

八幡「」

雪ノ下「小町さんに私の部屋で比企谷君と同棲するって説明したら、全面的に協力しますって二つ返事でおkをいただいたのだけれど」

八幡「」

雪ノ下「まぁうちの方には説明はしていないのだけれど、気にしなくていいわ私の事は私で決めたいから」

八幡「」

そして

雪ノ下「貴方の荷物はそこにおいて」

八幡「…」

雪ノ下「貴方用のベッドは注文してあるから、届くのは夜になるわ」

八幡「…あぁ」

雪ノ下「そうそう、主夫のための花婿修行といっても別に家事を全部任せるつもりはないから」

八幡「…あぁ」

雪ノ下「私の洗濯物は私がやるので、そこだけは手を出さないでほしいのだけれど?ほしいのだけれど?」

八幡「…あぁ」

雪ノ下「いつもよりもさらに腐ったような目つきで腐ったような返事…本当に私の話をきいているのかしら?」

八幡「…本人の同意もなしに半ば拉致のようなことをしておいて」

雪ノ下「この際、貴方の意思は放って置いてもいいとおもうのだけれど」

八幡「よくねーよ」

雪ノ下「これも奉仕部の活動だとおもってがんばってほしいかしら」

八幡「それ免罪符になってもいねーから」

雪ノ下「それとやはり共同生活をするにあたってある程度ルールを決めておくべきだとおもうのだけれど」

八幡「聞く耳持たずか…」

雪ノ下「そうね、いろいろあるけれどまずは…」

八幡「風呂の時間とかトイレとかそういうことだな、わかった…もうあきらめたから好きにしろ」

雪ノ下「そんな些細なことではないのだけれど、そう好きにしていいのね」

八幡「どうせ俺に選択の余地はないんだろ?」

雪ノ下「そんな理解のいい比企谷君なんてなんか薄気味わるいのだkれど」

八幡「……」

雪ノ下「私からお願いしたいルールは、私の部屋ではお互いを下の名前で呼ぶこと」

八幡「…は?」

雪ノ下「そうでしょう?花婿修行、つまり結婚の練習というわけ」

八幡「……」

雪ノ下「私も仕方なく貴方のことをこの部屋の中では八幡と呼ばせてもらうから、貴方も私のことを雪乃と呼ぶことを許可します」

八幡「…あのさゆきのしt」

雪ノ下「何かしら、八幡?ちょっと聞こえなかったのだけれど」

八幡「ゆきのしt」

雪ノ下「間違えないでね八幡、私の名前は雪乃」

八幡「…ゆき…n」

雪ノ下「……」

八幡「乃…」

雪ノ下「呼んだかしら?八幡」

八幡「……」

雪ノ下「あっ、だからといって学校や外で名前で呼んだりしないように注意して」

八幡「……」

雪ノ下「わ、私は別に気にしないのだけれど、ほかの人が不思議がるでしょう?由比ヶ浜さんあたりは」

八幡「…そりゃ不思議がるだろうな、まぁ俺はいわないとおもうけど」

雪ノ下「ならいいのだけれど、くれぐれも本当に由比ヶ浜さんの前でだけはいってはダメわかったわね?」

八幡「…了解、はぁ」

ピーンポーン

雪ノ下「…ベッドが届いたみたいね、八幡ちょっと手伝って」

八幡「俺が何を手伝えばいいんだ?搬入は業者がやってくれるんだろ、雪ノ下」

雪ノ下「雪乃!」

八幡「…雪乃」

八幡「…おい、これ本当に俺用か?」

-天蓋つき高級キングサイズベッド-

雪ノ下「不満かしら?居候とは言え仮にも伴侶設定なのだから、主人としてはこれくらいの懐の広さを見せたいのだけれど」

八幡「…俺、こういうのはちょっと…そうだ、ゆ、ゆきn…雪乃がコレで寝ろよ、俺がお前のべっっどで」

雪ノ下「八幡、そういうのは関心できないわね」

八幡「ゲストがこんなので寝るってのは落ち着かないだろ」

雪ノ下「そんなこといって私が普段寝ている寝具のにおいを嗅ぐという行動にでるのでしょう?合法的に」

八幡「」

雪ノ下「八幡、そんなぎりぎり犯罪者を回避するような姑息な考えはやめなさい」

八幡「俺は別にそんなこと考えてねーよ」

雪ノ下「どうかしら?そうだ、そういう考えならば」

ピピピッ

八幡「電話?まて早まるな俺はまだ何もしていない!だから」

雪ノ下「あっ、不用品回収業者の○○さんですか、大至急ベッドを回収してほしいのだけれど」

八幡「へ?」

雪ノ下「住所は――」

八幡「別に買ったばかりのベッドを捨てなくても」

雪ノ下「何をいっているのかしら?捨てるのは今まで使っていた私のベッド」

八幡「はい?それだとお前はどこで寝るつもりなんだそこまでして俺にここに寝かせたいのか?」

雪ノ下「あっ、うっかり、失念してタワー」

八幡「おい、そのわざとらしい台詞…なんだ」

雪ノ下「そうね、家主である私が床でねて、八幡がベッドというのもおかしな話かしら」

八幡「そう、だから俺が床でねるという一番効率のいい提案をするぞ」

雪ノ下「仕方がない、今日はこのベッドで二人で寝ましょう緊急事態だから」

八幡「」

いいぞいいぞ

雪ノ下「さてと私はシャワーを浴びてくるわ、くだらない議論をしていたら汗をかいてしまったみたいだし」

八幡「……好きにしろ畜生」

雪ノ下「畜生のような貴方が畜生というのは滑稽なのだけれど自虐ネタかしら?」

八幡「はいはい、俺はどうせ意見も無視される犬畜生以下ですよ」

雪ノ下「それよりも、大事なことを伝えておくわ、お風呂の扉の内鍵が壊れてしまっているのだけれど…」

八幡「のぞかねーよ!!」

雪ノ下「もちろん、信用はしているわ…だけど」

八幡「そんな人を疑うような目で見るくらいなら俺と同棲なんて危険極まりないことを考えた自分を後悔しろ!」

雪ノ下「私にだって間違えることはあるわ」

八幡「そこはせめて否定しろよ」

そして夕食後

雪ノ下「ご馳走様でした、小学校家庭科レベルとはいっていたのだけれどそれなりに美味しかったかしら」

八幡「はいはい、そいつはお粗末様でしたって」

雪ノ下「ところで話は戻るのだけれど」

八幡「また風呂の話かよ、俺は覗いてねーっていったろ」

雪ノ下「聞いたけど…にわかに信じられないというのが本音かしら…」

八幡「だったら俺を今すぐに追い出すという名の解放を要求する」

雪ノ下「もしかして、私が入浴中に…クローゼットの中の衣類のにおいを嗅いだりしてた…という可能性が…」

八幡「……もう俺帰っていいかな」

雪ノ下「ダメよ!八幡、そんなひねくれた性癖をもっているのはよくないとおもうの」

八幡「…あのさ、何をいっても信用してくれないしそれをすることによって追い出されるなら俺は喜んで外道に落ちるが?」

雪ノ下「それもそうね、いきなり私の部屋から追い出されるような馬鹿な真似はしないということね」

八幡「また独自の解釈ですか、もうあきらめてるからいいけど」

雪ノ下「さてと下らない会話をしていたら眠くなってきたのだけれど…?」

八幡「はいはい、主夫である俺が後片付けするんで、家主である雪乃さんはお先にお休みください」

雪ノ下「八幡いっておくけど、床やいすで寝るようなマネは…」

八幡「もう反論しねー、あきらめてベッドの隅っこで寝る」

雪ノ下「そう信用しているわ、八幡」

八幡「説得力ねぇ…」

雪ノ下「私は信用しているわよ?八幡のことは」

八幡「本当か?そうなると今までのやり取りは否定されるんだが?」

雪ノ下「だから八幡は信用しているわ、ただし八幡の性癖までは信用していないのだけれど」

八幡「……」

雪ノ下「…それにしても今夜は暑いわね、もう1枚脱ぐしかないわね」

八幡「ば、馬鹿!」

雪ノ下「失礼ね私に馬鹿とは、それとも何?八幡は私より知的でとでもいいたいの?」

八幡「そうじゃねーよ!パジャマの上着まで脱いだら下着じゃねーかそんな格好するな」

雪ノ下「暑いから脱ぐ、当然ではなくて?」

八幡「そうだ、エアコンをもうちょっと強めにしろ!な?温度設定をもうちょっと下げて」

雪ノ下「やめなさい、八幡そんな今のエコライフ時代に逆らうようなマネは」

八幡「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!」

雪ノ下「それとも、八幡は私の下着姿に欲情してしまうのかしら?先ほど信用しているといった私の言葉を否定するのだけれども」

八幡「とにかくだ!脱ぐな着ろ!」

雪ノ下「これ以上口論しても無駄のようね」

八幡「判ってくれたか?」

雪ノ下「疲れたから私は寝るわ」

八幡「結局、俺の意見はまた無視かよ!!!」

寝室にて

雪ノ下「……」

八幡「ねてるか?」

雪ノ下「……」

八幡「…寝てるな?寝てるよな?」

雪ノ下「……」

八幡「…それじゃ隅っこに…」ゴソゴソ

雪ノ下「……」

八幡「ふぅ……」

ギュッ

八幡「なっ!?」

八幡「お前おきてたのかって、何で抱きついてるんだ!おい」

雪ノ下「……一緒にお気に入りの抱き枕すててしまったの」

八幡「抱き枕だぁ!?んなのなかったねーか」

雪ノ下「……捨ててしまったの!家主の意見を信じなさい」

八幡「っていってもな、ちょっと離れろよ!」

雪ノ下「…あの抱き枕がないと最近は眠れないの…よ…だから今日は八幡が代用品になりなさい」

八幡「落ち着け馬鹿お前、いま下着姿だろ!ダイレクトにあt……」

雪ノ下「この際そんな些細なことは我慢してあげるわ、感謝してほしいくらいね」

八幡「この感触が本物…じゃなくてやめろ俺だって男なんだぞ!」

雪ノ下「男だったらなんだって言うのかしら?」

八幡「…だから…お、おs…」

雪ノ下「なんだっていうの?どうせ、私みたいな……のより…由比ヶ浜さんのような…」ボソボソ

八幡「…雪ノ下?」

雪ノ下「…どうせ、気がついてるくせに…そうやって気がつかない振りは卑怯よ」

八幡「おい、雪ノ下、お前なにを…」

雪ノ下「雪乃!!」

八幡「雪乃…じゃなくてさ…お前今なんて」

雪ノ下「ほら、今日はおとなしく抱き枕になっておきなさい!明日ちゃんと本物かってくるから」

八幡「……わかったよ」

翌日

由比ヶ浜「ねぇー今日のヒッキーとゆきのんちょっとおかしくない?」

戸塚「やっぱり由比ヶ浜さんもそうおもう?八幡たちなんかぎこちないっていうか距離感が変だよね…」

由比ヶ浜「なんかあったのかな?まさか喧嘩?そんなのよくないよ!」

雪ノ下「由比ヶ浜さん聞こえているのだけれど」

由比ヶ浜「あっ、あはははっごっめーん、でも二人がわるいんだよ?喧嘩なんてだめだしー」

八幡「別に喧嘩なんてしてねーぞ、な?」

雪ノ下「…そうね、する必要すらないわね」

由比ヶ浜「そう、ならいいんだけど…」

雪ノ下「…あそこまでして手を出さない男なんかと喧嘩するはず」ポツリ

由比ヶ浜「?」

雪ノ下「それと、今日放課後買い物にいきたいからちょっと早めに失礼するわね」

由比ヶ浜「買い物行くの?いいなー私もいきたーい」

雪ノ下「今日はちょっと…ごめんなさい、由比ヶ浜さん今日は遠慮してもらってもいいかしら?」

由比ヶ浜「あっ、別に謝らないで、気にしないでいいし、っていうか言ってみただけだしー!」

雪ノ下「今度一緒に買い物いきましょう」

由比ヶ浜「約束だよ!あっ、ヒッキーは荷物もち決定ね!」

八幡「断る」

戸塚「あっ、僕も一緒にいきたいなー」

八幡「よし承った」

由比ヶ浜「……ヒッキーなんかひどい」

雪ノ下「さてと八幡、そろそろいくわよ」

八幡「…あぁ」

戸塚「あれ??」

八幡「…あっ」

由比ヶ浜「ゆきのん、今ヒッキーのこと八幡っていった?」

雪ノ下「…気のせいよ」

由比ヶ浜「いったよ?いったよね、今ヒッキーも『あっ』とかいったし」

雪ノ下「気のせいよ」

由比ヶ浜「…うーっそれはいいとしてもなんでヒッキーを呼んだの?」

雪ノ下「荷物もちをしてもらう約束を…ね、比企谷君」

八幡「そうなんだ、ってことでわるいな俺もこの辺で」

八幡「あれだけ注意しろって自分でいっておいてあのざまかよ、おい」

雪ノ下「何のことかしら?」

八幡「さっきお前俺の事八幡って呼んだろ」

雪ノ下「気のせいよ、きっと貴方の耳が何かで詰まっていてきちんと聞こえなかった可能性が高いわ」

八幡「だからこの嫌味交じりの会話は気のせいか?」

雪ノ下「私は事実と可能性をいっているのだからそれが嫌味に聞こえたのならきっと本当に詰まっているということかしら?」

八幡「…あーいえばこういう」

雪ノ下「ほら、今日も抱き枕にされたくないのなら黙って買い物に付き合いなさい」

八幡「…」

雪ノ下「それとも、なかなかの抱き心地の八幡枕が今日も代用品になってくれても一向に構わないのだけれど」

八幡「あのさ、本当にあんな格好で普通の男に抱きついたりしたらお前わかってるよな?」

雪ノ下「貴方のことは信用してもいいのでしょう?」

八幡「性癖は信用してないんだよな?」

雪ノ下「信用しているとも言えるし信用していないともいえるわ」

八幡「なにそれこわい」

雪ノ下「大丈夫、貴方が犯罪者になってしまったとしても私は一向に気にしないのだから」

八幡「俺が気にするわ!あっ小町は気にしてくれるな!きっと戸塚も信用してくれる…と信じたい」

雪ノ下「……」

グリッ

八幡「いてっ!いててておいなにすんだ」

雪ノ下「蚊があなたの頬にとまって刺そうとしえいたのを助けただけよ」

八幡「抱き枕つってもいろいろあるんだな、カバーはうーんこれもいろいろ」

雪ノ下「……」

八幡「雪ノ下さんは猫のカバーに御執心のようで」

雪ノ下「べ、別にそんなんじゃないわ」

八幡「そうか?やけに熱心に猫系のファンシーなカバーだけを手にとってチェックしていたようだけど」

雪ノ下「手にとって質感をチェックしていただけ、それにコレを選んだ事には他意はなく単に目の前にあっただけということ」

八幡「はいはい、そうっすね」

雪ノ下「人の顔をニヤニヤとよぞ着込まないでくれるかしら?」

雪ノ下「…ダメね理想の枕はここにはないわ」

八幡「コレだけ種類があればどれか1つくらい気に入ったものあるだろ?」

雪ノ下「ないものはないの、申し訳ないのだけれと今夜もお願いできるかしら?」

八幡「おい、まて少しくらい妥協しろよ、なじんでくるだろうし」

雪ノ下「決定事項」

八幡「……だったらエアコンを強めにしてちゃんと上は羽織れ!それが譲歩できる最大のラインだ」

雪ノ下「考えておくわ」

八幡「絶対だからな」

八幡「…で、また抱き枕代用品か」

雪ノ下「…ちゃんと着ているのだし問題がないはず」

八幡「間違った前提であることを忘れているかという振る舞いがここまでくると清清しいもんだな」

雪ノ下「抱き枕は抱き枕らしくおとなしく抱きしめられてなさい」

八幡「…うぃっす」

雪ノ下「……」

八幡「……」

雪ノ下「…ねぇ」

八幡「……」

雪ノ下「八幡は本当ににぶいの、それとも判ってない振り?」

八幡「……」

雪ノ下「…私は私なりに考えて、傍から見たらすごく間抜けなことをしているとおもう」

八幡「……」

雪ノ下「でも、私もこういう気持ちになるっていう経験が今までほとんどなかったのだから仕方ないのよ」

八幡「……」

雪ノ下「私にだって苦手なものはある、だけど貴方にだって良いものはある、私はそれを知ってるのだけれど」

八幡「……」

雪ノ下「馬鹿ね…何枕に話しかけているのかしら」

八幡「…あーあー」

雪ノ下「…はち…ま…ん?」

八幡「ここからは枕から発せられる雑音みたいなもんだ

俺はにぶい、そして判っているだが判らない振りをする選択肢を選ぶ

お前たちのいいところはわかる、そしてもちろんだめなところも判る

由比ヶ浜のすぐ人の顔色を伺う悪い癖も、お前の壊れてしまいそうなのに無理をしてしまう悪い癖も…

俺はそう最底辺な人間だ、それは間違いない、理解者は身内とたぶん俺の周りにいる数人だけだ

自分ではいいところがあるとはおもってもいないし、しかしそれがないところを卑下したりもしない

これが俺そのものだからな、事実なだけだ

二人の気持ちも理解している、だが正直戸惑いを感じる、同情ではないかと哀れみではないのかと

もちろん違うと信じたい、が…

それと自惚れである可能性と、そうでなくても受け入れてしまったときに壊れてしまう可能性も嫌なんだ

今は、この関係が心地よいとおもえてきてる」

雪ノ下「そう……」

八幡「でも、あそこまで言わせた俺はお前に答えを出さないのは卑怯だとおもう…」

雪ノ下「……」

八幡「ぶっちゃけ、俺はお前の事を好きだとおもう、いや好きだ…ただ由比ヶ浜のことも好きだ」

雪ノ下「……」

八幡「正直どうすればいいかわかんねーけど……」

雪ノ下「……」

八幡「明日学校で、奉仕部で二人の前で……その時答えを出すってことでいいか?」

雪ノ下「…」コクッ

奉仕部

由比ヶ浜「やっはーろー、ゆきのん、それとヒッキー」

八幡「うす」

雪ノ下「こんにちは」

八幡「由比ヶ浜」

由比ヶ浜「ん?なになに?」

八幡「話があるんだけど聞いてくれるか?雪ノ下と一緒に」

雪ノ下「……そう」

八幡「答えだすっていったからな」

雪ノ下「それじゃもう奉仕部での主夫ポートのための同棲は終わりって事で」

八幡「そうなるな」

雪ノ下「とりあえず放課後、うちまで荷物取りに来てくれるかしら?」

八幡「あぁ」

雪ノ下「それと…」

主夫ポート→主夫サポート


八幡「お前んちに挨拶いかないとな…」

雪ノ下「別に無視してもいいとおもうのだけれど」

八幡「本気で先を考えて交際するなら、ちゃんとしておかないとダメだろ?」

雪ノ下「…ありがとう」

八幡「なあなあで付き合ってなし崩しにできちゃいましたとかなったら」

雪ノ下「かまわないわよ?」

八幡「俺がかまう!だってそんなことになったらお前が俺の養うだけの仕事につけなくなるかもしれないじゃないか!」

雪ノ下「」

八幡「俺は主夫希望だ!そこは譲れない」

雪ノ下「大丈夫、八幡を養うだけの仕事には絶対つくから、貴方を手放すつもりはこれっぽっちもないのだし」

八幡「それにしても雪ノ下も変わってるよな?俺みたいなの…」

雪ノ下「俺みたいなのではないわ、貴方じゃないとダメなの」

雪ノ下「きっとこの先、貴方以上に私の事を理解してくれる男の人なんて現れないのだから」

八幡「そうか?そうじゃないかもしれないぞ?」

雪ノ下「それに貴方の理解者かつ養う力をもった女性が私以外に現れるとでもおもっているのかしら?」

八幡「………」

雪ノ下「でしょう?」

八幡「…そうだな、よろしくお願いします…」


平塚「で、お前たちなんで部活動中にうらやm…下らんこと話し合ってるんだ、ほら依頼者が連れてきたぞ」


おしまい

その後…

雪ノ下「…なんてことなの」

八幡「……」

雪ノ下「八幡を抱きしめるという行為が癖になってしまって」

八幡「……」

雪ノ下「一定時間ごとに抱きつかないとだめな体になってしまったみたい」

八幡「みたい、じゃなくてさおい」

雪ノ下「抱き枕はおとなしくしててくれるかしら?」

八幡「休み時間毎に非常階段やら校舎裏にひっぱりこまれて抱きつかれて何もできないとか生殺しにも程があるぞ」

雪ノ下「そう?でも貴方も私の感触を背中で味わっているようだけれども?」

八幡「……」

八幡「そのせいで目覚めてはいけないものが目覚めて隠すのが大変なんだよ」

雪ノ下「それも八幡が原因なのよ?高校を卒業するまでは同棲するのはやめよう、っていうから私が禁断症状でこうしないと…」

八幡「…くっ」

雪ノ下「…まだあのベッドはあるのだからやっぱり二人で……ね?」

八幡「キャラかわりすぎだろ…」

雪ノ下「そんなの…せっかく八幡が私の気持ちにこたえてくれたのだから素直にならないとダメだと」

八幡「我慢しなきゃいけない気持ちを考えろよ!」

雪ノ下「むしろ今まで我慢していた方の気持ちも考えてほしいのだけれど…?」



おまけおしまい

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年12月20日 (土) 20:02:59   ID: nO68qIuC

おう

2 :  SS好きの774さん   2015年07月24日 (金) 23:32:12   ID: Zp0-BG7s

イチャラブ、いいね

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