モバP「ぎこちない二人のステップ」 (37)

モバマスSSです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383062893

今回はシリーズも何もないSSです。

P「あー、寒いなぁ…」

P(やっぱり、もう冬が近づいてるからなぁ)

?「先輩、これどうぞ」ピトッ

P「うわぁ!」

?「だ、大丈夫ですか?…やはり、熱かったでしょうか」

P「穂乃香か」

穂乃香「あ、はい。こんばんは。わざわざ迎えに来てくださってありがとうございます」

P「それは別にいいけど」

穂乃香「そうですか。それは良かったです。あ、これどうぞ」

P「ありがとな」

穂乃香「いえ、待って頂いたのに何もなしと言う訳にはいかないでしょう」

P「真面目だな」

穂乃香「当然のことをしたまでです」

P「穂乃香らしいな。…一つ聞いていいか?」

穂乃香「はい。なんでしょうか?」

P「先輩ってなんだ?」

穂乃香「え、えっとですねその…」

P「いや、別に言いたくないならいいけど」

穂乃香「いえ、なんだか、こうやって待ち合わせすることなんてなくてですね…」

穂乃香「そのなんて言うか、ちょっと呼んでみたくなってしまって」カァァ

P「なるほどな」

穂乃香「嫌…でしたか?」

P「いや、正直ちょっとドキッとしたかな」

穂乃香「そ、それは良かったです。それでは帰りましょうか」

車内

P「このまま寮でいいか?」

穂乃香「あ、ちょっと事務所に荷物を置いてきてしまったので事務所でもよろしいですか?」

P「別にいいけど」

穂乃香「すみません」

P「そう言えばさ」

穂乃香「はい。なんでしょうか」

P「大分会った時と雰囲気が変わったよな」

穂乃香「そうですか?確かに髪も縛ってませんし、見た目は変わったかもしれませんが」

P「なんて言うのかな、ちょっと壁があった気がしたな」

穂乃香「そうですか?」

P「ストイックに自分の目標に向かい過ぎて周りを見れていなかった気がするよ」

穂乃香「…恥ずかしい限りです」

P「いや、緊張してたのもあるんだろうな。自分の表現力に限界を感じてこの世界に入ってきたからには、何かしらの結果を残さなくてはいけない。

P「じゃないと自分の決心が無駄になるって思ってたんだろうな」

穂乃香「…エスパーか何かですか?」

P「少し気持ちが分かるんだよ。俺もそういう時期があったからさ、目先の結果も大事だけど、周りとの協調も大事だってことがさ」

穂乃香「そう…なんですね」

P「まぁ、今じゃ穂乃香も変わってきたし平気だと思うけどな」

P「まさか、チョコをくれるなんて思わなかったよ」

穂乃香「あっ、あれは、ですね。そのなんて言うか…」カァァ

P「あの時の穂乃香は凄い焦ってたな」

穂乃香「いや、だって、レシピ通りに作っていたんですが、その通りにならないんですよ?」

P「それは、穂乃香の手順が間違ってたんじゃないのか?」

穂乃香「そんなっ…、だって、ちゃんと湯煎して…」

穂乃香(愛情も込めたのに)

P「まぁ、美味しかったしいいじゃないか」

穂乃香「それだけじゃ、良くないですよ」

P「真面目だなぁ」

穂乃香「性分ですねこれは」

穂乃香「あ、そう言えば、そのチョコのことなんですが…」

P「分かってるって」

穂乃香「そうですか…?」

P「あぁ、義理でも嬉しかったよ。これからもプロデュース頑張ろうって思えたしな」

穂乃香「えぇ。そうですね。これからもよろしくお願いします」ツーン

P(あれ?不機嫌になった?)

P「怒ってるか?」

穂乃香「いいえ。別に。これは生まれつきの顔です」

P「そうなのか?澄ました顔は凛々しくていいと思うけど」

穂乃香「い、いきなりそんなことを言わないで下さいっ!」

P「そういう頬を緩めた顔もいいと思うぞ。ギャップって言う奴なのかな」

穂乃香「し、知りませんっ!」

穂乃香「そう言えば、先程、私が変わったと仰られましたね」

P「言ったな」

穂乃香「全ては…その、Pさんのおかげですよ。この事務所に入ってよかったと心から思います」

P「そう言われるとプロデューサー冥利に尽きるな。ありがとう」

穂乃香「いえ、私は事実を言ったまでですので」

事務所

穂乃香「お疲れ様です」

ちひろ「あ、お帰りなさい。って、あれ確かプロデューサーさんに寮まで送って貰うんじゃ?」

穂乃香「少し忘れ物を取りに来ました。今、下に居て貰っています」

ちひろ「あ、そうなんですね。ちなみに何を忘れたんですか?」

穂乃香「ちょっと筆箱を。ここを出る前に使っていたので…。うっかりしていました」

ちひろ「あぁ、なるほど。それではお疲れ様でした」

穂乃香「はい。失礼します」

車内

穂乃香「ただいま戻りました」

P「お、あったか」

穂乃香「えぇ、時間を取らせてしまってすみません」

P「いや、別にいいんだけどさ」

穂乃香「誰かからメールですか?」

P「まぁな。忍から来たんだよ」

穂乃香「忍さんですか?」

P「そうそう」

穂乃香「なんて来たんですか?」

P「いや、今日皆でゲーセン行ってきたよーってメールが」

穂乃香「皆って私は呼ばれてないんですが…」

P「ん?あぁ、そう言えば、この間穂乃香の予定聞かれたな。今日しか忍が行けなかったから涙を飲んで誘わなかったんだろ」

穂乃香「ま、まぁ、確かに、私も仕事が入っていますし、それを断ってまで行こうとは考えませんので、その考えは正しいですけど。ですけど…」

P「…お、そうだ。穂乃香は、この後は誰かと約束とかないか?」

穂乃香「はい?えぇ、ありませんが」

P「それじゃ、付き合って欲しいところがあるんだけどいいか」

穂乃香「構いませんけど…」

P「それじゃ、ちょっと待っててくれないか」

穂乃香「はぁ…」

穂乃香(何があったんだろう…?)

P「ただいま。それじゃ行こうか」

穂乃香「あ、何をされてきたんですか?」

P「ん?あぁ、ちひろさんと少し話してきたんだ」

穂乃香「何をですか?」

P「仕事終わったら勝手に帰っていいと。鍵は二人共持ってるから問題ないんだけど、一応お互いに報告して帰ることにしてるからさ」

穂乃香「はぁ…?」

P「えーと、六時半か。よし、行こう」

穂乃香「は、はい…」

穂乃香(行こうって…寮に帰るだけじゃ?)

P「よし、着いた。それじゃ降りてくれ」

穂乃香「は、はい」

穂乃香(どこだろう…ここ?)

穂乃香「あ、あの、私はPさんのことを信じていますが…」

P「うん?」

穂乃香「あ、いえ、なんでもありません…」

穂乃香(覚悟を決めよう…)

穂乃香「…はい?」

P「こんな所に来るの久々だなぁ。中学生以来かも」

穂乃香「えーと…ここは?」

P「ゲームセンターだよ。嫌だったか?」

穂乃香「あ、いえ…そういうわけでは」

穂乃香「ゲームセンターに来たのが初めてで少々面喰らっているだけです」

穂乃香(わざわざ連れてきてくれたんですかね…?)

P「確かに初めて来ると驚くかもな」

穂乃香「はい。ずっとバレエをやっていたので、店の光を見る程度でしたね」

P「喜んで貰えたら嬉しいよ」

穂乃香「はいっ!ありがとうございます」

P「さて、何からやろうか。最近は、カードとか作ってやるゲームが多いからなぁ…」

穂乃香「あ、私、モグラ叩きをやってみたいです」

P「お、いいな。俺も負けないぞ?」

穂乃香「望むところです」

穂乃香「…くっ」

P「やっぱり、久々にやると鈍るなぁ…」

穂乃香「今のでコツは、掴みました。もう一度やりましょう。さぁ」

P「あ、うん」

P(何かスイッチが入ったみたいだな…)

穂乃香「やった♪」

P「まさか、一回で抜かれるとは…」

穂乃香「やはり、後半で切れそうになる集中力をいかにキープして、丁寧にやるかがコツでしたね」

P「そこだけ聞いてると何のコメントか分からないな」

穂乃香「そうですか?」

P「あぁ。でも、ちょっと悔しいなぁ」

穂乃香「私は、少しだけ嬉しいです」

穂乃香「これは…クレーンゲームですか」

P「そうだな」

穂乃香「上手く挟んでぬいぐるみをゲットできる人がいるんでしょうか…」

P「まぁ、得手不得手が出るゲームだよな」

穂乃香「ちなみにPさんは?」

P「…それなりって感じかな」

穂乃香「何とも言えない回答ですね」

P「あんまり来ないからな。そこらへんは許してくれ」

穂乃香「それじゃ…ちょっとお願いしてみてもいいですか?」

P「どうした?」

穂乃香「あのぬいぐるみを取ってくれませんか?」

P「どれだ?」

穂乃香「あれです…」

P「あれだな、分かった」

P(ああいうクマのぬいぐるみが好みか)

P「可愛いものが好きなんだな」

穂乃香「い、いけませんか?」

P「いや、そういう所は年相応なんだなって」

穂乃香「私だって、可愛いものは好きですよ」

チャリン

P「えーと…これでこうして、これくらいかな」

穂乃香「……」ドキドキ

P「一発で行かないかな…穂乃香、横のを見ててくれないか」

穂乃香「はい。そこになったら言えばいいんですね」

P「そうそう」

穂乃香「…ストップ」

P「えっ…」

P(流石に早くないか? 多分腕を掠める程度になっちゃいそうなんだけど…)

P「あっ…」

穂乃香「あっ!」

P「何だか前のがアームに押されて取れちゃ―」

穂乃香「一発で取ることが出来るなんて、さっきの言葉は謙遜ですね?」

P「え?あっ、あぁ、なるほど」

P(穂乃香はこっちが欲しかったのか。結果オーライだな)

P「たまたまだよ」

穂乃香「なんにせよ。可愛いぬいぐるみありがとうございます」

穂乃香「…Pさん」ジー

P「ん?どうかしたか?」

穂乃香「このぬいぐるみとPさんって少し雰囲気が似てますね」

P「えっ、そうか?」

穂乃香「あ、容姿とかがというわけではなくですね…。癒されるんですよ。また明日頑張ろうって思えます」

P「なるほど…」

穂乃香「えぇ、本当に落ち着くんですPさんの…隣って」

P「え、あ、そうか?」

穂乃香「はい。ねー、ぴにゃこら太」

P「そんな名前なのかそいつ…」

P「そろそろ、時間だな…」

穂乃香「Pさん、あれはなんですか?」

P「あれは…プリクラだな」

穂乃香「あぁ、あれがプリクラなんですね」

P「撮ってみるか?」

穂乃香「えっ!でも、二人しかいませんよ?」

P「一人でも撮れるから問題ないとは思うけど…。あ、でもアイドルがプロデューサーと一緒に撮るのはマズイか」

穂乃香「い、いえ、そういう訳ではないですけど」

穂乃香「プロデューサー以外の男の人の方が問題だと思います」

穂乃香「そ、それでは…ふつつかものですが」

P「一体何を始める気なんだ穂乃香」

穂乃香「き、緊張してるんですっ」

穂乃香「なるほど、意外に写る範囲が広いんですね」

P「そうだな。時間の制限があるからって焦るなよ?」

穂乃香「それは平気だと…」

ソレジャイクヨー

「10.9.8…」

穂乃香「い、いきなり10秒からですか。少し焦りますね」

パシャ

穂乃香「ちょっと慣れてきました」

パシャ

穂乃香「……」チラッ

穂乃香(ちょっとくらい私だって)

穂乃香「…えいっ」

P「ほ、穂乃香?」

パシャ

穂乃香「あ、終わったみたいですね。さ、行きましょ…」ドキドキ

穂乃香(心臓が破けちゃいそう…)

P「あ、あぁ」

穂乃香「どうかしましたか?」

P「別になんでもないよ」

穂乃香「そうですか。それじゃ…きゃっ!」

P「お、大丈夫か?」

穂乃香「あ、すみません。足元を見ていなくて」

P「別にいいって。…それにしても軽いな」

穂乃香「軽いですか?」

P「あぁ、びっくりするくらい軽い」

穂乃香「バレエのせいで体重落とす癖がついてしまいましたので…」

P「まぁ、健康に影響がないならいいけど。それにしても、軽いな。簡単に持ち上げられる」ヒョイ

穂乃香「わっ!…じ、時間と場所を選んでくださいっ」カァァ

P「お、悪い悪い」

穂乃香「もう…」

穂乃香「どうやら…現像が終わったようですね」

P「綺麗に撮れてるな」

穂乃香「ぴにゃこら太も嬉しそうです」

P「ちゃっかり胸に抱いてたもんな」

穂乃香「えぇ。記念に一緒に撮っておこうかと思いまして」

P「なるほどなー」

穂乃香「あ…」

穂乃香(最後のもよく撮れてる…)

P「穂乃香?」

穂乃香「す、すみませんっ。それでは帰りましょうか。欲しい写真があったら、後日切って渡しますね」

P「分かった。ありがとな」

P(ここにも鋏あるんだけどな…)

車内

穂乃香「まるで夢のような時間でした」

P「そんな大げさな…」

穂乃香「いえ、全てが新鮮で楽しかったです。こんな可愛いお土産も頂けたしありがとうございます」

P「喜んでくれたならよかった」

穂乃香「恥ずかしながら…私が少し拗ねていたのを見かねて…」

P「い、いや、久々にゲーセンに行きたいなぁって思って行っただけだよ」

穂乃香「そういうことにしておきますね。…ふふっ」

P「なんだよ?」

穂乃香「別に。なんでもありませんよ」

穂乃香「しかしですね。今日分かったことがあります」

P「なんだ?」

穂乃香「一つの見方だけでは何事もなしえないということです。クレーンゲームでは二人で協力して取ることが出来ましたし」

穂乃香「私は、バレエをやっていたことに誇りを持っています。しかし、それだけに固執してその動きに頼っていた気がします」

穂乃香「見ているファンの方々を楽しませるには、ダンスだけではまだ足りないと思います」

穂乃香「その…自信はありませんが、歌などで楽しませることが出来ればいいなと思いました」

P「凄いな」

穂乃香「いえ、そんな…凄いことなんて何も」

P「それじゃ、今度皆でカラオケでも行ってきたらどうだ?歌えるし、皆とも仲良くなれるぞ?」

穂乃香「カラオケ?…行ったことないですから楽しみです。今度忍さんでも誘ってみます」

P「お、行ったことないのか。それじゃ今度行ったら感想聞かせてな」

穂乃香「はいっ。待っていて下さい」

P「よし、到着っと。お疲れ様」

穂乃香「こちらこそありがとうございました」

P「それじゃ気を付けてな」

穂乃香「もう、寮の目の前ですけどね。入っていかれますか?」

P「いや、止めとくよ」

穂乃香「そうですか。でも、ちょっとだけ出てきて貰えませんか?」

P「いいけど…どうした?」

穂乃香「手を貸してください」ピタ

P「穂乃香?」

穂乃香「これは、昔のパ・ド・ドゥというバレエに於いて、男女で踊る時の構えの一つです」

穂乃香「パ・ド・ドゥは私一人が躍るわけでもなく、Pさん一人が踊るわけでもありません。二人で踊るものです」

穂乃香「これからもこのようにお互いの手を取り合いながら、Pさんと共に成長していきたいと思います」

穂乃香「アイドル、綾瀬穂乃香を宜しくお願いします」

P「俺も頑張るな」

穂乃香「これからも、経験を積ませて下さいね」

穂乃香「それでは、失礼します。ぴにゃこら太ありがとうございます」

P「おう。癒されてくれよ」

穂乃香「はい。でも…」

P「でも?」

穂乃香「たまには、隣に居させてくれると…って、やっぱり何でもありません!」

P「そ、そうか」

P(殆ど言い切ってたけどな…)

穂乃香「改めて失礼します」

事務所

P「ちひろさんは帰ったか…」

P「さて、残った仕事を片づけて俺も帰ろう」

ピリリリリ

P「ん?はい。どちら様」

穂乃香『あ、穂乃香です。こんばんは。今お時間平気ですか?』

P「別にいいけど」

穂乃香『あ、ありがとうございます。えーとですね。忍さんとカラオケに行く約束が出来ました』

P「お、良かったな」

穂乃香『はいっ。それとですね…一つお願いがあるのですが』

P「なんだ?」

穂乃香『これからも、Pさんと一緒に色々な所に行ってみたいです』

P「そうだな。時間が合えば」

穂乃香『ありがとうございます。それとですね、先程のお話の続きなのですが…』

穂乃香『いつか、私がPさんと共に同じ頂きに立つことが出来たならば、ずっと一緒にいてくれませんか隣に』

P「…なれたらな」

穂乃香「えぇ、それでは失礼します」ガチャ



P「……参ったな」カァァ

P「ちひろさんがいたらきっとイジられてたなぁ…」

穂乃香の部屋

穂乃香「ふぅ…」

穂乃香「いきなりなんてことを…」カァァ

穂乃香「しかし、自分を偽ることは出来ませんし…」チラッ

穂乃香「ぴにゃこら太はどう思う?」

穂乃香『間違ってないとオモウヨー』

穂乃香「ですよね。すっきりしました」

穂乃香(今の人形遊びは人には見せられないけれど…)

穂乃香「頑張りましょうねPさん。ずっとずっと…ずーっと隣で」ギュ

終わりです。
見て下さってありがとうございます。

いや、穂乃香は本当に可愛いですね。

劇場で数度取り上げられて嬉しい限りです。

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